サトシ「ピカチュウ、10万ボルトだ!」オーキド「ピッカー!」back

サトシ「ピカチュウ、10万ボルトだ!」オーキド「ピッカー!」


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1:
サトシ「よーしよし偉いぞピカチュウ」
オーキド「ピッピカチュウ」
カスミ「サトシ…それはピカチュウじゃないわ。オーキド博士よ」
サトシ「カスミ…?いきなり何言ってんだ?ほら!どう見たってピカチュウじゃないか」
カスミ「いい加減に現実を見て!ピカチュウはもういない…死んだのよ!」
4:
タケシ「カスミ、そっとしておいてやれ…今はまだ、現実を受け入れられないんだろう」
カスミ「でもっ…もう1年になるのよ!こんなサトシ見てられない!」
タケシ「あの惨劇から一年か…。サトシの傷は癒えても、心に空いた穴は塞がっちゃいない」
サトシ「よーしピカチュウ!特訓に行こうぜ!」
オーキド「ピカピッカァ!」
タケシ「ボケたオーキド博士をピカチュウと思い込むことで、心の穴を埋めようとしているんだ」
カスミ「サトシ…」
8:
あ! やせいの ラッタ がとびだしてきた!
サトシ「よし!ピカチュウ!でんこうせっかだ!」
オーキド「ピッカ!」シュインシュインドシュイン
ラッタをたおした!
サトシ「いいぞ!ピカチュウ!その調子だ!」
オーキド「ピカピカピー!」
サトシ「ん?あそにトレーナーがいるな」
サトシ「よーし!ポケモンバトルを申し込もう」
サトシ「ねぇそこの君!俺とポケモンバトルしようぜ!」
トレーナー「いいぜ!かかってきな!行け、ギャラドス!」
サトシ「ピカチュウ!君に決めた!」
オーキド「ピッカッチュー!!」
トレーナー「えっ」
サトシ「ピカチュウ、先手必勝だ!10万ボルト!」
トレーナー「ちょっと待って」
トレーナー「そのおじいちゃんなんなの。メタモン?」
9:
サトシ「え?何言ってるんだよどこからどう見てもピカチュウだろ!」
トレーナー「ピカチュウ?どう見ても人間にしか見えないんだけど」
サトシ「人間じゃねーよピカチュウだよ!ほら鳴き声だって…」
オーキド「ピカチュウ!ピカピッカピッカチュウー!」
サトシ「ほら完全にピカチュウじゃねーか!」
トレーナー「うーん、じゃあいいや新種のピカチュウってことで…」
サトシ「よーしじゃあバトル続行だぜ!ピカチュウ!かみなりだ!」
オーキド「ピッカァー!!」
しかしPPが足りない!
トレーナー「ギャラドス!今だやれっ!かみつく!」
ギャラドス「ギャアアアス!」ガブリ!
オーキド「ピッピカァ!!」ブシャー!
サトシ「ピカチュウ!頑張れ!耐えるんだ!頑張れぇ!」
トレーナー「トドメだギャラドス!はかいこうせん!」
ギャラドス「ギャオース!!」ドギャーーーン!
オーキド「ピッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
サトシ「ピカチュウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!」
15:
トレーナー「金は貰っておくぜ。俺に挑みたいならもう少しレベルを上げておくんだな」
サトシ「ピカチュウ!大丈夫かピカチュウ!」ダッ
オーキド「ピィカ…ピカピィ…」
サトシ「クッ、酷い…!このままじゃピカチュウは…。ダメだ!回復アイテムもない!」
オーキド「ピカピィ…。ピッピカァ…」
サトシ「大丈夫だピカチュウ!すぐにポケモンセンターへ連れて行ってやるからな!」
オーキド「ピカァ…」ガクッ
サトシ「ピカチュウ…?ピカチュウッ!駄目だ死ぬなぁ!目を覚ませピカチュウ!」
オーキド「 」
サトシ「ピカチュウ!なんでだ!俺はまたピカチュウを守れないのかよ!」
サトシ「また…?あれ、どういうことだ?頭がっ…痛い。なんだ?前にも同じことが…」
そしてサトシは一年前の惨劇を思い出す
18:
サトシ(そうだ…あれは確か…一年前のポケモンリーグ決勝でのバトル…)
サトシ(相手はドラゴン使いのワタル。ワタルが出してきたのはカイリュー)
サトシ(お互い残るは最後の一匹、倒された方が敗北というバトルの正念場)
サトシ(だけどその時の俺は、ワタルのカイリューが相手でも勝つ自信があった)
サトシ(その時のピカチュウは、まさに最強と言っていいほど鍛えあげられていた)
サトシ(そして俺は信じていた。ピカチュウが負けるはずがないと)
サトシ(そしてあの瞬間、バトルの最後、HPぎりぎりのカイリューが放ったはかいこうせん)
サトシ(そのとき俺は勝利を確信した。ピカチュウなら、よけられると)
サトシ(はかいこうせん後の、隙をついての10万ボルト…それが俺の予想した勝利への道筋だった)
サトシ(しかし、俺の予想は外れた。ワタルのカイリューが放ったはかいこうせんの狙いは俺だった)
サトシ(ワタルは勝つために、トレーナーである俺を直接狙ったんだ。そしてピカチュウは、俺をかばって…)
24:
サトシ(それからは覚えていない。恐らく俺は負けたんだろう)
サトシ(気が付くとそこは、病院のベッドの上だった)
サトシ(俺は真っ先にピカチュウの無事を確かめようとした。ピカチュウは大丈夫か)
サトシ(病室で付き添っていたタケシにそう聞いても、首を横に振るだけだった)
サトシ(俺は事実を受け入れることができなかった。例えピカチュウの墓を目の前にしても)
サトシ(それから俺はずっとピカチュウを探しまわった。ピカチュウが死ぬはずがない)
サトシ(ピカチュウはきっとどこかにいる。そう思って草むらや家の中をずっと探し続けた)
サトシ(カスミやタケシは何も言わなかった。そんな俺を遠くから心配そうに眺めていた)
サトシ(そしてある日、俺がマサラタウンの草むらをいつものように探しまわっていると)
サトシ(後ろからピカチュウの鳴き声が聞こえたんだ。振り向くとそこには、オーキド博士がいた)
27:
サトシ(そうして俺は、ボケたオーキド博士をピカチュウと思い込むことにした)
サトシ(本当は心の底では気づいていたんだ、これはピカチュウじゃなくて、オーキド博士だってことに)
サトシ(でも、そのときの俺は、ピカチュウが死んだ現実を受け入れることができなかった)
サトシ(俺は心の穴を埋めるように、ピカチュウとの日々を過ごした)
サトシ(それなのに、俺はまた同じ過ちを…)
サトシ(俺はピカチュウを二度失ってしまったんだ。俺の弱さのせいで…)
オーキド博士はそのまま二度と目を覚まさなかった
葬式はマサラタウンのオーキド研究所で行われた
表向きには、草むらを歩いていたところ不運にも野生ポケモンに出くわし
そのまま襲われて死んだことにされていた
29:
オーキド博士が死んでから数日、サトシはずっと自分の家で塞ぎ込んでいた
コンコン
シゲル「サトシ、ちょっといいかい。」
サトシ「シゲル…?今は、一人にしておいてくれねーか…」
シゲル「話したいことがあるんだ。これ、おじいちゃんの部屋で見つけたんだ」
サトシ「これは、ポケモンの卵…?」
シゲル「そう、サトシ、君の死んだピカチュウが残した卵だ」
32:
サトシ「ピカチュウの!?」
シゲル「恐らくリーグ前、君がピカチュウをおじいちゃんの研究所に預けていたとき」
シゲル「そのときに、君のピカチュウが研究所で生んだ卵だ」
サトシ「そんな、でも俺そんなこと全然知らなくて」
シゲル「それもそのはずだ。隠してたんだよ、おじいちゃんがずっとね」
サトシ「オーキド博士が?なんでそんなことを…。それに卵を産んだなら相手がいるはずだ」
シゲル「……」
サトシ「相手は雌のピカチュウか?誰のポケモンなんだ?」
シゲル「…相手はピカチュウじゃない。ピカチュウと卵を生んだのは、オーキド博士だ」
サトシ「!?」
33:
シゲル「その卵は、ピカチュウと、おじいちゃんとの間に産まれた卵なんだよ」
サトシ「ちょっと待てよ!何言ってるんだ!ポケモンと人間の間に卵なんて…」
シゲル「その通りだ。ポケモンは人間との間に子供を作ることは不可能。人間ならね」
サトシ「!まさか…!」
シゲル「そう、君のずっと会っていたおじいちゃんは、おじいちゃんの真似をしているメタモン」
シゲル「本物のオーキド博士は、とっくの昔に死んでいたんだ」
サトシ「そんな…。俺が知っているオーキド博士は、メタモンだったのか…?」
36:
シゲル「フッ僕も君と同じさ…。おじいちゃんが死んだ時、僕はどうしてもおじいちゃんの死を受け入れられなかった」
サトシ「……」
シゲル「そして僕は、研究所にいたメタモンをおじいちゃんと思い込んだ」
シゲル「メタモンも僕のために、ずっとおじいちゃんのものまねをし続けてくれた」
シゲル「そうするうちに、僕もメタモンも、このオーキド博士こそが本物のオーキド博士だと思うようになったんだ」
シゲル「やっと思い出した。いや、やっと現実を受け入れることができたよ。メタモンが死んでようやく」
サトシ「じゃあオーキド博士はボケていたんじゃなくて…」
シゲル「そう、あの時の僕と、君を重ねて…。死んだピカチュウの代わりになろうとしたんだ」
シゲル「でもメタモンオーキド博士でいる時間が長すぎた。もう、オーキド博士以外にはなれなくなっていた」
サトシ「俺のために…オーキド博士のままでピカチュウを演じて…」
45:
シゲル「おそらく君のピカチュウは、リーグ戦で命を落とすことを気づいていたんだ」
サトシ「……」
シゲル「だからその前に、メタモンとの間に子供を作った。自分がいつ死んでもいいように」
サトシ「ピカチュウ…」
シゲル「だけどメタモンは卵を君に預けることをしなかった」
シゲル「君がピカチュウの死を受け止めきれていなかったからだ」
シゲル「だからメタモンは葛藤し、自らがピカチュウを演じることを選んだんだ」
シゲル「思い出せ、君の夢はなんだ!ポケモンマスターになることだろう!」
シゲル「さぁ、この卵を孵化させて、そしてもう一度立ち上がるんだ!」
シゲル「それが死んだメタモンとピカチュウの願いなんだよ」
シゲル「じゃあな、ポケモンリーグ決勝で待ってるぜ」
4

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