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雪乃「いいでしょう。ならば戦争をしましょう」


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1:
やはり俺の青春?の“八×雪←結”のSSです
3:
結衣「やっはろー☆」
雪乃「………………」ブスッ
八幡「………………」フンッ
結衣「ふ、二人ともどうしたの…?」
雪乃「由比ヶ浜さんこんにちは」ニコ
結衣「う、うん……」チラ
八幡「…………おう」
結衣「ひ、ヒッキーまで機嫌悪いし…」
4:
雪乃「なんでもないの由比ヶ浜さん。ただ、ね……」チラ
八幡「あ?なんだよ。俺のせいにするつもりかよ」
雪乃「別にあなたのせいだとは言っていないでしょ。それとも何か心当たりがあるのかしら?」
結衣「ゆきのんもヒッキーも落ち着こうよ?ね?」アタフタ
雪乃「私は落ち着いているわ。ただどこかの誰かさんが…」
八幡「あ?お前そういうこと言っちゃうんだ?ふーん…」
雪乃「あら。どうかしたの、ヒキガエルくん」
八幡「ヒキガエルって誰だよ。お前両生類にしか友達いないのか
結衣「あわわ……」
5:
雪乃「………………」
八幡「………………」
結衣「………………」
雪乃「………………」
八幡「………………」
結衣「………………」キリキリ
雪乃「………………」
八幡「………………」
7:
結衣「……ふ、二人はなんでケンカしてるの?」
雪乃「由比ヶ浜さん」
結衣「はい!?」
雪乃「これはケンカではないわ」
結衣「そ、そうなの…?」
雪乃「えぇ、これは戦争よ」
結衣「もっと怖くなってるし!?」
雪乃「勝てば官軍、負ければ賊軍。世界は弱肉強食なのだから」
8:
結衣「難しい話はわからないや…」
雪乃「由比ヶ浜さん、あなたも高校生なのだから少しは勉強したほうがいいわ。つまり…」
結衣「つまり…?」
雪乃「これから私がヒキガエル君を論破するということよ」
結衣「ロンパー?ごめんゆきのん。全然わからないや」
雪乃「もう結構よ由比ヶ浜さん…。簡単に言えば、私とヒキガエル君の話し合いを見ていて頂戴」
結衣「うんわかった!がんばって見てるね!それで何について話すの?」
雪乃「論題は“夏カレーにジャガイモを抜くか否か”よ」
結衣「………………え?」
14:
雪乃「だから“夏カレーに……」
結衣「ちょーーーとっ!待ってゆきのん」
雪乃「なにかしら?」
結衣「そ、そんなことでケンカしてたの?」
雪乃「“そんなこと”?」
八幡「“そんなこと”?」
結衣「うわっ。なんかヒッキーまで反応してるし!」
八幡「そらそうだろ」
19:
八幡「カレーは日本の国民食だぞ」
結衣「ヒッキーキモい!」
八幡「お前条件反射でキモいって言ってるだろ!」
結衣「ヒッキーマジでキモいから!」
八幡「好き!」
結衣「キモい!」
八幡「好き!」
結衣「キモい!」
八幡「キモい!」
雪乃「好き」
結衣「す…!?」
八幡「!?」
23:
雪乃「もうコントはいいかしら?」
結衣「ゆ、ゆ、ゆきのん?」
雪乃「なにかしら?」ニコリ
結衣「な、なにか怒ってる…?」
雪乃「別に何も怒っていないわ。別に」
結衣「そ、そっか…」
雪乃「えぇ、全く怒っていないわ」
結衣「何で二回も言うのかな…?」
雪乃「………………」ニコリ
結衣「」ビクッ
24:
雪乃「それでは戦争を始めましょうか」
八幡「お前の泣き顔が目に浮かぶな」
雪乃「あら?そういうセリフを“死亡フラグ”というのではなかったかしら」
八幡「せいぜい言ってろ。正義は俺なんだよ」
雪乃「そこまで言うのなら賭けをしましょう」
八幡「は?全然余裕だけど?なんなら俺の一生を賭けてもいいくらいだわ」
雪乃「そう。けれどそういう安請け合いというの…」
結衣「ストーーーーーーープっ!」
26:
雪乃「なにかしら由比ヶ浜さん」
八幡「なんだよ由比ヶ浜」
結衣「えっと……その……」
雪乃「何も考えていないのに話しかけたの。由比ヶ浜さん?」
八幡「おい、そんなにキツい言い方しなくてもいいだろうが」
雪乃「厳しいことは言っていないつもりなのだけれど」
八幡「言っていなくても言い方でキツく聞こえ…」
結衣「…………じゃ……」
27:
雪乃「…………?」
八幡「じゃ……?」
結衣「……ジャッジ!」
雪乃「審判・判定の意味ね」
八幡「流石ユキペディア」
結衣「そ、そのくらいの英語あたしだってわかるし!」
雪乃「それでジャッジが何なのかしら?」
結衣「うん!ほらっ。勝負するのはいいけど、公平に審査する人が居ないとダメでしょ?だからあたしが審判するよ!」
29:
雪乃「………………!」チラ
八幡「………………」フルフル
雪乃「………………」ジー
八幡「おい、由比ヶは…」
結衣「ダメ……?」ウルウル
雪乃「………………」ジー
八幡「あー由比ヶ浜?」
結衣「……なにヒッキー?」
42:
八幡「ならこうしよう」
結衣「どうしよう?」
八幡「三人でカレーについて話し合うか」
結衣「え?あたしが!?それって大丈夫!?」
雪乃「……危機意識は持っているのよね。発想が残念なだけで」
結衣「あっゆきのんヒドい!…でもホントにあたしが入ってもいいの?」
八幡「まぁ、実際に作るわけでもないしな。それにこれを切っ掛けにカレーを覚えればいいだろ」
結衣「ヒッキーだいすきっ!」ガバッ
八幡「ゆ、由比ヶ浜!?」
雪乃「」ギリッ
47:
結衣「あっ!ひ、ヒッキーの変態!ド変態!大変態!」サッ
八幡「自分から抱きついてきてその言い草かよ!」
結衣「ち、ちがうし!これはそういうんじゃないし!」
八幡「ど、どんなんだよ!知らねぇよ!」
結衣「ふんっ!ヒッキーなんて知らないし!」フンッ
八幡「あぁそうかよ!」フンッ
結衣「………………」チラッ
八幡「………………」チラッ
48:
結衣「っ」サッ
八幡「っ」サッ
結衣「………………」ソワソワ
八幡「………………」ソワソワ
結衣「………………」チラッ
八幡「………………」チラッ
結衣「………………」ポッ
八幡「………………」ポリポリ
雪乃「」バン!
49:
八幡「!?」
結衣「!?」
雪乃「????っ!」
八幡(痛かったんだな)
結衣(痛かったんだね、ゆきのん)
雪乃「っ!」キッ
八幡「」サッ
結衣「」サッ
50:
雪乃「………………」ウルウル
八幡(そんなに痛いなら叩かなければいいのに)
結衣(まだ痛いんだね、ゆきのん)
雪乃「………………」フーフー
八幡(どんだけ強く叩いたんだよ…)
結衣(涙目でふーふーするゆきのん、かわいっ)
雪乃「…さて。それでは“夏カレー”について話し合いましょうか」
八幡「もう右手は大丈夫なのか?」
53:
雪乃「右手?なんのことかしら。それよりも話し合いをしましょう」
八幡(なかったことにしたな)
結衣(恥ずかしいんだね、ゆきのん)
八幡「話し合いつってもどうするんだ?」
雪乃「そうね…。始めは夏カレーにジャガイモは有りなのか、という議題だったのだけれど…」
結衣「けれど…?」
雪乃「由比ヶ浜さんにカレーを教えるという意味も込めて、お気に入りの夏カレーを紹介し合いましょう」
結衣「ゆきのんだいすきー!」ガバッ
58:
雪乃「ゆ、由比ヶ浜さん…っ。急に抱き付かれると困るわ」
結衣「あはは。ゆきのんごめんねぇ」ギュ
雪乃「謝っているのにさらに抱きしめると言うのはいかがなものなのかしら…」
結衣「だってゆきのんの肌スベスベで、すっごくさわり心地いいんだもん!」
雪乃「そ、そういうことを口に出さないでもらえないかしら…?」
結衣「照れてるゆきのん、かわいすぎ!」ダキ
雪乃「やめなさ……んっ。…ほ、本当に怒るわよ、由比ヶ浜さん!」
結衣「ゆきのんが怒ったー」ニコニコ
八幡(何この放置プレイ。俺もう帰っていいんじゃないか?)
62:
雪乃「そろそろ離れなさい由比ヶ浜さん」
結衣「はーい…」
八幡「なんだもう満足したのか?」
雪乃「べ、別に満足とかそういう話ではないでしょう」
結衣「うん!ゆきのん超スベスベで気持ちよかった!」
雪乃「だからそういうことは一々報告しなくていいと言っているでしょう」
結衣「だってホントだし!ねぇねぇゆきのん、今度一緒にスパ銭行こうよ」
雪乃「そうね…。機会があれば是非行きましょう」
63:
八幡「おーい、際限ないから始めたいんだけど」
雪乃「あら。比企谷くんにしては随分まともな答えね」
八幡「おい、俺が普通のこと言って何が悪い」
雪乃「悪いとは言っていないわ。ただあなたがまともなことを言ったせいで混乱を招くということよ」
八幡「言い方が丁寧なだけで言ってる意味同じじゃねーかよ」
雪乃「きちんと日本語が理解できるようで安心したわ」ニコリ
八幡「だからお前はなんで俺に嫌味を言うときだけそんな笑顔なんだよ」
結衣(・ω・)。。。
64:
八幡「ゆ、由比ヶ浜!?」
雪乃「由比ヶ浜さん!?」
結衣「ヒッキーとしゃべってるときのゆきのん楽しそうだよね(・ω・)」
雪乃「別に楽しいと思ったことなんて、ヒキガエル君と出会った頃から一度もないわね。それよりどうして楽しそうと言う結論に至ったのかしっかりとじっくりと聞いてみたい…」
結衣「ゆきのんの口数が多くなるときって照れ隠しとかだよね(・ω・)」
雪乃「」
八幡(気付いてなかったのかよ)
雪乃「違うのよ……別に照れ隠しとかそういうものではないのよ。えぇ、絶対に違うわ……」ブツブツ
76:
閑話休題
雪乃「さて。そろそろ本題に入りましょうか」
八幡「なんだもうメンタル回復したのか?」
雪乃「なんのことかしら引きこもりくん?」
八幡「おい。人のことを社会不適合者扱いするなよ」
雪乃「あら?主夫になるなんて言っていたのは何処の誰かしら?」
八幡「主夫は家事をきっちりこなして、扶養家族に入ってるからいいんだ…」
結衣(・ω・)。。。
雪乃「ごめんなさい由比ヶ浜さん。お願いだから怒らないで頂戴」
八幡「俺らが悪かったからその顔やめてください」
77:
結衣「でさー。どうやって発表するのゆきのん?」
雪乃「そうね。考える時間を少し作ってから、一人ずつ発表しましょう」
八幡「それならちょうどホワイトボードがあるぞ」
雪乃「どうしてあなたがそんなものを持っているのかしら?意思を疎通する友人なんていないでしょうに」
八幡「だからナチュラルにdisるのやめろよ。あとホワイトボードは平塚先生からの差し入れだそうだ」
結衣「そっかー。…あれ?なんでホワイトボード四枚もあるの?」
雪乃「由比ヶ浜さん。いくらなんでも無意識に平塚先生を除外するのはいかがなものかしら?」
八幡(天然ってこえー。…あと誰か早く貰ってあげてください。いやマジで)
78:
?シンキングタイム?
雪乃「………………」サラサラ
八幡「………………」サラサラ
結衣「うーん…あれでもないしなぁ…」
雪乃「………………」チラ
八幡「………………」チラ
結衣「…あっ。コレ入れたらおいしいよねきっと!」カリカリ
雪乃「………………」ダラダラダラ
八幡「………………」ダラダラダラ
結衣「……よしっできた!あれ?二人ともやっぱり早いんだね」ニコニコ
85:
雪乃「ゆ、由比ヶ浜さん。その…見直しはしなくても大丈夫かしら?」
結衣「見直しなんて大丈夫だよ。ゆきのんは心配性だなぁ…」
雪乃「(比企谷くん。大丈夫かしら彼女?)」
八幡「(いや正直自信ない。しかも笑顔って言うのがすげー怖い)」
雪乃「(やっぱり今からでも止めたほうが……?)」
八幡「(いいか雪ノ下逆に考えるんだ。これから起こりうる災害を先取りして実害がないうちに対処するんだ)}
雪乃「(あなたの口から前向きな言葉が聞けるなんて驚きだわ)」
八幡「(今はそういう茶化しをしている場合じゃないだろ。由比ヶ浜をどうするのかを考えろ)」
雪乃「(それもそうね。一時休戦と行きましょうか)」
86:
八幡「由比ヶ浜も書き終わったみたいだしそろそろ始めるか。最初は雪ノ下からでいいか?」
雪乃「えぇそれで結構よ。せいぜい私のレシピを見て発狂しなさい」
八幡「発狂とかこえーよ。お前のカレーなんなの。スパイスにTウイルスでも混ぜたの?」
雪乃「あぁ、あなたを倒すなら銀製の弾丸か杭を打ち込まないといけないわね」
八幡「俺はバンパイアかよ」
雪乃「性質で言えばバンパイアよりもグールといったところかしら」
結衣「ゆ、ゆきのん!あたしそろそろゆきのんのカレー見たいな!」
雪乃「そうね。いつまでもボッチくんの相手をしていてはダメね。…これが私のオススメカレーよ」
87:
Yukino's 夏カレー
名称:シーフードカレー
材料A:エビ・イカ・ホタテ・カキ
材料B:たまねぎ・にんじん
隠し味:あさり・しじみ
ポイント:Aはバターと白ワインでしっかりと風味付けて、隠し味として貝類でとった出汁で煮込む点。
一言:一番気を使うのはやはり魚介類の下拵えね。エビ・イカは下拵えした後に軽く塩揉みして臭みを取り除いているわ。
 もう一つは出汁かしら。しっかりと出汁を取って一度濾す点ね。貝特有の砂を取り除かないと不快な思いをしてしまうのよね。
 それから出涸らしのあさり・しじみは捨てず、佃煮にするわ。
93:
結衣「おぉ?。ゆきのんのカレーすっごくおいしそうだね!」
雪乃「ありがとう由比ヶ浜さん。そうね。手間はかかるけれど、魚介類ならではのおいしさを実感できるわ」
結衣「うーん…。難しいことはよくわからないけど、すっごく時間が掛かってるってコトはわかったよ!」
雪乃「由比ヶ浜さんの手に掛かるとどうしてこう単純化してしまうのかしら…?」
結衣「なんでだろうねー」
八幡「そりゃ由比ヶ浜の頭が単純だから、どんな話も本人に合わせて単純化するんだろ」
結衣「あ!ヒッキーヒドくない!?」
雪乃「なるほど…そう言われてみれば確かにそうね…」
94:
結衣「ゆきのんも納得しないでよ!」
八幡「というか雪ノ下にしてはシンプルだな」
雪乃「えぇ。もう少し本格的なレシピもあったのだけれど。今回の趣旨はあくまでも由比ヶ浜さんが作れるレシピだから比較的簡単なものにしたわ」
八幡「なるほどな。けど今の由比ヶ浜の感想を聞く限り無駄になりそうだけど」
結衣「ヒッキーヒドい!」
雪乃「そうなのよね…。けれどこれ以上簡単なレシピもないし、どうすればいいのかしら」
結衣「ゆ、ゆきのんまで!」
八幡「だって…」
雪乃「…えぇ」
96:
結衣「二人ともひどいよ!」
八幡「まぁ、今回を機に家でお手伝いとかしてみろよ」
雪乃「そうね。現状それが一番現実的ね」
結衣「お母さんのお手伝いかぁ。少しがんばってみよっかな」
八幡「結局普通のところに落ち着いたな」
雪乃「まぁそうなるでしょう」
八幡「結論は出たけどどうする…?」
雪乃「どうしましょうか…」
結衣「えーっ!せっかく書いたんだし最期までしようよ!」
八幡「なら俺のレシピはこれだな」
97:
Hachiman's 夏カレー
名称:夏野菜カレー
材料A:牛肉・たまねぎ・にんじん
材料B:ジャガイモ・ナス・カボチャ・長いも
隠し味:赤唐辛子・黒胡椒・クローブ・カルダモン・はちみつ・ココア・ピーナッツバター
ポイント:市販カレー粉にスパイスを追加してガツンと来る辛さとはちみつ等で出した深みだな
一言:ジャガイモ・ナス・カボチャ・長いもは表面にオリーブオイルを薄く塗って、オーブントースターでローストするからカロリーは抑え目。
 ローストした野菜は煮込まず、カレーの上に乗せてルーをかけるから足が早くなることもない。
 食が不安定な夏こそしっかりがっつり食わないとな。小町に吹き出物が出来た日には監禁するね。
101:
結衣「意外と本格的なカレーでビックリだし!あとヒッキーキモい!」
雪乃「確かに意外ではあるわね…。レシピもしっかりしているし流石主夫希望というだけはあるのかしら?あと気持ち悪いわね」
八幡「おい。カレーの評価を放って俺が気持ち悪いっておかしいだろ」
結衣「だっておいしそうとか思う前に小町ちゃんのこと思い過ぎてキモいよ!」
雪乃「えぇそうね。味はともかく小町さんへの愛情が燻ぶりすぎて気持ちが悪いわ」
八幡「別に小町への愛情とか燻ぶってねーよ。ただ彼氏が出来たらそいつの目にレーザーポインター当てるくらいだって」
結衣「ヒッキーすこぶるサイテーだ…」
雪乃「報復の仕方があなたらしすぎるわ…」
103:
八幡「あーもう!俺に対する評価とかいいからカレーの感想言えよ!」
結衣「そうだなぁ…。カレーだけで考えれば普通においしそうだよね!野菜たくさん入ってるし!」
雪乃「そうね。確かにルーと一緒に煮込まなければそこそこ持ちそうね」
結衣「ていうかヒッキーのくせによくこんなこと考え付くよね…」
八幡「(おい雪ノ下。由比ヶ浜は大丈夫か…?)」
雪乃「ひゃぁっ!」ビクッ
結衣「…ゆきのん?」
雪乃「…な、なんでもないわ」
105:
雪乃「(耳に息をかけないでくれないかしら。不愉快よ)」
八幡「(それでどうする?)」
雪乃「(やはり危険な芽は早いうちに摘んでおきましょう)」
八幡「(やっぱりそうなるか)」
雪乃「(ええ。私も覚悟を決めたのだからあなたも腹をくくりなさい)」
八幡「(七面倒くせぇ…)}
雪乃「ゆ、由比ヶ浜っさん!そろそろあなたのれ、レシピを見せてもらっていいかしら?」
結衣「うん!…す、すこしだけ恥ずかしいな…はいっ」
108:
Yuidevil's 夏カレー
名称:きら☆きら夏カレー
材料A:牛肉・にんじん・じゃがいも・たまねぎ
材料B:マンゴー・ドラゴンフルーツ・パッションフルーツ・マンゴスチン・ココナツ
隠し味:スターフルーツ・ドドリア・パパイア・ランブータン・タマリンド
ポイント:フルーツたくさんで絶対おいしいよね!
一言:昨日ちょうどテレビ番組でフルーツ特集してたんだよね!
 おいしそうなフルーツがたくさんあったからとりあえず入れてみた!
 今度お父さんに作ってあげようかな…?
112:
結衣「ど、どうか…な?」テレッ
八幡「」
雪乃「」
結衣「ふ、二人とも…?」オドオド
八幡「」
雪乃「」
結衣「ゆ、ゆきのん…?」
八幡「」
雪乃「」
結衣「ヒッキー…?」ウルウル
136:
八幡「あー…」
雪乃「………………」
結衣「………………」
八幡「今日はいい天気ですね。あなたはどうですか?」
雪乃「そうですね。私はとても元気です」
結衣「なんか英会話みたいになってる!?」
八幡「………………」チラ
雪乃「………………」フルフル
137:
八幡「一応聞いておきたいんだけど、このレシピは本気なのか…?」
結衣「えっと……うん……?」
雪乃「………………」フラッ
結衣「ゆきのん!?」ダキッ
八幡「あまりの出来事に脳内処理できなくなったんだな」
結衣「冷静に言ってないで助けてよ!?」
八幡「おーい、雪ノ下。生きてるか…?」
142:
雪乃「こんにちは比企谷くん。さて今日の奉仕部活動は中止します」
八幡「現実逃避したい気持ちはわかるがしっかりしろ雪ノ下」
雪乃「だって…」チラ
結衣「ゆきのん大丈夫…?」
雪乃「えぇ…少し目眩と頭痛と立ち眩みが起きただけだから大丈夫よ」
結衣「それ全然大丈夫じゃないよね!?」
八幡「おい。雪ノ下は現実逃避してもいいけど、由比ヶ浜はちょっとツラ貸せよ」
結衣「ひ、ヒッキーがこわい……」
143:
八幡「でさ、いろいろ聞きたいんだけどさ。まずこの山盛りのフルーツってどうするつもりなんだよ」
結衣「い、入れたらおいしいかなぁ?って」
八幡「スターフルーツはどうするつもりだったんだ…?」
結衣「ほら、星型でかわいいからにんじんのみたいに切っていれようかなって!」
八幡「…ランブータンは?」
結衣「あれ、白くてらっきょみたいだからカレーに添えようかなって!」
八幡「……タマリンドは?」
結衣「あぁ、あれはさやえんどうみたいだから一緒にコトコト煮込もうかなって!」
144:
八幡「…………ドラゴンフルーツは?」
結衣「皮を剥いてたまねぎの代わりに炒めようかなって!」
八幡「………………ココナッツは?」
結衣「実を刻んでジュースと一緒にご飯と炊き上げたらおいしいんじゃないかなって!」
八幡「」
雪乃「」
八幡「…………無理だ」
結衣「え!?」
148:
八幡「手は尽くしましたが残念ながら…」
結衣「お医者さんみたいに言わないでよ!全然尽くしてないじゃん!」
八幡「いや末期だろ」
結衣「末期じゃないし!」
八幡「いや継ぎ接ぎだらけの無免許医でも無理だから。そのライバルの手を借りることになるから」
結衣「ヒッキーが何言ってるかわかんないし!」
八幡「分かりやすく言うとだな。無理だ。人生諦めが肝心だってことだ」
結衣「諦めたら試合終了って言うじゃん!」
149:
八幡「とりあえず安西先生に謝ろうか?」
結衣「え、えっと……あんざい先生ごめん…なさい?」
八幡「あんざいって……」
結衣「あぁおいしいよねー。そう言えばぜんざいとおしるこって何が違うんだろうねー」
八幡「それは善哉だろうが。てかやめろバカ。ただでさえ壊滅的なセンスなのに無駄に知識を広げようとすんな」
結衣「ヒドいよ!「人間は考える箸だから仕方ないじゃんっ」
八幡「酷いのはお前の頭だ。それととりあえずブレーズ・パスカルに誤ろうか?」
結衣「ごめんなさ……ってぶれ…?パスカルって誰!?」
150:
雪乃「ブレーズ・パスカルは十七世紀フランスの哲学数学者・近代物理学の先駆者ね」
雪乃「あなたが言った…正しくは“人間は考える葦である”は、一六六九年に書かれた“パンセ”の一節よ。ちなみにパンセは彼の死後に出版されたものね」
結衣「へー。ゆきのん賢いね!」
八幡「なんだ。ユキペディアさんはもう復活したのか」
雪乃「えぇ。もう少し現実逃避していたかったのだけれど、衝撃的な言葉が聞こえてきて叩き起こされた気分よ」
八幡「お前も災難だったな。ところでお前ってパンセ読んだの?」
雪乃「読んだわ。仏語辞典を片手にだったから、きちんと仏語を学んで読み直すつもりよ」
結衣「へー」
167:
雪乃「由比ヶ浜さん、わからないならそれでいいわ」
結衣「ゆきのんごめんねー?」
雪乃「それは大丈夫だから由比ヶ浜さんの頭について考えましょう」
結衣「ゆきのん言葉がいつもよりきついよ!?」
八幡「それじゃあ話進める…」
雪乃「比企谷くんは黙っていて頂戴」
結衣「ヒッキーうるさい超キモい!」
168:
八幡「お前らなんでこんなときだけ仲良いんだよ」
雪乃「人と人とを団結させるには共通の敵を見つけるのが一番と言うことね」
結衣「まぁ冗談は置いておいてさ!これからどうするの?」
雪乃「冗談……?」
八幡「おい、そこに疑問を抱くなよ」
雪乃「そうね。今回は由比ヶ浜さんの顔に免じて見逃してあげましょう」
結衣「あ、あたしの顔って……あたしゆきのんみたいにかわいくないよ!?」テレ
八幡「由比ヶ浜……」
雪乃「由比ヶ浜さん……」
169:
結衣「ふ、二人ともそんな可哀相なものを見る目で見ないでよ!」
雪乃「なんて不憫なのかしら…」
結衣「く、口にも出さないでよゆきのん!」
八幡「おい。そろそろ下校時刻だから準備しとけよ」
雪乃「何を言っているのかしら。まだやらなければいけないことが残っているでしょう」
結衣「すべきことって?」
八幡「何か依頼ってあったか?」
雪乃「何を寝ぼけているのかしら、この男は?どちらの…今は一応誰のカレーを食べるのか、ということで話し合っていたでしょうに」
170:
八幡「あー、そう言えばそんなことも言っていたな。由比ヶ浜がとんでもないことしたせいですっかり忘れてたわ」
結衣「ヒッキーひどくない!?いくらなんでも言いすぎでしょ!」
雪乃「確かに忘れてしまうのも致し方ないわね」
結衣「ゆきのんも認めないでよ!?」
八幡「……というわけで勝負はなしに……」
雪乃「なるわけがないでしょう。全力で叩きのめしてあげるから覚悟なさい」ニコリ
八幡「ですよねー」
結衣「笑顔なのにゆきのんが怖い…」
172:
八幡「ならルールはA.一人一票、B.自分への投票は禁止、C.最多数の勝ち・同数無効でいいか?」
雪乃「……そうね。比企谷くんの思惑に乗るのは最悪なのだけれど、それが妥当でしょうね。本当に残念だわ」
八幡「繰り返して残念って言うなよ。どんだけ残念なんだよ」
雪乃「話してもいいのだけれど、そろそろ時間がないから止めておきましょう」
八幡「じゃあさっさと終わらせるか。さっきのホワイトボードに誰のカレーを指示するか書くか」
結衣「うーん……やっぱり………」サラサラ
雪乃「………………」サラサラ
八幡「………………」サラサラ
八幡「よし、書けたみたいだし見せ合うか」
173:
結衣『ゆきのんのカレーおいしそうだよね!ヒッキーのは辛そうなんだよね…』
雪乃『比企谷くんのカレーね。他に選択肢がないのだから仕方ないでしょう』
八幡『由比ヶ浜のカレー』
結衣「一対一対一かぁ…ってあたしも一票入ってる!?」
雪乃「自分で考えておいて驚くというのは如何なものかしら…。結局こうなってしまったわね」チラ
八幡「なんのことかな。俺はただネタ的にフルーツカレーもありかな、と思っただけだ。他意はないぞ」
176:
雪乃「あなたのリスクリターンの計算力を侮っていたということなのかしら…」
八幡「失礼な。第一お前は勝ちを求めすぎなんだよ」
雪乃「勝ちを求めるのは当然のことでしょう」
八幡「違うな、間違っているぞ。肉食動物は狩りに勝てなければ死ぬ」
八幡「だが草食動物は逃げ切れば再び安住の地を踏むことが出来る」
八幡「つまりだ!肉食動物においての引き分けと草食動物においての引き分けでは、現実問題として草食動物の勝ちになるということだ!」
八幡「すなわち雪ノ下雪乃、お前は俺に負けたということだな!」ビシッ
雪乃「…ま、待ちなさい比企谷くん…」
八幡「笑止!勝てば官軍、負ければ賊軍!つまり敗者の言など聞く耳持たぬわ!」
結衣「…………ヒッキーがあのヒトに似てきた気がする」
????「その勝負ちょっと待った!」
177:
八幡「誰だ!?」
平塚「世界に悪の栄えた試しは無いのだ!それをわたしが証明してやろう!」シャキーン
八幡「平塚先生なにやってんすか…?」
平塚「きゅ、急に真顔になるな比企谷!」オドオド
八幡「部外者は立ち入り禁止なんすけど?」
平塚「わたしは奉仕部の顧問だ!恩師になんて言い草だ」
八幡「はいはい。それで恩師で某変身ヒーローの平塚先生がなんの用ですか?」
平塚「おぉ!比企谷はこのネタを知ってるか!よかったよかった!」
179:
八幡「いや知りませんけど?ただ父親が話していたのを思い出しただけです」
平塚 (´;ω;`)ブワッ
八幡「いや、ジェネレーションギャップ感じたくらいで泣かないでくださいよ」
平塚「べ、別に泣いてなんかないし!これは心の汗だし!」ゴシゴシ
雪乃「話が進まないから比企谷くんは黙っていてもらえるかしら?それで平塚先生なんの御用でしょうか」
平塚「きょ、今日はノックのことはい…言わないの、か?」ウルウル
雪乃「…はぁ、いつもノックをしてくださいとお願いしていますよね、平塚先生」
平塚「ははは!細かいことを気にするな雪ノ下!」
雪乃「」
180:
八幡(お前の今の心境は痛いほど分かるぞ、雪ノ下…)
八幡「…それで何の御用ですか平塚先生」
平塚「そうだった…。なに、施錠しようと思えば何やら面白い話が聞こえてくるじゃないか」
雪乃「聞き耳を立てていたんですね…」
平塚「まぁそう怒るな雪ノ下。これはむしろお前に有利な話なんだから」
八幡「」ソー
平塚「そう急いで帰ることもないだろう比企谷」ガシッ
八幡「いやぁ家でお腹を空かせた小町が兄の帰りを待ってるんで…」
181:
結衣「小町ちゃんが『あたしは家でご飯食べてるので、兄は好きに使ってください』だってさ」ポチポチ
八幡「おまっアホの子なんだから大人しくしてろよ!」
結衣「アホの子って言うなし!そんなこと言うヒッキーなんて知らないし!」
八幡「あ、ちょ!」
雪乃「今の状況で由比ヶ浜さんを敵に回すというのは、流石としか言えないわね」
平塚「さて。異論も無いようだし…」
八幡「意義あり!民主主義なんておかしい!俺は今こそ共産主義が正しいと思う!」
平塚「最大多数の最大幸福だ、比企谷というわけで」
平塚『雪ノ下。何の勝負かはわからんが、雪ノ下に入れておけば間違いはないだろう』
 比企谷:一票 雪ノ下:二票 由比ヶ浜:一票
182:
雪乃「さて、比企谷くん。何か言うことはあるかしら?」ニコリ
八幡「は、敗者の弁を聞いてこそ人の上に…」
雪乃「何か言うことはあるかしら?」
八幡「な、ないです…」
雪乃「結構よ。…平塚先生ありがとうございました。おかげでこの男の毒手をへし折ることが出来ました」
平塚「そうか、それは素晴らしいことだな。それで何を言い争っていたんだ?」
雪乃「えぇ。夏カレーにジャガイモを入れるのか、入れないのかという……」
平塚「カレーにジャガイモは必須だろ?」
183:
八幡「」
雪乃「」
結衣「」
平塚「……あ、あれ?わたし、おかしなことを言ったか?」
八幡「さて、帰るか」
雪乃「えぇ、そうね」
結衣「帰ろっか……」
平塚「え?……え?…………え?」
184:
八幡「そう言えば賭けはどうするんだ?」
雪乃「そうね…今日の買い物の荷物持ち、というのはどうかしら?」
八幡「まぁ妥当だな……牛肉は…」
雪乃「買わないわ。今日の夕食はシーフードカレーなのだから当然でしょう」
八幡「ちぇっ……」
雪乃「安心しなさい。あなたには牛肉の代わりに山盛りのフルーツを買ってあげるわ」
八幡「え…?」
雪乃「あなたは私のカレーよりも由比ヶ浜さんのカレーがお好みなのでしょう?」ニコリ
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