魔王「よし、世界征服をしよう! 手始めに近くの村を襲うか」back

魔王「よし、世界征服をしよう! 手始めに近くの村を襲うか」


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1:
?村?
村人A「とうとう魔王が世界征服を始めるらしいぞ」
村人B「それは本当かよ! まだ遠くの国にいる勇者はレベル1なんだろ!? 終わりじゃん」
村人C「世界征服の最初の犠牲はこの村だそうだ」
村娘「魔王の城に一番近いしな」
村人A「どうしよう魔王って絶対強いんだろ?」
村娘「魔王だしな」
村人B「この村はお終いだー」
村人C「お、俺は世界がどんなに闇に包まれようと自分の生まれ育った村は離れないぜ!」
村娘「よし、魔王が攻め込んで来ても良いようになんか対策をしてみっか」
対策>>3
3:
村娘をささげる
7:
魔王「ここが私の世界征服の足がかりとなるさいしょの村だな!」
村娘「ちぃーっす、捧げられに来ました」
魔王「ん? なんだ愚かな人間種のオスか」
村娘「……あ?」
魔王「邪魔だどけ。この村はこれから世界に私の恐ろしさを知れ渡らせる為の生贄になるのだ」
村娘「今なんつった?」
魔王「まとめて村ごと灰にしてやるから私の前に現れるなと言っているんだ。目障りな人間種のオスめ」
村娘「あ゛ぁーん!? てめえ私のどこ見てオスだって判断したんだごらぁ!」
魔王「ひぃぃぃぃぃぃぃ!」
村娘「おいコラ魔王てめえマジふざけたこと言ってっとぶっ殺すぞコラ」
魔王「……っふ、この村を灰にするのは少しだけ待ってやろう」
12:
村人A「あれ? 村娘ちゃん捧げられたんじゃなかったの?」
村娘「知らねえよ。魔王が勝手に撤退してったんだよ」
村人B「戦略的撤退ってやつなんじゃないか?」
村人C「そう考えると恐ろしいな。きっと魔王はさらなる恐怖を用いてこの村を消し去る気だろう」
村人A「そ、そんな……まだ勇者も国を旅立ってすらいないのにこれじゃあ絶望じゃないか!」
村人B「くそう、この村もとうとう終わりなのか……」
村人C「村人たちの情報によると、数日後にまた魔王が攻めに来るらしいぞ」
村人A「今度こそ終わりだー!!!」
村娘「どうすっかね。何もしないで滅びるくらいなら気休めでも良いから対策立ててみっか」
対策2>>15
15:
地域一帯のオークのハムを捧げる
20:
村娘「地域一帯のオークのハムでも捧げてみるか」
村人A「でも、オークのハムっていったって相手は魔物だぞ」
村人B「それに地域一帯ともなると数は世界最大国家の軍事力に匹敵するぞ」
村人C「地域一帯のオーク狩ってきたよ?」
村娘「ああ、そういや村人Cは人より少し戦闘に覚えのある奴だったな」
村人C「まあちょっとやくそうがなきゃ厳しかったけどね」
村人A「よし、じゃあ早村人Cが狩ってきてくれたオークの山を全部ハムにしようか」
村人B「骨が折れそうだな」
村娘「味見は任せろ」
26:
?魔王城?
魔王「……それでは再びあの忌まわしき村へ行くとしようか」
側近「魔王様、例の村から何やら『贈り物』が届けられました」
魔王「贈り物だと? フフフ、ハハハハハ! 奴らめ私に恐れをなしてとうとう貢物を捧げるまでになったか!」
側近「それがですねー」
魔王「して側近よ、その贈り物とやらはどこだ?」
側近「城の外に積んであります」
魔王「なぜここへ持ってこない」
側近「……と、いうのもですね量が量でして」
魔王「何を言っているのだ?」
側近「我らが魔王様の城より二回りほど大きな山が三つ、城のそばに積まれてあるんです」
魔王「……っふ、いくらなんでも私に恐れをなしすぎというものではないかな」
側近「はあ、まったくですね」
28:
?魔王城・外?
魔王「うっわーでっけー」
側近「全て綺麗に梱包されてありました」
魔王「奴らめ、それほどまでに私が怖いのか。こんなことをしようがどうせあの村は灰にするというのに」
側近「こんなタイミングで言うのもなんですけど、最近この一帯に配備しているオークたちからの連絡が途絶えているんですよ」
魔王「ふむ……どういうことだろうな。オークは名前の割に我が魔王軍の中でも屈指の強モンスターなのだが」
側近「まあ確かにオークたちは軍の主力といっても過言ではありませんが、何やら心配ですね」
魔王「奴らのことだ、たまには連絡くらい忘れることもあるだろう」
側近「そうですよね、後でほうれんそうは怠らないように言いつけておきます」
魔王「頼んだぞ。よし、ではこの梱包された貢物の中身を見てみようじゃないか。タオルとかだったら嫌だな」ビリッ
側近「……え」
魔王「……『オークのハム』? え、これ全部?」
側近「……」
魔王「ふ、ふふ、ふふふ……あの村を襲うのはもう少し先にしてやろう。それまでちょっと部屋に籠る」
30:
?村?
村人A「数日経ったけど魔王来ないな」
村人B「俺たちの貢物が良かったのかもな」
村娘「私が全部ラッピングした甲斐があったってもんだ」
村人C「これで魔王が俺たちの村を襲うの止めてくれればいいんだが……」
村人A「それが……噂によるとまた数日後にここに攻め込んで来るらしいぞ」
村人B「ま、またかよ……いつまで俺たちは魔王の恐怖に脅えていなきゃいけないんだっ!」
村人C「勇者もやっと国を旅立って次の街へ着いたばかりだと聞くし、今度こそ終わりなのかもな」
村娘「なんだよお前ら、弱音吐くだけじゃ何も始まんないだろ。対策くらいおっ立てていこうぜ」
対策3>>33
33:
魔王を誘拐
35:
村娘「魔王を誘拐でもしてみようか」
村人A「いきなりそんな大胆なこと出来るかよ」
村人C「どうなんだろうな」
村人A「世界征服を目論む魔王だぞ。そんな簡単に誘拐出来るもんじゃないだろ」
村娘「確かに真正面から魔王と戦闘しても、あんな魔物の親玉になんか敵うはずねえやな」
村人C「そうかなるほど、でも誘拐となると話は別か」
村娘「要は戦闘なんかしなくても魔王を誘拐出来りゃあいいんだ」
村人A「そっかそっか、ということは……」
村娘「魔王城にいる魔物に気付かれずに、果ては魔王本人にすら気付かれず誘拐出来る程度の隠密行動が可能な村人に行かせよう」
村人C「となると……村人Bが村の中では少し隠密行動が上手いな確か」
村人A「そういえば村人Bは昔、世界中の盗賊を束ねる統領だったんだっけか」
村娘「その肝心の村人Bはどこにいんだ?」
村人A「もしかしてこの対策を聞いてすぐに魔王城行っちゃったのかもな」
村人C「相変わらず仕事が早いな」
37:
?魔王城・魔王の部屋?
魔王「私のオーク軍が全部ハムになっちゃった……ふぇぇん」
魔王「これだったらタオルの方が良かった……」
村人B「魔王なんで泣いてるんだろう。ああそうかそんなにオークのハムが嬉しかったのか」
魔王「私のこんな姿を部下たちに見せるわけにはいかない……早く気を取り直して世界征服を開始しなくてわ」
村人B「現役を退いて俺の隠密能力も落ちぶれたと思ってたが、嬉し泣きをしている今の魔王にはギリギリ通じるみたいだな。良かった」
魔王「どうしよう、立ち直れない……いや、頑張んないと。魔物たちの為にも」
村人B「よし、さらっと攫っていこうか」
魔王「もがっ!? なんだ、目の前が暗く……眠くなって、くる……」
?村?
村人B「魔王誘拐してきたよ?」
村娘「でかした!」
43:
魔王「ぐーぐーぐー」
村人A「とりあえず俺の睡眠魔法で眠らせておくわ」
村娘「さすがは元世界最強の魔法使いだけあるな」
村人A「遠い昔の話だよ。今じゃきっともっと凄い魔法使いがいるし勇者と一緒に直にやって来るだろう」
村人B「魔王が起きたら今度こそこの村は壊滅だろうな」
村人C「村人Aの睡眠魔法はどこまでもつんだ?」
村人A「一度眠りに入ってしまえば俺のMPが尽きるまで睡眠魔法は維持出来るよ」
村娘「尽きるのはあと何時間くらいなんだ?」
村人A「千年もしたら無くなっちゃうかも」
村人C「そっか……千年後には魔王が眠りから覚めてしまうのか」
村娘「そうなると今度こそこの村も終わりだな」
村人B「MP回復の薬なんて高価な物おいそれと用意出来ないもんな」
魔王「ぐーぐーぐー」
村人A「……本当に、これでもうお終いなのか」
村娘「まいったね」
45:
?魔王城?
側近「魔王様がいなくなったー! なんてことだー!」
側近「魔王様どこにいるんですか!? かくれんぼは一昨日やったばかりでしょう!」
魔物A「側近様!」
側近「おお魔物Aか! どうだ魔王城内に魔王様はいたか!?」
魔物A「それが……魔物たちに手当たり次第探させたのですがどこにもおらず……」
側近「城内にはいなかったのか」
魔物A「そのようです」
側近「嫌な予感がするのだが……まさか魔王様は」
魔物B「た、大変です側近様! たった今魔王様が例の村へ連れ去られたとの報告が!」
側近「例の村にだと!? オーク軍団を一夜で全滅させあろうことかハムに食品加工したあの悪魔の所業をした村にか!?」
魔物B「はい」
側近「……魔物A、魔物Bよ。城内の魔物と城周りの魔物たちを全員ただちに集結させろ」
魔物A「側近様!? もしや!」
側近「たとえ我が命尽きても、万の魔物が屍と化しても! 魔王様をあの村から奪還するのだ!」
49:
側近「……来たか、魔王軍最強の四天王たちよ」
炎熱王「久しぶりの四天王招集だな、何百年ぶりだ?」
側近「お前たちを集めたのは、確か五百年前地上に魔の根を降ろす時以来だな」
氷水王「あの時は一人の魔法使いに阻まれ完全に根を降ろすことは出来なかったのでしたね」
側近「ああ、しかし四天王たちのお陰で地上に魔物を住まわせることが出来たのも事実だ」
土岩王「側近殿、昔話に華を咲かせるために我らを集めたのではないのだろう?」
側近「あ、そうだった!」
炎熱王「そりゃそうだよな。なんたって側近さんはそんなに慌てて俺たち招集したんだよ」
側近「魔王様が近くの村に攫われたんだ!」
風嵐王「そういえば魔王様のお姿がどこにもいないね」
炎熱王「攫われたってマジかよ!?」
土岩王「側近殿が我らを集める程の一大事ということか」
氷水王「魔王様を奪還さえ出来れば、別に村を潰してしまっても構わないのでしょう?」
側近「ああ、好きなだけ魔物を率いて暴れてくれ」
炎熱王「へえ……面白いじゃねえか。誰が先に魔王様を助けて村を消し炭にするか勝負ってことか!」
52:
?村?
魔王「ぐーぐーぐー」
村娘「あーあー、勇者さん早く魔王倒してくれないかねー」
村人C「ここで寝てるんだしな、今なら絶好のチャンスなのにな」
村娘「さすがに私たちが魔王を殺すのは腰が引けるな」
村人B「下手に俺たちが手を出して殺し損ねて魔王に反撃とかされたら嫌だしねー」
村人C「うかつに寝首もかけないね」
村娘「しょせんこんなちんけな村に出来ることなんてたかが知れてんだ。大人しく指咥えて勇者の登場待ってようぜ」
村人A「大変だー! 魔王城の魔物たちが大軍で村に攻め込んで来るらしいぞ!」
村人B「な、なんだって!?」
村人A「なんでも、魔王の側近が最強の四天王たちを招集して攻めてくるそうだ!」
村娘「なんでそんなに必死にこの村潰しにかかるんだよ。私たちなんか悪いことしたか?」
村人C「勇者もまだ第三の街で戦士を一人仲間にしただけだし今度こそ誰も助けに来ない! もうこの村はお終いだー!」
村娘「ま、まあな……一応最後まで私たちにも悪あがきくらいさせてもらおうぜ。なんか対策立ててさ」
対策4>>56
56:
魔王を盾にたたかう
59:
村娘「魔王を盾にして戦ってみるか」
村人B「もうこの際背に腹は代えられないってことだな」
魔王「ぐーぐーぐー」
村娘「ここでうだうだやってたって仕方あるめえ、勇者が辿り着くまでなんとか持ち堪えてみようぜ」
村人C「俺たちだけで戦ったってたかが知れてるだろうが……確かにやるだけやってみないとな」
村人B「そういや村人Aは昔四天王の奴らと会ったことがあるんじゃなかったっけ?」
村人A「五百年前に魔法の練習相手に戦った四体の魔物はいたけど、四天王って言われる程の強さではなかったよ」
村人B「はーそっか。伝説では魔物四天王で語り継がれてるけどそれは脚色だったんだな」
村人A「きっとこれから攻めてくる四天王は本物なんだと思う。俺たちも心してかからなきゃ」
村娘「そうだなー。魔王を盾にするっつうのはいいとして、大軍で攻めてこられたらさすがに村も無事じゃないだろ」
村人C「村へ来る前になるべく俺たちで魔物の数を減らさないといけないのかな」
村娘「そういうこったな。まあ、奴らにひと泡吹かせるだけでも御の字の立派な作戦でも考えようぜ」
魔王「ぐーぐーぐー」
64:
?魔王城・外?
側近「一千万を超える魔物の軍……これだけ集めて攻め込めばさすがにあの村も滅ぼせるだろう」
炎熱王「ふわぁ?あ、ずいぶんとまあ側近さんも本気だねー」
土岩王「おい炎熱王、戦闘の前だというのに少し気を抜き過ぎではないのか」
氷水王「よしなさい土岩王。彼に何を言ったって無駄ですよ」
風嵐王「ボクは楽しければなんでもいーや」
側近「本来なら四天王だけでも事足りたかも知れないが、備えあれば嬉しいなだ。魔物の大軍は四天王たちの後に続かせよう」
炎熱王「んじゃまあさっさと俺たちはその村へ向かっちゃいますよー」
氷水王「側近様はこの場で見物でもしておいて下さいな」
土岩王「ふん、我以外が不覚を取ろうと土岩王の我さえいれば村は一瞬で地中深くに埋もれます。側近殿、ご安心を」
風嵐王「わーいひっさしぶりに全力で遊べるんだー!」
側近「やはり四天王たちを招集して良かったな、頼もしい」
側近「よし! では四天王よ、魔王様を奪還しに行くのだ!」
68:
?魔物の大軍の中?
魔物C「なあ、こんな大所帯でマジで一つの村に向かうのか?」
魔物D「側近様直々の命令だしそうなんじゃね?」
魔物C「だってここにいる魔物一人一人が魔王様の部屋一歩手前の強さの魔物ばっかりなんだぞ?」
魔物D「しかも、その上四天王様まで招集してんだもんな。それ程あの村を滅ぼすのに本気ってことだろ」
魔物C「魔王様が誘拐されたっつったってしょせんちんけな村だろ……こんな魔物集めなくても」
村人B「ホントにこんな魔物たちの大群のど真ん中に置いちゃって良いの?」
村人C「村娘の立てた作戦だから俺たちは何も口答え出来ねえよ」
村人B「俺の隠密は俺が離れた途端に効果が失われるんだぜ?」
村人C「暴れるだけ暴れて少しでも多くの魔物の注意をここに留めさせておくよ。どうせ死ぬ覚悟は出来てんだ」
村人B「さすがは元戦士だな。じゃあ、俺は村に戻るぜ」
村人C「さっさと行きな。四天王相手に村娘と村人Aだけじゃ絶対キツイだろ」
村人B「んじゃ、お互いあの世で待ち合わせといきますか。あばよー」
魔物C「!? 人間!? おい人間がいきなり現れたぞ! みんな気を付けろ! 戦闘だぁ!」
村人C「さーて、俺一人でどのくらい足止め出来るかなっと」
70:
?村?
ぎゅっ、ぎゅっ。
村娘「よっし魔王盾完成」
村人A「それってどう見ても盾じゃなくね?」
村娘「なんだ村人Aお前その昔盾は殴る物だって偉い人が言ってたの知らねえのかよ」
村人A「俺が知らないってことは誰もそんなこと言ってないってことだと思うんだ、多分」
村娘「まあ今私が思いついて言ったことだしな」
村人A「だと思ったよ」
炎熱王「ひゃはははは! ここか魔王様が攫われたっつう村は!」
氷水王「随分と小さな村だこと……これでは水没凍結のし甲斐がありませんねぇ」
土岩王「目標の大きさなぞ関係無い、我らは側近様の命令を全力で遂行するだけだ」
風嵐王「わーい! 皆殺しだー!」
村娘「あいつらが四天王か……ちくしょうなんだあのビショ濡れの女デカイ乳ぶら下げやがって死ね」
村人A「……あ、いつぞやの魔物さんたちだ」
炎熱王「……え?」
71:
村娘「村人A知り合いなのか?」
村人A「五百年前に戦った四体の魔物だよ」
村娘「じゃあ四天王ではないってことか……助かった」
炎熱王「一応四天王なんだが」
村人A「え!?」
炎熱王「え!? って、え!?」
村人A「ま、まあ、もう五百年も経ってるんだし彼らも相当強くなっているはず」
村娘「現役を引退した魔法使いの村人Aじゃ奴らに敵うかどうかわからないってことか」
村人A「そういうこと」
氷水王「ちょ、ちょっと……なんで五百年前のあいつがここにいるんですか」
炎熱王「俺に聞かれたって知るわけねえだろ!」
風嵐王「……」ガクガクブルブル
土岩王「よもや、魔の根を降ろす時に死闘を繰り広げた人間がここにいようとは……」
村人A「しかもあの時はお互い練習戦闘みたいなものだったし、きっと今は向こうも本気でくると思うから今度こそやられちゃうかも」
村娘「そりゃまいったね」
74:
氷水王「……あの、人間種の少年の隣りに横たわる巨大な大木はなんでしょう」
村娘「……ん?」
炎熱王「ああ、あの魔法使いの隣りにいるガキのことか。確かにガキの横にでっけえ丸太があるな」
村娘「……ガキ?」
土岩王「ん? 遥か向こうに見える丸太の端に何か括りつけられてはいないか?」
氷水王「……あれは。ッ!? 魔王様!?」
土岩王「なんだと!? 魔王様が丸太に縛られている! まさかあの小僧がやったのか!?」
村娘「……小僧?」
村人A(あ、これヤバい。今の内に逃げとこ)
風嵐王「みんな違うよ! あの人間女の子だよ! おっぱい無いだけの女の子だって!」
村娘「……」ぶちっ
炎熱王「なんだ? なんかブチ切れる音しなかったか?」
村娘「……お前ら、人のこと少年だガキだ小僧だおっぱい無いだなんだかんだ言いやがりやがって」
四天王「……え?」
村娘「コロス」
77:
ぶおんぶおんぶおん!
村娘「うおらああああああ一番乗りで死にてえ奴はどいつだああああああああ!!!」
炎熱王「なんだあの人間!? 巨木を軽々振り回してんぞ!?」
氷水王「とてつもなく恐ろしいわ……」
炎熱王「氷水王、白目になってんぞ! 気をしっかり持て!」
村娘「ひき肉にして食らって私の胸の糧しにてくれるわああああああああああ!!!」
魔王「げふっ! ごべっ! ぶぼっ!」
どかんっ! ばきっ! ぼごっ!
氷水王「きゃああああ魔王様あああああ!」
土岩王「あの人間、魔王様が括り付けてある方で周囲を破壊しているぞ!」
氷水王「なんて惨いことを!」
炎熱王「くっそ止まりやがれ! 焦熱魔法!」ゴォォォォォ!
土岩王「おお! 炎熱王の焦熱魔法! お前の魔法にかかればあんな人間……」
村娘「どっ……せいやあああああああああああああああ!!!」
氷水王「かき消されちゃった……」
80:
魔王「……」プス……プス……
氷水王「魔王様あああああ!!!」
村娘「さすがは魔王、ただの丸太じゃあんな魔法防ぎようもねぇが魔王の魔法防御力はやっぱ伊達じゃねえな!」
炎熱王「あいつ魔王様盾に使いやがった!」
氷水王「惨過ぎる……うぅ……惨過ぎだよぉ」
村娘「攻撃は最大の防御ってなぁ! んじゃあ魔王の防御力をそのままお前らにブチ当てたらどうなんだろうなぁ?」ニヤァ……
四天王「……」ゾクッ
村娘「防御は最大の攻撃ってか? ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
氷水王「くっ! 氷結魔法!」キラキラキラ
村娘「おーらどうした魔王にんな魔法全然効いてねえぞコラ」ぶおんっ!
魔王「んぎゃあああああああああああああああああああ!!!」
氷水王「きゃあああごめんなさい魔王様ああああああ!」
土岩王「無闇に魔法を放てば魔王様で防がれてしまうぞ!」
風嵐王「そんな……じゃあもうボクたちどうしようもないじゃん」
村娘「ギャーッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
83:
?村の外れ?
村人B「うぃーっす村人Cの魔物軍への派遣無事完了したぜー」
村人A「……ああ、おかえり」
村人B「って村人Aなんでこんな所にいんの?」
村人A「俺が必要無くなったからだよ」
村人B「……ん? ッ!? まさか四天王が戻って行ったのか!? だとしたら村人Cが危ないじゃねえか!」
村人A「いや、四天王はもう村に到着したよ」
村人B「……え、だったらなんでお前がここに……っつうか村娘はどうした」
村人A「四天王の連中……禁句を口にしちまったんだ」
村人B「……あっ」
村人A「それだけ言えばもうわかるだろ?」
村人B「うん……」
村人A「あーあー、まいったねこりゃ」
ギャーッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!
85:
?魔王城・一番てっぺんのなんか遠くまで見れる所?
側近「……え?」
側近「あれ? 大地を埋め尽くす程の魔物の軍勢がみるみるうちに倒れていってるんだけど」
側近「ん? え? あれ? おかしいなー怖いなー嫌だなー……倒れてってるよね?」
側近「……軍勢、倒れてってるね。なんで?」
側近「なんか魔物の死体の山の上に誰かいるけど……誰?」
側近「あれ……人間じゃない? 人間だよね?」
側近「うわわわわ人間だよ、間違いなく人間だよ。えー、一人で魔物なぎ倒してるんですけど……うわぁ」
側近「ちょ、ちょ、ちょ……怖い、私怖くなってきた、どうしよう……」
側近「えー、えー……えええええええええええええええええええええええええええ!?!?!?」
側近「何してんのあの人間!? なんで魔物ばったばった殺し回ってるの!?」
側近「魔物の軍勢が今や死体の山じゃん! オークハムも裸足で逃げ出す山の大きさになってるじゃん!」
側近「……」
側近「っええええええええええええええええええええええ!?!?!?!?」
88:
?村?
魔王「……」ぴくぴく……びくんっ
炎熱王「ごめんなさい、もう、許して……」
氷水王「ふぇぇ……ひっぐ、うえぇん……」
土岩王「我ら四天王が、よもやこんな小僧に」
ドゴォッ!
魔王「ぎゃっ!」
土岩王「」
風嵐王「……」ガクガクブルブル
村娘「……認めろ」
氷水王「……ふぇ?」
村娘「私は美人で可愛いとっても乙女なキュートでラブリー巨乳の村娘ちゃんだって、認めろよ」
炎熱王「んなもん美人で可愛いはどうだか知らんが……確実に言えることは巨乳ではね」
ドガァッ!
炎熱王「」
89:
村娘「素直に謝って認めりゃこれ以上痛い想いもしねえのになぁ……」
氷水王「……あ……あ」
村娘「なあおっぱい女、そう思わねえか?」
氷水王「思います思います思います!」
村娘「お前もそう思うだろ? おいコラ幼女」
風嵐王「は、はいぃ……」ガクガクブルブル
村娘「じゃあ先ずは謝れよ」
氷水王・風嵐王「あなた様に少年とかガキとか小僧とかおっぱい無いとか言って申し訳ありませんでした」
村娘「それで?」
氷水王・風嵐王「あなた様は美人で可愛いとっても乙女なキュートでラブリー巨乳の村娘様でございます」
村娘「……よろしい」
氷水王・風嵐王「……ほっ」
村娘「反省したんなら魔王とこのボロ雑巾二枚組連れてとっとと帰りやがれ! 二度と私の前に姿見せんじゃねえぞ!」
氷水王・風嵐王「はいいいいいい大変申し訳ありませんでしたああああ!!!」
村人C「村が心配で急いで魔物全滅させて帰って来たのに……何これ」
91:
?一ヶ月後・例の村?
勇者「ここが魔王城の手前……最後の村か」
魔法使い「やっとここまで辿り着いた、長かったわね……」
盗賊「旅の道中いろんなことがあったがなんとかやってこれたな」
勇者「……しかし、僕たちであの強大な魔王を倒せるのだろうか」
魔法使い「勇者ともあろう人間がそんなんでどうするのよ!」
戦士「みんな強力な魔物たちとの戦闘でたくさんの経験を積んでいる。今や魔王に匹敵するほどの実力が備わっているはずだ」
盗賊「そうそう! 旅の途中いろんなことがあったんだ、今さら弱音なんて吐いてられねえよ」
魔法使い「伝説の装備も入手したし大丈夫よっ!」
勇者「……そうだな、そうだよな! よし、今日は魔王討伐のためにこの村でゆっくり休むことにしよう!」
魔法使い・盗賊・戦士「おー!」
勇者「あ、そこの少年! 聞きたいことがあるんだが、この村の宿屋は……」
村娘「あ゛ん?」
勇者「……え?」
おしまい
9

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