男「え? 俺が演劇部?」back

男「え? 俺が演劇部?」


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1:
演劇部長「そっ! 君にしか頼める人が居ないのよ?!」
男「いや、というか、俺文芸部なんですけど」
演「そう言わないでさ。部員が一人怪我しちゃって、メンバーが足りなくなっちゃったのよ」
男「それはわかりましたが。何で俺が?」
演「だってキャライメージがぴったりなんだもの! 初めて見たときからコレだ! って思ったんだっ!」
男「いや、しかしですね……」
4:
さるさん怖いので投下は五分置きぐらいで
?「いいじゃないか。参加してやれば」
男「ぶ、部長!」
文芸部長「誰かから頼りにされて、答えないのは男じゃないぞ?」
男「でもですね、ウチの部も文化祭に向けて出し物を作ってるところで……」
文「まぁ、そう言うな。実はこうみえて、私も演劇部には力添えしているんだ」
男「そうだったんですか?」
文「ああ。同じ文化部のよしみでな」
演「ほら! 文ちゃんもこう言ってるわけだし!!」
男「はぁ……わかりました。でも部長、あとで人手が足りないだのなんだの文句言わないでくださいよ?」
文「フッ、私はそこまで器が小さくはない。私達だけでも上手くやってみせるさ」
6:
演「ようこそ! 演劇部へ!!」
男「はぁ……」
演「で、ここに居る人たちが我が演劇部のメンバーだよ!」
男「メンバーだよ、って言われても」
俺「……ダリィ」
ギャル「えー、マジデぇ? それ超ウザイ系じゃん? キャハハハハ!!」
女「……ウス」
男「練習している風景にはどう見ても見えませんが」
演「ほ、ほら、ウチは自由主義だし?」
男「自由主義というか、放任主義の間違いでは?」
演「け、結構言うね男君て……」
男「それで、どんな演劇をするんですか? ロミジュリとか?」
演「ううん、ウチはオリジナルのをやろうと思っててね。はい、これが台本!」
7:
演劇部の部長というとボンボン坂高校が思い浮かぶ俺はおっさんなのか
9:
>>7 あまりの懐かしさに全俺の眉毛が引き出しになった
男「すごいですね。オリジナルだなんて」
演「ありがとっ! で、ここが君の担当!」
男「えーっと……ああ、この線の引いてある」
演「そうそう! じゃあ試しにやってみようか!」
男「うぇ、い、いきなりですか!?」
演「男は度胸! 何でもやってみるものさっ」
男「その発言は色々と問題があります」
演「ほらほら! せーのっ!」
男「ゴホンッ! えー……
『君がそれを望むなら、僕はもう何も言わないよ。でも、覚えておいてくれ。僕は君を忘れない』
……こんな感じですか? ……演さん?」
10:
演「え? ぁ、あはは! ゴメン、見入ってた」
男「はぁ」
演「てか、スゴイじゃない! 完璧に役に入りきってたよ! ねぇ、前に演劇とかやってたの!?」
男「いえ、演戯はこれが初めてです。ですが、こういうキャラクターは、以前書いたことがあるので」
演「書いたって?」
男「えーっと。文芸部の活動の一つに小説を書く、ていうのがあるんですよ。俺自身の趣味でもありますが」
演「うん」
男「それで、物書きは、というか俺だけかも知れませんが。人物を書く時に、その性格だとか、キャラだとかを作りながら書くんです」
演「うん?」
男「『こいつならこの時こういう風に動くだろう』『こいつはこういう時にこう考えるだろう』って。書いたキャラの数だけ、自分の中に人格を作るんです」
演「うーん……」
11:
男「えと。わかりましたか?」
演「うん! さっぱりわからない!!」
男「ちょっ!?」
演「でも、つまりキャラになりきるのは得意ってことだよね?」
男「ま、まぁそういう風にもいえますね」
演「ならぴったりだ! 演劇向きだよ!!」
男「ありがとうございます。なんか複雑ですが。俺文芸部だし」
演「今は演劇部の一員だよ。だからそのつもりで頼むよっ」
男「まぁ、それは構いませんが。それにしても、脚本を書いたのは演さんですか?」
演「え? ううん、書いたのは私じゃないけど……」
12:
男「いやなんと言うか、言い難いんですけど酷い脚本だなぁと」
演「ひ、酷い?」
男「まずこの場面。いきなり刺されるってなんですか? しかも動機も碌に書かれていないし」
男「そしてストーリーの流れも王道過ぎるというか。よくある展開で飽き飽きします」
男「一番はここですよ! 猫を助けてるのを見て恋に落ちる? 今時小学生でもこんなの考えませんって!!」
演「お、男君? そ、その辺にしておいたほうが……」
男「まだあります。ここからここまでの流れ。この流れいらないでしょう。物語に全然絡んでないじゃないですか」
男「それからここも……」
?「ほう? 私が書いた脚本はそんなに酷いか」
15:
男「へ?」
演「あっちゃー」
?「そうかそうか。君はいつも私が書く文章を、そんな風に考えていたんだな」
男「ぶ、ぶちょー!? 何で部長がここに!?」
文「言っただろう? 『演劇部には力添えしているんだ』って」
男「力添えって、脚本のことだったんすか!?」
文「その通り。それに部員が粗相しないようにと思ってな」
男「粗相って、おかあさんですか部長はっ!」
文「ああ、私は悲しいよ。そこまで手塩をかけて育てた部員がそんな風に私の事を思っていたなんてな」
男「え、いや、これは違うんです! ほら、部長が書いたものだなんて俺知らなかったし!?」
16:
文「いやいい。みなまで言うな。お前はこう言いたいんだろう? 『俺の方がもっといい脚本が書ける』と」
男「へ? ちょ、ちが」
文「ほうほう! しかも『この演劇を絶対に成功させてやる』とな!? いやぁ、いい度胸だ! それでこそ我が文芸部の部員だな!!」
男「だ、誰もそんなことはいってな」
文「そ・れ・と・も。そんな覚悟もないのに、私の脚本にケチをつけたのかなぁ、オトコクン?」
男「あ、ぅうっ!」
文「というわけで! 男もやる気に溢れているようだし、どんどん酷使してやってくれ」
演「うんっ、文ちゃんがそういうならバンバン働いてもらうよ男君!」
男「えー……」
文「あん?」
男「誠心誠意頑張らせていただきます、マムッ!」
17:
Case:1 演劇部長の場合
演「さーて、じゃあ早い内に脚本書いて来てね!」
男「ちょ、無茶っすよ! まだメンバーがどんな性格なのかとか、把握してないですし俺!?」
演「あー、そういうのは、いいの」
男「いいってことはないでしょう! そこがわからなきゃ、書き様ないっすよ」
演「ううん。その、さ。男君は、ウチのメンバーみてどう思った?」
18:
男「どうって……あー、いえ。なんとも言えませんが……」
演「思ったとおりに言ってみて?」
男「……その、やる気がないように、見えました」
演「そうだよね。そう見えるよね」
男「いやっ、俺がそう見えたってだけでして! その、酷いこと言ってしまって、スイマセン」
演「いいの。その通りだから」
男「えっ」
20:
演「ウチの部ね。あんまり演劇をやろうとか、そういうこと考えてないみたいなの」
男「だって、ここ演劇部ですよね?」
演「そう、なんだけどね……なんだろう。私のやり方が悪かったのかなぁ、えへへ」
男「そっ! ……んなことは、ない、と思います」
演「ありがとっ! だからね。私、この文化祭が終わったら、みんなに言うつもりなんだ。『もうやめよっか』って」
男「そんなっ」
演「やりたくない人を、部活ってだけで無理に縛ってるのも、なんか嫌じゃない? だって、そんなの楽しくないし」
男「……」
22:
台風風やっばいなっ! たのしくなってきた!!
演「あ、だからね? 文ちゃんにはあんな風に言ったけど、男君もそんなに頑張らなくてもいいよ?」
男「いえ、俺は」
演「私が無理に誘ったんだしね。男君に悪いしっ」
男「は、あ」
演「だいじょーぶっ! こう見えて部長の名は伊達じゃないの! 私、こう見えて強いんだから!!」
男「そう、ですか」
演「うんっ! ヘーキヘーキ!! 平気、なんだけど、さ。やっぱりほら。アハハ! 最後ぐらいはさっ! 成功させたいじゃん?」
男「ですよ、ね」
演「成功、させたいなぁ……」
23:
男の家にて
男(演さん、本当はやめたくないんだろうな)
男(口ではあんな風に言ってたけどさ。言ってたんだけどさ)
(演『成功、させたいなぁ……』)
男(あんなに、あんなにさ)
男(あんなに、寂しそうな顔してた)
男(成功させたいに決まってるんだ。絶対に)
男(でも、なぁ……)
男(……いや。でも、とかやめようか。違うよな、そういうの)
男「それに」
(文「誰かから頼りにされて、答えないのは男じゃないぞ?」)
男「後で部長からどやされたくないもんな!」
24:
翌日、放課後
男「演さん」
演「あ、男君! 来てくれたんだね。昨日あんな話したから、来ないかと思っちゃったよ」
男「俺やっぱり、脚本書けません」
演「あっ。そ、っか。そうだよね。アハハっ、ごめんね? 無理に頼んじゃってさっ」
男「今は、書けません。キャラクターの性格がわからないまま、物語が書けるわけないじゃないですか」
演「へ?」
男「やりますよ、俺。最高の脚本を書いてみせます。そのために、他のメンバーの性格がわからなきゃ、書けませんから」
25:
演「それって」
男「やりましょう。最後なんて言わずに。やる気がないなら、やる気を起こさせればいいんです」
演「でも、私じゃどうにもっ」
男「俺がいるじゃないっすか。ウチの部長も言ってたでしょ? 『どんどん酷使してやってくれ』って!」
演「でも、やっぱり、男君は文芸部だし、そんなの頼めないよ」
男「忘れたんですか? 演さんが言ったんじゃないですか」
演「何を?」
男「『今は演劇部の一員だよ』」
演「あっ……!」
26:
男「そういうわけで。何が何でもやらしてもらいますよ、俺はね!」
演「……あは。あははははっ! じゃあ、とことんこき使うからね、男君っ!」
男「まっかせてください!!」
29:
Case:2 ギャルの場合
ギャル「はぁ? アンタがアイツの代わり??」
男「そ。そういうわけで、よろしくな」
ギャル「ギャハハハ! よろしくな、だって! 何、爽やか系気取り系??」
男「爽やか……え、何?」
ギャル「つーかさぁ、ギャル今チョー忙しいわけ。わかる? チョーだよチョー!」
男「忙しいって、何か他にもやってるのか?」
ギャル「はぁ!? みりゃわかんじゃんね。今ネイルやってるところなんだけどー」
男「あ、そ、そうなんだ」
ギャル「そ、そ、そうなんだ。 じゃねーよ何どもってんだっつーの! ちょっとキモい系なんですけどー」
男「(か、絡みづれぇ!!)」
30:
男「あ、それはそれとして。新しく、脚本も書き直すってことになってさ。それで……」
ギャル「はぁあ!? 何いきなりぶっこいちゃってるわけアンタぁ!?」
男「え、え?」
ギャル「今更新しいセリフとか覚えられるわけねーじゃん! 今だって精一杯だっつーの! マジ意味わかんねーし!」
男「いやその、こっちにも事情があってね?」
ギャル「馴れ馴れしく話しかけてんじゃねーっつーの!」
男「う、うぅ」
ギャル「わかるぅ? ぶっこくのはアンタのナニだけで充分だし。ギャハハ、今のヤバクね? チョーウケね?」
男「あ、あはは」
ギャル「笑ってんじゃねーよブサイク」
男「……」
32:
演「ど、どうだった?」
男「演さん。何でアイツ演劇部なんかに入ったんすか」
演「何か、彼氏に褒められたから、とかなんとか」
男「正直キツいってレベルじゃねーっす。話が通じないっつーか」
演「あうぅ、ごめんねー。私もあの子だけは、ちょーっと苦手でさぁ」
男「あの子?」
演「あれ。知らない? あの子、1年生だよ」
男「あ、アレで1年!? 俺よりも年下じゃないっすか!!」
演「そうなのよぉ、年下だから私もどう扱っていいかわからなくって」
男「いや年下だからどうこうって話じゃないでしょう」
33:
演「で、でもねっ! あの子はああ見えて、すっごいいい子なんだよ!!」
男「さっぱりいいところが見えてきませんが」
演「それはまだ男君が付き合いが短いから、そう思ってるだけだよ!」
男「はぁ……」
演「だってあの子ね、ちゃんと意見してくれるものっ」
男「意見、って?」
演「例えば、『この台詞読み辛いから変えてくれ』とか、『漢字が多すぎて読めない』とか、『この役やりたくないから女と変わってくれ』とか!」
男(それってただのわがままなんじゃないか?)
演「そんなかなりマジメな子なの! だから、お願い! ね、男君!!」
男「(に、荷が重過ぎるっ!)」
34:
男「ぎゃ、ギャルさん? あ、あのー」
ギャル「ギャハハハ! マジでぇ? それ彼氏チョー朝日ってんじゃん!」
男「えーっと」
ギャル「あん? ああ、今うぜぇ男に話しかけられ中?。アタシの美貌に惹かれた、みたいなぁ?」
男「ぎゃ、ギャルさん? 聞いてる?」
ギャル「っぜーな、電話してんのぐらい見てわかれよカス」
男(コードレス通話でどう察しろと!?)
36:
男「今なら大丈夫かな。ギャルさ?ん? おーい」
ギャル「あ? アタシ今チョー急いでる系なんだけどぉ」
男「いやほら、例の脚本の話で」
ギャル「だからナシだっつったっしょ? 何? 日本語も理解できないサル?」
男「(お前にだけは言われたくない)」
ギャル「あ? なんか言ったか今、オイ」
男「い、いえ! 滅相も!!」
ギャル「アタシさぁ、今から彼氏んとこ行かなきゃなんないわけぇ。わかるぅ?」
男「は、はぁ」
ギャル「わかってねーじゃん! だからぁ、アンタなんかと話してる暇ねーっつってんの!!」
男「いや、でも少しでいいから」
ギャル「ウッザ。ってヤバ、もうこんな時間じゃん! メイクとか直さなきゃなんないから、さっさと消えてくれない?」
37:
男「ぎゃ、ギャルさん! 今日こそ話を」
ギャル「っせーな。いい加減しつこすぎるんですけどー。何? マジに私に惚れた系?」
男「それはない。断じて」
ギャル「カッチーン。今ギャルチョー傷ついたんですけどー。もうゼッテー話聞いてやんねーし」
男「あ、いや、悪かった、だから」
ギャル「まぁ元々話聞く気ない系だけどぉ。ギャハハハ!」
男「うぅ」
ギャル「うぅ、だって! ウッケルー!! 何、アレでもおったっちゃった? 罵られておったったの童貞君?」
男「だ、誰が童貞だ!!」
ギャル「ブハハハハ! 顔真っ赤だし!! ガチで童貞かよコイツ!! チョーダサい系じゃん!!」
男「だから、違うってっ」
ギャル「はーいはい。童貞君は困った子でちゅねー。土下座して三回回ってやらしてくださいっつったら筆下ろししてやんよ」
男「は、はぁ!?」
ギャル「つってもぉ、このギャルとやりたいなら全身整形してからこい系な? ギャハハハハハハ!!」
38:
男「はぁ……」
文「苦労しているようだな」
男「あ、部長。見てたんすか今の」
文「ああ。知りたくもないのに君が童貞だということを知ってしまったよ」
男「だから童貞じゃないってっ!」
文「そうやって慌てる辺りが童貞だというんだ」
男「部長までそうやって俺を……」
文「まぁ、そこが可愛いとは思うがな」
男「へ?」
ギャル「あ? アンタ、隣の女誰だよ?」
39:
男「あ、ギャルさん」
文「ふむ。君が件の一年生か」
ギャル「あぁ? なんか今、アタシチョー見下された系? キモいんですけど」
男「え、えーと。この人は文芸部の部長さんで……」
ギャル「はぁ? 文芸部がなんでこんな所に居るわけ? ここ、部外者立ち入り禁止系なんすけどー」
文「なら、私は部外者ではないからな。今男に書きなおさせている、最初の脚本を作ったのは私だ」
40:
ギャル「あ? アンタがあの脚本作ったわけぇ? ッハ、通りで」
文「うん?」
ギャル「あの脚本ダッサダサでぇ、ギャル演じてられなかった系みたいな? あんなもん誰がやるんだっつー話だよ、ギャハハハハ!!」
文「……」
ギャル「意味わかんねーところばっかだしぃ? しかも役柄もだっせぇの! まだ紙芝居のほうが面白いっつーの!」
文「わかった。つまり君は殴られたいのだな」
男「ぶ、部長! 抑えて抑えて!!」
ギャル「アンタもアンタで、そんな女の腰巾着やってるわけぇ? ダッサ、マジかわいそ過ぎてギャルみてらんないんですけどー!」
文「キサマ、私だけに留まらず、男も侮辱しおって……っ!」
男「どー! どーどー! ぶ、部長落ち着いてください!! ギャルさんも中指立てないで!!」
42:
男「や……っと、部長も落ち着いてくれた……」
男「怒り心頭、ってああいうことを言うんだろうなぁ」
(文「不愉快だ。先に帰らせてもらう。男、ああいう女は一度ひっぱたいてやれ」)
男「だもんなぁ。相当腹に据えかねたなアレは。はあぁ、やっぱなだめるの俺かなぁ……」
男「って、やべ。鞄忘れてきちまった」
男「どこだっけ……ああ、演劇部の部室か。鍵開いてればいいけど」
「――……を……してます……っげーよ……」
男(何だ? 誰かの……話し声?)
「――……たを……申して……あぁ、クソッ」
男(いや、違う。これは……)
43:
放課後の演劇部
ギャル「『貴方を、お慕い申しております』……クソッ、ちっげーっつーの。あぁ、上手く言えねぇっ!!」
男(ギャルじゃないか。あんなところで、台本片手で、何を)
ギャル「『貴方を、お慕い申し』……ちげぇ。あぁクソ、ここチョームズイ系なんですけど! っつーか、こんな役アタシにあってねーっつーの!!」
ギャル「こんな、相手に素直になる系? 純情系? の役とか、アタシが演じられるわけないじゃん! くっそー……」
男(演戯の、練習? いや、だって、あんなにやる気なさそうだったのに)
(演「そんなかなりマジメな子なの! だから、お願い! ね、男君!!」)
男(もしかして。本当に、根は凄くマジメな子だったのか?)
ギャル「『貴方を』、の部分とかっ! もっとか細い系じゃんね!? アタシのは野太い系すぎるっつーの!!」
ギャル「『貴方をお慕い申して』……アーッ! クッソ!!」
男(いや。物凄く、マジメな子だ。そうじゃなきゃ、あそこまで真剣に練習なんて出来ないはずだ)
45:
男(じゃあ、何で? 何でいつもはあんな態度をとってるんだ?)
男(本当はマジメにやりたいはずなんだ。それは、今のギャルさんの姿を見てればわかる)
男(なのに、わざとやる気のないような態度を? いや、違う。そうじゃない。そうじゃ――)
(演「例えば、『この台詞読み辛いから変えてくれ』とか、『漢字が多すぎて読めない』とか、『この役やりたくないから女と変わってくれ』とか!」)
(ギャル「今更新しいセリフとか覚えられるわけねーじゃん! 今だって精一杯だっつーの! マジ意味わかんねーし!」)
(ギャル「あの脚本ダッサダサでぇ、ギャル演じてられなかった系みたいな? あんなもん誰がやるんだっつー話だよ、ギャハハハハ!!」)
男(――そういう、ことかっ)
46:
男(さて、どうしよう)
男(こういう場合、多分だけど。ああいうキャラで対応すれば、いいはずだ)
男(出来るか? 話だって通じるかわからないのに)
男(そもそも、俺嫌われてるっぽいし。そんなんで、大丈夫なのか?)
男(いや……やるしか、ないのか。そうだよな)
男(やるっきゃないならやってやれだっ。 男は度胸、何でも試してみるもんさ!)
男(それにっ)
男「そのキャラクターなら、前に書いたぜ!!」
47:
ギャル「うぇ!? あ、アンタ!!」
男「ちょっと、忘れ物を取りにな。それにしても、演戯練習とか真面目じゃん」
ギャル「はぁ!? 何、ずっと見てたわけぇ!? キッモ! ストーカー系じゃん!! うっざ、何してくれてんのアンタ!?」
男「あぁ、ずっと見てたぜ。お前のそのダッセェ演戯」
ギャル「あ?」
48:
男「『貴方を、お慕い申しております』? うはは、にあわねー!」
ギャル「んだとコラ」
男「そもそもお前そういうキャラじゃねーじゃん! 何真面目に練習とかしちゃってんの? やめとけって、無駄無駄!!」
ギャル「あんだよテメェ、喧嘩売ってる?」
男「だって本当のことじゃねー? しっかも、くっそヘタクソ!! 腹いてーよ、やめてくれ笑わせるの!!」
ギャル「……ッ」
男「最初っからさー、向いてねーんだって!! やめとけやめとけ!!」
男「お前、演戯向いてねーんだからさ!!」
ギャル「テ……メェッ!!」
パーン!!
49:
男「……ってぇな、何しやがる!」
ギャル「アタシだってっ! わかってんよんなことは!!」
ギャル「どんなにやっても、上手くいかねーんだよ! 上手く演戯とかできねーんだよ!!」
ギャル「アタシだってっ! 努力してるし!! 頑張ってる!!」
ギャル「でも! 全然、自分が思ってるような演技は出来なくて!!」
ギャル「だから、こうして何度も練習して! 見せられるもんじゃねーから、放課後残ったりなんかして!」
ギャル「にあわねーことぐれぇ、自分でわかってるっつーの!! でも、出来ねーまんまじゃ悔しくて!!」
ギャル「アタシを何にもしらねー癖に! アタシをバカにするんじゃねぇえええええッ!!!」
男「……それだよ」
51:
ギャル「アァ!?」
男「お前の持ち味。その直情的で、感情が豊かなところ。それがお前の持ち味だ」
ギャル「はぁ? 何言って」
男「お前、自分の演技に自信がなかったんだろ?」
ギャル「!?」
男「自分は演技に向いてないんじゃないか。演劇部に居ないほうがいいんじゃないか」
男「そんな風に不安で、だからわざとやる気がないような態度とってたんだろ?」
男「本当は一番やる気がある癖にさ。そうやって強がって見せて、不安を隠してんたんだろ?」
ギャル「そ、そんなわけねーじゃん!? アタシがそんなキャラに見えるかっつーの。お前の目って節穴じゃ」
男「そうじゃなきゃ。こんな時間に残ってまで練習したりしない。違うか?」
ギャル「ッ!!」
52:
男「でも、お前演戯に向いてないわけじゃないよ。自分の持ち味がわかってなかっただけなんだ」
ギャル「持ち味?」
男「その台詞。『貴方を、お慕い申しております』ってのは、自分の気持ちを押し隠すような、そんな女性の台詞だ」
男「そういうキャラは演じてて、難しかったろ。そりゃそうだよな。お前の性格とは全然違うもんな」
ギャル「……」
男「安心しろ。お前の演戯は絶対光る。俺が、そういう脚本を書いてやる」
男「お前が演戯できない理由は、お前のせいじゃないよ」
53:
ギャル「……ック。アタ、シ。演戯とか、ヒグッ! 全然、出来ない、って、ッヒ、おも、ってて!」
男「ああ」
ギャル「でも、ウック、本当、なんだよな? 私の、ヒックっ、せいじゃ、ないん、だよ、な?」
男「ああ」
ギャル「アタシでも、っ! やれば、できるんだよ、なっ」
男「ああ。俺が保障する。お前は、やれば出来る」
ギャル「ヒグッ! うあああああああああああああああ!!」
54:
翌日、演劇部部室
ギャル「チョリっす!」
男「よ! 涙の後は消えたみたいだな!」
ギャル「バーカっ! アタシはいつまでもめそめそしてる系じゃねーっつーの!」
男「そんぐらい元気なほうがお前らしいよ」
ギャル「逆にアンタは急に強気になって、だっせぇけどな!」
男「なっ!」
ギャル「ギャハハハ! ジョーダンだっつーの!」
男「お前ね……」
55:
ギャル「あ、それと。アタシ、彼氏と別れたから、そこんとこよろしく」
男「はぁ? だってお前、彼氏に言われてここに入ったって……」
ギャル「アイツさぁ、『ここの衣装着たお前かわいくね?』つったからこっちで頑張ってたら、ずっと『いい加減やめろ』とか言ってきたからさ」
ギャル「こっちから振ってやったんだよ! お前なんて願い下げだっつーの!!」
男「あぁ、そう」
ギャル「やっぱりぃ? やりたいことやってる時が一番楽しい系、みたいなぁ? ギャルってホラ、可愛い系だからぁ。演戯だってこなしてみせるしっ」
男「自信がついてよかったよ」
ギャル「っつーわけで! サイッコーにアタシが光る系な脚本! 書けなかったら死刑な!」
56:
演「仲良くなれたみたいだねっ」
男「えぇ。まぁなんとか」
演「でも、あんなに仲が悪かったのに。男君ってば、どんな魔法を使ったのかな?」
男「俺は特に何も。ただ、アイツが素直になりたがってた。そういうことじゃないっすかね」
演「ふーん。よくわかんないけど。まぁなんにせよ、私は君に任せて正解だったってことだねっ!」
男「ありがとうございます」
ギャル「あ、そうだ。アンタさぁ」
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