ゾロ「ナミとロビンの仲が悪ぃんだ」たしぎ「何で私に言うんです」back

ゾロ「ナミとロビンの仲が悪ぃんだ」たしぎ「何で私に言うんです」


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9:
ゾロ「何でって、ここにゃお前くらいしか女がいねェだろ」
たしぎ「女性の海兵なら他にも勤務していますが」
ゾロ「どいつもこいつもおれにビビって近寄ってこねェんだよ」
たしぎ「……それで」
ゾロ「仲直りさせる方法とかわからねェか?」
たしぎ「その前に、あなたが今どのような状況下に置かれてるか理解してますか?」
ゾロ「檻の中」
たしぎ「わかっててそんな事言ってるんですか! そうです、
 あなたは海軍によって捕らえられてるんですよ、ロロノア!」
海賊旗つくってみた。 by 露伴@CHERRY on pixivONE PIECE 1 (ジャンプ・コミックス)
15:
ゾロ「そんな事ァ捕まった本人のおれが一番よくわかってる」
たしぎ「それにしてはずいぶんと余裕のある態度ですね」
ゾロ「意外と快適なんだよ、ここ」
たしぎ「捕まって牢に放り込まれた後すぐ眠って……起きたら酒を要求するの繰り返し」
ゾロ「お、持ってきてくれたのか」
たしぎ「誰が持ってきますか! 海賊なんかに」
ゾロ「まァいい……、それで、あの二人を仲直りさせる方法なんだが」
たしぎ「知りませんよ、海賊の内情なんて」
ゾロ「お前ヒマなんだろ?」
たしぎ「ヒマじゃありません、失礼な!」
18:
ゾロ「ヒマじゃねェのに何で毎日毎日おれんとこに来るんだよ?」
たしぎ「それは……。 み、見張りです」
ゾロ「見張りなんざ下っ端の仕事じゃねェか」
たしぎ「あなたは懸賞金一億二〇〇〇万ベリーの海賊ですよ?
 一般兵にあなたの見張りなんてとても務まりません」
ゾロ「ふん、引け腰だな海軍ってのも」
たしぎ「その海軍に捕まってしまったのですよあなたは」
ゾロ「違げェねェ」ケラケラ
たしぎ「何を笑ってるんですか!」
ゾロ「とにかく話を戻すぞ」
19:
たしぎ「……『泥棒猫』と『悪魔の子』の仲違いの解決、ですか」
ゾロ「おう。 どうすればいい」
たしぎ「…………どのような理由で仲が悪くなったんですか?」
ゾロ「なんだ、結局ノッてくれるのかよ」ケラケラ
たしぎ「うるさい!!」
ゾロ「仲が悪ィ理由なんだが……おれにはわからねェ」
たしぎ「じゃあ解決しようがないじゃないですか!!」
ゾロ「だから一旦サウザンドサニー号に戻ってだな」
たしぎ「あなた本当に自分が捕まったこと理解してます!?」
21:
ゾロ「別に脱獄しようってんじゃねェよ」
たしぎ「だったら……」
ゾロ「船に戻って二人の件を片付けたらまたここに戻ってやるよ」
たしぎ「そんな言葉を信じると思ってるんですか?」
ゾロ「じゃあどうすんだよ」
たしぎ「どうもこうも、現状維持です! あなたを海軍本部に
 送検するまで、この私がしっかりと見張りをさせていただきます」
ゾロ「だが仲直りだけはどうしてもさせねェと」
たしぎ「どうしてあなたのような方が二人を仲直りさせたがるんです?」
ゾロ「聞きてェのか?」
24:
たしぎ「……一応、聞いておいてもいいかもしれませんし」
ゾロ「なんで」
たしぎ「麦わらの一味に関する情報は常に求められています。
 あの一味は結構謎の部分も多いですからね」
ゾロ「あんだけ暴れ回ってんのにか?」
たしぎ「『新世界』に諜報員を派遣するのは難しいですし……」
ゾロ「諜報員?」
たしぎ「海軍には海賊船に乗り込んで海賊一味の情報を
 集める諜報機関が存在するんですよ」
ゾロ「お前が海軍の情報を垂れ流してどうする」
たしぎ「はっ!?」
27:
ゾロ「とろくせェなお前……」
たしぎ「くっ、ロロノア……!! 話術で情報を引き出そうとするとは……」
ゾロ「お前が勝手に喋ったんだろこのパクリ女!!」
たしぎ「なっ……!! まだそれを言いますか!!」
ゾロ「くそ、やっぱ見れば見るほど似てるなテメェ」
たしぎ「知りませんよそんなの!」
ゾロ「せめてメガネをかけろ! それで少しは……いやダメだな」
たしぎ「私が誰に似てるって言うんですか」
ゾロ「お前に教える義理はねェな」
29:
ゾロ「俺の刀返してくれよ」
たしぎ「急に話を変えないでください!」
ゾロ「刀がありゃこんなとこ、すぐに出られるんだが……」
たしぎ「その言葉を聞いて私が刀を返すと思ってるんですか……? 呆れた」
ゾロ「じゃあ酒くれ」
たしぎ「犯罪者に飲ませるお酒などありません」
ゾロ「くかー」Zzz
たしぎ「って寝てるー!?」ガビーン
31:
たしぎ「起きなさいロロノア!!」ガシャーン
ゾロ「んぁ?」
たしぎ「牢獄でよくもそんな堂々と眠れますね……」
ゾロ「なんで起こすんだよ、俺が寝てた方がお前も楽だろ?」
たしぎ「…………寝られるとヒマなんですよ」
ゾロ「お前さっきヒマじゃねェって―――」
たしぎ「ああもう認めますよ、ヒマです!! ただ見張ってるだけなんて本当にヒマ!!」ドン!!
ゾロ「構ってほしいのか?」
たしぎ「ち、違います!!///」
33:
ゾロ「ったくしょうがねェな……くぁぁ」
たしぎ「あなたと話していると私までバカになりそう……」
ゾロ「元々バカだろお前」
たしぎ「し、失礼な」
ゾロ「……ところでお前の上司はここにはいねェのか?」
たしぎ「スモーカー准将ですか? 准将は別件でここにはいません」
ゾロ「准将クラスの海兵の不在を海賊の俺に教えてくれるとはな」
たしぎ「あ……」
ゾロ「やっぱりバカじゃねェかお前」
35:
たしぎ「あああ……すみませんスモーカーさん……」ガクッ
ゾロ「あのケムリ野郎がいねェんなら少しは楽だな」
たしぎ「私なんて眼中に無い、と?」
ゾロ「ローグタウンで実力差はわかってると思うが」
たしぎ「あれからどれだけ時間が経ったと思ってるんですか」
ゾロ「へェ……、じゃあ、やるか?」ギロッ
たしぎ「…………っ」ビクッ
ゾロ「……冗談だよパクリ女」
たしぎ「くぅ……」
36:
ゾロ「あークソ、居心地はいいがやっぱ退屈だなここは」
たしぎ「さっきの話なんですけど」
ゾロ「あァ? ナミとロビンの話か?」
たしぎ「なぜ仲違いを?」
ゾロ「さっきも言っただろ、知らねェよ。 ただあいつらが仲悪くしてたら困るんだよ」
たしぎ「?」
ゾロ「一味の雰囲気が悪くなる」
たしぎ「どういう意味ですか?」
ゾロ「ギスギスした空気が無関係のおれ達にまで流れてくんだよ」
38:
たしぎ「たかが二人の喧嘩くらい……」
ゾロ「おれ達にとっちゃ大問題だ」
たしぎ「それであなたが解決しようと?」
ゾロ「二人の仲を戻そうと奮闘してんのはアホコックくらいだからな」
たしぎ「あなたみたいな人でも、そういう事を気にするんですね」
ゾロ「他が気にしねェんだから俺がどうにかするしかねェだろ」
たしぎ「ですが、あなたは牢の中です。 どうにも出来ませんよ」
ゾロ「……そこで少し相談があるんだが」
たしぎ「……?」
40:
ゾロ「お前、おれがこっから出るの手伝ってくれ」
たしぎ「気は確かですか? 私は海軍本部少佐ですよ?」
ゾロ「話は最後まで聞け、タダとは言わねェよ」
たしぎ「海賊が海兵と取引をしようと言うのですか?」
ゾロ「そんな小難しい事じゃねェ。 まずはおれがここから出る」
たしぎ「……話くらいは聞いてもいいでしょう」
ゾロ「そしておれはサウザンドサニー号に戻るんだ。 お前と一緒にな」
たしぎ「わ、私も麦わらの一味の船に……!?」
42:
ゾロ「お前が一緒にいりゃァ俺は逃げられねェだろ?」
たしぎ「何で私が海賊の脱獄を手伝わなければ……」
ゾロ「そしてお前がナミとロビンの仲をどうにか戻してやれ」
たしぎ「私に丸投げ!?」
ゾロ「と、同時に」
たしぎ「?」
ゾロ「お前は麦わらの一味の情報を集めればいい」
たしぎ「な……」
ゾロ「欲しいんだろ? おれ達の情報ってのが」
43:
たしぎ「私が敵船内で諜報活動を……?」
ゾロ「悪い話じゃねェだろ? もちろん終わったら俺はここへ戻る」
たしぎ「それは……麦わらの一味に対する裏切りですよ? ロロノア」
ゾロ「海軍のお前がそんなこと気にしてどうすんだよ」
たしぎ「……」
ゾロ「おれがいなくなった後も、あいつらにゃ楽しく航海してほしいからな」
たしぎ「し、しかし……麦わらの一味の船までどうあなたを連れていけば」
ゾロ「話にゃノッてくれるんだな?」
たしぎ「……」
44:
ゾロ「ケムリ野郎が帰ってくるまでに済ましちまえばいい」
たしぎ「……そう言って私を騙して逃げようなどと企んでいませんよね?」
ゾロ「女利用して脱獄しようと考えるほどおれも腐ってねェよ」
たしぎ「………………わかりました」
ゾロ「恩に着る」
たしぎ「少しここで待っていてください」
ゾロ「わかった」
46:
たしぎ「すみません」
海兵「ハッ! なんでしょうたしぎ少尉」
たしぎ「現在ここで管理しているロロノア・ゾロを本部へ送検するのですが」
海兵「え……? 本部への送検はまだ数日先では?」
たしぎ「予定が変更になりました。 ここではロロノアに
 脱獄されてしまう危険性があるので、急遽予定を
 早めて海軍本部に送検する事に」
海兵「は、はあ……」
たしぎ「檻の鍵を。 ロロノアには私が随伴します」
海兵「りょ、了解しました。 どうぞ」チャリッ
48:
たしぎ「……お待たせしました」
ゾロ「まさか本当にやってくれるとはな」
たしぎ「言っておきますが、これであなたが一味の下へ戻れると思わないでください」
ゾロ「しつけェな。 逃げねェって」
たしぎ「刀も返しませんので」
ゾロ「何でだよ!?」
たしぎ「本部へ送検するという口実であなたをここから出すんです。
 それで刀まであなたに返すのは不自然でしょう?」
ゾロ「そこもなんとか上手く言い訳してくれりゃ……」
たしぎ「ダメです」
49:
ゾロ「……しょうがねェ、さっさとここを開けてくれ」
たしぎ「その前にこれを」ポイッ
ゾロ「あァ? 手錠?」
たしぎ「ただの手錠じゃありませんよ。 Dr.ベガパンク氏による
 最新型の手錠です。 とにかく付けてみてください」
ゾロ「…………」カチャ
たしぎ「海楼石を使用しているため、悪魔の実の能力は使えません」
ゾロ「おれは能力者じゃねェぞ」
たしぎ「それと、『覇気』も使用できない仕様になってます」
ゾロ「……!」
50:
たしぎ「まだ試作品らしいのですが、あなた程の海賊になら使っても問題ないはずです」
ゾロ「徹底してやがるな」
たしぎ「当たり前です。 あなたはもう少し自分の凶悪さを自覚した方がいいですよ」
ゾロ「やっぱ苦手だこの女……」
たしぎ「……では、どうぞ」ガチャ ギィィ
ゾロ「ふー、やっと娑婆の空気が吸える」
海兵「たしぎ少尉!!」
たしぎ「ひゃう!?」ギクッ
51:
たしぎ「な、ななな……何ですか?」
海兵「ロロノア・ゾロの本部への送検にご同行しようかと。
 少尉一人では不安なので他にも数名連れてきました」
たしぎ「私一人では不安とはどういう意味ですか!」
海兵「あ、いえ……失礼しました(だってこの人だとなァ……)」
たしぎ「え、えっと……その、同行は必要ありません」
海兵「しかし……」
たしぎ「魚人島を経由して本部へ向かいます。 島民に
 事情を説明すれば協力を得られるはずです」
海兵「魚人に……ですか」
たしぎ「こ、これは命令です。 同行は必要ありません」
53:
海兵「ハッ、了解しました。 お気をつけて」
たしぎ「…………はァ、びっくりした」
ゾロ「ちょうどいい」
たしぎ「?」
ゾロ「多分まだルフィ達は魚人島に停泊してるはずだ」
たしぎ「あなた、魚人島で捕らえられたんですか?」
ゾロ「あァ、本島から離れた場所で寝てたら急に」
たしぎ「バカですね」
ゾロ「うるせェ! さっさと連れていけよ!!」
55:
???
たしぎ「ひーっ……ひーっ……」ゼェゼェ
ゾロ「おい、この小舟本当に大丈夫なんだろうな?」
たしぎ「だ……ハァ、大丈夫……ですよ、ハァ……多分」
ゾロ「多分ってオイ」
たしぎ「この小舟にもシャボンコーティングを施してあるので……ハァ」ゼェゼェ
ゾロ「……漕ぐのがしんどいなら俺が手伝ってやろうか?」
たしぎ「必要……ゼェ、ありません……! その隙に逃げられたら……ハァ」キーコキーコ
ゾロ「海中でもつのかこのボロ船……」
57:
たしぎ「ここ……ですか? 魚人島への入り口は……ハァ」
ゾロ「あァ……だがちょっと待て、シャボンがもう割れそうだぞオイ!」
たしぎ「海中で割れたら大変な事に……」
ゾロ「ふざけんな!! こんなマヌケな死に方あるかァ!」
たしぎ「ロロノアと心中するつもりは……ありま、せん!!」グイッ
ゾロ「うお……!!」
たしぎ「うう?????!!」ギコッギコッギコッ
ゾロ「どこからそんなパワーが出てくるんだこの女……」
たしぎ「つ、着いた……」ガクッ
ゾロ「捕虜の前で力尽きる海兵があるか……」
59:
???
ゾロ「………………おい」ペチペチッ
たしぎ「…………ん、んん」
ゾロ「起きろこのパクリ女」ゲシッ
たしぎ「あ痛ッ!? ……こ、ここは?」
ゾロ「魚人島だ」
たしぎ「あ、ろ、ロロノア!」ガバッ
ゾロ「逃げてもねェし手錠もかけてる、心配すんな」ジャラッ
たしぎ「よ、良かった……」ホッ
60:
ゾロ「さァて、この様子だとルフィ達はまだ宴会やってんだろうけど……」
たしぎ「な、何ですかこの騒ぎは……お祭り?」キョトン
魚人A「おお、麦わらの一味の剣士さん!」
ゾロ「げっ」
たしぎ「?」
魚人B「ようヒーロー! 戻ってきたのか、いや良かった良かった」
ゾロ「だからヒーローって呼ぶなっつってんだろ!!」
たしぎ「こ、これは……?」
魚人C「ささっ、宴会はまだ続い……ん? 何だこの人間は」
たしぎ「え……」
61:
たしぎ×スモーカーの二次創作があるが俺はたしぎ×ゾロ派
66:
ゾロ(面倒な事になりそうだな……)
魚人A「剣士さん、この女は?」
たしぎ「あ、えーっと……か、海軍本部少尉のたしぎと言います!」
ゾロ「俺に自己紹介してどうすんだ」
たしぎ「あ、あれ? ああ、メガネメガネ……」キョロキョロ
魚人B「…………か、海軍本部?」
魚人C「(お、おい……何かヤバくねェか?)」ヒソヒソ
ゾロ「ルフィ達はどこにいる?」
魚人A「あ、ああ。 麦わらさんなら向こうでジンベエの親方と……」
たしぎ「麦わらさん?」
68:
魚人B「(お、おいバカ……!)」
魚人A「(しまった、つい……)」
魚人C「(この女、麦わらさん達を捕らえにきたんじゃ……!?)」
ゾロ「おい」
たしぎ「はい?」
ゾロ「この魚人島はおれ達麦わらの一味が支配した」
魚人A「!!?」
たしぎ「な、なるほど。 それで島民の魚人にこんな事を……」
ゾロ「つまりこいつらはおれ達に付き合わされてんだ、わかったか?」
たしぎ「なんという非道な……」
70:
ゾロ「この宴会もおれ達が無理やらせてる」
たしぎ「それにしては皆さん楽しそうですけど……」
ゾロ「いいからさっさと行くぞ! 本題はそこじゃねェだろ」
たしぎ「海兵として放置しておく訳にはいきませんが……仕方がないですね」
魚人A「け、剣士さん……」
たしぎ「魚人の皆さん、申し訳ありませんが少しだけお待ちください!」
魚人B「は……」
魚人C「は?い……」
71:
???
ルフィ「だから、この近くに海軍の基地があるんだろ!?」
ジンベエ「そりゃそうじゃが……しかしのうルフィ君」
ルフィ「そこにゾロがいるんだ、すぐに助けにいかねェと!!」
ジンベエ「じゃからそう簡単にはいかんと何度言うたらわかるんじゃ」
ウソップ「そもそも寝てる間に捕まったゾロにも問題あるよな」
チョッパー「でもこんな海中に海軍がの基地があるなんて普通思わないぞ」
サンジ「その内ひょっこり帰ってくんだろ、あのクソ剣士の事だ」
ゾロ「うるせェぞまゆげ」
ルフィ「おお、ゾロォ!!」
73:
チョッパー「ゾロー!! 良かった、無事だったんだなー!!」
サンジ「ほれ見ろ、…………ん?」
ウソップ「ゾロ、お前どうやって海軍から……、?」
たしぎ「あ、こ、こんにちわ……」
サンジ「おおおおお!!? う、麗しい人魚がまた一人!!」ムハー
チョッパー「……人魚じゃないぞサンジ」
ルフィ「ゾロ、誰だこいつ?」
ゾロ「あー……」
たしぎ「麦わらのルフィ……『黒足』のサンジ……こ、こんな目の前に……」
77:
サンジ「僕の事知ってくれてるのほほほほほ!!」
ウソップ「うるせェよサンジ!!」
ジンベエ「…………」
たしぎ「か、『海峡』のジンベエまで……!?」
ゾロ「ルフィ、ナミとロビンはどこに―――」
たしぎ「ぜ、全員この場で拘束しますッ!!」チャキッ
ジンベエ「……!! 海軍か!!」ザッ
ゾロ「ちょっと待て」ゴツン
たしぎ「痛い!」
79:
ゾロ「目的を忘れてんじゃねェよ」
サンジ「ま、まりもテメェェェ!! こんな美しい女性に暴力をォォォ!!」
ウソップ「え、え!? こいつ海軍なのか!?」
チョッパー「お、おれ達を捕まえにきたのかー!?」
たしぎ(『わたあめ大好き』チョッパー……、可愛い)
ルフィ「おいゾロ! なんで海軍まで連れてきてんだよ!」
ゾロ「ちょっと事情があんだよ、それより船はどこに停めてある?」
ルフィ「あっち」
サンジ「お嬢さん、このまりもに何かひどい事はされてませんか!?」
たしぎ「え……いえ、その」
80:
ゾロ「ほら、あっちだとよ」
たしぎ「え? 何がです?」
ゾロ「船だよ船、おれ達の」
ウソップ「ちょ、おいゾロ! こりゃ一体どういう状況だ!?」
チョッパー「海軍に船取られちゃうぞ?!」
ゾロ「ルフィ、ナミとロビンはどこにいるんだ?」
ルフィ「ロビンは知らねェ。 ナミはあのドロドロのヤツから
 奪ったお宝船に運んでたから、船にいるんじゃねぇか?」
ゾロ「この女を船に向かわせてェんだが、いいか?」
ルフィ「いいぞ」
ウソップ「いいんかーい!!!」ビシッ
82:
チョッパー「おいゾロ、どうして海軍を船に!?」
サンジ「ま、まさかこのお方をおれ達の仲間にするつもりか!? よくやったまりも!!」
たしぎ「誰が海賊の仲間になんかなりますか!」
ウソップ「ホントにいいのかよルフィ!」
ルフィ「ゾロがそう言うんだからいいだろ、しっしっし!」
たしぎ「……」
ゾロ「こういうヤツだ、遠慮せず行ってこいよ」
たしぎ「は、はァ……」
ルフィ「それよりおれはゾロが無事に帰ってきてくれて嬉しいぞ!」
チョッパー「それもそうだな!」
83:
サンジ「船への道中、自分も同行させていただきますよお嬢さん」
たしぎ「け、結構です!」
ルフィ「でもなんでおれ達の船に行きてェんだ?」
たしぎ「船、というか……」
ゾロ「ナミとロビンの事で協力してもらおうと思ってよ」
ウソップ「!!?」ギクッ
チョッパー「……う、ウソップ?。 またあの"しゅらば"が始まるのかー?」ガタガタ
ルフィ「そりゃいいや! ちょうどおれも困ってたとこなんだよ?」
たしぎ「……二人はなぜ喧嘩を?」
ルフィ「わかんねェ」
84:
たしぎ「せ、船長であるあなたが船員の事情を把握してないとは……!」
ルフィ「おれ難しいことよくわかんねェからさ」
ゾロ「その辺も含めてお前がどうにかしてくれ」
たしぎ(……なんで海兵の私が……。 いや、これも情報のため)
チョッパー「お、おれも! あの二人には仲良くしてほしいぞ!」
ウソップ「まァ正直おれ達じゃ無理だよなー……」
たしぎ(しかし一人ではどうアプローチすればいいのか……相手は泥棒猫だし)
ゾロ「どうした?」
たしぎ「あなたもご同行願います、ロロノア」
86:
ゾロ「あァ!? おれは必要ねェだろうが!!」
たしぎ「何を言ってるんですか! その手錠が何のために付けてあるか考えてみてください!」
ルフィ「んん? なんだゾロ、お前まだ捕まってたのかよ?」ハハハハ
ゾロ「笑い事じゃねェ!」
サンジ「お、お嬢さん……なんでこんなまりも野郎を!?」
たしぎ「いつ逃げ出すかわからないロロノアを監視するためです」
ゾロ「他の船員はいいのかよ……」
サンジ「ちくしょう……!! おれも監視されてェ……そのメガネの奥の瞳に!」
たしぎ「では、ロロノアの身柄はこちらに預からせていただきます」
ルフィ「頑張れよゾロ?」
87:
???
ゾロ「着いた、これがサウザンドサニー号だ」
たしぎ「着いた、じゃありませんよ!! ここに来るまでどれだけ迷ったと思ってるんですか!?」
ゾロ「仕方ねェだろ、魚人島は道が複雑なんだからよ」
たしぎ「そして道中!! 魚人の方々が親しげにあなたに話しかけてたのはなぜです!?」
ゾロ「そ、そういう風に振る舞わせてるんだよ……」
たしぎ(何かおかしい……)
ゾロ「おーいナミ! いねェのかー!?」
ナミ「ん……? あ、ゾロ! あんた帰ってこれたの!?」
88:
たしぎ「『泥棒猫』ナミ……間違いなく本人ですね」
ナミ「あれ、その人は誰?」
ゾロ「この女、お前と話がしてェんだとよ」
たしぎ「ちょっ……」
ナミ「? 人魚……じゃないわよね。 足も二本だし」
ゾロ「とにかく船に乗せてくれ」
ナミ「まァいいけど……ちょっと待ってて!」
たしぎ「さっさと終わらせて、基地に戻りましょう」
ゾロ「わかったから手錠を掴むな」
91:
???
ナミ「あんたが海軍に捕まっちゃったから出航が大幅に遅れちゃったじゃないのよ!」
ゾロ「正しくは現在も捕まってる最中だがな」
ナミ「え? あ、手錠……その女もしかして」
たしぎ「海軍本部少尉のたしぎです」
ナミ「うそ!? ゾロ、あんた海軍連れてきたの!? このおバカ!!」ゴツン
ゾロ「いてェ!! ちょ、待てナミ、これには事情が……」
たしぎ「本日は別件の用でっこへ来ました」
ナミ「ん? 別件……?」
92:
たしぎ「……何でもあなたとニコ・ロビンの仲が険悪であるとか」
ナミ「……………………」ピクッ
ゾロ「お前らのヨリを戻すためにこのパクリ女に協力してもらおうと思ってな」
たしぎ「もちろん、ロロノアの件はまた別ですので身柄を解放するわけにはいきませんが」
ナミ「…………海軍には関係ないでしょ」
たしぎ「そうですね。 では私はこれで帰らせていただきます」
ゾロ「ちょっと待てコラ!! まだ何も解決してねェだろ!」
たしぎ「私には関係の無い話らしいので」
ゾロ「話を解決しねェとおれの仲間呼んで暴れるぞ」
たしぎ「な……」
94:
ゾロ「(ナミとロビンの仲を戻すのと引き換えに情報を渡すって約束だろうが)」
たしぎ「(やっぱろ取引じゃないですか! ……まさか海賊に脅されるなんて)」
ナミ「なにコソコソ話してんの?」
たしぎ「いえ、別に。 それよりあなたとニコ・ロビンの事をもっと詳しく……」
ナミ「だから関係ないって言ってんでしょ!!?」
たしぎ「ひぃ……」ササッ
ゾロ「海賊の背に隠れる海兵とか情けねェにもほどがあんだろ……」
ナミ「ゾロ、どういうつもり?」
ゾロ「…………しょうがねェな」
95:
ナミ「さっさと帰ってよ、ゾロはこの際海軍に引き渡すから」
ゾロ「オイ!!」
たしぎ「あの……そこを何とか、少しでもいいのでお話を聞かせてくれませんか……?」
ゾロ「さっきまでの強気な態度はどこいったお前」
ナミ「何で海軍にそんなこと話さなきゃならないの?」
たしぎ「話していただければロロノアは解放しますので……」
ゾロ「! 本当か?」
たしぎ「(ウソに決まってるじゃないですか)」
ゾロ「(意外と黒いなテメェ……)」
97:
ナミ「…………」
ゾロ「そろそろ仲直りしろよ、他のヤツらもお前らの事心配してるぞ」
ナミ「私とロビンの問題よ」
ゾロ「これからも一緒に航海していくんだぞ? このままって訳にゃいかねェだろ」
たしぎ「そ、そうですよ。 みんな仲間なんですから」
ナミ「海軍がそれ言う……?」
ゾロ「まず、何で喧嘩したんだお前ら」
ナミ「…………」
たしぎ(大きいなーこの船……)キョロキョロ
98:
ナミ「……ロビンったら、ひどいのよ」
ゾロ「?」
ナミ「あいつ、ホーディの連中をぶっ飛ばして宴会が始まった時、何したと思う?」
たしぎ「宴会は"させた"のでは?」
ナミ「何言ってんの、魚人のみんなが開いてくれたのよ」
たしぎ「…………ロロノア」
ゾロ「と、とにかくそれで、ロビンは何をしたんだ?」
ナミ「あの女、船に積んであった私のお宝コレクションを魚人島で売り払ったのよ!!」
ゾロ「…………」
99:
たしぎ「あなたの宝を……ですか?」
ナミ「そうよ! 勝手に、しかも全部!!」
ゾロ「…………オイ」
ナミ「何よ」
ゾロ「まさかテメェら……そんなくだらねェ事で喧嘩してたのかよ?」
ナミ「くだらない!? 私がこの二年間、苦労を重ねて集めたお宝が―――」
ゾロ「ふざけんなァ!! そんな事で俺はこのパクリ女を連れてくる事になっちまったのかよ!!」
たしぎ「あの、二人共……」
ナミ「この先の新世界でもっと質のいい換金所が見つかるまで取っておこうと思ったのに……あの女!!」
100:
ゾロ「どうせ売っちまうんならどこでも変わらねェだろ!!」
ナミ「あんたに宝の価値なんて理解出来ないわよ!!
 しかも売って得たお金については教えてくれないし……」
ゾロ「……金?」
ナミ「百歩譲って売っちゃったのは許……すかもしれないけど、
 そのお金の行方を教えてくれないのよあの女は」
ゾロ「……そりゃ確かにおかしいな」
たしぎ「……ニコ・ロビンは組織の裏切りに関しては有名ですからね。
 そのお金を持ってもうどこかへ逃げてしまったのでは?」
ゾロ「おい、ロビンはもうそんな事―――」
ナミ「そうかも」
ゾロ「え?」
102:
ナミ「きっとそうよ、ロビン……金に目が眩んで」
ゾロ「そんなくだらねェ事をロビンがする訳ねェだろ……」
たしぎ「お金は人の心を変えてしまいますからね」
ゾロ「魚人島から一人でどう逃げるんだよ。 まだこの島にいるだろ」
たしぎ「捜し出しましょう」
ゾロ「ロビンをか?」
たしぎ「ええ。 そして泥棒猫の前に連れてきて謝らせればそれで解決です」
ナミ「そんなので私が納得すると思ってんの?」
たしぎ「とにかくあなた達には話し合ってもらわないと。 さ、行きますよロロノア」グイッ
ゾロ「おい引っ張るな!」
106:
???
魚人「ああ、あの綺麗なねーちゃんなら竜宮城の方に居たよ」
たしぎ「ご協力感謝します」ペコッ
ゾロ「……おいパクリ女」
たしぎ「今更ですけど、私にはたしぎという名前があるんです!」
ゾロ「じゃあ名前で呼べばいいのか?」
たしぎ「…………好きにしてください。 で、何ですか?」
ゾロ「電話鳴ってんじゃねェか?」
たしぎ「え……? あ」
電伝虫「ぷるるるるる、ぷるるるるるる」
107:
たしぎ「あ、ありがとうございます。 全然気が付かなかった……」スッ
電伝虫「ぷるるるるる、ぷるるるる、はよ出ろるるるる」
ゾロ「…………」
たしぎ(……待てよ)ピタッ
ゾロ「出ねェのか?」
たしぎ「ど、どうしよう……」ガタガタ
ゾロ「?」
たしぎ「こ、この電伝虫……スモーカーさんの電伝虫と直通で繋がってて……」
ゾロ「じゃあその電話はケムリ野郎からか」
109:
たしぎ「スモーカーさん……多分基地に帰ってきたんだ……」
ゾロ「出ればいいだろ」
たしぎ「私、あなたを本部に送検するってウソついて出掛けちゃってるんですよ……」
ゾロ「……そういやそうだ。 お前その辺どう説明する気だったんだよ」
たしぎ「何も考えてなかった……」
ゾロ「バカかよお前は!!」
たしぎ「どうしよう……捕虜を勝手に牢から出した上にウソついて捕虜を
 外に出してしまって……どう弁解しても許してもらえるとは思えません」
ゾロ「ならもう海軍やめちまえよ」
たしぎ「……と、とにかく電話は無視してニコ・ロビンを捜しましょう」
ゾロ「おいおい、ケムリ野郎もここへ来るんじゃねェだろうな……」
112:
???
ロビン「……『ポセイドン』の事、彼女には」
ネプチューン「伝える訳にもいかん、余計な不安を抱かせるだけじゃもん……」
ロビン「まさかここで古代兵器の繋がりを見つけられるなんて」
ネプチューン「すまないが、この事は他言無用で頼む」
ロビン「そうね。 この事が世に知れたら大変な騒ぎに……」
ゾロ「ロビン!!」
ロビン「!?」ビクッ
たしぎ「で、でっかいお魚さんがいる……」
114:
ロビン「ゾロ、あなた海軍に捕まってたんじゃ?」
ゾロ「その海軍に助けてもらった」
たしぎ「助けたつもりはありません!」
ネプチューン「か、海軍がなぜ竜宮城まで……?(まさか……)」
ロビン「……あなた達、今の話を聞いてたかしら?」
ゾロ「話? いいや」
たしぎ「何も聞いてませんけど……」
ネプチューン「……」ホッ
ロビン「それで、どうしたの?」
ゾロ「ちょっとこっち来い」
115:
???
ゾロ「この辺でいいか、あんま騒がしくねェし」
ロビン「一体なに? この人、どうやら海兵さんのようだけど……」
たしぎ「そう思うなら少しは敵意を見せて下さいよ……さっきから調子が狂いそう」
ゾロ「ロビン、お前ナミが持ってた宝を売っちまったそうじゃねェか」
ロビン「! ……」
ゾロ「ナミが怒ってるぞ、売って手に入れた金はどこへやったってな」
ロビン「…………そう、"航海士さん"が」
ゾロ「その呼び方やめろ」
116:
ロビン「……。 くすっ」
ゾロ「何が可笑しい」
ロビン「ごめんなさい。 珍しいと思っただけよ」
ゾロ「?」
ロビン「あなたが人の諍いに介入するなんて」
ゾロ「訳ありだ、仕方ねェんだよ」
たしぎ「そ、それでお金は……?」
ロビン「返せないわよ」
ゾロ「おいロビン……」
118:
たしぎ「ニコ・ロビン、人の所有物を売り払ってお金を奪うのは立派な犯罪ですよ!」
ゾロ「いやおれ達海賊だぞ」
ロビン「だって、お金なんて無いんだもの」
ゾロ「!」
たしぎ「全て使ってしまったという事ですか……!?」
ロビン「いいえ、売って得たお金そのものが無いの」
たしぎ「???」
ロビン「航海士さんが持ってたお宝、この魚人島では全く価値がない物だったのよ」
120:
ゾロ「価値がねェだと……?」
ロビン「ええ。 航海士さんが集めたお宝は全て空島の物だった」
たしぎ「空島……? 実在したんですか?」
ロビン「あの子、二年間ずっと空島で修行していたという話は?」
ゾロ「知らねェ」
ロビン「その時に集めた物なんですって」
たしぎ「なるほど、空島と魚人島では物品の価値に大きな違いが……」
ゾロ「じゃあ宝はまだあるのか?」
ロビン「いいえ、もう全て手放したわ」
122:
たしぎ「手放したとは? 全て廃棄してしまったんですか?」
ロビン「あなた、電伝虫が鳴ってるわよ」
たしぎ「いいから」
ロビン「そうね、全てこの島の子供たちにプレゼントしてしまったわ」
ゾロ「子供?」
ロビン「単純にその宝が気に入ったらしくて、オモチャにするって」
たしぎ「か、返してもらうわけには……」
ロビン「無理よ、あんな……子供たちの純粋無垢な笑顔を見せられたら、ね」
123:
たしぎ「……でもその辺りの事情を泥棒猫に全て話せば」
ロビン「話した結果がこの現状よ。 あの子、相当あの宝に執着してるらしいの」
ゾロ「ナミならそうだろうな」
たしぎ「子供たちから無理やり取り上げるのも気が引けますよね……」
ゾロ「でもお前が宝を売り払おうとしたのは本当なんだろ?」
ロビン「…………ええ、そうね」
ゾロ「何でそんな真似しようと思ったんだ、ナミが守銭奴なのはお前も知ってるだろ」
ロビン「…………報復よ」
たしぎ「報復?」
125:
ロビン「航海士さんは……、あの女は、世界の歴史を踏みにじったのよ」
たしぎ「歴史……ですか?」
ロビン「……ポーネグリフって、ご存知かしら?」
たしぎ「確か……歴史を記した石碑ですよね。 古代文字で記されてるため誰も読めないっていう……」
ロビン「私にはポーネグリフが解読できる」
たしぎ「ええ!? (こ、これは非常に貴重な情報ですよ……)」メモメモ
ロビン「私はこれまでいくつものポーネグリフを読み解き、記録していった。 空白の歴史を知るために」
ゾロ「それがどうした?」
ロビン「その歴史を……あの子は」
128:
たしぎ「……」ゴクッ
ロビン「あの子は、私が空白の歴史を写した記録帳を、あろうことか燃やしてしまったのよ!!」
たしぎ「な、何ですって……!?」
ゾロ「?」
ロビン「これは歴史に対する侮辱……!! 想いを後世に伝えようとした人々への侮辱だわ!!」
ゾロ「……そんなもん、また描き直せばいいんじゃ―――」
ロビン「あなたに歴史の価値が理解できるの!?」
ゾロ「い、いや……」
129:
たしぎ「空白の歴史が記されたノートを燃やした……」
ロビン「そうよ。 考古学者として、これは許せることではないわ……」
たしぎ(空白の歴史の破棄……。 それって世界的には良いことなんじゃ?)
ゾロ「何でナミはそんな事しちまったんだ?」
ロビン「ここで宴会する時に焚き火を作ったでしょう?」
たしぎ「まさか……」
ロビン「火種が足りないからってあの子、私の記録帳を焚き火の中に……」
ゾロ「な、ナミも悪気があってそんなことしたわけじゃねェだろ」
ロビン「あなた、自分が好きな酒を火の中に放り込まれたらどう思う?」
130:
ゾロ「酒ならまた買えるし、そんな怒ることじゃねェよ」
ロビン「なら刀はどうかしら? 私が歴史を大事に思うように、あなたもあの刀に思い入れがあるんじゃない?」
ゾロ「……それは許せねェな」
たしぎ「刀はさすがに私も怒りますね」
ロビン「そういう事よ。 私の……オハラの意志は完全に砕け散った」
たしぎ「だからその報復に宝を?」
ロビン「大事な物を失う痛みをあの子にも味わってほしかった、それだけよ」
ゾロ「仲直りできねェのか」
ロビン「冗談でしょう?」
132:
ゾロ「おい、どうすんだよ」
たしぎ「え? ど、どうするって……」
ゾロ「お前がなんとかしてくれねェと」
たしぎ「そうは言っても……何だか思ったより話のスケールが大きいというか……」
ロビン「私と航海士さんの仲を戻すためにこの海兵さんを連れてきたの?」
ゾロ「まァ一応な」
ロビン「だったら海兵さん、あの航海士さんを拘束してくれる?」
たしぎ「え……」
ゾロ「おいロビン!! ナミは仲間だろうが!」
ロビン「私にはもう仲間とは思えないわ」
ゾロ「重症だなこりゃ……」
133:
ロビン「頼めるかしら?」
たしぎ「えと……ちょっと落ち着いてください。 そんな早計な……」
ロビン「あら、あなたは海軍なんでしょう?」
たしぎ「そうですけど……」
ロビン「海賊を前にして使命を放棄するのは問題ではないのかしら?」
たしぎ(それを言ったら他の船員も見逃しちゃってるんですよ私……)
ロビン「出来ないの?」
たしぎ「う……。 だったらこういうのはどうでしょう?」
ロビン「?」
135:
たしぎ「あなたと泥棒猫が仲直りをする、私はそれを見届け、かつあなた方の
 存在は見なかった事にします」
ゾロ「問題発言じゃねェのかそれ……」
たしぎ「その代わり麦わらの一味から私はロロノアの身柄をいただきます。
 あなた達はこれからも新世界で旅を続けられるという事で……」
ゾロ「それおれが捕まってるだけじゃねェかァ!!!」
ロビン「航海士さんを捕まえる気はないの?」
たしぎ「泥棒猫を捕まえるならあなた含め他の船員も全員拘束する事になります」
ロビン「……そうではない場合は」
たしぎ「ロロノアはこちらで引取り、麦わらの一味は見逃すという形で……」
ゾロ「何でおれだけは見逃してくれねェんだ!?」
138:
ロビン「論外ね」
たしぎ「そうですか……、私はただ仲直りをしていただけたらそれで結構なんですけど」
ロビン「あり得ないわ」
ゾロ「意地張ってんなよいつまでも」
ロビン「そういう問題ではないのよ」
たしぎ「………………」
ロビン「それに、あなた一人で私達全員を拘束するなんて出来ないでしょうね」
たしぎ「…………。 あ、あれ、泥棒猫!?」
ロビン「!」
141:
たしぎ「隙ありです!」バッ
ロビン「しまっ……!!」ガチャ
ゾロ「ロビン!」
ロビン「く……手錠?」ジャラ
たしぎ「ロロノアと同じ手錠です。 能力は使えませんよ」
ゾロ「テメェ、話が違うだろうが!!」
たしぎ「落ち着いてください、何もこのまま海軍基地へ連れて行く訳ではありません」
ゾロ「そこは連れていけよ少尉……、まァそうされると困るんだけどな」
ロビン「何のつもり……?」
143:
たしぎ「大人しく私に連行されてください、……サウザンドサニー号まで」
ロビン「!!」
ゾロ「……なるほど、やりゃァ出来るじゃねェか」
たしぎ「あなたに賞賛されても嬉しくありません」プイッ
ロビン「ちょっと、離しなさい!!」ジャラ
たしぎ「聞けません」
ゾロ「よし、ならさっさと船に戻るぞ」
ロビン「私は屈しないわよ!」
たしぎ「大人しくしてください! 行きますよ」
144:
???
ゾロ「ナミ!」
ナミ「…………何? まだ何か用が―――」
ロビン「…………」
ナミ「ロビン……? ……ッ!」ダッ
ゾロ「おい待て!」
たしぎ「逃がしません!!」バッ
ナミ「な……ッ……!!」
たしぎ「暴れないでくださいね」ガチャ
ナミ「手錠……?」
ゾロ「この調子で全員拘束出来るんじゃねェかお前……」
147:
ナミ「離してよ!」
たしぎ「いいえ、離しません。 仲直りするまでは」
ナミ「仲直り……。 ……ロビン」
ロビン「お久しぶりね、航海士さん」
ナミ「ふん、まだ数日しか経ってないじゃない」
たしぎ「さァ、お互い非があった事を認めて謝罪しあってください」
ナミ「あんたには関係ないってさっきも―――」
たしぎ「いえ、これからまもなく無関係ではなくなります」
ロビン「?」
149:
ゾロ「そりゃどういう意味だ? こいつらを会わせて謝らせる算段なんだろ?」
たしぎ「二人が抱える恨みについては私も理解しました」
ナミ「いくら謝ったって許すことはないわよ!」
ロビン「あら、気が合うわね」
たしぎ「この二人は"失ってしまったから"いつまでもその恨みを引きずっているんです」
ゾロ「?」
たしぎ「失ったから、いつまでも仲直りできない」
ゾロ「じゃあどうすんだ」
たしぎ「取り戻せばいいんです」
152:
ナミ「取り戻す……?」
ロビン「詳しく聞かせてもらえるかしら」
たしぎ「あなた達は失った怒りで周りが見えていません」
ゾロ「だから取り戻すってか? 何を?」
たしぎ「泥棒猫は空島の宝石、ニコ・ロビンはポーネグリフの碑文でしたね」
ナミ「そうよ、もう二度と空島に行ける事なんてないでしょうね。
 そんな空島の宝の価値をこの女はわかってないのよ!!」
ロビン「その言葉、そのままお返しするわ。 あなたみたいな人間に
 歴史の価値なんて理解できない。 してほしくもないわ!!」
たしぎ「安心してください」
ゾロ「?」
たしぎ「私がその二つを調達してきます」
153:
ナミ「!!?」
ロビン「なんですって……!?」
ゾロ「出来るのかそんなこと」
たしぎ「…………正直、賭けですけど」
ナミ「何をバカなこと言ってんの? あんたが今から空島に行ってくれるわけ?」
ロビン「海兵風情がポーネグリフの所在を突き止められるはずがないわ」
たしぎ「……海軍を見くびらないでください」
ナミ「どういう意味よ」
たしぎ「海を渡って冒険しているのは海賊だけじゃないって事を教えてあげますよ」
154:
ナンダッテー
156:
ゾロ「どうするつもりだ?」
たしぎ「ええっと……あ、すみません!」
魚人「ん?」
たしぎ「私は海軍本部少尉のたしぎと言います」
魚人「あ、ああ……(何で海軍がここに……!?)」
たしぎ「お尋ねしますが、この島にパソコン型とFAX型の電伝虫はありませんか?」
ナミ「電伝虫……?」
魚人「FAX型のなら地上との連絡を取るために何匹か飼ってるが……パソコンはどうだろうな」
たしぎ「至急、私に貸していただきたいのですが」
魚人「わ、わかった。 ちょっと探してくる」
158:
???
魚人「おいあんた、これでいいのか?」
たしぎ「はい、問題ありません! ご協力感謝します!」
魚人「じゃあおれはこれで……」
ゾロ「電伝虫二匹でどうするつもりなんだ」
たしぎ「海軍は偉大なる航路と新世界を含め、全世界にネットワークを繋いでいます」
ロビン「そんなことを海賊である私達に言ってもいいのかしら?」
たしぎ「もういまさらですよ」
ゾロ「そりゃ言えてる」
160:
ナミ「で、それをどうするの?」
たしぎ「まず泥棒猫の空島の宝に着手します」カタカタ
ロビン「パソコン型の電伝虫で入手できるものじゃないでしょう?」
たしぎ「海軍は海賊を拘束した際に海賊の所有物である財宝を
 押収していて、その財宝を保管する施設がいくつかあるんです」カタカタ
ゾロ「へェ、ねこそぎぶんどっちまうってわけか」
たしぎ「その施設がこの辺りにないかをまずは調べます」
ナミ「…………、あ、あんたまさか」
たしぎ「そのまさかです」
 
161:
ロビン「施設の所在を突き止めて、そこに保管されてる宝を……」
たしぎ「はい、ここへ送りつけます」
ナミ「あんたバカなの!? 立派な軍規違反じゃない!」
たしぎ「一応、保険はかけるつもりです」
ゾロ「保険?」
たしぎ「施設の財宝を魚人島に送るよう指示した人間を、こっちででっち上げます」
ロビン「……あなた本当に海軍なの?」
たしぎ「そのつもりです」
162:
たしぎたん……
164:
ナミ「指令状の偽造なんて……」
たしぎ「……あった、空島の財宝を保管している施設」
ゾロ「届けられるのか?」
たしぎ「……数が多すぎて直接運ぶのは無理ですね。 ここは海中ですし」
ゾロ「ならどうすんだ」
たしぎ「小切手にしましょう」
ナミ「小切手……、そうかそれなら」
たしぎ「カモメに運ばせて、ここの住人に受け取ってもらえば」
ゾロ「でもナミが欲しがってんのは小切手じゃなくて宝だろ」
たしぎ「結局はお金になるんですから、そこは我慢してください」
166:
ナミ「……」
たしぎ(あとは『決定』をクリックするだけ……)
ゾロ「本当にいいのか、そんな真似して」
たしぎ「……一応、約束ですから」
ゾロ「?」
たしぎ「例え約束を交わした相手が海賊でも、人と交わした約束は破りたくない」
たしぎ「……それだけです」
ナミ「約束って?」
たしぎ「それは秘密です」
168:
ロビン「でも、偽造指令状の製作者は誰にするの?」
たしぎ「………………」
ゾロ「お前汗びっしょりだぞ」
たしぎ「…………か、海軍本部元帥」
ナミ「!!?」
ロビン「海軍のトップ……確かにそれなら文句なしに通るでしょうね」
たしぎ「バレたら処刑ですかね、あはは……」
ゾロ「……」
たしぎ「で、では……」カチッ
170:
スモーカーさんも個人的な都合で麦わら一味見逃してるよね
173:
ゾロ「終わったのか」
たしぎ「小切手については。 ここに到着するまでしばらく掛かりますけど」
ナミ「あんた……」
たしぎ「さ、さて次です! ポーネグリフの碑文でしたね」
ロビン「財宝とは価値が違いすぎるわ、入手出来るはずがない」
ナミ「……」イラッ
ロビン「事実よ」
ナミ「ふんっ」
たしぎ「海軍でも空白の歴史についての調査が行われていたらしいです」
174:
ロビン「な……、オハラの皆は歴史の研究をしていただけで殺されていったのに……」
ナミ「海軍にも黒い部分があるってことでしょ」
たしぎ「碑文の情報が保存されてるデータベースにアクセスしてコピーします」
ロビン「そのためにFAXを……」
たしぎ「……あ、」
ゾロ「?」
たしぎ「ダメですね……何重にもロックが掛かっててパスワードが解除出来ない」
ゾロ「手に入れられねェって事か」
たしぎ「すみません……」
176:
ロビン「空白の歴史に関わる情報ですもの、当然だわ」
たしぎ「……」
ロビン「……ちょっとその電伝虫、貸してもらえるかしら?」
たしぎ「え?」
ロビン「ついでに手錠も外してもらえるとありがたいのだけど」
たしぎ「ど、どうするつもりですか?」
ロビン「私なら解除できるかもしれない」
たしぎ「え……」
ゾロ「頭いいからなこの女は」
178:
たしぎ「……暴れないでくださいね」ガチャ
ロビン「私はそこまで乱暴じゃないわよ」カチャカチャ
ナミ「ど、どうなの? できそう?」
ロビン「……解除、できたわ」
たしぎ「すごい、どうやって!?」
ロビン「ポーネグリフを読み解いた人間にしかわからないような
 キーワードが設定してあったわ。 ポーネグリフの解読が
 出来ないような人にはそもそもアクセスできないように」
ゾロ「よくわかんねェな……」
たしぎ「じゃああとはこの情報をFAXで……」
179:
電伝虫「じーカタカタカタカタカタカタ……」シュルルル
たしぎ「あ、きましたよ」
ゾロ「どうなんだロビン」
ロビン「……ところどころ抜けてる箇所があるけど、間違いないわ」
たしぎ「なによりです」ホッ
ナミ「海軍のネットセキュリティが貧弱すぎると思うんだけど」
たしぎ「パソコンを使って海賊王になろうという海賊がいませんから……。
 それに例えネットで情報を盗まれても、最終的には海軍も
 力で海賊を淘汰していくので、結局問題はないんですよ」
ナミ「……それもそうね」
180:
???
ゾロ「今度は何やってんだ?」
たしぎ「アクセスした痕跡を可能な限り消してます。 悪あがきです」
魚人「おーい」
ゾロ「あ?」
魚人「この手紙、もしかしてあんたら宛てか?」
ナミ「……もしかして!」
魚人「島中で聞きまわっても覚えがねェってヤツばかりでな、もしかしたらと思って」
たしぎ「あ、ありがとうございます! こちらで受け取っておきます」
181:
ナミ「きゃー!! 正真正銘の小切手よ小切手!$$」
ゾロ「いくらあるんだよ」
ナミ「五〇〇万ベリーね」
ゾロ「思ったより少ねェな」
たしぎ「あんまり多額だとマズいと思いまして……」
ロビン「それも今更なんじゃないかしら?」
たしぎ「そ、そうですね……」
ナミ「充分よ、無くなったお宝も私から見て五〇〇万くらいn値打ちだったし」
ゾロ「……さて、これで二人共失ったもんは取り戻せたな」
184:
ナミ「…………」
ロビン「…………」
ゾロ「少しは頭冷えたかよお前ら」
ナミ「……それとこれとは話が別よ」
ゾロ「何!?」
ロビン「同意だわ。 確かに大事な物は取り戻せたけど、
 それで私が心に受けた屈辱が払拭される訳じゃ――」
たしぎ「い、いい加減にしてください! まだそんな事を言ってるんですか!?」
ナミ「!」
ロビン「!」
185:
嫁SSと聞いて神でやって来ました
186:
>>185
その割にはおせえ
188:
たしぎ「私はあなた達麦わらの一味の内情について詳しく知りませんけど、」
たしぎ「この程度のトラブルなんてこれまでも何度もあったんじゃないですか!?」
ナミ「……」
ロビン「……」
たしぎ「なのにこんな……子供みたいにいつまでもグダグダと……」
たしぎ「海賊の絆って、そんなものなんですか?」
ゾロ「俺が言うべきセリフじゃねェかそれ?」
たしぎ「もういい加減、大人になりましょうよ」
190:
ゾロ「お前……」
たしぎ「……ぐすっ。 そ、そして何より……ひっく」ポロポロ
ナミ「ちょ、泣かないでよ……」
たしぎ「何より……二人の仲を……ぐす、戻ずだめに払っだ私の苦労は……」ポロポロ
ロビン「……」
ゾロ「この女、軍規違反を犯してまでお前らのヨリを戻そうとしたんだぞ(そこまで頼んでねェけど)」
ナミ「……それは、」
ロビン「……その通りね」
193:
たしぎ「……うううぅ……」
ゾロ「もう泣くなようっとうしい、これで拭け」スッ
たしぎ「……? ハンカチ、ですか……?」
ゾロ「いや、おれが使ってるバンダナだ」
たしぎ「…………。 あ、ありがとうございます……」
ナミ「ロビン……、ごめんなさい。 あんな酷いこと言って」
ロビン「いいえ、私が大人気なかったのが悪かったのよ。 ごめんなさいナミ」
ナミ「……また仲良くしてくれる?」
ロビン「もちろんよ、仲間だもの」ニコッ
ゾロ(はァ……終わった……)
196:
たしぎ「ぐすっ……一件落着、ですか?」
ナミ「うん。 あんたにも礼を言わなきゃね」
たしぎ「え……あ、わ、私は海軍ですし、その」
ロビン「海軍も海賊もないわ、あなたという一人の人間に対して礼を言わせてちょうだい」
たしぎ「そ、そんな……そこまでしなくても」
ナミ「ありがとね、あんたのおかげで『色々』取り戻せたわ」
ロビン「ありがとう」
たしぎ「め、面と向かって言われると照れますね……///」
ナミ「あ、この手錠外してくれる?」
たしぎ「そ、そうでした。 すみません」
199:
???
ナミ「―――という訳なのよ」
たしぎ「新魚人海賊団……地上に出てきていたらと思うと背筋が凍りますね」
ロビン「その心配はもうないわ」
たしぎ「それでこの宴会ですか。 あなた達は他の海賊とは違うんですね」
ナミ「そう思う?」
たしぎ「ええ、アラバスタの時からそう思ってました」
ゾロ「くかー」Zzz
ロビン「良かったらあなたも参加したら? この宴会に」
たしぎ「え? あ、じゃあお言葉に甘えて少しだけ―――」
スモーカー「たァァァァァァしぎィィィィィィィィ!!!!!!!!!」ドン!!!
ゾロ「!?」ガバッ
たしぎ「」
200:
これは言い逃れできない
203:
ルフィ「おいナミ! 船出せ船!!」ドドドドッ
ナミ「ちょっと急にどうしたのよ! さっきの声なに!?」
ウソップ「海軍がコーティング船に乗って攻めてきやがった!!」
チョッパー「おれ達を捕まえにきたんだよー!!」
サンジ「んナ?ミすわぁぁぁん!! ロビンちゅわぁぁぁん!! 無事ですか?!?」
フランキー「ちくしょう、どうしてここに居るのがバレたんだ!?」
ブルック「ヨホホホホ?! 突然海兵の方に声をかけられたものですから
 私、心臓が飛び出ちゃいました! って私、心臓ないんですけど?!!」
ゾロ「海軍……?」チラッ
たしぎ「スモーカーさんだ……」
206:
海兵「いたぞ、麦わらの一味だ!!」
海兵「船もあるぞ! 各自、戦闘準備に入れ!!」
スモーカー「たしぎィ!! テメェこりゃ一体どういう了見だァ!!?」
たしぎ「す、スモーカー准将……」ガクガク
ウソップ「ん? あ、そうか! お前が海軍を呼んだんだな!?」
たしぎ「えっ」
フランキー「あァ? 海軍? 何で海軍がおれ達の船に?」
ルフィ「とにかく荷物乗せろ! すぐ出航するぞ!」
ゾロ「…………どうすんだおい」
たしぎ「…………」
214:
ナミ「フランキー! シャボンの準備は!?」
フランキー「スーパーOKだこの野郎! コーティング始めるぜ!!」
たしぎ「え? ちょ、ちょっと待って―――」
海兵「准将! た、たしぎ少尉が……」
海兵「捕虜のロロノアも確認しました!!」
スモーカー「ホワイトランチャー!!」ボフッ
ウソップ「うわ来たぞ!! コーティングまだ終わらねェのか!!」
フランキー「くそ……!」
たしぎ「……。 ロロノア」
ゾロ「?」
216:
たしぎ「今回だけは見逃してあげます」
ゾロ「なに?」
たしぎ「ただし、次に会った時は覚悟しておいてください」
ゾロ「おい、テメェ!」
たしぎ「少しだけ楽しかったです。 それでは」バッ
ナミ「あ、あの子!!」
ゾロ「く……!!」
フランキー「よっしゃ、もうすぐ終わるぞ! 飛ばすからお前らしっかり――」
ゾロ「待てフランキー!!」
フランキー「!?」
ゾロ「ブルック、お前の剣を貸せ!!」
ブルック「は、はい?」
218:
ゾロ(両手は使えねェが口で咥えりゃ……!)ガチッ
サンジ「おいどうすんだよまりも野郎! あのカワイコちゃんを取り返すのか!?」
ゾロ「テメェは黙ってろ! ルフィ、」
ルフィ「?」
ゾロ「五分だけ持ち堪えてくれ、それでも俺が帰ってこなかったら……」
ルフィ「……」
ゾロ「お前らだけで新世界へ行ってくれ」
ナミ「ちょっとあんた、何言ってんのよ!?」
ルフィ「…………。 よし、わかった!」
ウソップ「ルフィ!?」
チョッパー「海軍が来るぞ!」
219:
スモーカー「逃がすか……!!」モクモク
たしぎ「スモーカー准将!」
スモーカー「たしぎ!! テメェ―――」
ゾロ「止まれェ海軍!!!」ドン!!!
スモーカー「!?」
海兵「た、たしぎ少尉が……!!」
たしぎ「う、ぐ……! ろ、ロロノア……?」
ゾロ「この女のクビ飛ばされたくなかったらそれ以上進むんじゃねェ」
海兵「少尉を人質に……!」
223:
スモーカー「……ロロノア」
ゾロ「動くなよ」チャキ
たしぎ「く……ロロノア、どういうつもりですか」
ゾロ「この女を解放してほしけりゃ俺の要求に応えろ」
スモーカー「……たしぎィ。 テメェから捕虜を脱走させておいてそのザマはねェな」
たしぎ「…………覚悟の上です」
ゾロ「その話だが、……俺がこの女を脅して脱獄に協力させた」
スモーカー「……」
海兵「(す、スモーカー准将。 ロロノアの言ってることなんですが……)」
224:
スモーカー「……」
海兵「(ロロノアが言っている事は恐らくウソです。 私は当時
 たしぎ少尉に頼まれて鍵を渡したんですが、その時に
 少尉がロロノアに脅されているような様子はありませんでした)」
スモーカー「……どうなんだ、たしぎ」
たしぎ「は、はい」
スモーカー「テメェは脅されて捕虜を逃したのか、それとも」
たしぎ「……私の意志です」
ゾロ「おい、テメェ……!!」
スモーカー「………………。 バカが」
226:
ゾロさんステッキくわえてなにしてんすかw
227:
>>226
手錠されてステッキ咥えて人質取ってるとか想像したらシュールすぎるww
231:
ゾロ「……」
スモーカー「……要求ってのァ何だ」
海兵「スモーカー准将!!」
ゾロ「受けてくれるのかよ」
スモーカー「さっさと言え」
たしぎ「スモーカーさん……」
ゾロ「……、俺の刀を三本返せ。 あと手錠、これも外せ」ジャラ
スモーカー「刀はあるか?」
海兵「船で保管してますが……しかし准将! 相手はロロノア・ゾロですよ!?
 それにたしぎ少尉はロロノアの脱走に加担して―――」
スモーカー「いいから持って来い」
233:
???
海兵「准将、ロロノアの刀です……」チャキ
ゾロ「こっちに投げてくれりゃァいい」
スモーカー「……やれ」
海兵「くっ……」ポイッ
ゾロ「手錠の鍵はどうした?」
海兵「調子に乗りやがって海賊風情が……!!」ポイッ
ゾロ「お前が外せ、妙な真似したら……わかってんだろ?」
たしぎ「…………」カチャカチャ ガチャン
ゾロ「ようやく解放かよ……ったく」
235:
海兵「准将……!」
スモーカー「たしぎ少尉を解放しろ」
ゾロ「既に解放してるつもりなんだがな」
たしぎ「…………スモーカー准将、申し訳ありません」
ゾロ「一つ聞かせろ」
スモーカー「?」
ゾロ「その女はどうなるんだ」
スモーカー「……捕虜の脱走援助は重大な軍規違反だ」
たしぎ「……」
スモーカー「銃殺刑が妥当だな」
236:
ゾロ「まァ、そうだろうな」
たしぎ「……」
ゾロ「……こいつァおれからの個人的な頼みなんだが」
スモーカー「?」
ゾロ「今回この女が起こしたことにゃ目をつぶってやってくんねェか?」
たしぎ「!? ロロノア……?」
スモーカー「……海賊が海軍の軍規に口出しするのか?」
ロロノア「そういう訳じゃねェよ、ただの頼みだっつったろ」
237:
スモーカー「海賊の頼みをおれが受け入れると思ってるのか」
ゾロ「いやァ、テメェなら或いは見逃してくれんじゃねェかと思ってな」
たしぎ「?」
ゾロ「アラバスタでおれ達を見逃してくれたテメェならな」
スモーカー「……!」
たしぎ「え……?」
海兵「……スモーカー准将が?」
海兵「麦わらの一味を見逃した……?」ザワザワ……
238:
ゾロ「あの時おれ達を見逃す理由なんざ無かったはずだろ」
スモーカー「……」
ゾロ「そんなお前なら今回も……って訳にゃァいかねェか?」
スモーカー「……」
たしぎ「す、スモーカーさん……」
スモーカー「……船に戻れ、少尉」
たしぎ「え?」
スモーカー「聞こえなかったのか?」ギロッ
たしぎ「は、はいっ! すぐに!!」タタタッ
ゾロ「達者でな」
たしぎ「……」
239:
スモーカー「ずいぶんとたしぎに肩入れするんだな、ロロノア」
ゾロ「そんなつもりじゃねェよ」
スモーカー「なぜあんな頼みごとをしてきた」
ゾロ「……昔の知人と顔がそっくりでなァあのパクリ女」
スモーカー「知人?」
ゾロ「そんな顔でみっともねェツラさせたくなかっただけだ」
スモーカー「……そうか。 で、テメェはどうするつもりだ?」
ゾロ「悪ィが、自力で逃げさせてもらう」
スモーカー「麦わらの船ならもう出航してるが」
ゾロ「あれェ!!?」
241:
???
ロビン「…………あら?」
ウソップ「んー? どうしたロビン」
ロビン「海から何かが登ってきてるわ」
チョッパー「おお! 新世界の魚かなァ?」ワクワク
ゾロ「ぶはァ!!」ザッパーン
ルフィ「ゾロォ!!」
魚人「はー、間に合った間に合った。 ここでいいかい剣士の兄ちゃん?」
ゾロ「あァ、世話ァかけたな」
246:
魚人「じゃァなヒーロー海賊団、またいつでも遊びに来いよ!」ザブン
ゾロ「ぜェ……ぜェ……おいテメェらァ!!」
サンジ「おーおーどうした遅刻野郎、顔真っ赤にして」
ゾロ「おれを置いて先にいくなよ!!」
ナミ「あんたが言ったんじゃない、五分経ったら先に行けって」
ルフィ「まァゾロならちゃんと戻ってくると思ってたしな、ししししし!」
ゾロ「本当に置いていきやがるとは……まァ構わねェけどよ」
ロビン「それで、あの海兵さんはどうなったの?」
サンジ「そうだよ!! どさくさに紛れて連れてくりゃよかったじゃねェか!!」
ゾロ「あァ? ……ふん、まァ」
ゾロ「また会えるだろ、新世界でな」
248:
???
スモーカー「……」ガチャ
海兵「准将、お疲れ様です」
スモーカー「ロロノアの行方は」
海兵「依然、つかめていません」
スモーカー「あの野郎……まさかあの状況で逃げ果せるとはな」
海兵「准将の能力に正面から対抗出来ていたあれは一体……?」
スモーカー「覇気だろ。 連中、さらに強くなってやがる」
スモーカー「なァ、たしぎ」
たしぎ「…………はい」
251:
スモーカー「お前は魚人達への事情説明にまわれ」
海兵「ハッ、失礼します」ガチャ バタン
スモーカー「……コーヒー、飲むか」
たしぎ「結構です。 ……あの、スモーカーさん」
スモーカー「ロロノアを脱走させた理由が、麦わらの一味に関する情報収集……なァ」
たしぎ「……」
スモーカー「成果のほどは」
たしぎ「……」
スモーカー「お前、今回の一件で何を得てきた?」
たしぎ「……海軍にとって有益になるような情報は何も」
252:
スモーカー「それどころか、まんまとロロノア以下麦わらの一味に逃げられてる」
たしぎ「……返す言葉もありません」
スモーカー「まァ、ロロノアに関しちゃおれの失態もあるがな」
たしぎ「……スモーカー准将」
スモーカー「なんだ?」
たしぎ「私の今後の処置についてなんですが……」
スモーカー「……なに震えてやがる」
たしぎ「い、いえ……何でもありません」
スモーカー「怖ェか、これから自分がどうなるか」
たしぎ「……いえ」
253:
スモーカー「たしぎ」
たしぎ「はい」
スモーカー「テメェおれがパソコンとかそういうの苦手なの知ってるだろ」
たしぎ「……、………………は、はい?」
スモーカー「おかげで部下に頼るハメになっちまった、あまりおれに恥をかかせるな」
たしぎ「……す、スモーカーさん……まさか……?」
スモーカー「捕虜を脱走させた処罰は重い」
たしぎ「スモーカーさん、私は――――!!」
スモーカー「向こう数年は雑用だ、刀を握ることも許さねェ、わかったな」
254:
???
海兵「た、たしぎ少尉……」
たしぎ「今は少尉ではなく雑用ですよ」
海兵「し、失礼しました! あの、次はトイレ掃除を……」
たしぎ「はいっ、了解です」
海兵「お……お願いします」
たしぎ(……またスモーカーさんに助けられてしまった)
たしぎ「…………」
たしぎ「ロロノア……次に会うときは、きっと」
258:
???
ヒナ『で、またあの子の尻拭いって訳? ヒナ呆れた』
スモーカー「うるせェ、その辺の海賊から情報盗まれた事にしときゃいいだろ」
ヒナ『でも良かったわね、"元帥"が不在の時に起きた事で』
スモーカー「……青キジと赤犬、まだやりあってんのか」
ヒナ『どちらかが元帥に決まっていたら、たしぎ少尉はお終いだったわね』
スモーカー「小切手の件はもうすぐこっちで片付く」
ヒナ『了解。 ……ねェ、いい加減あの子に肩入れするのやめたら?』
スモーカー「放っとけ、大事な部下なんだよ」
259:
おしまい。
すまん。スレタイと関係ない話になっちまったwww
即興だとこんなもんしか書けねえ、許せ
267:
>>259
いや良かったよ
ちゃんと最近の話も読んでるみたいだし乙!
262:
終わったのか
6時間ぶりにパンツはけそうだな
264:
乙ですた
27

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