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キャスター「ああっ!龍之介見てください、新鮮なレモンですよ!!」


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1:
キャスター「爽やかな柑橘系の香り……素晴らしいとは思いませんか?」
キャスター「果実も恐怖も、鮮度が大事ですからね」
龍之介「旦那、それどうしたんだよ」
キャスター「この家の庭にレモンの木が植えられていたのです」
キャスター「丁寧に世話をされてたわわに実ったこのレモン」
キャスター「このまま放置して腐らすにはあまりに惜しいと先ほど収穫したのですよ」
龍之介「でもレモンなんてどうするつもりだ旦那?」
龍之介「俺は唐揚げにはレモンかけない派なんだけど」
キャスター「これだけの代物を脇役にするなど勿体無い!」
キャスター「ここはレモンパイを作りましょう」
龍之介「レモンパイ?」
10:
キャスター「レモン風味のレアチーズケーキ風でも美味ですが」
キャスター「ここはレモンを主役として味わうためにレモンカードをフィリングに使いましょう」
龍之介「流石旦那!COOLだぜ!!」
キャスター「まずはフィリングを詰めるためのパイを焼きましょう」
キャスター「幸い、この家の冷蔵庫に冷凍のパイシートがあったのでこれを利用します」
龍之介「生地からは作らないのか?」
キャスター「丁寧に折り返しては伸ばすを繰り返し、パイの層を作り上げるのは素人には非常に難しいものです」
キャスター「せっかくパイ生地があるのなら、利用すべきですよ」
キャスター「徹底的に拘るのも一興ですが、手を抜けるところで抜くことも料理を楽しむコツです」
龍之介「なるほど、確かに俺も殺しの準備なんていちいち拘ったことねえや」
キャスター「そうでしょう、そうでしょうとも」
15:
キャスター「ではパイ皿にバターを塗り、密着させながら半解凍したパイシートを敷いていきます」
キャスター「側面までしっかり押し付けましょう」
キャスター「できたら、パイ皿からはみ出た部分はカットしてしまいましょうね」
キャスター「次にフォークでパイシートに穴を空け、クッキングシートを敷いてタルトストーンを乗せます」
龍之介「旦那、なんでそんなことするんだ?」
キャスター「ここでパイ生地が膨らみ過ぎてしまうと、フィリングの乗る部分が歪になってしまいますからね」
キャスター「適度に空気が抜ける穴と、膨らみを抑える重石を使うことで綺麗な皿型にできるのですよ」
龍之介「仕上がりへの細かな気遣い、COOLだぜ!」
キャスター「ちなみに重石になれば何でもよいので、タルトストーンは米や小豆などで代用することも可能ですよ」
16:
キャスター「200℃に余熱して、まずは重石を乗せた状態で15分、重石を外して180℃で10分焼きましょう」
キャスター「このあたりの温度や時間は使用するパイシートの厚みなどによっても変化しますから」
キャスター「外装に記載されている基準の時間を確認しながら調節してくださいね」
龍之介「はーい」
キャスター「この間にフィリングのレモンカードを作っていきましょう」
22:
キャスター「『カード』とは『凝固させたもの』を意味する英語で、フレッシュチーズなども指す言葉です」
キャスター「今回作るレモンカードとはつまり、レモン汁を凝固させたものなのですよ」
キャスター「さて、まずはこの新鮮なレモン二個分の果汁を全て搾り取ります」
龍之介「搾り汁だけ使うのか?」
キャスター「ええ、ひとまずは」
龍之介「おっ、もしかして旦那何か面白いこと企んでる?」
キャスター「それは後のお楽しみと言うことで」
キャスター「先ほどのレモン汁に卵黄3個、バター120g、グラニュー糖80gを加え、混ぜます」
龍之介「旦那、バターが硬くて混ざらねえぜ……」
キャスター「最初は卵黄をほぐして合わせる感じで構いませんよ」
キャスター「ここから湯煎していきます」
25:
キャスター「湯煎の温度は80℃程」
キャスター「これは一度沸騰させたあと、弱火?中火で湯を加熱し続ければちょうどいい塩梅になりますよ」
龍之介「旦那、なんでフライパンでお湯を沸かしてるんだ?」
キャスター「こうやって小鍋に先ほどの材料を移して、この上に浮かべてやれば……」
龍之介「ああ、浅くて沸騰も早いし、浮力で引っくり返る心配もないのか」
龍之介「流石旦那、超COOLだぜ!!」
キャスター「生活の知恵というやつですよ」
キャスター「さて、湯煎を始めると熱でバターが溶けて混ざり始めます」
龍之介「おお……ッ!」
キャスター「そして熱で卵黄が凝固し始め、とろみがついてきます」
龍之介「なるほど、こうやって固めていくってワケね」
26:
キャスター「今回はパイのフィリングなので、流れ出さないぐらいまで硬くしたいですね」
キャスター「カスタードクリームぐらいの固さを目指して、少し煮詰める感じで長めに湯煎を続けます」
キャスター「だいたい8分ぐらいでとろみが強くなり、15?30分でもったりとしてきます」
龍之介「さ、30分……」
キャスター「もちろん、凝固した部分のムラができないようにかきまぜ続けてくださいね」
キャスター「レモン汁の量によって固まりにくい場合は溶き卵を足してやってもいいですよ」
30:
?30分後?
キャスター「見てください龍之介、いい具合にとろりとしてきましたよ!」
キャスター「ついでにこの間にパイ生地の空焼きも完了ですね」
龍之介「あれ旦那、それじゃまだゆるいんじゃ」
キャスター「では鍋を氷水みつけて冷やしてみましょうか」
龍之介「おお……とろみが強くなってターナーで掬ってもこぼれねえぞ!」
キャスター「熱で溶けたバターが、冷やされて再び固まったおかげです」
龍之介「全て計算通りってワケか、流石旦那マジCOOLだぜ!!」
キャスター「レモンカードはこのまま冷やしておいて、次はコレです」
龍之介「これってさっき卵黄と分けた卵白?」
キャスター「これを泡立ててメレンゲを作りますよ」
33:
キャスター「まずは卵白に少量の塩を加えます」
龍之介「旦那、メレンゲって甘いもんじゃねえのか?」
キャスター「ええ、その通りですよ龍之介」
キャスター「この塩の役割はメレンゲの泡立ちを良くすることです」
キャスター「挽肉に塩を加えて捏ねると粘りが出てくるように、塩にはタンパク質を固める効果があります」
キャスター「特に今回は固めに仕上げたいので」
キャスター「しかし、味に出てしまう程大量に入れてしまっては駄目です」
キャスター「あくまでタンパク質を凝固させるためだけ、控えめに一つまみ入れましょう」
龍之介「旦那、昔の人間の癖に詳しいな」
キャスター「サーヴァントとして顕現した時点でこの時代の知識はある程度頭に入ってきますから」
キャスター「それとクックパッドですね」
龍之介「く、クックパッド……旦那が!?」
37:
キャスター「クックパッドを舐めてはダメですよ龍之介」
キャスター「一つだけのレシピではダメですが、いくつかのレシピを並べれば共通点がでてきます」
キャスター「それらの情報を総合し、不明瞭で不足した部分を調べ直して補完することで素晴らしいレシピとなるのです」
キャスター「しかしある程度の経験が必要なので、初めて調理するジャンルではレシピ本を忠実に再現するのがよいでしょう」
キャスター「あくまで基本あっての応用、基本を疎かにした応用は暴走でしかありませんから」
龍之介「くー、俺には耳が痛い話だぜ!」
キャスター「まあまあ、基本も知らず偶然で私を召喚するなど龍之介の才能もかなりのものですよ」
龍之介「旦那……」
キャスター「ではメレンゲ作りに戻りましょうか」
39:
キャスター「最初は塩だけで混ぜていきます」
龍之介「旦那、この家にハンドミキサーがあって助かったな」
キャスター「手で泡立てるのは一度挑戦する価値はありますが、大変ですからね」
キャスター「文明の利器万歳です」
キャスター「白身の透明な部分が見えなくなり、全体が細かい気泡になったあたりで」
キャスター「グラニュー糖を数回に分けて入れていきます」
キャスター「今回は卵白3個に対して60gとしましょうか」
キャスター「砂糖の溶け残りができないように、丁寧に泡立てていきます」
龍之介「お、角が立った!」
キャスター「今回はもう少し固くなるまでホイップしましょう」
龍之介「本当に楽だな、ハンドミキサー」
キャスター「今の時代、2000円出せばいいものが手に入りますからね」
40:
キャスター「ではメレンゲもできましたので、レモンカードを仕上げましょう」
キャスター「冷やしたレモンカードを裏ごしし、凝固のムラを無くし舌触りを滑らかにします」
キャスター「そして……」
龍之介「旦那、それはさっきのレモンの搾りカスじゃ」
キャスター「湯煎とはいえ加熱で多少風味が飛んでいますからね」
キャスター「そこでこのレモンの皮を磨り下ろしてフレッシュな風味を足します」
龍之介「おお、レモンの爽やかな香りが……」
キャスター「白い部分は苦みが強くなってしまうので、表面の色づいている部分だけ磨り下ろしましょう」
キャスター「これでレモンカードも完成です」
42:
キャスター「ついにフィリングを詰めていきますよ!」
キャスター「空焼きして冷ましたパイ生地にレモンカードを詰めていきます」
キャスター「表面を平らに均して……」
キャスター「そしてコレ」
龍之介「旦那、それは……ッ!!」
キャスター「くっくっく、実は昨日収穫しておいたレモンを蜂蜜漬けにしておいたのです」
キャスター「薄めにスライスしてあるこれを表面に並べ……」
龍之介「COOL!最高だ!!超COOLだよ、旦那!!!」
キャスター「メレンゲを上に乗せ、表面を一度軽く均してからフォークで引っ掻く様に荒らして」
キャスター「180℃のオーブンで様子を見ながら表面に焼き色をつけます」
キャスター「メレンゲがきつね色に色づいたら完成ですよ!」
43:
龍之介「焼き上がったぜ旦那、さあ早……」
キャスター「待つのです龍之介」
キャスター「完成はしましたが、熱でレモンカードが緩くなっている可能性があります」
キャスター「粗熱を取って冷蔵庫で再び冷やし固めてから切り分けましょう」
龍之介「ここでお預けかよー!」
龍之介「くーっ、パイが冷えるのが待ち遠しい!!」
44:
龍之介「30分も経ったんだ、もういいだろ旦那!?」
キャスター「ええ、紅茶もちょうど淹れたとことですしそろそろ切り分けましょう」
龍之介「それじゃ……」
二人「「いただきます」」
45:
龍之介「……????ッ!!!」
龍之介「酸っぱい……、けどそれ以上に鮮烈なレモンの風味が鼻を駆け抜ける!!」
龍之介「最初の印象ほど強く酸味が残らないのはバターの脂肪分のおかげか?」
龍之介「レモンの蜂蜜漬けのアクセントも効いててこいつは超COOLだぜ!!」
キャスター「ええ、そうでしょう、そうでしょうとも」
キャスター「この味、是非と愛しの聖処女にも届けたい……」
龍之介「旦那、これを一緒に味わうのが俺だけじゃ不満か?」
キャスター「……いえ、そんなことは無いですよ」
龍之介「でも、たしかにこの味、これだけの量を俺たちだけってのも勿体無い」
龍之介「旦那のCOOLなレモンパイ、セイバーやそのマスターたちにも食わせてやろうぜ!」
キャスター「……ええ、行きましょうか」
おわり
4

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