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【咲-Saki-】小蒔「分家のくせに出しゃばらないでください」
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1:
初美「…私がいつも通り稼げていれば…いえ、せめてくだらないプライドのために親に差し込むなんて馬鹿なことをしなければ…」
霞「いえ、私が稼げていれば良かったのよ、初美ちゃんは悪くないわ」
春「…私が勝っていれば良かった」
巴「いえ、春よりは、年長者たる私がなんとかしなければいけませんでした…」
バンッ!!!
初美「ひうっ!?」
霞「こ、小蒔ちゃん!?」
小蒔「…さっきから黙って聞いていれば…みなさん、ふざけないでください」ゴッ
春「」ビクッ
巴「姫様、何を?」
小蒔「たかが分家の者が、霧島の姫たる私が関わった試合の勝敗を左右するなど、傲慢にもほどがあります!」
霞「小蒔ちゃん…でも、実際、僅差の負けで全員にそれを巻き返すチャンスが…」
小蒔「黙りなさい、私の意見に口をはさむ気ですか?」ゴゴゴ
初美「ひ、姫様が怖いですよー…」
小蒔「もう一度言いますよ。あなた達ごときに最初から何も期待していません。すべては試合中に眠りに落ちるという失態を犯した私の不手際です」
春「寝てない姫様とか私たちの誰にも勝てないんじゃ…」
小蒔「あなたは黙って黒糖でもかじってなさい!」グイッ
春「」ポリポリ
小蒔「」モウイッコ
春「」パクッ
初美「えーっと?つまりどういうことです霞ちゃん?」
霞「察するに、本家の姫たる権威を使って、敗戦の責任を背負い込もうとしているわけね」
巴「…本当に、不器用な子ですね」
小蒔「」モウイッコ
春「」マダタベテル
小蒔「」ジー
春「」タベオワッタ
小蒔「」タベルカナ
春「」パクッ
初美「まあ、姫様に免じてみんなの責任は不問にしてあげますよー」
霞「なんで初美ちゃんが仕切るのよ…」
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2:
初美「インターハイが終わって戻ってきましたよー」
春「お掃除…」
巴「初美、さぼらないで」
初美「うー…巫女は辛いですよー」
小蒔「あなた達、何をしているんですか」ゴゴゴ
初美「普通にお掃除してるだけですよー」
春「…」コクコク
巴「日課をこなしているだけですけど…」
小蒔「分家の分際で本殿に上がるとは何事ですか!掃除は私がします!あなた達は社務所でスイカでも食べていなさい!」
初美「むしろ、分家の人間じゃないと出来ないからわざわざ私たちがやってるですよー」
春「分家で出来ないと、本家の人間に掃除をさせることになる」
巴「姫様、私たちに気を使うときにわざわざ本家の権威を盾にするのやめましょう?」
小蒔「うるさいうるさい!とにかく、お掃除は私がやるから皆さんは休んでてください!」
初美「駄々っ子モードですよー…霞ちゃん呼んでこないとダメですねー」
春「霞さんは外に用があって出かけてる…」
巴「姫様に掃除を押し付けて休んでるなんてことになったら我々が怒られるんです、聞き分けて下さい」
初美「おお、巴ちゃんが説得をはじめましたよー」
小蒔「いやですー!私もお仕事しますー!みんなに働かせて私だけ休むなんて嫌ですー!」
初美「おばば様でも呼びますかねー…あの人苦手なんですがー」
春「それしかない…」
巴「はあ、霞さんみたいにはいきませんね…」
3:
霞「小蒔ちゃん、正座」
小蒔「うっ…い、いくら霞ちゃんでも今回は聞きませんよ!私も皆さんと同じ仕事をするんです!」
霞「聞こえなかったみたいだからもう一回言うわね。…小蒔ちゃん、正座」ゴゴゴ
小蒔「…はい」正座
初美「流石ですよー」
春「姫様の扱いに長けてる…」
霞「あなたは本家の姫、私たちは分家、私たち以外の者が関わる場では立場をわきまえて頂戴と何度言えば分かるのかしら?」
小蒔「だって…」
霞「小蒔ちゃん?」ニコッ
小蒔「ナンデモアリマセン」
霞「よろしい」
初美「姫様の気持ちはありがたいのですがー、姫様に下々の仕事をさせると割と本気で怒られるのですよー」
小蒔「うう…」
春「一週間黒糖禁止は辛い…」ポリポリ
巴「よく太らないわねあなた」
春「それが自慢…」ニッコリ
霞「春、殺すわよ?」ニコッ
春「」ガタガタ
初美「はるる、霞ちゃんにそのネタはタブーですよー、胸に脂肪がついてて体重が重いのを気にしてるですー」
霞「初美ちゃん、後で折檻部屋ね」ニッコリ
初美「やなっこったですよー。大体、胸の分差し引いたら普通に標準より細めのくせに体重気にしてるのがおかしいですー!」
小蒔「そうですよ!霞ちゃん、私より腰回り細いのにダイエットとか嫌味ですか!?」
霞「小蒔ちゃん、それはそれ、これはこれなのよ」
4:
小蒔「…お見合い、ですか?」
こま父「うむ、小蒔も16を過ぎて結婚できる年齢だし、跡継ぎ候補を探そうと思ってな…」
小蒔「うーん…でも、この方は流石に…」
こま母「地元の有力者のご子息で、結婚は両家にとって良いことなのだけど…」
小蒔「うう…しかし、年が…干支が二回りも離れているのは流石に…」
こま父「まあ、そうだろうな…」
こま母「ごめんなさいね、この人は忘れて頂戴。もう少し年の近い方を探しておくわ」
小蒔「申し訳ありません、よろしくお願いします」
5:
霞「はあ…まあ、断れないわよねえ…」
初美「あー、まあ、政略結婚なら仕方ないですねー。どうしても嫌なら私が代わりますよー?」
霞「私が断ったらホントに初美ちゃんのところに行くわよこの話。家柄の格からして、薄墨が限界ね。つまり、私が断ったら初美ちゃんに拒否権はないわけ」
初美「だから、嫌なら代わるって言ってるですよー」
霞「ありがとう、でも、大丈夫よ」
初美「…霞ちゃん…」
霞「嫌ねえ、初美ちゃん、しんみりしちゃって。ここは『霞ちゃんは老けてるから40のおっさんともお似合いですよー』とか軽口を言って私に折檻される流れでしょう?」
初美「…そんな軽口叩く気分にはなれねーですよー」
霞「…小蒔ちゃんは悪くないのよ」
初美「分かってるですよー。そして、霞ちゃんも悪くねーです」
霞「初美ちゃんだって悪くないでしょ?誰かが引かなきゃいけない貧乏くじなら、一番お姉さんな私が引くわ」
初美「そうやって、都合の悪い時までお姉さん面するのをやめるです!辛いときぐらい、打ち明けてくれたって…」
霞「初美ちゃん…」
小蒔「あ、霞ちゃん、初美ちゃん、こんなところでどうしたんですか?何やら不穏当な雰囲気ですけど…」
霞「いえ、ちょっと進路のことでね…私たちも三年生、しかも秋ですもの、真剣にもなるわ」
初美「…霞ちゃん」
霞「初美ちゃん、私は大丈夫だから、余計なことは言わないようにね」ボソッ
初美「…了解ですー」ボソッ
小蒔「進路ですか…私じゃお力になれませんよね…」シュン
霞「ふふ、気持ちだけで十分よ。自分の進路だもの、自分で決めるわ」
6:
小蒔「あ、巴ちゃん」
巴「姫様、どうなさいました?」
小蒔「巴ちゃんは三年生ですよね、進路は決まっているんですか?」
巴「ふふっ、おかしな姫様…私たちは神代の本家を支える身ですから、進路は子供の頃から決まってます」
小蒔「…え?」
巴「え?」
小蒔「だって、昨日、霞ちゃんと初美ちゃんが…進路のことで、真剣な顔でお話しして…」
巴「霞さんたちが…?何かの間違いでは?」
春「進路…私たちですらそうなんだから、石戸と薄墨の跡継ぎの進路なんか、生まれた時から決まってる」
7:
小蒔「じゃ、じゃあ!昨日、霞ちゃん達はなんのお話をしてたんですか!?あんな表情、見たことありません!」
巴「それは…私たちにはちょっと…」
春「多分、お見合い」
巴「え?」
小蒔「お見合い?」
春「霞さんに、40歳ぐらいの人とのお見合いの話が来てる」
小蒔「え?それ、私に来たお話しでは?それに、そのお話はお断りしたはずですし…」
巴「…」
春「…」
小蒔「…もしかして、私がお断りしたお話が、霞ちゃんのところに?」
巴「…政略結婚なら、本人の意思だけでは断れないこともあります…霧島との縁を繋ぐ目的なら、本家に次ぐ格の石戸に話が行くことは自然です」
春「家同士の思惑が絡んでるなら、本人の意思は関係ないかもしれない…」
巴「進路と言ったのも…霞さんも、とっさに無関係な嘘がつけなかったんでしょう。霞さんらしくないですね、こんなすぐにばれる嘘をつくなんて」
小蒔「そんな…私が断ったせいで、霞ちゃんが…?でも、それなら、そうだって言ってくれても…」
春「姫様なら、言う?霞さんが断ったせいで、望まぬ縁談が来て断れないって、霞さんに」
小蒔「…」
巴「姫様、まだ決まったわけじゃないですから…」
小蒔「…霞ちゃんのところに、行ってきます」
春「…社務所に居た。初美さんも一緒」
小蒔「ありがとう、春」
8:
霞「あら?小蒔ちゃん、どうしたの?」ゴシゴシ
小蒔「その涙の理由を聞きに来ました」
初美「これは、えっと…その…」
霞「希望してた進路があったんだけどね、やっぱり、霧島に生まれた以上諦めなきゃって、話してたのよ。そしたら、ね…私もまだまだ修行が足りないわ」
初美「言いにくいことを言っちゃうですかー…おばば様にでも聞かれたら折檻ものですよー」
霞「そうね…少し、興奮して自制が利かなくなってるわね」
小蒔「どう…してっ…」ポロポロ
霞「こ、小蒔ちゃん?」
小蒔「どうしてそんな嘘つくんですかっ!?なんで本当のことを言ってくれないんですかっ!?私は…友達じゃないんですかっ!?」
霞「…嘘なんかついてないわ…と、言いたいところだけど、どこまで知ってるの?」
初美「姫様が霞ちゃんの話を嘘だって言い切るんですから、大体知ってるんじゃないですかねー?」
小蒔「聞きました…私がお断りしたお見合いの話が霞ちゃんに行っていることも、霞ちゃんが断れないことも…」
霞「誤解があるみたいだから言っておくけど、断れないわけではないのよ?断りにくいだけ。その縁談がまとまったとしても、私の意志でそれを受け入れるの、小蒔ちゃんが気に病むことはないのよ?」
初美「…」
小蒔「…霞ちゃん、嘘、ついてます」
霞「…」
小蒔「分かりますよ、友達ですから、子供の頃からずっと一緒でしたから…私を庇って嘘をついてる時の顔です、声です」
霞「嘘は得意なつもりだったんだけどね…ずっと分かってたの?」
小蒔「…私に隠すことは、私に気付かれたくないことでしょうから、問い詰めても霞ちゃんを困らせるだけですから、聞かないようにしてきました」
初美「ま、霞ちゃんは嘘が下手ですからねー」
小蒔「でも、今回だけは、問い詰めます。霞ちゃん、泣いてますから。本当は嫌なのに私のために我慢してますから…そんなの、嫌です」
9:
霞「でもね、小蒔ちゃん、さっき言ったことは本当なのよ?私はこの縁談を断ることが出来る。私が断ると初美ちゃんに話が行くだけで、私は断れるの」
小蒔「そんなの!…そんなの、霞ちゃんが断れるわけないじゃないですか…」
初美「その通りですよー。私がそのオジサマを見初めてどうしても結ばれたいとか思わない限り、霞ちゃんが縁談を断る可能性はゼロですー」
小蒔「霞ちゃん、初美ちゃんとは良く喧嘩してるのに、私とは一回も喧嘩したことないです!言ってくれればいいじゃないですか!お前のせいだって!お前がワガママ言ったから私がこんな目に遭うんだって!」
霞「小蒔ちゃん…」
小蒔「霞ちゃん、少しぐらいわがまま言って下さい!私はそんなに頼りないですか!?霞ちゃんのために何も出来ないんですか!?」
霞「小蒔ちゃん、落ち着いて…」
小蒔「霞ちゃんのバカ!バカバカバカ!いつも一人で勝手に決めて!貧乏くじ引いて!そのたびに私がどんなに悲しかったも知らないで!」
霞「小蒔ちゃん、落ち着いてって言ってるでしょう?」
小蒔「うるさいです!バーカバーカ!霞ちゃんのバーカ!おっぱいお化け!」
霞「…小蒔、黙れ」ゴゴゴ
小蒔「ひうっ!?」
初美「おお…霞ちゃんが本気でブチ切れてますよー…てゆうか、『降ろして』ますねー。巴と春を呼んで来ますよー」
小蒔「ちょっ!?初美ちゃん、置いてかないで!二人にしないでーー!!!」
霞「小蒔、正座」
小蒔「ひいいいい!!!?本音をぶつけてほしいとは思いましたけど、いきなりここまでストレートに来るとは思いませんでしたよおお!!」
10:
小蒔「石戸さん、お久しぶりです」
霞父「ひ、姫様!?どうしてこちらに!?」
小蒔「いえ、愉快なお話しを小耳にはさんだもので」
霞父「愉快な話…ですか?」
小蒔「ええ…なんでもーーー」
ゴゴゴゴゴゴゴ
霞父「」ビクッ
『ーー本家の姫たる私に来た縁談を、分家の娘ごときが引き受けようとしているとか?』
霞父「は、はは…それは愉快なはなしですなあ…」
小蒔「全くです。そんなこと、あるはずがない、ですよね」ニコッ
霞父「ははは、当然です…石戸も薄墨も、その他の分家にもそんな身の程知らずはいないでしょう…」カタカタ
小蒔「そうですか、それはよかった…」
霞父「ひ、姫様もそのような戯れを真に受けられたわけでもないでしょう?わ、わはははは…」カタカタ
小蒔「ええ、そんなことはないと信じていましたよ。あ、そうそうーーーー」
霞父「な、なにか…?」
『分家のくせに、出しゃばらないでくださいね?』ゴゴゴゴゴゴ
霞父「は、はいいいい!!!!」ガタガタガタッ
ーー
こま母「良かったんですか?あんな勝手を許して…」
こま父「もともと、無理な縁談だったしな。せめてあと10年早ければ他の者もいたが…いくらなんでも二回り違ったら、なあ?」
11:
小蒔「か、霞ちゃんの指示通りやったら本当にうまくいきました!」
霞「ふふ、最初からこうすれば良かったわね」
初美「うーん…姫様が脅せば石戸はまあ従うとして、本家が動きを見せないのが怖いですよー」
巴「大丈夫、当主様は話が分かる方だから」
春「もともと、無理にあてがわれた縁談みたいだから、姫様が『こんな縁談を持って来て、我々を下に見るのか』って言って激怒したことにしたらしい」
小蒔「え?」
霞「そういう話になってるみたいね」
小蒔「わ、私そんなこと…」
初美「まあ、姫様がブチ切れて縁談を完全にぶっ潰ししたことにはちがいないですからねー。霞ちゃんのためって言うよりは家柄を下に見られて切れたって言った方が体裁がいいですよー」
小蒔「」
12:
春「なにより、決め台詞が…」
小蒔「そ、それはもうやめてください!」
初美「いやいや、後一年はこのネタを引っ張りますよー」
霞「インターハイで負けた時も言ってたしね」
小蒔「あ、あれは皆さんが自分ばっかり責めるから…」
春「まあまあ、黒糖でも食べて…」
小蒔「あ、おいしい…」
春「それが自慢」ニコッ
初美「はるる、分家の分際で出しゃばると姫様が怒るですよー?」
春「…それは困る」
小蒔「もうっ!初美ちゃん!?」
霞「初美ちゃんも、分家のくせに出しゃばりすぎじゃないかしら?」
初美「胸が出しゃばってる霞ちゃんがそれを言うですかー?」
巴「はっちゃん、それは…」
霞「いい度胸ね、初美ちゃん」ゴゴゴゴ
初美「ちょっ!?こんなくだらないことで『降ろす』のはやめるですー!」
春「…仕事を増やさないでほしい」オハライシマス
小蒔「もうっ!いい加減にしてください!怒りますよ!」
初美「姫様が怒っても怖くねーですよー」
霞「いえいえ、お父様を脅した時の小蒔ちゃんはなかなかだったわよ?」
春「…お祓い完了」
13:
巴「ところで、春はなんで裏事情を色々知ってるのかしら?うちの両親でも石戸の縁談は知らなかったのだけど…」
霞「あら?そういえばそうね。本家を除けば私と初美、私たちの両親ぐらいしか知らないはずなのだけど…」
初美「たしかに、はるるが知ってるはずねーです。滝見の当主ですら知らなかったはずですよー」
春「…企業秘密」ポリポリ
小蒔「まあ、春のおかげで上手くいったわけですから…」
霞「いや、結構捨て置けない問題なんだけど…」
巴「と言っても、この子がしゃべるとは思えないし」
春「…」ポリポリ
初美「まあ、はるるの謎は今に始まったことじゃないですし」
春「…」ポリポリ
霞「はあ…仕方ないわね。また何かあったら頼むわよ?」
春「承知」ポリポリ
14:
後日
巴「はあ…困ったわ、どうしたものかしら?こんなことみんなには相談できないし…」
?「」ポリポリ
ーー
?「ハロー、どうしましたか春?」
?「良子姉、調べてほしいことがある…」
?「またですか…トラブルが絶えないハウスですね、そちらは」
?「多分この霊が知ってるはずだから、イタコの力で降ろして聞いてほしい」
?「オーケー、春の頼みです、お安いご用ですよ」
15:
小蒔「最近、巴ちゃんが元気がないのですけど…」
春「…多分、霞さんにしか解決できない」
霞「あら?何か知ってるの?」
春「これに関しては私からは言えない」
初美「意味深ですよー?」
春「霞さんだけには言えない。姫様たちには教えてもいい」
霞「へ?」
初美「ほうほう…じゃあ、霞ちゃんはここで待っててもらって、私と姫様で話を聞くですよー」
小蒔「で、でも、霞ちゃんだけ仲間外れなんて…」
初美「いいんですよー、むしろ、霞ちゃんにしか解決できないなら霞ちゃんが原因と考えるのが妥当ですー、元凶は一人で反省するですー」
春「じゃあ、こっちへ…」
16:
霞「…春のことだから確信があるのでしょうけど…私にしか解決できないのに私に教えないってどういうことよ?元凶…私のせいで巴を苦しめているのかしら?」
巴「あれ?霞さん、おひとりですか?みんなは?」
霞「巴…いえ、なんでも、あなたが最近元気がないからどうしたものかと相談していたのだけど…」
巴「えっ!?」
霞「春が原因を知ってるらしいのだけど、私には教えられないと言って、二人を連れて場所を移してしまったの」
巴「ひいいいいっ!?」
霞「でも、本人から直接聞けば早いわよね?ねえ、巴、悩みがあるなら教えて頂戴。あなたの力になりたいの」
巴「おお、お気持ちだけで十分ですので!ええ、本当に!」
霞「あなたも私を仲間はずれにするのね…寂しいわ…」
巴「いえ、そんなつもりじゃないんですが、これは霞さんだけには言えないというか霞さんが原因というか…」
霞「原因が私にあるなら、なおさら言ってくれないと困るわ。教えなさい、巴」
巴(どんな拷問ですかこれ!?)
17:
春「悩みというのは、至極単純。巴さんは霞さんのことが好きになってしまった」
初美「は!?」
小蒔「え?巴ちゃんって、霞ちゃんのこと嫌いだったんですか?というか、好きになっただけなら問題ないのでは?」
初美「多分、姫様の言ってるのと『好き』の中身が違うですよー」
小蒔「うーん?」
初美「ということは、霞ちゃんを巴に惚れさせればいいわけですね?」
春「…それは難しい。やんわりと諦めさせるか、現状維持をできるように気持ちの整理をつけるのが無難」
初美「と言っても、どっちも巴へのアプローチになるですよー?私的には霞ちゃんに仕掛ける方が楽ですー」
春「しかし、霞さんはガードが固い…」
初美「はるるは分かってないですねー。あれは姫様の次ぐらいにチョロイですよー、私に任せるですー」
タッタッタ
春「あっ、初美さん待って…行っちゃった」
小蒔「うーん?好きじゃない『好き』?良くわかりません…」
春「…最悪、姫様が縁結びの神様でも降ろしてくれれば何とかなるか…」ポリポリ
18:
初美「ふっふっふ…あのおっぱいお化けは意外と乙女だから、ちょっとロマンチックな状況を作ればすぐ落ちるはずですよー」
初美「さて、霞ちゃんは…あれ?誰かと話してるみたいですね」
霞「グスン…お願い、教えてよ巴…私だけ仲間外れは嫌なの…」
巴「えっと、あのですね、霞さんのことが嫌いなわけではなくてですね、むしろ逆なんですけど、この悩みを霞さんに伝えるのはちょっと辛いというか…」
霞「そんなこと言って…私が原因なんでしょ?…どうせならはっきり言ってもらった方がマシよ…」
巴「い、いえ、霞さんに悪いところがあるわけでもなくてですね…ああもう!どうすんのこれ!?」
初美「…これは、割り込める状況じゃなさそうですね。なんでこんなことになってるですかー?」
巴(こ、この状況はなんなの!?なんで告白するか霞さん泣かせるかみたいな二択になってるの!?)
霞「巴…お願い…」ウルウル
巴(すがるような目つきで見上げてくる涙目の霞さんとか人生最高のベストショットなんだけど、状況が酷すぎて喜べない!!誰か助けて!)チラッ
【物陰】「」デスヨー
巴(おい、さっさと出てこい痴女)ギロッ
初美(おおうっ!?巴からかつてない殺気を感じるですよー。しかし、そんな修羅場に飛び込むほど馬鹿じゃないですー。退散しましょう)スッ
巴(逃がすかっ!)
ガシッ
巴「へ?」
霞「ともえ…どこ行くの…一人にしないで…」ギュッ
巴「い、いえ、あの…みんなを呼びに行こうかと…」
霞「嫌よ…そんなこと言ってみんなで私を仲間外れにする気でしょう?絶対離さないから…」
巴(「絶対離さない」とか、この状況じゃなければ録音したいぐらいなんですけど!本当に呼んでくるだけだから離して下さい霞さん!)
霞「ともえええ…」グスン
巴(どうすんのよこれえええええ!!??)
19:
春「…これは、初美さんが予想以上に凄腕だった」ポリポリ
初美「と、当然ですよー。霞ちゃんを不安にさせ、そこで巴と二人っきり、弱ったところで甘い言葉をかければ落ちるって算段ですー」
初美(…ホントは、来たときにはすでにこうなってただけですけどー)
小蒔「か、霞ちゃん、弱ってるんですか?なら早く助けないと…」
春「大丈夫、巴さんが居る」
小蒔「えっと、巴さんにお任せしても大丈夫なのでしょうか?」
春「むしろ巴さんにしか解決できない。巴さんの悩みも解決して一石二鳥」
小蒔「そ、そうなんですか?」
初美「そうなんですよー。だから姫様はおとなしく見守ってるですー」
ーー
霞「…」ギュウウウ
巴(霞さんに抱きしめられてる…幸せ…)
霞「…ともえええ…」
巴(…ああ、まずい…理性が…)
ーーー
初美「にしても、巴もヘタレですねー。今の霞ちゃんならガッと行ってうにゃうにゃすれば落ちるのに固まったままですよー」
春「いや…巴さんに動きが…」
小蒔「うーん…何もせずに見守るだけというのはもどかしいですね」
20:
巴「霞さん…」
霞「ふえ?」
尊敬や憧れといった感情が、恋慕の情に変わったのはいつからだったか。
おそらく、ずっと前からそうだったのだろう。
あるいは、最初からだったのかもしれない。
石戸霞に対する自分の想いを何度振り返っても、その変わり目を見つけることは出来なかった。
今日、この日に至っても、想いに何も変わりはなかった。
ただ、気付いてしまっただけ。
きっかけは、先日の縁談の件。
それ自体は破談になったものの、破談になったことを必要以上に喜んでいる自分に気付いた。
その理由を自問した時、自分の石戸霞に対する感情に、気付いた。
気付かなければ、今まで通りの関係でいられた。
気付かなければ、今まで以上を望むこともなかった。
けれど、気付いてしまった今では、想いを抑え込むことは出来なかった。
私は、石戸霞の唇に自分の唇を重ねた。
21:
霞「あ…んむっ…ふあ…あ…?」
巴「霞…さんっ…好き…すき…」
霞「ふあっ!?と、巴…な、何を…んっ!」
いきなり唇をふさがれて混乱しているだろう。
自分が知る限り、石戸霞に恋愛経験はない。
それどころか、異性と近づく機会すらほとんどなかったはずだ。
キスの経験などあるはずがない。
それがいきなりこれだ、いつも冷静な霞さんとはいえ、これは動揺するはず。
学校は、子供の頃から一緒。
家でも、行事の多くはともに過ごしてきた。
だから、知っている。
石戸霞が、自分に恋愛感情を抱いていないことを。
可能性があるとすれば、ともに過ごしてきたもう一人の幼馴染である初美であろう。
彼女とじゃれあうときの霞さんはとても楽しそう。
もしかしたら、彼女に対して、自分と同じように、気付かぬだけの想いを抱いているかもしれない。
自分が告白すれば、それに気づくかもしれない。
初美の方も、同じである可能性は高い。
そうなれば、告白して振られるだけではなく、愛しい人が他の人に取られるのを手伝うことになる。
そう考えて、悩んでいた。
しかし、自分の考えが正しければ、自分が告白するしないにかかわらずそうなる見込みが大きい。
急がなければ機会を失う。
失敗すれば、より早くみじめな思いをすることになる。
その葛藤に揺れている中で…心が弱っている中で、愛しい人に抱きしめられた。
この腕に、いつまでも抱かれていたい。
その思いは、私を突き動かす。
「もう、どうにでもなれ」
私は、自分の心の求めるままに石戸霞を犯すーーーー
22:
初美「何やってるですかーーー!」スパーン
春「…巴さん、やりすぎ」ポリポリ
霞「…はあ、はあ…」
巴「…はっちゃん、春…」
欲望の赴くまま、霞さんを押し倒して唇をむさぼり、ここから体を求めようというところで、邪魔が入った。
この場合は「止めてくれた」という方が適切か。
霞さんを傷つけずに済んで良かった。
初美「がっつきすぎですー。せめて告白してからにするですよー」
春「…気持ちは分からなくもない。好きな人が自分を抱きしめるとか反則」ポリポリ
霞「あれ…みんな…?」ポケー
呼吸すらさせないぐらい激しく唇を吸っていたせいだろうか、霞さんの意識ははっきりしていないようだ。
巴「ごめんなさい…」
霞「え、えっと、どうなってるのこれは?」
初美「ここまでやったら今更誤魔化すわけにもいかないですよねー。自分で言うか私に説明させるか選ぶですー」
…そう、ここまでやったら言い逃れは出来ない。
叶わぬ思いと分かっていても、ぶつけるしかない。
23:
霞「初美、何を知ってるの?教えなさい」
初美「巴が自分で言わなかったら教えるですよー」
巴「…」
霞「だって、巴は何度言っても教えてくれなかったし…そしたらいきなり…/////」
春「そろそろ霞さんが自力で気付いても良い頃だと思う…」ポリポリ
初美「ほら巴、早く説明するですー」
巴「うん…その前に、ごめんなさい霞さん。いきなりあんなことして、迷惑でしたよね」
霞「い、いえ…迷惑ということはないのだけど///…でも、どうしてあんなことを?」
巴「口づけをする理由なんて、そう多くはないですよね?」
霞「え、ええ…というか、一つも思いつかないのだけど…」
初美「いやいや、一つはすぐに思いついてほしいですー」
春「初美さん、静かに」
初美「はいはいですよー」
巴「ほんとうに、一つも思いつきませんか…?」
霞「い、いえ、口吸いをする理由として、流石に一つぐらいは思いつくけど…まさか、ねえ?」
巴「それで、合ってます」
霞「え?」
巴「私は…狩宿巴は、石戸霞に恋慕の情を抱いています」
霞「え…ええええええええええーーーーー!!!??」
巴「」ビクッ
初美「おわっ!?」
春「」ポリッ
24:
巴「そ、そこまで驚かなくても…」
霞「お、驚くわよ…驚かないわけないでしょう」
巴「…そうですよね…幼馴染が同性愛者なんて、驚かれて当然ですよね…」
霞「片思いだと思ってたのが両想いだってわかったら、流石の私も動揺するわよ…」
巴・霞「えっ?」
霞・巴「えっ?」
巴「えっと…すみません、今、よくわからない言葉が…」
霞「そっちこそ、なにをわけのわからないことを言ってるのかしら?」
巴「えっと、霞さんが好きなのは、はっちゃんですよね?」
霞「初美はただの幼馴染よ?なんでそんな勘違いするのよ…」
巴「だ、だって、仲良いじゃないですか!いつもじゃれ合ってるし!」
霞「それこそ『幼馴染だから』で説明がつくじゃない!てゆうか、私が初美のことが好きだとしたら同性愛を軽蔑する理由なんかないじゃない!」
巴「はっ!?確かに…」
霞「もう…巴が悩んでる理由が私だって聞いて、私にだけは言えないとか言われて気が気じゃなかったんだから…」
巴「あっ…」
春「確かに…霞さんが巴さんのことを好きだとするとあれは取り乱してもおかしくない」
初美「てゆうか、巴は明らかに最近ですけど、霞ちゃんはいつから惚れてたですかー?」
霞「…初めて会った時からよ。アプローチしても反応ないし、もう諦めてた…」
巴「…霞さんも?」
霞「へ?」
巴「私も…最近まで気付いてなかっただけで、多分、最初から霞さんが好きだった」
霞「…馬鹿…ずっと、ずっとアプローチしてたんだから気付きなさいよ…」
巴「…ごめんなさい…霞さん」
霞「…お詫びのしるし…何すればいいか、分かるわね?」
巴「…うん、目、閉じて…霞さん」
霞「…巴」
25:
初美「…はるる」
春「了解」
付き合いきれねーです。
年寄りはとっとと退散して若い二人に任せるですよー。
ーー
霞「巴…巴…」チュパチュパ
巴「んっ…霞…さん…」チュッチュ
霞「霞って呼んで…呼び捨てにして…」
巴「かす…み…んんっ」
小蒔「すやすや…」(縁結びの神様降臨中)
26:
初美「で…」
巴「はい?」
春「その後どうなったのかを知りたい」
巴「どうなったと言われても…別に…」
初美「いや、あんだけやっといて何もないわけねーです!」
春「人目を忍んで夜な夜な逢引きぐらいはしていてもいい…」
巴「といっても、私たちは巫女だし…」
初美「人目を憚らずちゅっちゅちゅっちゅしてた奴らが巫女とか聞いてあきれるですよー」
春「保つ一線を間違えている」
霞「あら、なんのお話かしら?」
初美「ひっ!?か、霞ちゃん、いつからそこに!?」
霞「巴が居るところに私は居るわ。たとえどんなに離れていてもね」
巴「霞…///」
春「…退却」
初美「ああっ!待つですはるる!一人にしないでほしいですー!」
霞「さて、初美にはどんなお仕置きをしようかしら?」ゴゴゴ
初美「ひいいいいいいーーー!!」
霞「冗談よ。あんまり初美とじゃれると巴が不安になるみたいだしね」
巴「ふふっ、ありがとう、霞」
初美「…助かったけど、それはそれでなんか物足りないですねー」
霞「あら?じゃあお仕置き行ってみようかしら?」
巴「許可しますよ」
初美「じょ、冗談じゃねーです!退散するですよー!」
霞「あらあら、あんなに慌てて…」
27:
初美「…はあ…結構辛いですねー…」タメイキ
初美「まあ、これは誰にも言わずに胸の奥に秘めておきますよー」
初美「少し当てられただけ、なれてしまえば元通りですー」
初美「…はあ…お姉さんは辛いですよー」
?「」ポリポリ
ーー
?「良子姉、またお願いが…」
?「本当にトラブルが絶えないハウスですねえ…で、今度は誰です?」
?「初美さんなんだけど…どの霊を降ろせば聞けるかわからない」
?「ふむふむ…薄墨ですか…なら多分なんとか…」
?「ならお願いする。…いつもありがとう」
?「なあに、お安いご用ですよ」
28:
春「…」
小蒔「…春?どうしたんですか、いつにもまして無口なような…」
霞「そうね、黒糖も食べてないし…どうかしたの?春には巴の時にも縁談の時にも世話になったし、出来ることがあれば協力するわよ?」
巴「ええ、なんでも言ってちょうだい」
春「…」
トテトテ
初美「おはようですよー…」
霞「遅刻よ、初美ちゃん」
春「…お掃除に行って来る」
初美「あ…い、行ってらっしゃいですー…」
小蒔「あっ、春…」
パタン
霞「あの子は自分の悩みになると何も言ってくれないのね…寂しいわ」
初美「…へ?はるるが悩んでる?」
巴「私は、はっちゃんの様子もおかしいと思っているんだけど…」
初美「…ま、まさか…うわあああああああーーー!!!??」
小蒔「ひうっ!?」ビクッ
初美「そ、そうに違いねーです!幼馴染の私ですら気付かなかった巴の心変わりを知ってたんですから、それぐらい分かってもおかしくねーですよおおおおおお!!!」
霞「えっと…なにかあったの?」
巴「…察するに、初美の様子がおかしいことと関連があるみたいだけど…」
初美「…もとはと言えば霞ちゃんと巴も原因ですが…これは自分で解決するですよー」
小蒔「え、えっと…初美ちゃん、春となにかあったんですか?」
初美「…しいて言えば、これからなにかあるです」
霞「…そう。私たちに出来ることは?」
初美「ないですー。そっとしておいてもらえれば自力でなんとかするし、私たち以外にはなにもできないですよー」
巴「…なるほど、わかった」
小蒔「へ?巴ちゃん、わかったんですか?」
初美「んじゃ、行って来るです」
巴「ご武運を」
29:
きっかけは、全国大会。
竹井久に対して微笑むはるるの笑顔にやられたです。
まあ、私は霞ちゃんや巴と違って大人ですから、自分の気持ちに嘘ついて騙すことも出来るし、抑え込むこともできるですよー。
ただ、ちょっとばかし、霞ちゃんと巴の交際は刺激が強かったです。
『私も、はるると恋人になりたい』
なんて、あの二人に当てられてちらっと思ってしまったのがまずかったですねー。
表に出したつもりはないですがー、巴にもばれてたぐらいだし、はるるにばれてても不思議ではないですねー。
どっかで溜め息でもついてるところを見つかって、はるるがおせっかいを焼いたってところでしょうか?
で、はるるの様子がおかしいのは、私にどう接していいかわからないから。
なら、簡単です。
私が自分の想いを抑え込めることを教えれば、普段通りのはるるに戻れるはずですよー。
私の方は…本人に知られたとなるとダメージが大きいから少しばかり時間がかかりますが、時間が経てば自力で元通り。
霞ちゃんと巴が付き合いだしたから昔とは少し関係が変わりますが、元通りの私たちに戻れますー。
ま、霞ちゃんと巴ですら自力で解決したわけですし、この私とトラブルシューターのはるるが自力で解決できないなんてことはあり得ないですねー。
というか、トラブルの中心が自分であることがまず不本意ですー。
霞ちゃんか姫様がトラブルを起こして、巴が振り回されて、はるると私が動いて解決、それがお約束ってやつですよー。
…本当に、なんでこんなことに…なったんですかね…
流石の私もーーー自分から振られにいくのは、辛いんですよー?
30:
春「…初美、さん」
初美「やっほー、ですよー」
春「…」
初美「まったく、余計なお世話を焼くからそうなるですー。私のことはほっといてもだいじょうぶなんですよー?」
春「…そうは、見えない」
初美「はるるの目は節穴ですねー。どっからどう見ても大丈夫じゃないですかー。変に気を使われる方が面倒ですよー」
春「…」
初美「別に、霞ちゃんとか巴みたいに、十年越しの想いってわけでもないですー。ついこないだのインターハイで唐突に惚れただけの淡い想いですよー。きっちり振ってくれればすぐに忘れるですー」
春「…」
初美「というわけで、もう知ってると思うけど、私ははるるが好きなんですよー。はるるが何とも思ってないのは知ってるから、バッサリ振ってほしいですー」
春「…私も、好き」
初美「あははは、分かってましたよー。じゃあ、後腐れなく、普通の友達に戻りましょー。私は、少し…ほんの少しの間だけ落ち込んでると思いますが、大して時間もかからず元通りですよー」
春「初美さんのこと、大好き」
初美「さて、姫様たちが心配してたから、元気な顔を見せに行きましょうねー。私は空元気ですけど、少なくともはるるは大丈夫ですよね?」
春「初めて会った時から…好きだった」ギュッ
初美「は、はるる?放してくださいー!こういう変に期待を持たせる真似が一番辛いんですよー!?」
春「初美さん、聞いて」
初美「聞いてるですよー!何度も振らなくてもいいですー!はるる、実はドSですかー!?」
春「もう一度言う。私は、初美さんのことが、好き」
初美「はいはい、分かりま…え?」
春「…やっと、聞いてくれた」
初美「え…え?はるる、なにを言ってるですかー?」
春「初美さん…」ギュッ
初美「う…うそ…だって、はるる、そんなそぶり一度も…」ポロポロ
春「私、不器用だから…」
初美「う、うわあああああん!はるる!はるるーーー!!!!」
春「初美さん…大好き…」
?「上手く行ったみたいね」
?「はっちゃんってば、一番小っちゃいくせに大人ぶるから不安だったけど…」
?「すやすや…」
31:
初美「はい、はるる。黒糖ですよー」スッ
春「…」モグ…ポリポリ
霞「巴…」ナデナデ
巴「霞さん…」ギュー
小蒔「…うう…みんなが仲よくなったのはいいんですけど、なんだか疎外感が…」
初美「ん?、こればっかりは仕方ないですねー。姫様への好感度が下がったわけじゃないですけどー、他に好感度が高いひとが出来たら相対的に下がってしまいますー」
春「…私たちだけ幸せになって心苦しい」
小蒔「い、いえ、いいんです、みんなが幸せならそれで…」
巴「でも、姫様だけ除け者というのも良くないのは事実…」
小蒔「と、巴ちゃん…」パアア
霞「…そうねえ…姫様もお相手を見つけたらどうかしら?」
小蒔「…へ?」
初美「ああ、いいですねー。そしたらはるると二人っきりというのも気兼ねなくできますし」
巴「姫様を一人に出来ないからこうしてみんなで集まることは欠かしていないけど、姫様にお相手がいれば話は別」
春「恋愛成就ならお手の物…」
霞「で、お相手はいないの、小蒔ちゃん?」
小蒔「…ぶ…」
霞「ぶ…?」
小蒔「分家のくせに出しゃばらないでくださいーーーー!!私の恋愛事情なんてどうせお子様ですよ!初恋すらまだですよ!霞ちゃんと巴ちゃんの時だって『好き』の意味すらわかりませんでしたよおおおお!!!!」
32:
初美「おお、姫様が『好き』の意味を理解しましたよー。これは何かありますねー」
小蒔「これだけいちゃつかれたら理解しますよ!私自身は初恋すらまだですよ!!!」
春「…残念」
巴「まあ、姫様にもそのうち御縁がありますから…」
小蒔「うわああああん!置いてけぼりにされた気分です!みんな酷いですーー!」
霞「手のかかる姫様ねえ、まったく」
初美「藤原さんとか、姫様に並々ならぬ想いを抱いてるみたいだし、今度赤山と練習試合でもしますかー」
春「それがいい」
小蒔「うわああああん!どうせ私はお子様ですよー!初美ちゃんよりお子様なんですよおおおお!!!」
初美「おいこらそこの姫様、なに人をお子様代表みたいに言ってくれてやがるですかーーー!!」
霞「平和ねえ…」ナデナデ
巴「ええ…」
春(喜界島の黒糖は絶品…)ポリポリ
槓
34:
一レス目あたりは予定通りだったんや…
他人に気を使うのに本家の権力を使っちゃう不器用な姫様を書きたかったんや
落としどころを探して話を進めていったらなんかこうなった
35:
乙です
ほのぼの路線と見せかけた唐突なガチレズ路線からのやっぱりほのぼの路線
36:
うをぅ、あんただったのか
どっか狂気を孕んだギャグの印象強かったから後書きみて酉確認するまで気付かなかったよ乙乙
言われてみれば最初の姫様のくだりは雰囲気まんまだなww
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