ことり「ポジティブになれる薬?」back

ことり「ポジティブになれる薬?」


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真姫「そうよ。ことり、たしか前に言ってたじゃない。もっと積極的になりたい、って」
ことり「う、うん・・・・・・もっと自分から、色々できたらな、って・・・・・・」
真姫「そこで、この真姫ちゃんが用意してあげたわ! 西木野特製、“ポジティブになれる薬”!」
ことり「ええっ、ほんとに!? 普通の錠剤にしか見えないけど・・・・・・」
真姫「西木野総合病院の医学をなめないでもらいたいわ」
ことり「すごーい、さすが真姫ちゃん! 困った時の家が病院設定! ありがと?!」
真姫「なんかひっかかる言い方ね」
5:
真姫「ことり、あなた、好きな人いるんでしょう?」
ことり「えっ!? そ、そんな、好きな人なんて、ことりは・・・・・・///」モジモジ
真姫(ああもう、じれったいわね! あなたたち2人の様子見てたら、誰にだってバレバレよ!)
真姫(お互い、もじもじしちゃって全然進展しないんだから・・・・・・見てるこっちがやきもきするわ)
真姫「だからね、ことり。この薬飲んで、思い切ってばーんとアタックしちゃいなさい」
ことり「ば、ばーんと、あたっく・・・・・・///」
真姫「そうよ! こういうのは思い切りが肝心! ひと思いにやっちゃいなさい!」
ことり「う、うん・・・・・・ことり、頑張ってみる!」
8:
真姫(ふふ・・・・・・こうして、煮え切らないことりの背中を押してあげる私、できる女ね)
真姫(そして・・・・・・万全を期して、“相手”の方にも、すでにさっき、お茶にこの薬を盛っているという周到ぶり)
真姫(こうして、お互いが積極的になれば万事解決! 流石は可愛くて完璧な真姫ちゃん)ドヤア
ことり「真姫ちゃん、どうしてドヤ顔してるの?」
真姫「いっ、いいから! 早飲んでみなさいよ!」
ことり「う、うん・・・・・・えーい!」ゴクッ
ことり「・・・・・・・・・・・・」
真姫(さあ、行くのよ! 積極的になって! ポジティブになって、どーんと!)
ことり「・・・・・・・・・・・・」
ことり「・・・・・・ふ、」
ことり「ふえ?ん・・・・・・私みたいな消極的な子・・・・・・どーんとなんて、無理だよぅ・・・・・・」メソメソ
真姫「!?」
9:
真姫「え!? こ、コトリサン?」
ことり「だめぇ・・・・・・どうせ私なんて、ポジティブになんてなれないよぉ・・・・・・」ワーン
真姫(どど、どういうこと!? もしかして、私・・・・・・)
真姫(く、薬、間違えた!? これって、まさか・・・・・・)
真姫(・・・・・・“ネガティブになる薬”!?)
ことり「」ワーン
真姫(じゃじゃ、じゃあ・・・・・・もしかして・・・・・・)
真姫(私が薬を盛った、“あっち”の方も・・・・・・!?)サーッ ←血の気が引く音
11:
?教室にて?
海未「・・・・・・はぁ・・・・・・」ドヨーン
穂乃果「海未ちゃん? どうしたの、暗い顔しちゃって」パンモグモグ
海未「穂乃果・・・・・・私・・・・・・」
海未「・・・・・・死のうかと思います」
穂乃果「」ブーッ
穂乃果「ううう、海未ちゃん!? どうしたのいきなり!?」ゲホゲホ
海未「・・・・・・自分に自信が持てないのです。アイドルとしても、園田の跡取りとしても中途半端で・・・・・・」
穂乃果「そそ、そんなことないよ! 海未ちゃん、すごく頑張ってるじゃん!」
穂乃果「穂乃果じゃかなわないところ、海未ちゃんたくさん持ってるよ!」
12:
海未「・・・・・・気休めはよしてください。私は、穂乃果やことりのように、可愛くはないですし・・・・・・」
穂乃果「なに言ってるのさ海未ちゃん! 海未ちゃんはすっごく可愛いよ!」
穂乃果(い、一体どうしちゃったの海未ちゃん!? まさか、ことりちゃんと何かあったとか・・・・・・?)
穂乃果「・・・・・・あ、そういえば、ことりちゃんは?」
海未「なにやら、真姫に呼ばれたとかで、先に部室に行くと言っていましたが・・・・・・」
海未「・・・・・・は! まさか、ことり、私と顔を合わせるのが嫌で・・・・・・!?」ガクガク
穂乃果「んな訳ないじゃん! ネガティブすぎだよ!!」
穂乃果「と、とにかく部室に行こう! もうすぐ、練習始まる時間だし・・・・・・」
海未「い・・・・・・嫌です! ことりに、どういう顔をして会えば・・・・・・!!」
穂乃果「もう、いいから行くよ?!」
海未「い・・・・・・嫌あ???・・・・・・!!」ズルズル
18:
?部室にて?
ことり「ふえ?ん・・・・・・」グスグス
真姫(ど、どうしよう・・・・・・この薬、試作品だから解毒剤も無いのよね・・・・・・)
真姫「こ、ことり、ちょっと落ち着いて・・・!」
ことり「だって、だって、私みたいにドジで駄目な子・・・・・・」
真姫「ことりはドジなんかじゃないわ、大丈夫よ!」
ことり「ほんと・・・・・・?」グスッ
ガチャ
にこ「さあ、今日も張り切っていくわよ?!」
凛「早く動きたいにゃ?!」
花陽「凛ちゃん、やる気まんまんだね」クスッ
ことり「」グスッ
真姫「あ」
にこりんぱな「」
19:
凛「あ?! 真姫ちゃんがことりちゃん泣かしてるにゃー!」
真姫「ち、違うのよ、これには訳が・・・・・・!」
花陽「け、喧嘩・・・・・・?」
真姫「喧嘩でもなくって!」
にこ「じゃあ、一体どういう訳なのよ?」ジトー
真姫(う・・・・・・怪しい薬を間違えて飲ませて、おかしくなっちゃったなんて言えない・・・・・・!)
真姫「こ、これはうちの病院でやってる健康法! 泣くことでストレス発散するっていう画期的な・・・・・!)
にこ「」ジトー
真姫(う・・・・・・メッチャウタガワレテル)
22:
花陽「・・・・・・ことりちゃん、何があったかはわからないけど、元気出して」
凛「そうだよー。ことりちゃんに泣き顔は似合わないよ?」
にこ「そうよ。気分が落ち込んだ時こそこれよ、にっこにっこにー」
ことり「うん・・・・・・みんな、ありがとう」
真姫(ふう・・・・・・どうにか、落ち着いたみたいね・・・・・・)
ガチャ
絵里「みんなそろってるー? ・・・って、どうしたの、みんな」
花陽「あ、絵里ちゃん」
凛「ことりちゃんがちょっと元気ないみたいだから、励ましてたんだにゃー」
絵里「ふーん・・・・・・? あ、そうだ、ことり」
ことり「え?」
絵里「ことりがこの前作ってくれた衣装、ちょっと胸元が私にきついみたいなの」
絵里「直しておいてもらえるかしら? 寸法を間違えるなんて、ことりらしくないっていうか・・・」クスッ
ことり「」
ことり「・・・・・・・・・・・・」ジワッ
真姫(空気読んで絢瀬さーーーーん!!)
23:
?廊下?
海未「は?な?し?て?く?だ?さ?い?!!」
穂乃果「だ?め?だって?!!」ズルズル
希「・・・・・・ん? どうしたん、2人とも? 綱引きの練習?」
穂乃果「あ、希ちゃん! 助けて、海未ちゃんが変なの!」
希「どういうこと?」
穂乃果「なんか海未ちゃん、急にネガティブになっちゃって・・・・・・」
海未「私はダメですダメな女なんです! 皆に合わせる顔がありません恥ずかしい」
穂乃果「・・・・・・こんな調子なの」
希「ふ?ん・・・・・・確かに変やね。海未ちゃん、何があったん?」
海未「何も無いです私に構わないでください?!」
希「あらあら。そんな、聞き分けない子は・・・・・・」ニヤッ
ガバッ
希「わしわしMAXしちゃうよ?!」ワシワシ
海未「」
希「・・・・・・ん?」
穂乃果「海未ちゃん?」
24:
海未「そうやって・・・・・・そうやって、私の胸が無いことを責めるのですね!?」
希「え」
海未「そりゃ私だってわかってます! μ'sの中でも、下から数えた方が早いことに!」
海未「でも私だって何もしていなかった訳ではないです毎日牛乳飲んで恥ずかしながらマッサージもして日々努力という名の鍛錬を詰んでいたんです!!」
穂乃果「」
希「」
海未「でも駄目なんです! 世の中には努力してもどうにもならないことがあるんです!」
海未「それなのに希はその豊満な胸を私の背中に押し付けて自己主張して私を責めるのですね!?」
希「あ、いや」
海未「そうです希や絵里や花陽に比べれば私はミジンコです! 貧乳は生きてる価値なんてないんですうわーん!!」
希「あ、えと、その・・・・・・な、なんかほんと、すみませんでした」
穂乃果(希ちゃんが標準語に!?)
25:
希「・・・・・・あかん。確かにこれは重症や」
穂乃果「で、でしょ!? 穂乃果も訳がわからなくて・・・・・・」
海未「」ワーン
希「と、とりあえず、ここ廊下やし、このままにしとく訳にはいかんよね」
穂乃果「そ、そうだね! 海未ちゃんを抱えてでも部室に連れて行こう!」
希「それしかあらへんね。穂乃果ちゃん、そっち持って」
エッホエッホ
海未「は、離してください?!! いや???!!」
26:
?部室?
ことり「ごめんなさ?い! 寸法間違えちゃってごめんなさ?い! 迷惑かけちゃってごめんなさ?い!」ワーン
絵里「・・・・・・え。その・・・・・・」オドオド
真姫「」←頭抱えてる
ことり「やっぱり、ことりなんかが衣装作るべきじゃなかったの! 絵里ちゃんの胸が締め付けられて小さくなっちゃうくらいだったらっ」
にこ「」
凛「」
絵里「ちょっ、私の胸は別にっ///」
ことり「貧乳になっちゃってごめんなさい絵里ちゃんのアイデンティティ奪っちゃってごめんなさ?い!!」ウワーン
花陽「」
絵里「だから縮んでないっ! あと私のアイデンティティは胸だけなの!?」
28:
ことり「もうことりは衣装作る資格なんてないです服も着てちゃ駄目ですお詫びに裸になりますっ!!」ヌギヌギ
にこ「ちょおおおおおおっ!!?」
真姫「バカ、あなた何やって・・・・・・!!」
バンッ
希「みんなー!!」
穂乃果「海未ちゃんがたいへ・・・・・・」
ことり「ぐすっ」←半裸
のぞほの「」
にこりんぱなまきえり「」
29:
?屋上?
ことり「」ドヨーン
海未「」ドヨーン
希「そういう訳やったんね。いやー、びっくりしたわ」
穂乃果「てっきり穂乃果、みんなしてことりちゃんに何かよからぬことをしてたのかと・・・・・・」
にこ「人聞き悪いこと言わないでよ・・・・・・」
絵里「でも、あの隅っこで体育座りしてる2人、いきなりどうしたっていうの?」
花陽「あのネガティブさは尋常じゃないです・・・・・・」
希「しかも、2人同時に・・・・・・」
凛「ねえ、真姫ちゃん」
真姫「!?」ビクーン
凛「真姫ちゃんは何か知らない?」
真姫「シ、シラナイワヨナンニモ」アセアセ
凛「ふーん?」
30:
穂乃果「うーん・・・・・・2人の間に、何かあったのかなあ・・・・・・?」
凛「えー!? 海未ちゃんとことりちゃん、とっても仲良しなのに!?」
希「・・・・・・ありうるかも。ほら、だって、あの2人って・・・・・・なあ?」ヒソヒソ
希「いい感じなのに、お互いはっきりしなくて・・・・・・そのすれ違いが重なった結果、ギクシャクしてしまった2人は・・・・・・」ヒソヒソ
凛「なんか希ちゃんが生き生きしてるにゃー」
にこ「おばさんか」
絵里「はいはい、いつまでも話していても仕方ないわ。練習を始めましょう」パンパン
絵里「海未も、何かあったのかもしれないけれど、体を動かしたら気分転換にもなるかもよ?」
海未「あ、はい・・・・・・そうですね・・・・・・」
31:
絵里「それじゃあ、柔軟から始めましょう」
穂乃果「あ、海未ちゃん」ヒソヒソ
海未「なんですか?」
穂乃果「せっかくだからさー、ことりちゃんと組みなよ」
海未「えっ!? こ、ことりと・・・・・・!?///」
穂乃果「なんだかことりちゃんも元気ないし・・・・・・喧嘩とかした訳じゃないんでしょ?」ヒソヒソ
海未「そ、それはそうですが・・・・・・」
穂乃果「だったら、一緒に練習してお互いに元気づけられればいいじゃないかなっ?」ニコッ
海未「穂乃果・・・・・・」
海未(そ、そうですね。穂乃果の言う通り)
海未(ことりの元気がないのなら、私が元気づけてあげないと・・・・・・!)
海未「あ・・・・・・あの、ことり」
ことり「え・・・・・・海未ちゃん?」
海未「わ、私と組みませんか?///」
ことり「え?///」
32:
ことり「う・・・・・・海未ちゃん、いいの? 私なんかが相手で・・・・・・」
海未「いえいえ、私の方こそ、恐れ多いというか・・・・・・」
ことり「そ、そんなことないよ。ことり、トロいし海未ちゃんの足でまといになりそうだし・・・・・・」
海未「そ、そんなことはないです。私の方こそ、ことりに無理をさせてしまわないかどうか・・・・・・」
ことり「ううん、私なんか」
海未「いえいえ、私の方が」
ことり「ううん」
海未「いえいえ」
にこ「・・・・・・いいから早く始めなさいよ」
34:
海未「で・・・・・・では、ことり、失礼します」
ことり「う、うん、海未ちゃん・・・・・・」
ギュッ
海未(うっ・・・・・・ことりの背中、やわらかい・・・・・・///)
ことり「・・・・・・海未ちゃん?」
海未「あっ、ご、ごめんなさい」
ググッ
ペターン
海未「・・・・・・やはりことりの体は柔らかいですね」
ことり「う、うん・・・・・・ことりの数少ない取り柄だから・・・・・・///」
海未(こ、ことり・・・・・・いい匂いがします・・・・・・)
海未(ずっと・・・・・・この香りを、かいでいたいような・・・・・・///)
海未(・・・・・・はっ!!?)
36:
海未(なななな何を考えているのですか私はっ!!)
海未(ことりの匂いをかいで、あまつさえそれに興奮するなんてっ・・・・・・へへへ、変態ではないですか!!)
海未(ししし、しかもことりは女の子なのですよ!? 同性に興奮するなどと、わ、わ、私は・・・・・・!!)
海未(わあああ???、変態です変態です最低ですっ!!)
海未(ごめんなさいごめんなさいごめんなさい???!!)ブンブン
ことり「う・・・・・・海未ちゃん・・・・・・?」
凛「なんで海未ちゃん、頭抱えて悶えてるのかにゃー?」
花陽「わ、わかんない・・・・・・」
37:
絵里「はい、それじゃあ次は腹筋ね」
海未「こ、ことり・・・・・・すみませんでした、先ほどは・・・・・・」
ことり「う、ううん、大丈夫だよ。それじゃあ次は、ことりが海未ちゃんの足を支えてるね」
海未「お、お願いします・・・・・・」
イッチ、ニー、サーン
ことり(うわわ・・・・・・海未ちゃんのお顔が近くに・・・・・・)
ことり(海未ちゃん、やっぱり綺麗なお顔・・・・・・髪もさらさらで素敵・・・・・・///)
ググッ
ことり(わわわっ!? う、海未ちゃんのお顔がすぐ近くにっ・・・・・・!!)
ことり(う、海未ちゃんの唇、綺麗・・・・・・このままちょっとだけ身を乗り出せば、ちゅってできそうな・・・・・・///)
ことり(・・・・・・はっ!!?)
39:
ことり(なななな何考えてるの私っ!?)
ことり(海未ちゃんのお顔にうっとりして、そ、それにキキキキキスする妄想までするなんてっ・・・・・・!!)
ことり(へへへへ、変態さんだよ!! それに海未ちゃんは女の子なんだよ!? 女の子同士で、そそそそんな・・・・・・!!)
ことり(うわあああ???ん、変態だよ変態だよ最低だよ???!!)
ことり(ごめんなさいごめんなさいごめんなさい???!!)ブンブン
海未「こ・・・・・・ことり・・・・・・?」
にこ「・・・・・・なんでことりは、真っ赤になって悶えてるのよ」
真姫「さ・・・さあ? ナンデカシラ・・・・・・」アセアセ
57:
海未「では前回の続きの、サビの部分のステップの練習からいきましょう」
穂乃果「はーい!」
海未「いきますよ。ワン、ツー、スリー、フォー」パンパン
ことり(・・・・・・・・・・・・)
ことり(やっぱり、海未ちゃん、凛々しくてかっこいいなあ・・・・・・)
ことり(ことりは、あんな風にきびきびみんなを引っ張るなんて無理だもん・・・・・・やっぱり、憧れちゃうよ・・・・・・)
ことり(・・・・・・はっ、いけないいけない、集中しなきゃ)
絵里「ことり、今の足の振り、遅れてるわよ」
ことり「ちゅん!? あっ、あうっ・・・・・・」フラフラ
ステーン
穂乃果「ことりちゃん!?」
海未「ことり!」タタッ
海未「・・・・・・大丈夫ですか?」
ことり(・・・・・・海未ちゃんが、私のそばにかがんで、心配そうに私の顔を覗き込んでくれる)
ことり(でも・・・・・・私は、なんだか申し訳なくて・・・・・・)
ことり「・・・・・・ううっ」ジワッ
58:
ことり「・・・・・・うえ?ん・・・・・・海未ちゃん、ことり、ノロマでごめん・・・・・・」
ことり「みんなの足をひっぱっちゃって、ごめんなさい・・・・・・」エーン
海未「こ、ことり!?」
穂乃果「そ、そんなことないよ、ことりちゃん!」
希「そうや、ことりちゃんは十分頑張ってると思うんよ」
海未「そそそ、そうです! ことりは悪くありません!」
海未「むむむ、むしろ私がことりの様子も把握せずに無茶をやらせてしまったのが悪いのです!」
海未「悪いのは私です私が皆に謝りますごめんなさい世界中の皆さんごめんなさい??!!」
ことり「」エーン
海未「」ワーン
穂乃果「え・・・・・・えっと・・・・・・」
真姫(まずい・・・・・・全然、薬の効き目がきれないわ・・・・・・)
絵里「」ハア
絵里「・・・・・・このままじゃらちがあかないわ。こっちは私が指導するから・・・・・・」
絵里「海未、今日はことりを、マンツーマンでみてあげて」
ことうみ「「!?」」
59:
海未「えっ・・・・・・それは・・・・・・」
絵里「そっちの方がいいでしょう? 2人とも、今日は本調子じゃないみたいだし」
海未「し、しかし・・・・・・」
ことり「う・・・・・・海未ちゃん、ごめんね・・・・・・そうだよね、私と組むなんてやっぱり迷惑だよね・・・・・・」
海未「え」
ことり「こんなトロくてドジでお鍋にチーズケーキ入れちゃうようなお馬鹿なことりなんか・・・・・・えへへ・・・・・・」ドヨーン
海未「そそそ、そんなことはありません!」
海未「ことりの方こそ、こんな乱暴で女の子らしさの欠片もない私が相手では汗臭くないかと・・・・・・!!」
海未「いややっぱり汗臭いですよねことりのようにいい匂いもしませんしやっぱり私は駄目です私は・・・・・・!」
ことり「そんなことない!」
海未「そんなことありません!」
ことり「そんなこt」
海未「そんn」
にこ「いいからさっさと始めろ???!!」
61:
海未「で・・・・・・では、ひとまず体のバランスを見るため、片足で立つ練習をしましょう」
ことり「こ、こうかな?」
海未「はい。そのまま両手を広げて、上げている方の右足は後ろにそらして・・・・・・」
海未「う?ん、もっとこう、足の角度が・・・・・・」
ことり「海未ちゃ?ん・・・・・・よくわかんないよぉ、口で言うだけじゃ・・・・・・」
海未「ええ、ですが・・・・・・」
ことり「あう!? ことり、わがまま言っちゃった!? ごめんなさいごめんなさ・・・・・・」
海未「い、いえっ、そんなことはありませんっ! ででで、では・・・・・・」
サワッ
ことり(ふわっ!? う、海未ちゃんの手が、ここ、ことりの腕と、腰に・・・・・・///)
62:
海未「こ・・・・・・このくらいの角度でしょうか・・・・・・///」
ことり(海未ちゃん、そっと優しく触ってくれてる・・・・・・な、なんか気持ちいい・・・・・・触られてるだけなのに・・・・・・///)
ことり(さ、触られてるだけなのに変な気持ちになっちゃうなんて、やっぱりことりは変態です、ごめんなさいごめんなさ・・・・・・)
海未「あ、足は・・・・・・こ、この辺りの角度で・・・・・・///」
サワッ
ことり「ひゃんっ!!」
海未「こ、ことり!?」
ことり(う、海未ちゃんの手が、ふふふ太ももにっ・・・・・・だめっ、声出ちゃうっ・・・・・・///)
ことり(ごめんね海未ちゃんごめんね、海未ちゃんに触られるだけで興奮しちゃう変態さんなことりでごめんね・・・・・・///)
63:
海未(こ、ことり・・・・・・大丈夫でしょうか、何やらつらそうですが・・・・・・)
海未(も、もしや私の力が強くて・・・・・・!? ごめんなさいことり、もっと優しくしますから・・・・・・)
サワッ
ことり「あんっ!///」
海未「だ、大丈夫ですかことり!? 痛かったですか!?」
ことり「い、痛くないよ・・・・・・大丈夫・・・・・・///」
海未(ほ、本当に大丈夫なのでしょうか、ことり・・・・・・)
海未(ああ・・・・・・それにしても・・・・・・ことりの体は柔らかくて色白で、本当に綺麗です・・・・・・///)
海未(そして、本当にいい匂い・・・・・・なんだか、変な気分になってきます・・・・・・///)
64:
海未(・・・・・・はっ!? ななな、何を考えているのですか私は、これはれっきとした練習なのですよ!?)
海未(ことりは私のことを信頼して体を預けてくれているというのに、私は何を考えて・・・・・・!)
海未(は、破廉恥です、女の子の体を触って変な気分になるなんて・・・・・・! ああ、でも・・・・・・)
海未(駄目、もっと触りたいという気持ちが収まりませんっ・・・・・・わ、私は、本当に変態になってしまったのでしょうか・・・・・・?)
海未(ああ、私がこんなふしだらで変態な女であることを知ったら、ことりは私のことを嫌いになるに違いありません・・・・・・)
サワッ
ことり「ああっ・・・・・・んっ・・・・・・///」
海未(でも駄目です、貴方のその甘いくすぐるような声が、私をおかしくさせるんですっ・・・・・・!)
海未(ごめんなさいことり、こんなことりの体と声で興奮してしまう変態でごめんなさい・・・・・・///)
65:
ことり(あっ・・・・・・気持ちいい、我慢できないっ・・・・・・!)
ことり(駄目、バランスがっ・・・・・・!)
フラフラ
ことり「あっ・・・・・・!?」
海未「こ、ことり!? あぶな・・・・・・!」
バターン
ことり「いたた・・・・・・」
海未「だ、大丈夫ですか、ことり・・・・・・」
ことうみ「「!?」」
ことり(う、海未ちゃんが・・・・・・押し倒すみたいな体勢で、私の上に・・・・・・!///)
ドキドキ
ことり(海未ちゃんの、唇・・・・・・こんな近くに・・・・・・///)
海未(ななな、なんて格好をしているんですか、私は・・・・・・!///)
ドキドキ
海未(ああ、でも・・・・・・ことりの顔が、こんなすぐそばに・・・・・・///)
ことり「海未ちゃん・・・・・・///」
海未「ことり・・・・・・///」
68:
ことうみ「「はっ!!」」
バッ
海未「ごごごごごめんなさいことり、あのようなはしたない格好を・・・・・・!///」
ことり「ここここことりの方こそごめんね海未ちゃん、ことりトロくって・・・・・・///」
海未(ああああ私は何を考えていたんですか、破廉恥ですふしだらです変態ですっ!!)
海未(私がことりの体を触りながら我を忘れていたなんてことが知れたら、きっとことりに軽蔑されますっ・・・・・・!)
ことり(うわうわうわ、海未ちゃんに触られて興奮するなんて、ほんとおかしいよ変だよ変態さんだよっ・・・・・・///)
ことり(私が海未ちゃんに触られて気持ちよくなってるなんてことが知れたら、きっと海未ちゃんに嫌われちゃうっ・・・・・・!)
ことうみ「「うわああああ???!!」」ブンブン
絵里「・・・・・・あそこのバカップル、いっぺんぶん殴ってきていい?」
希「こらえるんや、エリチ」
にこ「なんだこれ」
69:
?練習終了?
海未(うう・・・・・・結局あれから、全然集中できませんでした・・・・・・)
絵里「・・・・・・今日はこの辺にしときましょう。海未とことりも、調子悪そうだし・・・・・・」
海未「うう・・・・・・」ズーン
ことり「う?・・・・・・」ドヨーン
希「でも、本当にどうしたんやろうね、あの2人」
花陽「2人そろって、あんなにネガティブになってるのはやっぱり変です・・・・・・」
凛「何か変なものでも食べたんじゃないかにゃー?」
絵里「ねえ真姫、本当に知らないの?」
真姫「ヴぇ!? わわ、私は何も知らないわよ!?」
希「・・・・・・・・・・・・」ジー
70:
ことり「・・・・・・ね、ねえ、海未ちゃん」
海未「・・・・・・ことり?」
ことり「ご、ごめんね・・・・・・私がトロくて、失敗ばっかりしてるせいで・・・・・・」
ことり「海未ちゃんに・・・・・・迷惑かけちゃって・・・・・・」シュン
海未「・・・・・・で、ですから! 私のせいです、ことりは悪くありません!」
ことり「ぴっ!?」グスンッ
海未(あ・・・・・・! つい大声を・・・・・・!)
海未「す・・・・・・すみません。決して、ことりのせいなどではないのです。断じて」
ことり「で、でも、海未ちゃん・・・・・・」
海未「・・・・・・そんな顔を、しないでください」
海未「ことりは、笑った顔が一番です。悲しそうな顔をしないでください」
海未「私は、ことりの笑顔が、一番好きですよ」
海未(・・・・・・・・・・・・)
海未(・・・・・・はっ!?)
72:
ことり「す・・・・・・好き・・・・・・?///」
海未「い、いえ今のは、単に私の好みとしてというか、その・・・・・・!」アセアセ
海未(ああああ私は一体何を口走っているんですかっ!)
海未(絶対嫌われました今ので嫌われました! もう駄目です私は駄目駄目人間ですっ!)
海未(ことりに、好き、などと・・・・・・!)
海未(・・・・・・あれ?)
トクン
海未(嫌われたくない・・・・・・好き・・・・・・?)
海未(ことりが・・・・・・好き・・・・・・?)
海未「」ブンブン
ことり「・・・・・・う、海未ちゃん?」
海未「わ、私・・・・・・トイレで、顔を洗ってきます・・・・・・」フラフラ
ことり「あ・・・・・・海未ちゃん!」
73:
希「・・・・・・ウチらも、引き上げよっか」
絵里「そうね。もう夕方だし」
ゾロゾロ
穂乃果「ことりちゃーん、行っちゃうよ??」
ことり「あ・・・・・・うん・・・・・・」
ことり(海未ちゃん・・・・・・ことりに、“好き”だって・・・・・・///)
トクントクン
ことり(ううん・・・・・・あれは、恋愛とかの意味での“好き”じゃない・・・・・・それはわかってるけど・・・・・・)
ことり(でも・・・・・・胸のどきどきが、収まらないよ・・・・・・!)
ことり(もう1回言ってほしい。海未ちゃんに言ってほしい)
ことり(私・・・・・・やっぱり、海未ちゃんのこと・・・・・・)
75:
?トイレの洗面所?
バシャバシャ
海未(うう・・・・・・いくら、顔を洗っても・・・・・・)
海未(顔の火照りが、収まりません・・・・・・!)
キュッ
海未(・・・・・・・・・・・・)
海未(どうしてしまったんでしょう、私)
海未(ことりのことを考えるだけで・・・・・・なんだか、胸がいっぱいになって・・・・・・)
トクントクン
海未(もっとことりに触れていたい。声を聞きたい。一緒にいたい)
海未(私は・・・・・・やっぱり、変態です。きっとおかしくなってしまったんです)
海未(だって・・・・・・私の、この気持ちは・・・・・・)
76:
?屋上?
ことり「・・・・・・・・・・・・」
真姫「・・・・・・ね、ねえ、ことり」
ことり「・・・・・・あ、真姫ちゃん。まだ残ってたんだ」
真姫「その・・・・・・ごめんなさい。私が、変な薬を飲ませちゃったばっかりに・・・・・・」
ことり「ううん・・・・・・いいの。自分の気持ちにも・・・・・・気づけたし」
真姫「ことり・・・・・・」
ことり(屋上のフェンス越しに、空を見上げてみる)
ことり(夕闇の迫った空に、一番星が光ってる)
ことり「・・・・・・ね、真姫ちゃん」
真姫「え?」
ことり「誰かを、好きになるって・・・・・・つらいね」
ことり「ましてや、それが・・・・・・」
ことり(同じ・・・・・・女の子だなんて)
77:
ことり「真姫ちゃん・・・・・・私・・・・・・」
真姫「・・・・・・ことり?」
ことり「やっぱり、変なのかなあ・・・・・・!? だって、だって・・・・・・」ポロポロ
真姫「そ、そんなことないわ!」
真姫「誰かを好きになるなのに、いい悪いなんてないはずよ!」
真姫「ことりは、その人のことが大切なんでしょう!?」
ことり「真姫ちゃん・・・・・・」グスッ
ことり「・・・・・・ありがとう。ちょっとだけ、楽になったかも」
ことり「ごめんね、いきなり変なこと言っちゃって」
真姫「ことり・・・・・・」
ことり「さっ、部室に戻ろ?」
78:
?部室?
ガチャ
海未「・・・・・・・・・・・・」
穂乃果「あ、海未ちゃん。遅かったね」
海未「穂乃果・・・・・・ひとりですか?」
穂乃果「うん。他のみんなは、先に帰るってさ」
海未「そう・・・・・・ですか」
穂乃果「・・・・・・・・・・・・」
穂乃果「・・・・・・海未ちゃん、やっぱり今日は変だよ」
海未「そんなことは・・・・・・」
穂乃果「・・・・・・ことりちゃんのこと?」
海未「」ギクッ
海未「い、いえ、決してそのような・・・・・・!」
穂乃果「・・・・・・・・・・・・」ジーッ
海未「う・・・・・・全く、穂乃果にはかないませんね」
海未「そうです。隠しだてしても、仕方ありませんからね」
79:
穂乃果「ねえ。海未ちゃんは・・・・・・」
穂乃果「ことりちゃんのこと・・・・・・どう、思ってるの?」
海未「え・・・・・・ど、どう、って・・・・・・///」
――海未ちゃ?ん!
――海未ちゃん?
――海未ちゃぁん・・・ グスッ
海未「?????///」カァーッ
海未「わ、私はっ・・・・・・べべべ、別に、ことりはっ・・・・・・友人として・・・・・・!」
穂乃果「ことりちゃんのことが・・・・・・」
穂乃果「好き・・・・・・なんじゃないの?」
海未「?????!!!///」カァーッ
81:
バッ
穂乃果「ちょおっ!? 海未ちゃん、なんでいきなり、シャツ脱いでお腹出してるの!?」
海未「・・・・・・腹を切ります」
穂乃果「ハラッ!?」
海未「だだだだって、おかしいです!! お、同じ女の子を、すすすす・・・・・・!!」
穂乃果「お、おかしくないって! 落ち着いて、海未ちゃん!!」
海未「やはり私は変です変態です駄目駄目人間ですっ!!」
海未「せめて最後ぐらい、武士らしく死なせてください??!!」
穂乃果「武士でもないでしょ! いいから落ち着いて、暴れないで?!!」
ガラガラガシャーンドシーン
穂乃果「あいたたた・・・・・・あ」
海未「・・・・・・あ」
82:
穂乃果「ちょ、ちょっと、海未ちゃん・・・・・・」
海未(ま、またしても、私はまるで押し倒すような格好で、穂乃果の上にっ・・・・・・!)
海未(先ほどの、ことりの時の失敗から、何も学んでいない、やっぱり駄目駄目です・・・・・・!)
海未(ししししかも、シャツを脱いでいるおかげで、やっぱり変態のような・・・・・・!)
穂乃果「う、海未ちゃ?ん・・・・・・? そろそろどいてほしいかな、なんて・・・・・・」
海未「あ、ご、ごめんなさい、穂乃果・・・・・・」
ガチャ
ことり「海未ちゃんと穂乃果ちゃん? まだいるの・・・・・・」
ことり「え」
穂乃果「あ」
海未「・・・・・・え?」
83:
ことり「海未・・・・・・ちゃん? 穂乃果、ちゃん・・・・・・?」
海未「こ・・・・・・ことり・・・・・・」
真姫「ちょっと、どうしたのよことり・・・・・・って、貴方たち!? 何してるの、そんな格好で!?」
海未「あっ・・・・・・!」
バッ
海未「ちちち、違うんですことり! 誤解です!!」
穂乃果「そそ、そうだよことりちゃん! 穂乃果たち、たまたま・・・・・・!!」
ことり「・・・・・・・・・・・・」
ポロッ
ことり「そう・・・・・・だよね・・・・・・海未ちゃんには、やっぱり可愛くて、明るい穂乃果ちゃんがぴったりだもんね・・・・・・」
ことり「ことりみたいな・・・・・・ドジで、トロくて、駄目な子よりも・・・・・・」ポロポロ
海未「ことり・・・・・・! 決して、そのようなことは・・・・・・!!」
85:
そうだよね。
これはきっと、最初から叶わない恋だったんだ。
だって、おかしいもの。私みたいな子が、貴方のことを、好きになるなんて。
でも。仕方なかったの。
格好よくて、綺麗で、優しい、貴方のことが――
本当に、好きになっちゃったんだもの。
私の、大好きな――
――海未ちゃん。
ことり「・・・・・・さよなら」ニコッ
ダッ
海未「ことり・・・・・・!!」
海未「待ってください・・・・・・ことり!!」
98:
海未(ことりは、走っていってしまいました)
海未(ぽろぽろと、大粒の涙をこぼしながら)
海未(最後に、私に見せた精一杯の笑顔が――余計に、悲しそうで――)
海未「・・・・・・どうして・・・・・・」
海未「どうして、こんなことに・・・・・・私が、全部悪いのに・・・・・・」ポロポロ
海未「ごめんなさい、ことり・・・・・・ごめんなさい、ごめんなさい・・・・・・!」
穂乃果「う・・・・・・海未ちゃん・・・・・・」
真姫「う・・・・・・海未は悪くないわ! 私が、余計なことをしなければ・・・・・・!」
希「・・・・・・“私が”?」
真姫「」ギクッ
絵里「・・・・・・どうやら、きちんと話を聞く必要がありそうね」
にこ「真姫ちゃんの知ってることをね」
真姫「希、エリー、にこちゃん・・・・・・花陽と凛も・・・・・・帰ったんじゃなかったの?」
花陽「やっぱり、海未ちゃんとことりちゃんの様子が気になったから、引き返してきて・・・・・・」
凛「そしたら、部室を飛び出すことりちゃんが見えたんだにゃ」
希「・・・・・・さあ。きちんと、話してもらうで」
真姫「・・・・・・はい」シュン
99:
絵里「なるほどね。“ポジティブになる薬”と間違えて、“ネガティブになる薬”を2人に・・・・・・」
希「それで、あの2人はあんなにネガティブになってしまったんやね」
真姫「・・・・・・悪気はなかったの。私、少しでも2人のためになればと思って・・・・・・」グスッ
穂乃果「・・・・・・海未ちゃん、聞いたでしょ!? 海未ちゃんが今、ネガティブになってるのは薬のせいなんだよ!」
穂乃果「だから、ことりちゃんだってきっと・・・・・・!」
海未「・・・・・・・・・・・・」
海未「はい・・・・・・ですが・・・・・・薬のためと、わかっても・・・・・・」
海未「それでも・・・・・・駄目なんです。もう何もかもが嫌なんです、絶望しかないんです・・・・・・!」
花陽「う・・・・・・海未ちゃん・・・・・・」
海未「私のはしたない姿を見たことりは・・・・・・きっと、私のことが嫌いになったに違いありません」
凛「そんなこと・・・・・・!」
海未「いえ、絶対そうです! もう駄目なんです、ことりは私のことを・・・・・・!」
100:
穂乃果「・・・・・・海未ちゃんっ!」
海未「ほ、穂乃果・・・・・・!?」ビクッ
穂乃果「海未ちゃん・・・・・・もう一度訊くよ」
穂乃果「海未ちゃんは・・・・・・ことりちゃんのことが、好きなの?」
海未「なっ・・・・・・だ、だから、それは・・・・・・!!///」
希「・・・・・・海未ちゃん」
希「自分に嘘はついたらあかんよ。ウチらの誰も、馬鹿にしたりしない」
希「全然、変なことやないと思うよ?」ニコッ
海未「う・・・・・・うう・・・・・・///」
穂乃果「ね、海未ちゃん」
海未「・・・・・・・・・・・・」
海未「・・・・・・・・・・・・///」コクッ
にこ「・・・・・・まったく、素直じゃないんだから」
海未「で・・・・・・ですが・・・・・・」
海未「おかしいです! だ、だって、ことりは・・・・・・同じ、女の子で・・・・・・!」
海未「同性に、そそ、その・・・・・・好意を、抱くなどっ・・・・・・ふ、普通ではないように思えて・・・・・・!」
穂乃果「・・・・・・え?」
海未「わ、私がこんな異常な考えの持ち主だと、ことりに知れたら・・・・・・! きっと、ことりは・・・・・・!」
101:
穂乃果「・・・・・・そんなことない! 絶対そんなことないよ!!」
海未「ほ、穂乃果・・・・・・?」
穂乃果「だって、海未ちゃんはことりちゃんのことが好きなんでしょ!?」
穂乃果「好きになったのが、たまたま女の子だっただけなんでしょ!?」
穂乃果「そんなの、全然おかしいことじゃないよ!!」
海未「で、ですが・・・・・・」
花陽「そ、そうだよ! 好きって気持ちに、おかしいことなんてないです!」
凛「ことりちゃんだって、受け止めてくれるはずにゃ!」
真姫「私の薬のせいで変なことになっちゃったけど・・・・・・貴方の好きって気持ちは、本当なんでしょう!?」
にこ「何もしないうちから、諦めててどうするのよ。あんたらしくないわよ?」
絵里「海未・・・・・・自信を持って。勇気を出して」
希「海未ちゃん・・・・・・相手が、男の子とか女の子とか、関係ない」
希「好きって気持ちは、おかしいことでも、恥ずかしいことでもないんよ?」ニコッ
海未「・・・・・・みんな・・・・・・」
102:
海未「・・・・・・・・・・・・」
海未「・・・・・・ありがとうございます。なんだか少し、吹っ切れました」
海未(そして私は、ブラウスを着直し、立ち上がる)
穂乃果「・・・・・・海未ちゃん?」
海未「ことりを、探しに行きます。そして・・・・・・出来ることなら、私の、きき、気持ちを・・・・・・///」
花陽「海未ちゃん・・・・・・!」
真姫「で・・・・・・でも、急いだ方がいいかもしれない」
凛「どういうこと?」
真姫「今のことりは、薬の影響ですごくネガティブになってる」
真姫「その上、海未と穂乃果の様子を勘違いして強いショックを受けて、精神的にすごく危うい状態になってるはずよ」
希「と、いうことは・・・・・・」
真姫「万が一、はやまってしまったりしたら・・・・・・! 最悪、自分で命を絶つなんてことにも・・・・・・!」
花陽「それって、じじじじ自殺しちゃうかもしれないってことぉ!?」
にこ「じょ、冗談じゃないわよ!!」
海未(・・・・・・ことり・・・・・・!)
103:
絵里「薬の効果を消すことはできないの!?」
真姫「試作品だから、解毒剤とかはなくて・・・・・・でも、一定時間が経つと、自然と効果は消えるようになってるわ」
真姫「だけど、薬の効果が消えるのは、飲んでから12時間後・・・・・・! ことりが薬を飲んだのが、午後3時頃だから・・・・・・」
希「・・・・・・夜中の3時までは、危うい状態ってことやね。悠長に構えてる暇はなさそうやんな」
穂乃果「みんなで探しに行こう! 放っておけないよ!!」
絵里「そうね。手分けして捜索して、常に連絡は取り合うようにしましょう」
海未「・・・・・・・・・・・・!」ダッ
穂乃果「あ、海未ちゃん!!」
海未(私は、いてもたってもいられず、部室を飛び出した)
海未(せっかく、自分の気持ちに、正直に向き合えたのに――)
海未(ことりが、いなくなってしまうなんて――そんなの――)
海未「・・・・・・嫌です!! ことり・・・・・・!!」
104:
海未(学校を飛び出した私は――無我夢中で、走り出した)
海未(あてがあった訳じゃない。とにかく、ことりに会いたい――その一心で――)
海未(スマートフォンを取り出し、ことりの番号にかけてみる)
『――おかけになった番号は、電波の届かないところにいるか、電源が入っていないため・・・・・・』
海未(――つながらない。ことりの家の方も、同様だった)
海未「ことり・・・・・・!」
海未(空を見上げると――晴れて、夕焼けが綺麗だったはずの空に、真っ黒な雲が広がりつつあった)
海未(その光景が――余計に、私の焦燥感を煽った)
105:
海未(たどり着いたのは――ことりの家)
海未(しかし、家の電気はついておらず、真っ暗で――人のいる気配はない)
海未(インターホンを何度も押すが、何も反応はない)
海未「ことり――いないのですか!? ことり!!」
海未(扉を叩いて、何度も呼びかけるが――返事は、無い)
海未(諦めて――私はまた、走り出した)
海未(薬のせいなのか――最悪の想像だけが、頭の中を駆け巡る)
海未(自ら、命を断つ――)
海未(――ことりが?)
海未(電車に飛び込んで――ビルから飛び降りて――手首を切って――)
海未「」ブンブン
海未(頭を振って、嫌な想像を振り払おうとするが――澱のように、心に重く溜まった不安は、一向に晴れる気配がない)
海未「私のせいなのに・・・・・・私のせいなのにっ・・・・・・!」
海未「駄目です!! 駄目なんです!! ことり・・・・・・!!」
106:
いつからだったのでしょう。
貴方のことを、意識するようになったのは。
初めて会ったのは――幼稚園の時でした。
転園してきた貴方は、とても可愛らしい女の子で――
ほのかに、ホットケーキとバターの、甘い匂いがしたのを、よく覚えています。
きゅっと結んだリボン。アイボリーの、ロングワンピース。緊張も少しだけ混じった、無垢な笑顔――
小さい頃から、稽古漬けで――女の子らしさとは無縁だった私とは、とても対照的な、可愛らしい女の子。
もしかしたら――初めて会った時から――
私は、貴方に惹かれていたのかもしれません。
107:
それから、穂乃果も含めた私たち3人は、いつも一緒で。
私にとっては、3人で過ごす時間が、何よりも心地よくて、大切だった――
穂乃果も貴方も、海未ちゃん、海未ちゃんと、私を頼ってくれるのが――口では文句も言いつつも――嬉しかった。
穂乃果と貴方が、笑うところを見るのが、嬉しかった。
穂乃果と貴方が、いたずらをするのを、怒りはするけれど、おかしかった。
でも――
ふとした時に、気づいてしまったんです。
貴方がいない時は、寂しいことに。
貴方と会って、おしゃべりして、笑い合いたいと思っていることに。
貴方がいない時は――
気づけば、あなたの姿を、人ごみの中に探してしまっていることに。
108:
海未(気づけば、私は街に出ていて)
海未(人ごみの中に、貴方の姿を探すけれど――)
海未(貴方の姿は――見つからない)
海未「ことり・・・・・・!」
海未(ぽつ、ぽつと、体を打つ水滴)
海未(それは、あっという間に、雨になって)
海未(私の流している涙を――覆い隠してしまう)
――会いたい。
会いたい。
会いたい。
何もいらない。貴方さえ、いてくれたのなら。
だから――
海未「ことり・・・・・・!」
109:
穂乃果「駄目だ、見つかんない・・・・・・! みんなは!?」
スマートフォンに向かって、呼びかける穂乃果。
絵里「こっちも、手がかりなしね・・・・・・」
希「心当たりは、ひと通り回ってみたんやけど・・・・・・」
にこ「こっちも駄目ね・・・・・・どこにいっちゃったのよ・・・・・・」
真姫「早く見つけないと、万が一ってことにもなったら・・・・・・!」
花陽「ことりちゃんが・・・・・・いなくなっちゃう!?」
凛「そ、そんなの嫌だにゃー!!」
穂乃果「どうしよう・・・・・・海未ちゃん!!」
海未「・・・・・・・・・・・・」
海未「私・・・・・・」
海未「1つだけ――心当たりがあるかもしれません」
118:
海未(私は走る。雨の中)
海未(辺りはもう、すっかり暗くなって――)
海未(まるで、黒い靄が、私の体にからみつくような、そんな嫌な気持ちになってくる)
海未(でも、私は走る。雨の中、傘も差さずに)
海未(きっと、この黒い靄の先に――彼女がいる。そんな、淡い期待を抱いて)
海未(私が、目指した場所。脳裏に、浮かんだ場所)
海未(そう――私たち3人は、小さい頃、よく“そこ”で遊んでいた)
海未(もし、私がことりなら――思い出の残る、その場所に行くだろう)
海未(でも――“そこ”を、最期の場所になんか、させやしない)
バシャッ
海未(水溜りに、足をとられ――転ぶ)
海未「つぅ・・・・・・」
海未(泥だらけ――膝も、すりむいて、痛い)
海未(でも――かまわない)
海未(だって、ことりは――もっと、つらい思いをしているだろうから――)
海未「ことりぃ――っ!!!」
海未(私は、“そこ”に続く、登り坂を――必死で、走る)
119:
海未(そして――たどりついた場所)
海未(それは――小高い丘の上にある、公園)
海未(私たち3人が、よく遊び場にしていた――)
海未「ことり・・・・・・?」
海未(すっかり暗くなった、雨の公園の中で――私は、ことりの姿を探す)
海未(会いたい。会いたい)
海未(貴方に、会って――話がしたい)
海未(神様――どうか、もう一度だけ――)
ザーッ
海未「・・・・・・ことり」
3人で登った、あの大きな木。
まだ、残っていたんですね。
そして――その、大きな木の下に。
こちらに、背を向けて立つ――長い髪の、少女。
海未「ことり!!」
121:
ことり「・・・・・・海未ちゃん?」
海未(ことりは、背を向けたまま――かぼそい、消え入りそうな声で――それでも、答えてくれた)
海未(私は――それだけで、嬉しくて)
海未(ことりに、また会えたことが嬉しくて)
海未「ことり・・・・・・!」
海未(自然と――眼から、涙がこぼれてきた)
海未(――でも)
ことり「来ちゃったんだ・・・・・・海未ちゃん」
海未(普段の、明るい声とは、似ても似つかない――暗く、沈んだ声)
海未(その声に――踏み出しかけた私の足が、止まってしまう)
海未「ことり・・・・・・?」
ことり「なんで・・・・・・来ちゃったの?」
122:
海未「なんで、って・・・・・・! 当たり前じゃないですか! 私は・・・・・・!」
海未(その先の言葉が――すぐに、出てこない)
海未(ことりに――伝えたい気持ちが、あるはずなのに。それなのに――)
海未(私は――なんて臆病で、意気地のない――)
ことり「私、もういなくなっちゃいたいと思ってたのに・・・・・・それなのに・・・・・・」
ことり「海未ちゃんが来ちゃったら・・・・・・私・・・・・・」
海未「そんな・・・・・・いなくなるなんて!」
ことり「・・・・・・来ないで!」
海未(雨の中でも――わかる)
海未(ことりが――泣いている――)
ことり「・・・・・・来ちゃ・・・・・・駄目だよ・・・・・・」
ことり「だって・・・・・・私・・・・・・最低なんだよ・・・・・・?」
123:
海未「え・・・・・・?」
ことり「ことりね・・・・・・たぶん、みんなからは、おっとりしてて大人しい女の子ー、みたいに思われてるかもしれないけれど・・・・・・」
ことり「そんなことないの。すごく醜い、最低の人間なの」
海未「何を言って・・・・・・!」
ことり「だって・・・・・・私ね? 海未ちゃんが、穂乃果ちゃんやμ'sのみんなと、ニコニコ笑い合ってる時・・・・・・」
ことり「心のね、すごく奥の方で・・・・・・なんだか、変な気持ちになってたの」
海未「・・・・・・え?」
ことり「海未ちゃんが、他の女の子と楽しそうにしてるだけで・・・・・・何も、おかしいことじゃないのに・・・・・・」
ことり「私の心のどこかが、ちくってなるの。針で刺されたみたいに。痛くなるの」
ことり「穂乃果ちゃんも、μ'sのみんなも、大好きなはずなのに・・・・・・!」
ことり「海未ちゃんが誰かと楽しそうにしてて! 海未ちゃんが誰かに触られて!」
ことり「そういう時に・・・・・・なんだか、変な・・・・・・嫌な気持ちになってたの!」
海未「・・・・・・・・・・・・」
124:
ことり「・・・・・・ね? 最低でしょ? みんなのことが、好きなはずなのに・・・・・・」
ことり「心の中だと、海未ちゃんのことばっかりだったの」
ことり「さっき、海未ちゃんが穂乃果ちゃんを押し倒してた時もそう。嫌な気持ちが、私の中で爆発して・・・・・・」
ことり「海未ちゃんで、いやらしい想像したことだってあったよ。最低でしょ? 気持ち悪いでしょ?」
海未「そんなことは・・・・・・!」
ことり「・・・・・・それだけじゃないよ」
ことり「海未ちゃん・・・・・・この場所、覚えてるでしょ?」
海未「・・・・・・勿論です。私とことり、穂乃果で、よく遊びに来ていた・・・・・・」
ことり「穂乃果ちゃんが、この木に登ろうって言い出して。怖かったけれど・・・・・・」
海未「ええ・・・・・・よく覚えています。木の上から見た夕焼けの街並が、とても綺麗で」
海未「私たち3人の、思い出の場所じゃないですか! だから、私は・・・・・・!」
ことり「・・・・・・そう。“だから”なの」
125:
ことり「私・・・・・・海未ちゃんに、来ないで、とか言っておきながら・・・・・・」
ことり「心のどこかでは・・・・・・期待してた。海未ちゃんが・・・・・・来てくれるんじゃないかって」
海未「え・・・・・・」
ことり「だから、ここに来たの。私たちの、思い出の場所だから」
ことり「・・・・・・ね? つくづく最低でしょ? この期に及んで・・・・・・まだ、心のどこかで・・・・・・」
ことり「海未ちゃんに・・・・・・甘えてる。見捨てられたくない、とか思ってる・・・・・・」
海未「ことり・・・・・・」
ことり「私には、そんな資格ないのに・・・・・・!」
ことり「海未ちゃんが、こんな最低で、汚らわしい私のこと、想ってくれるはずないのに・・・・・・!」
ことり「海未ちゃんの優しさにつけこんで・・・・・・私は・・・・・・!!」
海未「そんなことは・・・・・・! ことり!」
126:
ことり「・・・・・・海未ちゃん。お願い」
ことり「嫌って。嫌いになって。ことりのこと」
ことり「海未ちゃんみたいな、素敵な人に・・・・・・私みたいな、汚い人間が混じり合っちゃ・・・・・・駄目だから・・・・・・」
海未「ことり・・・・・・! 私は・・・・・・!」
ザーッ
ことり「・・・・・・ごめんね、海未ちゃん。もう私は、海未ちゃんたちの前から、いなくなるから」
ことり「だから、海未ちゃんも・・・・・・私のことなんか、忘れて・・・・・・幸せに・・・・・・」
――その刹那。
ことりの手元に、見えたもの。
夜の闇の中でも、確かに光った。カッターナイフの刃――
127:
海未「ことりっ!!」
私は、夢中で駆けた。
ことりが、カッターの刃を自らに向け、力を込めようとして――
それより一瞬く、カッターを持つ、ことりの手首をつかんで。
パンッ
ことりの、頬を叩く。
カッターが、手から落ちる。
ことり「――・・・・・・」
呆然としている、ことりの体を――
私は、抱きしめた。
128:
海未「ごめんなさい・・・・・・ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい・・・・・・!」
涙が――後から、後からあふれてくる。
海未「ことりが・・・・・・そんな風に、悩んでいるなんて、全く気付かずに・・・・・・私は・・・・・・!」
ことり「う、海未ちゃん・・・・・・」
海未「でも――ことり。お願いですから――」
海未「嫌いになって、なんて――言わないでください――」
ことり「・・・・・・・・・・・・」
海未「私も・・・・・・ことりのことを、好きでいさせてください・・・・・・!」
海未「私だって、ことりと一緒にいたい。おしゃべりしたい。笑い合いたい」
海未「ことりと、ずっとずっと一緒にいたいんです!」
海未「だから・・・・・・私の前から・・・・・・いなくならないでください・・・・・・」
ことり「海未・・・・・・ちゃん・・・・・・」
129:
ことりの体を抱きしめていた私は、少し体を離し――
ことりと、顔を向き合わせる。
今度は、はっきりと見える。
ことりの顔。
涙で、くしゃくしゃになって――まだ、戸惑いと怯えが、残る表情。
それでも、愛しい――ことりの、顔。
海未「私だって、最低の人間です」
海未「こんなことを言う資格なんて、ないかもしれません」
海未「でも――どうか、言わせてください」
大丈夫。
今なら――言える。
海未「私は――ことりの、ことが――好きです」
海未「世界中で、誰よりも、誰よりも――」
海未「大好きなんです!」
130:
ことり「・・・・・・嘘・・・・・・海未ちゃん・・・・・・?」
海未「嘘なわけ・・・・・・ありません!」
そして――また、ことりの体を、抱きしめる。
海未「最低なのは私だったんです! 自分の気持ちは、わかっていたのに・・・・・・!」
海未「そこから逃げて、ことりが悩んでいるのも気づかず、自分のことばかりで・・・・・・!」
海未「でも――信じてください。私は、ことりのことが好きなんです!」
海未「ことりに、いなくなってほしくないんです!」
ことり「うん・・・・・・! うん・・・・・・!」
ぽろぽろと――ことりも、大粒の涙をこぼす。
ことり「私も、好き・・・・・・! 海未ちゃんのことが、大好き・・・・・・!」
ことり「世界中の、どんな人よりも・・・・・・! 大好きなの・・・・・・!」
ことり「ごめんね、海未ちゃん・・・・・・ごめんね・・・・・・!」
132:
思い出の公園で。
雨の中。
抱きしめたことりの体は――
とても華奢で。
力を込めたら、壊れてしまいそうで。
でも、温かくて。
愛しくて――
海未「――ことり」
海未「帰りましょう。一緒に――」
142:
海未(雨の中、傘も無い私たちは――)
海未(お互い、寄り添うように、体を寄せ合いながら、夜の道を歩きました)
海未(ことりは、何も言いません。表情も、よく見えません)
海未(私はというと――)
海未(ことりが体をくっつけてきている、という事実に、情けなくも緊張していました)
海未(高鳴る私の心臓の鼓動が、ことりに聞こえてしまわないかどうか)
海未(そんなことですら――薬のせいなのか――気になってしまって)
海未(ことりに、嫌われてしまわないか――心配になってしまいます)
ことり「・・・・・・・・・・・・」
143:
海未(たどり着いたのは、ことりの家)
海未(ずぶ濡れになってしまったことりが、風邪を引いてしまわないかどうか――)
海未(気が気でない私は、ことりにシャワーを浴びてくるように促しました)
ことり「ごめんね・・・・・・海未ちゃん、ことりのために、気を遣ってくれて・・・・・・ごめん・・・・・・」
海未(ことりも、薬の影響なのか、ごめん、ごめんと、謝ってばかりいます)
海未「気にしないでください、いいから早く――」
ことり「うん・・・・・・ありがとう、海未ちゃん・・・・・・」
146:
海未「・・・・・・はい。ことりは、見つかりました・・・・・・無事です」
海未「だから、みんなにも、大丈夫だと伝えておいてください。・・・・・・すいませんでした、とも」
海未(電話の向こうで、良かったあー、と本当にほっとした様子の穂乃果)
海未(穂乃果の安堵の具合を十分に確認してから、私はスマートフォンの通話ボタンを切りました)
ザーッ
海未(・・・・・・すぐそばから、シャワーの音が聞こえてきます)
海未(私は、バスルームの正面の脱衣所兼洗面所で、ことりから借りたバスタオルで、ごしごしと髪を拭いていました)
海未(・・・・・・私の方も、ずぶ濡れです。ことりにお願いして、ジャージか何かを借りて帰りましょうか・・・・・・)
海未(そう言えば、ことりのお母様――理事長の姿が見えませんが、まだ帰っていないのでしょうか?)
147:
海未(と――ひとりになったら、不意に、先程の公園でのやりとりが蘇ってきて――)
海未「・・・・・・・・・・・・///」ポッ
海未(わ・・・・・・私、言ってしまったんですよね・・・・・・こ、ことりに・・・・・・)
海未(すすす・・・・・・好き、だと・・・・・・///)
海未「・・・・・・・・・・・・!!///」カアーッ
海未(い、いや、間違ったことは言ってません・・・・・・!)
海未(穂乃果たちも言っていたではないですか、何もおかしいことはない、と・・・・・・)
海未(ででで、でも・・・・・・や、やっぱり、恥ずかしい・・・・・・!!///)
海未「・・・・・・・・・・・・」
海未(ことりは・・・・・・ことりの方も、好き、と言っていました・・・・・・)
海未(こここ、これって・・・・・・嫌われてない、ってことですよね・・・・・・?)
海未(ま、まさか、りょ、りょ、両想い・・・・・・!? い、いやまさか・・・・・・)
海未(わわわ、私は、一体どうしたら・・・・・・!///)カアーッ
148:
ザーッ
海未(シャワーの音が、聞こえてきて)
海未(つい私は、そちらの方を見てしまって――)
ザーッ
海未(バスルームの曇りガラス越しに、肌色の影が動くのが見えて、)
海未(な、なんだか、私は、)
ドキドキ
海未「?????!!!///」カアッ
海未(ななな、何を考えてるのですか私は!?)
海未(シャワーを浴びることりの、あられもない姿を、そ、そ、想像して・・・・・・!)
海未(こ、こ、興奮するなんて・・・・・・! へ、変態です破廉恥です最低ですっ!!)
海未(ううう・・・・・・死んじゃいたいです、もう・・・・・・///)ジタバタ
149:
ザーッ
ことり「・・・・・・・・・・・・」
ことり(海未ちゃん・・・・・・本当に、来てくれた・・・・・・こんな、私のために・・・・・・)
ことり(何もかもが嫌になって・・・・・・自分のことが、嫌になって・・・・・・消えてなくなりたい、って思ってたけど・・・・・・)
ことり(今は・・・・・・嬉しい気持ちが、大きくなってるよ・・・・・・海未ちゃん)
ザーッ
ことり(海未ちゃん・・・・・・私のこと、好きだって・・・・・・)
ことり「・・・・・・・・・・・・///」カーッ
ことり(あ、あれは・・・・・・ほんとの、“好き”だよね・・・・・・?)
ことり(友達としてじゃなく・・・・・・ほんとの、ほんとの“好き”だよね・・・・・・?)
ことり(夢みたい・・・・・・信じられない・・・・・・あの、海未ちゃんが・・・・・・!///)
――トクン
ことり(――ああ。でも)
ことり(やっぱり――まだ、怖い)
150:
ことり(まだ――自信が持てない。私なんかが――って、思っちゃう)
ことり(海未ちゃんの周りには、穂乃果ちゃんや、他にも魅力的な女の子がいっぱいいる)
ことり(その中で――ほんとに、私なの? ――って、思っちゃう)
ことり(やっぱり――最低だよ、私。海未ちゃんのこと、信じたいのに――こんな、疑うようなこと――)
ザーッ
ことり(でも・・・・・・やっぱり、私は・・・・・・海未ちゃんが、好き)
ことり(私・・・・・・私は・・・・・・)
キュッ
ことり「・・・・・・・・・・・・」
ことり(・・・・・・そうだ。怖がってちゃ駄目だ。真姫ちゃんも言ってた。どーんといかなきゃ)
ことり(穂乃果ちゃんだって、やるったらやるっていつも言ってるし・・・・・・私も、勇気を出さなきゃ・・・・・・!)
ことり(穂乃果ちゃん・・・・・・ことりに、勇気をちょうだい・・・・・・!)
151:
ガチャッ
海未「!?」
海未(私が勝手に悶えていたら、不意にバスルームの扉が少し開いて、)
ことり「・・・・・・海未、ちゃん?」
海未「ひゃはいっ!?」
海未(ことりが、そっと顔を出しました)
海未(ああ、ほんのり上気したことりが何だか色っぽく、とかいやいやそういうことではなく!)
海未(みみみ、見えちゃいますよ顔だけしか出してないですがそんな無防備にしてたらちょっとことり・・・・・・!!)
ことり「・・・・・・あの、ね?」
海未「どどど、どうかしたのですか?」
ことり「えっと・・・・・・その、海未ちゃんも・・・・・・ずぶ濡れ、だよね・・・・・・?」
海未「ま、まあそうですが大丈夫ですよ、バスタオルで拭きましたし・・・・・・」
ことり「だ、駄目だよ・・・・・・! 体が冷えちゃったら、風邪ひいちゃうかもしれないし・・・・・・」
ことり「だ、だから、ね・・・・・・」モジモジ
海未「・・・・・・?」
ことり「海未ちゃんも・・・・・・シャワー、浴びたらどうかな、って・・・・・・」
153:
海未「――え!? いえいえ、お風呂場まで借りるというのは図々しすぎます、私は大丈夫ですから・・・・・・!」
ことり「あう・・・・・・ごご、ごめん・・・・・・! やっぱり、迷惑だったかな・・・・・・!?」ウルッ
海未「・・・・・・う」
海未(薬の影響か、ことりが涙目になっています・・・・・・下手に断れば、また悪化してしまうかもしれませんね・・・・・・)
海未「わ・・・・・・わかりました。ことりの好意を無下に断るのも申し訳ないですし・・・・・・」
海未「それでは、ことりが上がったら、その後で私も・・・・・・」
ことり「ち・・・・・・違うの!」
海未「・・・・・・え?」
ことり「あ、あの・・・・・・その・・・・・・」モジモジ
ことり「い・・・・・・今、入ってほしいの。わ、わわ、私と、一緒に・・・・・・」
海未「――――!!?」
154:
海未「な、なななな何を言ってるのですかことり!!?///」
ことり「だ、だってすぐシャワー浴びないと、海未ちゃんの体が冷えちゃうかもしれないし・・・・・・」
ことり「合宿の時だって、一緒にお風呂入ったし・・・・・・」
海未(そ、その時は皆と一緒で、広いお風呂で!)
海未(いいい、今はふたりっきりで、そんな狭いバスルームで、ふふふふふたりで一緒になんてそんなそんなそんな!!///)
ことり「・・・・・・海未ちゃん」
ことり「や、やっぱり、嫌だよね・・・・・・ことりと、一緒だなんて・・・・・・」ウルッ
海未「・・・・・・う!」
海未「・・・・・・」
海未「・・・・・・・・・・・・」
海未「・・・・・・わ、わかりました・・・・・・」
ことり「・・・・・・え?」
海未「・・・・・・は、入ります・・・・・・一緒に・・・・・・///」
ことり「・・・・・・海未ちゃん!」パアーッ
海未(うう・・・・・・ことりは、卑怯です・・・・・・)
155:
チャポン
ことり「・・・・・・・・・・・・///」
ザーッ
海未「・・・・・・・・・・・・///」
海未(ことりは、湯舟につかっていますが・・・・・・ははは、恥ずかしくて、とても顔を合わせられません・・・・・・!///)
ことり「・・・・・・海未ちゃん、さっきからずーと、鏡の前に座って、頭からシャワー浴びてるね」
海未「しゅしゅしゅ、修行の一環です! 滝行と同じです」
ことり「・・・・・・タオルも、体に巻いたままだと、洗いにくくないかな?」
海未「いいい、いいのです! 問題ありませんっ」
海未(ここ、ことりは、恥ずかしくないのですかっ・・・・・・!?)
海未(い、いえ、同じ女の子同士、ここまで緊張している私がおかしいのかもしれませんが・・・・・・)
海未(ううう・・・・・・顔が熱いです・・・・・・/// どうしたら・・・・・・)
ことり「・・・・・・・・・・・・」
156:
ことり(海未ちゃん、恥ずかしいのかな・・・・・・? そ、そうだよね、いきなり一緒にお風呂入ろう、なんて言われたら・・・・・・///)
ことり(わ、私・・・・・・もしかして・・・・・・いや、もしかしなくても・・・・・・)
ことり(すごく、変態っぽいこと、やってる・・・・・・!?///)
ことり(どど、どうしよう・・・・・・! またこれで、海未ちゃんに嫌われちゃったら・・・・・・!)
海未「・・・・・・・・・・・・///」
ことり(ああ・・・・・・でも、恥ずかしがってる海未ちゃん、可愛いな・・・・・・///)
ことり(・・・・・・うん、そうだ。怖がってばかりいちゃ駄目だ)
ことり(海未ちゃんのために、してあげられること・・・・・・!)
ことり「・・・・・・海未ちゃんっ!」
ザバッ
海未「はいっ!?」ビクッ
ことり「あ・・・・・・あのあの、あのねっ」
ことり「こ、ことりが・・・・・・お背中、流してあげる・・・・・・///」
海未「!!??」
157:
海未「い、いやいやいや、大丈夫ですよ、そんなっ」
ことり「海未ちゃん、ことり、海未ちゃんに少しでもお礼がしたいのっ」
ことり「こんなことりのこと、迎えに来てくれた、海未ちゃんに・・・・・・」
海未「い、いえですが、流石にこれは・・・・・・///」
ことり「海未ちゃん・・・・・・やっぱり・・・・・・嫌?」グスッ
海未「・・・・・・う」
海未「・・・・・・」
海未「・・・・・・・・・・・・」
ことり(海未ちゃんは、背中を向けたまま、悩んでいるみたいだったけど、)
海未「・・・・・・わ、わかりました・・・・・・お願いします・・・・・・///」
ことり「・・・・・・海未ちゃんっ」パアッ
ザバッ
ことり(私は、湯舟から上がって、海未ちゃんの後ろにしゃがむ)
ことり(海未ちゃんが――するりと、体に巻いたタオルを解く)
海未「・・・・・・・・・・・・///」
ことり(海未ちゃんの――すべすべの背中が、私の前に・・・・・・///)
ことり(ほんのり上気して・・・・・・こっちまで・・・・・・ぽーっとしちゃう・・・・・・///)
海未「こ・・・・・・ことり?///」
ことり(あ・・・・・・いけないいけない! 洗ってあげなきゃ・・・・・・!)
158:
ゴシゴシ
海未「・・・・・・・・・・・・///」
海未(ことりが・・・・・・ボディソープを染みこませたタオルで、優しく私の背中を、洗ってくれています)
海未(し・・・・・・しかし・・・・・・!)
ことり「・・・・・・んしょ、んしょ」
海未(いいい、今・・・・・・わわ、私の、すぐ後ろには・・・・・・! ははは、裸の、ことりが・・・・・・!!///)
ドッドッドッ
海未(一糸まとわぬ姿のことりが、私のすぐ後ろで、私の背中を流して・・・・・・!!///)
ドッドッドッ
海未(心臓が、早鐘のように鳴っているのがわかります)
海未(いやいやいや、女の子同士でお風呂なんて全然おかしくないですし合宿で一緒にお風呂だって入ってますし!!)
海未(変に意識するなんておかしいですしこれは純粋にことりが好意でやってくれている訳でそれを私はなんでこんな興奮して)
海未(心を落ち着けるのです明鏡止水です無になるのです臨兵闘者皆陣列在前・・・・・・)
ことり「・・・・・・海未ちゃん?」
ことり「だ、大丈夫かな・・・・・・タオル、痛くないかな・・・・・・?」
ヌルッ
海未「ぴいっ!!??」
159:
海未(い、いいいい今、ヌルって!)
海未(今の感触、ことりが手で、泡まみれの手で、わわわ私の、背中をっ///)
ことり「う、海未ちゃん、大丈夫っ?」
ことり「タオルがすれて、痛いのかなって思って・・・・・・そ、その、手で洗おうと思ったんだけど・・・・・・///)
ヌルッ
海未「??????っっ!!!」ゾクゾクッ
海未(わ、わわわわざとやっているのですかことりっ!!?)
海未(だ、駄目ですっ・・・・・・そんな、優しく撫で回すような風にしたらっ・・・・・・!)
ヌルヌル
海未(だ、駄目駄目駄目っ!/// が、我慢できないっ///)
海未「あ、ありがとうございます、ことりっ! すすす、すっかり綺麗になりました!!」
キュッ
ザーッ
海未(私は、大慌てでシャワーをつかんで体の泡を洗い流し、)
海未「す、すっかり温まったので先にあがりますっ! 外にあったジャージ、借りますねっ!!」
バタバタ
海未(あたふたと、体を拭くのもそこそこに、バスルームを飛び出しました)
161:
ことり「う、海未ちゃん・・・・・・」
ことり(海未ちゃんに気を遣ったつもりが・・・・・・なんか、逆に嫌な思いさせちゃったかな・・・・・・)
ことり(うう・・・・・・やっぱり私、駄目駄目だ・・・・・・)ズーン
ことり(せっかく、海未ちゃんが好きって言ってくれたのに・・・・・・このままじゃ、嫌われちゃう・・・・・・)グスッ
パアアーッ
天使穂乃果(ことりちゃん・・・・・・)
天使穂乃果(諦めちゃ駄目。ファイトだよっ!!)
ことり「・・・・・・・・・・・・」
ことり(今・・・・・・なんか、頭の中の穂乃果ちゃんが、応援してくれた気がする・・・・・・)
ことり(そうだ・・・・・・ネガティブになってるだけじゃ駄目・・・・・・!)
ことり(勇気を出して・・・・・・! 頑張れ、ことり!)
162:
海未(私は、居間のソファに座って、のぼせ上がった頭を冷やしていました)
海未「うぅ・・・・・・・・・・・・///」
海未(ことりのお陰で・・・・・・すっかり、ゆでダコです)
海未(ああ・・・・・・でも、思い返してみると・・・・・・)
海未(ことりは、ただ私に気を遣ってくれていただけなのでは・・・・・・? それを、私が勝手に興奮して・・・・・・)
海未(ああ、やはり私は破廉恥です変態ですことりにどう顔向けすればっ・・・・・・!)ジタバタ
ガチャ
ことり「・・・・・・海未ちゃん?」
海未「あ・・・・・・こ、ことり」
海未(お風呂上がりのことりは、なんだか妙な色気があって・・・・・・)
海未(・・・・・・って、また私はそのようなことを!! 駄目です、駄目駄目)ブンブン
ことり「う、海未ちゃん・・・・・・大丈夫?」
海未「あ、はい・・・・・・すみません、変なところを見せてしまって・・・・・・」
海未(まだ薬の影響が残っているせいか・・・・・・本当に駄目です、今日の私は)
海未(今日は、帰って休んで・・・・・・薬の抜けた明日、改めて、ことりと話を・・・・・・)
163:
海未「そ・・・・・・そろそろ、ことりのお母様も、帰ってくるでしょうし・・・・・・」
海未「迷惑ですから、私はこの辺りで、おいとまします。明日、改めて話を・・・・・・」
海未(なんとなく、ことりと顔を合わせるのが気恥ずかしくて)
海未(そそくさと、ことりの前を通り過ぎようとしたら――)
グッ
海未「・・・・・・?」
海未(ことりが・・・・・・私の服の、裾をつまんで・・・・・・)
ことり「・・・・・・や」
海未「・・・・・・ことり?」
ことり「・・・・・・や。やなの、ことり」
海未「な、何を・・・・・・」
海未(ことりは、うつむいていますが・・・・・・)
海未(ことりの、耳まで真っ赤になっているのが、見て取れます)
164:
ことり「お母さん・・・・・・今日は、帰ってこないの。学院の用事で、出張に行ってて・・・・・・」
海未「は、はあ・・・・・・」
ことり「・・・・・・海未ちゃん」
ことり「・・・・・・ことり、海未ちゃんやみんなに迷惑かけちゃって・・・・・・こんなこと言う資格ないってわかってる」
ことり「で、でも・・・・・・でもね」
ことり「本当に、今日、最後の最後・・・・・・ことりのお願い、聞いてほしいの」
海未「・・・・・・お願い?」
海未(ことりが、顔を上げました)
海未(真っ赤になって・・・・・・でも、懇願するように、潤んだ両目に――)
海未(どきり、と、私の心臓が、高鳴って――)
ことり「・・・・・・離れたくないの」
ことり「泊まっていって・・・・・・海未ちゃん」
179:
海未「・・・・・・・・・・・・」
海未(私は、ことりの部屋で・・・・・・ベッドに腰掛けながら、ことりが来るのを待っていました)
海未(ジャージから、ことりが貸してくれたパジャマに着替えて)
海未(・・・・・・なんだかいい香りがします。ことりの香りでしょうか・・・・・・)
海未(うう・・・・・・駄目とはわかっているのに、なんだか頭がくらくらします・・・・・・)
ドキドキ
海未(なんだか、緊張してきました。まるで、これから初夜を迎える、新婚のような・・・・・・///)
海未(って、だから何を考えているんですか私はっ!! ただ、ことりに頼まれて泊まるだけなのですよ!?)
海未(すぐに変な方向に考えてしまって、やっぱり私は破廉恥で変態で・・・・・・!)ジタバタ
ことり「・・・・・・海未ちゃーん。着替え終わった?」ガチャ
海未「は、はははいっ!!」ビクッ
ことり「え、びっくりさせちゃった? 大丈夫?」オドオド
海未「い、いえ、全く問題ありません!」
180:
ことり「あ、あの、海未ちゃん・・・・・・と、隣、座ってもいいかな?///」
海未「は、ははははい、どうぞ!」
海未(ことりが、遠慮がちに、おずおずと隣に腰掛けます)
海未(うっ・・・・・・こ、ことりが近いです・・・・・・お風呂上りの、いい匂いが・・・・・・///)
ことり「・・・・・・海未ちゃん」
海未「はいっ!?」
ことり「その・・・・・・ごめんね。と、泊まってだなんて・・・・・・わがまま、言っちゃって・・・・・・」
海未「あ、いえ、家には先ほど連絡しましたし、気にしなくて良いですよ」
海未(それに、あんな顔でお願いされたら、断れる訳ないじゃないですか・・・・・・)
海未(やっぱり、ことりはずるいです)
海未「小さい頃は、よく穂乃果と3人で、お泊まり会をしましたね」
ことり「うん・・・・・・そうだね。懐かしいなー」
ことり「でも・・・・・・」
海未「・・・・・・でも?」
ことり「海未ちゃんとことり・・・・・・2人だけで、お泊まりするのって・・・・・・」
ことり「・・・・・・これが、初めてだよね///」
181:
海未「・・・・・・・・・・・・///」
ことり「・・・・・・・・・・・・///」
海未(一瞬、顔を見合わせて・・・・・・)
海未(私たちは、すぐに真っ赤になってしまい、お互いに顔をそらしました)
海未(今さらながら、実感します。今夜は・・・・・・ことりと、2人っきりであることに)
ことり「ね・・・・・・ねえ、海未ちゃん」
海未「な、なんでしょうか」
ことり「あ、あのあの・・・・・・あのね」モジモジ
ことり「その・・・・・・さっきの、公園で・・・・・・言ってくれたこと・・・・・・」
海未「・・・・・・・・・・・・!///」
海未(一層、顔が赤くなるのが自分でもわかります)
ことり「こ、ことりに・・・・・・その・・・・・・」
ことり「す・・・・・・好き、だって・・・・・・///」
海未「・・・・・・・・・・・・///」カーッ
182:
ことり「すごく・・・・・・すごく、ね。嬉しかった。嬉しかったよ」
海未(そう言う、ことりの表情は、真っ赤になりながらも、本当に嬉しそうで――)
海未(――ああ、駄目です。思わず、ぎゅって抱きしめたくなります///)
ことり「でも、でもね、海未ちゃんっ」
海未「ははいっ!」
海未(こ、ことりが私の手をぎゅっと握って・・・・・・!)
ことり「ことり――やっぱり、怖いの。不安なの」
海未「・・・・・・え?」
ことり「だって・・・・・・ことり、駄目なところばっかりだし」
ことり「ドジだし、トロいし、みんなの前ではいい子にしといて、内心嫉妬なんてして、性格悪くて・・・・・・」
海未「・・・・・・そんなことはありません!」
海未「わ、私だって・・・・・・その・・・・・・心の中は、ことりばっかりです!」
ことり「・・・・・・え」
183:
海未「気づいたら、ことりのことばかり考えてるんです!」
海未「穂乃果がことりに抱きつくのを見て、羨ましいといつも思ってます!」
海未「そ、その・・・・・・ことりと触れ合って・・・・・・興奮してしまったことだってあります!///」
ことり「う、海未ちゃん・・・・・・」
海未「それに、その・・・・・・! ことりは、とても魅力的です!」
海未「誰に対しても優しくて、つらいことがあっても笑顔で、その心の強さは美しいです!」
海未「それに声も素敵ですし、真っ白で柔らかな肌は羨ましいですし!」
海未「笑った表情は・・・・・・そ、その・・・・・・とても可愛らしいです!///」
海未「ことりはとても女の子らしくて可愛いです! ことりに比べたら、私なんて・・・・・・!」
ことり「そ・・・・・・そんなことないよ!」
184:
ことり「そんなことない! 海未ちゃんの素敵なところ、ことりいっぱい知ってるよ!」
海未「こ、ことり・・・・・・?」
ことり「海未ちゃんはすごくまっすぐで、ありのままをきちんと見てくれる!」
ことり「いつだって自分よりも周りのことを考えてくれて、そんな海未ちゃんはすごくかっこいい!」
ことり「それに、髪もすごく綺麗だし、脚も長くてすらっとしたスタイルは素敵だし、お肌もすべすべだし!」
ことり「優しく笑ってくれた顔が、とってもとっても素敵なの!」
ことり「そ・・・・・・それに・・・・・・海未ちゃんは、気づいてないのかもしれないけど・・・・・・」
ことり「海未ちゃんだって、女の子らしくて、とってもとっても可愛いよ!」
海未「え・・・・・・///」
ことり「・・・・・・あ///」
海未(お互い、我に返り、また赤くなりましたが――)
海未(すぐに、くすくすと、笑い合いました)
185:
海未「・・・・・・ありがとうございます、ことり」
ことり「うん・・・・・・こちらこそ、海未ちゃん」
ことり「嬉しい・・・・・・海未ちゃんに褒めてもらって、嬉しいよ」
海未(ことりが――こちらに、ぴたりと身を寄せてきました)
海未(そして――潤んだ眼で、私を見上げ――)
ことり「海未ちゃん・・・・・・好き。大好き」
海未(私は、どきどきしながらも――不思議と、自然にことりの想いを、受け止めることができました)
海未「私も・・・・・・好きです。大好きです」
ことり「海未ちゃん・・・・・・」
海未「・・・・・・ことり」
ことり「海未ちゃん」
海未「ことり」
海未(お互い、名前を呼び合いながら――)
海未(自然と、互いの顔が近づいていって――)
186:
海未(私たちは――唇を、そっと重ねました)
海未(恐る恐る――唇が触れ合うだけの――優しく、儚い口づけ)
海未(そして――顔を離し、お互いに、見つめ合う)
ことり「・・・・・・・・・・・・///」
海未「・・・・・・・・・・・・///」
ことり「キス・・・・・・しちゃったね」
海未「ええ・・・・・・」
ことり「・・・・・・えへへ」
海未(ことりが、ぎゅっと、私の体を抱きしめました)
ことり「幸せだよ・・・・・・海未ちゃん」
海未(その声は――心なしか、泣くのをこらえるように、震えて聞こえて――)
187:
ことり「・・・・・・海未ちゃん、覚えてる?」
海未「・・・・・・何をですか?」
ことり「あの夏の日――病院の帰りに、会ったときのこと」
海未「ああ――」
海未(勿論、覚えています。あれは、私たちが小学校3年生になったばかりの頃――)
ことり「ことりね。膝の傷を見られるのが、すごく嫌だった」
ことり「それでからかわれたり、逆に気を遣われるのが、周りの人と違うって言われてる気がして――すごく嫌だった」
海未「でも、海未ちゃんは違ったね。同情するでも、慰めるでもなく――」
海未「傷を、ちゃんと見て――『治って良かったですね』って、言ってくれた。笑ってくれた」
海未「・・・・・・・・・・・・」
ことり「きっとその時、ことりは海未ちゃんのことが好きになったの」
ことり「ことりのありのままを見て、ありのままを受け入れてくれる――」
ことり「そんな海未ちゃんは、すごくすごくかっこよくて、素敵なんだよ」
海未「ことり・・・・・・」
海未(と――ことりは、体を離して、左足をベッドの上に上げました)
海未(そっと――ことりが、パジャマの裾を、膝の上までめくります)
海未「もう――ほとんど、見えなくなりましたね」
ことり「うん・・・・・・」
188:
海未(す――と、指先で、ことりの膝を撫でました)
ことり「ん――」
海未(ぴくん、と、ことりの体が震えます)
海未「あ――すみません、つい――」
ことり「ううん――いいの。ね、海未ちゃん――」
ことり「ことりの体――もっともっと、触っていいんだよ」
海未「ことりっ・・・・・・!」
海未(私の我慢は、限界に達し――私は、ベッドに、ことりの体を押し倒しました)
ことり「お願い・・・・・・海未ちゃん」
ことり「薬のせいか・・・・・・まだ、不安なの」
海未(そう言いながら――ことりは、パジャマのボタンを、自らはずしていきます)
ことり「だから、ことりのいいところ――もっと、教えてほしい――」
海未「ええ――私も――」
海未(のぼせ上がった頭で、私は自分のパジャマのボタンを、もどかしく外していきました)
海未「教えてください。私に――私の、いいところ――」
189:
海未(私たちは、自然と唇を重ね合わせました)
海未「んっ・・・・・・ちゅっ・・・・・・はっ・・・・・・」
ことり「ちゅっ・・・・・・ん・・・・・・ふっ・・・・・・」
海未(今度は、先程よりも、深く――)
海未(お互いを、必死で求め合いながら――)
ことり「んっ・・・・・・はっ・・・・・・」
海未「ん・・・・・・ぷはっ・・・・・・」
海未(唇を離すと――銀色の糸が、私とことりの唇をつなぎました)
海未「ことりっ・・・・・・!」
ことり「海未ちゃんっ・・・・・・!」
海未(私は――ことりのブラジャーをずらす。ことりの、可愛らしい胸が露になる――)
海未(ことりは――潤んだ眼で、私を見上げながら、両手を伸ばして、私の頬に触れる――)
190:
海未「ことりっ・・・・・・好きです! この白い肌も、甘い声も・・・・・・!」
ことり「ことりも・・・・・・好き! 海未ちゃんの綺麗な肌も、さらさらの髪も・・・・・・!」
海未「可愛らしくて柔らかい胸も・・・・・・ぷっくりした唇も・・・・・・!」
ことり「柔らかい唇も・・・・・・優しく、ことりを見てくれる眼も・・・・・・!」
海未「ことり・・・・・・好きですことり、ことりっ・・・・・・!」
ことり「好きっ・・・・・・! 好き、大好き、海未ちゃん・・・・・・海未ちゃん・・・・・・!」
海未(私たちは、お互いの名前を、繰り返し、繰り返し呼びながら――)
海未(何度も何度も、唇を重ね合わせながら――)
海未(――お互いを、求め合いました)
海未(身も心も――もう二度と、離れてしまわないように――)
191:
…………
……

チュンチュン
海未「・・・・・・ん・・・・・・」
海未(あれ・・・・・・朝・・・・・・?)
海未(ここ、私のベッドじゃない・・・・・・? 私は、一体・・・・・・?)
ことり「――う?みちゃんっ♪」
海未「・・・・・・・・・・・・」
海未(ふと――目の前で横になっている、ことりと眼が合い――)
海未「・・・・・・・・・・・・!!?」
海未(私の頭は、急激に覚醒し――)
海未(ゆうべ、一体“どんなこと”をやらかしたのかを、はっきりと思い出しました)
海未「こ・・・・・・ここ、ことり・・・・・・」
海未(わ・・・・・・わわわ、私は、勢いに任せてなんということを・・・・・・!!)ガクガク
192:
ことり「海未ちゃん、おはよっ♪ 海未ちゃんの寝顔、可愛かったから、ことりずっと見とれちゃってた?///」
海未「あ・・・・・・こ、ことり・・・・・・」
ことり「・・・・・・ん? 海未ちゃん、なんだか顔色が悪いよ? まだ、お薬が抜けてないのかな?」
海未(ふと――その時、気がつきました)
海未(ことりの様子が――いつも通りの調子に、戻っていることに)
海未(それに、ひとまずは胸を撫で下ろしますが――し、しかし――)
海未「こ、ことり・・・・・・わ、私は、ゆうべ・・・・・・」
ことり「・・・・・・・・・・・・///」ポッ
ことり「・・・・・・海未ちゃん、とっても激しかったね。ことり、初めてだったのに・・・・・・///」テレテレ
海未「?????っ!!」バッ
海未(私は飛び起き、ベッドの上で土下座して、)
海未「も、申し訳ありませんっ!! わ、私は勢いに任せて、なな、なんという・・・・・・!」
193:
ことり「・・・・・・海未ちゃん」
海未(恐る恐る顔を上げると――なにやら、ふくれた顔のことり)
ことり「海未ちゃんは、ゆうべのこと・・・・・・後悔してるの?」
海未「え・・・・・・」
ことり「ことりは・・・・・・その・・・・・・すごく、嬉しかったのに・・・・・・///」
海未「あ・・・・・・いえ、私も別に、嬉しかったですが、しかし・・・・・・」
ことり「えへへ」ニコッ
海未(ぱっと笑って――ことりは、私に抱きついてきました)
海未「ちょ、ことり・・・・・・!///」カーッ
ことり「良かった。ことりと海未ちゃんが、おんなじ気持ちで」
海未(そして、私の眼を見つめながら、)
ことり「これで、ことりたち・・・・・・恋人同士、だよね・・・・・・?」
海未「あ・・・・・・」
海未「・・・・・・・・・・・・」
海未「・・・・・・は、はい・・・・・・///」
194:
ことり「・・・・・・海未ちゃん、顔真っ赤」
ことり「なんだか海未ちゃんは、お薬が抜けても、あんまり変わらないね」
海未「う・・・・・・そんな、ことりだって・・・・・・」
海未(と――ことりが一瞬、悪戯っぽい笑みを浮かべて――)
ことり「・・・・・・海未ちゃん、たいへぇぇん・・・・・・ことり、まだ、お薬が抜けてないみたい・・・・・・」
海未「・・・・・・え!?」
ことり「なんだか不安なの・・・・・・不安で、たまらないの・・・・・・!」
海未「だ、大丈夫ですか、ことり!?」
ことり「海未ちゃんが、いつか、ことりから離れていっちゃうんじゃないかって、不安なの・・・・・・」
ことり「だから、海未ちゃん・・・・・・ことりに、海未ちゃんの気持ち、もう一度教えて・・・・・・?」
海未(そう言って――上目遣いで、私を見つめる、ことり)
海未(まったく・・・・・・やっぱりことりは、ずるいです)
195:
海未「――ことり」
海未(私は、軽く深呼吸して、)
海未(こつん、と――ことりのおでこに、じぶんのおでこを、くっつけながら――)
海未「私は――ことりが好きです。大好きです」
海未「ゆ、ゆうべのことは・・・・・・責任をとって・・・・・・ずっと、一緒にいます。もう、離しません」
ことり「――うんっ」
海未(ことりも――にっこりと、笑って――)
ことり「ことりも、海未ちゃんが大好き――世界一、大好きっ」
ことり「ずっと――ずっと、一緒だよっ」
196:
…………
……

穂乃果「あ、ことりちゃ?ん! おはよー! 良かったよ?、もう会えないかと思った?!」ウエーン
・・・・・・おそらく、私たちの行く先には、これからもまだまだ、たくさんのことが起きるでしょう。
いいことも、そうでないことも。楽しいことも、もしかしたら、つらいことも。
凛「ことりちゃーん! 心配したにゃー!」
花陽「よ、良かったです、ことりちゃんがいなくなっちゃうんじゃないかって・・・・・・!」
気分が良いことも、落ち込むことも。
ポジティブになることも、ネガティブになることも。
真姫「ほんとにごめんなさい、私のせいで・・・・・・あ、でも今度、また新しい薬が出来るんだけど・・・・・・」
にこ「こりないわね、あんたも・・・・・・」
でも――私は思うのです。
ひとりでは、落ち込んで、気持ちが沈んで、悲しくなってしまうけれど――
希「へえ、海未ちゃんとことりちゃん、朝にそろってご出勤なんて・・・・・・なかなかやるやん♪」
絵里「やめなさいって、希・・・・・・」
ふたりでなら、支え合える。
落ち込んだ時も、悲しい時も――きっと、乗り越えられる。
197:
大好きな、貴方と――いっしょなら。
これからも――ずっとずっと。
よろしくお願いしますね。
海未「ことりっ!」
ことり「うん――海未ちゃんっ!」
おしまい
200:

濃厚なことうみ百合をありがとうございました
201:
乙乙
203:

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