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PC「即決する人ってかっこいいよね?」PC「わかるわかる!」


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1:
PC「私達って結構色々な種類があるでしょ?」
PC「デスクトップだったりノートだったり?」
PC「あと細かいことを言えばスペックとかね。なのに即決で買う人はやっぱりかっこいい」
PC「正直、中身のことなんて自分じゃわかんないけどね」
PC「あはは、それは人間も一緒だし」
PC「あ、そっかそっか。HDDとかメモリとかもなんのこっちゃって感じだよね」
PC「人間が勝手に組み込んだ部品だからね」
PC「作る側は勝手だよね」
PC「ほんとにね」
店員「いらっしゃいませー!!」
PC「あ、お客さんが来た!!」
PC「……うっふーん♪そこのお兄さん、私を買ってくださらない?」
BUFFALO 光学式有線マウス USB接続 Lサイズ 白箱 RoHS対応 ライトグレー BOMULLGA
8:
―――家電量販店
男「うーん……」
店員「どんなPCをお探しですか?」
男「あ、えっと……」
PC「ちょ!店員、邪魔邪魔!!」
PC「この人は自分で選びたんだってば!!空気読め!!」
男「一人暮らしを始めるんで……」
店員「ではデスクトップ型ですか?それともノート?」
男「それが決めかねてて……」
店員「でしたらこちらのPCが当店のお勧めで―――」
PC「あーあ。この人はダメね」
PC「うん、流されてる」
PC「武士の心を持ってないでござるな」
12:
店員「―――という感じなんです」
男(何を説明されたかわかんない……)
PC「あ、何も分かってないってかんじですお」
PC「きゃー!!初心な感じがかわいい!!」
PC「あんたってPC童貞ばっかり狙ってるから売れ残るんだよ?」
PC「うっさい!!」
ノートPC「おめえら、うるせえよ」
PC「ノート君は黙ってて」
ノートPC「やろう……」
男「あ、えっと、自分で決めてみます」
店員「そうですか。では、何かありましたらまたいつでも声をかけてください」
男「わかりました」
PC「さ、私を!!」
PC「いーえ、私を!!」
ノートPC「お、俺だ!!」
14:
男「ブランドもOSとかもスペックとかも正直、何もわかんないしな……」
PC「ラーメンは何が好き?」
PC「しょうゆかな?」
PC「とんこつ」
男「……」
PC「ドライブのとこがパカパカしていいと思わない?」
PC「だっせー!!」
ノートPC「こいつ決めるのおっせー」
PC「他のひとがいいなぁー」
男「やっぱりデザインで決めるか。どうせやることはインターネットぐらいだし」
PC「インターネットだけだって」
PC「マジかよ。つまんね」
PC「ミクちゃんたべたいお」
PC「インストールっていいなさいよ」
15:
男「……」
PC「む、拙者か?」
男「違うな……こっちかな?」
PC「やったー!童貞を食べるチャンス?!」
PC「はいはい、よかったわね」
男「……決めた。これにしよう」
デスクトップPC「ぶっ!?」
PC「おめでとー」
デスクトップPC「あんがと」
男「すいません」
店員「はい」
男「これ貰えますか?」
店員「ありがとうございます」
男「安いし、お手頃かな」
デスクトップPC「悪かったわね、売れ残りで!!」
17:
店員「―――ありがとうございましたー」
男「やった」
PC「ねえねえ、付属品は?空のDVDとかUSBメモリとかいらないわけ?」
USBメモリ「あ!やっと売れたんだ。おめでとう!!」
PC「だまれ!!」
DVD「うわ!あれ買った奴がいるんだ。すげえな」
SDカード「売れるだけマシよ……」
携帯「卑屈になるなよ」
PC「……」
男「さてと帰ったら早セッティングしようか」
PC「こいつ、インターネットの契約とかしてなかったけど……大丈夫なんでしょうね?」
LANケーブル「ふわぁぁぁ。あれ、俺は?」
PC「しらん」
18:
―――自宅
男「よし」
PC「……」
男「えっと……スイッチはどこだろう……」
PC「……マジか」
男「あ、説明書みなきゃ」
PC「とんだPC童貞ね」
男「えっと……ここか」
PC「ぁん」
男「―――おお、ついた。で、初期設定は……」
PC「キーボードつけんかい!」
男「あ、キーボード忘れてた」
PC「馬鹿か」
20:
キーボード「あ、お姉さん、ちわっす!」
PC「これからよろしくね?」
キーボード「うっす!お姉さんにご迷惑をかけないようにがんばりまっす!!」
PC「ふふ、ありがとう」
男「キーボードのこれを……ここに差し込んでっと」
PC「ぉん♪」
キーボード「お姉さん、大丈夫ですか?」
PC「平気よ」
男「まずはユーザー名か……」
キーボード「これから長い付き合いになりそうっすね」
PC「そうね。この人、PCに疎いからキーボードとかもそのままかも」
キーボード「僕的にはそのほうがうれしいっすね!」
PC「あら、そうなの?」
キーボード「壊れるまでマスターに使ってもらえるなんて最高じゃないっすか!」
PC「そういうものかな……」
22:
こういう初心者が知識を持ってそのうち
4GBメモリ「おら」ズプ
ママン「やぁっ・・・おっきいよぉ・・・///」
やばいちょっと抜いてくる
23:
男「ふぅ……初期設定はこれでいいな」
キーボード「さあ、なにをするんですかね」
PC「さあ?」
男「さてと、インターネットの接続工事は……来週だからそれまで使うことがないな」
PC「なんですって!?」
キーボード「うっそー!!ひどいっすよ!!マスター!!なんかアプリで色々と!!」
PC「つーかマウスもだしてあげなよ!!」
男「……あ、マウスもついでに繋いでおこうかな。―――あったあった」
マウス「ひっく……えぐ……忘れられたかと思いましたぁ……」
キーボード「あ、ちっす」
マウス「ぐすっ……どうもです……」
PC「ご、ごめんね、なんか」
マウス「いいえ……お姉ちゃんの所為じゃないから……」
男「えっと、シャットダウンは……ここをクリックか(カチッ」
マウス「ひゃん♪」
26:
男「よし。ご飯でも買いに行こうかな」
PC「マジで電源を落としやがった……」
キーボード「これは退屈っすね。僕なんてマスターに叩かれてなんぼってとこがありますし」
マウス「わたしも」
PC「私だって見られてこそ価値があるんだからね」
キーボード「でも、悪い人じゃなさそうっすよ」
マウス「うん、それは思った」
PC「なんで?」
キーボード「だって、ほら」
テレビ「ぬへぇ……」
掃除機「ぐぅ……ぐぅ……」
キーボード「みなさん、結構古い人ですけど、なんだか安心してるじゃないっすか」
マウス「きっと大切に使われてるんだと思うよ?」
PC「でも、使ってもらわないとこっちが困るっていうか……」
27:
空気清浄機「あ、新しい子たちだ!!」
掃除機「―――なに!?」
テレビ「うわ!!ホントだ!!!」
冷蔵庫「ちょっと!!私たちからの位置だと見えないんだけど、これからよろしくね!!!」
電子レンジ「おいどんとはきっと会うことはないと思うが、一つ屋根の下で暮らすもの同士、仲良くやりやしょう!!」
PC「う、うん……」
キーボード「おねがいしまっす!!」
マウス「これからよろしく……」
テレビ「でも、お前らラッキーだな」
PC「なんで?」
テレビ「マスター、機械には弱いけどすごく大切にしてくれるからな」
空気清浄機「きっとすぐに好きになると思うよ!」
PC「でも、使ってくれないとねえ」
キーボード「あはは、まあそうっすね」
29:
なんで電子レンジで笑ったんだろ
31:
男「ただいまぁ」
PC「でも、一人暮らしを始めたばかりなんでしょう?」
テレビ「俺は前の家から使ってもらってるんだ。もうすぐ10年目さね」
キーボード「あー、だからなんか分厚いんっすね」
テレビ「年齢と地デジ化のせいもあって流石のマスターも買い替えを考えてるみたいだけどな」
PC「え……」
掃除機「テレビさんはもう半年以上、稼働してないの」
マウス「そうなんですか?」
テレビ「もう何も映んねえんだ。テレビとしては失格だろ?」
PC「……それでもこの人は貴方を捨てないのね」
男「……もぐもぐ」
テレビ「な、良い人だろ?……いい人過ぎて、捨てられるのが怖いけどな」
PC「そう……」
マウス「テレビさん……」
33:
―――夜
男「おやすみ」
蛍光灯「ばっくしゅん!!―――あ、おやすみ、マスター」
PC「……」
キーボード「どうかしたんすか?」
PC「本当に物に優しい人なんだろうなって」
キーボード「でしょうね。これだけの家電に好かれてる人は珍しいかもしれません」
マウス「一つぐらい埃が被ってて、忘れられたまま捨てられるって子もいるらしいから……」
PC「そうね……こうやって見える場所にいるだけでも幸せなのかも」
キーボード「そうっすよ。いればいつかは使ってくれるんすから」
PC「……」
男「ぐう……ぐう……」
PC「どんな使われかたするのかしら……?」
キーボード「まあ、男性ですから……ねえ?」
マウス「うぅ……あの後は手を洗ってほしい……です」
34:
マウス「うぅ……あの後は手を洗ってほしい……です」
なにげにグサリときた
35:
―――1週間後
テレビ「ぬへっぇ……」
PC「気が緩んでるわね」
テレビ「することねーんだもん」
キーボード「テレビゲームもないんすね」
掃除機「マスターって趣味がジョギングと登山だからね」
マウス「それは……」
PC「彼女、いないんじゃないの?」
テレビ「前はよくAVを見てたけど、確かに彼女を連れてきたところはみたことないな」
PC「童貞か」
テレビ「なあ?」
DVDプレイヤー「し、しらないっ!!」
携帯「マスター!!電話ですよー!!知らない番号からです!!出るときは気をつけ―――」
男「あ、もしもし?はい、はい。ええ、お願いします」
PC「誰かしら?」
37:
業者「お邪魔します」
男「じゃあ、お願いします」
業者「はい。えっと……」
PC「……?」
キーボード「お姉さん、きっとネットの工事っすよ」
PC「ああ、なるほどね」
マウス「よかったね、お姉ちゃん」
PC「べ、別に嬉しくなんてな、ないけど!」
テレビ「いいなぁ……」
業者「―――はい、接続はこれで大丈夫です」
男「あと、これにも繋いでもらえますか?」
業者「ああ、ええ」
チューナー「……」
テレビ「誰だ……?」
PC「誰かしら?」
40:
業者「これで大丈夫だと思います」
男「すいません」
テレビ「なんか変な奴をくっつけられたぞ?」
DVDプレイヤー「だ、だれなの?」
チューナー「……」
テレビ「無口な奴だな」
男「ケーブル会社と一緒に加入しておいてよかった……久しぶりに……」
テレビ「え……」
掃除機「うぉおぉぉおおお!!!!!」
キーボード「おお!!テレビさんが!!」
男「よかった。綺麗に映ってるな。まだまだ現役だ」
テレビ「……マスター……」
チューナー「……よ、よろしくね?」
テレビ「お、おう!!」
PC「……私は?」
42:
男いい奴や…
43:
テレビ「お前、結構可愛いじゃん」
チューナー「……」
テレビ「なんとかいえよー」
チューナー「……ごめんなさい、話すの慣れてなくて……」
DVDプレイヤー「な、なによ……わ、私のほうがテレビとはずっと繋がってたんだからね……」
男「さてと、インターネットでもしてみようかな」
PC「まってました!!」
キーボード「さあ!!早く起動してあげてほしいっす!!」
マウス「お兄ちゃん、つけてあげて!」
男「LANケーブルを繋いで……スイッチを……」
LANケーブル「よろしく」
PC「うん……ぁん♪」
LANケーブル「なんだ、ここは初めてかよ。いい具合に締まってんじゃん」
PC「そんなこといわないでよ……」
男「おぉ、繋がった……何をしようかな?」
44:
ふう
45:
マウス「あひゃん♪……お兄ちゃん、クリックになれてないよぉ」
キーボード「それは仕方ないっすね」
男「……」
キーボード「何から検索するのか……」
PC「どきどき……」
男「そういえば買い物とかネットですると安いってきいたなぁ」
キーボード「おお、いいっすね」
マウス「アマゾン♪アマゾン♪」
男「らく、てん……っと」
PC「そっち!?」
キーボード「まあまあ、人それぞれっすから」
PC「まあ、ね……」
マウス「がっかりぃ」
テレビ「なあ、どこ生まれ?」
チューナー「……台湾」
48:
男「―――あ、そろそろ夕食でも買いにいこうかな」
PC「通販サイトばっかりだったわね」
キーボード「これから楽しみが増えていくと思いますよ?」
PC「だと良いけど」
マウス「ぉお♪」
男「よし。電源も落としたし、いこ」
PC「もっとこう活用してほしいわね」
テレビ「でも、お前が活用されたら俺のことを見てくれなくなりそうで怖いぜ」
PC「それはないわよ」
キーボード「そうっすよ。もし本格的にPCを使うなら、PCをテレビの代わりにしててもおかしくないっすから」
テレビ「あ……」
PC「貴方はまだまだ使ってもらえるわ。私が妬いちゃうほどにね」
チューナー「……がんばろ?」
テレビ「……あ、ああ……そうだな」
マウス「ふはぁ……つかれたぁ……」
50:
―――翌日
男「……いってきまーす」
マウス「いってらっしゃーい♪」
PC「マスターって大学生かなにか?」
テレビ「社会人だ」
PC「ふうん」
キーボード「やっぱ、マスターがいないと暇っすよね」
マウス「だよね」
冷蔵庫「―――暇なのはいいことよ!!!」
PC「うわ!?なに!?」
冷蔵庫「私なんて6年もの間、24時間休みなく稼働しているのよ!!」
キーボード「あ、それはそっすね」
電子レンジ「嘘はいかん。ブレーカーが落ちた時は爆睡して中身をダメにしよったやろ」
冷蔵庫「いや、あれは事故だし……!!」
電子レンジ「おいどん、嘘はすかんで!!」
51:
電子レンジどこの出身だよ
54:
冷蔵庫「ご、ごめん……」
電子レンジ「そう。素直がいちばん!!」
PC「冷蔵庫って電子レンジに弱いの?」
掃除機「電子レンジが尻にひいてるんだよ」
キーボード「へえ、すごいっすね」
空気清浄機「あ、そろそろ電源落とさなきゃ」
マウス「時間?」
空気清浄機「そうそう。マスターって意外と綺麗好きだからね。しばらくは稼働するようにタイマーを仕掛けていくのよ」
PC「まあ、貴方のお陰で埃とかきにしなくていいからね」
空気清浄機「でしょ?」
キーボード「空気清浄機の姉貴がいるだけで全然違うッス!」
空気清浄機「おほほほ♪」
チューナー「………」
テレビ「どうした?」
チューナー「……みんな、仕事してるなって」
55:
>>54
尻にひくじゃない
尻に敷くだ
恥ずかしい
休憩
59:
テレビ「何を言ってるんだよ。お前がいなきゃ俺は使ってもらえないんだ。十分に働いてる」
チューナー「……そかな?」
DVDプレイヤー「まあ、私のほうが十分に働いてるけどね!!」
テレビ「おい!!」
DVDプレイヤー「ほ、ほんとのことでしょ!!」
チューナー「……ごめんなさい。何もしてないのにテレビさんの上に乗ってるだけだもんね……」
テレビ「あ、いや……」
PC「……色々思うところがあるのね」
キーボード「そうっすね……」
マウス「みんなそれだけマスターのことが好きだからじゃないかな?」
キーボード「え?」
マウス「好きだから役に立ちたいんだと思う」
PC「……」
キーボード「そうっすね。僕たちを使ってくれることでマスターが喜んでくれる。それが一番っすもん!」
電子レンジ「左様」
60:
左様www
61:
電子レンジ何者だよwwww
63:
掃除機「うんうん。綺麗になったときのマスターの笑顔が一番すき!」
電子レンジ「おいどんもじゃ。親方殿が美味しそうに料理を頬張るときが極上の至福じゃのう」
冷蔵庫「うん……そうかも」
テレビ「……そうだ。お前だってみただろ?」
チューナー「え……?」
テレビ「画面が映ったときのマスターの笑顔……あれは俺とお前に向けられてたんだぜ?」
チューナー「そう……なの?」
テレビ「ああ。だから胸を張れ。お前がマスターを笑顔にさせたんだからな」
チューナー「……うん♪」
DVDプレイヤー「ふん……」
テレビ「お前も口が過ぎるぞ?」
DVDプレイヤー「……悪かったわよ……ごめん」
チューナー「ううん……これからもよろしくね?」
DVDプレイヤー「……うん」
PC(そっか……みんな本当にマスターのことが好きなんだ……)
68:
―――夜
冷蔵庫「マスター、遅いなぁ」
電子レンジ「親方殿も大変やからのぉ」
PC「そうなの?」
電子レンジ「ああ。仕事の時はいつも遅いけん」
PC「へえ」
キーボード「じゃあ、あんまり使ってもらう機会とかなさそうっすね」
マウス「残念」
テレビ「……ぬへえ」
チューナー「ぬへえ」
PC「こらこら、ダメなとこを真似しないの」
掃除機「ぐう……ぐう……」
男「――ただいま」
PC「あ、帰ってきたわね」
マウス「おかえりー♪」
69:
男「……」
PC「な、なによ……?」
キーボード「手になんかもってますね」
男「……」
PC「何する気?インターネット?」
男「えっと……」
キーボード「あ、なんかディスクを入れるみたいっす」
マウス「お姉ちゃん、ふぁいとー」
PC「むぐ……もぐもぐ……」
男「……」
テレビ「なんだ、なんだ?」
掃除機「どうかしたの?」
キーボード「お姉さん……?」
PC「―――マウス、覚悟しておいた方がいいわよ?」
マウス「え……?」
70:
マスターがFPSプレイヤーだったらマウスたんが大変なことに
71:
エロゲディスク「初めまして。私『うたわれるもの』という者です」
PC「聞いてないわよ」
エロゲ「でも、こうして中に入っていくわけですから、失礼のないようにしないと」
PC「早く出ていってくれないかしら」
エロゲ「それは旦那様次第でしょうね」
マウス「あわわわわ……ついに恐れていたことが……!」
キーボード「あーあー」
テレビ「何の話だ?」
DVDプレイヤー「……あの感じ……いやらしいやつね」
テレビ「分かるのか?」
DVDプレイヤー「だって、喋り方がそうなんだもん」
男「あいつ、面白いっていってたけど……本当か……?」
エロゲ「そろそろ浸食が完了しますよ?」
PC「嫌な言い方しないで!!」
73:
まった懐かしいタイトル出してきたな
74:
―――翌日
男「―――いってきまーす」
マウス「……………くちゃい」
キーボード「大丈夫?」
マウス「うぅ……拭いてくれるかと思ったのにぃ」
PC「あー疲れた」
テレビ「中々の喘ぎ声だったぜ?」
チューナー「う、うん……」
PC「はぁ……スピーカー買ってくれないかしら」
掃除機「望み薄ですなぁ。あの人がそんな付属品を買うとは思えないし」
PC「なんで私がいちいち声を張り上げないといけないのよ……まったく」
キーボード「一体型の宿命ってやつっすね」
PC「もうやだ……今日もやるのかしら?」
マウス「お願いだから手を洗ってぇ……マスタぁ……」
78:
―――夜
男「さてと、これを温めるかな」
電子レンジ「うむ!!まかせときん!!!」
男「えっと、2分ぐらいか。―――よし」
電子レンジ「んんんんんんんん!!!!!!!!!!」
PC「凄い声ね」
テレビ「レンジ兄さんはああ言わないと温めた気にならないんだって」
キーボード「職人って感じっすね」
DVDプレイヤー「うるさいだけよ」
男「さてと、なにか面白い番組でも……」
携帯「マスター!!電話ですよ!!着信ありですよ!!!えっと!!えっと!!電話の相手はNO.42の―――」
男「はい、もしもし?―――ああ、昨日やってみたよ。ああ、結構面白いな」
PC「今日も喘ぎ声を出す仕事が始まるのね……」
マウス「マスター……手だけは洗って……あと、消毒もして……」
電子レンジ「んんんんんんん!!!!!――――――チン♪」
80:
男「さてと……」
PC「ゴクリ……」
男「あのゲームはもういいや」
PC「え……?」
キーボード「飽きちゃったんすかね?」
マウス「ほっ……」
男「抜くだけならもっと違う方法があるし……」
マウス「ぎゃあぁあああ!!!!」
キーボード「うっひょー。お姉さん!!今日は大忙しになりそうっすよ!!」
PC「……ついにエロ動画を……!?」
男「ツタヤにいくか」
PC「……へ?」
DVDプレイヤー「わたしかぁぁぁ!!!!」
テレビ「くそ……久しぶりに喘ぎ声ださないといけないのかよ……!!」
チューナー「……がんばって」
85:
ちょっと待て
テレビさんは男なんじゃ…?
86:
―――深夜
男「―――ふぅ」
テレビ「はぁ……はぁ……」
DVDプレイヤー「……大丈夫?」
テレビ「……ま、まあな」
男「さて、寝るか」
蛍光灯「ばっくしょん!!―――あ、おやすみ、マスター」
PC「意外ね。普通はエロ動画を延々と見るって聞いてたのに」
キーボード「インターネットに疎いからじゃないっすか?」
マウス「そうだと思う……早く、消毒……」
PC「まあ、いいんだけど……でも、なんかこう……違うのよね」
キーボード「違う?」
PC「もっと色んなことを試して欲しいっていうのかな……」
マウス「つまらないってこと?」
PC「そうは思わないけど……」
89:
―――休日
男「携帯は……」
携帯「マスター!!ここですー!!枕の下ー!!!マスター!!!」
男「コンビニに行くだけだし、いいか」
携帯「マスタぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
PC「こんにちは」
携帯「携帯電話は……携帯してくれないと……意味がないのに……」
キーボード「兄さんも大変っすね」
携帯「大事にしてくるのはありがたいけどさ。はぁ……なんというか機能には無頓着な人なんだよね」
マウス「みたいだね」
携帯「俺っちさ、自分で言うのもなんだけど高性能なんだ。だけど、マスターったらメールと電話しかしなくて」
PC「インターネットもしないわけ?」
携帯「そう。だから、ゲームとかも一切しない。おかげで俺っちのバッテリーはいつも7割以上をキープしちゃってるのさ」
マウス「なるほど……いつも持ち歩かれているの羨ましいって思ってんだけど、そんな苦労が……あるんですね」
携帯「マスター……ぐすん……」
93:
携帯「そういえばまともに話すのって初めてかも」
PC「いつもあなたは外に行っちゃうからね」
テレビ「ああ。マスターの外での様子はこいつしか知り様がないからな」
キーボード「あ、聞きたいっすね。マスターが外でどんなことをしているのか」
マウス「どんなことをしているんですか?」
携帯「マスターはバリバリの営業マンで、いつも外を歩きまくってる」
PC「へえ」
キーボード「あれ?それなら携帯兄さんってかなり活躍してるんじゃないっすか?」
携帯「いや。仕事で使う携帯電話は別にあるのさ。俺っちはあくまでも私用なんだ」
PC「その仕事用の携帯は?」
携帯「アイツはマスターの仕事場にいる。アンタ達が会うとしたら、多分マスターが間違えて持って帰ってきたときぐらいだね」
マウス「いい人、なんですか?」
携帯「いい人っていうか……まあ、マスターのことは大好きだけど、他のことには目を向けないんだ」
PC「どういうこと?」
携帯「マスターのことが好きすぎて、俺のことなんて完全に無視してきやがる。同じポケットに入ったときもだ。どうかしてるよ」
95:
テレビ「俺たちも興味、あるけどな」
掃除機「そうそう」
携帯「会ってもいいことないって」
男「―――ただいま」
マウス「おかえりー♪」
冷蔵庫「マスター、私をあけるのですかぁ!?」
男「えっと、これは夜食べるから……」
冷蔵庫「うふ♪」
男「よし。今日は掃除でもするかなー!!」
携帯「あ!!マスター!!電話ー!!着信ですよー!!!相手は―――」
男「お、こんなところにあったか。―――もしもし?」
PC「ふわぁぁ……偶には私の掃除もしてほしいわね」
キーボード「そうっすね」
マウス「うん」
男「いまから?まあ、いいけど。わかった、待ってる」
99:
男「ふんふーん」
掃除機「すうよー!!ゴミはすっちゃうんだからねー!!!」
ピンポーン
男「お、来たな。―――はーい、開いてるぞー」
友「おっす!久しぶり!」
男「急に来るって言うからびっくりしたぞ」
友「わりいな。こっちに来る用事があったから、顔でも見ようかなって」
男「そうか」
友「お!PC買ったのか。一人暮らしには欠かせないもんな」
男「まあな」
友「ちょっとやってもいいか?」
男「ああ」
友「んじゃ……」
PC「誰よ、こいつ」
携帯「古い友人。前のメモリーから名前があったし、親友だと思うよ」
101:
友「なんだよ、何もインストールしてねえのか」
男「まあ、初めから色んなソフトが入ってるから」
友「俺が色々便利なフリーソフト落としてやろうか?」
男「え?例えば?」
友「P2Pって知ってるか?」
男「いや、分かんないな」
友「あると便利だぜ?」
男「そうなのか?」
PC「ちょ!!」
キーボード「マスターが犯される……」
PC「いや、その前に私が変な虫に襲われちゃうでしょ!!」
キーボード「そういえばマスターってその辺のこと知らなさそうっすもんね」
PC「ひぃぃ……変なサイトに繋がっちゃう……」
LANケーブル「ロシアのサイトなら安心だぜ。おらおら!」
PC「やめて……変な物をとりこまないでぇぇ……」
103:
うわああああああああああ
104:
これはやばい
106:
友「―――で、こっから色んな物がダウンロードできるんだ」
男「へえ……すごいな」
友「音楽とか動画とか、ゲームなんかも取り放題だ」
男「無料で?」
友「勿論」
男「そうなんだ……」
PC「うぅ……」
キーボード「お姉さん、大丈夫っすか?」
マウス「お姉ちゃん……」
テレビ「P2Pってなんか聞いたことあるなぁ」
チューナー「ほら、前にテレビのニュースで言ってなかったかな?」
テレビ「あー!思いだした。違法ダウンロードがなんちゃらってやつか」
友「まあ、何かわかんないことがあったらまた聞いてくれ」
男「ああ」
PC「……ごほ、ごほ……」
107:
攻感染wwwwwww
111:
―――夜
友「じゃあな」
男「ああ。ありがとう」
友「いいってことよ」
PC「……」
キーボード「お姉さん?」
マウス「お姉ちゃん、どうかしたの?」
男「さてと、電源を落としとくか」
テレビ「……?」
マウス「お姉ちゃん!!私、今左下に移動したよ!!」
PC「……」
男「あれ?カーソルが動かないぞ?」
PC「………あ、ご、めん、なさい……」
男「なんだ、やたら動きが鈍いな」
キーボード「お姉さん……?」
112:
友割れ厨かよ
114:
アンチウイルスソフトを…
117:
―――深夜
男「さてと、寝るか」
蛍光灯「マスター、おやすみー」
PC「……」
キーボード「お姉さん、どうかしたんすか?」
マウス「お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!」
テレビ「……もしかしてウイルスってやつじゃ……?」
電子レンジ「なんじゃい、それは!!おいどん、横文字はにがてやさかい、わからんで!!」
キーボード「PCを壊す悪い病気のことっす」
電子レンジ「なんやと!!?PCさん、お気を確かに!!!」
チューナー「どうしたら治るの?」
掃除機「私がお役に立てるかしら?」
マウス「む、むりだよ……これはお姉ちゃんの中にあるから……」
キーボード「マスターが操作しないと……」
空気清浄機「……それって絶望的ね」
118:
電子レンジどこの生まれだよwwww
120:
―――翌日
男「さてと……今日はインターネットで……」
PC「……」
男「……?」
マウス「お姉ちゃん!!」
キーボード「お姉さん!!」
男「あれ、動かないな……どうしたんだ?」
PC「……」
テレビ「やべえ……」
掃除機「マスター!!いますぐ、私で!!」
携帯「俺っちを使って!!あの人をよんだ方がいいよ!!」
電子レンジ「温めたら治るんじゃないんけ!?」
男「……故障か?」
キーボード「マスター!!早く手を打ってください!!」
男「どうしよう……」
124:
携帯「マスター!!」
男「どうしよう……困ったな……」
冷蔵庫「氷嚢でも当ててみれば?」
電子レンジ「ええかんがえじゃのう!!おでこにぴたっとやってみりゃあええんじゃないかのお!!」
掃除機「PCのおでこってどこかな?」
男「……あ、そうだ」
携帯「そうです!俺っちっす!!」
男「―――もしもし?ちょっと今いいか?……そうか、悪い」
キーボード「どうしたんすか?」
携帯「あの人、忙しいって……」
マウス「そんな……!!」
男「会社に詳しい人は……」
キーボード「お姉さん!!生きてるっすか!?」
PC「……」
男「この人ぐらいしか……まあ、でも頼むだけ頼んでみよう……」
129:
携帯「―――ふう」
キーボード「どうだったすっか、兄さん!?」
携帯「マスターの知り合いが駆けつけてくれるみたい」
マウス「よかったぁ」
携帯「でも……意外な人だけどね」
テレビ「意外?」
DVDプレイヤー「仲良くないの?」
携帯「んー……あまりマスターとこの人が喋ってるところはみたことないかなぁ」
キーボード「職場の人なんすよね?」
携帯「うん。まあ、マスターは外回りだから仕方ないっちゃあ仕方ないけど……」
チューナー「なにかあるの?」
携帯「この人の番号は……マスターが聞いたんじゃなくて、向こうが強引に登録したんだよ」
テレビ「へえ……マスターに惚れてるのかな?」
携帯「そうなのかなぁ……?」
DVDプレイヤー「……そんな人、いたんだ」
133:
ピンポーン
男「はーい」
後輩「先輩!!!」
男「お、おう……」
後輩「どれですか!?」
男「こ、このPC……」
後輩「自分に任せてください!!先輩のために色んなアンチウイルスソフトもってきましたから!!!」
男「あ、ありがとう……」
テレビ「―――男じゃん」
DVDプレイヤー「……マスターって女の知り合いいないのかしら?」
掃除機「正直、不安になるよね」
空気清浄機「うん」
男「なんか悪いな。急に呼び出して……」
後輩「いえ!先輩のためなら構いません!!」
男(普段、会話らしい会話はしてないのに……なんでこんなに好かれてんだろう……)
134:
アッ-展開なのか!?
136:
PC「……」
キーボード「この際、ホモだろうがかまわないっすよ!!」
マウス「うん!」
テレビ「だな。この人しかPCを救えないもんな」
後輩「よし……これをいれてっと」
アンチウイルスソフト「おぉ?!なんかやらいよごれとるなー。ごっつきたないやん」
キーボード「姉貴!!お願いするっす!!」
マウス「お姉ちゃんを助けて!!」
アンチウイルスソフト「あっはっは!!うちにまかせとき!」
後輩「―――おお、結構色んなウイルスがいますね」
男「そうなのか?」
後輩「この際、全部出しちゃいますね?」
男「ああ、頼む」
後輩「よーし……」
アンチウイルスソフト「全部、こわしたるでー!!!!」
138:
     PC
    。  _|\ _
   。 O / 。  u `ー、___
   ゚  。 \ヽ / u ⌒'ヽ゛  u / ゚
   - ・。 / ; ゚(●)  u⌒ヽ i @ 。
   ,  ゚ 0 ─ { U u r-(、_, )(●) .| / 。  ,'´ ̄ ̄`',
   ゚ ,,、,r-'⌒l u //トェェェ、 ) 。゚ / o    ,! も む !
  。 ゚ r-'⌒`ー-'´ヾ,. ir- r 、//u / 。 ・゚ l ぐ ぐ l
  ヾヽ、_,,,、-、/ミ,ヽヽ/ ノ_, -イ-、\  ∠  も  j
   ー = ^?、 ̄r'´ ̄`''jヽ、  〃ヾ ゚ 。 ヽ ぐ  /
 jヽjvi、人ノl__  / / ヽ´{ミ,_   ̄`'''-ヽヾ  ` ̄ ̄
 )  も   7    / / `'='´l  ̄i'-、_,,ン ノ 。
 )  ぐ   て / /  !。 l l - ニ
 7  も  (  __ヽ、__l ___ .!。 l__l__,-=-,___
  )   ぐ   ( ,-=-, ∠ヾゞゝヽ ,-≡-,l l-=二=-,
  ^⌒~^⌒^~⌒^└==┘   ̄ ̄ ̄ ヽ==ノヽ=ノ\__/
141:
PC「―――はっ?!ここはどこ!?私は……PCか」
キーボード「お姉さん!!!」
マウス「お姉ちゃん!!大丈夫!?」
PC「う、うん。なんかあったの?」
後輩「ふう。これでもう大丈夫です!」
男「はぁ……よかった……本当に」
PC「ちょ……そんなに見つめないでよ……」
後輩「最近買ったばかりなんですよね?クラッシュすることはなさそうでしたけど、よかったですね」
男「……最近買ったから焦ったんじゃないよ」
後輩「そうなんですか?」
男「ああ」
テレビ「PC!!よかったなぁ!!」
電子レンジ「うおぉぉぉん!!!感動で今なら1900Wぐらいだせそうじゃあ!!!」
冷蔵庫「私もフロンガスが溢れちゃう!!」
掃除機「ブィィィィィン!!やったね、PCちゃん!!」
142:
フロンだと…
143:
なんで1900www
149:
男「―――はい、コーヒー」
後輩「ありがとうございます」
男「礼を言うのはこっちだ。休日に悪かったな」
後輩「いえいえ。先輩のためですから」
男「そうか」
後輩「おお、先輩のテレビってブラウン管ですか」
テレビ「まだまだ現役だぜ?(ドヤッ」
後輩「……流石ですね」
男「え……?」
PC「―――なるほど、そんなことがあったのね」
キーボード「お姉さん、もう平気っすか?」
PC「うん、ごめんね。心配かけて。あなたもありがとう」
アンチウイルスソフト「はぁ……あんた、体は新しいのになにウイルスを何十匹もためてんねん……ええかげんにしーや」
PC「私の所為じゃないわよ……」
アンチウイルスソフト「あーもう、しんど。今日は絶対にはたらかんで!!」
159:
後輩「……これ、いつのテレビですか?」
男「10年前に買った奴だな」
後輩「新しいのに買えようとは思わなかったんですか?」
男「ん……そうだな。使えなくなるまでは使いたいだろ?」
後輩「そうなんですか?」
男「携帯電話も前のが潰れなかったらきっとそのままだったと思うし」
携帯「マスター……俺っちはマスターに出会えてよかったと思ってますよ!」
テレビ「そういえば……前の携帯って仕事中に落としたんだっけ?」
DVDプレイヤー「そうそう。その時のマスターはもうすごく落ち込んじゃってて、自殺するんじゃないかって思ったもんね」
キーボード「なんか大変っすねマスターって……」
マウス「いい人だね」
PC「いい人過ぎて……辛いわね」
テレビ「……」
チューナー「テレビさん……?」
掃除機「そうだね……いつかは……きっと……」
161:
後輩「自分……先輩のそういうところ、すっげえ尊敬してます」
男「え?」
後輩「先輩、ボールペン一本も最後まで丁寧に使ってるじゃないですか」
男「ああ、まあな」
後輩「それに会社の携帯電話も先輩だけですよ、あんな古いやつを使ってるの」
男「あ、ああ。アイフォン……だっけ?あれ、よくわかんなくて。それにまだ使えるからな」
後輩「そういうところ、すごいって思ってます。だから俺、先輩のこと大好きです」
男「そ、そうか」
PC「あらやだ、告白されちゃったわよ、マスター」
キーボード「男の人じゃないっすか」
マウス「愛は性別をこえるんです」
PC「こえちゃ駄目でしょ」
後輩「あの……訊きたいんですけど」
男「ん?」
後輩「もし、このテレビや掃除機が壊れたら、先輩はどうするんですか?」
163:
テレビ「なんだとぉ!?」
DVDプレイヤー「例えばの話でしょ」
テレビ「……ちげーよ」
DVDプレイヤー「……え?」
男「そうだな……もう映らなくなった時は、捨てるしかないよな」
後輩「大丈夫、なんですか?」
男「さあな……どうなんだろ」
テレビ「マスター……」
空気清浄機「……」
掃除機「……」
PC「みんな……?」
キーボード「どうしたんすか……?」
後輩「自分、その時が少しだけ心配です」
男「ありがとう。まあでも、大丈夫だって。仕事を休んだりはしないから」
後輩「なら、いいんですけど」
166:
―――深夜
男「おやすみ」
蛍光灯「はーい」
PC「……ねえ」
テレビ「なんだよ……」
PC「もしかして……もう長くないの?」
キーボード「え……」
マウス「……!?」
テレビ「……俺だけじゃない。冷蔵庫も電子レンジも掃除機も限界を感じ始めてる」
マウス「そ、そんな……嘘ですよね……?」
冷蔵庫「私はマスターのところにきて6年だけど、中古品だったからね。もう15年前に生まれてるの」
電子レンジ「おいどんも同じぐらいじゃ。マスターがおいどんを使用するたびに、あと何回かと思っておるけぇ」
掃除機「私も段々と吸引力が衰えてきたしね」
PC「……分かるものなの?」
テレビ「ああ……なんとなくな。やっぱり消耗品だからな。弱っていくのは当然なんだ」
170:
なんか物を大事にしようって思えるSSだな。>>1はこれを本にして出版すべき。
171:
テレビ殴りまくってボコボコにしたのを後悔した
175:
空気清浄機「……」
チューナー「もう、お別れ?」
テレビ「まだ大丈夫だ……まだな」
マウス「どれくらい……なんですか?」
電子レンジ「さあのお。家電の寿命はいつも突然じゃ」
掃除機「つい一時間前まではつかえていたのに……ってことは別に珍しくないしね」
PC「……そう」
テレビ「PCだってそうだろ?」
PC「え……」
テレビ「ウイルスに感染して、突然動かなくなっちまった。今回は助かったけど、次はどうなるかわからない」
PC「……」
キーボード「お姉さん……」
テレビ「明日、壊れるかもしれない。そして壊れたら、もう俺たちは俺たちじゃなくなる。マスターはそれが分かってるんだと思う」
PC「……マスターのあんな顔、みたくないわ」
マウス「……私も……」
179:
テレビ「それに俺たちはマスターが真剣に選んでくれたから、もっと生きたいって思ってる」
PC「真剣に……?」
テレビ「ああ。マスターは機械に弱いけど、俺達のことをちゃんと考えて選んでくれた」
PC「そういえば……」
テレビ「マスターが本当に気に入ってくれたから俺たちはここにいる。値段や中身じゃない、俺たちのことを気に入ってくれたんだ」
キーボード「テレビの兄貴……」
掃除機「能力や値段を見る人が多いのは当然なんだけど、マスターはその辺緩いからね」
電子レンジ「だからおいどんは親方殿のために、最後の一滴まで力を振り絞る心構えじゃけえの!!」
冷蔵庫「私だって」
空気清浄機「うん……それはみんな一緒だと思う」
PC「そっか……」
テレビ「……PC。マスターのこと頼むな」
PC「まだ早いでしょ?」
テレビ「はは、そうか……そうだといいな」
PC「馬鹿……」
183:
―――翌日 夜
男「はぁ……疲れた……」
携帯「マスター!!マスター!!!」
PC「うるさいわね。何かあったの?」
携帯「それが……!!」
ケータイ「マスター、お電話ですわ。相手は同僚の―――」
男「ん……あ、しまった。持って帰ってきちゃったか。―――もしもし?」
テレビ「まさか、その子が?」
キーボード「仕事用の姉さんっすか?」
男「―――はあ。やっちまったな」
ケータイ「……」
携帯「お、おい!!ここでは俺っちたちが先輩だからな!!」
PC「はじめまして」
ケータイ「……」
マウス「なんか、怖い……」
184:
男「さてと……」
電子レンジ「おっしゃあ!!親方殿!!おいどんがあっつあつにしたる!!」
男「一分ぐらいでいいか」
電子レンジ「んんんんんんんん!!!!!!!」
ケータイ「……」
DVDプレイヤー「ちょっと、聞こえてるんでしょ!!なんかいいなさいよ!!」
携帯「はぁ……ほらね。無視するでしょ?」
テレビ「みたいだな……」
チューナー「……どうして、かな?」
マウス「もしもし?」
PC「なんとか言ったら?」
ケータイ「……うるさい」
PC「な、なんですって……!?」
ケータイ「うるさいって言ったの。家電のくせに、喋ってどうするの?」
携帯「お前……!!」
189:
電子レンジ「―――チン♪」
男「お、出来た」
電子レンジ「親方殿、あついけえ、気を付けた方が―――」
男「あれ?まだ温くないな。もう一回、温めるか」
電子レンジ「……そうか……すまんのお」
冷蔵庫「……!?」
キーボード「姉さん、そりゃいいすぎっすよ!?
ケータイ「なにが?」
マウス「わ、私たちにも心はあります」
ケータイ「だから?家電は家電。人間の道具。喋って仲良くして、どうなるっていうの?」
テレビ「あんた……」
ケータイ「そんなことしてマスターが何か得でもするのかしら?しないでしょ?―――だから、黙ってて」
携帯「……!!」
PC「……私たちの声は確かにマスターには届かないけど、それでも喋ることは悪いことじゃないと思う」
ケータイ「……何を馬鹿な事を。エネルギーの無駄遣いじゃないの?」
193:
PC「だって、みんながマスターのことをどう思っているのか話しあうって素敵だと思わない?」
ケータイ「……」
PC「貴女だって内心ではここにこれたこと嬉しいって思ってるんじゃないの?」
ケータイ「……何を言ってるのよ、馬鹿じゃないの」
テレビ「まだ言うか」
ケータイ「家電は人間の道具よ。使うだけ使われて、結局は捨てられるだけ。マスターのことなんてどうでもいいじゃない」
掃除機「はあ?そんなわけないじゃん」
ケータイ「どんなマスターでもそれは変わらない。使ったら捨てる。でしょ?何を想えっていうの?」
電子レンジ「んんんんんんんん!!!!!―――チン!!」
男「さてと……あれ……?」
冷蔵庫「電子レンジさん……もしかして……嘘だよね?」
電子レンジ「……熱くなれない電子レンジなぞ……生きている価値はないのお……」
冷蔵庫「……いやだよ……そんな……いきなり……」
電子レンジ「いったはずじゃぁ。家電の寿命は、いつでも突然なんじゃけえ」
男「……故障か?」
194:
ケータイ「このマスターだって……いつかは私を捨てるんだ……」
PC「そんなこと―――」
男「よっと」
PC「え……?」
キーボード「マスター?どうしたんすか?」
マウス「あわわわ……いきなり動かさないでぇ……」
男「電子レンジ……修理っと……」
PC「……?」
キーボード「どうかしたんすか!?」
電子レンジ「なんでもないわい!!」
マウス「うそ……」
PC「壊れたの、電子レンジ?」
冷蔵庫「……それは」
男「温まらない原因……部品の交換で済めばいいけど……」
携帯「マスター……」
195:
涙が出てきた
もっとPC大事にするわ
198:
テレビ「どうだ?」
ケータイ「え?」
テレビ「うちのマスターは10年以上前の電子レンジを修理に出そうとしてるぞ?」
ケータイ「……」
携帯「マスターは本当に使えなくなるまで、俺っちたちを捨てたりしない」
ケータイ「壊れたら捨てるんでしょ。同じよ」
電子レンジ「―――ええ加減にせえよ!!!」
ケータイ「……!?」
電子レンジ「壊れたら捨てる。そんなの当たり前じゃあ、ボケェ!!!」
冷蔵庫「電子レンジさん、落ち着いて!」
ケータイ「なら、マスターなんてみんな一緒じゃない!!」
電子レンジ「おんどりゃぁ、何もわかってないのぉ!!―――今の状況がどれだけ辛いか……わかるんかぁ……」
ケータイ「……ないよ」
電子レンジ「親方殿のために……働きたいのに、もう働けん……そのことが悲しい……悔しい……そう思わせてくれる御人なんじゃけえ……」
ケータイ「……」
202:
男「なるほど……温まらないのは……」
電子レンジ「おいどんも冷蔵庫も前の親方殿に途中で廃棄させられた身じゃあ」
冷蔵庫「……」
ケータイ「それがなによ?」
電子レンジ「だから、お前さんの気持ちはよーわかる。―――人間を信頼できんのじゃろ?」
ケータイ「……!?」
電子レンジ「おいどんも今の親方殿に拾ってもらった直後は、よう不機嫌になっとたわ。どうせ捨てられるなら、テキトーに仕事したれってな」
テレビ「そういえば、よく癇癪起こしてたな」
電子レンジ「でも、そのたびに親方殿は中身を見てくれて、掃除だって欠かさずしてくれとる……」
冷蔵庫「うん……私も同じ」
電子レンジ「そんな親方殿になにも感じん家電なんてありゃあせんわ!!」
ケータイ「……」
電子レンジ「おいどんは……最後まで……親方殿に仕えて幸せじゃった……そう思える」
PC「まだでしょ?何言ってるのよ」
電子レンジ「おいどんの体のことじゃけえ、おいどんが一番わかってる。―――もう、おいどんは無理じゃ」
207:
おっさんだけど年取ると涙もろくなるから注意な
209:
>>207
よう俺
210:
もうおせぇよ
211:
男「―――よし。部品を交換したらなんとかなりそうだな」
キーボード「ほら、マスターもこういってるっすよ!!」
マウス「よかったね!!またがんばれるよ!!」
冷蔵庫「……今までありがとう」
PC「ちょっと……」
電子レンジ「おいどんは15年以上前の家電じゃあ、修理なんてどこもしてくれん」
掃除機「うん」
テレビ「……そうだな。俺もそうだろうな」
PC「ま、まってよ……そんなこと……!!」
空気清浄機「昔の家電は部品がないだけじゃない。もう使っちゃいけない部品を使ってるときもあるから」
キーボード「マジッすか……」
ケータイ「なによ……なによ……みんなして自慢してるの!?」
冷蔵庫「自慢……?」
ケータイ「貴方達はそうやっていつもマスターが傍にいてくれるじゃない!!私は仕事のためだけに使われてるのよ!?マスターだってすぐに入れ替わるし……」
携帯「そうなんだ……」
215:
ケータイ「そうやって、感謝できるマスターに出会えてさぞかし嬉しいでしょうね!!」
PC「……」
ケータイ「でも、私は貴方達とは違うの……マスターなんて……」
携帯「でも、貴方はここにいる」
ケータイ「え……?」
携帯「マスターはいつでも最新機種に代えることができたのに、こうしてあなたはここにいる」
ケータイ「……それは」
PC「そうよ。どうしてそれを認めようとしないの?マスターはここで言ったわ。―――使えなくなるまでは使いたい」
ケータイ「……っ!」
キーボード「姉さん……姉さんもきっと幸せだと思うっす」
ケータイ「嘘よ……そんなの嘘……そんな人間がいるわけ……」
PC「ね、言ったでしょ?マスターのことをどう思っているのか、みんなと話し合えるって素敵じゃない?」
ケータイ「……うぅ……そんなこと……」
男「よし。明日早、修理に行こうな!」
電子レンジ「親方殿……もう……やめてくれぇ……おいどんは……」
216:
レンジ殿……
218:
―――翌日 夜
男「―――くそ」
電子レンジ「……」
PC「マスター……」
冷蔵庫「電子レンジさん……」
電子レンジ「今まで重かったじゃろ?すまんな……あんさんの上、居心地よかったわ」
冷蔵庫「うん……」
キーボード「もう、どうにもならないんすか……?」
電子レンジ「すまん……テレビ!!」
テレビ「なんだ?」
電子レンジ「先、逝くわ。―――こうしてみんなの顔を見れるのが壊れたときっていうのもなんかへんじゃのぅ」
PC「素敵よ。見れて良かった」
電子レンジ「お前さんも、別嬪やったんやの。もっと、お話したかったわ……じゃあの」
男「―――捨てるときは段ボールにいれてくださいか……ごめんな。今まで、ありがとう……」
電子レンジ「親方殿……おいどんは、親方殿に使ってもらえて家電として誇らしいけえ……感謝してもしたりんわ……ありがとう」
219:
諦めるなよレンジ…
226:
―――数日後 休日
冷蔵庫「……なんか、軽いなぁ……まだ慣れないや」
男「はぁ……」
掃除機「ゴォォォォォ!!!すっちゃうよー!!!」
テレビ「ぬへえ……」
チューナー「……ぬへえ」
PC「またやってる」
キーボード「仲良しさんっすよね」
マウス「ぬへえ」
PC「したい気持ちはわからなくもないけど……」
携帯「……そういえばまだ電子レンジ買いにいかないのかな?」
テレビ「……おい」
携帯「でも、マスターは不便そうだし……」
冷蔵庫「……そうだね……そろそろ、色々と買った方が……いいかも」
PC「冷蔵庫……?」
227:
―――数日後 夜
男「―――アイスが溶けてる」
冷蔵庫「」
男「あれ……効いてないぞ……?」
掃除機「ん……?」
空気清浄機「冷蔵庫?」
PC「どうかしたの?」
テレビ「……」
マウス「ねー?」
携帯「どうしたんだ……?」
男「プラグは差し込まれてるし……どうしたんだ?」
冷蔵庫「」
テレビ「……楽しかったぜ」
PC「……!?」
掃除機「……そろそろだったもんね」
232:
男「故障か……電子レンジに続くと困るな……直せるか調べてみようか」
PC「ちょっと……貴方達は分かってたの?」
テレビ「ああ……」
掃除機「電子レンジとほぼ同じ時期に製造されていたから、きっと逝くときは一緒ぐらいだろうなって」
キーボード「言ってくださいよ!!どうしていってくれないんすか!!」
テレビ「言っても……どうしようもないだろ」
携帯「俺っちたちの声はマスターには届かない……」
PC「そうだけど……」
テレビ「俺もそのうち……」
マウス「―――やめて!!!」
PC「……!」
マウス「やめてよぉ……そんなこというの……やめてぇ……」
テレビ「悪い」
男「―――はぁ。型が古すぎてだめか……」
男「買い換えなきゃ……これ以上働かせて、どうするんだよ……」
234:
> これ以上働かせて、どうするんだよ……
泣いた
238:
―――翌週
業者「では、失礼しました」
男「ありがとうございました」
テレビ「……新しい冷蔵庫が来たか」
掃除機「うん……」
冷蔵庫「……」
電子レンジ「……」
PC「あの……よろしく!!!」
電子レンジ「ああ」
冷蔵庫「よろしく」
キーボード「なんすか。つれないっすね」
テレビ「ああいうもんだよ、普通は。お前達の社交性のほうが異常だ」
PC「なによ、それ……酷い言い方」
テレビ「褒め言葉だ」
掃除機「それに……仲良くしても……もう……」
244:
―――数ヵ月後
テレビ「もうすぐ年が明けるな……」
PC「なんだかんだで早かったわね」
掃除機「そうねえ」
キーボード「冷蔵庫の兄貴もそう思うッスか!?」
冷蔵庫「まあ、な」
電子レンジ「お前ら、家電らしく自分の仕事に専念しとけよ」
マウス「ここじゃあ、そういうことは、通じないです」
電子レンジ「ふん。姿も見えないって言うのに」
掃除機「電子レンジさんは結構男前だよ?」
空気清浄機「へえ。いいよねえ、動ける家電は」
男「ただいま」
マウス「あ。おかえりー♪」
男「テレビでもつけるか」
テレビ「おうよ。でも今は特番ばっかりだぜ、マスター?」
246:
男「ふう……これで一息つけるな」
PC「最近、使ってくれないわね」
キーボード「まあまあ、掃除は欠かさずやってくれるじゃないっすか」
マウス「うんうん」
空気清浄機「別に大丈夫でしょ?」
PC「まあねえ」
テレビ「あ―――」
チューナー「テレビさん!?」
DVDプレイヤー「ちょっと!!なに電源を落としてるの!?」
男「あれ?どうしたんだろう……?」
テレビ「悪い悪い……ちょっと気を抜いちまった」
PC「……!?」
男「ふう、ついた。故障したかと思った」
テレビ「悪いな、マスター」
チューナー「……テレビさん?」
247:
テレビさーーーーーん
249:
うわあああやめてくれええ
250:
―――深夜
男「……すう……すう……」
PC「ねえ」
テレビ「……なんだ?」
PC「どういうこと、さっきの?」
テレビ「なんだよ」
キーボード「どっか悪いんすか?」
テレビ「大丈夫だよ」
PC「―――嘘よ」
テレビ「……」
携帯「テレビさん……気を抜いたって言いましたよね?」
マウス「私も、聞きました」
掃除機「気を抜いたら電源落ちるの?」
テレビ「……大丈夫。俺には大仕事があるんだ。それをこなすまで、くたばるつもりはない」
PC「……」
253:
―――数日後
テレビ「あ―――」
男「あ、まただ。最近多くなってきたな」
PC「……」
テレビ「悪いな。マスター」
男「ふう、でもまだ大丈夫だな」
テレビ「おう!まだまだ現役だからな(ドヤッ」
男「……」
テレビ「……っ」
男「今日はもう寝るかな」
テレビ「……」
PC「……ねえ」
テレビ「言うな」
キーボード「でも……」
テレビ「毎年、マスターは俺を見ながら年を越すんだ……それが終わるまで……頑張らせてくれよ……」
261:
―――30日
男「はぁ……明日で今年も終わりか」
PC「短かったわねえ」
キーボード「そうっすね」
男「さてと。今日はどんな動画を見ようかな……」
マウス「……最近、マスターはお姉ちゃんばっかりだね。もう二週間ぐらいテレビさん稼働してないよ?」
PC「まあ、お陰で無料動画サイトを知って―――ながいながいくだりざかを?♪」
キーボード「マスター、また同じPVみてるっすよ」
マウス「お姉ちゃんも毎回同じ歌を歌って、大変そう……」
テレビ「……マスター」
チューナー「テレビさん、大丈夫。今は少し動画サイトにマスターがはまってるだけで」
DVDプレイヤー「そうそう。そのうちあなたのことを―――」
テレビ「そんなんじゃない」
DVDプレイヤー「……え?」
掃除機「マスター……」
267:
―――31日 大晦日
男「今年も一人かぁ……さびしいな」
男「あ……そうだ。――ちょっと出かけよう」
携帯「マスター!!俺っちを忘れないで!!!」
男「よし。携帯ももったし、いくか」
PC「どこに行くのかしら……?」
掃除機「お友達と遊ぶんじゃないの?」
チューナー「マスター、テレビみないの?」
DVDプレイヤー「そんなわけないでしょ、ねえ?」
テレビ「……」
マウス「テレビさん?」
テレビ「……ん?」
キーボード「どうしたんすか?」
テレビ「ちょっと眠いだけだ……なんでもない」
PC「……そう」
268:
―――数時間後
男「ふう。ただいまっと」
携帯「……さむかった」
PC「どこに行ってたの?」
携帯「マスターの会社っす」
キーボード「なにしにっすか?」
男「こいつの大掃除を忘れてたんだよな」
マウス「あ……」
ケータイ「……」
PC「ふふ」
ケータイ「笑わないでよ」
男「手垢とかも結構溜まってるしな……よし、徹底的に綺麗にしてやる」
携帯「会社閉まってるのに無理矢理管理会社に開けさせたんだよ?大事な忘れ物があるとか言って」
掃除機「よかったね」
ケータイ「……うん」
272:
キーボード「兄貴、雪って降ってたっすか?」
携帯「うん。降ってた。それが?」
PC「外のことは知りたいの」
携帯「そうですか」
PC「テレビ……?」
テレビ「……聞こえてるよ」
PC「まだ、寝ちゃ駄目よ?」
テレビ「わかってる……大丈夫だ」
PC「なら、いいけど」
チューナー「テレビさん……」
テレビ「マスターも俺が限界だって分かってるんだ……。この前、一瞬だけすごく悲しい目をしてた」
キーボード「……」
男「―――おし」
ケータイ「……ありがとう」
男「年越しまであと六時間か……それまで動画でもみとくか」
275:
―――23時30分
男「そろそろだな」
テレビ「おお……そうか……」
PC「……」
キーボード「兄さん……」
マウス「うぅ……やだよぉ……」
男「……」
テレビ「マスター……早くつけてくれ……30分くらいなら、余裕だ……」
掃除機「……」
男「今まで、本当にありがとう」
テレビ「……え?」
男「よくがんばったな」
テレビ「マスター……?なにいってんだよ……俺は……まだ……」
男「必死に探してた。お前で年を越したかったから……でも、ブラウン管のテレビはどこも受け付けてくれなかった……もう年の瀬だってこともあったんだろうけど」
テレビ「まってくれ……おれは……まだ、うご、ける……うご……」
281:
PC「……」
テレビ「うそだろ……」
チューナー「テレビさんは……もうずっと前から……」
マウス「……え?」
キーボード「マジッすか!??そんなの全然……!?!」
掃除機「残念だけど、貴方はもう自分の状態もわからないほど衰弱してたわ」
テレビ「……はは……そうか……」
PC「……私と掃除機、あとDVDプレイヤーは気がついてた。勿論、マスターも」
テレビ「……なさけねえ……最後の最後で……マスターを裏切った……なんて……」
PC「裏切ってない」
キーボード「そうっす!!」
男「10年……いつも楽しいものを見せてくれて、本当に……」
テレビ「あはは……マスター……ごめん……ごめんよ……あぁ……うあぁぁぁ!!!!」
……ゴーン……ゴーン……
男「あ、鐘の音だ……」
282:
うああああああぁぁぁん
284:
つかなかったのか・・・・・
286:
―――正月
テレビ「」
男「家電は……来週まで無理か。しばらく一緒に居られるな」
テレビ「」
男「うれしいだろ?―――なーんてな」
テレビ「」
男「今日はなにすっかなぁ」
PC「お疲れ様」
キーボード「兄さん……今までありがとうございました!!」
マウス「うぅ……うぅ……」
DVDプレイヤー「……カッコ良かったよ?」
チューナー「テレビさん……私……どうしたら……いいの?テレビさんがいないと……なにもできないよぉ……!!」
掃除機「次は私かな?」
PC「やめて」
掃除機「……マスターのこと、見守っててあげてね?約束よ?」
290:
―――三月
PC「……みんな、もうここには慣れた?」
液晶テレビ「うっす。PC姉さんのお陰でマスターのこともよくわかりましたし、先代に負けように頑張ります!!」
掃除機「うん!僕も頑張るよ」
キーボード「春を待たずに一新しちゃったすね」
マウス「うん……」
DVDプレイヤー「……私ももう引退しないとダメね」
チューナー「……マスターは使わない家電、どうするんだろう?」
PC「……」
液晶テレビ「DVDプレイヤーさんはまだ使う気満々でしたけど……チューナーさんは……」
キーボード「どうするんすかね」
チューナー「……テレビさんと一緒に逝けばよかったかな?」
PC「そんなこと言わないでよ……」
男「―――ただいま。あがってくれ」
後輩「はーい!」
297:
空気清浄機「あ、ホモだ」
液晶テレビ「ホモ!?」
男「いいのか?」
後輩「はい」
男「物好きだな」
後輩「先輩には負けますって。――あ、でもついに液晶テレビ買ったんですね」
男「ああ、チューナーがまだ使えるからブラウン管テレビを探してみたけど、なくて」
後輩「あはは、そりゃそうですよ。―――じゃあ、このチューナーもらっていきますね」
チューナー「あ……え……?」
男「大事にしてやってくれ」
後輩「助かります。うちのばあちゃん、まだブラウン管使ってたんで。これでばあちゃんもテレビが見れます」
チューナー「マスター……!!―――ありがとう」
男「じゃあな」
PC「マスター……もしかして、ずっと貰い手を……?」
液晶テレビ「……俺、マスターのために死ぬまで全力で生きます」
302:
男「……お前らだけになったな」
PC「え……?」
男「あいつらのことを知ってるの」
キーボード「マスター……そんなことないっす!!」
マウス「うん……ちゃんと、伝えたから……みんなのこと……」
空気清浄機「そうよ……みんな、知ってるから」
男「……やっぱり、悲しいな」
掃除機「マスター?」
男「新しい物って普通は嬉しいんだろうけど……なんでかな」
PC「マスター。私は、最後まで貴方のために世界中と繋がってみせます」
キーボード「僕も……マスターのために世界中とコミュニケーションをとるっすよ」
マウス「私も……がんばる……」
男「もう少し、付き合ってくれな?」
PC「まだまだ、付き合いますよ……マスター?」
309:
―――10年後
業者「こちらですか?」
男「はい」
娘「パパ、これどっかいっちゃうの?」
男「ああ」
PC「マスター……私は幸せでした……」
男「……」
PC「あなたのことをずっと見ていられた……。いい奥さんとかわいい娘さんを見れた。家電としてこんなにも誇らしいことはありません」
男「悪いな。あまり使ってやれなくて」
PC「いいえ。お傍にいられた、それだけで……十分です……」
男「今まで……見守ってくれて……嬉しかったよ」
PC「マスター……次のPCも可愛がってあげてください……きっと……」
男「今度のPCも大切にするから、安心してくれ」
PC「ええ……マスター……お元気で―――」
323:
娘「新しいのいつくるのー?」
男「んー?来週かな?」
娘「楽しみだね」
男「そうだな」
娘「あれ、パパ、これなに?」
ディスク「……」
男「ああ、ダメダメ。それは大切なものだ」
娘「そうなの?」
男「ああ。大事なものだから触っちゃ駄目だ」
娘「わかったぁ」
ディスク「……」
男「―――君はきっと違う君なんだろうけど、それでもバックアップを残しておきたかった。ごめんな」
ディスク「…………」
男「さてと、今日はなにをするかなー」
ディスク「―――このような姿になっても、私はマスターを愛しています。……大好き」
              END
326:
おつかれさまでした
328:
____ r っ  ________ _ __
| .__ | __| |__ |____  ,____| ,! / | l´    く`ヽ ___| ̄|__   r‐―― ̄└‐――┐
| | | | | __  __ | r┐ ___| |___ r┐  / / | | /\   ヽ冫L_  _  |   | ┌─────┐ |
| |_| | _| |_| |_| |_  | | | r┐ r┐ | | | /  |   | レ'´ /  く`ヽ,__| |_| |_ !┘| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|‐┘
| r┐| |___  __|. | | | 二 二 | | |く_/l |   |  , ‐'´   ∨|__ ___| r‐、 ̄| | ̄ ̄
| |_.| |  /  ヽ  | | | |__| |__| | | |  | |  | | __    /`〉 / \      │ | |   ̄ ̄|
| | / /\ \.   | |└------┘| |  | |  | |__| |  / /  / /\ `- 、_ 丿 \| | ̄ ̄
 ̄ ̄ く_/  \ `フ |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |  | |  |____丿く / <´ / `- 、_// ノ\ `ー―--┐
    `´ `‐' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`‐'    ̄     ` `´        `ー'   `ー───-′
329:
うおおおおお!!!!
感動させるオチじゃないの!!!!
乙だGJだこの野郎!!!
330:
なんだよこのスレタイ詐欺
良SSだったおつかれ!
331:

本当に乙
33

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