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P「春香が可愛すぎて仕事に集中できないんだ」


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1:
律子「は?」
P「可愛いんだ……」
律子「……何が可愛いって?」
P「天海春香。俺の担当アイドルだよ」
律子「……それは知ってますけど」
律子(急に何言い出すのこの人)
6:
律子「あー……ま、まぁ、確かに可愛いですよね。リボンも似合ってる」
P「えー、なんだよ、その『言われてみればそういえば』みたいな反応。
 春香は言うまでもなく可愛いだろ?」
律子「急に変なこと言うからこんな反応になってるんですけど……」
P「春香が可愛いのがそんなに変だって言うのか!?」ガタッ
律子「ちがっ、もう、落ち着いてくだ……落ち着け! こら!」
……
律子「あなたが急にらしくないこと言うから驚いたんですよ。
 何かあったの? 春香になんか言われた?」
P「いや、何もないよ。まぁ、あえて何か変わったと言えば──」
律子「……?」
P「俺の心──……かな。へへっ……」
律子(うわぁ、うざっ」
8:
P「律子、今うざいって……」
律子「ゴホンゴホン!」
律子「……担当アイドルを可愛いと思うのは良いことですけど、
 仕事に集中できないっていうのは感心しませんね」
P「だよなぁ……はぁ」
律子「本気で落ち込まないでくださいよ……まるで恋する中学生みたいね」
P「ここ、恋!?」ドキッ
律子「……」
P「そ、そうだったのか……これが恋……」
律子「面倒くさい人……」
ガチャッ
春香「おっはようございまーす!」
P「どきっ! お、おお、おはよう春香っ!」
律子「ちょっと、プロデューサー……あなたはあくまで、
 プロデューサーなんですからね。変に態度に出さないでくださいよ」
P「わ、わかってるよ……」
9:
春香「あ! 律子さん、プロデューサーさんっ、おはようございます♪」
律子「おはよう。随分ご機嫌みたいねぇ」
春香「はいっ! 私最近、アイドル生活がすーっごく楽しくて!
 今日はどんなお仕事が私を待ってるのかなって思うと、今からワクワクしちゃいますっ!」
律子(うぁ、まぶしい……後光が差してるみたいね)
春香「えへへ……これも、私のプロデューサーさんのおかげかなぁ……」チラッ
P「!」ドキッ
春香「なーんて♪」
P「お、俺のおかげなんかじゃないさ。春香が毎日、
 レッスンを誰よりも一生懸命頑張ってるから……だからその……」
春香「そ、そんなぁ、言いすぎですよぅ……えへへ、
 でもプロデューサーさんにそう言ってもらえたら、私、すっごく嬉しいですっ!」
P「へ、へへ……今日も頑張ろうな、春香!」
春香「はーいっ!」
律子(何この甘ったるい空気)
11:
 
……
<ハイオッケー。十五分休憩でーす
ピピピ
律子「……あら?」
伊織「律子、どうしたの?」
律子「あぁ伊織、お疲れ様。今プロデューサーからメールが来てね……
 仕事中に連絡してくるなんて珍しいから、ちょっと気になっただけよ」
ピッ
………………………………
From:P
Sub:無し
水着を恥ずかしがる春香
かわいい
添付ファイルあり
………………………………
律子「……はぁ」
律子「仕事しろ、っと……」ピ、ピ
14:
一方その頃、撮影スタジオ
ピピピ
P「お、律子から返信きた……どれど
春香「プロデューサーさぁ?ん……」
P「どぉうした春香ぁっ!」ポイッ
春香「やっぱり、私……、こんなに露出の激しい水着、恥ずかしいですよぉ……」
P「恥ずかしがることないぞ! すっごく似合ってるし! うん!」
春香「そ、そうは言っても……他の水着って、ないんですか?
 そもそもこれ、予定の水着と違いますよね……?」
P「あぁ、それは急遽、俺の好みで……ごほんごほん!」
春香「え、好み?」
P「い、いやいや、違うぞ春香、誤解しないでくれ!」
春香「……もしかしてプロデューサーさんって、こういうのが、好きなんですか?」
P「うん! あ、いや……」
春香「へ?、そうなんだ……えへへ」
15:
春香「……それなら私、ちょっと頑張れそうかもしれません」
P「ほ、本当か? それじゃあ、撮影再開しても大丈夫かな?」
春香「はい! でも……」
P「でも?」
春香「……この写真集が発売されたら、色んな人が、私の写真を見ることになるんですよね?」
P「ああ、そうだな。……もしかして春香、そういうの嫌だったか?」
春香「いえ、これもアイドルのお仕事だって思うし、
 嫌だってわけじゃないんですけど……」
春香「……でも、プロデューサーさんの好きな水着だったら、
 プロデューサーさんだけに見てもらいたい、かなぁ……」チラッ
P「!」
春香「なーんて……えへへ、ダメですよね、こんなこと言ったら。
 うん、私、もう大丈夫です! 行ってきま……」
P「春香」
春香「え?」
P「水着は予定のものを使おう。うん、それがいい。ごめんな、急に無理を言っちゃって」
春香「本当ですか! わぁ……ありがとうございますっ!」パァァ
16:
なんだこのバカップルアホップル
もっとお願いします
17:
765プロ事務所
ガチャッ
律子「ただいま戻りましたー……って」
P「うん、美味い!」モグモグ
春香「ホントですか! 良かったぁ……」
P「春香の作ってくれたお菓子は世界一美味いよ。
 店が開けるんじゃないかな」
春香「そ、そんなぁ……褒めすぎですよぅ。えへへ……」
P「まぁ、本当にパティシエ目指したら、アイドルじゃなくなっちゃうし……
 そうしたら俺、さみしいけどな……」
春香「……プロデューサーさん」
P「え? な、なんだ?」
春香「私は、これからもずっと……、プロデューサーさんがプロデュースしてくれる限り……
 プロデューサーさんの担当アイドル、ですよ」
P「春香……!」
律子(帰ってくるなりお腹いっぱいだわ……何これ)
18:
春香「あ、律子さん! お帰りなさい!」
P「おーう、お疲れーい」
律子「私と春香で随分態度が違うこと……」ボソッ
P「律子、今なんて……?」
律子「いーえ。お疲れ様です」
……
春香「えへへ、律子さんもおひとつ、いかがですか?
 私特製チョコレートですっ♪」
律子「あら、いいわね。それじゃあ遠慮なくー、っと」ヒョイ
P「ピターチョコなんだよな。甘すぎるのは俺、ちょっと苦手だけど、
 こういうのだったらいくらでもいけるよ」
春香「……プロデューサーさんの好みに合わせたって言ったら、どうします?」
P「え……!? そ、そりゃあ……う、嬉し」
律子「……甘い」
春香・P「えっ?」
律子「甘すぎるのよぉぉぉっ!!」
20:
P「そのチョコ、そんなに甘かったか?」
春香「おっかしいなぁ……砂糖控えめで、上手に出来たと思ったんだけど」
律子「違うわよ! チョコレートは美味しいわ、ありがと春香!」
律子「──じゃなくて、あんた達の空気が甘すぎるって言ってんの!」
春香・P「空気?」
律子「ったく……ここ、事務所よ? 仕事をする場所なんです」
小鳥「」ビクッ
真美「ピヨちゃん、どったの?」カチカチ
亜美「はやく次のクエスト行こうよー」ピコピコ
律子「それなのにさっきから、イチャイチャしちゃって……」
P「い、イチャイチャって……!? な、なに言ってるんだよ!」
春香「そそ、そんな……ま、まるで私とプロデューサーさんが……その……」
春香・P「……えへへ」
律子「腹立つぅぅ……!」プルプル
23:
律子「……ちょっと春香、来なさい」クイクイ
春香「は、はい……」
P「おい、律子……?」
律子「説教するわけありませんから、安心してください。ほら、行くわよ」
……
律子「……それで?」
春香「え?」
律子「春香、あなた……プロデューサーのこと、好きなの?」
春香「!?」
律子「どーなの」
春香「す、すす、す……!?」カァァ
春香「……り、律子さんっ、何言ってるんですか!
 もしプロデューサーさんに聞かれたら……! はぅぅ……!」
律子(わかりやすい子ね……)
25:
春香「……やっぱり、ダメ、ですよね」
律子「あら、そんなことはないんじゃない?」
春香「え」
律子「……説教するわけじゃないって言ったでしょ。
 私は別に、あなたの気持ちを否定するつもりはないのよ」
律子「ただ、場所をわきまえて欲しいってことが言いたいだけ。
 プロデューサーも言ってたわ、最近仕事に集中できないって」
春香「プロデューサーさんが集中できない? そ、それってどういう……」
律子「あー、あんまりそれは気にしないで」
……
律子「私の立場を考えたら、あまりこういうことは言ってはいけないかもしれないけど……
 仕事のモチベーションに繋がるなら、たとえ恋をしてたって、それでもいい。
 でも、春香の本分を忘れないで」
春香「本分?」
律子「あなたはアイドルでしょ? テレビに出て、歌を歌って……
 みんなを笑顔にするのが仕事。だから、オンとオフの区別は、しっかり分けてちょうだい」
春香「……はい。わかりました……」
律子「よろしくね」
29:
ガチャッ
律子(うーん、結局お説教っぽくなっちゃったかしら……)
P「は、春香」
春香「! プロデューサーさん……」
P「……」
春香「……あの、それじゃあ私……もうそろそろ、帰りますね」
P「送っていく。駅まで車出すよ」
春香「だ、ダメですっ! オンとオフ、つけなきゃ……」
P「どういうこと?」
春香「……お疲れ様でしたっ!」タッ
P「あっ……」
タッタッタ……
春香「……」チラッ
P「春香……」
律子「……はぁ。これじゃあ私、悪者ね……」
30:
律子「……もう仕事も終わってるし、事務所じゃないならいいわよ」
春香「! 律子さん……!」
律子「プロデューサー、春香を送ってあげてください」
P「あ、ああ……でも、今のやり取り、一体なんだったんだ?」
春香「えへへ……よろしくお願いしますね、プロデューサーさん♪」
P「命に代えても無事に駅まで届けてやる。さぁ行こう!」
……
カァ……
  カァ……
律子「……」ギシッ
律子「あーあ」
律子「……馬鹿みたいね、私」
32:
律子(ほーんと……あれで付き合ってないって言うんだから驚きだわ)
律子(春香もプロデューサーも、お互いにお互いのことを想っていて、
 あれだけ仲が良いのに……)
律子(少し勇気を出して踏み出せば、すぐ関係は変わりそうなものなのに……)
律子(……勇気を出せない、か。でもそれは、あの人達だけじゃなくて──)
ガチャッ
P「ただいま戻りましたー」
律子「……お帰りなさい。無事だったみたいね」
P「無事?」
律子「ふふっ、命に代えても、なんて言ってたから」
33:
 
律子「プロデューサー」
P「ん?」
律子「……やっぱり、春香のこと、好きなんですか?」
P「……」
P「ああ」
律子「……そう」
37:
P「でもわかってる。担当アイドルにこんな気持ちを持ってはいけないって」
律子「……」
律子(さっきは春香にああ言ったのに、なんで今の私は、否定も肯定もしないのかしら)
P「……車の中でさ、春香に言われたんだ」
律子「え? なんて言われたの?」
『私達はアイドルとプロデューサー、ですよね』
P「ってさ。それで、それに対して俺は……何も言えなかった。
 でも春香はきっと、俺の気持ちに気付いてたんじゃないかと思う。だからあんなことを……」
律子(見当違いもいいところだわ。春香は、確認したかっただけに決まってるじゃない)
P「……だから、もうちゃんとするよ。悪かった、今日は仕事中にあんなメールして。
 これからは律子がメールで言ってた通り、真面目に仕事するから」
律子「……あら、読んでたのね。返信がないから無視されたのかと思ってました」
P「あ、返してなかったか……ごめん、
 あのあとすぐ撮影が再開したから、すっかり忘れてた」
律子「いーえ、お気になさらずに」
38:
律子「……それじゃ、プロデューサーも戻ってきたことだし、
 私もそろそろ、帰りますね」
P「ああ、お疲れ」
律子「はい、お疲れ様でした」
テクテク……
ガチャ
律子「……」チラッ
P「ほらほら、亜美と真美も、いつまでもゲームやってないで家に帰るんだ。
 音無さんにも、仕事があるんだからな」
亜美・真美「はーい」
小鳥「う……は、はい、仕事します……」
律子「……ホントに」
律子(馬鹿みたいね、私)
……バタン
40:
数週間後
ブロロロ……
──……♪
律子「……あら? この歌は……」
『いつもありがとう……頑張って……♪』
『胸が──……詰まって言えない……♪』
伊織「春香の新曲ね。最近春香ったら、頑張ってるみたいじゃない」
律子「……そうね」
伊織「にひひっ♪ まぁ、このちょーウルトラスーパーデラックス
 天才美少女アイドル水瀬伊織ちゃんには、まだ及ばないけどねっ!」
律子「……」
『……お送りしたのは、今週発売の天海春香さんの新曲、
「さよならをありがとう」でした』
『この番組では、リスナーの皆様からのリクエストを募集しています。
あて先は──……』
41:
765プロ事務所
ガチャッ
律子「ただいま戻り──……春香?」
春香「あ……律子さん。お帰りなさい」
律子「どうしたのよ、そんな隅っこで丸まっちゃって」
春香「……えへへ。なんとなく、こうしてると落ち着くんです」
……
律子「……はい、ココア」コトッ
春香「あ、ありがとうございます」
ずずっ……
春香「……美味しい」
律子「……」
43:
春香「律子さん、お仕事終わったんですか?」
律子「ええ。今、伊織を家まで送っていったとこ」
春香「……最近は、伊織の家の人じゃなくて、
 律子さんが伊織を送っているんですよね」
律子「まぁね。それがどうしたの?」
春香「なんか、いいなぁって思っちゃって。
 私、ちょっと羨ましくなっちゃいます」
律子「羨ましい?」
春香「……仲、良さそうで……いいなぁって……」
律子「……、……プロデューサーは、どうしたの?」
春香「プロデューサーさんなら、さっきまた、お仕事に行っちゃいました。
 今度のライブの為の打ち合わせらしくて……」
律子「こんな時間から? 春香の仕事も、さっき終わったばかりでしょ?
 まだ働くのね、あの人……」
春香「えへへ……ほーんと、そうですよね」
春香「私なんかの為に、毎日、毎日……遅くまで……」
45:
律子(この間見たまぶしい笑顔は、どこに行ったのやら)
律子(本当に、二人とも……不器用すぎるんだから)
律子「……ねぇ、春香」
春香「……?」
律子「あなたは最近、本当によく頑張ってると思うわ。
 新曲の出来も良いし、仕事もどんどん入ってくるようになった」
律子「……それは、なんで?」
春香「なんで、って……そ、そんなの、
 プロデューサーさんが頑張って、お仕事取ってきてくれるから……」
律子「ちがう。春香の原動力を知りたいの」
春香「原動力……」
律子「歌が好きだから、歌でみんなを笑顔にしたいから、
 春香はアイドルになったって言ってたわよね」
律子「でも、今……あなたをそこまでつき動かしているものは、なに?」
春香「……っ」
46:
春香「それ、は……」
春香「……わからない、です」
律子「……春香、前に言ってたわよね」
『私最近、アイドル生活がすーっごく楽しくて!
今日はどんなお仕事が私を待ってるのかなって思うと、今からワクワクしちゃいますっ!』
『これも、私のプロデューサーさんのおかげかなぁ……』
律子「今は、違うの?」
春香「……、」
律子「……」
春香「……いま、は」
春香「プロデューサーさんのおかげ、じゃなくて……」
春香「プロデューサーさんの期待に、応えたいから……、
 仕事を頑張れば、プロデューサーさんに、褒めてもらえるから……」
春香「そうじゃきゃ……こっちを、向いてもらえないから……! だから……っ!」
ポロポロ……
47:
律子(プロデューサーのおかげで送れていた、楽しいアイドル生活……)
律子(今ではそれが、プロデューサーに振り向いてもらうための手段になっている)
律子(……あれからプロデューサーは、本当に別人になったみたいに、
 毎日毎日、必死に、真剣に、寝る間も惜しんで働くようになった)
『私達はアイドルとプロデューサー、ですよね』
律子(きっとそれが、春香の質問に対する、プロデューサーなりの答えだったんでしょう)
律子(その結果として、二人の距離は少しだけ遠くなってしまったけど……、
 でもそれはなにより、『アイドルの天海春香』の為で)
律子(春香もきっと、それはわかっているのに……)
春香「う、うぅ……律子さぁん……! 私、私……!」
律子(どうして今、春香は泣いているのかしら)
律子(……本当に、面倒くさいものね。恋心っていうものは)
50:
律子(でも、ここまで面倒くさくさせたのは……他でもない、私なのよね)
律子(私があのとき、春香にああ言わなければ……
 春香がこんな気持ちになることもなかった)
律子(……どうして私はあのとき、余計な口を出してしまったのかしら)
律子「春香」
春香「え……?」
律子「……プロデューサーに、今の気持ちを伝えなさい」
春香「今の、気持ち?」
律子「プロデューサーにどう思われたいのか、
 そしてプロデューサーをどう思っているのか……」
律子「思ってること、全部、告白するのよ」
春香「こ、告白……!? で、でも、そんなことしたら──っ!」
律子「大丈夫、私が保証する。きっとうまくいくから」
春香「……律子さん……」
51:
春香「……どうして、そう言ってくれるんですか?
 前は、オンとオフの区別をつけなさいって言ったのに……」
春香「それに、もし、もしも……律子さんの言う通り、
 うまくいっちゃったら、そしたら……!」
律子「私は、プロデューサーだから」
春香「え?」
律子「そりゃあ、あなたの担当プロデューサーではないけど、
 私は確かに、765プロのプロデューサーだから。
 だから、アイドルが──仲間が泣いているのに、放っておくことなんてできない」
律子「もちろん今でも、あの言葉を撤回するつもりはないわ。
 でも今の春香が、今の気持ちのままアイドルを続けたら……、いつかあなたは、壊れてしまう」
春香「……」
律子「……そっちのほうが、私は嫌なのよ」
春香「う……う、うぅ……!」
ポロポロ……
律子「あーもう、泣かないの」
律子「私は、あなたを応援してるから……だから、頑張りなさい、春香っ!」ポンッ
春香「……はい……!」
54:
 
───
──

春香「ふぅ……」
律子「春香、リハお疲れ様」
春香「あ、律子さん! 来てくれたんですねっ」
……
律子「はい、ジュース」
春香「ありがとうございますっ!」
プシュッ……
春香「こく、こく……あぁ、生き返るぅ?」
律子「ふふっ、オジサンっぽいわよ??」
春香「うわぁっ、いけないいけない……私はアイドル、私はアイドル、っと」
56:
律子「とうとう明日、か……。ソロライブで、
 こんなに大きな会場取れるなんて、春香、大きくなったね」
春香「えへへ……プロデューサーさんのおかげですよ」
……
春香「……律子さん。私、明日のライブが終わったら、
 プロデューサーさんに全部、伝えようって思います」
律子「……そう」
春香「でも、うまくいくかなぁ……」
律子「大丈夫よ、今のあなた、すっごく良い顔してるから」
春香「……本当ですか?」
律子「もちろん。アイドルを楽しんでる、そんな顔してる。
 それはきっと……、あの人が一番好きな、春香の顔だから」
57:
 
春香「……あの、律子さん。私、時々思うんですけど……」
律子「なに?」
春香「律子さんってもしかして、プロデューサーさんのこ──
P「おーい、春香ー!」
春香「!」
律子「あら、お疲れ様です、プロデューサー」
P「あれ、律子? 来てたのか」
春香「あのっ、律子さん!」
律子「春香」
春香「……っ」
律子「……頑張りなさい」
春香「……」
春香「……はいっ」
61:
 
───
──

ワァァ……!
春香『……会場に集まってくれた皆さん。
 次の歌が、本当の本当に、最後の曲です』
春香『……さよならは、お別れの言葉じゃない』
春香『またいつか、笑顔で会うための言葉なんです』
春香『同じ歌を歌えば──同じ気持ちでさえいれば、きっと未来はつながる』
春香『そんな気持ちを込めて──……』
春香『……「さよならをありがとう」』
63:
 
「いつもありがとう」「大好きよ」
  照れた顔が浮かんだ──……♪
律子「……っ」
P「……律子?」
涙で目の前 霞んでいく でも幸せ──……♪
P「どうしたんだ、泣いて──」
律子「……春香が」
律子「本当に、大きくなったなって思って……」
律子(そして、あの子を、ここまで成長させたのは……)
律子(いつも春香と一緒に歩いて、いつも春香を見守ってきた、
 プロデューサーで……)
64:
 
「さよなら」
 そう言ってそっと優しく手を振る──……♪
律子「……」テクテク
P「……最後まで見ていかないのか? もうすぐ終わりだし、春香に顔くらい見せてやっても……」
律子「私は私で、このあとまた仕事がありますし……
 それに、これ以上ここにいたら、お邪魔虫になっちゃいますからね」
P「お邪魔虫?」
律子「ええ。ふふっ、すぐに意味はわかると思いますよ」
なぜかな あなたを想うと満たされるから
 頑張ろう 今を────……
律子「それじゃあ──……」
律子「……さよなら」
66:
 
ピピピ
律子「……あら? 春香から、メール……」
ピッ
律子「……ふふっ」
律子(そのメールには、文章は何も書かれていなくて……、
 たったひとつだけ、絵文字が置いてあった)
伊織「何よ、携帯見てニヤニヤしちゃって。気持ち悪いわね」
律子「うるさい。ほら、行くわよ」
律子(──それは、ハートマーク)
律子(ったく、春香ったら、浮かれちゃって……)
69:
律子「……あーあ。私も、男に生まれればよかったかしら」
伊織「はぁ? 何それ」
律子「だってそうすれば、舐められなくて済むじゃない。
 女プロデューサーってのもね、色々と苦労してるのよ」
伊織「ふーん……」
律子「それに──……」
律子(……こんな気持ちに、ならなくて済んだし)
伊織「それに?」
律子「……担当アイドルが可愛すぎて仕事に集中出来ないっていう気持ちも、
 味わえたかもしれないしね」
伊織「……担当アイドル? 律子の担当は、私だから……」
伊織「……」
伊織「ちょ、ちょっと! 急にそんな、何言ってんのよ!」カァァ
律子「どういう思考回路してんのよ……」
72:
 
律子(──私はアイドルを辞めて、プロデューサーになった)
律子(それは、私の夢だったから。譲れなかったから……)
律子(でも……あなたと夢を語ったあの日々は、今でも私の宝物。
 きっと、ずっとずっと……)
律子「さぁ、私達も春香に負けてらんないわよー。
 今日から新ユニット活動開始なんだから、気合いを入れていきましょう!」
伊織「わかってるわよ、もう……えっと、
 新メンバーは、亜美とあずさ、だったかしら?」
律子「そうそう。それで、ユニット名は──……」
律子(みんな、不安抱えながら進み続ける)
律子(……さよならは、お別れの言葉じゃない。またいつか、笑顔で会うための言葉だから)
律子(だから、今だけは……さようなら。私の、たったひとりの──)
律子(元、プロデューサー殿)
おわり
75:
乙?
http://imefix.info/20130412/151222/rare.png
りっちゃん…
83:
>>75
嬉しい 保存しました
79:
このあと律っちゃんは俺と出会って恋に落ちることになります
読んでくれた方、ありがとうございました
8

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