海未「清く正しく美しく……水の精霊、園田海未です」back

海未「清く正しく美しく……水の精霊、園田海未です」


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1:
穂乃果「うーんっ♪ 今日も良いお天気ー! こんな日にお外で食べるお饅頭は格別だよねー」
穂乃果「あーん……わわっ! 将来のことを考えてたら不安に襲われて落としちゃったよ!」
ポロッ
コロコロ…
穂乃果「お饅頭さん待ってー!」
コロコロ…
穂乃果「何でいきなり下り坂になってるのー!! このーっ!!」
コロコロ……ポチャ
穂乃果「あーっ!! 泉に落っこちちゃったー!! ついてないなぁ、とほほ……ん?」
ジャバーーンッ
海未「……」
穂乃果「い、泉の中から人が……?」
海未「ごきげんよう。今、貴女が落としたのは……金のほむまん、銀のほむまん、普通のほむまん、どれですか?」
穂乃果「ほぇ?」
4:
穂乃果「あ、あの……誰ですか?」
海未「私は水の精霊、園田海未です」
穂乃果「せ、精霊……? あ、私は太陽の果実、高坂穂乃果です」
海未「これは御丁寧に。では穂乃果」
穂乃果「うん?」
海未「貴女が落としたのは、金のほむまんですか? それとも銀のほむまんですか? はたまた普通のほむまんですか?」
穂乃果(穂乃果が落としちゃったのは普通のほむまんだけど……金のほむまんって何……?)
海未「穂乃果?」
穂乃果(正直、食べ飽きちゃったんだよね。水に濡れてぐちょぐちょになってるし……それに比べて金のほむまんはキラキラしてて美味しそうだなぁ……どんな味がするんだろ?)
海未「穂乃果、落としたほむまんは」
穂乃果「金! 穂乃果が落としたのは金のほむまん!」
海未「本当、ですか?」
穂乃果「うん! 穂乃果、嘘なんかついたことないもん!」
海未「ふむ、これは失礼致しました。では金のほむまんを返して差し上げましょう」
穂乃果「わーい!」
6:
穂乃果「わぁ、近くで見るとホントにキラキラしてるー」
海未「……」
穂乃果「写メ撮ってTwitterでみんなに自慢しよーっと」
カシャ
海未「……」
穂乃果「あ、もうこんな時間! 穂乃果、そろそろ帰らなきゃ! じゃあねー、水の精霊さん」
海未「……待ってください」
穂乃果「なーにー? 穂乃果、急いでるんだけどー」
海未「その金のほむまんは本当に貴女のモノなのですよね?」
穂乃果「だからそうだってさっきから言ってるじゃん!」
海未「……本当にィィ?」
穂乃果「うっ……ほ、本当だよ! 精霊のくせに人を疑う気なの!?」
海未「い、いえそんなつもりではなく……念の為、食べて確かめて頂いた方がよろしいかと」
穂乃果「えー、まだみんなに見てもらってないのに」
海未「念の為、ですから。念の為、念の為に」
穂乃果「わ、わかったよ…」
穂乃果(この精霊さん、綺麗な顔してるけど……なんだか不気味だなぁ)
海未「一口で食べてくださいね。美味しいですから……とっても、美味しいですから」
穂乃果「はいはい、あーん…」
パクッ
8:
穂乃果「はむっ、もぐもぐ……なーんだ、普通のお饅頭と変わらな…っ、うっ!?」
海未「……」
穂乃果「がっ、かはっ……苦しっ……ひゅぁ……ぁっ…」
海未「……苦しいですか? そうでしょうね。それが、嘘の味です」
穂乃果「はぎゅ、ぐぅ……う、うその……あ、じ……っ?」
海未「安心してください。亡骸は誰の目もとまらぬよう、この泉に沈めてあげますので。さぁ」
グイッ
穂乃果「やっ、や……っ……ごほごほっ……ぁ……や、だ……」
ズルズル
穂乃果(やだ、やだやだ……穂乃果、死んじゃうの……? 嘘、ついたから……? ごめんなさいごめんなさい……)
海未「ふふふ…」
穂乃果「やめっ……助け、てっ……ぁぎゅ……うぅぅ……」
ズルズル
「その手を離して!」
海未「だ、誰です!?」
「貴女と会うのは2000と半世紀ぶりかな? 海未ちゃん」
海未「あ、貴女は……片翼の不死鳥、南ことり……!?」
ことり「また悪さばっかりしてるんだぁ? 精霊の名が聞いて呆れるね」
穂乃果(だ、誰? 空から舞い降りてきた様な……天使様…?)
13:
海未「悪さなどと人聞きの悪い……。私はただ、嘘をつく輩が許せないだけです」
ことり「うふっ…、自分で飴玉をちらつかせておいてそれに飛び付いた人を嘘つき呼ばわり、かぁ」
海未「しょ、正直者ならっ…偽らず、本当のことを」
ことり「それだけの為に、何千年もこの泉に息を潜めて待ち構えてるんだ? あはははっ」
海未「な、何がおかしいのです!? 私は人々が真っ当な道を歩めるようにと…」
ことり「寂しい人、ううん…精霊だね。きっと海未ちゃんはこの空の広さも知らないんだろうなぁ」
海未「……私を蔑みたいだけなら早く消えてくれませんか。私はこの人間に罰を与えねばなりません」
ことり「私がそれをみすみす見逃すと思う?」
海未「……この、偽善者っ」
ことり「どっちが?」
海未「思えば貴女との因縁もはや数千年……そろそろ終焉を迎えてもよいのでは?」
ことり「いいけど、終焉を迎えるのは海未ちゃんだけだよ?」
海未「戯れ言を…」
【水の精霊】園田海未 VS 【片翼の不死鳥】南ことり
穂乃果(な、何が起きるの…?)
16:
海未「はぁぁーっ!! ラブアローシュート・ブラスト!!」
シュバッ
ことり「うふっ、遅いよ」
ヒラッ
穂乃果(あんな早い矢を簡単にかわした!? あの天使さん、すごい!)
海未「ならば、これならどうです? たぁぁーーっ!! ラブアローシュート・魔神銃!!」
ズダダダダダダッ
穂乃果(乱射!? こんな広範囲への攻撃、これはかわせないよ!)
ことり「ていっ」
バサッ
パラパラ…
穂乃果(翼の一振りで全部打ち落とした!?)
ことり「あれ? もうおしまい?」
海未「……」
ことり「その泉から出て来ないと、次はこっちが狙い撃ちしちゃうよ? あ、それとも出たくても出られないのかなぁ?」
海未「……仕方ありませんね」
バッ
ことり「……?」
穂乃果(両手を真横に広げて……何をするつもり……)
海未「これを見せるのは、確か……初めてですか」
ことり「……!? こ、これは少しずつだけど、周りの湿度が…」
海未「ふふ……、蒼の神話」
バッ
17:
海未「…変換完了」
ことり「まさかこの空間全体を水のフィールドに変えてしまうなんて…」
海未「ふふっ、その濡れた翼では満足に戦えないのではないですか? たぁーっ!」
シュバッ
ことり「てやっ!」
バサッ
パラパラ…
ことり「これくらいわけないよ」
海未「…でしょうね」
ニヤッ
ことり「っ!?」
海未「はぁぁぁっ!!」
ダダダダダッ
ことり「は、早いっ……でも、近距離で弓なんか」
海未「弓? いつからこれを弓だと錯覚していたのですか?」
ことり「え…?」
海未「片翼では不格好でしょう…、整えて、差し上げますねっ!!」
ヒュッ
ザクッ…
ことり「うぁぁぁぁっっ!!!!」
20:
海未「ふふ、これで貴女はもう戦えない。翼を失った鳥は地に伏せるしかないのです!」
ことり「くっ……まだまだ……っ」
海未「頑張りますね。ですが、いくら貴女が頑張ったところであの人間はどうなるのでしょう?」
ことり「え…?」
穂乃果「ぶくぶくぶく……ごほっ、ごほっ……ぶはっ…」
バシャバシャ
海未「お忘れですか? 今ここは水の占有率がメーター振り切れの状態。不死鳥の貴女ならともかく、生身の人間が耐えられるわけがない。そう、これは罰!」
ことり「大変っ! 早く、フィールドの外に連れ出さないと!」
穂乃果「ぶくぶくぶく……」
バシャバシャ
海未「……戦いの最中に背中を見せるとは……はぁっ!!」
シュバッ
ザクザクッ……
ことり「痛いっ! もうちょっとだからっ、頑張って…」
穂乃果「」
ズルズル
海未「ふははははっ、逃がしません、逃がしませんよっ! たぁたぁたぁたぁーっ!!」
ズダダダダダダッ
ザクザクザクザクッ…
23:
ことり「こ、この先だったら……大丈夫、だから……っ」
穂乃果「」
ズルッ
ことり「ことりにできるのはこれだけ……ごめんね、本当はもっとちゃんと助けてあげたかったけど」
海未「ちっ……、人間は空間の外に逃がしてしまいましたか。まぁいい…、あの状態……それに致死量の毒まで与えてあります。すぐにでも息絶えるでしょう」
ことり「それはっ、どう、かなぁ……」
海未「…あれだけの矢を受けてまだ意識があるのですか。というか、今のはどういう意味ですか? まさかあの人間が助かるとでも?」
ことり「…うん」
海未「馬鹿馬鹿しい…、そんな筈ありません」
ことり「……ことりの羽」
海未「はい?」
ことり「海未ちゃんがさっき斬り落としたことりの羽、何処にあると思う…?」
海未「羽? そんなもの、あの辺りに落ちて……ない!? まさかっ!!」
ことり「…知ってるでしょ? 不死鳥の翼はどんな傷も苦しみも癒すことができるって…」
海未「あの人間に、それを……くっ!! この私が罰を与えられなかった……そんな……そんなっ!! ……ことりィィッッ!!!!」
ことり「残念でしたぁ……うふっ」
海未「ならば、代わりに貴女に罰を与えて差し上げましょう……、ただし楽に死ねるとは思わないことですね……。苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで……それから地獄に墜ちるがいい」
海未「あははははははっ、あーはははははははっ」
ズダダダダダダッ
ことり「痛いっ」
24:
━━
花陽「今日も種付け…、じゃなかった、田植えがんばろぉ! おー!」
凛「にゃー!」
花陽「じゃあ花陽はあっちからやるから、凛ちゃんはこっちからお願いね。どっちが早く出来るか競争だよ?」
凛「にゃ!」
花陽「よぉし、それじゃスタートー!」
【農民】小泉花陽 VS 【猫】星空凛
花陽「よいしょっ、よいしょっ…」
凛「にゃっ、にゃっ、にゃっ…」
25:
花陽「うぅ、負けちゃったぁ…。凛ちゃんは田植え上手だねぇ」
ナデナデ
凛「にゃぁ?」
花陽「じゃそろそろ、日も暮れてきたことだし帰ろっか。今晩は猪鍋にしようね?」
凛「にゃー♪」
凛「にゃ!?」
花陽「わわっ、どうしたの? おうちそっちじゃないよぉ!」
凛「にゃっ! にゃっ!」
花陽「へ…? ついてこいって? ま、待ってぇぇ…」
凛「くんくんにゃっ」
花陽「へぇ、凛ちゃん猫なのに鼻がきくんだぁ」
凛「にゃっ!!」
花陽「こ、ここに何が……え? 人が倒れてる……た、大変だぁ!! 誰かっ、誰か助けてあげてぇぇ!!」
花陽「って花陽が助けなきゃ!! あ、あのー大丈夫ですかぁ?」
穂乃果「」
35:
━━
『私は水の精霊』『金のほむまんですか? それとも──』『本当にィィ?』『それが、嘘の味です』『罰です! 罰を与えねば』『あーはははははははっ』
────────
──────
────
──
穂乃果「うわあああああああああ!!!!」
ガバッ
凛「にゃっ!」
花陽「あ、目覚ました?」
穂乃果「はぁ…はぁ…っ、ここは……」
花陽「ここは花陽のおうち、あ…私は小泉花陽、農民です。こっちは猫の凛ちゃん」
凛「以後お見知りおきを」
花陽「…!? ……気のせいかなぁ」
穂乃果「私は太陽の果実、高坂穂乃果……。私……どうして……」
花陽「森の奥で倒れてたから連れて帰ったんだ。すごくうなされてたみたいだったけど…」
穂乃果「…………あっ!! は、早く助け行かなきゃ!!」
花陽「ま、待って! 行くってさっきの森に? もう外は真っ暗だから危ないよぉ…」
穂乃果「それでも…、それでも行かないと!! 天使ちゃんがっ」
花陽「天使……?」
40:
穂乃果「かくかくしかじかファイトだよっ──ってことがあって」
凛「なるほどなるほどー」
花陽「で、でも精霊とか天使とか……夢、じゃないの……?」
穂乃果「夢じゃないよ!! 本当にさっきっ、穂乃果…」
凛「昔からあの泉には良い噂聞かないにゃ。かよちんも知ってるでしょ? この辺で度々話題になってる行方不明の事件」
花陽「あぁ確かそうだったね、泉の近くで人が消えるって……ってことは犯人はその精霊さん!?」
穂乃果「そうだよ! 穂乃果だって殺されかけたんだからっ」
凛「でも天使の話は聞いたことないし、何者なんだろー?」
花陽「さ、さぁ……って! 何で凛ちゃんさっきから喋ってるの!? 猫だよね!? 猫なんだよね!?」
凛「あ、会話できてる…? かよちん、凛の言葉わかるの!?」
花陽「わかるよぉ! だからこうしてお話ししてるんじゃない!」
凛「やった、やったにゃー! かよちんとお話しできるんだー!」
ピョンピョン
花陽「ど、どうしていきなり喋れるようになったの…?」
凛「昔っから凛は喋ってたつもりだったんだけど、多分……あれのおかげだにゃ」
花陽「あれって……穂乃果ちゃんが持ってる大きな羽のこと?」
穂乃果「これ? あれ? いつの間に穂乃果、こんな羽……もしかして天使さんの……」
41:
穂乃果「天使ちゃんの翼がここにあるってことは……こうしちゃいられないっ!!」
バッ
花陽「い、行くの…? あの泉に…」
穂乃果「うん! 穂乃果は天使ちゃんに命を救ってもらった。だから今度は穂乃果が助ける番」
花陽「また危険な目に遇うかもしれないんだよ…?」
穂乃果「……助けてくれてありがとう。今度、絶対お礼するから!」
凛「凛も行くよ」
穂乃果「へ? い、いいよ…、危ないから」
凛「行方不明になった人の中には凛を可愛がってくれた人もいたんだにゃ……だからっ」
花陽「り、凛ちゃんが行くなら花陽も行くよ!!」
凛「かよちんはだめだめーっ! もしかよちんの身に何かあったら、凛…」
花陽「それは花陽も同じだよ。せっかくこうしてお話しできるようになったんだから、ね?」
凛「う、うん…!」
穂乃果「二人とも、本当にいいの?」
花陽「はいっ!」
凛「にゃっ!」
穂乃果「…ありがとう。よしっ、行こうっ!!」
42:
花陽「えーとっ、穂乃果ちゃんを見付けたのは確かこの辺りだったと思うんだけど…」
凛「……」
穂乃果「あっ、このおっきい木見覚えがある! このすぐ近くに泉があった筈……あれ?」
花陽「どこにも泉なんて見当たらないよ…」
キョロキョロ
穂乃果「おかしいなぁ……絶対絶対ここだったのに!!」
凛「くんくんっ……、結界が張られてるにゃ」
花陽「え? 結界…?」
穂乃果「そういえば精霊さんが空間に作用する様な魔法を使ってた気が…」
凛「多分そのせいだにゃ」
花陽「じゃ、じゃあその結界の中には入れないってこと…?」
穂乃果「そ、そんなっ!!」
凛「外からの干渉は基本的に不可能……できるとしたら結界の持ち主と同等の力を持ってる者じゃないと」
花陽「凛ちゃんって何者……?」
穂乃果「穂乃果じゃ、天使ちゃんを助けられない……? 何処かにいないの!? すごい力持ってる人とか!!」
凛「ごめん…、心当たりはないにゃ」
花陽「花陽も……ただの農民だし」
穂乃果「……っ」
43:
穂乃果「……」
凛「……」
花陽「……きょ、今日のところは帰ろ? 家に帰って考えてみようよ」
凛「もう夜遅いから穂乃果ちゃんもかよちんの家に泊まるといいにゃ」
花陽「お腹空いてるでしょ? 猪鍋残ってるからどうぞ」
穂乃果「……ありがとう」
穂乃果「穂乃果にもっと力があれば……力が欲しい……力がっ」
45:
チュンチュン…
凛「ふにゃ…?」
花陽「朝だよぉ…」
ガラッ…
花陽「あ、穂乃果ちゃん…」
凛「どこか行ってたの?」
穂乃果「明るくなったら結界も無くなってるかもって思ったけど、やっぱりダメだったよ……あはは」
凛「穂乃果ちゃん……なんとか力になってあげたいけど」
花陽「そうだ、今日は町に行ってみない?」
穂乃果「町に?」
花陽「そこだったらもしかしたらすごい力持ってる人がいるかも!」
穂乃果「うん…、そうだねっ!」
凛「そんなこと言ってかよちん雷舞を観たいだけにゃー」
花陽「り、凛ちゃんっ!」
穂乃果「らいぶ?」
48:
━━
にこ「みんなー! ニコのステージ観に来てくれてありがとー♪」
にこ「今日もここにいるぜーいんをにっこにっこにしちゃうよー☆」
ワーワーキャーキャー
花陽「はぅぁ?、にこにー可愛いなぁ?」
穂乃果「にこにー?」
凛「え? 穂乃果ちゃん、にこにー知らないのー?」
穂乃果「う、うん……有名な人……みたいだけど」
花陽「魅惑のピンクレディー、矢澤にこ……この町きってのスーパーアイドルです!! 週に一度、雷舞で笑顔を届けてくれるんです!!」
穂乃果「へー」
凛「興味なさそうにゃ」
穂乃果(穂乃果は早く天使ちゃんを助けにいかないといけないのに、こんなアイドルの雷舞なんか……)
にこ「にっこにっこにーこーにこーだぁーよぉー♪ ……ん? ちょっとそこのあんた!!」
穂乃果「……」
にこ「聞いてんの!? そこの大きな羽を持ってるあんたよ!!」
穂乃果「……へ? 穂乃果?」
49:
にこ「ニコの歌を聴いてそんなつまらなそうな顔をしてるなんてどういうつもりよ!?」
穂乃果「い、いや…穂乃果は別に……」
にこ「はぁ? 聞こえないんだけどー?」
穂乃果「ほ、穂乃果は来たくて来たわけじゃないんです!! だから…」
にこ「はぁいぃぃぃ!? 今の聞き捨てならないわねー!!」
花陽「ほ、穂乃果ちゃんっ…」
穂乃果「え? 何で怒ってるの?」
にこ「ニコよ? このスーパーアイドルにこにーのステージなのよ!? それをあんた」
穂乃果「スーパーアイドル? だったらすごい力持ってるの?」
にこ「ふんっ、当たり前でしょ! にこにーに不可能なんてないんだから」
穂乃果「ホント!? じゃあちょっとついてきて!!」
グイッ
にこ「へ? なっ、ちょ…まだ雷舞の途中……離しなさいよぉーっ!!」
ズルズル
花陽「…………」
凛「凛たちも追うにゃ!」
花陽「にこにーが誘拐されちゃったぁ!! 待ってぇぇ!!」
50:
━━
にこ「にっこりのー魔法ー! 笑顔の魔法ー♪」
シーン…
穂乃果「やっぱりダメかぁ…」
にこ「って待て待てー!!」
穂乃果「あ、ごめんね。もういいよ」
にこ「もういいよじゃないわよ! いきなりこんな所に連れてこられて歌わされて」
穂乃果「えっとね──かくかくしかじかにこにこにーってな感じで 」
にこ「あんたねぇ……つくならもう少しまともな嘘つきなさいよねぇ」
穂乃果「ホントだよ」
にこ「……証拠は?」
穂乃果「この羽」
にこ「は? ただの大きい羽じゃない」
穂乃果「凛ちゃん」
凛「はいにゃ! がぶっ!」
にこ「い、痛い痛いっ!! な、何すんのよ!? 血が…」
穂乃果「この羽を近付けると」
シュゥゥー
にこ「え? 痛くない…? 傷が治って…」
穂乃果「ね? ホントでしょ?」
にこ「ま、まぁ……。ねぇ、その羽……ニコにくれない?」
穂乃果「やだよー」
にこ「ニコのサインと交換ってことで」
穂乃果「だめだめだめー! 絶対だめー!!」
53:
穂乃果「ねぇねぇそれよりニコちゃん」
にこ「…何よ」
穂乃果「すっごーーーーーーい力を持ってる人知らない?」
にこ「……知ってるけど」
穂乃果「誰誰!?」
にこ「まぁ力っていうか権力? この町で権力を持ってるっていったら」
凛「あぁ、西木野真姫にゃ」
穂乃果「ニシキノマキ?」
花陽「し、知らないのぉ!?」
穂乃果「穂乃果、浮世離れしてるってよく言われるから…」
凛「でも西木野真姫がすごい人なのはわかるけど、凛たちが簡単に会えるわけ」
にこ「会えるわよ」
花陽「え?」
にこ「だって真姫ちゃんはニコのスポンサーだしー♪ 大の仲良しだからぁー」
穂乃果「さすがニコちゃん!! ありがとう!!」
にこ「だからって何でニコがあんたの為に…」
穂乃果「お願いします!」
にこ「いやよ、まぁその羽くれるってなら話は別だけどねー♪」
穂乃果「それは無理!」
にこ「じゃあこっちだって無理! 諦めなさい?」
穂乃果「えー! けちんぼー!」
にこ「どっちがよ!」
凛「にゃ?」
花陽「凛ちゃん?」
凛「何か近付いてくるにゃ……これは、隕石!!」
にこ「え?」
ヒューーーーッ スコーンッッ
にこ「ぐぼぉぁっ!!」
ドサッ
55:
穂乃果「あ…」
にこ「い、痛ぃ……痛いよぉ……っ」
穂乃果「だ、だいじょうっ…………!」
穂乃果「にーこちゃん! 羽、使ってあげようか?」
にこ「は、やく……じなざぃ……よ……」
穂乃果「その代わりー、…ね?」
にこ「なんでも……するからっ、はやぐたずけてぁ……っ」
穂乃果「はい、どーぞ!」
シュゥゥー
にこ「……本当にすごいわね、その羽」
穂乃果「さぁそのニシキノなんたらのとこに案内して!」
にこ「はいはい……こっちよ」
花陽「穂乃果ちゃんって……すごく強運の持ち主?」
凛「ニコちゃんは凶運の持ち主だにゃ」
56:
━━
にこ「真姫ちゃーん!」
真姫「あら、ニコちゃん。久しぶりね」
真姫「……で、そこに連れてる庶民は一体何なの?」
穂乃果「あのね、穂乃果は」
真姫「頭が高いわよ! なに軽々しくこの私と目線を合わせているのよ!」
凛「おぉ…、噂には聞いてたけどものすごく偉そうだにゃ…」
花陽「さ、さすがはレッド・レクイエム、西木野真姫様……」
真姫「…聞こえてるわよ、そこの猫!」
凛「ひぃっ!」
真姫「まったく……」
にこ「この穂乃果が真姫ちゃんにお願いがあるんだって」
真姫「ほのか…?」
穂乃果「あのね、真姫ちゃん! 穂乃果…」
穂乃果「かくかくしかじかでっしょー──てなわけで」
真姫「ふーん、あっそ…」
穂乃果「え?」
花陽「そ、それだけ…?」
凛「冷たいにゃ!」
真姫「うるさいわよ! 愚民の分際で」
穂乃果「お願いっ、力を貸して!!」
真姫「興味ない、お断りよ」
59:
穂乃果「そんなぁ……」
にこ「真姫ちゃん、穂乃果は一応ニコの命の恩人で……だから、少しでも力になってあげたいなって…」
真姫「誰も協力しないとは言ってないわ。ただ私自身は動かないだけ」
穂乃果「へ?」
真姫「よく言うでしょ? 餅は餅屋、風呂は風呂屋、チケットは転売屋って」
花陽「転売屋さんにはお世話になってますっ!」
真姫「そんな結界がどうたらとかとても私の手に負えないわ……そもそも胡散臭いし」
穂乃果「ほ、ホントだよ! 信じて!」
真姫「あぁ、はいはい、信じる信じるわ……隕石ぶつけられたらたまったもんじゃないしね」
真姫「紹介してあげるわ。そういった類いのモノを得意としてる人を」
61:
━━
穂乃果「えーと、真姫ちゃんの地図だとこの辺りに」
花陽「あれ……じゃないかなぁ?」
凛「にゃ……禍々しい気を感じるにゃ」
花陽「凛ちゃんってそういうのわかるんだねぇ…」
穂乃果「ごくっ……行こう!」
コンコン…
穂乃果「すみませーん」
穂乃果「すみませーん!」
穂乃果「…………よしっ、入ろう!」
花陽「何がよしなのぉ!?」
ガラッ
凛「うぅぅ……中は鼻がひん曲がるくらいの邪気が溢れ返って…」
穂乃果「お留守かなー?」
ザッ…
花陽「ひゅぇっ!?」
ザザッ…
「誰…?」
63:
凛「い、いつの間に背後に…!?」
「ウチがその気やったらあんたら三人ともここでお陀仏やったな」
穂乃果「あ、貴女は…」
「知っててここに来たんやろ? それとも宿無しかな? 生憎そういうサービスはやってないよ」
穂乃果「あのっ、これ……真姫ちゃんからの紹介状です…」
「真姫ちゃんから? どれどれ…」
ペラッ
穂乃果「私…太陽の果実、高坂穂乃果です」
花陽「農民の小泉花陽です…」
凛「猫の凛だにゃ」
「……」
ペラッ
「ふむふむ……」
ペラッ
穂乃果「あの……」
「あぁごめんごめん、紹介がまだやったな」
希「ウチは最果ての七芒星、東條希や」
64:
希「で、ウチに力を貸して欲しいと」
穂乃果「はい! お願いします!」
希「……残念やけど、それはちょっと無理やな。協力を惜しんどるわけやないけど……ただ、時期が悪かったな」
穂乃果「え…?」
希「……ウチは今、ここを動くわけにはいかんのよ」
花陽「ど、どういうことですか…?」
希「……今会ったばかりのあんたらに話すことやない」
凛「くんくん……あの扉の向こうに」
希「っ!?」
穂乃果「凛ちゃん?」
凛「この場所はすごく嫌な気で満ち溢れてるけど……あの扉の奥は何ていうか、これら全部を浄化できるくらいの澄んだオーラみたいな」
希「……」
穂乃果「ここを動けない理由……それがあの扉の向こうにあるんですね?」
希「……もう帰ってくれんかな?」
穂乃果「……嫌です。穂乃果にはもう貴女しか頼れる人がいないから」
希「天使を精霊から助けたい……あんたの願いはそれやったな……。まぁ似たようなもんやし、あんたやったら悪いようにはせんやろ」
穂乃果「……?」
希「ついてきて」
66:
ガラッ…
花陽「こ、これはっ……!?」
凛「にゃ……!?」
穂乃果「綺麗な人…」
希「ただいま、エリチ」
絵里「……」
花陽「えりち…? この人の名前ですか?」
希「……うん。氷漬けのエリーチカ、ウチはそう呼んどる」
穂乃果「何で……氷の中にいるんですか?」
希「……エリチは人間やないんよ」
穂乃果「何となくわかるかも……天使ちゃんや精霊さんみたいな感じがする」
希「…驚いたな、そう…エリチは神様なん」
花陽「か、神様ぁ!?」
凛「神様にも色々ある筈にゃ」
希「……死を司る神、死神やね」
穂乃果「し、死神…?」
希「死神なんてもっと恐いの想像しとったやろ……でもこんなに綺麗なんよ、エリチは……何で…、何で……死神として生まれてきてしもうたんやろな」
穂乃果「……もしかしてですけど」
穂乃果「希さんとエリチさんは愛し合っていたんじゃ…」
希「……その通りや」
69:
希「ウチとエリチは恋人同士やった……。そんな中でエリチは死神としての禁忌を犯してしもうた」
穂乃果「愛、ですね?」
希「死神のくせに愛とか恋とか……ふふっ、わかっとったんよ。ウチもエリチもこのまま二人でいたら近いウチに必ず死が訪れるって。自分がもたらしてしまうって!」
希「離れたくても離れられなくて……離れないけんのに、離れたくなくて……それでエリチが選んだ答は、自らを半永久的に行動不能にすること」
希「そうしたら一生……ウチが死ぬまで一緒におれるって……ふふふっ、死神なのに人間一人守る為に自分だけ犠牲になるなんて……変な死神もおったもんやな…」
穂乃果「……もし、エリチさんが氷の呪縛から解放されたらどうするつもりですか?」
希「そんなん決まっとるやろ。ウチが死ぬまでずっと傍におってもらう……だってそうやん? そうやって死ぬってことは、それだけ愛してもらったって証やから…」
花陽「穂乃果ちゃん……羽、使うの……?」
希「羽って……天使の羽? まさかそれを使えばエリチは…!?」
穂乃果「……」
72:
穂乃果「……使わないよ」
希「な、何で……? それでもしエリチが解放されたらウチも幸せで穂乃果ちゃんの願いも叶うやん!」
花陽「そうだよぉ! 死神さんならきっと天使と精霊の争いも止めてくれるんじゃないの!?」
凛「穂乃果ちゃんはその為に色んな人を辿ってここまで来たんでしょ!? だったらこんなに良い方法、他には」
穂乃果「良くないよ!!」
穂乃果「良くない……これじゃ例え、天使ちゃんが救われても、希さんが死んじゃう!! そんなことできないよ!!」
希「穂乃果、ちゃん……。な、何言うとるん……ウチと穂乃果ちゃんはさっき知り合ったばかりの」
穂乃果「そんなの関係ないっ!! きっと今までの穂乃果だったら希ちゃんの言うこと素直に受け止めてすぐ羽を使ってたと思う……自分の中にある疑問を見ないふりして」
希「疑問って……」
穂乃果「死ぬことは、幸せじゃないよ……だからエリチさんもこういう手段をとったんでしょ!? 死んだりしたらイヤだよ……もう嘘はつきたくない……、私が自分の心にある疑問を偽って誰かが死んだりしたら私……っ」
凛「でも、このままじゃ天使が死んじゃうことになるよね」
花陽「り、凛ちゃんっ」
穂乃果「……っ」
希「穂乃果ちゃん……確かに、死ぬのは怖いよ。でもな、愛してる人に殺されるんやったらやっぱりそれは幸せなことやと思うんよ。その相手が死神なら尚更」
73:
穂乃果「希…、ちゃん……」
希「お願い、その羽でエリチを救ってください。もしあと僅かで死ぬことになってもこうして毎日、氷の冷たさで愛を留めておくよりずっとずっと幸せに決まっとるから」
希「さよならすら言わせてもらえんかった……だから今度こそ、ちゃんと伝えたい。ありがとう、さよなら……愛してる、って」
穂乃果「……っ」
希「お願いしますっ……」
凛「穂乃果ちゃん」
花陽「穂乃果ちゃんっ…」
穂乃果「……わかったよ。使う、羽を」
絵里「……」
希「ごめんな、エリチ。ずっと長い間、冷たい思いさせて……でももうすぐ終わるから……」
穂乃果「……死神さん、自分をこんな風にしてまで守りたいって思うのって……すごいんだね、愛って」
穂乃果「約束してね、希ちゃんを幸せにするって」
シュゥゥゥゥゥーー
パキ…ッ
パキパキ……
パキッ……パリーンッ
絵里「……え? 私……」
希「エリチ!!」
絵里「希……? 希なのね……!!」
74:
希「エリチ……っ、ずっと、待ってた……こうしてまた話できる日を…」
絵里「ば、馬鹿っ!! 何でっ、どうしてよ!? これじゃ……これじゃ、何の為に私が…っ」
希「ええんよ、これで…」
絵里「良くないわよっ! 私…、殺しちゃう……貴女のこと……」
希「うん…」
絵里「うんって……、後悔するわよ……?」
希「せぇへんよ。どう、ウチの顔? 幸せそうに笑ってない?」
絵里「…っ、馬鹿……っ、ばかばかばかばかっ!!」
希「この幸せを守れるのは世界でエリチ一人だけ、もうウチを一人にせんとってな…?」
絵里「えぇ…! 貴女の幸せは私が守ってみせる、命までは守れないけどね。ふふっ」
希「命なんて…、そんな贅沢言ったら罰が当たってしまうわ」
絵里「そういえば、どうして私…」
希「穂乃果ちゃん達が、救ってくれたんよ」
絵里「貴女達が…」
穂乃果「え、えっと……」
絵里「希から聞いてるかもしれないけど、私は死神。愛狂の心滅神、絢瀬絵里よ」
79:
凛「淀んでた空気が一瞬で晴れたにゃ」
花陽「し、死神さん……っ」
絵里「大丈夫よ、貴女達には私の力が及ぶことはないわ。素敵な羽ね、それ」
穂乃果「はい!」
絵里「なら早く助けてあげなくちゃね、素敵な天使さんを」
希「場所は東の森にある泉やって」
絵里「泉……東の森……、海未ね……まったく…」
穂乃果「知ってるんですか?」
絵里「可愛い妹みたいなものよ。真面目過ぎるのが珠に傷だけど……たっぷりお仕置きしてあげなくちゃ」
絵里「さぁ行くわよ」
穂乃果「は、はいっ!」
絵里「って何処に行こうとしてるのよ」
穂乃果「へ?」
絵里「時間ないんでしょ?」
バサッ
花陽「は、羽が!?」
絵里「まぁその羽みたいに白くて綺麗なモノじゃないけどね。穂乃果、振り落とされないようにしっかり掴まっておきなさいよ」
バサッ
穂乃果「わわっ!」
希「穂乃果ちゃん、気付けてな?」
穂乃果「うん、ありがとう! 本当にありがとうっ、希さん!」
希「エリチ、まだまだ話したいこといっぱいあるんやから……精霊小突いたらすぐ帰ってくるんよ?」
絵里「わかってるわよ。私も希との時間は一分一秒惜しいと思ってるんだから」
希「よろしい」
穂乃果「花陽ちゃん、凛ちゃん! また後でお礼しにいくからね! 二人ともありがとう、二人がいなかったら穂乃果…」
花陽「美味しいお鍋用意して待ってるからっ、絶対だよっ!」
凛「健闘を祈る」
絵里「飛ばすわよ、穂乃果!」
バサバサッ
穂乃果「はいっ!」
ビューーンッ
80:
━━
海未「たぁたぁたぁっ!」
シュバッ
ことり「痛い痛いっ!」
海未「……貴女も相当にしぶといですね」
ことり「まぁ不死鳥だからね……天使と勘違いしちゃってる人もいるかもしれないけど」
海未「決して死に絶えないない故に不死鳥ですか…」
ことり「だから、どうやっても海未ちゃんに勝ち目はないよ?」
海未「翼を無くしたからといって不死の力が消えるわけではないのでね……」
ことり「あれにも不死鳥の力は宿ってはいるけど、ことりの場合細胞一つ一つがそれと同じようにだからね」
海未「……ならば、全身を斬り刻んだらどうなるのでしょうね? ふふっ」
ことり「あ……、ソレハチョットヤバイカモ……」
海未「ふふっ、そうです……最初からこうすればよかったのです」
シャキーンッ
ことり「ひっ……」
海未「ふふふふふふ、さぁ死んでください! 不死鳥ことり──え?」
キュイーン…
ことり「こ、これって…」
海未「ま、まさか…!! 私の、蒼の神話が……破られる!? こんなことが出来るのは…」
キュイーン…キュイーン…キュイーン…キュイーン…
ズドドドドドドーーーーンッッ
海未「くっ…!!」
絵里「ハロー、久しぶりね。海未」
83:
海未「……絵里」
絵里「それと…、何が天使よ……あの羽を見てもしやと思ってたけど、やっぱり貴女だったのね。ことり」
ことり「えへへ…。あ、さっきの人間の子……助けにきてくれたの?」
穂乃果「当たり前だよ! この羽も返さないといけないしね、天使ちゃん」
ことり「不死鳥なんだけど……。でもまさか絵里ちゃんを連れてくるなんて……すごいよ」
穂乃果「ま、まぁ…色々あって…」
海未「わざわざ自ら罰せられにくるとは……ふふっ、あーはっはっは!! さぁ自分の罪を数えなさい、人間!! その罪の数で私は貴女を」
絵里「海未ー?」
海未「はっ……」
絵里「そこにいる穂乃果はね、私の恩人でもあるのよ。感謝してもしつくせないくらいのね」
海未「……っ」
絵里「だから当然、私は穂乃果の側につくわ。てことは貴女の敵ってことになるわね?」
海未「うぐっ……」
絵里「どうする? 私とやる?」
海未「……わ、私は貴女なんかに臆したり、しませんっ!! ラブアローシュ──」
シュバ
絵里「──鎌威断」
ズバババッ
海未「うぐぁぁぁぁぁ!!!! ま、まだまだっ…」
絵里「気が済むまでかかってきなさい。命の保証はできないけど……だって死神よ? 私」
海未「はぁぁぁ…………消してやります。この間違った世界ごと……っ、蒼の瞬間──!!」
シュイーーーーンッ
絵里「──黒の瞬間」
ドドドドドドドッ
87:
「これは──絵里!? 貴女っ」「間違っていたのは世界じゃない、私達よ」「いつかはこうなるんじゃないかと思ってたよ」「人の世に降りてきてしまった私達は罪そのもの…」「神も精霊も不死鳥も必要ないんだね」
「だからといって、こんなっ、こんな──」「本当に罰せられるべきは私達。勝手ながら付き合ってもらうわよ」「ことり達、どうなっちゃうの?」
「闇に包まれて、その後は……私にもわからないわ。概念そのものが消滅してしまうのか、それとも」
「認めませんっ、私は絶対に──」「私達も人間から学ぶべきなのよ。傲り昂っていた数千年の長い夢はもうおしまい」
「学ぶって何を?」「闇の中に灯ったただ一つの微かな灯り──高坂穂乃果はそれを手繰り寄せ、光を与えてくれたわ」
「やっぱりあの子、すごい」「真っ当な人間ではありません! あんな偽りだらけの薄汚い人間など」
「ふふ、そういうところがあるから人間っていうのは面白いのよ、素晴らしいのよ。神様──きっとあんな子が相応しいんだわ。世界中のありとあらゆる人達に幸せをもたらしてくれる、太陽みたいな存在──」
「うん。そろそろ観念したら? 海未ちゃん」「……こうなってしまった以上、いくら足掻いても無駄なことは知っていますよ」
「素直にしてれば可愛いんだから、海未は」「余計なお世話ですっ!まぁ絵里がそこまで言うならこれからが楽しみですね」「これからって?」
「この世界の人間による繁栄。見極めさせてもらいますよ、これが正しかったのか、間違いだったのか」「私が賭け事で負けた時なんてあったっけ?」「海未ちゃんは負けっぱなしだったけどね」「うぐっ…」
「そろそろ意識が消えかけてきたわ……次、目覚めた時は──目覚めないかもしれないけど──どうなるのかしらね?」
「知りません! もう勝手にしてください」「ふわぁ、ことり…眠くなってきちゃ──」「私も──」
「──希─、ごめんね──愛してる──さよなら────」
88:
穂乃果「な、何が起こったの……? 皆…? 絵里さん? 天使ちゃん? 精霊さん?」
穂乃果「き、消えて……何で……!? どうして!?」
穂乃果「そんなっ、そんな……こんなのって!!」
穂乃果「穂乃果が……間違ってたの……? 嘘をついたから…? 天使ちゃんを助けられなかったから…? 絵里さんを…、絵里さんをっ……ううっ、ひぐっ……」
穂乃果「うわぁぁぁぁぁぁんっっ!!!!」
穂乃果「……何だろこれ…?」
穂乃果「綺麗な水晶……、白い羽……、黒い……指輪……?」
89:
━━
希「そっかそっか」
穂乃果「ごめんなさい……穂乃果のせいで、絵里さんがっ……ごめんなさい!!」
希「別に穂乃果ちゃんのせいやないって。気にする必要なんか全然無し」
穂乃果「希さん…?」
希「わかっとったし、エリチが帰ってこんことくらい。ウチの勘ってよく当たるからなー」
穂乃果「……これ」
希「ん? 指輪?」
穂乃果「多分、絵里さんから希さんにって…」
希「そかそか。うん、ありがとうな。穂乃果ちゃん」
穂乃果「……希さん、前に……愛してる人に殺されるならそれは幸せって言ってましたけど、やっぱり絵里さんは希さんに生きててもらいたかったんだと思います」
希「……」
穂乃果「だって…、大好きな人が死ぬのはとても悲しいことだから」
希「……うん」
穂乃果「希、さん……」
希「…っ、ひとのことばかばか言っといて、一番ばかなのは自分やん…っ、ホントに……いつも、ひとのことばっかり……自分の幸せなんか気にもせんと……っ…」
希「…エリチの、アホ……ありがと……めっちゃ、愛してた……、さよなら…」
90:
━━
花陽「そっか……絵里さん……」
凛「にゃぁ…」
穂乃果「うりうりー」
コショコショ
凛「にゃっ、にゃっ」
穂乃果「うーん…、やっぱりこの小さい羽一枚だけじゃ喋れないかー」
凛「にゃー」
花陽「あはは……でもな、時々なんとなく凛ちゃんが何て言ってるのかわかる時があるんだ」
穂乃果「へぇー、あ、この羽は首輪に付けておいてあげるねー。よしよし」
ナデナデ
凛「にゃっ! にゃっ!」
穂乃果「今は何て言ってるの?」
花陽「えっと、多分だけど……もうすぐ雷舞が始まるにゃって……雷舞? あぁぁーー!! そうだ、そうだよ! 今日はにこにーの雷舞の日だったんだぁ!!」
穂乃果「またにこにー?」
花陽「急いで向かわないと! ほらっ、穂乃果ちゃんも!」
穂乃果「えー! 穂乃果もー?」
凛「にゃ!」
穂乃果「はーいー」
91:
にこ「にっこにっこにー☆ 町内ナンバーワンアイドル矢澤にこにーでーす♪」
花陽「はぁっ、はぁっ……なんとか間に合いました!」
穂乃果「ニコちゃんと会うの久しぶりだなー」
凛「にゃっ!」
真姫「ちょっと邪魔よ! そんな所に突っ立たれてたんじゃベストなアングルでニコちゃんを撮れないじゃない!」
穂乃果「ご、ごめんなさいっ!! …って真姫ちゃん?」
真姫「げっ! あんた達……しっしっ! ここは私のテリトリーなんだからあっち行きなさい!」
穂乃果「相変わらずツンツンしてるなー」
ポロッ
凛「にゃっ!」
花陽「穂乃果ちゃん、凛ちゃんが何か落としたって」
穂乃果「あ…、危ない危ない」
ヒョイッ
花陽「わぁ…、綺麗な石…」
穂乃果「……うん。これはね、穂乃果の罪の証なの……これを持ってる限りもう嘘はつかないぞ、って強い心でいられる気がするんだ」
花陽「なんだか素敵だねぇ…」
凛「にゃっ!」
にこ「さぁみんなー、今日もスーパーにこにこタイムでいくわよー♪ 準備はいいー?」
キャーキャー
にこ「あっ! 穂乃果! 今日こそはちゃんとにっこにっこの笑顔で盛り上がりなさいよー?」
穂乃果「あんまり興味ないけど、応援してるから頑張ってね!」
にこ「なっ…!? こんのーっ!!」
穂乃果ちゃんは今日も素直で可愛い正直者です。
━━fin━━
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