アシタカ「森が静かだ……コダマたちもいない……」back

アシタカ「森が静かだ……コダマたちもいない……」


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1:
アシタカ「これなら誰にも見られずにすむ。おいで、モロ」
モロ「アシタカよ。本当に、やるのか?」
アシタカ「怖いのか?」
モロ「恐れなど無い。貴様のような人間に、何を恐れる必要があると言うのだ」
アシタカ「ならばそう警戒しないでくれ。力を抜いて、そこに横たわるといい」
モロ「……少し待て、泉で汚れを落とす」
アシタカ「待てない」
モロ「だが」
アシタカ「汗臭いのではないかと気にかけているのだろう? 私は気にしない」
モロ「知ったような口を……! 私はそのようなことなど気にかけてはいない」
モロ「小僧、私を導くつもりでいるなよ。私から見れば、貴様など赤子も同然なのだからな」
アシタカ「そなたは幾百という年月の中であらゆる知見を得ているだろうが、色事についてはまだまだ未熟だろう」
モロ「我が息子がふたりいる、その意味がわからぬほど愚かではあるまい」
アシカタ「単なる交尾と、愛のある交わりは違う。さあモロ、少し撫でるよ」サワッ
モロ「ン……っ///」
24:
アシカタ「気分はどうだ? 私の感触は、悪くはないが」
モロ「フン、何も感じぬ……」
アシタカ「そうか。ならもう少し、強く触ってみよう」
ナデナデ
モロ「ふぅん///」
アシタカ「森が静かだ……モロの声がよく響く」
モロ「悦に浸っているのか……? 私の乳房を撫で回し、よがり声をあげさせたと?」
アシタカ「そんなつもりはないさ。ただ、モロが喜んでくれるのなら、私も嬉しいよ」
モロ「アシタカ……」
アシタカ「良い毛並だ……月明かりを反射している……美しい」
モロ「だ、黙れ小僧……///」
31:
アシタカ「顔を埋めても構わないかな」
モロ「……好きにしろ」
ポフッ
アシタカ「……ん、ふぅー」
モロ「…………アシタカよ」
アシタカ「大丈夫だ、汗臭くなんかない。今日はたくさん走ったから、気にしているのだろう?」
モロ「フン……人間は獣の匂いを嫌うからな」
アシタカ「私は違う。モロ、そなたの匂いが好きだ」
モロ「……っ!」
39:
アシタカ「………はぁ、はぁ」
ツンツン
モロ「……小僧! 何かが当たっているぞ……!」
アシタカ「私の張りつめた弓は限界のようだ……弦が震えてしまっている……!」
アシタカ「ここ数日、自慰行為を慎んでいたからな……!」
モロ「欲を抑えこんでいたのか……この時のために」
ギンギン♂
モロ「その白き矢を、私へ解き放つのか……?」ドキドキ
アシタカ「モロが……それを許してくれるのであれば」
モロ「…………私は……」
53:
モロ「今日は……今日は、中には出させん」
アシタカ「……そうか」
モロ「……アシタカ」
アシタカ「いや、良い。最後に及んだのは遥か昔のことなのだろう。急いてすまなかった」
アシタカ「今日は外へ出そう。そうだ、モロの毛にかけてはどうだろう」
モロ「それでは、人間の匂いが染みついてしまう……! サンが感づく」
アシタカ「それも、駄目か……?」
モロ「……! ……構わん。小僧、好きにしろ」
アシタカ「ありがとう。では、私の弓に白き矢をつがえる手伝いをしてくれるか?」
モロ「……舐めればよいのか?」
アシタカ「先っちょを、優しく包み込んでくれ」
71:
ペロペロ
アシタカ「っく……!」
モロ「……なんと小さく、醜く、そして…………」
アシタカ「森の神々には到底及ばぬ。ふぅ、見たことはないが、大きいのだろう?」
モロ「かつて連れ添った者(乙事主)は、人の男ほどの大きさの得物を持っていた」
アシタカ「人ほどか……それに比べたら、私のは……うっ、はぁん……小さいか」
モロ「小さい……が、これで良い……」
チロチロ
アシタカ「……そろそろ出そうだ」
モロ「早いな……まるで人の一生のように」
アシタカ「そなたの美しき毛並へ、放ちたい……!」
モロ「こい、小僧!」
85:
アシタカ「……ん、っぐ!」
モロ「………!」
アシタカ「出るぅ……! 出る!」
モロ「……」
アシタカ「駄目だ! やはり出せない!」
モロ「!? 何故だ!? 何故、出さぬ、小僧!」
アシタカ「そなたの美しき毛並を、汚したくない……!」
モロ「……! ならば! その溜まった白き矢を、どこへ放つ!?」
アシタカ「森へ……草木の上へ……!」
コダマ「……」カラカラカラカラ
アシタカ「コダマたち……!」
コダマ「……」カラカラカラカラ
アシタカ「いけない……! 森を汚す様をコダマに見られたら……! シシ神に……!」
93:
モロ「……!」
アシタカ「……! あれは!」
デイダラボッチ「……」ジー
アシタカ「見られてしまった……!」
コダマ「……」カラカラカラ
モロ「夜の姿から昼の姿へ戻るのだ……! まさか、ここがその場所だったとはな……!」
モロ「小僧、いまここで白き矢を放てば、森を汚した罪人として命を吸われることになる……!」
アシタカ「だが、もう……! 矢が放たれるまで数秒ともたない……!」
モロ「……! 小僧! 口だ! 私の口の中へ出せ! 白き矢を隠す!」
アシタカ「モロ……! すまない、なんとかとめようとしたんだが……!」
ドッピュ
モロ「んむっ」
103:
モロ「???????っ!」
アシタカ「モロ!」
モロ「……ごっくん」
アシタカ「の、飲むことができたのか……!?」
モロ「フン、貴様ごとき、身体ごと飲み込むのも造作ない……おえっ」
アシタカ「気分は悪くないか?」
モロ「……構うな。私は平気だ……。美味しかった(ボソッ」
アシタカ「……そうか、よかった」
シシ神「……」ジー
アシタカ「シシ神よ! 私たちは、そなたの森を汚すつもりなどない! ただ、愛を育んでいただけなのだ!」
シシ神「……」プイッ
タッタッタッタ
アシタカ「去っていく……」
モロ「アシタカよ……少し、疲れた……背中を撫でろ」
アシタカ「ああ、すまなかった」ナデナデ
106:
アシタカ「モロ……私は、お前の虜だ」
モロ「戯けたことを」
アシタカ「嘘ではない。モロ、ふたりで暮らそう」
モロ「……それはできない。私は山犬、貴様は人間だ。所詮は相容れぬ存在……」
アシタカ「そんなことは関係ない。モロ、そなたが私のことをどう思っているかだ」
モロ「私は……貴様が……嫌いでは、ない。他の人間たちと比べてだが……」
アシタカ「ならば共に生きよう」
モロ「……」
アシタカ「ヤックルは捨てる。モロも、二匹の息子とサンを捨ててくれ」
モロ「………」
アシタカ「モロ。答えてくれ」
ナデナデ
モロ「わ、わかった……///」
114:
モロ「お前たち、サンと共に生きていくんだよ」
山犬A「えっ」
山犬B「サンと?」
モロ「そうだ。私は、ここを離れる」
サン「母さん! どうして!?」
モロ「アシタカを愛しているからだよ」
サン「アシタカを!?」
アシタカ「サン、私はモロと共に生きる。ヤックルを頼む」
ヤックル「……」
サン「ア、アシタカ!」
アシタカ「サンはヤックルと、私はモロと共に生きよう。会いに行くよ、モロに乗って」
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