ヒキオタ「……よし」back

ヒキオタ「……よし」


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1:
ヒキオタ(風呂には入った。歯磨きもした。お金も持った。服装も問題ない……はず。臭いも大丈夫……だと思う)
ヒキ(他に何か忘れてるもの、ことはないかな?)
ヒキ(あ、髪は……仕方ないか。整えられるだけ整えていこう)
ヒキ(……あと他には?)
ヒキ(――四年ぶりに家を……部屋を出るんだ。……気をつけ過ぎなんてことは有り得ない)
ヒキ「……よし」
3:
DQN「……あー」
DQN(気分マジ悪……スカッとしねえ……)
DQN(大体なんだよあのクソババア……。今更だっつーの……)
DQN(こういうときは憂さ晴らしをするにかぎんだけどなあ)
DQN「――お?」
5:
ヒキ(結局ドアを開けるのに丸々一時間半を使ってしまった……)
ヒキ(……)
ヒキ(日差しが痛い……)
ヒキ(まとわりつく空気が気持ち悪い……)
ヒキ(人の気配が、視線が恐ろしい……)
6:
ヒキ(……全然だめじゃないか僕)
ヒキ(ネットじゃあんなに強気だってのにちょっと外出ただけでこれか)
ヒキ「……死にたい」
DQN「じゃあ死ねよ」
7:
ヒキ「え……」
DQN「何なんだお前。さっきから見てたけどよ、妙に挙動不審じゃねえか」
ヒキ「あ……その」
ヒキ(でっかい傷……良くない人だ……)
DQN「妙におどおどしやがってよ、見てて気分わりーんだよ。つーかきめぇんですけど」
ヒキ「……いや、僕」
DQN「僕? 何、お前あれ? オタクって奴? 今はやりの?」
ヒキ「え……ちが」
8:
DQN「違わねーだろ、そんななりしやがってよ。オタクだよオタク」
ヒキ(……当たってるだけに否定できない……)
DQN「つー訳でよ、迷惑料払ってもらいてえんだけど」
ヒキ「……え」
DQN「お前みたいなクズ外にいるだけでマジ不愉快。大人しく家に篭ってろっつーの。お前それ破ったんだから、俺に慰謝料払うべきだろ
 。 そうだよな?」
ヒキ「……え?」
DQN「そうだよな?」
ヒキ「……えっと」
DQN「そうだよなって聞いてんだよゴミクズ!!」ガシッ
ヒキ「ひっ……!」
9:
「ちょっと! 何やってるのよ!」
DQN「ああ?」
「さっきから見てたんだから。カツアゲでしょ? 止めなさいよ」
DQN「ちげーよ、こいつは俺のトモダチ。他人の話に首突っ込むんじゃねーよ」
「そうなの?」
ヒキ「ち、ち、ちが……」
「違うみたいよ」
DQN「……チッ」
ヒキ(い……行っちゃった……)
10:
ヒキ「あり……ありが……とう、ござ」
「ううん、別にいいのよ」
ヒキ「……でも」
「いいから。次からまれないように気をつけるのよ。じゃあね」
ヒキ「あ……」
ヒキ(……)
ヒキ(フラグかと思ったのに……)
11:
ヒキ(そういえば自分の声聞いたのなんて四年ぶりだ……)
ヒキ(いや……そんなことより……)
ヒキ(真っ直ぐ歩けない)
ヒキ(……)
ヒキ(青空が……)
ヒキ(……怖い)
ヒキ(雨の日に出歩けばよかった……)
12:
ヒキ(……)
ヒキ(……)
ヒキ(……街中はいやだ)
「――ハハ、それでよ――でさ」
「えー、マジで? ちょーうけるー」
「あいつちょーキモかったもんな」
「――ハハッ」
「――ギャハハ……」
ヒキ(……街中はいやだ)
13:
店員「いらっしゃいませー」
ヒキ(……いい匂い。花屋なんてなんて何年ぶりだろ?)
ヒキ(五……いや六年ぐらい、かな)
ヒキ(それより……えーと、どの花がいいんだっけ?)
ヒキ(……)
ヒキ(……店員の視線が痛い……)
14:
店員「どうかされましたか?」
ヒキ「っ……。い、いえ別に……」
ヒキ(声が裏返った……。恥ずかしい……)
店員「どの花をお探しでしょうか?」
ヒキ「え……あ……その」
店員「はい?」
ヒキ「いや……えっと……」
店員「はあ」
ヒキ「……ご、ごめんなさい……っ」ダッ
店員「あ」
店員(……なんだったんだろう?)
15:
ヒキ(もういやだ……)
ヒキ(帰りたい……)
ヒキ(帰ってネットがしたい……)
店員『何さっきの客。マジキモイ』
ヒキ(いやだ……)
ヒキ(死にたい)
ヒキ(死にたい。死にたい、死にたい、死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい)
16:
DQN(チッ……スーパーなんてダサいところ、久々に来たぜ)
DQN(ああウゼェ。さっきのも気にくわねえし。万引きでもしちまうか?)
DQN(それもかったりーな)
「ゼリー二点で二百十円です」
DQN「……」チャリン
DQN(……ウゼェ)
17:
ヒキ(あ、アヒルが泳いでる……)
ヒキ(テレビを通さない本物なんて久しぶりに見た……)
ヒキ(……)
ヒキ(……僕はなにやってるんだろう)
ヒキ(こんな公園の隅っこのベンチに縮こまって……)
ヒキ(目的地までの道順も分からず……)
ヒキ(かといって帰るわけにもいかないし……)
ヒキ(まずい、泣きたくなってきた……)
ヒキ「……っ」
ヒキ(泣くな……。泣くな、僕)
18:
ヒキ(……それより、道が分からないのはいかんともしがたい)
ヒキ(……人に聞く?)
ヒキ(……無理! 絶対無理!)
ヒキ(じゃあ、書店に行って地図を買う?)
ヒキ(……さっきの二の舞だ……)
ヒキ(こんなことになるんだったら、あらかじめパソで調べてプリントアウトしとくんだった……)
ヒキ「……はぁ」
DQN「おい」
19:
ヒキ「ひゃい……!?」
DQN「おー、やっぱりさっきのじゃねえか。元気してた?」
ヒキ「……え、えと」
DQN「お前、卑怯だよな。第三者に助けを求めるなんてよ」
ヒキ「そ、それは……」
DQN「まあ、そんなことはどうでもいいんだよ。俺今よ、財布が寂しいことになっちゃてんの」
ヒキ「そ、それが何か……?」
DQN「だーかーらー、ちょっとばかしカンパしてくれって言ってんだよゴミ」
ヒキ(で……ですよねー……)
20:
DQN「ここじゃさっきみたいに助けははいんねーぞ」
ヒキ「っ……」
DQN「観念して財布出せよ、財布」
ヒキ(どうしようどうしよう……)
ヒキ(周りには……誰もいない……。万事休す……)
DQN「オラッ、早く出せよ」ドン
ヒキ「痛……っ」
21:
ヒキ(……)
ヒキ(……)
ヒキ「……分かり、ました」
DQN「おー、やっと飲み込めたか馬鹿。さっさと出せよ」
ヒキ「で、でも条件があります……っ」
DQN「あン? アホかお前。この状況分かって――」
ヒキ「○○総合病院っ!」
DQN「うお……!」
ヒキ「……○○総合病院までの、道を教えて、下さい……」
22:
DQN「……」
DQN「病院?」
ヒキ「は、はい」
DQN「お前病気持ちかなんかなのか?」
ヒキ「ぼ、僕じゃありません……。母さんが……」
DQN「お袋が?」
ヒキ「入院、してるんです」
DQN(……!)
23:
DQN「……何だってまた」
ヒキ「……」
ヒキ「……僕は」
ヒキ「僕は……母さんを殺しかけたんです」
 ※
25:
イケメンに限る
26:

DQN「歩くのおせーな、きびきびついて来いよ」
ヒキ「ひい……ひい……」
ヒキ「……あの、何処に向かってるんですか?」
DQN「決まってんだろ、○○総合病院だよ」
ヒキ「……え?」
DQN「……」
ヒキ「どうして……」
DQN「……行き先が、同じなんだよ」
27:
ヒキ「ま、まだお金払ってませんよね……?」
DQN「取られたいのか?」
ヒキ「! い、いえ!」
DQN「そんなことはどうでもいいんだよ」
DQN「それよかさっきの話は本当なんだろうな?」
28:
DQN「お前がお袋殺すところだった、ってのはよ」
ヒキ「…………はい」
29:
ヒキ「ちょっと話が長くなります……」
DQN「前置きはいいからさっさと話せよ馬鹿」
ヒキ「す、すみません。」
ヒキ「……僕はその……引きこもりなんです」
DQN「見りゃ分かるよ阿呆」
ヒキ「……」
ヒキ「……僕の家は普通よりちょっとだけ裕福でしたから、僕が引きこもったときもそんなに問題はありませんでした。」
ヒキ「……もっとも、最初の頃は何度も何度も引きこもりを止めるよう説得されましたが」
DQN「そりゃ、普通はな」
ヒキ「僕は止められなかった。引きこもっている方が表面上は楽に生きられたから……」
30:
ヒキ「一年を過ぎた頃、事態が変わりました。父さんがリストラに遭ったんです」
DQN「はは、そりゃ大変だ」
ヒキ「……すぐに再就職先は見つかりました。でも、収入はガクンと落ちた」
ヒキ「母さんも働きに出るようになりました。そのときには僕の家の生活レベルはかなり低いところまで下がってましたね」
DQN「お前は?」
ヒキ「…………相変わらず、です」
DQN「ははっ、ひっでぇな」
31:
ヒキ「母さんは毎日遅くまで働いて帰ってきました。」
ヒキ「いつも大丈夫、大丈夫と言っていましたが、僕は母さんの手ががさがさに荒れてしまったのを知っています……。
 顔色もいつも悪かった……。何より前よりもずっとやつれた……」
DQN「それでもお前は相変わらず引きこもっていた、と」
ヒキ「…………」
ヒキ「……僕は人間に向いていないんです。きっと……」
32:
ヒキ「……そんな母さんが倒れるのも時間の問題でした」
ヒキ「一週間前、リビングで大きな物音がしました。僕はなんだろうと思いましたが、パソコンにかじりついたままでした」
ヒキ「でも、やっぱり気になって行ってみると――」
DQN「お袋が倒れていたと」
ヒキ「僕は慌てました。あちこちぶつかって、ゴミ箱を蹴倒しました。でもどうすればいいかわからなくて……。暫く呆然とした後――」
ヒキ「…………部屋に戻ってパソコンに没頭しました」
33:
DQN「……」
ヒキ「……」
DQN「……最低だな、お前」
ヒキ「……自分でも、そう思います」
ヒキ「でも僕は何もできなかった」
DQN「救急車でも何でも呼べよ」
ヒキ「…………怖かったんです」
DQN「ああ?」
ヒキ「電話をして人と話すのが……」
DQN「……」
34:
ヒキ「みっともなくガタガタ震えながらネットサーフィンをしてました」
ヒキ「幸いすぐに父さんが帰ってきて、母さんは病院に運ばれました」
DQN「親父には何か言われなかったのかよ」
ヒキ「……何も」
ヒキ「それが逆に辛かった……」
DQN「自業自得だけどな」
ヒキ「はい…………」
35:
DQN「なるほど。確かにお袋、殺されかけたな」
ヒキ「……」
DQN「じゃあ何で見舞いになんか行くんだよ、合わせる顔がねえじゃんか」
ヒキ「……その通りです」
ヒキ「でも……。僕は母さんに会いたい……」
ヒキ「会って、ちゃんと謝りたい……!」
ヒキ「それが引きこもりにできるたった一つの償いだから……」
DQN「そういうもんかねえ」
36:
DQN「……ついたぞ」
ヒキ「わあ……」
ヒキ「大きい……」
DQN「当たり前だ馬鹿」
ヒキ「白い……」
DQN「見りゃ分かるだろ阿呆」
ヒキ「……病院なんて久々にみたから……」
DQN「この引きこもりが……」
37:
  
   ※
ヒキ「君は誰のお見舞いに来たんですか?」
DQN「……ちげーよ」
ヒキ「……でも、君は病人には見えないよ」
DQN「……」
DQN「……」
DQN「……お袋だよ」
38:
ヒキ「君も、お母さんの?」
DQN「……ああ」
ヒキ「お母さん、何かの病気なの?」
DQN「……まあな」
ヒキ「……早く良くなるといいですね」
DQN「思わねーよそんなこと」
ヒキ「……え?」
39:
DQN「あのクソババアはよ、もう二年も入院してやがんだ」
DQN「だが体調が回復して欲しいなんて思ったこともないね」
ヒキ「……それはまたなんで」
DQN「あいつはな、幼児虐待者なんだよ」
ヒキ「え?」
40:
DQN「俺が幼稚園ぐらいのときかな。俺の親父が死んだんだ」
ヒキ「……ご病気?」
DQN「事故だよ。ふらふら道路に出たちっせえ俺をかばって、な」
ヒキ「……」
DQN「保険は下りたんだ、幸いな。親父、何でか知らんけど生命保険に入ってたらしくてな。だからとりあえず生活に困ることはなかった」
DQN「けどよ、あのクソババア、何をトチ狂ったか育児放棄しやがった」
DQN「それだけじゃねえぜ。俺のせいで親父が死んだって恨んでるらしくてな、俺に暴力を振るいやがった」
41:
DQN「叩くのなんて序の口だ。それによ、叩くって手でじゃねえぜ。フライパンだよフライパン」
ヒキ「…………よく死ななかったね」
DQN「所詮女の腕だからな。それに人間、案外丈夫なもんだぜ」
DQN「あとコンロの火で手をあぶられたりよ。はさみで切りつけるのが一番好きだったみてえだけどな」
ヒキ「その顔の傷……」
DQN「おう。これは一際深くてな、ばっさりいったぜ。あん時は流石にやりすぎたって思ったのか、手当てしてもらったけどな」
42:
ヒキ「酷いね……」
DQN「それでも俺は今、ぴんぴんしてるぜ。あのクソババアなんかに負けるかっつーの」
DQN「だから俺はお前らみたいなびくびくした奴が嫌いなんだよ。
 情けねえ、虐待された俺はこんなにしっかりしてるってのによ!」
ヒキ「なんか……ごめん」
43:
DQN「お決まりに俺はぐれて、家には一月に数えるくれえしか帰らなくなったよ。で、ある日帰ったらお袋が居ねえんだ。その次も居ねえ」
DQN「ぶっ倒れて入院したって聞いたのはその数週間後だ」
ヒキ「えーと……ご愁傷さま」
DQN「全然。むしろやったと思ったね。家は俺だけのものになった。まさにパラダイスだ」
DQN「二年間ずっとそんな調子でよ、昨日帰ったら電話がきやがった」
DQN「あのクソババア危篤だそうだ」
44:
ヒキ「……」
DQN「それでよ、あいつうわごとで何て言ったと思う?」
DQN「俺に会いてえ、だってよ」
45:
DQN「ふざけんな、って思ったね」
DQN「散々俺を痛めつけやがって俺に会いたい?」
DQN「アホか!」
ヒキ「っ……」
「病院内はお静かにお願いしまーす」
ヒキ「ご、ごめんなさい……」
46:
「ヒキさーん、面会どうぞー」
ヒキ「あ……」
DQN「言って来いよ。俺の話は終わりだ」
ヒキ「いや、そうじゃなくて……」
DQN「ああ?」
ヒキ「お、お見舞いの品忘れてた……」
DQN「……」
47:
DQN「しかたねえな……これ、持ってけよ」
ヒキ「……ゼリー?」
DQN「クソババアが好きなんだ、二つあるから一つ持ってけ」
ヒキ「……でも」
DQN「いいから」
ヒキ「えと……ありがとう」
ヒキ(……お見舞いの品として、ゼリー一個ってありなのかな?)
48:

ヒキ(……)
ヒキ(……)
ヒキ(……母さん)
ヒキ「……」コンコン
「どうぞ……」
ヒキ「……」ガチャ
「……あら?」
ヒキ「……」
「……ヒキちゃん」
ヒキ「……」
「……いらっしゃい」ニコ
49:
ヒキ「……」
ヒキ「……」グスッ
ヒキ「……ご、ごめ……」
「うん」
ヒキ「……ごめんな、さい」
「うん」
50:
「お父さんから聞いたわ、ヒキちゃん、慌てちゃって何にもできなかったって」
ヒキ「……うん」
「でも、ヒキちゃんは悪くないわ。ちょっとびっくりしちゃっただけだものね」
ヒキ「……」
「……」
ヒキ「……」
「……ヒキちゃん、よく聞いて?」
ヒキ「……」
「お母さんはヒキちゃんのこと怒ってないわ」
ヒキ「……え?」
「他の誰が怒ったって、お母さんだけはヒキちゃんのこと恨まないわ」
ヒキ「母さん……」グスッ
51:
「それにねお母さん、倒れちゃったこと、良かったって思ってるの」
ヒキ「……?」
「だってね、ヒキちゃんがお見舞いにきてくれたのよ?」
「あの怖がりなヒキちゃんがよ?」
「私のためにわざわざこんな遠いところまで……」
「……ヒキちゃん」
「ありがとう、ね」
ヒキ「……母さん」
52:
ヒキ「僕の方こそ、ありがとう……!」
53:

ヒキ「……あ」
DQN「おう。目、赤いぞ」
ヒキ「……」ゴシゴシ
ヒキ「……そっちはどうだった?」
DQN「駄目駄目。面会謝絶だってよ。まあ、危篤状態じゃ当たり前か」
ヒキ「これからどうするの?」
DQN「どうするって……。普通に帰ってメシ食って風呂入って寝るぞ? それがどうかしたか?」
ヒキ「……」
ヒキ「……お母さんについててあげなよ」
54:
DQN「あ?」
ヒキ「危篤なら尚更だよ」
DQN「……そんな義理ねーよ」
ヒキ「お母さんが回復した時、君の顔を見れたら喜ぶと思う」
DQN「そんなわけねーだろ。あのクソババアだぞ?」
ヒキ「……」
ヒキ「僕のやってるエr……ゲームじゃ当たり前に人が生き返ったりするけど……」
DQN(エrってなんだ?)
ヒキ「現実じゃそんなこと起こらないから……」
55:
ヒキ「だから……」
DQN「……でもよ」
ヒキ「でも、じゃないの!」
DQN「っ……。叫ぶなよ……」
「お静かにー」
56:
DQN「……分かったよ。付き添ってりゃいいんだろ」
ヒキ「うん」
DQN「……ったくしかたねーな、今回だけだぞクソババア」
57:

DQN「じゃあなー」
ヒキ「うん!」
DQN(あいつ、元気になったな)
DQN(……)
DQN(……集中治療室、か。ドラマの中でしかみたことねえや)
58:
DQN(なんで俺がクソババアを待たなきゃいけないんだろうな)
DQN(あのクソババアの方はろくすっぽ俺の世話もしなかったくせに)
DQN(おかげで俺の料理スキルは駄々上がり。不良の得意料理が肉じゃがってのは笑えるよな)
DQN(あのクソババアは、それすら自分の手柄のように言いそうだから困る)
59:
DQN(……クソババアが俺を虐待しなくなったのっていつだったっけか)
DQN(中学……入ってからだったけか。俺の背が伸び始めてクソババアの背に追いつくかつかないかって頃)
DQN(あいつが殴ってきたから、ちょっと殴り返してみたんだった)
DQN(びっくりしたな。次の日からは何にもしてこねえんだもんよ)
DQN(妙にびくびくしてよ。惨めったらしいったらありゃしねえ)
DQN(爽快……ではなかったな。何だろうね、心の底の方にヘドロみたいのが溜まってきやがった)
DQN(マジ胸糞悪い……)
60:
DQN(じゃあ逆によ、虐待が始まったのっていつだったかな)
DQN(親父の葬式が終わってから……一週間てところか?)
DQN(そうそう。湿っぽくメシを食ってたら、あのクソババアいきなり震えだしてよ)
DQN(俺は気付いたらテーブルの足元に転がってたんだっけ。
 頬が妙にジンジンしてよ。ひっぽたかれたって分かったのは暫くしてからだったな)
DQN「じゃあ、その前は……?」
61:
DQN(その前は……)
DQN(親父がいて、お袋は優しくて、俺は幸せで)
DQN(幸せで……)
62:
『ねえねえお母さん、おやつちょうだーい』
『……しょうがないねえ、何がいいかい?』
『えーと、おれねえおれねえ』
『ゼリーがいい!』
DQN「あ」
63:
『ゼリーかい。しょうがないねえ。お前はゼリーが大好きだもんねえ』
『うん、大好きー。お母さんは何が好きー?』
『お母さんは……。お母さんもゼリーかねえ』
『おれのこーぶつだから?』
『そうだね、お前が好きだからね』
64:
DQN「……」zzz
「DQNさん! DQNさん!」
DQN「んあ……?」
「お母様がお目覚めになりましたよ!」
66:
「峠は越えました。まだ喋れるかどうかは微妙ですが顔を見るくらいはできますよ」
DQN「ありがとう……ございます」
「いいえ」ニコ
67:
DQN「……」
DQN「……お袋」
「……」
DQN「……」
「……」
DQN「……」
「……DQN」
68:
「……泣くんじゃないよ……この馬鹿息子……」
DQN「泣いてる、のは、クソババアの、ほうじゃねえか……!」
69:

――数日後
ヒキ「あ」
「久しぶりね」
ヒキ「ど、どうも」
「あれからどう? またからまれたりしてない?」
ヒキ「だ、大丈夫です」
「良かった。これから例のお見舞い?」
ヒキ「はい!」
「そう。気をつけてね」
ヒキ「ありがとうございます!」
70:
DQN「よう」
ヒキ「あ、DQN君。元気そうだね」
DQN「ヒキの方もな」
ヒキ「そうだ、これ例のブツだよ」
DQN「お、サンキュ。えーと、くらなど……だっけか」
ヒキ「面白いよ!」
71:
DQN「お前変わってるよな。こんなアダルトゲーム集めてるなんてよ」
ヒキ「僕は泣きゲー専門だよ」
DQN「……その僕っての、やめたほうがいいぞ」
ヒキ「何でさ」
DQN「せっかく顔は悪くないのにもったいない。まあ、美人て程でもないけどよ」
72:
ヒキ「……ほんとに?」
DQN「ああ、化粧覚えればなおよくなる」
ヒキ「そ、そうかな」
DQN「あのよ」
ヒキ「何?」
DQN「その……。見舞いが終わったらどっか遊びにいかね?」
ヒキ「えー……」
DQN「だ、駄目か?」
ヒキ「駄目っていうかぼ……私、遊ぶ場所知らないよ。漫喫以外」
73:
DQN「あ、ああ、そういうことなら俺が色々と教えてやるよ」
ヒキ「ほんと? なら行く!」
DQN「よっしゃ! じゃあさっさと済ませちまおうぜ!」
ヒキ「よし!」
終わり
74:
最後まで読んでくださった方、長時間駄文にお付き合いくださりありがとうございます。
初SSということでお見苦しい点が多々あったかと思いますが、ご容赦頂ければ幸いです。
またお会いすることがあればよろしくお願いいたします。
では。
7

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