キョン(今日も仕事か…)佐々木「……聞いてるかい?」 ver2.01back

キョン(今日も仕事か…)佐々木「……聞いてるかい?」 ver2.01


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4:
キョン(毎日毎日、上司の機嫌とりに得意先の接待…)
佐々木「今日は、その、早く帰ってきてほしいんだ」
キョン(最近はもう、頭を下げることに何の躊躇いもなくなってきた)
佐々木「ほら、今日はあの日…だろう?わかっているとは思うが、まぁ念のために確認を」
キョン(くそっ…一体俺は何のために働いているんだ)
佐々木「……聞いてるかい?」
6:
佐々木(キョン、最近忙しそうだな……。それにすごい疲れてる。心配だな。)
会社
キョン「え、本当ですか?」
上司「ああ、先方さんがかなり興味があるらしくてね。一度来社して頂けるそうだ」
キョン「光栄です」
上司「それで、その時にプレゼンを頼みたい。もちろんこれで印象は大きく変わるからな」
キョン「……はい」
上司「逆に言えば、プレゼン次第では新規で大口の顧客確保にもなりうる。期待しているぞ」
キョン「……っ! ありがとうございます!」
7:
キョン(やった……まだ気は抜けないが一息つける。そうしたら……って、あれ?)
キョン「今日って何日だっけ」
同僚「ん?今日は7日だよ。とうとう日にちの感覚までなくなったか?」
キョン「ここのところ立て込んでたからな。曜日くらいは分からなくなってたよ」
同僚「それもそうだな。残業に休日出勤までしてご苦労さんなこったよ」
キョン「ああ……我ながらよく頑張ったと思うぜ」
同僚「今度それがようやく認められたんだろ?頑張れよ!」
キョン「おう。まかせとけ」
8:

佐々木「キョン、遅いな……」
ピンポーン
キョン「ただいまー」
佐々木「……! キョン、おかえりっ」
キョン「ああ、ただいま。遅くなって悪かったな」
佐々木「いや、ちゃんと遅くなるってメールくれたからね、大丈夫だよ」
キョン「そうか。よし、とりあえず着替えてくるわ」
佐々木「うん、ご飯準備できてるからね」
キョン「ありがとな」
佐々木(……やっぱり、今日のこと……覚えてない、のかな……?)
9:
キョン「おっ、今日は豪勢じゃないか、どうしたんだ?」
佐々木「ははっ。ちょっと奮発してみたよ。ダメかな?」
佐々木(分かってない、か……)
キョン「いや、お前のつくる料理は世界一だからな。それがこんなに食べられるのは嬉しいぞ」
佐々木「な、何を言うんだい……もう……」
キョン「じゃ、早頂くとしようか」
佐々木「うん、それじゃワインを開けよう」
キョン「ワインまで準備してたのか、凄いな」
佐々木「たまには良いだろう?」
キョン「そうだな。今日は良い報告もあるんだ」
佐々木「へえ、楽しみだね。実はこっちも話があるんだ」
キョン「ほう、なんだろうな。それじゃとりあえず、乾杯」
佐々木「乾杯」
10:
キョン「うまいな。さて何から食べるかな」
佐々木「あ、今日のオススメはこれとこれと……」
キョン「何を言ってるんだ。全部オススメで間違いないだろう」
佐々木「き、君は時々恥ずかしいことを言うな……」
キョン「そうか?って随分赤くなってるぞ。もう酔ったのか?」
佐々木「そ、そんな訳ないよ」
佐々木(ああもうこの朴念仁……)
11:
食事終了後
キョン「ふぃーサッパリした」
佐々木「ふふ、それじゃそろそろ寝るかい?連日の残業だし疲れているだろう?」
キョン「そうだな、とりあえず寝室に行こうか」
佐々木「……ふう、ねえ、キョン」
キョン「なんだ?」
佐々木「良い報告ってなんだい?」
キョン「ああ、そうだ。ここのところずっと忙しかったんだけどな、ようやく一息つけそうなんだよ」
佐々木「そうなのかい?」
キョン「うむ。企画が認められてな。今度大きな会社にプレゼンする事になったんだ」
佐々木「おめでとう。さすがはキョンだね」
13:
キョン「もちろん、そこでヘマやっちゃ水の泡なんだがな。ここまで漕ぎ着けられてよかった」
佐々木「そうだね。本当にお疲れ様。これからも大変だと思うけど……」
キョン「まあな。成功しても失敗しても、いい経験にはなるさ。まだもう少しお前には苦労かけるが……」
佐々木「大丈夫だよ。僕の事は気にしないでくれたまえ。こうして君と枕を並べるだけでも幸せなんだ」
キョン「……俺は本当に良い嫁さんをもらったよ」
佐々木「きゅ、急になんだい?」
キョン「いや、いつも心配かけてるのに、こうして愚痴1つ言わずせっせと頑張ってくれるんだ」
佐々木「キョン……」
14:
キョン「本当に、お前には感謝してる。だからって訳じゃないんだが……」
佐々木「ん?」
キョン「ほら、これ」
佐々木「……!これって……!?」
キョン「時間はまだ間に合ってるよな。結婚3周年だ」
佐々木「……覚えて……たの?」
キョン「もう少しで忘れるところだったんだがな。いや、日にちの概念がなかったからなんだが」
佐々木「……ぐすっ」
キョン「お、おい……」
佐々木「よかった……忘れてる、かと……思った……から……ぐすっ……本当に……嬉しいよ」
15:
キョン「佐々木」
佐々木「ぐすっ……な、なんだい?まるで学生の時みたいな呼び方……」
キョン「はは。たまには良いだろ?」
佐々木「……うん……」
キョン「そういえば、そっちにも報告があるんじゃなかったか?」
佐々木「あ、うん……えっとね」
キョン「なんだ?」
佐々木「……その……おめでた、だって」
キョン「なに?」
17:
佐々木「今日、病院いってきたんだ。妊娠3ヶ月目だって」
キョン「……」
佐々木「きょ、キョン?」
キョン「ほ、本当か?」
佐々木「カルテの取り違いでもない限り、そのはずだよ」
キョン「……」
佐々木「……?」
キョン「やっ……たな……」
佐々木「え?」
キョン「そうか、俺たちの、子どもか……!」
佐々木「う、うん」
18:
キョン「でかした!とうとう俺たちも、子宝に恵まれたんだな!」
佐々木「うん!」
キョン「やったぞ!」
佐々木「わっ、キョン!そ、そんな強く抱きついちゃ……」
キョン「お、おっとすまん。お腹の子どもが驚くか?」
佐々木「そんな事は……ないと……思うけど」
キョン「まだ性別は分からないんだよな?」
佐々木「そうだね。昔に比べたら早くに分かるようになったみたいだけど、まだ分からないかな」
キョン「そうか……名前、考えなくちゃな」
佐々木「うん」
19:
キョン「ベビーカーに洋服に……それからそれから……」
佐々木「きょ、キョン、まだ早いよ。そんなに慌てなくても……」
キョン「す、すまんな。なんせ初めてのことだし、どうにも落ち着かないんだ」
佐々木「初めてじゃなかったら僕は驚くけどね」
キョン「そ、そりゃそうだ。なんだかお前の方が落ち着いているな」
佐々木「そうかい?これでも喜色満面なんだけど……」
キョン「ああ、それは言えてるな」
佐々木「え?」
キョン「今のお前、すごい幸せそうな顔だ」
20:
佐々木「……っ! そ、そういうキョンこそ……」
キョン「当たり前だ。俺とお前の子どもだぞ?嬉しくない訳あるかよ!」
佐々木「キョン……」
キョン「な、なんだよまた泣き出して……俺、何か変なこと言ったか?」
佐々木「ううん、違う、違うんだ」
佐々木(ただ、キョンが妊娠のことを心から喜んでくれてる)
佐々木(たったそれだけの事がこんなに幸せなんて思わなかった)
佐々木「……本当に」
キョン「ん?」
佐々木「本当に、君と一緒になれて良かった」
21:
キョン「……」
佐々木「んっ……きょ……キョン……んちゅっ」
キョン「お腹の中で赤ん坊が寝てるからこれ以上はできないけどな」
佐々木「ば、ばか……」
キョン「でも、お前が欲しくなった。キスくらいなら、いいだろう?」
佐々木「う、うん……んんっ、ちゅ、ふぅっ……」
キョン「愛してるぞ」
佐々木「うん……わたしも……んむっ……」
23:
翌朝
キョン「それじゃあ行ってくるよ」
佐々木「うん、忘れ物はないかい?」
キョン「ああ、1つだけあったな」
佐々木「定期かい?それともハンカチ?」
キョン「いや」
佐々木「んっ」
キョン「これでOKだ。行ってくる」
佐々木「……っ……いってらっしゃいっ」
佐々木(キョンってばもう……はっ、ほっぺたが緩んでる……)
25:
一週間後
上司「さて、いよいよ今日はプレゼンの日だな」
キョン「はい」
上司「準備は万全、という顔をしてるな」
キョン「ええ。バッチリ成功させたいですからね」
上司「聞けば奥さんがご懐妊だそうだな」
キョン「はい。仕事にもいっそう身が入るってものです」
上司「はっはっ。若いというのは良いことだ。その様子なら大丈夫だろう。今日はしっかり頼むぞ!」
キョン「もちろんです」
26:
上司「プレッシャーをかける訳ではないが、今回の顧客を取れれば我が社には大きなプラスだ」
キョン「……心得ています」
上司「社長も期待している。くれぐれも失礼のないようにな」
キョン「はい」
上司「よし、いってこい」
同僚「頑張ってこいよ!」
キョン「はい!」
キョン(こうやって難事に立ち向かうってのは高校以来かもな……みんな、元気にしているんだろうか)
キョン(おっと、今はそれどころじゃない。しっかりやるぞ!)
27:
会議室
キョン(プロジェクタよし、パワポよし、配布資料よし、名刺よし……あとは俺だけだな)
prrrrrrrr
キョン「はい、第2会議室です」
受付「10時からのお約束で、○○商社の方が3名様。ロビーにてお待ちです」
キョン「はい、お通ししてください」
キョン(きたか……ふう、嫁さんと生まれてくる子どものためにも、頑張るぞ!)
ガチャッ
キョン「あ、どうもはじめまして。わたくし、当社企画営業部……」
??「え、キョン……?」
キョン「え?」
??「……」
キョン「は、ハルヒ……!?」
28:
プレゼン終了
キョン「はい、それでは今後とも弊社を宜しくお願いいたします」
顧客「ええ、今日はありがとうございました。大変有意義な時間でした」
キョン「そう言って頂けて何よりです」
顧客「ではここで失礼致します」
キョン「はい、お疲れ様です」
ハルヒ「あ、ねえキョン」
キョン「なんだ?」
ハルヒ「今日って仕事終わるの何時頃?」
29:
キョン「んー今日は残業1時間くらいであがれるとは思うが」
ハルヒ「定時までにはあがりなさいよね。今夜久しぶりに飲みに行きましょうよ」
キョン「ん……わかった。なんとかしてみよう」
ハルヒ「それじゃね」
キョン「ああ、じゃあな」
キョン(まさかハルヒが取引先の会社に勤めていて、しかも課長とはな……)
キョン「ま、たまには良いだろう。……っと連絡入れておかんとな……」
31:

佐々木「おや、メールだ……『久しぶりにハルヒと会う事になったので今夜は夕飯いらないぞ』か」
佐々木「涼宮さんか、懐かしい名前だな。ま、たまには良いよね」
会社
キョン「お、返信だ。『了解。積もる話もあるだろうけど、あまり遅くならないようにね。』か」
キョン「しかし、ハルヒか……何年振りだろうな……」
同僚「お、プレゼンどうだった?」
キョン「まぁ、成功じゃないかな。一応先方さんはかなり食いついてたし。後は返事待ちだ」
同僚「そうかそうか。お疲れさんだったな」
キョン(しっかし、ハルヒのヤツ……出世もそうだが、えっらい美人になってたな……)
上司「ご苦労だったな。報告書は早めにまとめて上げてくれ」
キョン「はい、わかりました。今日中には仕上げます」
キョン(……中身も成長してると良いんだがな……)
32:

キョン「さてと、待ち合わせの場所は……」
ハルヒ「キョン!来たわね!こっちこっち!」
キョン「お、おう!」
キョン(あんだけ美人だとイヤでも人目をひくとゆーのに、そんな大声出すなよ……)
ハルヒ「ちゃーんと定時に仕事を終わらせてきたみたいね。感心感心」
キョン「まぁ、約束もあったからな。それにここんとこ残業続きだったからたまには早く仕事あがりたかったのさ」
ハルヒ「ダメよ、キョン。残業なんてのは心の贅肉みたいなもんなんだから。メタボになるわよ!」
キョン「なんじゃそら。余計なお世話だ。……して、ハルヒよ」
ハルヒ「ん?なに?」
キョン「そちらの方は?」
ハルヒ「あぁ、部下ちゃんよ。まぁ詳しい話はあとあと!お店いくわよ!」
33:
お店
キョン「意外と庶民的なお店だな」
ハルヒ「なによ、安酒は飲めないって訳?」
キョン「そうじゃない。ただなんとなく意外なだけだ。他意はない」
ハルヒ「ふうん。あ、すいません、とりあえずビール3つ!」
キョン「お、おい、部下さんはまだ何も……」
ハルヒ「良いのよ。この子、いつも最初はビールなんだもん」
キョン(お前がいつも勝手にビールを最初に注文してるだけじゃないのか?)
店員「ビールお待ちどうさまでーす」
ハルヒ「はーい、それじゃカンパーイ!」
キョン「乾杯」
部下「か、かんぱーい」
34:
ハルヒ「ぷっはー!やっぱ仕事の後のビールは最高ね!」
キョン「同感だがお前、オッサン臭いぞ」
ハルヒ「あによ、失礼ね!」
キョン「あ、すみません、これとこれください」
ハルヒ「ちょっと!アタシに無断で頼むな!」
キョン「なんでだよ……って、あのー部下さん?何を笑ってらっしゃるんです?」
部下「あ、いえ、すみません。なんかちょっと楽しくて」
キョン(もう酔っ払ってしまったのだろうか)
ハルヒ「えっとーこれとこれとこれ!あとこれも1つね!」
店員「はい、かしこまりましたー」
35:
ハルヒ「で、今日はプレゼンお疲れ様」
キョン「ん?ああ、始まるまではどうなるかと思っていたがなんとかなって一安心だよ」
ハルヒ「ふうん?」
キョン「結構緊張してたしな」
ハルヒ「そう?リラックスしてるように見えたけど?」
キョン「そりゃあ多分……お前が取引先にいるとは思わなかったからな」
ハルヒ「ああ、そうねえ。アタシも驚いたわよ」
キョン「お前、課長のくせに相手の名前くらい見てなかったのか?」
ハルヒ「見てたんだけどー……なんていうかね」
キョン「なんだよ、らしくないな」
ハルヒ「キョンの本名忘れてた」
36:
キョン「……おーまーえーなー……」
ハルヒ「どんまいどんまい!あっはっはっは!」
キョン「やれやれ……変わってねぇなぁ、お前は」
ハルヒ「そうかしら?」
キョン「ああ。安心するくらい変わってねぇよ」
ハルヒ「うーん、なんだか褒められてるのかそうじゃないのか分かりにくいわね」
キョン「ったく、外見は立派な美人になったってのに」
ハルヒ「へ?」
キョン「っ!いや、なんでもない!今のは失言だ!取り消す!」
ハルヒ「……間抜け」
キョン「なんとでも言え。今は反論する気になれん」
37:
ハルヒ「ふん、ま、いいわ。こんな席でって言うのもなんだけど、うちの会社としての回答をするわね」
キョン「な……今日プレゼンした企画についてか?」
ハルヒ「そ、もう意見は取りまとめて結論出たから」
キョン「いくらなんでも早すぎやしないか?終わって半日だぞ?」
ハルヒ「なに言ってるのよ。答えは早ければ早いほうが良いでしょうが」
キョン「それはそうだが……」
部下「あのっ」
キョン「は、はい?」
部下「課長は、いつもとにかく早いんです。課長が今の職に就任してから半年ですが
 社内部署別の残業時間が一番少ないのがウチの課なんですよ」
キョン「そうなんですか」
38:
部下「ええ。とにかく今日の仕事はできる限り早く正確に集中して終わらせろって」
ハルヒ「あたりまえよ。ダラけて仕事されるよりよっぽど効率的だもん」
部下「でもそれまでは、定時内に早く終われば、時間まで何かしら仕事をしなくちゃいけないですし」
キョン「まぁ、普通の会社はそうですよね。定時前にいきなり仕事がきて残業なんてのはしばしばですし」
部下「はい。ですがうちの課では仕事が終わったら定時まで会社にいれば良いんです」
キョン「……と、いうと?」
部下「インターネットしていようが雑誌読んでいようが、構わないんです」
キョン「い、いくらなんでもそれは……」
ハルヒ「だって、すべき事がないんだもん。良いじゃない。まぁ、流石に帰られたら困るからなんだけどね」
キョン「うーむ。ちょっと信じられんな」
39:
ハルヒ「確かに最初は他の部署やなんやかやからいろいろ言われたりもしたけど無視してやったわよ」
キョン「……そりゃなあ」
ハルヒ「でも下半期の売り上げ、昨年同時期比で118%だったからね。すぐ黙ったわ」
キョン(……さすがだ……)
部下「営業2課の課長さんの顔ったらなかったですよー。今でもみんなで思い出して笑ったりしますもん」
ハルヒ「仕事は量より質よ。残業して良いやーなんて気構えだからダメなのよね」
キョン「相変わらずだな、そういうところは」
41:
ハルヒ「なによ、良いじゃない。会社に損もさせてないし、部下だって困ってないわ」
部下「それどころか、他部署から転属したいって人事や総務に申し入れがあるくらいなんですよ」
キョン(いや、変わったんだな。)
ハルヒ「ウチの部署に人員が増えるのは良いけど、それで他部署の人手が足りなくなるんじゃ本末転倒だからねえ」
キョン(コイツはコイツなりに、周りをよく見て、いい方に物事を変えようとしてるんだ)
部下「他の部署でも総残業時間を減らそうって傾向にあるみたいですよ」
キョン(高校のときは自分の我がままで皆を振り回していただけなのにな)
42:
ハルヒ「いい事じゃない!残業手当なんて会社に取ったら頭痛の種、百害あって一利なしよ!」
キョン「まったくだな」
ハルヒ「そう思うならアンタも残業なんてしないでしっかり定時に上がりなさいよね!」
キョン「善処するさ」
ハルヒ「話がそれたわ。回答の件だけど」
キョン「お、おう」
ハルヒ「受けさせてもらうわ。我が社にはかなりのメリットがありそうだからね」
キョン「マジか!」
43:
ハルヒ「ええ。今後ウチとの連絡は部下ちゃんとメールないし電話でお願いするわ」
部下「宜しくお願いしますね」
キョン「ええ、こちらこそ。宜しくお願いします」
ハルヒ「ま、今日部下ちゃんを連れてきたのはその顔合わせも兼ねてきた訳」
キョン「なるほどな」
ハルヒ「やっぱり顔も何も知らない相手とのやり取りって信頼とか内実が伴わないと思うのよ」
キョン「ふむ」
ハルヒ「だからできるだけ足を運んで自分で相手の顔を見たいし、みんなにもそうさせてるわ」
部下「そうするとやり取りも円滑になるんですよね」
ハルヒ「うんうん」
キョン「お前も立派な上司になったもんだなあ……」
ハルヒ「なによそれ!」
44:
部下「くすっ」
ハルヒ「ん?なに、どうしたの?」
部下「いえ、ホントにお2人って仲が良いんですね」
ハルヒ「は、はぁ!?何言ってるのよ!」
部下「だって、涼宮課長、会社や今までの飲みではそんな顔した事ありませんでしたよ?」
ハルヒ「そんなことは……高校の同級生だったからってだけよ!ね、キョン!」
キョン「そうですよ。俺とハルヒはそんな仲じゃありませんって」
部下「えーそうなんですかー?でも課長、こんな美人で素敵なのに、彼氏作らないんですよー」
キョン「なんだ、そうなのか?」
45:
ハルヒ「ふ、ふん!アタシは仕事も家事も自分でできるもの。彼氏なんていらないの!」
キョン「まぁ、そんじょそこらの男ではお前にはついていけんだろうな」
ハルヒ「ど、どういう意味よ!」
部下「そんな事ないと思いますけど……」
ハルヒ「部・下・ちゃん?そろそろ減俸するわよ?」
部下「ひっ!ご、ごめんなさい!すみません!申し訳ありません!課長!」
ハルヒ「ん、わかればよろしい……っともうこんな時間ね」
キョン「21時か2時間以上経つんだな」
ハルヒ「そろそろお開きにしましょうか。明日も仕事だしね」
キョン「そうだな。楽しかったよ。部下さんもありがとうございます。明日から宜しくお願いしますね」
部下「はい、こちらこそです。今日はありがとうございました」
46:
キョン「さて、会計っと」
ハルヒ「あ、良いわよ、キョン。ここはアタシが払うから」
キョン「……なんだって?」
ハルヒ「だから、アタシが払うっつってんのよ、ほら渡しなさい」
キョン「お、おい。良いのか?」
ハルヒ「……アンタ、アタシの年収いくらか分かってる?」
キョン「うぐっ、そ、それを言われると痛いな」
47:
ハルヒ「こっちから誘ったんだし、部下も連れてきたし、店もアタシが決めたし」
キョン「せめて半分くらい払わせてくれんか?」
ハルヒ「キョン、男の見栄はかっこよくないわよ」
キョン「うーむ。かっこよさはこの際どうでも良いんだがな」
ハルヒ「いいってことよ。なんなら次回はアンタに払ってもらうわ」
キョン「わかった。それで手をうとう」
ハルヒ「決まりね。会計お願いしまーす」
48:
店の外
部下「ごちそうさまでしたぁ」
キョン「ごちそーさん」
ハルヒ「はいはい、どういたしまして」
部下「じゃあ私はこっちなのでここで失礼しますね」
ハルヒ「うん、お疲れ様」
49:
キョン「……良い子だな」
ハルヒ「あらなに?アンタ、あーいう子が好みな訳?」
キョン「ばっ……そういう事じゃねーよ」
ハルヒ「分かってるわよ」
キョン「ったく……」
ハルヒ「ねえ、キョン」
キョン「ん?」
ハルヒ「ちょっと飲み直さない?」
キョン「……」
50:
別のお店
ハルヒ「へえ、雰囲気いいお店じゃない。キョンのくせにやるわね」
キョン「くせにーは余計だ。ま、悪くないだろ」
ハルヒ「うん。たまにはこうやって静かに飲むのも良いわ」
キョン「そうかい」
ハルヒ「……ねえ、キョン」
キョン「ん?」
ハルヒ「……奥さんと、うまく、いってる?」
キョン「……そりゃ……まあな」
ハルヒ「……ふうん……」
キョン「なんだよ?」
ハルヒ「べつに……」
51:
キョン「……」
ハルヒ「……」
キョン(なんだよこの沈黙)
ハルヒ「しあわせ?」
キョン「ああ。今度子どもも生まれるしな」
ハルヒ「子ども?」
キョン「ああ。まだ妊娠3ヶ月目って言ってたっけな。4年目にしてようやくってとこだ」
ハルヒ「ふうん……子どもねえ」
キョン「なんだよ?」
52:
ハルヒ「べつに、どんな子どもが生まれるのかしらね」
キョン「さあなあ。俺にあまり似てないと良いんだが」
ハルヒ「確かに言えてる。奥さんに似た方が美人なのは間違いないわね」
キョン「やかましい。わかってるよ」
ハルヒ「名前とか考えてるの?」
キョン「ああ、考えようと思ったんだが嫁さんにまだ早いって釘刺されちまったよ」
ハルヒ「まぁ3ヵ月って言ったらあと……半年以上はある訳だしね」
キョン「そうは言うが、待ちきれなくてなぁ」
ハルヒ「はいはい、ごちそうさま」
53:
キョン「お前から振ったくせに……」
ハルヒ「ふん、良いでしょ」
キョン「ったく……あ、ちとトイレ行ってくるわ」
ハルヒ「はい、いってらっしゃい」
ハルヒ「……ふう……幸せ、か……」
56:
キョン「ただいまっと」
ハルヒ「おかえり」
キョン「そういやお前、彼氏作ってないんだって?」
ハルヒ「そうよー。悪い?」
キョン「いや、悪くはないが……親は何も言わんのか?」
ハルヒ「早く孫の顔が見たいとは言われるわねえ」
57:
キョン「めちゃくちゃ急かされてるな」
ハルヒ「でもこればっかりは仕方ないでしょ」
キョン「まあそうだな」
ハルヒ「ほらほら、お酒が進んでないわよ」
キョン「ペースってもんがあるんだよ。んっ……ふう、美味いな」
ハルヒ「そうね、たまにはこういうお酒も良いわね」
58:
??
??「―――っ!―――っ!!」
キョン「ん……なんだ……?」
キョン「って、な、なんだこれ……っ!?」
ハルヒ「キョン!キョン!んあっ、ひぐぅっ!」
キョン「お、おい、こら、ハルヒ!何してんだよ!」
ハルヒ「あら……っ、もう……はぁはぁ……目が、覚めたの?
 意外と……んんっ……早かったわ、ねっ!……ふっ……くぅ……!」
59:
キョン「質問に答えろ!これは一体全体どういう事だ!」
ハルヒ「見てわかんない?」
キョン「異常な状況に置かれている事だけは分かってるぞ」
ハルヒ「それだけ分かれば十分じゃない。アンタとアタシがエッチしてる。それだけよ」
キョン「それだけ……ってお前、どういうつもりだ!」
ハルヒ「どういう……つもり……ですって?」
キョン「……っ!」
ハルヒ「どう、思う?」
キョン「……お前、まさか佐々木との結婚、反対だったのか?」
60:
ハルヒ「……さあね、それはどうかしら。少なくとも今ではそんな事ないわね」
キョン「じゃあなんでだ……一体なぜこんな……」
ハルヒ「アンタが幸せになれるならそれで良いと思ったの。でもね……」
キョン「……」
ハルヒ「アンタと、あの女の、子ども?そんなの……許せないわよ」
キョン「なん、だと……」
ハルヒ「だけどね、子どもに罪はないし、あの女も、もちろんアンタも悪くないわ」
キョン「……なら、どうしてだ」
61:
ハルヒ「だから……」
キョン「……」
ハルヒ「アタシにも、ちょうだいよ。アンタの子ども」
キョン(コイツ……完全にイカれちまってやがる……!)
キョン「ハルヒ。今すぐ止めろ。俺の上からどくんだ。まだ今なら何もなかった事にしてやる。だから」
ハルヒ「何もなかった事に、ですって?」
キョン(なんて……顔で笑いやがる……!)
62:
ハルヒ「できる訳ないわ……それに、アンタ言ったわよね?」
キョン「なに?」
ハルヒ「次は自分で払うって」
キョン「な……それはそういう意味じゃないだろう!?」
ハルヒ「通貨は指定してないわ。文字通り、アンタに払ってもらうわよ?」
キョン「ばっ……やめろ!」
63:
ハルヒ「だーめ。ところで今、何時か分かる?」
キョン「……なに?」
ハルヒ「アンタをホテルに連れ込んでからもう6時間くらい経つわね」
キョン「な……6時間だと!?」
ハルヒ「そっ。その間、アンタ何してたかわかる?」
キョン「待て待て待て……あの店に行ったところから記憶が全くないぞ……」
ハルヒ「……」
キョン「確かトイレに行ってその後……お前、まさか俺の酒に……」
64:
ハルヒ「ようやく分かったみたいね。良い子ね、キョン」
キョン「あれから……6時間……?」
ハルヒ「正確にはあれから7時間ね。お店の人にタクシー呼んでもらって、ホテルとって、ここまで連れてきたの」
キョン「……」
ハルヒ「ふふっ、最初は痛かったわ。初めてだったから」
キョン「な……」
ハルヒ「でもね、キョンのが入ってるんだって分かってとっても嬉しかったの」
キョン(若干俺の腹の上に血が溜まってるのは……破瓜の血、か……?)
65:
ハルヒ「そしたらだんだん気持ちよくなってきちゃった……ふふっ」
キョン(しかし……最近仕事が忙しくてご無沙汰だったから、これはキツイな……)
ハルヒ「ねえ、これってアタシたちの相性が良いからかな?ねぇ、そう思わない?」
キョン「し、しらん。というか、いくらなんでも6時間というのは嘘だろ?そんなにもつとは思えん」
ハルヒ「うん、大丈夫、薬飲ませてあげたから」
キョン「なにっ!?」
68:
ハルヒ「あ、これはお酒に入れた薬とは違うわよ?ちゃんとホテルに着いてから……」
キョン「いやそういう問題じゃなくて……違う、ああもう、何からツッコめば良いんだ」
ハルヒ「何言ってるのよ、キョン。もうとっくに太くて熱くて固いの突っ込まれてるわよ」
キョン「親父ギャグはいらん。ちっとは空気をよめ」
ハルヒ「なによ、ノリ悪いわねえ」
キョン「なんとでも言え。それで?何の薬を飲ませたんだ」
ハルヒ「いわゆるバイアグラみたいなもんよ。回春剤とか精力強壮剤の一種ね」
キョン「ぶっ……なんだとぉ!?」
69:
ハルヒ「よく分かんないけど、やっぱり6時間勃ちっぱなしってすごいの?」
キョン「すごいどころじゃない、異常だぞ」
ハルヒ「そうなんだ?ふふっ、じゃあ普通じゃないのね♪」
キョン(これは、誰だ)
ハルヒ「でもね、キョン、まだ足りないの。今日は危険日じゃないから」
キョン(これは、違う)
ハルヒ「だから、アタシがキョンの子を孕むには、もっといっぱい注ぎ込んでくれないと、ね?」
キョン(なぜ……どうして……)
70:
ハルヒ「知ってるよ。男の人も、キョンも気持ち良いんでしょ?」
キョン(俺が、ハルヒをこんな風に変えちまったのか?)
ハルヒ「もっともっと気持ちよくしてあげるから、安心してねっ」
キョン「……なぁ」
ハルヒ「なぁに?」
キョン「なんで手足が動かないんだ?」
ハルヒ「あぁ、眠り薬の副作用よ、それ。顆粒を経口飲用して即効。2?3時間は強制的に睡眠状態になるの」
キョン「……それは睡眠じゃなく昏倒じゃないのか」
71:
ハルヒ「似たようなものね。それで、目が覚めた後は四肢に痺れもしくは虚脱感が襲うの。個人差ありだけどね」
キョン「それ、厚生労働省から認可おりてるのか?」
ハルヒ「降りてないと思うわよ?自律神経が半日から一日、めちゃくちゃになるもの」
キョン「そんなもんを俺に飲ませたのか?」
ハルヒ「ふふっ、口移しで飲ませちゃった。でも良いよね。どうせアタシのファーストキスはアンタに―――」
キョン「そんな事は聞いとらん!」
ハルヒ「な、なによキョン?いきなりそんな大声出さないで。びっくりしちゃうじゃない」
キョン「ハルヒ、俺はどうしてお前がこんな事をするのか分からんし、分かってやれそうにもない」
ハルヒ「……キョン?」
72:
キョン「もし仮に俺の意識のない内に俺がお前に射精した事で子どもが出来てしまったら仕方ない。
 その子は責任を取って俺が引き取る。だからもう止めてくれ」
ハルヒ「……」
キョン「高校の頃、お前の気持ちには薄々感付いていた。だが俺にはそれに応えるほどの器がなかった」
ハルヒ「……」
キョン「でも俺は、お前の事が好きだったよ。だからお願いだ。こんな形で、そんな気持ちで
 子どもを作ろうとなんてしないでくれ。頼む」
ハルヒ「……」
キョン「……自分に都合の良いことを言ってるのは分かってる。でも、それでもだ。
 こんなのは絶対に間違ってる。ハルヒ。お前にも分かっているんだろう?」
ハルヒ「……によ……」
キョン「……ハルヒ?」
73:
ハルヒ「なによ、なんであの女だけキョンとの子どもができて、アタシはダメなのよ」
キョン「ハルヒ」
ハルヒ「そんなの許さない。絶対に。今ならキョンの意識がある。今射精させたら子どもも私にもらえるのよね?」
キョン「ハルヒ!」
ハルヒ「ふふ、もう朝になるわよ、キョン。あの女はどうしてるかしらね?」
キョン「……!」
74:
ハルヒ「よ……っと」
キョン「おま……なにを……」
ハルヒ「ふんふーん。なになに、へー、あの女、こういう名前だったんだ。佐々木って苗字しか知らなかったわ」
キョン「ハル……ヒ……!」
ハルヒ「ふふっ……驚くかしら、驚くわよね、そりゃ」
キョン(ぞくっ……な、なんて目だ……太陽の輝きみたいなアイツの真っ直ぐな瞳は……どこいっちまったんだ)
ハルヒ「もしもし?佐々木さん?久しぶり。アタシよ、涼宮ハルヒ。覚えてる?」
キョン「お、おい!ハルヒ!」
76:
ハルヒ「え?なんでアタシがキョンのケータイから電話かけてるのかって?そりゃ不思議よねー
 ……でも、そんなの答えは1つしかないんじゃない?」
キョン「ハルヒ!よせ!何を考えてやがる!」
ハルヒ「よっこいせ……っと。ね、今アタシとキョンが一緒にいる事は分かったでしょ?
 うんうん、さすが佐々木さん。頭良いわねぇ。このバカとは頭の回転が大違いよー」
キョン「ハルヒ!」
ハルヒ「さて、問題です。キョンとアタシはこんな時間までどこでどんな事をしたでしょうか?」
キョン「おい!聞いてんのか!」
79:
ハルヒ「ふふ、分かってても口には出せないわよねえ。あ。大丈夫よ。口じゃないところに出してるから」
キョン(こ、コイツ……こんな時まで親父ギャグかよ……!)
ハルヒ「ね、そこで聞いててよ。アタシとキョンが何をしてるか……実演してあげるから」
キョン「ハルヒ!やめろって言ってんだろ!」
ハルヒ「んんっ……何度も入れたけど……やっぱりキョンの、おっきい、よぉ……んくっ……うぅっ」
キョン「くあっ」
ハルヒ「はふ……はふ……はい……ったぁ……全部……入ったよぁ…熱い、ね……ふふ」
キョン「ぐっ……」
80:
キョン(こ、こうなったら何がなんでも射精をどうにかして止めるしかないな……)
 (本当に6時間やりっぱなしだったんならそう簡単にはイカないハズだ)
ハルヒ「じゃあ、キョン……うご、くよ……?……んっ……んっ……んぁっ……」
電話「―――!―――!!」
キョン(くそ、佐々木……佐々木……っ!そ、それにしても、コイツ……っ)
ハルヒ「はふ、キョン……きょんん……イイよお……すごく……キモチ、イイ……のぉ……んぁっ!」
キョン(き、気持ちよすぎるぞ……これも回春剤とやらの作用なのか?)
電話「―――!―――!!」
キョン(くそっ……流されるな……耐えろっ!)
81:
ハルヒ「ねぇ……キョンも……んっ……イイ、でしょっ?……そうだよね?……こんなに、ココ、熱くなってるもん」
キョン(長い黒髪、昔より育った胸、細い肩と腰、健康的な尻、すらりと伸びた脚、朱がかった白い肌)
ハルヒ「うっ、すごいっ!すごい……よぉっ!……んぁぁっ!いっちゃう!いっちゃうよぉ……キョン!」
キョン(ぐっ、締まる……ヤバイ……っ!)
ハルヒ「おねがいぃっ……出して!膣内に……アタシのぉ……子宮にっ……んっ……キョンの精子出してえぇぇぇ!」
キョン「うっ……くぅっ!」
キョン(くそっ、ださねぇ!ださねぇぞ!俺のため、ハルヒのため、そして誰より、佐々木と生まれてくる子どものために!)
ハルヒ「あ、アタシ……もう、限界……だよぅっ!ちょぉ……らい……ひょ、んの……せえしぃ……」
キョン「うおおおおおっ」
キョン(念じろ!今なら見える!見えるはずだ!)
84:
キョン(ぐおああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!)
ハルヒ「……ふえっ……な、なんで……?きょん……?」
キョン「はぁ……はぁ……」
キョン(耐えた……耐え切った……!)
ハルヒ「なんで……キョン……?」
キョン「……はぁ、はぁ……」
ハルヒ「どうして……ダメ、なの?」
キョン「……ハルヒ……」
ハルヒ「なんで……私じゃ……ダメなの、よぅ……」
86:
電話「………………」
キョン「………………」
ハルヒ「答えてよ……キョン……」
キョン「お前の子どもは間違いなく美人になるだろうな」
ハルヒ「……?」
キョン「でも、それはお前だけの子どもじゃないんだ」
ハルヒ「……」
87:
キョン「子宝ってのは、本来、愛し合う夫婦にだけ許された、文字通り『宝』なんだよ」
電話「……」
キョン「それを一方的な気持ちや歪んだ動機のまま作るなんて、俺にはできない。絶対にだ」
ハルヒ「……でも……」
キョン「それに、こういう言い方は辛いかもしれんがな」
ハルヒ「……?」
キョン「お前は高校時代、結局俺に告白する事はなかった」
88:
ハルヒ「……」
キョン「でも佐々木は勇気を出してくれたんだよ」
電話「……」
キョン「付き合う前までのお前たち2人の心象とか、好意ってのは大差なかった。正直言ってな」
ハルヒ「……」
キョン「でも、付き合い始めてからいろんな事が分かって、気づいたらどんどん佐々木を好きになってた」
電話「……」
キョン「佐々木が7年前に1歩前に踏み出せた勇気、それをお前は持てなかった。違いはそれだけだ」
89:
ハルヒ「……そっか……」
キョン「だが、本意ではないにせよ、その……お前に膣内射精しちまったのは悪く思う。だから……」
ハルヒ「バカキョン。本当だと思ったの?」
キョン「なに?」
ハルヒ「アンタが寝てる間は全部コンドームつけてたわよ」
キョン「なんだと?」
ハルヒ「でもゴムがなくなっちゃって、怖いけど生でやろっかなって時にアンタが起きちゃうんだもん」
キョン「な……」
90:
ハルヒ「ほんっと、アンタって昔から間が悪いわよね」
キョン「ハルヒ……」
ハルヒ「いや、間が悪いのはアタシの方か。ちぇっ」
電話「……」
ハルヒ「あーあ。まったく、我ながらバっカみたい」
キョン「ハルヒ……」
ハルヒ「あーもしもし、佐々木さん?そういう事だから、ちょっとここまで来てもらえる?
 えっとね、○○ホテルの1307号室よ。フロントには言っておくから」
91:
キョン「ところでハルヒ、俺はいつになったら動けるんだ?」
ハルヒ「あー、薬は本物なのよねえ。悪いけど今日一日はそのまんまでいて頂戴」
キョン「おま……マジかよ……」
ハルヒ「あら、アタシ嘘なんてつかないわよ」
キョン「さっき大嘘こいたのはどこのどいつだ」
ハルヒ「んー何のことか忘れたわ」
キョン「コイツ……」
92:
ハルヒ「あっ、そうだわ。アタシの子どもとキョンの子どもを結婚させればキョンと家族になれるかも!」
電話「―――!?」
キョン「おいおい!」
ハルヒ「そうと決まったら早いトコ、相手探ししなくっちゃ!じゃあね、佐々木さん。お幸せに!」
キョン「ハルヒ、いくのか?」
ハルヒ「……うん。悪かったわね、アンタにも、佐々木さんにも」
キョン「気にするな、とは言えないが、佐々木には俺からフォロー入れとくよ」
ハルヒ「うん。でもアンタ、そのカッコで言っても全然締まらないわよ」
キョン「誰のせいだ、誰の!」
93:
ハルヒ「ふふっ、ねぇキョン」
キョン「ん?」
ハルヒ「ちゅっ」
キョン「……!」
ハルヒ「ずっと、きっと初めて出会ったときから、好きよ。キョン」
キョン「ハルヒ……」
96:
なんという爽やかさ
97:
ハルヒ「ふふっ、なんで高校の頃はあんなに意固地になってたのかしら」
キョン「……さあな」
ハルヒ「キョンなら答えを持ってると思ったのにな。最後まで意地悪なんだから」
キョン「……何のことかな」
ハルヒ「それじゃあ、ばいばい、キョン。あ、仕事に私情は持ち込まないからね!」
キョン「わかってるよ」
キョン「……ハルヒ」
ハルヒ「え?」
キョン「……またな……」
ハルヒ「……!……う、うん……またね……」
99:
キョン「……ふう……」
キョン「やれやれ、このままじゃ会社には行けんな。仕方ない。欠勤の電話を入れなくちゃな」
キョン「って腕動かないんだった……」
佐々木「キョン!」
キョン「佐々木!随分早かったな」
佐々木「それは……そうだよ……私がどんな気持ちで……」
キョン「はは、すまん。佐々木、ありがとな」
佐々木「え?」
107:
キョン「いや、なんでもない。ところでそろそろ服を着たいんだが生憎四肢が動かなくてな。手伝ってくれるか?」
佐々木「あ、うん……ホントに動かないんだね」
キョン「ああ。びっくりするくらいな」
佐々木「……大丈夫、なのかい?」
キョン「……ああ。一応な」
佐々木「それにしても……」
キョン「ん?」
佐々木「ず、随分……その……り、りり立派なんだね」
108:
キョン「おおおう!?いや、違うぞ!これは……!」
佐々木「???っ」
キョン「お前の顔見たら気が緩んじまったんだろうな。心臓に悪かったぜ……」
佐々木「……よく……我慢できたね」
キョン「ああ。……乱れるアイツの姿はひどく扇情的だったよ……けどな……」
ハルヒ「ねぇ……キョンも……んっ……イイ、でしょっ?……そうだよね?……こんなに、ココ、熱くなってるもん」
キョン(長い黒髪、昔より育った胸、細い肩と腰、健康的な尻、すらりと伸びた脚、朱がかった白い肌)
ハルヒ「うっ、すごいっ!すごい……よぉっ!……んぁぁっ!いっちゃう!いっちゃうよぉ……キョン!」
キョン「思い浮かんだのはお前の顔だった。いつも声をかみ殺して、恥じ入りながら俺を受け入れてくれるお前の、な」
佐々木「な、な、な……っ!?」
109:
キョン「そしたら絶対に我慢してやるって腹が決まった。出したら一緒に大事なものも手放すって思ったからな」
佐々木「……キョン……」
キョン「だから、ありがとな。お前のおかげで踏み止まれた。俺1人じゃ危なかったよ」
佐々木「……ホントはね、どんな罵声を浴びせようかと思っていたんだよ」
キョン「ははっ……まぁ仕方ないよな」
佐々木「電話がかかってきた時も、全身の血液が逆流しそうだったよ」
キョン「そりゃそうだ」
佐々木「どんな状況か知らないけど、そ、その……僕じゃなく、他の……それも、あの涼宮さんと……なんてね」
キョン「怒って当然だな」
佐々木「でも、すごく嬉しかったんだ」
キョン「んっ?」
110:
佐々木「キョンが、子どもは愛し合う2人が望んで作るんだって言ってくれただろう?」
キョン「あ、ああ。我ながらこっ恥ずかしい台詞だったな」
佐々木「そんな事ないさ。その言葉のおかげで、キョンの事を信用できた。ああ、何も私が心配する事はなかったって」
キョン「佐々木……」
佐々木「これでもね、結構心配したんだよ?ここのところ仕事は大変そうだったし
  夫婦の時間もあまり取れてなかったし。心の隅では浮気や不倫もちらりと考えたんだ」
キョン「……そうだったのか……」
佐々木「でも、それらは全部杞憂だった。本当に、よかった……ぐすっ」
キョン「お、おい……佐々木……」
佐々木「ふふ、すまないね。君の無事な姿を見たら、君と一緒にいたらすっかり気が緩んだらしい」
キョン「……まぁ、あんまり無事って格好でもないんだがな」
112:
佐々木「あ、はは……そうだったね。というか、コレ……どうにかならないのかい?」
キョン「全く反応しないんだよ。困った事に。勃たなくなるよりは良いかもしれないけどな」
佐々木「冗談言ってる場合じゃないよ。これじゃズボンも穿かせられないじゃないか」
キョン「うーむ……それはそうなんだが……」
佐々木「……出しちゃえば治る、かな?」
キョン「なんですと?」
佐々木「はっ……いっ、いや、ななななななんでも……」
キョン「まぁ、バッチリ聞こえてた訳だが」
佐々木「……」
キョン「でも妊娠中ってその、ダメなんじゃないのか?」
佐々木「ああ、キョンが心配しているような事はないよ。
 最近、妊娠中のえっちは流産、早産に関係ないと分かってきたらしい」
113:
キョン「そう、なのか」
佐々木「う、うん……だから……」
キョン「……」
佐々木「キョン……」
キョン「佐々木……」
佐々木「キョン、好き……だよ……」
キョン「俺もだ……」
佐々木「もっと……もっと言って……」
キョン「……好きだ……好きだ……好きだっ!」
佐々木「うん、聞こえる。聞こえるよ、キョン」
おわり
116:

自分的にはハルヒ株がかなりあがった
もちろん佐々木1番には変わりはないが
12

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