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P「千早がプルプルしてる?」 春香「はい」


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1:
千早「…くっ」プルプル
春香(千早ちゃん…?)
千早「…これは」グヌヌ
美希(千早さん…)
千早「…くやしいけれど」ギリッ
雪歩(千早ちゃん…)
千早「…」スッ スタスタ ガチャ バタン
5:
雪歩「ふぅ?」
春香「なんだか緊張したー…」
美希「千早さん、どうかしたの?」
雪歩「何かを読んでたみたいですぅ」
春香「台本…じゃないみたい。なんだろう、すっごい強い眼差しで読んでいたよね」
雪歩「あまりに真剣で、私まで息が詰まっちゃいましたぁ?」
美希「ミキもなの。ステージに立つ直前と同じくらい、ピリピリした雰囲気だったの」
春香「一体あの本は、何なんだろうね…」
美希「気になるけど、勝手に見るのはさすがに失礼なの」
7:
春香「私が見た時は、肩を震わせて何かを我慢したような感じだったよ」
美希「ミキが見た時は、なんだか悔しそうだったの」
雪歩「私が見た時は、少し怒ってたようにも見えます?」
美希「う?ん…演技の練習?」
春香「でも、千早ちゃんの性格だと、事務所で練習って考えにくいと思うよ」
雪歩「そうだよね。自宅かレッスンスタジオか…」
美希「…なりふりかまわないくらい、追い詰められてたりしてるのかも」
8:
春香「美希の言う事、案外間違っていないかもしれないね…」
雪歩「千早ちゃんが、追い詰められてるって事ですかぁ?」
春香「千早ちゃん、ひとりで頑張りすぎちゃうところがあるから…」
美希「春香の言う通りなの。千早さんは頑張りすぎちゃうところが問題なの」
美希「もっともっと、ミキたちを頼ってくれたら嬉しいのに…」
雪歩「二人とも、ちょっと考えすぎ…だと思いたいですぅ」
春香「とにかく、あの本が何かわからないと、どうしようもないよね…」
ガチャ バタン スタスタ
千早「…」
9:
春香(千早ちゃんの雰囲気に押されて)
美希(ついつい、春香たちと離れちゃったの)
雪歩(うぅ…なんで私は給湯室に来ちゃったんでしょうか?)
千早「…」ペラッ
美希(雑誌を見てるフリして千早さんを観察するの)
春香(曲の確認するフリして…出来るだけ自然に…)チラッ
千早「…」ククッ
12:
春香(笑った…よね!?)
美希(口の端だけで笑ったの…千早さんが、黒い笑い方をしたの!)
春香(なんだろう…さっきは悔しい感じや怒りの感じ…だけど今度は違う)
美希(相手を騙す、悪い女に見えてきたの…!)
千早「…」フフッ
美希(やっぱり…あれこの間、でこちゃんが練習してた、『クールな女の笑い方』なの!)
13:
美希(千早さんに、悪女役の仕事が来た…のかも)
美希(千早さんは、凛とした中にはかなげなものも持ってて)
美希(なんていうか、孤高の存在って感じなの)
美希(他を寄せ付けない雰囲気もあるけど、実際はすごくやさしいし)
美希(歌だけじゃない、自分の芯をしっかり持ってる、ミキの憧れなの)
美希(ハニーが千早さんに悪女の仕事を持ってきたのかな…?)
美希(…)
美希(意外とハマる気もしてきちゃったの…さすがハニーは敏腕なの!)
美希(ミキに全力を注ぎながら他のメンバーにも気を配るなんで、本当にデキる子なの!)
美希(ミキ的には、あずさの悪女とかも、すっごい似合うと思うなー)
14:
春香(イヤホン両方着けちゃったから、千早ちゃんの声は聞こえない…)
春香(でも、さっきの表情は、ほんの少しだけ笑ったよね)
春香(面白いから笑う って感じじゃなくて、なんていうか)
春香(『なに?あなたずいぶんやるじゃない』みたいな)
春香(上から目線?全てを見切った感じ?)
春香(…わからない。わからないよ!千早ちゃん!)
春香(そういう役柄が回ってきたなんて、そんな話も聞いていないし)
春香(…あ)
春香(イヤホン片方だけにすれば、声も聞こえるね)
15:
千早「…」ペラッ
千早「…やっぱり」ペラッ
千早「…」ペラッ
千早「…」ペラッ
千早「…次はベンチね」ペラッ
千早「…」ペラッ
千早「…やっぱり」ペラッ
雪歩「千早ちゃん、お茶どうぞ?」ニコニコ
16:
千早「えっ、あ、ありがとう、萩原さん」
雪歩「どういたしましてですぅ?」スタスタスタ
春香(ゆゆゆ雪歩!?逃げ込んだ給湯室といつものお茶くみを使った頭脳プレイだけど!)
美希(すっごいの、雪歩。あんな大胆に攻めるなんて…恐ろしい子!)
雪歩「千早ちゃん、昆布茶どうぞ?」ニコニコ
春香(また来た!雪歩それはムリがあるよ!)
千早「ありがとう萩原さん」
春香(普通に飲んだ!)
17:
千早「…」スッ スタスタ ガチャ バタン
春香「…」
美希「…」
雪歩「…」
美希「雪歩は大物なの」
春香「本当だよ。最初のお茶は、勇気ある凄い作戦だと思ったけど」
春香「その直後に、違うお茶も持ってくるなんて思わなかったよ」
美希「さすがのミキも、あれはまねできないと思うな」
雪歩「でも、肝心の本の中身はわからなかったですぅ…」
雪歩「二杯目を普通に飲まれちゃって、私の方が動揺しちゃいましたし」
18:
春香「表情は変わらなかったけど、何か呟いてたね」
美希「『やっぱり』と『次はベンチね』って」
雪歩「ベンチって、やっぱり公園のベンチかなぁ?」
春香「弁知:わきまえる、思慮分別がある って言葉もあるみたい」
美希「耳にタコのタコも、胼胝(べんち)っていうらしいの」
雪歩「あ、ベンチマークとかも聞いたことありますぅ」
三人「うーん」
春香「なんだか、ますます謎が深まってきちゃったなー」
21:
雪歩「そういえば、時々外に出て行ってるけど、あれはどこに行ってるのかな?」
春香「本を読むのに疲れて、気分転換に行ってるのかと思ったけど」
美希「それだけじゃない気もしてきたの」
「ただいまー」
律子「あら?三人とも難しい顔して、どうしたの?」
美希「律子…さんなら何か知ってるかもしれないの」
春香「あの、実は…」
22:
律子「なるほど、千早がねえ…。」
雪歩「律子さんは、何か聞いていませんか?ドラマのオファーがあったとか…」
律子「うーん…私はそういう話、聞いていないわ」
律子「千早本人かプロデューサー殿に確認、とってみるわね」
春香「ちょ、ちょっと待ってください!」
春香「もしかしたら、千早ちゃん、悩んでるかもしれないけど」
春香「自分なりにそれを打破しようとしてる様にも見えたんです!」
春香「だから、あの…千早ちゃんが自分から言ってくれるまで、待ってくれませんか?」
律子「…一番身近で千早の事を見ている春香がそこまで言うなら、もう少し様子を見ましょうか」
律子「で・も!千早に少しでも何かあったら、すぐに相談する事!」
律子「あななたちもよ?悩みがあったりしたら、バンバン相談しなさい?」
24:
ガチャ バタン スタスタ
千早「…」ペラッ
春香(帰ってきたらすぐに本を読み始めてる)
春香(…? でもこれって、普通の事じゃない?)
春香(私だって本読むし、それが難しい本で、表情が硬くなる事もある…よね?)
春香(もしかして、私たちの考えすぎ…?)
千早「…」ペラッ
千早「…春香」
春香「!? は、はいっ!」
千早「枕…って、重要なのよ。おかしな眠り方は体に不調をきたすわ」
千早「ちゃんと、自分の体にあう枕を見つけられるといいわね」
25:
千早「…」ペラッ
春香(今日も本読んでる…)
雪歩(昨日と同じ本…?なのかな)
美希(眠いけど、千早さんの方が気になるの)
千早「…行ってきます」スッ スタスタ ガチャ バタン
美希「千早さん、今日は…」
雪歩「やよいちゃんと一緒に、お料理さしすせその収録になってますぅ」
春香「そっかー、今日は調査できそうにないかもね」
雪歩(調査!?)
美希(調査って言ったの)
27:
「うっうー!ただいまかえりましたー!」ガルーン
美希「やよい、おかえりなの!」
雪歩「やよいちゃん、おかえりなさい」
春香「おかえり、やよい」
やよい「ただいまですー!みなさんお菓子タイムですかー!」
美希「やよい、シルベーヌあるの!」
雪歩「歌舞伎揚げもありますぅ?」
春香「チーズおかきもおいしいんだよ!」
やよい「う?!ここはお菓子天国ですー!」ウッウー!
29:
やよい「千早さんですか?」ボリボリ
春香「うん、今日のお料理さしすせそ、どんな感じだった?」ボリボリ
やよい「えーと、ずっとニコニコしてて、すっごく楽しかったです!」ボリボリ
美希「休憩中とか、何してたの?」モフモフ
やよい「休憩中も、千早さんとお料理のお話です!」モフモフ
雪歩「へ?。じゃあ今日はお料理デーだったんだぁ」バリバリ
やよい「そーなんです!千早さんも最近、自分で料理してるらしくて」バリバリ
やよい「なんでそんなに、千早さんの事が気になってるんですかー?」ボリボリ
春香「えーと、千早ちゃんってお料理苦手だったでしょ?」バリバリ
春香「だから心配になっちゃって…」ボリボリ
やよい「なるほどですー」モフモフ
31:
やよい「みなさんはまだ帰らないんですか?」モフモフ
春香「うん、もうちょっとゆっくりしていこうかな って」モフモフ
美希(雪歩おすすめの歌舞伎揚げ、お茶によくあうの)バリバリ
雪歩(美希ちゃんおすすめのシルベーヌ、おいしくて止まりません?)モフモフ
やよい「」
やよい「」ジーッ
美希「やよい、お菓子はたくさんあるから、お土産に持っていくといいの」
やよい「本当ですか!」ガタッ!
雪歩「うんうん、たくさんあるから好きなの選んでいいよ?」
春香「ほらやよい、チーズおかきあるよ、チーズおかき!」
36:
雪歩「ふぅ」
美希「いい事をした後は、気持ちがいいの」
春香「やよい、すっごいニコニコして帰ってったね」
雪歩「私のおすすめお菓子も、すっごい喜んでくれました?」
美希「小鳥の秘蔵お菓子コレクション、こうやってみんなで食べる方が、お菓子も喜んでるはずなの」
美希「一人でこっそり食べてる小鳥は、反省した方がいいと思うな」
ガチャ バタン スタスタ
37:
春香「あ、千早ちゃん!おかえりなさい!」
千早「ただいま、みんな」
雪歩「千早ちゃん、一緒にお菓子食べない?」
美希「おいしいバタークッキーがあるの!」
千早「ごめんなさい、今日はもう、帰ろうと思うから…」
春香「そっかー…。じゃあまた明日ね、千早ちゃん!」
雪歩「やよいちゃんが、お料理さしすせそ、とっても楽しかったって言ってました?」
美希「千早さん、気をつけて帰るの」
千早「ええ、みんな、ありがとう。また明日ね」 ガチャ バタン
38:
春香「いつもと変わらない千早ちゃんだったね」
雪歩「やっぱり、私たちの考えすぎなんでしょうか??」
ガチャ
千早「そういえば美希」
千早「あなた、おにぎりは表と裏、どちらから食べる派?」
千早「」バタン
ガチャ
千早「それとも反対側からかしら」バタン
春香(時間差だー!)
42:
美希「」
雪歩「美希ちゃん、大丈夫…?」
春香「どういう事なんだろう…そもそも、質問の意味がわからないよ」
美希「おにぎりの表?裏?いったいどういう事なの…」
美希「こっちから見たら表、むこうが裏。でも反対から見たら…」
(千早『それとも反対側からかしら』)
美希「反対側って何?ミキが今、見てるのはどっち側なの!?」
美希「ミキが見てる…?見てるのはミキなの?おにぎり?ミキが見てるってなに!?」
春香「ちょ、ちょっと美希!落ち着いて!自分で勝手に難しくしちゃってるよ!」
雪歩「そうだよ美希ちゃん!自分で穴掘って埋まっちゃってるよ!それ私の役だよ!」
44:
千早「…」ジーッ
春香(あれ…?今日は本じゃない)
雪歩(千早ちゃんが、ポータブルDVDプレイヤーで何か見てますぅ…)
美希(一晩寝てわかったの。おにぎりはおにぎりなの!表とか裏とか、そんなのないの!)
千早「…」ジーッ
春香(イヤホンしてるから、何のDVDかわからないけど、真剣な眼差し…)
雪歩「千早ちゃん、お茶どうぞ?」ニコニコ
47:
雪歩「チラっと!チラっとだけ見えました!」
雪歩「アクション映画っぽい感じでした!」
雪歩「カンフーっていうんですか?あんな感じのアクションですっ!」
美希「カンフー…」
春香「やっぱり、演技か何かの仕事のために勉強してるのかな」
美希「いままではそういうの、真君や響にやってもらう事が多かったけど」
美希「千早さんがアクションしたら、みんなびっくりするし、かっこいいと思うな」
美希「チャイナドレスとか、すっごく似合いそうなの!」
春香「千早ちゃんのチャイナドレス…」
雪歩「とっても似合いますぅ…」
49:
「たっだいま→!」
「帰ってきたYO!」
亜美「おっ!千早お姉ちゃん、何見てるの?」
真美「DVDプレイヤーなんて持ってきて、もしかしてむっふっふ?なものですか!?」
春香(ナイス亜美、真美!私たちに出来ない事を平然とやってのけるっ!)
亜美「#□∀」
真美「○×△」
千早「????///」
春香「のヮの」
亜美「おじゃましました、千早お姉ちゃん!」
美希「亜美、真美、ちょっと来て欲しいの」
51:
真美「どったの?」
亜美「お三方、なにやら怪しげで楽しげなふいんきですな?」
雪歩「千早ちゃん、どんなDVD見てたのかなぁ って」
真美「ん?え→っとね」
亜美「ダメだよ真美!敵にタダで情報を与えるなんて!」
亜美「使えるものは最大限に利用!計画的にごりYO!」
雪歩「あぁ、ルマンドとバームロールっておいしいなあ♪」モグモグ
春香「んー!チーズおかき!チーズおかきはおいしいYO!」バリバリ
美希「やっぱりエブリバーガー最高なの」ボリボリ
あみまみ「条件提示くらいは、聞いてやろうではないか」
54:
亜美「でね→」ボリボリ
真美「カンフーのにーちゃんたちがね→」バリバリ
美希「ちょっとふたりとも、お菓子ばっかり食べないで少しはDVDの事を言うの!」
亜美「カンフーの」「カンフーの」
真美「にーちゃんたちが」「にーちゃんたちが」
美希「卒業式みたいにやってもダメなの!」
雪歩「カンフーのところで、話がずーっとループしてますぅ…」
春香(お菓子はたくさんあるし、そのうち飽きるよきっと)ボリボリ
57:
雪歩「へぇ?…」
春香「カンフー少年をロボットがビームで蹴散らして」
美希「解決したと見せかけて、恐怖の大王が襲ってきて」
雪歩「アルバイトに受かる ですかぁ…」
真美「あれっ!?」
亜美「真美、これ亜美たち絶対疑われてるよね…」
真美「本当だよっ!真美たちウソなんて言ってないって!」
亜美「ちゃんとタイトルだって聞いたんだYO!」
58:
美希「タイトル!なんてタイトルなの!?」
真美「え?…っと」
亜美「あり…あしがい?ざりがに?」
真美「…コカイン?クレマチス?クローン?」
亜美「ほうぼう?ごうこん?ごるごん?」
真美「…」チラッ
亜美「…」チラッ
あみまみ「さ、サイクローンGOGO…?」
61:
春香「サイクローンGOGO…」
雪歩「インターネットで検索しても、それっぽいの見つかりません?」
美希「答えたふたりの不安いっぱいな顔を見たら、見つからないのも当然だと思うな」
春香「でも、アクションものっぽいのは確実みたいだね」
雪歩「アクションかぁ…やっぱり、そういうお仕事が千早ちゃんに来たって事なのかなぁ」
千早「DVDも見終わったし、今日はそろそろ帰ろうかしら…」
春香「まだ夕方前だね」
美希「ちょっと追跡してみるの」
雪歩「えぇっ、美希ちゃん、それはちょっといけないよう…」
62:
雪歩「ホシは、不穏な行動を見せず」
美希(春香、雪歩がなんだか生き生きしてるの)
春香(うん。私もちょっと戸惑ってるんだ)
雪歩「あっ!公園、公園に入っていきますよ!」
美希(はしゃぎっぷりが、あみまみみたいなの)
春香(きっとこういうの、一度やってみたかったんだと思うよ)
雪歩「ほらふたりとも!ゆっくりしてると見逃しちゃうよ!」
68:
春香「ベンチに座ってるね」
千早「ふぅ」
春香「空を見上げてる…」
雪歩「どうしたんでしょうか…」
千早「はぁ」
美希「千早さん、今度は頭を抱えてうつむいてるの…」
春香「これって。もしかして、相当深刻な悩み…!?」
千早「…」スッ スタスタ
雪歩「帰るみたいですぅ」
春香「千早ちゃん、大丈夫かな」
美希(千早さん…)
69:
春香「私たちも、ベンチに座ってみない?」
美希「?」
春香「千早ちゃんと同じ事をしてみれば、もしかして気持ちが少しわかるかも!ってね」
雪歩「同じ事っていうと…空を眺めたり、頭を抱えてみたり?」
美希「うーん、それで何かわかるとは思えないけど、一応やってみるの」
春香(そらきれい)
雪歩(あのプールの下にはロボット基地がありそうです?)
美希(アリさんが頑張ってるの)
74:
春香「私たちが、ですか?」
律子「ええ、そうよ」
美希「そんなことないよ!律子…さん」
雪歩「ふえぇ、それは誤解ですぅ」
律子「悩みがあったらすぐ相談する事!言ったわよね?」
律子「まったく…。ミイラ取りがミイラになるって言葉、知ってる?」
春香「誤解ですって!どこからそんな情報が入ったんですか?」
「わたしくです」
76:
美希「貴音が…?」
貴音「ええ。わたくしが、べんちに座るあなたがたを見て、律子嬢に相談いたしました」
貴音「最初は、三人で空を眺めていましたから、気分転換でもしているものかと思いました」
貴音「ですが、次はみなで、うつむいているではありませんか」
貴音「そこで ぴーん ときたのです。ああ、これはきっと、何か悩んでいるのでは と」
貴音「空に『こうなりたいな』という希望を映し」
貴音「地面に映る、己の影を見て、まだ飛べていない現実を知る」
貴音「理想と現実…そのぎゃっぷというものに、いつの時代も人は苦悩するものです」
貴音「わたくしだって…身近なぎゃっぷに苦悩する事があるので、よくわかります」
貴音「食品さんぷると、出てきたもののぎゃっぷ…」
貴音「小さき事 と思われるかもしれませんが、わたくしには、とても大きなしょっくなのです」
貴音「しかし、らぁめん二十郎という店舗は、いい意味でのぎゃっぷを」
律子(長い)
78:
貴音「つまり、あなたがたは、千早の行動を真似てみただけだと」モグモグモグモグ
雪歩「そうなんですよ?」モクモク
貴音「相手の気持ちを知るために、同じ環境に立ってみる…」モグモグモグモグ
貴音「それは、真よき考えかと。みなは優しいのですね」モグモグモグモグ
律子「千早がそんな行動をね…ちょっと、本格的にマズいんじゃない?」モスモス
春香「亜美たちの話から、見ていたDVDはアクションものっぽいとはわかったんですけど」ボリボリ
美希「本やDVDも気になってたのに、あんな姿見せられたらまた心配事が増えたの」モシャモシャ
貴音「はて、ちょこりえーるが無くなったようです」モグモグモグモグ
貴音「次はぶらんちゅーるを開けましょう」
79:
「えっ?ボクが千早から?」
春香「うん、何かアクションの相談とか、受けてないかなー って」
真「うーん…。ずっと前に、ダンスで使えそうだから って」
真「足を上げた時の、バランスの取り方のコツは聞かれたけど」
真「アクションのコツなんてものは、聞かれた事が無いなあ」
春香「そっかー…。ありがと、真」
真「何かあったの?」
雪歩「実はね、真ちゃん」
83:
真「そんな事があったんだ…」モグモグ
美希「そうなの…。千早さんの事、心配なの」モサモサ
春香「大丈夫だと思いたいんだけど、やっぱり心配で」バリバリ
雪歩「真ちゃん、真ちゃんも何かあったら、私たちに頼っていいんだよ?」ポリポリ
美希「? どうしたの、真君?」モサモサ
真「ん?ああ、えっとね」モグモグ
真「春香たちの言う、『自分なりに打開してほしい』って気持ちもわかるけど」
真「もしだよ?もし、本当に千早が追い詰められていて」
真「追い詰められているけど、自分からは誰にも相談できない状況だったら?」
真「見守る事が、結果的に見殺しになっちゃったら、って思って…」
87:
春香「…」
雪歩「そ、それは」
美希「そういわれると、困るの…」
真「ごめん。あくまで最悪の事態を考えてみたら、って事なんだけどさ」
ガチャ バタン
千早「ただいま帰りました。あ、みんな、おやつタイム?」
春香「うん!ちょっと時間遅いけど、甘いものはエネルギーになるから」
美希「千早さん、さくさくパンダ、おいしいよ!」
雪歩「千早ちゃん!ふ菓子の二度塗りもおいしいよ?」
真「ひもQ!超ひもQもあるよ!」
春香「チーズおかき!チーズおかき!」
93:
キャッキャウフフ
千早「あ、もうこんな時間。そろそろ私、帰るわ」
春香「うん、千早ちゃん、また明日」
美希「千早さん、また明日なの」
雪歩「千早ちゃん、気をつけてね」
真「お疲れ様、千早。また明日!」
千早「ええ、みんな、また明日」
ガチャ バタン
96:
真「普段通りの千早にしか見えなかったけど…」
雪歩「うん、私もそうとしか思えなかったなぁ…」
ガチャ
千早「そういえば、わさびを食べて鼻がつーんとした時はね」
千早「…」バタン
春香「」ドキドキ
美希「」ドキドキ
雪歩「」ドキドキ
真「?」
春香(今度は来ない!)
98:
春香「千早ちゃんは」
雪歩「『わさびを食べて鼻がつーんとした時はね』と言って」
美希「普通に帰ったみたいなの」
春香「新しいパターンだね」
雪歩「身構えてたのに、見事に騙された感じですぅ…」
美希「…」ペチペチコネコネ
「ちょっとあんたたち、そんなところで何やってんのよ」
102:
雪歩「伊織ちゃん、おかえりなさい」
春香「おかえり、伊織」
伊織「ただいま。途中で、グミを食べて上機嫌な真に会ったわよ」
雪歩「真ちゃん、さっきまで私たちと一緒にお菓子食べてたから…」
伊織「あれひもQよね?まだあるの?」トントン
伊織「ん?」
美希「おかえりなの、でこちゃん。ひもQは無いけど、お寿司があるの」
伊織「お寿司?なに、出前でも取ったっていうの?」
美希「まあ、そんなとこなの」
103:
伊織「ほんっとにね!信じらんないわよ、この金髪!」
伊織「なんで手巻き寿司自作してんの!どこから酢飯と海苔持ってきたのよ!!」
伊織「それはまだ許すわよ!中身よ、中身!」
伊織「中身わさびじゃない!中身!わさび!な・か・み!わ・さ・び!」
伊織「そんなものを人に食べさせるなんて、どうかしすぎよあんた!」
美希「つーんと、した?」
伊織「は?」
美希「わさび食べて、鼻、つーんとした?」
伊織「つーん どっこじゃないわよ!見てわかんない!?泣いてるのよ!」
109:
雪歩「伊織ちゃん、大丈夫ですかぁ?」
伊織「いまはもう大丈夫だけどね、今度こんな事やったら、本当に許さないんだから!」
美希「以後、気をつけます」
伊織「口ばかりの反省はいらないわよ!」
美希「…」スッ
伊織「!」
伊織「あ、あんたも本当に反省してるみたいね!」
春香(たべっこどうぶつだ)
雪歩(伊織ちゃん、たべっこどうぶつ好きなのかなぁ)
110:
伊織「千早の様子がおかしい、心配だって言ってるけどね」
伊織「あんたたち、仲間のひとりも信じられないわけ?」
雪歩「でも真ちゃんが、『見守る が 見殺し になるかも』って…」
伊織「それは真が、いっちばん最悪の場合って考えで言った事でしょ?」
伊織「そんな事は絶対に起きないわよ。絶対。私が言い切るわ」
伊織「そりゃ、確かに千早は、一人で出来る事は一人でやろうとする」
伊織「当然、痛い目も見てきた事でしょうね」
伊織「でも、痛い目を見てきた頃の千早と、いまの千早は違うの」
伊織「千早は変わったわよ。もちろんいい方向にね」
伊織「私は千早を信頼してるの。大丈夫だと思う理由なんて、それだけで十分すぎるわよ」
114:
春香「おはようございまーす」
あずさ「あらあら、春香ちゃん、おはよう」
春香「あれ、あずささん、今日はずいぶん早いんですね」
あずさ「そうなの?。今日は、あず散歩の特番ロケがあって」
あずさ「『耐久あず散歩』ってタイトルなんだけど、なんで耐久なのかしら?」
春香「特番って事は、誰かゲストもくるんですか?」
あずさ「ええ。千早ちゃんと、雪歩ちゃんがゲストに来てくれるの」
あずさ「本当はみんなで一緒に、お散歩してご飯食べて ってやりたいんだけど」
あずさ「人数的なもので、それは厳しいんですって。残念ね?」
116:
春香(耐久あず散歩かあ…楽しそうだけど、どうなるんだろ)
春香(きっと今日は、千早ちゃんも雪歩も事務所には来ないんだろうな)
春香(もしかして、明日になってもロケが終わらない なんて事はないか)
春香(歩きすぎて筋肉痛 って事はあるかもしれないけど)ふふっ
春香(今日はテレビの台本でも読み込んでおこっと)
117:
春香「おはようございまーす」
あずさ「あらあら、春香ちゃん、おはよう」
春香「あれ、あずささん、今日もずいぶん早いんですね」
あずさ「昨日、あず散歩の特番ロケで早起きしたから、今日も早く目が覚めちゃって?」
春香「ロケ、どんな感じだったんですか?私も行きたかったなあ」
あずさ「もう、すっごく楽しくて!普段も楽しいけど、誰かと一緒だともっと楽しいわね?」
あずさ「春香ちゃん、次の特番は、ぜひ一緒にお散歩しましょうね」
春香「楽しみにしてます!ウチの近くの山、てっぺんにアスレチックがあるんですよ!」
あずさ「そんな面白い場所があるの?」
春香「てっぺんから、海も見えるんですよ。でもそこまでの階段がキツくてキツくて…」
あずら「いい運動になりそうね?」
120:
あずさ「海と言えば…」
春香「?」
あずさ「昨日のロケ、海沿いと、お寺と、古い町並みを歩いたの」
あずさ「それでね、海に向かって、おもいおもいの言葉を叫んでみよう ってなって」
春香「海に行くとやりたくなりますよね。あずささん、何て叫んだんですか?」
あずさ「えっ?えーと、普通に『海のバカヤロー』って」
春香「雪歩はきっと…悩みに悩んで、『うーーみーーーー』とかですか?」
あずさ「春香ちゃんすごいわねー。言葉も、悩んだってところもあってるわよ」
春香「えへへ。雪歩なら、きっと迷って迷って、こうなっちゃうかな って」
あずさ「それで、千早ちゃんなんだけど…」
あずさ「海を指差して『塩辛いんだよ!』って」
春香「声、通ってました?」
あずさ「それはもう、すっごく」
123:
春香「という話を、あずささんから聞いたんだけど」
雪歩「あの時のびっくりした私の顔、絶対オンエアで使われますぅ…」
美希「千早さんのそんな姿、ミキはなかなか想像できないの」
美希「生っすかの時は、振られてもなかなかそんな風にやらないのに」
春香「あず散歩は収録で、編集してもらえる気楽さがあったから挑戦したのかな」
雪歩「」チョイチョイ
春香「?」
美希「?」
雪歩「あれ…」
響「…」プルプル
130:
春香「響ちゃんが本読みながら…」
美希「あの感じ…見た事あるの!」
雪歩「最初の、千早さんの反応と一緒ですぅ!」
響「…これは」ククッ
春香「チャンスかもしれないよ…!」
美希「響と、千早さんの読んでる本が同じだったら…!」
雪歩「一連の謎が解けるかもしれないです!」
135:
春香「えー、あー、我那覇響君…だね?ちょっといいかな」
響「えっ!?春香?なんだその呼び方?」
美希「響、完全に包囲したの!」
雪歩「か、覚悟しなさいっ!」
響「ちょ、え、自分、何かした…のか?」
春香「重要参考人として、事情を聞かせてもらおうか、我那覇響君」
響「重要参考人!?理由を聞かせてほしいぞ!どうなってるんだ?」
美希「事情は署の方で聞くの」
雪歩「弁護士を呼ぶ権利もあげますっ!」
響「なんだこれ!理不尽だ!」
138:
響「それで、なんなのさー?こんなおふざけは亜美たちの役まわりだぞ」
春香「えへへ、ちょっと悪ふざけしてみました」
美希「春香のアドリブに乗ってみたの」
雪歩「頑張りました!」エッヘン
響「えぇ…あれアドリブだったのか…。すっごいびっくりしたんだぞ」
春香「ごめんね、響ちゃん。ちょーっとだけ、聞きたい事があって」
響「聞きたい事?」
美希「黙秘権はあるけど、使用は認めないの」
響「美希、まだ容疑者ごっこやってるのか…」
雪歩「単刀直入に聞きます!さっき読んでいた本は一体なんだー!」ドン!
響「春香…さっきから思ってたけど、雪歩が一番ノリノリだぞ」
響「本を出せば、とりあえず解放してくれるのか?これさー」ガサガサ
『王様はロバ ?はったり帝国の逆襲?』
143:
春香「なにこれ」
美希「響…ミキ、嘘は好きじゃないよ」
雪歩「漫画?」
響「嘘なんかついてないぞ!」
響「ギャグ漫画だけど、笑うのがなんだか恥ずかしくて」
響「我慢してたから、プルプルしてたんだぞ!」
響「嘘だと思うんなら、三人とも読んでみるといいさ!」ドサドサッ
?????
春香「…くっ」プルプル
美希「…」ピクッ
雪歩「…」フフッ
響「…鉄のお茶碗」プルプル
春香「…バカな家族にバカ売れ」
四人「…」ブフッ
145:
響「千早が?」
春香「うん、響ちゃん、何か知ってるかなーって」
響「知ってるぞ」
美希「え」
響「千早が読んでる本、何か知ってるぞ」
雪歩「本当っ!?」
響「千早に読ませてもらったし、自分も王ロバ読ませたぞ」
響「反応は芳しくなかったけど…」
春香「ねえっ!千早ちゃんが読んでた本って何!?」
響「あれ、クロマティ高校だぞ」
雪歩「ん?」
響「クロマティ高校だぞ」
152:
千早「おはようございます」
千早「…」ペラッ
春香(本だ)
美希(本なの)
雪歩(本です?)
千早「…」スッ スタスタ バサッ ガチャ バタン
春香「!!」
雪歩(千早ちゃんが、本を…!)
美希(これ…ついにチャンス到来って事!?)
154:
春香「本、落としていったね」
雪歩「カバーがついてるから、何の本かわからないですぅ」
美希「ミキ、前に言ったの。勝手に見るのは失礼 って」
美希「でも、もういい加減、我慢の限界なの。ねえ春香!もう見てもいいよね!?」
春香「美希…。雪歩も、いいよね?いくよ!」
雪歩「うん!」
『魁!!クロマティ高校』
163:
春香「本当だったんだ…」
美希「響、ごめんなさい。ミキ、本当は少し疑ってたの」
雪歩「千早ちゃんがこれを…?」
春香「とりあえず、読んでみようか…」
美希「うん…」
雪歩「そうだね…」
167:
春香「…」ブフッ
美希「…オチはきっとゴリラ」プルプル
雪歩「…ベンチ」orz
?????
春香「響ちゃんの証言もあるし、間違いないね」
美希「千早さんがずっと読んでいた本は、この漫画なの」
雪歩「いままでの行動を思い返してみると、共通点もありますぅ」
美希「でも、なんでこの漫画を読んでいたのかな?千早さんがすすんで読むものとは思えないの…」
春香「うーん…」
雪歩「美希ちゃんが前に言ってた、生っすかの事とかに関係あるんじゃ…」
170:
雪歩「千早ちゃんってバラエティとか、あんまり得意じゃないから」
春香「こういった漫画から、少しでもお笑いに慣れていこうとした って事?」
雪歩「うん。自分なりに勉強したから、海に『塩辛い!』とか言えたんだと思うなぁ」
美希「じゃあミキが言われた『おにぎりの表と裏』とかも…」
雪歩「千早ちゃんなりにお笑いを考えて、試してみたんだと思うよ」
雪歩「番組でいきなり挑戦するよりも、事務所で私たちに試して、反応を見たかったんだよ、きっと」
春香「お茶二連続を普通に飲んだのも、変な事に対して普通に接する、ギャップの笑いを誘ったと…」
172:
春香「私たちの思ってた、壁を自分なりに打破しようとしてる って、正解だったんだね」
美希「むー。すっごい悩みかと心配して、損したの」
雪歩「美希ちゃん、よかったんだよ、深刻な悩みじゃなかったんだもん」
ガチャ バタン スタスタ
千早「…」ペラッ
春香「千早ちゃん!」
千早「春香、どうしたの?」
雪歩「千早ちゃん!次の生っすか、期待してますぅ!」
美希「ミキにもどんどん、話振ってほしいの!」
千早「みんな…どうしたの、急に?」
174:
春香(千早ちゃんも、苦手を克服しようと頑張ってるんだ)フフッ
美希(やっぱり、千早さんはミキの憧れなの!)ニコニコ
雪歩(千早ちゃん、もしバラエティのお仕事がきたら、一緒に頑張ろう!)ギュッ
千早「…」ペラッ
千早「…ふう、全17巻、読み終わったわ」パタン
千早「……あら?」
千早「これ『巡ろう!世界遺産』じゃなかったのね!」
はるみきゆきぽ「それは間違えないよ普通!!!!」
おわり
175:
乙wwww
なんかほのぼのしたわwww
176:
クロマティなオチじゃねーか
181:
春香「でもさ、千早ちゃん、あの漫画どうしたんだろうね」
美希「んー、あみまみ、響あたりから借りたと思ったのに、違ったの」
雪歩「最近は漫画のレンタルしてるお店もあるから、そこから借りたのかも」
「私よ」
小鳥「千早ちゃんにクロ高貸したのは、私よ」
小鳥「『心温まる人間愛の本を貸してください』って言われて、間違えちゃった」テヘ
182:
小鳥「あ、あれー?みんな、どうしたのかなー?」
美希「小鳥…。小鳥は悪い子なの」
春香「そうだね…。悪い鳥だね…」
雪歩「人を振り回す、害鳥ですぅ…」
小鳥「え?え?ええええええ!?」
美希「小鳥悪い子!」
春香「小鳥悪い子!」
雪歩「小鳥悪い子!」
千早「小鳥悪い子!」
千早「小鳥悪い子!」
千早「こと あれ?」
はるみきゆきぴよ「お前が言うな!!!!」
186:
春香「千早ちゃん、DVD見てたよね」
美希「うん」
春香「あれはなんだったのかな?」
美希「雪歩の証言とあみまみの証言で、アクションっぽいとは思うの」
テケテケー
雪歩「大変ですぅ!、これ、見てください!」
『魁!!クロマティ高校 THE MOVIE』ドドーン
春香「実写版…!」
美希「千早さん、そんなところまでチェックしてたの!?」
188:
オチまでクロマティじゃねーかwwww
おつwww
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