海未「ラブアローシュートが撃てるようになってしまいました」back

海未「ラブアローシュートが撃てるようになってしまいました」


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1:
――高坂家 穂乃果の部屋
穂乃果「お茶持ってくるからちょっと待っててねー!」ガラッ
海未「……」
海未「…………」
海未「……………………よし」
海未「皆のハート撃ち抜くぞぉ?!ばぁん!!」キャッキャ
海未「ラブアローシュートッ!」スッ...ッドゴォォォォ!!
海未「きゃああ!?」
ガラッ
穂乃果「何か今凄い大きな音g――うわああ!?壁に穴があああ!?ベッドも吹っ飛んでる!?」
海未「ほ……ほのかぁ!」
穂乃果「な、何があったの!?何なのこれ!?」
海未「私にも分かんないです!手からビームみたいなのがあああ!?」
穂乃果「!?」
4:
――数十分後
ヒデコ「壁とかベッドとか、完璧に直しておいたよ!」
フミコ「また何かあったら気軽に呼んでね!」
ミカ「それじゃ、あたし達はこの辺で!じゃあね!」
穂乃果「ありがとねー!」
海未「うぅ……申し訳ありません……」
穂乃果「大丈夫だよ、ちょうどお父さん達居なかったから怒られずに済んだし」
海未「しかし……」
穂乃果「それより、さっきのは何だったの?」
海未「私にもよく分らないのですが……手から何かが出たのです」
穂乃果「何か?」
海未「はい……。空に向けてもう一度やってみますね」ガラッ
穂乃果「う、うん……?」
海未「ら……らぶあろーしゅーと……」ドガァアアアアア!!
穂乃果「!?!?」
6:
海未「これなんですが……」
穂乃果「い、意味わかんないよこれ!?」
海未「私はこれからいったいどうすれば……」
穂乃果「その前に1つ聞いていい?」
海未「な、なんでしょう」
穂乃果「ラブアトーシュート、って何?」
海未「……気にしないでください」
穂乃果「気になるよぉ?!!」
海未「だから気にしないでください!う、撃ちますよ!?」
穂乃果「ひぃ!?」
ことり「2人とも遅くなってごめぇん!聞いて聞いて!さっきね、なんか凄い大きな音がしたんだ!」
海未「あ、それ私です」
ことり「!?」
7:
穂乃果「なんかね、海未ちゃんがね、ラブアローシュート撃てるようになったんだって!」
ことり「らぶあろー……何?」
海未「空に向かって撃ちますね……」
チュィイイン.....ッッドゴォォォォッ!!
海未(あ、詠唱なしで撃てるようになりました)
ことり「!?」
穂乃果「ね!凄いでしょ!?」
ことり「凄いなんてもんじゃないよ穂乃果ちゃん!?え!?何!?なんなの!?」
海未「ラブアローシュートです」
ことり「何でそんなに冷静なの!?」
穂乃果「2発も3発も見たら飽きてきたかなって」
海未「もうすっかり慣れました」
ことり「慣れねえよ!!」
海未「うるさいですね、撃ちますよ」
ことり「!?」
8:
穂乃果「あんまり人に向けて撃っちゃだめだよ?」
海未「分かっていますよ。それより、これはどう役立てればよいのでしょうか……」
ことり「役立てるつもりなの?」
海未「せっかく撃てるのですから、何かに役立てたいのです」
穂乃果「が、害虫駆除とか……」
ことり「熊退治とか……?」
海未「あまり私には馴染みのないものばかりですね……」
<キャーーー!ドロボー!!!
海未「な、何でしょう!?」
穂乃果「外に出てみよう!」
ことり「うん!」
――玄関前
穂乃果「な、何かあったんですか!?」
穂むら常連さん「ドロボーよ!あ、あの人が私のバッグを……」
海未「っ!」ダッ
10:
海未「待ちなさい!!」ダッダッダツ
泥棒「……」
海未「こうなったら撃つしか……」
ことり「ダメだよ海未ちゃん!」
穂乃果「さすがに撃ったらあの人死んじゃうよ!?」
海未「で、ですが!……!そうです、人に向けて撃つのがダメなら!」
穂乃果「海未ちゃん?」
海未「地面に撃ってその反動で!!」ドンッ!!ドヒャァ!!
ことり(海未ちゃんが瞬間移動した……)
穂乃果(ネ●ストみたい……)
海未「犯人をとっ捕まえてきました」
穂むら常連さん「お、おぅ……」
穂乃果「人助けだよ海未ちゃん!」
海未「はい!役に立ててよかったです!」
ことり「う、うん……?」
11:
――翌日 通学路
穂乃果「あ、海未ちゃん!おはよう!」
ことり「おはよー」
海未「はい、おはようございます」
穂乃果「あれからどうだった?」
海未「いろいろと練習してみまして、威力調整ができるようになりました」
ことり「そんなさらっと言われても……」
穂乃果「おー!やってやって!」
海未「はい!では……」
ことり「何でちょっと嬉しそうなの……?」
海未「ではまず弱めに……えい」っぽん
小石「ゴロッ...」
穂乃果「おぉ?石がちょっと動いたくらいだ」
海未「では強めに……でぇえええええええい!!」チュイイイイイイ.......ッドゴォォォォオオオオ!!
ことり「ぴゃああああ!?」
穂乃果「おぉ!?雲が吹っ飛んだ!!っていうかロボットアニメの主人公みたい!!」
海未「えへへ……」
ことり「だから何で嬉しそうなの!?」
13:
――放課後 屋上
絵里「――よし、全員揃ったわね。練習を始めましょう。じゃあまず柔軟から――」
海未「その前に……皆さんに聞いていただきたいことがあります」
希「んー?どうしたん?」
凛「何かあったの??」
海未「実は……突然ですが――」
真姫(また留学とか言わないでしょうね……)
海未「――ラブアローシュートが撃てるようになりました」
真姫(……まさか)
花陽「らぶあろー……ふぇ?」
にこ「突然のキャラ変とか何か?んなのいきなり言われても困るわよ」
ことり「海未ちゃん……その言い方じゃよく分らないよ」
穂乃果「よし!試し撃ちしよう!」
ことり「また撃つの!?」
14:
海未「そうですね……実際にやってみないと通じませんね。では……」
穂乃果「どっかーん!だよ海未ちゃん!」
ことり「だ、だめ――」
海未「でりゃあああああああ!!!」ッドゴォオオオオオオオオオ!!!
絵里「うひゃあああ!?」
にこ「いひゃあああ!?」
希「ほ、ほほぅ……」ガタガタ
凛「うにゃああああ!?」
花陽「ぴゃあああああ!?」
真姫「っ!」ビクッ
真姫(……そう。あなたなのね、海未)
海未「これです」えっへん
ことり「だから何で嬉しそうなの!?」
理事長「いったい何の音ですか!?」
海未「おや、理事長」
理事長「おや。ではありません!説明しなさい!」
15:
海未「は、はい!実は――」
真姫「理事長、海未がチカラに目覚めました」
理事長「……そう、でしたか。海未さん、あなたが」
海未「??」
ことり「お母さん?」
理事長「これで……皆が助かるのですね……」
真姫「で、ですが!あれを使えば!」
海未「あの……なんの話でしょうか?」
絵里「そ、そうよ。2人は何か知っているの?」
理事長「ええ、皆さんには話しておかなければなりませんね」
ことり「お、母さん……?」
理事長「――今、地球は滅亡の危機に瀕しています」
16:
穂乃果「え!?どういうこと!?」
凛「かよちん死んじゃうの!?」
絵里「あの、理事長?冗談はそれくらいにして――」
理事長「冗談などではありません。……現在、地球に超巨大隕石が接近しています。このまま衝突すれば、地球から生命は居なくなるでしょう」
にこ「……へ?」
理事長「これを受け、各国は対策を練りました。巨大レールガンを作りこれを破壊する案。ミサイルを撃ち込む案――しかし、どれも無理と判断されました。
  軌道を逸らすほど高威力のミサイルは現在ありません。核兵器は宇宙では役に立ちませんからね。
  巨大レールガンなど建造する時間もありません。衝突は……3日後なのですから」
真姫「……そこでうちの、ニシキノ・サイエンス・テクノロジーに話が来たのよ。早急に能力者を作れ、と」
希「これまたスピリチュアルな……」
真姫「うち、そういう研究もしてたのよ……。音ノ木坂周囲に能力場を形成し、誰でもいいから能力に目覚めるよう仕掛けたの」
理事長「誰かが目覚める確率は100万人に1人だけ……。時間がなかったために広範囲に能力場を形成することもできず、絶望的な状況でしたが……」
海未「運よく、私が目覚めた。そういう事ですか」
真姫「運悪く、ね……」
凛「何で?これで皆助かるんでしょ?何で運が悪いの?」
真姫「……それは」
理事長「真姫さん?」
真姫「黙っているわけにもいかないわ。……海未を、失う事になるの」
18:
海未「……」
穂乃果「海未ちゃんを!?」
ことり「どういうこと!?」
理事長「地球を滅亡させるだけの隕石……それだけ高威力な力を必要とします。人体がその衝撃に耐えられないのです」
凛「そんな……」
花陽「酷いです……」
にこ「……なら皆で死ぬだけよ」
真姫「にこちゃん……」
にこ「当たり前でしょ?勝ってに死なれて勝手に退部されちゃ部長として困るのよ!それだけよ!」
穂乃果「穂乃果も……そう、思う。海未ちゃんが居なくなるくらいなら、一緒に居なくなる……」
ことり「ことりも……。海未ちゃんが居ないなら生きてる意味ないもん……」
海未「……」
真姫「まぁ、ここで黙っておけば誰も目覚めませんでした、でまだ隠し通せるわ。あと3日黙ってれば誰にも分からないし」
海未「……やります」
絵里「ちょっと海未!?」
海未「穂乃果やことりが助かるなら、私はそれで満足です」
理事長「……そう」
22:
ことり「海未ちゃん!?」
海未「忘れたのですか?……何があっても2人を守る。昔そう約束したはずですが」
穂乃果「で、でもっ!」
海未「ふふっ、ありがとうございます。でも、もう決めました」
真姫「海未……」
海未「それに自分を犠牲にして皆を助けるだなんて、正義のヒーローみたいでカッコいいじゃないですか
  このチカラは、人助けに使うべきものです。」
理事長「……いいのね?」
海未「はい」
理事長「では、明日の朝に理事長室に――」
海未「いえ、今すぐで構いません」
理事長「……最期の時間なのよ?挨拶などしなくていいのですか?」
海未「要りませんよそんなもの。……迷いが生まれてしまいます」
理事長「……そう」
真姫「海未……」
海未「真姫、私の部屋の引き出しに次の曲の詩があります。次の曲を、頼みますね」
真姫「……任せなさい」
23:
――こうして世界は救われた、彼女を失って。
そして、1週間後――
穂乃果「テレビとか、やらないんだね」
真姫「滅亡寸前でした、なんて発表できるわけないじゃない」
ことり「でも、誰も海未ちゃんの事を知らないなんて悲しいよ……」
花陽「私達、海未ちゃんのおかげで生きているのに……」
凛「凛、寂しいな……」
にこ「あのバカ……勝手に死ぬなんて絶対に許さないわ」
絵里「もう、μ’sは解散ね……」
希「そやね……。うちにとっての奇跡、短かったな……」
真姫「せめてラストライブをやってからにしましょう。海未との最期の約束をまだ果たせていないわ……」
「勝手に解散されては困ります……」
穂乃果「この声……?」
24:
海未「それと、勝手に殺されても困ります」
ことり「海未ちゃん!!」
絵里「まさか……海未っ!」
海未「何が人体には耐えられない、ですか。あの程度で園田がやられるわけないでしょう」
真姫(あ、あの程度……?1日が26時間になっちゃったくらいの衝撃よ……?)
花陽「海未ちゃん……海未ちゃん……!」
海未「はい、海未ですよ」
凛「帰ってくるの遅いにゃ!!」
海未「なかなか帰して貰えなくて……大変でした」
にこ「まったく……勝手に1週間も部活サボったのよ?分かってんでしょうね?」
海未「すみません」
希「海未ちゃんは……やっぱり凄いなぁ……」ポロポロ
海未「希がくれたお守りのおかげかもしれませんね、ありがとうございます」
穂乃果「海未ちゃん」
海未「はい」
穂乃果「おかえり」
海未「はい、ただいま」

25:

2

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