春香「卯月ちゃんが誰かと話してる」back

春香「卯月ちゃんが誰かと話してる」


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1:
――初詣――
卯月「何円ぐらいお賽銭した方がいいかなー?」
卯月「5円? 御縁がありますようにってこと? うーん、でも少なすぎじゃない?」
卯月「どうせなら五重に縁があるように50円、とかにしようかな! それ!」ポーイ
卯月「えっと、お願い事お願い事……アレにコレに…………あ、ト、トップアイドルになれますようにー!」
卯月「これ忘れちゃダメだよね♪ ……私じゃ無理? そ、そういうこと言わないでよー!」
卯月「でも、さすがに50円じゃトップアイドルは無理かな……? むむむ……えーい、500円もプラスだー!」ポーイ
卯月「願いが叶いますようにー! えへへ、これなら大丈夫だよね!」
卯月「……あっ、ゴメンね。うん、うん……それじゃ、今年もよろしくー!」
卯月「ふう……」ピッ
春香「電話……だと……」
2:
春香「え? 卯月ちゃん一人で来たの? 誰か一緒じゃないの?」
卯月「うーんと、次は誰にしようかなー」ピッピッ
卯月「そうだなー……キミに決めたー!」ピッ
卯月「………………」トゥルルルル……ピッ
卯月「あっ、あけましておめでとー! 今なにしてたー?」
卯月「うんうん、私は初詣に来てるとこなのー」
卯月「今ねー、お賽銭入れたところ! お願い事いっぱいしちゃった!」
卯月「た、たぶん叶えてくれるよ! 奮発して550円もお賽銭したんだから!」
4:
卯月「おみくじ引こーっと! えへへ、今年の運勢はどうかなー♪」
卯月「どうせ吉だって? もー、そういうこと言わないで! 今年は吉以外を狙うんだから!」
卯月「むむむむ?………………大凶でもいいから、でろっ!」
卯月「………………吉……」
卯月「ああーん、あんなこと言うから吉になっちゃったじゃない! これで17年連続だよー!」
卯月「大凶を狙う人初めて見た? そ、そんなことないよ、変じゃないよー!」
卯月「うう?……今年は……ううん、去年はいっぱい良いことあったし、今年も良いことありますように!」ムスビムスビ
卯月「あ、うんうん、また今度ね! 今年もよろしくー!」ピッ
5:
卯月「ぜんざい振る舞ってるー。太っ腹ー♪ くーださい!」
卯月「もぐもぐ……ふー、おいしーい♪」
卯月「そっちもぜんざい食べてるの? あはは、偶然だねー! 美味しいよねー♪」
卯月「……え? お、お餅も? おせち、お汁粉、お雑煮まで!? ちょ、ちょっと食べすぎじゃないかな……?」
卯月「いや、えっと……うん、たしかにどれも美味しいけど……」
卯月「そ、そう……お話聞いてるだけでお腹いっぱいになりそう……」
卯月「えっ、ケーキ!? なんでケーキが出て……ホール!?」
卯月「ま、まだ食べるんだ……うっぷ、わ、私はもうお腹いっぱいになっちゃったよ……」
7:
卯月「あっ、生姜湯まである! 胸焼けも収まったし、貰おうかなー♪」
卯月「え? 正月に生姜湯……そ、そういう意味で用意してるわけじゃないと思うんですけど……たぶん」
卯月「……ふー、生姜湯あったかーい……」
卯月「神社のジンジャー……? って、それも違いますよ!」
卯月「そうだ、そっちは今何をやってるんですか?」
卯月「温泉? へー、お正月に温泉ってなんだか贅沢ですねー♪ 気持ちよさそー」
卯月「はい、今度ご一緒させてくださいね♪」
9:
卯月「はい、ハッピーニューイヤーです!」
卯月「新年ですねぇ、また新しい年の始まりですよ!」
卯月「今年は私たちも18歳になって色々大変になると思いますけど、どうですか?」
卯月「……センター試験は大変だった? 受けたことあるんですか? ……どうしてそんなに焦ってるんですか?」
卯月「あー、新聞に載ってる問題ですか! はー、ちゃんと受験対策してるんですねー。すごいです!」
卯月「えへへ、お恥ずかしい話ですけど、私そういうのほとんどしてなくって……」
卯月「だけどそれを聞いたら頑張ろうという気持ちがわいてきました! 卯月、頑張りますよ!」
卯月「でもアイドルとして、まずは今年のセンター試験を受ける人と……あ、あと、準備する方々にもエールを送りますよ!」
卯月「私たちも来年頑張りましょうね! ……あれ!? どうしてそんなに元気がないんですか!?」
11:
卯月「……え!? アルバイト中なんですか!? す、すみません、電話なんてしてしまって!」
卯月「へ? いい? え、で、でも、アルバイト中なんですよね? 電話してていいんですか?」
卯月「連絡取ってるように見える……? はあ……よくわからないけど、いいんですか」
卯月「ところで、何のアルバイトしてるんですか?」
卯月「……へ?、そうなんですか。あ、そういえばここにも何人かいますねー。人がいっぱい集まる行事ですし、大変ですね」
卯月「あはは、いくら元本職でもそれはさすがに無理ですよー……え? あ、そっか。ちょっと違いますね。すみません」
卯月「そういえば、どこでアルバイトを? ……って、これは聞いちゃいけないですよね! すみません!」
卯月「……え? そ、それって今私がいる神社じゃないですか! ど、どこに……私が見えてる!?」
卯月「えぇー!? どこにいるんですか! ううー……自分だけ楽しんで何かずるいですー!」
12:
卯月「巫女さん可愛いー♪ 私もお仕事で巫女服を着るお仕事あったりするかな?」
卯月「えへへ、そう言ってくれると嬉しいなー♪ 卯月、頑張りますよ!」
卯月「うん? うん、そうだね、とっても似合うと思うよ! うんうん、かわいい!」
卯月「あ、半被着てる人がいる。何か演技みたいなのやったりするのかな?」
卯月「うん、半被もかわいいよねー。半被も似合うと思うよ!」
卯月「やっぱり半被を着る人って踊ったり太鼓叩いたりするのかな?」
卯月「かわいいから着てるだけでいい? あはは、そんなこと言ってると何かやらされるんじゃ……」
卯月「あれ? もしもし? ……え!? 今から半袖+褌の半被姿で太鼓叩き!? 正月ってそんなことするんですか!?」
卯月「ちょ、そんなことしたら凍死しちゃいますよ!? や、止めてあげてください!」プツッ
卯月「……切れた……」ツーツーツー
14:
卯月「う、うーん、さすがにキグルミは売ってないかな……ごめんね」
卯月「正月で着るとしたらどんなのかな。やっぱりお餅を突くウサギさん?」
卯月「……あ、そっか。干支のキグルミかぁ」
卯月「そうなると今年は巳年だから……蛇のキグルミってどんなのなんだろ?」
卯月「あ、でも蛇のキグルミは着ないんだっけ?」
卯月「へ? 今着てるの? ……蛇の気持ちがわかった? どんな感じなの?」
卯月「にょ、ニョロニョロした感じ……? う、うーん……よくわからないかな……ごめんね」
15:
卯月「今大丈夫ー? そっか、よかった。うん、神社に来てるんだ」
卯月「お参りしたりー、おみくじ引いたりー……そうそう、トップアイドルになれるようにお願いしたんだよ! えへへ♪」
卯月「そっちはどう? お仕事忙しくない?」
卯月「なんでって……元旦だし、色々お仕事あるんだと思ってたんだけど……」
卯月「ええっ!? 忘れてた!? だ、大丈夫なの!?」
卯月「ひゃっ? ど、どうしたの? すごい音したけど大丈夫!?」
卯月「……転んだだけ? それなら良かったけど……」
卯月「あ、うん。ごめんね、こんなときに電話なんかして!」
卯月「そう? それなら嬉しいけど……うん、それじゃあ今年もよろしく! 頑張ってね!」
17:
卯月「……あ、寝てた? ゴメンね、起こしちゃって」
卯月「でも寝正月はダメだよ。食べて寝てなんて繰り返してたらすぐ太って……あ、その心配はないか……」
卯月「うん、神社にいるの。今はね、お守り何にしようかなって悩んでて」
卯月「やっぱり学業成就かなぁ……あ、金運上昇で間接的にアイドル活動が上手く行くようにっていうのはアリかな?」
卯月「商売繁盛……は、ちょっと違うし、うーん……あ、昇格昇進! これだよ!」
卯月「卯月、今年はトップアイドルを目指しますよー! 頑張ります!」
卯月「あ、何か買って欲しいのとかある? 持って行ってあげるよ!」
卯月「安眠祈願!? そんなのないよー! ……うーん、健康祈願とかかなぁ……?」
卯月「厄除けと家内安全? どうして……あー、そっかぁ……悪い子じゃないんだけどね……」
卯月「うん……平和な一年になるといいね」
19:
卯月「『悠久の劫火を灯す禁戒の居城に?(訳:神社にいるんですか)』?」
卯月「私そんな禍々しい場所に行ってないよ! 神社だってば!」
卯月「今はお守りとか見て回ってるんだけど……ん、破魔矢? ……これってどんな効果があるのかな?」
卯月「『災厄の渦中に産まれし邪気を滅す鎮魂の矢!(訳:名前の通り、魔をやっつける効果があります)』?」
卯月「な、なんだか随分すごいモノなんだね……。私には必要ないかな?」
卯月「『魔戒の矢よ、堕ちた乙女に炎の洗礼を!(訳:持っていると嫌なことに遭いにくいですよ)』?」
卯月「不穏な単語がいっぱい……。や、やっぱり私はいいかなぁ……」
??『恋焦がれし楽園……(訳:それは残念です)』
22:
卯月「えへへ、はぴはぴにゅ?いや?♪ うん、今年もよろしくー♪」
卯月「今なにしてるの? 私は初詣に来てるんだけど」
卯月「……走ってる!? なんで!? ……呼んでる気がする? 何を受信したの!? たぶん気のせいだよ!」
卯月「えっと……ほら、帰省してるかもしれないしさ! 行っても無駄かもしれないよ!」
卯月「そのときは飛行機に乗ってでも!? 何がそこまであなたを突き動かすの!?」
卯月「ちょ、ちょっと待っ」ツーツーツー
卯月「…………………………」ピッ
卯月「なんという溢れ出るパッション……。ごめんね……私には止められなかったよ……」
卯月「このお守り、早く持って行ってあげた方がいいかなぁ?」
24:
卯月「初夢見たんですよー。どんなのか忘れちゃったんですけど……富士と鷹と茄子が出てたような気がします!」
卯月「でもおみくじの結果はやっぱり吉でして……あはは、17年連続なんですよー」
卯月「えー、大吉しか引いたことないんですか? わぁ、凄いですね! その運気、あやかりたいですー!」
卯月「おおっ、いいんですか? 貰っちゃいますよー? ありがとうございます!」
卯月「ううーん……運気が電話越しに伝わってきます! 今の私なら吉以外を出せる気が……! ええーい!」
卯月「……吉……だと……?」
卯月「……ごめんなさい……やっぱり私はダメみたいです……」
27:
卯月「ふあー、今日も散歩してるんだ? ……へー、毎日しないといけないの?」
卯月「大変なんだね、犬の散歩って。……そうでもない? あはは、楽しいんだ?」
卯月「そうだ、今度私も一緒に付いて行ってもいいかな?」
卯月「本当? うん、約束だよ! えへへ、楽しみだな?♪」
卯月「私? うん、神社だよ。初詣!」
卯月「……え? 本当? うんうん、待ってるよ! わーい、嬉しいなー!」
卯月「うん、それじゃあ待ってるよ! また後でね。ばいばい!」
29:
卯月「うん、そう。来てくれるんだって! だからさ、一緒に初詣しない?」
卯月「う、まあ私は一通り回ったけど……もう一度、いろいろやり直す機会が欲しい! おみくじとか!」
卯月「まだ初詣来てないんでしょー? いいじゃない、楽しいよ! おぜんざいタダだよ!」
卯月「……あ、もう無くなってる……」
卯月「え? ショートの子と銀髪の子が? 全部?」
卯月「………………あ、あはは……」
卯月「……えっ、ほんと!? 来てくれるの!? わぁい、やったー!」
卯月「うんうん、早く来てねー! 待ってるから!」ピッ
卯月「えへへ、何か温かい飲み物、買っておこうかな!」
31:
卯月「フンフフーン♪ 嬉しいなー♪ えーっと、次はっと……」ピッピッ
春香(………………)
春香(電話でしか友達と話せなくて、一人寂しい思いをしている卯月ちゃんに愛の手を差し伸べてあげようと思ったけど……)
春香(……必要、ないみたい。余計なおせっかいになるところだったよ)
春香(ふふ、私じゃあ役不足みたいだね。春香さんはクールに去るぜ!)
春香(……)
春香(…………)
春香(………………)
春香「卯月ちゃああああああん!!! なんで私には電話かけてくれないのーーー!? 寂しいよーーー!!!」
卯月「きゃあああああ!? な、何事ですか一体ーーー!?」
おわり
33:
春香「ねぇねぇ、どうして一人だったの? 友達いないの?」
卯月「い、いますよ! 実はドタキャンされまして……彼氏ができたとか」
春香「あらまあ。卯月ちゃんには彼氏いないの?」
卯月「い、いませんよ! 何言ってるんですか!」
春香「それはそれで寂しいような気もするけど……」
卯月「ところで春香さんはどうして一人だったんですか?」
春香「」
卯月「あ、あれ?」
春香「」
ほんとうにおわり
次回答え合わせ的な何か
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