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P「正妻戦争……?」


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1:
美希「そうだよ!」
P「なんだ、それ?」
美希「ミキ以外にもね、きっとハニーのこと好きな女の子っていっぱいいると思うんだ」
P「はは、そんなわけないだろ。そんなにモテたりしないよ」
美希「だから戦争なの」
P(聞いちゃいない)
4:
P「美希が言ってるようなことはありえないよ。だから戦争なんて物騒な言葉を使うのはやめなさい」
美希「えー。ハニーってばノリわるいの……」
P「悪かったな……もしかして美希、暇なのか」
美希「うん」
P「じゃあ寝てなさい」
美希「もういっぱい寝たの。それで、こんな夢を見たから、不安になっちゃったんだ……」
P「……」
美希「ハニーがお話に付き合ってくれないと、ミキ不安で一日8時間しか眠れなくなっちゃうかも……」
P「それでも多いわ」
6:
美希「とにかく、付き合ってよ!」
P「……わかったわかった、仕事あるからちょっとだけな。それで?」
美希「?」
P「その……正妻戦争? ってのは具体的になんなんだ? まさか誰かと喧嘩とかするんじゃ……」
美希「そ、そんなことしないの! 765プロのみんなはみーんな友達だよ」
美希「だから、ミキ的には、痛いのもカナシイのも、や! って思うな」
P「……」
美希「だからこれは、ちょっとした調査なの」
P「調査?」
美希「うん! ハニーの心を本当に射止めるのは誰なのか想像してみて、ケンカを……ミゼン? に防ぐんだよ」
P(よくわからないな)
7:
P(まあ、話に付き合うだけならいいか)
美希「ねえねえ。ハニーが結婚するとしたら、どんなタイプがいい?」
P「……そうだなあ」
美希「うんうん!」
P「優しくて、気立てがよくて……あまりガミガミ言わない人がいいかな」
美希「ガミガミ?」
P「ほら、俺の仕事って時間的に不安定だろ? そういうので文句言われるのはちょっとな」
美希「ハニーは縛られるのがやなんだね」
P「そういう言い方はあれだけど……」
美希「でもでも! それならミキはぴったりだって思うな! おっぱいも大きいし!」
P「む、胸の大きさは関係ない!」
11:
P「大体な、俺は美希とは結婚しないよ」
美希「え……?」
P「だってお前、まだ15歳じゃないか。法律で決まってるだろ、女の子は16歳以上にならないと結婚しちゃだめってな」
美希「そーなの!!? ど、どど、どうしよう……」
P「どうしたんだよ?」
美希「15歳だから結婚できるよ☆ って歌っちゃってたの……」
P「あー、まあそれは……美希のキャラ的にそうさせたというか」
美希「……」
P「……」
美希「ま、そんなことはどーでもいいの」
P「そうか……」
美希「じゃあじゃあ、ハニー的には、16歳以上の子じゃないとダメってカンジ?」
P「うん、まあ……そうだな」
16:
美希「へー……そっかー……なるほどなの」
P「……意外と、ショック受けたりしないんだな」
美希「え? なんで?」
P「いや、15歳とは結婚しないとか言ったからさ」
美希「だってそれって、16歳になったらホントのホントに結婚してもいいってことでしょ?」
美希「あと一年なんてすぐなの! ミキだってもうオトナなんだから、それくらい待てるよ」
P「ははは……」
美希「……も・し・か・し・て?」ニヤニヤ
P「な、なんだよ」
美希「ミキが嫉妬しちゃうって思った?」
P「い、いやべつに、決してそんなことは……」
美希「あは☆ ハニーってばカワイイの!」
19:
美希「16歳以上となると?……でこちゃんとかやよいはもうアウトだね」
P「やよいに関してはいくつになってもアウトな気がする」
美希「? なんで?」
P「いや……」
美希「とにかく、高校生しかハニーは結婚しないってことかな」
P「そういう言い方はよせ。高校生以上、ってことだよ」
美希「じゃあじゃあ、雪歩とか?」
P「……うーん……雪歩か……」
20:
【雪歩と結婚したら……】
雪歩「おかえりなさいですぅ、プロデューサー」パタパタ
P「ただいま、雪歩。……お、良い匂いがするな」
雪歩「えへへ……今日は美味しい秋刀魚が手に入ったんです」
P「秋刀魚か! ああ、それはいいな。さっそく夕食にしようか」
雪歩「……!」
P「どうした?」
雪歩「あうぅ……あ、ああ、アレを言うのを忘れちゃいましたぁ……」
P「アレ?」
雪歩「今日こそは、今日こそは、って思ってたのにぃ……!」
P「な、なんだよ。それなら今からでもいいから、言ってごらん」
22:
雪歩「……」モジモジ
P「……」
雪歩「あ、あの……プロデュ、じゃなくて……あ、あなた……?」
P「う、うん」
雪歩「その……おかえりなさいです」
P「え? ああ、ただいま」
雪歩「ご、ご飯にしますか? お風呂にしますか? そ、そそ、それとも……」
P「……」ゴクリ
雪歩「わ、わた……し?」
―――
――

P「雪歩で。雪歩でお願いします」
美希「むー! ハニー、妄想はもう終わりなの!!」
34:
P「良い……雪歩はいいな。こう、夫を立てる妻というか……」
美希「今まで見たことない良い表情をしてるの……」
P「……ごほんごほん! ま、まあ、こんな感じだよ。とても良かった、可愛い」
美希「……ハニー、もしかして雪歩のこと好きなの?」
P「え? 当然好きに決まってるだろ」
美希「!」ガーン
P「雪歩だけじゃない、765プロのみんな好きだけどさ」
美希「あ、そーいうこと……」
美希「そんなお決まりな台詞はいらないの!」プンプン
P「な、なんだよ。急に怒るなよ……」
美希「……ま、とにかく! こんなカンジで色々妄想していって、ナンバーワンを決めるのが正妻戦争なの」
P「なるほど……」
45:
美希「でもでも、雪歩にはミキ負けないって思うな」
P「へえ、自信満々だな。その理由は?」
美希「だって、雪歩は男の人苦手でしょ? だからきっと、夜にハニーを満足させてあげられないかなって」
P「ブッ!!!!」
美希「ひゃあっ! き、きちゃないの……」
P「お、おま……アイドルがそういうことを言うんじゃない!」
美希「んっふっふー! ミキだってもう、ハニーが思ってるほどコドモじゃないんだよ? もう心も体もオトナなの」
P「え、そう……なのか?」
美希「そーだよ! だから、夜眠れないときでも、ハニーに添い寝してたっぷり寝かせてあげられるの」
P「……夜って意味、わかってるのか?」
美希「え? 一緒にオヤスミするってことでしょ?」
P「……ま、いいか」
50:
あなた様とか言われてみたい
51:
P「美希って意外と……いや、そうでもないのか……?」ブツブツ
美希「それで、次は? 次は?」ピョンピョン
P「え、まだ続けるのか?」
美希「あったりまえだのクラッカーなの!」
P「いくつだよ……」
美希「15歳だよ? さっきも話したでしょ?」
P「はは……うん、そうだな。でも、次、って言ってもなあ……」
美希「ハニーが決められないなら、ミキが決めていい?」
P「ああ、いいぞ」
美希「それじゃあ次はね?……響なの!」
P「なるほど響か……」
53:
【響と結婚したら……】
ガチャ
P「ただいま響?! 良い子にしてたか?!」
P「……って、あれ?」
シーン
P「……」
P「いつもだったらピョコピョコ飛び跳ねて来るのに……」
P「まぁ少し遅くなっちゃったからな、もう寝てるのかもしれない……少しさみしいな」
55:
P「……音を立てないように……」
ソローリソローリ
P「……」
いぬ美「……ばうっ」
P「!」ビクッ
P「い、いぬ美……ただいま。今日は中にいるのか」
いぬ美「……」クイクイ
P「え? こっちに来いって?」
いぬ美「……」グイグイ
P「わかったわかった」
56:
テクテク
P「一体何が……」
P「あ」
響「……すぅ、すぅ……」
ぶた太「……ブヒヒ」
P「ははは……ぶた太を枕にして寝てるな」
響「むにゃむにゃ……えへへ、ぷろりゅーさー……」
P「……おや、これは?」
ゴチャア……
P「……縫いかけのマフラー」
59:
P「響……」
いぬ美「ばうばうっ」
ぶた太「ブヒ」スック
ガタン
響「ふごっ!? な、なに!!?」
P「……おはよう、響」
響「え、え!? ぷ、プロデューサー……」
P「こんなところで寝てたら風邪ひくぞ。さ、ベッドに行こう」
響「……えへへ……」
スリスリ
P「どうした?」
響「起きたら目の前にプロデューサーがいたから……幸せなのさー」
62:
P「……よい、しょっと」グイ
響「!? な、なにすんの!?」
P「何って、まだ響は夢の中みたいだからさ。布団に連れてってあげようと思って」
響「だ、だからって……お、お姫様抱っこなんて……」
P「いやか?」
響「うー……いや、じゃないけど……恥ずかしいぞ……」
P「じゃ、行こう」
響「……うん……」
ギュッ
63:
P「……あのマフラー、もしかして俺に?」テクテク
響「ええっ!!? み、見ちゃったの……?」
P「ん? ああ、目に入ったから」
響「うぎゃー! み、みみ、見てもみてないフリしてよっ!」
P「ええ!? す、すまん」
響「うぅ……せっかく、サプライズにしようと思ったのにぃ……」
P「……毎年毎年、ありがとな」
響「! ……えへへ……」ギュッ
P「完成したら、大切に使わせてもらうよ」
響「……うんっ。楽しみにしててよねっ!」
P「ああ……おっと、寝室に着いたな」
―――
――

P「今夜は寝かさないぞ……響」
美希「もー終わり終わりおわり?!!!」
68:
美希「……まずいっこ、いい?」
P「う、うん」
美希「長いの」
P「いやあ、つい夢中になっちゃって……」
美希「……でも響って、意外とカワイイところあるんだね」
P「やっと気付いたか! そうなんだよ、響はかわいいんだ!」
P「編み物趣味で料理もカンペキ、その上優しくて素直で……」
P「でも夜なんかは、緊張してガチガチになって……またそこもいいなって」
美希「むー……」プクー
P「も、妄想の話な? そんな顔するなって……」
美希「ミキだって、お望みとあらばガチガチにハニーを締め付けて寝ることもできるよっ!」
P「そういうことじゃないんだけど……まあいいか」
72:
美希「……えーと……うーんと……」
P「どうした?」
美希「響に勝ってるとこ、探してるの」
P「……」
美希「お料理は……負けちゃうかも。おっぱいもけっこーあるし……」
P「最近また縮んだけどな。なんでなんだろ、あれ」
美希「フシギなの……」
P「……なあ、美希」
美希「なあに?」
P「もしかしてこれってさ、美希がみんなに勝ってるところ探して、俺にアピールしたいってだけ?」
美希「そ、そそ、そんなことないの」
P(目が泳いでる)
78:
P「……美希だって、決してみんなに負けちゃいないよ」
美希「!」
P「美希には美希でいいところはたくさんある。純粋だし、思いやりも持ってるし」
美希「えへへ……そう、でもあるけど?……♪」
P「最近は色々、頑張ってくれてるしな」
美希「ねえねえ、見た目は? 響より好き?」
P「……いやいや、見た目に関して、どっちのほうが好きって言うのは控えさせてもらうよ」
美希「え?。なんでー!?」
P「そんなこと言えるか。俺はみんなのプロデューサーなんだぞ」
美希「……なーんてね。ミキ、ホントはわかってるの」
P「……」
美希「……ね、ねえ、次は?」
P「あ、ああ。そうだな……」
80:
響はアイマス界で1、2を争う属性のデパートだからな
84:
【真と結婚したら……】
真「プゥロデューサー! へへっ、今日は何がたべ
―――
――

美希「ダメなのダメなのダメなの!!!!」
P「えっ」
美希「おしまいおしまい!!」
P「まだ始まったばかりなのに……」
美希「真くんとのことは、妄想でも絶対ダメーっ!」
P「……そんなに真のことがお気に入りなのか」
美希「お気に入りっていうか、ミキの王子様ってカンジ。だから……」
P「だが断る」
美希「えっ」
P「せっかくここまで来たんだ。語らせてくれよ」
美希「ええー……」
98:
【改めて、真と結婚したら……】
真「プゥロデューサー! へへっ、今日は何が食べたいですかっ?」
P「うーん、そうだな。真が作る料理だったら全部うまいから、なんでもいいよ」
真「な、なんでもいいって、そーいうのが一番困るんですよっ!」
P「あはは、でも本音だからな。真を嫁に出来て本当に良かったと思ってるよ」
真「! ぷ、プロデューサー……」
P「おいおい、何年経ってもこういうのには慣れないのか?」
真「だ、だって……もうっ、プロデューサーが慣れすぎなんですよっ!」プイ
P「……じゃあ、肉じゃがなんてどうだ? 真が作る肉じゃがはもう最高の最高だから」
真「!」パァァ
真「わかりましたっ、それじゃあ腕によりをかけて、最高のごはんを作りますねっ!」
P「かわいいなあ」
真「え」
P「いや、なんでもない……」
真「ぷ、プロデューサー!?」
102:
カァ、カァ……
P「……」
トントントン
P「夕暮れ、包丁がまな板をたたく音、食欲をそそる良い匂い……」
P「いいなあ。こういうの……」
真「? なにか言いましたかー?」ヒョコ
P「ああいや、こっちの話だよ。真、なにか手伝うことはあるか?」
真「大丈夫ですっ! こっちはボk……私にまかせて、あ、あなたは休んでいてください!」
P「……ああ、わかったよ」
真「さーって、次は、っと……」
104:
P・真「「ごちそうさまでした!」」
P「いやあ、やっぱり美味いな」
真「へへ、ありがとうございますっ!」
P「最初の頃より、見栄えも味もかなりレベルアップしてるじゃないか。最高だよ」
真「そりゃーもう! いっぱい練習しましたからね!」
P「……」
真「プロデューサー? どうしたんですか、ボーっとして」
P「あ、いや……なんか、新婚の頃を思い出してしまってな」
真「……大変でしたよね」
P「ああ……美希が包丁もって
真「プロデューサー」
P「……すまん」
107:
真「そ、そんなことより! お風呂沸いてますよ、入っちゃってください!」
P「あ、ああ」スック
真「いってらっしゃーい……」
P「……」
チラ
P「なあ、真」
真「……な、なんですか?」
P「一緒に入ろうか」
真「……」
真「えぇええええ!!?」
111:
真「そ、そんな、いきなり……!」
P「結婚したての頃は、いつも一緒だったろ?」
真「そそ、そーですけどっ! その色々、じゅ、準備というか……」
P「準備なんて必要ないさ」
真「あ、あなたはそうかもしれないけど、わ、私には必要なんですっ! お、女ですから……」
P「……」
真「……わ、私、ご飯の後片付けしないと!」
P「真」
ぎゅっ……
真「わぷ」
P「無理して女っぽくしなくてもいいさ」
真「え……」
P「頑張って良い奥さんであろうとしなくても、真は昔のままで、十分かわいかったんだから」
116:
真「……プロデューサー、気付いてたんですか?」
P「当たり前だろ? 今までツッコまなかったけど、その『私』っていうのもさ」
真「……ボク、なんて……この年になって、恥ずかしいですし……」
P「夫婦に恥ずかしいも何もあるか。いつだって元気な、素の真が、俺は一番好きだよ」
真「!」
P「……ダメか?」
真「だだ、ダメって……?」
P「一緒に風呂」
真「……」
ぎゅっ……
真「ダメなわけ、ないです……」
122:
真「ねえ、プロデューサー?」
P「どうした?」
真「……今週の日曜日、どこかに連れてってください」
P「ああ、もちろんさ。久しぶりのデート、楽しみにしててくれ」
真「へへっ……」
P「嬉しそうだな」
真「もちろんですっ! で、デートもそうですけど……」
真「……ボクは、あなたのお嫁さんになれたことが……本当に嬉しいんです」
―――
――

P「俺もだよ、真……」
美希「……」
P「……ってあれ? ツッコミがない……美希?」
美希「…………」
P(泣いている……)
125:
美希「……グスッ……」
P「お、おいおい……どうしたんだよ」
美希「どーしたもこーしたもないってカンジ……」
P「……そんなに、いやだったか?」
美希「あったりまえなの! うぇぇ……」
P「……」
美希「ま、真くんを……ハニーに取られちゃったぁ……!」
P「えっ」
131:
P「……落ち着いたか?」
美希「うんっ! ありがとうなの、ハニー。頭撫でてくれて」
P(あの状況じゃ断れないもんな……)
ぐ?
美希「落ち着いてきたら、おなかが減っちゃったの」
P「自由だな……」
美希「ねえねえハニー。今ね、ミキね、とっても甘いモノが食べたいってカンジ」
P「うーん……とはいえ、もうそろそろ仕事に戻らないと」
美希「このあとどっか行くの?」
P「いや、書類仕事だけだけど……はやく終わらせないと、残業になっちゃうから」
美希「あは♪ それならミキも終わるまで待ってるから心配ないよ?」
P「そういう問題じゃないだろ……」
美希「これはミキを泣かせたバツなの」
P「うぐ……そう言われると、何も言い返せない……ケーキでいいか?」
美希「うんっ!」
141:
テクテク
P「美希は本当に真のことが好きなんだな」
美希「そーだよ! だからたとえハニーでも、真くんは譲らないの」
美希「真くんのお嫁さんになるのは、このミキなんだから!」
P「俺と結婚するんじゃなかったのか?」
美希「あ……うぅ……そーだったの……」
P「そもそも真は女だろ? お嫁さんになるって……」
美希「じゃあ、ミキが真くんの旦那さんになるの?」
P「……いや、それもなんか違うな」
美希「王子様の真くんも、お姫様の真くんも、ミキはどっちも好きだけどね!」
P「ま、たしかにどっちもかわいいな」
美希「えへへっ、ハニーもなかなかわかってるってカンジ!」
146:
幼女「ママー、いおりん買って?」
女性「ダメよ。あなた面倒見れないでしょ?」
P「……」
美希「ハニー? 何見てるの?」
P「ああいや、あの子供連れをだな」
美希「子ども……ハッ! ま、まさかハニー……!」
P「いやいやいや! 違うから! そうじゃないから!」
美希「むー……ホントかなぁ……」
P「本当だって……それより、まだ正妻戦争? って続けるのか?」
美希「うん! 真くんを乗り越えたんだから、もうミキに怖いものはないってカンジ」
P「そ、そっか」
美希「ケーキ屋さんにつくまで、話してもいいよ?」
P「うーん……それじゃあ次は……春香かな」
美希「……春香……なかなか手ごわいヨカンがするの……」
148:
【春香と結婚したら……】
P「……」ソワソワ
ガチャ
春香「ただいまー」
P「お、おお! おかえり、春香!」
春香「あっ、プロデューサーさん! 先に帰ってたんですね」
P「ああ……」
春香「えへへ……おかえりなさい」
チュッ
P「ん……おかえりのキス、って、こういう感じでするもんなのか?」
春香「だ、だって……毎回しないと、なんか落ち着かないんですよぅ」
152:
P「そ、それより……どうだったんだ?」ソワソワ
春香「どうだった、って?」
P「おいおい、わかってるだろ? 今日一日、そのせいで仕事に集中できなかったんだぞ」
春香「ちゃんとお仕事しないとダメですよ? やよいたちがかわいそうですから」
P「うん……、まあ、そうなんだが……」
春香「……ふふ」
P「……」
春香「……やっぱり……できて、ました」
P「え?」
春香「……赤ちゃん。えへへ……」
P「! そ、そうか! あはは!」
春香「プロデューサーさん……グスッ……ご懐妊ですよ、ご懐妊……!」
153:
Oh......
155:
やればできるー
159:
P「いやあ……そっか、そうだったか……!」
P「おめでとう……い、いや、おめでとうってのもおかしいのかな? とにかく俺も嬉しいよ……」
春香「……パパ?」
P「そ、それはまだ気が早いだろ」
春香「でも、これから九ヶ月なんてあっという間ですよっ!」
P「……うん、そうだな」
春香「えへへ……名前、考えといてくださいね?」
P「名前か……ところで、男の子? それとも女の子だったのか?」
春香「それこそまだ気が早いですよぅ。まだ今の時点じゃわかりませんから」
P「じゃあ名前なんて……」
春香「だから、両方考えといてくれればいいんですっ!」
P「あはは……わかったよ。誰からも愛される、素敵な名前を考えておこう」
161:
―――
春香「……あ。今、動いた……」
P「ほ、本当か!?」
春香「あ、ほら、また……プロデューサーさん、来てくださいっ!」
P「どれ……」
ピト
P「……」
モゾ
P「! け、蹴った! 蹴ったぞ! あはは、元気いっぱいだな!」
春香「ふふ、そうですね……」
P「は……はは……」
春香「……プロデューサーさん?」
P「……」
春香「……何を、考えているんですか?」
P「……春香には、隠し事はできないな」
163:
P「俺な……もうすぐ、父親になるってことが……実はまだ、よくわかっていないんだ」
春香「……」
P「今こうして、動いているのを感じて……そこに命があるってことを実感して」
P「そしたら、急に……なんというか、不安になってしまったんだよ」
春香「プロデューサーさん……」
P「……俺、良い父親になれるかな……」
春香「……ふふ、あなたにしては、珍しく弱気ですね?」
P「……」
春香「大丈夫です。私が保証しますよ。あなたは絶対、絶対良いお父さんになれます」
春香「なんて言ったって……私が、こんなに好きになった人なんですから」
P「……それ、関係あるか?」
春香「関係大ありです。元トップアイドルの私が認める、とってもすごい人なんですよ?」
P「あはは……春香、変わったな。なんというか、強くなったというか」
春香「えへへ……。女の子は、あなたが知らないうちにどんどん強くなっていくんですよ」
春香「女子三日会わざれば刮目して見よ! です! ……あれ? 男子だったかな」
166:
P「……ごめんな」
春香「え?」
P「いや、不安なのは俺だけじゃないはずなのに……というか、むしろ春香の方がそのはずなのに」
春香「そ、そんなことないですよ?」
P「顔が『のワの』←こんな感じになってるぞ。誤魔化しちゃだめだ」
春香「……えへへ」
P「……お互い、まだまだ、わからないことばっかりだな……」
春香「……あなた……」
チュッ
P「……」
春香「……そうですね……知らないこと、まだまだいっぱいあります」
P「……まるで、初めて会った頃みたいに」
春香「はい……でも、これだけは違いますよ?」
P「え?」
春香「初めて会った頃より、今のほうが……ずっと、ずーっと、あなたのことが大好きなんですから」
169:
P「春香……」
春香「また、一緒に頑張っていきましょう? あの頃みたいな気持ちで、ふたりで二人三脚で……」
P「……ああ!」
春香「そしたらきっと……ううん、絶対。今よりもっともっと、良いことがたくさん待ってるはずですから」
P「そうだな……春香?」
春香「なんですか?」
P「……最近は、なかなか言えなかったけど……」
P「愛しているよ」
春香「……えへへ。私のほうが、愛していますよ……」
おわり
171:
は?(威圧)
172:
え?
177:
―――
――

美希「おわりじゃねーの!!」
P「えっ」
美希「勝手におわらすんじゃねーの!!!」
P「み、美希。言葉遣いが荒いぞ……まるで不良みたいだ」
美希「なんなのなの! なんなのなの!!」
P「いけない……美希が我を忘れていらっしゃる……」
187:
P「どう、どうどう……」
美希「……フー……フー……!」プルプル
P「落ち着け……深呼吸をするんだ」
美希「……し、しんこきゅー……」
P「そう……俺に合わせて……そーれ、ヒッヒッフー」
美希「ひっひっふー……」
P「ヒッヒッフー」
美希「ひっひっふーってこれラマーズ法なの! もう妄想はおわりだよっ!」
P(バレたか……)
美希「うぅー……ねえ、ハニー……」
P「うん?」
美希「だんだん、なんというか……カゲキになってない?」
P「過激って……そうか? 子どもを作る描写もなかっただろ」
美希「? ……よくわかんないけど、イチャイチャしすぎって思うなっ!」
190:
美希「春香に勝ってるとこ……春香に勝ってるとこ……」ブツブツ
P「……」
美希「……転ばないよ?」
P「そうだな……でも、それって勝ってるところなのか?」
美希「うーん……それに、ミキのほうがお洒落さんなの」
P「春香の私服だってかわいいって俺は思うよ」
美希「……」
美希「やっぱりハニーは春香のおなかに子ども作らせたいんだー!!!」
P「!?」
 ざわざわ……
 春香……? 春香ってあの……?
P「す、すいません、違います、違いますから! アイドルの天海春香とは僕たち無関係ですから!」
P「……お、おいおい美希! こんな大通りでそんなこと言うんじゃない!」
美希「ぶー……」プクー
196:
【765プロ事務所】
美希「?♪」モムモム
P「……」
美希「しあ?せなの?……♪」
P「そっか……それは良かった。ほら、ほっぺにクリームついてるぞ」
美希「んー。取ってー」
P「はいはい」
フキフキ
P「……しかし、食べきれるのか? そのケーキの山」
美希「だいじょーぶだよ! 甘いモノはベツバラだから!」
P「明らかに美希の腹より体積多い気がするけど……」
美希「ミキはこう見えてもけっこー大食いなの。貴音には負けちゃうけどね」
P「ははは……」
P(結局、美希の機嫌を直すために、ケーキを山ほど買うはめになってしまった)
P(財布がさみしくなってしまったな……まあ、これで美希が元通りになるなら安いもんか)
201:
美希「ふぅ……おなかいっぱいなの。ごちそうさま、ハニー!」
P「本当に全部食べきりおった……」
美希「そしたらなんだか眠くなってきちゃったの……あふぅ」
P「フリーダムすぎだろ……食べてすぐ寝たら牛になるぞ」
P(というかそもそも、眠れなくなるから付き合えって言ったんじゃ……)
美希「んー……ミキは……食べたらぜんぶ、お肉がおっぱいに行くから……問題ないの……」
トロ-ン
P「……」
美希「ねえ、ハニー……?」
P「なんだ?」
美希「膝枕、して?」
P「……」
P「いいよ。こっちおいで」
203:
ポフン
美希「えへへ……」
P「……」
美希「あったかいね……ねえねえ、ハニー」
P「今度はどうした?」
美希「頭、撫でて? そしたら気持ちよくグッスリなの」
P「……」
ナデナデ
美希「……う?ん……きもちぃーの……zzz……」
P(はええ)
204:
P「……」
美希「……むにゃむにゃ……」
ガチャ
P「!」
律子「ただいま戻りましたー……って、あら?」
P「り、律子……しー、しー!」
律子「……何やってるんですか?」
P「いや、なりゆきというかだな……」
律子「はぁ?……相変わらず、美希には甘々ですね」
P「そんなつもりはないんだが……」
律子「みんな言ってますよ、プロデューサーと美希は仲が良すぎるって」
P「……」
律子「もしかして、付き合ってるんじゃないか、結婚するんじゃないかって」
P「っ!」
律子「なーんて……って、なんですかその表情」
206:
律子「まさか本当に……?」
P「……いや、違うよ」
律子「ふーむ……」
P「ただ、さっき美希とこんな話をしてたんだ。正妻戦争、とか言ってな」
律子「なんですか、それ」
P「いやまあ、俺もよくわかってないんだけどな……」
―――
――

律子「……なるほど。なんといいますか、まあ……」
チラ
P「……」
律子「妄想するのは自由よね、うん」
P(なんか恥ずかしい)
207:
ダーリンダリンダーリンチュッチュチュッ
208:
ダーリンダリンダーリンイェイイェイ
209:
律子「美希も美希だけど、あなたもあなたよね。わざわざ付き合ってあげるなんて」
P「う……」
律子「それで、仕事は終わったんですか?」
P「いや、まだだ……」
律子「だと思った。私も手伝いますから、さっさと終わらせちゃいましょう」
P「……今?」
律子「トーゼン、い・ま・です。美希はそう簡単に起きないんだから、膝枕してないでこっち来てください」
P「……」
ソー……
コロン
美希「ふみゅ……むにゃむにゃ……zzz……」
P「……」
律子「名残惜しそうな顔してないで」
P「そそ、そんなつもりは」
213:
―――
P「……あ、律子。その書類だけど」
律子「え? ああ、そうね。印鑑印鑑……」
P「わるいな」
律子「いえいえ」
P「……」カタカタ
律子「……」カキカキ
律子「……あ、プロデューサー。今度のミニライブですけど……」
P「ん? ああ、アレか。うん、大丈夫だ、ちゃんと先方とも話してきたから」
律子「そうですか」
美希「……」ブルッ
美希「……さ、さむいの……ハニー……」モゾモゾ
美希「って、あれ?」
美希「……」
215:
美希「……」
ソー……
チラ
P「……それでさ……」
律子「……へえ、なるほど……」
美希「……」
美希「なんか、息ピッタリってカンジ」
美希「…………」
美希「ふーんだ」
ゴロン
美希「……ハニーのバカ……」
美希「でもべつにいーの。でこちゃんから奪ったうさちゃんがあるから、寒くなんてないもん」
ギュッ……
217:
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
かわいいよぉぉぉぉぉぉぉぉ
220:
美希「……」
コックリコックリ
美希「……なんだか、また眠くなってきたの……」
美希「あふぅ……むにゃむにゃ……」
―――
――

美希(……ミキにはわかるの。ミキは今、夢を見てる)
美希(今日はたくさんハニーとお喋りできたから、夢の中でもハニーが出てきて……)
美希(それで、ハニーってば……夢の中でも、正妻戦争とか言って……)
美希(……それで……)
228:
【律子と結婚したら……】
律子「……――デューサー! プロデューサー!」
P「ほあ!? あ、ああ、朝か!?」
律子「そーですよ、朝です! いい加減に起きないと、遅刻しちゃいますよ?」
P「う、うん……」
モゾモゾ
律子「ほらほら、シャキっとしなさい。あなたがそんなんだと、みんなに示しがつかないでしょ?」
P「わかったよ……ふわぁ?」
律子「まったく……朝ごはん出来てますから、ちゃっちゃと食べちゃってくださいね」
230:
P「一緒に食べないのか?」
律子「私はもう食べちゃいましたよ。女の朝は準備が山積み、戦争なんですから」
P「……そうか……」
律子「な、なーに? その顔……」
P「いや、もう少しはやく起きればよかったなーって」
律子「……なんで?」
P「そしたら、律子と一緒に朝ごはんを食べられたし……もう少し、ゆっくりできただろ」
律子「……だとしても、ゆっくりしてる時間なんてありませんよ」
P「それでも、五分くらいさ……くっついていられたじゃないか」
律子「……」
P「昨日の夜みたいに」
律子「ば、ばば、バカ言ってんじゃないの!」
律子「もー……まだ夢の中にいるんじゃないの……」カァァ
234:
P「さて、それじゃあそろそろ行こうか」
律子「ええ」
ガチャ
律子「あ……プロデューサー」
P「ん?」
律子「……ネクタイ、曲がってますよ」
キュ、キュ
P「ああ、悪いな」
律子「ちゃんとカッコつけてくださいね」
P「な、なんだよカッコつけるって……」
律子「あなたがカッコ悪いと、みんなやる気でないんですから」
P「……そーいうもんか?」
律子「そーいうもんです。はい、出来上がり!」
ポンポン
238:
テクテク
律子「……こうして、あなたと一緒に出勤する日が来るなんて、前までは思ってもいなかったわ」
P「どうしたんだ、いきなり」
律子「……」
P「律子?」
律子「朝起きて、夜寝て……仕事中も、四六時中一緒ってわけじゃないけど……顔を合わせられて」
律子「……私、今の生活がとっても幸せなんです」
P「……」
律子「あの……それ、だけ……」
P「……らしくないじゃないか」
律子「……そーよ、今日の私はいつもの私らしくないのよ……」
律子「だから……」
ギュッ
P「!」
律子「……こうして、手をつなぐことだって、出来ちゃうんです」
240:
P「何かあったのか?」
律子「……あえて何があったのかといえば、昨日ね」
P「昨日?」
律子「昨日、あなたがあんなにするから……それで、今朝もあんなこと言うから」
P「あはは……」
律子「あの……プロデュ……じゃなくて……あなた?」
P「うん?」
律子「……私、普段はあんまり、こういうの得意じゃないから……言えないけど」
P「……」
律子「あなたが言ってくれるように、私だって……あなたのことを想っています」
P「律子……」
律子「だ、だから……!」
241:
律子「うぅー……だ、だから……」
P「……」
律子「……明日からは、もう少し……」
律子「早起き、しましょうか……」モジモジ
P「!」
律子「……あーもう……なんでこんなこと……」
P「……律子」
律子「は、はい!? なーに、へんだって言いたいんでしょ!?」
P「そんなつもりはないよ」
律子「じゃ、じゃあ何を……」
P「……今日はこのまま、手をつないで事務所まで行こうか」
律子「! な、なんで……?」
P「そういう気分なんだよ。いやか?」
243:
律子「いやとか、そーいう問題じゃ……み、みんなに何を言われるか」
P「言わせておけばいいさ。結婚してるのはみんな知ってることなんだから」
律子「……本気?」
P「本気だよ。見せ付けてやろう」
律子「……」
律子「……わ、わかりました……」
―――
――

美希「そんなのってないの!!!!」ガバッ
P・律子「「!?」」
248:
美希「ハニー!!」ドタドタ
P「お、おはよう美希」
美希「おはようございますなの! それよりも?……!」
律子「どーしたのよ、血相変えて……」
美希「むぅ……律子っ!」
律子「さんを付けなさい」
ペシッ
美希「あうっ。……律子……さん……」
律子「よろしい。で?」
美希「で? ってなに?」
律子「なにか、この人に言いたいことがあったんじゃないの?」
美希「あっ、そーだったの! ハニー!」
P「な、なんだよ」
美希「律子……さんとイチャつくのはいい加減にして欲しいって思うな!」
P・律子「「……は?」」
252:
美希「律子さんも律子さんなの……ミキがハニーのこと好きって知ってるのに、手なんてつないで……」
律子「ちょ、何言ってんの!?」
美希「ミキ見たもん! あれでしょ、コイビトつなぎって言うんだよ! 指と指を絡ませて……やん」
律子「勝手に言って勝手に照れてるんじゃないわよ……」
P「……なあ、美希。それなんの話だ? 本当に心当たりがないんだけど」
美希「むむ。ハニーも誤魔化す気?」
P「とは言っても……なあ、律子?」
律子「え、ええ。そんなのまったく記憶にないわ」
美希「それなら教えてあげるよ! だってだって、さっき夢の……中……で……」
美希「……」
P「……」
律子「……」
美希「夢だったの。あは☆」
259:
律子「そんなこったろーと思ったわ……」
美希「正直スマンカッタと思ってるの」ニコニコ
律子「本当かしら……あーもう、憎ったらしいわねこの顔」
プニプニ
美希「いひゃいの?……」
P「おいおい律子、あんまり美希をいじめるなよ」
律子「あなたは美希に甘すぎですっ!」
美希「えひぇひぇ……」ニコニコ
律子「……美希、さっきからなんで笑ってるのよ」
美希「と、とにかくはにゃして欲しいって思うな……」
律子「はいはい」パッ
プルン
美希「あふぅ。……えっとね。夢だったから嬉しいんだ」
律子「……なにそれ?」
美希「律子さんとハニーが仲良かったのが、ホントのことじゃなかったから……だから、嬉しいの」
266:
P「美希……」
美希「でもでも、そこでユダンするミキじゃないよ? ハニーは渡さないんだから!」
ギュー
P「……」
美希「あれ? いやがらないの? もしかしてもしかして、ついに想いが通じた!?」
P「調子に乗らない。……ま、今だけな」
美希「今だけでも嬉しいの?……♪」
スリスリ
律子「……まったく、あんたには敵わないわね」
美希「? それってどーいう意味?」
律子「なんでもないわ」
269:
律子「あんたの素直さがたまに羨ましいわね……」
美希「あは♪ 律子……さんも、素直になったときはカワイイのに」
律子「んなっ……どこで見たのよそんなの!」
美希「夢の中だよ」
律子「……はぁ……」
美希「それよりハニー、お仕事おわったの?」
P「ん、ああ。律子が手伝ってくれたおかげでこの通りな」
美希「それじゃあそれじゃあ、一緒に帰ろ! 律子さんも!」
P「……だそうだ」
律子「……私は遠慮しておくわ」
美希「え?。なんでー?」
律子「もうおなかいっぱいで砂糖吐きそうなのよ。だからもう、ひとりにしてちょうだい」
美希「律子さんお砂糖出せるの!? スゴイね! ずっとずっと甘いモノ食べられるの!」
律子「……まったく、素直なのかただのおバカさんなのか……」
272:
美希「それじゃあね、ばいばーい!」
律子「はいはい。また明日?」
バタン
P「……なあ、美希」
美希「なあに?」
P「……帰りに、ご飯でも食べていこうか」
美希「えっ、いいの!?」
P「ああ。まあ、ケーキ食ったあとだから入らないかもしれないけど」
美希「んっふっふー! 甘いモノはベツバラって言ったでしょ?」
美希「ミキの胃袋は宇宙なの。おにぎりならまだまだ入るよ!」
P「ははは……というか、その笑い方、気に入ったのか?」
美希「うん! それに亜美たちの出番はないっぽいからね。んっふっふ?」
P「?」
276:
美希「ハニー、なんかいつもより優しいね?」
P「そうか?」
美希「そうなの。いつもだったら、寄り道せずにまっすぐ帰りなさいって言うのに」
P「……まあ、今日だけな」
美希「今日だけでも嬉しいって思うな……」
P「……」
P(……今日色々と美希と話していて、嬉しい気持ちを感じなかったわけじゃないからな)
P(まあ、少しだけ、だけど……)
P(それに、もう……この子の涙は見たくはないし。だから……自然と、優しくなってしまうのかもしれない)
P「……なーんて、言ってやらないけどな」
美希「なんの話?」
P「こっちの話だ。なんでもないよ」
280:
―――
美希「送ってくれてありがとね、ハニー!」
P「いいってことさ。気をつけて帰るんだぞ?」
美希「あは、ハニーってばおかしーの。もう玄関だよ?」
P「うぐ、ま、まあそうだけど……」
美希「……泊まってく? えへ」
P「バカ言ってんじゃないよ。親御さんもいるのに」
美希「いなかったらオーケーみたいな言い方だね?」
P「……」
ペシッ
美希「あうっ。三時間ぶり二回目のチョップなの……」
P「……それじゃあな。おやすみ」
美希「うんっ! おやすみなさいなの!」
282:
P「さて……俺も帰ろうかな。車の鍵車の鍵、っと……あったあった」
ガチャ バタン
P「……」
チラ
美希「……」フリフリ
P「……」
……プルルル
美希『はいなの! もしもしハニー、どーしたの?』
P「いつまでも手を振ってないで、家の中に入りなさい」
美希『でもでも、ハニーをお見送りしたいんだもん』
P「……」
美希『あ……ダメ、だった?』
P「いや……そういうわけじゃないんだけどさ」
285:
美希『あは! それなら、問題ないね♪』
P「……美希が帰るまで、俺は動かないぞ」
美希『ミキだって、ハニーが車出すまではここを動かないの』
P「……」
美希『……』
P「……わかったよ」
美希『!』
P「美希を風邪引かせるわけにはいかないからな。俺はもう行くよ」
美希『う、うん……』
P「じゃあ、今度こそ……おやすみ、美希」
美希『……おやすみなさいなの……』
287:
腹立つぐらいにかわいいな畜生
288:
こんな女性に出会いたいものだ…
289:
P「……」
美希『……』
P「……最後に」
美希『え? な、なになに?』
P「今日色々と話をしてさ……それでいま、なんとなく思ったんだ」
美希『……?』
P「将来、美希と結婚して……それで旦那さんになる人は、幸せだなって」
美希『!』
P「うん、まあ……ありていに言ってしまえば、羨ましくもあるよ」
美希『そ、それって――
ピッ
P「よーし、帰るか」
ブロロロ……
美希「なんなのなの! なんなのなの!!」プンプン
300:
【翌日 765プロ事務所】
P「うーん、今日も良い天気だ。さてと……」
ガチャ
美希「……おはようございますなのー……」
P「おはよう、美希。……どうしたんだ、その顔」
美希「あふぅ……寝不足ってカンジ」
P「昨日あれから、すぐ寝なかったのか?」
美希「うん……7時間しか眠れなかったの……」
P「……ま、まあその量が多いか少ないかはともかく。一体どうして?」
美希「どうしてってそんなの決まってるの!」
美希「ハニーが昨日、あ、あんなこと言うから……!」
P「……あんなのことって?」
美希「……もーいいの! ふーんだ」
P(顔が赤くなってる)
P(こんなに照れる子だったっけかな……かわいい)
304:
美希「ねえねえ、今日のお仕事はなあに?」
P「えっと、今日の美希は……あずささんと一緒に、ラジオの収録だな」
美希「あずさと!? やったやったやった?♪」
P「嬉しそうだな。まあ、そういえば美希はあずささんのこと大好きなんだっけ」
美希「うんっ! ミキのお姉ちゃんだよ」
美希「いつもは竜宮小町があるから一緒にいられないし、こーいうときに会えるのは嬉しいの」
P「それは何よりだな。……よし、それじゃあ行こうか!」
美希「えっ、もう?」
P「ああ。まだ収録まで十分時間はあるけど……それとは別に、仕事があるから」
美希「……?」
P「あずささんを発見するという大仕事がな……」
美希「なるほどなの……」
307:
 クエックエックエックエ……
 バサ…… グサッ
  ウオォオオ……!
美希「……」
P「はい、はい……え!? さっき言ってたのと居場所が……この短時間でどうやって……!?」
美希「……」
P「……わ、わかりました、そういうことなら……。絶対にそこを動かないでくださいね!」
ピッ
美希「……見つかったの……?」ゲッソリ
P「ああ……」
美希「ね、ねえハニー……ここどこ?」
P「群馬だ」
美希「……」
先住民「……」ギロ
美希「……も、もう行こ! ここ、なんか怖いの!」
310:
―――
ブロロロ……
P「……ふぅ……。ようやく都内に戻ってきたぞ……」
美希「まさかあんなことになるとは思ってなかったの……」
美希「ハニー、服どうするの? パンツとシャツしか着てないけど」
P「あずささんと合流したあと、一回事務所に戻るよ」
美希「そっか……ごめんね……ミキを守るために……」
P「プロデューサーとして、当然のことさ」
美希「……ハニー……」
美希「えへへ……やっぱりハニーは、ミキの王子様なんだね」
P「どうした、突然?」
美希「ううん、なんでもないの……でももう、昨日のことは許してあげる」
P「……そっか」
312:
ブロロロ……
プスンプスン
P「うう……新車だったのに……もうガタがきてる……」
美希「……ねえねえ!」
P「ん?」
美希「昨日の続き、して?」
P「続きって……正妻戦争ってやつか?」
美希「うん! 今のミキなら、なんだって乗り越えられる、そんな気がするの!」
P(昨日もそんなこと言って、途中から我を忘れてた気がするけど……)
P「……まあ、美希がそう言うなら。あずささんのいる場所に着くまで、まだ時間あるしな」
美希「それじゃあ、お願いしまーす♪」
P「そうだな……それじゃあ、ちょうど今話題になってる、あずささんかな」
316:
【あずささんと結婚したら……】
あずさ「……それで、そのとき春香ちゃんったら……ふふっ」
キーンコーンカーンコーン
あずさ「あら? あの学校のチャイムが鳴って……まあ大変! もうこんな時間だわ」
あずさ「もうお昼休みも終わりじゃない……」
スッ
あずさ「……プロデューサーさん……」
あずさ「また、来ます」
あずさ「ふふっ、今度はどんなお土産がいいですか?」
あずさ「あなたの大好きだった、コーヒー? それとも……」
あずさ「……」
あずさ「……そう、ですね。あなたなら、きっと……こう言ってくれますよね」
あずさ「私が来てくれるだけで、十分だ、って……」
あずさ「……」
317:
おいこれは…
319:
大好き…だった…?
320:
テクテク
お婆ちゃん「……おや、またあんたかね」
あずさ「あら、おばあちゃん。お元気そうでなによりです?」
お婆ちゃん「あっはっは! 元気なのはいいけど、いい加減に迎えに来てほしいもんだね」
あずさ「もう、またそんなこと言って……」
お婆ちゃん「もうこの年になったらね、天国のジイさんに会いにいけることが一番の楽しみなんだよ」
あずさ「……」
お婆ちゃん「……あずさちゃんは、まだ違うけどね。でもだいぶ顔色もよくなったみたいで、アタシも嬉しいよ」
あずさ「……もうあれから、随分、経ちましたから……」
お婆ちゃん「……旦那も幸せだろうね。こんなに若くて綺麗なお嫁さんに、ここまで想ってもらえるんだから」
あずさ「ふふっ……」
321:
ブォー……
あずさ「……」
あずさ「……プロデューサーさん……」
あずさ「ふふっ、なんだか思い出してしまいますー」
あずさ「あの頃のあなたは、いつもハラハラした顔で……私の手をにぎっていてくれましたよね」
あずさ「あずさが迷子にならないように、って……」
カンカンカンカン……
あずさ「……」
あずさ「……電車……」
あずさ「踏み切り……」
あずさ「……――っ!」
329:
ガタンガタン……
 ガタンガタン……
あずさ「……っ……。はぁ、はぁ……」
ドックン、ドックン
あずさ「……」
ギュッ
あずさ「う、うぅ……」
あずさ「……どうして、あなたは……ここにいないんですか……!」
あずさ「私は……いま……こんなにも……!」
プルルルル
あずさ「……」
プルルルル
あずさ「……電話? 誰からかしら……」
331:
律子『……あずささん! 今どこですか?』
あずさ「その声は……律子さん?」
律子『そうです、律子ですよ。家にいってもいないから……』
あずさ「……すみません、でも、今戻っているところですから」
律子『……迎えにいきます』
あずさ「ええ? でも、もうすぐそこよ?」
律子『だとしても……お願いです、わかってください』
あずさ「……」
律子『私だって、もう……目を離した隙に誰かがいなくなってしまうのは……いやなんですよ』
あずさ「……わかりました。それじゃあ……、お願いします」
333:
―――
あずさ「……」
律子「……行きましょう」
あずさ「ええ……」
ギュッ
あずさ「手をひっぱってもらわなくても、いなくなったりしないわよ?」
律子「……」
あずさ「……そう、ですね。ごめんなさい」
律子「……」
あずさ「……律子さん」
律子「なんですか?」
あずさ「……ありがとう……」
律子「……これくらい、お安いごようです」
335:
あずさ「……いつも、こうして歩いていたんです」
律子「え?」
あずさ「プロデューサーさんに、手をつないでもらって……」
あずさ「私たちの居場所……765プロへと続く、この坂道を……」
律子「……そう、ですか」
あずさ「ふふっ……それで、ひとりだと、どうしても思ってしまうんです」
あずさ「この坂道を登るたびに……あの人がすぐ、隣にいるように……」
律子「……」
あずさ「……律子さん、私はいま――
―――
――

美希「いい加減にして欲しいの!!!」
P「うえっ!? な、なんだよ、まだ途中だろ? ここからあずささんのアイドル復帰までの道のりをだな」
美希「そこまで凝ってたの!? 妄想でも、して良いことと悪いことがあるって思うな!」
339:
美希「うぅ……グスッ……」
P「美希……」
美希「な、なんでハニーが死んじゃってるのー……」
P「いや、深い意味はないんだけど……あずささんにはそういうの似合うかなって……」
美希「深い意味もなく勝手にいなくなっちゃダメなのっ!」
P「……すまん」
美希「謝って!」
P「ごめん……反省してるよ。妄想でもちょっと、やりすぎた」
美希「そうじゃないの! ミキじゃなくて、あずさに謝って!」
P「え?」
美希「だ、大好きな人が突然いなくなっちゃったら……そんなの、想像するだけで、や、なの……」
P「……」
美希「だから……」
P「……ああ、わかった」
P(俺としたことが……また、美希を泣かせてしまった……)
342:
―――
あずさ「……あ、プロデューサーさん! すみません、またご迷惑……を……」
P「あずささん……」
あずさ「……ず、随分、ワイルドな格好ですね? 何があったんですか?……?」
P「いえ、大したことではありませんから。すみません、下着一丁で」
あずさ「い、いいんですけれど?……」
美希「……」プンプン
あずさ「美希ちゃんもなんだかご機嫌ナナメみたいだし……」
あずさ「んー……何がどうなって……?」
P「そんなことより、あずささん!」
あずさ「は、はい!」
P「申し訳ありませんでしたっ!」
あずさ「……え?……?」
343:
P「俺、勝手にいなくなったりしませんから!」
あずさ「……? い、いつもいなくなるのは、私のほうじゃ……」
P「いいえ、俺なんです! 俺があのとき……!」
美希「うぅ……グスッグス……」
P「……もうあなたをひとりにはさせて、悲しい思いをさせたりしませんっ!」
あずさ「え、ええ!?」
P「ずっと目を離さずに、あなたのことを見守っています!」
あずさ「ちょ、ちょっと……突然なにをおっしゃるんですか!?」
美希「ミキもなの! ずっとずっと、あずさのそばにいてあげるからね!」
ギュー
あずさ「美希ちゃん……」
347:
P「すみませんでした……っ!」
美希「あずさ……ハニーもこう言ってるから、ここはどうか許してあげて欲しいの……」
あずさ「……」
あずさ「な、なんだか、よくわからないですけれどー……」
あずさ「でも……」
P「あずささん……!」
美希「あずさ……」
あずさ「……ふふっ。大丈夫ですよ、ふたりとも」
あずさ「私たちが離れることはありません。だって……」
あずさ「私のことを想ってくださっている気持ちは……、痛いほど、この胸に伝わりました」
あずさ「そして……それは、私だって、同じ気持ちなんですから」
あずさ「……ありがとう」
355:
―――
P(……それからしばらく、俺と美希は大いに泣いていた)
P(あずささんは、どこか不思議そうな表情をしていたけど……俺のことは、許してくれたみたいだった)
P(……あれ?)
P「な、なんで謝ってるんだっけ……」
P「こういう方向のあれだったっけかな……」
美希「うわぁ?ん!!」
あずさ「よしよし……」
P「でも……まあ、いいか」
P「どんな方法であれ、俺達の絆はより深まったみたいだからな」
P「さあ、仕事だ仕事……うん、気を取り直そう」
356:
美希「それでね、正妻戦争ってのは……」
あずさ「まあ、そんなことを?……ふふ。プロデューサーさん?」
P「な、なんですか?」
あずさ「私のことは、どんな新婚生活を描いてくれたんですか?」
P「!!!」
あずさ「憧れるわ?……やっぱり結婚は、女の夢ですから」
あずさ「私もいつか、運命の人と出会って、それで……ふふ、ふふふ♪」
P「……」
あずさ「もしかして、あんな感じ? それとも……ふふっ♪」
美希「……」
あずさ「……あら?」
P「すみませんでした」
あずさ「ええ?」
P「言えないです、すみません。でも、いつか必ず……」
美希「こればっかりはミキにもなんとも言えないの……」
360:
―――
P(色々とあったが……何はともあれ、ふたりはラジオ収録の仕事に行ってくれた)
P(今日がテレビの収録とかじゃなくて良かったな……美希の目、真っ赤だったから)
P(そして俺はいま、局のロビーで暇を潰しているところである)
千早「……あ」
P「ん? おお、千早じゃないか!」
千早「ふふ、おはようございます、プロデューサー」
P「こんなところで、奇遇だなあ! あっはっは!」
P(事務所以外でちーちゃんに会えたぞっ! なんてツいてるんだ俺は!)
P(ひゃっほう!)
364:
千早「今日は、ラジオですか?」
P「うん、美希とあずささんのな。えっと、千早もそうだったっけ?」
千早「ええ。……というか、これだってプロデューサーが取ってきてくれた仕事じゃないですか」
P「そうだったそうだった! あっはっは!」
千早「ふふ……プロデューサーは、いつも元気ですね」
P「それは君の前だからだよ!」
千早「え?」
P「千早を目の前にしたら、気分も高まるってもんさ!」
千早「そ、そういう冗談はよしてください! 私、そういうの慣れてないから……」
P「冗談なんかじゃないぞ! 俺は本当に……」
千早「ほ、本当にやめてください! もう……いつもこうなんですから」モジモジ
P(出た! 両手の人差し指と人差し指を合わせてモジモジするポーズ!)
P(俺はこの照れ千早が特にお気に入りなのである!)
P(やっぱり千早はかわいいなあ!)
370:
P「それでな、あのとき美希ったらさ……」
千早「……プロデューサーは」
P「ん? どうした?」
千早「前々から思っていましたけど……随分美希のこと、気に入ってるんですね」
P「ああ、そりゃまあな。美希は良い子だし、素直だし」
千早「……」
P「お、おい、千早?」
千早「……す、素直なほうが、好きなんですか?」
P「え? うん、まあそうかな……」
千早「そうですか……まあ、なんでも、いいですけれど」
P「それがどうしたんだ?」
千早「……いえ」プイ
P「……?」
千早「じゃ、じゃなくて……そっぽ向くのは違うわ……」ブツブツ
P(なんだかよくわからないけど……、良いな、今の仕草)
373:
美希「……」ジー
P「でさ、さっきの話の続きだけど……」
千早「……あら? ふふ、プロデューサー?」
P「今度はどうした?」
千早「……いえ、なんでもないです。それで、美希がどうしたんですか?」
P「ああ、それがさ。いきなり正妻戦争なんて言い出して……」
美希「……」ジー
千早「正妻戦争? なんですか、それ」
P「なんでも、美希いわく、俺のことを気に入ってる女の子は何人もいるらしくてさ」
P「まあ、そんなことないとは思うんだけどな。それで……」
千早「……なるほど……ふふ、ふふふ!」
P「さ、さっきからどうしたんだよ? 突然笑ったりして」
千早「……プロデューサー、後ろを見てください」
P「え?」クルン
美希「うりゃあ! なの!」ブスッ
376:
P「目があああ! 目があああ!」ゴロゴロ
美希「ハニーってば、千早さんと仲良くしすぎって思うな!」
P「そ、その声は……美希か!?」
美希「そーだよ! ミキなの!」
千早「おはよう、美希」
美希「えへへ、おはようなの、千早さん」
千早「大丈夫かしら、プロデューサー……」
美希「ふーんだ」プイ
千早「……美希? ちょっと耳を貸して」
美希「なあに?」
千早「……私はさっき気付いたんだけど――
P「あああああ」ゴロゴロ
千早「ちょっと静かにしてください」
377:
>>1こんな夜遅くにお疲れ様です
りつまこ好きすぎて幸せでした・・・睡魔に負けそうです今のうちに志宴。
皆とても良い子だから、まさに戦争になるよねコレは。
379:
>>377
すげぇ!!
381:
>>377
GJ!
380:
P「ひどい……」メソメソ
千早「……ごほん!」
千早「それでね。私はさっき、あなたがここにいることに気付いたんだけど……」ヒソヒソ
美希「ふんふん」
千早「……美希は本当は、いつからいたの?」
美希「……けっこー前からなの」
千早「やっぱりね……」
美希「知ってたの?」
千早「いいえ、そういうわけじゃないけど……なんとなく、かしら」
美希「……」
千早「それじゃあ、プロデューサーがどんな話をしてたかも、聞いてたわよね?」
美希「! そ、それは……」
千早「……ほとんどが、あなたの話よ。だから照れくさくて、出てこれなかったんでしょう?」
美希「……」
美希「…………はいなの」
384:
美希「千早さんはなんでも知ってるんだね……」
千早「ふふ、なんでも知っているわけじゃないわ。知っていることだけ」
美希「それはどっちかというとミキのセリフだって思うな! ブレイク的に考えて!」
千早「なにを言っているの……?」
美希「……さあ?」
千早「……とにかく。照れ隠しで目潰しなんて、少し過激すぎるわ」
千早「ちゃんと、プロデューサーに謝りましょうね」
美希「……うん」
385:
P「ふう……ようやく視界が戻ってきたかな……」
シパシパ
美希「ハニー」ズイ
P「どわあ!? み、美希!? 近いって……」
美希「ごめんね……ミキ、ちょっとカゲキすぎたの」
P「え? ああ、目潰しのことか」
美希「うん……目、見える?」
P「……大丈夫だよ。それに、亜美たちにいつもやられて慣れてるからな!」
美希「……」
P「……心配するなって。でも、理由を聞かせてくれないか?」
美希「……えっとね……」
387:
美希「ハニーが千早さんと仲良さそうにしてるのを見て……ちょっと、モヤモヤしたんだ」
P「……それならそうと、最初から普通に出てきてくれればよかったのに」
美希「でもでも、ハニーはその……ミキのこと、いっぱい話してくれてたから……」
美希「なんか、ずっと聞いてたくなって……」
P「……」
美希「それでもモヤモヤは止まらなかったの。でも、聞いていたかったの」
美希「だから、それでね……よくわかんなくなっちゃって」
美希「ミキの胸のあたりが、ぐるぐるきゅーってなっちゃって……」
P「それで、ついつい目潰しを?」
美希「そうなの、ついつい……」
P「そうか……それなら仕方ないな」
千早(ついついで済まされることなのかしら)
390:
美希「……ねえ、ハニー」
P「ん?」
美希「あのね……ハニーって、千早さんのこと、好きなの?」
P「当たり前だろ。昨日も言ったようにだな……」
美希「みんなのこと好き、ってこと?」
P「ああ、そうだよ」
美希「……それにしては、トクベツお気に入り、ってカンジ」
P「……もしかして、嫉妬してるのか?」
美希「……そーだよ! 千早さんにハニーを取られるのが、や、なの!」
P「ははは……そんなことはないって」
美希「え……?」
P「たとえ仮に、俺が千早のことを特別気に入ってたとしたって……」
P「相手はあの千早だぞ? 俺のことなんか眼中にないさ」
美希「そうかな……」
千早(あの、私ここにいるんですけれど……なんてリアクションしたらいいのよ、もう……)
393:
P「まあ……千早がかわいいっていうのは否定しないけどな」
美希「!」
千早「!」
P「なんなら、千早への想いをここで熱く語ったいい」
千早「い、いや、その流れはおかし
美希「そ、それは……」
P「……なんてな。さすがにそんなことしないよ」
千早「……」
美希「……いいよ」
P「え?」
美希「千早さんとのこと、ここでミキに話してくれてもいいよ」
美希「それでも、ミキは……ハニーのこと、好きな気持ち、変わらないから」
美希「それで、ハニーに知って欲しいの。ミキの気持ちの強さを……」
P「美希……わかった」
千早(どうしましょう……なんだか大変なことに……)
402:
【千早と結婚したら……】
ちゅ、ちゅ……
千早「……んっ……」
P「……」
千早「……はぁ、はぁ……」
千早「ぷ、プロデューサー……!」
P「……」
千早「……お、お願いです……もう……――っ!」
407:
千早「ぷろでゅーさぁー……」
P「……おや? なんか、聞こえたような……」
千早「まだそうやって……はぁ、はぁっ……!」
P「おかしいな……ここには俺以外、『人間』はいないはずなんだけど」
千早「……うぅ……」
P「……」
ずんずん ずんずん
千早「……あうっ……!」
P「……」
千早「……わ……」
P「ん?」
千早「……」
千早「……もっと……優しくして欲しい……わん」
408:
エロい
413:
P「……ま、次第点ってところかな」
千早「あ、ありがとうございます……わん」
P「本当は……フンッ」
千早「っ!!」
P「人の言葉を少しでも話すのは……NGなんだけどっ!」
千早「くぅ……!」
ずんずん♪ ずんずん♪
千早「あぁっ……」
P「こうなっちゃ、難しいだろうからな」
千早「ふぅ……んっ……ふぅ……」
P「しかしなんだな、千早からこういうのを望んでくるとは思わなかったよ」
千早「……ぁ、あ……!」
P「結婚するまで知らなかったが……千早はとんだド変態だったみたいだな」
千早「」ゾクゾク
千早「ご、ごめんなさい……ふふ、ふふふ」
416:
P「なにを喜んでるんだ? それに、その言葉……」
千早「っ!」
P「……ま、千早がそういう態度なら、俺もやめたっていいんだけど」
千早「ごめんなさいっ! ……じゃ、じゃなくて……っ」
千早「ワンッ! わんわんっ! ハッハッハッハ……」
ダラー
P「……よだれ垂らして。そんなに続けたいのか? この雌犬め……」
千早「」ゾクゾク
千早「ハッハッハッハッハッハッハ……!」
P「……まあ、しつけるのも飼い主の仕事だからな……」
千早「! ぷ、プロデューサー……」
P「ん? プロデューサー? おかしいな、喋ってもいい人間の言葉はひとつだけだったのに」
千早「…………」
千早「……ご主人……様……!」
420:
―――
千早「……ふう。ありがとうございました。とても良かったです……」
P「あ、ああ……もういいよな? 普通にしても……」
千早「ええ」
P「良かった……さすがに、ああいう演技には自信がないからなぁ」
P「それじゃあそろそろ、寝ようか……」
千早「何を言っているんですか?」
P「えっ」
千早「明日はお休みでしょう? まだまだ、夜はこれからですよ」
P「ちょ、そんな……もう、弾切れ……」
千早「……そんなこと言って……」
P「っ!」
千早「……ふふ。まだ、頑張れますよね?」
P「……はい……」
423:
P「……あ、そこは……無理無理無理、こわい」
千早「……」
P「き、汚いって……!」
千早「……この体に、汚いところなんてないですよ……」
P「ああんっ!」
千早「ふふふ……、いつもと、立場が逆ですね」
P「え……? ぎゃ、逆って……!?」
千早「とってもかわいいです……あ・な・た」
―――
――

P「……てな感じで、どうかな? こういう新婚生活も……」
美希「」
千早「」
P「……あれ?」
424:
アチャー
425:
やってしまいましたなあ
427:
美希・千早「「……」」
P「……えーっと……」
P「!」
P(しまった! 昨日までのことを忘れたのか、俺!)
P(美希は……『夜』といっても、一緒にオヤスミするくらいの認識しかない、純粋無垢な子だったのに!)
P「あ、あのな、美希……」
美希「……」
P「今のは、つまり……うまく説明できないんだけどさ」
美希「知りたくないの……それを知っちゃったら、ミキ、汚れちゃう気がするの……」
P「そ、そうか……」
千早「……」プルプル
P「……千早?」
千早「……――しは」
P「え?」
千早「私は! 新婚早々じゃ、犬プレイなんて望みませんからっ!! 勘違いしないでくださいっ!!!」
429:
ほう、つまり
431:
千早「そういうのはもっとこう、段階を踏んで……!」
P「わ、わかったわかった! すまん、少し過剰に表現しすぎたよ」
千早「……わ、わかればいいんですけれど……」
P「……」
千早「……」
美希「……」
P「!」
千早「!」
美希「?」
千早「ち、違います! そそ、そうじゃなくて……そういうことが言いたかったんじゃなくて」
P「へえ?」
千早「あのっ、だから……な、なんてことを想像するんですか! 失礼です、セクハラですよっ!?」
P「そうだな……ふふ」
千早「ほ、本当にわかってるんですか!? その笑顔をやめてください!!」
436:
美希「千早さん、ぷりぷりしながらどっか行っちゃった……」
P「少しやりすぎたかな……」
美希「もう、ハニー? あんまり千早さんを怒らせたらダメだよ?」
P「ああ……反省してるよ。ふふ」
美希「……なんかね。よくわかんないんだけど……」
P「ん?」
美希「ハニーの話を聞いてると、なんかこうね……体がポカポカしてきたの」
P「……」
美希「ねえ、ハニー……これって、なんかの病気なのかなぁ……?」
チラ
P「……っ!」
P(かわいい)
P(上目遣い 言ってる言葉 信じられん かわいい)
P(……くそっ、誰に教わったんだこんなテクニック!)
439:
P「……と、とにかく事務所に帰ろうか」
美希「うん……」
P「そういえば、あずささんは?」
美希「竜宮小町でレッスンがあるからって、さっき律子……さんに連れてかれちゃったよ」
P「そうか……」
美希「……あのね、ハニー」
P「ど、どうした?」
P(いけないいけない、さっきの美希の仕草を見てから、少し平常心じゃいられなくなってるぞ)
美希「……ミキ、さっきのハニーの話、半分くらいしかわかんなかったけど……」
P「半分?」
美希「うん。千早さんが犬になりたいってことくらい」
P「……まあ、その認識で合ってるよ。千早は犬になりたがってる、間違いない」
442:
美希「えっと、半分くらいしかわかんなかったけど……」
美希「でも、ハニーが千早さんのことお気に入りってことは、やっぱりわかったの」
P「……」
美希「……それでもね」
P「うん……」
美希「ミキは……ハニーのこと、だいすきだよ」
P「っ!」
美希「……そ、それだけなの! も、もう帰ろっ!」
P「……」
ドキドキ
P(……やばい)
P(今のは……やばかった……)
P(というか、もしかして、俺はもう……?)
446:
【765プロ事務所】
ガチャ
美希「ただいまーなのー!」
小鳥「あら、お帰りなさい美希ちゃん。プロデューサーさんも……」
P「ただいま戻りました。変わりないですか?」
小鳥「ええ、特に問題ありませんよ。……でも、強いて言うとすれば」
P「え?」
小鳥「千早ちゃんが真っ赤な顔して帰ってきて、そのままウロウロしてすぐ帰宅したってことくらいかしら」
P「あはは……」
小鳥「なにかあったか、ご存知ですか?」
P「い、いえ! なにも知らないです!」
小鳥「ふーん……?」
448:
美希「ねえねえ小鳥。正妻戦争って知ってる?」
小鳥「え? 制裁戦争……? な、なんだかこわい響きね」
美希「えー。こわくなんかないよ! ね、ハニー!」
P「うん、まあ……そうだな」
P(これのせいで何度か寿命を縮む思いもしたけれど)
P「……たぶん、音無さんは勘違いしてるんです。制裁じゃなくて、正妻」
小鳥「……正妻」ピク
美希「そーなの! ……あ、でも、ミキが考えた言葉だから、小鳥は知らないよね」
P「おお、自分でそのことに気付けたか! えらいぞ、美希」
美希「えへへ……」
小鳥「ちょっと詳しく聞かせてください」ズイ
P「えっ」
小鳥「ね、ね」ズイズイ
452:
小鳥「……なるほど、そんなことが……」
P「まあ、美希の遊びに付き合ってるだけですけどね」
美希「むー! 遊びなんかじゃないよ! ミキ的には、けっこーシンケンなんだから!」
P「あはは、わかってるわかってるって」
小鳥「そ、それで……今まで、誰について話したんですか?」
P「な、なんだか随分食いつきがいいですね」
小鳥「あら、やだ私ったら……」
美希「えーっとね、今まで話したのは……」
・雪歩
・響
・真
・春香
・律子……さん
・あずさ
・千早
P「……あれ? 律子について言ったっけ?」
美希「? 夢の中で、ちゃーんと聞いたよ?」
P「そっか……それならそうなんだろうな」
454:
P「残るは、貴音だけですね」
小鳥「えっ!!?」
P「だってそうでしょう? 中学生組と結婚する妄想なんて、出来ないですから」
小鳥「そ、そりゃそうかもしれませんけど……そうじゃなくて」
美希「?」
小鳥「……誰か、忘れていませんか? 合法な年齢で、まだ言っていない人を……」
P「それが、貴音でしょう?」
美希「そーなの」
小鳥「……」
456:
美希「ねえねえハニー。せっかくだから、今話してよ。貴音のこと」
P「ええ? 突然だな」
美希「でも貴音なら、今までの……んーっと……」
美希「真くんや春香、あずさ、千早さんのに比べたら……、たぶんマシだって思うの」
P「ふーむ……」
小鳥「……」
P「……音無さんもいるのに? なんだか恥ずかしいな」
美希「千早さんの目の前で話したハニーの言うセリフじゃないって思うな」
P「ははは、まあそりゃそうか!」
小鳥「いーんです……どーせ私なんて……」シクシク
P「それじゃあ……貴音か……そうだな……」
462:
【貴音と結婚したら……】
貴音「……あなた様、あなた様」
クイクイ
P「うん? どうしたんだい、お前や」
貴音「ふふっ、今宵は月がとても美しく輝いておりますよ」
P「……ああ、そうだね。こんなに綺麗な月を眺められたのは、いつぶりだろうか」
貴音「いかがでしょう、夕餉は縁側で頂くというのは」
P「それはいい。早準備に取り掛かろうか。よいしょ、っと……」
貴音「ああ、いけません。あなた様はお休みになっていてくださいませ」
P「そういうわけにもいかないよ。お前の細い腕じゃあ、あそこに夕飯を用意するだけでも、ちょっとした手間だろう」
貴音「お体にさわります。どうか、横になっていてください」
P「しかし……」
貴音「……ふふ、お忘れですか? 私は、そこまで柔な女ではないのですよ?」
P「……ははは……それもそうか……」
467:
リーンリーン……
P「では……頂くとしようか」
貴音「ええ。頂きます」
P「頂きます」
リーンリーン……
P「……相変わらず、お前の作る料理は、素晴らしいな」
貴音「有難う御座います。しかしどうなさったのです、突然に……」
P「いやね……少し、昔を思い出してしまって」
貴音「はて、昔……ですか?」
P「ああ。あれは、ちょうどこんな風に、月の光で夜闇が照らされていた日だった」
貴音「……ふふ。確かに、随分と昔の話ですね」
P「……あの日。僕は君にプロポーズをしたんだ……」
貴音「忘れもいたしません。私の人生の中でも、最も光輝いていた日のひとつですから……」
472:
P「ふう……食った食った」
貴音「ふふっ、はしたないですよ? まるであの頃の様です」
P「ははは……しかし、お前にそうやって言われるのも、何年ぶりのことかな」
貴音「……」
P「いつも済まないな……」
貴音「……あなた様も、相変わらずですね」
P「うん? どうしてだい?」
貴音「相も変わらずに、いけずのままです」
P「ふむ……そう言われる覚えはないのだけど」
貴音「いいえ、いけずです。私の気持ちなど考えずに、そうやって……」
P「……」
貴音「……済まない、という言葉は……禁止ですよ。あなた様は、私にとって掛け替えのない連れ合いなのですから」
P「そうだったな……済まない」
貴音「もう、またそうやって……」
貴音「……でも、あなた様のそういうところに、私は心惹かれたのかもしれませんね」
474:
P「お前も、今日は随分と饒舌だね」
貴音「夫婦とはそういうものですよ。互いが互いに、深く響き合っていくものです」
P「……ああ、確かに……」
貴音「……いかがでしょう? 食後に一杯というのは……」
P「そいつはいい。月を眺めながら、久しぶりに贅沢な気分を味わうとしようか」
…………
……

貴音「あなた様。猪口を」
P「ん……」
とくっとくっとくとく……
P「……っとと」
貴音「大丈夫ですか?」
P「ああ。それじゃあ……」
「「乾杯」」
477:
P「……綺麗だ」
貴音「真、そのとおりですね。大変に素晴らしい満月……」
P「月もそうだが……今言ったのは、お前のことだよ。月に照らされて、より美しく見える」
貴音「ふふ、お上手ですね」
P「本気にしていないね?」
貴音「当然でございます。私だって、あの頃に比べて随分と老いました」
P「……そんなことはない。お前は……今でも……」
貴音「……あなた様? もう酔われてしまったのですか?」
P「うん……そうかもしれないな。しかし……今言ったことは……」
貴音「……わかっております。あなた様は、嘘のつけぬ人ですから」
P「……わかってるなら、いいが」
貴音「寝室へ参りましょう。今日はもう、お休みになるべきです。さあ、肩を……」
P「ああ……」
479:
P「……なあ、お前や」
貴音「どうなさいました?」
P「久しぶりに、キスをしようか」
貴音「……」
P「……そういう気分なのさ」
貴音「……ふふ。やはり、あなた様は変わっていませんね」
貴音「いつだって、唐突に……私の心を揺さぶるのです」
P「いやかい?」
貴音「まさか」
貴音「……」
P「……ありがとう。とても素敵なキスだった」
貴音「こんなに、潤いを失ってしまった唇でも?」
P「関係あるものか。お前の唇だ」
貴音「……お上手、ですね」
481:
結構な年月経ってるのか
482:
4,50年くらいかな
484:
―――
P「……お前や。お前はどこに……?」
貴音「あなた様、貴音はここにおりますよ」
P「おお、そうか……」
貴音「……貴音のことが、わかるのですか?」
P「うん、わかるよ……当然じゃないか」
貴音「……っ」
P「なんだか、目の前が暗くて、よく見えないが……」
ぎゅっ
P「……お前の手の温もりは、確かに感じている……」
貴音「……」
P「なあ、お前や……うん? 違うな……どうして僕は……君のことをそんな風に……」
貴音「あなた様……」
486:
P「……貴音……」
貴音「! は、はい、私は……貴音は、ここにいます!」
P「貴音……そうだね、君の名前は、貴音だ……」
貴音「ええ、ええ。そうですとも……」
P「……なあ、貴音」
貴音「はい……」
P「……今週は、どんな仕事がいいかな?」
貴音「……っ」
P「歌か、グラビアか……テレビに出演、というのもある」
貴音「っ! あなた様……!」
P「……俺は……絶対に、君を……」
P「貴音を、トップアイドルに……」
貴音「……」
488:
お姫ちんきたー
491:
P「だから……」
貴音「……」
P「最後まで、一緒に……頑張って……いこうな……」
貴音「……ええ、ええ……もちろんです……!」
P「……ああ、でももう、なんだか……眠くなってきてしまった」
貴音「っ!」
P「済まないな……」
貴音「……いいえ、いいのです」
貴音「あなた様のそういうところに、私は心惹かれたのですから……」
P「そうか……」
P「……愛しているよ、貴音……」
貴音「……私も同じ気持ちですよ、あなた様」
おわり
492:
おい?
493:
は?
494:
―――
――

P「……」
美希「……」ウルウル
小鳥「うぐっえぐっ……ずびびっ……」
P「……」
P(どうしよう)
P(なんだかしんみりしてしまったぞ……)
514:
P「……とまあ、貴音と結婚するならこーんな感じ!」
美希「……グスッ」
小鳥「うぇええ……! ひぐっえっぐ……」
P「なん……だけ……ど」
P「……」
美希「はに゛ぃ……」
P「お、おう! どうした美希!」
美希「なんではに゛ぃ、すぐ死んでしまうん……?」
P「ちょ、落ち着け……美希じゃないみたいだぞ」
小鳥「びぇええええ」
P「ごめんなさい、ちょっと静かにしてもらってもいいですか」
小鳥「……ひ、ひどい……」
516:
P「……妄想の話だから、さ。簡単に死んだりしないよ」
美希「うん……わかってるの。でも……」
P「……」
美希「……貴音、羨ましいな」
P「え?」
美希「最後まで、好きな人と一緒にいれるなんて……ミキも、そういうのがいいの」
P(……まあ、死んだのは俺だったんだけど……)
P「……らしくないじゃないか。美希がそういうことを言うなんて」
美希「……」
P「……」
美希「……結婚する、って、すごいことなんだね」
P「……ああ、そうだな」
美希「ミキね、今まで……そういうとこまで、考えたことなかったの」
517:
美希「ミキが考えてた結婚って、ただ、好きな人とずーっと一緒にいられるってことだけ……」
P「でも……大抵の人が、そうだと思うぞ」
美希「そーなの?」
P「……まあ、俺も結婚というものに直面したことないから、わからないけど」
美希「……」
P「……」
美希「あんまり簡単に、結婚、なんて言っちゃダメなのかな?」
P「……そんなことはないさ。美希がしたいこと、言いたいことを……、我慢する必要はない」
P「美希がそう言ってくれるおかげで、幸せな気持ちになる人だっているんだから」
美希「……それって……」
P「……まあ、少なくとも俺もそのひとりさ」
美希「……そっか。えへへ……」
520:
小鳥「……」
P「美希……」
美希「ハニー……」
小鳥「……なんなの……この空気……?」
小鳥(私、なんでここにいるのかしら)
小鳥(……私はどうして、生きているんだろう)
小鳥(どこに向かって飛び立ち……、どこで……羽を休めるんだろう)
小鳥(結婚……結婚って、なあに? わからない……)
小鳥(でも、私が道に迷ったとき……そんなときは、いつだって、これが私を導いてくれた)
小鳥(私の、たったひとつの武器……)
小鳥(……妄想……!)
522:
【音無さんと結婚したら……】
リンゴーン
 リンゴーン……
パーンパーカパーン
 パーンパーンパパーン
春香「じゃあみんな、行くよ?」
みんな「はいっ!」
春香「……せーのっ!」
みんな「小鳥さん! ご結婚、おめでとうございます!!」
小鳥「……みんな……!」
527:
春香「えへへ……小鳥さん、とっても綺麗ですよ」
小鳥「春香ちゃん、ありがとうね……」
あずさ「ふふっ……先を越されちゃいましたね?」
小鳥「あずささん……」
伊織「まさか、小鳥が本当に結婚できるなんてね。ま、お似合いなんじゃない?」
小鳥「もう、伊織ちゃんったら、私のことをなんだと思っていたの?」
千早「素敵です、音無さん。……さすがの私でも、ちょっと憧れてしまいます……」
小鳥「……ふふ。千早ちゃんだって、すぐに良い人が見つかるわよ」
やよい「うっうー! 小鳥さんっ、赤ちゃんができたら、ぜったい、ぜーったい、連れてきてくださいねっ!」
小鳥「え、ええ? 赤ちゃんだなんて、まだ気が早いわよ」
真「いいなあ?。へへっ、次は絶対、ボクが結婚しますからねっ!」
小鳥「ふふっ。そ・の・ま・え・に?……、彼氏さんを見つけないとね?」
530:
雪歩「あの、その……うぅ、わ、私、みんなと違って、なんて言ったらいいかわかりませ?ん!」タタッ
小鳥「ええ!? ゆ、雪歩ちゃーん!?」
律子「おめでとうございます、小鳥さん。あの人のこと、絶対に離しちゃダメですよ!」
小鳥「ふふ、わかっているわよ……」
亜美「んっふっふ?! ピヨちゃん、めっちゃ幸せそうだね!」
小鳥「そりゃそうよ……」
真美「んっふっふー! でもでも、兄ちゃんを選んじゃうなんて、ピヨちゃんちょっともったいないんじゃない??」
小鳥「そんなことないわ……彼はとっても素敵な人よ」
響「ビヨコぉ……! う、うう……自分、涙で目の前が見れないぞ……!」
小鳥「響ちゃん……ありがとう……」
貴音「おめでとうございます……。お二人がいつまでも、末永く幸せでありますよう……」
小鳥「貴音ちゃん……ええ、そうね。いつまでも、ずっと……」
美希「……小鳥……」
小鳥「! み、美希ちゃん……来てくれたのね……」
532:
美希「……ホントはね、今日、来るつもりはなかったの」
小鳥「そ、そう……」
美希「ふたりの幸せそうな姿見たら、きっとミキ……泣いちゃうから」
小鳥「美希ちゃん……」
美希「……でも、やっぱりそんなんじゃダメって思ったんだ」
小鳥「……」
美希「えへへ……おめでとうなの、小鳥」
小鳥「……っ」
美希「あっ、泣いちゃダメだよー!」
小鳥「でも……! わ、私……いえ、私達は……誰よりも、美希ちゃんに祝ってもらいたくて……!」
美希「……そんな顔してたら、もったいないよ? せっかくの結婚式なのに」
小鳥「……」
美希「ほらほら! あっちでハ……ううん、プロデューサーが待ってるの!」
美希「小鳥はミキに勝ったんだから、もっと堂々として欲しいって……思うな」
小鳥「……うん……!」
534:
P「音無さん……」
小鳥「……ふふっ。もう、音無さん、じゃないでしょう?」
P「あ、そ、そうですね……小鳥」
小鳥「はい♪ なんですか、あなた?」
P「その……うまく、言えないんだけど……」
小鳥「……?」
P「綺麗だ、とても……」
小鳥「……あ、ありがとう、ございます……えへへ」
P「君と結婚できることを……俺は、誇りに思うよ」
小鳥「わ、私だって……負けてないんですから……!」
536:
神父「……――さん。あなたは、この女性を……」
神父「健康な時も、病の時も、富める時も貧しい時も、良い時も悪い時も」
神父「愛し合い、敬い、なぐさめ助けて……変わることなく愛することを、誓いますか?」
P「はい、誓います」
神父「……小鳥さん。あなたは、この男性を……」
神父「健康な時も、病の時も、富める時も貧しい時も、良い時も悪い時も」
神父「愛し合い、敬い、なぐさめ助けて……変わることなく愛することを誓いますか?」
小鳥「……ひゃ、ひゃい! ち、誓います」
クスクス……
小鳥「うぅ……」カァァ
神父「……ごほん! えー、それでは……」
537:
神父「……では、ベールを上げてください。誓いのキスを……」
P「……」
小鳥「……」
ドックン ドックン……
小鳥「……っ」
小鳥(やだ……心臓の音が、こんなに……)
小鳥(も、もしかして、みんなにも聞こえてるんじゃ……!?)
小鳥「あわわ……」
P「……小鳥」ボソボソ
小鳥「え……?」
538:
P「……大丈夫。何も心配はいらないよ」
小鳥「あなた……」
P「……幸せに、なろうな。ふたりで……」
小鳥「……っ」ジワ
小鳥「はい……!」
スッ
小鳥(……ついに、ベールが上げられて……)
小鳥(私の顔は、みんなに、そしてあなたに……見られてしまう)
小鳥(……私はいま、どんな顔をしているのかしら)
小鳥(緊張してる顔? 不安な顔?)
小鳥(……いいえ、そうじゃないわ)
小鳥(きっと、いま、私は――)
539:
P「……」
小鳥「……っ」
 ワァ……!
 パチパチパチパチ……!
P「……愛しているよ、小鳥」
小鳥「……えへへ……わ、私もです……!」
小鳥(きっと、いま、私は――)
小鳥(世界で一番、幸せな女の子の顔をしているんだわ……!)
―――
――

小鳥「えへ、えへへ……なーんて! なーんてね!」
小鳥「あんっ、もう、あなたったら……大胆なんだから!」クネクネ
小鳥「……って、あら?」
542:
小鳥「……」
ポツーン
小鳥「誰もいない……」
小鳥「……? 書き置きが……」
『いくら声をかけても反応がないので、お先に失礼します。戸締りをよろしくお願いします Pより』
『小鳥、とっても幸せそうだったの! 今度、何考えてたか教えてね☆ ミキより』
小鳥「……」
小鳥「いま事務所には、私しかいないのね……」
小鳥「……」
小鳥「……逆に考えるんだ」
小鳥「『これでいくらでも激しく妄想し放題さ』と考えるんだ」
小鳥「うふふふふ……♪」
547:
―――
P「……音無さん、大丈夫かな」
美希「? なにが?」
P「いや、あの表情……尋常じゃなかったからさ」
美希「でもでも、とっても幸せそうだったよ?」
P「まあそうだけど……時折涙も浮かべてたんだぞ」
美希「きっとそれくらい、良いことがあったってことなの!」
P「……そうだな! 深く考えないで、気にしないでおこう」
549:
美希「……ねえ、ハニー?」
P「うん? どうした」
美希「ありがとなの。また今日も送ってくれて」
P「……これくらい、お安い御用だよ」
美希「……」
P「美希」
美希「なあに?」
P「……なんか、この二日で……ちょっと、変わったな」
美希「そう? うーん……そう……かも」
P「なんというか、大人っぽくなったよ」
美希「……今まで考えたことないこと、いっぱいいっぱい考えたからかな」
551:
美希「……さっきも、言ったけど……」
美希「ミキね、今までずっと……あんまり、結婚のこと、深く考えてなかったかもしれないの」
P「……」
美希「大好きな人と、ずっとずっと一緒にいられる、ってことだけ」
美希「……でも、それじゃやっぱり、ダメなんだよね」
P「……ダメってことは……」
美希「ううん、ダメなの」
美希「だからね、もっと、もーっと……これからは、たくさん考えるようにする」
美希「……だから、それでね……ハニーにお願いがあるんだ」
P「お願い? なんだ、なんでも言ってごらん」
美希「……うん」
美希「ミキが、ちゃーんとそういうこと考えて、ちゃーんと答えが見つかるまで」
美希「待っててもらっても、いい?」
553:
P「……まず一つな」
美希「え? なになに?」
P「待つって言うけど……そもそも俺は、美希と結婚したい! なんて言ってないぞ」
美希「……」
美希「ええええ!!?」
P「逆にこっちが驚くわ……本当にそのつもりだったのか」
美希「だ、だってだって! ハニーは、ミキのこと、好きなんでしょ!?」
P「いやまあ、そりゃそうだけど……それは、美希だけじゃなくて、みんな――」
美希「あーもう、そーいうのはいいの! そ、それで、いつか結婚したいんじゃないの!?」
P「いやいや、いつそんなこと言ったんだ?」
美希「……」ワナワナ
P「……美希?」
美希「……ガーン、なの……出鼻をくじかれたってカンジ……」
554:
面白くなってまいりました
555:
ほう
556:
美希「うぅ……そ、そんなのってないの……」
P「……」
美希「……16歳になっても、ダメ?」
P「年齢の問題じゃないって」
美希「……そ、っか……」
P「……ただまあ、なんだ……」
美希「え?」
P「いや……昨日言ったことを、へんな意味で捉えたら、そう勘違いされるのも無理ないかもしれないな」
美希「昨日言ったことって……」
『将来、美希と結婚して……それで旦那さんになる人は、幸せだなって』
『まあ……ありていに言ってしまえば、羨ましくもあるよ』
美希「……そーだよ! じゃああれって、どーいう意味なの!」
P「そのまんまの意味だよ」
美希「どーいうことなの!」
557:
P「ただ、羨ましいってだけ。美希みたいな子と結婚できる人はさ」
美希「……それって、違うの?」
P「……まったく違うよ」
美希「……」
P「……」
美希「そっか……そう、なんだね」
P「え?」
美希「ハニーはべつに……ほ、本当は……ミキのこと、トクベツだって……思って……」
P「……」
P「ごめん、美希」
美希「っ! う、ううぅ……! や、やっぱり……!」
P「……」
美希「……グスッ……え、えへへ……それなそーって……はやく言ってくれればいいのに」
P「……」
P「違うんだ……それも、違う。ああもう、なんて言えばいいんだよ……」
559:
美希「なんなのなの……なんなのなの……」
P「……あの、さ」
美希「……」
P「まずな、今ごめん、って言ったのは……うまく言葉が見つからなかったことに対してだ」
美希「え……?」
P「……俺は今まで、確かに美希と結婚したいなんて、言ったことはなかった。そうだな?」
美希「うん……」
P「……だから……」
P「……今、言うよ。俺の本当の気持ちを」
美希「……? そ、それって、どういうこと……?」
562:
P「……なにか勘違いされて、そういう風に思って欲しくもない」
P「だから、言う。今度はちゃんと、はっきりと、わかってもらいたいから」
P「……いつになるかわからない、叶えてやれるかもわからない約束なんて、本当はしたくはない」
P「だけど、言う。いま言わないと、俺だって……苦しいから」
美希「……」
P「美希」
美希「は、はいなの……」
P「……俺は……」
P「美希のことが、好きだよ」
美希「……っ!!」
563:
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
564:
えんだあああああああああ
568:
美希「……」
P「……」
美希「……えへへ、わかってるの」
美希「ハニーが言ってるのは……ミキが思ってるようなことじゃないって」
P「美希が思ってるようなこと、ってなんだ?」
美希「そ、そんなの……決まってるの。ミキだけじゃなくて、みーんな――」
P「ちがうよ」
美希「……」
P「アイドルとしての美希、じゃない」
P「ただの星井美希として、ひとりの女の子として……、美希のことが大好きなんだ」
美希「!!!」
P「……今はまだ、無理だけど……」
P「いつか、そのときが来たら……結婚だって、美希とならしていいって、本当に思ってる」
573:
美希「……」
ペタン
P「!?」
美希「……あは……腰、抜けちゃったの……」
P「お、おい、大丈夫か?」
美希「う、うん……へーき……」
P「……」
美希「……ねえ、ハニー?」
P「どうした?」
美希「ホントにホント?」
P「……ホントだよ」
美希「ウソ、ついてない? 実はドッキリでしたー、とか……春香がよく出てる番組みたいに」
P「こんなこと、冗談じゃ言えないって」
577:
美希「じゃあじゃあ……っ」
美希「ミキのこと、ぎゅってしてくれる? できる?」
P「当たり前だろ」
ぎゅーっ
美希「……っ! く、苦しいの……」
P「あ、す、すまん……」
美希「……ううん、いーの……もっと、強くして?」
P「……」グッ
美希「! ……う、うぅ……!」
ポロポロ……
美希「うぇぇん……!」
581:
美希「ミキねっ、ミキね……っ!」
P「うんうん……」
美希「ずっと、ずーっとね……」
美希「ハニーがあの日、全部やる気なくなっちゃったミキのために……、たくさん、たくさん、言葉をくれたときからね……!」
美希「ずーっと……ずー……っと!」
P「ああ……」
美希「いつか、こうなるといいな、って……! だ、だから……!」
P「……」
美希「……うれしいの……!」
美希「ほんとうに、ほんとうに……グスッ」
美希「うわああああん!!!」
ポロポロ……
586:
P「……美希が嬉しいなら、俺も同じくらい嬉しいよ」
美希「……っ!」
P「……絶対、幸せにしてみせるから」
美希「……」
ゴシゴシ
美希「……ち、ちがうの……そんなの、や、なの!」
P「えっ」
美希「ハニーがミキを幸せにするんじゃなくて……」
美希「……ふたりで、いっしょに幸せになろ?」
P「……ああ、そうだな!」
美希「うんっ! それが、夫婦ってものなの!」
P「それはまだ気が早い」
ペシッ
美希「あうっ」
590:
―――
テクテク
美希「えへへ……」
ギュー
P「い、痛いよ」
美希「ねえ知ってる? これって、コイビトつなぎって言うんだよ」
P「……なんだっけ、美希の夢の中で、俺と律子がしてたっていう?」
美希「むぅ……ミキっていう、コ・イ・ビ・ト! がいながら、他の女の子の話をするのはよくないって思うな」
美希「ハニーったら律子……さんにデレデレしちゃって……あんなの、もう二度とゴメンなの」
P「い、いや、でも夢の話だろ?」
美希「夢でもなの! ハニーが夢に出てくるときは、ミキ以外の子と出演しちゃダメ!」
P「無茶言うなって……そもそも、美希の夢じゃないか」
美希「それでもやーなの!」
P「……」
P(どうやら大人っぽいと感じたのは、さっきの一瞬だけだったみたいだ)
592:
P「まあ、そこもかわいいんだけどな」
美希「え!? な、なに? なんのハナシ?」
P「いや……なんでもないよ」
美希「もー、なんなの!」
P「あはは……」
美希「……ねえ、ハニー?」
P「うん? どうした……って、こんなやり取りも何回目かな」
美希「これから何回でもするよ! ねえハニー! ねえねえハニー!」
P「わかったわかった、ちゃんと聞くから……。それで? なんかあったのか?」
美希「んーっと……ちょっと思ったんだけど」
P「うんうん」
美希「正妻戦争は、ミキの大勝利、だよね?」
P「……そうだな」
600:
美希「思えばこれまで、いろんな戦いがあったの……」
P「そうだっけ……」
美希「そーだよ! ハニーは楽しかっただけかもしれないけど、ミキ的には、やな思いもいっぱいしたんだから!」
P「じゃ、じゃあ、途中でやめてくれって言えばよかっただろ?」
P「そもそも大半は、美希が俺に言わせたんじゃないか」
美希「むむ……ハニー、細かいことを気にすると、頭ツルツルになっちゃうよ?」
P「髪のことは言うな!!」
美希「!? ご、ごめんなさいなの……」
P「あ、いや……俺の方こそ、急に大声出してすまん」
美希「……ミキ、ハニーはべつにまだ大丈夫だって思うな」
P「そういうのを気にしちゃうお年頃なんだよ……」
607:
美希「……でもでも」
P「ん?」
美希「もしツルツルになっても、ミキはハニーのこと、大好きなままだよ?」
P「……うん、まあ……ありがとう」
美希「あっ、信じてないでしょ?」
P「そういうわけじゃないけど……なんか複雑でな」
美希「だってミキはこれから、一生、一生、ハニーといっしょにいるんだからね!」
美希「髪の毛のことなんて、いちいち気にしてらんないの」
P「……」
美希「……だからね、ハニーもミキと、同じ気持ちになって欲しいって思うな」
P「……どういうことだ?」
美希「んーっとね……つまり、その……」
616:
美希「もしも、ツルツルのおじいちゃんになっちゃっても……ミキはハニーのこと、大好き」
美希「だから……もしも、ミキがヨボヨボのおばあちゃんになっちゃっても……」
美希「ハニーには、ミキのこと好きでいて欲しいの」
P「……そんなの、当たり前じゃないか」
美希「!」
P「どんなときだって、いっしょの気持ちだよ。美希が俺のことを見捨てない限りな」
美希「んっふっふー! それこそ、ありえないってカンジ!」
美希「なんといってもミキは、ハニーの正妻になる女の子なんだもん!」
P「ははは、そうだな! そうだよ、美希は俺の妻になる女の子だ!」
美希「……ねえねえハニー!」
P「今度はどうしたんだ?」
美希「ずっと、ずーっと、いっしょにいようね!」
P「……ああ、約束だ!」
おわり
620:
一旦終わり
でも少し休憩したあと、ちょっとだけ後日談書く
622:
乙、待ってる
623:

イイハナシだった
628:
―――
――

美希「ふんふんふ?ん♪ さーて、お次はー……」
美希「……あれ?」
美希「……」スッ
美希「これ、ハニーが使ってた手帳なの」
美希「……」
天使美希『ダメだよ! 勝手に見たら怒られちゃう!』
悪魔美希『でもでも、気にならない?』
天使美希『たしかにそーなの』
悪魔美希『あは♪ さっすがミキなの、ハナシがわかるってカンジ!』
美希「……」
美希「えーい、見ちゃえ!」
632:
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
20XX年○月△日
先週は色々とあったが……俺と美希は、無事に付き合うことになった。
まあ、これから先のことを考えると、良いことばかり待っているとも言えないだろうけど……
でも今は、この幸せをただ、精一杯にかみ締めているとしよう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
美希「……日記?」
美希「ハニー、こんなのつけてたんだ……」
美希「続きは……」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
同日
しかしながら、正妻戦争……。
あれは確かに、あのとき美希が言っていたように、俺にとっては楽しいものであった。
765プロのみんなはみんなかわいいからな! 妄想も捗るってもんだ!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
美希「……」
美希「これ以上見るのは、キケンなヨカンがするの……」
634:
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ついては、この手帳に、美希には語れなかった部分を少しだけ書いておくことにする。
つまり……
中学生組のことだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
美希「!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
やよい、亜美、真美、伊織……。
ふふ。誰にも語らずに、ただ紙に書くだけなら、誰も咎めはしまい。
これは合法だ! あーっはっは!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
美希「ハニー……」
636:
なんと
637:
なんと
643:
美希「……」ペラ
――――――――――――――
INDEX
【やよいと結婚したら……】 1‐8
【亜美と結婚したら……】 9‐15
【真美と結婚したら……】 16‐35
【伊織と結婚したら……】 36‐78
――――――――――――――
美希「?」
美希「どういう意味だろ……ページ番号?」
美希「なんか、真美とでこちゃんのページだけすっごく多い気がするの」
648:
美希「……」
美希「これは、試練なの」
美希「ミキの、ハニーへの愛を確認するための試練……」
美希「だから、ついついミキがこの先を見ちゃうのも、仕方ないってカンジ!」
美希「だからね、ミキは悪い子じゃないよ!」
美希「……」
ドキドキ
美希「う、うん……それじゃあまず、やよいから……」
651:
【やよいと結婚したら……】
ガララ
P「ただいま?」
やよい「あっ、プロデューサー! おかえりなさーい!」トタタ
P「おお、やよい! 帰ってたのか」
やよい「はいっ! えへへ、久しぶりに家族のみんなと会えて、とっても嬉しかったですっ!」
P「そうかそうか……」
やよい「……あの、でもー……」
P「ん? どうし――
ぎゅっ
P「……」
やよい「……プロデューサーと、くっつけなかったのは……ちょっと、さみしかったかなーって」
654:
P「……」
ナデナデ
やよい「!」
P「甘えん坊だな」
やよい「……そーなんです、私、あまえんぼうさんなんです」
P「まあ、実家じゃお姉さんにならなきゃだからな……我慢、してたのか?」
やよい「ガマン、ってわけじゃないですけどー……」
P「……俺はさ」
やよい「?」
P「やよいが帰ってる間、我慢してたぞ」
やよい「……そ、そーなんですか?」
P「ああ。こんな風に、帰ってきたら毎日くっついてくるのがいないと、調子も狂うってもんさ」
やよい「……えへへ……」
659:
やよい「じゃあ今日は……いっぱいいっぱい、くっつきましょうね……」
P「……っ」
やよい「……プロデューサー? あの……」
P「……どうした?」
やよい「な、なにか言ってください……くっつくの、やですかー?」
P「……そんなわけないだろ」
ガバッ
やよい「っ!」
P「我慢してた、ってのはさ……何も、くっつくことだけじゃないんだ」
やよい「え……?」
P「……今までさ、やよいにも何回か怒られたから……アレ、我慢してたんだぞ」
やよい「あ、あれ、って……?」
やよい「!」
P「いま、やよいが想像したモノだよ……正直言って、もう限界なんだ」
663:
やよい「はわわわ……そ、そんな……」
やよい「わ、私がいないんだから! それは、ガマンしなくてもー……」
P「そんなことして、やよいに不誠実でいたくないからさ」
やよい「……」
P「やよいは、いやなんだろ? 俺が、ひとりで――」
やよい「そ、それ以上言うのは、メッ! ですっ!」
P「……だからさ、いいか?」
やよい「で、でも……っ」
やよい「……ここ、廊下……それに、お料理もまだ途中で……」
P「我慢できないんだよ」
やよい「……どーしてもですか……?」
P「ああ」
やよい「……」
やよい「そ、それなら……しかたないかなーって……」カァァ
665:
―――
――

パタン
美希「……これ以上は、ホントのホントにアウトなの」
美希「……でも……」
ソー……
ペラ
美希「……」
美希「!!!!」
美希「え? え、え? ……え!!?」
美希「お、お兄ちゃんって呼ばせて……? どういうことなの……!?」
美希「……こ、これは……」
美希「!!!!!」
667:
美希「……」ゲッソリ
美希「……思っていた以上のダメージってカンジ……」
美希「まさか、やよいが……自分から……」
美希「……」
美希「毒食わばお皿ごといただきますなの」
美希「つ、次は……亜美かな……」
671:
【亜美と結婚したら……】
亜美「兄ちゃん兄ちゃん! 今度の日曜日、暇っしょ??」
P「ああ、そうだけど……なんだ、どこか行きたいのか?」
亜美「うんっ! あのね、遊園地行こうよ、遊園地! 夢の国!」
P「えー……あそこは混むし、行列も長いからなあ……」
亜美「ぶーぶー! そこがまたいいんじゃん! これぞ夢の国のDAIGO味ってカンジでさ!」
P「……醍醐味?」
亜美「そーいうカンジ。今ハロウィンだからさ、キーホルダーもらえるチャンスなんだよ?」
P「そ、そんな理由で……」
亜美「……だめ?」ウルウル
P「うぐっ……お前な、いつもそーやれば言うこと聞くと思って」
亜美「……」ジワァ
P「だーもう、わかった、わかったよ!」
677:
―――
亜美「んっふっふ?♪」
P「お目当てのものは貰えたか?」
亜美「うん! もーばっちしだよ?!」
P「しかし、なんだな……似合ってるな、その耳」
亜美「そっくりっしょ?? これで亜美も、ミニ――
P「バカヤロー!! それ以上言うな!!!」
亜美「ご、ごめんね兄ちゃん……今のはさすがにまずかったよ……」
P「いや、まあ……わかればいいんだ……」
679:
亜美「兄ちゃん兄ちゃん、次、あれ乗ろ!」
亜美「ねえねえ兄ちゃん、亜美おなかすいちゃった」
亜美「わあー! ねえねえ! あそこ! 着ぐるみ! 写真撮ろう写真!」
亜美「やった?♪ 次はパレード見よ、パレード! そんでそんで――
P「ちょっと待って」
亜美「どったの??」
P「お前本当に二十代か……?」
亜美「そだよ? ここにいる亜美は、成人した、ちゃんとしたオトナの亜美なんだから」
P「うん、まあ……そうだよな」
685:
P「まったく、背ばっかり大きくなって……中身はあの頃のままだな」
亜美「でもでも、あの頃に、兄ちゃんが彼氏さんになってくれたんじゃん」
P「……」
亜美「てことは、兄ちゃんは今の亜美もスキスキってことっしょ??」
P「そうだけど……」
亜美「んっふっふー! それじゃあ、なんも問題ないっぽいね!」
P「と、とにかく休憩させてくれよ。俺はもう若くないんだから」
亜美「えー。しっかたないなぁ?兄ちゃんは……じゃあ、三分だけね」
P「悪魔め……」
亜美「天使だよ! んっふっふ?……いつも兄ちゃんが言ってくれるじゃん」
689:
『本日の営業時間は、間も無く終了となります――』
P「……さ、そろそろ帰ろう」
亜美「……」
P「おいおい、そんな顔するなよ……また今度、来れるだろ?」
亜美「そーだけどー……」
P「……」
亜美「……なーんか、さみしいね」
P「まあ、そうだな……お土産、見にいこうか」
亜美「うん……あれ買ってね、クランキー……」
P「わかったわかった……」
692:
テクテク
P「……」
亜美「……ねえねえ兄ちゃん」
P「ん?」
亜美「亜美、つかれちゃった。おんぶー」
P「えっ……本気?」
亜美「本気と書いてマジだよっ!」
P「俺も割と足にきてるんだけど……開園から閉園までって、相当だぞ……」
亜美「……うん、そだよね」
P「……」
亜美「ごめんね、兄ちゃん……やっぱいいや、おんぶ。ちゃんと歩けるから……」
P「……ったく、もう……ほら」
亜美「え?」
P「おんぶ。してやるからさ」
亜美「……」
696:
亜美「……んしょ、っと」
P「おおっと……亜美、でっかくなったなあ」
亜美「んっふっふー。ナイスバデー?」
P「背は高くなったけど、まあ……その、なんだ。その他はあれだな……」
亜美「」ガブッ
P「あ痛!?」
亜美「うあうあー! やっぱ兄ちゃんも、おっぱい大きいほうが好きなんだ?!」
P「んなこと言ってないだろ……」
700:
テクテク ヨロヨロ
亜美「……ねえ、兄ちゃん?」
P「ん?」
亜美「ありがとね。今日は、亜美のわがままに付き合ってくれて……」
P「……いいんだよ。ふだん、忙しくてあんまり構ってやれないからな」
亜美「……楽しかった?」
P「もちろん。亜美といっしょだったんだ、楽しくないわけないだろ」
亜美「んっふっふ?……そっか?……亜美もだよ、兄ちゃん……」
P「……」
亜美「……あのね。ついでにわがまま、もう一個言っちゃうとね……」
P「うんうん……」
亜美「本当は……兄ちゃんに、もっとおうちにいて欲しいんだ……」
703:
P「……それは……」
亜美「でもでも、亜美もわかってるよ。兄ちゃんのお仕事は、そういうもんなんだって」
P「……」
亜美「だから、このわがままは……聞いてくれなくても、いいっぽいよ」
P「亜美……」
亜美「……あのさ、兄ちゃん」
P「ん?」
亜美「ひとりでおうちにいるの、さみしいから……ね? そろそろ、さ」
P「……ああ、そうだな。もうそろそろ……頃合かもな」
亜美「……」
P「……亜美」
亜美「なあに?」
P「……うん、その、なんだ……頑張ろう?」
亜美「……ぷぷっ! な、なに言ってんの?!?」
P「いやいや、でも、これしか言いようがないだろ!?」
705:
―――
亜美「……兄ちゃん……」
P「亜美……本当にいいのか?」
亜美「うんっ……今日は、あれ、無くていい」
P「……それじゃあ――
―――
――

パタン
美希「さすがにこれ以上はアウトなの」
美希「……」
美希「ハニー……なんで、すぐそっちの方向に行っちゃうの……」
710:
美希「……」
美希「……でも……」
美希「亜美、ちょっとかわいかったかも」
美希「……」
キュン
美希「……」ブンブン
美希「つ、次は……真美かな!」
美希「亜美と双子ちゃんだもんね。今のと同じくらいの、やんわりなレベルに決まってるの!」
713:
【真美と結婚したら……】
くちゅ、くちゅ……
真美「に、兄ちゃんっ……そ、そんなに、されたら……――っ!」
P「おいおい、もうか? はは、真美は感じやす
―――
――

バッタン!!!
美希「なんなのなの! なんなのなの!!!」
719:
美希「……フー……フー……」
美希「一瞬、亜美の続きを読んじゃったかと思ったの……!」
美希「し、しかもこれ……えーっと、さっきのページによると……」
美希「……」
ピコピコ
美希「19ページもある……」
美希「デートとか、そういうの抜きにして、亜美よりずっとずっと量が多いの……」
美希「……」
美希「キョーミないよ? ホントだよ?」
美希「でも、一応……確認はしとかないといけないって思うな」
723:
美希「……」
美希「!!」
美希「……」ゴクリ
ペラ……
美希「!!!!!」
美希「まさか挿絵が付いてるなんて……」
美希「……」
美希「あ、真美の……もみあげが……」
美希「」
美希「ウソ、ウソ……?」
美希「か、髪の毛って……そういう風に使うものじゃ……ないの……!」
728:
美希「……」
パタン
美希「……亜美と真美。同じ双子ちゃんなのに、なんでこんなに違うの……」
美希「どっちがいいかって言うと……それはわかんないけど」
美希「……」
美希「……あとは、でこちゃん……」
美希「なんか、読むのがこわいな……」
736:
あー出掛けなくては最後まで見られなくて残念。
741:
>>736
素敵やん
744:
【伊織と結婚したら……】
伊織「もうあったまきた!!!」
P「それはこっちのセリフだ!!!」
伊織「はぁ?……もう、ダメね、私たち」
P「……ああ、そうだな! こんなときばっかり同じ気持ちで残念だよ!」
伊織「離婚よ、り・こ・ん!」
P「はは、そいつはいい。俺だってなあ――
―――
――

パタン……
美希「……」
美希「え? え?」
美希「ビックリして思わず閉じちゃったの」
美希「ちょ、ちょちょ……え? ホントのホントに……?」
746:
美希「そんなのってないの……」
美希「だ、だって、今までのカンジだと……、そういうのって、ダメだって思うな」
美希「……」
美希「……もう一回、もう一回だけ……」
美希「ミキはハニーを信じてるの……」
750:
【伊織と結婚したら……】
伊織「もうあったまきた!!!」
P「それはこっちのセリフだ!!!」
伊織「はぁ?……もう、ダメね、私たち」
P「……ああ、そうだな! こんなときばっかり同じ気持ちで残念だよ!」
伊織「離婚よ、り・こ・ん!」
P「はは、そいつはいい。俺だってなあ、もういい加減、伊織のぬいぐるみ扱いはうんざりなんだよ!」
伊織「なによ! 最初の方は嬉しがってたくせに!」
P「そうしないと、お前が泣いちゃっただろうが!!」
伊織「っ! わ、私のせいだって言うの……!?」
P「そうだよっ! 伊織がさみしくて泣くから、結婚してから毎日毎日うさちゃんの着ぐるみを着て……」
伊織「え、ちょっと……ほ、ホントに? ホントにいやだったの……?」
P「あ、いや……俺も、べつに、いやだったってわけじゃないけど……うん……」
755:
P「……とにかく! 今度という今度は、お前の言うことは聞けん!!」
伊織「……ふんっ。それくらいのことが出来ないなら、私だってあんたなんかいらないわよ!」
P「なんだと!?」
伊織「なによ!!」
P「常識で考えてみろ! なんだよ、これ!」
伊織「あら、このかわいさがわからないなんて、やっぱりあんたは凡人なのね」
P「ふざけんな! 男のバニースーツなんて誰が得するんだ!!」
伊織「私に決まってるじゃない!!」
P「それじゃあ適当に使用人の誰かにでも着せてればいいだろ!!」
伊織「っ! な、なんで、そんなこと言うの……!?」
P「……」
伊織「わ、私は……あ、あんたに似合うと思って……」
伊織「……あ、あんた以外の男に、興味ないの……知ってるでしょ……?」
P「……今のはさすがに言い過ぎたな。すまない」
767:
伊織「うぅ……グスッ……」
P「……ったく。お前はいつもそうだよな!」
伊織「な、なによ……!」
P「泣けば言うこと聞くと思ってやがる。そのウソ泣きに、何度だまされたことだか」
伊織「ウソ泣きなんかじゃないわよ!!」
P「じゃあ毎回毎回、本気で泣いていたっていうのか!!?」
伊織「そうに決まってるじゃない! あんたにウソをつくなんて、私のプライドが許さないわ!!」
P「……え、じゃあ、あのときも?」
伊織「あのときって?」
P「あのさ、うさちゃんの手が片方取れちゃって、急いで縫いに来なさいって泣きながら電話してきたとき……」
伊織「……なによ、悪いわけ!?」
P「悪いわけあるか! そんなことで本気で泣くとは普通思わないだろ!!」
伊織「うさちゃんはトクベツなのよ!! 知ってるでしょう!?」
P「ああ知ってるよ! お前のことならなんでも知ってるさ!! おしりのほくろとかもな!!」
伊織「その存在は私すら知らなかったわよ!!!」
771:
伊織「え、ちょっと……ほんとにほくろ、あるの?」
P「ああ」
伊織「……大きい?」
P「いや、普通……」
伊織「やだ、もう……へんじゃないかしら」
P「そんなの、誰も見ないって……」
伊織「あんたが見るじゃない!!!」
P「そんなものがあったってお前の体の美しさは損なわれないだろ!!?」
伊織「私は完璧でいたいのよ! あんたの前では!!」
P「完璧じゃなくたって良い、そのままの伊織で良いって何度言わせるんだ!!!」
伊織「このわからずや!!」
P「それはこっちのセリフだ!!!」
776:
パラパラパラ……
伊織「……ごめんね」
P「いや、俺の方こそ……」
伊織「離婚、だなんてウソよ……言ってみただけ。私、あんたがいないと、もうダメなんだから」
P「わかってたさ。それに、俺だってそうだ……なんだかんだ言って、俺、伊織のわがままを聞くのが好きなんだ」
伊織「……ねえ……」
P「ん?」
伊織「……すき……」
P「……ああ、俺もだよ」
―――
――

パタン
美希「あ、もういいの……うん、ごちそうさま」
美希「飛ばし読みでちょーどいいレベルだったの。ミキのさっきの気持ちを返して欲しいって思うな」
783:
美希「……」
美希「ケンカするほど、仲がいいってことかな?」
美希「だとしたら……ちょっと、羨ましいかも」
美希「ミキたちは、全然ケンカとかしないから……」
美希「……」
美希「落ち着いて、ミキ」
美希「よく考えたら、これはゼンゼン、参考にならないって思うな」
美希「……うん、そうだよね!」
美希「ミキたちには、ミキたちのやり方があるもん! でこちゃんのことはすっぱり忘れるの」
787:
美希「……えーっと……これで全部、かな?」
パラパラ
美希「いま思えば、正妻戦争だなんて……なんかちょっと、恥ずかしいな」
美希「でもでも、あの頃のミキは……もう、なにがなんでもってカンジだったもんね」
美希「そのおかげで、今の……」
パラパラ……
美希「……あれ?」
美希「最後……このページ、って……」
【美希と結婚したら……】
美希「……!」
788:
キター!!!
790:
!!
792:
美希「……」
美希「ハニー……」
ペラ……
美希「……」
美希「……うん、そう、そうだったよね……」
美希「ミキたちは……」
795:
ガチャ
P「おーい、美希……って、ここにいたのか」
美希「あ、ハニー! おかえりなさいなの」
P「ただいま。何を読んで……」
P「」
美希「……えへ。見ちゃった」
P「すいませんでした」
ズサッ
美希「なんていう綺麗な土下座なの……」
P「ほ、ほんと……取っておこうと思って取っておいたわけじゃなくて……」
美希「あ、べ、べつに、怒ってるわけじゃないよ?」
P「いや、でも……」
美希「……そ・れ・よ・り?。この、最後のページ! これってどーいうこと?」
P「う……そ、そのままの意味だよ」
797:
美希「……これって、さ」
P「……うん。そこからは、ただの日記……というか、メモかな」
美希「……」
P「毎年、この日に何があったか覚えておけるように……」
美希「……そっか……」
ペラペラ
美希「えへへ、そうだったよね。あの年は、こんなことがあったの」
P「……美希」
美希「なあに?」
P「なんというか、へんな感じになってしまったけど……ほら」
美希「! ……ぺ、ペンダント?」
P「ああ……美希に似合うと思って」
798:
P「……美希。今日がなんの日だか、覚えてるか?」
美希「……うんっ! 忘れるわけないの!」
美希「今日は、ふたりの、大切な……」
美希「10回目の……」
美希「結婚記念日なの!」
おわり
803:
約20時間か…
いやほんとに長い間お疲れ様でした
とても楽しかった
806:
今度こそおわりです、読んでくれた方ありがとう
正妻はミキミキだよ 間違いない
808:

やっぱ美希が正妻っすな
809:
よかったよかった
乙乙
81

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