アスナ「結婚すればいいのよ」ユウキ「相手いないから、いいよ」back

アスナ「結婚すればいいのよ」ユウキ「相手いないから、いいよ」


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1:
アスナとユウキのほのぼの日常if
ただの会話
書き溜めなし
森の家にて――
アスナ「だからね、まだ結婚って話しまでもいってないって」
ユウキ「うそー、だってさ、ボクとの決闘の時にあの人、さすが俺の嫁って顔してたよ」
アスナ「えええッ……そんな顔してたっけ」
ユウキ「うん、剣圧で爆風吹いてる中、一人だけニヤニヤしてたもん」
アスナ「も、もう……キリト君たら」
ユウキ「いいなー、でも、そうなるとアスナを独り占めできなくなっちゃうのか……」シュン
アスナ「そんなことしなくても、こうやっていつでも会えるじゃない」
ユウキ「うん……そうだねッ」
アスナ「ユウキは色々世界を旅してきたのよね? なら、その中にいなかったの? これだ! っていうピピってきた人」
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2:
ユウキ「ピピって……なんか今バカにされた気がする」
アスナ「そんなことないない」
ユウキ「うー、ピピって来たのは……いなかった、あ、いる!」
アスナ「え、誰々?」ワクワク
ユウキ「アスナ!」
アスナ「……えー」ガク
ユウキ「男の人って、実はよく分かんなくて」
アスナ「まあ、でもまだそういう年頃じゃないのかな?」
ユウキ「彼氏とか彼女とかはよく分かんないけど……」
アスナ「けど?」
ユウキ「ずっと、背中を預けられるパートナーは欲しいなあ……」
アスナ「それって、私のこと?」ニヤ
ユウキ「……うん! どうしてわかったの?」
アスナ「う……素直過ぎるのも心に悪い」
ユウキ「どうしたの?」
アスナ「いーえ……ユウキは可愛いなあって」
ナデナデ
ユウキ「へへへ」ニコ
アスナ「……」
ナデナデナデナデッ
ユウキ「あ、ちょっと、撫ですぎじゃないかな? ボクの頭ハゲちゃうよ」
3:
アスナ「ハゲないから大丈夫」
ユウキ「でも、ユイに見られたら、ボクまた怖い目で見られるかも……」
アスナ「はッ……!」
キョロキョロ
ユウキ「変な顔……ユイ、今は、キリトの所でしょ?」
アスナ「ええ。まあ、心配無用よ、私たちの時間を大切にして欲しいって、きっと思ってくれてる。あの子はそういう子だから」
ユウキ「うん、知ってた!」ニコ
アスナ「そうだ、昨日NPCに珍しい茶葉をもらったの。飲む?」
ユウキ「それって、飲むっていうより、試すに近いんじゃないの?」
アスナ「安心して、もう試した人がいるから」
ユウキ「ああ」
ポンッ
ユウキ「感想は?」
アスナ「麦茶よりは美味しいって」
4:
ユウキ「珍しい茶葉の価値、何だか下がっちゃってない?」
アスナ「あの朴念仁に感想を言わせた私が悪かったの」
ユウキ「……そっか、じゃあボクも早く飲んで感想を言いたいな」
アスナ「ええ、じゃあ準備するわ」
ピッ
アスナ「手抜きで失礼」
ピピッ
ユウキ「すごーい、料理スキルってこんなに上がるんだ。ボク、こういうの全然やってなかったや」
アスナ「ハマると結構リアルにも使えて……あ、ううん」
ユウキ「……アスナ?」
アスナ「ごめんごめん、ぱぱっと作るからね」
ユウキ「分かった、リアルでの手抜きスキルが上がるんでしょ? キリトかわいそう」クスクス
アスナ「そうそう、って、ち、違うのよ?」
5:
ユウキ「ふーん」ニマニマ
アスナ「だから、まあ、仮に作ることになったとして、時間の節約とかって大事じゃない」
ユウキ「うんうん」
アスナ「ユウキッ」
ユウキ「どうどう。姉ちゃんは、怒るとホント怖いなあ」
アスナ「世のお姉ちゃんはだいたい怒らせると怖いと思うんだけど……あ、ユウキ」
ユウキ「あ……ボク、また」カア
アスナ「遠慮しないで……嬉しいって言ったよ」
ユウキ「う、うん……ね、ねえちゃん」ボソボソ
アスナ「ゼッケンサンにしては、覇気がないんじゃないかな?」
ユウキ「あ、その発音止めてって言ったのにッ」
アスナ「なんのこと?」
ユウキ「ボク、知ってるんだから。みんなが影でボクのことなんて呼んでるか!」
7:
アスナ「……う」ギクッ
ユウキ「背番号みたいに、『ゼッケン3』って言ってるんでしょッ」
アスナ「それは、可愛いからついね」
ユウキ「誰なの? 誰が最初に言いだしたの」
アスナ「……」ギクッ
ユウキ「ひどいや……ボク、けっこう『絶対最強の剣士、絶剣さん』気に入ってるんだよ」
アスナ「何だかさんを付けると一気に可愛い響きに……」
ユウキ「……あ、それよりお茶」
アスナ「そうだった」
ポンッ
ピッ
アスナ「はい、どうぞ」
コト――カチャッ
ユウキ「わあ、森の香りがする」
8:
アスナ「召し上がれ」
ユウキ「わーい……」ゴクゴク
アスナ「……ふふ」
ユウキ「あ、麦茶より美味しい」
アスナ「……って」ガク
ユウキ「それに、なんだろう、縁側に座ってお日様を浴びている気分」
アスナ「おじいちゃんだね」
ユウキ「わさびの味だよ……あ、なにか抜けた」
アスナ「わびさびのこと?」
ユウキ「それ」
アスナ「わさびの味はないよッ」クスクス
ユウキ「へへッ……」ゴク
10:
アスナ「……私さ、最初、絶剣のことおじさんだとばかり思ってた」
ユウキ「思ったより可愛かった?」
アスナ「うん、可愛かった」
ユウキ「ふっふーん」
アスナ「で、現れたのがこんな美少女だったから、じゃあ、現実世界がおじさんなのかなって」
ユウキ「それは、つまり美少女のアバターを被ったおじさんってこと?」
アスナ「そうそう」
ユウキ「それは、残念だったね」
アスナ「うん、リアルも可愛かった」
ユウキ「……り、リアルの方をほめるのは止めてよ」ドキ
アスナ「どうして? 妹にしたいなって思ったよ」
ユウキ「だって、あんな……」
12:
アスナ「……ユウキ、その」
ユウキ「オジサンじゃなくていいの?」
アスナ「ぶッ……私、別にオジセンってわけじゃないのよ?」
ユウキ「あ、そうなんだ」
アスナ「どっちかというと、年下の方がごにょごにょ」
ユウキ「それは、遠まわしでキリトがいいって言ってるの?」
アスナ「……え、ええっとええっと」
ユウキ「アスナはキリトのことになると、ちょっと変になるよね」
アスナ「……キリト君が悪いの」
ユウキ「そうなんだ。そういうもんなの?」
アスナ「ええ」
13:
ユウキ「よく考えたら、ボクも年下だ」
ササッ
アスナ「どうして後ずさるの?」
ユウキ「身の危険を感じて」
アスナ「ありえません……」
ユウキ「なんだ、つまんないの……ボク、アスナだったら……」
アスナ「え、ええ……?」ドキ
ユウキ「一緒の布団で寝れるのに」
アスナ「……ちょ、と、それ意味分かって」
ユウキ「昔、よく姉ちゃんと寝てたからさ……」
アスナ「そっちか……」
ユウキ「……」じッ
アスナ「なに?」
ユウキ「ログアウトする時、一緒の布団で寝てほしいな……」
アスナ「いいよ……」
ナデナデ
ユウキ「わ、ホント? ありがとう、アスナ」
アスナ「いいえ」
14:
ベッドの上―ー
アスナ「子守唄歌おっか?」
ユウキ「そこまで子どもじゃないよ」
アスナ「ユウキは大人だもんね」
ユウキ「……むう」
アスナ「ユウキ……明日もまたここで」
ユウキ「うん、またね!」
アスナ「お休み」
ユウキ「おやすみ……」
ピピッ――キュイン!
ユウキ「……」
モゾッ
ポフッ
ユウキ「……」
モゾッ
ポフポフッ
ユウキ「おやすみ……」
ピッ――キュイン!
22:
結城家――
明日奈「……」パチ
ガタッ
明日奈「ユウキは、あそこで一人で眠ってるんだよね……」
明日奈「……ログアウトする瞬間、あの子は現実に戻る」
明日奈「夕食を食べるためでもなく、誰かと話すためでもなく……」
明日奈「ううん、機械越しだけど……話せるじゃない」
明日奈「私にできることって、何なんだろう……」
明日奈「そうだ、明日は……もっと普通の女の子がするようなことをしてみようかな」
明日奈「もっと、探してみよう……」
明日奈「……それから、もっと素直にならないとね……お互いに」
23:
次の日――
森の家にて
アスナ「……もう来てるはずなんだけど」キョロキョロ
ユウキ「わあッ!」
アスナ「きゃッ」ビク
ユウキ「驚いた?」
アスナ「当たり前でしょ! 子どもみたいな事して」
ユウキ「アスナの驚いた顔って、どんなのかなーって」
アスナ「そう、それなら私もユウキが笑い転げる姿を見てみたいわね……」
ワキワキ
ユウキ「え、ええ……と、ほら、じかん」
アスナ「あら、私やられっぱなしって好きじゃないのよ」
ユウキ「……わー、大人げない」
タ、タタタ――
アスナ「こら、どこ行くのッ」
ユウキ「空!」
タタ――タタン!
ブワッ――フワ!
アスナ「ま、待ってッ」
タタン――フワ!
24:
アインクラッドは昼下がり。眠気を誘う陽気に包まれている。
上空を無邪気な闇妖精族の剣士が旋回している。
アスナ「……はやッ」
ヒュ――
ユウキ「こっちー!」
アスナ「ホント、鳥みたいなんだから……」
ユウキ「もっと、上に来てよー! この高さから見ると、かくべつ!」
アスナ「はいはい……」
ヒュン――
ユウキ「……あ」
ヒュ――ピタッ
ドンッ
アスナ「あいたッ!? も、もう途中で止まらないでよー。大丈夫だった?」
ユウキ「あ、うんボクは」
アスナ「なに?」
ユウキ「鳥だ……白くて、綺麗だ」
アスナ「どこ?」
ユウキ「落っこちてる……助けないと」
アスナ「ユウキッ、待って、それたぶんキーアイテムか、レアアイテムだよ。上見て」
ユウキ「え? あ」
アスナ「ほら、スプリガンのプレイヤーが、こっちに向かって……網持ってるね」
ユウキ「あみだね」
25:
ユウキ「でも、鳥、こっち来てるよ」
鳥「キュウー! キュー!」
ユウキ「ね、ねえ、アスナ、なんて言ってるのかな?」
アスナ「分からないけど、助けて欲しいのかも」
ユウキ「ボクも同意見……」
カチャッ
アスナ「なんで、剣を握ってるの……」
ユウキ「ここで助けなきゃ、剣士の名折れ!」
アスナ「人の獲物に手を出したら……どうなると思う?」
ユウキ「それは、もちろん……」
プレイヤー「ちょ、ちょ、あんたら、その鳥どうするつもりだ!」
鳥「きゅー!」
アスナ「……おー、よしよし。痛かったねえ」
ナデナデ
鳥「きゅーきゅー!」
ユウキ「可愛い……」キラキラ
プレイヤー「可愛い、じゃねえよ! そいつは貴重な食材アイテムなんだ、売れば大金になる。大人しくこっちに渡しな」
アスナ「もろ悪役の台詞よね……」
26:
ユウキ「現実世界ならそうさ。でも、ここは剣と魔法が言語」
アスナ「そうだったっけ……」
ユウキ「戦う……しか分かりあえない!」
アスナ「う、うん、そうだね。頑張ってね」
ユウキ「よーし、アスナと鳥はちょっと下がっていて」
アスナ「はーい……」
鳥「きゅいッ」
パタパタ――
プレイヤー「馬鹿かてめえ……?」
ユウキ「……ふー」
プレイヤー「……お前の辞書に横取りは御法度ってのを付け加えておきな」
ユウキ「おじさん、横取りなんてしないよ」
プレイヤー「なにい?」
ユウキ「もう少し、この鳥が飛んでいる所を見たいんだ。だから、ボクと戦ってもらうよ!」
アスナ「……ユウキ?」
プレイヤー「しゃらくせえ! 一発KOしたるわ!」
27:
デュエル開始――
瞬間、空気が戦慄いた。
刹那の内に、ユウキが切り込んだのだ。
プレイヤー「あッ――?」
ユウキ「あれ、もうおしまい」
プレイヤー「……な、何が、起こって……」
プレイヤーが落下していく。
アスナ「……南無三」
ユウキ「さあ、鳥。これで晴れてじゆうの身さ。高く、飛んでおいきよ」
アスナ「……あ」
鳥「キュウ……!」
バサッ――
28:
ユウキ「……すごく、キレイだ」
アスナ「……ぼろぼろになっても、ちゃんと飛べるんだね」
ユウキ「そうだね」
ユウキ「ボクがいまここで、助けたとしても、また誰かが同じように狩りにくる」
アスナ「ええ、そうね……」
ユウキ「あ……急降下する」
アスナ「え?」
ユウキが言った通り、鳥は直下に滑空していく。
ユウキ「大きい鳥は逃げるのに向いてないね」
アスナ「え、ええ」
ユウキ「やっぱり、捕まるために作り出されたのかな」
アスナ「ユウキ、これは――」
ゲームだから。
アスナはその言葉を飲み込む。
ユウキ「飛ぶために生まれたわけじゃないんだろうね」
29:
アスナ「……そうかもしれないわ」
ユウキ「うん、あ、ごめん変なこと言っちゃった……」ポリポリ
アスナ「でも、あの鳥が空を飛ぶ姿を見て、私たち何を感じてる?」
ユウキ「……綺麗だなあって、思ったよ」
アスナ「そうよ……、ねえ、作り物だったとしても、この世界であんなに輝いているじゃない。少なくとも私たちの目にはそう映っているでしょ?」
ユウキ「うん」
アスナ「ごめんね、ちょっと、私も上手くは伝えられないんだけど」
ユウキ「うん、いいよ、ありがとう――狩られないって分かっているなら、きっとこんなにも心を打たれなかったかもしれないから、きっと、あの美しさが、生きることを諦めない命のような何かへの畏怖なんだと思う」
アスナ「……畏怖、なんてよくそんな難しい言葉よく知ってたわね」
ユウキ「読書家なんだよ、ボク」
 
31:
ユウキ「……さーて、下、戻ろっか」
アスナ「うん……」
ユウキ「……よっと」
ヒュ――パタタ
アスナ「ユウキ……待って」
ユウキ「うん?」
アスナ「手……繋いで帰ろっか」
ユウキ「え……いいよ別に」
アスナ「遠慮しない遠慮しない」
ユウキ「……う、うん」
スっ――パシっ
アスナ「……なんだか」
ユウキ「……」
アスナ「そのまま飛んで行っちゃうような気がしちゃった……ごめんね、そんなわけないのに」
ユウキ「ボク……飛んで行ったりはしないよ……」
アスナ「そうだよね」
32:
アスナ「……ユウキの手、ちっちゃいね」
ユウキ「そう?」
ピト――
アスナ「私の指少しはみ出るもん」
ユウキ「ほんとだ」
アスナ「握りやすい」
ユウキ「……そんなこと言われたの初めてだよ」
アスナ「こっちで、誰かと手を握ったりはしなかった?」
ユウキ「うん、たぶんなかったかな」
アスナ「私、こうやって握るの好きなんだ。落ち着くから。ああ、隣にいるんだなって」
ユウキ「そっか、じゃあ、ボクも」
ぎゅう――
アスナ「両方?」
ユウキ「両方握るのはだめ?」
アスナ「いいけど、飛びにくいよ……くすくす」
33:
二人、両手を繋いだまま、
円を描くように、
くるくると、
降りていく。
アスナ「ダンスしてるみたい」
ユウキ「ボク、ダンスって全然分からないや」
アスナ「そっか……」
ぐいっ
ユウキ「わ……っ」
アスナ「ほら、ステップ踏んでみて」
ユウキ「空中で? ……と、っと」
ヒュ―
アスナ「上手上手」
くいっ――
ユウキ「けっこう、難しい……気を抜くと、階段を踏み外したみたいになっちゃうね」
アスナ「そうだね、よーしせっかくだから、湖の上の大樹までステップ踏んでみよっか」
ユウキ「あそこまでー!?」
アスナ「冗談だよ、遠すぎるもん」
ユウキ「そうだよー、びっくりするじゃんか」
アスナ「上手くなったら、私をリードしてね」
ユウキ「むむむ……」
34:
湖の上の大樹――
アスナ「……ホント、良い天気」
ユウキ「今日もー良い天気? 空が高いぞ♪ 眩しいぞ♪」
アスナ「……」
ピっ―
ユウキ「ふんふーん♪ ふふふーん♪ あれ、何かした?」
アスナ「……あ、気にせず歌っていいよ」
ユウキ「ふんふん♪ ふふふー♪」
アスナ「……」
ユウキ「……ふふ……ん、あ、録画してるでしょ!?」
アスナ「してないしてない」クスクス
ユウキ「うそ、この間もボクがだらしない姿で寝てる時に、スクリーンショットしたの知ってるんだから」
アスナ「なんのことかなー?」
ユウキ「シウネーが言ってたよっ……!」
アスナ「あら」
ユウキ「ちっ、じゃないよー……」
アスナ「いいじゃない別に」
ユウキ「なんに使うのさ……」
35:
アスナ「後で、みんなに見せて笑うだけだよ?」
ユウキ「ひどいやっ」
アスナ「こんなに可愛い姿、独り占めするものでもないし……ね?」
ユウキ「ね? ってなんなのさ! もう!」
バンバン!
アスナ「あ、いたいいたいっ、叩かないでよユウキ」
ユウキ「も、もう、アスナがこんなに変な人だなんて知らなかったよ」
アスナ「私もこんなに人に構うほうじゃなかったんだよ?」
ユウキ「そうなの?」
アスナ「だから、ユウキが悪いかな」
ユウキ「ボクのせい?」
アスナ「うん」
ユウキ「……やっぱりこの間のVRクッキングのこと根に持ってるんじゃ……」
アスナ「持ってないよー。気のせい気のせい」
ユウキ「そう? それならいいんだけど」
36:
アスナ「んー……眩しい」
ユウキ「……よっと」
ゴロン―
アスナ「お昼寝?」
ユウキ「ボク、対戦者がいない時はこうやって木陰で寝転がって待ってたんだ……」
アスナ(……ちょっと、キリト君に似てるなあ)
ユウキ「なあに?」チラ
アスナ「ううん……私も」
コロン―
ユウキ「……アルブヘイムは、ボクが今まで旅してきた世界の中で、一番お昼寝が似合う世界かも」
アスナ「……なにそれ」クスクス
ユウキ「へへ……」
アスナ「寝る子は育つか……」
ユウキ「手、つないでくれる?」
アスナ「ええ……」
きゅ―
ユウキ「アスナ……」
アスナ「……なに?」
ユウキ「ボク、もう一つ行ってみたい所があるんだ……」
37:
アスナ「それは……?」
ユウキ「……それって、現実の世界にあるんだ……だから、無理には」
アスナ「行こっか」
ユウキ「え? ボク、まだ、どこって行ってないよ?」
アスナ「行きたい場所はまだまだあるし……行こう」
ユウキ「アスナ、嬉しい……!」
ガバっ――
アスナ「きゃあっ!?」
ギュウ――
ユウキ「へへへ……」
アスナ「こんなに甘えん坊だっけ?」
ユウキ「これは……アスナのせいだよ」
アスナ「……そっか」
ザザっ――
キリト「……えー、おほん」
アスナ・ユウキ「……あ」
38:
現実世界――
横浜――とある丘陵地
明日奈は右肩を見た。
明日奈「こっちであってる?」
ういいいん―
ユウキ『うん……たぶんそのはず』
和人「合ってるよ」
ユウキ『ごめんね、キリト。付き合わせちゃって』
和人「いや、いいさ……それに、大事な彼女が他の奴に取られないか心配だし」
明日奈「ちょ、ちょっとキリト君!」
ユウキ『あはははは、そっか、ごめんごめん! でも、遅かったね、ボクもうアスナに結婚を申し込んじゃったや』
和人「な、なんだと……」
アスナ「ゆ、ユウキまで……はあ」
和人「これは、改めて決闘を申し込まないといけないみたいだな」
ユウキ「望む所だよ」
ういいいん―
アスナ「……」
39:
明日奈「……あ、見えてきたよ」
ユウキ「え……」
ザアアア――
和人「風が……」
明日奈(……墓石が整然と並んでる……)
ユウキ「……ああ、ここだ、間違いない」
ういいいん――
明日奈(……きっと、駆け出して行きたいんだろうな)
和人「明日奈、これ」
ガサガサ――スッ
明日奈「うん……」
和人「俺はここで待ってるから」
明日奈「え……」
和人「二人で、行ってこいよ」
ユウキ「……ありがとう」
和人「ああ」
明日奈「……」
ザ、ザ、ザ――
40:
ユウキ『……』
ういいいん――
明日奈「……」
ユウキ『あそこ、あの一番奥から3番目』
明日奈「うん……」
ザ、ザ、ザ――
ユウキ『……ッ』
明日奈「ここ?」
ユウキ『……そうだ、うん』
明日奈「菊の花、置くね……」
ソッ――
ユウキ『ありがと……』
明日奈「……」
ユウキ『……ッ』
明日奈「……ユウキ」
ユウキ『良ければ……両手を組んで……イエス様にお祈りしてもらって……いいかな』
明日奈(声が震えてる……)
明日奈「ええ……」
41:
――ギュ
明日奈「……ッ」ジワ
ザアアア――
明日奈「……」ポタ
ういいいん――
ユウキ『……』
明日奈「……ッ」ポタポタ
ういいいん――
明日奈は両手を離し、深呼吸する。
ユウキ『みんな、きっと、今、神様の所で、最高にハッピーな生活を送ってると思う……』
明日奈「そうッ……だね」ポタポタ
ユウキ『ボクは、まだ旅を続けるから、もう少し……待っていてね』
明日奈「ッ……ッ……」
42:
明日奈「次はどこへ……行こうか」
ユウキ『……そうだね』
明日奈「……まだ、行ってないところだらけだよ」
ユウキ『うん……ボク、結婚式に行ってみたいな』
明日奈「え?」
ユウキ『明日奈と和人の……』
明日奈「ゆ、ユウキ……」
ユウキ「あはは……なんてね」
ういいいん――
終わり
43:
読んでくれてありがと
ほのぼのにしようと思ったのに
書いてて心が痛かったわ
44:
乙ー
アニメの旅立ちシーン見れへんかもしれんわ・・・
4

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