モバP「アイドル三者面談だ!」菜々「え゛っ」back

モバP「アイドル三者面談だ!」菜々「え゛っ」


続き・詳細・画像をみる

1:
P「ふいー、今日も仕事がひと段落したぞ?」
菜々「いやー、今日も大変でしたね?」
P「アイドルも増えたしな。中々スケジュール管理も大変だなぁ」
雅「ねぇねぇ……ちょっといーい?」
P「お?雅、どうしたそんな申し訳なさそうに。珍しいな」
雅「モバPにちょっとお願いがあってぇー……」
菜々「お願い?」
P「俺にできることなら……」
雅「ほんとぉ!?実はね、みやびのママが、ど???しても事務所を見学したいんだって!」
菜々「あー」
P「そういえば、ずっと言ってたなぁ」
雅「ごめんねぇ。駄目だって何度も言ったんだけど、一回だけでいいからって聞かなくて……だめ?」
P「いやいや、全然いいぞ。……いや、そもそも」
雅「そもそも?」
P「よく考えたら俺全然親御さんと話してない……そういうのはちひろさんにまかせっきりだった!」
菜々「あーそういえばそうでしたっけ」
雅「そうなのー?」
P「よし!アイドル三者面談だ!!皆の親御さんとアイドルを交えて一度話をしよう!!」
菜々「え゛っ」
雅「わーい!」
安部菜々(永遠の17歳)
月宮雅(18)
2:
―――――― 後日。
ピンポーン
P「おろ?この時間ってことは……」チラ
ちひろ「ああ、アイドル三者面談でしたっけ?開錠しておきますね。事務所まで入ってもらいましょう」
ガチャン
ちひろ「開いていますので、どうぞー」
ハーイ!
P「やけに元気ですね?」
ちひろ「ですねー、あ、雅ちゃん呼んできます」
P「ああ、お願いします」
ガチャ
女性「こんにちはー!わー、ここが事務所?すごいねー!綺麗、綺麗ー!!」ピョンピョン
P「あれ、雅の……お姉さん?」
女性「へ?」
P「ははは、いやまぁ全員来ても構わないとは言いましたけど、まさか姉妹まで連れてくるなんて。ところでお母さんは?」
女性「えーと……うん?」
雅「あ、ママー!」
月宮ママ(女性)「みやびぃ??!!会いたかったよぉ??!!」
タタタッ ギュー!!
P「マジで!!!!????」
ちひろ「ああ、初対面でしたっけ?」
3:
月宮ママ「ふふ、それにしてもモバPさんたら口が上手いんだからー」
雅「えー!?モバPママの事口説いたのー!?」プンスカ
P「いや誤解だ!あとどっちかというと誤解してたの俺だ!」
ちひろ「パっと見姉妹ですよねぇ」
P「少なくとも親子には見えません
雅・月宮ママ「「よく言われるー♪」」
P「(息ぴったり……)」
ちひろ「流石親子……」
5:
月宮ママ「それにしてもここが事務所なのね……はーなんか芸能界ってカンジ♪」クルクル
P「そうですか?割と平凡な事務所だとは思いますが」
雅「あはは……ママからすれば夢みたいな場所なんだと思うよぉ」
P「あー、そういえば」
月宮ママ「……うん、私も昔はアイドルになりたかったの」
P「何故ならなかったのか……少し聞いても大丈夫ですか」
月宮ママ「もちろん。私の時はね、今よりもっと古臭い時代でね……。
親がどうしても許してくれなかったの。ちゃんと嫁に行って子供を生め、って」
ちひろ「ご家庭によって色々と状況が変わりますもんね」
月宮ママ「だからこの子にはそんな思いはさせたくなかったの。
おしゃれだってなんだって、好きなようにさせてあげたし、古臭い縛りは全部とった、でも……」
P「でも?」
月宮ママ「私がアイドルになりたかった夢だけは捨てきれなくて……。
この子を無理矢理アイドルにさせちゃったのは……ちょっとだけ、後悔かな」
雅「そんなこと……」
ダァンッ!!
P「んなことありませんよッ!!!」
雅「えっ」
ちひろ「ちひっ」
月宮ママ「わ、びっくり」
6:
P「彼女にはアイドルの才能があります!貴方の推薦がなければこの場所にいなかったかもしれなかった!
それは我が事務所の、いいえ!芸能界全ての損失だ!!」
P「確かに貴方は自分の想いを娘に押し付けたかもしれない!!
だが娘さんは、雅は、自分の嫌がることをするような子でしたかッ!??」
月宮ママ「……あっ」
雅「そうだよ。ママ。ママはずっと雅のこと見てくれたよね。なんでも好きなようにさせてくれたよね。
みやびが嫌だ、って言ったら……ママは絶対、アイドルになれなんて言わなくなったと思うよ」
月宮ママ「……そっか、そうだったよね」
雅「ありがとう、ママ、みやびを導いてくれて……みやび、アイドルになれて、本当によかった……」
ギュッ
月宮ママ「みやびぃ?……!!」
ギューーー!!
雅「ママ、いたい……ふふっ」
P「はっ、つい熱くなってしまった」
ちひろ「いいえ、素晴らしかったですよ」ニコリ
7:
―――――――
月宮ママ「じゃあ私は、ちょっと雅とショッピングしてから帰りますね」
雅「ミーティングの時間には戻るからねぇ?!」
P「ああ別に、ミーティングなら明日でもいいぞ。ママとゆっくり楽しんでくれ」
雅「ありがとぉー!!だからモバPだいすきー!!」
P「ははは、俺も好きだぞ?」
月宮ママ「本当?」
P「え?」
月宮ママ「今の言葉に二言はない?」
P「えっ?えっ?」
月宮ママ「信じていいよね?」
P「ちょっと、何を言ってるのか……」
雅「ママ!もーいいからぁ!」
月宮ママ「ふふ、ごめんごめ?ん」 タッタッタ
ママ・雅「「じゃ?ねぇ?」」
ガチャ バタン
P「何か最後怖かったんスけど……?」
ちひろ「……これがまだまだ続くのかぁ」チヒィ
P「えっ?えっ?」
20:
―――――――――
P「………」
文香「…………」
ちひろ「……………」
P「来ないんだけど」
文香「……すみません」
P「ああいや、文香が悪いって言ってるわけじゃなくてね……?」
文香「おそらく道に迷っているか……途中で本を買ってるんだと思います」
P「その二択!?」
文香「母はあまりにも本が好きすぎて……」
P「まぁ文香の母親だし大体予想はついてたよ」
文香「探しに行ってきましょうか?」
P「そうだな。不安だから俺もついていくわ」
文香「そうしていただけると助かります」
ちひろ「一人だとまた古本屋めぐりして帰ってきそうですもんね」
21:
鷺沢文香(19)
22:
―――――――
P「やっぱ東京って迷う?」
文香「……はじめてきたときは、これが俗に言う『ダンジョン』なのだな、と」
P「そんなレベルかぁ……」
文香「長野出身の私をあざわらうかのような入り組んだ地形……素早い間隔で来る電車は、私にとっての大きな衝撃でした」
P「最初すっげー驚いてたもんなぁ」
文香「しかし、ジュンク堂書店は私を裏切りませんでした……!!」クワッ
P「ああ池袋本店……」
文香「そういえば紀伊国屋書店もステキで……あ、もちろんBookOffも好きなんですが」
P「お前本当本関連になると饒舌になるよな」
文香「あ!あんなところにまだ見ぬ古本屋が……す、少しだけ寄って行っても構いませんね……!?」
P「なんで確定!?いやまぁいいけどさ……」
文香「……わーい」ダッ
P「早い!!」
23:
―――
ウィーン
文香「これはキープ……こっちもキープ……」
P「(あれ俺が持って帰るのかな)」
文香「これもキープ……あ、この背表紙はもしや」
パッ
女性「あ」
P「(うわ……綺麗な女性が)」
P「(どことなく文香と雰囲気が似ている……?あ、とりあえず)」
P「すみませんアイドルに興味は」
文香「お母さん……」
P「……あなたの娘さんがアイドルですので」
バサッ
鷺沢母「……あ、ああすみません。驚いてしまって」
P「(文香、母似か)」
24:
文香「お母さん……あの、今日面談があると言っておいたはずなんですが……」
鷺沢母「……うん、だから9時の新幹線でこっちに来たの。そうしたら魅力的な本がたくさんあって」
P「5時間くらい物色してたと」
鷺沢母「ええ……」
P「(マイペースだなぁ)」
文香「あ、書店の迷惑になりますし、ここを出て事務所でお話しましょう」
――――――
ドサァァッ!!
P「(重かった!!!)」
鷺沢母「そんな雑に扱っては本が……」
文香「そうですよ」プンスカ
P「ええ?……」
ちひろ「あ、鷺沢さん。ご無沙汰してます」
鷺沢母「ああ、お久しぶりです」
P「二人は顔見知りでしたっけ」
ちひろ「ていうか私は一応全員と一回は会ってますしね」
P「あーそういえばそうでしたね」
文香「という事はジュンク堂も……」
鷺沢母「もちろん」キリッ
文香「……」グッ
鷺沢母「……」グッ
P「(無言でわかりあってる……)」
ちひろ「(やっぱ親子ってそういうの可能なんですね)」
25:
鷺沢母「あ、そういえば……」
P「はい」
鷺沢母「うちの文香は……ちゃんとやっていますでしょうか。本以外の事となるとからきしで……皆さんにご迷惑をかけていなければ良いのですが」
P「迷惑だなんてとんでもない!!文香はうちの看板ですよ!看板!」
鷺沢母「板切れでしょうか……」
P「そうでなく!」
文香「お母さん、変な返しいらないから……」
鷺沢母「ごめんなさい」テヘ
P「(おちゃめだな)」
鷺沢母「ですが……人見知りですし、この通り見た目に気を使わない子で……」
グイー
文香「やめてぇ……前髪は上げないで……」
P「見た目に気を使わないのは確かにありますが……それでもなおこの有り余る可愛さがあるので大丈夫です!」
グイー
文香「お願いしますPさん……お願いですから前髪を上げないでください……」
鷺沢母「………確かにどちらかと言えば可愛いほうですが」
P「どちらかと言うとに謝ってください。文香は可愛いです。滅茶苦茶可愛いです」
文香「…………………」カァァァ
鷺沢母「その頬は熟したリンゴのように真っ赤に……」
文香「いちいち情緒的に言わないでいいから……」
ちひろ「(お母さんは文香ちゃんより若干お茶目ですね)」
27:
P「というか文香は下手にお洒落をしない方が、いざって時の衣装が滅茶苦茶栄えて最高に可愛いんですよ」
鷺沢母「……………」
文香「…………」カァァ
ちひろ「(この人何言ってんだろ)」
鷺沢母「………超わかります。素晴らしい手腕ですね」
P「でしょ」
グッ……!
ちひろ「(ええ?……)」
鷺沢母「昔から可愛い服を着せようとするんですがそのたびに嫌がりまして……」
文香「ああいうのは似合わないから……」
P「似合う」
文香「え、いや、あの……」
P「似合う」
鷺沢母「似合う」
文香「あう……」
ちひろ「(何やってんだこいつら)」
30:
鷺沢母「こんなに話がわかるプロデューサーとは思っていませんでした……これで安心して文香を任せられます……」ニコ
文香「やはりお母さんを呼ぶべきではありませんでした……」
P「まぁそういうな文香、素晴らしいお母さんじゃないか」
鷺沢母「素晴らしいプロデューサーにみてもらえて幸せね、文香」
文香「……そこに関しては否定しませんが」
ちひろ「(しねぇのかよ)」
鷺沢母「あ、最後に」
P「はい?」
鷺沢母「プロデューサーさんの……おすすめの本は?」
P「え?そうですね……別におすすめできるほど本は読みませんが、宮部みゆきさんの『理由』は面白かったですね」
鷺沢母「……」
P「あ、普通すぎました?」
鷺沢母「いえ、納得しました」
P「?」
文香「……」カァ
ちひろ「………?」
32:
――――ピンポーン
ちひろ「……プロデューサーさん、小学生くらいの女の子が来てますが」
P「え?誰かの姉妹かな……とりあえず開けてあげてください」
ちひろ「はーい」
ガチャン
少女「すみません、ここがCGプロで間違いないんですよね?」
P「……(ちっさい菜々さんだ)」
ちひろ「妹さんでしょうか……」
P「ああ、そうか、お母さんに連れられて……ごめんね、もうちょっと待っててもらえると」
少女「え?ああ。はい……」
P「しかし菜々さんの妹にしては落ち着いてますよね」
ちひろ「姉妹で性格が違うんでしょうか」
ガチャ
菜々「ゲェッ!?お母さん!?」
P「え」
ちひろ「え」
33:
P「ちひろさん会ったことないんですか?」
ちひろ「菜々さんに関しては『いいですから!こっちでなんとかしますから!マジで!』って言ってたのでいいかなと」
P「まぁ(17歳だし)親御さんに確認取る歳じゃないですしねぇ」
ウサミン母「ママミンも心配してたんですけど……うまくやってるようで何よりです」
菜々「おかーさん!その一人称いらない!!」
ウサミン母「あらごめんごめん」フフ
P「(どういう事だ……小学生くらいに見えるのに雰囲気は大人だ)」
ちひろ「包容力のある幼女ですね……」
ウサミン母「幼女って……」
P「ああすみません、あまりに幼女なもので」
菜々「はぁー……確かにお母さんは若く見られますが、実際は」
ウサミン母「27歳!!!!!!」
菜々「えっ」
P「えっ」
ウサミン母「27歳!!!!!!!!!」
菜々「それだと年齢に無理が」
ウサミン母「私は永遠に27歳だから……わかった?菜々……」ゴゴゴ
菜々「アッハイ」
P「(こわい)」
ちひろ「(なんでしょうこの逆らえないオーラ)」
35:
ウサミン母「それにしても、誠実そうなプロデューサーさんね」
P「あ、はい、ありがとうございます」ドキッ
菜々「ちょ……人の母親に何顔赤くしてるんですか!」ゲシ
ウサミン母「やきもち?」ニコ
菜々「ち、違うからねっ!?お母さんいい年して男誑かすのやめてよね!?」
ウサミン母「この前の男の人にナンパされちゃった。『いくつ?どこ住み?お母さんは近くにいるの?』だってさ♪」
菜々「それおまわりさんだよね?」
P「そりゃあその外見なら補導されますよね……」
ウサミン母「最近は外でタバコ吸い辛くなったわよね……分煙化が進んで」
ちひろ「あ、そっちですか!?」
P「その見た目で吸ったらすぐに警察飛んできますよね」
ウサミン母「ママミン免許証パワーでなんとかしちゃうぞ☆」
菜々「あーもうやめてー……」プルプル
P「(あ、ゴールド免許)」
ちひろ「(すごい写真が変わってない)」
37:
ウサミン母「菜々ちゃんがアイドルになるって東京に行って……もう[禁則事項です]年だっけ」
菜々「お母さんには色々迷惑かけちゃったかな……でも」
ウサミン母「うん。わかってる。貴方は夢を叶えたのね。とってもえらい。よしよし……」
菜々「えへへ……」
P「(いつもは事務所のまとめ役で)」
ちひろ「(皆のお母さんと言われている菜々さんが……!!)」
P「本当にこうしてみると親子ですね」
ウサミン母「え、本当に正真正銘の親子ですよ?なんならウサミン星の戸籍も……」
P「いやそういう意味ではなくてですね!?」
ウサミン母「ふふ、わかってますよ。どうですか?菜々は上手くやれていますか?
おっちょこちょいで、すぐボロを出すし……本当、いつまでたっても手のかかる子で」
P「手のかかる子……いえ、逆かなと」
ウサミン母「逆?」
P「はい、菜々さんは事務所の皆の世話役といっても過言でないくらい、皆に気をつかってくれています。
体調などもほんのささいな違いから見抜いたりするんです。私はそういう事に疎いので……本当に助かっています」
ウサミン母「あら」
菜々「Pさん……照れますから。後私は17歳」
ウサミン母「………いつの間にか、成長してたのね」フフ
菜々「そ、そりゃ菜々だってもう17歳だし……」
39:
ウサミン母「……夢を叶えられて、よかったね」ホロ
菜々「も、もー!お母さん!泣かないで!」
P「ええ話や……」ホロリ
ちひろ「ですねぇ……」ホロリ
菜々「やめてくださいもー!こっちまでもらい泣きするじゃないですか!」
ウサミン母「もう歳だから涙腺が」
菜々「しーっ!」
―――――――
ウサミン母「じゃあ私はもう少し地球を観光して帰るわね」
P「東京ばななをお土産にどうぞ」
ウサミン母「ふふ、菜々とセンスが同じなのね?」
P「え?」
菜々「うぐ……」
ウサミン母「あ、そうだ、最後にひとつだけ……心配なことが」
P「なんでしょう?」
ウサミン母「アイドル活動が原因で婚期が遅れたら、プロデューサーさんがもらってくれるんですよね?」
菜々「はいいっ!?」ビクン
P「え?何がですか?」
ウサミン母「おてて貸して?」
P「え?はぁ」
ウサミン母「……ゆーびきった!はい!よかったね菜々!」
菜々「もぉぉぉぉー!!余計なお世話だってばーー!!」プンスカ
ちひろ「いつもの菜々さんと違いますねぇ」
P「こうしてみると、本当17歳の反抗期のようですね……」
40:
―――――――――
P「あ、おはようございます」
清掃員「お、プロデューサー君。おはよう」
P「朝からお疲れ様です」
清掃員「なあに、そういう君こそ朝早い出社じゃないか」
P「いやいや、これくらい当然です。仕事はまだまだたくさんあるんですから。
もう少し早く来てもいいくらいです」
清掃員「いやいや、あまり根を詰め過ぎるもんじゃないよ。適度に力を抜いてもいいんじゃぞ?」
P「ありがとうございます。適度に力を抜きつつ、仕事に精を出していきたいです」
清掃員「はは。関心感心」
清掃員「(最近はこのような気概のある若者が減ってきているが……)」
清掃員「(やはり彼は特別だな)」ウム
P「?」
――――――
P「ふー、アイドルの家族と面談するのも意外と疲れるな」ゴキゴキ
桃華「おはようですの!」
P「あ、桃華おはよう」
桃華「Pちゃま、先日お話した三者面談ですが……」
P「ああ、都合のいい日は決まったか?」
桃華「あら、本当にやるんですの?なら今日でも構わないとは思いますわ」
P「ええ?そんな急にやって大丈夫なのか?」
桃華「……?ええ。Pちゃまさえ問題なければ」
P「じゃ、今日の17時とか大丈夫か?」
桃華「ええ、お伝えしておきますわ!」
櫻井桃華(12)
42:
ヒョコ
清掃員「はは、待ち時間さえも仕事かね」
P「自分の仕事でアイドルが輝けるか決まるんです。そりゃあ重要ですよ」ハハ
清掃員「……アイドルプロデュースとは、そこまでのものかね?」
P「はい?」
清掃員「今時……手抜きをしない若者というものを見たことがなくてな。
君はというと手抜きどころか、目を離すとすぐに仕事に没頭している」
P「いやあ……なんだか申し訳ありません。癖みたいなもんでして」
清掃員「いや、誇るべきだ。君のような若者がもっと増えれば……ううむ、口惜しい」
P「……自分はそこまで、重要な役割でないと考えていますが」
清掃員「何?」
P「確かに私は真面目に仕事をしていますし、それによってアイドルのお仕事が決まるのも事実です。
しかしアイドルという、この職業に関しては……私など関係なく、彼女らが花開くかどうかは彼女たち自身にかかっていると思うのです」
清掃員「ほう、というと……君でない、他の誰かでも、彼女らは輝いていたと?」
P「ええ。今担当している子たちすべてに……立派な才能と、それを活かす努力があります。
彼女たちは輝けるダイヤの原石。もう既に自分で磨く術さえ身に着けているでしょう」
清掃員「詩的な物言いだな」ハハ
P「職業病かもしれません」クス
ガチャ
桃華「Pちゃま、おじい様、お待たせいたしました」
P「ああ桃……えっ?」
桃華「?」
清掃員「ああ、そういえば自己紹介がまだだったな」
P「え?え?」
43:
清掃員「この会社で創設当初から清掃員をさせてもらっております」
清掃員「櫻井健一郎と申します。桃華の祖父です」
櫻井祖父(清掃員)「今日は面談でしたかな?よろしく頼みます」
P「…………えええええ???っ!?」
櫻井祖父「はは、やはり気づいておらんかったようじゃの」
桃華「え、Pちゃま知らなかったんですの?」
P「知らねぇよ!!びっくりしたよ!!まさかだよ!?」
桃華「おじい様も人が悪いですわ。調べるといっても、何も清掃員として働かなくともよいでしょうに」
櫻井祖父「ならん。桃華は大切な孫だぞ。どこの馬の骨ともわからん奴に任せられるか!」
桃華「だから過保護だとお母様にも言われるのですわ……」
櫻井祖父「うぐぬぅ……」ギリッ
P「えーと……櫻井財閥の会長さんだっけ」
櫻井祖父「いかにも」
P「清掃員……やっていただいてよかったんですか?なんかすごい申し訳ないというか」
櫻井祖父「はは、気にするでない。わしが好きでやっていたことじゃ」
桃華「おじい様は本当、物好きですわね……」ハァ
P「(マジかよ……俺知らんかったからありとあらゆること言ってるぞオイ)」
44:
P「いや、なんというか……自分の無知が原因で失礼を働いていたらと思うと」
櫻井祖父「そう硬くなるな。いつもの君は十分素晴らしい」
P「ありがとうございます」
櫻井祖父「正直な、わしはアイドルなんぞをさせるべきではないと思っていたんじゃ」
桃華「あら?初耳ですわ……?」
櫻井祖父「うむ、初めて言ったからの。桃華にはわが社を継ぐか、わが社を継ぐ優秀な人材と結婚してもらうべく、
花嫁修業をさせようかと思っていたんじゃ」
P「桃華は十分、家事もそつなくこなせていますが」
櫻井祖父「ああ。嫁の貰い手ならいくらでもあったろう。もちろん、桃華自身も頭がいい。
なんで、会社の経営でもさせてやろうかと思うておった」
櫻井祖父「そん時じゃな。桃華が『アイドルになりたい』などと言い出したのは」
P「えっと……」
櫻井祖父「そう焦るでない。まだ話は終わっていないぞ」
P「はい」
櫻井祖父「わしは最初は反対じゃった。しかし、桃華のあの目を見たとき……確かに人を魅了する才能があると感じた。
ならばその桃華がはたして輝ける場所なのか、わし自身の目で確かめる事にしたんじゃ」
P「……それで、今に至ると」
櫻井祖父「そう。創設直後にしては都合のいい話だとは思わんかったかの?」
P「いやあ、あの値段で専門契約できるなら何かあってもいいかなと」
櫻井祖父「ふむ、よく心得ておるな。やはり選んで正解だったようじゃ」
P「選んだ?」
櫻井祖父「うむ」
45:
櫻井祖父「櫻井財閥の次期社長じゃ」
P「誰をですか?」
櫻井祖父「君に決まってるじゃろう」
P「はぇあっッ!!!?」
桃華「あら」
櫻井祖父「な、なんじゃと!?まさか桃華では不満というのか!?」
P「いやそういう事でなく!!話が吹っ飛び過ぎでしょう!?
アイドル反対だった話はどこに行ったんですか!?」
櫻井祖父「ああそれな。君を見た途端に反対する気が失せたんじゃ」
P「え、俺を……?」
櫻井祖父「ああ。君は不器用だ。才能があるわけではない。愚直で、まっすぐで、時に愚かな失敗もする」
P「申し訳ありません……」
櫻井祖父「謝るな!これは君の素晴らしい長所だ!君のその飾らないまっすぐさは強い武器であり、誰にもない最強の武器だ!」
P「え、ええ……」
櫻井祖父「わしはな、君のような素晴らしい人間を人生でみたことはない。
君になら、桃華を任せられると確信したんじゃ」
P「……ありがとうございます」
櫻井祖父「まぁ桃華はまだ12だからの。あと4年ほど待ってもらうか」カカカ
P「ってええ!?だから結婚とかは考えてませんってば!!」
櫻井祖父「なんじゃと!?ならアイドルをやめさせるぞ!!どんな手を使ってもなァ!!!」ゴゴゴ
P「ウワァァァ!!一番敵にまわしちゃいけない人を!!」
桃華「おじい様!!」
櫻井祖父「ひっ」
P「ひっ」
46:
桃華「これ以上Pちゃまを困らせるのはやめてくださいまし。
いくらおじい様でも、お戯れがすぎますわ」
櫻井祖父「す、すまんな桃華……ほんの冗談じゃったんじゃ」
P「(桃華すごい)」
桃華「それに私、お母様から聞いておりますの」
P「え?」
桃華「惚れた殿方は、どんな手を使ってでも、自分の手で勝ち取りなさい、と……」
櫻井祖父「ほう」
桃華「家の力は一切頼らず、私自身の魅力でPちゃまを籠絡してみせますわ!」
櫻井祖父「その意気だ!桃華!やはりお前は後継者にふさわしい……!櫻井の心構えをよく理解している!」
桃華「ふふ。おほめに預かり光栄ですわ。Pちゃま」
P「は、はい」
桃華「桃華が16になるまで4年……その時間に貴方を虜にして差し上げますわ♪」
P「(ぐわぁ……既に虜にされかけている……桃華の息子になりたい人生だったァ……!!)」
101:
―――――――
ピンポーン
ちひろ「あ、小梅ちゃんのお母さんですね」
P「……生きてます?」
ちひろ「あの、流石にそれは失礼かと……」
ガチャン
ちひろ「鍵を開けましたので、どうぞー」
ガチャ
白坂母「わざわざお時間いただきありがとうございます。小梅の母です」
ちひろ「お久しぶりです」
白坂母「ああ、千川さんですね。ご無沙汰しております。えーと、そちらの方は?」
P「ああ、プロデューサーです。はじめまして」
白坂母「始めまして。聞いていた通り誠実そうな方ですね」
P「いえいえそんなことないですよ(良かった、思ったより普通そうな人だ)」
ちひろ「……」
白坂小梅(13)
102:
白坂母「そういえば……今回は面談と聞いていますが、また小梅が何かしましたか?」
P「え?」
白坂母「いえ、あの子昔から……少し変な事を言う癖がありまして。
アイドルという職業柄、あまり良いことではないとわかっているのですが……なかなか」
P「変なこと?」
白坂母「あら?ご存知ありませんか?よく『霊がいる』などと言うんですよ。部屋の隅を指差して……」
P「ああ……」
ちひろ「ああ……」
白坂母「その反応は……」
P「いやまぁ、確かに小梅ちゃんにはそういう部分がありますが、実際に視えているようなのであまり気にしなくてもよいのでは?」
白坂母「えっ?視えているって……幽霊なんていませんよ!あんなものオカルトです」
P「うーむ……確かに証明は難しいですが……うちの事務所では割と超常現象もしょっちゅうなので今更驚くほどでもないかなと」
白坂母「えっ」
104:
ガチャー
小梅「あ、お母さん……」
白坂母「あら小梅……なんだか最近血色がよくなったわね」
小梅「日々の……鍛錬の、おかげ」
白坂母「うんうん。健康なのはすごくいいことよ。そうやって元気なら……。あ、そうだ小梅、
また幽霊がどうとか言ってるって聞いたわよ?」
小梅「……いるもん、幽霊はいるもん」
白坂母「幽霊なんていないの。そんなオカルトばっかり言ってると友達がいなくなるわよ?」
小梅「いるもん……」グス
P「まぁまぁ、小梅ちゃんだって別にそこまでおかしいことを言ってるわけでもないんですから」
白坂母「ねぇ咲良。幽霊なんていないわよね?」
P「……さくら?」
ちひろ「えっ」
ボゥッ……
「ウン……ユウレイナンテ、イナイヨ」
P「おわあぁぁぁっ!?」ビクッ
ちひろ「ちひっ!?な、何が起きてるんですか?」
白坂母「あ、こちら小梅の妹の咲良です」
「ハジメマシテ……」
P「(ど、どう見ても幽霊にしか見えない……足がないし、透けてるし)」
白坂母「透き通るような透明感のある子でしょう?」
P「(実際に透けてるんだよなぁ)」
105:
小梅「咲良もお母さんもわかってない……幽霊はいるの」
「イナイッテバ……」
白坂母「はーもう。強情なところは本当私に似たんだから……」
ちひろ「(あ、なんか私にも見えてきました。すごい、幽霊ってマジでいたんだ)」
白坂母「咲良は誰に似たのか、素直で、幽霊なんておかしなこと言わないんですけどねぇ……。姉妹でどうしてこうも違うんでしょう?」
P「か、環境とかの差じゃないッスかね……」
ちひろ「そッスよ……」
白坂母「一度言い出すと意地でも曲げないというのは……もう嫌というほど知っていますけどね。
まぁ、アイドルの活動に問題がないようなら……」
P「そ、そうですよ。LIVEパフォーマンスにしても、収録にしても小梅ちゃんは素直でいい子ですし」
ちひろ「そ、そうそう。いろんな会社さんから好評をいただいておりますのでご安心を」
白坂母「それなら良いんですが……何かご迷惑をおかけするかもしれないと思うと」
P「大丈夫です。マジで大丈夫ですから」
白坂母「それならよかった……じゃあ帰りましょう。咲良、お母さん」
P「え」
ちひろ「え」
ボゥッ……
「じゃあね、小梅ちゃん……」
小梅「おばーちゃん!」
P「あっ……」
ちひろ「……」
106:
―――――――
ちひろ「……」ガサガサ
ちひろ「……」ガサガサ
P「見つかりました?」
ちひろ「……一応全部の資料見ましたけど、小梅ちゃんに妹はいません」
P「ですよねー……」
小梅「おばーちゃんはね……い、いろんなこと教えてくれたの……」
P「なんとなくお前のことがよりよくわかった気がするよ……」ナデナデ
小梅「……?」ニコニコ
107:
――――――――――
P「ちひろさーん、領収書の束ってそっちにあります?」
ちひろ「一応データ化したはずですけど再チェックしますか?」
P「やっときましょうかね」バタバタ
ありす「あの、今日の面談のことで……」
P「あーすまんありす!今日は税理士の方がこられることになってな!確定申告の手伝いをしてもらうことになってるんだ。
だから面談はまた別の日にしてもらいたいんだが」
ありす「……ああ、なるほど。わかりました」ニコ
ちひろ「いやー、やっぱりこの量、私たちだけじゃ無理ですね」
P「毎回来てもらうのもあれですし、事務員増やします?」
ちひろ「それもアリですよね。事務所の規模考えたら……」
橘ありす(12)
108:
―――
ピンポーン
ちひろ「あ、こられたようです。はいはい今あけまーす」ガチャン
ガチャ
税理士「始めまして、税理士の橘です。本日はよろしくお願いします」
P「ああよろしくおね……え?」
ちひろ「あ」
橘母(税理士)「ああ、そういえば今日は面談でしたね。では手短に面談を済ませ、その後確定申告を行いましょう」
P「え」
ちひろ「すみません、忘れてました」
P「マジかちひろ」
109:
――
菜々「粗茶ですが」
コトリ
橘母「お気遣いありがとうございます」
菜々「いえ」
P「まさか税理士をやっておられたとは」
ありす「話してませんでしたっけ」
P「いや聞いてないな」
橘母「私の職業など瑣末なことです。それより、ありすは上手くやれていますか?」
P「ええもちろん。普段テレビなどで拝見されませんか?」
橘母「もちろん録画して見ておりますが、テレビの仕事とは写っている部分以外にもたくさんあるのでしょう?」
P「流石ですね」
橘母「テレビの仕事は華のあるように思えて、意外と苦労のほうが多いと聞きますから。
小学生のありすには少々荷が重いかと感じますが」
P「確かに……小学生であるありすちゃんに大きな負担をかけていることもまた事実ですね。
ですが彼女は、我々の思い描くさらに上の成果を持ってきてくれています。本人も楽しそうにやっているので、現状は問題ないかと」
橘母「そうなの?」
ありす「うまくできているかはわかりませんが、このお仕事は楽しいです」
橘母「そう……ならよかった」ニコ
P「楽しんで仕事をしてもらえると、こちらとしてもやりがいがあります」
橘母「仕事場に恵まれたのね。ありす」
ありす「はい」ニコ
P「(こうしてみると本当に仲がいいなぁ、あまり触れ合いがないかと思ってたが杞憂だったか)」
110:
橘母「私の家計では……常に『効率』を重んじてきました」
P「効率ですか」
橘母「ええ。その育て方で、ありすが息苦しさを感じていないか心配でしたが……この顔を見て安心しました」
P「……失礼ですが、ひとつお聞きしてよろしいですか?」
橘母「ええ」
P「効率を求める教育方針と……アイドルの仕事をやらせるのは少しそぐわない部分があるのでは。
いえ、この仕事をやっている私が言うのもなんですが」
橘母「あら、プロデューサーさんはこの仕事が非効率だと?」
P「そう言っているわけではないのですが」
橘母「ふふ。プロデューサーさんは、女の幸せって何だと思います?」
P「女の幸せ……ですか?」
橘母「ええ。私も同じ女として、ありすには幸せになってほしいんです。
そのために身を粉にして働き、いろいろなことを教えました」
P「うーん……結婚、とかでしょうか」
橘母「はい。私もそう思います。すばらしい相手に恵まれ、幸せな結婚をする。それが女の幸せだと私は考えております」
ちひろ「……」ウンウン
橘母「そのために、芸能界というのは素晴らしい場所だとは思いませんか?
顔、学歴、収入、どれをとっても最高水準の人間と出会う機会があるんです」
P「た、確かに……!」
ちひろ「さ、流石にその発想はなかったですね」
橘母「どうですか?非常に効率的でしょう……?」ロンパァ
ちひろ「(この効果音は!)」
P「(やっぱりありすのお母さんだな)」
ありす「……」ニコ
111:
―――
橘母「これで確定申告は終わりですね、ところで……」
P「はい?」
橘母「プロデューサーさん、貴方やけにパソコンの扱いに手馴れてますね……何かやってましたか?」
P「え?別に普通じゃないですか?」
橘母「そうですか……何もせずにここまで」
ちひろ「(プロデューサーさんは毎日の激務のせいで体が進化してますからね……)」
橘母「それじゃあ私は帰りますが……そうだありす、芸能界でいい人は見つかった?」
P「ははは。お母さん、まだありすちゃんは12歳、そんなのいるわけが」
ありす「はい」
P「オゲェッ!?」
橘母「そう……流石私の娘ね。じゃあ」
ガチャ
バタン
P「ありす、そんな話聞いてないぞ。あのな別に恋愛は自由だがそういうのはまず事務所にだな」
ありす「大丈夫です、Pさんが心配しているようなことはありませんから」ニコニコ
P「それでも心配なんだよ!どこのどいつだ、何プロだ!315プロのヤツか!?」
ありす「うちのプロダクションです」
P「ええ!?なら大丈夫……なのか?」ウーン
ちひろ「(まだ気づかないんですね……)」
ありす「ゆっくり悩んでください。時間はまだまだありますから」クス
P「うーん……この事務所そもそも男性アイドル所属してたっけ……?」
112:
――――――
ピンポーン
ちひろ「……プロデューサーさん、俳優の方がこられてますけど」
P「え、そんな予定ないはずですけど……今日は幸子の面談では?」
ちひろ「うーん……とりあえず入ってもらってもいいですか?」
P「ええ、用件聞けばわかるでしょう」
ガッチャン
ちひろ「あいてますのでどうぞー」
ガチャ
男性「失礼します……」
P「(なんか仮面はずしたゼクス・マーキスみたいな人だなぁ)」
菜々「(PさんガンダムWは最近の子知りませんよ)」
ちひろ「(こいつら……直接脳内で!?)」
男性「あの……ここがCGプロで間違いなかったでしょうか」
P「ええ、本日はどのようなご用件で?」
男性「はい、今日は面談という事を聞いて……」
P「え」
ちひろ「え」
113:
―――
幸子「パ……お父さんじゃないですか。ああ、そういえば今日は面談でしたね!」フフーン
P「ええっ!?」
ちひろ「あっ」
P「いやちひろさんは知ってるんじゃないんですか?」
ちひろ「いや私お母さんとしか会った事なくて」
P「ああそういう……」
輿水パパ「幸子……会いたかったぞ。今日も尋常じゃなくカワイイな」
幸子「フフーン!当然ですよ!ボクが可愛くなかったら何がカワイイんですか!」
輿水パパ「……そんな幸子の生い立ちを持ってきました」
ドサドサ
幸子「フフ……えっ?」
ちひろ「凄い量のアルバム」
P「これ何キロくらいあるんですか?」
輿水パパ「持ってくるのは大変でした……」
幸子「お父さん、そういうのは今日はいいから」
輿水パパ「何故だ」
幸子「何故って、いくらボクがカワイイといっても……」
輿水パパ「まぁ気にするな……とりあえず私の選んだ幸子カワイイベスト1000を紹介したいのですが」
P「トップテンくらいで大丈夫ですよ」
輿水パパ「トップテン……ですか……」
ちひろ「(すごい神妙な顔してる……)」
輿水幸子(14)
114:
――――
輿水パパ「これが幼稚園に入園した時の幸子です……カワイイでしょう」
ちひろ「かわいいですねー」
P「確かにかわいい……このむくれっつらがなんとも」
幸子「あの……ボクがカワイイのはわかってるんで……そういうのは」
輿水パパ「幸子……今私たちは大事な大人の話し合いをしてるんだ」
幸子「してないですよね!?」
輿水パパ「こっちが初めてプールで水遊びをする幸子です……カワイイでしょう」
P「確かに」
ちひろ「小さい幸子ちゃんもやっぱりかわいいですねー。今よりほっぺたとか柔らかそうです」
幸子「……」プルプル
輿水パパ「どうした幸子……今の幸子も有り余るほどに可愛いぞ。なんならお前の可愛さをレポートにしてもいい。5万字くらい軽い……」
幸子「そういうことじゃないってば!」
P「(たまに敬語が抜ける幸子もかわいい)」
幸子「パパはちゃんとしてればカッコいいんですから……まずはその親バカさえなんとかしてくれれば」
輿水パパ「幸子、やっとパパと呼んでくれたな……」ニコッ
幸子「ああもう!人の話を聞かない!」
P「ん……そういえば、ずっと気になっていたんですが、このアルバム、やけに写真の質がいいですね。
もしかして本職はカメラマンかなにかですか?」
輿水パパ「確かに近い部分がありますね……私は写真スタジオで働いており、カメラの販売からアルバムの製作も承っております」
P「どうりで……」
ちひろ「装丁もすごく綺麗に行われていますしね。ある意味本職ですね」
輿水パパ「ええ。自分の職がこのように活かせる日がくるとは思っていませんでした……。
幸子のカワイさを余すことなく伝えることが、私の使命だと思っております……」
P「(この親にしてこの子あり……)」
115:
輿水パパ「ああそうだ、お仕事のほうでは問題ないですか?色々心配な部分もありまして……」
P「ええ、幸子さんは非常に優秀で、厳しいレッスンにも弱音を吐かず、ライブも非常に好評です。
今後はもっと幅広く、色々なお仕事に挑戦させていきたいというところでしょうか」
幸子「……」フフーン!
輿水パパ「ああ、そういうことよりも……ストーカーとか」
P「へ?」
ちひろ「はい?」
輿水パパ「幸子はこれだけカワイイですから……妙なファンに付きまとわれたり、
面倒くさいファンレターがキロ単位で届いたりしてませんか……?それが心配で心配で」
P「え、いや別にそんなことはありませんが」
輿水パパ「大丈夫ですか?事務所の更衣室に隠しカメラが仕掛けられていたり、幸子の衣装がなくなったりは」
P「そういうことは一度も無いですね」
ちひろ「(ちなみに、男性更衣室に隠しカメラがあったり、Pさんの私物がなくなったことは何度もありますよ)」
輿水パパ「そうですか……それはよかった」
P「我が事務所ではアイドルの安心安全が第一ですからね。そのへんは安心してください」
輿水パパ「ええ、事務所のセキュリティも厳しいようですし、安心しました」
幸子「この事務所はすごくいいところですよ!ボクが保障します!」フフーン
輿水パパ「そうか、そうか……。いや、幸子がアイドルになることは前々からすごく喜ばしかったんですよ。
これで世界中に幸子のかわいさを伝えられる、と……」
P「(振り切ってんなぁ)」
幸子「……」
ちひろ「(あの幸子ちゃんが押し黙っている……)」
117:
輿水パパ「ただやはり……心配も同じように大きかったです。大切な幸子がストーカー被害にあったらと思うとッ……!!」
ガタンッ!!
P「落ち着いてください」
幸子「ボクは大丈夫ですから!」
輿水パパ「ああよかった……素晴らしい。これからも幸子のカワイさを世界中に広めるため、頑張ってください。
私も親として、できる限りのお手伝いをいたします」
P「え、ええ……ありがとうございます」
輿水パパ「理解あるプロダクションで本当によかったです。これからもどうぞよろしくお願いします……」
P「ええ!任せてください!必ずや幸子がトップアイドルとして活躍している様をお見せしますよ!」
輿水パパ「ありがとう……ありがとう……」ポロポロ
幸子「パパ!!いい歳なんだから泣かないでください!!」
輿水パパ「おお……パパの心配をしてくれるなんて……なんと親想いな」ボロボロ
幸子「ああ?……」
P「(なんとなく幸子がしっかりしている理由がわかった気が)」
ちひろ「(幸子ちゃんも大変なんですねー)」
118:
―――――――――
P「こずえー、今日は面談の日だぞー。ちゃんと覚えてるかー?」
トコトコ
こずえ「おぼえてるよぉー……ママ、くるのー?」
P「ああ、忙しいらしいが、一日だけわざわざお仕事休んできてくれるそうだ!
こずえのためだったらどんな苦労もいとわないと言ってくれた!いいお母さんだな!」
こずえ「えへー……ママ、だいすきー……」
ちひろ「(こずえちゃんの過程も結構謎なんですよね……)」
ピンポーン
ちひろ「はーい、今開けまーす」
―――――
ガチャ―――
遊佐ママ「こずえちゃーーーーんッ!!!」
ガバーッ!!
こずえ「ふわぁー……」
遊佐ママ「ああもう会いたかった会いたかった!こずえちゃん今日も可愛いヤッター!!!」
ガッシグリグリ
こずえ「ママー……くるしいー……」
パッ
遊佐ママ「あ!ごめんねこずえちゃん。あんまりにも愛おしくてつい……」
P「け、結構個性的な方ですね」
ちひろ「私が初めて会ったときもそう思いました……」
遊佐こずえ(11)
119:
遊佐ママ「ああ、ごあいさつが遅れました。こずえの母です。家族で託児所を営んでおります」
P「ほう、託児所ですか」
遊佐ママ「ええ、そのためふだんはあまり時間がとれず……こずえちゃんの可愛い姿を見ることも中々叶わず……うっ」シクシク
P「ま、まぁDVDやCDなども毎回お送りしておりますし……」
遊佐ママ「その説は本当ありがとうございます!毎日こずえちゃんが見れて可愛いヤッターです!」
ちひろ「(親子なのにテンションが全く似ていない)」
遊佐ママ「あ、あの……この事務所にある衣装ってちょっとお借りしてもよろしいですか?」
P「はい?何に使われるんです?」
遊佐ママ「とりあえず一通り着せてこずえちゃんを写真に収めようかなと!!」クワッ
P「え!?いや別にかまいませんが、量が量なので数着にとどめてくださいよ?」
遊佐ママ「やったぁ!さぁこずえちゃんお着替えにいきましょうねぇ??」
こずえ「おきがえ、するのー……?」
P「うーむ……」
ちひろ「こずえちゃんがお着替えできないのはあの教育方針のせいですかね……」
―――― 数時間後
遊佐ママ「いや?ありがとうございます!今日は仕事を休んできたかいがありました!」
こずえ「ふわぁー……ねむいのぉー……」ウツラウツラ
P「(二時間くらいぶっつづけで撮影だもんな……)」
P「寝てていいぞ、こずえ」
こずえ「おやすみぃー……」トコトコ
遊佐ママ「あら、仮眠室もあるんですか?」
ちひろ「ええ、我が事務所は様々な設備が揃っていまして」
遊佐ママ「それはすごい……うちのこずえちゃんがより可愛くなるためにヤッターですね……!」
P「(この人もうアイドルになったらいいんじゃないかなぁ)」
ちひろ「(アイドルの親は親バカが多いですね……まぁあれだけ可愛ければ仕方ないですけど)」
120:
遊佐ママ「ああそうだ、うちのこずえちゃんの調子はどうですか?
あの子は頭はいいですけど、コミュニケーション能力に欠ける部分がありますから……」
P「いえいえ、他のアイドルとの関係も良好。仕事に関しては11歳とは思えません、ただ……」
遊佐ママ「ただ?やはり……体力などに問題が?」
P「それも大丈夫です。あの、一人で着替える事ができないというのは流石に問題があると」
遊佐ママ「はい?」
ちひろ「ほら、お母様がお着替えさせてあげているじゃないですか?だからこずえちゃん、一人で着替えられないんですよ」
遊佐ママ「……えっと、おっしゃる意味が」
P「あと、あの子は危機感というものを知らなさすぎです。男の私の前で服を脱ごうとしますし、
着替えを手伝ってもらおうとしたこともあります」
ちひろ「11歳とはいえ、流石に成長してきているのですから、そのあたりの教育もすこし……」
遊佐ママ「ほー……なるほど、なるほど」
P「はい?」
遊佐ママ「いえいえ、あの、こずえについてお教えしてませんでしたっけ?」
P「はい?何がですか?」
遊佐ママ「あの子は天才なんですよ」
ちひろ「ああ、それはもう確かに」
P「はい、こずえちゃんは11歳とは思えないポテンシャルです。体力、記憶力、リズム感などどれをとっても一流です」
遊佐ママ「あの子が初めて自分で着替えたのは1歳の頃です」
P「えっ?」
ちひろ「はい?」
121:
遊佐ママ「3歳の頃にすっかり言葉を理解し、5歳になる頃には自主的に私の仕事を手伝ってくれるようになりました」
P「えっ?」
ちひろ「あ、あの……?それって?」
遊佐ママ「私も最初はとても心配しました。なんせお預かりしているお子さんに何かあったらと思うと。
しかしこずえの対処は完璧。見ていて惚れ惚れするほどでした」
P「……」
ちひろ「……」
遊佐ママ「あの子は可愛いので変質者に狙われたこともあります。しかし的確にスネを蹴って牽制、
防犯ブザーを鳴らし一目散にこども110番の家に逃げ込みました。その後犯人はこずえの丁寧な似顔絵によって顔が割れ、逮捕されました」
P「え、えっと……?」
ちひろ「もしかして」
遊佐ママ「ここまで聞けばお察しだと思われますが、こずえは天才です。舌ったらずなのはどちらかと言えば個性ですね。
あの子は漢字も書けますし算数どころか数学までできます。なんでしたら英語も話せたはずです」
P「じゃあどういう事ですか?彼女はこの事務所に来てから、自分で着替えようとしないんです」
ちひろ「もしかして、反抗期のようなものですか……?」
遊佐ママ「……そういう態度を見せた事はありません。それに」
P「それに?」
遊佐ママ「あの子は自分の魅力をわかっています。男性に着替えさせるどころか、体を見せる事さえなかったと記憶しております」
P「ええ……?」
ちひろ「Pさんが特別、ってことですか……?」
遊佐ママ「おそらく」
P「えっ」
遊佐ママ「あの子は非常に聡いんです。とにかく大人の考えをすぐに見抜いてしまう。
一瞬でも邪な考えが頭をよぎれば、その一瞬で値踏みするでしょう」
P「……」ゴクリ
遊佐ママ「お話を聞くと……プロデューサーさんに最大の信頼を置いているようですね。
聞いていても信じられない事ですが、貴方は嘘をつくような人に見えません」
ちひろ「なんと……」
122:
ガチャ
こずえ「ふわぁー……おはなし、おわったー?」
P「お、こずえ起きたのか」
こずえ「ううん、ねるよー……」
P「ええ?じゃあ仮眠室に戻って……」
こずえ「こっちがいいー……」
ポスッ
ちひろ「(ソファにすわるPさんのひざをまくらに……)」
こずえ「……」スヤー
遊佐ママ「……あら、寝ちゃいました?」
P「寝つきの良さも一流ですね」
遊佐ママ「うーん……ちょっと悔しいですね。こずえの事、ずっと見てきたつもりでしたが……。
プロデューサーさんの膝を選ぶとは」
P「えあっ、いや、何かすみません」
遊佐ママ「いえ、仕方ないんです。最近忙しくて親らしい事もあまりできていないですし……」
P「そんなことはありません」
遊佐ママ「えっ?」
P「普段のこずえちゃんと……今日のこずえちゃんを見て確信しました。この子はとても愛されて育ってきた子です。
親からも、周囲からも愛され……幸せに育ってきたのがはっきりとわかります」
遊佐ママ「……」
P「ですから、貴方は親として誇りを持ってください。こずえちゃんは貴方のおかげで、こんなに立派に育ちましたよ……!!」
遊佐ママ「……ああ」ホロリ
ちひろ「(無駄にかっこいいなぁこの人)」
遊佐ママ「どうしてこずえが、貴方を選んだか……、今、わかったような気がします」
123:
――――――
遊佐ママ「それでは私は帰ります。こずえが起きたら、よろしく言っておいてくださいね」
P「起こしましょうか?」
遊佐ママ「いいえ、天使のように眠るその顔を見てたら、起こすなんてとても」
こずえ「……」スヤー
P「確かに」ハハ
遊佐ママ「こずえを、導いてやってくださいね」
P「必ず!こずちゃんは……私が一生かけてでも幸せにします!!」 ピッ
ちひろ「Pさんそれじゃあプロポーズですよ」
P「ええ!?ああ、いや、そんなつもりは!」
遊佐ママ「わかっていますとも。それじゃあ、今日はありがとうございました」
P「こちらこそありがとうございました!」
――――
こずえ「おはよー……」
P「おおこずえ、ナイスタイミング。この後レッスン入ってるが……いけるか?寝起きはちょっと不安な部分が」
こずえ「だいじょうぶだよー……いってくるねぇー……」
トコトコ
ちひろ「あの姿だけ見てると……とても聞いていたような天才には見えませんよね」
P「まぁ能ある鷹は爪を隠すっていいますし?」
ちひろ「なるほどぉ……」
――
ピピッ
『こずちゃんは……私が一生かけてでも幸せにします!!』
こずえ「……」ニコニコ
こずえ「げんち、もらったよー……」
こずえ「しあわせいっぱいもらおー……ぷろでゅーさー……いっしょう、ずっと……」
こずえ「えへへー……」
151:
―――――――――
ほたる「……」
ほたる「……」
ほたる「……はー」
P「何だ、どうしたほたる、何か悩み事か……今日面談なんだしそこで話しても」
ほたる「いえ、どちらかといえば面談そのものが不安で……」
P「えっ……いやまぁアレだよ?無理ならもちろん……うん、強制ではないんだからさ?
ほら、親御さんがアイドルという仕事に不安がある場合とか解消するアレだし」
ほたる「……母が『是非行きたい』と言っていたので」
P「……じゃあいいんじゃないか?何が不安なんだ?」
ほたる「うーん……母を見てもらえればすぐわかるかと」
P「えっ」
ちひろ「(やっぱり、複雑な家庭環境なのかしら)」
白菊ほたる(13)
152:
―――
ピンポーン
ちひろ「あ、ほたるちゃんのお母さんですね」
P「おっ、来ましたか」
ほたる「……」
ガチャン
ちひろ「あけましたのでどうぞー」
ガチャ
白菊母「こんにちは?」
P「……えっ?」
ちひろ「こんにちは。どうぞお座りください」
ほたる「お母さん、久しぶり」
白菊母「ほたるちゃん?!久しぶり―!」
ギューッ
P「……えっと」
P「若くね?」
ほたる「……」ギクッ
ちひろ「……」
153:
白菊母「あ、貴方が噂のプロデューサーさんですかぁ??はじめましてぇ?」ぽやー
P「あ、はじめまして……」
P「ちひろさん、このぽやーっとした人が……」
ちひろ「はい、正真正銘、ほたるちゃんのお母さんですよ」
白菊母「ひどいですよぉ?、今自己紹介したじゃないですか?」ぷんぷん
P「(この感じ……)」
――――― まったく別のテレビ局の楽屋
菜々「はーっくしょぇい!!」ブシッ
心「菜々ちゃん風邪ぇ?」
菜々「いえ、そういうわけじゃないんですけど……なんででしょう?」
心「へぷちっ」
菜々「あれ?」
心「……んー?花粉症かな?」
菜々「ああ、なるほど」
佐藤心(26)
154:
P「いやあでもやっぱり、アイドルの親御さんって皆こんなに若く見えるもんなんですね」
白菊母「お上手ですねぇ?。私なんてもう28歳ですよ??」
P「え?」
ほたる「……」
ちひろ「……あっ」
P「……え?」
白菊母「どうかされましたぁ?」
P「(ほたるって13歳だったよな……?今何か28歳って聞こえたんだけど?
いやいや気のせいだよな?28歳なのは早苗さんで、この人は38歳だよな?)」
ほたる「……あの、あまり深く考えない方が」
P「だっ……だよな!!」
白菊母「この度はぁ?、面談という風に聞いてますがー……ほたるちゃんが何か?」
P「いえいえいえ!ほたるさんは非常によくやってくれています!
彼女にはこれからも、アイドルとしてさらに活躍していってほしいです!」
白菊母「それならよかったです?。最近はほたるちゃんのおかげでごはんも食べられますし?」
P「えっ」
ほたる「…………えっと」
白菊母「プロデューサーさんはすごくいい人だと、ほたるちゃんからも聞いておりますし?」
P「……(考えるな!!考えたら負けだ!!!)」
155:
白菊母「勤めていた工場が先日倒産してしまって?どうしようかと困っていたんですよぉ?」ぽやぽや
P「…………………」
ちひろ「ちょ、ちょっとお茶菓子もってきますね!!!」
白菊母「あ、どうぞお気になさらず?」
ちひろ「いえッ!!」シュバ!
ほたる「……あ、あの」
P「何?」グスッ
ほたる「(既にちょっと泣いてる……!!)」
P「……もうお母さん女子寮に住まわせてもいいんじゃないか?」
ほたる「あ、流石にそれは……」
白菊母「そうですよぉ?。そんなことしたらその寮が潰れちゃいますよぉ?」
P「ウグッ……」ポロポロ
白菊母「どうしたんですかぁ??お腹痛いんですかぁ??」
P「心が……心が痛くて……」シクシク
ほたる「(こうなるのが予想できちゃったんだよね……)」
156:
ほたる「Pさん……あの、あんまり気にしない方がいいですよ、
うちはこういう感じがむしろ普通なので……」
P「グッ……」グスッ
ほたる「(悪化した!!)」
白菊母「……?だいじょうぶ??よしよし」
ナデナデ
P「うう……お母さん……」シクシク
白菊母「はいお母さんですよ?」ぽやぽや
P「うっぐ……ヒッグ……ほたるさんは必ずトップアイドルにしてみぜまず……」グスッ
白菊母「わぁ?。楽しみにしてますねぇ?」
ほたる「えっと、えっと……」オロオロ
―――
P「落ち着きました」
白菊母「がんばったねぇ?」
ナデナデ
P「……(落ち着く)」
ほたる「あの……Pさん?」
P「はっ、すまんちょっと別世界に行ってた)」
ほたる「(お父さん……うん、それはそれで……)」ぽやぽや
P「(あ、ほたるも母に似てるんだ)」
白菊母「ほたるちゃん……昔から頑張り屋さんなんですけどぉ、よくいろんな事故にあっちゃうので、結構心配してたんですよ?」
P「今の所は大きな事故もないですね」
ほたる「そうでしたっけ?」
P「え?でもほたる自体もピンピンしてるし……特に事故とかなかったんじゃないか?」
ほたる「(それはPさんが庇ってくれてただけでは……?まぁいっか)」
158:
クゥー
P「……?」
白菊母「あ……」カァ
ほたる「お母さん?」
白菊母「ごめんねぇ?。今日は朝から何も食べてなくて」
ほたる「え?そんな、お金ならちゃんと……」
白菊母「ごめんね、今朝買い物に行ったらお財布なくしちゃって……」
P「よーし今からごはん食べに行きましょうか!!」ポロポロ
ほたる「(また泣いてる!!)」
白菊母「いやでもぉ」
P「僕がおごりますから!!ていうか頼むから奢らせてください!!!」
白菊母「そこまで言うならお言葉に甘えますねぇ?」ぽやー
P「行くぞほたる!!」
ほたる「えっ、はい」
白菊母「わぁ?。3人でお食事なんてパパがいたとき以来だねぇ?」
P「フグッ……ヒッグ……」ポロポロ
ほたる「Pさんしっかりしてください……!大丈夫ですか!?」
P「大丈夫……」ボロボロ
白菊母「いたいのいたいの、とんでけ?」
ナデナデ
159:
―――――――― あやめの実家
浜口祖父「いやあ、遠路はるばるお越しいただき、誠に感謝します」
P「いえいえ。こちらこそ、貴重な機会をありがとうございます」
あやめ「おじい様!あやめ、修行の旅から戻りました!」ニンッ
浜口祖父「おお、お前の活躍はいつもテレビで見ておるよ」
P「それにしても、この家も時代劇のセットみたいですよね……」
浜口祖父「はは。確かに回転扉などもありますぞ?私が趣味で作らせたんです」
P「なるほど!そりゃああやめが時代劇にハマるわけだ……」
あやめ「うちには刀剣の類もあるのですよ!」
P「マジか」
浜口祖父「ええ、ただし本物ですので、取扱いには気をつけてくだされ」
P「本物!?」
浜口祖父「今では重要文化財のようなもんですかな。昔から我が家に伝わってきた家宝なのです」
P「ほー……そんなものが」
あやめ「手裏剣やクナイもあります!」
P「本物の忍者の家みたいだな」
浜口祖父「ふぉっふぉ」
浜口あやめ(15)
160:
P「それにしても、しっかり作り込まれてますね?。
本当にセットに使いたいくらいです」ホレボレ
浜口祖父「ふぉっふぉ。こんな家でよければいつでも使っていただいて構いませんよ」
あやめ「私が生まれる前ですが、本当に時代劇のセットとして使われた事もあるそうです!」
P「なんと」
浜口祖父「昔のことですがな。……ん?」ピクッ
あやめ「P殿、こっちへ!」
P「今度はなんだ?」
あやめ「こちらには巻物が……」
ヒュンッ!!
浜口祖父「―――!」
ヒュッ!
キィンッ!!
P「あれ?今何か音しました?」
浜口祖父「立てつけがわるくなっておるのですかな。そろそろまた点検せねば」
あやめ「そういえば、この前も押し入れが開きにくかったことが……」
P「うーむ、そういう事があるのか……点検は大事だな」
浜口祖父「………」
161:
浜口祖父「あやめは元気でいい子なのですが、仕事の方は大丈夫でしょうか?」
P「ええもちろん。持ち前の元気に加えて手先も器用ですので、なんでもこなせていますよ!」
あやめ「ニンニン」
浜口祖父「それはよかった。手先は昔から良い方だったしのう?」
あやめ「ええ!今でもおじい様に教えていただいたことは忘れていませんよ!」
P「へえ、例えばどんな事を?」
あやめ「火薬の調合などです!」
P「えっ?」
浜口祖父「ほっほ。あやめがどうしてもやりたいというので、教えたまでです」
P「あ、ああ……まぁ、危険な事ほど指導が必要ですしね!」
あやめ「足音を消して歩いたり、クナイを上手く命中させるのは大変でした」
P「まるで本物の忍者みたいですね」
浜口祖父「ほっほ。時代劇の真似をしてついつい慣れてしまいましてな」
あやめ「おかげで様々な事が覚えられました!」
P「そりゃよかった」
浜口祖父「……」
ヒュッ!
 ドスッ
グワァッ
P「ん?今ぐわぁって……」
浜口祖父「ん?庭の鴨が鳴いたんですかな?」
P「鴨も飼ってるんですか」
浜口祖父「鴨の他に文鳥、犬も飼っておりますよ」
P「へぇ……(動物園みたいだな)」
162:
―――――――
P「今日はお時間ありがとうございました!」
浜口祖父「いえこちらこそ、大したもてなしもできず」
P「いえいえ。それではまた!」
あやめ「おじい様、またお会いしましょう!」
浜口祖父「ああ、あやめも元気での」
スタスタスタ……
浜口祖父「……」
ギィ バタム
スッ……
ドスッ!!!
「ぐわあっ!!」
浜口祖父「客人を狙うとは不届きな奴め……わしが成敗してくれよう」
ガタンッ
敵A「ククク……奴は我々の手によって殺されるのさ」
敵B「貴様がいくら邪魔立てしようと……これは変えられぬ」
浜口祖父「賊めが……ここから生きて出られると思わぬことだ」チャキッ
―――――
敵C「(ククク……あのジジィも追ってはこれまい)」
敵C「(ここからこの毒入り吹き矢で……)」
芳乃「ほー、そこの黒いお方、なにをしているのでー?」
敵C「あっひゅ!?」ビクッ
芳乃「……?」ニコニコ
敵C「あ、あ?おじょうちゃん。ぼ、僕はちょっとここで昼寝をね?」
芳乃「ほほー、このような辺鄙な所で昼寝とはー、変わった趣味をお持ちでー」
敵C「(どうする……?このガキを殺すか?いや、余計な殺生より……)」
敵C「お嬢ちゃん、ちょっとあっち行っててくれないかな?ちょっと僕忙しくて」
芳乃「背後から吹き矢で人を狙うのがお仕事でしてー?」
敵C「(……こいつ!)」
チャキッ!
芳乃「その小刀で私に勝てるとお思いでしてー?」
敵C「えっ?」
芳乃「三下風情が刃向うなど片腹痛いのでしてー」スゥ……
敵C「えっ……えっ?」
ギャアアアアアア
依田芳乃(16)
163:
―――――
P「どうした芳乃、着物が汚れてるぞ」
芳乃「廃棄物を片付けていたのでしてー」
あやめ「芳乃殿はしっかりしていますね」
ちひろ「(今日ってゴミの日でしたっけ……?)」
171:
みく「むーん……」
パタ、パタ
P「む……?みくどうした、そんな不機嫌な尻尾の振り方して」
みく「今日は三者面談だと聞いてるにゃあ。全くPチャンも面倒くさい企画をぽんぽん思いつくにゃあ……」ジト
P「えっ?今回のは大分マシな奴だと思うんだけど……?」
みく「思いつきでアイドルの属性変えたりむせび泣いてみるような人が言う台詞じゃないにゃ……」ジトー
P「うっ……それらの件については悪かったと思ってるよ」
みく「ほんと?ほんとにゃあ?目黒区の野良猫全部に誓える?」
P「なんでそのチョイス?」
ピンポーン
ちひろ「あ、みくちゃんのお母さんですね」
パタパタ
ガチャン
ちひろ「開けましたので、どうぞー」
前川みく(15歳)
前川さん(15歳)
172:
ガッチャー!
前川母「みくーーー!!!来たでーーー!!」
みく「……見たらわかるにゃあ」
前川母「わー!ほんまに事務所では猫キャラやねんなー!うりうり?」
ぐりぐりぐり
みく「ちょっ……辞めるにゃあ!ていうかこれはキャラ作りの一環であってね……お母さん聞いてる!?」
前川母「聞いてる聞いてるー。んーもふもふー」
モフモフ
みく「もー!」プンスカ
P「仲良しだなぁ」
ちひろ「仲良しですねぇ」
173:
前川母「あ、そういえば今日は面談って聞いてたんですけど……みくが何かしはったんですか?」
P「いえいえ、ただアイドルの普段の様子などを見てもらって、ご両親の不安を解消しようと企画したまでです」
前川母「そーでしたか!そんなら不安なんてありませんわ!
みくはいつも元気そうですし、こっちの事務所に入ってからはアイドルも楽しそうですし!」
P「こっちの事務所……ああ!」
みく「過去は振り返らないにゃあ」
前川母「ほんまに?前の事務所辞める時泣きながら私に電話してきたのに?」
みく「あ゛ーも゛う゛!!!そういう事を言わないで欲しいから来てほしくなかったにゃあ!」プンパーッ!
P「まぁまぁみく落ち着けって」
みく「むー……わかったにゃあ。お母さんもあんまり余計な事言わないでね?」
前川母「え……せっかくアルバム持ってきてみくの小さい時の想いで語ろう思たのに……」シュン
みく「それは間違いなく必要ないにゃあ!」
P「彼女の今後の方針のためにも是非お聞かせ願いたいですね」
みく「こうなるのはもはやわかってたにゃあああ!!!」
ちひろ「今日のみくちゃんも元気いっぱいですね?」
前川母「このコ、学校ではそないな事ないんですけどね?」
ちひろ「えっ?」
P「あっ、そういえば……」
みく「……………細かい事は気にしないでほしいにゃ!?」
174:
P「(しかし、みくのお母さんというのに猫っぽさがないな……)」
みりあ「……」
仁奈「……」
P「あっ、みりあに仁奈……」
P「(そうか、面談中だから入りづらいのか)おーい……」
前川母「そっちの子もアイドル?かわええなぁ?!こっちおいでー!」
みりあ「……!」
仁奈「……!」ピクッ
トコトコトコ……
みく「あー……これはうちの母親にゃあ。めんどい奴だけど悪い奴じゃないにゃあ」
前川母「こらみくにゃん。お母さんの事を『奴』とかよんだらアカンで」ゴツ
みく「いたいにゃ」
みりあ「あ、あの……赤城みりあです!」
仁奈「い、市原仁奈でごぜーます」
前川母「おー二人とも可愛えなぁ?……お菓子あげよ、ほら、」
ゴソッ
P「大量に出てきた!?」
みく「常に飴ちゃんとかお菓子の類を持ちあるいているにゃあ……」
みりあ「わーい!ありがとー!」
仁奈「ありがとーごぜーます!」
前川母「ええんやで?、それよりもアイドル、がんばってなー!」
みりあ「はい!」
仁奈「はーい!」
前川母「元気いっぱいやな?」
ナデナデ
P「(………はっ!飼育員!?)」
みく「今度は何を閃いたにゃあ?」
175:
――――――
前川母「ほな今日は帰りますわ!プロデューサーさん、みくの事よろしく頼みますね?」
P「はい、お任せください」
みく「もう来ないで欲しいにゃあ」
ガチャ バタン
みく「はー……どっと疲れたにゃあ。なんであんな母親なのか……」
杏「みく、母親の事をそう悪く言うもんじゃないよ」
みく「杏チャン」
杏「あの人はみくの事をしっかり想ってくれている……立派な母親だよ。
感謝すべきであっても、『あんな』なんて言うもんじゃないよ」キリッ
みく「………杏チャン」
杏「なに?」
みく「その右頬の大量の飴と、小脇に抱えた数種類の飴がなかったらすごいいい話になってたと思うにゃあ」
杏「グッ……!?」ババッ!
P「(買収されたか……)」
ちひろ「(買収されたんですね……)」
双葉杏(17)
178:
―――――――――
P「……」
ちひろ「……」
双葉父「いんやぁ??www芸能事務所って初めて見たけどテラスゴスですねwwww
これツイッターにアップしていいすか?www」スマホスッス
双葉母「ほんと?すごいすごい?私ツイッターに上げないんでインスタグラムにうpしていいですか?ww」
双葉父「同じやないかーいwwww」
両親「wwwwwwww」
杏「……」ニコニコ
P「お前の両親こんなんだっけ」
杏「こんなんだよ。素敵でしょ」
P「ああそうだね」
ちひろ「……」
179:
P「ところでお仕事は何を?」
双葉父「アフィブロガーです」キリリッ
双葉母「生主です。ツイキャスもやってます」キリリッ
P「……」
ちひろ「……………」
杏「………」ニコニコ
双葉父「娘がアイドルになったので事務所を訪ねた結果……っと、あ、今日の事ブログにしちゃいますねww」
双葉母「今からここで生放送してもいっすか?wwww」
P「すみませんそういうのは」
双葉父「せっかくなんで業界の裏知識とか教えてくださいよ?」
双葉母「ツイキャスでしか話しませんから、ね?ね?」
P「お断りします」
双葉父「えーケチですねー」
杏「プロデューサーケチだから」
双葉母「まぁひどい。ちゃんとお給料貰ってるの?」
双葉父「仕事はさぼってもいいけどお給料はちゃんと貰うんだぞ」
双葉母「私たちの生活がかかってるんだから!」
杏「もちろん」ドヤァ
P「もちろんじゃない」
180:
――――――――
P「……やっと帰ったか」
杏「んー、最近忙しくて両親と会えてなかったからうれしーな」
P「なんかご機嫌だな……」
杏「やっぱそう見える?」ニコ
P「こんなことを言うのも何なんだが……あの両親が好きなのか?」
杏「もちろん。今の二人は大好きだよ」
P「……今の?」
杏「そ」
P「……ま、色々あったのか」
杏「聞く?」
P「……いいのか?」
杏「あんまりぺらぺら喋るなら言わないけど」
P「……あんまりプライベートに踏み込むのは憚られるんだが」
杏「気にしないでいいってば、昔ね―――――――」
181:
――――――――数年前
prrrrr
双葉父「……ん?個人用の携帯か」
ピッ
双葉父「もしもし、私だ。……どうかしたか?」
『大変なの!杏が熱を出したの!』
双葉父「熱……?そんなの病院に連れて行けばいいだろ」
『貴方それでも父親?こんなに苦しんでるっていうのに……!』
双葉父「誰のために働いていると思ってるんだ、切るぞ」
『ちょっと待ってよ……ねぇ!』
ピッ
部下「奥さんですか?」
双葉父「ああ、せっかくの仕事中に水を差してしまったかな」
部下「いえ。しかし部長は真面目ですよね、なんか大変そうなのに顔色一つ変えず」
双葉父「馬鹿いえ、私が早退でもしてみろ、いくら損失が出ると」
部下「はは、確かに」
カタカタカタカタ……
双葉父「……(杏、大丈夫だろうか)」
双葉父「(いやいや、今は仕事に集中、集中だ)」
182:
――――――――
双葉父「……今、何と?」
双葉母「離婚だ、って言ったの。今の貴方にはもうついていけない」
双葉父「何を……?私が君たちのためにどれだけ働いていると!」
双葉母「お金が何……?最近副業とか言って、家でもパソコンいじってるじゃない!
貴方にとって家族って何?ステータス?」
双葉父「あれはアフィリエイトブログといって、立派な副収入として……」
双葉母「わかりました!そんなにお金が欲しいなら、お金と結婚してれば!?行くわよ、杏」
杏「……うん」
双葉父「ま、待ってくれ……!」
タッタッタッタ……
バタン……
双葉父「……何が、何が間違っていたんだ?」
183:
双葉母「じゃあね杏、おばあちゃんの所でおとなしくしてるのよ」
双葉母「貴方の将来のために、お母さん頑張って働くから」
杏「……お母さん」
双葉母「何?」
杏「お母さん、そんなに働かなくてもいいよ、杏が働くから……」
双葉母「馬鹿な事いわないの。貴方も立派な大学に行ってもらうんだから!
そのためにたくさん勉強するのよ、じゃあ!」
タッタッタッタ……
杏「あ……」
杏「(その頃から、お母さんとはあまりよくしゃべっていない)」
杏「(朝早く出かけ、夜遅く帰る母に、私が出来る事と言えば、夜食を作る事くらいだった)」
―――
双葉母「久しぶりのお出かけだね!」
杏「うん!」
双葉母「やっぱり東京は駄目よね。こっちの方が空気が綺麗で素敵……」
ザック ザック
双葉母「あ、あんな風に農業を始めるのもいいかも!
幸いこのへんなら土地があまってるかもしれないし……親戚の皆に相談してみようかしら」
杏「農業って楽しそうだよね。なんか、健康的で」
双葉母「わかる?私もそう思うの。ねぇ、あそこで耕してる人なんてすごく楽しそう――――」
双葉母「え?」
双葉父「よっ、久しぶりィ!」
185:
杏「お父さん……?」トテテ
双葉父「よー杏!元気してたか!?」
双葉母「貴方……な、なんでこんなところに?ていうか仕事は?」
双葉父「やめちったw」
双葉母「…………は?」
双葉父「いやー人間って不思議なモンだよなぁ。守るモンが無くなった瞬間全てどうでもよくなってさぁ。
あの2週間後くらいに辞表出して辞めてきたんだよ。んでこっちで農業とアフィブロガーで食っていこうってさ」
双葉母「……な、何考えてるの?」
双葉父「いやーもうめんどくせー事考えるのはやめた!俺は好きに生きるよ!」
双葉母「そ、そうなの……いくわよ、杏ちゃん」
杏「………」フルフル
双葉母「……杏ちゃん?」
杏「杏、お父さんと一緒がいい」
双葉母「………は!?」
双葉父「お、一緒に暮らすか!いやーお前成長してないよな!成長期止まった?」
杏「うっさい」
双葉父「言うなお前ーww」
双葉母「ねぇ杏ちゃん!それどういうこと!?」
杏「お母さん……お父さんと仲直りして」
双葉母「えっ」
杏「杏は、今のお父さんが好き。前の頑張ってたお父さんも好きだったけど……
今の方がずっといいよ。お母さんも見習ってほしいくらい」
双葉母「そんな……見習うって、そんな男の、何を!」
杏「……」
双葉父「どーせ仕事ばっかで杏にかまってやれてねーんだろ」
双葉母「なっ……!?」
双葉父「わかる、わかるぞー。俺がそうだったもん。昔はホントに杏と遊びたくてしょーがなかったんだけどさ、
仕事仕事ってずっと仕事の事ばっか考えてたわー。でも良く考えろ。大切なもんって何だ?」
双葉母「……でも、お金がなくちゃ」
双葉父「知らんがなそんなん。ビンボーでも学校いけるし飯だって食わせられるだろ?
がんばりゃいいんだよがんばりゃ」
双葉母「…………」
杏「………お母さん」
双葉母「母さん、今の仕事やめる。もっと自由で気ままなバイトとか探してみるよ」
杏「……!」
双葉父「そしたらまた―――」
双葉母「ええ、三人一緒に暮らしましょう?そっちの方が家賃安くつきそう」
杏「………うん!!」
186:
―――――――――――
杏「それからはもう自堕落極めてたよ」
杏「仕事はテキトーだし、主な収入源はお父さんのアフィブログっていう不安定極まりないワケわかんないもんだったし」
杏「掃除とか洗濯サボっておばあちゃんに怒られるのもしょっちゅうだった」
杏「でもね……」
P「……」
杏「すごい楽しかったよ。なんていうかさ、人生が輝いて見えたんだよ」
杏「お金がたくさんあって、一人で小型ゲームやってた時より」
杏「お金なんてほとんどないけど、家族でパーティゲームやってる時は、もうこの上なく楽しかった」
杏「だから、杏は今のひっどい家族が大好きなんだ」
P「……杏らしいっちゃ、杏らしいな」
杏「でしょー」
杏「お仕事漬けなんてね、ロクな事ないよ」
P「それでもお前に仕事を持っていくぞ!」
杏「ひっどーい!杏の今の話を聞いてウルっとこなかったの!?」
P「きたにはきたが、それとこれとは別な」
杏「プロデューサーの鬼!仕事人間!!」
P「なんとでも言うがいい!」
187:
――――――――
P「ふー、これで三者面談もいったん終わりかぁ」
ちひろ「すごい数捌きましたねー?」
P「ははは、このくらいなんのそのですよ、それより……」
ちひろ「それより?」
P「なんというか、アイドルといっても、やっぱり人の子なんだなー……って」
ちひろ「当たり前じゃないですか」クス
P「いやー性格とか全然違ったりして、見た目も違って、すごい全然違う人間なんだなって」
ちひろ「当たり前じゃないですか。子どもは親の背中を見て育つだけで……、
親とは全く違う人生を歩んでるんですよ」
P「たまには親孝行しないとですねぇ」
ちひろ「ふふ、Pさんのご両親ってどんな人なんですか?」
P「どんなって、フツーですよフツー。サラリーマンと専業主婦。堅実に生きる見本みたいな」
ちひろ「よくプロデューサーなんて目指して許されましたね」
P「そこはもう、うち放任でしたから。ちひろさんはどうだったんですか?」
ちひろ「うちは少し厳しかったですね……何せ両親二人とも銀行員で」
P「あっ(察し)」
ちひろ「どうしたんですか?」
P「いえ、とあるドラマの主人公が頭をよぎりました」
ちひろ「はい……?」
P「(ちひろさんから金を借りパクしようもんなら……100倍返しってことか?)」
ちひろ「なんか失礼なこと考えてませんっ!?」
おしまい。
190:
■おまけ? こうなることがわかりきってた
P「それで……今後の方針なども決まり、安定して活動が続けられそうです」
財前母「あら素晴らしい手腕ですね……やはりあなたに任せて正解のようです」
P「いえいえ」
ちひろ「…………」
財前母「時子もうまくやれているのね。アイドルには向いていないと思ったのだけど……、私の思い違いだったみたいね」
財前父「フゴッ(そうだな)」
ビシィィィッ!!!!
財前母「誰が勝手に喋っていいと言ったの!?この豚がッ!!!」
ビシッ!!!ビシッ!!!
財前父「フゴォ!!!(ありがとうございます!!)」
時子「いつも通りねー」ホノボノ
P「(やっぱいつも通りなのか……)」
財前時子(21)
191:
■おまけ? 気になるのはわかるんだけど
P「……というわけで、プロモーション計画も順調、アイドルとして上々の滑り出しだと思います」
佐藤母「なるほど……ありがとうございます、ところで」
P「ところで?」
佐藤母「結婚の方は大丈夫なんでしょうか」
P「はい?」
心「………」
佐藤母「いやだってもう心ちゃんも26歳じゃないですか……?
可愛い子ですし、いい子なんですけど……アイドルやってたらファンを気にして結婚できなくて、そのままズルズル……」
P「あっはっは。心配しすぎですよ。そりゃあ今は事務所的に恋愛とかはナシにしてるだけで、
そのうち機会があればこちらが嫌でも結婚してしまう事になるんですから、婚期とかは」
佐藤母「本当ですか!?」
P「え、ええ……」
佐藤母「いいんですね!?その言葉本当に信じていいんですよね!?」
心「かあさ……いやママ☆、必死すぎてキモいからそろそろやめよ?」
佐藤母「心ちゃん!ママはね!?貴方の為を思って言ってるの!!!」
心「わかってるよ☆そんなママもダイスキダヨー(棒読み)」
佐藤母「貴方それで本当に結婚できなかったらどうするつもり!?ねぇ!!」
P「ま、まぁまぁお母さん落ち着いて……これだけ可愛くてファンがいるんです、結婚なんてできて当然なんですよ?
今はね?こっちの意向で無理矢理そういうの禁じてるだけで……」
佐藤母「じゃあ責任とってくれるんですか?」
P「はい?」
佐藤母「心ちゃんがアイドル活動のせいで結婚できなかったら、プロデューサーさんが結婚相手になってくださるんですか!?」
P「はいいい!?」
心「その意見賛成」
P「ちょっと待て、心まで何を言う!?」
心「はぁとって呼んで☆」
P「今大切なのそこじゃないよね!?」
ちひろ「(親御さんなんて呼べば、こんな風に外堀埋められるのわかりきってたはずなんだけどな……)」
この後めっちゃ多数のアイドルとその親に外堀ガンガン埋められた。
めでたし!!!!
19

続き・詳細・画像をみる


【衝撃】女って男の10倍以上感じるらしいけど何入れても気持ちいいの?www誰か教えてくれwwwwww

関わってみて初めてわかる、テレビゲーム開発について理解していなかった5つのこと。

『ガンダム Gのレコンギスタ』第22話・・・Gセルフパーフェクトパックの新兵装が凶悪すぎる! 簡易月光蝶クラスじゃないか!

『(教育上)子どもに絶対言ってはいけない言葉』っていうのがさっきテレビで紹介されてた

三村マサカズがTwitterで川崎の中学1年生男子殺害事件に触れる「胸クソ悪い」「少年法なんかいらない」

ゲーム屋でPS2の棚見てると「最新機買えない貧乏人うわぁ…」って視線送るのやめろ

カムチャツカ半島が凄いと話題に(画像あり)

【画像あり】ドラゴンズドグマ最新作が壮大すぎてヤバイwwwwwwwwwwww

【文学】日本文学史上最もセンスのあるタイトルを決めよう

川崎の容疑者卒アルがネットに晒されるwwwwwwwwwwww(※画像あり)

これでいつでも殺人事件ごっこが楽しめる! 「流血まくら」でお昼寝はいかが?

チェルシーFCが胸スポンサーをSAMSUNGから横浜ゴムに切り替え!!…YOKOHAHAチェルシーFCに

back 過去ログ 削除依頼&連絡先