アスカ「アスカ解体新書弐」back

アスカ「アスカ解体新書弐」


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―――医務室
リツコ『―――分かりました。そのお話、お受けいたしますわ』
アスカ「盗聴とは趣味が悪いわね、おじさん」
加持「はは、おじさんとは手厳しいな。俺は加持リョウジ。一度、自己紹介はしたはずだぞ」
アスカ「あたし、どうでもいい事は覚えない主義なのよ」
アスカ「……でもこれからは、そうは言ってられないようね」
加持「―――心苦しいが、君と2号機は新しい組織の力の証明になるだろう」
アスカ「で? それって、今までのあたしのライフワークとなにか、変わりがあるの?」
加持「……少し、子供扱いが過ぎたかな?」
アスカ「何かを失って、覚悟を決めるってのが大人なら、あたしはもう一人前の大人よ」
アスカ「それに、これからもやる事は同じ」
アスカ「エヴァに乗る。敵を倒す。やることは変わらないじゃない」
93: 以下、
アスカ「正直、惰性でここまで来たってのは……あるわ」
アスカ「何も考えず何となくエヴァに乗って、何となく日本に来て、使徒と戦って」
加持「変わった理由は……シンジ君かい?」
アスカ「初めて、人と一緒に居て心地良いと思ったのよ」
アスカ「冴えない、バカなガキ。そう思ってた筈なんだけどね」
94: 以下、
アスカ「何だろ、今のあたし、変に饒舌ね」
加持「もう一人の君の影響だと思うかい?」
アスカ「分かんない。あたしもあいつがあたしに何をさせたいのか、あいつが本心では何を考えているのか」
アスカ「全然、分かんないのよ」
加持「君はもう一人の君が嫌いかい?」
アスカ「何かその言い方は気持ち悪い。まるであたしがナルシストみたいじゃない」
アスカ「でも……そうね。嫌いなわけないじゃない」
アスカ「だって、あの娘はあの娘で一生懸命に生きてる……そう感じるのよ」
95: 以下、
―――衛星軌道上 SSTO
冬月「初号機から発せられた強力なATフィールドがいい目眩ましになったな」
ゲンドウ「ああ……。我々が移動する時間は十分に稼げた」
冬月「ゼーレは初号機の確保を優先したか」
ゲンドウ「“アレ”はトロイの木馬だというのに……老人たちめ、気付薬にしては劇物だよ」
冬月「だからこそだろう。ああ見えて現在の初号機は安定しているよ」
冬月「むしろ問題はパイロットだろう。アダムスもしくは、使徒。どちらに肉体を乗っ取られても頭が痛い」
96: 以下、
ゲンドウ「第二の少女はどうなった」
冬月「彼女にとり憑いたのは三番目の可能性。“観測者”だったようだ」
ゲンドウ「そうか」
冬月「興味は無いか……なら、君はどう思うかね? 真希波君?」
マリ「問題ないよ。式波・アスカの中の惣流・アスカは休眠状態になったようだし」
マリ「それより、二人共そろそろ教えなよ」
マリ「綾波シリーズでどこまでこの世界の行く末を見通せたのかを、さ」
97: 以下、
冬月「……君たちユーロには感謝している。一度はゼーレに与した我々をこうして拾ってくれたのだからね」
マリ「冬月先生たちがゼーレとは違う思惑で行動しているのは分かっていたからね」
ゲンドウ「それを踏まえて話そう……ユイの、古い友人である君に」
ゲンドウ「綾波シリーズはそれ自体が一種の死海文書……預言書として機能するのは分かるな?」
マリ「彼女らの中にある情報が別の世界の綾波シリーズからもたらされているからでしょ」
ゲンドウ「そうだ。そして、綾波シリーズから情報を引き出す度に覗き見た世界から因果が流入する」
マリ「それは……初耳だにゃ」
ゲンドウ「この世界は闇の中を照らす光が一斉に瞬いているようなものだよ」
ゲンドウ「……我々はその光の中から適切な光を見つけなければならない」
ゲンドウ「だが、正直に言おう」
ゲンドウ「―――既に預言書をもとにしたシナリオは破綻している」
ゲンドウ「我々の、老人たちの、そしてユイが書いた別々のシナリオ……その全てがな」
98: 以下、
マリ「この世界では可能性が多すぎて、それを選びとるのが難しかったから?」
冬月「それだけではないんだよ。因果の糸は絡まり、ある時には大きな塊となり、より大きな因果を作り出す事にもなる」
マリ「何それ、ほんと、この世界はシッチャカメッチャカだね」
ゲンドウ「だが、カオスの中でのみ作り出す事ができるものも存在する」
ゲンドウ「我々の狙いはそこだよ。カオスの中に枠組みを作り、その入れ物にカオスを注ぐ」
マリ「何とか、形としての体裁は整う?」
ゲンドウ「その為に必要なのがネブカドネザルの鍵と、今シャトルが向かっている場所に眠るシロモノだよ」
マリ「煩悩と苦の均衡を図る……ミラレパの綿衣(わたぎぬ)か」
99: 以下、
―――ゼーレモノリスの間
カヲル「内と外の心のバランスこそ、ネブカドネザルの鍵で開放される人類(リリン)が真に必要としているものなんだね?」
キール「そうだ。アダムスとは……内なる自分たちに打ち勝った者達だよ」
キール「彼らは全ての人類と文字通り心を接続した……儀式の依代になった事でな」
キール「人の心に巣食う功罪、それを一瞬で五感で覚え、それでもなお、他人に絶望せず、他人に寄り添うことを良しとした者達だ」
カヲル「心の均衡を保つ為に足りないものを注ぎ足す……それが貴方達が目指す補完なのかい?」
キール「この世界(カオス)にはどちらかに偏った者があまりにも多い」
キール「このままでは、予測される災害に我々は対処できないだろう」
カヲル「災害……第一始祖民族、いや……反螺旋属(アンチスパイラル)によるこの世界への本格的な介入か」
キール「そうだ。反螺旋属の末裔であり、尚且つ、アダムスの記憶を持つ者よ」
100: 以下、
カヲル「だけど、“この世界の僕”はタブリス(自由意志の使徒)としての役割を与えられている」
カヲル「忘れてはいないだろうね、リリンの老王」
キール「お前の意志は尊重する。それが、我らの契約。違いはしまい」
カヲル「なら、何故僕をリリスの下にそのまま向かわせず、惣流・アスカ・ラングレーと会わせた」
カヲル「アダムスでは無い彼女の影響力はそんなに無い筈だろう?」
カヲル「……まさか、初号機を僕に対する人質にしているんじゃないだろうね」
101: 以下、
キール「お前とて感じているのだろう」
キール「“あの初号機”が紛い物であるということを」
カヲル「……分かっているさ。だけど、あの中には間違いなく碇シンジ君は存在するんだ」
カヲル「たとえ、紛い物であっても良い。そこにあるモノにシンジ君の名と魂の欠片が含まれているのなら」
キール「……最早、何も言うまい。タブリス、お前の心にも平穏があらんことを」
カヲル「ありがとう。キール・ローレンツ」
カヲル「―――さあ行くよ。おいで、アダムスの器。そして初号機のしもべ」
106: ◆e9x0226TnM 2014/12/28(日) 20:36:14.02 ID:QCnwWTt6o
―――オーバー・ザ・レインボウ艦橋
副長「!!! 艦長! ネルフ本部方面から信号をキャッチ、パターンは青です!!」
艦長「なんだとッ!」
ミサト「何ですって!」ドンガラシャーン
艦長「葛城君! 君はまた艦内をうろついて……君を艦橋に招待した覚えはない!」
ミサト「ですが! パターン青が検出されたということは第3新東京市に最後の使徒が現れたということです!」
加持「そういう事です。ゼーレの少年が乗ったエヴァンゲリオンMark.6。奴が最後の使徒ですよ」
ミサト「加持!」
艦長「ううむ」
加持「只今より特務機関ネルフは解体、そしてその人員は新しく組織された機関に移行されます。予定通りにね」
107: ◆e9x0226TnM 2014/12/28(日) 20:39:32.04 ID:QCnwWTt6o
ミサト「何よそれ……聞いてないわよ!」
加持「後からゼーレより正式な辞令がくるさ。リッちゃんは既に作業を始めてる」
加持「惚ける時間はないぞ葛城、これからMark.6を今度こそ止めるんだからな」
ミサト「……いいわ、覚悟を決める。艦長!」
艦長「ヴィレ(VILLE)か……分かった、君の指揮下に入ろう」
艦長「加持リョウジ司令長官殿」
108: ◆e9x0226TnM 2014/12/28(日) 20:41:19.33 ID:QCnwWTt6o
―――太平洋艦隊 2号機専用洋上エヴァ簡易ドック
リツコ「2号機応急処置とチューニングは済ませたわ」
アスカ『ありがとう。赤木博士』
リツコ「ふふっ……私はやるべき事をやっただけよ」
リツコ「よろしくて? このドックはホバークラフトの能力を持っています」
リツコ「ドックの側面に取り付けられた巡航ミサイルを改造したブースターが六機」
リツコ「これで加して、ここから新横須賀を通って一気に、第3新東京市で会敵」
リツコ「私達が準備してあげられるのはそこまで。ごめんなさい」
アスカ『上等じゃない。あいつがアンチATフィールドを展開する前に瞬殺してやるわよ』
109: ◆e9x0226TnM 2014/12/28(日) 20:46:14.94 ID:QCnwWTt6o
アスカ「(渚カヲル……ゼーレに選ばれたあたし達と同じ仕組まれた子供)」
アスカ「(もう一人のあたしは言ってた。あいつは、老人たちに完全に従ってる訳じゃないって)」
アスカ「(なら、あいつは何の為にリリスの下に行こうとしているの)」
アスカ「(Mark.6の使徒としてと衝動? サード・インパクトを完遂させるため?)」
アスカ「(違う。そうじゃない)」
アスカ「(シンジを……手に入れる為? それなら、何で初号機じゃなくて、リリスなの?)」
アスカ「(一体、リリスに何があるっていうのよ)」
110: ◆e9x0226TnM 2014/12/28(日) 20:48:10.73 ID:QCnwWTt6o
―――セントラルドグマ
カヲル「エヴァンゲリオンMark.6、第12使徒」
カヲル「エヴァとして建造されながら、急遽予定を繰り上げるために使徒にされた、“本物のエヴァ初号機”のコピー」
カヲル「因果なものだね。君こそ、一番この世界で生まれる次世代のアダムスの器に近い機体だったというのに」
カヲル「だけど、安心していいよ。この世界では死海文書の契約の改定は出来ない」
カヲル「間違いなく、君は最後の使徒であり、最初の使徒である僕と共にある資格があるのだから」
カヲル「君も見ていくといい、式波・アスカ・ラングレーさん。君も知りたいだろう……この物語の結末に何があるのかを」
111: ◆e9x0226TnM 2014/12/28(日) 20:54:12.91 ID:QCnwWTt6o
―――ヘブンズ・ドア前
カヲル『遅かったじゃないか。待っていたよ』
アスカ「渚カヲル……あんた、何がしたいのよ。ここにはシンジは居ないのよ?」
カヲル『……ふふっ、いい事を教えてあげるよ』
カヲル『碇司令や、副司令がネルフの全ての人間を欺いてきた嘘の正体』
カヲル『それが、これだよ』
ゴゴゴゴゴゴ
アスカ「ヘブンズ・ドアが開く……」
アスカ「どうして……何であんたがそこにいんのよ!」
アスカ「シンジぃぃィイイ!!!」
112: ◆e9x0226TnM 2014/12/28(日) 20:57:43.13 ID:QCnwWTt6o
アスカ「嘘よ……だって、シンジはエコヒイキと初号機の中に」
カヲル『理屈は簡単さ。初号機はリリスのコピー。だけど、ただのコピーじゃない』
カヲル『リリスにとって初号機はまさに半身。内部では繋がってるんだ。そして同じようにリリスの半身として存在する者がいた。綾波レイだよ』
カヲル『綾波レイはリリスの魂。だけど、その魂は初号機に定着してしまったんだ』
カヲル『だから、リリスは綾波レイと一緒に初号機に取り込まれたもう一つの魂を自分の魂と認識して、その大部分を初号機から奪った』
アスカ「それじゃ、シンジは……」
カヲル『第二使徒リリス。それが現在のシンジくんの名前だよ』
113: ◆e9x0226TnM 2014/12/28(日) 20:59:42.65 ID:QCnwWTt6o
カヲル『シンジくんに綾波レイの役割をさせる。これが、碇司令の狙いだったのさ』
アスカ「どうして、そんな事を」
カヲル『これ以上の綾波シリーズからの因果の流入を阻止するため』
カヲル『そして、この世界唯一のアダムスの記憶を持つ僕からシンジくんを守るための退避手段』
アスカ「……渚、あんたシンジをどうするつもりだったのよ」
カヲル『シンジくんをこの牢獄から開放するのが目的だった』
カヲル『碇ユイが作り出した、この“多元太陽系迷宮”からね』
114: ◆e9x0226TnM 2014/12/28(日) 21:01:28.70 ID:QCnwWTt6o
カヲル『この太陽系は外の世界と乖離しているんだ。君は“本物の初号機”がどこにあるのか、知っているかい?』
アスカ「そんなの、ゼーレが回収して……」
カヲル『それは偽りの初号機、紛い物、ダミーだよ。このMark.6と同じように世界に矛盾が生じないように碇ユイと本物の初号機が作り出した人形さ』
カヲル『いま、2号機に本物の初号機の座標を送った。確認してみるといい』ピッ
アスカ「何よ…これって……初号機が」
アスカ「ヘリオポーズ(太陽圏境界)にいるってーの!?」
117: ◆e9x0226TnM 2014/12/28(日) 21:04:59.83 ID:QCnwWTt6o
カヲル『オーバー・ザ・レインボウ号で僕が惣流・アスカ・ラングレーに言った言葉を覚えているかい』
カヲル『「―――君とは異なる惣流・アスカ・ラングレーが存在する世界もまた僕たちは観測しているんだ」ってね』
カヲル『これは確認だったんだ。彼女が“この世界”を正しく認識しているかをね』
118: ◆e9x0226TnM 2014/12/28(日) 21:07:49.71 ID:QCnwWTt6o
アスカ「教えなさい、渚カヲル。あたし達の世界、一体どうなってるの」
カヲル『色々な見方が出来るだろうね。碇ユイから見ればこの世界は、《自分の胎内》』
カヲル『シンジくんから見ればこの世界は《贖罪の場》』
カヲル『そして、他の子供達(チルドレン)から見れば、ここは《希望》』
カヲル『当然、僕にとってもこの世界……いや、“この周回”は《希望》だった。条件は整っていたからね』
カヲル『この世界は初号機が作り出した“多元太陽系迷宮”の中……』
カヲル『この世界ではまるで時間がループしているように、仕向けられているんだよ』
119: ◆e9x0226TnM 2014/12/28(日) 21:36:56.76 ID:QCnwWTt6o
カヲル「最後だから言おう、僕は、碇ユイが作り出した“多元太陽系迷宮”に矛盾を生じさせることで、シンジくんを開放するつもりだった」
カヲル「僕が、順番を繰り上げる事によって、僕自身と綾波レイの役割を入れ替える」
カヲル「本来であれば“シンジくんを含めたリリン”の母はリリスだ。アダムである僕じゃない」
アスカ「それが矛盾だっていうの?」
カヲル「リリンが還るべきガフの門をアダムの門にすることによって、輪廻はねじ曲がる」
カヲル「“多元太陽系迷宮”はリリスのガフの門を活用しているからね」
126: ◆e9x0226TnM 2014/12/31(水) 20:38:45.41 ID:cR/ViGIjo
アスカ「でも……それって! あんたにシンジを縛り付けることじゃない! そんなの!」
カヲル「これしかなかったんだ! そうさ! リリスからアダムのガフの門に切り替わっても、“多元太陽系迷宮”の、“リリンの螺旋力の増大を封じ込める”という本質は機能する!!」
カヲル「そうしなければ、この星の生命体は絶滅してしまうんだ! 反螺旋属(アンチスパイラル)によって!!」
カヲル「だが、僕の計画は破綻してしまった。不完全とはいえ、偽りの初号機によりバラルの扉は開き、シンジくんはリリスに吸収されてしまったんだ」
121: ◆e9x0226TnM 2014/12/28(日) 21:41:56.37 ID:QCnwWTt6o
カヲル『……逃げた方がいい、式波・アスカ・ラングレー。リリスには既にネブカドネザルの鍵が埋め込まれた』
カヲル『ガフの門より、リリンの魂は開放され、リリン達は暴走を始めるだろう』
カヲル『自分がより高度な螺旋力を持った存在になる為……インフィニティになる為に!』
カヲル『リリスを、シンジくんを喰らう為に変異が始める、行くんだ! シンジくんが帰るべき場所を守るために!』
128: ◆e9x0226TnM 2014/12/31(水) 20:40:42.50 ID:cR/ViGIjo
アスカ「渚! あんたは!?」
カヲル『僕は、ここに残る』
カヲル『このカシウスの槍で、リリスを殺す。そうすればシンジくんの魂は初号機に戻る』
アスカ「……」
カヲル『大丈夫。僕を信用してくれ』
アスカ「……わかった。あんたを信じる」
アスカ「よく分からないけど、あんたがシンジを思う気持ちは本物だと思うから」
カヲル『ありがとう』
129: ◆e9x0226TnM 2014/12/31(水) 20:41:40.53 ID:cR/ViGIjo
【 坂本竜一 - BELIEVE : ttp://y2u.be/TmG9uDoGztw】
カヲル「思えば、僕は幸福だ」
カヲル「何度も、何度も違う形で君との出会いと別れを祝うことが出来る」
カヲル「姿形や役割を変えようとも、君と僕の縁が切れることは無いということだね」
リリス・シンジ「……」
カヲル「……いいんだ。君は君のままでいてくれれば、それでいい」
カヲル「僕の使命は君を助けることだ。それに不満を持ったことはなかった……」
カヲル「むしろ、僕は君に何度も救われているんだ。ありがたいことにね」
ズシャッ!
130: ◆e9x0226TnM 2014/12/31(水) 20:43:08.81 ID:cR/ViGIjo
カヲル「せめて、君と同じ時に逝きたいと思ったのは我儘かな」
カヲル「……君ごと、Mark.6をカシウスの槍で貫いた」
カヲル「これで、使徒も全て撃破したことになる。アダムスの生き残りも一つ減った」
カヲル「……後の事は心配ないさ。目覚めるであろう“二人目の僕”と式波アスカがどうにかするだろう」
カヲル「君の躯(むくろ)にリリン達が辿り着くのは難しくなっただけでも価値はあるさ」
リリス・シンジ「アリガトウ」
カヲル「……ふふっ、幻聴でもいいさ。こちらこそ」
カヲル「――ありがとう。シンジくん」
131: ◆e9x0226TnM 2014/12/31(水) 20:45:52.17 ID:cR/ViGIjo
―――ジオフロント
アスカ「ちっ、エヴァ専用のエレベーターから出てきたと思ったら何なのこいつ等!」ズシャッ
アスカ「これが、渚の言ってた、インフィニティの成り損ない……」
アスカ「あたし達と同じ人間の末路だって言うの!?」
ミサト『アスカ! そこから離脱して!!』
アスカ「分かってるわよ! だけどね……」
赤い巨人の群れ「……」
アスカ「活動時間は後、3分。こいつ等を振りきるってのは難しそうね」
132: ◆e9x0226TnM 2014/12/31(水) 20:46:35.58 ID:cR/ViGIjo
―――オーバー・ザ・レインボウ号 艦橋
日向「葛城さん! パターン青、消滅しました!」
マヤ「同時に、謎の巨人の出現も打ち止めです」
ミサト「巨人の出現範囲は」
マヤ「関東地方、東海地方の半数です。全ての巨人がネルフ本部に向かっています!」
加持「インフィニティ。ゼーレの死海文書・掟の章に記された、我々人類(リリン)の変異した姿か」
加持「まさに、獣だな」
133: ◆e9x0226TnM 2014/12/31(水) 20:47:27.98 ID:cR/ViGIjo
リツコ「ミサト、2号機はどんな形になっても、技術部が死力を尽くして直します。だから」
ミサト「ええ。2号機の脱出できる時間を作る。脱出ポイントの策定、急いで!」
青葉「今、やってます。……葛城さん! 緊急連絡!! この回線は……!」
ミサト「どうしたの」
青葉「すみません。繋ぎます。相手は戦略自衛隊技術総主任、時田シロウ技術一佐です!」
リツコ「時田ですって!?」
134: ◆e9x0226TnM 2014/12/31(水) 21:03:32.82 ID:cR/ViGIjo
時田「久し振りだね、ネルフの……いや、今はヴィレだったかな」
リツコ「時田、あなた……」
時田「状況は戦自でも把握している。要はあのお嬢ちゃんが脱出する時間を稼げばいいんだろう」
ミサト「まさか、ネルフからの技術協力要請があったアレ、完成させたの!?」
時田「計画では移動用、N2リアクターだったんだがね。関係各所を説き伏せるのに苦労したよ」
時田「――ジェット・アローンはATフィールドが微弱なあれとも戦闘も可能だし、エヴァ2号機への給電もできる」
時田「既に、ジオフロント上空にジェット・アローンを搭載した輸送機が待機している」
時田「こいつは俺の息子同然だ。上手く使ってくれよ」
135: ◆e9x0226TnM 2014/12/31(水) 21:08:35.86 ID:cR/ViGIjo
―――ジオフロント
アスカ「まずはあの不格好なロボットが着地できる場所を作る!」
アスカ「でもって電気!」
時田『先行して、プラグをケーブルごと降下させた。新開発の急充電装置だ』
アスカ「よっこらしょっと、あんがと、オジサン。このロボット、なるべく壊されないように守りながら戦ってあげるわ」ガチャン
時田『ありがとう。だが、お嬢ちゃんの命が最優先だ。無理はしないでくれたまえよ』
アスカ「分かってる!」
136: ◆e9x0226TnM 2014/12/31(水) 21:50:56.83 ID:cR/ViGIjo
アスカ「ミサト、ジオフロントから脱出できる、生きてるエレベータは!?」
ミサト『今、そっちにデータを送ったわ』
アスカ「サンキュー。何とかなりそうね……」
時田『……残念だが、JAはここまでだ』
時田『機体の冷却材が底をついた。もともと冷却用水の取り込み用のパーツをオミットしているから、ここでお別れだ』
アスカ「そう……。あんたのお陰で生き永らえたわ」
アスカ「ありがとう。JA」
137: ◆e9x0226TnM 2014/12/31(水) 22:05:25.44 ID:cR/ViGIjo
―――オーバー・ザ・レインボウ号 艦橋
日向「何とか、なりましたね」

加持「では、時田大佐からの提案通り、JAのN2リアフターを暴走させてターミナルドグマへ続く道を封印する」
加持「各地に出現した赤い巨人は戦略自衛隊が対処しているが、じきに突破してリリスに向かうだろう」
加持「だが、エヴァンゲリオンMark.6の撃破と最後との使徒の殲滅という目標は達成できた」
加持「アスカと2号機を回収後、旧ネルフ各支部との衛星会議だな」フゥ
ミサト「戦いはこれからよ」
ミサト「人類の巨人化がどこまで進行するか。それに潜伏した碇司令」
ミサト「私達がこれから経験するのは、より人類の存亡を賭けた戦い」
リツコ「下手をすれば……いえ、間違いなく人類同士の戦いになるわね」
138: ◆e9x0226TnM 2014/12/31(水) 22:22:00.38 ID:cR/ViGIjo
ミサト「目聡い奴らはもう次に向けて準備をしているわ」
ミサト「それを踏まえて、私達は一人でも多くの協力者を獲得していかなくてはいけない」
ミサト「次の時代に、私達の命と願いを託すために」
ミサト「(アスカ。あなたのエヴァを必要としない世の中を作るっていう願いを成就させてあげる為に)」
ミサト「それが、私達の希望なのだから」
139: ◆e9x0226TnM 2014/12/31(水) 22:32:56.10 ID:cR/ViGIjo
―――ゼーレ 研究所
キール「タブリス。やはり、リリスと共に逝ったか」
キール「これで、この世界のアダム。そしてリリスも失われた」
キール「これで、次のループの器となりえるのは仮初めの初号機のみ」
キール「だが」
カヲル「一人目の僕の思い、確かに僕にも届いた」
カヲル「僕はアダムスの記憶を持っていないけれど……今度こそ、シンジくんを幸せにしてみせるよ」
キール「カヲル。私の希望よ。お前が碇の計画を乗っ取り、次の世界へ我々を導くのだ」
キール「そして、いつの日か人類がシンの補完を達成した時、エヴァンゲリオン初号機の呪縛から離れた時、対決するのだ」
キール「我らの始祖たる存在。全宇宙とな」
終わり
140: ◆e9x0226TnM 2014/12/31(水) 22:34:31.61 ID:cR/ViGIjo
次回予告
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だが、既にこの世界は死の淵に立たされていた
死んだ筈の友人との再開
不審な行動をする猫娘にとった彼の意外な行動とは
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今度こそ、シン・エヴァが終わったら公開
141: 以下、

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