メイド「せっかくお土産買ってきたのにな」back

メイド「せっかくお土産買ってきたのにな」


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1:
メイド「すきとおるっちぃさなあまだれをぉ」バサッ
メイド「おとぉしぇてぃしまう」バサバサ
メイド「でぇもなかーないでいーますぐぅ」ポンポン
――ザリッザリッ
メイド「!」
メイド「かぁぎをあけたげるぅー」
ぱたぱたぱた・・・
6:
――ガチャコン
男「」ソローリ
メイド「お帰りなさいませ、男様」
男「げ、お前いたの」
メイド「げ、じゃありませんよ。窓は出入りする場所ではないですよ」
メイド「だいたい今何時だと思ってるんです?こんな夜中までぷらぷらぷらぷらp」
男「あーはいはい、てか勝手に部屋入るなよなぁ」
メイド「奥様が心配していましたよ」
男「・・・ん、お前から帰ったこと伝えてよ」
メイド「かしこまりました」
8:
冥土の土産ってかw
9:
メイド「夜遊びも大概にしてくださいね」
男「あーそう、でもさ・・・俺、もうすぐ二十歳」
メイド「知ってますよ?でもまだ半年もあるじゃないですか、気がお早いですね」
男「・・・じゃなくてさぁ」
男「女ならまだしも!今年二十歳の男!別に心配されることなんか何もないじゃん、子供じゃないんだし」
メイド「大人だったら、どこかに泊まるときは連絡の1本はしますよ」
メイド「連絡もなしに帰って来ないんじゃ、大人だろうが子供だろうが心配になるに決まってます」
男「お前も心配した?」
メイド「・・・もちろんです」
男「そうか、そうか」ニコニコ
11:
メイド「・・・これからはちゃんと連絡するようにしてくださいね」
男「はーい」
メイド(ふふ、かわいいとこもあるんだよね)
男「てかさぁ、お前だいぶババくさくなったよな!今いくつだっけ?」
メイド「(前言撤回)もう休まれますか?」
男「(無視かよ)・・・うん、疲れた寝るわ」ゴローリ
メイド「お風呂は?」
男「入ったからいいや」
メイド「・・・かしこまりました、では失礼します」
男「ちょっと」
メイド「何か?」
男「布団かけてー」
12:
メイド「はい」フサッポンポン
男「んー今日これ干したの?」
メイド「よくお分かりで」
男「あったけーんだもん」
メイド「・・・今日、男様が帰られる気がしたんです」
男「へぇ、ピッタシじゃん」
メイド「ええ、ではお休みなさい」
前にも少し書いたんだけど落ちたから立てた。
すみません書かせて下さい。ある程度書き溜めしてます
15:
男「・・・なぁ、敬語なんて使うなよ」
メイド「!」
男「前みたくさ、もっと・・・ま、別にいいけどさ。おやすみ」
メイド「失礼します」
――バタン
メイド「・・・はぁ・・・そんなこと、言わないでよ」グスッ
今のうちに言いますが、ごめむエロはなしです
17:
――コンコン
メイド「男様、入りますよ」
――ガチャ
メイド「・・・まだ寝ていらしたんですか、もうすぐ11時ですよ」
男「昨日寝たの遅かったじゃん・・・まだねみぃよ、寝たい」ゴロリゴロリ
メイド「そんなの自分が悪いのでしょう、起きてください」
男「お前ってさ、ホント従順じゃないよな」
メイド「あ、今日はお昼からお見合いが2件入っていますよ」
男「またかよー」
メイド「あなたがいつまでも真剣に恋愛しないからですよ」
男「真剣に恋愛(笑)」
メイド「」イラッ
18:
メイド「とにかく、大奥様の決めごとですからね」
メイド「必ず絶対何がなんでも従ってもらいます」
男「・・・・・起きるかぁ」バサッ
メイド「そうしましょう」
メイド「・・・だれか、特別な人がいれば、しなくてもいいんですよ」
男「は?」
メイド「お見合いのことです。ちゃんとお付き合いしてる人がいるなら、大奥様も」
男「着替える、部屋から出てろ」
メイド「・・・はい」
20:
――ガチャ
メイド(また、やっちゃった・・・)
メイド(自分が安心したいからって私・・・)
メイド「怒ったかな」
――ぱたぱたぱた
ショタ「あ、メイドちゃーん!」
メイド「ショタさん、どうかされました?」
ショタ「奥様が呼んでました、お部屋にいるって!」
メイド「分かりました、ありがとうございます」
ショタ「いーえー」
21:
――コンコン
メイド「奥様、メイドです」
母「入ってー」
メイド「失礼します」ガチャ
母「男はちゃんと起きたかしら」
メイド「はい、今準備しておられますよ」
母「ならよかったわ。あ、今日のお見合いなんだけど、お洋服どっちのがいいかしら?

メイド「そうですね・・・どちらもお似合いなので決め難いですねぇ」
母「もう、いつもそればっかりなんだからぁ!うーん、こっちにしよう!別にいいわよ
ね、私がお見合いするわけじゃないんだし」
メイド「ふふっ」
母「・・・ねぇ?二十歳までに婚約者を見つけるのは、少し早すぎないかしら?」
22:
母「上に立つ者は早めに身を固めるというのがお義母さまお考えだけれど・・・」
メイド「そうですねぇ・・・でもいい機会になるのではないでしょうか?大奥様も無理に相性が合わない人と結婚させることはないと思いますし、このことがきっかけで素
敵な人に会えるかもしれないですよ」ニコッ
母「それはそうね、そんな人がいたらいいわねぇ」
メイド「はい!」
母「私はメイドみたいな子がいいわ!しっかりしてるし、気が付くし、あの子のお嫁さんにピッタリね!」
メイド「・・・そんな、私なんて、全然」
母「ふふ、謙遜なんかしなくてよくてよ?私の言葉に嘘はないわ、あなたは綺麗な人」
メイド「・・・奥様、身に余るお言葉です」
母「そんなこと・・・あら、そろそろ相手の方がお見えになるわ!準備しましょう」ニコ
メイド「はい」ニコ
母「あの子は準備できてるのかしら。悪いけど見てきてもらえる?」
メイド「はい、かしこまりました」
24:
――廊下
メイド「男様、こんなとこにいらしたのですか」
男「ん、おお」
メイド「そろそろお相手の方がお見えになりますよ、お部屋に向いましょう」
男「ああ」
メイド「・・・あ、タイがない」
男「これ、嫌いなんだよね」プラーン
メイド「駄目ですよ、貸してください」
男「んー」ポイ
メイド「はい、できました」キュッ
男「んー」
メイド「我慢して下さいね」
男「はいはい」
26:
メイド「・・・あ、そうだ」
メイド「私、午後から頼まれごとがあるので、何かあるときはショタさんに言って下さいね」
男「・・・出掛けんのかよ、どこ?」
メイド「F市まで行ってきます、お土産買ってきますね」
男「いらねー」
メイド「そうですか・・・あ、もうこんな時間!急ぎましょう」
男「夜は?」
メイド「え?ああ、夜には帰りますよ。でもご飯は外で済ませてくるつもりです」
男「あっそう」プイッ
すたすたすた・・・
メイド「・・・うーん」
27:
――F市――
メイド(やっと買い物終わった・・・)
携帯「着信:友」ピロリンコピロリンコ
メイド「もしもし、今買い物終わったよ」
携帯「乙!じゃあ飯行こうかー」
メイド「うん、じゃあ南口でよろしく」
携帯「うい、はあく」
29:
――居酒屋――
友「なんだかんだで久しぶりだね。今日はなんでこっちで何の買い物だったの?」
メイド「これ」ガサッ
友「でかっ!てかこれ、あの高級そうな店の袋じゃん」
メイド「奥様のお誕生日に、ここのティーカップセットをプレゼントしたらね、それを見た大奥様もこのお店気に入ってくれたみたいで。食器はここで揃えようって話になったの」
友「それでこの量・・・」
メイド「でもさすがにまだ全部は買い切れないから、何回かに分けて買いにくることに
する」
友「まだ買うの!?」
メイド「あ、お酒ないね。何飲む?」
友「(無視?)じゃあ梅酒」
メイド「すみませーん、梅酒ふたつー」
30:
友「ん?そっちの袋は?」
メイド「これ?これは、まあ」
友「・・・はーん、あの王子様へのお土産だな」
メイド「別に、いいでしょ」
友「・・・あ!そんなことより、青年くんとどうかね?」
メイド「ああ、彼とは・・・」
友「会ってないのー!?せっかく紹介したのに」
メイド「いや、1回会ったよ!でもしたらさ、全部奢ってくれるし、すごく気を使ってくれるしで・・・申し訳なくてさ」
友「何が?」
メイド「なんとなく?」
31:
友「はぁぁ??あ」
メイド「なにそれ、イラッとする」
友「あんな素晴しい人いないよ!嫌いなの?」
メイド「まさか!すごくいい人だけど、でも、やっぱ今はその、好きってまでは」
友「それでもいいって言ってるんでしょ?試しに付き合ってみろよ」
メイド「そーいうの、やんないの」
友「可哀想だから?」
メイド「・・・全然違う」
友「ふーん・・・あ、分かった!じゃあただ遊ぶだけならいいよね、友達として!」ニヤ
メイド「え、ううーん」
34:
――――――
――――
――
ぽてぽてぽて・・・
メイド(また青年さんと会うことになっちゃった)
メイド(どうしたものか)
―ガラガラガラ
メイド(ん?だれか門から出てくる)
使い兄「・・・メイドか」
使い弟「遅かったな」
メイド「ええ、少しのんびりしてしまいました」
36:
使い兄「ん、荷物が重そうだな。持ってやろうか」
メイド「いえ、もう少しですから大丈夫ですよ」
使い兄「そうか」
使い弟「そういえば、今日の男様は機嫌が悪かったようだったな」
使い弟「君がいないと大変だとショタが騒いでいたよ」
使い兄「確かにうるさかったな」
メイド「ふふっ、ショタさんにはお礼を言わなくちゃですね」
使い兄「気にすることないさ、じゃあそろそろ失礼するよ。おやすみ」
使い弟「おやすみ」
メイド「おやすみなさい」
37:
――廊下――
ショタ「メイドちゃん!お帰りなさい」
メイド「ただいまです!今日は大変だったそうですね」
ショタ「本当ですよお!言葉使いは悪いし、急かすし、我侭だs」
男「誰が我侭だって?」
ショタ「うわああぁぁぁ!!!!!!な、何でもないです!僕もう寝ますね!おやすみ
なさい」ピューーーーッ
メイド男(足いな)
メイド「ただいま戻りました」
男「あっそー」
メイド「何ですか、朝からずっと機嫌悪いんですね」
男「普通だよ」
38:
メイド「せっかくお土産買ってきたのにな」
男「・・・・・」
メイド「男様が大好きな韓国直輸入のキムチ」
男「!!・・・しゃーないな、もらってやるよ」
メイド「はい」ニコ
男「俺の部屋の冷蔵庫に入れといて」
メイド「(入れといてって・・・)今からどこかにお出かけですか?」
男「は、何で?部屋に戻るよ」
メイド「じゃあこれ」ガサッ
男「だから入れといてってば」
メイド「・・・はい」
男「行こうぜー」ニコ
39:
男(これうまいなー超うまい)モグモググ
メイド「あ!スーツはちゃんと掛けてって何度言えば・・・」
男「んー」モグモググ
メイド「おいしいですか?」
男「まあまあじゃん」モグモググ
メイド「・・・お見合い、どうでした?」
男「可愛かったよ」
メイド「!、へぇ」
男「・・・でも俺の好みじゃない」
メイド「そ、そうですか」
41:
男「やっぱ俺には、ひとりの女に絞るとか無理だな」
メイド「・・・はあ?」
男「いろんな子と遊ぶ方が楽しいし」キリッ
メイド「そうですか・・・」
男「ひくなよw・・・まぁ、そんな感じだから」
メイド(・・・もしかして、バレてる?)
メイド「まさか」
男「なにが?」
42:
父「メイド、おはよう」
メイド「旦那様、おはようございます。今からお食事ですか?」
父「ああ、昨日付き合いで飲み過ぎてしまってね。少し寝坊をしてしまったよ、ははは」
メイド「ふふっ、そうでしたか」
父「これでは社長だというのだから、情けないものだな」
メイド「とんでもない!ずっと休日もなしに働いているんですから、たまにはお休みにらならいと駄目ですよ」
父「ははは、メイドは本当に優しいね」
43:
男「おはよう」
父「おお、おはよう」
メイド「おはようございます」
父「なんだ、珍しいな。今日は学校休みか?」
男「(ううーん・・・)うん」
メイド(嘘吐いた顔だ)
父「そうかそうか、じゃあ一緒にご飯にしよう」
男「おう、てか父さんこそ珍しいね。いつももっと早いじゃん」
父「ははは、今日は俺もお前と一緒で寝坊さ」
男メイド「!」
45:
父「ごちそうさまでしたっと」
父「お、そうだ。昨日のお見合いはどうだ?返事出せそうか?」
男「うーん、保留」モグモググ
父「ふむ、まぁ知り合いが増えてよかったじゃないか」
祖母「よかないですよ」
父男「・・・!!!!!?????」
父「びっくりしたぁ・・・母さん来ていたんですか」
祖母「悪い?」
父「そんなわけはないさ」
祖母「男、お前ちゃんと真剣にお見合いしなさいな」
男「してるよ」
祖母「昨日だってろくに会話もしてないそうじゃないか」
46:
男「昨日は、ちょっと気分が悪くて」
祖母「気分じゃなくて、機嫌が、だろう?そんなもので人様振り回すんじゃあないよ」
男「・・・・・」
メイド「コーヒーお持ちしま・・・!大奥様、おはようございます」
叔母「おはよう、昨日は買い物頼まれてくれてありがとう」
メイド「いえ、あ!大奥様に昨日買ったカップでコーヒーお持ちしますね」
祖母「もう届いたのかい?」
メイド「輸送だと2日かかると言われたので持って帰ってきてしまいました」ニコ
ぱたぱたぱた・・・
父「ははは、メイドは本当にいい子だな」
47:
祖母「話を戻すが、男、来週またお見合いしなさい」
男「またぁ?」
祖母「もう今まで十分遊んだだろ?いつまでもアバズレ相手にしてんじゃないよ」
父(アバズレ・・・実の父の前で・・・)
男「遊ぶったってみんなでわいわいしてるだけだよ。俺の周りにはアバズレなんかいない」
祖母「どうだかね、お前の隣を歩いてる女は尻軽そうなのばかりだよ」
男「はぁ?」ムッ
父「まあまあ」オロオロ
48:
メイド「おまたせ致しましたー」カチャンッ
男「出掛ける」
メイド「?」
父「ああ、いってらっしゃい」
祖母「来週の土曜日、ちゃんとあけておくんだよ」
男「うん。メイド、上着持ってきて」
メイド「あ、はい!」
ぱたぱたぱた・・・・・
父「・・・会社が大事なのは分かるが、あんな言い方はないよ母さん」
祖母「ちょっとキツイくらいが丁度いいってもんです」ズズッ
49:
メイド「上着です」
男「ん」
男「なぁ、土曜日家にいろよ」
メイド「え?」
男「来週の土曜、絶対家にいろって言ってんの!」
メイド「え、はい」
男「じゃあ、夜には帰る。飯は要らないから」
――バタムッ
メイド(また機嫌悪くなってやんの)
ショタ「メイドちゃーん!」
50:
メイド「はい」
ショタ「大奥様が呼んでますよ」
メイド「・・・私何かしたかしら」
ショタ「考えすぎw怒ってる感じはなかったですよ」
メイド「よかった・・・」
ショタ「あはっw僕は男様のが怖いけどねぇ、さっきも怒ってませんでした?」
メイド「うん、何かあったみたいですね」
ショタ「金持ちはいろいろ大変そうだね」
51:
祖母「ああ、メイドさん」
メイド「お呼びですか?」
祖母「ええ、ここへ座ってくださる?」
メイド「はい、失礼します」
祖母「男のことなんですがね、あの子あなたにとても懐いているようだね」
メイド「・・・そうでしょうか」
祖母「ええ、私にはそう見えますよ。そこでお願いなんだがね、あいつにどうにかしてお見合いに真剣に取り組むよう、説得してみてくれないかい?」
メイド「分りました、試みてみます。しかし・・・私は男様の使いでして、私の言葉に耳を向けてくれるかどうか・・・」
祖母「ああ、そうなのですか・・・あの子は少し傲慢だからね、ここでの生活に苦労してないかい?」
メイド「ええ、毎日楽しいくらいです」ニコ
52:
祖母「・・・そういえば、あなたが来てからもう15年くらい経ちますか」
メイド「はい」
祖母「こんなによくやってくれるとは思いもしなくて、いろいろ言ってしまったね」
メイド「そんなこと、私こそ、あの頃は・・・」
――ガチャ
使い弟「失礼します、大奥様、ご友人とのお約束の時間になります」
祖母「もうそんな時間ですか。じゃあメイドさん、またね」
メイド「はい、お気をつけて」ペコリ
53:
メイド「・・・」ボー
ショタ「メイドちゃん」
メイド「!、あ、どうしました?」
ショタ「なんかぼーっとしてるからさ・・・悩みごと?」
メイド「悩み・・・いえ、悩みではない、と思う。だって、悩んだって・・・」
ショタ「・・・メイドちゃん」
メイド(!!!)
メイド「わ、私!何言ってるのかしら!ごめんなさい、今のはなかったことに」ワタワタ
ショタ「メイドちゃん」
メイド「え?」
ショタ「叶わない、恋をしているの?」
メイド「・・・・・」
54:
メイド「・・・え、と、あっ」
ショタ「なーんてね!今のちょっと格好よくない?」ニコ
メイド「え?!ええ!!!素敵だった!!!だから、びっくりしちゃった!」
ショタ「でしょー!今少女マンガにハマっててねwマンガってみんな格好いいこというからさぁ、僕も言ってみたくなったの!」
メイド「そうだったんですね」
メイド「何読んでいるんですか?」
ショタ「ガ●スの仮面!!!」
メイド「へぇ」
55:
――――――
――――
――
メイド「よし、掃除おわり!」
母「あ、メイドいたー!お疲れ様」
メイド「あ、奥様!」
母「昨日の買ってきてくてたの見たわ、すごく素敵ねぇ。メイドはセンスがあるわ!任せてよかった」
メイド「気に入っていただけてよかったです!近々また行ってきますね」
母「よろしくね。そうだ、今朝はお義母さまとお話していたみたいだけど大丈夫だった?」
メイド「ええ、今はよくやってくれる、と言ってくださいました」
母「なんだ!そうだったのね、よかったわ・・・でも私は出会ったときからこの子はいい子だと思っていたわ」ニコリ
メイド「ええ、本当ですか?だって私は」
母「目を見れば分かるもの。口では強がり言って、人のことをキッと睨んでばかりだったけど、その瞳の奥はいつも怯えてた」
メイド「・・・恥ずかしいです」
56:
母「悪い言葉を使うたびに、罪悪感を感じていたでしょう?ふふ、私には解っちゃうんだからね」ニコ
メイド「ふふ・・・はい、恐れ入ります」
母「でも、いつまでも家族でいたかったわねぇ」
メイド「私にはそんな贅沢できません。今が十二分に幸せです」ニコ
メイド「あ、そうだ・・・男様のことですが、今日はちゃんと夜にはお帰りになられるそうですよ」
母「あらそう、なら安心だわ。もう心配なんてする年じゃないのは分かるんだけどねぇ・・・だめね、どうしても」
メイド「きっと、男様も奥様のお気持ちは酌んでいますよ」
母「そうかしら?いい加減うざがらない?」
メイド「ええ、大丈夫です!・・・あら?奥様、もしかして紅の色お変えになられました?」
母「あ!分かる?」キラキラ
メイド「ええ、すごく素敵です。お綺麗になじんでおりますね」
母「そうなの!新作が出ていて、試しにつけたらなかなかよくてねぇ」
57:
――コンコン
男「はーい」
メイド「失礼します、おかえりなさいま」
男「ただいま」
男「あー疲れた」ゴローリ
メイド「疲れるまで遊ぶことないでしょう」
男「楽しいことするのと、疲れることは比例の関係にあんの!」
メイド「そうですか」
メイド(・・・大奥様に言われたし、一応)
58:
メイド「あの、お話がありまして」」
男「なに?」
メイド(・・・でも、なんて言えば)
男(・・・・・)
メイド「あ、あのですね、」
男「いいよ、言わなくて。なんかムカつくから聞きたくねぇ」
メイド「ええ?いえ!聞いてください」
男「やだよ、出てけ」グイッ
メイド「いっ!」
59:
――ガチャ
メイド(痛い!)ドサッ
ショタ「わっ!」
ショタ「ちょっと!男様!なんで廊下にメイドちゃんのこと付き飛ばしてんですか!」
男「黙れ、役立たず」
――バタンッ
ショタ「うう・・・あ!大丈夫!?」
メイド「・・・う」
ショタ「う?」
メイド「うわあああぁぁぁぁん」
ショタ「!?」
60:
――ショタのお部屋――
ショタ「落ち着きました?」
メイド「ごめんなさい・・・」
ショタ「いいのいいの!」
ショタ「・・・何があったの?あ、言いたくなかったら言わなくていいんだよ!」
メイド「・・・いえ、聞いてほしいです。話聞いてもらえますか?」
ショタ「うん!」
メイド「もう、ずっと前の話なんだけどね・・・」
61:
メイド「私、両親がいなくて孤児院にいたんです」
メイド「でもある夜、そこからどうしても逃げたくなって飛び出しました」
メイド「何もみえない暗闇をずっとずっと走ってました。そんなとき偶然出会ったのが、奥様」
ショタ「・・・・・」
メイド「心の優しい人だから、汚らしい私に声を掛けてくれました。うちに来るって」
ショタ「でも」
メイド「もちろん、大奥様は猛反対されました」
メイド「でもそれも仕方なかった。目付きは悪いわ、態度はでかいわ、何もいいところがなかったんですから」
ショタ「意外ですぅ」
メイド「ふふ、昔はとがってたのよ」
63:
メイド「それでも奥様は、頼みこんでくれました。それで、やっと許可がおりたんです」
ショタ「ほー」
メイド「そこからは、奥様がみっちり私を指導してくれたの」
メイド「言葉使い、ルール、マナー・・・笑うことまで教えてくれた」
ショタ「へー!じゃあ今のメイドさんでいられるのは奥様のおかげなんだ」
メイド「そうですね、私にすべてを教えてくれた人です」
ショタ「小さいころから、使いとして働いてたんですか?」
メイド「いいえ、こんな私でも・・・家族として迎えてくれたんです」
メイド「奥様と旦那様は本当の両親のように」
メイド「男様は、弟のように」
メイド「すごく楽しかった」
64:
メイド「でも、だんだん大きくなるにつれて、今私がここにいれることがどんなにすごいことか理解できるようになってね」
メイド「高校卒業と同時に働かせて頂いているの」
メイド「少しでもお役に立てたら、と思ってね。・・・でも結局、救われているのは私」
メイド「何の役にも立てないわ、何をやっても返せないものです」
ショタ「そんなことないですよ!奥様は毎日楽しそうだし、大奥様だってメイドちゃんのこと褒めてましたよ」
メイド「・・・でも、でも私」
ショタ「・・・うん」
メイド(心の中では、その好意を仇で返そうとしてる・・・)
メイド(いつからなんて覚えてない)
メイド(一緒にいるのが当たり前だったから、錯覚してしまった)
メイド(このままずっと、なんて出来るわけないのに)
66:
メイド(私よりも遥か先を歩いて行ってしまうのに・・・一緒に並んで歩けるはずはないのに)
メイド(彼はいつか旦那様の跡を継いで、立派な大人になって、幸せになる)
メイド(私との距離なんてどんどん遠くなって、見えなくなってしまう)
ショタ「メイドちゃん・・・」ナデナデ
メイド「ごめんなさい・・・」
ショタ「いいよ、言葉にしなくてもいいの」
メイド「ありがとうございます」グズッ
大切な人を作って、結婚して、輝きながらひたすらに前に進んでいく
それを願わなくちゃいけないのに
自分の幸せばかり考えてしまう
なんて、最低なんだろう
67:
――――――
――――
――
使い兄「メイド、どこか出掛けるのか?」
メイド「え、え、あ、はい」
使い弟「何故動揺しているのだ?」
使い兄「男か?」
メイド「はっ、はあ!ちち違いますよ!」
使い兄「当たりか」
使い弟「はっはっはっ」
メイド「だからちがうt」
使い兄弟「いってらっしゃい」
68:
メイド(とうとう青年さんと会う日が来てしまった)
メイド(今日こそ、ちゃんと話そう)
メイド「あ、」
青年「メイドさん」
メイド「こんにちは」
青年「こんにちは」ニコ
メイド(爽やかっ!)
青年「車止めてあるんだ、横乗ってくれる?」
メイド「うん、ありがとう」
メイド(早めに来たと思ったのに・・・先にいた)
69:
「何か飲む?」
「座って待ってて」
「荷物持つよ」
「それ似合うね」
メイド(・・・・・優しいな)
メイド(こんなの、考えられないな)
70:
―――
青年「家この辺りだったよね」
メイド「うん・・・(楽しかったなぁ)」
青年「・・・俺は楽しかったんだけど、メイドさんは楽しんでくれた?」
メイド「うん、私も楽しかった」
青年「よかった・・・じゃあ、さ、答えとかだせる?」
メイド「え、」
青年「これからも、君と一緒に楽しく過ごしたい。もう一度言うけど、付き合ってほしい」
メイド(楽しかった・・・でも・・・)
メイド「ごめんなさい、私、」
青年「知ってる。でも今好きじゃなくても、絶対気持ちを動かしてみせるよ」
メイド「・・・ごめんなさい」
71:
青年「・・・そっか。もうこうして遊ぶこともできない?」
メイド「うん・・・」
青年「・・・着いたよ」キキッ
青年「今日はありがとう、すごく楽しかったよ」
メイド「こちらこそ、本当にありがとう」
青年「いろいろあるから、そんなに悩んでいるんだろうけど」
青年「君には幸せになってほしい」
青年「素直に、気持ち通りに、動いてみたらどうかな」
青年「俺みたいに」ニッ
メイド「・・・うん」ニコリ
73:
――ブロロロオオォォ・・・
メイド(素直に、か)
メイド「楽しかったなぁ・・・」
メイド(優しかった・・・)
メイド(でも、ちゃんと言えてよかった)
メイド「すっきり」
男「何が?」
メイド「わ!男様!」
メイド(あれからろくに喋ってなかったな・・・)
74:
男「別になんだっていいけど」
すたすたすた・・・
メイド(まだ不機嫌だ・・・)
メイド(ちっちゃい頃はいつもニコニコしてたのに)
メイド(きらきらして眩しいくらいだったのに)
メイド(もうずいぶん笑顔見てない気がする)
メイド(・・・・私のせいか)
76:
――――――
――――
――
メイド(このままでは、よくない)
メイド(どうにかしないと)
メイド(なにを・・・・・・・・)
メイド「ううー分んないなぁ」バタバタ
――ドンドン
メイド「はい」
――ガチャ
メイド「あ、男様」
男「・・・・・・なぁ、今日どこ行ってたの?」
メイド「どこ・・・食事です」
77:
男「ふーん・・・なかなかのイケメンじゃん、お前の彼氏」
メイド「見たんですか!?」
男「俺だって好きで見た訳じゃねーよ、たまたま目についただけ」
メイド「・・・そうですか。あ、彼氏じゃないです・・・お友達、みたいな」
男「はぁ?あんなにデレッデレにしてたくせに?」
メイド「デレデレなんて」
男「すっきりするようなことまでしてきたのに、彼氏じゃないんだ」ニヤリ
メイド「は?」
男「尻軽」
メイド「!! そ、そんなわけないでしょう!何言って・・・!」
男「お前さ、今まで何人男いた?」
79:
メイド「そんなの」
男「言えよ」
メイド(・・・この目、いやな予感しかしない)
メイド「男様には、関係ありませ」
――バチンッ
――ガタガタガタッ
メイド「・・・・・(いたい・・・)」
男「言えっていってんだろ」
メイド「・・・3人」
男「あっそ」
――バタンッ
メイド「・・・・・・痛いよ、ばかぁ」グズッ
82:
――お見合いの日――
母「どうしたの!?ほっぺた・・・」
メイド「ベッドから落ちちゃいました、お恥ずかしいです」
ショタ「うわわ、痛そお」
使い兄「一応処置したほうがいいな、こっちに来い」
メイド「ありがとうございます」
男「・・・・・・チッ」
83:
男「おはよう」
母「あら、おはよう!もう準備できたの?」
男「まーね」
母「今日は早いね、約束まではまだ時間があるけど」
男「ああ」
すたすたすた・・・
母「?」
85:
メイド「ありがとうございました」
使い兄「ああ、気をつけろよ。と言っても寝てる間じゃどうしようもないな」
メイド「あはっ、そうですよね」
使い兄「ははは、あ、男様。おはようございます」
男「おう」
使い兄「そろそろお相手の方を向いに行ってきます」
男「おー頼む」
使い兄「はい。メイド、お大事にな」
メイド「はい」
86:
男「ウケんね、変な顔」
メイド「・・・・・」
男「怒ってんの?」
メイド「いえ」
男「・・・俺、ちゃんとお見合いやるよ」
男「いつまでも、遊んでるわけにはいかないしさ」
男「偉い?」
メイド「はい、素敵な方だといいですね」
男「写真見たけど、美人だったよ。俺好みな感じ」
メイド「・・・そうですか」ニコリ
男「・・・・・・」
89:
メイド「あ、またタイしてないですね」
男「いいんだよ・・・」
メイド「・・・・・」シュルシュル
メイド「だめですよ」キュッ
男「・・・ん」
メイド「では、仕事があるので失礼します」ペコリ
すたすたすた・・・
男「はぁ・・・・・・」
99:
――――――
――――
――
男「学校では何を専攻されているんですか?」
美女「英語のお勉強をしています」
男「すごいな、じゃあ海外旅行に行っても安心ですね」
美女「あら、海外お好きですか?」
男「いや、日本語しか喋れなくて、海外にはあまり行ったことがないんだ。どこかお勧めなところはありますか?」
美女「そうですね・・・とても迷うけれど、初めてならアメリカなんていかがかしら?」
男「アメリカですか」
美女「ええ、わたくしも初めて行った場所はアメリカでして、子供ながらに感銘しましたのよ。世界っておおきいなって」
美女「一度ご案内したいですわ。今度一緒に行けたいいですわね」
男「うん、ぜひ行きたいです」ニコ
102:
使い弟「なんだか急にやる気になったな、あんなにお見合いを嫌がっていらしたのに」
ショタ「・・・なんなんですかね」
使い兄「なんだ、不満そうな顔だな」
ショタ「別にー」
使い弟「いやしかし美人だな」
ショタ「うぇーあんないかにもって感じの人が好きなんですか!」
使い兄「俺は特に何も思わんな」
ショタ「うっそ、もしかしてB専なんですかぁ?」
使い兄「・・・・・・」
103:
――夕飯――
父「今日の子とはよく会話をしていたじゃないか」
母「とても教養のある方ね」
男「んー」モグモグ
父「まあ、すぐに婚約しろということではないからね」
母「大奥様も喜んでいらしたわ」
男「ふぅん」モグモグ
メイド「コーヒーお持ちいたしました」カチャカチャ
母「ありがとう、やっぱりこれ可愛いわねぇ」
男「ご馳走様」ガタン
105:
母「コーヒー飲まないの?」
男「いらない」
すたすたすた・・・・
父「なんだ、機嫌悪かったのか」
メイド「いえ、私が」
母「あの子の気分屋は今に始まったことじゃないわ」
父「それもそうだな。嫌な思いをさせてしまって申し訳ないが、気にしないでくれ」
メイド「・・・はい」
母「昔はもっといい子だったのにねぇ」
106:
―――――――
――――
――
男「おい」
ショタ「はい、なんですか?」
男「寒いからなんかあったかいもん淹れろ」
ショタ「僕が!?」
男「文句あんのか?」
ショタ「だって僕が淹れると下手くそ!ってキレるじゃないですかあ」
男「うまく淹れればいいだけの話だろうが」
ショタ「うう?」
108:
メイド「失礼します」
ショタ「あ、メイドちゃん!」
メイド「すみません、ちょうど紅茶を淹れたのでお持ちしたのですが」
メイド「いかがなさいますか?」ニコリ
男「・・・じゃそれもらう」
メイド「ありがとうございます」カチャン
ショタ「助かったあー」
男「お前もうまくくめる練習ぐらいしとけよな」
ショタ「はい・・・」
109:
ショタメイド「失礼いたしました」
――バタン
ショタ(先月のお見合いあたりからずっと2人の様子が変だなあ)
ショタ(いや、お互い普通にしてるんだけど)
ショタ(なんかよそよそしいっていうか)
ショタ(男様も僕にいろいろ用事頼むようになったし)
ショタ(本当に、ただの雇主と使いみたいな・・・)
メイド「ショタさん、私お庭の掃除があるので、ここで」
ショタ「あ、うん、がんばって!」
110:
ショタ「不自然だっ!」
使い兄「何がだ」
ショタ「!びっくりした・・・何でもないですよ」
ショタ「なにか用事ですか?」
使い兄「今日、美女さまがくることになってね」
使い兄「俺は迎えがあるから、部屋の準備をお願いしてもいいか」
ショタ「(突然だなぁ)はい、わっかりましたー」
使い兄「頼んだぞ」
112:
メイド(すっかり薄暗くなってしまった)
メイド(あとはお水をかけますか)
――カツカツカツ
美女「あの、メイドさんでいらして?」
メイド「は・・・、あ、はい、私がメイドでございます」
美女「そう」
メイド「お出迎えもせずに、失礼致しました」
美女「よろしいのよ。綺麗なお庭ですわね」
メイド「ありがとうございます」
113:
美女「あなた、男さんのお世話係りなのでしょう?」
メイド「え?」
美女「幼少時代から、男さんとずっと一緒だとか」
メイド「・・・はい、小さいときからこのおうちにはお世話になっております」
美女「そうですか。では、貴方は男さんのお姉さんのような存在なのね」
メイド「・・・いいえ、私は使いでございます」
美女「でも、ずっと面倒みてきたのでしょう」
メイド「そんな・・・わたしは」
美女「でもこれからは大丈夫よ、わたくしが男さんを支えますわ。2人で仲良く暮らせたら、と思いますの」ニッコリ
メイド「あ・・・・」
美女「安心していただけたかしら」
114:
――ザッザッ
男「ここにいたのか」
美女「あら、男さん」
男「何していたんですか?」
美女「少し、お話をしていたのよ。ねぇ?」
メイド「はい」
男「そうですか、もう戻りましょう」
美女「はい、行きます」
メイド「美女さま」
メイド「よろしくお願い致します」
美女「ええ」ニコリ
男「・・・・・・」
115:
――廊下――
男「おう」
メイド「男様、今からおやすみですか」
男「うん」
メイド「そうですか・・・」
男「・・・・・」
メイド「今日の美女さまとのお食事はどうでしたか?」
男「うん、うまかったよ・・・・・楽しかった」
メイド「それはよかったです」
男「俺さ、婚約しようと思う。あの人となら、ずっと一緒にいれる気がしたんだ」
116:
メイド「そうですか、素敵ですね。みなさんきっと喜んでくれますよ」ニコリ
男「・・・お前は?お前も、嬉しいのか?」
メイド「もちろんでございます」
男「・・・・・」
メイド「男様が決めたことなら、いつだってそれが正しいです。それが幸せに繋がります」
男「・・・本当か?」
メイド「ええ・・・旦那様と奥様にはもうお話になられました?」
男「まだ」
メイド「今日はもうお休みになられているので、明日お話されるといいと思いますよ」
男「ああ・・・おやすみ」
メイド「おやすみなさいませ」
117:
―――――
―――
――
母「メイド!」
メイド「奥様、おはようございます」
母「おはよう・・・男の話は聞いた?」
メイド「ええ、大奥様のひと安心なさいますね」
母「そうね・・・」
メイド「? なにか心配事でもあるのですか?」
母「・・・・・あなたに話さなければならないことがあるの」
メイド「なんでしょうか?」
母「実は・・・・」
118:
ショタ「こんなに早く婚約が決まるなんて、思わなかったです」
使い弟「そうだな。まぁそれほどあのお嬢さんがいい人だったのだろう」
ショタ「そうでしょうか・・・」
使い弟「なんだ、使いの分際で不満があるのか」
ショタ「違います!本当に幸せになれるのかなって・・・」
使い弟「何をいきなり」
使い兄「いいから手を動かせ、式は2週間後なのだぞ。時間がない」
使い弟「こちらも急な話だな」
ショタ(メイドちゃん・・・)
120:
――男の部屋――
メイド(まだこんなに散らかして)
メイド(読みっぱなし、飲みっぱなし・・・片付けよう)
メイド「ねぇえーみぃてーいる」ポンポンポン
メイド「ほら ほしがひかっているのをお」トントン
メイド「あぁすはこころもそらっも」ガチャガチャ
メイド「・・・・すてきな・・・あお」
メイド「・・・・うぅ」グスン
121:
――婚約式――
母「あ、メイド」
メイド「奥様、綺麗なお召し物ですね」
母「あらあら、ありがとう。メイドに褒めてもらった口紅もつけているのよ」
メイド「はい、色もぴったりです」ニコ
母「・・・メイドこの間の話だけど、すぐにってわけじゃないのよ」
メイド「奥様、今日は男様の式の日です」
メイド「私のことは、お気になさらないでください」
母「・・・わかったわ、今日もよろしく頼むわね!」
メイド「はい!」
123:
――コンコン
ショタ「失礼します」
――ガチャ
ショタ「男様、準備できましたか?」
男「ん、もう少し」
ショタ「緊張なさってますねぇ」
男「別に・・・ん、今日は珍しくスカートのスーツなんだな」
ショタ「うぇ!まあ、奥様が今日は履けばって・・・」
男「ちゃんと似合うじゃねーか、普段から履けば?」
ショタ「・・・・・」メガテン
124:
男「あ?何?」
ショタ「いやーなんか今日優しいですね」
ショタ「そんなに機嫌いいんですか?」
男(俺の普段って・・・)
男「・・・まぁ、あれだ。今日は素直になろうと思ってな」
ショタ「そうですかぁ」
男「・・・なあ、メイドを呼んできてくれないか」
ショタ「了解しました」
125:
――コンコン
メイド「失礼します」
――ガチャ
男「おう、ネクタイつけてくれ」
メイド「かしこまりました」
メイド「・・・・・」シュルシュルキュッ
男「・・・・・」
メイド「・・・できました」
男「さんきゅ」
126:
メイド「よく、お似合いですよ」
男「嘘吐けよ、笑えるじゃん、この服」
メイド「本当ですよ、とても素敵です」
男「・・・なぁ、俺婚約するんだ」
メイド「存じております」
男「・・・お前、この家出てくんだろ?」
メイド「出てくなんて・・・ただ私の役目は終えただけです」
男「やめるんだろ・・・ここ」
150:
メイドちゃんに幸せになってほしい…
157:
メイド「私は男様に仕えてたものです、もっといえば貴方のお世話係でした」
メイド「しかし、これからは違います」
メイド「あなたは美女様と共に支えながら進んでいくのです」
メイド「二人、並んで」
メイド「私なんかにできることは、もうないのです」
男「・・・・・」
メイド「失礼なことを言えば、貴方はまだ立派な一人前にはなっていません」
メイド「気分にムラがありすぎるし、言葉遣いも乱暴で、少し自己中心的なことろもあります。おまけに人使いも荒いし、感情をすぐに顔に出す!」
男(悪口?)
158:
メイド「それでも、あなたはとても魅力的なお方です」
メイド「美女様と過ごしていけば、必ず、立派に成長できます」
メイド「・・・偉そうなことをいいましたが」
男「・・・本当だよ」
メイド「お幸せになってください」
男「・・・・・」
男「お前の言いたいことはそれだけ?」
メイド「え?」
男「俺も話したいことがある」
159:
男「どこにも行かないで」
男「今まで通り、ずっとそばにいてほしい」
男「婚約なんかしない」
男「だから、出ていくなよ」
メイド「な、何を、何を言っているのですか?!そんな我侭通るわけっ」
男「お前が悪いんだよ!」
メイド「!」
男「・・・絶対いやだって言うと思ってた」
メイド「・・・・・」
160:
男「本当は分ってんだろ」
メイド「・・・・・」
男「俺もこのままじゃ、いやだと思ってた。だから・・・なぁ、なんか言ってくれよ」
メイド「・・・私っ・・・わ、たしは・・・」
美女さまと話したあの日に決めたはずだった
もうやめようと
こんな気持ちは捨てようと思った
残りわずかなこの時間は、大切に、大切に過ごしたかった
彼のお世話役、ただの使いとして
なのに、私は、突き放す言葉が、出ない
161:
男「・・・俺さ、お前のこと」
メイド「やめてください・・・」
男「お前がいなきゃ、何もできないんだよ」
メイド「・・・そんなことは、ありません」
男「ネクタイも結べないし、紅茶を飲むこともできないし、片付いた部屋で寝ることもできない」
メイド「これからは美女様が・・・」
男「お前じゃなきゃ、意味ねーんだよ」
162:
男「お前がいないと、笑うことだってできない・・・」
メイド「・・・・・・」
男「お前さえいればなんだっていいんだ」ギュッ
メイド「!」
男「なんだよ、俺が抱きしめてやってるのに」
メイド「離してください・・・」
男「嬉しくねーのかよ」
メイド「離して!」
男「やだ、お前の言うことなんか聞かない。やっと触れることができたんだ」
メイド「・・・・・」グズッ
男「お前本当にこのままでいいのか?俺は・・・絶対にいやだ」
メイド「私は・・・できない・・・」
163:
メイド「気持ちに素直になることも、この家を裏切ることも・・・」
メイド「あなたを、幸せにすることも・・・」
メイド「私は・・・何も」
男「・・・じゃあ、一緒に逃げようか」
メイド「ばかなこと言わないで」
メイド「今まで積み上げたものが全部なくなるんですよ・・・おわかりですか?」
男「いいから、来いよ」
男「俺が言うことは、いつだって絶対、だろ」ニコ
メイド「・・・・」ギュッ
165:
最低なことをした
自分の欲望のために
多くのひとを裏切り
傷つけることになるだろう
それでも
彼は笑ってくれた
昔にみた、きらきらした笑顔
そのものだった
166:
―――――
男「よし、ここまで来れば、ちょっと休憩できるな」
メイド(本当に、ここまで来ちゃった)
男「後悔してんの?」
メイド「え、と・・・」
男「まあ、しても遅いけどな」ニコ
メイド「・・・・はい」
男「あのさぁ!いい加減敬語やめない?」
メイド「あ、うん・・・」
男「しかしここ埃っぽいな」
メイド「古い教会なんて、そんなもんだよ」
167:
メイド「本当に、よかったの?こんなことして」
男「仕方ないだろ、今日は素直になるって決めたんだから!俺はずっとこうしたかったんだよ」
メイド「私もそうなのかも、しれない。ううん、かもじゃない・・・ずっとこうして触れたかった・・・」ギュッ
男「メイド・・・」
メイド「・・・ん」
男「・・・、顔真っ赤」
メイド「うるさいなぁ!」
男「ふはは、キスぐらいでそんなカマトトぶるなよな!初めてじゃあるまいし」
メイド「・・・・・」
男「・・・あ?まさか」
メイド「おばさんのくせに悪かったわね・・・」
170:
男「・・・だって、お前彼氏いたこと」
メイド「あるよ、あるけど・・・できなかった。忘れたくて、気持ちを消したくて、何回もしようとしたけど・・・できなかったの」
男「・・・ごめん、俺」ギュッ
メイド「ううん、いいんだよ。何だっていい」
男「・・・前に頬叩いたとき、痛かった?」
メイド「そりゃあ、もう、すごく痛かったよ?」ニコ
男「・・・悪い」
メイド「でも、はじめから怒ってなんかない」
男「・・・だよな」ニコニコ
メイド「調子いいなぁ・・・」
男「ん」
メイド「んっ・・・」
171:
男「・・・、ふふ、なんか自然と笑える」
メイド「なにそれ」
男「幸せーみたいな?」
メイド「・・・ばか」
幸せだ
他のことは何も考えられない
埃っぽくても
床が堅くても
何も気にならない
もうずっとこのままでいれたら
172:
――――――
――――
――
――ギギギギギッ
メイド・男「!」
大男1「おい!いらしたぞ!!」
大男2「大奥様に連絡しろ!」
大男3「女をとっつかまえろ!!」
――ガツガツガツガツ
大男4「おいっ!さっさと立ちやがれ!!」グイッ
メイド「いたっ」
男「やめろ!!」
大男5「男様もお帰りになりましょう」
男「やめろ!離せ!!」
173:
大男1「男様、大奥様がご心配していられます」
大男2「さ、早く」
大男4「お前もちゃんと歩け!!」グッグッ
メイド「うう・・・」ズルズル
男「メイド!メイド!!」
メイド「・・・大丈夫・・・帰ろう?」
男「・・・・・」
男「メイド・・・」
175:
――バチンッ
祖母「なんてことしてくれるの?式の当日に、男をたぶらかすなんて・・・貴方がそのような人だとは思いませんでした。今の今まで猫を被っていたのですね」
メイド「・・・申し訳ありませんでした」
祖母「やめてちょうだい、そんな下品な土下座、謝罪でもなんでもないわ」
メイド「・・・・・・」
祖母「一刻も早くこの家から出てお行きなさい」
メイド「・・・申し訳、ありませんでした・・・今まで」
祖母「喋らないで」
すたすたすた・・・・・
メイド「・・・・・・」
177:
使い弟「おい、メイド」
メイド「はい・・・」
使い弟「いつまでそうしているつもりだ。さっさと荷物をまとめろ」
メイド「・・・・・・はい」
使い弟「・・・お前は本当に馬鹿野郎だな」
メイド「はい・・・」
使い弟「・・・早くしろ」
178:
メイド(大きめの紙袋と、昔奥様からもらったバック)
メイド(思ってたより荷物が少ないな・・・)
メイド(紙袋もガラガラしてる・・・)
メイド(でも、この家にきたときよりすごく増えた)
メイド(ここに来てから、いろいろもらった)
メイド(それなのに全部を裏切った)
メイド(それでも、私は・・・)
180:
母「メイド・・・」
メイド「!・・・お、奥様!申し訳ありませんでした!」ガバッ
メイド「私はっ、私は・・・奥様を・・・申し訳、ありません」
母「顔をあげなさい」
メイド「・・・」フルフル
母「あなたは、どうしようもない馬鹿なことをしました。私はこの家の者として、許すことはできないでしょう」
母「・・・それでも私は、あなたが好きなのよ」
メイド「!」
母「前に言ったのを覚えている?私はあなたみたいな人と男が結婚できるといい、と」
母「謙遜したあなたに、私の言葉には嘘はないと」
メイド「そんなこと、言わないでください・・・私のことなんて、もっと・・・」
181:
母「だめだわ、格好をつけようと思ったけど・・・正直なこと言うわね」
メイド「・・・・」
母「これが、こんな結果があなたの望んだものなの?!」
メイド「・・・(奥様、目が、赤い・・・)」
母「あなたも正直に、言って」
メイド(泣かせて、しまったんだ・・・)
メイド「・・・・・・はい、私は取り返しのつかないことをいたしました」
メイド「けれど・・・けれど、後悔はしていません」
メイド「私はあの一時で、一生分の幸せを得ることができました」
メイド「このまま過ごしていたら、絶対に手に入らなかった」
メイド「すべてを捨ててでも、得たかったもの、です」
182:
母「・・・よく言えたのもだわ」
メイド「・・・ごめんなさい」
母「でもそれならよかった、私は貴方が幸せになることを望んでいたのよ。だからこの家に連れてきたの」
メイド「奥様・・・・」
母「メイド・・・これをもっていきなさい」ポン
メイド「このポーチは・・・」
メイド「!・・・そ、そんな、受け取れません」
母「いいから、持っていって、ね?」ギュッ
――バタンッ
184:
使い兄「もういいか」
メイド「あ、」
母「もうできたみたいよ」
使い兄「荷物をかせ」バッ
メイド「あ、お、奥様!!」
母「メイド、さようなら」ニコ
メイド「!・・・今までありがとうございました!」
使い兄「早くしろ」ガシッ
――バタバタバタバタ
母「・・・ばいばい」
186:
使い兄「・・・・」グイグイ
メイド(手首痛い・・・すごい力・・・)
メイド(それほど、怒っているんだろうな)
メイド(当たり前だ・・・)
男「メイド!!」
メイド「あ・・・」
男「使い兄、手ぇ離せよ」
使い兄「・・・・・・・」グイッ
男「お前!!」バッ
187:
使い弟「男様!いけません!!」ガシッ
男「離せ!メイドが悪いわけじゃないんだ!」
男「俺が!俺が・・・!」
ショタ「男様!だめです!」ガシッ
男「何であいつだけなんだよ!おかしいだろ!!」
メイド「・・・笑って」
188:
男「は、」
メイド「男、笑ってよ!さっきみたく、笑って!そしたら、私・・・」
男「できるわけ、ないだろうが」
メイド「お願い・・・」
メイド「お願いだから・・・」
ショタ「男様・・・」
使い弟「・・・・・・」
男「・・・・・・」
メイド「・・・ふふ、下手くそ」
189:
メイド「ありがとう」
男「メイド・・・」
使い兄「行くぞ」
メイド「はい」
――ガツガツガツガツ
男「メイド!待って!!メイド!!」
――バタン
190:
――ドンッ
メイド(痛い・・・)ベシャ
使い兄「荷物」ポイッ
メイド「あ、はい、ありがとうございます」
使い兄「・・・・・・」
メイド「そんな顔、しないでください・・・」
使い兄「・・・黙れ馬鹿」
メイド「・・・はい」
使い兄「しっかり歩けよ」
メイド「・・・今までありがとうございました。みなさんにも、伝えていただけたら、嬉しいです」
使い兄「・・・・・・」フイッ
――ガシャン
191:
メイド(歩きます・・・私ちゃんと、進みます)
メイド(あ、そうだ・・・ポーチ)
奥様が手渡してくれた大きめの藤色のポーチには、何が入っているかすぐに分かった
でも、私はそれを受け取ることなんてできない
こんな私でも、好きだと言ってくれた
その言葉をもらえただけで、
ポーチをバックに入れて、門の前にそっとおいた
193:
これは後からわかった事…
あのポーチには大切な物が入っていたのだ
大切な…
大雪が…
(たいせつ)
194:
メイド(免許書だけ、ポッケに入れとこう)
メイド(ん?ポッケになんか入って)
メイド(・・・口紅・・・いつの間に)
メイド「ありがとう、ございます」グスッ
メイド(行こう)
メイド(夕日だ・・・なんだか眩しいな・・・)
メイド(眩しくて・・・目が痛い)
195:
全てを失くして、新しいものを得た
それは今まで持っていたものより、ずっとずっと欲しかった
この口紅とあの笑顔さえあれば
何も要らない
ごめんなさい
ありがとう
好きです
さようなら
行かなくちゃ
メイド(行かなくちゃ)
198:
――――――
――――
――
使い兄「男様、準備はよろしいですか」
男「おう、そろそろ行こうか」
使い兄「本当によろしいのですか」
男「当たり前だろ」
使い兄「お言葉ですが、あの方はとても意志がお強いです。認めてもらえるとは、到底思えませんが」
男「知ってるよ、そんなの」
男「だけど、俺はそれ以上に強い意志をもってる。母さんにできて、俺にできないわけないだろうが」
使い兄「・・・失礼致しました」
男「全くだ!・・・とは言っても、昔の俺なら怖くて直接ぶつかることはできなかっただろうな」
男「だから、あんなことしたわけだし」
199:
男「いつまでも子供でいるわけにはいかないな」
使い兄「・・・ご立派です」
男「だろ」ニヤリ
ショタ「男様!お車の準備できましたっ!」
あんなのがお前の幸せだなんて言わせない
俺がこの手でつかむこれからがお前の幸せだ
お前に初めて送るプレゼント
男「車、出してくれ」
さあ、幸せになってみようか
おわり
201:
長々とすむません。
レスしてくれた人、見てくれた人、感謝です。
今後の参考にしたいんだけど、最後の198と199のはない方がよかったかな?
悩んだ結果、結局入れてしまった。
ちなみにメイドは23、4歳のイメージですが、何歳でもいいです
202:
乙!
もうちょっと先まで読みたかったw
20

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【ソフマップ】“童顔ロリ天使”がHカップ バストを揺らしまくり!

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