カヲル「シンジ君……タバコ、止めようか?」back

カヲル「シンジ君……タバコ、止めようか?」


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1:
シンジ「僕がエヴァのパイロットを辞める事が出来たら」
カヲル「…………ごめん」
シンジ「……何で謝るのさ」
カヲル「……すまない」
シンジ「謝らないでよ、カヲル君のせいじゃないのに」
2:
シンジ「そりゃ……ブラックジョークすぎたかなとは思ってるよ」
カヲル「……うん」
シンジ「でもさ、カヲル君が謝る必要性はどこにもないわけで」
カヲル「……うん、そうだよね」
シンジ「苦笑いすら出来ずに、ブラックジョークについて行けないなら。それなら、黙っていてほしかったよ」
カヲル「……そうだね。確かに……ごめ―
シンジ「謝らないで!」
3:
カヲル「…………」
シンジ「どっちかと言うと……謝った方がいいのは僕の方だと思うし」
シンジ「……このライターもうガス切れだな」
カヲル「……はい。予備のライター」
シンジ「あ……うん、ありがとう……一本吸う?」
カヲル「いや、僕はやめておくよ」
シンジ「そう……」
4:
シンジ「あー……両切りだから、濃い煙がダイレクトに来る感じ。最ッ高!」
カヲル「……」
シンジ「あ、そうだ。カヲル君、フィルター付きの奴にする?」
カヲル「……いい」
シンジ「メンソール系は好きじゃないから持ってないけど……チョコレートの香りがする変わり種もあるよ?」
カヲル「僕は……シンジ君に、タバコを止めろって言ってるのに、吸うわけにはいかないだろう」
シンジ「さっき予備のライター取ってくれたけどね」
6:
カヲル「……そうだね」
シンジ「いや……別に、責めてる訳じゃないから……そんな深刻な顔しないでよ」
カヲル「……うん」
シンジ「……ジャンプ読む?」
カヲル「……ありがとう」
8:
シンジ「……」シュボ
カヲル「……」
シンジ「……ケホっ」
カヲル「…………」チラ
シンジ「……ウンッ……ンッ……」
カヲル「お水、飲むかい?」
シンジ「ありが……ゲフッ!」
9:
シンジ「ウェッフ!?ゲホ!」
カヲル「シンジ君!?」
シンジ「大丈夫……アスカよりはマシだから」
カヲル「せめてフィルター付きの物を……ああ、そういう問題でもないか」
シンジ「アスカって何本吸ってるんだろ……フィルター付きの銘柄で、僕より酷いむせ方、ウォエ!」
10:
アスカ「ただいまー」
マリ「おじゃましまぁす……」
シンジ「あ゛、アズガ、おがゲホォ!?」
マリ「ちょ!?わんこ君!?」
アスカ「あー、大丈夫よコネメガネ。私よりましだから」
アスカ「所で、あんたまたむせてるの?煙を肺に入れてないくせに」
シンジ「両切りだから、箱に書いてる数字よりずっとキツイから仕方が、エフン!?」
マリ「そ、そういう問題!?」
12:
カヲル「そういう問題じゃないと思うけどね……」
シンジ「アスカは、煙を肺に入れるのやめなよ。銘柄次第では口で転がすだけでも良い感じだし」
アスカ「そもそも、葉巻は肺喫煙しないし。歴史的には肺喫煙は新しい吸い方だから」
アスカ「と続けるんでしょ?もういい加減、暗記したからそらんじれるわよ」
シンジ「味覚を感じない肺に入れるって感覚がよくわからないんだけだよ」
カヲル「シンジ君、大丈夫かい?」
シンジ「……何とか。ああ、くそ。火付けたばっかりなのに、床に落としちゃった。もったいない……」
13:
アスカ「相変わらず安いタバコ吸ってるわねぇ……このコウモリ柄のタバコ、ふつう見ないわよ」
シンジ「でもコンビニにも置いてるし、一番安いし、古典的なタバコって感じがして好きなんだ。しかも安いし」
アスカ「安いって、二回言ったわよ」
シンジ「でも、大事な事でしょ?」
アスカ「そりゃね。私が一番好きなのは五百円もするからねぇ……」
シンジ「僕が吸ってるやつなら、二百円だからね。まぁそれでも、昔から吸ってる人からしたら、高くなったみたいだけど」
アスカ「タバコ税とか、ナンセンスよね。文化に税金をかけるなんて!」
14:
シンジ「でも、真昼間からやってても。飲酒より白い目で見られないのは、まだ救いかな」
シンジ「あ、アスカ。一本吸う?」
アスカ「良いわよ。両切りは吸いにくいから、咥えながら作業しにくいし」
カヲル「シンジ君……さっき思いっきりむせたのに。すぐに吸う気なのかい……?」
シンジ「もう、カヲルくんったら。僕と何年過ごしてるんだよ。ははは」
アスカ「あ、そうだ。変わり種見つけてきたわよ」
シンジ「え、どんなの?」
カヲル「……」
マリ「……大変だね」
カヲル「君もね」
15:
アスカ「えーっと、何だっけ。ウィスキー樽に寝かせた葉っぱですって」
シンジ「アスカが好きな銘柄だね。無添加タバコだっけ?」
アスカ「私がいつも吸ってるのは、無添加な上に無農薬を謳ってる物だけどね」
アスカ「ほら、これよ」
シンジ「わぁ、アズキ色のパッケージが何か怪しい」
16:
マリ「実はさぁ……」
カヲル「うん、何だい?」
マリ「一つ謝らなきゃいけいことあるの」
カヲル「……また、タバコを奢ってあげたのかい?」
マリ「……はい」
アスカ「一本どうぞ」
シンジ「いただきまーす」
アスカ「あ、その言葉マリにも言って。これ、マリの奢りだから」
17:
アスカ「あー……」
シンジ「美味しい……」
カヲル「……」
マリ「……ねぇ、姫」
アスカ「タバコなら止めないわよ」
マリ「……はい」
18:
カヲル「諦めが早すぎるよ……」
マリ「何て言えば良いのさ……そもそも、私、姫にタバコ奢ってる身なのに」
カヲル「まずはタバコを奢るのを止めようよ。君、二人で買い物に行ったら、間違いなく奢ってるよね?」
マリ「アンタだって……外出るとき、ワンコ君にお金渡されて、ついでにタバコのカートン買い頼まれても断らないじゃない」
カヲル「……そうなんだよね」
マリ「お互い、まずは喫煙の手助けを止めないと」
カヲル「止めれるかな」
マリ「自信は無いけどね」
19:
シンジ「久しぶりにいつもの奴以外を吸うと」
アスカ「うん」
シンジ「タバコの固さと燃える遅さに驚く」
アスカ「私が吸ってるのは特別よ。無添加ってことは、燃焼剤も無いし」
アスカ「この銘柄は、タバコ葉をギチギチに詰めてるのも売りの一つだから」
シンジ「へぇ……まぁぼくが吸ってるのが、安いだけあってスカスカだから燃えやすいってのあるだろうけど」
アスカ「そのせいで、私より吸う本数多いわよね」
アスカ「でもそれを差し引いても、むせる症状が私よりマシなのは不公平よ」
20:
シンジ「アスカの場合は、肺に入れるのやめたら劇的に改善すると思うな」
マリ「吸うの止めちゃったらもっと劇的に改善すると思う」
アスカ「……」
シンジ「……」
マリ「ごめん……」
カヲル「謝っちゃだめだろうに……」
21:
こんな事書いてるけど、タバコ美味しいです
シンジ「まぁ、こっちも美味しいけど」
シンジ「やっぱり、いつも吸ってるやつが一番落ち着くなぁ」
アスカ「相変わらず」
シンジ「何?」
アスカ「両切りタバコの吸い口を、トントンと叩く仕草は様になってるのに」
シンジ「……うん」
アスカ「くちびるを突っ張らせて吸うその姿は、相変わらず滑稽よね」
シンジ「ぷはぁー……仕方ないじゃない、こうしないと葉っぱが口に入るから」
アスカ「まぁ、フィルターをコンビニで買ってつけられるよりはマシか」
シンジ「コンビニで売ってるフィルターって、プラスチック製だから……ないよね」
アスカ「口当たりが最悪」
シンジ「それだったら、キセルを買ってきて、分解して吸うかな」
22:
アスカ「キセルタバコかぁ……一回やってみたいけど」
シンジ「こだわりのタバコ屋に行くと、売ってたりするけど。ちょっと二の足踏む値段だよね」
アスカ「同じ理由でジッポーライターも買わずにここまで来ちゃったわ」
シンジ「使い捨てライターよりカッコいいんだけどねぇ……あ、今吸ってたのがラス1だった」
23:
カヲル「……ちょっと、コンビニに行ってくる。小腹が空いた」
アスカ「あ、食べ物なら。さっきマリと買い物に行ったときに買ってきたわよ?」
カヲル「いや、そういう軽食の類じゃなくて」
アスカ「……」ニヤニヤ
カヲル「もっと……お弁当的な」
シンジ「アスカ……意地悪はやめなよ。カヲル君、コンビニに行くなら」
カヲル「うん……」
シンジ「このお金でタバコ買ってきて。カートン買いね」
カヲル「わかったよ……いつもの銘柄だね?」
シンジ「うん、お願いね」
マリ「…………」
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