女「愛してます」 男「知ってる」back

女「愛してます」 男「知ってる」


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1:
女「本当に愛してます」
男「あっそ」
女「ひどい……」
2:
女「好きです」
男「うん」
女「付き合ってください」
男「無理」
3:
男「……あのさ」
女「はい」
男「これでお前から告白されるの47回目なんだが」
女「明日には48回目の告白をします」
男「いやいや」
4:
男「無理って言ってるじゃん」
女「けど、明日にはどうなってるかわからないじゃないですか」
男「わかる、俺にはわかる」
女「むー」
5:
48
女「あ、いたいた! おーい!」
男「やべ、女だ。逃げよう」
女「うぇぇ!? なんで逃げるんですか!!」
男「追ってくんな!」
女「待ってください!!」
男「ストーカーだぞ!」
女「好きですううう!!」
男「ストーカーだぞ!!!」
8:
49
男「今日は遭遇せずに帰宅できたぜ」
ガチャ
女「おかえりなさい」
男「うわっ!? なんでいるんだよ!」
女「サプライズです」
男「不法侵入だ」
9:
女「鍵をかけ忘れるのが悪いんです」
男「むちゃくちゃな」
女「好きです」
男「帰れ」
10:
50
女「好きですううう!」
男「いい加減諦めろ!」
友「今日も大変だな」
男「……ふぅ、ようやくあっちに行ってくれた」
友「いっそのこと付き合っちゃえばいいのに」
男「冗談はよせ」
友「結構可愛いのにな」
11:
男「あいつはやばいぞ」
友「やばいってなんだよ」
男「先回りして勝手に人の家に上がり込んで告白をしたりする」
友「やばいな」
13:
51
女「どうすれば振り向いてもらえるんだろう」
女友「いやいや、あんた告白の頻度に問題があるでしょ」
女「だって翌日には気持ちが変わってるかもしれないじゃん」
女友「だからって毎日告白しても男君が」
女「あっ!!!! 男くんだ、おーい!」
女友「人の話を聞けよ……行っちゃった」
14:
女「好きです! 今日も私はあなたが好きです!」
女友「……戻って来た」
女「今日もフラれた」
女友「そうだろう」
16:
52
男「放課後だ。帰ろう」
女「男くん、勉強教えてください!」
男「女友さんに言えよ」
女「もう帰っちゃったみたいなんです」
男「……仕方ねえな」
女「お願いします」
19:
女「二人っきり……だな」
女「なんだか意識しちゃいますね」
女「ば、ばか。なに言ってんだよ!」
女「どうしたんですか? 赤くなってますよ」
女「変だな……いつもはなんとも思わないのに今日はなんだか女のこと……」
男「一人でなに言ってんだ」
20:
女「この問題は……」
男「あー、そこはこうしたほうがわかりやすい」
女「なるほど。じゃあここは」
男「そこはさっきの応用で、こっちを見てみて」
女「あー、あと、付き合ってください」
男「無理」
女「うぅ……じゃあここは」
男「この問題はさっきと同じかんじで……」
21:
53
女「駄目だ。授業中、男くんのことしか考えられない」
女友「本当に大好きだな」
女「しかし、赤点の危機」
女友「留年しちまえ」
女「ひどい」
22:
女友「この前、男くんから勉強教えてもらったんでしょ?」
女「そうなの! 優しいの! どさくさにまぎれて告白しちゃった!」
女友「ほんとこの子意味わかんない……」
23:
女「この前の勉強を教えてもらったお礼にケーキを作ってきたの」
女友「おー、すげーな、いいじゃん」
女「渡してくる!」
女友「あ、ちょうど男くんがきた」
女「これは運命かもしれない」
25:
女「おーい、男くーん!」
女友「げっ、こっちに呼ぶなよ」
女「いいじゃないの」
男「……なんだよ」
26:
女「この前のお礼にケーキを作ったので食べてください」
男「お前無駄にお菓子作るの上手いからな」
女「えへへ」
男「……あぁ、うまいうまい」
女「やったー!」
27:
男「ん? ……これはなんだ」
女「さっそくあたりですね」
男「なんだ……」
女「中に小さいメッセージカードを入れたんです」
29:
男「なんか書いてある」
女「読んでみてください!」
男「えーと……『好きです』…………」
女「きゃっ♡」
男「危うく食べるところだった」
女「文字が消えなくてよかったぁ」
女友「いやいや、男くんドン引きしてるじゃん……」
30:
女友「お前、食べ物類に異物混入はまずいって」
女「そんな! 今時みんなやってるよ!」
女友「みんなって誰だよ」
女「そのへんの店で売られてる物とかの中にも」
女友「そんな恐ろしいことあるわけないだろ」
31:
54
男「本気で困っている」
友「女ちゃんのことか」
男「あいつをなんとかしてくれ」
友「なんとかって言われてもなぁ」
男「金ならいくらでもだす」
友「俺は殺し屋かなにかかよ……」
33:
友「今日も告白されたのか」
男「下駄箱に入っていた」
友「うわ、ラブレターじゃん。羨ましい」
男「そういえば手紙での告白は初めてだな」
友「女ちゃんも色々考えてるんだろう」
男「開けるのが怖いな。燃やしてしまおうか……」
友「女ちゃんもよくめげないな……」
34:
男「うむむ」
友「読んでみろよ」
男「放課後、公園で待ってます」
友「呼び出しかぁ。行ってやれよ」
男「行くわけないだろ……」
36:
友「行かなかったら行かなかったで翌日が面倒だぞー」
男「絶対いつまでも言ってくるな」
友「女ちゃんのことだからね」
男「そもそも公園に行かなかったら家までくるかもしれん」
友「行しかないな」
男「なんでこうなるんだろう……」
37:
男「きてしまった。あいつはまだこない」
委員長「男くん!」
男「あ、委員長。奇遇だね」
委員長「はぁ、はぁ、走ったら疲れちゃった……」
男(まさか知り合いに会うとは。あんまり他の人の前で女と絡みたくないな)
委員長「男くん?」
男「さてどうするか……」
38:
男「委員長はここでなにを」
委員長「え!?……やだ、私もしかして名前書き忘れてた?」
男「はい?」
委員長「けどここに来てくれたってことは読んでくれたんだね」
男「なんのことでしょう」
委員長「好きです! 私と付き合ってください!」
39:
男「え、いや君じゃない……え?」
委員長「えっ!?」
男「じゃなくて、えっと、え!?」
委員長「えっ」
男「いまなにを……」
委員長「告白……したんですけど……」
40:
男「……」
委員長「…………」
男「もしかして下駄箱に手紙入れたのって委員長……?」
委員長「はっ、はい……」
男(な ん だ と)
41:
委員長「……あっ、いきなりで、ごめんね」
男「あ、いや……」
委員長「返事は今度でいいから」
男「あっ、あの……」
ドドドドド
男(……なんだこの音は)
43:
女「男くーん!!!」
男(こんなタイミングで……というか走るのはやっ!)
女「はぁ、はぁ……走ってきたら、疲れました」
男(委員長とは違い狂気に満ちた顔だ)
45:
女「はぁ、はぁ、さ、さがしましたよ」
男(……委員長が怯えている)
女「あれ……委員長? こんなところで男くんと一体なにを」
委員長「えっ、えっとね」
女(委員長の顔が赤い)
46:
男(女が余計なことを言う前に切り上げねば)
女「あの……もしかしてですけど」
男「あああ! 女! 帰るぞ! ほら!」
委員長「あの、男くん!」
男「委員長! また今度! ……ありがとう」
女「むー」
48:
女「……」
男「……」
女「今日は一緒に帰ってくれるんですね」
男「まぁ、もともと帰り道は同じだからな」
女「さっきの委員長……もしかして」
男「……ばれたくなかったんだが」
49:
男「呼び出されて、その、告白されたんだ」
女「……告、白?」
男「うん」
女「……返事は」
男「まだしていない」
女「……うぅ」
男「えっ」
女「うぅ、ぐすっ、よかったぁぁ……」
男「えぇ……なんで泣くんだこいつ」
51:
女「私、もう男くんと委員長が付き合ってるのかと思いました」
男「あー、だからって泣かなくても……」
女「泣きますよ。男くんのこと好きなんですもん」
男「……」
女「男くんがとられたかと思った……うぅ、よかった」
男「お前、そこまで……」
女「これからも私の男くんだ」
男「いや、お前のものになったつもりはない」
53:
男「お前の家についたぞ」
女「……男くん」
男「なんだ」
女「好きです! 今日も大好きです!」
男「……」
女「それじゃ、また明日!」
男「…………ああああ」
55:
55
友「えええええ!? 委員長から告られた!?」
男「大きい声出すなバカ」
友「お前を好きになる変人なんて女ちゃんだけかと思ってた」
男「失礼なやつだな」
友「委員長がねぇ」
男「女以外から告白されたの初めてだ」
57:
友「なんて返事したんだ」
男「いや、まだ」
友「へぇ、なんて返事するつもりなの?」
男「断るつもりだ」
友「はぁ!?」
59:
友「お前、一回死んだ方が良いぞ」
男「いいじゃないか別に……」
友「やっぱり女ちゃんのことが好きなのか」
男「……いや」
友「なんだ今の間は」
男「とにかく女とも委員長とも付き合うつもりはない」
友「お前ホモじゃねーだろうな」
男「それはないから安心してくれ」
60:
友「もったいねぇなぁ」
男「そう言われても困る」
友「女ちゃんと委員長はうちのクラスの美少女トップ2だぞ」
男「まぁ、可愛いとは思う」
友「じゃあ、なんでええ」
男「それよりもどう断るか一緒に考えてくれよ」
62:
男「どうやって委員長に返事をすればいいのか……」
女「あっ! 男くん、おはようございます!」
友「あ、女ちゃん。おはよう」
女「男くん、今日こそ私と付き合ってください!」
男「ごめん無理。あっち行け」
女「うぅ……はーい…………」
男「……話を戻すが断るとなるとなかなか委員長に声をかけづらい」
友「いま女ちゃんの告白を早業で断ったよな……」
63:
56
男「結局、まだ委員長の件は保留のまま……」
友「美人二人から告白されてそんな悩みもってるのお前くらいだ」
男「女ならいくらでも断れるんだが」
友「お前はどれくらいの美女から告白されたらOKするんだ」
女「男くん!」
男「噂をしたらきやがった」
女「え? 私の噂ですか!? 照れますね」
64:
男「なんのようだ」
女「告白しにきました」
友「最近俺がいてもお構いなしだな」
女「好きです!」
男「駄目です」
女「うぅ……」
65:
友「女ちゃん可哀想だな」
女「男くんが付き合ってくれないんです」
友「こいつは多分、他の女子が全員いなくなりでもしないと駄目だと思うぞ」
女「わかりました、出直してきます」
男「なんてことを言ってくれたんだ」
友「え?」
男「あいつなら自分以外の全女子を皆殺しにしかねん」
友「なんだよそれ、こえぇよ」
67:
57
女「うー、どうすれば付き合えるんだ」
女友「よく諦めずにいられるね」
女「あたりまえでしょ! 好きなのをやめることなんかできないでしょ!」
女友「だって毎日のように断られてるのにさー」
女「向こうにどれだけ嫌われても、こっちが嫌いになるわけじゃないでしょぉ!」
女友「そういうもんかねー……」
女「フラれたから嫌いになるなんてことないよ!」
女友「限度があるわ」
68:
女友「どうしてそこまで男くんにこだわるの?」
女「男くんは運命の人なの」
女友「またそれか」
女「そして命の恩人」
女友「えっ、それってどういうこと?」
女「男くーん! 待ってください! 私も帰ります、好きですうう!」
女友「行ってしまった」
69:
58
先生「文化祭の実行委員を男女一名ずつ出さなければならない」
女「はい! 私と男くんがやります!」
男「いやいや、やらねーよ」
先生「じゃあ、男子の方から誰か一人決めてくれ」
友「俺やります!」
女「男くんがやらないなら私やりません!」
友「えぇ、ひどくない!?」
71:
先生「……じゃあ、あとは女子から一名」
委員長「えっと、女ちゃんがやらないなら私がやろうかな」
友「! ……おい、チャンスだぞ男」ヒソヒソ
男「ん? なんだ」ヒソヒソ
友「実行委員に委員長と一緒になれば返事をするタイミングがつかめるんじゃないか」ヒソヒソ
男「……なるほど」
72:
友「すいません! やっぱり俺やめます!」
男「俺がやります!」
委員長(お、男くん……?)
先生「あー、決まればなんでもいい。もう変更はなしな」
女「ひどくない!?」
74:
休み時間
委員長「これからよろしくね」
男「よ、よろしく」
委員長「そ、それじゃ!」
友「立ち去る姿も美人なり委員長」
女「うぅ、男く?ん」
男「うわっ、なんで泣いてんだよお前は」
女「なんで、私と、ぐすっ…やって、やってくれなかったの」
男「いや、あのなぁ」
75:
友「委員長からの告白の返事をするためだよ」
女「でもぉ……」
友「今回は男を許してやってくれ」
女「うー、じゃあ私も告白するもん。好きですっ、えぐっ」
男「あー、はいはい……」
76:
男「委員長にはちゃんと断るつもりだからさ」
女「……えへへ、やった」
女友「ここにいたか、女が迷惑をかけてすいません」
男「いえいえ」
女友「ほら、あっち行くよ」
女「男くん、またね」
80:
59
友「ああああ」
男「どうした」
友「お前って兄弟とかいる!?」
男「なんだ急に」
友「妹がいたら殺してやる」
男「……なんだ物騒だな」
友「さあ、答えろぉ」
男「弟が一人……いた。妹はいない」
友「よっしゃああ!」
男「なんだよ」
友「お前に妹までいたらどうしようかと思ったわ」
男「意味わからん……」
友「可愛い妹がほしかった……」
男「病気だな」
81:
男「あぁ、そういえばお前が好きな妹もののアニメが最終回だったな」
友「悲しい。終わる、俺の妹が。助けてくれ」
男「こえぇよ」
友「お前は姉と妹どっちが好きだ」
男「どっちかと言ったら妹、かな」
友「俺はどっちも好きだ。どっちも欲しい」
男「なんだお前は本当に」
83:
女「話は聞きました」
友「あ、女ちゃん。いつのまに」
男「本当にゴキブリみてーなやつだな」
女「男くん。私と付き合って妹にしてください」
男「まったく意味がわからないんだが」
女「それはもしかして、いいということでしょうか」
男「どんな耳してやがる」
84:
女「妹になります。可愛がってください」
男「いや、いらないわ」
女「……実は姉の方がいいということでしょうか」
男「ポジティブなやつだな」
86:
60
男「手伝え」
友「なんだよ」
男「文化祭のアイディアが出ない。知恵をかせ」
友「えぇー」
男「日曜日に俺の家で会議だ」
友「めんどくせぇ……」
男「委員長と、委員長が誘った女と女友さんの三人もくる」
友「行こう。こいつは面白くなってきた」
88:
日曜日
友「お邪魔しまーす!」
男「いらっしゃい」
委員長「こんにちはー」
友「委員長もうきてたのか」
男「俺の家の場所がわからないから、はやめに待ち合わせて案内したんだ」
友(その時、告白の返事をすればいいのに)
女「お邪魔しまーす!」
女友「お邪魔します」
男「揃ったな」
89:
男「さて、クラスの出し物を決めよう」
友「こういうのってクラス全員で話し合って決めるものだと思ってた」
男「俺も思ってた」
委員長「まさかホームルームを使っても意見がひとつも出ないなんて」
女友「消極的なクラスだね」
90:
友「メイド喫茶にしよう」
女友「誰がメイドやるの」
友「委員長と女ちゃんのメイド姿がみたい」
委員長「メイド喫茶かぁ……」
女「男さん以外にそんなサービスしたくありません」
女友「私は別に面白いと思うけど」
友「女友のメイド姿は別にいいや」
女友「殺すぞ」
92:
男「なにか他にいい案はないかな」
女「お化け屋敷とかどうでしょうか」
女友「ありきたりだな……」
委員長「お化け屋敷! いいね」
友「委員長がいうなら異議なし」
男「他に案がないならそれにするか」
友「よし、あとはクラスで相談するとして、せっかくみんな集まったので遊ぼう」
98:
女友「いや、決まったなら帰るわ」
友「え、ひどい」
女友「女、帰ろう」
女「ええー、もっと男くんの家の空気を吸いたい」
女友「いやいや、ほら、はやく」
女「うー」
友「あの二人、本当に帰りやがった……」
男「三人でどうするんだ」
友「……あー、俺も帰るわ。じゃ!」
男「えっ」
委員長「……」
男「……」
委員長「…………」
男(……委員長帰らないんかい)
100:
委員長「こんなにはやく決まると思ってなかったね」
男「そ、そうだな」
委員長「えっと、男くんって女ちゃんと付き合ってる?」
男「えぇっ!? なんで」
委員長「仲良さそうだから」
男「いやいや、付き合ってないよ」
委員長「ふーん」
102:
委員長「じゃあなんで」
男「え」
委員長「じゃあなんで、返事……くれないの?」
男「……言おうとは思ってたんだけど」
委員長「待って」
男「え」
委員長「女ちゃんと付き合っていないならいい。今日はそれだけ確かめたかった」
男「……」
委員長「男くんのタイミングで、返事をください」
男「あの」
委員長「今日はまだ、いいから……それじゃ!」
男「……」
103:
男「どうしよう……」
女「ようやく二人きりになれましたね」
男「うわああああああ!?」
女「うわぁ! びっくりした」
男「こっちの台詞だ。帰ったんじゃなかったのか」
女「私が簡単に男くんの家を立ち去るわけないでしょう」
男「どこにいたんだ」
女「帰ったふりをして天井裏にいました」
男「お前は忍者か」
105:
女「あの、ちゃんと私も男くんのこと好きですからね」
男「なんだその確認みたいな」
女「それじゃ、文化祭頑張りましょう」
男「お、おう」
106:
61
男「結局まだ委員長に言えてない……」
友「駄目なやつだな、お前は駄目なやつだな」
男「そう言わず慰めてくれよ」
女「よしよし。私と付き合いましょう」
男「気配消して近づくのマジでやめてくれない?」
女「えへへ、私の先祖忍者なんですよ」
男「どこまで冗談かわかんねーよ」
107:
62
友「女ちゃんとは幼馴染なの?」
男「いや全然。高校で初めて同じ学校になった」
友「へぇー、意外だな。あれだけ好かれてるから昔からの知り合いかと」
女「前に一度会ったんですけどねー」
友「そうなの?」
男「いや、それは……」
女「小学校の時、車に轢かれそうになっていた私を、見ず知らずの男の子が助けてくれたんです」
友「それがもしかして男なのか」
女「はい。すぐに好きになりました」
男「その時に顔を覚えたらしいんだ」
女「まさか高校で同じになるなんて思いませんでした」
友「運命じゃん……」
女「あの時から、大好きですよ」
108:
1
女「今日から高校生だー!」
女友「あ、女と同じクラスじゃん」
女「やったー! 心強い」
女友「高校では彼氏をつくらねば」
女「私はいいかな。好きな人いるし」
女友「例の小学生の時に助けてもらった男の子ね」
女「それ以来会ってないんですけどね……」
女友「今でも好きって凄すぎ。理解できない」
109:
友「席となりだね、よろしく」
男「よろしくー」
女友「げっ、友とも同じクラスか」
女「誰?」
女友「同じ塾に通ってた女子好き」
女「! ねぇ! そのとなりは!?」
女友「えーっと、知らない人だな」
女「見つけた……運命だ」
111:
女友「え、もしかして女が前に助けてもらった人!?」
女「間違いないよ! ずっと前だけど顔を忘れたことないもん!」
女友「本当だったら凄いな……」
女「告白してくる」
女友「行動がはやすぎる」
114:
女「あの、ちょっといいですか」
男「ん?」
女「向こうの、人がいないほうで」
男「お、おう……?」
友「せっかくできた友人が可愛い子に連れて行かれた……」
女友「ざまみろ」
友「げぇ! お前、同じ高校受けるのは知っていたがクラスまで同じとは」
女友「げぇってなんだ、ぶっとばすぞ」
116:
女「あの、小学生の時、私を事故から助けてくれた人ですよね」
男「事故? ……小学生の時に事故?」
女「あ、あの、いきなりごめんなさい」
男「それって、もしかして○○町の?」
女「は、はい! 覚えていてくれたんですね」
男「…………」
女「道を飛び出して車に轢かれそうになった私をあなたが
 飛び込んで歩道に突き飛ばしてくれたおかげで助かりました」
男「あの事故か……」
女「あの! あの時から、好きです!」
男「!?」
女「私と、付き合ってください」
119:
男「…………あの時から……」
女「はい。あの時、かっこいいと思いました。好きだなって思いました」
男「一目惚れ……?」
女「そんな感じかもしれません」
男「……なるほどね」
女「ずっと、ずっと、好きです!」
男「…………ごめん」
女「……」
男「嬉しいけど、ごめん」
120:
女友「……で? どうだったのよ」
女「フラれた」
女友「…………残念だったね」
女「でも。嬉しいって言ってくれた」
女友「よかったじゃん」
女「だから、また告白する」
女友「え」
女「嬉しいと思ってもらえるなら、いつか振り向いてくれるかもしれないから」
女友「……あんたって昔から凄くポジティブ」だよね」
121:
2
女「やっぱり諦められません! 付き合ってください!」
男「気持ちは嬉しいけど……」
122:
3
女「まだ好きです!」
男「駄目だ、ごめん」
123:
4
女「今日も! 今日も好きです!」
男「よくそんなに告白できるな……」
女「好きですから!」
男「…………」
125:
63
女(段々と告白する間隔が短くなって……最近では毎日だ)
男「おーい」
女(男くんと話すことは増えたし仲良くはなれたけど)
男「おーい、女!」
女(いつか振り向いてくれるかなぁ……)
男「女ってば!」
女「あ、はい!!」
男「今日委員長休みだから、実行委員の集まり代わりに俺と行ってくれよ」
女「は、はい!」
男「……なに笑ってるんだ」
女「これからも」
男「?」
女「これからも大好きです」
男「……」
127:
64
女友「それで、まだ好きなわけ?」
女「当然です」
女友「まぁ、知ってたけど」
女「いつか、いつか絶対に」
128:
女友「でも男くんも優しいよね」
女「え?」
女友「何度も何度もあんたから告白されて断ってるのに、普通に話してくれるじゃん」
女「もしかして……優しいからかな」
女友「え?」
女「男くんが優しいから、迷惑だけどいつも相手してくれてるのかな」
女友「あ、いや、そういう意味で言ったわけじゃないけど」
女「……ちょっと告白してくる」
女友「いまや日課だな…………」
129:
女「男くん!」
男「なんだ」
女「告白するので屋上まで来てください」
男「ここじゃダメなのか」
女「今日は気合を入れてるので」
130:
女「屋上って簡単に入れるんですね」
男「安全面的に大丈夫なのかな」
女「さて」
男「……」
女「告白をします」
132:
女「私の気持ちは変わりません。これからもずっと」
男「変わるかもよ?」
女「いいえ、変わりません」
男「自信満々だな」
女「……好きなんですよ」
男「……わかってるよ」
女「愛してます」
男「知ってる」
133:
男「もう64回目だよ」
女「ほら、ちゃんと覚えてくれてる」
男「……」
女「一回一回の告白をちゃんと覚えてくれてるんだ」
男「まぁ、いろいろされたからな」
女「優しい。やっぱり大好きです」
134:
男「でも、俺も変わらないよ。ごめん」
女「わかってます」
男「うん」
女「男くんは優しいから、多分65回目の告白をしても
 しっかり相手してくれるんでしょう」
男「どうかな」
女「だから、もう優しさに甘えないことにします」
136:
男「どういうことだ?」
女「次の、65回目の告白を最後にします」
男「……それは助かる」
女「ここぞという時のためにとっておきます」
男「……わかった」
女「絶対良い返事をしてもらえるような、素敵な告白をします」
男「……」
女「お楽しみに」
137:
65
友「いよいよ文化祭当日だな」
男「わかってるなら手伝えよ、忙しいんだ」
138:
委員長「男くん、友くん、お疲れ様」
友「あ、委員長!」
男「お前は何も疲れてないだろ」
委員長「結構よくできたじゃん。今日は頑張ろうね!」
男「うん、頑張ろう」
139:
友「おい、わかってんのか」
男「なんだ?」
友「お前を実行委員にした理由忘れてないだろうな」
男「委員長に返事をするためだけど……」
友「だけどじゃねえよ。今日で文化祭も終わるじゃねえか」
男「……」
友「せっかく話すタイミングをたくさん作ってやったのに」
男「……わかった、いってくる」
友「お化け役は俺にまかせろ。しばらく戻ってこなくて大丈夫だ」
男「すまん、じゃあ頼む!」
141:
女友「へぇ、いいとこあるんだね」
友「見てたな、きさま」
女友「まぁ、男くんより顔が化け物みたいなあんたがお化け役をやったほうがいいか」
友「なんだとこのやろ」
女友「ようやく委員長への告白の返事か」
友「なんだ知ってたのか」
女友「まぁね」
友「告白といえば最近女ちゃんが男にアタックしているのを見ないな」
女友「もう見ることないかもね」
友「え?」
142:
屋上
委員長「ここってこんなに簡単に入れたんだ……大丈夫なのかしら」
男「俺もこの前思ったよ」
委員長「文化祭実行委員が二人とも抜け出しちゃまずいんじゃない?」
男「俺の親友がなんとかしてくれてるさ。それに、すぐ終わる」
委員長「……」
男「待たせ過ぎたね」
144:
男「告白の返事なんだけど」
委員長「やっぱり、そのことだよね」
男「……ごめん」
委員長「…………わかってたよ」
男「え?」
委員長「だから、そんな申し訳なさそうな顔しないで」
男「……」
委員長「やっぱり女ちゃんが好きなんでしょ?」
男「いや、え」
委員長「なんでいつも告白を断ってるかは知らないけど、見ていたらわかるよ」
男「えっと……」
委員長「私は男くんを好きになったんだぞ
 サービスで正直に答えてくれてもいいじゃない」
146:
男「好きだ」
委員長「……」
男「昨日も、今日も、明日も、毎日、女が好きだ」
委員長「だと思った」
男「ごめん」
委員長「いいなー……両想いか」
男「いや、二人とも片想いさ」
149:
女「あー! ここにいた!」
委員長「バトンタッチ」
女「あ、え!?」
男「あの! ……行っちゃった」
女「もしかしてタイミングが悪かったでしょうか」
男「いや、言うタイミングをずっと逃していたのは俺だ」
153:
女「あ、風船」
男「三年生のどこかのクラスの企画らしい」
女「どんどん飛んでく、綺麗。どんどん」
男「風船に手紙をつけてたくさん飛ばすんだってさ
 落ちた人から返事がくるかもしれない」
女「いつ返事がもらえるかわからないね」
男「返事をもらえるかもわからない」
女「それに比べて、毎回返事をもらえてる私は幸せ者か」
男「ごめん」
女「私ポジティブだから」
154:
男「……俺には双子の弟がいた」
女「うん」
男「小学生の時、道で車に轢かれそうになっていた女の子をみつけたんだ」
女「うん」
男「弟はその子を突き飛ばした。女の子は助かった」
女「その話、知っています」
157:
女「その子はきっと、自分を助けてくれたヒーローに恋をして
 もう一度会ってお礼と想いを伝えるために必死にさがしたと思います」
男「ところが、悲しいことにもう会うことはできなかった」
女「……」
男「弟が死んだからだ」
164:
男「体が生まれつき弱かったんだ。事故があった日、帰ってきた後にすぐ発作が起きて倒れた」
女「私を助ける時に、無茶をしたりしたから」
男「それは違う。弟は女の子を助けたってずっと自慢していた」
女「……そんなことを知らない私は」
男「そんなことを知らないその子は、高校に入ってから俺の元に現れた
 双子の兄である、俺の元に」
女「これはこれで、運命だったんですね」
168:
男「すぐに弟と勘違いしていることに気づいた俺はもちろん断った」
女「なんでその時に言ってくれなかったんですか」
男「君が自分のせいで弟を死なせたと早とちりするんじゃないかと思ったから」
女「まぁ……お互い初めて話したわけでしたから
 そのほうがいいかと考えるかもしれないですね」
男「誤算だったのは君が、その後何度も何度も諦めずに告白をしてきたことだ」
170:
女「わかってました。私のために人違いだと黙ってくれていたこと」
男「……いつから気づいていた?」
女「10回目の告白をしたあたりですかね」
男「お前が俺にしつこく告白をしていると周りで噂になり始めた頃か」
女「なんだか様子がおかしいと思い始めていたんです
 そんな時、男くんに双子の弟がいたという話を耳にしました」
男「小学校から一緒のやつらはみんな知ってるから不思議じゃないか……」
女「私はその時、ピンときたんです
 なんだか事故のことを男くんはあまり覚えていないみたいだし
 もしかしたら、私を助けてくれたのは弟さんの方なんじゃないかって」
男「大正解、顔がそっくりだったんだ」
171:
女「だけど、その時思ったんです」
男「ん?」
女「私のためを思って弟さんが亡くなったことを隠している
 そんな優しいところが大好きだって」
男「……」
女「命の恩人は弟さんだけれど、私が今好きなのは、確かに男くんなんです」
男「…………」
女「だから、私も男くんの優しさに合わせて嘘をつくことにしました」
174:
男「そうだったのか……ごめん」
女「こちらこそ、黙っていてごめんなさい」
男「……それじゃ、みんな知っていたのか」
女「はい。……みんな、知っていました」
176:
女「男くんは凄い人です。誰にでも優しい」
男「俺はいままで自分を偽っていた」
女「?」
男「お前に何度も告白をされるうちにだんだんと心が動いていた
 だけど、この好意は俺じゃなくて弟へ向けられたものなんだ」
女「……」
男「だから俺がそれにこたえちゃいけない、そう思っていたんだ
 俺はどうやらいつの間にか弟を好きなお前を好きになっていたんだ」
女「………………それは知らなかったなぁ……」
179:
女「でもさっき言った通り、弟さんのこと、途中で気づいていたんですよ」
男「……本当に俺に向けての好意なのか?」
女「不思議なことにだんだんと好きな気持ちが増していったんです
 男くんは本当にいいところがいっぱいあるんですよ」
男「…………なんだ、両想いか」
180:
男「たくさん人が向かってくるな」
女「文化祭が始まりますね」
男「一緒にまわる相手決まってる?」
女「決まってませんよ。彼氏もいないんですから」
男「せっかくなら文化祭までに相手がいた方がいいよね」
女「ずるいなぁ、告白したくなっちゃうじゃないですか」
181:
女「愛してます」
男「知ってる」
女「ふふ、でしょうね」
男「俺も愛してる」
女「知ってます」
男「だろうな」
女「私と付き合ってください」
男「喜んで」
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