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チノ「ま、まさか……記憶喪失!?」


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1:
ココア「チノちゃん、朝だよ?!」ユサユサ
チノ「ん……」
ココア「起きて?」ユサユサ
チノ「…………ココア、さん?」
ココア「目、覚めた?」
チノ(……ココアさんがこんなに早く起きてるわけがない。よって……)
チノ「これは夢ですね……」モゾモゾ
ココア「うーん……仕方ない、こうなったら」
ココア「チノちゃんに、おはようのちゅーっ」チュッ
チノ「!!??!?」ガバッ
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2:
ココア「あ、起きた♪」
チノ「こ、ここ、ここここ……//////」
ココア「こ?」
チノ「こ、ココアさん……? 今、私のほっぺに……?///」
ココア「ちゅーしたよ?」
チノ「」プシュー
ココア「あ、あれ? チノちゃん? もしもーし!?」
チノ「それで、どうして…………あ、あんなことを?」
ココア「え? だから、チノちゃんがなかなか起きないからお目覚めのちゅーを」
チノ「で、ですから! 起こすならもっと他の方法で……」
ココア「でもちゃんと起きれたし……」
チノ「そ、それでもです! ああいうことは、簡単にしちゃダメです!」
3:
ココア「簡単になんてしてないよっ、チノちゃんだからしたんだよっ!」
チノ「っ……///」
ココア「チノちゃん?」
チノ「……そ、そういうのは、好きな人同士が……」
ココア「私、チノちゃんのこと好きだもん! 告白だってしたし」
チノ「………………えっ」
ココア「大丈夫! チノちゃんが私を選んでくれるって信じて…………チノちゃん?」
チノ「こ、ココアさん……今、なんて……」
ココア「え? チノちゃんのこと好きだよって」
チノ「そ、それも気になりますけど……その後です」
ココア「告白したよねって」
チノ「……」
ココア「どうしたの?」
6:
チノ(告白? ココアさんが何かを打ち明けた?)
チノ(今の話の流れでの『告白』。そういう意味にしか聞こえません……けど、身に覚えがありませんし……)
チノ「…………あの」
ココア「?」
チノ「……いつの話でしょうか?」
ココア「え?」
チノ「その、ココアさんの告白に、覚えがないんですが、いったいいつ……」
ココア「……」
チノ「……」
7:
ココア「……ひどいよ」
チノ「え……」
ココア「チノちゃん、ひどいよ!」ダッ
チノ「こ、ココアさん!?」
ココア「」ピタッ
チノ(と、止まった……?)
ココア「そんなところも大好きだよ!」ダッ
チノ「ココアさん!? どこに行くんですか!?」
チノ(結局、告白というのがなんだったのかを聞き出せないまま、ココアさんは学校に行ってしまった)
チノ(学校を休むわけにもいかず、私は妙にスッキリしない気分で家を出た)
10:
マヤ「おはよー、チノ」
メグ「チノちゃん、おはよ?」
チノ「おはようございます……」
マヤ「あれ? なんか元気なくね?」
メグ「体調良くないの?」
チノ「いえ、大したことは……」
チノ(……朝のことは、二人に相談しても仕方ないですし)
チノ「少し寝不足なだけです」
マヤ「ならいいけど……あっ、そういえばさ、どうすることにしたの?」
チノ「はい?」
マヤ「だから、あの話だよっ」
メグ「あ、私も気になる!」
チノ「? 何の話ですか?」
マヤ「例の告白の返事だよ?」
チノ「えっ」
11:
マヤ「チノ?」
チノ「その……お二人も知ってるんですか?」
メグ「告白のこと?」
マヤ「知ってるも何も、チノが教えてくれたんじゃ?ん」
チノ「!?」
チノ(私が……二人に?)
チノ(そんな記憶はないけど……でも、マヤさん達が知ってるなら二人から告白の話を聞ける……!)
チノ「あ、あの」
マヤ「それで? 誰と付き合うことにしたの?」
メグ「やっぱりココアちゃん?」
チノ「…………え?」
チノ(『誰と』……?)
12:
チノ「あ、あの、その前に……その告白の話を聞かせてもらってもいいですか? 私、なんだかここ最近の記憶があやふやで……」
マヤ「え、何それ!?」
メグ「チノちゃん、大丈夫?」
チノ「そこまで深刻なものではないので……それよりも告白の話をお願いします」
マヤ「いいけど、私達が前にチノから聞いた話しかできないよ?」
チノ「はい、それでお願いします」
チノ(それから二人に聞いた話によると、発端は今から1週間前のことらしい)
チノ(私が4人の知人……ココアさん、リゼさん、シャロさん、千夜さんに同時に告白された)
チノ(当然その場で返事をすることができなかった私は、1週間後、つまり今日までに答えを出し返事することを約束した……)
チノ「…………まったく身に覚えがありません」
チノ(でも二人は私から話を聞いたと言っていた。つまり……)
チノ「私が……記憶喪失……?」
チノ「……と、とにかく、今日中になんとかしないと……!」
13:
チノ(結局、何も打開策が浮かばないまま放課後……)
チノ(私の記憶では先週は特に何もない普通の日だったはず……でも現実は違う)
チノ(い、いや、今はそれよりも告白のほうをどうするかを考えないと……)
千夜「チノちゃん?」
チノ「」ビクッ
チノ「ち、千夜さん……」
千夜「こんなところでどうしたの? チノちゃんの通学路からは大分離れてると思うけど」
チノ「え……あっ」
チノ(……考え事しながら歩いてたせいで、結構遠くまで来ちゃったみたいですね)
チノ「す、少し考え事を……」
千夜「そう? ……そういえばこうしてチノちゃんと話すのも久しぶりな気がするわね」
チノ「……そう、ですね」
チノ(確かにメールで連絡取ったりはしていたけど、千夜さんと直接会うのは結構久しぶりな……)
千夜「先週の一件以来かしら?」
チノ「っ……!」
15:
千夜「告白の返事は考えてくれた?」
チノ「そ、その……」
チノ(ど、どうすれば……)
千夜「あ、別に今言わなくていいのよ。夜、皆でラビットハウスに集まることになってるから」
チノ「え……そうなんですか?」
千夜「チノちゃんには言ってなかったかしら? 私もシャロちゃんも今日は遅くまで仕事があるから、それから集まろうって話になって」
チノ「そう、ですか」
千夜「……それじゃ、気をつけて帰ってね。返事、楽しみにしてるわ」
チノ「あ……」
チノ(…………なんとか、しないと)
16:
チノ「た、ただいま帰りました」コソコソ
チノ(ココアさんは……まだ帰ってきてないみたいです)
リゼ「チノ、おかえり」
チノ「! ……り、リゼさん。ただいま」
リゼ「ああ。……ふふっ」
チノ「ど、どうかしましたか?」
リゼ「ああ、大したことじゃないんだが……今みたいな会話してると、まるでチノと家族になったみたいだなと思って」
チノ「っ……///」
チノ(そうだ……リゼさんも私のことを……)
17:
リゼ「ココアももう少しで帰ってくると思うけど……それまでは2人だな」ボソッ
チノ「! あ、あの! そういえば購入しなきゃいけない備品がいくつかあったのを思い出して……もう少しの間、お店のほうをお任せしてもいいですか!?」
リゼ「え? ああ、構わないけど」
チノ「そ、それではよろしくお願いします!」ダッ
リゼ「ティッピーは連れていかなくていいのかー……って、もう行っちゃったか」
リゼ「…………少しやりすぎたか?」
19:
チノ「はあ……」
チノ(いくらなんでも……気まずくなりそうだからって逃げ出すなんて失礼ですよね……)
チノ「でも、どんな顔して話せばいいのか……」
シャロ「あら? チノちゃんじゃない」
チノ「シャ、シャロさん……こんなところで何を……」
シャロ「バイトのチラシ配りをしてるの。よかったら、チノちゃんも持っていって」
チノ「あ、ありがとうございます……」
シャロ「……チノちゃん、なんだか顔色が良くないけど大丈夫?」
チノ「え、そうですか?」
シャロ「熱があるんじゃ……」スッ
チノ「……っ」ビクッ
20:
シャロ「あ、ごめんなさい、いきなり……」
チノ「い、いえ……」
シャロ(これはどう考えても……あれのせいよね)
シャロ「あのね、チノちゃん。例の告白のことなんだけど……」
チノ「!」
シャロ「その、そんなに悩むことないのよ? 私達はチノちゃんを困らせたかったわけじゃないんだから」
チノ「シャロさん……」
シャロ「別に無理して今日答えを出さなくても、ゆっくりチノちゃんのペースで考えてくれれば」
チノ「いえ! 今日中に答えを出すと言ったのは私なんですから……」
シャロ「……そう。チノちゃんがそう言うなら。近頃冷え込むようになってきたから風邪引かないうちに帰ってね?」
チノ「はい、ご心配ありがとうございます。それでは……」テクテク
シャロ「…………本当に大丈夫かしら」
21:
リゼ「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」
チノ「……」カチャカチャ
ココア「……」チラッ
ティッピー(なんだか今日はいつもと雰囲気が違うのう……)
翠「……あら、もうこんな時間ですか。なんだか今日はとても筆が進んだ気がします」
チノ(夜もかなり更けました……もうすぐ千夜さんとシャロさんも来るはず……)
チノ(それなのに私はまだ何も思い出せないまま……このままじゃ……)
翠「それでは私はこれで。皆さん、おやすみなさい」
チノ「……あ、あの、青山さん」コソッ
翠「? はい、なんでしょう?」
22:
チノ「その、これから少し相談に乗っていただけませんか? できれば、ここ以外で……」
翠「? よくわかりませんが……私でよければ喜んで協力させていただきます」
チノ「ほ、本当ですか……!」
チノ「あ、あの、少し出かけてきますね」
ココア「!」
リゼ「今からか? もう真っ暗だぞ?」
チノ「大丈夫です。青山さんと少しお話をしてくるだけなので……」
翠「お話が終わったら私がしっかりと送らせていただきますので、どうかご心配なく」
リゼ「それなら……あんまり遅くなるんじゃないぞ?」
チノ「はい」
23:
翠「それで、相談というのは?」
チノ「はい、実は……」
翠「なるほど……チノさんだけ覚えていない告白、そしてこの後返事をしなくてはいけない、と……」
チノ「私はどうすればいいでしょうか……」
翠「そうですねえ。私は生憎、恋愛事には疎いのでそちらのほうはお役に立てそうにはありませんが……大切なのはチノさんの正直な気持ちではないでしょうか?」
チノ「私の気持ち……で、ですが、それがわからなくて……」
24:
翠「チノさんは問題を混同してしまっている気がします」
チノ「え?」
翠「告白の返事と、そのときのことを思い出せないことを申し訳なく思うこと。どちらも大切かもしれませんが、それらは別々のことだと私は思いますが……どうでしょう」
チノ「……あ」
翠「それぞれ分けて考えて、その上でチノさんの正直な気持ちを皆さんに打ち明けてはどうでしょう。……ご期待に添えたかどうかわかりませんが」
チノ「……いえ。青山さんに相談してよかったです」
翠「それは何よりです。では、ラビットハウスまでお送りしますね」
チノ「すみません。ありがとうございます」
25:
シャロ「お邪魔します」
千夜「こんばんは?」
リゼ「おお、二人とも来たか」
千夜「チノちゃんは?」
ココア「今ちょっと出かけてるよ」
シャロ「ちょうどいいタイミングだったみたいね」
ココア「ねえねえ、それより皆チノちゃんと話した?」
千夜「ええ、話したわ」
シャロ「私も会ったけど……なんだか悩んでたみたいよ? やりすぎたんじゃない?」
リゼ「私も少し悪乗りしすぎたかもな……」
ココア「ええ?、皆サプライズになるって、賛成してくれたのに……」
シャロ「そ、それはそうだけど……」
26:
?昨日?
ココア「今日は何日!?」
シャロ「12月2日ね。それがどうかしたの?」
ココア「じゃあ明後日は!?」
シャロ「え?  4日だけど……」
リゼ「あれ、4日って確か……」
ココア「そう! 12月4日はチノちゃんの誕生日だよ!」
千夜「まあ、そうだったの」
ココア「それで、チノちゃんの誕生日は皆でパーッとパーティ開いてお祝いしたいんだけどね? 前日の3日を使って、チノちゃんにドッキリを仕掛けられないかなって思ったんだ!」
リゼ「ドッキリ?」
ココア「名付けて! 『冬の街に舞う愛の花 チノちゃん生誕祭 ?あなたが生まれてきてくれた奇跡に?』」
千夜「素敵ね」
シャロ「長い……」
ココア「皆、協力してくれるよね?」ニコッ
????????????????????
27:
ココア「チノちゃん、楽しんでくれたかな?」
リゼ「まあ何はともあれ、チノが帰ってきたらネタばらししてプレゼントだな」
シャロ「あ……そういえばもうちょっとでチノちゃんの誕生日ですね」
千夜「ふふ、チノちゃん、喜んでくれるかしら」
ココア「……」
リゼ「……どうした、ココア? ぽかーんとして……」
ココア「…………忘れてた」
シャロ「へ?」
ココア「チノちゃんへのプレゼント……用意するの、忘れてた」
リゼ「は!?」
千夜「まあ……」
28:
ココア「ど、どどどど、どうしよう!? ずっとサプライズをどうしようかとかパーティどうしようとか考えててプレゼントのこと忘れてた!?」アワアワ
シャロ「あ、あんたねぇ……」
ココア「い、急いで用意しなきゃ!!」ガタッ
千夜「明日のパーティで渡せばいいんじゃないかしら? マヤちゃん達も呼んでるんでしょ?」
シャロ「そうね。だいたい今からじゃ、どこのお店も開いてないし……ってココア!? どこ行くのよー!?」
リゼ「話をまったく聞かずに飛び出していったな……」
千夜「ココアちゃんらしいわね」
29:
チノ「ただいま帰りました」
リゼ「あ、ああ、おかえり」
千夜「チノちゃん、こんばんは」
チノ「千夜さん、シャロさん……ココアさんはどこに?」
シャロ「ちょ、ちょっと用事を思い出したらしくて……さっき出かけたわ」
チノ「そうですか……」
リゼ「……」
千夜「……」
シャロ「……」
リゼ(もう日付も変わりそうだけど……)
シャロ(ネタばらししたい……でも提案者のココアがいないし)
30:
チノ(ココアさんはいない……)
チノ「あ、あの」
リゼ「ど、どうした?」
チノ「その……告白の返事を、しようと思うんです。ココアさんがいないうちに……」
シャロ「え!?」
リゼ(ど、どうする!? チノが思ったより信じこんじゃってるぞ!?)
シャロ(もうネタばらししたほうがいいですよ!!)
千夜(でも、最後はココアちゃんが自分で明かしたいんじゃない?)
シャロ(そ、それはそうだろうけど……)
リゼ「そ、その……もうすぐココアも帰ってくると思うし、それからでも……」
チノ「いえ、ココアさんがいないうちがいいんです」
リゼ「わ、わかった。……聞こう」
チノ「ありがとうございます」
31:
チノ「まず……ごめんなさい」ペコッ
千夜「え?」
シャロ「ち、チノちゃん?」
リゼ「どうして謝るんだ……?」
チノ「実は……私、告白されたときのこと、覚えてないんです」
リゼ「え……」
チノ「リゼさんも、千夜さんもシャロさんも……ココアさんも。皆さんが告白してくれたこと、全然覚えてなくて……思い出そうとしても思い出せなくて」
リゼ(そ、それはそうだろう……実際には告白なんてしてないわけで……)
シャロ(こ、心が痛い……)
チノ「それだけでも大変失礼なのに……私は、3人のお気持ちには応えられません」グスッ
リゼ「チノ!?」
シャロ「な、泣くほど思いつめなくてもっ……って」
千夜「3人?」
チノ「はい……」
32:
ココア「よくよく考えてみれば、こんな時間にお店が開いてるわけないよね……」
ココア「チノちゃんには悪いけど、プレゼントは明日に……ん?」
『まだ、面と向かって伝える勇気はありませんけど……』
ココア(お店の中からチノちゃんの声……帰ってきたんだ)
『これが……私の気持ちです。私は……』
ココア(あ……ちょうど日付が変わるところだ! よーし……)
ガチャッ
チノ「私は、ココアさんのことが好きです!!」
ココア「チノちゃん! 誕生日おめ………………え?」
チノ「えっ……」
リゼ「……」
シャロ「……」
千夜「あらあら」
33:
あらあらうふふ
35:
あらあらまあまあ
36:
ココア「チノちゃん……?」
チノ「あ……あ……//////」
リゼ(ココア……また随分とすごいタイミングで帰ってきたな)
ココア「今、私のこと……」
チノ「な、何も言ってません!///」
ココア「愛してるって……」
チノ「何も言ってな……そこまでは本当に言ってませんよね!?」
37:
ココア「チノちゃあん!!」ギュッ
チノ「こ、ココアさん……///」
ココア「私もチノちゃんのこと大好きだよ?」スリスリ
チノ「ちょ、ちょっと待ってください!」グイッ
ココア「どうしたの?」
チノ「そ、その……まずココアさんに謝りたいことがあるんです」
ココア「謝りたい……何を?」
チノ「私……ココアさんが告白してくれたこと、全然覚えてなくて……それを許してもらってから、私の気持ちを……」
ココア「私が告白? そんなのいつ…………あっ」
リゼ「……」ジー
シャロ「……」ジー
千夜「……」ジー
ココア「……」
38:
チノ「こ、ココアさん……? すごい汗かいてますけど……」
ココア「……チノちゃん」
チノ「は、はい」
ココア「……別に私は気にしてないから、告白のことは忘れて?」ニコッ
リゼ「おい!!」
シャロ「ちょっと、ココア!?」
ココア「わ、私とチノちゃんが両想いってことで丸く収めようよ!」
リゼ「そんなわけにいくか! ちゃんとチノに誠意を見せろ!」
チノ「え……え……?」
シャロ「チノちゃん! ごめんなさい! 今回のこと、全部説明するから!」
ココア「わ、わー!? ストップストップ!!」
千夜「ココアちゃん? 今は大人しくしておきましょう?」ガシッ
リゼ「1から話すとだな……」
ココア「や、やめてえ?!!」
39:
リゼ「……というわけだったんだ」
チノ「……………………」
シャロ「本当にごめんね。その、驚かせようとしたのは確かだけど、けっしてチノちゃんを困らせようとか、そういうつもりはなかったの」
千夜「ええ。私達も、もちろん発案者のココアちゃんも。純粋にチノちゃんに喜んでほしかったのよ? ね、ココアちゃん」
ココア「う、うん……」
チノ「……朝のアレも、ですか?」
リゼ「アレ?」
チノ「私のほっぺにちゅーしたのも……演技だった、と?」
ココア「そ、それは……」
シャロ「あんた、そんなことまでしてたの……?」
40:
ココア「あ、あれは、その、演技というか……ああすればドッキリに信憑性が出るかな、とか考えて…………」
リゼ「ドッキリにかこつけて、キスしたかっただけとかじゃないよな?」
ココア「そ、そんなことは! …………ある……け、けど! チノちゃんの気持ちを弄ぼうとか、そんなつもりは本当になくて!」
チノ「……本当に、ですか?」ジー
ココア「ほ、本当だよ! そ、そもそもチノちゃんならこんな簡単なドッキリに引っかかるわけないと思ってたし……」
チノ「……はい?」ピクッ
リゼ(お、おい! ココア!!)
ココア「きっと途中でバレちゃうけど、チノちゃんは最後まで付き合ってくれるだろうなぁって考えてて……まさか本当に最後まで気づかないなんて思わなかったから……」
チノ「…………」ゴゴゴ
シャロ(こ、ココア……フォローになってないわよ)
千夜(完全に悪手ね)
ココア「ち、チノちゃんって、ちょっと天然だよね!」ニコッ
チノ「」
リゼ(あちゃー……)
42:
チノ「……リゼさん、千夜さん、シャロさん。今日はもう遅いですから早く帰ったほうがいいです」
リゼ「え……ああ、そうだな。千夜、シャロ、帰ろう」
シャロ「は、はい」
チノ「皆さん、おやすみなさい」
千夜「チノちゃん」
チノ「はい?」
千夜「お誕生日、おめでとう」
シャロ「おめでとう」
リゼ「おめでとう。それじゃ、おやすみ」
チノ「……はい。お気をつけて」
44:
チノ「……」
ココア「……」
チノ「……」
ココア「…………あ、あのぅ……チノちゃん?」
チノ「……」
ココア「……うぅ」
チノ「……」チラッ
ココア「……」クスン
チノ「……はあ。どうしてココアさんのほうが落ち込んでるんですか」
ココア「だ、だって……チノちゃん、怒ってるでしょ……?」
チノ「どれもこれもココアさんの自業自得では?」
ココア「うっ」グサッ
45:
チノ「……別に怒ってませんよ。ココアさんやリゼさん達が私を喜ばせようとしてくれていたことは充分わかりましたから」
ココア「チノちゃん……」
チノ「ですが、ココアさんの思いつきに皆さんを巻き込んだことはしっかり謝っておいてくださいね。リゼさん達はともかく、マヤさんとメグさんにまで付き合わせるなんて……」
ココア「あはは、あの2人も仕掛け人にすればチノちゃんも引っかかるかな?って思って」
チノ「……本当に反省してるんですか?」
ココア「はい! してます! ごめんなさい!!」
チノ「信じられないです」
ココア「そ、そんなバッサリ……」
46:
チノ「これは……?」ヒョイ
ココア「ど、どうすれば……」
チノ「あの、ココアさん。これ、どうしたんですか?」
ココア「え? ……あっ、クラッカー。えっと、元々はここでネタばらししてチノちゃんの誕生日をお祝いするときに使うつもりで用意してたんだ。リゼちゃん達の分も用意してたんだけど……無駄になっちゃったね」
チノ「……そうだったんですか」
チノ(私のためにいろいろ準備して……)
チノ「…………ココアさん」
ココア「?」
チノ「信じてほしいですか?」
ココア「も、もちろん!」
チノ「それなら言葉じゃなくて、行動で示してください」
ココア「こ、行動?」
47:
チノ「今の私は、ココアさんの反省も、ココアさんが私のことを好きだという言葉も……信じられないです。ですから、行動です」
ココア「えっと……つまり?」
チノ「……ここまで言ってもわからないんですか? 本当にココアさんはココアさんですね」ジトー
ココア「そ、そんなこと言われても……」
チノ「……ココアさんは、私に告白したって嘘をつきました。だから、それを嘘じゃなくしてください」
ココア「……チノちゃん……それって……」
チノ「に、2度は言いませんよ///」
ココア「……チノちゃん」ギュッ
チノ「!」
49:
ココア「私、チノちゃんのことが好き……大好き。チノちゃんとずっと一緒にいたい」
ココア「……これじゃ、ダメかな?」
チノ「……ま、まだ……足りないです///」
ココア「足りない…………あっ」
チノ「……///」ギュッ
ココア「……チノちゃん、目を閉じて?」
チノ「……ほっぺは、なしですよ」
ココア「…………んっ」
チノ「ん……//////」
50:
ココア「…………これで、どう?///」
チノ「…………許して、あげます」
ココア「よ、よかったぁ……」
チノ「ですが、その前に」グイッ
ココア「え?」
チノ「もういっかい……したいです///」
ココア「へ…………あはは、チノちゃんは甘えん坊さんだね」
チノ「……全部、ココアさんのせいです。だから……責任、とってください」
ココア「……うんっ」
51:
????????????????????
チノ「これは……」
ココア「リゼちゃん達からのプレゼントだと思うよ。私達は今日中に渡そうって話をしてたから」
チノ「これがリゼさんの……シャロさん……こっちは千夜さんの……。明日、お礼を言わないといけませんね」
ココア「そうだね」
チノ「…………あの」
ココア「なに?」
チノ「ココアさんからは……ないんですか? そ、その、催促をするわけではないんですが……」
ココア「ご、ごめんなさい! じ、実はサプライズのこととか考えてたらプレゼントの用意を忘れてて……明日必ず渡すから! 何か欲しいものとかある?」
52:
チノ「欲しいもの、ですか…………何でもいいんですか?」
ココア「うん、私に用意できるものなら何でもいいよ!」
チノ「……それなら、今もらってもいいですか?」
ココア「え? で、でも、もうお店とか閉まってるから明日にならないと……」
チノ「いえ、売ってるものじゃないです」
ココア「売ってない? どういうモノなの?」
チノ「モノというか……思い出、みたいなものです」
ココア「思い出?」
53:
チノ「そ、その……耳打ちするので、少し寄ってください」
ココア「う、うん」
「……………………」
ココア「……えっ」
チノ「……ダメ、ですか?//////」
ココア「ち、チノちゃんにはまだ早いような」
ココア(というか私にも早い気がする……)
チノ「こ、子供扱いしないでください。……今日はせっかくの誕生日なんですから」
ココア「わ、私はいいけど……チノちゃんはそれでいいの?」
チノ「……それがいいんです」
ココア「……うん、ちょっと驚いたけど。チノちゃんがそれがいいなら……私、いいよ」
チノ「ココアさん……///」
ココア「その前に、お風呂入ろっか。もちろん、2人で」
チノ「……はい」ニコッ
54:
パーンッ
「「「チノ(ちゃん)、誕生日おめでとう!!」」」
メグ「く、クラッカーってすごい音だね?」
マヤ「はい、チノ! この棒をマイクに見立ててスピーチして!」
チノ「す、スピーチですか? えっと……きょ、今日は私のために集まってくださり、ありがとうございます。えっと……」
ココア「チノちゃん頑張って?!」
チノ「こ、ココアさんうるさいです!///」
リゼ「昨日いろいろあったから心配してたけど……杞憂だったみたいだな」
シャロ「そうですね。なんだかんだ成功だったのかも」
千夜「ふふっ、チノちゃん嬉しそう」
翠「賑やかですねぇ」
55:
ティッピー「やれやれ、あまり騒がしいのは好きではないんじゃが」
チノ父「そんなこと言いつつも楽しそうじゃないか、親父」
翠「それにしても、ドッキリでよかったですね」
チノ「青山さんには相談にも乗ってもらって……ココアさんも謝ってください」
ココア「ご、ごめんなさい」
翠「いえいえ、気になさらないでください」
マヤ「ねえねえ、チノ。私の演技どうだった? 全然気づかなかったでしょー! これは将来女優になるのも夢じゃないかも……」
メグ「ま、マヤちゃん! ……ごめんね、チノちゃん?」
チノ「謝らなくていいですよ。2人はココアさんに協力を頼まれただけなんですから」
リゼ「にしても、よく許してくれたな、チノの奴」
ココア「誠意を見せれば、気持ちは伝わるんだよ!」
シャロ「よく言うわね……」
千夜「チノちゃんはココアちゃんが大好きだもの。ちゃんと許してくれると思ってたわ」
シャロ「それにしたってねぇ……」
56:
リゼ「まあ今回の件を教訓にして、今度からはもう少し方法を改めるんだな」
ココア「ううん、もうこういうことはやめるよ。人との絆って、もっと自然に繋がるものだと思うから」キリッ
シャロ「えらく殊勝ね……急にどうしたの?」
ココア「これが恋人持ちの余裕だね! 世界が輝いて見えるよ!」
リゼ「へっ?」
千夜「恋人って……」
シャロ「ま、まさか……!?」
ココア「こほん……えー、私、保登心愛は本日からチノちゃんと正式にお付き合いを始めました!」
リゼ「な、なんだと……!?」
千夜「まあ……! とっても素晴らしいわココアちゃん! おめでとう!!」ニコニコ
ココア「ありがとう、千夜ちゃん!」
シャロ「そ、そうね……おめでとう」
シャロ(ココアはともかく、チノちゃんに先を越されるなんて……なんだか複雑だわ)
57:
リゼ「そ、そうか……ココアとチノが……」
リゼ(まあ、ココアとチノが両想いなのはわかってたし……)
ココア「それだけじゃなくてね? 実は私とチノちゃん、昨夜、大人の階段を――」
チノ「こ、ココアさん!? 何言おうとしてるんですか!!///」ガシッ
ココア「むぐっ……チノちゃ、息できな……!」
チノ「変なこと言わなくていいんです!」
リゼ(なんというか……)
千夜(微笑ましいわね)
シャロ(羨ましい……)
58:
マヤ「ねえねえ! 恋人ならさ、ここでキスしてよ!」
ココア「いいよ!」
メグ「わあ?っ///」
チノ「し、しませんからっ///」
翠「ふふ、若いっていいですねぇ」
ティッピー「なあ、息子よ。わしの知らんうちに孫に恋人ができてたんじゃが……」
チノ父「……チノが幸せならいいことじゃないか? 親父」
ティッピー「……そうか、その通りじゃな。しかし……」
チノ父「ああ……チノが遠くへ行ってしまうような……」
「「……」」
おしまい
5

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