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やよい「お姉ちゃん♪」春香「うひゃあ」
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1:
春香「ね、ね。もっかい言って?」
やよい「おね?えちゃん♪」
春香「はうっ! うぅ……やっぱりかわいい……!」
やよい「あの……春香さん。なんだかちょっと、恥ずかしいかなーって」
春香「そんなことないよ! うん、バッチリ! ねぇねぇ、もう一回!」
やよい「……おねえちゃん」
春香「――??!!」
ぎゅっ
春香「やよいはかわいいなぁ……えへ、えへへ……」スリスリ
やよい「……えへへ……」
2:
春香「ほ?らやよい、今日はクッキー作ってきたの!」
やよい「クッキーですかっ!?」パァ
春香「うんっ! 一緒に食べよう?」
やよい「うっうー! ありがとうございまーっす!」
春香「じゃあじゃあ……はい、あーん」
やよい「え?」
春香「あ?ん」
やよい「え、えーっと……わ、私、ひとりでも食べられま」
春香「あ?ん」
やよい「……あーん」
ぱくっ
春香「うひゃあ! 食べた食べた!」
やよい「……もきゅもきゅ……」
春香「もう、かわいいわね本当にもう! えへへへ」
やよい「……えへへ。おいしいですー……♪」
6:
春香「ウフフフ」
やよい「えへへへ」
P「あはは、最近春香とやよいは仲が良いなぁ。本当の姉妹みたいだ」
小鳥「そうですねぇ?。眼福眼福……♪」
千早「……」
P「うわあ!? ち、千早……いたのか」
千早「……ええ」
P「どうかしたか? いつもより暗いというか……」
千早「私はいつもこんな顔ですから」プイ
P・小鳥「「……?」」
9:
P「春香、やよい」
春香「あっ、プロデューサーさん!」
やよい「おはようございまーっす!」
P「おはよう。調子はどうだ?」
春香「もう絶好調ですよっ! あっ、そうだ、プロデューサーさんもクッキーいかがですか?」
P「おお、それはいいな! それじゃあ……」
春香「……?」
P「……」アーン
やよい「プロデューサー、どうしたんですか? お口がカラカラになっちゃいますよー」
P「いや、こうしてれば俺にもあーんしてくれるかなーって」
春香「あはは!」
スッ
P「え……」
春香「はい、どうぞ♪」
P「……手渡し……うん、わかってた。わかってたよ」
10:
P「さみしいなぁ……」モグモグ
春香「そ、そんな顔しなくても……」
P「俺もあーんってされたかった……美味いけど」
春香「もうっ……いつもみたいな冗談なんでしょう? わかってますよーだ」
P「……」
春香「うぅ……」カァ
春香「わ、私はいま、やよい限定のお姉ちゃんだから、他の人には優しくしないんです!」
P「お姉ちゃん?」
春香「そうですよっ! んふふ……」
スリスリ
やよい「はわわ……えへへ」
P「本当に最近、ふたりは仲がいいよな。何かあったのか?」
春香「よくぞ聞いてくれました! えへへ、実はですね……♪」
12:
【回想】
春香「思うに!」
亜美「へ?」
春香「亜美達は私への、えーっと、あれ! あれが足りないと思う!」
真美「急にどったのはるるん。落ちてるお菓子でも食べちゃったの?」
亜美「三秒以上経ったらキケンだよ??」
春香「ち?が?うぅ?!」
春香「私が言ってるのはね、なんというか……お姉さんとしての威厳! ……というか」
真美「インゲン……?」
亜美「はるるんはお豆が食べたいのかな?」
春香「それも違うわよぅ!」
13:
春香「つまりね、亜美たちは私のことを、同い年の友達みたいな感じに思ってるでしょ?」
亜美「うん!」
真美「あったりまえっしょ?! むしろ年下の後輩ちゃん、みたいな?」
亜美「そだね! はるるんってば、目を離したらすぐ3どんがらくらいしちゃうんだもん」
春香「うぐ……そ、そうはっきり言われるとは思ってなかったわね……」
春香「……とにかく、私は亜美や真美よりずっと年上なんだよ? だから、年上への敬いが足りない! ……と思うの」
亜美「そんなこと言われても?……」
真美「今更、ねぇ?」
春香「伊織や美希だってそうだし……たまには、お姉さんっぽく扱ってよう」
亜美「んっふっふ?! はるるん、そりゃ無理な相談ってもんっしょ!」
真美「そうだよ?。だって……真美達はみんな」
亜美・真美・春香「仲間だもんげ!」
ウフフ……
アハハ……
春香「……ってちがうぅ?!」
14:
亜美「さっすがはるるんだね!」
真美「ノリツッコミもバッチリだね!」
春香「もう……中学生組の中で私のことを敬ってくれるのは、やよいだけだよ」
やよい「呼びましたかー?」ヒョコ
春香「あっ、やよい!」
やよい「えへへ、もうちょーっと待っててくださいね! もうすぐお茶の準備が出来ますからっ!」
春香「……やよいは良い子だなぁ……」
亜美「亜美達だって良い子だよ?」
真美「うんうん。……はるるん、真美達のこと、悪い子だって思ってるの……?」
春香「うぇ!? あ、い、いや、そういうわけじゃないのよ? で、でも……」
亜美・真美「「……」」ウルウル
春香「そうじゃないけど、そうじゃないけど! うぅ?……」
亜美・真美「「んっふっふ?!」」
春香「……もう……」
15:
雪歩「はい、どうぞ」コト
春香「ありがと、雪歩……」ズズッ
雪歩「……春香ちゃんの気持ち、私もちょっとわかる……かも」
春香「え!? ほ、ほんと?」
雪歩「うん。あ、で、でも、気にしてるわけじゃないよ? ただ……えへへ、たまにはお姉さんになってみたいよね」
春香「うんうん! そうだよねっ!」
雪歩「やよいちゃん以外は、みんななんというか……そういう感じだし」
亜美「でもそれ、はるるんもだよね?」モグモグ
春香「う」
真美「はるるんの方が、ゆきぴょんより年下っしょ? 学年も違うもんね」
雪歩「あ、亜美ちゃん真美ちゃん! べ、べつに私は本当に、気にしてるわけじゃ……」
春香「……ご、ごめんね、雪歩……さん」
雪歩「やめてよぅ……なんか、恥ずかしくなっちゃうから」
16:
春香「……ねぇ、やよい」
やよい「なんでしゅかー?」モグモグ
春香「私のこと、お姉ちゃんって呼んでみて?」
やよい「!? ……けほ、けほ」
春香「あぁ、ご、ごめんね! ビックリさせちゃったかな」
やよい「あう……だ、だいじょぶですっ。それで、あの……お姉ちゃん?」
春香「うん! 亜美達が私のことお姉ちゃん扱いしてくれないなら、
その分やよいがとことんお姉ちゃん扱いしてくれればいいかなーって!」
雪歩「春香ちゃん、その理屈はおかしいんじゃ……」
やよい「いいですよ! えへへ、私も春香さんのことは前からお姉ちゃんみたいだって思ってましたから!」
春香「ホント!? やった?♪」
やよい「それじゃあ……こほん」
やよい「……おねえちゃん♪」
春香「!!!!!!」ズキュン
17:
【回想おわり】
春香「……というわけで、ズキュンと来ちゃったから、それ以来私はやよいのお姉ちゃんなんです!」スリスリ
やよい「はわわ……」
P「なるほど……ん? なるほどか?」
春香「それによく見たら、私達どことなく似てるって思いませんか!?」
P「そうだなぁ……瞳の色とか」
春香「はい! あとあと、元気いーっぱいなところとか!」
やよい「そうですね! 私と春香さんは元気くらいしか取り得がありませんからっ!」
春香「うんうん! ……うん?」
P「あはは……まぁ、深くは考えるな」
春香「……う?ん……ま、いっか」
20:
P「でもまぁ……良いな、こういうの」
春香・やよい「?」
P「うん、うん……ふたりとも、ちょっと手を繋いでこっちに微笑んでくれないか?」
春香「いいですよ♪」
ギュッ
やよい「えへへ……」
P(ナチュラルに指を絡ませてる。よほどお気に入りなんだろうな)
P「ほい、ポーズ」
春香・やよい「♪」ニコッ
P「……うん! 思った通りだ、これは良い! ティンときたぞ!」
春香「プロデューサーさん、どういうことですか?」
P「ふっふっふ……」
やよい「ぷ、プロデューサーが悪い人みたいな顔してますっ! はわわ……」
P「春香とやよいで、デュオのユニットを組むぞ!」
23:
―――
――
―
春香「リスナーの皆さんこんにちは! 『四月三月』の天海春香と……」
やよい「高槻やよいでーっす! いぇい!」
春香「やよい、なんだか元気いっぱいだね! 何か良いことでもあったの?」
やよい「はい! えへへ、実は今日は、週に一回のもやし祭りの日で……」
春香「わぁ! それってあれだよね、前も言ってたあの……」
P(春香とやよいの新ユニット、『四月三月』がデビューして約一ヶ月……)
P(一見姉妹のように見えるふたりだが、その実、時にはやよいがお姉さんになって春香のドジっ子をフォローしたりと)
P(ふたりのやり取りの微笑ましさが、様々な年齢層のファン達の間で大ブレイク!)
P(今ではネットラジオの番組を持てるまでに人気のユニットとなった! おそろしいくらいトントン拍子で怖いな!)
24:
【765プロ事務所】
P「はい、はい……本当ですか! ええ、是非……ありがとうございますっ!」
P「……それでは……はい、失礼します」
ガチャ
小鳥「プロデューサーさん、またお仕事の依頼ですか?」
P「ええ! なんと、テレビですよテレビ! 完璧テレビ君!」
小鳥「まぁ、あの有名な教育番組の」
P「いやーあはは! これでまた、知名度も上がるってもんですよ!」
小鳥「ふふっ、順調ですね♪」
P「そりゃあもう! ……おや?」
千早「……」ブスー
P「……千早?」
25:
P「えーっと……」
千早「……」
P「……千早さん?」
千早「……」シャカシャカ
P(ヘッドホンを付けてるから聞こえてないのかな)
P「……」
トントン
千早「……」プイ
P「……」
ガバッ
千早「きゃあっ! なな、何をするんですか!」
P「いや、なんか不機嫌そうだったから……」
26:
千早「……私はいつもこんな顔です」ムスー
P「なんかそれ、前にも聞いた気がするけど……」
千早「……」
P「……何かあったなら相談に乗るぞ」
千早「ほ、ほっといてください。プロデューサーは今、春香達のことで忙しいでしょう?」
P「だけどさ、一応、俺はみんなのプロデューサーだし……ほっとけないよ」
ドタドタ
ガチャ
千早「!」
春香・やよい「「ただいまでーす♪」」
千早「……私、レッスンがありますから、これで」
P「あ、ああ……」
28:
春香「あっ、千早ちゃん! 待っててくれたんだね!」
千早「……春香、高槻さん。お疲れ様」
春香「うん! えへへ、今日もいっぱい――」
千早「ごめんなさい、レッスンに遅刻しちゃうから……」
スタスタ
春香「歌って……あ、あれ?」
やよい「千早さん……?」
P「……う?む」
29:
P「春香、千早と約束でもしてたのか?」
春香「はい……あの、借りてたCDを返そうと思って……」
P「そうか……しかし、取り付く島もないって感じだったな」
やよい「うぅ……千早さん、いつもよりちょっと怖かったかもです……」
春香「……そうかな?」
やよい「え?」
春香「こわい、って言うより……悲しい、って感じだったような」
P「……」
春香「……なにかあったのかな……」
P(千早……)
P(あいつ、もしかして……)
31:
―――
――
―
千早「……私がゲスト、ですか?」
P「ああ。春香とやよいのラジオに、同じ765プロのメンバーとしてさ」
千早「……」
P「……どうだ?」
千早「……プロデューサーがそうしろ、というなら出演します。でも……」
千早「私なんかが、その……ゲストとして出演したって、きっと、楽しい話なんて……」
P「そんなことはないよ。春香もやよいも、千早のことは大好きなんだから」
千早「……っ」
P「いつも通り、事務所にいるみたいな感じで話してくれればきっと……ん、どうした?」
千早「……いえ」
P「……」
32:
【ラジオ収録当日】
春香「ち?は?や?ちゃんっ♪」
ガバッ
千早「きゃ! は、春香……」
春香「えへへ、今日はよろしくね! 私、ずっと楽しみにしてたんだ?!」
千早「……そ、そうなの?」
春香「うん! それに、楽しみにしてたのはもっちろん……」
やよい「私もですーっ!」ピョン
千早「高槻さん……ふふ、ありがとう」
やよい「あの……それで、今日は」
春香「ああっ! だめだよやよい、アレのことはまだ、ない……しょ……」
千早「……内緒?」
春香「……えへへ……ま、まぁ、こうご期待ってことで!」
34:
春香「リスナーのみなさーん! 『四月三月』の天海春香です!」
やよい「それと私は、高槻やよいでーっす! いぇい!」
春香・やよい「「こーんにちはー!」」
春香「……うんうん、いつも通り、良い返事ですね!」
やよい「みなさんのメラメラーって声が、ここまで伝わってくるかもー!」
春香「さぁ、今日も始まりました『春STATION』!」
やよい「今日はなんと! スペシャルゲストが来てくれてるんですよー!」
春香「それでは……どうぞ!」
クィドゥルルルル……
ジャジャン!
千早「……あ、あの」
春香「わー! ひゅーひゅー!」ドンドン
やよい「765プロの如月千早さんでーっす! わー!」パチパチ
千早「……うぅ……は、恥ずかしい……」
36:
千早「……あなた達、いつもこんな感じなの?」
春香「え? こんな感じって?」
千早「なんというか、元気すぎるというか……」
やよい「えっへへ! 千早さん、このラジオのテーマは『元気!』ですからっ!」
春香「そうだよねぇ?♪ あっ、ほらほら、じゃあさっそく、今日の元気アイテム出しちゃうね!」
千早「え、元気アイテム?」
ジャーン
春香「じゃじゃん! なんと、お菓子ですっ! えへへ、全部私の手作りなんだよ!」
やよい「あ?……ケーキ……」ダラー
春香「あぁ、だめよやよい。今日はゲストがいるんだから、前みたいに全部食べちゃうのは」
やよい「はい……わかって……はわ?」
千早「……ふ、ふふっ……」
春香「! ……えへへ……」
37:
P「……」
P(千早が、ようやく笑ってくれたな)
P(俺は思ったんだ。最近千早が元気なさそうだったのは、友達である春香達が忙しくて中々会えなかったからだと)
P(……無理矢理スケジュールを調整して、千早にゲスト出演させてよかった……よな?)
春香「しょれでね?」モグモグ
やよい「きょふは?」モグモグ
千早「え、今収録中よね? お菓子食べていいの?」
春香「あぁ……ゴックン。うん! いつもこんな感じだから!」
やよい「はーい、千早さんも!」
千早「……そ、それじゃあ……」
パクッ
千早「! ……おいしい……!」
春香「えへへ……よかったぁ♪」
38:
春香「今日は、千早ちゃんがいるということで! 特別コーナーをご用意しました!」
千早「特別コーナー? それって……」
やよい「えへへ! そ・れ・は?……じゃじゃん!」
春香「題して! 『千早お姉ちゃんに聞いてみよう!』のコーナーです!」
千早「え? ……えぇ!?」
春香「私とやよいが千早ちゃんの妹になってね」
千早「ちょ、ちょっと春香、こんなの台本に」
春香「あぁっ、だめだめ! 台本とか言っちゃだめだよ!」
やよい「さぷりめんとってやつですっ!」
春香「サプライズね! え?と、かいつまんで言うと……」
春香「私とやよいが千早ちゃんの妹になって、千早ちゃんに普段聞けないあれこれを色々聞いてみようってコーナーです!」
千早「……そ、そう……」
千早(……この企画、誰が考えたの?)ヒソヒソ
春香(プロデューサーさんだよ)ヒソヒソ
千早(……やっぱり……)ヒソヒソ
45:
春香「えーっと、質問の内容はリスナーの皆さんから送られてきたハガキの中から選びます!」
ドサァ
やよい「わぁ、こんなにたくさん! えへへ、ありがとうございまーっす!」
千早「サプライズ企画なのに、私への質問が来てるの?」
春香「千早ちゃんが来ること自体はサイトでお知らせしてたからね!」
千早「そ、そう……」
千早(私としたことが……インターネッツのことはよくわからないから、チェックしてなかったわ)
春香「それじゃあさっそく……」ガサゴソ
やよい「あっ、春香さん! めっ! ですよ!」
春香「えぇ? な、何か私、またドジしちゃった?」
やよい「もうコーナーは始まってるんだから、妹にならないとだめですっ!」
千早「えぇ!? 高槻さん、それは質問のときだけでいいんじゃ……」
春香「なるほどぉ……たしかに、一理あるかもね」
千早「は、春香まで……」
46:
春香「それじゃあ、改めまして……」
春香「千早お姉ちゃん♪」
千早「!」
春香「えへへ……はるか、一生懸命選ぶからね。ちゃんと答えてくれると、嬉しいなっ」
千早「え、ええ……」
やよい「おねえ?ちゃん♪」
千早「!?」
やよい「私もがんばります! えへへ……お姉ちゃんのこと、もっともーっと! 教えてねっ♪」
千早「……!」プルプル
P(ふふ……指導の甲斐があったな)
48:
春香「えへへ! それじゃあそれじゃあ、最初のお姉ちゃんへのお便りは……これっ!」スッ
春香「千早さ……じゃなくて、千早お姉ちゃんは、とっても歌が上手だと思うの。あふぅ」
千早「そ、そうかしら……ふふ、でも、そういってもらえるのは光栄なことね」
春香「ラジオネーム『イチゴババロア』さんからのお便りだよっ♪」
千早「って、終わり!? それ、質問って言うのかしら……?」
春香「う?んとね、はるかは、どうやったら歌が上手になれるかをふわーって答えればいいんじゃないかって思うな!」
千早「そ、そうね……どうしたら歌が上達するか……」
千早「やはりまずは、トレーニングかしら。私も毎日、ボイストレーニングとはまた別に腹筋をしているし……」
千早「あと、歌いたい曲を聴き込むことも必要だと思います。その曲の世界観を知って、自分がその世界の……」
春香「お姉ちゃん!」
千早「え? な、なに?」
春香「もぅ?! そんなの、全然可愛くないよ!」
千早「……可愛く?」
春香「なんというか……他人行儀すぎるっていうか……もっとこう、お姉ちゃんっぽく!」
千早「そう言われても……」
49:
春香「ほらほら?……」ワクワク
やよい「えへへ……」テカテカ
千早「……わ、わかったわ。そういう趣向の企画だものね」
千早「こほん。それでは、改めて……」
千早「……お姉ちゃんはね、歌うことが大好きなのよ」
千早「昔から、歌を歌って……それを聴いて、楽しんでくれる人がいたから」
千早「その人の笑顔を見ることが、お姉ちゃんは何より好きだった……ううん、違うわね」
千早「今でも、好き。私の歌で、誰かの心に、何かを残せたら……それが、感動でも、喜びでも……」
千早「それって、とっても素敵なことだと思わない?」
千早「……だから私は、歌うことが好き。まるで、恋人のようにね。ふふっ」
千早「恋人のことなら、自然と……どんなことでも頑張れると思う。イチゴババロアさんも、きっとそうよ」
52:
春香「……だから千早お姉ちゃんは、いっぱいいっぱい練習して、歌が上手になったんだね」
千早「まあ、そんなところかしら……でもまだまだ私の歌なんて、レベルが低いと思うけれど」
やよい「そんなことないですーっ!」
千早「ありがとう、高槻さん。でも……今よりもっと上のレベルを目指すということは、明日への活力にも繋がるわ」
やよい「……千早お姉ちゃんは、頑張り屋さんなんですね」
千早「ふふ、そう? ……っと、こんな感じでよかった? 春香」
春香「うん! えへへ、なんというか……お姉ちゃんって感じがしたからオッケー♪」
千早「そう、それなら良かった……」
P「……」
P(千早……)
53:
やよい「それじゃあそれじゃあ、次は私の番ですっ! えーっと……」
ガサゴソ
やよい「はーい! これに決めましたー!」スッ
千早「ふふ、高槻さんは何を選んだのかしら」
やよい「あっ、お姉ちゃん! めっ! ですよー!」
千早「え?」
やよい「あの……さっきもそうだったけど、その……妹なんだから、高槻さんって言い方は、や、です……」
千早「で、でも……」
やよい「……やよい、って……呼んで欲しいかなーって」チラ
千早「……――??!」キュン
やよい「あの……」
千早「……え、ええ……」
千早「や、やよい……」カァァ
やよい「! えへへ……それじゃあ読むね、お姉ちゃん♪」
55:
千早「うぅ……」モジモジ
春香(効いてる効いてる! えへへ、プロデューサーさんの読みどおり!)
春香(千早ちゃんの密かな性格、かわいいもの好き……!)
春香(実は千早ちゃんって、ちっちゃくてチョコチョコしてる、やよいとか響ちゃんのことが大好きなんだよね!)
春香(普段はあまり、ベタベタしたりしないけど……こういう機会を与えてあげれば、きっと……)
春香(千早ちゃんは元気になる!!)
やよい「えっへへ……♪」
千早「……は、はやく呼んでちょうだい、やよい……」
やよい「はーい! えーっと……」
やよい「千早お姉ちゃん、ののしってください!」
千早「……え」
やよい「ラジオネーム『P』さんからのお便りでーっす! ありがとうございまーっす!」
58:
千早「の、ののののの……!?」
春香「あ、えーっと……」
やよい「あの、春香さん。ふりがな振ってあったから読めましたけど……ののしる、ってどういう意味なんですか?」
春香「うぇ!? わ、私に聞くの!? の、罵るって言うのは……うぅ?……」
春香「おねえちゃん、パスっ!」
千早「えぇ!? な、なんで私が……!」
春香「……お姉ちゃん、お願い」ウルウル
やよい「おしえてください……おねえちゃん」ウルウル
千早「うぅ……」
千早「」キッ
P「おうふ」ゾクリ
59:
千早「……わ、わかったわ。妹の頼みとあれば、断ってしまってはこの企画の趣向に合わないものね」
千早「私はいま、お姉ちゃんなんだから……!」
春香「ワックワク」
やよい「テカカ」
千早「えーっと、罵るっていうのは……簡単に言ってしまえば、ば、ばかにすること、よ……」
やよい「ばかにするんですか!? えー……そんなの、ゼンゼン嬉しくなさそうかもです……」
千早「そうね。普通はそう。でも、たか……じゃなくて、やよい」
千早「世の中には、そういうことで喜びを感じる人もいるのよ……信じたくない事実だけれど」
やよい「そーなんですかー……世界はまだまだ私の知らないことでいっぱいです」
春香「……それで、どうするの、お姉ちゃん」
千早「え?」
春香「もしお姉ちゃんがどうしても無理って言うなら、パスすることも出来るけど……」
千早「……」
61:
千早「……パスなんて、しないわ」
春香「!」
千早「……そう、お姉ちゃんはいつだって逃げない存在だもの」
春香「千早ちゃん……! きっとそれは、どこか間違った認識だけど……かっこいいよ!」
やよい「かっこいいですー……!」
千早「それじゃあ……ラジオをお聞きになっている『P』さん」
千早「精一杯、心を込めて罵りますから……聞いてください」
P「……」ワクワク
千早「……本当に、どうしようもないわね、あなたは」
P「!」
千早「やることなすこと、全部からまわり。今日もまた、失敗したんでしょう?」
千早「本当、姉として情けないわ……出来の悪い弟を持つと」
P「……!」
62:
千早「……その顔、本当に……見ていて腹が立つわ」
千早「無理矢理笑ったって、だめよ。お姉ちゃんにはわかってるんだから」
千早「心の中で、まだまだそのことを引きずっているって」
千早「いつまでウジウジしているの?」
千早「失敗なんて、誰にだってあるでしょう」
千早「……そう、そうよ。私にだってある。でもね、あなたが自分の足で立たないで、どうするのよ」
千早「教えてもらったでしょう」
千早「あなたは、ひとりじゃないって。私を始めとした、大切な家族がいるって」
千早「……まだ、素直になれないの? 情けない、本当に……」
千早「……もう、本当に……」
ジワァ
春香「……!」
千早「嫌になる、わ……」
千早「……そんなあなたなんて、大嫌いよ……! 顔も、見たくない……!」
63:
千早「……」
春香「……こ、これはPさんも、大満足の罵りだったんじゃないかな!」
やよい「あの、千早さん……」
千早「……ふふ、どうしたの?」
やよい「……えーっと」
千早「大丈夫、これは演技だから。本当に怒ってるわけじゃないわ」
やよい「……はい」
春香「えーっと! なんだかへんな空気になっちゃいましたけど! 時間も押してることですし、次のコーナーへ……」
―――
――
―
66:
P(その後は、特に言うこともなく……みんないつも通りの明るさを取り戻して、ラジオの収録は終わった)
P(……千早……)
P(もしかして俺は……千早が元気が無かった原因を、勘違いしてしまっていたんじゃないか……?)
P「お疲れ、みんな」
春香「……はい!」
千早「……ええ」
やよい「あう……」
P「……千早、ちょっといいか?」
千早「……はい」
P「あの、さ……」
春香「待ってください、プロデューサーさん!」
P「え?」
春香「……千早ちゃんとは、私がお話しますから」
P「……春香……」
72:
―――
――
―
テクテク
春香「……えへへ」
千早「……」
春香「こうやって一緒に帰るの、久しぶりだね」
千早「……そうね」
春香「さ、さっきメールで見たんだけど、小鳥さんがね! 美味しいお菓子を買ってきてくれたんだって!」
千早「お菓子?」
春香「うん! 事務所に置いてあるからって……楽しみだね」
千早「……そうね」
春香「……」
千早「……」
春香・千早「「あのっ!」」
73:
千早「……ごめんなさい、春香から言ってくれるかしら」
春香「え、でも……」
千早「私、実はまだ、考えがまとまってないから……」
春香「そ、それは私だって同じだよう! うぅ?……」
千早「……お姉ちゃん命令」
春香「えぇ!? も、もう、収録は終わったんだよ?」
千早「ふふっ……でも、今日は散々、あなた達の言うこと聞いたじゃない」
千早「だから……お願い。春香ちゃんは素直で可愛い妹! ……なんでしょ?」
春香「……ズルいなぁ、千早ちゃんは」
千早「……」
春香「あのね……私、謝らなきゃいけないんだ」
千早「謝る?」
春香「うん……勘違い、しちゃってたと、思うから」
74:
春香「……千早ちゃん、最近元気なかったよね」
千早「……そうかもしれないわね」
春香「その原因、ね。プロデューサーさんとも話したんだけど……
あんまり私達とお話が出来てなかったから、なんじゃないかなって思ったの」
千早「……そう」
春香「あ、あのね! わ、私なんかと話せなくて、千早ちゃんが元気なくなるなんて、
そんなのおこがましいというかなんというかだけど!」
春香「でも……その、千早ちゃんが元気なくなった時期が、ちょうど私とやよいが新ユニットを組んだ頃と重なってたから」
千早「……」
春香「だから……今日みたいに、前みたいにお喋りできれば、きっと千早ちゃんは元気になるって、思ったの」
千早「……でもそれが、勘違いだったの?」
春香「うん……実際お喋りしても、なんというか……あんまり、変わらなかったような気がするから」
75:
千早「……そんなことないわ」
春香「でも……っ!」
千早「今日の収録、私も楽しかった。あんまり顔に出せなくて、申し訳ないけれど……
それでも、あなた達とお喋りが出来て、私だって本当に嬉しかったわ」
春香「……」
千早「……こういう表現は、まだ苦手なのよ。ごめんなさい」
春香「……うそ」
千早「え?」
春香「うそだもん……それくらい、わかるもん」
千早「……」
春香「ね、ねぇ……でも私、バカだから、それ以上はわかんないよ」
春香「千早ちゃんは、何を考えているの? な、なんで……」
春香「今も、苦しそうな顔をしているの?」
76:
春香「……」
千早「……素直になれない自分に……腹が立ったのよ」
春香「え?」
千早「春香が言ったこと、それはほとんど、私の心境そのものだったわ。
……確かに私は、あなた達との時間が取れなくて、少し、寂しい思いをしていた」
春香「……」
千早「でも、何より私は……その、ね」
春香「千早ちゃん……?」
千早「自分の心が、憎らしくてしょうがなかったのよ」
春香「ど、どういうこと?」
千早「……も、もう……正直に、言ってしまうわね」
春香「う、うん……」
千早「ねぇ、春香。それを聞いても、私のことを嫌いになったりしない?」
春香「当たり前じゃない! 私が、千早ちゃんのことを嫌いになるなんて」
千早「……そう……」
77:
千早「……――られちゃったんじゃないかって」
春香「へ?」
千早「だっ、だから……!」
千早「……春香が……高槻さんに取られちゃったんじゃないかって」
千早「そう……思ったのよ」
春香「!」
千早「……嫉妬、してたの。高槻さんに」
千早「お姉ちゃんだって言って、高槻さんにベタベタしてた春香を見ていて……」
千早「それと同時に、なんだか……私が、春香にほっとかれている気がして、いやな気持ちになった」
千早「私にとっては、春香も高槻さんも、同じくらい大好きなのに……!」
千早「そんな気持ちを感じてしまう自分が、いやになって、しょうがなかったのよ……」
81:
春香「ほえ……」
千早「……以上です」
スタスタ
春香「うああっ! ちょ、ちょっと待ってよ千早ちゃん!」
千早「いやよ、い、今の私の顔を見ないで……!」
春香「やだ! 見?せ?て?……!」グググ
千早「……恥ずかしくて消えてしまいたい……!」グググ
春香「そっちがその気なら?……えいっ!」
ガバッ
千早「きゃっ!?」
春香「……」
ギュー
千早「……は、春香?」
春香「……えへへ。千早ちゃぁん……♪」スリスリ
千早「……なによ……うぅ……」
82:
春香「千早ちゃんの体、熱いね」
千早「……春香には負けるわ」
春香「ここからじゃ見えないけど……きっと顔も、こんな感じになってるんだろうなぁ」
千早「じゃ、じゃあもう、確認は済んだでしょ? 離してくれないかしら」
春香「だーめ!」
千早「な、なんで……!」
春香「そんなの、決まってるじゃない!」
春香「私だって、千早ちゃんとずーっとお喋りできなくて、寂しかったんだから」
ギュー
千早「……春香……」
春香「……ばか」
千早「……本当に、そうね。ごめんなさい……」
春香「ううん……謝らないで。ほんとは……私のほうが、もっとばかなんだから」
83:
【765プロ事務所】
春香「ただいま戻りました?♪」
P「おお、春香! それに、ちは……や……も」
千早「……見ないでください」カァァ
P「はは……なんだか、元どおりになったみたいだな。いや、前まで以上か……」
千早「……」プイ
春香「えへへ♪」
千早「……ね、ねぇ春香。やっぱり、その……」
春香「なあに?」
千早「さすがに事務所の中では恥ずかしいわ。手を離してくれないかしら……」
春香「だーめ!」
85:
P「……千早、すまなかったな」
千早「え?」
P「お前達と別れてから考えたんだけどさ……
やっぱり俺が、あんなことを言い出したのがきっかけだったんだろ?」
千早「……ユニットの件ですか?」
P「ああ」
千早「ふふっ、いいんです。今ではこうして……その、元に戻りましたから」
P「……そうか……それなら良かった」
千早「……でも、プロデューサー?」
P「ん? どうした?」
千早「ああいうハガキは、今後一切送らないでくださいね」
P「う……はい、肝に銘じます」
86:
春香「はい、あ?ん♪ 美味しい美味しい、小鳥さんのお菓子だよ!」
千早「じ、自分で食べられるわよ」
春香「でもでも、やよいはあーんで食べてくれたもんね?」
やよい「はいっ! えへへ……千早さん、一緒に食べましょーっ!」
千早「……た、高槻さんがそういうなら……」
春香「あーん♪」
千早「……」
ぱくっ
春香「うひゃあ! 食べた食べた!」
千早「……もぐもぐ……」
春香「もう、かわいいなぁ本当にもう! えへへへ」
千早「……は、恥ずかしい……!」カァァ
やよい「千早さんが元気になったみたいで、私もとっても嬉しいですーっ!」
87:
春香「ねぇねぇやよい。千早ちゃんってばね、やよいに嫉妬してたんだって♪」
やよい「へ? シットですか?」
春香「うん! えへへ、なんでも……もがもが」
千早「……春香」
春香「ひゃい……」
千早「……お姉ちゃんさすがに怒るわよ……」
春香「す、すみません……」
やよい「あの……でもでも……ごめんなさいっ、千早さん!」
千早「え? た、高槻さんが謝ることなんて」
やよい「だって……千早さんが元気なかったのは、私が春香さんを独り占めしちゃってたからなんですよね?」
千早「!?」
千早(……言ったの?)ヒソヒソ
春香(言ってない言ってない!)ヒソヒソ
88:
千早「……それは、どこの誰から聞いたのかしら」
やよい「えーっと……なんとなく、見ててわかりました。だから、ごめんなさいっ!」
千早「……そう」
やよい「……そうだってわかってたのに、私……春香さんにぎゅーってされると嬉しくて、だから……」
千早「ううん、気にしないで。私はもう、大丈夫だから」
やよい「ホントですかー……?」
千早「ええ。だから、そんな顔しないで」
ナデナデ
やよい「はわわ……えへへ」トローン
千早「……」
ナデナデ
やよい「えへへ……やっぱり千早さんも、お姉ちゃんみたいですー……♪」
千早「」キュン
90:
春香「……あ、あれ? 千早ちゃん? なんか、顔が……」
千早「春香。私、決めたの」
春香「え? なにを……?」
千早「これからは、もっと素直になる、って」
春香「う、うん! それがいいよね! でも、その……」
千早「だから……私、高槻さんに言うわ」
やよい「なんですかーっ?」
千早「……高槻さん」
千早「私のこと、お姉ちゃんって呼んでくれないかしら」
春香(……こうして、素直になりすぎた千早ちゃんのおかげで……)
春香(今度はやよいと千早ちゃんが、私を残してベタベタするようになってしまい……)
春香(そして私は、ちょっぴり、ふたりに嫉妬するようになってしまうのでした)
春香(でもそれは、また別のお話です……)
終わり
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