凛パパ「ただいま〜」back

凛パパ「ただいま〜」


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1:
いつものように家のドアに手をかける。
まだローンの残っているこじんまりとした一軒家だがこのドアを開ければ愛する娘と妻が出迎えてくれる。
それだけで毎日遊園地の入場門をくぐっているような、心躍る気持ちになる。
凛ママ「あら、あなた。おかえりなさい」
凛パパ「うん、ただいま。……あれ?凛は今日もいないのかな?」
凛ママ「そうなの。今日も部活が忙しいらしくてね?。遅くなるかもしれないから夕飯は先に食べててっていうメールが
きてたわー」
凛パパ「……ふーん。今日は休日なのに部活が忙しいのかぁ」
凛ママ「どうしたのよ?そんなに寂しそうな顔して?」
凛パパ「え?そんなに寂しそうな顔してたかな?」
凛ママ「ふふ。してるわよー。はっきりと顔に寂しい!って書いてあるみたいにねー」
そんなにはっきりと顔に出てしまっていたのか。
自分の妻の前とはいえ少し恥ずかしい。
だが寂しいと僕が感じてしまっているのは紛れもない事実だ。
7:
凛パパ「だけどしょうがないよ。もうここ何日かは凛と一緒に夕飯を食べれてないじゃないか」
凛ママ「一緒に食べれてないって言ってもここ1週間くらいでしょ?大袈裟ねー。
それに凛とは毎日顔を合わせてるじゃない」
凛パパ「まぁ、それはそうなんだけどさ……」
妻の言っていることが正しいのは分かっている。
だけど顔を合わせるのと一緒に食卓を囲んで食事をするのは僕にとっては全く別物だ。
その日に起きた学校での出来事、小さい頃から仲のいい花陽ちゃんとの話。……そして部活動のこと。
夕飯を食べながらたくさんの話を凛の口から聞く。
それが僕にとって仕事で疲れきった心を癒してくれる至福の時間だったからだ。
10:
凛ママ「まったく……しっかりしてよ。たった1週間くらいでそんなふうになってたら将来凛が
お嫁に行っちゃったときにどうするのよ?」
凛パパ「ぷっ、あの凛がお嫁って……。凛は高校生だよ?まだまだ子供さ」
凛ママ「さぁどうかしらねー?そんなことないかもしれないわよー?」
凛がお嫁に行ったらだって?そんなこと今は全然想像もできない。
年頃の女の子らしいおしゃれやメイクなんかにも全然興味がないみたいだし。
凛は小学生くらいの時から男の子のような恰好を好んでするようになった。
髪を伸ばすのはやめスカートではなくズボンをよく履くようになった。
それは凛が高校生になった今でも変わっていない。
11:
去年の誕生日に僕と妻とでこれを着れば今よりもずっと女の子らしく可愛くなれるよとオレンジと
白いフリルのついたミニスカートと髪留めをプレゼントしたことがあったが、こんな可愛い服は恥ずかしい、
やっぱり私にはズボンのほうが似合ってるよ、と言って僕たちに着てみせてくれることは無かった。
妻はとても残念がっていたみたいだが、僕は内心ほっとしたような少し嬉しい気持ちになった。
あぁ、やっぱり凛は小さい頃の凛のままなんだなぁ……と。
僕が知っている凛のままなんだなぁ……と。
凛くらいの年頃の女の子といったら親の言うことすべてに反発してみたり派手な格好をしてみたりとなにかしら変わっていってしまうのが当たり前だと思っていたが凛は少しも変わっていない。
昔のままの……小さい頃の無邪気で可愛い凛のまんまなのだと、そう思えて嬉しかったのだ。
まぁ、それでもせっかくプレゼントした洋服を着てくれなかったのは少し残念だったが。
そのときの洋服、なかなか処分できず実はいまだに僕の部屋のクローゼットにしまっているのは僕だけの秘密だ。
凛パパ「まぁいいや。じゃあ凛には悪いけど二人で先に夕飯にしようか?」
凛ママ「えぇそうね。先に食べましょうか」
凛抜きでの夕飯は寂しいが部活なら仕方がない。
そう自分に言い聞かせるようにして先に妻と二人で夕飯をとることにした。
12:



凛パパ「あ……そういえばさ」
凛ママ「ん?どうかしたの?」
二人で他愛のない話をしながら食事をしていたのだがひとつ気になっていたことがあったのを忘れていた。
これは聞いておかないと。
凛パパ「凛は今日学校は休みだったはずでしょ?朝早くから出掛けてたけどこんな時間まで部活なの?」
凛ママ「今日はファッションショーでのライブだったらしいわよ?
私も応援に行きたかったんだけどもうチケット買えなくってってねー」
凛パパ「へぇーそうなんだ。それなら僕も見に行きたかったなぁー」
凛ママ「あなたみたいなおじさんが行くようなところじゃないわよ、きっと」
凛パパ「あ、それもそうか」
二人で顔を見合わせて笑いあう。
14:
そういえば少し前に2年生が修学旅行でいない間だけ凛がリーダーをすることになったと嬉しそうに話していたなぁ。
だから今日のためにあんなに張り切って頑張っていたのか。
今日がライブ本番だと言ったら僕たちが応援に来そうなので黙っていたのかな。
きっと凛のことだから会場がファッションショーだというのに気を使ってくれたんだろう。
そんなことを考えているとまた自然と笑みがこぼれてしまう。
凛パパ「凛もμ'sのみんなもあれだけ練習を頑張ってたんだ、今日のライブうまくいってるといいね」
凛ママ「そうね。きっと大成功してるに決まってるわ!」
15:
今までμ'sのみんながどれだけ頑張ってきたかは凛が話してくれているのでよく知っている。
自分たちが通う学校の廃校を阻止するためにアイドル活動をする、なんてなかなか出来ることじゃない。
それを立ち上げた高坂さんも凄いがそれに同調し、ついてきた他のみんなも凄いと思うし立派だと思う。
そんな人たちに混じって凛もμ'sに入りたい、廃校を阻止したい、みんなの力になりたいと言ってきたときには父親として嬉しくもあったし誇らしくもあった。
あったのだが……
23:
凛ママ「あーあ、でもやっぱり凛のタキシード姿は一目見ておきたかったわー」
凛パパ「……タキシード姿?なんのこと?」
凛ママ「あら、あなた凛から聞いてないの?
なんでも今日はファッションショーでのライブだからかセンターの子がウエディングドレス風の衣装を着て残りの子はタキシードを着るって言ってたのよ」
凛パパ「あ……そうなんだ。そんなこと、僕には全然教えてくれてなかったなぁー……」
凛ママ「うふふ、またそんな寂しそうな顔してー。きっと照れくさくてあなたにはなかなか言えなかったのよ」
凛パパ「そんなものなのかなぁ」
凛ママ「そんなものよ。あなたに凛がタキシードを着てステージで躍る!なんて言ったら『凛はボーイッシュな女の子だから絶対に似合う!』
だの『写真をいっぱい撮ってきてくれ!』だのって凛に言うでしょ?
そういうふうに父親から言われるのは恥ずかしかったり照れくさかったりする年頃なのよ」
25:
凛パパ「そういう年頃……かぁ」
凛が部活動を始めた当初、つまりμ'sに入った頃は僕も心から応援したいという気持ちで一杯だった。
だけど今もまだ100%そういう気持ちでいるのかと聞かれたら手放しでうん、そうですよとは言えない。
まだ凛が部活に入ってない頃は休みの日には家族で買い物に出かけたり遊びに行ったりよくしていたものだが
凛のスクールアイドル活動が忙しくなるにつれてそんなこともめっきり無くなっていってしまった。
それは休日も朝から練習をしているのだし家では勉強だってしないといけない。
僕と出かけたり遊んだりする時間なんて無いのは分かってる。分かってはいるつもりだが……
やっぱり心のどこかで寂しさを感じている自分がいる。
凛の心がどこか遠くに行ってしまいそうであせっている自分がいる。
……μ'sのみんなに嫉妬してしまっている自分がいる。
娘の友達に嫉妬してしまうなんてなんて情けない……
26:
そんな僕に追い打ちをかけるように知ったさっきのタキシードの話。
凛が今まで僕に話してくれていないことなんて無いと思っていた。
凛のことならなんでも知っているような気になっていた。
だが……現実は違ったらしい。
凛はもう僕の事なんてどうでもよくなってしまったのだろうか。
思春期の娘なんてそんなものだよと言われてしまえばそれまでだろうが、凛と僕との時間が減ってしまったのはμ'sに入ってからのこと。
μ'sさえ無ければ、凛がもし入っていなければ……と心のどこかでそう思ってしまっているのだろう。
我ながらなんて情けなく、心の狭い親なんだろう。
子供のしたいことを心から応援してあげることもできないなんて……
28:
凛ママ「……ちょっとあなた、聞いてる?」
凛パパ「う、うん聞いてるよ。ごめんごめん」
凛ママ「もう、寂しそうな顔をしてみたりぼーっとしてみたり今日は忙しいわねー。
もうすぐ凛もくたくたで帰ってくるんだからそんな顔はやめてよー?」
凛パパ「あ、あぁそうだね。ちょっと考え事をしてて……。気を付けるよ」
凛ママ「うむ!ならよし!」
凛パパ「ははは、ずいぶんと偉そうじゃない?」
凛が帰ってきたらどんな顔をして出迎えてあげたらいいんだろう。
僕は気持ちよく笑顔で出迎えてあげることができるだろうか。
いや……笑顔で出迎えないと。
凛だって疲れて帰ってくるに違いない。
僕たち家族が笑顔で出迎えてあげないでどうするんだ。
自分が寂しいというだけの幼稚でわがままな感情で凛の邪魔をするわけにはいかない。
こんな感情はしまい込んでおかないと……
29:
凛「ただいまぁ?!」
狙いすましたかのようなタイミングで凛が帰ってきた。
いけない、平常心で出迎えないと……笑顔、笑顔。
凛パパ「おっ凛、おかえりー」
凛ママ「おかえりー」
凛「うん!ただいま!」
凛ママ「あら凛、汗びっしょりじゃない?どうかしたの?」
凛「えへへー。今日嬉しいことがあってね、お父さんとお母さんに早く話したいから走って帰ってきちゃった!」
凛ママ「うふふ、そうだったの。それじゃ後でゆっくり聞きましょ。とりあえずお腹空いたでしょ?着替えてらっしゃい」
凛「うん!お腹ぺっこぺこにゃー!じゃあ着替えてくるね!」
そう言うと凛は小走りで自分の部屋へと行ってしまった。
30:
凛パパ「はは、疲れてるどころか今日の凛はいつにも増して元気がいいなー」
凛ママ「そうねー。よっぽど嬉しいことがあったんじゃない?」
凛パパ「どんなことだろうね?」
嬉しいこと……か、想像もつかないなぁ。
まぁでも凛が嬉しそうにしていると僕も嬉しい。これは親バカだろうか?
久々に凛の口からいろんな話が聞ける、そう考えるだけで心が暖かくなってくる。
にやついてしまいそうなのを必死で我慢して僕は凛が戻ってくるのを待つことにした。
凛「おまたせー!」
凛ママ「あら早かったわねー、ご飯の支度出来てるわよ」
凛パパ「お腹空いたでしょ?ご飯でも食べながら話を聞かせてくれるかな?」
凛「うん!じゃあさっそくいただきまーす」
凛は椅子に座るなりすぐに箸を持ちすごい勢いでご飯を食べ始めた。
31:
凛パパ「あはは、そんなにがっついて食べなくてもご飯は逃げないよ。もう僕とお母さんは食べたんだから」
凛「むぐもぐむぐ……」(ごっくん)
凛「……えへへ、ごめんなさい。走って帰ってきたらすごくお腹空いちゃったから」
凛パパ「そりゃライブの後に走って帰ってきたらお腹だって空くだろうねー」
凛「えっ!?なんで今日凛達がライブだったこと、お父さんが知ってるの!?」
凛パパ「なんでって、さっきお母さんに聞いたからさ」
凛「えーっ!もうお母さん!お父さんには絶対に言わないでって言ってたのにー!」
凛ママ「あらそうだったかしら?ごめんごめん」
凛「もーっ、ひどいにゃー!」
ブンブンと両手を上下に大きく振りながら凛が言う。
そ……そんなに僕には知られたくなかったのか。
分かってたことだけどいざ目の前で言葉にされると結構ショックだなぁ……。
32:
凛ママ「まぁまぁ、それでライブはどうだったの?」
凛「うん!大成功だったよ!6人でステージに立つのは初めてだったけどすっごく楽しかったにゃ!」
そう言った凛は手をピースの形にしてみせた。 
今日1番の笑顔で。
……あ、この笑顔は僕たちが作った笑顔じゃない。
μ'sのみんなによって作られた笑顔なんだ。
そう思ったら自分の意志とは関係なく口が勝手に動いてしまっていた。
凛パパ「……あのさ、凛」
凛「ん?なぁに?」
『凛のμ'sでの活動をもう少し控えることは出来ないの?』
そんな言葉が口から出かかってとっさに口をつぐんだ。
何を言おうとしているんだ、僕は……。
ついさっき凛の邪魔になるようなことはしないと決めたばっかりだというのに。
34:
凛パパ「……い、いや、楽しかったのならよかったね」
凛「うん!すっごく楽しかったよ!」
そう、これでいい。
ただでさえ嫌われているんだ。これ以上凛に嫌われるようなことを口にするのはよそう。
凛ママ「そう、よかったわねー。それで今日あった嬉しかったことって何だったの?」
凛「そう聞いて聞いて!あのねあのね」
凛はそう言うと自分の携帯電話を取り出して人差し指でぽちぽちといじりだした。
凛「えっと……あった!ジャーンこれみて!」
凛ママ「まぁ!これ凛がウェディングドレスを着てる写真じゃない!凛はタキシードじゃなかったの?」
凛「あのね、本当はかよちんが着るはずだったんだけどみんなが凛が1番似合うよって言ってくれて凛に着させてくれたの!」
凛パパ「へぇーそうだったの。だけど凛はそういう可愛い服は嫌いでしょー?よく着たねー、どれどれ僕にも見せて……」
僕が覗き込んだ携帯にはウェディングドレス風の衣装に身を包み綺麗にお化粧をした凛とタキシード姿のμ'sのみんなが笑顔で映っていた。
これまたとびっきりの笑顔で。
35:
凛パパ「え?……えっと、凛はこういう可愛い服は嫌いなんじゃなかったの?」
凛「お父さん!お母さん!もう凛ね、自分に嘘をつくのはやめることにしたんだ!
凛は可愛い服が好きだしもっと着たい!
だからね、μ'sのみんながこの衣装はきっと凛に似合うって言ってくれた時すっごく嬉しかったんだぁ!」
凛が可愛い服が好き?
そんなこと今まで全然気が付かなかったし、考えたこともなかった……
今まで何年も一緒に生活してきて全然気が付いてやれてなかった。
何が、凛のことならなんでも知ってる……だ。
こんな簡単なことすら知らなかったなんて僕はなんて駄目な父親だ。
あ……きっと、もともとこの衣装を着る予定だったという花陽ちゃんとμ'sのみんなは本当は凛が一番この衣装を着たがっているということに気づいていたんだ。
僕が何年とかかっても気が付けなかったことをあの娘たちは出会ってからのこんな……ほんの短い期間で。
36:
凛パパ「……やっぱり、敵わないよなぁ」
そんな言葉が自分にしか聞こえないくらいの声だが漏れてしまった。
そうか、やっぱり凛がいるべき場所は……
凛パパ「そうだったのかい。ごめんね凛。そんなことも気づいてあげられなくて」
凛「にゃっ!?なんでお父さんが謝るの?」
凛パパ「今まで凛に辛い思いと我慢をさせてたんだろうなって思ってね。僕は父親失格だよ。……これじゃ嫌われちゃうのも当たり前か」
僕が力なく笑ってみせると凛が椅子から立ち上がりそう勢いで言葉を返してきた。
凛「いつ凛がお父さんの事嫌いって言ったの!?凛はお父さんのこともお母さんのことも大好きだよ!」
そう言った凛の顔は心なしか怒っているように見えた。
普段はあまり見ることのない表情だった。
37:
凛パパ「で、でも凛は今日のライブのこと僕には全然教えてくれてなかったじゃない?」
凛「それはお父さん今日はお仕事だったし、もし凛がライブでタキシードなんか着るって言ったらお仕事休んででも来ようとするでしょ?
それに会場はファッションショーの会場だったから女の人しか入れなかったし!だから来たくても来れないお父さんには内緒にしてたの!」
凛パパ「そ……そんな理由?僕の事を嫌いになったわけじゃなかったの?」
凛「もし凛がお父さんのこと嫌いだったら走って帰ってきてまで二人にこの写真を見せたりしないにゃ!」
凛パパ「は……はは確かにそうかもね。ごめんごめん」
凛は僕を嫌いになったわけじゃなかったのか。
恥ずかしい思い込みをしてたなあ。
凛パパ「でもこの写真でも十分嬉しいけど、やっぱりせっかくの凛のウェディング姿は生で見てみたかったなぁー」
凛ママ「そうねー、自分の娘ながら写真でもこんなに可愛いんだもん。実物はもっと可愛かったんでしょうねー」
凛「それは駄目だよ」
38:
凛パパ凛ママ「?」
僕と妻、ふたりで顔を見合わせる。
駄目とはどういう意味だろう。
凛「お父さんとお母さんには凛がお嫁に行って本当の結婚式を挙げるときまで見せてあげない! 
凛のウエディングドレス姿はそのときまでお預け!」
凛はそう言うと悪戯っぽい猫のような笑顔を浮かべながらあっかんべーをしてきた。
凛パパ「は……あはは、凛は……意地悪だなぁー」
凛ママ「?あらやだあなた、もしかして泣いてるの?」
凛「にゃっ!?凛が泣かせたの!?」
凛パパ「ち、ちち違う違う、少し目にゴミが入っちゃってさー」
凛ママ「ふふふ」
我ながらなんて下手くそな嘘だろう。いまどきの小学生でももう少しましな嘘をつくと思う。
だが凛がこんなことを言うとは思わなかった。
……僕の気付かないうちに、いつの間にかこんなにも立派な女の子になってたんだなぁ。
でも笑顔と仕草は昔からずっと変わっていない凛のままで。
40:
僕は本当に馬鹿だ。
凛がμ'sのみんなといると変わってしまう?僕の知っている凛ではなくなってしまう?
そんなことあるはずない、凛は凛だ。ずっと変わらないままでいてくれる。
μ'sの一人としての星空凛と僕たちの娘としての星空凛、そこにはなんの違いもない。
そして僕が気が付けなかった凛の本当の気持ちもμ'sのみんなはしっかりと気付いてくれていた。
寂しいだの、素直に応援できないだのと言って駄々をこねている場合じゃないな。
だったら僕がやってあげるべきことは……。
凛パパ「そうだ凛!ちょっと待ってて」
凛「にゃっ?」
凛にそう言い残し自分の部屋へと向かった。
確かこのクローゼットの奥に…………っと、あったあったこれだ。
去年の凛の誕生日にと買ってきたが受け取ってもらえなかったオレンジと白のミニスカートと髪留め。
本当はあの時も着てみたかったのだろうか?
今度こそ……今度こそ凛に受け取ってもらおう、そしてもう一度きちんと謝ろう。
いろいろなことを。
41:
凛パパ「おまたせー」
凛パパ「凛、ほら誕生日プレゼントだ!」
凛「え?でも凛全然誕生日じゃないよ?」
凛がキョトンとした顔でそう言う。
凛パパ「何言ってるんだ、今日は凛の誕生日さ。新しい自分に生まれ変わった、ね?」
そう言って妻に目線を送る。
凛ママ「ええそうね、今日は凛の誕生日だわ!」
凛「しかもこれ去年お父さんとお母さんがプレゼントしてくれたお洋服!?」
凛ママ「あなたそれまだ持ってたのねー、もう処分したって言ってたじゃないの」
凛パパ「ま、まぁまぁいいじゃないの。なかなか捨てられなかったもんだからさー」
凛「ほんとはね……」
凛が受け取った洋服を大事そうに胸に抱えながらそっと口を開いた。
43:
凛「……ほんとは凛ね。
去年これをお父さんとお母さんに貰った時はすっごく嬉しかったんだ。
でもやっぱり凛にはこういう可愛い服は似合わないって思ってその場でいらないってつい言っちゃったの。
ほんとはすっごく着てみたかったんけど……せっかく二人が選んで買ってきてくれたものなのに……ごめんなさい」
しょんぼりとした顔でぺこりと頭を下げる凛を見ているとまた視界がにじむ。
謝らないでくれ、謝るべきなのは僕のほうだ。
凛パパ「凛、謝らないでいいよ。そうだ!その時のリベンジじゃないけどよかったら今僕たちに着て見せてよ!」
凛ママ「あらあなた、たまにはいいこと言うじゃない!凛、今すぐ着てらっしゃい!」
凛「えぇ!今着るの!?それはちょっと恥ずかしいよぉ……」
凛パパ「大丈夫凛ならきっと似合うさ、絶対に可愛いよ!」
凛ママ「そうね、絶対に可愛いわ!ほら、そうと決まれば行った行ったー!」
凛「にゃにゃ!?」
そういうと妻は半ば強制的に凛の部屋へと凛を連れて行ってしまった。
凛ママ「ふぅー、世話が焼けるんだから。……あなたに似たのかしら?」
凛パパ「それどういう意味なのさ」
妻がにやにやとしながら言ってくる。
44:
二人でしばらく待っていると着替えを済ませた凛がもじもじとしながら戻ってきた。
凛「き……着替えてきたよ?どうか……な?」
凛ママ「きゃー!可愛いわよ凛、とっても似合ってる!」
凛パパ「うん、凛可愛い!やっぱりその服とっておいて正解だったね」
凛「えへへ……そうかな?二人から言われるとなんだか照れくさいにゃ」
凛パパ「そうだ!それを練習着にして今度の練習にも着て行ったら?きっとμ'sのみんなも可愛いって褒めてくれるよ」
凛「そうかなぁ?そうだったら嬉しいなぁ」
照れながらも笑顔で凛が言う。
凛パパ「凛、今まで本当にごめんね」
凛「だから謝らないでって……」
凛パパ「いや、いろいろなことに対して……さ?」
つまらない嫉妬心なんかで凛とμ'sを引き離そうとしてしまったとは言えないけど。
45:
凛ママ「まぁ……そういうことらしいわよ凛。お父さんを許してあげたら?」
妻が笑いながら呆れたように言う。
僕の考えていたことなんて全部お見通しだったらしい。全く、この人には敵わない。
凛「んー?凛にはよくわかんないけどじゃあ……特別に許してあげる!」
凛パパ「あはは、ありがとう凛」
凛ママ「ふふ、一件落着ね。変なこと凛に言わなくて良かったわねあなた?」
凛「へんなこと?それってどういう……」
凛パパ「わっ、わぁーっ!そ、そんなことよりさ、せっかくだから3人で記念写真でも撮ろうか!」
凛「記念写真?何の記念?」
凛パパ「だから凛が新しい自分に生まれ変わった記念さ。……それと、お父さんも新しく生まれ変わった記念に」
凛「お父さんも?」
凛パパ「いや、なんでもないよ。ほら、君もこっちに来て!撮るよ撮るよ!」
凛ママ「あーん!お化粧もしてないのにー!」
僕と妻で凛を挟む形で体を寄せ合う。
ポケットに入れていた携帯を取り出し腕を伸ばす。
凛「ちょっときついにゃー!」
凛パパ「あはは、じゃないと3人とも写らないだろー?」
46:
……全然寂しくないといえば嘘になる。
凛ママ「美人に撮ってちょうだいよー」
凛パパ「んーそれだと素材がなぁー」
凛ママ「ちょっと!それどういう意味よ!」
凛「あはは、お父さんひどいにゃー」
……だけど。
48:
凛パパ「……凛。μ'sのみんなと一緒にいるのは楽しい?」
凛「ん?もちろんすっごく楽しいにゃ!」
凛パパ「そっか。それなら良かった。じゃあ最後までみんなと頑張るんだよ?お父さん誰よりも応援してるから」
凛「うん!ありがとう!」
……だけれど、凛だって日々成長し頑張っているんだ。僕が応援してあげなくてどうする。
凛パパ「よし!じゃあ撮るぞー」
凛ママ「にっこにっこ……」
凛「それにこちゃんの!」
凛がスクールアイドルを続けていくうえでこの先待っていることは楽しいことだけではないのかもしれない。
凛パパ「あはは、よしじゃあ今度こそ」
凛ママ「いいわよ!」
凛「にゃー!」
?パシャ?
それでも……凛とμ'sの娘たちの未来が光り輝く華やかなものになることを願って、これからも応援していこうと…………そう思った。
END
49:

とても良かったよ
5

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