宮森「上の階からズンズンって聞こえてくる?」【SHIROBAKO SS】back

宮森「上の階からズンズンって聞こえてくる?」【SHIROBAKO SS】


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1:
ズンズンズン
宮森「夜になると、聞こえてくるなあ」
宮森「上の階ってりーちゃんの部屋だよね」
宮森「気になって寝れない」
宮森「もう7夜連日だなあ」
宮森「仕事も進行通りにいかないし、クレームは増えるし、家でも寝れないなんて」グスンッ
宮森「でも、明日も朝早いから、もう寝なきゃ」
宮森「明日、りーちゃんに言おう」
宮守「お酒飲んで、無理やり寝よう」
プシュッ
グビグビグビ
ゴクッ
宮森「ぐう・・・zzz」
2:
ズンズンズン
平岡「ふぅ」
みどり「いやー、気持ちよかったっす」
平岡「・・・うるせぇよ」
みどり「よしよし、大輔は、素直じゃないっすね」
平岡「だから、やめろって」
みどり「かっこつけてても、おっぱい大好きすもんね」
平岡「言ってろ……おい」
みどり「はーい、どうぞっす」
チュパチュパチュパ
3:
平岡「大体、お題はもう終わったろ」
みどり「お題『男と女』終わりました、です」
平岡「なんで俺なんだよ」
みどり「社内でセクハラ発言と、やらしー視線むけたの大輔だけでした、です」
平岡「褒めてんのかそれ」
みどり「貶してるっす」
みどり「仕事に男女をもちだすとかサイテーのクズっすけど、私を女としてみてくれる人がいないとお題にならなっかったっす」
平岡「そんな理由かよ」
みどり「あれ、もしかして期待してたっすか?」
平岡「もう7日連続だぞ。お前、ただヤリたいだけだろ」
みどり「知らないことを知るのに制限なんてないっすよ。女の良さを知りました、です」
平岡「いつまで続くんだよ」
みどり「わたしのおっぱいに激ハマりした口が言うっすか」
平岡「うるせーよ。おまえだって」
みどり「大輔だってまんざらじゃないすよねー」
平岡「・・・///」
平岡「だぁー、もう一回だ」
みどり「きゃー」
ズンズンパコパコ
4:
平岡「ふぅー」
みどり「はぁぁ????」
平岡「帰る」ガサコソ
みどり「えぇー、今日こそ泊まっていって下さいよ?朝まで」グイッ
平岡「ダメだ。ケメコが来るから」
みどり「ケメコ?別の女っすか!?」ガバッ
平岡「なんで嬉しそうなんだよ」
みどり「妬いて欲しかったっすか?」ニヤニヤ
平岡「ちげーよ」
みどり「じゃあ、一緒にいっていいっすか」
平岡「付いてくんなって。なんでだよ」
みどり「やー、実は次のお題『修羅場』が行き詰まってて」
平岡「制作の修羅場そのまんま書いてりゃいーだろ」
みどり「じゃあ大輔と円さんの喧嘩でも書くっす」
平岡「やめろって。やめてください」
みどり「です。きっと生々しいって師匠が言うっす」
みどり「そこで、大輔とケメコさんの間に、私が登場して、男女の修羅場ってみると」
平岡「勝手に猫と修羅場ってろよ」
平岡「ケメコは猫だよ」
みどり「猫っすか」
平岡「なんで嬉しそうなんだよ」
みどり「さあ?、なんでっすかね?」ニヤニヤ
5:
みどり「明日はどーします?」
平岡「高翌梨のヤローと飲みだ。来ねぇよ」
みどり「むー、仲いいっすね。2人とも」モジモジ
平岡「そこは、妬くのかよ」
みどり「嬉しいっすよね?」ニヤニヤ
平岡「へいへい」
みどり「部屋なら提供するっすよ。終わったら寄ってください」
平岡「だから来ねぇよ」
みどり「さみしいくせに?」チュッ
平岡「うるせー。じゃあな」チュッ
みどり「それと、会社じゃ」
平岡「ああ、話しかけねーよ。職場に男と女を持ち出すな、だろ。」
みどり「大輔はいい子っすねー」
平岡「うるせーよ。ほんとに」
みどり「あっ、帰り、気をつけてください。おいちゃん先輩は寝てると思いますけど」
平岡「わーったよ。デスクには見つからねーようにするよ」
6:
次の日
宮森「ねぇ、りーちゃん。毎晩、上からズンズンって音がするんだけど」
みどり「えぇ!?あっ、さ、さいきん、ダイエット始めたっすよ」
みどり「せ、設定制作で、運動不足気味っすから」アセアセ
宮森「そうなんだ。近所にご迷惑かかるといけないから、もう少し抑えてね」
みどり「りょーかいっす。いやー絵麻先輩のエンゼル体操、アクティブっすからねー。うさぎ跳びとか」
みどり(おいちゃん先輩、ストレスかな。ちょっと神経質になってきてるっす)
7:

平岡「お先に」
宮森「平岡さん、お疲れ様です」
タロー「大ちゃーん、飲みの行こうぜ?」ガシッ
平岡「ああ」
宮森(平岡さん、高翌梨さんとは素直だなー。いつもこうなら…よし)
宮森「私も終わりっと。高翌梨さんと平岡さん、私も一緒していいですか?」
平岡「…」プイ
タロー「おいおい宮森?、これから先は男の時間なんだよ。女がしゃしゃり出てくるとこじゃないの」
佐藤「それセクハラです」
安藤「タロ平、円平も捨てがたい」
宮森「そーですか。いーですよもう。お二人でごゆっくり」
宮森(ドーナツ買ってカニ缶開けて、家で飲もう)
8:
タロー「大ちゃ?ん、もう一軒、もう一軒行こう?」
平岡「うるせー、帰るよ。じゃあな」フラフラチドリアシー
平岡「飲み過ぎたか…気持ち悪い」
平岡「うぇー、終電逃しちまったか」
平岡「ケメコの餌は出してきたから、大丈夫か」
平岡「くそ、雨降ってきやがった」
平岡「……仕方ない」
ケータイ prrrrr
みどり「はーい、あなたの愛しのりーちゃんっすよ」
9:
平岡「終電逃した。泊めてくれ」
みどり「やっぱり?、なんだかんだ言って大輔は寂しかったんすよね?」
平岡「うるせーよ。どうなんだよ」
みどり「いいーっすよ。あ、あとゴム買ってきてください」
平岡「まだやるのかよ」
みどり「女の部屋に泊まる男の言うセリフじゃないっすね」
平岡「ふらふらなんだよ。そんなことしてられるか」
みどり「あー、そういうことっすか。アラサー男は毎晩じゃ元気も保たないっすか」
みどり「残念っすねー。おっぱいが待ってるっすよ?」プルンプルン
平岡「じょーとーだよ。すぐ行くから待ってろよ。うぷっ、げ」
みどり「……胃薬も用意して待ってるっすよー」
ケータイ ピッ
10:
平岡「やっと着いた」ゼェゼェ
平岡「ほんと飲み過ぎたな。もう限界だ」
平岡「あいつの部屋はたしか…ここだな」フラフラ
ピンポーン
インターホン「ハイ?」
平岡「悪ぃ、俺だ。泊めてくれ」
インターホン「へ?」
平岡「早く開けてくれ」
ガチャ
宮森「ひ、平岡さん!?えっ?どうして、ここに?なにしてるんですか?」
平岡(やべぇぇぇぇぇ、部屋まちがえた)
11:
宮森「平岡さん?どうして私の家知ってるんですか」
平岡「帰ります。夜分遅くに大変失礼しました」ウプッ
宮森「ふらふらじゃないですか。今、お水持ってきます」タッ
平岡(今のうちに逃げる)
ペタン
平岡(って、ふらふらで動けねぇ。なに腰抜かしてんだー俺)
宮森「ほら、お水ですよー」
平岡「うぅ、いただきます」グビグビ
平岡「もう大丈夫です。デスクにはお世話になりました。また明日、仕事頑張りましょう。では」
宮森「ってダメですよ。動けてないじゃないですか。」
宮森「私の家、もしかして矢野さんから聞いたんですか」
宮森「泊めてくれって、平岡さん、終電逃しちゃったんですか?」
平岡「……」
12:
ミムジー「ダメっ。男はオオカミ。こんなクズ、部屋に入れたらクズの匂いで部屋が腐っちゃう」
ロロ「まぁまぁ、部下の面倒を見るのも上司の務めだよ。ここで彼を放っておいたら、新たな職場の軋轢を生むよ?」
平岡「お前、なに言ってるんだ」
宮森「ん?なんのことですか???」
宮森「とにかく、こんな状態の平岡さんを放っておけません。」
宮森「泊めることもできませんが、気分が良くなるまで休んでください。あとでタクシー呼びますから」
宮森「ほら、肩かしますよ」ヨッ
平岡(どうすりゃいいだよ)ズルズル
リビング
宮森「ここで、休んでください。ちょっと待っててくださいね」
宮森(平岡さんを疑うわけじゃないけど……)ケータイケータイ
13:
ケータイprrrrr
みどり「おいちゃん先輩?どーしたっすか。こんな夜中に」
宮森「ごめんね。りーちゃん。今、だいじょうぶ?」
みどり「大丈夫っす。」
宮森「これからウチに来れない?」
みどり「え?えっと?、ごめんなさいっす。あ、明日提出のレポートがあって、ちょ?ど今、筆がのってきてるところなんすよ」
宮森「そうだよね。突然だもんね。」
宮森「なら1時間後に、私から連絡がなかったら、私の部屋のインターホン鳴らしてもらえない?」
みどり「それくらいならお安いご用っす」
宮森「ごめんね。お願いするね」
宮森(ひとまずレスキュー確保)
ケータイ ピッ
みどり「大輔、遅いっすね?」
14:
平岡(リビングか。テーブルには酒と唐翌揚げとポテチとカニ缶とドーナツ?)
平岡「一人で晩酌してたのか」
宮森「私だって、色々あるんです。お酒くらい飲みますよ」
平岡「けっ、さみしい女」パクッ
宮森「あぁー、私のカニ缶。勝手に食べないでくださいよー」
平岡「へいへい、デスク様の言う通りにしますよ」プシュッ
宮森「まだ飲むんですか。って人のうちの冷蔵庫、開けてる」
平岡「酒しか入ってねーのな」
宮森「平岡さん、女性に対してデリカシーなさすぎです」ムカムカ
平岡(うるせーよ。酒でも投入しなきゃ、こんな居心地が悪いとこやってられるか)
平岡(満足に歩けねーし、あいつは上で待たせてるし。どうするどうするどうするどうするどうする)
プシュッ
平岡「……なんでデスク様も飲んでるんです?」
宮森「宮森です。私の憩いの時間に入ってきたのは平岡さんですよ」
15:
宮森「なんだか腹立ってきました。飲まなきゃやってられません。」グビグビ
宮森「誰かさんからのクレーム処理するわ、進行表は夢とか願望とか言われるし、原作者からは駄目だしされるし」
宮森「もうどうしたらいいだろぅ」グスッ
平岡「へいへい、宮森デスクにはご迷惑かけっぱなしですね」
宮森「……平岡さんは、どうして、この仕事を続けられるんですか?」
平岡「チッ、またそれかよ。しらねーよ」プシュッ
平岡「宮森デスクは、さぞ大層な理由をお持ちで?」グビグビ
宮森「…………わかりません。わかんないですよ」プシュッ
宮森「チャッキーを超えるようなアニメを作りたい」グビグビ
宮森「でも、毎日毎日、目の前の問題が山積みでどこに進んでいるのか。全然見えません」
平岡「……」
平岡「……潰れんなよ」
宮森「私、お酒には強いです」
平岡「そーじゃなくて、制作で、潰れんなよ」
平岡「俺みてーなクズを相手にしてるからなんだよ」グビグビ
宮森「そんなこと」
平岡「ほんと、クズみてーな奴らの集まりで、クズみてーな作品しか作れなかったよ。あの頃は」プシュッ
16:
平岡の過去カクカクシカジカ
平岡「あの頃の俺は馬鹿だったんだよ。」グビグビ
宮森「うぅ?、平岡さん悪く無いですよ?」プシュッ
宮森「私は、平岡さんの味方ですから」ウルッ
平岡(ああ、こいつも高翌梨と同じか)フッ
宮森(平岡さん、笑った!)
宮森「これから、これからいい作品を作っていきましょう。私達で!」グビグビ
宮森「このドーナツにかけまして」
宮森「ムサニの私達で、チャッキーを、超える、アニメを」
平岡「ちいせぇよ!カンヌだ」
宮森・平岡「つくります(る)」
宮森・平岡「どんどんドーナツ!!どーんといこう!」
平岡(ってなにやってんだ俺)
ピンポーン
17:
平岡「ん?おい、こんな時間に誰か来たぞ」
宮森「大丈夫です。私、出ます」
宮森(もう、一時間経ったんだ。りーちゃんに悪いことしちゃった)
宮森(平岡さんは大丈夫。でもりーちゃんと平岡さんはギクシャクしてたし、平岡さんのことは伏せておこう)
ガチャ
18:
みどり「おいちゃん先輩、任務遂行しました、です」
宮森「ごめんね、りーちゃん。ありがとう」
宮森「ちょっと心配事があったんだけど、もう大丈夫」
宮森「あれ、りーちゃん。ひょっとしてどこかに出かけてた?」
みどり「やだな?、おいちゃん先輩。わたし、ちゃんと言ったっすよ?。明日提出のレポートやってますって」
宮森(りーちゃん、お化粧してる。それもすっごく気合入ってるような…)
プシュッ
グビグビ
宮森「!」
19:
みどり「あれ?誰か居るっすか」
みどり「ひょっとしてわたし、お邪魔っすか」
宮森「ちがっ、ちがうの。りーちゃん」
みどり(おいちゃん先輩も隅に置けないっすね?)ドレドレ
みどり(ん?玄関の靴、あれって大輔の…)
宮森(やっぱり、ここは正直にいこう。りーちゃんだって平岡さんの本音を聞けばきっとうまくいくはず!)
宮森「実は、さっきから平岡さんと飲んでたんだ。悪い人じゃないよ。りーちゃんも一緒にどう?」
みどり「………………………」
みどり「へー、平岡さんっすかー。平岡さんがいるっすか。へー」
平岡(あ、これが、修羅場ってやつだ)
44:
雨 ザァーサァ゙ー
宮森「どうぞ、りーちゃん、あがって」
みどり「お邪魔しまーす。傘は玄関に置いときまっす」
宮森「レポートは大丈夫?」
みどり「問題ないっす。終わってますですよ?」
宮森「平岡さん、りーちゃ…設定制作の今井さんも一緒していいですか?」
平岡「いいもなにも、俺がお邪魔してる方なんで」
みどり「今井です。平岡さん、こうしてお仕事以外で話すのは初めてっすね」ニコッ
平岡「え?ええ、そうですね」
平岡(おいおい、そんなわけねーだろ)
45:
みどり「平岡さん、となり、お邪魔しまーす」スッ
平岡「あの、俺もう帰ります。邪魔しちゃ、悪いんで。配車タクシー呼びます」スッ フラフラ
宮森「ダメですよ、平岡さん。足元ふらついてるじゃないですか。そんなんじゃタクシーの中で寝ちゃいますよ」
宮森「これ以上、他人に迷惑かけるのはダメです。ほら、座ってください」トントン
みどり「他人に迷惑かけることしかできないんすね」ボソッ
平岡「」ビクッ
宮森「ん?りーちゃん、なにか言った?」
みどり「いえいえ。それより飲みましょう。おいちゃん先輩!」
みどり「今夜はガブガブ飲むっすよ」プシュッ
宮森・みどり「かんぱーーい」カンッ
平岡「かんぱい」
グビグビ、ゴクッ
46:
宮森「さっきまでね。平岡さんと、私達で素晴らしいアニメをつくろうって言ってたんだ」グッ
みどり「私も今はバイトすけど、早く脚本家になって、アニメの仕事がしたいっす」
宮森「りーちゃんならなれるよ。そう思いますよね平岡さん」
平岡「へ?はい、なれるよ」
みどり「へー、そうっすかー」ニコッ
平岡「あ、ああ」ビクッ
平岡(はやく、かえりたい。ん?)
チロリーン♪
LINE ポチポチ
み『さいってーっす』
平岡「ぶふぉっ」ゴホゴホッ
48:
宮森「平岡さん!?大丈夫ですか?ほら、拭きますよ」ティッシュ、フキフキ
平岡「いや、いいって、自分でやるって」アセアセ
平岡(顔、ちけーよ)
宮森「ほら、メガネにもついてますよ」フキフキ
みどり「」ジー
チロリーン♪
LINE ポチポチ
み『高梨さんと飲みじゃなかったんすか?』
ひ『まて、誤解だ』
み『そうっすね。高梨さんとじゃなく、おいちゃん先輩とって、すごい誤りっすね』
ひ『デスクとは、飲みに行ってねーよ』
み『飲んでるじゃないすか。二人きりで、今まで。』
49:
平岡(いやいや、そうだけど。ちげーだろこれは)
平岡(あ、ちょっと前に着信ももらってたのか)
チロリーン♪
LINE ポチポチ
み『ずっと、おいちゃん先輩と一緒にいたんすか?』
み『私が、上の階にいるのに、ずーーっと、おいちゃん先輩と一緒にいたんですか?』
50:
みどり・平岡「……」LINE ポチポチ
宮森「あれー?」
宮森(ああ?、急に2人共ケータイをポチポチしだしてるよ?)
宮森(やっぱりこの二人、ギクシャクしてるんだ)
ミムジー「お前となんて話したくもねぇんだよ。まだニュースサイトチェックしてるほうがマシよ」
ロロ「仕方ないよ?。上司と先輩に誘われた席を、無下にするわけにもいかないよ?」
ミムジー「いればいいってもんじゃないのよ。こんなやつら追い出しちゃえ。飲め飲め」
ロロ「社会人として、スマホいじりは集団社会における一つの逃走手段だよ。飲みニケーション対するエスケープだよ」
宮森「ふたりとも、今日は飲んで、明日からもがんばろー」グビグビ
みどり「はい、っす!」ニコッ
平岡「…」汗、ダラダラ
51:
宮森(りーちゃん、なんか笑顔がぎこちないなぁ)
宮森(平岡さんも、態度がちょっと変…)
宮森(平岡さんが、りーちゃんにセクハラまがいなこと言ってるのを、社内で見たって人がいるし)
宮森(でもでも平岡さんは、私達と同じように、良いアニメを作りたいって夢を持ってる人)
宮森(きっと、ちょっとした誤解があっただけだよね)
宮森(ここは、2人のわだかまりをなくして、みんなの親睦を深めなきゃ)
宮森(デスクとして、先輩として、支えてあげなきゃ!)
宮森(りーちゃんにも、平岡さんは悪い人じゃないって、分かってもらおう)
61:
宮森「最近、仕事が上手くいかなくて、ちょっと悩んでたんだぁ」
みどり「ちゃぶ台返しばかりだったすね」
宮森「そうそう。なんでアニメ作ってるのかも分からなくなっちゃってたんだ」
みどり「自分は、やっぱり物語が必要だからっすかね」
宮森「私もね。チャッキーみたいなアニメ作りたいなって思うよ」
宮森「私は、絵麻みたいに絵は描けないし、ずかちゃんみたいに声だせないし」
宮森「みーちゃんみたいにパソコンできないし、りーちゃんみたいにシナリオも浮かばない」
宮森「私、何も生み出せないよ。でもね、それでも、みんなに良いアニメを作って貰えるように頑張りたいなって」
みどり「おいちゃん先輩…マジすごいっす」ジーン
宮森「そしたらね、平岡さんもね。心の底では、私と一緒だったんだ」
宮森「絶対、素晴らしいアニメを作りたい。作ってやるって」
宮森「一緒だったんだよ。りーちゃん!」
みどり「へー」
平岡「…」汗ダラダラ
みどり「」ジー
62:
チロリーン♪
LINE ポチポチ
み『おいちゃん先輩に何したっすか?』
ひ『なにもしてねーよ』
ひ『高梨のヤローと飲んで、酔っ払って、ゴム買って、部屋間違えた』
み『っていう3流芝居の設定っすよね』
ひ『設定を創作してんじゃねーよ。ほんとなんだよ』
み『なんですぐ来てくれないんすか』
ひ『足元ふらついて、腰抜けてたんだよ』
み『アラサー(笑)』
ひ『怒』
みどり「……」フム
ポチポチ
み『なんで足腰立たないんすか?』
ひ『だから酔っ払って』
み『足腰が立たなくなる"別のこと"を、してたんじゃないんすか?』
平岡(いやいや、この流れ、このまま進むと、ちょっとおかしいだろ)
63:
平岡(流れを変えろ、平岡大輔。本気の制作進行だった頃を思い出せ)
平岡(ものは言いよう。ポジティブにポジディブに)
lLINE ポチポチ
ひ『お題』
み『?』
ひ『「修羅場」だったろ。俺なりに状況を演出してみた。もちフェイクな』ドヤッ
ひ『お題の参考にしてみろよ』
み『修羅場って大輔にとっての、っすよね』
み『私が書きたいのは、よく男が抱く?キャットファイト的な、です』
み『浮気を暴かれる男なんて、場違いにも程があるっす』
み『だいだい、おいちゃん先輩と私は、ファイトすらありえないっすよ』
み『おいちゃん先輩と私はにっこり、にこにこ良好な関係っす。』
宮森「はい、りーちゃんも。ドーナツ♪」ニコッ
みどり「ます。でもでも、ダイエット中なので、おいちゃん先輩どうぞ♪」オシモドシー
宮森「わ、わーい。ど、どーなつどーなつ」シュン…
平岡(どこが良好だよ。こえーよ)
64:
チロリーン♪
LINE ポチポチ
み『どーして、キャットファイトすると思うんすか?』
み『おいちゃん先輩は、私に突っかかる理由が、あるんすか?』
み『おいちゃん先輩は、私に突っかかる理由が、できたんすか?』
平岡(ああ言えばこう言うっ!俺より制作進行向いてるよお前)
みどり「……」
65:
みどり「……」ウン
みどり「おいちゃん先輩。せっかくゲストがいるんすから、スペシャルなやつ、いきましょう!っす」グッ
宮森「え?ああ、そうだね。スペシャルなウニ缶いっちゃおう」
みどり「ですです!いきたいっす」
平岡(逝きたいっす)
宮森「キッチンから取ってくるね」テクテク
宮森(りーちゃん、良かった。よく分からないけど、なんか元気出てきたみたい)
宮森(あとは、平岡さんだ)
みどり「あ、おいちゃん先輩。空になったおつまみ片付けちゃいますね?」
宮森「おねが?い」ドコニシマッタカナ-、ウニーウニー
みどり「りょうかいっす。ゴミはゴミ箱?」ガサゴソ
みどり「…」ガサゴソ
みどり「…」ガサゴソ
平岡(え?なんでゴミ箱、漁ってんの?)
66:
平岡(その、さっきから、指で摘んでる、丸まったティッシュ、違うから)
平岡(さっき俺がビール吹き出して、拭ったやつだから)
平岡(匂いとか、嗅ごうとするなって)
平岡(はやくLINEにポチポチしないt…)
チロリーン♪
LINE ポチポチ
み『今、なにを弁解しようとしたっすか?』
み『これはビールを拭ったやつだって知ってるっす』
平岡「」イラッ
67:
宮森「はーい、ウニ缶ですよ。スペシャルなときにしか開けないんですからね」
平岡「スペシャルな時?」
宮森「はい、今日はここいるみんなが夢に近づいた日ですよ」
平岡「はあ?」
宮森「りーちゃんは脚本の台詞出し振られること多くなりました」
みどり「です!」
宮森「私は、まだ何もないですけど、みんなの夢を支えてあげたいです」
みどり「です!」
宮森「平岡さんは」
平岡「別に、俺は」
宮森「カンヌ、ですよ」
平岡「は、いやだから、は?」
宮森「いいじゃないですか。また今日、ここから目指しましょう」
宮森「平岡さんが頑張ってきたって、私は知ってますから」
宮森「良いアニメを作りたいって私、知ってますから」
宮森「今日をスペシャルなウニ缶の日とします」
宮森「このスペシャルなウニ缶にかけまして、みんなが、夢に近づいたことを、讃えま、「す」
みどり「覚悟と記念と人間の記録っすね」
宮森「さあ、もういちど、」
宮森・みどり「かんぱーーい」
平岡「かんぱーい」
平岡「まあ、それでいいなら」フッ
宮森(やった!平岡さん、また笑ってくれた!)ニコッ
みどり「」ジー
68:
宮森「そうです。今まで頑張ってきたのは平岡さんです。これから頑張っていくのも平岡さんです」
宮森(ここだ!りーちゃんと平岡さんの確執を取るのは、今ここしかない!)
宮森「りーちゃん。平岡さんもね、昔、辛いことがあったんだよ」
宮森「それでも続けてるのは、アニメが好きだからなんだあって思うの」
宮森「ちょっと誤解をまねいちゃう発言もあるかもだけど、私達も一緒に頑張ろう」
宮森「平岡さんも最初は、平岡の過去カクカクシカジカ?だったって」
宮森「でも今は、私も頑張って平岡さんの夢も支えますから!」
宮森「一緒に頑張っていけますから!」
平岡(ばかだよ。ほんとにこのデスクは)フフッ
宮森(平岡さん、優しいそうな顔もするんだな)ニコッ
みどり「」ジー
69:
チロリーン♪
LINE ポチポチポチポチ
み『いっつも、ベッドの上で、あの頃の俺は?語りするっすね』
み『自分を卑下して、楽しいっすか?』
み『そうやって、同情誘うんすね。女の子の』
み『止めた方がいいっすよ。その手口』
み『私、もう十回以上はその語り聞いてるっす』
み『おいちゃん先輩は、一回目すか?』
平岡「」イラッ
平岡・みどり「…・・・」LINEポチポチ
宮森「あれれー?」
71:
宮森(平岡さん、また機嫌悪くなってる?)
宮森「ん?平岡さんが持ってたコンビニ袋、あれ?なんだろう?」
宮森(よく見えな……っ!!!)
宮森(え?あれって、コンドーn…!?え?え?)
宮森(なんで?そんなもの?もって、家に……)
宮森(もしかして平岡さん、最初からその気で…///??え?えぇ?)
宮森(じゃあ、もしかして平岡さんが機嫌悪くなったのって、私がりーちゃんを呼んじゃった、から?)
宮森(二人きり、じゃなくなった、から?)
宮森「????っ//////」
宮森(いやいやでもでも、いくら私がみんなの夢を支えてあげたいからって、さすがに平岡さん、その夢は支えてあげられませんよ///)
宮森(支えませんし、捧げません///)
72:
宮森「ひ、平岡さん、明日も仕事ですし、たっ、た、タクシー呼びますね。いますぐに」ケータイ、ピッ
宮森「はい、すぐに、お願いします。5分で。あ、はい。それで、お願いします」
平岡(ナイスデスク!)
みどり(ん?おいちゃん先輩、なにか態度が変わった?)
みどり(大輔を、早くここから追い出したいような…)
みどり(いたらまずいんすかねー)
みどり(おいちゃん先輩?照れてる?恥ずかしがってるっすか?)
平岡「助かります。宮森デスク」グッ
宮森「???っ///べつに、何でも、ないですから?」プイッ
みどり「」ジー
73:
チロリーン♪
LINE ポチポチ
み『おいちゃん先輩と、したんですか?』
ひ『やってねーよ』
み『し た ん で す よ ね ? 』 イラッ
ひ『だから、やってねー』 イラッ
み『ああ、これからやるっすか』 イラッ
ひ『や ん ね ー よ 』 イラッ
74:
平岡「だあああああああ、やってねーっつってんだろ!!!」バーンッ
平岡「ちくちく探り入れてきやがって、いらっつくんだよ!!」
みどり「自分、せってーせーさく携わって、事実関係を確認するのが癖になったみたいっす」
みどり「事実っすよね?」
平岡「だったら設定制作が憶測でモノを語るんじゃねーよ」
平岡「この仕事なめてんじゃねーぞ」
みどり「舐める?私のおっぱい舐めまわしてたのは誰のことっすか?」
みどり「そっちこそ、制作で培ったコネとか言っちゃって、身体にコネクトすることだったすか」
平岡「はぁぁ?お題とか抜かして、自分から誘ってんじゃねーか。なにが愛しのりーちゃんだよ」
みどり「大輔にとっては、愛しのおっぱいってだけだったすね。社内でも視線がチラチラチラチラ気持ち悪いっす」
平岡「見てねーよ。見て欲しいって、自分の願望を相手に押し付けんな」
みどり「願望押し付けて、夢中でしゃぶってる間抜け面なら何回も見たっすよ」
みどり「だいたい、ふつー、彼女の部屋、間違えるっすか?」
平岡「仕方ねーだろ。間違えたんだから。そもそも、彼女づらすんなよ」
みどり「…・・・っ!」
みどり「そっちこそ、ちょっとやったからって、彼氏づらすんなっす」
平岡「」ゼェゼェ
みどり「」ハァハァ
みどり「……バカ」ウルッ
平岡(あ、やべ)
75:
ケータイprrr
宮森「へ?あ、はい。え、ええ。はい。ありがとう、ございます」
ケータイ、ピッ
宮森「た、タクシー、下に到着した、みたい、ですけ、ど…」
みどり「私、帰るっす。こんな人の顔、見たくないっす」バッ スタスタ
平岡「俺も帰る。こんなとこいられるかよ」ケッ
宮森「」ポツーン
宮森「あ、りーちゃn…」
みどり「おいちゃん先輩、ほんとごめんなさいっす」グスッ
ガチャ
みどり「」 トビラバタンッ
76:
平岡「俺も。じゃあな、デスク」フラフラ
宮森「あ、平岡さん、雨強くなってますので、風邪ひかないでください」
平岡「ああ」
宮森(あれ?玄関に傘、りーちゃんの。忘れちゃったんだ)
宮森(え、傘?)
宮森(……そっか、そういうことなんだ。馬鹿だなー、わたし)
宮森「平岡さん、これ、りーちゃんに返してあげてください。まだ外にいますから」ハイッ
平岡「はあ?そんなの自分で」パシッ
宮森「ダメです。休憩代です」
平岡(傘なんてどうでもいいだろ。もう終わったんだよ)
ガチャッ
平岡「」トビラバタンッ
77:
廊下
みどり「……」トボトボ
平岡「……」フラフラ
平岡(そういや、傘)
平岡「おい、忘れもんだ」ホイッ
みどり「……!」テクテク パシッ
クルリ
スタスタ
平岡(振り向きもしないか…)
平岡(終わったな…)
平岡(最初の関係に戻るだけだ。無関係な間柄に)
みどり「わたし、上の階ですから。ここで」ボソッ
平岡「ああ」
みどり「タクシー、下で、待ってるっすよ」プイッ
平岡「ああ」
78:
ザーザーザービュービュービュー
平岡(くそ、雨、強くなってきたな)
平岡(傘あったほうが…)
平岡「あれ?」
平岡「そういえば、なんで、お前、傘を持ってるんだ?」
みどり「!」
みどり「はあ?別に、ふ、ふつーっす。雨降ってるんですから」
平岡「下の階に降りてくるだけだろ」
平岡(その傘、濡れてるし)
平岡(…………あ)
平岡「もしかして、俺を探してくれてたのか」
79:
みどり「大輔、ぜんぜん来なかったす」
平岡「……悪かった」
みどり「携帯、何回もかけたすよ」
平岡「気づかなくて、悪い」
みどり「すごく寒かったっす」
平岡「ほんとに、悪かったよ」
みどり「見つからなくて。どうしようって思って」
平岡「悪い」
みどり「おいちゃん先輩の頼み、断れなくて」
平岡「ごめんな」
平岡「部屋は、本当に間違えただけだ。どうかしてた」
みどり「どうかしすぎっす」
平岡「本当に、にデスクとは、なにもなかったよ」
みどり「あたりまえっす!」
平岡「心配してくれて、ありがとな」
みどり「……」
平岡「じゃあな」
みどり「もう、私の部屋には、入らないでください」
80:
平岡(そりゃそーだな)
みどり「下の階から苦情が来てるっす。ズンズンうるさいって」
みどり「だから、私の家には、上げることができません」
みどり「おいちゃん先輩も、私たちのことだって、きっと気づきましたし」
平岡「顔合わせづれー」
みどり「私のほうが、合わせ辛いっすよ」
みどり「だから、もう、私の部屋には、入れません」
平岡「なんだよそれ、他なら、いいのかよ?」
みどり「さあ、知らないっす」プイッ
平岡「…………うち、寄ってくか?」
みどり「今からっすか?」
平岡「今からでもいいよ」
みどり「でも、雨、強くなってきてますよ」
平岡「ちょうど、下にタクシー、待たせてあるんだ」
みどり「……2人きりって気分じゃないす」
平岡「ケメコもいる。二人と一匹だ」
みどり「……」
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