浪人生「大丈夫、大丈夫。」back

浪人生「大丈夫、大丈夫。」


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1:
2/23 夜
浪人生「ついに、国立の前期かぁ……。」
浪人生「不安だ……。経済的に二浪はできないし……。」
浪人生「去年の悪夢がフラッシュバックする……。」
浪人生「……。」
浪人生「……いや、大丈夫、大丈夫。今日のために一年間がんばったんだ!」
浪人生「ゲーム、友達との遊び、いろんな誘惑を耐え抜いてきた!」
浪人生「周りの浪人生が付き合ったり、酒飲んだりしてる間に、必死に勉強してきたんだ。
 自分を信じて……ん?」
浪人生「>>4からメールだ!」
内容 >>8
受験生の皆様に響さんからエールです by ばーちー on pixiv
4:
ばあちゃん
5:
もう死ね
6:
孫よ 死ね
7:
言われた通りお金振り込んでおいたよ
これで良いのかい?
8:
私の息子と息子の嫁が死んでから育ててきましたが
もう限界です
10:
浪人生「ばあちゃんからだ……。応援かな?」
浪人生「今年は本当にお世話になったな……。
 ぜひ合格して恩返ししなくちゃ!」
浪人生「迷惑かけたぶん、いいところに就職して
 安心させてあげたいなぁ。」
浪人生「……みてみよう。」
タイトル:孫へ
本文:私の息子と息子の嫁が死んでから育ててきましたが
もう限界です
浪人生「え……。」
浪人生「……。」
浪人生「……えっ!?」
11:
浪人生「そんな……。」
幼い頃に両親を亡くした俺は、ばぁちゃんに育てられた。
ただでさえ少ない年金の額。
それなのに、部活も、高校も、予備校さえも通わせてくれた。
なんでこんなババァと暮らさなきゃいけないいだ!
そんな風に反発した時も会った。
だけど、ばぁちゃんはいつでも笑顔で
俺のことを受け止めてくれて……。
浪人生「いきなりどうしたんだろう……。」
浪人生「どうしよう……。」
浪人生「今からでも行きたいけど、受験できなくなっちゃう。」
浪人生「でも、ばぁちゃんが……。」
どうする?>>14
1.ばぁちゃんに会いにいく
2.メールで心配する
3.邪魔すんじゃねぇよ、ばばぁとメールする
4.無視する
5.その他
12:
1
13:
5 amazonnで練炭を頼む
14:
3
16:
浪人生「……いや、やっぱりやめとこう。」
浪人生「明日のために、すべてをかけてきたんだ。」
浪人生「てか、それぐらい、ばぁちゃんもわかってるはずだろ!」
浪人生「……なんか腹たってきた。」
浪人生「こうなったら……。」
タイトル:うるせぇ!
本文:邪魔すんじゃねぇよ、ばばぁ!
浪人生「……ったく、ばばぁのメンヘラなんて需要無いだろ……。」
結果は>>19
1.返信きた(内容も)
2.音沙汰なし
3.そのた
18:
3
彼女から
19:
実は浪人生を試すための神からのメールだった
20:
おいおいファンタジーか
21:
浪人生「……ん?返信か?全くいい加減にしてくれよ……。」
浪人生「えっと、開封で……って、うわぁ!?」
開封をおした刹那。
俺のiphoneが光り始めた。
目もくらむ様な閃光の中、意識が遠のいていく……。
気がつくと、一様に白な神々しい世界。
浪人生「いたた……って、ここは?」
???「受験を戦い抜く戦士よ……。
 我を刮目せよ!」
23:
浪人生「誰だ!?お前がこんなとこに連れてきたのか!?早く返せ!!」
???「落ち着いて話を聞くのだ、若者よ。」
???「その早計な貴様の性格が、去年の悪夢を生み出したのは理解しているはずだ。」
???「冷静になれば、計算ミスなどしなかったものの……。」
???「sin^2θとsin2θを読み間違えるとは・・・。」
浪人生「お前には関係ないだろ!って、なんでそんなことを……?」
浪人生「一体、何者だ!?」
???「我は受験を司る神。すべての受験生を監視し、その適性を見定める“天空の面接官”だ。」
浪人生「なんだって!?」
神「先ほどのメールは、貴様を試させてもらった。」
神「受験の神として、貴様に“合格者”の素質があるのかをな……。」
神「そして、その結果は>>26だ!(理由も)」
25:
饅頭くれないから不合格
26:
不合格
顔がタイプじゃない
28:
神「そして、その結果は不合格だっ……!!」
神「残念だったな、貴様には十分な素質がない。」
受験生「……くっ!」
受験生「そんなの納得できねぇ!!」
受験生「俺はこの一年間、誰よりも勉強してきた自信がある!!」
受験生「チャートもやりこんだし、ターゲットもボロボロになるまで暗記した!!」
受験生「理由を……納得できる理由をくれ……。このままじゃ……。」
神「顔だよ」
受験生「え?」
神「だから、顔。」
神「タイプじゃないんだよ、貴様。」
29:
浪人生「……。」
神「顔を直して出直せ、若者」
神「顔。顔。顔だよ、顔。」
浪人生「……ざけんな。」
神「あ?」
浪人生「ふざけんなって言ってんだよ!!」
浪人生「いくら神だからって、そんな横暴許されるかよ!」
浪人生「確かに、俺の顔はお世辞にもかっこいいとは言えねぇ……。」
浪人生「でも……だからこそっ!」
浪人生「受験ってのは、容姿が足りなくても、運動ができなくても!」
浪人生「勉強という努力は、誰にだってできる!!」
浪人生「自分のチカラでつかみ取れる!!」
浪人生「どんな奴にだって与えられる、最後のチャンスなんじゃないかよ!!」
浪人生「答えろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
30:
神「……。」
浪人生「それとも何だよ……。」
浪人生「生まれた時に、すべてが決まってるってか?」
浪人生「全ては運ですってか!!」
神「……。」
浪人生「……確かに、そういう部分はある」
浪人生「人生、自分だけじゃ何もできないことも多い。」
浪人生「俺だって、現役の時に講習や予備校に行けていたら……って、
 思うときもあったよ……。」
浪人生「両親が生きてたら……、こんなババァに育てられなければって……。」
浪人生「でも、全部仮定の話だ。」
浪人生「幻想だ。言い訳だ。」
31:
浪人生「所詮、俺たちは無力だ。なんて諦めても。」
浪人生「今あるものの中で生きていかなきゃならねぇ。」
浪人生「それでも、どんなに貧しくても。」
浪人生「俺はここまで来られた。」
浪人生「先生、友人、ばぁちゃん。天国の両親。」
浪人生「みんなの支えがあってここまで来れた……。」
浪人生「だから、俺は証明しなくちゃなんねぇ!」
浪人生「こんな俺でも合格できるっ!!」
浪人生「自分のために、みんなのために。」
32:
浪人生「だから、俺の前に立ちはだかる者は」
浪人生「軍隊だろうと、悪魔だろうと!」
浪人生「たとえ、神だろうと容赦なく叩き潰す!!」
神「……。」
神「……。」
神「……ふっ。」
浪人生「……なっ!?」
神「……ふふっ…ははは……っ…………ははははははははは!!」
神「あははははははははははははははははははははは!!!!」
浪人生「何がおかしい!俺は『神「いい顔してるじゃねぇか。」』…え?」
神「顔だよ、顔。」
神「今のお前の顔、タイプだよ。」
33:
ツンツン頭のレベル0を思い出すな
35:
神「くくっ……大人しそうな顔して、貴様、なかなか言うではないか!!」
神「よかろう……。気に入った!」
浪人生「ホントか!?じゃぁ……!!」
神「ただし、あくまでもチャンスだ。」
神「すぐに合格というわけにはいかない。」
神「ただし……」
神「貴様の言うとおり、誰にも負けない努力をしたなら。」
神「それだけの力があるなら。」
神「きっと、手に入れられるだろうよ。」
神「サクラはサクはずだ。」
36:
神「それでもいいなら……」
神「元の世界に戻してやる。」
神「どうだ?」
浪人生「……。」
浪人生「……。」
浪人生「……わかった。」
浪人生「必ず証明してやるよ。」
浪人生「このチャンス無駄にはしねぇ。」
浪人生「自分を信じて、掴み取ってみせる。」
浪人生「だからさ……。」
浪人生「合格発表、ちゃんとみてろよな!!」
神「…はははは…あはははははははっ」
神「くくっ……生意気な。」
神「まぁ、いい。楽しみにしてるぞ。」
神「せいぜい足掻くことだ。」
38:
神「さてさて……。」
神「そろそろ……時間だな。行くぞ、若者よ。」
浪人生「……。」コクッ。
受験の神の右手が、不思議なオーラをまとい始める。
それは徐々に大きくなり、周囲の空間を取り込んでいく。
神「それでは!!さらば!!」
再び、光に包まれ視界が霞んでゆく。
薄れゆく意識の中で、誰かが微笑んでるのが見えた。
暖かくて、心地よい温もり……。
……。
「必ず、できるはずだよ。大丈夫、大丈夫。」
……。
気がつくと、もとの世界に戻っていた。
確認してみたが、
メールは友達の応援だけで、あのメールは届いていなっかt。
41:
光はやがて霧散し、空気に溶け込む。
神「これでよかったのですか?」
浪人生が消え去った不思議な世界に、
受験の神がポツリと、溜息とともに漏らす。
???「えぇ、あの子ならきっと大丈夫です。」
神「こんな試すような前をしなくても……。」
神「一言、声をかけてあげるだけでも違ったのでは……?」
???「信じていましたから。それに……。」
神「それに……?」
???「……いや、なんでもないですよ。」
???「さて、本来の世界に戻りましょうか。」
???「向こうで待っているだけなのも可愛そうですから。」
神「しかし……。」
???「神様?エスコートお願いしますね。」
神「……喜んで。」
そういって、手を取り二人も、希薄な大気の中に溶け込んでいった。
42:
2/25 朝
今日は、ついに受験だ。
やっと……ここまでたどり着いた。
あの不可思議な体験が現実だったのか、夢だったのか。
確かめる術は、ない。
でも、あの出来事のおかげで
迷いを断ち切ることができた。
もう、どんなことがあっても揺らぎはしないだろう。
受験会場に着くと、皆そわそわしていた。
無理もない。たった一度の試験で人生が変わるのだ。
45:
友人と話している受験生も目立つ。
後ろのグループでも知り合い同士なのだろうか。
会話の内容がちらほら聞こえる。
現役生A「ぜってー、浪人なんてしたくねぇよなwww。」
現役生B「わかるわwww。人生最大の汚点だろwwwwww。
  よくまたここまで来れるよなww。」
現役生C「てか、浪人するくらいならこんなカス大学受けねぇわwww。」
現役生A「浪人生(笑)」
46:
以前の自分なら、どうだっただろうか?
怒りに身を悶えながら、
歯を食いしばっていたかもしれない。
羞恥心から、固まってしまっていたかもしれない。
でも、今は違う。
確固たる信念があり、夢があり、理想がある。
全く気にならないわけではないが
心は不思議と平穏だった。
それに、彼らの気持ちも痛いほどわかるから。
47:
みんな不安なのだ。
人生で初めて、たった一人。
乗り越えなくてはいけない、最初の試練。
それは、かつて経験したものでも、
いや、だからこそ
足が震え、動揺し、恐れおののく。
そんな不安をかき消したくて、
自分を維持したくて
周りを中傷する。
決して褒められることじゃないが、自然な反応。
人間の防御本能。
それが痛いほどわかるから、
俺は傷つかない。
48:
浪人生「それに、俺は一人じゃないもんな。」
心の中でつぶやく。
試験官「よーい、始め。」
運命の時が来た。
俺は微笑み、ひと呼吸して、問題用紙をめくった。
51:
4/? 入学式
学長「えー、我が大学は伝統と……。」
新入生「……ふぅ。話が長いのは大学でも変わんないのか。」
新入生「ばぁちゃん、寝ちゃいそうだなぁ……。」
新入生「……。」
新入生「……もし、一緒に来られてればなぁ。」
新入生「向こうに行くのは、もう少し待って欲しかったぜ。」
新入生「……畜生。」
俺が不可思議な体験をしたあの日。
ばぁちゃんは亡くなった。
54:
だいぶガタが来ていたらしい。
俺が出発したあとすぐに入院したみたいだ。

父さんたちが俺に知らせようとしたのを
ばぁちゃんは必死で止めた。
あの子の邪魔はしたくない。
せめて最後くらいは、邪魔したくない、と。
新入生「一緒に、入学式行こうって言ったじゃねぇか……。」
新入生「俺の夢を……邪魔すんじゃねぇよ、……ばばぁ。」
57:
新入生「……。」
新入生「なぁ、天国から見てるか?」
新入生「もしかしたら、母ちゃん、父ちゃんと一緒にいるのかな?」
新入生「まさか、受験の神様とも会ってたり…なんて。はは。」
新入生「……。」
新入生「安心して眠ってくれ。」
新入生「こっちの方は任せろ。」
新入生「だって、ばぁちゃんの自慢の孫だからなっ!!」」
新入生「それに……
―――――――――――――――――――――――――
「それに……心の中で生きていますから。
……これから、どんなに辛いことがあっても
大丈夫、大丈夫。」
―――――――――――――――――――――――――
おわり
58:
素晴らしい、乙
61:
乙!
よく綺麗にまとめたな
6

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