やよい「えーっ伊織ちゃん虎になっちゃったんですかー?」back

やよい「えーっ伊織ちゃん虎になっちゃったんですかー?」


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1:
765プロダクションの水瀬伊織は才気煥発、若くしてCランクアイドルに名を連ね、
ついで竜宮小町のリーダーに補せられた事を皮切に、みるみると頭角を現し、
横溢する濁流が如き快進撃により、業界は彼女の名を知らぬ者が居ない程であった。
しかして彼女は性、狷介、自ら恃むところ頗る厚く、メジャーアイドルに甘んずることを潔しとしなかった。
己が能力を標準として、他にもそれを要求し、それができないからガミガミ怒鳴りつける伊織を、
他のメンバーが彼女をあまり有難い朋輩と思わなかったのは自然である。
幾何も無くグループは解散、彼女は独立した。
2:
爾来、彼女は故山の棲家に篭もり、人との交を絶って、ひたすら詩作に耽った。
下吏となって凡人のトレーナーに教えを乞うよりは、
山抜く己が実力を、単孤無頼の独人になりて世に知らしめようとしたのである。
しかし成果は容易に揚らず、父母の視線は日を逐うて刺々しくなる。
彼らは常に、伊織の右の肩越しに博学才穎の長男を、左に天資儁才の次男を見ていた。
伊織は漸く焦燥に駆られてきた。
この頃からその容貌も峭刻となり、肉落ち骨秀で、額のみ徒らに煌々として、
曾てCランクアイドルに及第した頃の、天才美少女伊織ちゃんの面影は、何処にも求めようがない。
3:
腹が減れば書物をドアに投げ当てた。花瓶を故意に落として割ることもある。
すると、決まって初老の執事が飛んで来る事を伊織は心得ていた。
執事としても彼女の特殊な腹鳴を理解していた。
「早かったわね新堂」
果たして執事が現れても伊織はそちらを見ず、手元の罫紙のみを凝乎と見詰め、朗読するように菓子の類を要求した。
「お腹が減ったわ、ビスケットを持ってきて頂戴、散らばった本の片づけもお願いね?」
5:
水瀬家に傅く者において最も有能であると噂される執事、名は新堂
彼は伊織がややごの時分から水瀬家に片膝をついて従事して来た。
他力本願的籠城が一周年たる節目の日出、彼は朝日に目が眩んだと思いきや、
彼はゆらりゆらりと灯火の如く無辺を漂いながら膝から崩れ落ちてしまった。
7:
伊織はとうとう、勘当の旨を父から告げられた。
彼女を擁護する者は意識を手放して久しく、爾来、彼女の孤立は山を抜く勢いである。
伊織は、反論するでも無く、受諾するでも無く、カッと目を嗔らせた。
すると突如、彼女の額が烈日の如く光り輝き、乱反射して閃光が四方八方に散乱した。
咄嗟に目を庇った掌を放した時、既に娘の姿は無く、そこには数粒の蕎麦の実が転がっているのみであった。
9:
ふと眼を覚ますと、765プロダクションの事務所である。
気が付くと伊織は、事務所のソファに身を沈めつつ、無機な視線の居場所を眼前のテレビに求めていた。
後で考えれば不思議だったが、その時、伊織は、この超自然の怪異を、実に素直に受容いれて、少しも怪もうとしなかった。
それから彼女は、次々とデビューを決めていく若輩を傍目に、事務所のソファで日を落とすことが多くなった。
一方これは、無為な己の鍛錬に半ば絶望したためでもある。
14:
そうしていると、既にはるか高みに進んだかつての同輩が、
幾度なくテレビの向こう側から語りかけて来た。
彼女が昔、鈍物として歯牙にも書けなかったその連中に向こう側から歯磨き粉を販促される事が、
往年の儁才伊織の自尊心をいかに傷つけたかは、想像に難くない。
15:
「55週間は何事も為さなさぬにはあまりにも長いが、何事かを為すにはあまりにも短い。
せいぜい刻苦して、然る後瓦に伍したまえ。」
伊織はデビューが決まったアイドルには決まってこう言い、時には失笑と顰蹙を買っていた。
特に彼女抜きの765プロ感謝祭のライブが成功した暁には、火花のように、雷光のように、毒のある花粉のように
彼女の嫉妬深い悪意の微粒子が事務所中に散乱した。やたらめったら漂う赤リボンだ。金色のイラガ。自殺の名所。
不人気双生児。内輪を堀荒らすヒメミミズ。絶対生えてる。アルビノの大蛇。男色家の玩具。痴呆の過ぎた家なき子。
19:
彼女は往々として楽しまず、狂悖の性は、愈々抑えがたくなった。
その日の宵、ついに発狂した。急に顔色を変えてソファから飛び上がったと思えば、
アルミのドアを蹴破って「デコちゃん!デコちゃん!」と何かわけのわからぬこと叫びつつ、
階段を転がり落ちて、闇の中へ駆け出した。
彼女は二度と帰ってこなかった。
21:
「レッスン場に幽霊が出ると言うんだよ。ちょっと君、調べてきてくれないか」
翌年、敏腕プロデューサー、赤羽根健治という者、指令を受けてその部屋に入った。
部屋の側面の鏡が、閑散とした薄暗闇を孕んでいた。
赤羽根が鏡の前を通っていった時、果たしてもう1人の健治が鏡の中から躍り出た。
あわや赤羽根に躍りかかるかと見えたが、たちまち見を翻して、もとの鏡に戻った。
24:
鏡の中から女性の声で「危ないところだった。」と繰り返しつぶやくのが聞こえた。
その声に赤羽根は聞き覚えがあった。
驚懼のうちにも、彼はとっさに思いあたって、叫んだ。「ひょっとして、伊織か?」
拒絶したものの、友人の少なかった伊織にとっては、赤羽根は唯一口を聞く大人であった。
温和な赤羽根の性格が、峻峭な伊織の性情と衝突しなかったためであろう。
25:
鏡の中からは、しばらく返辞がなかった。しのび泣きかと思われるかすかな声が時々
洩れるばかりである。ややあって、鏡の赤羽根が答えた。
「そうよ、私が水瀬伊織よ。」と。
29:
赤羽根は眼前に佇む摩訶不思議に対し、懐かしげに久闊を叙した。
そして、鏡の前に立ち、写った自分と対談した。
蒸発に関する噂、プロデュースしたアイドルの現在の地位、それに対する伊織の祝辞。
それらが語られた後、赤羽根は、伊織がどうして今の身となるに至ったかを訊ねた。
30:
鏡の中の赤羽根は次のように語った。
今から一年ほど前、事務所のソファで一睡してから、ふと眼を覚ますと、美希が自分を呼んでいたわ。
声に応じて外へ出てみたら、声は闇の中からしきりに未だに上手くいかない成果をいびってるのよ。
無我夢中で走ってるうちに、こめかみがみるみる盛り上がって、
何か身体中に力が満ち満ちたような感じで、軽々とビルの谷間を飛び越えていったの。
此処の鏡に姿を写してみると、既にブサイクな鬼になっていたわ。
私は天邪鬼になったの。
31:
最初は自分の眼を信じなかったわ。次にこれは夢に違いないって考えた。
それで、どうしてもこれが現実だって認めないといけなくなったとき、私は死んでやるって思ったの。
でも、その時、やよいがレッスン場に現れたのを見た途端に、私の中の人間はいきなり姿を消したのよ。
再び私の中の人間が目を覚ました時、私の口はやよいの少なくない量の髪の毛を含み、やよいは怖がって泣いていたわ。
これが天邪鬼としての最初の経験よ。
32:
それ以来何度も私じゃない私が悪さを重ねていたわ。
でも一日のうちに必ず数時間は人間の心が帰ってくるの。
そういう時にはいつもみたいにイタリア語や中国語も話せるし複雑な計算もできるのよ。
その人間の心で自分のやった悪さを思い出して、自分の運命について考えるときが一番怖くて辛いのよ。
しかもその人間になる時間も段々少なくなっていく。
今まではどうして私は天邪鬼になったかと怪しんでいたのに、この前ひょいと気が付いて見たら
己はどうしてこの前人間だったかを考えていた。
習慣は我々の王者である。今少し立てば己の中の人間の心は、鬼としての習慣の中にすっかり埋もれて消えて了うだろう。
33:
人間であった時、天資英邁の長男、才学非凡の次男の下で劣等感を飼いふとらせ、
それから逃れる為にアイドルになった。
竜宮小町に任命されたものの、自分にとってメンバーは桎梏でしかなく、
失敗する都度、人知れず嫌厭の情を起こしていた。
そして、 独立した後は、努めて人との交わりを避けた。
人々は自分を倨傲だ、尊大だと言った。
だが、かつての郷党の鬼才とまでいわれた己に、自尊心などなかった。
足蹴にする者から逃げていただけなのだ
34:
お父様が言うには人間はだれでも猛獣使いであり、
その猛獣にあたるのが、その人の性格なんですってね。私の場合、この臆病な劣等感が猛獣だったのかしら。
天邪鬼だったのよ。
これが自分を損ない、アンタを苦しめ、仲間を傷つけ、果ては、自分の容姿をこのように、
内心にふさわしいものに変えてしまったのよ。
今思えば、全く、私は、私のもっていたわずかばかりの才能を無駄にしてしまったわけなのね。
37:
往年の悔いに胸を灼かれて、自分が、自分で無くなってしまう前に、ひとつ頼んでおきたいことがあるのだ。
赤羽根は息をのんで、鏡の声の語る不思議に聞き入っていた。声は続けて言う。
ほかでもない、自分は歌もそうだが、作詞家としても名を成すつもりでいた。
しかも、業いまだ成らざるに、この運命に立ち至った。かつて作るところの詩数百篇、
もとより、まだ世に行われておらぬ。
そのうち、作曲を手がけ、今なお記誦せるものが数十ある。これを我がために伝録していただきたいのだ。
赤羽根は帳面を開いた。
伊織の歌声は鏡の中から朗々と響いた。
38:
わがままいって メッ!
ごめんなさいね シュン…
だって本当の ネェ!
私を教えたいんだもん
いつでもそばに チュッ!
どうもありがとう ホッ…
幸せいっぱい キュッ!
夢いっぱいの今日を見よう???
P「ティンときた!」
39:
おわり!!!!!!!!
4

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