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魔女「はぁ……貴方、また来たの?」
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1:
魔女「これで、何度目かしら?こーんな危ないところに来て、痛い目見てもしらないんだから。……ほら、危ないでしょ、さっさと入りなさい」
魔女「紅茶でいい?………しっかし、貴方は毎回毎回、なぜこんな辺鄙なところに来るのかしら?」
魔女「この森には魔物もたくさんウロウロしてるっていうのに…なにか、そんなに大事な用事でもあるの?」
魔女「……私に用、って…失礼だけど、私と貴方って、そんなに仲良しだったかしら?」
魔女「………ああ、そう、そう言うことね…ふぅん、なるほど…」
魔女「はぁ…まったく、こんな地味なオバサン相手に、一目惚れもなにもないでしょうに…馬鹿なのかしらこの子」
魔女「だいたい里のほうでは、私は森の魔物を作り上げてる、魔物の親玉で通ってるんでしょう?」
魔女「…貴方も、こんな悪ーい悪ーい魔女の館に出入りしてたら、実験材料にされて酷い目に合うわよ?」
魔女「きっと痛いわよー?刃物で全身切り刻まれて、ヘンな薬やらなんやらの材料にされちゃうんだから。…だから、早くお帰り」
魔女「……はぁ。…貴方も大概、暇よねぇ。」
魔女「………ニヤニヤするんじゃない、馬鹿」
みたいなのどうよ
24:
魔女「………はぁ。また貴方なのね……ま、いいわ、お上がりなさい」
魔女「…雨、酷かったでしょ。ほら、これで拭きなさい。……まったく、こんな大雨の中よくやるわ」
魔女「…それで?今日も愛しのお姉さんに会いに、わざわざ魔物を蹴散らし蹴散らしやってきたわけ?」
魔女「こんな盲目男のエゴのためにやられる魔物…なんだか同情しちゃうわ」
魔女「……べつに、嫌だなんて言ってないわよ。…嬉しいとも言ってないけど」
魔女「…ああ、お茶、お茶淹れましょう。寒かったでしょう?風邪でもひいたら大変だわ」
魔女「……心配してるわけじゃないわよ?こんなとこで風邪ひかれて居座られても迷惑なだけって言いたいの」
魔女「…そんな、その手があったか、みたいな顔しないでよ、馬鹿。言っとくけど、看病なんかしてやらないからね」
魔女「………傷ついた?…心配じゃないなんて言われてさ。」
魔女「……ああ、そう。…はぁ、そうよね。貴方ってそういう人だものね…」
27:
魔女「…………雨。」
魔女「…雨、止まないわね。どうするの?このままだと、日暮れになってしまうわよ?」
魔女「……そうね。雨が弱まったら早く帰りなさい。夜は魔物が凶暴になるし、流石の貴方も笑っていられなくなるわ」
魔女「それに…こんな、悪の親玉のところにいても、変な噂が立つだけだしね」
魔女「……そんなに必死に否定しないでよ、馬鹿ね。」
魔女「……でも、そんなに好きなのに、案外奥手なのね、貴方って。」
魔女「…なんでもないわよ、馬鹿。」
魔女「…………。」
魔女「……だいぶ小降りになったわね。…そろそろ帰る?」
魔女「…そう。それじゃ、また………いや、もう来ないでちょうだいね」
魔女「……ああはいはい、そうですか。もう勝手にしなさいな。私はいつでもこの家にいるから……それじゃ、また」
魔女「…あ、ちょっと待ちなさい。………これ、よければ持って行って。」
魔女「…風邪薬。……拗らせたら大変だから。」
魔女「…っ。うるさいっ、ニヤニヤするなっ!」
38:
魔女「……ああ、もう…いらっしゃい。」
魔女「はい。紅茶で良かったでしょ?………うん、いただきます。」
魔女「………。」
魔女「……最近里ではどんなものが流行ってるの?…ほら、どんな本が、とか、どんな服が、とか…いろいろあるでしょう?」
魔女「……ああそう。ふふ、くだらなくて面白いわね。ふふふっ」
魔女「…………。」
魔女「…ほら、すぐ会話が続かなくなる。…ごめんなさいね、人付き合いが下手で」
魔女「だいたいね、私は人が苦手なの。話すことも、目を合わせることだって下手なの。だからこうして人がいないところにいるわけ」
魔女「むかし里で学問を学んでいたころも、人と関わるよりも、本と向き合ってる時間のほうが何倍も多かったわ。たまに奇人なんて呼ばれてもいたくらい」
魔女「それなのに、貴方はなにが楽しくてこんなところに来るの?…私は楽しいけれど、私は貴方になにもしてあげられないわ」
魔女「……見る、だけ。…それだけ?本当に、それだけでいいの…?」
魔女「はぁ………まったく。貴方も、私に勝るとも劣らない奇人だわ」
魔女「……べつに、ニヤついてなんていないわよ。馬鹿、こっち見るな、みないでよっ、ばーか」
42:
男が来なくて心配編
魔女「………。」
魔女「……………。」
魔女「……遅い。遅いわ。いつもはこれくらいの時間になったらいつもの癪に障るニコニコ顔でここに来るはずなのに…」
魔女「…なによ……あれだけ毎日毎日、好き好き言っておきながら、結局これ?…貴方の『好き』って、この程度なの…?」
魔女「…………もしかして、魔物にでもやられたんじゃ……いや、彼はあれでも結構腕は立つみたいだし…いや、でも、万が一ってことも……」
魔女「……待て。待つのよ。なんで私が彼の心配をしなくてはならないの?もともと私はアイツを鬱陶しがっていたはずよ。それなのに…どうして…」
魔女「それに、今日はただ都合が悪かっただけっていう可能性もあるわ。うん、それが普通よ、普通のことなのよ」
魔女「彼があまりにも私の生活に干渉してくるから、ただ感覚が麻痺しているだけね。うん、きっとそうよ、そうに違いないわね」
魔女「……………。」
魔女「………ああ、もうっ!」
魔女「……散歩、そう、散歩よ。私は散歩をするだけ。薬の材料を集めがてら、その辺をブラブラするだけ、そう、それだけ。」
魔女「彼を探しに行くなんて、たったそれだけのために動くだなんて、そんな馬鹿なことをしにいくんじゃないの、そうよ、これは散歩」
魔女「………はぁ、まったく。世話の焼ける…!」
49:
倒れている男を発見編
魔女「…っ!あ、貴方っ、なんでこんなところにっ!」
魔女「これは……酷い熱…!どうしてこんな状態で会いに来たのっ!!」
魔女「…心配かけたくなかった、って…!馬鹿じゃないのっ!?今心配かけたらどちらも変わらなじゃないっ!むしろ悪いわよっ!!」
魔女「もう…もうっ…!貴方は馬鹿っ!大馬鹿よっ!!こんな状態で会いに来られても、ぜんぜん嬉しくなんてないわよっ!!」
魔女「そんなに疲れが溜まっていたのなら……そんな、無理して来なくてもいいから…!」
魔女「一日や二日くらい、会いに来なくたって…そんな、寂しくなんて、ないから…!」
魔女「寂しく思うのは……全部、貴方のせいなのよっ!貴方さえ現れなければ、私は…っ、こんな…っ!」
魔女「……しっかり肩に掴まっていなさい…!絶対、治してあげるからね…っ!」
57:
看病編(ってか看病後編)
魔女「………あら、目が覚めた?」
魔女「…………。」
魔女「……なによ。言っておくけど、貴方が今回のことを謝らない限り、話しかけても無視するから」
魔女「…ここまで連れてきたことじゃない。私が怒っているのは、無理して私に会いに来たこと」
魔女「私に心配かけたくなかった?ふんっ、嘘よ。貴方が私に会いに来たかっただけ。そうでしょう?」
魔女「貴方のワガママのせいで、私に心配をかけたのよ?はっきり言って迷惑。それならもう来ないでくれた方がよっぽど親切よ」
魔女「………ああ、もうっ!だからっ、私に会いに来るんなら!ちゃんと、元気な姿で!私にいつものニコニコ顔で会いに来なさいって言っているのよ!馬鹿っ!」
魔女「私はっ!貴方のいつもの優しい笑顔に会いたいのっ!…笑顔じゃない貴方なんて、見たくないの……」
魔女「だからっ!だからっ!早く元気になって、また早く私に会いに来てっていってるのっ!!
魔女「貴方は私が全身全霊を懸けて治してあげるからっ!!さっさと治してさっさと会いに来なさいよっ!!」
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