ヤムチャ「プーアル! プロレス団体に就職したのは失敗だったぞ!」【中編】back

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体に就職したのは失敗だったぞ!」【中編】


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さくら「……ふんっ!」ドスッ
かりん「……ぐっ!」
実況「おっと! 背後から、さくら締めを仕掛けているさくらが、そのままかりんへエルボードロップ! 強烈な肘打ちを叩きつけた」
キャミィ「……えぇ」
実況「これは……このままでは、ロックを振りほどかれてしまうと思ったさくらが、上手く切り返して一歩先にいったという感じなんですかねぇ、キャミィさん?」
キャミィ「……どうなんでしょうね」
かりん「くっ……流石、さくらですわ……」
さくら「よしっ……! このまま決めてやるっす……!」
実況「さぁ、かりんは大きくダウンします! そしては、さくらはそのままコーナーへ! これはこれは……何かを狙っているんでしょうかねぇ、キャミィさん!?」
キャミィ「……そうかもしれませんね」
245:
かりん「……うぅ」
さくら「よしっ、いくっすよ……」
実況「さぁ、さくらが今コーナーポストに昇っております! こいつは、コーナーポストからのダイビング攻撃……さくら落としを狙っているんでしょうか!?」
キャミィ「……そうですね」
さくら「……」チラッ
実況「……おっと、今さくらがこちらの本部席の方を見ませんでしたかねぇ?」
キャミィ「……そうなんですか?」
実況「私、さくらと視線が合ってしまいました! ひょっとして、さくらは私の事を見ていてくれたのか!? こいつは、私、恋の予感です!」
キャミィ「……勘違いじゃないんですか?」
さくら「これで、決めてやるっす……! 次は、あんたの番っすよ……」ビシッ
実況「ほらほら、キャミィさん! さくらがこっちに指を指しているじゃありませんか!? これは、私に向かって言っているんですよ! 愛のフィニッシュ宣言っ! 愛のフィニッシュ宣言ですよ、これは!」
キャミィ「……はぁ」
246:
かりん「うぅ……負けませんわ……」ムクッ
さくら「……よし」
実況「さぁ今、かりんがゆっくりと立ち上がった! そして、さくらは狙っている……狙っているぞ……!?」
キャミィ「……はい」
かりん「うぅ、さくら……? さくらは何処に行きましたの……?」キョロキョロ
さくら「かりん、 後ろっすよ!」
かりん「……後ろ?」クルッ
さくら「これで……フィニッシュっす……! いくっすよ、さくら落とし……!」
かりん「!」
実況「さぁ、さくらがコーナーポストから跳んだぁ! 私はしっかりと目に焼きつけるぞ! その愛のさくら落としを!」
キャミィ「……」
248:
かりん「甘いですわ、烈殲破……! はぁっ……!」ヒュンッ
さくら「……何っ!?」
実況「おっと、だがしかし! コーナーポストから跳んでくるさくらに対して……かりんも高く跳んで向かっていく!」
かりん「撃ち落として差し上げますわ、このまま……はぁっ!」ガスッ
さくら「……ぐっ!」
実況「空中でお互いの身体が交差するっ! かりんはそのまま大きく弧を描くような動きの掌底をぶつけ、上からさくらをマットへと叩きつける!」
キャミィ「えぇ」
実況「ミサイル攻撃迎撃成功っ! こいつは驚きだ! かりんが下からの攻撃でさくらの身体を叩き落としたぁ!」
さくら「くっ、最後の最後で……油断したっす……」
かりん「オーホッホッホ! 何に気をとられてたかは知りませんけど……いつものキレがない攻撃でしたわね」
249:
実況「さぁさぁ、かりんが高笑い。ちなみに私、あぁいった高飛車なタイプの女性も好みであります!」
キャミィ「……はぁ」
実況「いやぁ、一度尻に敷かれてみたい! さぁさぁ、そのままかりんがさくらに近づいて……引き起こしたぁ!」
さくら「……うぅ」ヨロッ
かりん「ベルトを見るのはいいですが……先ず、目の前の相手を見るべきじゃなくて?」
さくら「……くっ!」
かりん「今日のあなたのお相手は、この私ですわよ……私だってベルトを狙っているんです……容赦はしませんわ……はぁっ!」シュッ
さくら「……ぐっ!」
実況「そして、得意の掌底を打ち込んでいくっ! かりんが復活したか!?」
キャミィ「……そうですね」
かりん「容赦はしませんわよ……! はぁっ……たぁっ……!」シュッシュッ
さくら「うぅっ……くっ……!」
251:
実況「さぁさぁ、かりんが二発三発と得意の掌底を打ち込む! これは、さくらもピンチか!?」
かりん「はぁっ……たぁっ……!」シュッ
さくら「……ううっ」ヨロッ
かりん「よし、これでフィニッシュにしてやりますわ……はぁっ!」
実況「さぁさぁ、大きくフラついているさくらを尻目に……かりんがロープへと走ったっ! これは、狙っているんでしょうかねぇ、キャミィさん?」
キャミィ「……わかりません」
かりん「とどめは……勿論、この技ですわ……!」
さくら「負けないっす……負けてたまるもんかっす……!」
かりん「いきますわっ……!神月流神扉開闢っ……!」
実況「ロープの反動をつけたかりんがやってきたっ! そして出るのか、神月流神扉開闢!」
253:
かりん「……はあぁぁっ!」
さくら「……甘いっすっ!」シュッ
かりん「……何っ!?」
実況「おっと、ここで掌底を打ち出してきたかりんの腕を……さくらが上手く掴んで防御したっ!」
さくら「絶対、負けないっすよ……たああぁぁっ!」グッ
かりん「……くっ!」
実況「そしてそのまま、さくらはかりんに体重を乗せて……グラウンドへの体勢へと持っていきます! 脇固めですかねぇ? 上手いテクニックを見せました!」
キャミィ「……そうですね」
さくら「必ず、ベルトを取ってやるっすよ……見てるがいいっす……」チラッ
かりん「くっ……くっ……」
実況「おっと、さくらがまた私の方を見たぞ!? 大丈夫だ、私は応援しているぞ! 頑張れ頑張れ!」
キャミィ「……はぁ」
254:
さくら「確か、腕をロックして……それから、フェイスロックを……」グイグイ
かりん「くっ……!」
実況「さぁ、さくらが何か仕掛けようとしていますが……フェイスロックですかねぇ? 何か、新技なのでしょうか?」
キャミィ「……さぁ?」
さくら「確か、こんな感じだったっす……! 決まったっす!」ググッ
かりん「うっ……!」
実況「おっと、これは……!? 腕を固めながらのフェイスロックですが……」
キャミィ「……えぇ」
実況「この技は、キャミィさんのCQC……キャミィ・クイック・コンビネーションの……ラストのフェイスロックではありませんかね!?」
キャミィ「……そうですね」
さくら「ベルトを取る力は……自分にだってあるっすよ……! キャミィさんに使える技なら……自分だって使えるっすよ……!」ググッ
かりん「くっ……ううっ……!」
256:
実況「なんという事だ! さくらがキャミィの必殺技を使っている! ……という事は」
キャミィ「……」
実況「今日の試合中、私は何度もさくらと目が合ったと思っていたが……私に指を指してくれて愛の告白をしてくれていたと思っていたが……」
キャミィ「……」
実況「なんという事だ、それは全て間違っていた! さくらの全ての行動は……この私の隣にいる……」
キャミィ「……」
実況「キャミィさんを意識しての行動だったかのか! さくらは今日の試合、チャンピオンベルトを持っている、キャミィさんを意識していたのか!」
キャミィ「……はぁ」
さくら「さぁさぁ、ギブアップしてもらうっすよ……そして、ベルトの挑戦権を貰うっす……!」グイグイ
かりん「くっ……! ううっ……!」
実況「私、大失恋でありますっ! だがしかし、めげないぞ、実況は続けさせていただきます! さぁさぁ、さくらが締め付ける! これで決めてしまうのかぁ!?」
257:
さくら「……はあぁぁっ!」グイグイ
かりん「……ううっ」
ダン「おい、かりん、大丈夫か!? どうすんだ、ギブすんのか!?」
かりん「ううっ……悔しいですが……ギブアップですわ……」
ダン「おいっ! タップしたぞ、ゴング鳴らせ、ゴングを! ギブアップだ!」
カンカンカーン
実況「おっと、ここでかりんがギブアップ! 試合は決着です! さくらのCQC……といっても、この技はキャミィでもコンビネーションでもありませんからねぇ……?」
キャミィ「……えぇ」
実況「変形クイックフェイスロックとでも言えばいいでしょうか? さくらの変形クイックフェイスロックで……試合は決着です!」
パチパチ……パチパチ……
実況「今、勝者の勝ち名乗りが挙げられます! 場内からは暖かい拍手だぁ!」
258:
ーーー
ヤムチャ「……いやぁ、やっぱりねぇ、さくらちゃんも格好良い試合してるねぇ」
プーアル「そうですね」
ヤムチャ「やっぱり、投げにしても間接技にしてもさ……? 何処か、華やかさがあるよね。俺と違って」
プーアル「ヤムチャ様もそのうち、出来るようになりますって!」
ヤムチャ「そうなると、いいけどねぇ……おい、プーアル? さくらちゃん、試合終わったみたいだからさ、さくらちゃんの所に遊びに行こうぜ?」
プーアル「……えっ?」
ヤムチャ「一人で試合見てるの、退屈なんだよ……ほら、試合見て勉強する時は、いつも隣にバルログさんとかケンさんがいて、わかんない所はその場で聞けてたじゃん?」
プーアル「一人って……僕が隣にいるじゃないですか」
ヤムチャ「プーアルは、本格的な事はわかんないだろ? だからさ、次の試合からは、さくらちゃんに細かい所教えてもらいながら、見ようぜ」
プーアル「まぁ、ヤムチャ様がそう言うなら……」
ヤムチャ「……何かを飲み物でも買って行ったら、気が効く男って思われるかな? おい、プーアル、飲み物も買って行こうぜ!」
プーアル「……そのコミュニケーション能力を、リュウさんとか、ケンさんとか、ブランカさんとかに使えればいいんですけどね、ヤムチャ様は」
259:
ーーー
実況「さぁさぁ、これにて第三試合は終了しました、今さくらが退場しようと……ん……?」
さくら「……次は、あんたの番っすよ」ビシッ
実況「おっと、さくらがこちらの本部席の方を指差したぁ! これは、私にへの愛の告白か!?」
キャミィ「……」
実況「……と言いたい所ですが、そうではありませんね。おそらく、さくらの狙いはこの私の隣にいる、キャミィさんでしょう!」
キャミィ「……」
さくら「よしっ、じゃあ、退場するっす! 会場の皆さ〜ん、今日は応援ありがとうっす!」
実況「これはチャンピオンに、挑戦表明……でしょうかねぇ……? さぁ、さくらは今、退場します!」
パチパチ……パチパチ……
さくら「ありがとうっす! 次も必ず勝つっす!」
サクラチャーン! ベルトトレヨー!
さくら「任せるっす! 必ず、ベルト取って見せるっす!」
265:
実況「いやぁ、実に華やかな試合でしたが……キャミィさん?」
キャミィ「……はい」
実況「やはり、チャンピオンベルトを持っているというだけで……知らず知らずのうちに敵を作ってしまっている、という事なんでしょうか?」
キャミィ「……そうなんですか?」
実況「今日のさくらは……非常にチャンピオンを意識した戦い方だったじゃありませんか? 実際、キャミィさんの目にはどう映りましたかねぇ?」
キャミィ「まぁ、ベルトに挑戦してくるのなら、挑戦は受けますし……」
実況「……ほう」
キャミィ「戦う機会があるのなら……戦います……」
実況「……ほうほう」
キャミィ「えっと、彼女は私の事を意識しているようですが……まぁ、そういった事に左右されずに……」
実況「……あの程度の挑発など、チャンピオンにとっては、どうって事ないと?」
キャミィ「はい……まぁ、そんな感じです……」
実況「なる程、こいつは頼もしい自信だ。 自分のファイトスタイルを貫けば、自ずと結果はついてくる! あの程度の挑発など、屁の河童だ! ……そういう事でよろしいですね?」
キャミィ「……はい」
266:
実況「確かに、さくらは本日のフィニッシュホールドは、キャミィさんのCQCを意識されていた様ですが……やはりキャミィさんのCQCと比べると、どうしても見劣りしてしまいますね!?」
キャミィ「……はい」
実況「次回のキャミィさんの試合では、本物のCQCを……是非、見せて下さいね。お願いしますよ!?」
キャミィ「……まぁ、機会があれば」
実況「……ついでに、私とのデートの約束なんかも、お願いしてもよろしいですかね!?」
キャミィ「……」
実況「おぉ〜っと、辛いっ! 辛いぞ、無視は辛いぞ! これは、私の心にスパイラルアローがクリティカルヒットしてしまったか!?」
キャミィ「……」
実況「おっと……なんと、ここでお時間だと!? こんな状態で第三試合の中継は、お時間となってしまったのか!? 私、ラストのラストで大失敗か、これは!?」
キャミィ「……」
実況「それではラストに、本日のゲスト解説をもう一度紹介しておきましょう! 本日のゲスト解説は、女子部のチャンピオン……」
キャミィ「……キャミィです。ありがとうございました」
実況「CMの後は……ナッシュ・ガイル組レベンジなるか!? タッグチャンピオン選手権ですっ!」
267:
ーーー
さくら「キャミィさん、お疲れ様っす!」
キャミィ「……お疲れ様でした」
かりん「ねぇ、キャミィ……? もう少し、頑張れなかったの……? こっちだって、頑張ってやってるんですから……」
キャミィ「……ごめんなさい」
さくら「まぁまぁ、かりん……キャミィさんは、マイクはあまり得意じゃないっすから……」
かりん「マイクは得意じゃないって……それでも、今ベルトを持ってるのはキャミィなんですから……もうちょっと、頑張ってもらわないと困りますわ……リングでは貴方を意識してやってるのに……」
キャミィ「……私の解説、ダメでしたか?」
さくら「まぁまぁ、二人共……ちょっと、落ち着きましょうよ……」
かりん「ダメも何も……キャミィは、何もしてないですわよ……ただ、相槌を打ってただけじゃありませんか……」
キャミィ「……ごめんなさい」
269:
ローズ「キャミィちゃん、リング上では凄く生き生きしてるのに……どうして、マイクはあんな風になっちゃうのかしら……?」
さくら「ローズさんはマイクが上手いから、そんな風に言えるっすよ……ローズさんも出てきたら、話がややこしくなるから、もう辞めませんか、この話……?」
かりん「……春麗さんが抜けて女子部はピンチですわ。だったら、ベルトを持ってる人間が盛り上げていかなきゃいけませんわよ」
さくら「……そんな事言ったって、あれは事故っすよ。キャミィさんだって、好きでベルト巻いたワケじゃないっすよ。ねぇ、キャミィさん?」
キャミィ「……はい」
ローズ「……でも、キャミィちゃんも、いつまで経ってもマイク出来ないままじゃいけないでしょ?」
かりん「そうですわ」
さくら「……まぁ、そうっすけど」
ローズ「事故だろうが、何だろうがベルトを持ったのは事実でしょ? ベルトを巻いてるんだったら、中心になって回していかなきゃいけないんじゃないの?」
かりん「……このままじゃ、春麗さんが抜けた女子部は盛り上がりませんわ」
さくら「……だからって、キャミィさんに全部押し付けるのは、良くないと思うんっすよね? 皆で頑張りましょうよ?」
270:
女子部だいぶドロドロしてんな
さくらが泥酔したくなるのもわかるわ
271:
ローズ「……キャミィちゃん、あの話受けたら?」
かりん「……あの話?」
さくら「あ〜、ダメダメ……! それは、まだ決定してないっすよ……! まだ、どうなるか、わからないっす!」
ローズ「でも、キャミィちゃんが、シャドルー軍団に入れば、苦手なマイクなんかはベガさんや、バイソンさんにして貰えるでしょ?」
かりん「……そんな話がありましたの?」
ローズ「……現状の女子部を回していくのなら、そうするしかないんじゃない? キャミィちゃんはマイク出来ないんだから」
キャミィ「……」
さくら「この少ないメンバーで、軍団抗争してどうっするすよ。女子部には、そこまで人数いないっすよ」
かりん「……でも」
さくら「……あ〜、おしまいおしまいっ! この話はおしまいっす! 次の試合で自分とキャミィさんが、絶対盛り上げるっすから……! この話はとりあえず、保留にしておくっす!」
ローズ「……でも」
かりん「……何、怒ってんのよ、さくら」
さくら「別に怒ってないっすよ……ほらほら、散った散った……この話は、保留っす! とりあえず、保留!」
ローズ「……」
かりん「……」
272:
さくら「あ〜……頭、痛いっす……」
ヤムチャ「お、おう……さくらちゃん、お疲れ様……試合、良かったよ、勉強になったわ……」
さくら「あっ、ヤムチャさん……」
ヤムチャ「ご、ごめんね……? 別に盗み聞くつもりはなかったんだけどさぁ……口論してるのが、聞こえて……出るタイミング失ってさ……そのまま……」
さくら「……嫌な所、見られちゃったすね」
ヤムチャ「女子部も大変みたいなんだね……あっ、飲み物買ってきたんだけど、さくらちゃん、飲むかな……?」
さくら「……ありがとうっす」
ヤムチャ「春麗さんが抜けて……そっちはそっちで大変みたいなんだね……?」
さくら「春麗さんの穴埋めを誰がするかって話だったんですけど……いきなりキャミィさんには、キツいっすよ……キャリアが違うんだから、同じ会場人気を求めるのは無謀っすよ……」
ヤムチャ「……シャドルー軍団に入るとか言ってたみたいだけど?」
さくら「どうせ、ベガさんの思いつきだと思うっすよ……まぁ、サガットさんに、相談してみますかねぇ……」
274:
ヤムチャ(困ったねぇ……楽しくお喋りが出来ると思って、ここに来たのに……タイミングが悪かったのかな……? これ、来ない方が良かったのかな……?)
さくら「?」
ヤムチャ「あっ、いやっ……え〜っと、え〜っと……飲みに行く……?」
さくら「あら、ヤムチャさん、どうしたんっすか……?」
ヤムチャ「いやぁ……今日は俺が、さくらちゃんの愚痴聞いてあげてもいいよ……? だから、飲みに行く……?」
プーアル「……ヤムチャ様、ここには勉強しに来たんじゃないんですか? なんで、お酒の話になるんですよ、ここで」
ヤムチャ「いいじゃねぇか、さくらちゃん、何か色々あるみたいなんだし……それに、プーアルだって結構楽しんでんじゃねぇか、あの飲み会」
さくら「そういや、今日のヤムチャの試合、良かったっすよ」
ヤムチャ「……おっ、マジで?」
さくら「ヤムチャさんが、いい試合したから……こっちも負けてられないって思ったっすよ。ヤムチャさん、何か掴みましたか?」
ヤムチャ「これ、さくらちゃんに褒められるって事は……明日は第五試合に戻れるんじゃねぇか……? 同業者に褒められるってのは、ちょっと自信になるな、これ」
プーアル「……ベジータさんや、ピッコロさんは、全く褒めてくれませんもんね」
ヤムチャ「うるせっ、プーアル! 黙ってろ!」
さくら「ヤムチャさん達は、いつも賑やかっすよね。ヤムチャさん達、見てると元気が出てくるっす」
ヤムチャ「……俺がプーアルに苛められてるだけなんだけどね」
プーアル「……違います。僕の言葉はヤムチャ様に対する愛のお説教です」
ヤムチャ「最近のプーアルには、愛が感じられない……感じられないよ……」
さくら「あはは、とりあえず着替えてくるから待ってて欲しいっす。悩んでてても仕方ないっすよね! とりあえず、飲みに行きましょうか!」
ヤムチャ「おう」
275:
数十分後ーー
ヤムチャ「いやぁ、こうして見ると……やっぱりリュウさんも、ケンさんも、格好いいなぁ……うん、リングの外から見る分には格好いい……」
さくら「そりゃ、人気ナンバースリー人っすもん。当然っすよ」
プーアル「ヤムチャ様も負けずに頑張りましょう!」
ヤムチャ「おう、任せておけや。とりあえずは第五試合に戻らねぇとな……やっぱり、この位置で試合がしてぇわ……」
さくら「ヤムチャさん、その意気っすよ!」
ヤムチャ「……あ〜、そういや、さくらちゃん、ごめんね?」
さくら「……何がっすか?」
ヤムチャ「いやぁ、飲みに行って愚痴に付き合うとか言ってたのに……こうやって、俺の勉強に付き合ってもらってさ……わからない所は教えてくれたりしてさ……」
さくら「仕方ないっすよ。だって、シャワー浴びて、着替えて出ててきたら、ヤムチャさんが食い入るように試合見てるんすもん」
ヤムチャ「……我ながら、恥ずかしい」
さくら「勉強熱心なのは、恥じる事はないっすよ? そういう事だったら、いくらでもこっちは付き合うっすよ!」
ヤムチャ「本当、ありがとね」
バイソン「ふぅ……いやぁ、今日の試合は疲れました……お疲れ様です……」
ヤムチャ「おっ、バルログさんも戻って来たみたいだな」
プーアル「バルログさん、お疲れ様です!」
さくら「お疲れ様っす!」
276:
ヤムチャ「バルログさん、試合良かったですよ!」
バルログ「……う〜ん」
ヤムチャ「……あれ、どうかしたんですか?」
バルログ「いやぁ、どうなんですかねぇ……試合自体は、そりゃいい試合は作りますよ、私は……ベガさんだっているんだし、相手はリュウ君とケン君です……」
ヤムチャ「……はぁ」
バルログ「でも、リュウ君がベガ様に勝てるかも……って、思わせるような試合……出来てましたかね……?」
さくら「……う〜ん」
バルログ「試合は出来てたけど……課題は失敗……自己分析ではそんな感じですかね……」
ヤムチャ「俺は、格好いい試合だと思いましたけどねぇ……?」
バルログ「格好いい試合を見せるのは当然ですよ。それプラス課題をクリアしなきゃ……」
ヤムチャ「……はぁ」
バルログ「そういや、ヤムチャ君の今日の試合……あれ、課題クリアしてたんじゃないですか? 良かったですよ」
ヤムチャ「おっ、また褒められたぞ」
プーアル「ヤムチャ様、調子に乗らない!」
277:
バルログ「これから、どうします? 飲みに行きます? それとも、サガット達の試合待ちます?」
ヤムチャ「なんか……今日は、皆の試合の終わる時間がバラバラっすよね……」
バルログ「……そういう日もありますよ」
ヤムチャ「どうせだったら、サガットさん達の試合が終わるの待ちましょうよ。ダンさんも連れて、皆で仲良く行きましょう」
さくら「ヤムチャさんが第五試合に戻れれば……待ち惚けの時間は減るっすよ?」クスクス
ヤムチャ「そりゃ、俺だってわかってるよ、さくらちゃん! だから、こうやって勉強してるんじゃねぇか」
バルログ「……本当、ヤムチャ君早く第五試合に戻って来て下さいね?」
ヤムチャ「後、二試合で戻ります……俺の計算ではブランカさんに勝つ試合が一試合……ダルシムさんに勝つ試合が一試合……それで、試合をリードする能力はクリアです」
プーアル「……またまた大きく出ちゃって」
バルログ「まぁ、期待してますよ。ヤムチャ君が戻れば……空手軍団とシャドルーの抗争もより盛り上げるでしょう」
ヤムチャ「うっす!」
282:
居酒屋ーー
サガット「ふむ。今日は皆の試合がバラバラだったからな……誰の試合から反省会をする? 一番最初に怒られたいのは誰だ?」
さくら「……あ〜、じゃあ、自分からいいっすか、サガットさん?」
サガット「一番手は、さくらちゃんか……まぁ、試合内容自体は良かったと思うぞ、俺は」
ヤムチャ「俺も良かったと思いますよ!」
バルログ「えぇ、良かったですよ、さくらさん」
バイソン「本部席のキャミィに向かって挑発してたよな? いい間だったと思うよ」
さくら「まぁ、キャミィさんがチャンピオンになってしまいましたからね……あぁやっていかないと……」
サガット「……ふむ」
さくら「……で、その事で相談があるんすけどね?」
サガット「ほう、どうした……?」
283:
さくら「やっぱり、キャミィさんと春麗さんじゃ、まだまだ会場人気違うじゃないですか?」
サガット「……そうだな」
さくら「それで、今春麗さんが抜けて……結構、ピンチの状況っすから、キャミィさんにシャドルー加入の話が出てるんですよ」
サガット「……ほう、ヒールターンというワケか」
さくら「そうすれば人気も上がるかもしれないし……マイク下手なキャミィさんの欠点もベガさんや、バイソンさんにカバーしてもらえそうっす……」
サガット「……その話を出したのは、ベガ様か?」
さくら「そうっす、ベガさん得意の思いつきっすよ……今の女子部の人数で、ベビーとヒールの構図を作っても、そもそも人数が足りないっすよ……」
サガット「結局、シャドルーといっても、女子部ではキャミィ一人だからな。少なくても、もう一人は欲しいが……しかし、そうなると今度はベビーの数が足りなくなるな……」
さくら「……この話、どう思うっすかねぇ?」
284:
サガット「まぁ、マイク下手な点をカバーするという意味ではいいと思う」
さくら「……はい」
サガット「キャミィがシャドルー加入すれば、堂々とバルログやバイソンがセコンドについて……キャミィの代わりにマイクアピールを出来るんだからな」
さくら「……」
サガット「春麗が戻って来た時に、絶対王者の春麗と、ヒールのキャミィ、そしてそれを出し抜こうとしている、さくらちゃん達……タッグの試合は組みにくそうだが、シングルで回すんだったら、面白い試みだと思う……」
さくら「……う〜ん」
サガット「……ただ、これは個人的な感想になるのだが」
さくら「個人的な感想でも構わないっすよ、お願いします」
サガット「今、シャドルーの戦力を増やしてしまうのは、好ましくないな……まぁ、それは俺達の努力不足なんだろうがね……」
さくら「……」
285:
サガット「折角、ヤムチャ君が加わり、リュウ・ケン・ヤムチャ君の空手軍団と……俺と、バルログとバイソンの三人……戦力が拮抗してきたのに……」
ヤムチャ「……あれ、ベガさんは?」
バルログ「ベガ様は、ホラ……どっちかと言うと、ザンギエフさんと戦う機会が多いですから……空手軍団の始末は手下の私達に任せて、自分はゆっくりとザンギエフさんの首を狙っているというワケですよ」
ヤムチャ「ほ〜う、なるほど……」
サガット「そこにキャミィが加わるとしたら、少しシャドルーの戦力が優ってしまうな……ましてや、キャミィはしばらくは女子部のチャンピオンでやっていくんだろ?」
さくら「……そうっすよね」
サガット「こっちとしては、キャミィのセコンドにバイソンやバルログを取られてしまうのも痛いな……バイソンやバルログは……俺とすれば、リュウの人気をあげる為に使いたい……」
バルログ「確かに……今日の試合は、セコンドにバイソンが欲しかったですね……その上で、リュウ達が勝ったら、結果は違ったものになったのかもしれません……」
ヤムチャ「……俺も第二試合でやってる場合じゃねぇな。 俺が早く戻らないと、またシャドルーが強くなっちまうのか」
サガット「そうだぞ? ヤムチャ君も早く戻ってきてくれよ、こっちに」
ヤムチャ「う、うっす……!」
286:
バイソン「いっそよぉ、さくらちゃんも空手軍団に加入してみるってのは、どうだ? さくらちゃんだったら、空手スタイルでも出来そうじゃねぇか?」
バルログ「……ま〜た、バイソンはそうやって場をかき乱す」
バイソン「なんでだよぉ? 空手軍団はさくらちゃんが加入で……俺達シャドルーはキャミィが加入……バランス取れてるじゃねぇか?」
ダン「おいおい、バイソン……だったら、その後の女子部はどうなっちまうんだよ……?」
バイソン「……ん?」
ダン「絶対王者の春麗と、シャドルーのキャミィと、空手軍団のさくら……かりんとローズはどう使うんだよ……これじゃあ、大したカードは組めねぇぞ?」
バイソン「あっ、そっか……」
さくら「やっぱり、女子部は女子部でなんとかやるしかないんすかねぇ……?」
サガット「なんだかんだ言ったが、春麗が抜けて女子部はピンチなんだ。 そういう状況なら、俺達も手伝うしかないさ。キャミィ本人の意思はどうなんだ?」
287:
さくら「う〜ん、キャミィさんはいきなりチャンピオンになって……その上シャドルー加入の話が出てきての、ダブルパンチっすから……」
サガット「……確かに」
さくら「まぁ、正直な話、戸惑ってるって感じですね。本人もまさか自分がチャンピオンになって、女子部を回していくのはまだ早いと何処かで感じてたと思うっす……」
バルログ「でも、事故であれ、ベルトを巻いてしまって春麗さんは離脱している状況でしょ? やっぱり、シャドルー加入じゃないとしても……何か動きを見せないといけないんじゃないんですかねぇ……?」
さくら「キャミィさんも、それはきっと理解してるっす……動こうとしてるけど、結果ついてこない……って感じっすかね?」
バイソン「まぁ、確かに昨日の試合はそんな感じがしたわ」
ヤムチャ「……チャンピオンになるって、大変なんだなぁ」
プーアル「でも、ずっと第二試合で続けるのも、大変なんじゃないですか、ヤムチャ様?」
ヤムチャ「あ〜、それも大変そうだ……ずっと、ブランカさんと戦わなきゃいけねぇんだから……」
サガット「一度、キャミィをここに連れてきてみたらどうだ? さくらちゃんだけが何とかしてあげようと考えるより、本人もこの場にいた方が話も進むだろう」
さくら「……そうっすね。じゃあ、今度は連れてきますよ」
288:
さくら「じゃあ、女子部の話は以上っす! じゃあ、改めて反省会を始めましょうか!」
ヤムチャ「さくらちゃんも大変なんだな……じゃあ、次は俺がいっていいっすか!?」
サガット「おっ、ヤムチャ君か……と、いっても今日の試合は良かったと、思うぞ……まぁ、先ずは自己分析から聞こうか……」
バルログ「ヤムチャ君の自己分析……楽しみですね……」
ダン「とんでもなくズレた事、言うんじゃねぇか、こいつはよぉ?」
ヤムチャ「そんなにズレた事は言いませんよ、ダンさん……先ず、自己分析では、今日の試合は結構リード出来てたんじゃないかとは思ってるんですけど……そこは、どうでしたか?」
サガット「おう、それは出来てたぞ。ヤムチャ君が試合をリードしてたな」
バルログ「……というか、ヤムチャ君、ああいうゆったりとした攻防も出来るんですねぇ? ダルシムさんとは、そんなに打ち合わせの時間なかったでしょ?」
バイソン「ダルシムさんに合わせてやったのか? 初顔合わせなのに、よく出来たじゃねぇか」
ヤムチャ「あ〜、それはダルシムさんにゆったりした試合を作ってって言われてたんですよ……変な嘘つかれて……打撃攻撃、封印されちまいましたよ……」
サガット「……という事は、ぶっつけ本番であの試合を作ったのか。ヤムチャ君は、本当に才能があるな。凄いじゃないか」
プーアル「サガットさん、ヤムチャ様はそういう事言うと、すぐに調子に乗っちゃうタイプですから、言わないで下さい」
ヤムチャ「……プーアル、冷てぇなオイっ!」
プーアル「……だって、本当の事でしょ?」
289:
ヤムチャ「でも、まぁ、なんだかんだで反省点はありますよ? サガットさん、俺、調子に乗ってません。大丈夫です」
サガット「ほ〜う……では、その反省点を聞かせてもらおうか……」
ヤムチャ「あのねぇ……俺、試合が始まった時は、ダルシムさんに注文されてたから、ゆったりとした試合を……って思って、間をとって攻撃をしてたんですよ」
バルログ「あぁ、そういえば、色々とアピールしてたりしてましたねぇ?」
バイソン「あのハンドスプリングは良かったぜ! あれ、第五試合でやればウケると思うぜ!?」
ヤムチャ「でもねぇ……試合の終盤になったら……そういうゆったりとした試合を作ろうって感覚は、完全になくなってたんですよ……」
サガット「……ほう」
ヤムチャ「ダルシムさんが、大歓声を貰って……俺が勝つ瞬間には、それ以上の歓声を貰わなきゃいけないって思って……ラストの攻防は、めちゃくちゃ焦ってたんですよ」
ダン「俺は、焦ってたわりには、自分の持てる技を使って、コンパクトに纏めて、いい決め方だったと思うぜ?」
ヤムチャ「狼牙風風拳は出さなかったけど……自分の技は全て出しました……それでも、ダルシムさんにはお客さんの声援で勝つ事は出来なかった……」
サガット「……ふむ」
ヤムチャ「あれ、ラストにコブラツイスト駄目押しで仕掛けるべきか? って、思ったんですけど、コブラツイストをした方が良かったですかねぇ?」
290:
サガット「う〜ん……まぁ、あれはあれで完成だな……」
ダン「そうだな。あそこでコブラツイストを仕掛けるのは、蛇足だわ」
ヤムチャ「あっ、あれは仕掛けなくて正解だったのか……」
ダン「なぁ、サガット……? そろそろ、こいつに新技教えてやってもいいんじゃねぇの?」
ヤムチャ「……ん?」
ダン「ボディスラムとバックドロップはモノになってきたじゃねぇか。なんか、ドカンと一発……会場が湧くような、投げがあってもいいんじゃねぇか?」
ヤムチャ「……やっぱり、技の少なさが原因だったんですか?」
サガット「ヤムチャ君が、表現したい事を表現する為の道具……技の数が、足りなくなってきたみたいだな。正直、今日の試合を見て、それは感じたよ」
ヤムチャ「……ほう」
サガット「今日、ヤムチャ君は、見よう見まねで相手をロープに振っていたな? それをカウンターする攻撃があってもいい。そうすれば、もっと会場を沸かせる事が出来るだろう」
ヤムチャ「……おっ、新技教えてくれるんですか?」
サガット「そうだな。どうせだったら、投げ技にするか。ボディスラムとバックドロップは出来るようになったんだし、これを機会に会場を沸かせれる、投げ技を教えるとしよう」
ヤムチャ「よっしゃっ! 今度は、格好いいのお願いしますよ!」
サガット「明日、道場で教えるとしよう……まぁ、楽しみにしておいてくれ……」
ヤムチャ「うっす!」
293:
ヤムチャ「実感はあまりねぇけど……俺、結構成長してるんだな……自分でもビックリだわ……」
サガット「まぁ、その意気で早い所、第五試合に戻ってくれ。ヤムチャ君がいないと、こっちの抗争も盛り上げるのが辛いからな」
ヤムチャ「……俺が、空手軍団に戻って強くなれば、女子部の事助ける余裕って生まれますかね?」
サガット「……ぬ?」
さくら「……えっ?」
ヤムチャ「俺とケンさんで、サガットさんとバルログさん相手に出来るようになって……リュウさんは、ザンギエフさんとベガさんとベルトの取り合いをして……」
サガット「……」
ヤムチャ「……そしたら、バイソンさんがキャミィさんのセコンドについて、女子部の辛い状況を助ける事が出来ますよね?」
サガット「まぁ、そうなる事がこの団体の理想かも知れないが……あまり焦るな、ヤムチャ君……」
さくら「気持ちだけ、ありがたく受け取っておくっすよ」
ヤムチャ「……えっ?」
294:
サガット「いくらなんでも数日でそんな状況にはならんよ。例え、ヤムチャ君にどんな才能があったとしてもな」
ヤムチャ「……」
サガット「ヤムチャ君が、そこまでエース格になるより……間違いなく春麗の復帰が先だよ。春麗の離脱は一ヶ月程度なんだからな」
ヤムチャ「……はぁ」
サガット「今日のヤムチャ君の反省点は、長期的なスパンで解決していくべきもの……女子部の問題は、春麗復帰までの一ヶ月間をどうするかという問題だ」
ヤムチャ「……いい発想だと思ったんですけどね」
さくら「発想は間違ってないっすよ! 人気レスラーが増えたら、その分、他に人員を回せるっすからね」
サガット「まぁ、焦らずいこう、ヤムチャ君……先ずは、第五試合に戻る事を考えないとな……」
ヤムチャ「……そうっすね」
サガット「よし、じゃあヤムチャ君の反省点はこんなモノかな……? じゃあ、次は誰がいく?」
バルログ「じゃあ、私が言ってもいいですか?」
サガット「よし、じゃあ次はバルログの試合だ。先ずは自己分析を聞かせてもらおうか」
ヤムチャ(難しいね、プロレスって……)
296:
翌日ーー
ヤムチャ「ふんっ……ふんっ……! あっ、バルログさん、背中押してもらってもいいっすか……?」ググッ
バルログ「は〜い、じゃあ背中押しますね。いきますよ〜」
バイソン「ヤムチャ君、今日はえらく気合が入ってるな……どうしたんだ……?」
ヤムチャ「あだだだだ……新技教えて貰えるのに……下手したら、第二試合で早い時間にやる可能性もあるでしょ……? だから、今日は早めに来たんですよ……」
バルログ「ふむ、いい心掛けですね。感心します」
バイソン「なるほどねぇ……ヤムチャ君も、いい顔になってきたじゃねぇか……」
ヤムチャ「そうっすか……? あだだだだ……身体も、もっと柔らかくしなきゃなぁ、これ……」
サガット「よし、そろそろ身体も温まってきたんじゃないかな? それでは、練習始めようか!」
ヤムチャ「うっす!」
306:
サガット「今回、ヤムチャ君に覚えてもらう技は『スパインバスター』だ」
ヤムチャ「おっ、今回は格好いい名前ですね。どんな技なんですか?」
サガット「まぁ、口で説明するより、実際に見てもらった方が早いだろう。じゃあ、バイソン……今日も頼むぞ」
バイソン「えぇ〜? 俺、その技受けたくねぇよ……」
バルログ「……バイソン、何言ってるんですか? ヤムチャ君の成長の為なんですから、技ぐらい受けて下さいよ」
バイソン「嫌だよ〜、いくら俺でもアレは恥ずかしいもん……今回はバルログが受けてくれよ……」
バルログ「私だって、嫌ですよ……! どうせ、バイソン茶化すんでしょ……?」
サガット「……おいおい、何をしているんだ。早くしてくれよ」
ヤムチャ「アレ……これって、ひょっとして変な技なんですか……?」
サガット「変な技ではない。全く……バルログとバイソンは何を考えてるんだか……」
バイソン「じゃあ、公平にどっちが技受けるか、じゃんけんで決めようぜ! バルログ!」
バルログ「じゃんけんですか……仕方ないですねぇ……」
307:
バイソン「じゃんけん……グーっ……!」
バルログ「じゃんけん……チョキっ……!」
バイソン「よっしゃっ!」
バルログ「……ゲッ!?」
サガット「技を受けるのはバルログのようだな……よし、じゃあ早リングに上がってもらおうか……」
バルログ「い、いやっ……ちょっと待って下さいよ……! これって、三回勝負でしょ、三回勝負ですよね?」
バイソン「バルログ、男らしくねぇぞ? 負けたんだから、とっとと技を受けちまえ」ニヤニヤ
バルログ「バイソンは後出ししましたよね……絶対、後出しですよ!」
サガット「何をゴネてるんだ、バルログ……時間がなくなってしまうぞ、早くしろ……」
バイソン「そうだぞ、そうだぞ! 試合が始まっちまうぞ、早くしろよ」
バルログ「……も〜う、バイソン茶化さないで下さいね?」
308:
サガット「では、始めるぞ……この技は、立っている相手の正面で、身体を屈めて……」ググッ
ヤムチャ「ふむふむ」
サガット「そして、相手の両太腿を下から抱え……自分の身体を、伸ばして持ち上げるっ……!」グイッ
バルログ「……うおっと」
ヤムチャ「ふむふむ」
バイソン「まぁ、平たく言えば、駅弁の要領で相手を持ち上げるって訳だな! 今、サガットはバルログに駅弁を仕掛けているというワケだ!」
ヤムチャ「え、駅弁……?」
サガット「……おい、バイソン!」
バルログ「ほら、すぐそうやって、茶化す……! だから、嫌だったんですよ、私は!」
バイソン「そして、そのまま前に倒れこんで、相手の背中をマットに叩きつけるワケだな! 倒れ込む瞬間に『駅弁は疲れたから、正常位にしようか?』なんて、耳元で優しく言う事がポイントだ!」
サガット「……バイソン、いい加減にしろっ!」
バルログ「本気で怒りますよ!?」
バイソン「まぁまぁ、ヤムチャ君にわかりやすく説明してやってるんだからよぉ……とりあえず、最後まで技仕掛けろよ?」
ヤムチャ「……おいおい、バイソンさんのせいで、サガットさんがバルログさんに駅弁仕掛けてるようにしか見えなくなっちまったぞ。どうすんだよ、コレ」
310:
サガット「まぁ、とりあえず……最後までやるか……うおおぉぉっ……!」
バルログ「……ぐっ!」ドシーンッ
バイソン「……とまぁ、これがまぁ『駅弁バスター』だ! わかったかい、ヤムチャ君?」
ヤムチャ「なる程……確かに駅弁から、正常位に持っていきましたね……」
サガット「……スパインバスターだ。バイソン、変な名前を教えるな」
バルログ「ヤムチャ君が、変な覚え方をしてしまったではないですか!?」
バイソン「俺はわかりやすく説明してやっただけじゃねぇか! バルログをイジってやろうなんて気持ちはそうそうないぜ、ホントにホントに」ニヤニヤ
バルログ「……バイソン、覚えてなさいよ」
ヤムチャ「ねぇねぇ……サガットさん、サガットさん……」
サガット「……どうした?」
ヤムチャ「この技……格好良くないっす……俺、違う技がいいです……チェンジ出来ませんかねぇ……?」
バイソン「は〜いっ! ヤムチャ君から、チェンジ頂きましたぁ〜!」
312:
サガット「まぁまぁ、ヤムチャ君……言いたい事はわかる……バイソンの茶々のせいで、変な風に見えてしまうのはわかる……」
ヤムチャ「……でしょ? もう俺、変な目でしか見れませんよ、その技」
サガット「これは、わかりやすく説明する為に、丁寧にかけすぎたから、こうなってしまったんだ……こんな駅弁みたいな持ち上げ方は、本来行わない技だ……」
バルログ「ねぇねぇ、サガット……? そういう例えをするの、もうやめませんか?」
サガット「ガッツリ持ち上げるから、駅弁のように見える……この技は、こういった抱え上げ方をするだけで、見栄えを良くする為には……いかに、素早く、荒々しく仕掛けれるかがポイントだ」
ヤムチャ「……ほう」
サガット「昨日はロープから返ってきた相手に仕掛ける、カウンター技を教えると言っただろう? 次はそういった仕掛け方をしてみようか?」
バイソン「もう一回ぐらい丁寧なお手本見せておいた方が、いいんじゃねぇの? ヤムチャ君は、まだわかってねぇんじゃねぇかな?」
ヤムチャ「いやいや、バイソンさん……もうわかりましたよ……格好いいやり方があるなら、俺もそっちが見たいです」
サガット「では、バルログ……次はロープに振るぞ? 今度は普通のヤツだ……恥ずかしい事は何もない」
バルログ「……最初からこっちで教えればよかったんじゃないですかねぇ? まぁ、とりあえずやりましょうか?」
313:
サガット「……うおおぉぉっ!」ダダッ
バルログ「……ヒョオオオオっ!」ダダッ
ヤムチャ「サガットさんと、バルログさんが、お互いロープの反動をつけて、走りこんで来て……」
サガット「……フンっ!」グイッ
バルログ「……ぬっ?」
サガット「……うおおぉぉっ!」ドスッ
バルログ「……ぐっ!」
ヤムチャ「なぁ〜る程……走り込んだ勢いのまま、相手を持ち上げて、そのまま落とすのか……これはさっきのとは全然違うわ」
サガット「……とまぁ、こんな感じだ。さっきのとは、全然違うだろ?」
ヤムチャ「確かに……今回のは、どっちかというと、タックルと投げの複合技みたいな感じに見えました」
314:
サガット「結構、ヤムチャ君はボディスラムとバックドロップを綺麗に見せるのに、苦労していたみたいだからな。今回は逆に綺麗に見せなくてもいい、ラフな技をチョイスしてみたというワケだ」
ヤムチャ「……なる程。確かに、今のはバルログさんの事、ほとんど持ち上げてませんでしたもんねぇ」
サガット「高く持ち上げる事より、スピードを優先した方がいいかもしれないな……だが、スピードが上がるという事は、手順を素早く行わなくてならない。相手を怪我させないように、気をつけてくれよ?」
ヤムチャ「あ〜、確かに……下手したら、走り込んだ勢いのまま……相手の身体に全体重乗せる事になっちゃいますもんねぇ……」
サガット「とりあえず、最初はゆっくりからでいい……では、バルログ……今回は頼むぞ?」
バルログ「ヤムチャ君……早めに習得しないと、お互いバイソンに弄られて大怪我してしまうので……頑張りましょうね!?」
バイソン「何、言ってんだよ! 優しいバイソンちゃんが、弄ったりするワケねけじゃねか!?」ニヤニヤ
ヤムチャ「う、うわぁ……あの人、弄る気満々だよ……困ったねぇ……」
バルログ「サガットの仕掛けたのを見て、イメージ出来てたじゃないですか。タックルと投げ技の複合技……そういったイメージで仕掛ければいいんですよ」
ヤムチャ「……なる程」
サガット「よし、では始めろ! 試合表が発表される前にマスター出来れば、儲け物だ!」
315:
ーーー
ヤムチャ「……うるあっ!」グイッ
バルログ「……ぬっ?」
ヤムチャ「……らぁっ!」ドスッ
バルログ「……ぐっ!」
サガット「うむ、今回は覚えが早いな……なかなか見栄えもいい……」
バイソン「こんな見栄えじゃ、弄れねぇじゃねぇか。いい事だけども……ちょっと、つまんねぇなぁ……」
バルログ「……あのねぇ、バイソン」
ヤムチャ「……バイソンさん」
バイソン「冗談だよ、冗談! 本気にするなって!」
サガット「今回は早かったな、流石ヤムチャ君だ。どうやら、スパインバスターは物に出来たようだ!」
ヤムチャ「おっ、やったじゃねぇか。今回は、確かに早かったな! ラフな技は俺に向いてるのかもしれませんね」
316:
ヤムチャ「これで、今日の試合で出来る事が増えましたけど……試合表の発表はまだですかねぇ? プーアル遅ぇな……」
サガット「もう少し、時間がかかるんじゃないか? 思ってたより、ヤムチャ君の覚えが早かったからな」
ヤムチャ「朝早くから、皆さんにも付き合ってもらったのに……なんか、ごめんなさいね……?」
サガット「こういう事なら、俺達はいくらでも付き合うさ。そうだな……時間も余った事だし……ついでに応用技なんかも、覚えてみるというのはどうだ?」
ヤムチャ「……応用技?」
サガット「あぁ、スパインバスターには、まだまだ使い方はある。もっと工夫したら、もっと派手なスパインバスターを作る事が出来るぞ?」
ヤムチャ「なんだか、面白そうな話ですねぇ。 そういう事だったら、付き合ってもらってもいいですか?」
サガット「よし、じゃあ早、手本を見せるか。バルログ、もう一度付き合ってくれ」
バルログ「わかりました。もうバイソンに弄られる事はないでしょうし……喜んでお付き合いしますよ」
バイソン「あっ、その言い方、酷いなバルログ君! それじゃあ、まるで俺が茶々入ればかりしてるみたいに聞こえねぇか!?」
ヤムチャ「……実際、そうじゃないですか」
バイソン「ガハハ! ヤムチャ君、これまた御冗談を!」
317:
サガット「今度は相手を持ち上げて叩きつける時に……自分の足を開脚して、自らも尻持ちをつく形で、ジャンプして相手落とすんだ」
ヤムチャ「ほうほう」
サガット「押し倒すのではなく……持ち上げて落とす……そういった形の方がいいな」
バイソン「あんまり、ガッツリ持ち上げると、また俺に弄られる事になるから、気をつけろよ!?」
サガット「まぁ、とりあえずやってみようか……よし、じゃあバルログ、いくぞ?」
バルログ「じゃあ、私がロープに走りますんで……サガットはその位置で待ってて下さい」
サガット「そうだな。この技は待機していた方がやりやすい。バルログ、頼むぞ」
バルログ「では、行きますよ……? ヒョオオオオっ……!」ダダッ
320:
バルログ「……ヒョオオオオっ!」
サガット「甘いっ……! フンっ!」グイッ
バルログ「……何っ!?」
サガット「うおおぉぉっ……!」ピョンッ
バルログ「……ぐっ!」ドシーンッ
ヤムチャ「……ほうほう」
サガット「とまぁ、こうなるワケだ……さっきのは、タックルとの複合技みたいなイメージだったが……今回は、純粋な投げ技のイメージに見えるだろう?」
ヤムチャ「確かに、そうっすね」
サガット「そして今の、この俺とバルログの体勢を見てくれ……」
ヤムチャ「えっ……? サガットさんが、尻持ちをついてて……バルログさんが仰向けに寝てますけど……?」
サガット「バルログの両肩がマットについている状態で……俺は、バルログの足にしか触れていないが、それでも身体の一部分を押さえ込んでいる……」
ヤムチャ「……ふむ」
サガット「これは、フォールをとって貰える体勢だ。この体勢維持し続けていれば、ダンさんがカウントをとってくれる」
324:
サガット「これは『スパイン・ボム』という技だな。投げ技とフォールの複合技だ。フィニッシュホールドにもなるぞ?」
ヤムチャ「あっ、俺、丁度前の試合でフィニッシュホールドどうしようか、迷ってたんですよ」
サガット「中盤にこの技を仕掛けて、相手にカウントツーで返されてしまう……そんな攻防も作る事が出来るな」
ヤムチャ「その技で仕留めきれなかったから……狼牙風風拳で確実にとどめを刺すって、事ですね」
サガット「第二試合でやる時なら、この技をフィニッシュホールドにしてもいいが……第五試合、俺達とやる時にはそういう使い方をして欲しいな」
ヤムチャ「そうか……フォールを仕掛けて返されたら、仕切り直しみたいな感じになりますし……そういうやり取りも必要ですね」
サガット「そうだな。相手に返してもらって仕切り直す為だけに、フォールを仕掛ける……フォールもある意味、また技だ」
ヤムチャ「なる程ねぇ……今度からはそういう事もしていかねぇとなぁ……」
バルログ「……あの〜?」
サガット「……ん?」
バルログ「……私はいつまで、この体勢で?」
サガット「おっと、悪かった悪かった……よし、じゃあヤムチャ君にも、覚えてもらおうか」
ヤムチャ「うっす!」
329:
乙!
スパインバスターの参考動画どうぞ。
http://youtu.be/Lu_xGdAVmII
http://youtu.be/RjXYm6PU3qw
345:
今日はここまで
>>329
補足ありがとね
ヤムチャがボディスラム出来てなかったてのは、こういう同じ投げでも全然印象が違うって事が言いたかったんだけど
本当に文章だけで表現は難しいね それでも付き合ってくれてる皆に感謝です
333:
ーーー
ヤムチャ「……オラァっ!」グイッ
バルログ「……うっ!」
ヤムチャ「うおおぉぉっ……! うるあぁっ!」ピョン
バルログ「……ぐわあぁぁっ!」ドシーンッ
サガット「よしっ、いい感じだ! これなら試合中に使っても大丈夫だろう」
ヤムチャ「よっしゃっ! スパイン・ボムも何とかモノに出来ましたね!」
サガット「スパインボムはスパインバスターからの派生技だからな。例えば、2回ずつ撃とうと考えたら……計、4回相手ロープに振る必要がある。 この技には投げる前の行動があるんだ。多様するのは禁物だぞ?」
ヤムチャ「なぁ〜る程……ロープにばっかり振ってるんじゃねぇ、なんて言われちゃいますね……」
サガット「ロープに振らなくても、格好良く見せれる投げ方……別の仕掛け方なんかもあってもいいかもしれないな」
ヤムチャ「なる程ね……じゃあ、何か考えてみましょうかねぇ……?」
プーアル「皆さ〜ん! ザンギエフさんから今日の試合予定表貰ってきましたよ〜!」
サガット「おっ、試合予定表が出来たみたいだな。プーアル君、いつもありがとう。では、別の仕掛け方は宿題にでもさせてもらおうかな……」
ヤムチャ「うわっ、宿題出ちまったよ……まぁ、何か考えてみますね。 じゃあ、早今日の予定表を見てみるか……どれどれっと……」
334:
本日の予定試合
第一試合(10分決着)
◯ガイ ー E本田 ×
第二試合(10分決着)
ダルシム ー ブランカ
◯ヤムチャ ディージェイ×
第三試合(20分決着)
×さくら ー キャミィ◯
第四試合(20分決着)
×バイソン ー ガイル
サガット ナッシュ◯
第五試合(20分決着)
◯ケン ー バルログ×
第六試合(25分決着)
×リュウ ー ザンギエフ◯
336:
ヤムチャ「……ちくしょう、ま〜た第二試合かよ」
プーアル「まぁまぁ、ヤムチャ様」
ヤムチャ「なんで、ダルシムさんとタッグなんだよ、昨日戦った人間が……どうして今日は仲間になってるんだよ……」
プーアル「……まぁまぁ」
ヤムチャ「だったら、ケンさんとタッグ組ませてくれよ……ケンさん、今日一人でやってるじゃねぇか。俺とケンさんのタッグと、バルログさんとベガさんのタッグでいいじゃん。俺、それだったら負けてもいいぜ?」
バイソン「ガハハ! ついに、ヤムチャ君もブックに口出すようになったか、成長したじゃねぇか!」
ヤムチャ「……成長してないっすよ。成長してないから、第二試合なんでしょうが」
バルログ「ヤムチャ君……ここが第五試合に戻る山場ですよ……?」
ヤムチャ「……ん?」
サガット「上手くいけば……最短で後、二試合でヤムチャ君は、第五試合に戻れるだろう……ヤムチャ君は評価されてるよ。間違いなくな……」
ヤムチャ「……それって、どういう事ですか?」
337:
サガット「ヤムチャ君はジミーさん……ダルシムさん……そして今日は、タッグだがディージェイと対戦相手が変わっているだろう? 」
ヤムチャ「そうっすね。ディージェイって人とは、初めてですね」
サガット「人それぞれ、ファイトスタイルにも違いがある……今は、色んな人に合わせる戦い方を覚えてもらおうという事なんだろう……」
ヤムチャ「……この、ディージェイさんってのも、ベテランの方なんですか?」
サガット「どうだったかな…… 入団して、半年ぐらいじゃないかな? 若手だよ、ヤムチャ君と同じな……」
ヤムチャ「ちょっと待って下さいよ……それって、俺も半年間第二試合から抜け出せないって可能性もあるんじゃ……」
サガット「いや、このディージェイは……特別だ……」
バルログ「う〜ん、ディージェイ君はねぇ……どうなんでしょ……」
バイソン「まぁ、とにかく、おっかねぇ奴だから……今日の試合、ヤムチャ君、頑張れよ!」
338:
サガット「今までヤムチャ君は、試合慣れしていた俺達や……ベテランのジミーさんとの試合だっただろ? それがディージェイの場合なら……試合慣れしてない人間同士の戦いになるというわけだな……」
ヤムチャ「あっ、なる程……そう言われると、確かに一つステップアップしてますね」
サガット「今日のジミーさんとダルシムさんは……その二人のフォローの為に、互いの陣営についているというわけだ……あの二人は上手いからな……」
ヤムチャ「確かに……悔しいけど、それは認めざるを得ませんね……」
サガット「今日の一試合を上手くこなせれば……次にディージェイ君とシングルでやる機会が来るだろう……そこで、結果を出せれば、きっと第五試合だろう」
ヤムチャ「なんだよ、なんだよゴールが見えて来たじゃねぇか! 今日の試合は、俺の勝ちだし……だったらさっきの覚えたスパインボムで決めてみるかねぇ? 今日の課題はそれだ!」
サガット「まぁ、頑張ってくれ。ヤムチャ君が戻って来てくれないとこっちも辛いからな」
バルログ「そうですよ。今日の試合はケンとのシングルですか……私の昨日の試合評価されてたんですかねぇ……? これ、どうしましょ……?」
バイソン「……やっぱり、仮面つけていくしかねぇんじゃねぇの?」
バルログ「まぁ……そうですよねぇ……」
サガット「……バルログ、ボヤくな。チャンスと捉えろ、チャンスとな」
バルログ「いやいや、まぁまぁ……それは私だってわかってますよ……?」
ヤムチャ(あれ……? これって、俺が第二試合にいるせいで、ちょっと影響出たりしてるのかな……?)
339:
ダルシム「……ナマステ」
サガット「おっ、ダルシムさんか……ナマステ……」
バルログ「おはようございます。ナマステ……」
バイソン「なますて!」
ヤムチャ「ナ、ナマステ……何か、この挨拶慣れねぇな……」
ダルシム「では、今日も……ヤムチャ君の事を借りていくよ……?」
サガット「はい、ダルシムさん、ヤムチャ君の事、よろしくお願いします」
ダルシム「私は、何もするつもりはないよ……私の力を借りているようでは……そちらに戻るのはまだまだだろう……?」
サガット「まぁ、そうかも知れませんね……」
ダルシム「では、ヤムチャ君……そろそろ行こうか……今日の試合、頑張ってくれよ……?」
ヤムチャ「……うっす! 頑張って、第五試合に戻ってやりますよ!」
サガット「気を抜くなよ、ヤムチャ君……頑張れよ!」
340:
ーーー
ダルシム「さて……試合内容の打ち合わせだが……」
ヤムチャ「あれ……? ブランカさんと、ディージェイさんって人は……?」キョロキョロ
ダルシム「あの二人は、別室だ……下手に四人揃うと話が縺れてしまいそうだからな……ブランカ君は、ディージェイ君に付きっ切りだよ」
ヤムチャ「……はぁ」
ダルシム「まぁ、ヤムチャ君に必要なのは、アドリブ能力だ……二人と打ち合わせる必要はないだろう……」
ヤムチャ「まぁ、そうっすけど……」
ダルシム「では、今日の試合だが……先ず、ヤムチャ君に一つ、注文をしたい……」
ヤムチャ「また、打撃攻撃封印とかですか? もう、その手には乗りませんよ。俺、投げ技の新技覚えたんだから、それ封印されちゃたまったモンじゃないっすよ!」
ダルシム「ハハハ、随分と根に持っているみたいだな。もう、そんな嘘じゃないよ。今日の注文は簡単な事だ」
ヤムチャ「まぁ、話聞いてから……受けるかどうかは決めますよ。それで、注文って何ですか?」
341:
ダルシム「今日の試合……絶対に、怒ったり、キレたり、途中で投げ出したり……そういう事だけは、しないで欲しい。それが私の注文だ」
ヤムチャ「って事は……また、ブランカさんが何か仕掛けてくるんですね……?」
ダルシム「いや、違う。今日の試合は、先ず私がブランカ君と戦い……そして、同時かもしくはそれに近い形で、ヤムチャ君と、ディージェイ君に交代する」
ヤムチャ「……あれ、ブランカさんとは戦わなくていいんですか?」
ダルシム「ヤムチャ君は、ディージェイ君と5分間、戦ってもらい……そして勝ってもらうつもりだが……」
ヤムチャ「5分か……それって、短いような気もしますね……」
ダルシム「私がブランカ君と戦ってる時に、乱入してくれても構わんよ? そこを含めれば、ヤムチャ君は10分間、動くチャンスはある」
ヤムチャ「なぁ〜る程……ダルシムさんがピンチの時に……いいタイミングで助けにいけと……?」
ダルシム「逆に、私が有利な時に、来てくれてもいいぞ。そうすれば、二人掛かりで大きなダメージを与える事ができるからな」
ヤムチャ「……なる程」
ダルシム「まぁ、タッグマッチで試合権利がない時の動き方なんかも、勉強してもいいかもな。その経験は、きっと元の位置に戻った時に役に立つ」
ヤムチャ「そうっすね。ケンさんとの合体必殺技のダブルトラースキック撃つには……そういった能力も、必要そうです」
343:
ダルシム「少し、話が逸れたな。まぁ、ヤムチャ君はディージェイ君と5分間、戦う事になるのだが……」
ヤムチャ「はい」
ダルシム「……はっきり、言おう。ディージェイ君は空気が読めない」
ヤムチャ「……はぁ?」
ダルシム「私やブランカ君……それにシャドルーの皆さんなんかは、ベテランだ。ヤムチャ君が、相手に行動を求めたら……その行動……もしくはそれに準ずる行動をしてくれる……自分で言うのも可笑しな話だがな」
ヤムチャ「……はぁ」
ダルシム「しかし、ディージェイ君は、それが出来ない。ヤムチャ君が求めた行動と、全く違う行動をしてくる事も多い。自分勝手に行動を起こして、ヤムチャ君が、どう対応していいかわからなくなる事も多いと思う」
ヤムチャ「はぁ……? それって、どういう事……」
ダルシム「もう一度、言おう。ディージェイ君は空気が読めないんだ」
ヤムチャ「……」
ダルシム「私もレスラー生活を数十年続けているが……彼のような読めない人間は初めてだ。彼は、ブランカ君がつきっきりで指導しているよ」
ヤムチャ「えっ、えっ……? ちょっと、ちょっと……」
344:
ダルシム「だから、今日、ヤムチャ君はディージェイ君と戦ってもらうが……彼が勝手な行動をしても、絶対に怒ったり、試合を投げ出したりする事はしないでくれ」
ヤムチャ(サガットさん達が言ってた、おっかねぇって意味……こういう事だったのね……)
ダルシム「ただ、彼と試合を成立させる事が出来るようになれば、試合を動かせる能力は自然と身につき……きっと第五試合でも、活躍出来るようになるだろう」
ヤムチャ「なぁ〜る程ねぇ……そういう事か……」
ダルシム「ディージェイ君との攻防で、困った事があるのなら、私が助けに行ってやる。何か、サインでも決めておくか? 試合中、サイン出せば私はヤムチャ君のフォローに行くぞ」
ヤムチャ「ダルシムさんにそこまで、言われると不安になってきますねぇ……? とりあえず、じゃあ汗を拭いながらダルシムさんの方を向いたら……って、事にしましょうか?」
ダルシム「よし、わかった。サインはそれだな。今日の試合……あえて、ディージェイ君とヤムチャ君に打ち合わせはさせないが……相手の行動で、大きく傾きかけた試合を、自らが修正する……そういう能力は絶対に必要になってくる」
ヤムチャ「はぁ」
ダルシム「ヤムチャ君が入団してからも、そういう試合はあっただろう? 試合中に相手が怪我をしたから、強引に試合を終わらせねばならない……そして、その事によって試合時間を伸ばす事を強要されてしまった……」
ヤムチャ「確かに……今の俺じゃ、そういう事が起きた時、ただただアタフタするだけですねぇ……そもそもそれで、失敗したんですし……」
ダルシム「試合時間の早い下の試合で何かが起きた時に、それをフォローするのは遅い時間に始まる上の試合の人間だ……普段は使わないが、上でやっている人間は、皆その能力を隠し持ってるんだよ」
ヤムチャ「なる程ねぇ……でも、そんなトラブルメーカーみたいな事ばかりしてるディージェイさんって、大丈夫なんですか? クビになったりしないんですか?」
ダルシム「いいものは持ってるんだと思うんだけど、本当に空気が読めないんだよ……そのせいでずっとこの位置ってワケだ。 現場監督からすれば、教育係の我々が駄目だとでも、思われてるんだろうな……」
ヤムチャ「う、うわぁ……ダルシムさんも大変ですね……」
ダルシム「……なら、ヤムチャ君が、成長して私の立場を良くしてくれ。そうしてくれると、私も幸いだ」
ヤムチャ「う、うっす……! とにかく、今日の試合よろしくお願いします」
ダルシム「おっ、そろそろ時間給だな……では、ヤムチャ君、そろそろ準備に行こうか?」
ヤムチャ「うっす!」
352:
ーーー
ヤムチャ「さて、そろそろ入場かな……? 今日は5分間……前は試合時間が長いなんて言ってたのに、今度は短いと思うようになってきたぜ。これって、成長してるのかな?」
ダルシム「あぁ、間違いない。成長しているよ」
プーアル「ヤムチャ様、何か試合プランはあるんですか?」
ヤムチャ「五分間じゃ、俺の全ての技を出しきる事は出来ないんと思うんだよね……二つ三つ出せればいい方じゃないかな……? だから、ダルシムさんがピンチの時に乱入して、技使うのもありだとは思うんだけど……」
ダルシム「……ふむ」
ヤムチャ「ディージェイさんって人の事、ダルシムさんに脅されてるからなぁ……まぁ、相手の出方に合わせて修正していくしかないんじゃないかな?」
プーアル「へぇ〜、ヤムチャ様も考えるようになりましたねぇ」
ダルシム「強引に動けば、その理想的な展開が出来るようになるかもしれんぞ? まぁ、頑張ってくれ。もし、何か困ったのなら……」
ヤムチャ「……サインですよね? わかってますよ」
ダルシム「うむ。それじゃあ、そろそろ呼び出されるぞ……準備はいいな?」
ヤムチャ「うっす!」
プーアル「ヤムチャ様、ダルシムさん、頑張って下さいね!」
353:
ーーー
ダン「さて、皆様……お楽しみいただいてるでしょうか!? ストリートプロレス!」
ダン「それでは、続いては……第二試合をお届けしますっ!」
ダン「ダルシム選手! ヤムチャ選手の入場ですっ!」
パチパチ……パチパチ……
ダルシム「……ナマステ」
ヤムチャ「よっしゃっ!」
パチパチ……パチパチ……
実況「さぁ、今ダルシムとヤムチャが入場しております! このタッグチームは初ですかねぇ? どういったコンビネーションを見せるのか……期待しましょう! さぁ、ゆっくりと歩みを進めながら……今、両者がリングイ〜ン!」
354:
ダン「続きましては……ブランカ選手! ディージェイ選手の入場ですっ!」
パチパチ……パチパチ……
ブランカ「ウォゥ! ウォッ、ウオオオォッ!」
ディージェイ「イェーイ。 今日も、ファンキーな試合をしようぜぇ〜」
クスクス……クスクス……
ディージェイ「Mr.ブランカ……? 今日は、オーディエンスの皆に……とびきりエキゾチックな夜をお届けしてやろうぜ〜? さぁ、行こう」ガシッ
ブランカ「……ウオッ?」
実況「さぁ、お次はジャングル育ちの野生児ブランカと、陽気な男ディージェイの入場だ! あのブランカを手懐ける男がついに現れたのか! 野生児と人間の友情が芽生えた! 仲よさげに肩を組みながら、今、歩みを進めています!」
355:
実況「さぁ、今、ブランカが両者がリングインしようと……ん……?」
ブランカ「オッ、コレハ……チョット、チョット……」
ディージェイ「ヘイヘイ、どうしたんだい? Mr.ブランカ? 何で、そんな所で立ち止まるんだい?」
ブランカ「チョット……肩カラ、手ヲ話シテクレ……俺、食イ物見ツケタ……」
ディージェイ「ホワーイ? ユーは何を言っているんだい? 早くオーディエンスにファンキーなビートをお届けしようぜ?」
ブランカ「……いいから、早く外して下さい。 邪魔なんです」ボソッ
ディージェイ「おっ、おう……ソーリー……」パッ
実況「おっと、ブランカがロープの一点を見つめているぞ……? これはこれは……違うぞ、それは違うぞ!?」
356:
ブランカ「……コレ、クイモノ?」
ダン「俺、毎回言ってるよなぁ……? 食い物じゃねぇって……早くリングインしろ……」
ブランカ「コレ、ウナギ、ミタイダ……食エソウダ……」ガジガジ
ダン「おめぇは、いつになったら、学習するんだよ!? だから、ロープはウナギじゃねぇ、食うな! ゴムの苦〜い、味しかしねぇだろうが、馬鹿野郎っ!」
グイグイ
クスクス……クスクス……
実況「やっぱりだ、やっぱり間違えてしまったぞ、野生児が! 本日もロープに噛み付いております! そいつは食べ物じゃないぞ! 良い子は真似するな!」
ダン「毎回、手間暇掛けさせんな……! ホラ、早くリングインしろよ、馬鹿野郎っ……!」グイグイ
ブランカ「ウガガ……ウガ……」
ディージェイ(Mr.ブランカは盛り上げるのが上手いなぁ……よ〜し、ミーも負けてられないぞ……)
358:
ディージェイ「ワーオ、Mr.ブランカ!? こいつはウナギなのかい!? ビックリだよ!」
ブランカ「……ん?」
ダン「……あ?」
ディージェイ「そういう事なら……ミーも、頂かせてもらおうかな……? いっただっきまぁ〜す!」ガジガジ
実況「お、おっと!? なんと、ディージェイもロープに噛みつき始めたぞ!? 二人して、ロープを噛み噛み……なんだ、この光景は! なんだ、この光景は!」
ダン「おいっ、おめぇまで何やってんだよ! おめぇもやるんじゃねぇよ!」
ディージェイ「ヘイヘイ、Mr.ブランカ……? このウナギ……なんだか、固くないかい……? 噛み切れないよ……これって、ひょっとして……ロープなんじゃないかなぁ〜?」ガジガジ
ブランカ(百歩譲って、私のムーブを真似る事は許そう……でも、そういう事は言わないで欲しい……そんな事は、百も承知だよ……)ガジガジ
361:
ヤムチャ「……ダルシムさん?」
ダルシム「ん……? ヤムチャ君、どうした……?」
ヤムチャ「ディージェイさんって人……ノリがいい人じゃないですか……? お客さんの笑いも貰ってますし……空気読めてるんじゃないですかねぇ……?」
ダルシム「……ブランカ君の、あの行動は、私のヨガスマッシュと同じでな」
ヤムチャ「……はぁ」
ダルシム「まぁ、言わば……『待ってました』なんて、笑いをとっているんだよ……彼が長年続けている事で、笑いになっているんだ……」
ヤムチャ「……ふむ」
ダルシム「そこにディージェイ君が加わった形なんだけど……そこまで、大きな笑いになってないよね……この笑いならブランカ君一人で十分だとは思う……」
ヤムチャ「……」
ダルシム「ダン君の代わりにブランカ君を制止するとか……驚いたリアクションで戸惑うとか……他にも方法はあるだろ?」
ヤムチャ「……はぁ」
ダルシム「……ちょっと、入場が長くなってるな。試合中にやる分にはまだいいと思うんだけどね」
ヤムチャ「……なる程」
ダルシム「ディージェイ君はそういう蛇足のような行動が多いんだよ……ただ、本人に悪気は一切なんだ……彼も盛り上げる為に行動している……そこがなぁ……」
362:
実況「さぁさぁ、収集がつかないようなので、今の間に本日のゲスト解説を紹介しましょう! 本日のゲスト解説は、デカい! ゴツい! だけど、動物を愛する優しい心を持つお方! T.ホークさんです」
ホーク「よろしくお願いします」
実況「ホークさんは、見た目はイカつい……おっと、失言でしたかね?」
ホーク「いや、大丈夫ですよ」
実況「あっ、ありがとうございます! それでは、続けさせてもらいます。見た目はイカついんですが……非常に動物好きだと、いう事で……ギャップがあるといいますか、なんだか人間味溢れる方という感じで、なんだかホッとしますよね?」
ホーク「ありがとうございます」
実況「結構ねぇ……ゲスト解説の方が、隣にお座りになられる機会多いんですが……やっぱりねぇ? レスラーなんてのは、血の気の多い方も大勢いらっしゃるので、私、顔色伺いながら、お話させて頂くという事も多々あるんですよ!」
ホーク「あはは」
実況「ホークさんみたいな方となら、私も安心して実況出来そうですね! 動物好きのホークさん……私は犬派なんですけど、ホークさんは犬派ですか? 猫派ですか?」
ホーク「う〜ん、どっちの方が好きって事はないですね……どっちも好きです。犬も、猫も。可愛いですよね」
実況「……犬や、猫の他にお好きな動物などは、あったりするんですか?」
ホーク「……あっ、鳥が好きです!」
364:
実況「ほ〜う、鳥ですか。そういえば、ホークさんの必殺技にも、鳥の名が入ってる物もありますもんね!?」
ホーク「はい」
実況「『コンドルダイブ』や『コンドルスパイア』……いやぁ、ネーミングセンスが、これまた素晴らしい!」
ホーク「あはは、ありがとうございます」
実況「これは、やはり鳥のようなイメージで攻撃したい……なんて、イメージで、開発されたんですか?」
ホーク「そうです。鳥が好きだから、そういった鳥の優れた部分を、何か参考に出来ないかな、と思いましてね」
実況「ホークさんは、大柄な方なんですが……時には、やはりそういった、鳥が獲物を捕らえる時に見せるような、俊敏な動きを見せますもんね?」
ホーク「そうですね」
実況「今度は、狼や虎などの、イメージで技を作ってはいかがでしょう!? ……なんて、素人ながらに私も思ったりします!」
ホーク「検討させていただきます。そうすれば、ベルトに近づけるかもしれません」
実況「では、ホークさんのこれからの活躍に期待しましょう! ベルトをとった暁の祝勝会には……是非是非、私もお呼びして下さいね!?」
ホーク「今日、技のヒントを頂きましたからね。是非、呼ばせて頂きます」
実況「さぁ、なんだかんだお話している間に……ようやく、ブランカとディージェイがリングインしました。では、ホークさんの紹介はこの辺りにして……お次はリング上の四人の選手を解説していくとしましょう!」
371:
実況「さぁ、先ずはダルシム・ヤムチャ組! このチームはホークさんはどんな印象を持たれますか?」
ホーク「……そうですね」
ダルシム「おう、そうだそうだ……大事な事を言い忘れておったよ、ヤムチャ君……」
ヤムチャ「ん、何ですか……?」
ホーク「結構対象的なコンビで面白いですね。堅実なダルシム選手とヤムチャ選手……」
実況「……ほう」
ダルシム「試合中、私の事を呼ぶ時は『おっさん』でいい。 そういう風に呼んでくれ」
ヤムチャ「おっさん……? そんな失礼な呼び方でいいんですか?」
ホーク「ダルシム選手が持っていない勢いなどをヤムチャ選手が……ヤムチャ選手がいきすぎた場合にベテランのダルシム選手がフォローしてあげる……お互いがお互いにない場所を持っていて、なかなかいいんじゃないですか?」
実況「そういえば、ホークさんもフェイロンさんなんかと、よく組まれていますが、そういう感じですもんね?」
ダルシム「君の居場所は空手軍団だ……信頼を置くべき相手はリュウ君や、ケン君だ……私と下手に、信頼関係を気づいてしまうと……後々尾を引きずる事になるぞ……? 私とは、即席タッグなんて感じでいた方がいい……」
ヤムチャ「……はぁ」
ダルシム「よし、先ずは、私が行く……君は下がっていてくれ……」
372:
実況「さぁ、先発はダルシムでしょうか? それでは、続いてのブランカ、ディージェイ組! こちらの印象はどうですかね?」
ホーク「……う〜ん、まぁ読めない部分があるといいますか」
ディージェイ「早く、ミーのファンキーなビートをオーディエンスにお届けしたいぜ! 待ちきれないよ〜!」
ブランカ「……時間がきたら、交代するので、大人しくしていて下さい」ボソッ
実況「まぁ、確かに……この二人は、個々でも読めないような二人が集まった、タッグチームですからね」
ホーク「特にブランカ選手……あの人は、本当に読めません……」
ディージェイ「Mr.ブランカが……ピンチだったり、優勢だったりしたら、ミーも参加は出来るんだよね……?」
ブランカ「大丈夫ですか……? まぁ、貴方の特訓……そして、ヤムチャ君の特訓にはなるでしょう……お好きにどうぞ……」ボソッ
実況「まぁ、ブランカはジャングルの奥地で育った野生児ですからねぇ、ホークさん」
ホーク「でもまぁ、そういった人には、ああいった能天気というか……陽気な人が合うんじゃないですかねぇ? ある意味、似た者コンビだと思いますよ」
ブランカ「動くなら動くで……何か新しい発見をして下さいよ……? むやみやたらに動き回っていいワケではありませんからね……では、私が出ます……下がっていて下さい……」
ディージェイ「Mr.ブランカ、早くピンチになってくれよ? ミーがいつまでもこんな所にいたら、オーディエンスはミーのファンキーなビートが聞けないからね」
374:
実況「さぁ、どうやら両者が出揃ったでしょうか? ヤムチャ……それに、ディージェイが両者の陣営に下がります」
ダン「ったく、入場に時間かけやがって……よし、じゃあそろそろいいな……?」
ブランカ「ウガッ!」
ダルシム「……ふむ」
ダン「じゃあ、そろそろ試合始めっぞ……! よし、ゴングならせ、ゴングをよぉ!」
カーン
ダン「ファイっ!」
ブランカ「ヤッテヤルゼッ!」
ダルシム「……ふむ」
実況「さぁ、戦いの鐘の音が響き渡り、今は試合が始まりました! 先発はダルシムとブランカ! 先ずダルシムとブランカの戦いですっ!」
375:
ダルシム「……ナマステ」ペコッ
ブランカ「……ウオッ?」
実況「おっと、先ずはダルシムが両手を合わせて、軽く一礼! 例え、相手が野生児だろうが、礼儀は忘れません! ダルシムはこの辺りが潔い男だ!」
ホーク「そうですね」
ブランカ「ソンナ、挨拶知ラナイッ! オ前、何シテルカ、分カラナイ!」
ダルシム「……ぬっ?」
ブランカ「隙ダラケダッ……! 喰ラエ、ローリングアタックッ!」ギュルンッ
ダルシム「う、うおっ……早いっ……!」
ブランカ「……ウオオオォォォッ!」ガスッ
ダルシム「くっ……うおっと……」ヨロッ
実況「おっと、だがしかし、そんなダルシムに対して、ブランカがローリングアタック! 野生児に人間の礼節は通用しなかったか!? ダルシムは、大きく尻餅をついてしまいました!」
376:
ダルシム「くっ……不届きな者め……」
ブランカ「ヘッヘーンダ、オ前、弱イナ……アッカンベーダ!」
ダルシム「……くっ」
ブランカ「コイツハ弱イ! コイツハ弱イゾ! ウッホッホ!」ピョンピョン
クスクス……クスクス……
実況「さぁ、先ずは先制攻撃に成功して、ブランカが喜んでいるっ! だが、しかしその姿がゴリラそっくりなのだろうか!? 会場からは笑い声が聞こえるぞ!?」
ホーク「いや、ゴリラってあんな動きはしませんよ……?」
ダルシム「くそっ、そういう事なら、私も容赦はせん……行くぞっ……!」
ブランカ「弱イ奴ガ怒ッテモ、怖クナイゾ! ウッホッホ〜、ウッホッホ〜」ピョンピョン
ディージェイ「ヘイヘイ、Mr.ブランカ! 今のはファンキーな攻撃だったよ! 超〜エキサイティングっ!」
377:
ダルシム「……ぬ?」
ブランカ「……ん?」
ディージェイ「そんなにファンキーなビートを見せられると……ミーも乗ってきちゃうよ……こ〜んな感じでね……?」ルンダルンダ
実況「おぉ〜っと、ブランカの動きに合わせて……コーナーでディージェイが激しく踊っている! こいつも陽気な男だ!」
ホーク「……やっぱり、なんだかんだで似た者コンビですね」
ブランカ(まぁ〜た、始まったよ……まぁ、とりあえず泳がせるか……)
ダルシム(君も一緒になって、踊る事はないんだと思うんだけどな……まだ試合の序盤だし……)
ヤムチャ(わかった……あいつ、ノリがいいってわけじゃねぇ……バカなんだ……)
ダルシム「くそっ、油断はしたが……そういう事なら、私も容赦はせんっ! 行くぞっ……!」ムクッ
ブランカ「……ウオッ?」
実況「おっと、ここでダルシムが素早く立ち上がり……そしてブランカに掴みかかったぁ!」
378:
ダルシム「……フンっ!」ガシッ
ブランカ「……ウガッ!?」
ダルシム「くそっ、手が邪魔だな……まぁ、予想通りだが……そう簡単には、行かせてはくれんな……」
ブランカ「……グフフ、甘イゼ」
実況「さぁ、ダルシムがブランカと組み合い……ここから、どういった攻防きなるのか……ジワリジワリと組み合いながら、様子を伺ってますね……?」
ホーク「……そうですね」
ダルシム「……よしっ! ここだっ!」クルッ
ブランカ「……ウガッ?」
ダルシム「フッ、人を見かけで判断するのは良くないぞ……? 簡単に背後を取らせてもらえたよ……感謝する……」
実況「おっと、ここでダルシムが上手く、ブランカの背後を捉えた! 上手く身体を捻らせてブランカの背後を取った!」
379:
ディージェイ「ヘイヘイ、Mr.ブランカ! 何してるんだよ、もっとファンキーなビートを見せなきゃ! ミーも乗れないよ!」ルンダルンダ
ヤムチャ(あいつ、いつまで踊ってるんだよ……アレ邪魔だろ……俺がなんとかしなきゃいけねぇのかなぁ……? でも、リングではダルシムさんとブランカさんが組み合ってるしな……どうすっかねぇ……)
ブランカ「甘イノハ、オ前ダッ……!」クルッ
ダルシム「……何っ?」
ブランカ「……グフフ、今度ハ俺ガ、背後ヲ取ラセテモラッタゾ?」
実況「おっと、今度はブランカが同じような動きでダルシムの背後を捉えました! ここから、何を仕掛ける!? バックドロップか? ジャーマンか?」
ホーク「……ディージェイ選手の踊りも激しくなってきましたね?」
ディージェイ「ヘイヘイ、Mr.ブランカ! いいよいいよ、そのリズムだよ〜!」ルンダルンダ
ダルシム(彼はいつまで踊っているんだ……関節技で責めたかったんだけど……予定を変更するか……)
ブランカ「グッフッフ……このまま投げてやる……」
381:
ダルシム「……させんわっ!」クルッ
ブランカ「……ヌッ?」
実況「おっと、ダルシムは耐えた! 身体を捻らせ、再びブランカの背後を取り直し……いやっ、違うっ……!」
ホーク「……おっ?」
ダルシム「どうやら君も、テクニックは持っているようだな……だったら、今度は前でも、後ろでもなく……横から、攻めさせてもらおう……」
ブランカ「アレ、後ロジャナイ……? コイツ、俺ノ横デ止マッテ……」
ダルシム「この角度からなら入れやすいな……今度の攻撃は早いぞっ……! 腹部に、膝を喰らわせてやるっ……! はあっ!」ガスッ
ブランカ「……ウゴッ!?」
実況「おっとおっと、背後を取られたダルシムが、身体を反転させながら……そのままブランカの腹部に、膝蹴りを喰らわせたぁ!」
ホーク「スープレックス技で責めると思ったんですが……上手く切り返していきましたね……」
ヤムチャ(おぉ、ダルシムさんって、動ける人じゃねぇかよ……本当、騙されたわ……やっぱりベテランなんだな……)
ディージェイ「ヘイヘイ、Mr.ブランカ! 何やってるだよ!? そんなビートじゃ、ミーは乗れないよ!?」ルンダルンダ
ヤムチャ(……でも、今の攻防って、踊ってるアイツに注目してるも、ひょっとしているんじゃねぇか? やっぱり、俺が動いた方がいいんじゃねぇの、コレ?)
382:
ブランカ「痛イ……苦シイ……だんサン、助ケテ……」ヨロッ
ダン「……俺に言うんじゃねぇ。俺は知らねぇよ」
ダルシム「そうだ、レフェリーは関係ない……さぁさぁ、私の攻撃はまだまだ続くぞ……?」
実況「さぁ、いい所にでも入ったでしょうか? ブランカは、少し苦しんでいます! そしてそのブランカの身体をダルシムが掴んだぁ!」
ダルシム「さぁ、次は……コーナーに振り投げてやろう……! いくぞっ……!」
ブランカ「……待ッテ、チョットダケ、待ッテ」
ダルシム「問答無用っ……! フンっ……!」ブンッ
実況「さぁさぁ、ダルシムがブランカを……コーナー目掛けて振ったぁ!」
ブランカ「……うぐっ!」ドスッ
ディージェイ「ワオッ! もう、時間が来たのかい? ミーの出番が来たのかい!?」
ブランカ(下手にディージェイ君が、僕の身体に触れると……試合権が映ってしまうからね……ダルシムさん、間を空けずに来て下さい……相手は彼なんです……)
ダルシム「さぁさぁ、間を空けずにいくぞ……? 私のひ弱な攻撃でも……コーナーを背にして逃げ場のない状態の君なら……そこそのダメージにはなるだろう……はああぁっ……!」ダダッ
実況「そして間を空けずに、ダルシムが突っ込んできた! コーナーへの串刺し攻撃へと走ったぁ!」
383:
ダルシム「……フンっ!」ゴスッ
ブランカ「……うぐっ!」
実況「さぁ、コーナーにいるブランカに、串刺しバックハンドエルボーでダメージを与えて行きます! クルリと身体を反転させて、肘をぶつけます!」
ディージェイ「これって、Mr.ブランカのピンチなんじゃないの!? ミーの出番!? ミーの出番じゃないの、コレ!」
ダルシム「君は、しばらく場外で寝ていてくれっ……! フンっ……!」ガスガス
ディージェイ「……なんだって?」
実況「そして、そのままダルシムは、コーナーにいるディージェイに掴みかかった! エルボー攻撃を連続で浴びせていきます!」
ディージェイ「Mr.ダルシム……そんな事したら、ミーのいい所をオーディエンスに見せれないじゃないか……!?」
ダルシム「もう十分、見せただろう! 次は他の人の番だ! とにかく、この一撃で……場外に落ちろっ……!」ガスッ
ディージェイ「……う、うおっ!」
実況「そして、とどめに大きく振りかぶって、エルボーバットを……振り抜いたぁ! ディージェイの身体が場外に落ちます!」
397:
ダルシム(ふぅ……これで、ディージェイ君も暫くは動かないだろう……彼にばかり注目がいってしまっても、よい事はない……応急処置だが、致し方ない行動だな……)
ヤムチャ(おぉ、ダルシムさんが……踊ってるあいつの事を蹴散らしたな……って事は、あれってやっぱり邪魔だったんだな……でも、俺が乱入してあいつを止めるのも邪魔になっただろうし……こうするしかなかったのかな……?)
ダルシム(さて、ディージェイ君を蹴散らした訳だが……ただただ、蹴散らしただけでは……やはり良くないな……仕方ない……)
ディージェイ「……ヘイヘイ、Mr.ダルシムは酷いよ。どうしてミーがこんな真似を」バタッ
ダルシム(激しすぎる攻防は、あまりしたくないからな……まぁ、ゆる〜い攻防でもやらせてもらうか……)
ブランカ「ウゥ……酷イ事ヲシヤガッテ……」
ダルシム「ヤムチャ君、少し来てくれ! この老体に……一つ、手を貸して欲しい!」クイクイ
ヤムチャ「……ん?」
実況「おっと、ディージェイをエルボー攻撃で蹴散らしたダルシムが、ヤムチャに手招きをしています! これは何か連携攻撃を狙っているんでしょうかねぇ?」
ホーク「そうですね。ディージェイ選手を蹴散らして、いいチャンスですから」
398:
ヤムチャ(おうおう、何だ何だ……ダルシムさんが呼んでるって事は……まぁ、間違った行動ではないはずだから……従っておこう……)
実況「さぁさぁ、ヤムチャがリングインして……コーナーにいるダルシムとブランカの元へと近づきます!」
ダルシム「老体の蹴りでは、苦しいのでね……一つ、君の力を借りたい……」
ブランカ「クッ……連携攻撃カ……」
ダルシム「交互に彼に蹴りを撃とう……あの陽気な男がいなくて、大チャンスなんだ……こんなチャンスは、是非とも生かさんとな……?」ニヤリ
ヤムチャ(あっ、なる程……そういう事か……!)
ダルシム「では、私から行くぞ……? はぁっ!」シュッ
ブランカ「……グッ!」
実況「さぁ、そしてダルシムが、コーナーにいるブランカに対して、蹴りを撃ち込みます!」
ダルシム「さぁ、次はヤムチャ君の番だ……? 空手軍団の蹴りがこんなに間近で見れるなんて、光栄だよ。私も学ばせてもらう……」
ヤムチャ(そっか……ここ、ダルシムさんに呼ばれなくても……自分から、行ってもいい場面だったな……わざわざ、動きで指示してくれたのか……こういう細かい所を学んでいかねぇといけねぇな……)
ダルシム(……あっ、そういえば)
400:
ヤムチャ(『ありがとう』って言いたい……『ごめんなさい』って言いたい……だけど、試合直前に、仲良くする事よくねぇって言われたから……ここは……)
ダルシム(しまったなぁ……汗を拭いながら、彼の方を見るってサインをしているのを忘れていたよ……空手軍団のヤムチャ君を私が引っ張るだなんて、失敗してしまったかな……私も、ディージェイ君の行動に慌てていたのかな……? 反省しなくては……)
ヤムチャ「ヘイヘイ、おっさんおっさん……俺の力が借りてぇのか? まぁ、そんなヨボヨボの身体じゃ……確かに辛そうだぜ!」ニヤリ
ダルシム「……ん?」
ヤムチャ「本物の蹴りを見て……あんたも勉強しな……! ほれ、手本を見せてやるぜっ! おらぁっ!」シュッ
ブランカ「……ウグッ!」
実況「そして、お次はヤムチャっ! ヤムチャが蹴りを撃ち込みます! こちらは鋭い蹴りだぁ!」
ヤムチャ(こういった言葉……ダルシムさんが求めてる行動をする事がお礼だ……試合の後でいくらでも言えばいいんだ……今は行動で示そう……)
ダルシム(失敗したと思っていたが……ヤムチャ君が上手くフォローしてくれたようだな……若手に引っ張られるベテランなんて情けない……だが、ヤムチャ君……感謝するよ……)
ヤムチャ「次はおっさんの番だぜ? 俺みたいな、鋭い蹴り……やってみな!?」ニヤリ
403:
ダルシム「ふむ……では、参考にさせてもらうよ……こんな感じでいいのか……? はあっ!」シュッ
ブランカ「……ウッ」
ヤムチャ「違う違う……鋭さが足りねぇよ……もう一度、お手本を見せてやるよ……ほれ、こうやるんだよっ!」シュッ
ブランカ「……ウグッ!」
実況「お次はダルシム! お次はヤムチャ! さぁさぁ、二人が交互に蹴りを撃ち込み……コーナーにいるブランカにダメージを与えていきます!」
ダルシム「……なる程、こうやって打てばいいのか?」シュッ
ブランカ「……ウッ」
ヤムチャ「違う違う……こうだこうだっ……!」シュッ
ブランカ「……ウグッ!」
ディージェイ(ミーはいつまで、こうやって寝ていればいいんだよ……こんな所に寝ているだけじゃ……とても乗れないよ……)
404:
ダルシム(よしよし……いい感じだ……)
ヤムチャ(有利な状況……合体攻撃に見えるが、実は違う……実はただの単調な蹴りの連続だ……あまり長すぎるのもお客さんは、飽きちまう……)
ダルシム(後、二発ずつしたら……ヤムチャ君には戻ってもらおうか……なんだかんだで、まだ試合の序盤だし……ここは第二試合なんだからな……)
ヤムチャ(後、二巡ぐらいが限界だろう……二巡ぐらいしたら……ケンさんとしたみたいに、同時に仕掛けてフィニッシュにした方がいいんじゃねぇか……? ダルシムさんに、それっぽい口調で言ってみよう……)
ディージェイ(ヘイヘイ、ミーは退屈だよ……君たちがいい所を見せたいが為だけに……ミーをこんな目に合わせるなんて酷いよ……ミーだっていい所を見せたいのに……)
ダルシム「よし、次は私の番だな……? 参考にさせてもらうから……見ていてくれよ……?」
ヤムチャ「おうおう、おっさん! 頑張ってやってみな!」
ディージェイ(あれ、待てよ……? これって、Mr.ブランカがピンチの状況じゃないか……そうだよ……そうだよね、きっとそうだよ……!)
408:
ディージェイ(しまった……! ミーは勘違いをしていた……! Mr.ダルシムは、Mr.ヤムチャと合体攻撃を仕掛ける事によって、Mr.ブランカがどうしようもない状況を作り出しているんだ……)
ダルシム「……はぁっ!」シュッ
ブランカ「……ウッ」
ディージェイ(Mr.ブランカがピンチならどうする……!? 彼を助ける人間は誰だ……それは、ミーだよ! タッグパートナーのミーしかいない……!)
ダルシム「フッ、どうだ? 私もよくなってきたんじゃないかな、ヤムチャ?」
ヤムチャ「おっさんはまだまだだな……まぁ、もう一度手本を見せてやるから……見ておきな……?」
ディージェイ(なんてこった……! ミーはMr.ダルシムの事を勘違いしていた……! Mr.ダルシムは、ミーをより格好よく見せる為に、一度ミーに攻撃して……二人掛かりで攻撃を仕掛けているんだ……!)
ヤムチャ「蹴りってのは……こうやって打つんだっ……! オラっ……!」
ブランカ「……ウグッ!」
実況「さぁさぁ、ダルシムとヤムチャが二人掛かりでブランカの胸板に蹴りを与えています! こいつは、野生児も辛いか!?」
410:
ディージェイ(なんてこった……! こんな所で寝ている場合ではないよ!)ムクッ
ヤムチャ「……ん?」
ダルシム(今の起き上がり方……)
ブランカ(マズい……嫌な予感がする……)
実況「おっと、ここで場外にいるディージェイが素早く起き上がった!」
ディージェイ「Mr.ブランカっ! しっかり、するんだ! 今、ミーが助けてあげからね!」
ヤムチャ(う、うおっ……あいつ、急に起き上がって、リングに入って来やがった!)
ダルシム(くっ、ヤムチャ君に抑えておいてもらうか……? しかし、この合体攻撃も一段落はついていない……だったら、まだディージェイ君に攻撃される方が自然だ……)
ブランカ(あ〜、あ〜、やっぱり……とにかく、私は最後の最後まで動くわけにはいきませんね……ディージェイ君がやらかすならやらかすで……騒動の総纏めをしないといけませんから……)
実況「そして素早くリングイン! ブランカの救出へと走ったぁ!」
411:
ディージェイ「Mr.ブランカ! 今、助けるよ! シュッ!」シュッ
ダルシム「……グッ!」
ディージェイ「そして、ターンしてもう一発っ……! これがミーのダブルローリングソバットだ!」シュッ
ダルシム(ここは……とりあえず、ダウンして泳がせよう……ダウン向きの技ではないが、致し方ない……)ヨロッ
実況「さぁ、先ずは身体をクルリと捻らせて、ステップしながらのソバットの連続攻撃! 先ずはダルシムにダブルローリングソバットを仕掛けた!」
ディージェイ「ミーのファンキーなビートはまだ続くよ……? さぁさぁ、リズムに乗っていこう!」
ダルシム「……何?」
ディージェイ「リズムに乗って……蹴りを打ち出していくよ〜? Mr.ダルシム……耐えられるかなぁ〜?」シュッ
ダルシム(何っ……!? まだ、私に攻撃を仕掛けてくるのか……!?)
ディージェイ「ファンキーなビートが刻まれてきたねぇ……ンッン〜、いいリズムだよ」シュッ
実況「いやっ、ディージェイはさらに追い討ちを仕掛けているぞ!? 連続でのダブルローリングソバットでダルシムをダウンさせませんっ!」
413:
ヤムチャ(お、おいっ……! 俺は、どうするんだよ!? 俺にも、攻撃仕掛けた方がいいんじゃねぇの!?)
ディージェイ「さぁさぁ、ファンキーにいくよ〜!」シュッ
ダルシム(くそっ……! 無駄に早い攻撃だから……ダウンする暇も……反撃する暇すらない……)
ヤムチャ(ブランカさんの事は、放っておいて……ダルシムさんをアイツから救出した方がいいのか……!?)
ブランカ(私が復活して……私がヤムチャ君と戦って、我々が押している展開を作る事も出来るが……何故、いつもいつも、試合が荒れてしまうんだ……)
ディージェイ「リズムに乗っていくよ〜!」シュッ
ダルシム(くそっ……その場その場の行動で……私は、何もできんぞっ……! 他の二人に任せるしかないっ!)
ヤムチャ(あぁ、くそっ……! 俺がなんとかするしかねぇ! とにかく、自然な流れで、アイツの暴走を止めねぇと……!)
414:
ヤムチャ「……うるあぁっ!」ガスッ
ディージェイ「……うおっ!」ヨロッ
実況「さぁ、ここでヤムチャが背後から、ディージェイの後頭部にラリアットを仕掛け……ダルシムの救出に向かったぁ!」
ホーク「……少し、試合が荒れてきましたねぇ」
ディージェイ「何をするんだい……? ミーのファンキーなビートを邪魔するなんて……酷いじゃないか……?」クルッ
ヤムチャ(こいつ、ダウンしねぇ……! しまった、選択ミスだったか……? バックドロップ仕掛けて……無理矢理にでも、ダウンさせちまった方が良かったか……?)
ブランカ(ヤムチャ君、よく動いてくれたな……君に任せる……ここからの君の動き……それをクリア出来れば、第五試合に戻れるぞ……!)
ダルシム(ヤムチャ君、ありがとう……この隙に私はダウンさせてもらうよ……)ガクッ
実況「おっと、だがしかし、少しばかり攻撃を受けすぎてしまったか!? ダルシムは、ガクッと倒れこみます!」
ディージェイ「次はMr.ヤムチャ……君にミーのファンキーなビートを聞かせてあげよう……ホラホラ、リズムに乗っていくよ〜?」
ヤムチャ「てめぇは、好き勝手にやってんじゃねぇぞコラァ!」
426:
ダルシム(ぬっ……? 今のヤムチャ君のセリフ……ひょっとして本気で怒っているのか……? 試合前に言っておいたはずなのに……マズい、ヤムチャ君、冷静になれっ……!)
実況「ディージェイは不敵に笑みを浮かべ……おっと、次はヤムチャに仕掛けたっ!」
ディージェイ「ヘイヘイ、Mr.ヤムチャ……君も乗っていこう〜! はぁっ!」シュッ
ヤムチャ「くっ……! 来やがったっ……!」
ディージェイ「リズムに乗って〜、もう一丁っ! はぁっ!」シュッ
ヤムチャ「くそっ、 いい加減にしやがれっ……!」
実況「ディージェイはヤムチャにも、ダブルローリングソバットを仕掛けるっ! さぁさぁ、ディージェイが暴れているぞ!」
ダルシム(と、思ったら、意外と冷静に技を受けているなぁ……さっきのセリフは本気で怒っていると思ったが……どうやら、私の杞憂だったようだな……)
ブランカ(いいぞ……ダルシムさんとの一試合が生きているようだな……ここぞのタイミングで、彼を止めればいいんだ……慌てる必要はない……)
427:
ディージェイ「ヘイヘイにリズムに乗っていくよ〜! もう一丁っ!」シュッ
ヤムチャ(こいつ、何発同じ技打つんだよ……さっきから、そればかりじゃねぇか……!)
ディージェイ「ヘイヘイ〜! いい、リズムだねぇ〜」シュッ
ヤムチャ(あ〜、ちくしょう……ぶん殴りてぇ……ぶん殴って止めるのは、簡単だけど……)
実況「さぁさぁ、ディージェイの連続のダブルローリングソバットで、ヤムチャは逆サイドのコーナーに、押し込まれていきます!」
ホーク「……ディージェイ選手、大暴れですねぇ」
ヤムチャ(腐っても、俺はZ戦士……そして、こいつは一般人なんだ……下手に本気を出しちまったら……こいつに大怪我をさせちまう可能性だってある……!)
ディージェイ「さぁさぁ、まだまだ行くよ〜!」シュッ
ヤムチャ(あくまで、プロレスのルールの範囲内で、こいつの相手をしなくちゃならねぇ……こいつが、怪我しない範囲の中でな……)
ディージェイ「ンッン〜、いいリズムだよ……」シュッ
ヤムチャ(ちくしょう……多分、こいつ格闘技か何かやってやがったな……地味に早い蹴りだし……サガットさん達と違って、地味に痛ぇ蹴りだ……くそっ、対応しにくいな……)
428:
ディージェイ「ヘイヘイ、まだまだいくよ〜」
ヤムチャ「……させるかっ! さっきから、ワンパターンなんだよ、この野郎っ!」シュルッ
ディージェイ「……お、おおっ!?」
ヤムチャ(よしっ……! 捉えたっ……! 掴んだっ……! 組み合ったっ……! こうすりゃ、こいつだって、技は出せねぇだろう……とりあえず、動きを止める事には、成功したぜ……)
実況「おっと、コーナーサイドに追い詰められたヤムチャが、ここで反撃か!? ディージェイの頭をうまく脇に抱え……動きを止めましたっ!」
ヤムチャ(よしっ、動きを止めて……ここからこいつをどうするか……? とりあえず、もう一度場外に落としたいから……)
ディージェイ「何するんだい、Mr.ヤムチャ……ミーの攻撃はまだ……」モガモガ
ヤムチャ(くそっ……! こいつ、暴れだしやがった……! こっちは、まだ考えが纏まってねぇってのに……ちくしょうっ……!)
429:
ヤムチャ「……お前は、大人しくしてやがれっ!」ゴスッ
ディージェイ「……ウゴッ!」
実況「さぁ、そのままの体勢で、ヤムチャが膝をディージェイの腹部に打ち込みます!」
ヤムチャ(こいつが耐えれる範囲内での……強めのヤツを打ち込んでおくか……いくら、空気が読めない奴でも……痛みで指示されれば、動きを止めてくれって、意図はわかるだろうからな……)
ディージェイ「ヘ、ヘイ……! Mr.ヤムチャ……! 君は何て蹴りを打ち込むんだいっ……! Mr.ヤムチャは、プロレスがわかってないよ……ミーがリードしてるから、とりあえず離してくれよ!」
ヤムチャ(こ、こいつ……わかってねぇ……! 伝わってねぇ……!)
ディージェイ「ほら、早く離しなよ……! こんな地味なファイトじゃ……オーディエンスは満足出来ないよ……! ほら、早くっ……!」モガモガ
ヤムチャ(や、やべぇ……! また、暴れ出しやがった……! ここからどうするか、考えたかったのに……邪魔すんじゃねぇよっ……!)
430:
ヤムチャ「……お前が動くのを、止めればいいんだよ! ホラ、大人しくしやがれっ!」ゴスッ
ディージェイ「……オゴっ!」
実況「さぁ、そして膝蹴りをもう一発! コーナーで二人が縺れ合いながらの攻防が、続いています!」
ディージェイ「Mr.ヤムチャ……君は一体、何を考えて……」
ヤムチャ「……お前は黙ってろっ! 今、どうすっか、考えてんだからよぉ! オラっ!」ドスッ
ディージェイ「……ガッ!」
実況「お次は背中に一発、エルボーを落としていきます! 試合権利のない二人の争いが続いてますねぇ、ホークさん?」
ホーク「……ちょっと、荒れた試合になりましたねぇ」
ディージェイ「Mr.ヤムチャ……いい加減に……」
ヤムチャ「うるせぇ……! お前は黙ってろっ……!」ガスッ
ディージェイ「……ウゴッ!」
431:
ダン「何やってんだ! おめぇらは、糞がっ!」ズガズガ
ヤムチャ「……おっ、ダンさん?」
ディージェイ「ヘイヘイ、Mr.ダン……ミーを助けてくれよ……Mr.ヤムチャは……」
ダン「……うるせぇ! おめぇらは、試合権利を持ってんのか、あぁ!? 今、試合権利を持ってるのは、ダルシムとブランカだろが!」
実況「おっと、ここでレフェリーが、両者の制止に向かいました。キツい口調で何かを言ってますねぇ?」
ダン「試合権利がねぇんだったら……大人しくコーナーで待機してやがれ! ホラ、ヤムチャ! いつまでやってんだ! そいつを離して、自軍のコーナーに控えてな!」
ヤムチャ「う、うっす……! すいません……」パッ
ディージェイ「ヘイヘイ、Mr.ダン……貴方が水を差したら、オーディエンスは……」
ダン「おめぇもだよ、ディージェイ! 自軍のコーナーで、大人しく控えてな!」
ディージェイ「あのね……Mr.ダン……?」
ダン「……マジでいい加減にしろよ、ディージェイ? 俺が笑ってるうちに、済ませておいた方がいいぞ?」ギロリ
ディージェイ「……うっ!」
433:
ダン「……早く戻れ。こういう事は試合の終盤にやれ、終盤によぉ」
ディージェイ「わかりましたよ……折角、いいリズムでやってたのに……Mr.ヤムチャが空気を読めないから、台無しだよ……」
ヤムチャ「……何だと?」
ダン「相手にするな、ヤムチャ……! 放っておけ……!」
実況「さぁ、レフェリーの制止によって、騒動は収まったでしょうか!? 今、ディージェイが自軍コーナーに引き下がります!」
ダン「よし、ヤムチャ……おめぇも戻れ! おめぇが上手くやってくれて助かったよ……」ボソッ
ヤムチャ「……えっ?」
ダン「あ〜んな、蹴り打ちまくってる所に、俺も飛び込めねぇからな……おめぇが抑えておいてくれて……割り込む隙間が出来たよ……」ボソッ
ヤムチャ「……ダンさん」
ダン「オイ、コラ、あぁっ!? まだ、文句があんのか!? 試合権利がねぇって、言ってんのがわかんねぇのか、あぁ!?」
ヤムチャ(う、うおっ……ダンさん、いきなり怒り出して……情緒不安定だぞ、コレ……)
ダン「おい、コラ、ノーコンテストにしてやろうか、あぁ!? おめぇが早く戻らねぇと、この試合はノーコンテストだぞ、オラっ! わかってんのか!?」
434:
ヤムチャ(なるほどね……そういう事か……)
ダン「……早く戻れっ! オラっ!」
ヤムチャ「……わかりました。下がります」
ダン「……ったく、試合荒らしてんじゃねぇよ、糞が!」
実況「さぁ、ヤムチャも自軍コーナーに引き下がります……なんとか、レフェリーの制止で、騒動は収まったでしょうか?」
ホーク「そうですね。落ち着きましたね」
実況「さぁ、リング上には、ダルシムとブランカ! と言っても、ダルシムはダウンしており……ブランカはコーナーでぐったりとしています。 荒れた展開から一転……ここから、どうなってしまうんでしょうか?」
ダルシム「ううぅ……」
ブランカ「……ウググ」
ダン「あ〜、次はダルシムとブランカだな……ったく、やる事が多くて忙しいな……まぁ、先ずはブランカからなんとかすっか……」イソイソ
435:
ブランカ「ウググ……」
ダン「お〜い、ブランカ……? 大丈夫か、しっかりしろ……?」
実況「さぁ、レフェリーがコーナーのブランカに近づいて……意識を確認しているのでしょうかねぇ?」
ダン「お〜い……? 聞〜こえてま〜すか〜? しっかりしましょうねぇ〜?」ペチペチ
ブランカ「……ウググ」
実況「さぁ、頬を叩いて意識を確認にしております。大丈夫なのでしょうか?」
ホーク「……二人がかりの蹴りで、思った以上にダメージがあったんですかねぇ?」
ダン「お〜い……ブ〜ランカちゃん〜?」ペチペチ
ブランカ「……ウッ、ウウッ」パチッ
ダン「おっ、意識はあるみてぇだな……? 大丈夫か、やれるか……?」
ブランカ「ウガアアァァァァっ!」
436:
実況「おっと、ここでブランカが起き上がりましたが……突然雄叫びをあげました! 近くにいた、レフェリーも突然の出来事に耳を塞ぎます」
ダン「なんだよ……いきなり大声、出すんじゃねぇよ……びっくりするじゃねぇか……」
ブランカ「だんサン、聞イテ、聞イテ!」
ダン「あぁ……? 何だよ……?」
ブランカ「俺、二人掛カリデ蹴ラレタ……! 痛カッタ! 悔シカッタ!」
ダン「……はぁ」
ブランカ「一人ハ、アソコノ、こーなーニイル奴! 一人ハ、ソコデ、だうんシテイル奴!」
ダン「……そうやって指を指すな。失礼だぞ?」
ブランカ「二人デ攻撃ナンテ、ズルイ、ズルイ! 俺、何モ出来ナカッタ! アンナノ、ズルイ、ズルイ! るーる違反!」ジタバタ
ダン「悪かったよぉ……? 今度からはさ、ちゃんと俺が止めるから……そんなに、暴れるんじゃねぇよ……?」
実況「おっと、ブランカは先程、二人掛かりで攻撃を受けて事を、根に持っているんでしょうかねぇ……? 少し、興奮しているようです!」
ホーク「ヤムチャ選手とダルシム選手を指差してましたからねぇ……おそらくそうでしょう。折角、仕切り直しになったのに……これまた厄介な事になりそうですね……」
実況「相手は野生児! 知能レベルは三歳児と考えた方がいいかもしれません! これは、先にダルシムに声をかけるべきだったのでは!?」
437:
ブランカ「クソッ……俺、許セナイゾ……!」
ダン「あ〜、待て待て……! とりあえず、一回、仕切り直そう……! 落ち着けって!」
ブランカ「俺ノ怒リハ、爆発寸前……」
ダン「だから、とりあえず落ち着けって……! 『待て』だ! いいな、ブランカ、『待て』」
ブランカ「……ウッ」ピタッ
ダン「よしよし……いいぞ、いいぞ……次は、『伏せ』だ! 『伏せ』」
ブランカ「……」ビシッ
実況「おぉ〜と、そういえばブランカを手なづけるには、この方法があったか!? レフェリーがブランカに指示をすると……暴れていたブランカはピタリを動きを止めました!」
ダン「よし、そのままだぞ……そのままだ、ブランカ……今の間に俺はダルシムに声をかけるからよぉ……?」
ブランカ「……」ピタッ
ダン「よっしゃ、よっしゃ……今の内、今の内……早い所、ダルシムの意識も確認しねぇとな……ま〜た、ブランカが暴れちまう……」イソイソ
実況「さぁ、その間に、レフェリーはダルシムの元へと向かいます! 急げレフェリー! こいつは、そういつまでも、待っていられる程賢い犬ではないぞ!?」
レフェリー、ガンバレー!
実況「今、会場から『レフェリー頑張れ』と声が聞こえたぞ!? こういった、こういった歓声は珍しいぞ!?」
クスクス……クスクス……
438:
ダン(いつもは……もうちょっと、ウケるんだけどなぁ……こんな使い方をして、ジミー……悪ィな……)
ブランカ(中断した攻防の再開前に、場内を温めてくれたんですね……いつもより、笑いは少ないですが……おそらく、この芸はこの試合中にしている時間もないでしょうし……これでいいと思います)
ダン「おいっ、おいっ……! ダルシム、大丈夫か? しっかりしろ!」
ダルシム「う、ううっ……」ムクッ
ダン「大丈夫か……? まだ、やれっか……?」
ダルシム「気遣い、感謝する……私はまだ、やれるよ……」
実況「さぁ、今ダルシムが起き上がり……ここから、仕切り直しは整ったでしょうか?」
ダン「よっしゃ! 二人とも、準備はいいな!? それじゃあ、ブランカ……! 『伏せ』解除だ! もういいぞ!」ビシッ
ブランカ「……よしっ!」
実況「そして、レフェリーがブランカに指示をして……ブランカも戦闘体勢っ!」
パチパチ……パチパチ……
実況「なんとか、試合が立て直されましたかね? 場内からは拍手が送られます!」
ダン「いやぁ〜、まさか俺が拍手を頂けるなんて……有難い話だねぇ……それじゃあ、二人とも、準備はいいな!?」
ダルシム「……あぁ!」
ブランカ「……任セロ!」
ダン「よしっ……! じゃあ、試合再開だ……ファイッ!」
450:
ブランカ(今日の試合、入場にも時間がかかっている……そして、先程のやりとりも、予想以上に伸びてしまった……ダルシムさんとの、攻防……少し、スピードアップしていかないとなぁ……)
ダルシム「さぁ、いくぞっ……! ブランカよっ……!」
ブランカ「ウオオッ……! サッキノ仕返シダ……! 覚悟シヤガレッ……!」シュタッ
実況「おっと、ここでブランカが身体能力を見せたっ! クルッとバク転をして……」
ブランカ「……ウオオォォォッ!」ギュルンッ
ダルシム「何っ……!? 飛んだだと……!?」
実況「そして、間髪入れずに身体を丸めて高く飛び上がったぞ! こいつはバックステップローリングだっ! ブランカがトリッキーな動きで仕掛けたぁ!」
ダルシム「くっ……こいつ、早いっ……!」
ブランカ「……グフフ」
実況「さぁ、落ちてくる落ちてくるぞ! 頭上から、丸まった野生児が落ちてくる!」
451:
ブランカ「……ウオオォッ!」ガスッ
ダルシム「……うおっ!」ヨロッ
実況「ブランカの攻撃を受け……少しばかり、ダルシムはフラつきます!」
ディージェイ「ヘイヘイ、Mr.ブランカ! 今のは、いいリズムだよ〜!」
ホーク「コーナーにいるディージェイ選手も、声援をおくってますね」
ブランカ「マダマダ、ダ……イクゾッ……! ウオオォッ……!」ギュルンッ
ダルシム「……何っ!?」
実況「おっと、ここで間髪入れずにもう一発っ! 今度は通常のローリングアタックだ!」
ブランカ「……ウオオオォォォッ!」ドスッ
ダルシム「うぐっ……こいつ、早いぞ……!」バターン
実況「よろけたダルシムの隙を見逃しませんっ! 隙を与えない、野生児特有の連続攻撃だ! これにはダルシムも……ダーウンっ!」
452:
ブランカ「グッフッフ……俺ノ怒リハ、コンナ物デハナイ……」ダダッ
ディージェイ「ヘイヘイ、Mr.ブランカ! ナイスビートだ! ミーも乗ってきたよ!」ルンダルンダ
ホーク「コーナーにいるディージェイ選手も乗ってきましたね……まーた、踊ってます……」
実況「さぁ、ブランカはダウンしているダルシムを尻目に、ロープに走る! ロープの反動をつけての攻撃か!? 何を狙っているんだ!?」
ブランカ「グッフッフ……行クゼ……!」
ダルシム「ううっ……くそっ、来てるな……なんとかしなくては……」
ブランカ「モウ、手遅レダ……イクゾ……スライディング、シテノ……!」
ダルシム「な、なんだ……この動きはっ……!?」
ブランカ「……だぶるパーンチダっ!」ドスッ
ダルシム「……うぐっ!」
実況「おぉ〜っと、これはスライディングパンチとでも言えばいいでしょうか!? ヘッドスライディングのように、頭から滑り込み……その勢いのまま、ダルシムの脇腹辺りに拳を打ち込んだぁ!」
ホーク「珍しい技ですね」
453:
ディージェイ「ヘイヘイ、Mr.ブランカ! ナイスナイス!」ルンダルンダ
ヤムチャ(あの技……俺も使った事がある……ダウンしている相手に、ロープから走りこんだ勢いをつけて……スライディングして、相手の脇腹に打つ技だ……)
ダルシム「ぐっ、ぐおおぉっ……」
ブランカ「グッフッフ……ソコ、殴ラレルト、痛イ……俺、知ッテル……」
ヤムチャ(俺は足で蹴ったけど……ブランカさんは、手でやりやがった……はっきり言って格好悪い……俺の技の方が全然格好いい……)
実況「流石に脇腹をピンポイントで狙われると苦しいか!? ダルシムは少しばかり苦しんでいる模様です」
ヤムチャ(だけど、なんて言うか……格好悪いけど、ブランカさんのイメージにぴったりなんだよ……あのふざけた人だったら、綺麗な技より、こういう技の方が似合うんだろう……)
ディージェイ「ヘイヘイ、Mr.ブランカ! ファンキーだぜぇ〜!」ルンダルンダ
ヤムチャ(こういう所も学んでいかねぇといけねぇのかな……? というか、ま〜たアイツ、踊り始めたぞ? どうすんだ、放っておいて大丈夫か?)
456:
ヤムチャ(今、ダルシムさんはダウンしてピンチなんだし……俺が乱入して、ブランカさんに一撃与えて……そのついでに、アイツにも攻撃を仕掛けて場外に落ちておいてもらう……)
ブランカ(ふ〜む、また踊り出しましたねぇ……ダメなワケではないのです……私が大技を仕掛けた時なんかに、ソレをしたらいいのです……ディージェイ君は、何でもやりすぎなんですよ……)
ヤムチャ(いや〜、ダメだ……このタイミングで乱入は早いだろ……ダルシムさんはそこまで大技受けたワケではないんだし……ただ、痛めつけられてるだけだ……こんなタイミングで乱入繰り返してたら、いつまで経っても大技の攻防にはならねぇ……)
ブランカ(下手に刺激して、ヘソを曲げられるのも、困りますし……ここは、敢えて、乗っておきましょうか……)
ディージェイ「ヘイヘイ、Mr.ブランカ! ファンキーだったよ〜!」ルンダルンダ
ブランカ「俺、強イダロ! でぃーじぇいモ、俺ノ強サヲ、見テテクレタンダナ!?」
ディージェイ「イーエス! 勿論、見ていたよ〜! と〜っても、ファンキーだぜぇ〜!」
ブランカ「仲間二褒メラレテ、俺モ嬉シイ! 俺トでぃーじぇいハ仲間! 俺モ踊ル!」ピョンピョン
ヤムチャ(……ん?)
実況「おぉ〜っと、ここでブランカも踊り始めたぞ!? コーナーでいるディージェイの動きを真似て……自らも同じように、踊っています!」
457:
ブランカ「コンナ感ジデ、イイノカナ……? でぃーじぇいノだんす、難シイ! ア、ソレ……ヨイヨイ……」ピョンピョン
実況「踊っている! ブランカが踊っている! だが、何だろう……何処と無く、ぎこちないっ!」
クスクス……クスクス……
実況「人間界の踊りを真似るには、少しばかり知能が足りていないのか……!? 何だ、コレは! 上手く出来ていないぞ!?」
ディージェイ「……Mr.ブランカ」
ブランカ「ア、ソレ……ヨイヨイ……ホレ、ヨイヨイ……」
クスクス……クスクス……
ディジェイ(貴方ともあろうお方が……何故、ミーの動きを真似するんだ……これは、僕の行動じゃないか……人の行動を真似すればいいってものじゃない……それはいつもいつもMr.ブランカがミーに言っている事じゃないか!?)
ヤムチャ(あれ、アイツの動きが止まったぞ……? どういう事だ……?)
ディジェイ(何より、Mr.ブランカ……! 貴方にはリズム感の欠片もないっ……! そんなダンスじゃ、オーディエンスは乗せられないよ……!)
458:
ダルシム(よくわからんが、ディジェイ君の動きが止まったぞ……? これは、仕掛けるチャンスだな……だが、慌ててはいけない……ゆっくりでいい……)ムクッ
実況「おっと、ここでダルシムがゆっくりと起き上がります! 脇腹を抑えている所を見ると、少しばかりダメージを受けている模様です!」
ブランカ「ア、ソレ……ヨイヨイ……ホレ、ヨイヨイ……」
ダルシム「呑気に踊っている場合ではないぞ……! ふんっ……!」グイッ
ブランカ「……ヌッ?」
実況「そして……踊っているブランカの右手を捻りながら掴んだぁ!」
ブランカ「ウガッ……! ウガガ……! 痛イ痛イ痛イ……!」
ダルシム「私のような老体では、君のような素早い攻撃や力のある攻撃は出来ん……」
ブランカ「痛イ痛イ痛イッ……! オ前、何シテル……!? 手ヲ離セ……!」
ダルシム「だが、関節技なら向いている……テコの原理で仕掛ける事が出来るからな……こいつは、アームロックという技だ? どうだ、痛かろう……?」
実況「さぁ、ダルシムがブランカの右腕にアームロックを仕掛ける! ブランカはかなり、痛がっている模様です!」
460:
ブランカ「痛イ痛イ痛イ! だんサン、助ケテ!」
ダン「……ギブアップすんのか?」
ブランカ「ぎぶあっぷハシナイ……! ダケド、助ケテ……!」
ダン「……あのなぁ?」
ダルシム「安心しろ、ダン君……今、彼は痛みでパニックになっているだけさ……少し、冷静になれば力づくで……この老体から逃れる事が出来るだろう……こんな技では決まらんよ……」
ダン「お、おう……そうか……」
ダルシム「だが、そうは私もさせん……ブランカ君よ……少しばかり、激痛が走るが……まぁ、我慢しろよ……?」
ブランカ「痛イ痛イ痛イ! モウ、トックニ痛イ!」
ダルシム「これより、もっと痛い事だ……さぁ、覚悟しろっ……! フンっ!」グイッ
ブランカ「……ウオッ!?」
実況「さぁ、そしてダルシムはロックしたままの腕を……そのまま高々と上げたぁ!」
462:
ダルシム「ふんっ……! ショルダーアームブリーカーだっ!」ガスッ
ブランカ「……アガッ!」
実況「さぁ、そして捉えた腕を一気に降り下げて、自らの肩口にブランカの腕の関節部分をぶつけるっ! テコの原理でブランカの腕にダメージを与えにいったぁ!」
ホーク「いくらブランカ選手に筋肉があるとしても……こうやって、関節部分をピンポイントで責められるのは、効きますよね」
実況「ダルシムのショルダーアームブリーカー! ブランカはかなり、痛がっている模様です!」
ブランカ「ナ、ナンダ……ソノ技……? 俺、ソンナ痛イノ知ラナイ……俺、オ前ノ事、怖イ……」
ダルシム「そんなに怯える事はない……別に腕は折れちゃいないだろう……? さぁ、もう一発、いこうか……?」グイッ
ブランカ「ウッ……! 嫌ダッ……! ヤメロ、離セッ……!」
実況「さぁ、そして逃さず、ブランカの手をもう一度掴みます!」
ホーク「ブランカ選手、かなり痛がっていますからねぇ……効果的ですね」
463:
ヤムチャ(あの技、多分本気で仕掛けたら……マジで腕が折れちまうね……ダルシムさんも、そこはわかってるだろうし……加減してやってんだろう……)
ダルシム「さぁさぁ、もう一度行くぞ……?」ググッ
ブランカ「モウ、ヤメロォ……! ソノ技ハ、ヤメテクレェ!」
ヤムチャ(だから、これはブランカさんのやられ方が上手いって事だ……以前、バイソンさんに言われた時には、うっすらとしかわからなかったが……今、目の前で見て、はっきりとわかったよ……)
ダルシム「さぁ、覚悟しろっ……! フンっ……!」ガスッ
ブランカ「……ウガアアアァァァッ!」
実況「さぁ、そして、もう一発っ! ブランカの腕に、ショルダーアームブリーカーでダメージを蓄積させていくっ!」
ブランカ「ウアア……アガガ……オ前、何テ酷イ奴ダ……」
ダルシム「ははは、すまないすまない……だが、安心しろ……そろそろ、とどめにしてやるよ……」
実況「さぁ、ブランカは苦しそうです! 腕をダラーンと垂らして……これは、右腕はもう使えないか!?」
473:
ダルシム「さぁ、いくぞ……ふんっ……!」ググッ
ブランカ「……ウオッ?」
実況「さぁ、ここでダルシムがブランカを掴みにかかったぁ! こいつは、ヘッドロックか……? ヘッドロックからの……狙っているのか!?」
ダルシム「皆の期待に応えたいのは、山々だが……」
ブランカ「ウオッ……! 離セ……離セ……」
ダルシム「このチャンス……逃す訳にはいかない……! だから、ここはこうだっ!」ググッ
ブランカ「……ウオッ?」
実況「おっと、これはフェイントか!? ヘッドロックのような体勢から、そのままブランカかの背中に自らの体重を乗せて……そのまま腹這いにダウンさせる!」
ダルシム「さぁ、いこうか……狙いは勿論……この右腕だよ……」ググッ
ブランカ「!」
実況「素早くグラウンドの体勢に持っていったぁ! そして、そのまま脇固めに持っていったぁ! 狙いは勿論……先程、痛めつけた、右腕だぁ!」
474:
ブランカ「ウワアアアァァ! 痛イ、辞メロ! 何ヲ、スルンダ!」バタバタ
実況「痛めつけられた右腕を決められ、これには流石の野生児も?く! 暴れる! 泣き喚いている!」
ダルシム(なんだかんだ、あったが……そろそろ5分……交代の時間だ……)
ブランカ「ウワアアア! 痛イ痛イ痛イ! だんサン、助ケテ!」
ダン「大丈夫か!? どうする、ギブアップすんのか!?」
実況「さぁ、ロックのかかり具合はいかがですかねぇ? ホークさん?」
ホーク「いいんじゃないですか? いい感じだと思います」
実況「ロックはガッチリ決まっている! ここで、ダルシムが決めに来たか!?」
ホーク「まぁ、でもブランカ選手はパワーもありますからね……どうなんでしょう……」
ダルシム(このまま、ディージェイ君の方に逃げて……ロープブレイクと同時に交代だ……なんとか、繋ぐ事が出来たな……)
ブランカ「痛イ痛イ痛イ! ダケド、ぎぶあっぷハ、シナイ! だんサン、助ケテ!」
ダン「お前の理屈はいつも、わかんねぇよ……まぁ、ギブアップしねぇんだったら、ロープまで逃げな……ロープブレイクしたら、俺も助けてやるよ……ルールだからな……」
ブランカ「……ワカッタ! 俺、ろーぷマデ逃ゲル! 頑張ル!」
475:
実況「さぁ、ブランカはか〜なり、苦しんでいるっ! ロープまで逃げようとしているが……辿りつけるでしょうか!?」
ホーク「でも、ブランカ選手は結構パワーありますよ?」
ディージェイ「ヘイヘイ! Mr.ブランカ、何をやっているんだい! 見ちゃいられないよ!」
ヤムチャ(あっ、あの野郎……また、動きやがった……しまった、出遅れたな……)
ダン(おいおい、ディージェイ……大丈夫だよな……? わかってるよな……? ちゃんとしろよ……?)
ダルシム(……間違った、行動ではないが、少し不安だな)
実況「おっと、ここでディージェイがリングイン! ブランカの救出に向かいます!」
ディージェイ「Mr.ダルシム……貴方の攻撃は、ファンキーじゃない……とてもじゃないが、イケてない……さぁ、Mr.ブランカから、離れるんだ……」
ダルシム(もう、自分の出番直前だってのに……彼は本当に我慢が出来ないんだな……)
ディージェイ「ヘイヘイ、聞こえないのかい? だったら、嫌でもMr.ブランカから離れれるように……こうしてあげるよ……フンッ!」ガスッ
ダルシム「……ぐっ!」
実況「脇固めをしているダルシムに対して、ストンピング! 踏みつけていきます!」
ホーク「まぁ、ブランカ選手がロープまで逃げ切れるか……不安な部分もありましたしね……早め早めの対応でしょう」
476:
ブランカ(まぁ、私が這いずって、ロープまで逃げるのも……こうやって、助けられた後に、ダメージを負った振りをしながら、彼の元に戻るのも……試合展開は変わりません……こういった、細かい部分での自己主張は上手いと思うんですが……)
ディージェイ「ヘイヘイ〜! ミーはいつだってファンキーさ! リズムに乗って踏んづけていくよ〜! フンッ……フンッ……フンッ……!」ガスガス
ダルシム「ぐっ……ううっ……うぐっ……!」
ブランカ(……ちょっと、やりすぎじゃないですかねぇ? 一撃与えれば、ダルシムさんは、倒れてくれますよ)
実況「おっと……ここで、ディージェイが連続ストンピング! ダルシムの身体を容赦なく踏みつける!」
ホーク「まぁ、念入りにって、感じですかね……? また、ブランカ選手がダルシム選手に掴まったら厄介ですからね」
ヤムチャ(おいおい……そろそろ5分だぞ……? お前の出番は、もう来るからよ……とりあえず、大人しくしておけよ……これ、俺も参加したら面倒な事になって、タッチ出来ねぇからいけねぇな……)
ダン(さっき、レフェリーの俺が目立っちまったから、もう大人しくしておきてぇんだけどなぁ……長ぇな……仕方ねぇ、やんわり警告しておくか……)
ディージェイ「フンッ……フンッ……フンッ……! イエーイ、ファンキーだねぇ〜」ガスガス
ダルシム「ぐっ……ううっ……うぐっ……!」
477:
ダン「……おい、ディージェイ? もう、いいだろ? そろそろ下がれ」
ディージェイ「ホワーイ!? 何故、ミーが下がる必要があるんだい!?」
ダン「……んあ?」
ディージェイ「Mr.ダン……貴方まで、どうしてミーの事を邪魔するんだ!? さっきも、ミーの事を邪魔しただろう!?」
ダン「おい、やめろよ……突っかかってくるんじゃねぇよ……」
実況「おっと、ここでディージェイがレフェリーに食ってかかります! コーナーに下がれとでも言われたのが……シャクに障ったのでしょうかねぇ?」
ダン「おいおい、落ち着けって……今は、目立ちたくねぇんだ……落ち着けよ……」
ディージェイ「目立つ事をして、オーディエンスを乗せるのが、僕達の使命だろ! Mr.ダン、貴方はさっきから、それの邪魔ばかりをしている!」
ダン「時と場合に寄るんだよ、それは……おめぇの今日の相手はヤムチャじゃねぇのか……目立つ事するのは、そこだろが……!」
ディージェイ「……Mr.ヤムチャ?」
ダン「こんな、ベテランのおっさん踏みつけまくって、盛り上がるんのか……? 違うだろ、なぁ、違うだろ……?」
478:
ディージェイ「Mr.ダン……そうだよ……ミーの相手はMr.ヤムチャだった……」
ダン「……わかったんなら、さっさと下がれ」
実況「おぉ〜っと……ここでようやく、ディージェイも落ち着いたか? 動きを止めます!」
ディージェイ「ミーは、Mr.ヤムチャと激しいバトルをして……オーディエンスを乗せていかなきゃならない……だから、ミーは行くよ……」
ダン「おうおう、行っちまえ……ほら、早く、自軍コーナーに行っちまえ……」
ディージェイ「Mr.ヤムチャ……さぁ、ミーと激しいバトルを始ようか……うおおおぉぉぉっ!」ダダッ
ダン「おいっ……! 何やってるんだ、そっちじゃねぇ!」
実況「いやっ、 落ち着いていない! 落ち着いていない! ディージェイは落ち着いていないぞ!? レフェリーの制止を聞いたように見えたのは……ディージェイのポーズだったか!?」
ホーク「……うわ」
実況「コーナーに待機しているヤムチャの元へと突っ込んだ! このディージェイの行動……私、読めませんっ!」
ヤムチャ(何やってんだ、コイツ……! 俺達の出番だろが……! なんで、このタイミング突っ込んで来るんだよ……!)
ディージェイ「ヘイヘイ、ヘイヘイ……さぁ、ファンキーに行くよ〜!」ダダッ
482:
ヤムチャ(食らうか……? 避けるか……? 掴みかかるか……? くそっ、ダメだ……完全にこれは想定外だった……考えが間に合わ……)
ディージェイ「イ〜ヤッホオオォォォゥ!」ガスッ
ヤムチャ「……ぐわっ!」
実況「そのまま、コーナーに控えているヤムチャに対して、ジャンピングしてのニーアタックっ! ヤムチャを場外へと突き落とします!」
ダルシム(……何をしている、彼は!? もう、自分の出番はすぐそこだっただろう! 何故、このタイミングで)
ダン(俺の言い方がマズかったか……? しまった……これは、完全に俺のミスだ……!)
ブランカ(……入場の時のモタつき? そこが、計算に含まれてないんだったら)
ディージェイ(ミー達の出番まで、後2分ぐらいはあるんじゃないかな……? その間に、こうやってオーディエンスを温めればいいんだね……ナイス、アドバイスだ……Mr.ダン、感謝するよ……)
実況「さぁ、そしてそのまま、ディージェイは場外にダウンしたヤムチャを追いかけます!」
ヤムチャ(落ち着け落ち着け……まだ、やりようはいくらでもある……とにかく、お互いが交代出来る状況を作り出さねぇと……)
485:
ディージェイ「ヘイヘイ、Mr.ヤムチャ……起きなよ……さぁ、盛り上げていこう……」ググッ
ヤムチャ「ううっ……くそっ、舐めんじゃねぇっ……!」
ディージェイ「……ぬっ?」
ヤムチャ「うるぁっ……! 舐めんじゃねぇよっ!」ゴスッ
ディージェイ「アガガ、痛いよ、痛いよ……Mr.ヤムチャ……」
実況「場外でヤムチャが引き起こされ……いやっ! ヤムチャが上手く返した! ディージェイの身体を掴みに、エプロンサイドに叩きつけます!」
ディージェイ「何をするんだ、Mr.ヤムチャ……離すんだ……ミーを離すんだ……」モガモガ
ヤムチャ「うるせぇっ……! お前は大人しく、リングの端っこ、舐めてな……! 邪魔なんだよ……!」グリグリ
実況「そして、そのままエプロンサイドにディージェイの顔を押し付ける! こ〜いつは、ディージェイにとっては少しばかり、屈辱的な攻撃だ!」
ホーク「そうですねぇ」
実況「気ままにやっている、ディージェイに対して……ヤムチャの怒りもついに爆発といった感じでしょうか!?」
488:
ヤムチャ(理想はコイツを、向こうのコーナーで、大人しく待機させておく事だけど……)
ディージェイ「モガガ……モガガ……!」
ヤムチャ(暴れ回るコイツを、あっちのコーナーまで持っていく自信はねぇ……! 俺がダウンしたとしても、大人しく帰る様な奴じゃねぇだろ、コイツは……!)
ディージェイ「ううっ……離せ……離すんだ……Mr.ヤムチャ……」
ヤムチャ(どうすればいい!? もう、わかんねぇぞ! 何か指示をくれ、ダンさん!)チラッ
ダン(俺が場外に出て、二人を止めるか……? だが、ディージェイの野郎……それで、あっさり引き下がってくれるのか……?)
ブランカ「ウオオオォッ!」ムクッ
実況「おっと、ここでリング上のブランカが、起き上がった! さぁ、ブランカも……場外乱闘に参加か?」
ブランカ(タッグマッチでのディージェイ君が、まさかこんなに危険な存在だとは思わなかった……! ヤムチャ君、もう少しそのまま抑えておいてくれ……! 今、私が何とかしてみせるっ……!)
505:
ダン(ジミー……! おめぇが動いてくれるのか……よしっ、ここは任せるぞ、早い所ディージェイを何とかしちまえ……!)
ブランカ「ウオオオォッ! 俺ハ負ケナイゾッ! ウリャァッ!」ガスッ
ダルシム「……うぐっ!」
実況「いや、起き上がったブランカは……大きくタメを作ってブランカをストンピング! 踏みつけていきます!」
ホーク「そうですね」
実況「これは、場外でヤムチャとディージェイが乱闘してる隙に……決めてしまおうという事ですかねぇ? 恐らく、ダルシムもかなりのダメージを受けているでしょうから!」
ヤムチャ(お、おいっ……! ブランカさん、助けに来てくれねぇのかよ……!)
ディージェイ「離すんだ……離すんだ……Mr.ヤムチャ……ふんっ……!」グイッ
ヤムチャ(う、うおっ……やべぇっ……! 折角、捉えてたのに……逃げ出しやがった……! やべぇぞ、ダンさん……俺はどうしたらいいんだ……!?)チラッ
ダン(ジミー、どうするつもりだ……? ダルシムの事も場外に落として、おめぇらも場外乱闘おっ始めるつもりか……? でも、あまり試合荒らすんじゃねぇぞ……ここは、第二試合なんだからよぉ……!)
506:
ブランカ「ウオオオォッ……! 起キロ……起ヤガレッ……!」ググッ
ダルシム「……ううっ」
ブランカ「……フンッ!」
実況「さぁ、ブランカはダルシムを引き起こし……そのまま、ロープへと振ったぁ!」
ダン(場外乱闘にはいかねぇのか……? ジミー、どうするんだ……? でも、ジミーにはきっと何か考えがあるに違いねぇ……だから、ここは……)
ディージェイ「ヘイヘイ、Mr.ヤムチャ……ファンキーな攻撃とはこうやるんだよ……君は何もしなくていいから……ミーに任せておきなさ〜い……」シュッ
ヤムチャ「くっ、来やがったっ……! うぐっ……!」
ダン「ヤムチャァ! おめぇは、暫くそこで何とかしてろ! こっちが、何とか立て直す!」
実況「レフェリーはリング内から、場外の二人に警告しているんでしょうかねぇ? おっと、そうこうしているうちに……ロープに振られた、ダルシムが返ってきたっ!」
509:
ブランカ「……ウオオオォッ!」クイッ
ダルシム「……う、うおっ!」
ブランカ「……ウンガアアァァッ!」ドシーンッ
ダルシム「……うぐっ!」
実況「そして、カウンターのアームホイップを仕掛けるっ! 走ってくるダルシムを勢いを利用した技だ! 自分の右腕を上手く、相手の脇の下に差し込み、そのままフワリと投げて、ダルシムを背中からマットに落とす!」
ダルシム「う、うおおぉぉっ……!」ジタバタ
実況「ダルシムも腰を抑えて激しく悶えるっ!」
ホーク「見かけに似合わず、綺麗なフォームで高く上げて落としましたからね……ダメージも大きいんじゃないですか?」
実況「ヤムチャは今、場外でディージェイに掴まっております! これはこれは……試合を決めるチャンスか!?」
ディージェイ「ヘイヘイ……行くよ〜?」シュッシュッ
ヤムチャ(何とかしろって言われたって……! くそっ、こいつ……好き勝手に攻撃しやがって……受けるので精一杯だぞ、これっ……!)
510:
ブランカ「ウワアアアァァッ……! 痛イ……! 痛イヨオオォォ……!」
ダルシム「……ぬっ?」
実況「おっと……? だがしかし、ブランカも……自分の右腕を抑えて、激しく痛がっています! こいつは、どういった事でしょう、ホークさん?」
ホーク「アームホイップを仕掛けたのはいいんですが……その前に、ダルシム選手に、右腕を狙われた攻撃を仕掛けられてたでしょう……?」
実況「あ〜、確かに……アームブリーカーに、脇固め! 結構、腕に攻撃を仕掛けられていましたね」
ホーク「なんだかんだで、ダメージは残っていたんですね……相手の勢いを利用する技といえども、右腕一本で投げているわけですからね……その負担に耐えれなかったんでしょう……」
実況「なる程! ブランカ……フォールに行けないっ……!」
ブランカ「ウウッ……右腕ガ痛イ……クソッ、今ガ大ちゃんすナノニ……」
ダルシム「うぐっ……どうやら、右腕を痛めつけていたのが、生きていたようだな……これは、幸運な展開だ……」
ブランカ「早クシナイト、アイツガ起キテシマウ……ダケド、腕ガ……腕ガ……」
512:
ダン「おい、ブランカ……おめぇ、大丈夫か……? その右腕……試合出来るのか……?」
ブランカ「ウルサイ、ウルサイ! 俺ハ、絶対二勝ツ! ウルサイ、ウルサイ!」
ダルシム「相手も、辛いようだ……ここは無理に責めずに、少し様子を見て……」
ブランカ「モウ一回、チャント仕掛ケテ、コイツヲヤッツケル! 今度コソ、チャント、ヤッツケテヤル!」
ダン「でもよぉ……? その右腕腕じゃ……」
ブランカ「ウルサイ、ウルサイ、ウルサイ! 俺ニハ考エガアル!」バンバン
ヤムチャ「……ん?」チラッ
ディージェイ「ヘイヘイ〜!」
ブランカ「オイ、でぃーじぇい! 助ケテクレ! オ前ノ力ガ必要ダ! 俺ヲ、助ケテクレ!」バンバン
実況「おっと、ブランカはリング上から、場外にいるディージェイを呼び寄せているのか? マットをバンバンと、音を鳴らしながら叩き、ディージェイの方を向いて、声をかけている模様です!」
ホーク「ディージェイ選手が……上手く、ヤムチャ選手をまければ、いいんですが……」
515:
ヤムチャ(来たっ……! 天からの助け船……!)
ディージェイ(ヘイヘイ……Mr.ブランカ……どうして、こんなタイミングでミーを呼ぶんだ……ミーはこっちで盛り上げてるんだから……)
ブランカ「何シテル! ソンナ、弱ッチイ奴、早クヤッツケテ、俺ヲ助ケテクレ! 早ク、来イ!」
ヤムチャ(そうか、ブランカさんはこいつの味方なんだから……直接、コイツに指示を与えたって、構わねぇよな……でも、だったらもっと早くに指示してくれても……)
ディージェイ「ヘイヘイ……何なんだ、いったい……皆、ミーの邪魔ばかりしているじゃないか……」イライラ
ブランカ「何シテル! ソンナ、弱イ奴二手コズルナ! 早ク、ヤッツケロ!」
ヤムチャ(あっ、いや……違う……この場外乱闘の攻防……これはまだ、終わりきってねぇんだ……こいつが、俺の目の前で、急にクルリと背を向けて……何事もなかったようにリングに戻る……そんなの不自然じゃねぇか……)
ディージェイ「あぁ、なんなんだ……なんなんだ……」
ヤムチャ(仲間をリングに呼び寄せるのだって、そうだ……よっぽど有利な状況か……よっぽど不利な状況で呼び出さねぇと、不自然に見えちまう……ダルシムさんだって、そういう状況で、俺を呼び寄せてくれたんだし……)
ブランカ「二人デ合体技ヲ打ッテ、コイツヲヤッツケヨウ! でぃーじぇい、俺ヲ助ケテクレ!」
ヤムチャ(この場外を乱闘を終わらせるべきタイミング……コイツをとりあえず、リングの上に戻すタイミング……それが同時に出来るべき状況を、ブランカさんは、急ピッチで作ってくれたんだな……!)
518:
ヤムチャ(問題は、コイツがブランカさんの……行動の真意を理解しているって話なんだが……)
ディージェイ「……ヘイヘイ、なんだよなんだよ」
ヤムチャ(してねぇな、こりゃ……ちくしょう……俺が、何とかフォローしなきゃいけねぇのか……ここには、俺しかいねぇんだからよぉ……)
ディージェイ「そもそも、ミーはMr.ヤムチャと戦ってるじゃないか……こ〜んな状況じゃ、そっちに行けるわけないじゃないか……ミーはどうしたら、いいんだよ……」
ヤムチャ「……おい、早い所、俺をぶっ飛ばして、リングの上に戻った方がいいんじゃねぇか?」ボソッ
ディージェイ「……ん?」
ヤムチャ「俺をぶっ飛ばして……リングに戻れば……ブランカさんと合体技打てて、凄ぇ格好いい所を見せれるんじゃねぇか……? お前、大チャンスなのに……こんな所で何してるんだよ……?」ボソッ
ディージェイ「格好いい……!? 今、リングに戻れば、格好いい所が見せれるのかい!?」
ヤムチャ「あぁ、凄ぇ格好いい所、見せれるぜ……? こ〜んな、場外乱闘の百倍は格好いいよ……だからよ、ホレ……なんか、あるだろ……? 俺に、大技でも仕掛けろよ……」ボソッ
ディージェイ「Mr.ヤムチャ……大技まで、かけさせてくれるのかい……!? 君は、まるで聖人のような人間だ!」
ヤムチャ「グダグダ言ってねぇで、早くしろオラっ! ぶっ飛ばしちまうぞ!」
520:
ディージェイ「OK、任せてくれ! マシンガンアッパーだっ!」ドゴゴゴゴ
ヤムチャ「……おぐっ!」ヨロッ
実況「ここで、ブランカの期待に応えるように、場外でディージェイがヤムチャにマシンガンアッパー! ヤムチャの身体がガクッと崩れます!」
ホーク「……本当、大暴れですね」
ディージェイ「Mr.ヤムチャ……どうだい……? ミーの必殺技……と〜っても、ファンキーなリズムだろう……?」
ヤムチャ「んな事、いいから早く戻れ、バカ……格好いい所、見せれなくなっちまうぞ……」ボソッ
ディージェイ「お、おう……そうだった……早くリングに戻らないと……」イソイソ
実況「さぁ、ヤムチャを蹴散らしたディージェイは、素早くリングインして、ブランカと合流! ブランカの呼びかけに、ディージェイが応えました!」
ブランカ「合体技の練習です……行きますよ? 貴方の技は見栄えが悪いんですから……ここで、綺麗なフォームを覚えて下さい……」ボソッ
ディージェイ「ヘイヘイ……ミーが苦手なスープレックスの合体技をここで、するのかい……? なんだよ、Mr.ヤムチャに騙されちゃったよ〜」
ブランカ「……文句を言わずに、やりましょう。これも上に行く為には必要な事です」ボソッ
ディージェイ「ミーはもう、完成されているんだけどね……? まぁ、仕方ないな……これさえ出来れば、ミーは第六試合や、第五試合で出来るんだよね……?」
ヤムチャ(あ〜、ちくしょう……アイツが、暴れ回るせいで……今日の俺、格好悪い所ばかり見せてねぇかな……? 下手したら、リュウさんやケンさんにも、怒られそうだし……俺もここから、巻き返していかねぇとなぁ……)
ヤムチャ「プーアル! プロレス団体に就職したのは失敗だったぞ!」【後編】へつづく
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SSが書籍化!!
SS報VIP傑作集 勇者と魔王篇
橙乃ままれ
アニメ
・まおゆう魔王勇者 (1)
・まおゆう魔王勇者 (2)
・まおゆう魔王勇者 (3)
・まおゆう魔王勇者 (4)
・まおゆう魔王勇者 (5)
・まおゆう魔王勇者 (6)
書籍
・まおゆう1 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」
・まおゆう2 忽鄰塔(クリルタイ)の陰謀
・まおゆう3 聖鍵(せいけん)遠征軍
・まおゆう4 この手でできること
・まおゆう5 あの丘の向こうに 特装版
・まおゆう5 あの丘の向こうに 通常版
・エピソード1 楡の国の女魔法使い
・エピソード0 砂丘の国の弓使い
外伝
・ まどろみの女魔法使い
まおゆう4コマ
・「向いてませんよ、魔王様」
・まおゆう魔王勇者~丘の向こうへ(1)
・まおゆう魔王勇者~丘の向こうへ(2)
・まおゆう魔王勇者~丘の向こうへ(3)
石田 あきら (著)
・まおゆう魔王勇者「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」(1)
・まおゆう魔王勇者「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」(2)
・まおゆう魔王勇者「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」(3)
・まおゆう魔王勇者「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」(4)
浅見よう (著)
・まおゆう魔王勇者(1)
・まおゆう魔王勇者(2)
・まおゆう魔王勇者(3)
・まおゆう魔王勇者(3)特装版
・ログ・ホライズン(1)
・ログ・ホライズン(2)
・ログ・ホライズン(3)
・ログ・ホライズン(4)
・ログ・ホライズン(5)
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