男「…へ?」 お水女「だからぁ」back

男「…へ?」 お水女「だからぁ」


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みんな幸せになってほしい
30: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:26:15.47 ID:50g9sk9/o
〜隣の部屋〜
男「…」
幼女 スヤスヤ
男(なんでだろう…幼女の寝顔を見てると…なんだかほっとする…)
幼女「…んう…」モゾモゾ
男(あ、寝ながらなんか探してる…)
幼女「…ん…おとこぉ…」
男「あ」ギュッ
幼女 ニコッ スヤスヤ…
男(無意識に手を握っちまった…けど…なんでこんなあったかい気持ちになるんだ…)ナデナデ…
ドアの陰:お水女(そっか…記憶…戻っちゃったんだ…)
32: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:27:38.07 ID:50g9sk9/o
〜朝〜
男(結局あれから寝ることもなく普段の生活の様子とか幼女ちゃんのこととか話してて一睡もせず…)
男(お水女も眠いだろうに…)
お水女「…とりあえずさ、親とか…婚約者にも連絡しといたほうがいいよ」
男「う、うん…」
お水女「思い出したんでしょ?電話番号。うちの電話使っていいからさ」
男「ありがとう…とりあえず先に親のとこに…」ピッポッパッ
ピンポンパンポーン アナタノ オカケニナッタ デンワバンゴウハ ゲンザイ ツカワレテオリマセン バンゴウヲ オタシカメノウエ…
男「…え?」
33: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:28:16.19 ID:50g9sk9/o
お水女「どうしたの?」
男「いや…もう一回…」ピッポッパッ
ピンポンパンポーン アナタノ…
男「あれ?…」
お水女「ねえ、どうしたの?」
男「いや…電話が繋がらないんだ…」
お水女「え?」
男「ナンバーディスプレイで確認して掛けたのに…なんでだ?」
34: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:29:26.52 ID:50g9sk9/o
お水女「…ケータイは?」
男「え?」
お水女「ご両親…ケータイ持ってないの?」
男「持ってるけど…番号覚えてない…」
お水女「え?」
男「ほ、ほら!アドレス帳に登録してたからさ、いつもそれで掛けてたし…固定電話のほうはガキの頃から使ってたから覚えてたけど…」
お水女「ダメじゃん!じゃあさ…婚約者のところにかけてみたら?」
男「番号が…」
お水女「思い出せないの?」
男「う、うん…」
お水女「…大事な人の番号ぐらい覚えときなよぉ」
35: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:30:08.29 ID:50g9sk9/o
男「ごめん…あ!」
お水女 ビクッ
男「あ、ごめん、大声出して…幼女が起きちまうな…」
お水女「…まだ寝てるみたい。で…どうしたの?」
男「会社に電話してみよう。仲のいい先輩がいたから多分何があったかわかると思うんだ」
お水女「そうだね」
男「えっと…」ピッポッパッ
プッ プルプルプルプル ガチャ
社員『はい、○×株式会社です』
36: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:30:35.75 ID:50g9sk9/o
男「あ、すみません。男と言いますが…先輩は出社していますか?」
社員『少々お待ちください…先輩と言う名前のものは当社には在籍しておりませんが』
男「え?いや…2年前には在籍していたはずです」
社員『…少々お待ちください…センパイッテシッテル?…2ネンマニ?…お待たせしました。先輩と言うものは確かに弊社に在籍しておりましたが、2年ほど前に退職しております』
男「え?そうなんですか」
社員『はい。では、失礼します』
男「あ、はい。失礼します…」ガチャ
37: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:31:39.90 ID:50g9sk9/o
お水女「どうだったの?」
男「うん…会社を辞めてた…」
お水女「え?それじゃ…」
男「お手上げ…だな」
お水女「…ねえ」
男「ん?」
お水女「それじゃあさあ…実家に手紙を書いてみたら?」
男「なんで?引っ越してるかもしれないのに?」
お水女「もし引っ越したんなら転送届けだしてるんじゃない?」
男「転送届け?」
38: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:32:14.11 ID:50g9sk9/o
お水女「そう。引越しするときって手紙とか小包とかを新しい住所に届けてくれるように転送届けを出すんだよ」
男「へえ…」
お水女「期間は半年ほどなんだけどさ、手紙が届く可能性もあるし…やってみたら?」
男「そうだな…書いてみるわ」
お水女「うん。返事が来るといいね」ニコッ
男「ありがとう」
お水女「いいよぉ。今までずっと一緒に暮らしてたんだしさ」
男(お水女って…ホントにいいやつだな…)
お水女「…さ!じゃあ家のことは男に任せるね♪」
男「おい」
39: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:32:46.88 ID:50g9sk9/o
お水女「いつものことじゃん。よろしくね」ニコッ
男(いつもって…まあ世話になってるし…しょうがないか)
お水女「じゃあ、ちょっと寝るね。仕事で疲れてるし…」
男「そういや、お水女って何の仕事してるんだ?」
お水女「…ホステス」
男「ホステス?」
お水女「学がないからね…でも!体は売ってないからね!!」
男「お、おう」
お水女「…じゃあ、お休み。幼女も昨夜夜更かししてたから昼頃まで寝てるだろうし…男も寝たほうがいいよ?」
男「あ、うん…」
40: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:33:40.27 ID:50g9sk9/o
〜お昼頃〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜男の夢〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ブロロロロ
 男「なんで…なんで…」
 男「うわああああ!!!」ガンガン
 キュキュキュキュ
 男(うお!ハンドルをたたいたからスリップした!!)
 男(やばい!電柱にぶつかる!!)
 ドゴオォォォン!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ドスン
男「ぐえっ!」
41: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:35:45.55 ID:50g9sk9/o
幼女「おとこ、おきた?」
男「…幼女?」
幼女「おなかすいたー!ごはんー!!」
男「あ、ご飯な…今何時だ?」
幼女「ちーさいはぃがいちといちのとこぉだよ?」
男「11時か…起きるから降りて」
幼女「うん!」
男「2時間しか寝れなかった…それにしても…」
男(…さっきの夢は何だったんだ?)
 ・
 ・
 ・
42: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:36:33.69 ID:50g9sk9/o
男「トーストでいいか?」
幼女「うん」
男「えっと、食パンは…」ゴソゴソ
幼女「ぎゅーにゅーいぇたよー」
男「あ、ありがとな」
幼女「どーいたしまして♪」
チーン
男「お、食パンも焼けたな。あちっとっと。はい、どうぞ」
幼女「あぃがとー。いただきます」パチン
男「ははは。いただきます」
モグモグ
43: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:37:21.13 ID:50g9sk9/o
男「あ、お水女…お母さんは?」
幼女「まだねてぅよ?」
男「そっか。起きる時間までおとなしくしてような?」
幼女「うん」
男(お水女は幼女と一緒に寝てるんだったな…俺は隣の部屋で一人で寝てて…)
幼女「どーしたの?」
男「あ、いや…なあ」
幼女「なあに?」モグモグ
44: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:37:52.73 ID:50g9sk9/o
男「幼女はお母さんは起こさないのか?」
幼女「うん。おかーさん、いつもねぅのがおそいかぁ、おこさないよーにって、おとこがいつもいってぅかぁね」ニコッ
男「そっか。幼女は優しいんだな」
幼女「そーかな?」
男「うん。いい子だ」ナデナデ
幼女「えへへへ」
 ・
 ・
 ・
45: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:38:19.00 ID:50g9sk9/o
男「…よし。洗濯終了!」
幼女「おーっ」パチパチ
男「昼飯は…さっきパン食ったとこだしなぁ…先に買い物に行くか」
幼女「おとこおとこ!」
男「なんだ?」
幼女「ちょこかって!」
男「虫歯になるからダーメ。な?」
幼女「うー…」プクッ
男「…ポテチならいいぞ?」
幼女「やた!」
男「じゃあ行くか」
幼女「うん!」
 ・
 ・
 ・
46: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:38:45.25 ID:50g9sk9/o
男「ただいま」
幼女「ただいまー」
男「お水女は…まだ寝てるな」
幼女「じゃあ、しずかにしなきゃね」
男「そうだな。じゃあDVDでも見るか?」
幼女「あなゆきがいい!」
男「ははは。じゃあ掛けるぞ。そこに座ってな」
幼女「はーい」
 ・
 ・
 ・
47: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:39:20.12 ID:50g9sk9/o
ガチャ
お水女「おはよー…」
男「あ、おはよう」
幼女「おはよー」
お水女「何時ぃ?」
男「えっと…2時半だな」
お水女「ん…じゃあお昼食べなきゃ」
男「じゃあ俺たちもお昼にするか」
48: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:39:47.32 ID:50g9sk9/o
幼女「なにたべぅの?」
男「おにぎりにするか。具は何がいい?」
幼女「しゃけー!」
お水女「梅かなぁ?」
男「よーし。じゃあ鮭と梅と…俺は昆布のおにぎりだな。ちょっと待ってな」
お水女・幼女「「はーい」」
 ・
 ・
 ・
49: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:40:19.35 ID:50g9sk9/o
ブィーン…
お水女「いつもありがとね」
男「ん?なにが?」
お水女「ご飯も掃除も洗濯も…助かるよ」
男「ああ。俺のほうこそ養ってもらってるし。ありがとな」
幼女「おとこー。そーじきかして」
男「ん?どっかかけ忘れてるのか?」
幼女「えっと…」
50: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:41:05.56 ID:50g9sk9/o
男「あ。さては…」
幼女「なんにもしてないもん!」
男「…やっぱり。ポテチこぼしたな?」
幼女「うー…ごめんなさい…」
男「いいよいいよ。ちゃんと謝ったしな。掃除機掛けるからちょっとどいて」
幼女「はーい…」
お水女(この二人…ホントの親子みたいだねぇ…)
 ・
 ・
 ・
51: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:42:11.89 ID:50g9sk9/o
お水女「行ってきます」
男「いってらっしゃい」
幼女「おしごとがんばってね」
お水女「はい。じゃあ」ノシ
幼女「いってぁっしゃーい」ノシ
バタン
男「…さて、先に晩御飯作るか」
幼女「おてつだいすぅよ?」
男「じゃあ、テーブル拭いといて。はい、布巾」
幼女「はーい」
 ・
 ・
 ・
52: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:42:41.43 ID:50g9sk9/o
チャポン
男「やっぱ風呂は気持ちいいなぁ…」
幼女「うー…もうあがぅー」
男「じゃあ十まで数えてからな。いーち、にーい」
幼女「さーん、しー、ごー…」
 ・
 ・
 ・
53: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:43:08.32 ID:50g9sk9/o
男「…と言うわけで、おじいさんとおばあさんは幸せに暮らしたとさ」
幼女「よかったね」
男「もう九時半だから寝なさい」
幼女「ん…」モゾモゾ
男「ちゃんとお布団かぶって…」ポンポン
幼女「…おとこ」
男「ん?」
54: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:43:36.10 ID:50g9sk9/o
幼女「…おてて」
男「ん」キュッ
幼女「ん…あったかいね」
男「幼女のお手てもあったかいぞ?」
幼女「えへへ…おやすみ」
男「はい、お休みなさい」
幼女「…スー…スー…」
男「寝つきがいいな。俺もお水女が返ってくるまで仮眠とるか」
 ・
 ・
 ・
55: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:44:02.38 ID:50g9sk9/o
ピピピピッ ピピピピッ カチッ
男「ん…もう1時か…そろそろ起きるか」
男(幼女を起こさないように…と)モゾモゾ
男「…さて、お水女が帰ってくるまでコーヒーでも飲んでのんびりするか」
 ・
 ・
 ・
56: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:44:31.11 ID:50g9sk9/o
男「2時か…そろそろ帰ってくるかな?」
ガッ ガチャ
お水女「ただいまー」
男「お帰り」
店長「なんだ、普通じゃねえか」
男「え?えっと…どなたですか?」
お水女「店長だよ。あたしの勤め先の」
店長「勤め先って言ってもクラブだけどな」
57: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:44:58.61 ID:50g9sk9/o
男「あ、お水女がお世話になっています」ペコッ
店長「いやいや。つうか…ホントに記憶が戻ったんだな」
男「はい?」
店長「いや、ついこの前までは俺が来たら警戒してたのに、今日は全然警戒してねえし」
男(け、警戒って…何を警戒するんだ?)
店長「どうだ?俺の世話にならないか?」
男「へ?」
58: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:45:25.54 ID:50g9sk9/o
お水女「あはは。店長ホモだもんね」
男「え?そっちの意味?仕事じゃなくて?」
店長「俺はいつでもオッケーだぜ?」ニヤッ
男「え、遠慮します」コソコソ
お水女「店長!」
店長「ははは。男に手を出したらお水女にはったおされそうだ」
男「ははは…」
59: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:46:01.28 ID:50g9sk9/o
店長「にしても…幼女ちゃんはもう寝てるのか」
男「あ、はい」
店長「最近幼女ちゃんに会ってないから久しぶりに顔を見たかったんだけどな…」
お水女「前は保育園が終わったらお店に連れてってたから店長が面倒見てくれてたもんね」
店長「ははは。店長なんて何かあった時に出張りゃあいいだけだから暇だったしな」
男「そうだったんですか…」
お水女「保育園はお店が終わるまでなんで見てくれないもんね」
男(そりゃあ…夜中の1時までなんて見てくれないわな)
60: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:46:30.45 ID:50g9sk9/o
お水女「ホント…店長には感謝してます。幼女を抱えて仕事もできないあたしを雇ってくれて…」
店長「そりゃあな。今にも自殺しそうな暗い顔して橋の上から川を見つめてるオンナがいりゃあ…気になるのは当たり前だろ」
店長「それに…お水女、いい顔立ちしてるから人気が出るってわかってたしな」
お水女「しかもあのころは毎晩家まで送ってくれて…」
店長「店が終わるのは真夜中だからな。寝てる幼女ちゃんを起こすわけにはいかねえし」
男「へぇ…」
店長「それが、男と暮らすようになってからは幼女ちゃんと遊ぶこともなくなって…ちいとばかし寂しくなったな」
男「え?」
61: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:47:06.74 ID:50g9sk9/o
店長「…こう見えても俺は子供好きなんだ。だから結構楽しんで幼女ちゃんの世話してたんだぞ?」
お水女「おかげですごく助かりました」
男(店長さん…強面だけど根はいい人なのかな…)
店長「…じゃ、俺は帰るわ。明日もよろしくな」
お水女「はーい。今日は送ってくれてありがとうございました」ペコッ
店長「いやいや。男の顔も見たかったしな」ニヤッ
男「えっと…」
店長「じゃあな。おやすみ」ポンポン
男(なにげに尻触らないでください!)
お水女「おやすみなさーい」
バタン
62: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:47:49.35 ID:50g9sk9/o
男「…ふぅ」
お水女「気にしないでいいよ。根はいい人だから」
男「あ、ああ…」
男(けど…あの眼はマジだった…)
お水女「じゃあ、先にお風呂入るね」
男「あ、着替えは出してあるから」
お水女「何から何までありがとね」
男「専業主夫だからな」
お水女「ふふふ」
バタン
男(覗いちゃだめだよな…)
 ・
 ・
 ・
63: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:48:16.12 ID:50g9sk9/o
お水女「お風呂あがったよー」ホカホカ
男「はい。ご飯できてるよ」
お水女「ありがとね」
男「じゃあ、俺は先に寝るわ」
お水女「…ねえ」
男「ん?」
お水女「ホントに…帰らなくていいの?」
男「…」
64: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:48:50.40 ID:50g9sk9/o
お水女「心配してるんじゃない?親御さんとか…婚約者とか…」
男「…ごめん。まだ記憶をなくしたときのことを思い出せないんだ…だから不安でさ…」
お水女「不安?」
男「だって…考えてみろよ。記憶をなくすような出来事なんだぞ?相当なことだと思うんだ」
お水女「うん…そうかもね…」
男「それが思い出せないと…帰ったらどんなことになってるか分からないだろ?」
お水女「そうだけどさ…」
65: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:49:16.35 ID:50g9sk9/o
男「…今日さ、親に手紙を書いて出したから、その返事が来るまで待ってみたいんだ」
男「それに…金もないしな。ははは」
お水女「…わかった。男がそうしたいんならそれでいいよ」
男「心配してくれてありがとな」
お水女「ううん」
男「…飯、早く食って寝ようぜ。な?」
お水女「うん」
お水女(男…やっぱりずっといてほしい…)
66: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:50:33.74 ID:50g9sk9/o
〜翌日〜
ピピピピッ カチッ
男「…6時か…」
男「今日は…幼女は保育園だな…着替えとか用意してやんないと…」モゾモゾ
男「…よし!起きよう」ガバッ
 ・
 ・
 ・
67: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:50:59.57 ID:50g9sk9/o
男「幼女ー。お着替えすんだか?」
幼女「もうちょっと…できたよー」
男「よしよし。じゃあ保育園に行くか」
幼女「はーい」
ガチャッ
幼女「おかーさん、いってきまーす」ヒソヒソ
男(お水女を起こさないように小声で…いい子だ)
 ・
 ・
 ・
68: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:51:30.08 ID:50g9sk9/o
〜保育園〜
幼女「いってきまーす」ノシ
男「楽しんで来いよーって、もう聞こえてないか」
保母「おはようございます」
男「あ、おはようございます」
保母「…幼女ちゃん、明るくなりましたね」
男「そうですか?」
保母「ええ、初めてここに来た時は周りの様子をうかがって、なかなかお友達ができなくて…」
保母「でも、男さんが送り迎えするようになってからはだんだん明るくなって、お友達もできましてねぇ」
保母「…男さんのおかげですね」
69: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:52:01.72 ID:50g9sk9/o
男「いえいえ。私は何もしてませんよ。保母さんたちの努力のおかげです」
保母「…そうじゃないと思いますよ?」
男「え?」
保母「男さんが送り迎えする前は…送ってくるときはお母さんだったんですが」
保母「お迎えの時は何人かの若い男の人が交代できてて…幼女ちゃんも気を使ってたみたいですね」
男「若い男って…」
保母「何でもお母さんのお勤め先の人らしいですよ?」
男(そういや前に店長さんが幼女の面倒見てたって言ってたな…幼女のお迎えは店の若いのが担当してたのか…)
保母「あ、そろそろ時間ですね。じゃあ、幼女ちゃんお預かりします」
男「よろしくお願いします」ペコッ
男(さて、買い物して帰るか)
70: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:52:30.10 ID:50g9sk9/o
〜アパート〜
ドサッ
男「まずは買ってきたものを冷蔵庫に入れて…」ガサガサ
パタン
男「次は部屋の掃除と風呂掃除っと…」
 ・
 ・
 ・
男「…そろそろ12時だな…昼飯作るか」
男「今日の昼は焼うどんだからもやしと豚肉を冷蔵庫から出して…」ガサガサ
 ・
 ・
 ・
71: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:52:57.82 ID:50g9sk9/o
男「そろそろ2時か…お水女を起こすか」
ガチャ
お水女 スー…スー…
男(よく寝てる…整った顔してるなぁ…すっぴんでも美人だ…)
男「おーい。そろそろ起きる時間だぞー」ユサユサ
お水女「…ん…もうそんな時間?」
男「ああ。焼うどん作っといたぞ」
お水女「ありがと…起きるね…」モゾモゾ
男「キッチンにいるから。一緒に食べようぜ」
お水女「うん」
 ・
 ・
 ・
72: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:56:07.40 ID:50g9sk9/o
男「はい、お釣り。レシートは家計簿に挟んどいたから」
お水女「ありがとね」
男「いえいえ。それよりもう3時だけど」
お水女「お化粧したし、もう出られるよ」
男「じゃあ幼女を迎えに行かないとな」
お水女「うん」
73: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:57:05.44 ID:50g9sk9/o
〜保育園〜
お水女・男「「こんにちわは」」
保母「あ、はーい。幼女ちゃん、お迎えが来たよー」
幼女「はーい。じゃあみんな、またねー」ノシ
モブ園児「「「ばいばいーい」」」ノシ
トテテテ
幼女「おかーさーん」ダキッ
74: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:57:34.53 ID:50g9sk9/o
お水女「お帰り。今日もいい子にしてた?」ナデナデ
幼女「うん!」
お水女「そっか。じゃあお手て繋いでいこっか」キュッ
幼女「えへへへ。おとこもつなご?」
男「はいはい」キュッ
幼女「ぶぁんこしてー」
お水女「よーし。それーっ!」グイ
幼女「わーい♪」ブラーン
男「ははは」
 ・
 ・
 ・
75: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:58:00.83 ID:50g9sk9/o
お水女「もう5時かぁ…じゃあここで」
男「うん」
幼女「おかーさん、おしごとがんばってね」
お水女「はーい。行ってきます」ノシ
幼女・男「「いってらっしゃーい」」ノシ
男「…じゃあ、暗くなるまで公園で遊ぶか」
幼女「うん!」
 ・
 ・
 ・
76: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:58:34.25 ID:50g9sk9/o
男「さて…と。洗い物も終わったな…もう9時か。幼女、もう寝る時間だぞ」
幼女「はーい」
男「今日は…じゃーん!白雪姫だぞ!!」
幼女「わーい♪はやくよんでー」
男「よしよし。昔々あるところに…」
 ・
 ・
 ・
77: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:59:19.78 ID:50g9sk9/o
ピピピピッ ピピピピッ ピッ カチッ
男「…もう1時か…お水女の晩飯温めなおさなきゃ…」モゾモゾ…
 ・
 ・
 ・
ガ ガチャ
お水女「ただいまー」
男「おかえり。ご飯できてるよ」
お水女「ありがとねー」
店長「…」
男「あ、店長さん。今日も送ってくれたんですか?」
店長「男に会いたくてな」ニヤッ
男「あはは…」
78: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 00:59:58.11 ID:50g9sk9/o
店長「…なあ。ちょっと出ないか?」
男「え?」
店長「お水女。ちょっと男、借りるぞ?」
お水女「え?」
店長「心配すんな。ちょっと話をするだけだ」
男「…」
お水女「…男、行きたくないんなら…」
男「…いや、行ってくる。すぐに戻ってくるよ」
店長「すまんな」
男「いえ…」
79: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:00:53.21 ID:50g9sk9/o
〜コンビニの駐車場・店長の車の中〜
男(ベンツ…しかも本革張りのシートなんて初めて乗った…)
ガチャ
店長「買ってきたぞ。ほれ、コーヒーだ」
男「あ、ありがとうございます…」
バタン
店長「奢りだ。気にせず飲め」
男「じゃあ…いただきます」
プシッ
80: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:01:27.86 ID:50g9sk9/o
店長「…ふう。あったけえなぁ」
男「そうですね…あの…」
店長「ん?」
男「えっと…話って…」
店長「ああ…お前はお水女のこと、どう思ってるんだ?」
男「え?」ドキッ
店長「お水女、お前の記憶が戻ってから…なんか様子が変でな…」
店長「それで…話を聞いたらお前…婚約者がいるんだって?」
ドクン
男(や、やっぱり…婚約者のことを考えると動悸が…)ブルッ
81: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:01:55.23 ID:50g9sk9/o
店長「…おい、大丈夫か?」
男「は、はい…すいません…」
店長「それで…お前はどうするんだ?」
男「…わかりません」
店長「おいおい…」
男「すいません…まだ完全に記憶が戻ったわけじゃなくて…ただ…」
店長「なんだ?」
男「なんとなくですけど…俺が記憶をなくしたことに婚約者が関係してるような気がして…」
店長「…」
82: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:02:21.78 ID:50g9sk9/o
男「だから…それを思い出すまで…帰らないほうがいいような気がして…」
店長「…それはお水女にも言ったのか?」
男「はい…」
店長「…ふーん。なるほどねぇ」
男「すいません。はっきりしなくて…」
店長「…いや、いいんだ」
83: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:02:51.74 ID:50g9sk9/o
男「…あの」
店長「なんだ?」
男「店長さんは…お水女のこと…どう思ってるんですか?」
店長「お水女は俺の店の大事なキャスト。それ以上でもそれ以下でもない」
男「じゃあ…なんでこんなに気にするんですか?」
店長「…幼女ちゃんの母親だからだよ」
男「幼女の?」
店長「言ったろ?俺はガチホモだが子供好きでな。幼女ちゃんが大好きなんだ」
店長「幼女ちゃんは…俺がオシメ変えてミルクやって…泣いたらあやしたりして…そうやって面倒見てきたんだ」
店長「だからだよ」
男「…」
84: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:03:22.59 ID:50g9sk9/o
店長「…信じらんねえって顔してんな」
男「はぁ…」
店長「…ま、こんな成りしてっからしょうがねえな」
男「あ、いえ…」
店長「…ちっとばかし昔話でもするか」
男「昔話?」
店長「ああ。今から4年ほど前の話だ。そのころ俺はオンナなんて金を稼ぐための道具ぐらいにしか考えてなかったんだ」
店長「それが…店に行くために駐車場から出たら橋の上にお水女が立っててな」
男「…」
85: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:03:54.99 ID:50g9sk9/o
店長「まあ、いつもなら無視して帰るんだが…よく見るとお水女、赤ん坊を抱いててな」
店長「元々子供好きだったし冬だったから赤ん坊のことが気になっちまってな…つい声をかけちまったんだ」
店長「そしたらお水女、なんて言ったと思う?」
男「…さあ…」
店長「『お金貸してもらえませんか?』ってよ」
男「え?」
86: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:04:27.34 ID:50g9sk9/o
店長「ふっ…俺もな、そんな感じだったよ。それで話を聞いたら…仕事をなくして住むとこもないって言うんだ」
店長「しかも借金もあるって言うんでな、つい言っちまったんだ。『とりあえず店に来るか?』ってな」
店長「それでまあ、クラブの事務所で詳しく話を聞いたら、保証人になったせいで借金まみれで自殺した父親の借金を背負っちまって…」
店長「高校中退して、昼はメイド喫茶、夜はスナックで働いてたんだと」
男「…あの…お水女の母親は…」
店長「…お水女が言うには…父親が借金背負った途端どっかに行っちまったんだとよ」
男(借金逃れか…)
87: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:05:02.53 ID:50g9sk9/o
店長「…それで借金は少しずつ返してたんだが…スナックの客との間に子供作っちまって、しかもその客に逃げられちまったんだと」
店長「もう中絶もできない時期だったらしい。しかも腹ボテじゃメイドもスナックも働けねえ。頼れる人もいねえ。お水女…結局一人で幼女ちゃんを生んだらしい」
店長「けどよ、働かなけりゃ借金返済どころか生活だって出来ねえ。住んでたアパートも家賃滞納で追い出されて…」
店長「それで…橋の上で途方に暮れてたんだとよ」
男「…借金はどれぐらいあったんですか?」
店長「…詳しくは知らん。親父さんの生命保険やらなんやらである程度返済して…」
店長「それでもまだ2000万ぐらい残ってるって言ってたなぁ、あの時は。多分、今でも500万か600万はあるだろう」
88: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:05:34.16 ID:50g9sk9/o
男「…自己破産とか生活保護は…」
店長「それは相手にうまくしてやられたんだ。残務の借り換えってやつを使ってな」
男「残務の借り換え?」
店長「…自己破産が認められない場合の一つに、借入期間が短い場合がある。つまり、借金をしてから一年以内の場合は自己破産ができないんだ」
店長「貸したほうが期限を切り、それまでに返せない場合は他から借りて返させる。そうするといつまでたっても自己破産はできない」
男「ひでえ…」
店長「生活保護なんざ、健康そうだったらそれだけで撥ねられることもある。役所なんてもんは当てにはならねえよ」
男「…」
89: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:06:10.05 ID:50g9sk9/o
店長「…ま、そこまで話を聞いちまったらなぁ…赤ん坊が不憫に思えてよ…うちで働けって言ったんだ」
店長「そしたらすぐに人気が出てな。俺は事務所で幼女ちゃんの面倒見てたから黒服からの又聞きなんだが…」
店長「お水女、すっげえ接客上手でよ。ほかのキャストが嫌がるような客とでも嫌がることなく笑顔で接客しやがんだ」
店長「しかもほかのキャストにも気を使って、店の雰囲気がすごく良くなってな。店の売り上げも上がっていったんだ」
男「…」
店長「で、ある時聞いたんだ。お水女のおかげで店の雰囲気も良くなったし売り上げも上がったから、ボーナスでも出そうかってな」
店長「そしたらお水女、なんて言ったと思う?」
男「…恩返し?」
店長「…」
90: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:06:38.57 ID:50g9sk9/o
男「…俺、なんか変なこと言いました?」
店長「いや…なんでそう思った?」
男「いや…俺だったら店長に感謝して恩返ししたいって…」
店長「…お水女がお前と一緒に暮らしてる理由が分かったよ。お前ら、考え方が一緒なんだな」
男「はあ…」
店長「よくもまあそんな恥ずかしいことが言えるもんだ…まあ、それを聞いて俺も考えを改めたんだがな」
男「何をですか?」
店長「…オンナたちもこの世の中、必死にもがいて生きてるんだ。だから…もうちっとばかしキャストのことも考えてやるかってな」
男「…店長さん、いい人ですね」
店長「けっ。よせやい。ケツがムズムズすらあ」
男「ははは」
91: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:07:21.23 ID:50g9sk9/o
店長「…お水女はオトコを信用していない。そんなお水女が男、お前にだけは幼女ちゃんを預けている」
店長「そのことをよく考えてくれ。いいな?」
男「…」
店長「…お水女を泣かすようなことはするなよ?」
男「…」
92: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:07:54.31 ID:50g9sk9/o
店長「…話はこれで終わりだ。帰るか」
男「アパートまで送ってくれないんですか?」
店長「なんだ?俺に掘られたいのか?」ニヤッ
男「…ちょっとだけいいかなって思いました」ニコッ
店長「ははは。お前には手は出さねえよ。お水女に殺されらあ」
男(店長さん…やっぱいい人だ)
店長「あ、困ったことがあったら何でも言ってくれ。名刺を渡しておく」
男「はい。ありがとうございます」ペコッ
93: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:08:23.24 ID:50g9sk9/o
〜アパート〜
ガチャ
男「ただいまー…」
お水女「あ、おかえり!」
男「なんだ。まだ起きてたのか?」
お水女「男のことが気になって…店長に何かされなかった?」
男「あははは。何にもないよ」
お水女「ホントに?」
男「ホントホント」
94: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:09:07.17 ID:50g9sk9/o
お水女「じゃあ…何してたの?」
男「…幼女のことが大好きだって力説されたよ」
お水女「え?それだけ?」
男「うん。店長さん、幼女のこと溺愛してるんだな」
お水女「そりゃあね。あたしが仕事してる間、ずっと面倒見てくれてたんだもん」
男「そうだってな。じゃあそろそろ寝ようか」
お水女「そうだね。おやすみなさーい」
男(店長から聞いた話は話さないほうがいいな…)
95: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:10:03.91 ID:50g9sk9/o
〜数日後・幼稚園の帰り〜
幼女「きょうねー、ほいくえんでおゆーぎしたの!」
男「お遊戯?どんなことしたんだ?」
幼女「さーいーたー さーいーたー ちーぷっぷなのはながー♪」
お水女「ふふふ。ちーぷっぷじゃなくてチューリップでしょ?」
幼女「ちーぷっぷー!」
男「ははは。ちゃんと言えてないぞ?」
幼女「あぇ?ちーぷっぷ…ちーぃっぷ…」ブツブツ
96: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:10:31.56 ID:50g9sk9/o
お水女「そのうちちゃんと言えるようにわよ」
幼女「ほんと!?」
男「ああ。ホントだ」
幼女「うん!」
男(なんか俺…ホントの父親みたいだな…)
お水女「ふふふ。あ、もうこんな時間」
男「そっか。いってらっしゃい」
幼女「いってぁっしゃーい」ブンブン
97: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:11:00.22 ID:50g9sk9/o
〜アパート〜
幼女「ただいまー」
男「ただいま。郵便受けは…ん?手紙?」ガサゴソ
男(これは…俺が送った手紙か…やっぱり宛先不明で帰ってきたか…)
男(お水女には後で言っとこう。けど、これではっきりした。親父たち、どこかに引っ越したんだ…)
幼女「ねー、どうしたの?」
男「…いや、何でもない。おやつ食べるか?」
幼女「うん!」
98: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:11:36.17 ID:50g9sk9/o
〜真夜中〜
お水女「いただきます」
男「はいどうぞ」
お水女「…ふふふ」
男「ん?」
お水女「ううん。なんかいいなーって…」
男「なにが?」
99: ◆doBINqA5W6 2015/02/07(土) 01:12:04.91 ID:50g9sk9/o
お水女「いただきますって言ったら男がね…ちゃんと返事してくれるのが…ね?」
男「そ、そうか?」
お水女「うん。そう言うのって幸せだなーって思ってさ」
男「普通だろ?」
お水女「その普通がいいんじゃない。ね?」ニコッ
男(…ああ。お水女のその顔…俺いま結構幸せかも…)
109: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:44:45.29 ID:q5k8v/mto
〜数日後〜
幼女「いってきまーす!」トテテテ
男「おーい。コケるなよーって…もう保育園の教室に入って行っちまった…」
保母「おはようございます」
男「おはようございます」
保母「今日も幼女ちゃん、元気ですねー」
男「はい。あの…」
保母「なんでしょうか?」
男「幼女のこと、よろしくお願いします」ペコッ
110: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:45:38.41 ID:q5k8v/mto
保母「…ふふふ」
男「…なんですか?」
保母「いえ。本当のお父さんみたいだなって」
男「はあ…」
保母「責任をもってあずからせていただきます。ご心配なさらずに。ね?」
男「はい。じゃあ、失礼します」
男「…さて、スーパーによって…今日は何が特売だったかな?」
111: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:46:06.16 ID:q5k8v/mto
〜スーパーの前〜
男「まずは広告チェックだな…今日は豚バラとキャベツと卵が安いのか…今夜はお好み焼きかな?」
「男!」
男「え?…あ、先輩…」
先輩「やっぱり男か!貴様のせいでっ!!」グッ
男「ちょ!ちょっと先輩!!いきなり胸倉つかむって…なんですか!?」
先輩「お前!今までどこで何してたんだ!!」
男「すいません。俺…記憶喪失になってて…」
先輩「ざっけんな!何が記憶喪失だ!!そんな戯言信じられっか!!」ユサユサ
男「けど本当なんですって!なんでここにいるのかもわかってないんですよ!!」
112: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:46:39.08 ID:q5k8v/mto
先輩「…マジか?」
男「マジです」ゲホゲホ
先輩「…ちょっと落ち着けるとこに行こう。来い」グイッ
男(…まあ、いきなりいなくなったんだ。先輩が怒るのも無理はないか…)
113: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:50:49.80 ID:q5k8v/mto
〜近所のファミレス〜
先輩「…」
男(まいったな…先輩、さっきからなんか考えてるみたいで一言も話さない…)
先輩「お前…マジで記憶喪失なのか?」
男「あ、はい。婚約者がいたことは思い出したんですが…なんで記憶喪失になったのかはまだ…」
先輩「…」
男(またなんか考えてる…)
114: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:51:33.86 ID:q5k8v/mto
先輩「…まあ」
男 ピクッ
先輩「…無事でよかった」
男「はい?」
先輩「妻も気にしてたぞ?」
男「そ、そうですか…」
先輩「それに会社のほうもいろいろあってな…」
男「ちょっと待ってください」
115: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:52:04.26 ID:q5k8v/mto
先輩「…なんだ?」
男「先輩は…なんでここにいるんですか?」
先輩「…この近くの取引先に来た時に、たまたま男によく似たやつを見かけてな…気になって張ってたんだ」
男「この近くには取引先はなかったと思うんですけど…」
先輩「…実家に帰ったんだ」
男「え?」
116: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:52:30.45 ID:q5k8v/mto
先輩「今は会社を辞めてな…親の会社を手伝っている」
男「そうですか…会社に電話して先輩に繋いでもらおうとしたら、そんな社員はいないといわれたんですけど…そう言うことだったんですね」
先輩「お前、会社に電話したのか?」
男「え、ええ…けど俺、名乗っても知ってる人はいないみたいだったし…」
先輩「そうか…上司も転勤で別の営業所に行ったからな…」
男「ほかの連中は?」
先輩「…みんな辞めたり移動になったりでな…多分俺たちのことを知ってる奴は、今はいないんじゃないか?」
男「そうですか…それで…先輩は一人でここに来たんですね?」
先輩「ああ…」
117: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:53:16.77 ID:q5k8v/mto
男「…ちょっと聞きたいんですけど…」
先輩「なんだ?」
男「…俺、あっちではどんな風に言われてるんですか?」
先輩「どんな風にとは?」
男「あ、いや…いきなり行方不明になったわけでしょ?だから…みんなに迷惑かけちゃってるし…」
先輩「…聞かないほうがいい」
男「…ひどく言われてるんですね…あ、婚約者はどうしてますか?」
先輩「…」
男(なんで黙る?なんかよくないことにでもなってるのか?)
118: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:53:49.41 ID:q5k8v/mto
先輩「…知らないほうが幸せなこともあるさ。特にお前の性格なら…な」
男「…でも、何にも知らないままって言うのは無責任でしょ?」
先輩「…お前はこのままここにいるほうが幸せだ」
男「どう言うことですか?」
先輩「…なあ男。本当に…何があったか思い出せないのか?」
ピピピピッ
男「腕時計の時報か…あ、すみません。そろそろ幼女を迎えに行く時間なんです」
先輩「幼女?」
男「…俺の面倒を見てくれている人の娘です」
119: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:54:24.53 ID:q5k8v/mto
先輩「お前…ひょっとしてオンナと一緒に暮らしてるのか?」
男「え、ええ…3人で暮らしてますけど…」
先輩「…そうか」ニヤッ
男(…一瞬先輩が笑ったように見えたけど…)
男「それじゃ、失礼します」ガタッ
先輩「…男」
男「はい」
先輩「お前…今、幸せか?」
男「…はい」
120: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:54:51.36 ID:q5k8v/mto
先輩「そうか…何かあったら電話してくれ」スッ
男「…先輩、ケータイ変えたんですか?」
先輩「…ああ。こっちに戻ってきたときにな。仕事も変わったし…心機一転だ」
男「そうですか。それじゃ」
先輩「ああ」
121: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:55:38.36 ID:q5k8v/mto
〜数日後〜
男「…」
幼女「よーでぅ よーでぅ よーでぅ よーでぅ♪」ブンブン
男(先輩の言う通りだとしたら…謎が多すぎる…)
幼女「よーかいでぅけん でぁぇんけん♪」クネクネ
男(なんで先輩は会社を辞めたんだ…会社にいたときは実家に帰る気はないって言ってたのに…)
幼女「ぉーいぇ ぉーいぇ なかまにぉーいぇ ともだちだいじっ♪」ユサユサ
男(上司がいきなり転勤になったのも変だ…支店の課長から営業所勤務って…左遷じゃないか)
幼女「よーかーい よーかーい よーかーいうんちっち♪」クルッ パッ
男(同じ部署の連中が辞めたり移動になったり…はブラックな職場だったからよくあることだし、取り立てて変じゃないけど…)
幼女「くさーい!きゃははは!!ねーねーおとこ。おもしぉかった?」
男「…うん、面白いよ…」
幼女「…おとこぉ?」
122: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:56:11.00 ID:q5k8v/mto
男(それに婚約者のことも…どうして先輩は何も言ってくれないんだ…)
男 ブツブツ…
幼女「…」
トテトテトテ
幼女「…ねえ、おかーさん」
お水女「なあに?」
幼女「おとこ…へん。いつもだったぁ『そんなこといっちゃだめだよ』っていうのに…」
お水女「…そうだねぇ」
123: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:56:38.93 ID:q5k8v/mto
幼女「…おはなししちゃだめ?」
お水女「んー…今はやめといたほうがいいかなぁ」
幼女「そっか…」
お水女「…寂しい?」
幼女「うん…でも…おとこ、へんだかぁがまんすぅ」
お水女「うん。いいこだね」ナデナデ
お水女(もしかしたら…記憶が戻ってきたのかも…)チラッ
124: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:57:12.56 ID:q5k8v/mto
〜真夜中〜
お水女「今日お客さんからお茶もらったんだけどさぁ」
男「…」
お水女「…ねえ、男」
男「…」
お水女「男?」
男「あ、ごめん…聞いてなかった」
お水女「男…最近変だよ?どうしたの?」
男「なんでも…いや、お水女には話しておくよ」
お水女「…なにを?」
男「実はさ、俺…」
お水女(いつかは記憶が戻る…覚悟してたけど…やっぱり怖い…)
男「…先輩に会ったんだ」
お水女「…え?」
125: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:57:57.60 ID:q5k8v/mto
男「それで…いろいろ教えてもらったんだけど…かえってよく分かんなくなって…」
お水女(記憶が戻ったわけじゃないのね…よかった…)
男「俺もう…どうしたらいいのか…」
お水女(でも…そんなに悩んでたなんて…)ウルッ
男「それで考え事してて…って、なんで涙ためてるんだ?」
お水女「え?…あ、ちょっと眠くなってきたから…ごめんね?男がせっかく話してくれてるのに…」
男「そっか…仕事で疲れてるんだな。早く寝よう」
お水女「あ、男、待って」
男「ん?」
126: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:58:25.20 ID:q5k8v/mto
お水女「あのさ…そんなに気になるんならその…先輩?に連絡とってみたらどう?」
男「え?」
お水女「幼女がさぁ…男が変だから寂しいって言うんだぁ…だから…ね?」
男「そっか…幼女に寂しい思いさせてたんだな…ごめん」
お水女「それは幼女に言ってやってよ。それで明日、先輩って人に電話してみようよ。ね?うちの電話使っていいからさ」
男「…そうだな。ありがとう、お水女」
お水女「ううん。それより…電話での話の内容、あたしにも教えてね?」
男「あ、うん。わかった」
127: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:59:01.15 ID:q5k8v/mto
〜翌日・アパート〜
男「幼女も保育園に送って行ったし…」
男(…緊張するなぁ…)
ピッ ポッ パッ トゥルルル… ピッ
先輩『もしもし?』
男「あ、先輩。俺です。男です」
先輩『男か!?』
男「はい。あの…今大丈夫ですか?」
先輩『ちょっと待ってくれ。移動するから…よし。いいぞ』
男「すみません。ちょっと聞きたいことがあるんですが…」
先輩『その前に一ついいか?』
男「なんですか?」
128: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 00:59:45.22 ID:q5k8v/mto
先輩『お前…記憶喪失だって言ってたよな?どこまで記憶が戻ってるんだ?』
男「えっと…婚約者と同棲していたことまでは思い出したんですけど…記憶をなくす前後あたりはまだ…」
先輩『そうか…』
男(お水女たちと一緒に暮らしてた時のことも所々思い出してきたけど…今は関係ないよな。それより…)
男「あの…先輩、この間一人で来てましたよね?」
先輩『ああ』
男「どうして一人だったんですか?」
先輩『…先に質問だけ言ってくれ。仕事中なんでな』
男「あ、すみません。それじゃ…婚約者はどうしてますか?」
先輩『…それから?』
129: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:00:15.38 ID:q5k8v/mto
男「えっと…なんで俺はここにいたほうがいいんですか?」
先輩『…ほかには?』
男「とりあえずそれだけです」
男(先輩は仕事中だからあんまり長電話できないもんな…)
先輩『…わかった。じゃあ…昼頃、この前のファミレスに来れるか?』
男「あ、はい」
先輩『じゃあその時に話すよ』
男「はい。よろしくお願いします」
130: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:00:59.49 ID:q5k8v/mto
〜近所のファミレス〜
男(もう12時過ぎたな…先輩、まだかな…)
先輩「すまん、待ったか?」
男「あ、いえ」
先輩「会社を抜け出してきてるから手短に話そう」
男「はい。お願いします」
先輩「まずは…お前が行方不明になってからのことを話したほうがいいだろ」
男「そうですね…お願いします」
131: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:01:27.34 ID:q5k8v/mto
先輩「じゃあ…2年前のあの日…婚約者から電話があってな」
男「え?」
先輩「男の車が事故ったけど男が見つからないってな?」
男「…なんで婚約者は先輩に電話を?」
先輩「…勤務時間中だから会社に連絡したら大事になるって思ったらしい。それで教育係だった俺に電話をしてきたんだ」
男「そうですか…」
先輩「…話をつづけるぞ。それで俺と婚約者は心当たりを探したんだが…結局見つからなくてな」
先輩「それで…三日後に捜索願を出したんだ」
男(そっか…お水女が俺を警察に連れて行ったときに該当しなかったのは…まだ捜索願が出されていなかったからなのか…)
132: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:02:03.83 ID:q5k8v/mto
先輩「そのあとも探していたんだが…手掛かりすらなくてな…」
男「…」
先輩「…それで婚約者のことなんだが…いろいろあって、今は実家に帰って引きこもっている」
男「いろいろ?」
先輩「…いきなりフィアンセがいなくなったんだ…よくないことを言う連中もいるさ」
男「あ…」
先輩「それで…みんながこんな風に憔悴する原因は男が急にいなくなったせいだと言うことになっていてな…」
先輩「今さら男が帰ってもみんなから攻撃されるだけだ…」
男「…」
先輩「特に婚約者は…結納の直前まで話が進んでいただけに…大恥をかかさたって婚約者の親が言い出してな…」
先輩「それが相当こたえたみたいで…それまでのこともあって引きこもりになっているらしい」
男「そうだったんですか…そんなことになってるなんて…」
133: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:02:38.14 ID:q5k8v/mto
先輩「それでもな、婚約者には男を見つけたことを知らせたほうがいいと思って連絡しようとしたんだ。けどな…」
先輩「ケータイも解約したみたいで繋がらないし…家にも行ったが部屋から出てこなくてな…会うことすらできなかったんだ…」
男「…すみませんでした…」
先輩「…ま、記憶喪失だったんだからしょうがないさ。あっちはそんな状況だから…今、男が幸せなら…あえて地獄に飛び込むことはないさ」
先輩「だから男、お前は…このままここにいるほうがいい」
男「…俺は…どうしたらいいのか…わかんないです…」
先輩「…さっきも言ったようにここにいろ。それがお前のためだ」
男「けど…それじゃ…婚約者が…」
先輩「…婚約者のことは忘れろ!」
男「そう言う訳にはいかないじゃないですか!俺のせいで婚約者は引きこもってるんですよ!?」
先輩「じゃあ…会ってどうする」
男「…え?」
135: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:03:31.58 ID:q5k8v/mto
先輩「お前が婚約者に会いに行ったとしよう…それでお前は何ができる?」
男「な、何がって…それは…」
先輩「婚約者にしたってそうだ。いきなりお前が訪ねてきて…冷静に話ができると思うか?」
男「うっ…けど…じゃあ…俺はどうしたら…」
先輩「…どうしても婚約者と話がしたいって言うんなら…まずは手紙を書いてみたらどうだ?」
男「…手紙?」
136: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:04:20.25 ID:q5k8v/mto
先輩「そうだ。いきなり会うよりはマシだろ。婚約者にしても…多少はショックは少ないだろうしな」
男「手紙…けど俺…婚約者の実家の住所なんか知らないし…」
先輩「お前…婚約者の実家に挨拶に行ったんだろ?」
男「そうなんですけど…その時は婚約者の車で一緒に行ったし…」
男「大体どの辺って言うのはわかるんですけど…詳しい住所は…」
先輩「お前…ホントに婚約者と結婚する気はあったのか?」
男「それは…ありましたけど…」
先輩「けど?」
男「あ、いや。何でもないです…」
男(今はお水女と幼女のこともあるし…)
先輩「…わかった。俺が届ける。それでいいだろ?」
男「…へ?」
138: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:05:34.88 ID:q5k8v/mto
先輩「お前が書いた手紙を、俺が責任を持って婚約者に届ける。どうだ?」
男「そ、それじゃ先輩に迷惑が…」
先輩「今まで散々迷惑かけられてるんだ。今更どうってことねえよ」
男「…すみません。お願いします」
先輩「手紙が書けたらまた連絡してくれ。じゃあ…そろそろ会社に戻るわ」
男「あ、はい。よろしくお願いします」ペコッ
139: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:06:07.10 ID:q5k8v/mto
〜真夜中・アパート〜
男「〜と言う訳なんだ」
お水女「…」
男「お水女?」
お水女「…なんだろう…何か引っかかるんだけど…」
男「なにが?」
お水女「うん…はっきりとは分からないんだけど…」
お水女「なんかさぁ…その…先輩?って人…男が婚約者に会いに行くのを…どうしても止めたいみたいに思えてさぁ…」
男「…考えすぎだろ」
お水女「そうだといいんだけど…」
140: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:06:54.27 ID:q5k8v/mto
〜2週間後・ホームセンター〜
お水女「これなんかどうかな?」
男「…今のよりは大きいけど…値段がなぁ…」
お水女「そっか…こっちは?」
男「…値段も手ごろだな…けど、ホントに買うのか?」
お水女「うん。今年の冬は寒くなるって言うしね」
男「そっか…ありがとな」
お水女「ううん。これがないと寒いでしょ?」
男「今のコタツ、いきなり壊れちまったもんな」
お水女「しょうがないよ。もともと中古の奴だったんだし、あんまり暖かくならなかったもんね」
141: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:08:12.73 ID:q5k8v/mto
男「…じゃあ、ほかになんか掘り出し物が無いか見て回るか?」
お水女「そうだね」
?「うわああああ!!!」
お水女「な、なに!?」
男(あ、あれは…)
男「こ、婚約者!?」
お水女「え!?」
?改め婚約者「おまえがぁああああ!!!」
男(やばい!包丁持って突っ込んでくる!)
男「危ないっ!」ドンッ
お水女「あっ!」ヨロッ
ドスッ
男「…あ…」ヨロッ
142: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:08:58.61 ID:q5k8v/mto
婚約者「…え?」
男「…い…痛い…」ボタボタ
お水女「…男ぉおっ!!」
婚約者 ギロッ
お水女 ビクッ
婚約者「…お前のせいで…お前のせいでぇえええ!!!」ビュンビュン
お水女「ひっ!」
男 ガシッ
143: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:09:26.34 ID:q5k8v/mto
婚約者「男ぉ!は、離してっ!!離してよぉおおお!!!」
男「やめろ…やめるんだ…婚約者…」
お水女 ボーゼン
婚約者「うわぁああああ!!!うわぁああああ!!!」ブンブン
警備員1「やめろっ!」ガシッ
警備員2「包丁を離せ!!」バシッ
カラーン
男「婚約者…やめるんだ…」ズルッ…
ドシャ…
144: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:10:10.63 ID:q5k8v/mto
婚約者「…お…とこ…?…」
お水女「いやぁあああ!!!男ぉおお!!!」
婚約者「あ…あは…あははは…」ヘタリッ
男(ああ…お水女は無事みたいだな…よかった…)
------!------!!
男(…静かだ…さっきまでうるさい位だったのに…)
 婚約者の声『うふふ。愛してるのはあなただけです』
145: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:10:38.71 ID:q5k8v/mto
男(これは…あの時の記憶か?)
 ?『よく言うぜ。男の嫁になるくせに』
男(…そっか…思い出した…)
 婚約者の声『もう。それはあなたがそうしろって言ったからじゃないですか』
男(全部思い出した…全部…)
 お水女の声『だったら…うちに来ない?』
男(お水女…すまない…幼女のお迎えにも行けそうにないや…ホントにゴメン…)
146: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:11:13.00 ID:q5k8v/mto
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜男の意識〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 上司「さて、客先周りも終わったし…昼にするか」
 男「あ、そうですね。昼飯かあ」
 上司「この近所にいい店があるんだ。一緒に食わないか?」
 男「何食うんですか?」
 上司「蕎麦だ」
 男「いいですね。お供します」
 ピロピロピロ ピロピロピロ
 男「おっと電話だ…知らない番号だな…誰だ?」ピッ
147: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:11:44.34 ID:q5k8v/mto
 男「もしもし?」
 ?『あなたの部屋で今、婚約者が浮気をしています』
 男「はあ?」
 ?『嘘ではありません。ご自分で確かめてください』
 男「あんたが誰か知らないけど、悪戯にしてはひどすぎるぞ!」
 ?『悪戯だと思うなら構いません。ですが…現場を押さえるのは今しかありません』
 男「いい加減にしろ!!」ピッ
 男(婚約者が浮気!?俺の部屋で!?んなわけないだろ!!)
 上司「男、早く行かないと座れなくなっちまうぞ?」
 男「あ、すみません。ちょっと待ってもらえますか?」
 上司「早くしろよ?」
148: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:12:12.94 ID:q5k8v/mto
 男(信じたわけじゃない…けど…念のためだ…)ピッ ピッ ピッ
 プルプルプルプル プルプルプルプル…
 男(…早く出ろ…早く!)
 プルプルプルプル プルプルプルプル…タダイマデンワニデルコトガデキマセン〜
 男(畜生!もう一度…)ピッ ピッ ピッ
 プルプルプルプル プルプルプルプル…タダイマデンワニデルコトガデキマセン〜
 男「くそっ!!」ピッ
 上司「男、どうした?」
 男「…すみません。ちょっと家に帰ってきます」
 上司「え?昼飯はどうするんだ?」
 男「すみません。帰りは遅くなるかもしれません」ダッ
 上司「あ、おい!男!!」
 男(そこまで言うなら…絶対悪戯だってわかってるけど…騙されてやる!)
 上司「…ちっ。今日はお預けだな…」
 ・
 ・
 ・
149: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:12:51.98 ID:q5k8v/mto
 〜男の部屋の前〜
 男「…」ドキドキ…
 男(…手が震える…鍵を開けるだけだって言うのに!)
 カ…チャ…
 男(開いた…ゆっくりドアを開けて…)ソロソロ…
 男(…!?なんだこの靴は!?男物の革靴…俺のじゃねえ…まさかホントに!?)
 男(音を立てずに…部屋の中に…なんだ?声が聞こえる…)
 婚約者の声『うふふ。愛してるのはあなただけです』
 男(婚約者の声だ…俺のことか?)
 ?『よく言うぜ。男の嫁になるくせに』
 男「!?」
150: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:13:30.26 ID:q5k8v/mto
 婚約者の声『もう!それはあなたがそうしろって言ったからじゃないですか』
 ?『哀れだな男は。自分の婚約者が実は俺の愛人で、しかも偽装結婚だったなんてよぉ』
 婚約者の声『男には悪いけど…ん…これが一番いいんですよね…はあん…』
 ?『…もうこんなに濡らしやがって…雌豚が!』
 婚約者の声『…あっ…あなたがこんな体に…うぁ…したんじゃないですか…』
 ?『困った雌豚だ。首輪をつけてやろう』
 婚約者の声『ありがとうございます…あふぅ…』
 ?『後で上司も来る。二人でお前をイジメぬいてやる』
 婚約者の声『ああん…うれしい…』
 ギシギシアンアン
 男(うぅ…うぁあああああ!!!!)
 ダダダダ バタン!
 婚約者・?『『!?』』
151: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:15:08.78 ID:q5k8v/mto
 非常階段:ダダダダ…
 男(嘘だ嘘だ嘘だ嘘だぁああああ!!!)
 ガチャ バタン キュルル ブゥウウウウン
 男(違う違う!あれは婚約者じゃない!!俺は違う世界に紛れ込んだんだ!!!)
 男(早く元の世界に戻らなきゃ!こんな世界は嫌だぁああ!!)
 ブロロロロ
 男「なんで…なんで…」
 男「うわああああ!!!」ガンガン
 キュキュキュキュ
 男(うお!ハンドルをたたいたらスリップした!!)
 男(やばい!電柱にぶつかる!!)
 ドゴオォォォン!
152: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:15:43.93 ID:q5k8v/mto
 男「うぅ…」
 クルマガデンチュウイツッコンダゾ!オイ!ダイジョウブカ!?
 男「…早く…元の世界に…」ヨロ…
 モブ通行人1「お、おい…あんた…大丈夫か?」
 男 ブツブツ…
 モブ通行人2「あ!ダメだって!今救急車を呼んだから!!」
 男「ダメだ…この世界から脱出するんだ…」ヨロヨロ…
 モブ通行人3「…こいつヤバい…薬でもやってんじゃねえか?近寄らないほうが…」
 男(…駅だ…駅に行って…とにかく…遠くまで…)ヨロヨロ…
 ・
 ・
 ・
153: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:16:10.93 ID:q5k8v/mto
 車掌「もしもし?終点ですよ?」
 男(終点?…降りないと…)
 ・
 ・
 ・
 男(頭が痛い…ずっと歩きっぱなしだし…どこか休めるところは…)
 男(…あ、あの公園ならベンチがあるかも…)
 ・
 ・
 ・
 男(…寒いな…ベンチで寝てると寒すぎる…一旦駅に戻るか…)
 男「よいしょっと…はぁ…」
 男「…はっくしょん!はっくしょん!!」
 男(頭に響く…ああ…星がきれいだ…)
 お水女「…あの…大丈夫ですか?」
 男「…え?」クルッ
154: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:16:52.40 ID:q5k8v/mto
 お水女「夜は冷えるから…早く家に帰ったほうがいいですよ?」
 男「…家?」
 お水女「そう。どこに住んでるんですか?」
 男「…俺は…あれ?」
 お水女「え?」
 男「ここは…どこだ?俺は…どこに住んでるんだ?」
 お水女「ちょ…ちょっと…あんた…ふざけてんの?」キッ
 男「わからない…なんで…何も思い出せないんだ!!」
 お水女「…マジで?名前ぐらい憶えてるでしょ?」
 男「名前…俺の名前は…わからない…俺は…誰なんだ…」
 お水女「あっちゃー…困ったなぁ…早く帰らないと幼女のことも心配だし…あ、そうだ!交番!!」
 男「え?」
155: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:17:19.38 ID:q5k8v/mto
 お水女「公園を出たとこに交番があるから、そこで保護してもらったら?ね?」
 男「は、はあ…」
 お水女「ほら、こっちこっち」グイグイ
 男「ちょ…そんなに引っ張らなくても…」
 ピロピロピロ ピロピロピロ
 お水女「あ、ケータイが鳴ってるよ?」
 男「え?あ…さっきから鳴ってたのはこれか…」
 お水女「早くでなよ」
 男「う、うん…」ピッ
 ケータイ:『あ!男!いまどこにいるの!?あqwせdrftgyふじこlp;@:』
 男「うわっ!」ピッ
156: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:17:45.75 ID:q5k8v/mto
 お水女「ちょっとちょっと!切っちゃったらダメじゃん!!」
 男「けど…ヒステリックに喚いてて何言ってんのか分かんなかったし…」
 ピロピロピロ ピロピロピロ
 お水女「あ、またかかってきた。ちょっと貸して」
 男「う、うん」スッ
 お水女「ありがと」ピッ
 ケータイ:『男!どこに居るの!?ごめんなさい!!あqwせdrftgyふじこlp;@:』
 お水女「ちょっ!ちょっと落ち着いて!!」
 ケータイ:『あんたなによ!男はどうしたのよ!?あqwせdrftgyふじこlp;@:』ブチッ プーッ プーッ…
157: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:19:02.26 ID:q5k8v/mto
 お水女「切られちゃった…リダイヤルを…ちょっと。ロックはずして」
 男「…わからない…」
 お水女「え?貸して」
 男「はい。あ」ポロッ
 カン カツッ カツッ カラカラカラ…
 お水女「ちょっと!何やってんのよ!!道路の真ん中に転がってっちゃったじゃん!…取りに行きかきゃ」
 タタタ プォプォオオオン
 男「あぶない!」グイッ
 お水女「きゃっ!」
 ブロロロロ ベキバキッ
 お水女・男「「…」」
158: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:19:28.44 ID:q5k8v/mto
 男「ケータイ…バラバラになっちまった…」
 お水女「また掛ってくるかもしれなかったのに…」
 男「ごめん…」
 お水女「はあ…とりあえずさ、交番に行こう?そこで保護してもらうなりしようよ。あたしも早く帰りたいしさぁ」
 男「…うん。ごめん」
 ・
 ・
 ・
159: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:20:00.92 ID:q5k8v/mto
 〜交番〜
 警官「記憶喪失?」
 お水女「はい。そうなんですよ。そこの公園でボーっとしてたから連れてきたんですけど…」
 警官「記憶喪失ねぇ」チラッ
 男「…」
 警官「…で、名前は?」
 お水女「あ、男って言うみたいです」
 警官「男っと…ちょっと待って。あ、もしもし?捜索者の照会なんですけど…」
 警官「はい。男って言うらしいんですが…ない?はい。わかりました」ガチャ
 警官「捜索願は出てないみたいだねえ」チラッ
 お水女「でも、ホントに記憶喪失d」
 警官「あのねえ!」
 お水女・男 ビクッ
160: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:20:36.90 ID:q5k8v/mto
 警官「よくさあ、こういうの、あるんだよねぇ。罰ゲームとかでさぁ、交番にやってくる人がねぇ」
 お水女「…え?」
 警官「どうせ偽名なんでしょ?“男”って言うのもさあ」
 お水女「そんなことしません!ホントに男は記憶喪失で!!」
 警官「はいはい。本官も暇じゃないから。早く帰った帰った」
 お水女「保護しないんですか!?」
 バンッ!
 警官「いい加減にしないと怒るよ!」
 お水女「嘘じゃないの!この人はホントにっ!!」
 男「…もういいよ」
 お水女「…え?」
161: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:21:30.52 ID:q5k8v/mto
 男「お邪魔しました」ガタッ
 警官「もうこんな悪戯するんじゃないぞー」
 お水女「…もう!」
 ・
 ・
 ・
 男「…はぁ…」
 お水女「ちょっと待ってよ!あんた、それでいいの!?」
 男「…これ以上あそこにいてもさ、あの警官とあなたが喧嘩するだけだし。じゃあ…お世話になりました」ペコッ
 お水女「…あんた、これからどうするの?第一行く当てはあるの?お金は?」
 男「…」フルフル
 お水女「やっぱり…だったら…うちに来ない?」
 男「…へ?」
162: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:21:59.65 ID:q5k8v/mto
 お水女「あんたさぁ…悪い人には見えないし。今夜はうちに泊めてあげるから…明日、病院に行って診てもらいなよ。ね?」
 男「いや、それじゃあなたに迷惑が…」
 お水女「乗り掛かった舟だよ。ケータイが壊れたのはあたしにもちょっとは責任がるし…」
 お水女「それにさ、このまま別れてあんたに何かあったら…寝覚めが悪いからね」
 男「…すいません。ありがとうございます」
 お水女「あ、自己紹介が遅れたね。あたしはお水女。それと…うちには子供がいるから静かにしてね?」
 -----そうか…思い出した…全部…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
163: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:22:28.33 ID:q5k8v/mto
〜病院〜
男「…」パチッ
お水女「…男?」
男「…よう、お水女」
お水女「…男ぉ!よかった…よかったぁ…」ギューッ
男「痛い痛い!傷口が開くって!!」
お水女「あ、ごめんなさい…」ポロポロ
男「…お水女…ごめんな。心配かけて…」
お水女「ううん…男はあたしを庇ってくれたんだもん…ホントによかったぁ…」ポロポロ
お水女「ずっと目が覚めなくて…男、三日も寝たままだったんだよ?」
お水女「いつ目が覚めるか分かんなっくて…ずっと一緒にいたんだぁ…」
164: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:23:30.38 ID:q5k8v/mto
男「そっか…幼女は?」
お水女「店長が預かってくれてるよ…あ、店長にも連絡しなきゃ。ちょっと席を外すね?」ガタッ
男「…ごめんな?うちのことは出来なくて…幼女の送り迎えも…」
お水女「そんなこと心配しなくていいよ。幼女の送り迎えは黒服さんたちがやってくれてるし」
お水女「それに幼女も、店長たちと楽しそうにやってるからね。じゃあ」
パタン
男「ふぅ…」
男(全部思い出した…このままじゃいけない…よなぁ…)
男(お水女にはちゃんと話そう。その上でどうするか…俺は…どうしたいのか…)
ガラララ
165: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:23:56.77 ID:q5k8v/mto
お水女「店長がね、ゆっくり養生しろって。幼女のことは心配するなってさ」
男「そっか…やっぱいい人だな。店長さんは」
お水女「そうだね」
男「…」
お水女「…男。痛いの?」
男「いや、痛いのは痛いんだけど…」
お水女「…じゃあ…どうしたの?」
男「…」
お水女「…何考えてるか分かんないけど…今は体を治そ?ね?」
男「…うん、そうだな。わかった」
166: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:24:41.67 ID:q5k8v/mto
〜三日後〜
お水女「ほら、新聞に載ってたんだよ?地方紙だけどさ」
男「…ホントだ。『ホームセンターで男性刺される 通り魔か?』か…」
お水女「…『犯人は心療内科に通院歴があり…』って…」
男(そういやカウンセリングを受けてるって言ってたな…今となってはホントがどうかわからないけど…)
お水女「それにしても小さい記事だねぇ」
男「大した事件じゃないからだろ」
お水女「あたしたちにとっては大事件だったのにね…」
コンコン
男「ん?誰だろ…」
お水女「…店長かな?はーい」
ガラララ
?「大丈夫ですか?」
お水女「え?」
167: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:25:17.57 ID:q5k8v/mto
男「…あ、久しぶりです」
?「思ったより元気そうね」ニコッ
お水女「えっと…どちら様ですか?」
男「あ、この人は先輩の奥さんだよ」
?改め先輩妻「初めまして。先輩妻です」
お水女「あ、お水女です」ペコッ
先輩妻「…先輩妻です」
ゾクッ
お水女(なんだろう…能面みたいに無表情だ…)
先輩妻「…あの…あなたは男さんと…どういった御関係で?」
お水女「あ、あの…記憶喪失だった男の世話をしてたんです」
先輩妻「記憶…喪失?」
168: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:25:45.63 ID:q5k8v/mto
男「はい。おかげで今まで生きてこれたんです」
先輩妻「そうだったの…」
お水女(あんまり驚いてないみたい…)
先輩妻「…ありがとうございます。男さんがお世話になったみたいで…」
お水女「いえ!あたしが勝手にやったことだし…」
先輩妻「ところで…男さんと二人っきりでお話がしたいの。席をはずしてくださいますか?」
お水女「え?で、でも…」チラッ
男「お水女が一緒だとマズいんですか?」
先輩妻「ちょっと…ね」チラッ
男「…わかりました。お水女…」
お水女「…わかったよ…ちょっと売店に行ってくる…」
男「ごめんな?」
お水女「うん…」
パタン
169: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:26:38.75 ID:q5k8v/mto
先輩妻「…どこから話そうか…」
男「…婚約者の不倫のことですよね?」
先輩妻「ええ…男さん、婚約者の不倫相手って…知ってるの?」
男「…上司と…もう一人…」
先輩妻「…もう一人はね…私の夫なの」
男「…」
先輩妻「…驚かないのね」
男「それが一番辻褄が合いますからね。でなけりゃ先輩妻さんがここに来る理由がないですから」
先輩妻「…頭がいいのね。さすが、出世頭だったことはあるわ」
男「…あの日…俺に電話してきたのは先輩妻さんですよね?」
先輩妻「ええ…まさかこんなことになるとは思わなかったの…」
男「…」
170: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:27:39.26 ID:q5k8v/mto
先輩妻「あの日…いったい何があったの?教えてもらえないかしら」
男「…あの電話を受けた後…俺は部屋に戻って…そしたら婚約者が…」
先輩妻「…」
男「それで…悲しくなってそこから逃げ出して…」
男「それで事故って…とにかくそこから逃げたくて…電車に乗ってこの町に来て…お水女の世話になっていたんです」
先輩妻「そうだったの…記憶喪失になったのは?」
男「…事故った後です。だからお水女に出会ったときには記憶喪失だったんです…」
先輩妻「そう…」
男「…先輩妻さん」
先輩妻「なあに?」
男「先輩妻さんは…なんで今日、ここに来たんですか?」
先輩妻「…男さんに渡したいものがあります」
男「渡したいもの?」
先輩妻「…ここに私が興信所を使って調査した報告書のコピーがあります」
男「報告書?」
171: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:28:20.02 ID:q5k8v/mto
先輩妻「私は…もう制裁は終ったわ。あなたもあの人たちに制裁するつもりなら…これを使うといいわ」
男「制裁って…」
先輩妻「…慰謝料と財産分与。それから会社にも出向いて…それであいつはクビになって、上司って人も処分されたって聞いたわ」
男(そっか…それで先輩は実家に戻されて…上司は左遷されたのか…)
男(先輩のケータイの番号が変わった理由もこれで分かった…)
先輩妻「…じゃあ、私はそろそろお暇するわ」
男「あ、はい。ありがとうございました」
先輩妻「…何かあったら連絡して。できることなら協力するから」スッ
男「あ、どうも…俺今ケータイ持ってないから…」
先輩妻「じゃあ連絡先を教えて」
172: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:29:11.31 ID:q5k8v/mto
男「…何かあったらこっちから連絡します。それじゃ」
先輩妻「…それじゃ」ガタッ
ガラララ パタン
男「…ふう」
男(…制裁…か…今さら…だよなぁ…それにしても…)
男(なんで先輩妻さんは…俺がこの病院に入院していることを知ってたんだ?)
男(新聞にはそこまでの情報は載っていなかった…ということは…)
男「…」
173: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:29:41.34 ID:q5k8v/mto
ガラララ
お水女「男、ジュース買ってきたよ。はい、グレープジュース」
男「お、ありがとう。お水女は俺の好み、よく知ってるな」
お水女「そりゃあねぇ。2年も一緒に暮らしてたんだもん。ふふふ」
男 ゴクゴク
お水女「…ねえ、男」
男「ん?」
お水女「…どんな話をしたの?」
男(お水女にはまだ話さないほうがいいか…俺がこれからどうするか決めるまでは…)
男「…」
174: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:30:15.72 ID:q5k8v/mto
お水女「そっか…話せるときが来たら話して」ガタッ
男「お水女?」
お水女「ごめん…仕事の時間だから…」
ガラララ
男「…ごめん」
お水女「…待ってるからね」
パタン
男(このままじゃダメだ…お水女のことも…婚約者のことも…ほかの人のことも全部…)
男(考えよう…何が起こったのか…どうすればいいのか…)
175: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:30:50.80 ID:q5k8v/mto
〜クラブ〜
黒服1「…」
お水女「モブ客さんすごいですね!そんなお仕事してるなんて!!」ボディータッチ
モブ客「いやいやいや。大したことないって。がははは」
黒服2「…黒服1さん」
黒服1「なんだ?」
黒服2「お水女さん…どうしちゃったんすかねえ?なんか…無理に明るく振舞ってるみたいで…」
黒服1「…やっぱアレだろ。男さんのことで…」
黒服2「それしかねえっすよねえ…あれ、どう見てもヤケクソっすもんね…」
176: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:31:18.66 ID:q5k8v/mto
黒服1「…店長からも注意するように言われてるからな。お水女が変なことしそうになったら…」
黒服2「わかりました。それで店長は?」
黒服1「事務所で幼女ちゃんと遊んでるよ」
黒服2「あ、いいなぁ」
黒服1「なんだお前、ロリコンか?」
黒服2「違いますって。幼女ちゃん、俺らにも笑顔で…なんか癒されるんすよねぇ」
黒服1「そうだな…」
黒服2「黒服1さんも同じじゃないっすか。へへへ」
黒服1「ふっ。あの子は俺たちのアイドルだな。店長もメロメロだし」
黒服2「おかげで俺ら、店長に狙われなくなったから助かります」
黒服1「…さて、おしゃべりはこの辺にして仕事に戻れ」
黒服2「了解っす」
177: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:31:49.03 ID:q5k8v/mto
〜1週間後〜
男「それじゃ、お世話になりました」ペコッ
医師「はい。お気をつけて」
看護師「奥さん、あなたすごく献身的だったわね。今時珍しいわ」
お水女「いえ、そんな…ありがとうございます」ペコッ
店長「おい、早くしろよ。幼女ちゃんが店で待ちくたびれてっぞ」
男「あ、はい。それじゃ…失礼します」
 ・
 ・
 ・
178: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:32:16.25 ID:q5k8v/mto
〜店長の車〜
男「すいません。車で迎えに来てもらっちゃって…」
お水女「あたしも今日はお休みもらっちゃって…」
店長「いいってことよ。ちょっと気になることもあったしな」
お水女「気になることって?」
店長「…最近この町に怪しいやつがうろついてるらしい」
男「怪しいやつ?」
店長「ああ。まあ、何もないとは思うが…ここは俺たちの町だからな。何かあったらすぐにわかるから」
店長「そっちは俺たちに任せておけ。しばらくはキャストの送り迎えに黒服をつけるし」
男「はあ…」
お水女「あたしも気をつけよ…」
179: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:33:00.69 ID:q5k8v/mto
店長「あ、それからな。男、お前…幼女ちゃんの保育園、送り迎えできるか?」
男「まあ、なんとか…」
店長「無理するなよ。幼女ちゃんの送り迎えは任せておけ」
お水女「店長…幼女と遊びたいだけじゃないの?」
店長「ははは。バレたか。まあ、黒服たちもなんだかんだで幼女ちゃんのことが気に入ってるようでな」
店長「そう言う訳で、男は体を治すことに専念しろ。いいな?」
男「はい。ありがとうございます」
店長「けっ。よせやい」
180: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:33:36.25 ID:q5k8v/mto
〜アパート〜
幼女「たっだいまー!」
男「ただいま」
お水女「ただいま…おかえりなさい」
男「ああ、ただいま」
幼女「ねーねーおとこ!こっちこっちー!!」グイグイ
男「おいおい、あんまり引っ張るなって」
お水女「ふふふ。幼女ったら嬉しくって燥いじゃって」
幼女「はいこっぷ。おひとつどうぞ♪」シナッ
男「ぶふぉっ!」
お水女「よ、幼女…どこでそんなことを…」
幼女「くろふくさんたちにおしえてもぁったのー」
お水女「あの子達ったら…もう…」
男「ははは…」
 ・
 ・
 ・
181: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:34:31.96 ID:q5k8v/mto
男「…幼女も眠ったし…」
お水女「…ねえ、男」ソッ…
男「その前に…お水女…俺の話を聞いてくれるか?」
お水女「え?」
男「大事なことなんだ」
お水女「…絶対聞かなきゃ…ダメ?」
男「うん。入院中に考えてたことなんだけどさ…」
お水女「…わかった」
男「ありがとう、お水女。単刀直入に言うよ。俺…婚約者に会いに行いたい」
お水女「え!?」
182: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:35:25.54 ID:q5k8v/mto
男「ほら、入院中に先輩妻さんが来たろ?それでさ…いろいろ考えたんだけど、まだ分かんないところがあって…」
男「それで…これから先のことを考えるのに…はっきりさせときたくてさ」
お水女「ダメだよ!」
男「お水女…」
お水女「男を刺した相手だよ!?第一面会なんてできないよ!!」
男「そうかもしれない…けどさ、会ってみたいんだ」
お水女「ダメだよぉ…」グスッ
男「お水女…俺さ、記憶が全部戻ったんだ」
お水女「…わかってたよ…なんとなくね…」
男「そっか…それで…記憶が戻ったのにわかんないところがあって…それが知りたくてさ…」
男「そのためには…婚約者とか…ほかの人にも会ってみないと…そう思ったんだ」
お水女「…」
183: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:36:27.51 ID:q5k8v/mto
男「まずは婚約者にあって…いろいろ聞きたいんだ」
お水女「何を…聞きたいの?」
男「…なんで浮気したのか…知りたいんだ」
お水女「…そんなこと知ってどうするの?もう終わったことじゃん!」
男「…俺の中じゃまだ終わってないんだよ。婚約者だってそうだ…でなけりゃあんなことしないだろ?」
お水女「でも!」
男「お水女…これは俺のけじめなんだ。ひょっとしたら婚約者をここまで追い詰めた責任の一端は…俺にもあるんじゃないかって」
お水女「で、でも…」
男「だから…俺は婚約者に聞きたい。浮気の理由を…さ」
お水女「…」
男「…」
184: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:37:01.62 ID:q5k8v/mto
お水女「…このまま…今まで通りって訳にはいかないの?」
男「今まで通りにするために必要なんだ」
お水女「…わかった。男がそう言うなら…」
男「ありがとう、お水女」
お水女(男は婚約者に会ったら…もしかしたら帰ってこないかも…)
お水女(でも…男はそうしたいって…だったら…送り出すしかないよね…)グスッ
185: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:37:42.70 ID:q5k8v/mto
〜三日後・留置場〜
弁護士「いいですか?警察官の立ち合いもありますので軽率な行動はくれぐれも…」
男「はい、すみません。我儘を聞いてもらって…」
弁護士「本来ならこんなことはしないんです。しかし…彼女が何も話してくれないので…荒治療ですけどね」
男「わかってます」
ガチャ
婚約者「…」
弁護士「…こんにちわ、婚約者さん。今日はあなたとお話したいって人をお連れしました」
婚約者「…」
弁護士「…入ってきてください」
186: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:38:24.79 ID:q5k8v/mto
男「…久しぶり」
婚約者「!?」
男(婚約者のやつ…俯いちまった…顔が見えないな…)
男「…座っていいか?」
婚約者「…」
男「座るぞ?」ギッ
弁護士「男さん、あまり刺激しないようにね」
男「はい」
婚約者 カタカタカタ…
男(婚約者…震えてるな…)
男「…すまなかった」
婚約者「…え?」
187: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:38:51.56 ID:q5k8v/mto
男「俺がさ、仕事に感けて婚約者のことをほったらかしにしたから…浮気したんだろ?」
婚約者 キョトン
男「婚約者…ホントにすまなかった」フカブカー
婚約者「………うわぁあああん!!ごめんなさあい!!!」
男「婚約者…」
婚約者「違うのっ!違うのよぉおお!!!」
男「…とりあえず落ち着こう。な?」
婚約者「うわぁあああん!!うわぁあああん!!!!」
 ・
 ・
 ・
188: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:39:26.83 ID:q5k8v/mto
婚約者 グスッ グスッ…
男「…落ち着いたか?」
婚約者 コクン
警察官「接見を中止しますか?」
婚約者「…」フルフル
弁護士「…では、落ち着いて話してください。男さんもね」
男「はい」
婚約者「…はい」
男(婚約者…ちょっと顔を上げてくれた…)
男「…さっき違うって言ったよな?」
婚約者 ピクッ
男「…何がどう違うのか…話してくれないか?」
婚約者「…浮気じゃないの…」
男「…どういうこと?」
189: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:40:15.24 ID:q5k8v/mto
婚約者「…私の教育係が先輩さんだったことは…知ってるよね…」
男「ああ」
婚約者「実は…その時からずっと…先輩さんとその…関係があって…」
男「…」
婚約者「最初は…失敗しても優しく宥めてくれる先輩のことが気になって…誘われるままに…」
婚約者「それから…2年ぐらいして…先輩さんが結婚することになって…私とは終わりにしようって…」
男(先輩…二股かけてたのか…)
婚約者「でも…そのころにはもう…先輩のことが忘れられなくなってて…結婚した後も…」
婚約者「でも…先輩さんの奥さんが浮気を疑い始めて…それで…男には悪いんだけど…偽装結婚しようって話になって…」
婚約者「私は…先輩さんに言われるまま…男と付き合うようになって…会社も辞めて…」
男「…俺は当て馬だったわけだ」
婚約者「ごめんなさい…」
190: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:40:54.12 ID:q5k8v/mto
男「…よく話してくれれたな。辛かっただろ?ありがとう」
婚約者「男ぉ…男はこんなに優しくていい人なのに…私は…なんてことをしようとしてたんだろ…」
男「それから…あの日のことなんだけど…」
婚約者「…男が…いなくなった日?」
男「そう、あの日…何があったのか、その後どうなったのか…教えてほしい」
婚約者「そうだね…男には知る権利があるよね…」
男「あの日…俺は先輩妻さんからの電話で部屋に戻って…婚約者たちの話を聞いちまったんだ…」
男「その後部屋を飛び出して…車を運転してて…運転を誤って事故って…」
男「とにかく遠くに行きたくて…電車に乗ったんだ…」
男「その後…記憶をなくした俺は…ある人の世話になってて…ホームセンターで婚約者に刺されたときに…すべてを思い出した」
婚約者「…」
男「…俺が知りたいのは…俺が部屋を出ていった後…お前たちは何をしていたのか…それが知りたい」
婚約者「…」
男「…」
191: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:41:48.43 ID:q5k8v/mto
婚約者「…あの時…」
婚約者「…急にドアが閉まる音がして…上司さんが来たのかと思って…でも誰もいなくて…」
婚約者「そしたら警察から電話があって…男の車が事故を起こしたって…」
婚約者「それで…先輩さんと一緒に警察に行って…その後男に電話をかけたんだけど…なかなか繋がらなくて…」
婚約者「やっと繋がったと思ったらすぐに切られて…もう一度掛けたら女の人が出て…」
婚約者「番号を間違えたのかと思って…そのあと何度も掛けたけどもう繋がらなくて…」
婚約者「それで…部屋に戻って男を待ってたんだけど…次の日に弁護士から電話がかかってきて…」
男「弁護士?」
192: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:42:33.76 ID:q5k8v/mto
婚約者「先輩さんの奥さんが雇った弁護士…それで…私たちの不倫に対して訴訟を起こすって言われて…」
婚約者「先輩さんに連絡を取ろうとしたんだけど電源が切られてて…会社や実家にも内容証明を送られて…」
婚約者「それで…先輩さんはクビになって…上司さんは地方の営業所に…」
男「…」
婚約者「それで…当然だけど…先輩の奥さんに法外な慰謝料を請求されて…」
婚約者「先輩の奥さんに言われたんだ…『私はお金をもらっても到底気持ちの整理はつかない。だから裁判を起こしてあなたたちのしたことを白日の下にさらけ出したい。』」
婚約者「『けれど…あなたたちにも御家族はいる。だからこの慰謝料の金額は…私が裁判を起こさないための、ギリギリの金額だと思ってください』って…」
婚約者「その時初めて…自分のしたことの罪の深さを自覚したの…」
婚約者「それで…きっと男も…先輩妻さんと同じ気持ちなんだろうなって…」
婚約者「それで…私は貯金をすべて吐き出して…足りない分はお父さんたちに出してもらって…」
婚約者「両親には泣かれるし…男のご両親には『制裁は息子が自らするだろう』って言われて許されることもなくて…」
婚約者「自分の軽率な行動で…いろんな人たちが不幸になったんだって…そう思ったら怖くなって…」
男「それで…引きこもってたのか…」
婚約者 コクン
193: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:43:14.26 ID:q5k8v/mto
男「…心療内科には?」
婚約者「…実家に戻った後…鬱病になって…それでかかってた…」
男「…大変だったな…」
婚約者「…どうして…どうしてそんなこと言うのよ…」グスッ
男「俺には…それしか言えないから…」
婚約者「あんた…馬鹿よ…」
男「そうかもな…」
婚約者「うぅ…」グスッ
男「…なあ」
婚約者「…なあに?」
男「…なんでホームセンターで俺たちを襲ったんだ?」
婚約者「…」
194: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:43:58.27 ID:q5k8v/mto
男「婚約者、お前…引きこもってたんだろ?それが…なんであんなことしたんだ?」
婚約者「それは…手紙を見たから…」
男「手紙?あ、先輩から貰ったんだな」
婚約者「ううん…誰からはわかんない…パソコン印刷だったし…名前がなかったから…でも…先輩だと思う…」
男(俺が先輩に渡した手紙じゃないな…手書きだったし…ということは先輩が打ち直したのか?)
婚約者「…男?」
男「あ、ごめん。続けてくれるか?」
婚約者「その時私は…鬱病もだいぶ良くなってて…でも…その手紙を見て…」
男「…その手紙にはどんなことが書いてあったんだ?」
婚約者「…男はオンナと同棲してて…子供もいて…私は男に騙されてたんだって…3人一緒の写真も同封されてて…」
婚約者「でも…信じられなくて…それで…自分の目で確かめたくて…」
婚約者「書いてあった住所のあたりで男たちを探していたら…ホームセンターに入っていくのを見かけて…」
男「そっか…それで…」
195: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:44:34.86 ID:q5k8v/mto
婚約者「私…とんでもないことした…一度ならず二度までも…男にひどいことしちゃった…」
男「…もういいよ。十分反省してるみたいだし。ただ…なんでお水女なんだ?狙うなら俺のほうだろ?」
婚約者「わからない…だけど…あのオンナは…男の隣で幸せそうに…」
婚約者「それで憎くなって…本当なら男の隣には私がいたはずなのにって…」
婚約者「…そのあとはよく覚えてないけど…気が付いたら男が血塗れで倒れてて…」
男「…」
婚約者「それで…いろんなことを思い出して…男と付き合ってた時のこととか…不倫してた時の罪悪感とか…」
男「…俺を刺した凶器は?最初から持っていたのか?」
婚約者 フルフル…
男「じゃあ…いったいどこで…」
婚約者「きっと…私がいた場所がたまたま刃物売り場だったから…多分売り物の包丁で男を…」
男「…ごめん」
196: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:46:07.83 ID:q5k8v/mto
婚約者「だからぁ…なんで男が謝るのよぉ…一番の被害者じゃない!!」
男「…婚約者がこんなことをしたのも…俺が記憶を失ったからだもんな…」
婚約者「そんなこと言わないでよぉ…うっ…うう…」グスッ
男「婚約者…最後に教えてくれ。お前は俺を…愛していてくれたのか?」
婚約者「………………」フルフル…
男「そっか…正直に言ってくれてありがとう」
弁護士「…こう言っては何ですが…男さん、あなた…優しすぎますよ。そのやさしさが…余計に人を傷つける」
男「…だから俺は優しくなんかないんですよ」
弁護士「…そろそろ時間です。帰りましょうか」
男「…はい。婚約者」
婚約者「…え?」
197: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:46:37.93 ID:q5k8v/mto
男「話してくれてありがとう…元気でな。さようなら」ガタッ
婚約者「あ…」
パタン
婚約者「うう…男ぉ…ごめんなさい…」グズグズ…
 ・
 ・
 ・
弁護士「…最後の最後で…あなたって人は…」
男「あれが俺にできる精一杯のことですよ…はっきりと別れを告げるのが…ね」
199: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:51:49.03 ID:q5k8v/mto
〜その頃・お水女のアパート〜
お水女 ボー…
お水女(今日は何もする気が起きないなぁ…もうお昼か…)
お水女「…お茶漬けでも食べよ」
コンコン
お水女「男!?」
ガチャ
お水女「…あ」
先輩妻「お久しぶり」ニコッ
お水女「あ、ども…あの」
先輩妻「お話があるの。入っていいかしら?」
お水女「あ、はい。どうぞ」
先輩妻「ありがとう」
 ・
 ・
 ・
202: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:56:24.81 ID:q5k8v/mto
お水女「どうぞ」コトッ
先輩妻「お気遣いなく」
お水女「はあ…」
先輩妻「…はあ。おいしいお茶ね」
お水女(お客さんからもらったお茶なんだけど…)
先輩妻「…」
お水女(なんか…息苦しい…)
お水女「あ、あの」
先輩妻「なあに?」
お水女「お話って…」
先輩妻「…」ゴソゴソ
ドン
お水女「…これは?」
ハラリ
お水女「!?」
203: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:56:54.68 ID:q5k8v/mto
先輩妻「…500万あります。これで男さんを返してください」
お水女「…え?」
先輩妻「…記憶を失った男さんのお世話をしていただいたことは感謝します」
先輩妻「これは…そのお礼だと思ってください」
お水女「…」
先輩妻「…」
お水女「…なんで」
先輩妻「…」
お水女「なんで…あなたがお金を出すんですか?それに…なんであたしの借金のことを知っているんですか?」
先輩妻「…」
204: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:57:28.87 ID:q5k8v/mto
お水女「病院に来た時もそうです。どうして男が入院している病院を知っていたんですか?」
先輩妻「…ごめんなさい。ちょっと調べさせてもらったの」
お水女「やっぱり…」
先輩妻「あなた…苦労されたのね。お父様が借金の保証人になったせいで借金まみれになって…」
先輩妻「自殺したお父様の借金を返しながら…とても信じられないわ」
お水女「なにが…言いたいんですか…」
先輩妻「…あなたが男さんに好意を持っているのはわかるわ。彼、優しいものね」
お水女「…」
先輩妻「でもね、住む世界が違うの。男さんは普通に会社に勤めてて…しかも出世頭だったのよ?」
先輩女「だから…あなたとは…釣り合わないわ」
お水女「…先輩妻さんとは釣り合う…って言いたいんですか?」
先輩妻「…ええ。そうよ」
205: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:58:05.52 ID:q5k8v/mto
お水女「先輩妻さん…あなた結婚してるんでしょ?なんで男に?」
先輩妻「…夫とは別れたわ。私は今、独身なの」
お水女「…え?」
先輩妻「あなた…男さんから聞いてないの?私の夫は男さんの婚約者と不倫してたのよ?」
お水女「!?」
先輩妻「私は限界だった…夫は…家では何もしなくて…そのうえ浮気まで……」
先輩妻「だけど…男さんは夫と違って…優しくて仕事もできて…だから夫と離婚して…」
お水女「…」
先輩妻「あ、誤解がないように言っておくけど…私は男さんとはそういった関係はないわ」
お水女「え?じゃあなんでそこまで…」
先輩妻「…私…初めて人を好きになったの」
お水女「え?」
206: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:58:32.44 ID:q5k8v/mto
先輩妻「私ね…オトコに不自由したことがないの。何人ものオトコに好意を寄せられたわ。夫の会社の何人かにもね」
お水女(先輩妻さん美人だもんね…)
先輩妻「それで…私もいい年になったし…一番条件のいい夫と結婚したの」
先輩妻「夫の実家は会社を経営してて…羽振りが良くてイケメンで…このオトコでいいやって思って結婚したんだけど…」
先輩妻「夫は実家を継ぐ気はなくて…義弟が実家を継いで…仕送りもなくなったから生活レベルも落ちて…」
先輩妻「そのうえ家では何もしなくって…そんな時にね、男さんが酔った夫を家まで送ってきたのよ」
先輩妻「男はね…『自分がやりますから休んでてください』って言って…酔った夫をベッドまで運んで…」
先輩妻「夜遅くまで夫を連れまわしたことを謝ったり、夫を支えて献身的なよくできた奥さんだとか言ったり…」
先輩妻「ほかにも…いろいろ私のことを褒めてくれて…」
先輩妻「初めてだったのよ?私は…容姿抜きで私を見てくれるオトコに出会ったのは」
お水女「…」
207: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:59:02.97 ID:q5k8v/mto
先輩妻「…それからよ。男さんのことが気になりだしたのは」
先輩妻「それで男さんのことをそれとなく会社の知り合いに聞いたりして…気が付いたら好きになってたわ」フッ…
お水女(今の顔…ホントに男のことを好きなんだ…)
先輩妻「でも…私には夫がいて…だから…好きになっちゃいけないって…」
先輩妻「男さんも『夫を支えて献身的なよくできた奥さんだ』って言ってくれてたんだから…諦めなきゃって思って…」
先輩妻「そんな時に、たまたま夫のスマホにオンナからのメールを見つけて頭にきて…」
先輩妻「それで夫に問いただしたら、後輩の女の子だって言って誤魔化そうとしたのよ」
先輩妻「そのとき思ったわ。これは神様がくれたチャンスなんだって」
お水女「チャンス?」
208: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 01:59:46.07 ID:q5k8v/mto
先輩妻「…ええ。夫と別れるチャンスを神様が与えてくれた…私にはそう思えたの」
先輩妻「それからは夫の行動をそれとなく探って…密会のある日を調べて…相手が男さんの婚約者だってわかった時は胸が躍ったわ」
先輩妻「それからは興信所を頼んで証拠を集めて…それで離婚したの」
お水女(この人…怖い…)
先輩妻「でもね…その頃には男さんは行方不明で…興信所を使っても行方が分からなくて…」
お水女「あの…」
先輩妻「なあに?」
お水女「どうして…すぐに男を探さなかったんですか?」
先輩妻「…初めて好きになった人だからね…独身に戻って堂々と男さんに会いに行きたかったから…」
先輩妻「だから…それまでは男さんのことは…考えないようにしていたのよ」
お水女「…」
先輩妻「だから…お願い。男さんを私に返して」
お水女「…でも…」
209: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 02:00:18.46 ID:q5k8v/mto
先輩妻「…今ね、私は会社を経営してて結構裕福なの。この程度のお金なんてすぐに用意できるわ」
先輩妻「だから男さん一人ぐらい余裕で養えるの」
先輩妻「私は男さんと一緒になって…あなたは借金を返済できる…Win−Winでしょ?どう?」
お水女「…考えさせて…ください…」
先輩妻「…わかったわ。今日は帰ります」スクッ
お水女「すみません…」
先輩妻「…また近いうちに来ます。それまでに結論を出しておいてください。じゃ」
ガチャ パタン
お水女「…はあ…」
210: ◆doBINqA5W6 2015/02/08(日) 02:00:53.23 ID:q5k8v/mto
お水女(きっついなぁ…あはは…)
お水女(覚悟してたのに…人に言われるとこんなにきついなんて…)
お水女(『住む世界が違う』か…確かにね…)
チラッ
お水女(…このお金があれば…借金が返せる…でも…その後どうなるの?)
お水女(どこかの会社に就職する?…無理だよね…もうこの世界にどっぷりつかっちゃってるし…)
お水女(この仕事がダメって訳じゃないけど…幼女のことを考えたらやっぱり…)
お水女(記憶を失った男とならこのまま一緒に…って考えてたけど…記憶…戻っちゃったもんね…)
お水女(でも…今さら男のいない生活なんて…)
お水女「…あーっ!もうわかんない!!」
グスッ
お水女「…男ぉ…早く帰ってきてよぉ…」グスッ
224: 以下、

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