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穂乃果「星の王子さま」


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1:
穂乃果「『いちばん大切なものは、目には見えない』か……」
とある日の夜、自分の部屋で本をぱたんと閉じ、そうつぶやいた。
この本の主人公のセリフの一部だ。
普段本を読まない私が、いきなり本を読み始めたのかにはもちろん理由がある。
2:
――数時間前、屋上
穂乃果「よーっし!今日もいい天気!練習張り切って頑張ろう!」
海未「やる気なのは良いですけれど、あんまり張り切りすぎないでくださいね穂乃果。ライブも近いのですから」
真姫「そうよ。いつかみたいにまた倒れられちゃたまんないわ」
穂乃果「あれ、真姫ちゃん心配してくれてるの?ありがとう!」
真姫「べ、別にそんなんじゃないわよ!ライブが中止になったりしたら迷惑だって言ってるの!」
凛「真姫ちゃん照れてるにゃ」
真姫「なっ……!りーんー!」
凛「わー!真姫ちゃん怖いにゃー!」
3:
その日もいつものようにみんなと笑いながら練習を始めようとしていた。
ライブも近くなり一層練習に身が入るけれど、海未ちゃんや真姫ちゃんの言う通り無茶は禁物だ。
でも、心配してくれるのは素直にうれしい。
当たり前すぎて忘れがちなことだけれど、素晴らしい仲間がいるんだって、改めて実感できるから。
そんな、いつもと変わらない日常のはずだった。
絵里「ほらみんな、そろそろ練習を――」
ピンポンパンポーン
「2年生の高坂穂乃果さん。理事長室まで来てください。繰り返します――」
4:
にこ「呼び出し……?穂乃果、まさかあんた何かやらかしたんじゃないでしょうね?」
穂乃果「えぇっ!?私何もしてないよ!しいて言うなら授業中居眠りしてたくらいだよ!」
花陽「そ、それもマズイと思うけど……」
海未「ことり、理事長先生は何か仰っていましたか?」
ことり「ううん。私は何も聞いてないよ」
希「まぁとりあえず行ってみるしかないんやない?」
絵里「そうね。私たちは先に始めてるから、早くいってきなさい」
穂乃果「う、うん!みんなごめんね!すぐ戻るから!」
突然の呼び出しに戸惑いながらも、私は希ちゃんの言う通りとにかく理事長室に足を向けた。
なにかマズイことしちゃったかなぁ……μ’sのみんなには迷惑をかけたくないけど……
6:
――理事長室
穂乃果「し、失礼します!高坂です!」
軽くノックをして理事長室に入る。
ここにいるのは当然理事長先生……つまりことりちゃんのお母さん。
見知った人だから少し気が楽だけれど、理事長には変わりないのでふさわしい対応をしなきゃ。
理事長「練習中急に呼び出してごめんなさい。それと、二人だけなんだから固くならなくても大丈夫よ?」
穂乃果「は、はい……それで私が呼び出されたのって……」
理事長「ええ。実は今回あなたにコンサートの出演依頼が来てるの。市が主催するものなんだけれど」
穂乃果「それって、μ’sでライブをするってことですか?」
今もライブが近いけれど、ひとつでも多くライブができるのは嬉しい。
もちろんスケジュール的な問題もあるから、みんなと相談してからになっちゃうけれど、みんなきっとやろうと言ってくれるはずだ。
そう考えると胸が弾んだ。とっても楽しみだなぁ!
そんなことを考えていたけれど、次の理事長先生の言葉はその私の期待とは違うものだった。
理事長「いいえ穂乃果ちゃん。今回はμ’sにではなく、あなた一人に出演依頼が来てるってことよ」
穂乃果「え……」
7:
――再び屋上
全員「ええぇぇぇぇぇぇ!?」
ことり「ほ、穂乃果ちゃんが単独で……」
にこ「コンサートって、どういうことよ!」
穂乃果「いやぁ、実は私もまだうまく状況を飲み込めてなくて……」
海未「それに、どうやら私たちが想像しているような普通のコンサートとは少し違うみたいですよ」
海未ちゃんは私が理事長先生からもらった資料に目を通していた。
コンサートの依頼はμ’sではなく私ひとりだけへのものだった。
今まで私たちはどんなときもμ’s全員で活動してきたからこんなことは初めてだ。
8:
凛「海未ちゃんどういうこと?」
海未「『大人のためのヒーリング・朗読コンサート』とあります。つまり、普段から私たちがやっているような歌と踊りではないようです」
絵里「朗読ってことは本を読むってことよね?」
海未「ええ。『星の王子さま』を朗読するようです。その合間にクラシック曲やポピュラー曲を歌う、という趣旨のコンサートみたいですね」
真姫「サン=テグジュペリね。穂乃果は読んだことあるの?」
穂乃果「中学のころにね。童話みたいでスラスラ読めて楽しいよね」
ことり「歌っていうのは?」
穂乃果「いろいろあるみたいだけど、雪の女王とか」
ことり「へぇ?穂乃果ちゃんがあれ歌うのかぁ……聴いてみたいかも!」
9:
にこ「というかなんで穂乃果に声がかかったのよ」
穂乃果「なんでも、今この地域で活躍してて話題性のあるμ’sから私が目に留まったらしいんだけど……」
希「穂乃果ちゃんの声は聴いてると元気をもらえる感じがするからかな。ヒーリングって点では穂乃果ちゃん、確かに適任かもしれんなぁ」
花陽「プロの人が穂乃果ちゃんを選んだってことでしょ?それなら大丈夫なんじゃないかな」
絵里「それで、穂乃果はこの依頼を受けるの?」
穂乃果「みんなと相談してから決めようかなって思って、保留にしてもらってるよ」
私もいきなりこんな依頼を受けて戸惑っている。
歌を歌うのはともかく、朗読なんて思ってもみなかった。
私自身どうすればいいのかわからなかったから、みんなの意見も聞いてみたかったんだ。
でもやっぱり、文学作品の朗読なんて私には合わないかなぁ。それにμ’sの活動もあるし、何よりライブも近い。
この本、ちょっと好きだったからやってみたかったんだけど……
10:
ことり「私はいいと思うよ。出てみても」
穂乃果「ことりちゃん?」
ことり「私、穂乃果ちゃんの声好きだから。もっと多くの人に穂乃果ちゃんの声が届いてほしいな。穂乃果ちゃんの声で、素敵な物語と歌を届けてみてほしい。私は応援するよ!」
穂乃果「でも、ライブも近いし……」
海未「もうダンスはほぼ完璧なので大丈夫でしょう。あとは本番まで調整するだけですから」
絵里「そうね。今までにない自分を試してみるいい機会じゃない?」
希「朗読する穂乃果ちゃんってのもなかなか新鮮やね。ウチも興味あるかも!」
真姫「わ、私だって興味ないわけじゃないし……」
凛「凛も見てみたいな!かよちんも見てみたいよね?」
花陽「うん。ことりちゃんが言ったように、私も穂乃果ちゃんの声好きなんだ。μ’sにさそってくれた時みたいに、勇気をもらえる気がするから」
にこ「まっ、やってみればいいんじゃない?みんなもいつもと違うアンタを見てみたいって言ってるわよ?」
穂乃果「みんな……」
11:
今までと違う自分。それを試してみたい気持ちは確かにあった。
でもそれ以上に不安もあった。
ちゃんとできるだろうか。
私には合わないことなんじゃないか。
私だけ予定を増やして、みんなに迷惑をかけちゃうんじゃないか。
そんな考えばかりが頭の中を巡っていた。
にこ「遠慮するなんてアンタらしくないのよ。やりたいことやっちゃいなさい!」
でもこうしてみんなが応援してくれたら、そんな気持ちは吹き飛んじゃった。
興味をもったらなんだってやってみる。μ’sはそうして前に進んできた。
今だってそう。みんながあたらしい私に期待してくれている。
だったら、私がやるべきことはひとつだよね。
穂乃果「……うん!みんなありがとう!私やってみるよ!」
26:
――再び穂乃果の自室
みんなとの相談でコンサートに出ることに決めた私は、練習後に理事長先生に返事をし、早「星の王子さま」を読むことにした。
ほどよく読みやすく、意外にもそんなに時間もかからずあっさり読み終えてしまった。
小さな王子さまは様々な星を旅し、様々な大人に出会う。
無力な王様、大物気取り、酒浸りや自称有能な実業家。休むことができない点灯夫、「確かなこと」にしか興味がない地理学者。
王子さまが最後に行きつくのは地球。そこで出会うのは、全てが解けるというヘビ、まったくなんでもない花、そして絆を結びたいキツネ。
そこで王子さまは、キツネに秘密を教えてもらう。それは、とても簡単なこと。
27:
『いちばん大切なものは、目には見えない』
心で、見なくてはいけない。目で見えるものだけ見ていては、大切なことを見落としてしまう。
なにかを大切に思うためには、そのために時間を費やさなければならない。
しかし、私たちは大人になるにつれて、時間に追われるようになる。
だから人間は、大切なものを忘れてしまった。
穂乃果「私にとって、大切なもの……」
本のあらすじを思い返しながら考えてみる。大切なもの。大切な人達。
家族は当然だ。生まれてからずっと一緒の時間を過ごしてきたんだから。
それ以外で考えると、やっぱり一番最初に出てくるのはあの二人だ。
ことりちゃんと海未ちゃん。
二人はいつだって私のそばにいて、私についてきてくれてた。
28:
――また穂乃果は無茶なことを!
――あはは……でも穂乃果ちゃんらしいなぁ
そんなことを言いながら、ずっと私を支えてくれていた。
いつも私の無茶に付き合ってくれて。それも笑顔で。
いつだったか、私が大きな木に登ってみようと言ったときもそうだった。
ことりちゃんはあっけにとられて、海未ちゃんは「無理ですー!」ってあたふたしていたっけ。
いい眺めが見れると思って言い出したことだけど、予想以上にいい眺めで自分でも驚いた。
三人で見たあの風景を、今でもちゃんと覚えてる。私たちの、私たちだけの思い出。
大切なもの。
29:
穂乃果「ありがとう……海未ちゃん、ことりちゃん」
自然と言葉に出てしまう。改めてそう言わずにはいられなかった。
二人が居なかったら、きっと私は何もできなかった。
今こうしてμ’sで活動できているのも、そもそも二人の協力があったから。
いつものように、私の無茶についてきてくれたから。
こういうことはともすれば忘れてしまいがちなことだけど。
一緒にいるからわからない。
一緒にいるから見えなくなる。
忘れてしまって、いた。
でも、一緒にいるから、わかってなくちゃいけないんだ。
大切なものだから、目には見えない。
忘れちゃいけない大切なこと。
30:
穂乃果「やっぱり引き受けて良かった」
このお話のおかげで思い出すことができたから。
私から二人への大切な気持ち。
いや、海未ちゃんとことりちゃんだけじゃない。
μ’sのみんなだっておんなじだ。
勇気を出して入部してくれた花陽ちゃん。
いつも元気に私についてきてくれる凛ちゃん。
初めて会ったとき、私の無理に付き合って曲を作ってくれた真姫ちゃん。
誰よりも強い想いでアイドル活動に向き合うにこちゃん。
ダンスを教えてくれて、いつもみんなを見守ってくれている絵里ちゃん。
μ’sのことを影から支えてくれる希ちゃん。
31:
みんなにありがとうって、伝えなきゃ。
私の無茶に付き合ってくれてありがとう。
私をいつも支えてくれてありがとう。
私と一緒にアイドルをやってくれてありがとう。
……この気持ちに気づくことができてよかった。
みんなをもっと大切に思うことができる。
そう考えたら、早くこの思いを伝えたくてうずうずしてきちゃった。
待っててねみんな。明日になったらちゃんと伝えるから。
37:
――翌日
穂乃果「海未ちゃーん!ことりちゃーん!」
その日は珍しく朝早く目覚めて、いつもより早く登校することができた。
海未「おや、今日は珍しく早いですね穂乃果。おはようございます」
ことり「おはよう穂乃果ちゃん」
穂乃果「えへへ。まあたまにはね。二人ともおはよう!」
38:
今日は大事なことを伝えるから、ドキドキしてうまく寝付けなかった。
二人はいつものように笑顔で私を出迎えて、そして三人で通学路を行く。
穂乃果「ねえことりちゃん。海未ちゃん。私、二人に言っておきたいことがあるんだ」
ことり「なあに?穂乃果ちゃん」
海未「どうしたんですか?改まって」
変わらない毎日。変わらない親友。
でもだからこそ、愛おしく思えるもの。
そんな二人に私は口を開いた。
39:
穂乃果「……ありがとね」
ことうみ「え?」
穂乃果「思えばさ、小さいころからずっと、二人には迷惑かけっぱなしだったよね。突然木に登ろうとか言ったり、探検しようとか言って、知らない場所まで連れまわしたりさ」
ことり「ふふ……そんなこともあったね」
海未「いつも唐突になにかやろうとするんですから。困ったものでした」
穂乃果「あはは……でもさ、なんだかんだ言いながらも、二人は結局最後には私についてきてくれてさ、その時私、心強かったよ」
ことり「穂乃果ちゃん……」
穂乃果「それだけじゃない。今までずっと私を支えてきてくれて、私、感謝してるんだ。だから二人に改めて言わなきゃいけないと思ったの」
穂乃果「迷惑かけてばっかりだけど、それでも一緒にいてくれて、本当にありがとう」
40:
二人ともいきなりこんなことを言われて驚いているかもしれない。
でも、これが私の本心だ。
大好きな二人に、ありがとう。
私が伝え忘れてきた大切なこと。
海未「穂乃果」
穂乃果「うん?なあに?」
海未「……どうしたんですか急に。頭でも打ったんですか?」
穂乃果「海未ちゃんひどいよ!」
海未「まったく何を言い出すかと思えば……穂乃果はそれでいいんですよ」
41:
穂乃果「え……」
ことり「うん。穂乃果ちゃんが穂乃果ちゃんだからこそ、私たちは穂乃果ちゃんについていったんだよ」
海未「その通りです。穂乃果はいつだって私たちの先を走っていてくれないと。あなたを追いかけるのが、私たちの役目です」
穂乃果「……」
ことり「穂乃果ちゃんが何か落とし物をしたら、私たちが拾ってあげる。忘れてきちゃったものは、私たちが届けてあげる。つまずいて転んじゃっても、私たちが起こしてあげるよ」
穂乃果「……っ!」
ことり「私たち、穂乃果ちゃんについてきてほんとに良かったって思ってる。迷惑だなんて思ったことないし、後悔もしてないよ」
海未「それどころか、感謝すらしています。穂乃果はいつだって私たちを新しい場所に連れて行ってくれるのですから」
穂乃果「ことりちゃん……海未ちゃん……!」
ことり「ほ、穂乃果ちゃん!?」
海未「穂乃果!?い、いきなり何を……!」
私は二人の肩を抱き寄せた。
何故だかわからないけど、そうしたかったんだ。
ぎゅーって。力いっぱいぎゅーって。大切なものを離さないように。
42:
ことり「く、苦しいよ穂乃果ちゃん……!でも、うれしいよ!」
海未「ふふふ、穂乃果ったら……!」
穂乃果「ありがとね……!二人とも大好きだよ!」
二人を抱きしめて、改めて思う。こんなに温かい存在だったんだ。
全然知らなかった。いや、気づかなかった。こんなに近くにいてくれたこと。
こんなに私を想ってくれていたこと。
ありがとう。私の大好きな親友。いつでもそばにいてくれる、永遠の友達。
いつまでも一緒だからね。
4

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