凛「いつまで夏なの?」back

凛「いつまで夏なの?」


続き・詳細・画像をみる

1:
凛「あっついにゃ?……」
9月下旬。
朝方や日が落ちたあとには秋特有の寂しげな風が吹き抜ける、凛が一番好きな季節。
だけど。
凛「あっついにゃー!!」
日が照りつける日中は、真夏の気温よりはマシ、ってくらいにはあっついの!!!
希「凛ちゃん、そんなに騒ぐと、逆に暑くなるよ?」
海未「心頭滅却すれば火もまた涼し、です。凛には落ち着きがたりません」
今日の練習はユニットに分かれての練習だったんだけど、こうも暑くちゃ練習どころじゃないよ!!
ゆでダコになる?。
凛「だって、もう9月だよ!?それに下旬だよ!?なんでこんなに30度近いの!?温暖化なの!?」
希「おお、凛ちゃん賢いやん?そう!犯人は地球温暖化なのだよー!」
凛「温暖化の原因はなんだにゃー!」
海未「突き止めたところで、凛にはなにもできないのがオチですよ」
希「あ!オチつぶし!海未ちゃん、それは漫才じゃ一番やっちゃいけないことやん?」
海未「いつから漫才やっているんですか!?」
5:
希「ふっ、いつから漫才じゃないと勘違いしていた……?」
凛「なん……だと……?」
海未「もういいです!練習するつもりはないんですか!?」
あー、これはヤバいパターンかもしれないにゃ。
いつかみたいに、遠泳10kmとか準備体操で2時間とか、そんな勢いが今の海未ちゃんにはあるんだけど、どうしよっかなー?
凛「まぁまぁ海未ちゃん、そんなに熱くなると、もっと暑くなるよー?」
希「おおっ、上手いやん!」
海未「誰が熱くさせてるんですかっ!」
凛「ちょーっと、クールダウンが必要かにゃー?」
希「おおっ!?手に持ってるそれって……」
昨日かよちんと真姫ちゃんと行った駄菓子屋で、凛は武器を購入したのだった!
その武器とは……!!
凛「じゃじゃーん!」
水鉄砲!!
6:
------------
海未「凛!?それはまずいですよ!学校で水浸しだなんて、ハレンチです!!」
凛「だいじょーぶだいじょーぶ!こんなに暑ければすぐに乾くって♪」
希「だいじょーぶだいじょーぶ♪」
海未「ちょっ!?希まで、一体どうしたんですか!?」
希「どうもせんよ?だって……面白そうやん?」
海未「面白くありません!それは……」
凛「海未ちゃん!お命……頂戴にゃー!!!」
水鉄砲の銃口から射出された弾丸、もとい水は円弧を描き、パシャッと海未ちゃんの額にヒット!!
やったにゃー!!
海未「……」
8:
たぶん漫画とかなら、海未ちゃんの背景に「ゴゴゴゴゴゴ……」とか書いてあるような雰囲気。
希ちゃんはニマニマしてるけど、これってもしかして……
海未「ふ、ふふ……」
あー、なんか一番ヤバいやつかもしれないにゃ。
海未「ふふふふ……ふふふふふふふふふふふ!!!」
希「う……海未、ちゃん?」
ヒュン、という効果音と共に、凛の持ってた水鉄砲が奪われて、
凛の額に、その銃口が向けれていたにゃ。
海未「撃つ、ということは、撃たれる覚悟がある、ということですよね?」
ドスの効いた低い声で脅す海未ちゃんを尻目に、逃げようとする希ちゃんが見えたので、
凛「希ちゃん!どこいk」
ビシャ、と。
凛の額が打ち抜かれ、炎天下の屋上で大の字になったにゃ。
9:
その直後、目にも止まらぬ早さで海未ちゃんは逃げようとしていた希ちゃんに近づき、
海未「希も同罪です!ギルティ!」
希「ひぇええ、おたすけぇ?」
全然逼迫してない声。でも、それもそれで希ちゃんっぽいにゃ♪
-------------
海未「全く、練習中にこんなもの持ち出して、一体どういうつもりですか!?」
凛「えへへ、涼しくしよーかなー、って思ってね?つい、ね?」
海未「つい、じゃありません!いいですか、撃たれる覚悟もできていないのに撃つなんて言語道断、凛に銃を持つのはまだまだ早すぎです!」
希「海未隊長!」
海未「私のことを呼ぶときは、『海未隊長』の前に『隊長』をつけなさい!」
希「隊長!海未隊長!」
海未「なんですか、希上等兵」
10:
希「はっ!こちらには武器があります!……水鉄砲という武器が」
海未「それがどうしましたか?」
希「はっ!これを期に……敵地へと侵攻してはいかがかと」
凛「希上等兵!それは……」
海未「凛二等兵!口を慎みなさい!」
凛「隊長!わかりました、海未隊長!」
海未「しかし希、もう少し説明してもらってもいいですか?」
希「ええよ♪」
凛「上官の前だ、言葉を選べ!」
希「あ、その士官ごっこはもう終わってるよ?」
凛「」
12:
希「今日はユニット毎の練習やん?てことは、うまいことチームに分かれてるわけやん?」
海未「チームという言い方に引っかかりますが、まぁそうですね」
希「つまり……PrintempsとBiBiを倒すなら今、やん?」
海未「倒すって……!そんな物騒な!」
凛「撃たれる覚悟が?とか言ってる人が言っても説得力ないにゃ」
海未「それとは別です」
希「相手に武器を補給してもええよ。だって勝つのは……ウチら、やし?」
ニヤリ、と笑う希ちゃん。
よくわからないけど、策があるみたい。
希「作戦は、こうや……」
13:
海未「なっ……それではまるで、凛を捨て駒にするようなものではないですか!?」
希「大丈夫や。きっと凛ちゃんならその程度の死線、掻い潜れれるはずや!」
凛「ちょっと心配だけど……やってやるにゃー!」
海未「凛……!絶対に無理しないでくださいね」
凛「いざというときは、海未ちゃんが助けてくれるんだよね?」
海未「もちろん、この身など投げ捨てでも凛を助けますが……」
凛「それさえ聞ければ、百人力にゃ!」
希「それじゃ、二人共いいね?作戦通り……ウチはここで、彼女らを待っとるから、うまいこと誘導してな?」
海未「……段取りなどは、大丈夫でしょうか?」
希「二人が頑張ってくれてるあいだに済ませることは簡単や」
凛「希ちゃんにかかってるんだよ?……がんばってね」
希「心配せんでも、凛ちゃんは凛ちゃんの『仕事』をこなしてな?」
海未「それでは、私は私の『仕事』をしましょうか」
希「さぁて……lily whiteの快進撃、作戦……開始や!!!」
14:
まず凛と海未ちゃんは3丁づつ水鉄砲を持って、ぷりんてんぷす(なんて読むかよくわかんないにゃ)の練習している、アイドル研究部の部室前に待機。
休憩するであろうタイミングを見計らい突入→殲滅、部室制圧が優先課題。
突入合図は海未隊長から出してもらう……が。
海未「はぁー……はぁー……」
大分、呼吸が荒い。
同僚として、仲間として、凛は
凛「大丈夫だよ」
海未ちゃんを抱きしめた。
凛「そうだよね。この中に、穂乃果ちゃんとことりちゃんがいるんだもんね」
凛もかよちんを撃つ。それは辛いことだけど……
凛「でも、大丈夫。きっと、わかってくれるよ」
何をわかってくれるのか、わからないけど。
でもそんな慰めでも、海未ちゃんには効いたみたいで、
海未「ありがとうございます……凛」
海未「全く、部下に慰められるなんて……本隊に戻ったら、隊長職を辞さなければなりませんね」
え?それってまだ続いてたの?
16:
穂乃果「はぁー!なにこれ難しいよー!誰なのこんなステップ考えたのー!!」
ことり「クスクス……穂乃果ちゃんじゃなかったっけ?」
花陽「あ、一旦休憩しますか?お茶淹れますよ?」
穂乃果「うん、ありがとー」
------------------
海未(休憩に入ったみたいですね……)
海未ちゃんから、右手のハンドジェスチャーで『突入セヨ』の合図が出される。
左手は、部室のドアのノブを掴んでいる。
そのあとに3本指を立て、0で突入する。
ごめんね、穂乃果ちゃん。
指を折り、2本になる。
ごめんね、ことりちゃん。
さらに指を折り、残りは人差し指一本だけ。
……ごめんね、かよちん。
懺悔は、済んだ。
海未「突撃いいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
迷いはない。
殲滅のために、凛たちのユニットの勝利のために、銃口を3人に突きつける。
17:
入ってすぐ右手にいたことりちゃんは海未ちゃんが対応。
額と胸に1発、的確に打ち抜く。
左手にはかよちんがいた。
迷わず両胸を撃ちぬたけど……額を撃てなかったあたり、迷いがあるのかな。
正面には椅子にもたれかかる穂乃果ちゃん。
海未ちゃんが対応し、目にも止まらない早さで3連発。
だけど……
穂乃果「はぁっ!」
タオルでガードされた!?
どんな反射神経してんの!?
でもその隙は大きくて、穂乃果ちゃんの左にいた凛は死角になってて……
穂乃果ちゃんは、海未ちゃんに仕留めさせなかった。
幼馴染を2人も手にかけるのは、辛いもんね?
------------
ことり「ひゃー、びしょ濡れー」
穂乃果「いきなりだもんねー」
花陽「うぅ……昨日のアレが宣戦布告だったなんて、気がつかなかったよぉ……」
殲滅が終わった海未ちゃんは、憂いの涙よりも恍惚の表情が浮かんでたけど、あんまり深くは突っ込まないにゃー。
18:
次は……音楽室で練習しているBiBiが標的。
一番手ごわいのは絵里ちゃん。
だけど、やらなきゃ。
音楽室の前で、呼吸を整える。
海未ちゃんはさっきほどうろたえていない。
むしろ、落ち着いているくらいだ。
タイミングを見計らい、さっきと同じく右手でハンドジェスチャーを送ってくる。
その時。
絵里「誰っ!?」
22:
バレた!?
どうして!?
海未「くっ……退きますよ、凛!」
凛「シンガリは任せて!」
海未「……いいえ、やはり前進しましょう」
凛「どうして!?今の状況じゃ……」
海未ちゃんの方を振り向き、退路がなかったことを思い知られた。
ぷりんてんぷす(なんて読むか略)の3人が、各々の獲物を持ち、ゆっくりとこっちに向かって歩いてきている。
凛「か、かよ……ちん?」
花陽「凛ちゃん……襲撃なんて卑怯な真似、私たちはしないよ?」
ことり「正面からぶつかったら、プランタンが勝つに決まってるもん」
穂乃果「……海未ちゃん。今だけは、幼馴染とか関係なしでいいよね」
海未「ほ、穂乃果……っ」
ギリッ、と歯ぎしりする音が聞こえる。
歯が欠けたら、アイドル失格にゃー!
23:
絵里「穂乃果たちから連絡があったから厳戒態勢敷いてたけど、まさかこんなに早かったなんてね」
にこ「おかげでこっちも武器を用意する時間が取れたんだから、まずは……」
真姫「リリホワを潰してから、プランタンをやっつけましょう?」
BiBiの3人が持っている武器は……ポンプ式が2丁と、シリンジ式が1丁。
対してこっちの武装は引き金式が6丁。
彼我の戦力差は月とすっぽん、天狗とたぬき、その程度。
凛「海未ちゃん……びっくりするくらい不利だよ、今」
海未「何を言っているのですか?凛と私がいるのです……純粋な戦闘力でいえば、こちらの圧勝です」
花陽「そんなオモチャで、何ができるの?」
そう言ったかよちんは、自分の獲物を見せつけてくる。
一緒に見に行って、最高にクールだった逸品……!!
凛「ツインアリゲーター!?結構高かったのに……」
花陽「アイドルグッズを買ったと思えば、安いもんだよ」
24:
穂乃果「私とことりちゃんは、これだよ」
海未「アクアショット・ムスタングですか……」
二人の手には、青と黄色で装飾されたカラフルなポンプ式。
ぷりんてんぷす(なんて略)の3人でいえば、多分かよちんが一番の戦力。
凛「海未ちゃん、どっちから突破する?」
海未「BiBiを狙って音楽室に籠城してしまっては、物資(水)不足になってしまいます」
海未「多少強引でも、プランタンを突破し、希が手配している私たちの新しい武器を取りに屋上へ向かったほうが良さそうです」
凛「おっけーにゃー!それじゃ……」
ぷりんてんぷすの方を向き、クラウチングスタートの姿勢を取る。
うー、テンション上がるにゃー!!
絵里「二人とも、待ちなさい!」
海未「ゴー、凛!」
凛「にゃー!!」
全身のバネを活かし、前進する!
27:
疾走し、スカートに挟んだアクアショット・ミッチェルを手にする。
走り高飛びにおけるベリーロール要領で相手の懐に潜り込む!
花陽「飛び込んでくるなんて、選択ミスだよ凛ちゃん!!」
凛知ってるよ。
かよちんの持ってるツインアリゲーターはね、飛距離はあるんだ。
でも、
凛「連射が効かないなら、近接では凛のミッチェルの勝ちだよ」
飛び交う水を全て避け、かよちんの額を撃つ。
今度は迷わなかった。
花陽「ピャア!?」
敵地のど真ん中に潜りこんだ凛をことりちゃんと穂乃果ちゃんが見逃すはずがない。
でも、凛にばっかり注意してちゃダメだよ?
海未「二人共、道を開けなさい!」
凛ほどじゃないけど、海未ちゃんだって足が早いんだ。
両の手に握った海未ちゃんの武器、スペースクリアの正確無比な弾道は、的確に二人を打ち抜いた!
凛「逃げるよ、海未ちゃん!」
海未「はいっ!」
背を向けて走り出したとき、
バシュ、と海未ちゃんの頭が打ち抜かれる。
28:
絵里「待て、って言ったわよね?」
その手に握られているのは……
凛「アクアバズーカ・ハリケーン……?そんな機動性のない、クッソ重いのに……!」
絵里「機動力だけなら、にこ、真姫!」
にこ「ふふん♪」
真姫「凛、覚悟してよね」
にこちゃんの手にはアクアボンバー・武蔵というポンプ式、
真姫ちゃんの手にはNERFのスーパーソーカー・ショットウェーブ……
しかも、真姫ちゃんはカセットカートリッジを3丁も持っている!?
敵に回すと、のシリンジ式だにゃー……
海未「凛、早く……行きなさい!」
凛「で、でも、海未ちゃん!」
海未「後で追いつきますから、早く!」
凛「絶対、絶対に来てよね!」
再びクラウチングスタートの姿勢から、駆け出す。
必ず、武器を補給して戻ってくるから……!!
29:
海未「全く……先輩に、少しはカッコつけさせてください」
絵里「頭撃たれたら、しばらく寝てなきゃいけないんじゃないの?」
海未「こっちは2人でしたから、一回くらい復活したって、誰も咎めたりはしないでしょう」
絵里「それもそうね。それで、この状況……どうやって打開するつもりかしら?」
真姫「そんなチャチな引き金式じゃ、到底勝てないわよ?」
海未「ええ、このスペースクリアでこの場を凌ぐつもりはありません」
にこ「その一丁しか持ってないんじゃないの?」
海未「あなたたち3人は、これで対応しましょう」
希から護身用にと持たされた、セイバー……非常用のポンプ式水鉄砲。
飛距離、威力共に申し分ないですが、唯一の欠点、それは……
にこ「そんな少量のタンクで、3人相手にできると思ってんの!?」
絵里「舐められたもんね」
海未「もちろん、真姫のようにカセットカートリッジはありません。ですが……」
海未「メインアームに容量の大きいスペースクリアを使ったのは、セイバーの給水のためでもあるんです」
30:
真姫「カートリッジがないから、別タンクから直接給水って……そんな時間、与えると思ってる?」
海未「もちろん、与えられるとは思っていません。その時間を……奪い取るまでです!」
立った状態から、ダッシュします!
絵里「え、ちょっと!?」
凛のほうへ、つまり、BiBiとは逆の方向へ!
絵里「真姫、追って!にこは私の護衛を!」
にこまき「了解!」
真姫「ちょっと海未、待ちなさいよー!」
海未「待てと言われて待つバカがどこにいますか!」
真姫「えい!えい!」
走りながら、ショットウェーブをぶちまけてきます。
シリンジ式なので両手で撃つ必要があり、その度に距離をあけます。
まぁ、私もそこそこ足は早いほうですよ。
31:
凛「希ちゃん!!」
希「準備はばっちりできてるよ」
そう言って渡される、スーパーソーカーのタンダーストームブラスター。
この子は……タンブラーって呼ぼう。
凛「これ、カートリッジはないの?」
希「1本だけやね。ところで、海未ちゃんは?」
凛「海未ちゃんは……凛のことかばって……」
希「そっか……それじゃ、ウチも出ようかな」
そう言って、希ちゃんはファイヤドルフィンを担ぐ。
給水タンクを背負って戦うことのできる、長期戦向けの武器だ。
希「海未ちゃんには、これ渡そうと思ってたのにな……」
希ちゃんの手には、ストームシャーク。
180度回転する2本のノズルは隠密作戦にはもってこいのシリンジ式。
凛「凛が持っていくよ。凛が、海未ちゃんの分まで戦う。だから!」
希「本当、ええ子やね……」
32:
希「それじゃ、ちょっと段取りは変わったけど、行こっか?」
凛「うん!」
その時、屋上の扉が勢いよく開いた!
ずぶ濡れになった海未ちゃんが転がってきた。
凛「う、海未ちゃん!?」
希「何があったん!?」
海未「な、中庭……」
中庭!?何があったの!?
屋上から中庭を覗くと、そこは地獄絵図だった。
凛「に、にこちゃん……なんて武器を!?」
33:
にこちゃんが持っていたのは、水道に直接接続されたホース!
死屍累々と言った体のぷりんてんぷすたち。
こんなの、……こんなの!
凛「反則だよ!!」
希「凛ちゃん……これは、戦争や。反則も卑怯もない、戦争なんよ……」
凛「どうやって勝てばいいの!?」
希「……策がないわけじゃない、けど……」
海未「はっ!中庭だけじゃないです!もうすぐここにも……」
真姫「ようやく追いついたわ!」
凛「真姫ちゃん!?」
息を整えながら、カートリッジの交換を行う。
どうやら、これで予備はなくなったみたいだ。
真姫「海未をやったのは私。にこちゃんと絵里は、中庭で暴れまわっているでしょうね」
真姫「もし私がここで倒れたとしても、あなたたちは絶対に、にこちゃんたちには勝てない」
凛「ここは、凛が引き受けるよ」
35:
凛「だから、海未ちゃんと希ちゃんは……あの二人を止めてきて」
真姫「……ふん、まあいいわ。ここで倒されるか、中庭で倒されるか、それだけの違いだし」
海未「凛!?無茶しないでください!」
凛「さっき助けてくれたでしょ?……その御礼だよ」
真姫「ここは見逃してやるって言ってるんだから、早くいきなさいよ」
希「凛ちゃん……」
凛「大丈夫大丈夫ー!カートリッジもあるし、凛にはこのタンブラーがついているんだよ?勝てるって♪」
海未「……くっ!頼みましたよ、凛!」
バタン、扉の閉まる音。
二人とも行ってくれた。
凛「さあ真姫ちゃん、始めよっか」
凛「一番強いユニットを決める戦いを」
真姫「戦い?何言ってんのよ……これは、BiBiによる殲滅よ」
凛「分かり合えないなら……もう、倒すだけだね」
真姫「私のショットウェーブで、すぐにでも水浸しにしてあげるんだから!!」
36:
ちょっと解説いれるにゃー!
シリンジ式水鉄砲の特徴
・力の入れ方次第で遠くまで飛ばせる
・給水後すぐに撃てる
引き金式
・引き金を引いた分だけ発射するので、節水できる
・発射水量が少ない
ポンプ式
・ポンピング(シュコシュコするアレ)しないと飛ばない
・ポンピング圧があれば、引き金を引いている間ずっと水が出続ける
各メンバーの所持している武器
・穂乃果、ことり
ムスタング:ポンプ式
http://iup.2ch-library.com/i/i1292714-1411873363.jpg
・花陽
ツインアリゲーター:ポンプ式?よく知らない
http://iup.2ch-library.com/i/i1292716-1411873600.jpg
・凛
ミッチェル:引き金式
http://iup.2ch-library.com/i/i1292717-1411873676.jpg
タンダーストームブラスター:ポンプ式
http://iup.2ch-library.com/i/i1292722-1411873820.jpg
・海未
スペースクリア:引き金式
http://iup.2ch-library.com/i/i1292718-1411873676.jpg
セイバー:ポンプ式
http://iup.2ch-library.com/i/i1292719-1411873676.jpg
・希
ファイヤドルフィン:引き金式
http://iup.2ch-library.com/i/i1292720-1411873820.jpg
・絵里
アクアバズーカ・ハリケーン:ポンプ式
http://iup.2ch-library.com/i/i1292721-1411873820.jpg
・真姫
ショットウェーブ:シリンジ式
http://iup.2ch-library.com/i/i1292723-1411874003.jpg
・にこ
ホース:ホース
http://iup.2ch-library.com/i/i1292724-1411874003.jpg
多少間違ってても、突っ込んだら負けにゃー!!
41:
海未「希、そのタンク、重くはないですか?」
希「重いよ。重いけど……これは、ウチらリリホワが背負った使命の重さだと思っとるんよ」
希「だから、絶対におろしたりはせんし、心配しなくても大丈夫なんよ」
海未「わかりました……」
絵里「そこまでよ、二人共」
中庭に出る前、渡り廊下でえりちと遭遇した。
あっちの武装は……ハリケーンやね。
ポンプ式だから連射は効かないけど、瞬発力ではウチらの不利、かな。
絵里「にこの元には行かせないわ」
希「えりち……2対1やん?勝てへんよ」
絵里「あら、心配してくれるの?それはありがとう」
絵里「でもね?」
微笑むえりちは、もう一丁を取り出した。
海未「やはり、先ほどまでにこが持っていた、アクアボンバー・武蔵ですか」
絵里「これで互角と思ってもらえる?」
42:
海未「互角?とんでもない……やはり私たちの圧勝ですよ」
言うが早いか、ストームシャークを取り出す。
それに海未ちゃんはスペースクリアというサブアーム、セイバーという切り札を持っている。
海未「シリンジ式のシャークは爆発力こそハリケーンに劣るものの、持続力と瞬発力では郡を抜いています」
海未「サブアームの引き金式は……まぁ、お守りです」
海未「これでまだ互角とでも?」
絵里「……上等じゃない」
海未「絵里は私がひきつけます。希はその間に、にこを!」
希「アイアイサー!」
絵里「行かせないって、言ってるでしょ!」
武蔵による射撃。
しかしほぼ満水のハリケーンを持っていると、動きも多少は鈍る。
そんな鈍い射線など、読めて当然。
希「悪いねえりち、海未ちゃんと遊んでやってな!」
絵里「希、待ちなさい!」
海未「待つのはあなたです、絵里……私から、逃げられるとでも?」
43:
海未ちゃんを置き去りにしてきたけど……まあ大丈夫やん?
あと少しで、にこっちのところ……!
希「にこっち!」
にこ「来たわね、希!」
希「おっとぉ!?」
前口上もなくいきなり射撃……というか、散水!?
なんなんにこっち、かなりガチやん!?
希「さすがにホースはアカンってにこっち!反則や!」
にこ「それなら不意打ちも反則よね!?」
希「……分が悪い、かなぁ……」
にこっちの持つホースは、先端にノズルがついている。
そのノズルは、いくらか使い分けができる。
遠距離まで届くストレート、近接広範囲のシャワー、
そして中距離中範囲の拡散シャワー。
間合いをとっている今はストレートで応戦しているけど、そのうちミドルレンジの拡散に切り替えるんやろな……
ウチのファイヤドルフィンの射程は水平撃ちでおおよそ10m、にこっちのストレートは15mってところやろか。
全く、貧乏くじ引いたかな?
44:
--屋上/凛 VS 真姫--
真姫「……今、貴女なんていったの?」
凛「水の補給をしてきて頂戴、っていったんだよ」
真姫「貴女、正気?凛はカートリッジ含めて二丁、私は一丁」
真姫「ほんの少し長期戦に持ち込めば、簡単に勝てるのに」
凛「えへへー、スポーツマン精神ってヤツにゃ」
真姫「この状況では、ただの甘いヤツとしか思えないわね」
凛「それでも凛は、ここで真姫ちゃんと全力を尽くしたい。負けても後悔のないように」
真姫「……意味わかんない。負けたらそれまでじゃない?」
凛「そう、それまでなんだけど……うーん?凛にもよくわかんないにゃー!」
真姫「それじゃ、お言葉に甘えさせてもらうわ」
そうは言うも、銃口をこっちに向けたまま、ジリジリと後ずさりして蛇口に向かう真姫ちゃん。
そんなに信用されてないのかな?
凛「凛は後ろからいきなり撃つような卑怯者じゃないから、安心してていいよ」
真姫「……プランタンに強襲を仕掛けた凛が言っても、説得力ないわよ」
45:
凛「それじゃ、こうしよっか」
凛の持ってたタンダーストームブラスターとミッチェルを床に置き、頭の後ろで手を組む。
凛「どう?信用できる?」
真姫「……今持っている一丁で襲いかかったら、間違いなく貴女の負けよ?」
凛「大丈夫!真姫ちゃんはそんなことする卑怯者じゃないから!!」
真姫「ふぅ……まいったわ。別にそんなポーズしなくていいから、普通にしてて。私も……普通に、水くんでくるから」
凛「ありがとー!」
そう言われて、手は開放したけど銃は持たない。
なんとなく、だけど。
真姫「お待たせ。それじゃ、始めましょう」
凛「うん!あ、その前に、ルール確認しよっか」
真姫「そういえば、明確なルールがなかったわね……」
凛「ルールの適用は、とりあえずこの屋上での一戦だけでいいんじゃないかにゃ?」
46:
凛「凛はバカだから、単純明快にしようね。
まず、首から上に一発、体に三発当たったら負け。服をかするのはセーフ、銃とか手で殴るのは禁止……こんなところでいい?」
真姫「負けたあとは?」
凛「そうだにゃー……5分は行動禁止!」
真姫「つまり、5分後にはまた戦えるってわけね。面白いじゃない」
凛「5分のあいだに、にこちゃんを止めてくるから大丈夫だよ」
真姫「3人全員が同時に行動不能で、ユニットの負けってことね」
凛「そのルールで統一しようよー!」
真姫「それじゃ絵里とにこちゃんにメールしとくわ」メルメル
凛「希ちゃんと海未ちゃんにも教えておくにゃー」メルメル
凛「あ、ぷりんてんぷすは?」
真姫「え?なにそれ……ああ、プランタン?」
凛「ぷらんたん?」
真姫「花陽たちのユニットでしょ?フランス語よ」
凛「し、知らなかった……!!!」
47:
真姫「Printempsはさっき、にこちゃんが全滅させたわ……もう、このルールには適用できない」
凛「そっかー……」
真姫「ルールとかで長くなっちゃったわね。メール打ち終わった?あと、花陽に『もうちょっとでそっちに行くよ』とか、メールしてもいいのよ?」
凛「随分と余裕だね……真姫ちゃんこそ、にこちゃんに『負けちゃった?><』ってメールしててもいいんだよ?」
真姫「冗談、どうせなら電話するわよ……さて」
凛「うん」
またクラウチングスタートの姿勢を取る。
真姫ちゃんは両手でショットウェーブの銃口をこっちに向けている。
真姫ちゃんがコインを取り出し、親指で弾く。
これが床に着いたら、勝負開始。
真姫「凛……」
凛「真姫ちゃん……」
グッ、と足に力を込める。
短距離走でも味わう、このスタート一瞬前の精神が研ぎ澄まされた感覚。
今なら、100mでも200mでも、自己ベストを出せそうな集中力。
コインが、床に落ちる。
48:
落ちる音と、凛が飛び出したのはほぼ同時。
一瞬遅れて、真姫ちゃんのショットウェーブの能力の最高に近い度を持って射出されたけど、そこに凛はいない。
真姫ちゃんのすぐとなりまで、限りなく最で近づき、ミッチェルによる一発をお見舞いしようとする。
頭ではなく、胴体に。
これなら狙いが甘くても当てることができる。
けど。
真姫「ちょっと、近いってば!」
狙った腕ごと、跳ね除けられた!?
そのまま回転しつつ距離を空け、左手に持ったタンダーストームブラスター(タンブラー)でまた胴体を狙う!
スコッ
凛「にゃ?」
真姫「ポンピングしてないんじゃない?これだからポンプ式は信用してないのよ!」
バシュ、バシュ、バシュとリズミカルに高単発撃ちを繰り返し、真姫ちゃんに間合いを空けられる。
シリンジの強みは、力加減で飛距離と水の射出量、射出ペースをコントロールできること。
でも構造上、両手でしか扱えないから、二丁撃ちはできない。
とはいえ、使いこなせば……
真姫「今更ポンピングしようとしたって、遅いのよ!」
間合いを空けて、ショットウェーブの性能の可能な限りの飛距離で持って遠距離攻撃を仕掛けてくる!!
49:
しょうがない、メインアームをミッチェルにしよう。
隙を見てタンブラーをポンピングして、ってこれ、このブローバックノズルみたいのがポンプ?え?どこ?
真姫「使い方わからないの?」
凛「だ、だってこれ……」
真姫「図星のようね!」
凛「ミッチェルは使いこなしてるにゃ!」
それに……運動量なら、絶対に負けない!!
短期決戦には持ち込めないけど、持久戦になったら確実に勝てる!
ダッシュにゃー!
真姫「ちょっと、逃げるのぉ!?」
凛「ポンピングするための時間稼ぎにゃー!」
真姫「させないわよっ!」
引っかかった。
やっぱり真姫ちゃんってチョロいにゃー。
このまま疲れてくれれば……凛の勝ちっ!!
50:
屋上をちょっと(3分くらい)全力疾走したところで、真姫ちゃんの息が上がってきたのがわかる。
μ'sの練習でずっと走り込んでただけあって、そこそこ足は早かったけど、スタミナはどうしてもまだまだみたい。
真姫「り……凛!勝負、しなさい、よ!!」
凛「これも勝負のうちにゃー!」
真姫「ちょ……ちょっとタンマ!」
にやり、と笑ってしまう。
凛「隙有りにゃー!」
思わず飛び込んでしまう。
でも笑ってたのは、真姫ちゃんの方だった。
真姫「す・き・だ・ら・け」
両手でショットウェーブを構え、銃口はブレることなく正確に凛の額を向いている。
どうして疲れてないの!?
ビョーという間抜けな音と共にショットウェーブから射出される水は、空中にいる凛を捉えて離さない。
きっと真姫ちゃんはあのショットウェーブに、「Cutie Panther」って愛称をつけてるに違いないにゃ。
51:
凛自身びっくりするほどの反応で右腕で水を防いだ。
けど空中でのバランスを崩してしまい、前転受身を取りながら再び距離を空ける。
さすがにコンクリートの上ではちょっと痛いにゃ!肘とかすりむいたかも!!
真姫「疲れさせてから襲うだなんて、野生動物じゃないんだし、そんな手が通用するとでも思ったの?」
凛「バレてたんだね……でも、どうして?」
真姫「疲れてないのか、って?だって、いつも男坂を往復してるのよ。それに比べたら、あの程度の運動量なんて大したことじゃないわ」
凛「えへへ……凛の思ってたより、スタミナついてたんだね……」
右腕に1回あたって、残り被弾は2回。
対して真姫ちゃんは一度も当たっていない。
作戦練って、出直したほうがいいかもしれないけど……
真姫ちゃんはここで凛を仕留めるつもり満々みたい。
それなら、凛だって!
凛「よぉっし!いっくにゃー!!」
真姫「え、突進!?」
何も考えずに、前進あるのみ!!
52:
凛「だって凛はバカだから、作戦練ったところで頭のいい真姫ちゃんには全部お見通しだろうし!」シュコ
凛「あたって砕けたほうが、よっぽど気持ちいいにゃー!!」シュコ
真姫「そんなことしたって……!!」
直線的な射線。
反復横とびの要領で避ける。
再び射撃が来るが、まだ避ける。
多分真姫ちゃんは気づいている。
こうしている間にも距離を詰めていることに。
真姫「そろそろ、観念しなさい!」
シリンジをゆっくりとしたストロークで戻す動作をすると、勢いはないが長く水を出すことができる。
それを持ってなぎ払って来た!!
さっきの失敗を活かし、凛は跳躍ではなく姿勢を低くし、なぎ払いをやり過ごす。
凛「そんなに盛大にぶちまけて……水は大丈夫かにゃ?」シュコ
真姫「えっ?」
こんなに接近しているのによそ見するなんて、命取りだにゃ。
53:
たぶん大丈夫。このタンブラーはそろそろ撃てるはず。
何回かポンピングしたし、そこそこ水も出せるはず!
凛「真姫ちゃん!」
右手のメインアーム、ミッチェルをヒョイと手首だけで投げる。
殴ってないし、これは禁止事項には当たらないはずだ。
真姫ちゃんがミッチェルに気を取られた一瞬を見逃さない。
低くした姿勢を戻すのとタンダーストームブラスターが水を吹くのは同時、
真姫ちゃんのつま先から頭の先まで、縦になぎ払う!!
真姫「きゃあぁぁぁぁ!」
頭にヒット!!
凛「へへー!凛の勝ちっ!!」
真姫「はぁ、してやられたわ……」
凛「5分はここから動かないでね?」
真姫「わかってるわよ、ルールは守るわ」
凛「そんじゃ、海未ちゃんたちを助けに行ってこよーっと!」
真姫「凛!」
凛「にゃ?」
54:
真姫「5分後、また会いましょう?」
凛「ううん、その頃には、全部終わらせておくにゃ」
凛「だから真姫ちゃんとは、今度はいつも通り、μ'sのメンバーとして会うんだよ!」
真姫「……そう。ありがと」
凛「それじゃ、まったねー!」
屋上の扉を開け、海未ちゃんと希ちゃんのいるだろう中庭まで、全力でダッシュ!!
凛が出る幕ないだろうけど、万が一ってこともあるし、ね!
55:
--廊下/海未 VS 絵里--
海未「待つのはあなたです、絵里……私から、逃げられるとでも?」
絵里「いいえ、逃げないわ。海未を倒して、それから希を追う」
海未「そんなことはさせません。希には、にこを止める使命がありますから」
絵里「ふん、私の火力の前で、よくそこまで虚勢が張れるものね。見上げた根性だわ」
海未「私が虚勢だというのであれば、絵里のそれは、さしずめ『張子の虎』でしょうね」
絵里「……どういう意味?」
海未「さあ?後で調べてみてはいかがですか?……私に倒されておけば、時間はたっぷりあるでしょうし」
海未「倒されたあとに、『引かれ者の小唄』という言葉も用意しておりますので、どうぞ存分にやられてください」
絵里「そう。それじゃ、海未を倒してから、ゆっくりと調べるわ。そして意味を理解した上で、海未に返してあげるわ」
海未「ふふふ……」
絵里「うふふ……」
ブーブーブーブーと、携帯が振動します。
一瞬携帯に気を取られそうになりますが、よそ見は禁物です。
と、絵里にもメール着信します。
56:
絵里「……真姫からのメールみたいね。凛を倒した、とかのメールかしら?」
海未「いえ、おそらく『負けちゃったよ?><』とか、そんなメールでしょうね」
絵里「海未にも着信あったわよね?ねぇ、ちょっとだけ確認しない?」
海未「まぁ、いいでしょう」
私も絵里も銃を床におき、スマホを確認します。
内容はおそらく絵里も同じでしょう。
この戦争の、ゲームのルール策定でした。
海未「……絵里のメールは、ルールでしたか?」
絵里「ええ、多分文面は同じでしょうね」
海未「単純で分かりやすですね」
絵里「さて、ルールがわかったことだし……始めましょう?」
海未「そうですね」
ストームシャークとスペースクリアを手に持ち、
切り札のセイバーは腰に挟みます。
合図は……どうしましょう?
57:
迷っていたその時、空からきらめく何かが落ちてきました。
……ゲーセンとかのコインでしょうか?
絵里「ちょうどいいわね、それをトスして、落ちたのを合図にしましょう」
海未「なんか、西部劇とかにありそうですね……」
絵里「ふふっ、ちょっとあこがれなのよ」
海未「それでは、トスをお願いします」
絵里「任せて頂戴」
コインを放り、絵里が受け取ります。
絵里「行くわよ……覚悟はいい?」
海未「いつでも構いません。……撃つ覚悟も撃たれる覚悟も、できています」
絵里「いい心構えね……それじゃ」
キィン、と心地よい音と共にコインが空を舞います。
スペースクリアを肩から下げ、ストームシャークをメインアームに据えます。
絵里も武蔵を肩から下げて、ハリケーンをメインにおいたようです。
準備は整いました。
コインが、床に落ちます。
60:
落ちると同時に私と絵里は後ろに飛びました。
間合いを詰められては困るのは、ポンプ式ハリケーンの絵里も、シリンジ式の中でも火力不足のシャークも同じ。
渡り廊下は比較的身を隠す場所が多く、ノズルが180度回転するシャークを用いる私にとっては好都合な舞台です。
先ほど気がつきましたが、シャークにはミラーがついていて、隠密にはふさわしい武器です。
この武器を私にチョイスするあたり、希は本当に私達のことを理解してくれているようです。
絵里「来ないの?ならこっちから……行くわよ!」
足音を隠そうともしません。
真っ向勝負は、少し分が悪いですね。
ミラーで確認したところ……
海未「なっ……あの銃は!?」
ガトリングタイガー!?
水鉄砲界を震撼させた(だろう)、3つのノズルが回転しながら連発できる、まさにガトリングガン!
いつ入手したのですか!?
飛距離はないはずですが、今のままでは不利です!
こちらも撃って出なければ!!
61:
絵里「タイガーの前にわざわざ踊り出てくるとは、いい覚悟じゃない!」
まずは相手の弾道を見極めます。
連発可能。
ポンプ式でもシリンジ式でも引き金式でもなく、独自の回転機構により水を打ち出す。
弾は遅く、軌道もバラバラ。精密射撃にはとても向きません。
つまり間合いが詰められてしまうと、弾道が読めないので回避も困難。
初見ではびっくりしましたが……ガトリングタイガーだけなら、いくらでも対応しようがありますね。
所詮は見掛け倒しの虚仮威しの武器。
絵里に相応しい武器ですね。
5mの間合いがあれば全て避けることは容易でした。
絵里「くっ……ヒラヒラと!!」
当たらないと気づいたのか、メインを先ほどのハリケーンに戻そうとした、その隙を見逃しません。
海未「シャークの餌食になりなさい!!」
シリンジを引き、ストームシャークの牙が絵里に向かい……!!
ませんでした。
62:
海未「えっ……なぜです!?」
銃口が明後日の方向を向いていました。
おそらく先ほどの回避の時でしょうか……あの反動でノズルがこうも動くのですか!?設計ミスではないでしょうか!?
絵里「どうやら、牙は抜かれていたようね……!」
走りながらハリケーンの長押し!
水をなぎ払い、広範囲に渡る攻撃……ですが、これを避けることができれば次の攻撃までの時間があきます。
海未「隙だらけ、ですよ」
絵里「そうかしら?」
右手に持っていたハリケーンを手放します。
気が付きませんでしたが、どうやらハリケーンにもベルトがついていて、肩から下げられるようです。
そして先ほどサブアームとして下げていた、武蔵の銃口が私に向きます。
絵里「ポンプ式二丁って、こういうふうに使うのよ?覚えて置きなさい……」
再びなぎ払いがきます……体制を崩している今では、被弾確定でしょうか……
63:
海未「きゃあ!」
冷た!!
腹部に被弾しました……
しかし、やられてばかりではいられません。
こういう時の切り札……セイバーの出番です!!
絵里「まぁ、それが来るわよね……」
読まれていたのですか!?
とん、とん、と後ろに下がり、間合いを開けられてしまいます。
……さすがは絵里です。ダンスを嗜んでいただけあって、一挙手一投足に無駄がありません。
洗練された動きとでもいうのでしょうか。
まるで舞っているような……
強いですね、絵里は。
腹部に被弾したことにより、少し落ち着きを取り戻します。
焦っている、のでしょうか……
いつだってそうです。
焦っていい結果が得られたことなど、一度も……
64:
いえ、今は弱気になっている場合じゃありません!
ノズルの動きまくるシリンジ、容量の少ないポンプ、決定力に欠ける引き金……
あれ?もしかしたら今の私の武装って、最弱じゃないでしょうか?
対する絵里は、連射力のあるタイガー、容量の大きいポンプ2丁。
強いて欠点をあげるなら、小回りが効かないという点でしょうか。
あれ?もしかしたら今の絵里って、最高の武装じゃないでしょうか?
海未「ふぅ……これはこれで」
面白い嗜好ですね。
最弱が最強に勝つ。
どこぞの熱血マンガとかでありそうですが、案外そういう場合の最弱って実は最強なんですよね。
そう、つまり、私の武装も考えようによっては最強になるはずです。
どうすればいいのか、さっぱり見当が付きませんが。
海未「っ!?」
ガトリングタイガーによる連射が来ました。
まさか、案外近くまで寄られていたとは!?
65:
考えがまとまりません。
絵里はつま先立ちで、足音を殺しながら忍び寄ることができます!
こちらの動きはなぜか読まれてしまいます!
どうすれば、どうすれば!?
ガシュ、と大容量ポンピングの音。
海未「そこです!!」
スペースクリアで狙いますが、弾が遅く、3mの距離でも避けられてしまします!
絵里「残念ね、海未!!」
武蔵が誇る最高弾を持って、襲いかかります!
流石にこれ以上は被弾できませんよ!!
とっさに身を隠しますが、服をカスってしまいます。
そういえば服をかする程度はセーフでしたっけ?
……あ。
とあることを思いついてしまいました。
こういう悪知恵は、希の専売特許だと思っていたのですが……
まぁ、穂乃果からもらったヒントなので、悪知恵ではないということにしておきましょう。
66:
絵里「海未!?どこへ隠れたの!?」
海未「失礼な人ですね、隠れたわけではなくて戦略的な後進です」
絵里「そこにいたのね……どうしたの?被弾した部分を乾かしたくなった?それでも被弾はカウントされるわ」
海未「そうですね。私は被弾1です。覚えていますか?……服にかすった場合はセーフだということを」
絵里「なぁんだ、てっきり被弾2になって、やけになって特攻かと思ったわ」
練習着の上着を握り締め、己の未熟さを嘆きます。
海未「絵里……あなたは強い人です。そして強さに溺れていない……もしあなたの相手が凛や希では、完膚なきまでに負けていたでしょう」
絵里「へぇ、褒めてくれるのね?嬉しいわ。海未にも勝ったら、もっと褒めてもらえるのかしら?」
海未「それはどうでしょうか……万に一つもないので、考える必要がありません」
海未「私は未熟者です……未熟故に、あなたに負けてしまうことばかり考えていた」
海未「未熟者ゆえに、戦略を立ててもそのとおりにいきません」
海未「未熟者ゆえに……『完璧』なあなたでは思いつかないことを思いついてしまうのです」
絵里「もう、海未の口上にはあきたわ……決着、かしら?」
海未「はい。……私の勝ちを持って、決着とさせてもらいます」
68:
絵里「思い上がるのも……いい加減にしなさい!!」
走りながら両手のハリケーンと武蔵を撃ってきます。
避けるのは、私から見て左側だけでいい。
右側はすべて、『服がカスって』しまうのですから。
海未「はっ!やぁ!」
絵里「な……!卑怯よ!!」
海未「申し訳ありませんが、全て『服がカスって』いるので、セーフですよね!?」
向かって左側、武蔵のポンプ圧がなくなったのでしょう。
勢いない水が滴るだけで、右側……ハリケーンに集中できます!
絵里「こん……のぉっ!」
武蔵を離した絵里の右手が、私の右手の盾……もとい服をはぎ取られてしまいました!
ハリケーンの銃口が、私の顔面中央に向けられます!!
絵里「終わりよ!!!」
バシュ、と小気味よい音と共に射出された水は私の顔面にかかる前に、私の右手が防ぎました。
何も持っていない、素手。
海未「……被弾2、ですね」
69:
左手にはセイバー。
私の切り札。
小型ながら初はあります。
ポンピング十分。
どういうわけか、普段より冷静でいられます。
額を狙い、……撃ちます。
熱くなっている絵里はとっさに対応できず……頭に被弾。
海未「……私の勝ちです。少しはクールダウンできましたか?」
絵里「く……っ」
絵里「はぁ?……」
落胆したような表情ですが、どこかスッキリもしている顔を上げて、
絵里「完敗、よ……」
海未「認めていただて、光栄です」
70:
絵里「『小唄』……ね。なんとなく、意味がわかったわよ」
海未「それは……ええと、『引かれ者の小唄』ですか?」
絵里「そう、それ。負けた癖に強がって、なんかいろいろと喋ってしまいたくなる……負け犬の遠吠え、って言い換えてもいいかもしれないけどさ」
絵里「負け惜しみを言いたくなっちゃうのよね……多分、負け惜しみを言ったら、海未に『引かれ者の小唄ですね』なんて言われるのかしら」
海未「あの時は頭に血が上っていたとは言え……失礼なことを言ってしまいました」
絵里「いいのよ、事実じゃない……私も最後は頭に血が上って、避けれるのも避けれなかったし」
んー、と伸びをする絵里。
と、そこに、
凛「海未ちゃん!助けにきたにゃー!!」
凛「はっ!絵里ちゃん発見!撃退……」
海未「こら、凛。絵里とは決着しましたよ」
凛「そーなの?」
海未「ええ。……未熟者の私が、勝ちました」
凛「すっごいにゃー!さすが海未ちゃん!!」
海未「それで、凛は……ここに来たということは、」
凛「へへっ、勝ってきたよっ!」
71:
残るは、にこと希ですか……
私は被弾2、聞いてみると凛は被弾1、どちらも万全ではありません。
海未「さて、凛。時間がありません。……希を助けに行きましょう」
凛「うん……!」
中庭に向けて走り出そうとした時でした。
にこからメールが届きました。
件名、本文なし。
写真が1枚、添付されていました。
凛「ひっ……!」
写真の内容は、希が前進ずぶ濡れで倒れている写真でした!
負けたというのに、希が楽しそうだったのが少し癪に触ります。
75:
--中庭/希 VS にこ--
にこ「ほらほら、逃げてばっかじゃにこにーは倒せないわよっ!」
希「ちょぉっ!?」
さっきからずっとストレートのなぎ払いばっかりで、近づける気がせんよ!!
応戦しようとしても、こっちの飛距離は短くて届かんし、これは詰んだんと違う!?
希「にこっち!話が……」
にこ「話し合いで解決できる戦争なんて、ないのよ!!」
希「なんやその悲しい世界は……!」
攻撃しようとするから攻撃される。それなら一旦退いて、海未ちゃんと凛ちゃんの合流を待つ……?
にこ「希!アンタに退路はない!」
あちゃー、読まれとるな。
今のにこっち完全に固定砲台やん。
にこ「私のホースは15mよ!!」
希「長っ!」
76:
ん?てことは……
希「それ以上遠くまで行けば、逃げれるんと違う?」
にこ「ぐっ!?」
アホや、にこっち。
にこ「……話し合いに、応じるわ」
希「へ?」
にこ「話し合いで解決できると思ったんでしょ?だから希一人できた……違うの?」
愉快な勘違いやな!万歳!!
希「ありがとうさん、にこっち」
でも、どういう心境の変化なん?
裏がありそうで少し怖いけど……まぁ、にこっちやし。
希「それじゃ、ウチの獲物は……よいしょ、おいとくな」
丸腰になって話し合い。
うん、政治的やん♪
77:
にこ「……私も、ホースは置いとくわ」
しかし、苦し紛れに話し合いって言ったけど、何を話し合えばいいんかな?
希「……ウチな?」
にこ「うん」
希「今のユニットが好きなんよ」
にこ「……うん」
希「凛ちゃんとアホなことやって、海未ちゃんにガミガミしかられて、ぶちぶち文句言って、最後は3人で笑ってる……そんなlily whiteが好き」
希「まぁ、アホなことが行き過ぎてBiBiやPrintempsに迷惑かけることもあるけど」
希「だから、このリリホワってユニットが……」
丸腰?
ここは戦場やん?
会議室ではないんよ……?
希「最強だってことを、証明したかったんよ」
胸に挟んだ、フリーズファイヤー。
スーパーソーカーのシリーズでも異色の、氷を入れる水鉄砲……!!!
希「その野望のために、にこっちにはここで!」
78:
ビシュ!とにこっちの額に一発入る!
にこ「冷たっ!!……やっぱり、そうきたわね!!」
そう叫んだにこっちは再びホースを取り上げて、拡散シャワーを振りまく!!
にこ「やっぱりユニット間戦争ってのは、こうじゃなきゃね!!」
間合いを取りながら、ファイヤドルフィンを拾う。
装着する間にも、何度か被弾してしまうけど、気にしてたら……
楽しめないやん!?
希「いくでにこっちー!」
にこ「いいわよ、いつでもかかって来なさい!!」
なんかさっきメール着信したような気がするけど、そんなことは気にしない!!
今は……にこっちとの撃ち合いを、精一杯楽しむのが先決やん?
93:
にこ「勝てばいいって、あたしたち負けてるじゃない!!」
真姫「でも、絵里の言うとおりよね……勝てばいいのよ。何度やっても、勝てればいいの」
海未「その発言は、真姫……あなたもしや」
その時、真姫の口角が不敵な微笑みを作ります。
真姫「lily whiteに告げるわ!」
真姫「私たちBiBiは、lily whiteに対し!私たちのプライドを賭けて……ユニット間戦争の再戦を申し込むわ!!」
絵里「そうね……ちょうど私も、二人に相談しようとしてたのよ。もう一回だけ戦いましょう、ってね」
希「面白そうやん?受けてもええんやない、大将?」
凛「そうだよそうだよ!」
にこ「あら、そんな簡単に受けちゃってもいいの?さっきの一戦で、アンタたちの手の内は丸見えなのよ?」
海未「……手の内がバレたくらいで、私たちが引くとでも思いますか?」
凛「海未ちゃん……ヤる気だにゃ」
希「『東方のシモ・ヘイヘ』と呼ばれた海未ちゃんの本気が、今見れるってわけやん!」
94:
海未「私たちlily whiteは、気高きBiBiの再戦申し込みを受諾いたします」
海未「願わくば、血の海に立つのは私たちであらんことを……」
真姫「乗ってくれて、感謝するわ……血だまりに倒れ伏せるあなたたちを楽しみにしてるわ」
凛「血じゃなくて水だけどにゃー」
希「水の海に水たまりじゃ、普通やん?」
凛「の、希ちゃんが普通のツッコミを!?まさか水に打たれすぎて頭おかしくなっちゃった!?」
希「くっ……あの時のにこっちの一撃が効いたかも……」
凛「希ちゃん!?気をしっかり!!」
希「り、凛……ちゃん、あとは……頼んだ、で?」
凛「希ちゃああああん!!」
凛「凛は、希ちゃんの分も頑張るにゃ!どうか、どうか凛に力を!」
希「スピリチュアルパワー注入、はいプシュー」
凛「うおおおお!!テンションあがるにゃー!!!」
絵里「あなたたちは緊張感ないわねぇ……」
95:
海未「いつ如何なる時でも自分の全力を出すことができる……これがlily whiteの強さです」
にこ「多分、そんないいこと言える流れじゃないわよ」
海未「……いつもこんな感じなので、突っ込むタイミングがわからなくなるんです……」
絵里「海未も大変ねぇ。こっちも似たようなもんだから、ちょっと同情するわ」
真姫「ちょっと!どういう意味よ!?」
希「ところで、ルールの確認とかせんでいいの?」
にこ「さっきまでふざけてたアンタがそれ言うの!?」
絵里「そうね。ルールとお互いの武装を確認しましょうか」
海未「それについて二つ、提案が。……にこのホースは禁止です」
にこ「なんでよっ!?」
凛「いくらなんでも、弾がほぼ無限にあるってのは反則だよー」
希「FPSでよくあるチートやん?」
絵里「そうね、武蔵はにこに返すわ」
海未「それともう一つが……Printempsの武器をBiBiが使用してはどうでしょうか?」
96:
真姫「なにそれ?勝者の余裕ってヤツ?」
海未「いえ、そんな嫌味ではありません。単純に、所持している武装の数の差です」
にこ「にこにーは、この武蔵一丁でも十分よ!!」
絵里「じゃあそうしなさい。私はムスタングをいただくわ」
真姫「それじゃ、ツインアリゲーターを借りるわね」
にこ「なにそれ冷たっ!!ええと、ムスタングだっけ?これ借りるわ!」
凛「最初っから素直に言えばいいのにー」
海未「ルールの改正は必要ですか?」
真姫「一つだけ、変えてもらってもいい?」
海未「ええ、どうぞ」
真姫「当たったら5分行動禁止じゃなくて……一度負けたら、そのゲーム中は再度戦闘に参加できない」
真姫「これなら長期戦になって、持久力で負けることはなくなるわよ、希?」
希「……ウチのファイヤドルフィンは、持久力がウリなんやけど、潰しにこられたかぁ」
凛「凛はさんせーい!」
海未「異論はありません。それでは、各自の武装と、改正したルールをまとめましょうか」
97:
?ルール?
1.首から上に1回、下に3回当たったら負け
2.負けた者はゲームに再び参加することはできない
3.服にカスった場合はセーフ
4.銃や手足で殴る・蹴るは反則として負け
?各自の武装?
海未
・スペースクリア:引き金式
・セイバー:ポンプ式
・ストームシャーク:シリンジ式

・ミッチェル:引き金式
・タンダーストームブラスター:ポンプ式

・ファイヤドルフィン:引き金式
・フリーズファイヤー:シリンジ式
・真姫
ショットウェーブ:シリンジ式
ツインアリゲーター:シリンジ式
・絵里
アクアバズーカ・ハリケーン:ポンプ式
ムスタング:ポンプ式
・にこ
アクアボンバー・武蔵:ポンプ式
ムスタング:ポンプ式
……BiBiの武装が偏ってしまった。
98:
海未「ふぅ、こんなところでしょうか」
真姫「シリンジ二丁って、ちょっと選択ミスった……?」
にこ「シリンジとポンプの二丁構えよりはマシじゃないの?」
絵里「さて、開始の合図はどうする?」
海未「そうですね……」
チラリと時計を見ます。
現在13:24。
あと6分で、5時間目開始の鐘がなります。
この音ノ木坂学院では、今日のような休日でも定刻で鐘がなります。
海未「あと6分で5時間目開始の鐘が鳴ります。それを合図にしましょう」
凛「それまでに隠れるなり逃げるなりしろ、ってこと?」
海未「いえ、BiBiを迎撃する準備を整えるだけ、ですよ……ふふふ」
真姫「いい度胸ね、海未。いいわ、あなたは私が必ず仕留めてみせる!」
海未「まだ開始まで5分もあるのですよ?威勢がいいのは大変よろしいのですが、頭に血が上って、先ほどの絵里みたいにならないように……」
絵里「そうよ真姫。冷静になりなさい。あの挑発も、海未の作戦の内よ」
真姫「見てなさい……!絶対に、絶対に仕留めてやるんだからぁ!!」
99:
BiBiの3人を尻目に、校内へと向かいます。
まずは水の補充と人員配置と……
最終兵器の準備です。
海未「凛。あなたには、ヒデコからもらった最終兵器を渡します」
凛「え?さっきの武器以外に使っていいの?」
希「海未ちゃん……勝つためなら、なんでもやるんやね!」
海未「ええ。BiBiの3人は、プライドを賭けてきました。なら私たちも、その熱意に最善の手段を持って報いるべきです」
凛「こ、これは……!!」
海未「使い方は当然わかりますね?」
凛「うん……これなら、確実に被弾1を取れるよ!!」
希「うわぁ、これまた……えげつないものを選んだなぁ」
海未「持つべきは、最高の采配をしてくれるモブ、もとい友人ですよ」
凛「作戦とかはあるの?」
海未「実は、これといって策はありません」
希「まさか正面切ってガチンコ撃ち合いやないよね?」
海未「大容量のポンプ式四丁の前に、そんな無謀な真似はしません。そうですね……一人ずつおびき出して、確実に仕留めましょう」
101:
lily whiteの3人が校舎に入ったのを確認して、さっき消費しきってしまったショットウェーブと、ニューフェイスのツインアリゲーターを給水する。
ツインアリゲーター……シリンジで、ちょっとの力でもかなりの飛距離が出る、遠距離射撃タイプ。
対してショットウェーブはカートリッジが二丁あり、並のポンプ式よりもバラ撒ける中距離タイプ。
絵里「ねぇ、真姫。さっきも言ったけど、冷静にね?」
真姫「わかってるわよ……再戦はこっちから振ったケンカなんだし、しくじるわけにはいかないわ」
にこ「うおっ!ポンプ式に満タン二丁はちょっと重いわね……」
真姫「ああ、にこちゃんにはショットウェーブとかのカートリッジタイプが良かったかもね」
にこ「ポンプ式でカートリッジってあるの?」
絵里「あるにはあるみたね。ただ、真姫の持ってるスーパーソーカーのシリーズとは違って、ワンタッチで交換とは行かないみたいだけど」
にこ「どのみち、この重さは変わらないし、しょうがないわね……」
絵里「さぁ大将。作戦とかは?」
真姫「え?ないけど?」
にこ「はぁ!?策もなしに、あのバリエーション豊富なリリホワに特攻仕掛けるつもり!?」
真姫「そうじゃなくて!……どうせ海未の考えることなんて、ひとりひとり狙い撃ちでもするんでしょ」
真姫「それさえ読めれば、一人が囮になって狙われたところを、このツインアリゲーターで……ズドン、よ!」
103:
凛「もしその作戦が読まれたどうするの?」
海未「凛にしては珍しく慎重ですね。えらいですよ。相手は頭脳派、対するこちらは肉体派……」
希「こっちだって頭脳派やん!」
凛「肉体派?認められないわぁ」
海未「もう少し真面目さが欲しいですね。……さて、読まれていた場合ですが」
希「場合はー?」
海未「……おそらく、ツインアリゲーターとムスタングの餌食でしょうね」
凛「そんな!開始して早々負けちゃうの!?」
海未「いえ、むしろチャンスでしょう」
希「チャンス?餌食なのに?」
海未「少し長くなりますが、説明しましょう。
こちらの策を逆手に、囮を出してくるはずです。その囮を狙って私たちが迎撃に出ます。
その私たちを狙うツインアリゲーターとムスタング……囮はにこ、狙撃は真姫と絵里あたりでしょうね。
そこで出てくるのが、>>97で決めたルールです。
ルール1.『首から上に1回、下に3回当たったら負け』……つまり、3人が1回ずつ当てれば、にこは撃沈します。
つまり開始早々、敵戦力を減らすことができます。
にこを撃退したあとはおそらく、身長の比較的高い私か希が狙われます。
ですがこれは、囮を射撃した後に散開、狙撃の二人は狙いを定めることができず、こちらは無傷で敵戦力を減らすことができる、というわけです」
凛「す、すごいにゃ……!!」
希「つまり、囮をメインアーム・サブアームで射撃すた直後に散開すればええの?」
海未「私たちの行動だけを端的に切り取れば、そういうことです」
104:
にこ「それじゃ、囮役は真姫ちゃんね!」
真姫「ちょっと、なんでよ!意味わかなんない!!」
絵里「……確かに、真姫が適任かもしれないわね」
真姫「絵里まで!?」
絵里「言いだしっぺだから、とかそんな理由じゃないのよ?
相手は海未……こっちが誘いに乗ってくると踏んでいるに違いないわ。
囮を用意することまで読まれてても不思議じゃない。
いい?3回被弾したら負け、再度戦闘には参加できないの。
3人に1回ずつ射撃されたら……こっちの戦力、囮が一気に脱落する。それはなんとしても避けないといけないわ。
だから、『囮は一人』だと思い込んでいる海未たちに一泡吹かせてやるのよ。
……まさか2/3の戦力を囮にするなんて、いくら海未でも考えつかないでしょ?」
真姫「絵里……本気なのね?」
にこ「え、絵里!アンタの本気……やるじゃない!!」
絵里「ふふっ、褒めてもなにも出ないわよ?
囮は私とにこ、狙撃は頼んだわよ、真姫」
真姫「わかった。花陽から借りた、このツインアリゲーターの命中精度と、私の腕を信じて!」
絵里「いい返事ね。さて、そろそろ13:30……開始の合図よ。さあ大将、景気づけに一発、ガツンと吠えて頂戴!」
真姫「ヴェエ!?わ、私!?」
にこ「真姫ちゃんが再戦申し込んだんでしょ?頼むわよ、大将!」
105:
海未「そろそろ時間ですね……」
凛「希ちゃん!さっきみたいにスピリチュアルパワーを、凛に!」
希「はーいプシュ!」
凛「にゃああああ!テンションあっがるにゃああああ!!!」
海未「全く、こんな時まで緊張感がありませんね」
凛「さあて、大将!勝鬨をあげるにゃー!」
希「えいえいおー!ってヤツやね!」
海未「正しくは、大将が『えいえい』、全軍で『おう』が正しいやり方とされていますが……大将?」
希「海未ちゃんやん?」
凛「海未ちゃんでしょー?」
海未「なっ……!?なぜ私なのですか?」
凛「ビビからの挑戦を受けたのは海未ちゃんだよ?」
希「売り文句を投げたのも海未ちゃんやし?」
海未「あ、あれは……!うう、仕方がありません……」
106:
真姫「しょうがないわねー……いい?いくわよ?」
海未「恥を忍んで……行きます!」
真姫「狙うは完全勝利!0-3のラブゲームよ!!」
海未「これは常勝の序章です!今こそ伝説を始めましょう!!」
真姫/海未「えい!えい!!」
6人「おおおおおおおおおおお!!!」
戦闘開始を告げるチャイムが、鳴り響く。
111:
絵里「作戦通り展開するわ、真姫!狙撃ポイントに!」
真姫「任せて!」
絵里「行くわよ、にこ!」
にこ「なんで絵里が仕切ってんのよ!」
絵里「つべこべ言わずに、ほら走る!」
にこ「あーんもう、どうにでもなれーっ!」
------------
希「……目標、視認!」
海未「まずはいい出だしです。対象は?」
凛「にゃ?……にゃにゃにゃ!?」
海未「凛、日本語でお願いします」
希「目標……にこっちと、えりち!?」
海未「バカな!?二人で囮に……いえ、多分こちらが狙撃班でしょう。残る真姫が囮のはずです、探してください!」
のぞりん「隊長!はい、海未隊長!!」
112:
絵里「……そろそろ狙われる頃だと思ったけど……?」
にこ「考えすぎだったんじゃない?」
絵里「いいえ、相手はあの海未よ?何かしらの策を練っているはず……」
にこ「ねえ、絵里。あそこで双眼鏡覗いてるの……」
絵里「凛ね……ということは、そろそろ撃たれる頃合ね。にこ、覚悟はできてる?」
にこ「ふふん、愚問よ!」
----------
凛「いた!真姫ちゃん、2階にいるよ!!」
海未「でかしました、凛!……って、あの低姿勢の構えは、どうみてもスナイパーじゃないですか!!」
希「てことは、にこっちとえりちが囮だったってことやん?」
海未「……理解できません、なぜ囮が二人も……」
凛「もしかして、相手はそんなに策とか練ってないのかもしれないよ?」
海未「相手は絵里です。無策で突っ込んでくるほど、ポンコツじゃありません」
海未「まさか、こちらが『囮は一人だ』と決めつていたことを見越して、囮を二人にして被害を軽減しようと……?」
海未「くっ……やられました!」
113:
希「目標、接近!どうするん、海未ちゃん!?」
海未「作戦変更!ヒットエンドランです!!」
凛「野球?」
海未「倒せなくても構いません。一撃でも与えて、すぐに散開です」
希「どっちを狙うん?」
海未「相手のブレーンは絵里です。絵里に一撃でも多く与えてください!!」
のぞりん「隊長!はい、海未隊長!!」
海未「突撃!!」
------------
絵里「きたわね!!」
にこ「さあ、にこの武蔵の餌食は誰!?」
凛「絵里ちゃん、覚悟!!」
って早っ!?
凛の瞬発力は底知れず、ミッチェルとタンダーストームブラスターを振りかざしてくる!
でも、こっちには……スナイパーがいるのよ!!
絵里「真姫!!」
114:
真姫「大声出さなくても、わかってるわよ!!」
凛「うわぁ!あっぶなー……」
真姫の正確無比な弾道は凛に当てることはできなかったけど、あの瞬足を止めることは出来た。
凛、貴方の瞬発力は驚異なの、ここで退場しなさい!!
海未「退きなさい、凛!」
凛「アイサー!」
絵里「なっ!?」
あれだけ最接近していた凛に追撃指示ではなく、後退させた!?
凛と入れ替わるようにして突撃してきたのは……
希「個人的な恨みはないけど、えりちは賢すぎる、それが仇となるんよ!」
絵里「希……!」
真姫の狙撃は、希の歩を鈍らせることができず、接近を許してしまう!
その間にもファイヤドルフィンによる無数の牽制により、にこと私は動くことができない!?
希「一発くらいは、覚悟せいやー!」
にこ「このアタシを無視するなんていい度胸じゃない!!」
海未「凛、にこの動きを!」
凛「サー!!」
115:
海未の的確な指示により、またにこは動きを制限される。
ここは……一旦退く!?
あるいは司令塔を叩く!?
でもそのリスクは……
希「考え事?」
絵里「……え」
ニコッ、と微笑む希の両手に握られていたには……フリーズファイヤー。
絵里「冷たっ!?」
希「氷水やし、そりゃ冷たいよ」
回避が間に合わず、右肩に被弾してしまう!
---------
希が絵里に一撃を与えました!!
こんな混戦状態、長居は無用です!
海未「総員、散開!!」
凛「また後であそぼ、にこちゃん!」
にこ「ちょっ、待ちなさい!逃がさいわよ!!」
116:
海未「凛、にこを頼みます!また、『最終兵器』の使用を許可します!」
凛「ガッテン承知の助にゃー!」
にこ「まちなさぁぁぁい!!」
希「海未ちゃんは真姫ちゃんを頼んでええ?……うちは、えりちとお話があってな」
海未「わかりました。それでは、希!」
希「んー?」
海未「……あなたに、勝利を」
希「ありがとさん。多分、カードもウチが勝つって、そう告げてくれるはずや」
希「……さて、えりち。お話、しよっか?」
そういって、ファイヤドルフィンの銃口を構える。
相対するえりちも意味を汲み取ってくれたのか、ハリケーンを一回だけポンピングし、ウチに向けて構える。
絵里「そうね、お話をしましょう……銃声での会話を、ね」
勝つのは、ウチや!!
117:
さすがはにこちゃん、小柄だけあってか、足が早い!
凛「やるねにこちゃん!凛が離せない相手なんて、久しぶりだよ!!」
にこ「ぜー、ハー、ぜー、ハー」
会話になんないにゃ。
さて、ここらでいっちょ、海未ちゃんから託された……『最終兵器』を使って、にこちゃんの被弾数でも増やそうかな?
これは言うならば、『戦場のパイナップル』。
その本質は手榴弾。
それを水鉄砲で言うならば……水風船!!
キュキュッ、と靴底をすり減らすブレーキをかけ、にこちゃんの方へと振り向きざまに……
凛「くらえ!凛ちゃん式パイナップル!!」
全力で投げる!!
4つの水風船をもらっているので、全部当てればにこちゃんは撃沈!凛の勝ち!!
でも、現実は非情なものにゃー。
にこ「え?なにこれ?」
にこちゃんに当たって、ボヨンと跳ね返って床に落ちるだけ。
考えてみれば、そんな簡単に割れるんなら、縁日の水風船釣りなんて繁盛するはずもないにゃー。
凛「……てへっ♪」
にこ「ふざけてるんなら……全力でいくわよー!!」
にゃー!にこちゃん、顔が怖いにゃー!!
118:
先ほどは2階の教室に真姫がいましたが……まだいるでしょうか!?
階段を上りきって角を曲がった時!
海未「きゃあっ!」
いきなり被弾してしまいました。
真姫「水の落下を見誤ったかしら?ごめんなさいね、一撃で終わらてあげられなくて」
海未「……真姫。やはりここにいましたか」
真姫「あれだけ盛大な足音で走れば、そりゃ誰だってわかるわよ」
海未「それが私だという確証はありませんが」
真姫「私のメンバーは、わざわざここに来ないわよ……各個撃破に向かわせてるから」
海未「なるほど。それなら、誰であろうと当てられれば良かったと……よほど、自分の腕に自信があるのですね」
真姫「そうでもなきゃ、大将なんてやってられないわよ」
海未「おや、真姫も大将でしたか。奇遇ですね、私も、リリホワの大将をやっています」
真姫「それじゃ、この場は大将同士の大一番ってわけね?」
海未「大将同士ではありますが……一番早く終了する局面かもしれませんよ?」
真姫「そうね。既に被弾1の貴方が早々に退場してくれるのよね」
海未「……たまには、挑発に乗るのも一興でしょう。お相手しますので、どうぞ全力でかかってきてください」
123:
凛「そろそろ当たってよっ!!」
引き離されては振り返り、タンダーストームブラスターで狙われる、というのを何度か繰り返している内に、そろそろにこの体力が限界ね……
ヤバいわ。今立ち止まったら、絶対に膝から崩れ落ちる自信がある!
にこ「あ……当たって、たまるもんですか!」
精一杯といった感じの強がりは凛に通用しなくて、楽しそうにニンマリと笑っていた。
凛「いいじゃん、一回くらい♪」
そういってタンダーストームブラスターのトリガーを引いて……
スコン、と軽い音が鳴る。
凛「……にゃ?」
にこ「ふっふっふ……弾切れ、みたいね!!」
こんなにも汗だくで息も切れ切れ、完璧な姿とは言えないけど、それでも凛を追い詰めてやったわ!
水の入ってない水鉄砲なんて、マイクを奪われたアイドルみたいなもんよ!!
つまり、恐るに足らず!
にこ「覚悟しなさい、凛!!」
意気込んで一歩を踏み込んだところで、凛の表情が驚きや衝撃を受けたときのそれではなく、
自分の思い通りになって喜んでいる、子供のような顔になっていることに気がついた。
凛「にこちゃん、忘れてないかにゃー?」
124:
タンダーストームブラスターとは反対の手に握っていた、ミッチェル。
凛の瞬発力を最大に活かせる、小回りの効く武器。
凛「凛はさっき、これで真姫ちゃんを倒したんだよー?」
嬉しそうな顔を一層綻ばせ、楽しげな声とは正反対に物騒なモノを持っている左手をこちらに突きつける。
マズっ、接近しすぎた!?
ビシャ!とお腹が濡れる……被弾1をもらってしまった。
にこ「ふ……ふふふ……」
なにがおかしいのだろう。
にこ「ふふふふふふ……」
きっと、この戦いが楽しいのだろう。
にこ「あーっはっはっはっは!!!」
だから、きっと私は笑いが止まらないんだ!
凛「な、何がおかしいのっ!?」
悔しげな表情を浮かべた凛が、再度私の腹部を撃つ。
被弾2。
にこ「なにがおかしいか、って?さあね?そんなの、にこにもわからないわよ」
それは嘘だけど。
125:
凛「そんなの、理由になってないよっ!!」
さっきとはうって変わり、怒りの表情をみせる凛。
そのまま左手の人差し指に力をこめ、ミッチェルの引き金を引き――――――
スコン。
凛「……え?」
どうやら凛は気がついていなかったようね。
ミッチェルの、残りの球数に。
凛「ど、どうして!?」
にこ「わからないなら教えてあげるわ」
武蔵を一度ポンピングし、一歩近づく。
にこ「開始直後、凛は私たちを威嚇するために撃った。撃って、撃って……撃ちすぎたの」
ムスタングもポンピングし、更に一歩、前に向かう。
にこ「ミッチェルの残りの弾数に気を使っていれば、もしかしたらここで私は負けていたかもしれない」
一発目を被弾した時、威力が足りなかった。
だから弾道も低くなり、一撃必殺の頭には届かず、お腹に当たったのね。
二発目が届いたのは予想外だったけど、それでも被弾の許容範囲内。
にこ「凛が気がつく前に私が気がついた。だから……にこの勝ち、にこっ♪」
126:
脱兎のごとく逃げ出す凛。
逃げるって言っても、およそ想像できるわ。
手っ取り早く給水できるミッチェルを給水するため、手近な水道でしょうね。
にこ「どこに逃げたって無駄よ!!」
凛が何やらゴソゴソとタンダーストームブラスターをいじっているのが見える。
一体なにを……?
凛「ていっ!」
こちらに放り投げてくる……タンク?
―――――まさか!?
にこ「それって!?」
真姫ちゃんのショットウェーブと同じ……
凛「タンダーストームブラスターは、カートリッジ式だよっ!」
ガシャっ、と換装が終わり、振り向きざまにこちらに銃口を向けて……!!
ガシャっ、とカートリッジが落ちる。
凛「……あれ?」
どうやら、うまくハマっていなかったらしい。
127:
……びっくりさせないでよ。
凛「な、なんでー!?誰か助けてー!」
チョットマッテテー、という恒例の合いの手を入れる相手はいない。
一瞬ヒヤリとしたけど、これでにこの勝ちは確定したわね!
それでもまだ戦う気があるのか、逃げ惑う凛。
それを追うにこは、さっきから体力の限界。
……さっきから無計画に逃げてるようだけど、疲れてるにこがつかず離れずの距離を保ててるのは、もしかして凛も疲れてきてる?
そりゃそうよね!いくら凛が体力バカだからって、無限なわけじゃないもんね!
こっから先は、気力の勝負よ!
そうこう走っている内に、とある場所へと凛が入っていくのがみえた。
ここは……プール?
まさか凛、プールから直接給水するつもりなの!?
ミッチェルのような引き金式は、水を溜めたバケツなんかに沈めるのが一番効率的な給水方法とは言え、その容器のスケールがデカすぎるのよ!!
それと、その考えも浅はかで……お見通しよっ!!
プールサイドにたどり着き、高らかに勝利宣言をする!!
にこ「凛!あんたの考えてることは全部お見通sごぶはぁ」
せ、背中に衝撃が!
誰よ!かっこいいポーズの最中に邪魔するのは!!
グラリと体制が崩れ、前につんのめる。
眼前には大きな水たまり。
後方には……汗だくでも息が切れ切れにもなってない、子供のような屈託のない笑顔をしている凛。
128:
当然―――――プールに落ちる。
押した張本人の凛も一緒になって、プールにダイブする!
息が上がってる状態でプールにドボンはヤバイって!!
もがきながら、なんとか底に足がつき、勢いよく顔をあげる。
にこ「ぷはぁ!!!!」
いきなり何すんのよバカ死ぬところだったじゃないにこにーが死んだらこの銀河にとって大きな損失なのに何してくれてんのよ、などと文句の一つでも言ってやろうと目を開くと、
眼前にはミッチェルの銃口が。
凛「楽しかったよ♪」
ビャ、とにこの顔面に塩素臭い水がぶちまけられる。
プールに飛び込んだあとなので、この程度濡れたところでなにも問題はない。
ないけど……
にこ「……」
言葉につまる。
なんと言えばいいのかしら?
負けちゃった?グヤジイ?ええと……
凛「凛の勝ちっ!」
にこ「……はいはい。やるじゃない、あんた」
素直に相手を褒めるのが、最善の言葉ね。
134:
絵里「そうね。お話をしましょう……銃声での会話を、ね」
言うが早いか、ハリケーンを希に向けて走り出す!
海未のときはポンピング不十分だったから間合いを取ったけど、今なら先手をかけられる!!
……あ。さっき左肩に当たったのよね。被弾1だったの忘れるところだったわ。
希「せっかちさんは早いとこ、沈んでもらわなきゃな!」
先ほどから手にしていたフリーズファイヤーを手放し、ファイヤドルフィンに持ち変える希。
数撃てば当たる、とでも思っているのかしら?
絵里「しっかり狙わないと、当てられるところも当たらないわよ!」
希「それでも、避けてばっかりじゃ勝てへんよ!」
絵里「それじゃ……仕掛けさせてもらうわよっ!」
左手に持った、最大までポンピングしているムスタングを向ける。
弾も並、貯水量も並、ポンピング耐圧も並といった、特徴がないのが特徴とも言えるような、並の一丁。
だけどその分飛び方にもクセがなく、使用感は……やっぱり普通ね、これ。
希「おっとぉ!」
特徴のない、並の飛来に驚いたのか、つまずきながらも後退する。
もしも長期戦に持ち込まれたらこっちが不利になるし……
挑発したところで、乗ってくれるのかしら?
135:
絵里「ねぇ希?……仮にも生徒会長と副会長が休みの日に、校舎の廊下で水鉄砲で遊んでいました……なんてことが発覚したら、どうなると思う?」
希「そうやね、リコールされるんやない?あるいは、残り任期も短いんやから、早めに生徒会選挙やるかもしれんなぁ」
絵里「オトノキの生徒会長がリコールされるなんて、前代未聞でしょうね」
希「以前のえりちなら、絶対にこんなことしなかったのなぁ……穂乃果ちゃんに感化されてしまったんやない?」
絵里「ふふっ、それだけ私も丸くなったのかしら?」
希「でもいきなりどうしたん?これだけ暴れといて……後の掃除のことでも考えてたん?」
絵里「ああ、そういえば掃除もしなきゃならないわね……そう考えると、少し興がそがれるわ」
希相手に、あまり挑発は無意味かもしれないわね。
だから、と私は続ける。
絵里「だから、あまり無駄に掃除する手間は省かせて頂戴、ね?」
希「それなら、えりちが先に倒れればええんやないか、なっ!」
こっちに向かって、希が走ってくる。
……案外、無駄じゃなかったかもしれないわね!!
136:
海未にそうしたように、ポンプ二丁を身体の左側に構え、希が射程範囲に入るのをじっと待つ。
二段構えのなぎ払い。
一段目は足元を狙い、注意が逸れたところ、頭を狙う。
絵里「終わらせてあげるわ!さあ来なさい、希!!」
希「いくよ、えりち!!」
ハリケーンの射程に入った!
右手のトリガーを引き、左から右に、足元を狙ってなぎ払う!!
希「っ!」
左の太ももに被弾確認……これで互角。
だけど私の左手、ムスタングは既に右方向へと向かう。
希の頭かすめるような軌道を描き、
絵里「止めよ!!」
軌道を描ききることはできなかった。
……希の視線とファイヤドルフィンは、まっすぐ私の額を見つめていた。
もしかして、元から被弾する覚悟で突っ込んできたの!?
海未といい希といい、どうしてこうも……!!
希「終いや、えりち!!」
眼前で、ファイヤドルフィンの引き金が絞られる!
137:
右足を軸に、半ば倒れこむようにして回転しながら回避する。
……あっぶな!!
体勢を整えて間合いを取り、被弾していないことを確認……よし、当たってない!
絵里「……やるじゃない、希」
希「えりちこそ、今ので避けるとは思わんかったんよ」
お互いに被弾1。
間合いが開いた状態から、硬直と沈黙が続く。
絵里「……っ」
希「……」
一瞬でも気を抜けば、気を逸らせば、気が散れば……ファイヤドルフィンの射程に入り、終わる。
張り詰めた空気。
それを瞬間的にぶち壊したのは……
にこ「ごぶはぁ」
という声と、ドボンという水音。
絵里「っ!にこ!?」
あ、と思った時にはもう遅かった。
姿勢を低くして突進してくる希と、限界まで伸ばした手に握られたトリガー。
138:
さっきみたいな、奇跡と言える回避はもうできない。
奇跡は2度も起こったら、それは実力と言える。
―――――それなら、実力で回避すればいい!
突進してくる希に対して、こちらも前に出る。
相対的に希の体感度は劇的に上がり、射撃のタイミングをズラすことができれば……!!
絵里「……くっ!?」
それでも、希は度についてきた!
胸に当たる。被弾、2になる……けど!
ただじゃやられないわよっ!!
希とのすれ違いざまに……ハリケーンを背後に向け、希の足音に向けて撃つ!
希「きゃあっ!」
すかさず振り返る。
どうやら、背中に被弾したらしい。
……これでまた、お互いに被弾2。
また間合いが開いた状態で、硬直と沈黙。
139:
……今度は、外部に邪魔されることなく、私から話かけた。
絵里「強いわね、希」
希「えりちも、どんな強さしとるんよ?」
絵里「でも、まだ希は倒せてないわ……」
希「そうやね。まだウチは倒れてないし、えりちも倒れてない」
絵里「さっきっから緊張しっぱなしで、もう倒れそうよ」
希「ウチだって同じや。緊張と瞬間的な動きで、もう寝転んでしまいたいわ」
絵里「ねぇ、希?海未が私に勝つ前に、こんなこと言ってたのよ」
『あなたの相手が凛や希では、完膚なきまでに負けていたでしょう』
絵里「なんてことをね」
希「あー、そりゃ海未ちゃんに悪いことしたかなぁ。ウチがこんなに善戦するなんて、海未ちゃんの計画外やろうし」
絵里「全く、あんなこと言われちゃったから、もう少し楽に勝たせてくれると思って、心のどこかで油断してたのかもね」
希「うふふ、もっと油断してくれてもええんよ?」
絵里「冗談!さっきの悲鳴で、多分にこは凛にやられてるから、ここで私がやられるわけには行かないのよ」
希「ここはなんとしてでも勝ちたい、って?」
絵里「いいえ、……絶対に勝つ、よ」
140:
希「そんじゃあ……次の一撃で終わり、決着やね」
絵里「生徒会長と副会長では、会長のほうが強いってこと、証明してあげるわ」
希「スピリチュアルなパワーで、きっと副会長が覆すかもしれんよ」
お互いに不敵に微笑み、タイミングを待つ。
視線を外さず、瞬きも少なく、呼吸は深く長い。
……残暑の日差しが厳しい中、今だけは、ここだけは空間ごと凍りついたような静けさに満たされている。
額から汗が流れ落ちる。
それが、なんの偶然か……目に入ってしまう。
その一瞬を、希は見逃すはずもなく、
右足から勢いよく踏み込む!
が。
希「おおっ?」
足元の水溜りに足を掬われ、大きく体制を崩す。
……ごめん、希!
走りながら、右手のハリケーンを向けて……
お終いにしてあげる。
141:
体制を整えようと、床に手をつき飛び起きたところ、その立派な胸に当たった。
あえてそこを狙ったわけじゃないけど……たまたまよ、たまたま。
なんにしても、希はこれで被弾3。
私の……勝ち。
希「あちゃー……最後はえりちに持って行かれたかぁ」
絵里「ごめんね、希。なんだか卑怯な勝ち方みたいで……」
希「気にせんでええんよ。ウチも楽しかったし♪」
絵里「ええ、最っ高に楽しかったわ!」
希「あとはここの掃除と、リコール騒ぎにならんことを願うだけ、やね?」
絵里「あ、あはは……あ、そうだ!」
妙案を思いつたわ!
さすがは私、賢いわねっ!
絵里「負けたチームが掃除をするの。ねぇどう?これなら万が一負けても、自主的に掃除してるってことで生徒からの信頼も得られるし、勝ったらそれはそれで万歳よ!」
あはは。と、希は綺麗に笑う。
希「それ、ええな!乗ったわ!よぉっし!海未ちゃんが負けなければ、万事オッケーや!」
絵里「ありがとう!それじゃ私、真姫の加勢に行ってくるわ。掃除道具の用意、しといたほうがいいんじゃないかしら?」
希「そうやね。えりちたちが掃除しやすいように、用意しとくよ」
皮肉を言われたけど、気にせず真姫の元へと向かう。
掃除をやらないために、必ずBiBiに勝利をもたらすわ!!
143:
海未「……たまには、挑発に乗るのも一興でしょう。お相手しますので、どうぞ全力でかかってきてください」
真姫「随分と余裕かましてくれるじゃない……」
ツインアリゲーターを両手に構え、突撃しようとする……けど。
かかってこい、なんて安い挑発に乗るほど、私はチョロい女じゃないの。
アツくならないよう、ふぅと一息いれる。
真姫「接近戦は海未のほうが有利でしょ?」
海未「おや、バレましたか……挑発にのるからかかってこい、なんて挑発は無駄でしたか」
真姫「このくらいの距離を離しておけば、海未のスペースクリアもシャークストームも届かないんじゃない?」
真姫「それにシャークは隠密行動向きの、強襲用武器……面と向かって戦うには不利な武装じゃない」
海未「それでも、これで絵里を倒しましたので」
真姫「上着を盾にする、卑怯な作戦で勝って嬉しいの?」
海未「結論だけで言えば、私の勝ちですから当然嬉しいですね」
海未「……勝利過程を考えると、手放しでは喜べませんが」
真姫「それじゃあ、ここは……潔く散ってくれる?」
海未「それは困ります。せっかく凛と希が勝ってくれるのに、大将だけ負けるというのは恥ずかしいですから」
144:
真姫「そう、それじゃあ海未には悪いけど……一つ、恥をかいてくれる?」
海未「ライブ衣装であれだけ恥ずかしい思いをしているのに、まだ私に恥ずかしい思いをしろというのですか?」
真姫「衣装の文句はことりに言って頂戴」
海未「うぅ……昔から、ことりには弱いんですよ……」
はぁ、と一息……じゃなくて、これはもうため息ね。
かかってこないの?
真姫「こんな小粋な会話、いつまで続けたい?」
海未「そうですね、できれば私の味方の増援があるまで持たせておきたいところですが……やりあいたくてウズウズしている、ってわけですか」
真姫「ウズウズなんてしてないわよ!!」
海未「どうやら図星のようですね」
真姫「……」
また挑発……こんな押収を続けてても、意味ないわね。
それじゃあ!
真姫「そうよ!早いところ海未が跪いている姿がみたいの!!」
海未「残念ですが、私は勝ちますよ?」
真姫「……!!!やって見なさい!!!」
145:
あーあ、挑発に乗っちゃった。
わかりやすいほど、乗せられやすいわね……
でも今更後悔なんてしたって、もう遅い。
だって私は、ツインアリゲーターをしまい、ショットウェーブを構えて走っているんですから!!
真姫「さっきと同じく、これで水浸しにしてあげるわ!!」
海未の右・左・右と、丁寧に3連発。
それら全てを海未は、前に出る動作をもって回避した!
海未「普段クールな癖に、こういう時ばかり熱くなりすぎるのが、真姫の短所ですよ!」
スペースクリアを構え、ゆっくりとした弾道でこちらに射撃してくる。
……こんなの、避けられないわけないわよ。
真姫「ノロいのよっ!」
海未「そうですね、こっちはどうでしょうか?」
手早く換装し、その手にはシャークストーム。
細い銃口は……初が早い!!
真姫「……くっ!」
ノズルがブレないよう、動きが緩慢だった、ってワケ!?
やるじゃないのよ、海未!!
146:
下がりながらショットウェーブでバラまき、牽制する。
海未の足が止まるのとツインアリゲーターに持ち替えるのは同時。
真姫「くらいなさいっ!!」
長い砲身は高い命中精度をもたらしてくれる。
……まぁ、標的が動かなければ、だけど。
海未「少し離れただけでアリゲーターを使いますか……手詰まり感が出てますよ?」
左右へのステップで簡単によけられてしまう。
それじゃ……ツインアリゲーターの本領が発揮できるような戦い方をしてやるわよ!!
真姫「……勝負を投げたわけじゃないからね!!」
自分のことながら、情けない捨て台詞しか出なかった。
海未「え、どこへ行くのですか!?」
真姫「アリゲーターの戦い方をするまでよ!!」
後進しながらもショットウェーブをバラまきながら牽制を加える。
……どこに身を隠せばいいのよっ!?
147:
とりあえずは中央階段から上の階に逃げ込む。
休日だと教室は鍵がかかってるから、逃げ込めるとしたらトイレくらいしかない……
けど、トイレって水の補給もできるし身を隠せるし、うまくやれば後ろから強襲できるし、いいことだらけじゃない?
だとしても個室に鍵を掛けて籠るのは、『ここに潜んでますよー』と言っているようなものよね。
適切な場所は……入口入ってすぐ傍、ね。
ここで海未をやり過ごし、廊下から中庭を挟んだ反対の校舎に海未が現れるまで待機するしかない。
後ろをチラリと確認し、まだ海未が追ってきてないことを確認し、トイレに籠る。
息を殺し、海未の足音に耳を立てる。
……けど。
なにも聞こえない……
もしかして、階段上がって反対に行った?
けど、断定するのはまだ早い。
……遅い。
チラリと時計を確認すると、2、3分は経過しているだろうか?
追ってきていない、というのは少し考えづらい。
であれば、どこかで私を見失った……?
真姫「……なによ、緊張して損したじゃない」
海未「ようやく出てきましたか」
真姫「え!?」
148:
頭を撃たれたら一撃ゲームオーバーなので、体ごと出たのが幸いした。
反射的に腕で頭をガードする。
真姫「冷た……!!」
海未「まだです!」
体勢を崩してしまった私に追撃を仕掛けて来る……!!
ホウホウの体で逃げ惑うと、背後に何回か水が当たって弾ける音が聞こえる。
最初の1回以外、被弾してないのが幸いね。
……でも、どうして!?
トイレに入る際、海未の姿はなかった。
潜伏してから耳を立ててたけど、遠くでドボンという水音が聞こえた気がする以外、布が擦れる音さえ聞こえなかったのに……!!
一瞬の出来事に脈が上がる。
走るフォームも崩れている。
息を切らしながら、どうにか間合いを空けることが出来た。
真姫「……海未っ!貴方、どうやって……!!!」
海未「ネタばらしは、勝負の後のお楽しみにしましょうか!!」
真姫「くっ……!」
こちらの射撃が読めている、とでも言わんばかりに、左右に跳躍しながら間合いを詰めてくる!!
スカッ、とショットウェーブが水切れを起こす……タイミング悪いのよ!!
カートリッジを換装しようと目線をそらすと……
海未「戦闘中によそ見とは、関心しませんね!」
149:
海未の手に握られているのは……セイバー!?
ちょっと、この距離じゃ……!!
海未「終わりです……!」
絵里「真姫っ!!」
ドン、と。
体が押され、海未の射線から外れる。
真姫「え……絵里!?」
絵里「お待たせ、危なっかしい大将ねぇ」
海未「絵里がここに来た、ということは……」
絵里「ええ、希は今頃、負けた後のあなたたちが使う掃除用具の準備でもしてるんじゃないかしら?」
真姫「ちょっと絵里、どういうこと?」
絵里「負けたほうが、この水浸しにしちゃった校舎の掃除をするの……いい案でしょ?」
海未「それは名案ですね。楽しい楽しい戦争ごっこをした後に、率先してモップで掃除をする生徒会長……また人気が上がりそうです」
絵里「そうね、正確には『副』生徒会長だけど」
海未「……それにしても、大将戦に横槍を入れるとは、随分と無粋な真似をしてくれましたね、絵里」
絵里「『戦争ゴッコ』でしょ?それなら、ルールは守っているわ……2対1はダメだと、どこにも唱ってないもの」
150:
海未「それもそうですね……無粋な真似など、失礼なことを言ってしまいました」
絵里「いいわよ、別に」
真姫「それより、2対1で敵うと思ってるの、海未?」
海未「もちろん、思いませんよ……2対1なら、ですがね」
真姫「……どういう、意味?」
この会話の隙にカートリッジを換装し終える。
絵里もポンピングしているし、海未も海未でセイバーのポンピングしている。
……この無駄な会話は、なんの意味が……?
海未「いえ、別段大きな意味などありませんよ……準備はできましたか!?」
絵里「……真姫のカートリッジ換装の時間をくれた、ってわけね?やっぱり、優しいんじゃなくて……甘いのよ、海未は」
……絵里が駆けつけてくれた、つまり絵里と希の戦いは絵里の勝ちだった。
にこちゃんの凛は、どうなったんだろ……?
―――――まさか!?
海未「さて、甘いのはどちらでしょうね、絵里……」
明らかに私と絵里の『奥』を見て、叫ぶ。
海未「来なさい、凛!」
151:
凛「ガッテンにゃー!!」
……やられた、挟み撃ちだったの!?
絵里「ちぃ……!真姫、海未を!」
真姫「絵里、凛はすばしっこいから気をつけて!!」
海未「させませんよ……凛!真姫に!」
凛「じゃ海未ちゃんは絵里ちゃんに!」
真姫「なんで!?余計に混戦になるだけじゃない!!」
海未「分断されると、分が悪いもので……やむなし、です!」
真姫「海未……っ!やっぱりあなたは!あなただけは、この手で!!」
海未「凛、アレは残ってますか!?」
凛「拾ってきたよっ!」
凛が懐から取り出したのは……水風船?
凛「行くにゃー……凛ちゃん式パイナップル、『改』!!」
未だうまく分離できていない私と絵里の『足元』をめがけて、水風船が投げつけられる。
叩きつけられた水風船は割れて……水が飛び散る。
152:
運良く私だけに水がかかり、絵里には被弾しなかった。
けど……
真姫「……これも被弾にカウントするの?」
絵里「カウントしてもいいんじゃない?だって……ここから形勢逆転すれば、相手はグウの音も出ないわ!!」
とは言え……かなり劣勢よね。
真姫 被弾2、絵里 被弾2、にこ 敗北
海未 被弾1、凛 被弾0、希 敗北
って、凛は被弾0!?にこちゃん何やってたの!?
真姫「絵里!一旦退き……」
海未「凛!足止め!」
凛「逃がさないよっ!!」
絵里「く……っ!やるしかないわよ、真姫!」
叫びながら、絵里と背中を合わせる。
絵里「……合図で飛び出すわ。逆に二人を包囲してやりましょう」
コクリ、と頷く。
海未「さあ、これで終わりにしましょう!!」
絵里「……今っ!」
153:
飛びかかってくる凛のタンダーストームブラスターをなんとか回避しきる。
絵里も海未のシャークストームの餌食にはならなかったようだ。
私、凛、海未、絵里の順で、リリホワの二人を包囲している。
これでなんとかやり過ごせる……と思った矢先、
絵里「逃げて、真姫!!」
真姫「……でも!」
絵里「真姫が逃げるまでやり過ごすくらい、どうってことはないわ、早くっ!」
海未「逆に包囲したつもりですか……凛、逃がしてはなりません!」
凛「アイサー!」
真姫「ちょ……っ!」
凛が私のほうに向けて、走り出してくる。
……屋上での一戦が、脳裏をよぎる。
絵里「背中ががら空きよ、凛っ!」
海未「くっ……絵里っ!!」
絵里がハリケーンのトリガーを引くのと、海未がセイバーのトリガーを引くのは同時。
ハリケーンの弾道は海未の左手の平に遮られ……
セイバーの弾道は、絵里の右肩に被弾した。
154:
直後、私が動く。
屋上のあの凛の動き、忘れてはいないわよ!
凛「真姫ちゃん、また凛が勝っちゃうよっ!」
言いながら、タンダーストームブラスターを横になぎ払う!
真姫「愚かね……凛」
姿勢を低くしてなぎ払いをやり過ごし、先ほど空になったカートリッジを放り投げる。
こんなものは当たらなくたっていい。
カートリッジに気を取られてくれれば、それでいい。
凛「おっと……」
狙い通り、気がカートリッジに向かってくれた。
低くした姿勢を戻すのとショットウェーブが水を吹くのは同時、
凛のつま先から頭の先まで、縦になぎ払う!!
が……凛の瞬発力は凄まじく、空中で肩から首を動かし、頭への被弾を避けた!?
凛「へへ……凛の真似っこ?」
でも、私の頭の中で、凛はなんでもありだと予想していた。
きっと凛なら、空中で体制を変えるくらいはワケないし、二段ジャンプするくらいじゃないと驚かない。
だからこそ、避けられた今でも冷静に対応できる。
だからこそ、着地直後のりんの額を、ショットウェーブで正確に撃ち抜くことだってできる。
真姫「真似なんかじゃないわ。元々、これを狙ってたの」
155:
ビシッ、と凛の額にクリーンヒットする。
……ふぅ。
凛「う、海未ちゃあぁん……」
海未「情けない声を出さないでください、凛。おかげで絵里を倒せました」
真姫「絵里……残念ね」
絵里「ごめんなさい、あそこで凛を仕留めて、真姫には逃げてもらおうと思っていたのに……」
そう、この一瞬とも言える時間で、
1.海未が被弾2
2.絵里が海未に倒される
3.私が凛をヘッドショットで倒す
という、劇的な変化があった。
真姫「残るは私と海未……あなただけよ」
海未「そうですね……やはり、大将同士の決戦になりましたか」
真姫「……今さっき凛を倒した時、海未は私に一発入れることが出来たはず。どうして?」
海未「さあ、どうしてでしょうか?……強いて言えば、私も楽しみたかったんですよ、この状況を」
真姫「そう。……変わり者ね、海未って」
海未「凛の動きをトレースできる真姫のほうが、よっぽど変わり者ですよ」
156:
海未「さて、この最後の決戦……どうやって終わらせましょうか?」
真姫「そうだ。合図は、これでいいんじゃない?」
そういって、屋上と同じくコインを取り出す。
みんなとたまにいくゲーセンのコイン。
海未「それはいいですね。午前中の一戦を思い出します」
絵里「じゃあ、私がトスするわ……あーあ、海未を倒すのは私だと思ってたのになー」
真姫「絵里、緊張感ないこと言わないでよ」
凛「凛もこんな緊張の一戦に加わりたかったにゃー!」
海未「凛まで、何を言い出すんですかっ」
各々、緊張がほぐれたようだ。
絵里が私と海未を交互に見て、
絵里「さて……そろそろ、いいかしら?」
海未/真姫『……』
言葉を発さず、私も海未も頷きをもって了解とした。
キィン、と軽い金属音が響き、絵里の手からコインが勢いよく回転しながら宙を舞う。
作戦は立てていない。ただ全力でぶつかるだけ。
回転の勢いを落とさず、しかし張り詰めた空気を切り裂きながらコインは落下していく。
コインが、床に落ちる。
160:
コインが床に着くのと、私と海未が前に飛び出すのは同時。
接近しながら直線的な射撃を行ない、すれ違いざまになぎ払う。
……私は被弾しなかったが、それは海未も同じだった。
振り向き、再び海未へと射撃しながら走ろうとする……が。
海未「同じことの繰り返しとは、芸がありませんね!」
飛距離のあるセイバーを撃ってきた!
あれは海未の切り札では……?
とにかく後ろに下がり間合いを空け、ツインアリゲーターへと持ちかえて遠隔攻撃へと切り替える。
真姫「距離が空いたら、不利になるのは海未でしょう!?」
叫びつつも、数回射撃する。
海未「そうですね……だからと言って、勝てないわけではありません」
姿勢を低くし、突っ込んでくる。
けど、それは凛が散々やってきた手で、私にはその対処がわかる。
姿勢が低くなれば、それだけ左右には避けづらくなる。
真姫「それは何度も見たわよ!!」
直線射撃で、海未は倒せる……はずだったけど。
アリゲーターの口が届く前に、海未は右へと飛んでいた。
海未「……凛の動きで学んだのですね」
161:
海未「ですが、凛は姿勢を低くしすぎていました。だから横への動きが取りづらい……だったら、低くしすぎなければいい。ただそれだけです」
海未には悪いけど、海未なら凛の動きを周到し、上回る動きをすることが予想できていた。
……いえ、予想できていた、ってのはかっこつけね。
たった今、その予想に至ったの。
だから。
真姫「……これは、避けられないんじゃない?」
アリゲーターを左から右へなぎ払い、そのまま手放す。
直後、ショットウェーブに持ちかえ、右から左へと、往復運動のようになぎ払う。
この二丁は同じシリンジとは言え、遠距離向きと近接向きといった、全く異なる特徴を持つ。
アリゲーターはショットウェーブでは、初に雲泥の差がある。
アリゲーターのほうが早く、ショットウェーブのほうが遅い。
飛来する水の度が違うと、脳で理解できても体がうまいこと動いてくれない。
回避するリズムが崩れる海未は、いっそ潔いほどに立ちすくんでいた。
海未「……きゃ!」
被弾。
海未、被弾3。
……勝者 BiBi。
162:
海未「くっ……いつもどおりの折り返しのなぎ払いだとばかり思い込んでいました……」
真姫「まぁ、あんなこと思いついたのも偶然みたいなもんよ」
海未「はぁ……まさか、見事にリベンジされるとは思っていませんでした」
凛「海未ちゃん、かっこよかったにゃー!」
希「やっぱ、ウチらの大将やんな」
海未「希、こっちに来ていたのですか」
希「えりちたちに掃除させるための掃除用具を用意しとったのに、まさか本当にウチらが掃除することになるとはなぁ」
絵里「真姫!やったわね!!」
真姫「絵里、ありがと。絵里が海未の被弾数を稼いでくれてたから、なんとか勝てたようなものよ」
絵里「それでも、あんなにマジな顔した海未に一発入れることができるなんて、対したものよ」
真姫「やめてよ……と、ところでにこちゃんは?」
凛「あー……凛がプールに叩き込んで、着替えてくるーって言ってたけど……」
真姫「あのドボンって音、にこちゃんが落ちた音だったの?」
凛「ちょっとやりすぎたかも?」
真姫「そのくらいでいいんじゃない?」
163:
海未「しかし、水鉄砲でこんなに熱くなるとは、思ってもいませんでした」
絵里「上着ガードを考えちゃうくらい、本気だったもんねー?」
海未「え、絵里」
164:
海未「え、絵里!あれは忘れてください!!」
希「そういうえりちも、かなり本気やったやん?」
絵里「そりゃあ、負けたら校舎の掃除がかかってるもの」
凛「そういえば、本当にやるの……?掃除……」
海未「当たり前です。これは敗者である、私たちの宿命です」
凛「うっ……さっき真姫ちゃんにやられた古傷が……」
希「凛二等兵!?しっかりしろ、凛二等兵!!」
凛「希……上等兵。あとは、海未隊長と、よろしくにゃー……がくっ」
希「凛二等兵いいいい!!!」
希「君の屍をこんなところに放置できない、どこか遠くへ運ばなければ……」
海未「ふ・た・り・と・も?」
のぞりん「隊長!はい、海未隊長!!」
海未「サボろうとしたって、そんな魂胆くらい丸見えです!とりあえず一階から掃除しますよ!ほら、キビキビ歩く!」
165:
真姫「全く、あっちは負けても勝っても、緊張感ないのねぇ……なによ、さっきやられた古傷って。矛盾してるじゃない」
絵里「まぁいいんじゃない?見てて飽きないし♪」
にこ「おっまたせー!さあ、にこにーの武蔵の餌食になりたいのは……って、あれ?」
真姫「にこちゃん、遅い!もう終わったわよー!!」
にこ「マジで!?え、もしかして、負けちゃったの?二人共やられたの?」
絵里「勝ったわよ。……真姫が最後のトドメをさして、ね?」
真姫「だから、絵里のアシストもあったから……!」
絵里「はいはい、そういうことにしておきましょうか」
にこ「勝ったのね……!これで、μ's内ユニット最強の地位を手に入れたわけね!!」
???「μ's内ユニット最強が、聞いて呆れちゃうよね……」
???「だって、私たちはまだ戦闘すら開始してないのに……」
???「調子乗ってると、???のおやつにしちゃうよ……クスクス」
絵里「だ、誰っ!?」
真姫「どうして……どうしてあなたたちがここにいるの!?」
166:
突如現れた謎の敵影!!
戦闘を開始していないとは、一体誰なのか!?
そして、彼女らの正体は一体誰なのか!?
次回「BiBi vs Printemps 頂上決戦!!」
私たちの戦いは、まだ始まってすらいない!!
凛「いつまで夏なの?」完っ!!
16

続き・詳細・画像をみる


【速報】パスポートのデザインが派手に変わるらしい

「ほ〜ら、カンガルーの赤ちゃんだよ〜」 と、娘の遊び相手になってくれていた義父の声がした。

大学4年生の娘はわたしが体調が悪くても家事は手伝ってくれません。子供なんか産まなきゃよかった

俺の元カノの話をさせてくれ

他人に馬鹿にされないために頑張るって動機としてどうなの?

【またまた】マクドナルド異物混入 京都の店舗でホットケーキにアクセサリーの金具、 マックポテト容器に羽虫…

back 削除依頼&連絡先