弦太朗「俺は全ての艦娘と友達になる男、如月弦太朗だ!!」back

弦太朗「俺は全ての艦娘と友達になる男、如月弦太朗だ!!」


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1:
初めに
このSSは如月提督のために書いた、アニメ版艦これ3話の補完SSです。
アニメがお好きな方にとっては不快な記述が含まれる可能性があるので、閲覧の際にはくれぐれもご注意ください。
書き溜めたものを投下していきます。
タイトルに反して弦太朗の出番ちょっと少なめですがご容赦ください。橘さんと剣のキャラも何人か出てきます。
如月が(ゲームの)如月っぽくないかもしれませんが、筆者がアニメから入ったにわか者のため、何卒ご容赦いただければと思います。
前作
祥鳳「私が轟沈・・・?」 剣崎「ウゾダドンドコドーン!!」
2:
その日、私は敵の特攻を受け、沈んでしまった。
身体を纏う水の感覚に体が震える。
冷たい・・・、私死ぬんだ・・・。
ふと、睦月ちゃんの事を思い出した。そういえば戦いが終わったら会うって、約束してたっけ・・・
(約束・・・まもれなくてごめんね・・・)
そして、艦娘たちの顔が次々に浮かんでくる。
吹雪ちゃんや夕立ちゃん、同じ部隊の仲間達や夕張さん達を・・・。
最後に私はこう呟いた。
「如月のこと、忘れないでね・・・」
そして、意識が少しずつ薄れていった。深い深い、光の届かない闇へと落ちてゆく。
3:
その時だった。
『Screw,Rocket,On』
どこからか、誰かが私を呼んでくれた気がしたの。
誰かが、私を持ち上げてくれた。誰かが、私を暖かく抱きしめてくれていた。
「海の底から、宇宙キター!!!」
私は、海の底から押し上げられた。
白い、宇宙飛行士のような人の手で。
水しぶきが舞い上がると共に、私はお姫様だっこされながら、暗い海の底から明るい青空へと舞い上がった。
幸い、水を吸ってはいなかったので、すぐに回復した。艤装はすべて海に沈んじゃったけれど。
陸へ降ろしてもらい、お姫様だっこをしてくれた人を改めて見つめる
昆虫のような目を持つ、ロケットのような白い鎧に包まれた大きく力強い手。
「俺は世界中のみんなと友達になる男、如月弦太朗だ!! 今日から俺とダチになってくれ!」
大きな手を差し出され、私もわけがわからないまま疲れた手を差し出す。
そして、二人で硬い握手を交わし、彼にされるがまま、げんこつをコツンとぶつけ、上下に重ね合いっ子したの。
4:
「宇宙」 ・・・、無限のコズミック・エナジーを秘めた、神秘の世界。
若者達は、アストロスイッチでその扉を開き、未来を創る・・・!
Space on your hand! その手で宇宙を掴め!
5:
助けてくれた人は、如月弦太朗と名乗った。私と同じ名前だ。
白い姿から人間の姿になった弦太朗さんは奇妙な姿をしていた。
動きやすそうで派手な服。
それはいいけど、その髪型はリーゼントだった。顔はイケメンなのにちょと残念かも・・・。
とりあえず、ずぶ濡れになっていた私は、そのままじゃ風邪引くぞと弦太朗さんに言われ、ある場所に連れられた。
それにしても、こんなに海水でベトベトになっちゃうなんて・・・。髪が傷んじゃう。
6:
一時間ほど走った後に着いた所は、宇宙京都大学という学校だった。
とても大きいけど、静かで、厳粛な雰囲気の学校だった。
木は整然と並んでいて、重々しい校舎がいくつも建っている。
鎮守府とはまるで違う風景が広がっていた。
何より驚いたのは男の人達の多さだった。
鎮守府には男の人がいなかったから、ちょっと怖かった。
その大学の研究室の一角に、私は連れて行かれた。そこには、ちょっと丸顔の静かな雰囲気の男の人と、見るからに明るくて元気そうな女の人がいたの。
「おぅ、ユウキ! 久しぶり! 日本には昨日帰ってきたのか!!」
「そんなことより弦ちゃん弦ちゃん! この子ダレ? まさか彼女だったりする!?」
「彼女じゃねぇよ、海で溺れそうになってたところをたまたま助けたんだ!! 確か名前はっと・・・」
「如月・・・です・・・」静かに私は呟いた。
「私は城島ユウキ、よろしくね! とりあえず、着替えよっか!」
私はユウキさんに連れられて、着替えを貸してもらった。かわいらしいはやぶさくん(ユウキさんのデザインらしい)がプリントされたTシャツを貸してもらい、私は丸椅子に座らせてもらう。
7:
「俺は歌星賢吾。ここの大学で宇宙について研究をしている。
それにしても、キミも如月か・・・。フルネームを教えてくれないか?」
でも私にそんなものはない。
「それが・・・、私、なぜか苗字はないんです。名前が『如月』なんです・・・」
「そうか・・・。キミについて、知ってることをできるだけ教えてほしい。できる限りで構わないよ」
丸顔の男の人は静かに尋ねてくれた。穏やかな表情から、私に気を遣ってくれてるのが分かった。
「私は鎮守府という場所で、艦娘として働いていました。深海棲艦っていう、大きなクジラみたいな怪物と戦ってたんです」
「深海棲艦か。最近、日本近海を荒らし回っている正体不明の怪物・・・」と賢吾さん。
「私が知っているのはそれくらいです・・・。そして今日、負けてしまって海へ・・・!」
暗い口調で私は言葉を紡いだ。
「海へ・・・、しずみそうに・・・!」
思い出してしまった。弦太朗さんに助けてもらえなければあそこで死ぬところだったと思うと、背筋が震えだしてきた。
怖い・・・、怖い・・・!
「だっ、大丈夫!如月ちゃん!?」とユウキさん。
「はっ、はい・・・。とにかく、私に分かるのはそのくらいです・・・」
そう言うのが精一杯だった。震えが止まらない。
「・・・辛い事を聞いてすまない。ユウキ、悪いが一緒にお風呂にでも連れて行ってあげてくれ。その間にこちらで情報を集めておく」
「うん、分かったよ・・・」
8:
震えが止まらない私は、ユウキさんと一緒に近くのホテルの大浴場へと向かったた。
全国展開のビジネスホテルだったけど、お風呂はすごくきれいで広く、清潔感あふれる場所だった。入渠用のお風呂とどっちがいいかな。
浴場の温かい湯気が口から入り込んで身体を芯から暖めてくれた。それが私の恐怖を少しだけ忘れさせてくれた。
二人でお風呂に入ると、隣に座ったユウキさんの一糸まとわぬ姿が目に入った。
綺麗な髪だったけど、お肌は少し荒れて、あちこちにすり傷や腫れ跡が見えた。でもそれがかえってエロティックに見えた。
やだ、なんか恥ずかしい・・・。
「ユウキさんは・・・、賢吾さんの恋人なんですか?」
恥ずかしさをごまかそうと変な質問をしてみた。
そしたら「ウェ!?」と奇妙な声を上げた。ユウキさんは年頃の少女みたいに赤面していた。いやだ、私より年上っぽいのにかわいい・・・。
「き、き、如月ちゃんにはまだ早いって!! それに私にはまだまだやらなきゃいけないこともあるから!」
「やらなきゃいけないこと、ですか?」
「うん、私は宇宙飛行士になるんだ! そのために今アメリカの大学に留学中なの!」
「宇宙ですか・・・」
艦娘は海の底の怪物と戦う。この人は遥か空を超えて宇宙へ行く。目指す場所が正反対だな・・・
「うん、応援してくれた弦ちゃんや賢吾くんやみんな、それに宇宙へ行く厳しさを教えてくれたエリーヌちゃんのためにも、頑張らなきゃなぁって・・・。
3年の秋くらいからそりゃもう必死になって一生懸命勉強してね、以来ずっと訓練やら勉強やらで大忙しなんだ!」
いいなぁ・・・。夢があるって。
そう言えば、艦娘として戦いが終わったらどうするのかなんて、考えたこともなかった。男の子とデートくらいはしたいとか、漠然なことばかりだった。
私の夢って、なんだろうな・・・?
9:
落ち着いた私は、髪を念入りに洗って乾かしたあと、賢吾さんの研究室へ戻った。
女の人がいてくれたのはすごく助かった。今着ている青い制服もユウキさんが用意してくれたものらしい。ちょっとだけ胸がきつかったけど。
「おっ、落ち着いたか?」と弦太朗さん。
「はい・・・」静かに答えた。
弦太朗さんも安心したらしく、
「うん! 風呂は心の洗濯だ! 暗い気持ちを洗い流せたなら、青春パワーは蘇る!」 
と言った。
「ありがとうユウキ・・・。こればっかりは、俺達じゃできないことだからな」
「いえいえ、お安い御用ですケンゴハカセ」とユウキさんがおどけて敬礼する。
「よせ、まだ博士号は取ってないよ」とケンゴハカセ。
・・・やっぱり、この人たちは恋人というか、夫婦みたいな気がする。
だって、長年のコンビの貫禄や絆が滲み出てるんだもん。
10:
「ところで、情報はどうだった?」
「それなんだが、未確認生物研究所の「たちばな」さんに連絡したんだが、有力な情報を持ってるそうだ」
「『タチバナ』さんから・・? って、賢吾。江本教授はもう・・・」
「違う。仮面ライダーギャレンに変身する方の橘さんだ。以前ラビットハッチに招待して、ダチになったんじゃなかったのか?」
「・・・そうだ! そう言えば前にダチになったな・・・!」と弦太朗さん。
「ったく、お前は友達友達言うくせに、時々大事なことを忘れることがあるぞ。気をつけろ・・・」
「そうだな・・・、俺ってヤツは・・・。ってか、賢吾。人のこと言えんのか・・・」
「お前を思って言ってるんだぞ。人の忠言は素直に耳に入れておくもんだ。特にお前のようなバカはな」
「バカは余計だろ、お前こそ一言おおいっつーの、余計マン賢吾」
「なんだとこのリーゼント?」
二人は頬の引っ張り合いをし、意味不明な言葉を口にしながら子供みたいな喧嘩を始めた。
「・・・え? け、喧嘩ですか?」おろおろしながら尋ねた。
「ううん、アレは賢吾くんと弦ちゃんの・・・、一種のコミュニケーションかな」とユウキさん。
止めようともせず、二人の喧嘩を見守っていた。
「ふふ、いいですね・・・」
「あの二人はね、言いたいことが素直に言い合える。でも決して絆は切れたりしない、最高の親友なんだよ・・・」
「親友か・・・」
睦月ちゃんの顔が頭に浮かんだ。彼女は今どうしてるだろう。
心配して泣いているだろうか。それとも如月のことを忘れちゃってるだろうか。
11:
「よぅ、橘さん!」
弦太朗さんは嬉しそうに飛びつき、握手を求めた。その男の人も微笑みながら握手に応じた。
弦太朗さんも髪型さえリーゼントじゃなければなぁ・・・。
そのイケメンさんは賢吾さんにも手を伸ばし、
「はじめまして、歌星くん。キミの噂は各方面で伺ってるよ」と、静かな笑顔で握手を求めた。
「はっ、水校長・・・!?」と賢吾さん。
「賢吾・・・!」小声で弦太朗さんが小突く。
「水? 人違いだ。俺は橘だ・・・」と、イケメンの学者さんは言った。
校長って言うくらいだから、賢吾さん達の恩師なのかな?
「すっ、すみません・・・。以前似たような方と知り合いだったもので・・・」
「そうか・・・。いいさ。とにかく、話を始めようか」と橘さん。
賢吾さん達は、彼をホテルの会議室へと案内した。
12:
その翌日、ユウキさんのホテルに泊めてもらった私は、橘さんという人に会うことになった。
ホテルに備え付けの会議室を借りて、今後のことを話し合うことになった。
ロビーに行くと、弦太朗さんに手を振る男の人が見えた。クールな雰囲気をまとった端正なイケメンの学者さんだ。
静かで清潔で純白の壁に包まれた会議室の中で、私たちは橘さんの話を聞いた。
「改造実験体トライアルシリーズ?」
「あぁ。人工的に不死生命体・アンデッドを作り出すために作られた、実験生命体だ」
「不死生命体? アンデッド?」
「知らないか? 以前、白井が出した本にも詳しく書いてあったはずだが・・・。
とにかく、人の手では決して殺すことのできない怪物を再現しようとする実験が進められていた」
橘さんは詳しく話してくれた。
不死生命体、通称アンデッド。その秘密を求めた科学者が、亡き妻を蘇らせるために狂気に走り、トライアルという怪物を作ったらしい。
「トライアルは一定以上の威力の攻撃でなければ決して破壊することはできない。その強靭な力、世界中の軍需産業が興味を持つだろう」
「まさか・・・!」と弦太朗さん。
「そうだ。我々は一連の深海棲艦の大量出現も、財団Xが関与してるのではないかと推測している・・・」
「確かに財団Xなら、研究資料を手に入れ、実験していてもおかしくはない」と賢吾さん。
「だが、世界の深海棲艦にはあの七人が中心となって立ち向かっている。恐らく心配はないだろう」
ホッとした表情を浮かべた弦太朗さん達。あの七人って誰のことなんだろう?
「そうかそうか! あの七人なら大丈夫だ!それを聞いて安心したぜ!」
13:
話し終えると、橘さんは私の方に向き直った。
「そしてキミの言う艦娘、つまりそちらの如月さんのことだが・・・」
「はい?」
こちらを見つめる橘さん。
「我々の研究所でも、艦娘の目撃情報は大量に入っている。君達のことは極秘とされているようだが、既に情報は掴んである」
「は、はぁ・・・」
何を言われるんだろう。ちょっと不安になってきた。
「橘さん、彼女たちに何か?」と賢吾さん。
「考えてみろ。普通の女の子が、武装してるとは言え、怪物の砲弾を生身で受けても大した怪我を負っていない」
そう言えばそうだ。
確かにあんな攻撃を受けたら、普通ならお腹に穴があいて死んでてもおかしくない。なのに、私の身体は傷ひとつ付いていなかった。
「トライアルは人間の姿になることもできた。断言はできないが、もしかしたらその如月って子にも何か関係があるかもしれない・・・」
「え・・・?」
私の耳に信じられない言葉が突き刺さる。
私が、怪物・・・?
「いや、いやぁぁぁぁ!!」
その冷たい刃に私は耐えられなかった。信じられなくて、怖くて、思わずその場を飛び出しちゃった。
その直後、弦太朗さんが彼の胸ぐらを掴んで怒り出す声が聞こえた。
「ふざけんな! あの子もバケモノの仲間だって言うのか橘さん!? いくらアンタでも、言っていいことと悪いことがあるぞ!」
弦ちゃんが胸ぐらに掴みかかる。
「落ち着け弦太朗。まだそうと決まったわけじゃない」
「すまない。怪物扱いするつもりはなかったんだが・・・」
橘さんの申し訳なさそうな響きの声も、私の心には届かなかった。
14:
(ウソだ、私が怪物なんて・・・!)
「はぁ・・・、はぁ・・・」
私が、深海棲艦と同じ・・・?
そんなはずない、そんなはずない。でも・・
『あの如月って子にも何か関係が・・・』
その言葉は呪詛のように頭の中で響き渡る。
「うわぁぁぁぁぁっ!!!」
泣きながら私は走った。その言葉から逃げるように、現実からも逃げるように。
15:
その後、大学を出た私は、道に迷ってしまった。
ヨロヨロと、街を一人で歩き回っていた。
気がつくと、何時の間にか海岸の近くまで来てしまっていた。
「変なとこまで来ちゃった・・・」
どうしようかと迷っていると、ふと何処からか甘い匂いがした。
その匂いに惹かれ、海が見える公園にたい焼き屋さんの屋台があった。よく見ると隣にたこ焼き屋もある。
その屋台の看板にはこう書かれていた。
『いろはにほへと組 愛のたい焼きたこ焼きを召し上がれ』
その看板を見つめてると、
「おう、らっしゃい! たい焼き焼きたてやでー!」
「たこ焼きもアツアツやでー! いやん、なんかウチらみたいやなっ!」
元気のいい声で、二人の男女が私に声をかけてくれた。
「あ、でも私、お金持ってないんです・・・」
「かまへんかまへん、今回はおごりや!! 昨日から白井先生が宣伝してくれたおかげで大繁盛しまくってな!!」
戸惑う私に、男の人は半ば強引にたい焼きを渡した。
とりあえず、渡されたクリーム味のたい焼きを食べることにした。
「おいしい・・・」
思わず声に出してしまうほどの味だった。間宮さんにも匹敵するレベルだと思う。
「せやろ? うちらのたい焼きとたこ焼きは、日本一やからな!」
たこ焼きを焼いていたお姉さんが自慢げに言った。
16:
食べ終わると、私はまた暗い表情に戻ってしまっていた。
それをたい焼き屋さんは察してくれたのか、
「お嬢ちゃん、なんか悩みでもあるんか? 俺らでよかったら聞くで?」と言ってくれた。
この人たちなら話してもいいかもしれない。私は全て話すことにした。
「私、今悩んでて・・・。私、もしかしたらバケモノの、深海棲艦の仲間かもしれないんです・・・。
誰かを傷つけちゃうかもしれないんです・・・。これからどうすれば・・・?」
「何言っとんねん、俺らのたい焼き美味しそーに食べてくれたんやから、悪い子ちゃうやろ!」
たこ焼き屋のおじさ・・・、お兄さんが言った。
「え・・・? 私が・・・」
その言葉は暗い海の底に沈んでいた、私の心に光を与えてくれた。
「前も人間に化けてた黒いバケモンがおったんやけど、ソイツはウチらをヘビのバケモンから守ってくれたんやで!」
「まっ、俺も倒すのに手ェ貸したんやけどな!」とドヤ顔のお兄さん。
そんなお兄さんを、お姉さんが「調子に乗んねんっ!」と引っぱたいた。
17:
「私・・・、バケモノじゃない・・・。ですよね・・・?」
「何言うとんねん、どこからどー見てもかわいい女の子やんか!」
何気ない言葉だけど、嬉しかった。
私は、バケモノじゃないんだ・・・!
「ありがとう・・・ございます・・・」
そういうのが精一杯だった。
嬉しかった。涙が溢れてきて、止まらなかった。
胸の中に詰まっていたつかえがすっぽりと抜け落ちたような気分だった。
そこに、追いついてきたユウキさん達が来た。
「いたいた! ナゲロパちゃんご苦労様!!」
気がつくと、私の周りを小さな円盤のような機械が光を放つ妖精のように飛んでいた。
そして、食べ物と動物を混ぜ合わせたような機械たちが、私の周りで優しく吠えかけた。
「如月ちゃん。生まれなんか関係ないよ。アナタがどう生きていくか、それが一番大事なんじゃないかな?」とユウキさん。
「私が、どう生きていくか・・・?」
「そう。私も昔、怪物になっちゃったことがあったから、わかるんだ・・・」
静かにユウキさんは言った。どこか懐かしむような表情をしていた。
「でもね、弦ちゃんの、ううん、みんなの友情が、私を助けてくれたんだ」
「そうだったな・・・」と賢吾さん。
「あの時気づいてくれたの、賢吾くんが一番最初だったんだよね。ちょっと嬉しかったんだよ、あの時・・・」
「いやっ、そのっ、アレは・・・」
クールな雰囲気がどこへやら、しどろもどろに顔を赤くしてそっぽを向く賢吾さん。
「ふふっ・・・」思わず私も微笑んでしまった。
こほんと咳払いをし、賢吾さんが話し始めた。
「如月ちゃん。たとえキミがトライアルの技術を使って生まれた者だったとしても、キミの心は間違いなく人間だ。
少なくとも俺はそう断言できる」
「賢吾さん・・・」
嬉しかった。みんなが私を受け入れてくれていた。
ヤダもう・・・! 涙で顔がしわくちゃだよ・・・。
「おぉ、そうや! 如月ちゃん言うたっけ? 
アンタもし良かったら、いろはにほへと組で住み込みで働かんか? ちょーど人手足りんて困っとったんやわ!」
「え・・・?」
「えぇなぁ! はじめもまことも、お姉ちゃんができて喜ぶやろな!! あ、はじめとしんってうちらのかわえぇこども達や!」
戸惑う私。でも、黙って賢吾さんとユウキさんが肩を叩いてくれた。
「はい・・・、ありがとうございます・・・!」
変だな・・・。
すごく嬉しいはずなのに、涙が止まらなかった。
18:
「すまない・・・。俺のせいで彼女を・・・」
「大丈夫だ! あんたに悪気がねぇのは俺にもわかったよ」
「彼女の気持ちも憚らず、迂闊だった・・・」
「気にすんなって! ちゃんと如月ちゃんに謝りゃいいだけだろ!? 俺もしょっちゅうダチと喧嘩してっけど、すぐ仲直りできる! 
喧嘩は心の耕作、仲直りは心の種まきだ! しっかり耕した畑には青春の綺麗な花が咲く!」
「・・・ありがとう、弦太朗くん。・・・失礼、電話だ。・・・何だと!?」
「橘さん、どうしたんだ?」
「深海棲艦がこの近くの海域に!? 場所は!?」
19:
その後、いろはにほへと組の連絡先を教えてもらった私は、明るい気持ちでユウキさん達と海岸を歩いて行った。
「良かったな、如月ちゃん・・・」
「はい!」
嬉しくてついスキップまでしてしまう。まるで子供みたいだった。
だけど、その幸せな気分も長くは続かったの。
砂浜から突如、巨大な怪物が静かな海面を破って現れてきた。深海棲艦だった。
それも軽空母ヲ級だった。クジラのような巨大な口と体に、ゴリラのような腕と脚が生えていた。
「グチググァン、ムッコロス・・・!!」
奇声をあげ、怪物が襲いかかる。
「まさか如月ちゃんを狙って・・・!」
「って言うかアレって船だよね!? なんで陸を動いてるの!?」
「恐らくヤツ等も進化して、陸上での活動が可能になったんだろう・・・」
「賢吾くん、冷静に解説してる場合じゃないからぁ!」
ミサイルや機銃が私たちを容赦なく襲う。
そのミサイルは私たちを掠め、街の方まで届いた。ガラスが割れ、悲鳴が上がる。たくさんの人が傷ついていく様子が簡単に想像できた。
(いや・・・、みんな傷つくのはイヤ・・・!)
そう思った私は二人の手を振り切り、深海棲艦の前に手を広げて立った。
「もうやめてぇっ!! 狙いは私でしょ? もう誰も傷つけないでっ!!」
「如月ちゃん!?」
「馬鹿な真似はよせ!早く逃げるんだ!」
二人の声が聞こえた。でも手遅れだった。私は深海棲艦の腕に捕まってしまった。
「イイガグゴドゥア・・・。マズバギザマグァラムッコロス・・・!!」
もうダメか・・・。
目を閉じたその時だった。
20:
「待て! その子に手を出すな!!」
何処からか、銃撃音が発せられる。その方向に目をやると、孔雀の羽を背中に携えた金色の戦士さんが空を飛んでいるのが見えた。
その戦士さんは銃のカードリーダー部に、コウモリのようなカードを読み込ませた。
『Scope』
コウモリのオーラが戦士さんの身体に吸い込まれ、戦士さんは銃弾を放った。
見事に銃弾が私を掠めてギリギリのところで深海棲艦の指に命中して、肉片を弾き飛ばした。
「・・・っ!?」
私は拘束から解かれて落下した。けど、戦士さんがすぐに飛んで来てくれて抱っこしてくれた。
「あ、あなたは・・・?」
「俺は橘、今はギャレンだ・・・。さっきは酷いことを言ってすまなかった・・・。君は必ず俺が守る!」
そう力強く言い残し、私を砂浜の後ろの方に下ろすと、橘さんは、ギャレンは、再び怪物へ向かっていった。
ギャレンは3枚のカードを取り出し、銃のカードリーダー部分に読み込ませた。
『Bullet,Rapid,Fire,Burningshot!』
ギャレンの後ろに3匹の動物のオーラが現れた。アルマジロが回転し、キツツキがものすごい勢いで嘴を動かし、ホタルが炎を上げる。
そしてギャレンは宙に舞い上がり、炎の銃撃を連続で浴びせた。
21:
狙いは正確。全て深海棲艦の眉間に命中した。でも、攻撃は効かなかった。ヲ級は傷一つさえもなかった。
「俺の攻撃が、効かない・・・!?」
逆に、ヲ級は機銃でギャレンを一斉掃射した。
「うわぁぁぁぁっ!!」
左腕の機械が銃弾を浴びて壊れ、翼が蜂の巣にされてしまう。そのまま、ギャレンは私の目の前に墜落しちゃったの。
「くっ・・・」
「ジャバボノハギエダ・・・、ツギバボマベダァ・・・」
深海棲艦がゆっくりと私に向かって迫ってきた。
「させるか・・・。この子に手出しはさせない!」
ギャレンは私の前に立ちはだかり銃撃を続ける。身体がボロボロにも関わらず。
でも深海棲艦は痛くも痒くもないといった表情をし、歩みを止めない。
「もうやめて・・・、逃げて・・・!」
やがて、深海棲艦は再び巨砲をこちらに向けて発射した。
橘さんは何も言わずに、カメの描かれたカードを取り出して銃に読み込ませる。
『Rock』
その瞬間、身体が岩のように硬くなり、鉄壁となって私を守ってくれた。
それも焼け石に水で、大砲の連撃ですぐに堅い鎧は壊れてしまった。
それでもギャレンは逃げなかった。
砲撃を受け、身体が傷つくことも構わずに、真正面に立って私を機銃からかばってくれた。
「ナズェダァ・・・、ナズェギザマラバ、オデダチニダチムガウ・・・? ナズェカンムスゥヲバモル・・・?」
「人間なら、当たり前だ! アイツもきっと、そう言うだろうからな・・・!」
「橘さん・・・」
私に背を向けたまま、もう一度ギャレンは必殺技を放つ。
再び、ギャレンの後ろに3匹の動物のオーラが現れた。
『Bullet,Rapid,Fire,Burningshot!』
そしてもう一度、炎の連弾を与える。だけど、まったく通用しない。ベルトが弾け飛び、変身が解除されてしまった。
それでも橘さんは立ち上がって私を庇い、十字の形で仁王立ちになった。
「トドメドゥア・・・!!!」
「いやぁぁぁぁ!!!」
機銃の無情な発砲音が耳に響いた。
22:
「小夜子、桐生さん・・・。俺も・・・」
諦めたかのように橘さんは呟いた。だけどその時、
『Powerdaiser!』
「俺のダチをこれ以上傷つけさせはしねぇ! ライダーロケットパンチ!!」
猛スピードで巨大な黄色い機械と弦太朗さんが駆けつけ、私たちを庇ってくれた。
弦太朗さんがライダーロケットパンチで、ヲ級を殴り飛ばす。
不意打ちを喰らい、ヲ級は砂浜に大きな砂埃を舞い上げて倒れっちゃった。
その隙に黄色いロボットさんがヲ級の脚を掴み、砲丸投げみたいに海へ投げ飛ばしちゃったの。
まるで大きな石を投げた池みたいに、大きな水柱ができた。
「大文字準、ただいま参上!!」
黄色いロボットさんが私たちを助けてくれた。コクピットからガタイの良いお兄さんがこちらに視線を向ける。
キラーン☆ そんな愉快な効果音が似合いそうな流し目ポーズを取った。
「俺達も、忘れないでほしいっすネ!!」
「ライダー部名誉会長、ただいま見参よ!」
「深海棲艦、ちょっといいかも・・・。でも、私の友達に手は出させない!」
いかにもチャラそうな顔をした男の人と、気の強そうなお姉さん、そして暗いオーラを纏った黒服の女の人がそれぞれ武器を携えて現れた。
賢吾さんとユウキさんもそこにいた。その手に食べ物のオモチャみたいな武器を携えて。
早弦太朗さんは一度変身を解き、橘さんに手を差し出した。
「ったく、橘さんは無茶しすぎだぜ・・・!」
「なに、このくらい、何ともないさ・・・」
ボロボロになりながら橘さんは答え、手を握り返した。
その体は血だらけで、どう見ても重傷そうなのに、まだ立ち上がろうとしていた。
「おっ、なんか弦太朗さんたちの卒業式を思い出しますねぇ!」とチャラ男さん。
「そう言えばアレ、アルゴ・ゾディアーツに似てるかも・・・」黒服のお姉さんが呟いた。
ヲ級は怒りに燃えて吠え出した。
「ギザマルゥァ・・・ナンニヴォノドゥア・・・!!」
「人類の自由と平和を守る部活、仮面ライダー部!!・・・のOBとOGよ!!」
気の強そうな女性が堂々と叫んだ。
24:
「・・・オノレ、イデヨ、ワグァジモヴェドゥモヨ・・・!!」
ひっくり返った身体を直そうともがいていた深海棲艦が奇声を上げると、突如海の底から無数の空飛ぶ海魔たちが現れた。
「すっ、スゲェ数だ・・・!?」
深海棲艦の艦載機だ。どれもこちらにミサイルを構えている。
でも、無数の爆撃機がミサイルを放とうとした瞬間、どこからか現れた蒼い流れ星が一気に弾き飛ばしちゃったの。
「流星さん!!」
黒服の女の人が嬉しそうに声を上げた。蒼い流れ星の中から、フォーゼによく似た戦士が現れた。
「ったく、いきなり香港から呼び出しやがって・・・。相変わらず無茶苦茶だなお前は・・・」
「へへっ、わりぃな流星・・・!」
「まぁいい。露払いはしてやるから思いっきり暴れて来い!」
「おぅ、サンキューみんな!」
「さぁ、仮面ライダー部! 同窓会の始まりよ!! 暴れるわよ!!」
気の強そうな女性が言った。
「仮面ライダーメテオ・・・! お前の運命は俺が・・・、俺達が決める! ホォワッチャァッ!!」
仮面ライダー部が大暴れした。私たちを庇うように深海棲艦の前に立ちはだかり、戦ってくれた。
巨大な黄色いロボットが艦載機を次々になぎ倒し、青い戦士がカンフーの連撃で次々と空中の敵を殴り倒す。
ユウキさんと賢吾さんは食べ物のオモチャを武器にして深海棲艦を翻弄し、強気そうな女の人と黒服の女の人とチャラ男さんが銃で撃ち落としていった。
仮面ライダー部の活躍で、艦載機は全て落とされちゃった。
26:
「ンナラブゥア・・・、ギザマラマドメデムッコロス!!」
深海棲艦がこちらへ向かい、砲塔を此方へ向ける。
弦太朗さんと橘さんは怯みもせずに、その前に立ちはだかった。
「行くぜ、橘さん!」
「あぁ!」
弦太朗さんはベルトを取り付け、スイッチを全てオンにした。
その横で、身体がボロボロの橘さんもベルトに手をやり、腰に装着した。
二人は拳を顔の横に構え、似たようなポーズを取った。
『3』
『2』
『1』
「変身!」
「変身!」『TurnUp』
弦太朗さんがレバーを引くと、上空に不思議な輪っかが浮かび、上から下へと移動していく。
その輪っかの中で宇宙に手を伸ばしていた弦太朗さんは白い仮面ライダーに変身していた。
同時に、橘さんの目の前に宝石のように輝くステンドグラスが張られた。
その綺麗なステンドグラスは飛んできた敵の攻撃さえも弾き返してしまった。
そのステンドグラスを橘さんが通り抜けると、その体を鎧が覆い、橘さんもまた仮面ライダーになった。
「っしゃあ!宇宙キター――――――ッ!」
「う、宇宙キター――――――ッ!!」
弦太朗さんと橘さんが、両腕を広げて湧き上がる宇宙の神秘の力を身体で表現した。
「深海棲艦! 仮面ライダーフォーゼと!」拳を突き出した弦太朗さんと、
「仮面ライダーギャレンが!」同じく拳を突き出した橘さんが、
「「タイマン張らせてもらうぜ!!」」
同時に力強く叫んだ。
28:
「弦太朗! まずは深海棲艦を氷漬けにするんだ!! フリーズとウォーターを同時に使え!」
賢吾さんが叫んだ。
「おぅ!まず、その前にヤツの動きを止める!!」
『Giantfoot,On』
フォーゼの脚にへんてこな靴が装着された。
脚を動かすと、深海棲艦の上にも巨大な足が現れる。あの巨体をあっさりと踏み潰しちゃった。
「ウェアァァ!!!」
でも、さすがに頑丈で、倒れることはなかった。
続いてフォーゼは装着したばかりのスイッチを取り外し、3つのスイッチをベルトに装填した。
『Rocket,Water,Freeze,On』
両脚に水道の蛇口と冷蔵庫がくっつき、右腕にロケットが装着される。すっごくへんちくりんな姿だった。
そのままフォーゼは空中へ舞い上がり、ベルトのレバーを引いた。
『Limitbreak!』
「ライダーブリザードクラッシャー!!」
フォーゼが脚をばたつかせながら深海棲艦に蹴りを入れる。でも、深海棲艦の堅い鎧には通じない。
「ハハハ・・・ギガヌァワ・・・オデハザイギョウダァァァ!!!」
でも、ヲ級が笑っていられるのもそれまでだった。
フォーゼの左脚から勢いよく噴き出した水が深海棲艦の身体に降り注ぎ、右脚から放たれた冷気がその水や周りの海水を凍らせちゃった。
やがて、巨大な深海棲艦の体は氷に包まれて動けなくなっちゃったの。
29:
「ツベタイ・・・ガラダガウゴガナイ・・・!」
「よし! 動きを封じたら、頭部の中心にリミットブレイクを叩き込むんだ!!」と賢吾さん。
「カテゴリーキング、力を借りるぞ・・・!」
『Evolution』
ギャレンがクワガタのカードを取り出し、銃に読み込ませる音が聞こえた。
でも、一見するとどうにもなっていないようだけど。一体何の意味があったんだろう?
「準備はできた! 行くぞフォーゼ!」
「あぁ、ギャレン先輩!!」
フォーゼはスイッチを入れ替えてレバーを引き、ギャレンは3枚のカードを銃に読み込ませた。
『Rocket,Drill,On』『LimitBreak!!』
『Drop,Fire,Gemini,Burningdivide!!!』
その直後、ギャレンの背後に三枚のカードが並び立った。鯨が踊り、蛍が燃え上がり、縞馬が分身する。
フォーゼはロケットの力で真上に直進し、ギャレンも同じくらいの高さまで飛び上がり、空中で二人に分身しちゃった。
「ダブルライダーバーニングドリルキィック!!」
分身したギャレンとフォーゼが、二人(三人)同時にライダーキックを放ったの!!
ダブルギャレンの炎の蹴り―確か踵落としって言うのよね?―が深海棲艦の頭部にクリーンヒット。
それに加えて、ドリルキックが身体を一気に貫いて穴を開けてゆく。あの堅い巨体があっけなく倒されてしまった。
「凍りついた体に連続で衝撃を浴びせることで、その堅い巨体も脆く崩れやすくなる!」賢吾さんが叫んだ。
その言葉通りだった。
「オノレ・・・オノレ・・・ガメンライダー・・・、ウワァァァァァァァァァァ!!!!」
深海棲艦の体にヒビが入る。堅い鎧が次々と壊れて、砕けてゆく。
やがて、怪物は業火に包まれ、沖合で大爆発を起こした。
「へへっ・・・!」
「・・・」
キックの余波で海中に突っ込んじゃったフォーゼが勝利の喜びを身体で表すようにこちらに腕を大きく振ってきた。
同じく海に浮かんでいたギャレンも控えめなサムズアップを交わしてくれた。
「やったぁぁぁっ!!」
「さっすが弦太朗さんっス!」
口々に勝利を祝い、ライダー部のみんなと一緒に、二人の仮面ライダーに手を振った。
それは勝利を祝う、ささやかな祝福だった。
30:
その事件から暫く経って落ち着いた後、私はいろはにほへと組大阪支部に引き取られた。
ちょっと変わってる人達ばかりだけど、みんな根は優しく温かい人ばかりだった。
はじめちゃんやしんちゃんともすぐに仲良くなれた。今ではみんなが家族みたいなものだった。
私はそこで看板娘として働いている。
「いらっしゃいませ・・・! あら、今日も来てくれたんですか?」
「如月ちゃんはかわぇぇからな。何度も来てまうわ!」と常連のおばさんが言ってくれた。
あれから、私にも夢ができた。
たいやきを食べる人達を笑顔にしたいっていう夢が。
そして、彼のように、弦太朗さんのようにたくさんの人と絆を紡ぎたいという夢が。
お店の勘定をしていると、扉の鈴が鳴る。お客さんだ。
「いらっしゃいませー!」と元気よく声を上げた。
すると、予想もしてなかった人が目の前に現れた。
「あ、あなたは軽空母の・・・!?」
それは、軽空母として戦っていた祥鳳さんだった。噂には聞いたことはあったけど、別鎮守府の人なので会うのは初めてだった。
「この子が新しくウチにバイトに来てくれた子やわ。よろしく頼むで、如月ちゃん」と了さん。
「もしかして、あなたも元艦娘だったの?」
「はい、よろしくお願いします!」
と私は頭を下げた。祥鳳さんも同じく深々と頭を下げる。
「そうだ、友だちのシルシ、やりましょう・・・」
「・・・友だちのシルシ?」
「握手してゲンコツをかち合わせるんですよ・・・!私の友だちから教えてもらったんです!」
「うん・・・、よろしくね如月ちゃん」
私たちは柔らかく握手を交わし、ゲンコツを優しくぶつけ合い、友だちのシルシを交わした。
弦太朗さん。
私にも、新しい友達ができたよ・・・!

32:
以上、如月SSでした。意外とフォーゼSSは書きづらく、苦労しました。
一応、設定上は艦これ放送当時と同じく2015年にしています。そういやこの頃だと、弦ちゃん達は大学3年生ですね。
ギャレンの消費AP計算も、参考までに書いておきます。
 5500+2400?1400?2200?1200?2200+4000?3400
左から順に
初期AP、ジャックフォーム増加分、スコープ、バーニングショット、ロック、バーニングショット、ギラファ増加分、バーニング如月
ただ、APはどのくらい経過したら回復するのか、変身解除したら回復するのか、そのへん一切不明ですが・・・w
あと「橘さんはこんなヒドイこと言わない!」と思われる方がいらっしゃったら、あらかじめお詫びいたします。
コメント返しは遅くなるかもしれませんので、予めご了承ください。
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