男「変な指輪をもらった」back

男「変な指輪をもらった」


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1:
男「面白ーくない 世のなーかー 面白くすればいいのーさー♪」
男「じーぶんで見つけーりゃー ほどほどにパラダイスだー♪ っとぉ」
おばあさん「あの…」
男「はい?」
おばあさん「ここから駅まで行くには、どの道を行けばいいんでしょうか…」
男「駅ですか? ここからだと歩いて行くにはちょっと遠いですよ?」
男「バスでよければ、向こうの信号を左に曲がってすぐに駅前行きのバス停がありますが」
おばあさん「あぁ、ありがとうございます…」
男「では、私はこれで…」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1415495523
2:
おばあさん「ちょっとお待ちください」
男「へ?」
おばあさん「…」ジィッ
男「えと、顔に何かついてます?」
おばあさん「あなたは動物を飼っておられますか?」
男「え、ええ、ハムスターを3匹ほど…」
おばあさん「道を教えてくれたお礼です。これをどうぞ…」
男「い、いやいや、お礼を戴くほどでは…!」
3:
おばあさん「お礼は建前です。老い先短いこの身、遺産分配でどこの馬の骨ともしれぬ輩の手に渡るなら、あなたに受け取って欲しい」
男「いやいや、むしろ私のほうがどこの馬の骨ともしれない輩…、ってお守り?」
おばあさん「その中身の指輪が重要なんですが、受け取りましたね…?」
男「あ、今お返し…」
おばあさん「返品はお受け付けいたしません。あなたが思う『悪用しないと信頼できる人』にお渡しください、あなたであればわかるはず…」
男「は、はぁ…」
おばあさん「では失礼いたします。ありがとうございました…」
男「こ、こちらこそありがとうございます…?」
4:
男「なんかしらんけどお守りもらった、んー、とりあえず失くさないようにしないとな」
男「っとそうだ、ハムズの餌を買いに行く途中だったんだ」
男「お守り貰ったし、幸せのおすそ分けってことでおやつも買ってやろうかな」
5:
男「おーい、お前たちー、おやつ買ってきたぞー」
ハム太「わーい♪」
ハム美「おやつ♪ おやつ♪」
男「ちょっと待ってな?、ってありゃ? ハム助がいない…」
ハム太「ハム助ならそこから出て行ったよ?」
男「そこ? ってケージ外れてんじゃねーか!」
ハム美「ねーおやつまだー?」
男「ちょ、ちょっと待て。まずハム助を捕まえてからだ…」
ハム太「もー、ハム助のばかー…」
6:
男「ハム助ー、どこ行ったー?」
男「タンスの裏にも、机の下にもいないし…」
男「この部屋はずっと閉めてたから、外には行ってないとは思うけど、どこにもいない…」
男「ま、まさか俺と入れ違いに外に出て行ったとか…!?」
男「そ、それはマズイ!」
7:
ハム太「ねー、ご主人ご主人ー」
男「な、何だ!?」
ハム美「帰ってきたわよ」
ハム助「おやつと聞いて」
男「いつの間に!」
ハム太「ハム助見つかったし、おやつだよね? ね?」
男「…その前にハム助にお説教」
ハム美「まだお預けなの…」
8:
男「なぁ、ハム助。脱走するなとは言わない。だけどな、必ず2匹のどっちかにいつまでに戻るかぐらいは言ってから脱走してくれ」
ハム助「…うむ、承知した」
男「それと、絶対に扉の向こうには出ないこと。ハム太とハム美にも言えることだからな」
ハム太「うん、わかった!」
ハム美「わかってるわよ」
ハム助「善処しよう」
男「善処?」
ハム助「い、いや! 約束する! 絶対に扉の向こうには行かない!」
男「よろしい、じゃあお待ちかねのおやつタイムなー」
9:
ハム太「やたっ♪」
ハム美「おやつ♪おやつ♪」
男「1匹1つずつな、ほれっ」
ハム助「うむ、美味♪」
ハム太「あまあま?♪」
ハム美「しあわせ?♪」
男「うん、よしよし、じゃあ俺もおやつターイム、ってあれ?」
10:
男「なぁお前たち」
ハム太「なにー?」
男「俺たち今会話出来てるよな?」
ハム美「何をいまさら…、ってあら?」
ハム助「言われてみれば会話出来てるな」
ハム太「すごーい、ご主人の言葉がわかるよ!」
男「俺もお前たちの言葉がわかる…、何でだ?」
ハム美「ご主人と会話できるなら便利になるわね」
ハム助「あぁ、こちらの要望を伝えられるからな」
男「そっか便利になるな、不便もなさそうだし、まぁいっか」
11:
ハム太「うん、じゃあおやつタイムさいかーい♪」
男「そうだ、ずっと聞きたいことがあったんだ、お前たちって俺のこと好きか?」
ハム太「? 好きだよー」
ハム美「私も好きよ」
ハム助「うむ、私もだ」
男「…うぅ…、よがっだよぉ…、もしかしたら嫌われてるんじゃないかって…」
ハム美「そんなわけないじゃない」
男「俺もお前たちが大好きだーーー!!!」
12:
ハム太「うん、知ってるよー」
ハム美「わかりやすいものね」
男「え」
ハム助「まぁ、ご主人と言葉がかわせなくてもご主人の愛を感じていたのだ、いいことではないか」
ハム太「僕たちの好きーな気持ちが伝わってなかったのは残念だけどねー」
男「はぐぁっ! ごめんよぉ…」
14:
翌日
男「じゃあ行ってきまーす」
ハムズ「「「いってらっしゃーい」」」
―――
男「お、ボスじゃん、ちょいちょい」
ボス猫「やれやれ、アタシにわざわざ近づく人間は飼い主と子どもぐらいだよ、アンタも物好きだねぇ」
男「そうなの? こんなに可愛いのに」
ボス猫「可愛いなんて言われたの何年ぶりかねぇ…、って、え? おい、アンタ…」
男「あ! やばい今日早く行かないと行けないんだった! じゃあまたね!」
ボス猫「…まさかね、一応調べておくか」
15:
男「おっとカラスがゴミ漁ってる…」
男「ゴミ漁るのはいいけどちゃんと片付けろよー」
カラス「ふぅ、仕方ないのう」
男「じゃーなー」
16:
友「よぉ男! 今日はやけに遅いな」
男「教授の頼まれ事してたから、お前よりかは早く着いてるよ」
友「そうなんだ、おつかれー」
男「そうだ、後で話があるんだけどいい?」
友「なに、ここじゃ言えない話?」
男「おおっぴらには言えない話かな」
友「ふーん、じゃあ昼はいつもの定食屋に行くか」
男「助かるよ」
17:
友「んで、話って? 女の子の話?」
男「まったく違う。なんか昨日から動物の言葉がわかるようになっちゃってさ」
友「え!? マジで!? すっげーじゃん!」
男「え、疑わないの?」
友「だって男の話だし、嘘じゃないんだろ?」
男「…まぁ嘘じゃないけどさ、お前の将来が心配になってきたよ…」
18:
友「あれ? わざわざ言ってきたってことは何か問題発生?」
男「いや、なんも。お前には言っとこうと思ったのと、あそこだと誰かに聞かれる可能性あったしな」
友「なるほどなー。その動物ってなんでもいいのか?」
男「どうだろう。ウチのハムズと近所のボス猫とゴミ漁ってたカラスとは会話出来たけど…」
友「魚とか虫とかも会話できるのか気になるな」
男「まぁ確かに」
19:
友「と、言うわけで」
男「どういうわけで?」
友「今朝女友ちゃんに4人で動物園に行かないかって誘われたぞ」
男「なんというタイミング…いーよ。で、いつ?」
友「次の土曜、朝10時、駅前集合な」
男「りょーかい」
21:
―動物園―
友「到着! じゃあどこから見に行こっか?」
男「…」チラッ
女友「!」ピキーン
女「私はふれあい広場に行きたいかなぁ」
友「いいね! じゃあまずそこから行こっか」
22:
男「悪いんだけどさ、俺は別行動でいい? 爬虫類系見に行きたいんだよね」
女友「あ、じゃあ私も付き合うー!」
友「え? ふれあい広場に行った後で全員で行こうぜ」
男「あー、女さんは爬虫類好きじゃなさそうだからさ、友は女さんに付き合ってほしい」
女「あう…、ご、ごめんね」
友「そっか、苦手なら仕方ないね」
女友「じゃあお昼になったら一回集合しよ」
23:
友「やっぱり女友ちゃんって男のことが好きなのかな」
女「え、そうなの?」
友「いや、別行動になった時、男に付いて行くことが多いからね、だったら応援しないとな」
女「うん、そうだね」
女(というよりむしろ…)
24:
女友「あーあ、世話が焼けるわね、ごめんね? 付き合わせちゃって」
男「いや、大丈夫だよ。でも、もうそろそろ4人じゃなくて、2人でデートに誘ってもいいのかな?」
女友「やっぱりそう思う? でも、女は勇気がないからねぇ…」
男「うーん…、いっそ友から誘わせるか…」
女友「それがいいかもね」
25:
男「んで、これからどうする?」
女友「どうって?」
男「爬虫類系見に行きたいってのは本当なんだよね、女友さんにしてみればつまらないかもしれないけど」
女友「別に見るだけだったらいいわよ、それに1人のほうがつまらないしね」
男「そう? じゃあ行こうか」
女友「うん」
26:
女友「男くんって爬虫類好きなんだ」
男「爬虫類にかぎらず動物全般は好きだよ。ただ、こういう機会でしか爬虫類は見ないからね」
女友「え? それだったらゾウとかキリンとかは」
男「大型動物と猛禽類は後で見に行くつもり」
女友「そっか、あ、ペンギンの餌やり体験ってあるよ? 後で行ってもいいかな?」
男「いいよ、俺も興味ある」
27:
夕方
女友「いやー今日は疲れたねー」
友「だなー。ん? 男、何買ったん?」
男「うちのハムズのおやつ、ここ限定だって書いてあったしな」
友「お前も好きだよなー」
女友「ハムズ? ハムスター?」
男「うん」
女「男くんってハムスター飼ってるの?」
男「うん、ちょっと待って…、ほらこれ」
女「わっ! かーわいー!」
女友「ほんとかわいい…」
友「何回か男ん家行ったけど、人懐っこいよ、女友ちゃんも1回男ん家行ってみるといいよ」
女友「へ? 何で私だけ?」
友「え、だって…」
女「あ、あーっと! そろそろ帰ろっか!」
男「だな、こんなとこで駄弁ってるわけにもいかないし」
28:
女友「じゃあ私達こっちだから」
女「バイバーイ」
友「おう、また学校でなー」
男「じゃあまた」
友「…さて男、今日はどうだった?」
男「ああ、爬虫類、両生類、猛禽類、大型哺乳類の言葉は理解できたかな。女友さんがいたから会話はしてないけど」
友「それもだけど、そっちじゃなくて! 女友ちゃんのことだよ! 進展あったか?」
男「進展?」
友「だから! 別行動取るときに女友ちゃん男に付いていくから、好きなんだろ? きっと」
男「はああぁぁぁぁ…」
友「な、なんだよ…」
男「お前はえらく勘違いをしている、一緒に行動するのは目的が一緒だからってだけだよ」
友「えーじゃあ、今日は本当に爬虫類が見たくて同行したってことか?」
男「そうそう」
29:
友「んーあんまし納得いかないけど、まぁいいや。で、もう1つの方だけど」
男「さっき言ったのは会話ができそうだ。んで、昆虫館にも行ってみたんだけど、そっちはダメだった」
友「へぇ、わからないのもいるんだ」
男「うん、後は魚類だけど、生きた魚はいなかったから今度水族館に行ってみる」
友「まぁ、ほとんど餌になってるな…、ってあれ? 受け付けの横の池に鯉がいたような…」
男「…」
友「…」
男「…動物園にイルカいなかったし、あわよくばイルカと会話できたらなーって…」
30:
女「女友ちゃん、今日はありがとね、2人っきりにしてくれて」
女友「ん? いーよー別に。男くんと話すのも楽しいしね」
女「…。女友ちゃんって男くんのこと好きなの?」
女友「へ?」
女「友くんに、いつも男くんと女友ちゃん一緒だからって言われて、最初は私に気を使ってくれてるだけかと思ってたけど、思い返せばそうなのかなーって」
女友「うーん…。男くんのこと恋愛感情で見たことないしなぁ」
女「そうなんだ」
女友「うん。あ、さっき男くんと話してたんだけど、そろそろ4人じゃなくて2人のデートに誘わないとねって」
女「あうっ! そ、そうだよね、うん! 頑張ってみるよ!」
31:
男「ただいまー」
ハムズ「「「おかえりー」」」
男「…帰ったらお迎えがあるって嬉しい…!」
ハム美「何言ってんのよ。ところでご主人、臭い」
男「うぇ!?」
ハム太「たしかにー。なんかいろんな匂いがして嫌かなー」
男「いろんな? もしかして動物園行ったからかな」
ハム助「動物園!? 動物園は素晴らしいと聞く、一度連れて行ってはくれないか?」
男「意外なとこが食いついたなぁ、でもダメ。危ないし、ヘタすると食われちまうから」
ハム助「むぅ、残念…」
男「その代わり、動物DVD借りてきてやっから」
ハム太「それは僕も好きかな」
ハム美「ええ、私も。臭くないし」
ハム助「まぁ、仕方ないか」
32:
―水族館―
男「えっと、イルカの水槽は、っと」
男「あれ? いない。あぁ、もうすぐショー始まるのか、じゃあショー観にいくか」
―――
男「なかなかにすばらでした。さてと戻ってるかな? あぁ、いたいた」
男「やぁやぁイルカさん、さっきはお疲れさま」
イルカ「あれ? 人間さん?」
男「はい、人間さんですよー」
イルカ「僕たちの言葉がわかるの?」
男「はい、わかりますよー」
イルカ「おぉ! すごいねっ! すごいねっ!」クルクル
男「おぉ、なんという新鮮な反応…」
イルカ「人間さんと話せるなんて思ってなかったよ!」
男「俺も動物と話せるとは思わなかったよ」
子供「ママー、あの人イルカさんとお話してるよー」
母親「そうねー、話してるわねー」
33:
イルカ「ねえねえ人間さん」
男「ん?」
イルカ「人間さんはいろんな動物とも話せるの?」
男「全部じゃないけど、いろんな動物と話せるよ」
イルカ「おぉー! いいなっ! いいなっ!」
男「なあなあイルカさん」
イルカ「なにー?」
男「イルカさんは今幸せかい?」
イルカ「幸せだよー、お魚いっぱいもらえるし、高く跳んだらいっぱい褒めてもらえるし!」
男「…そんなもんかぁ」
34:
イルカ「ねえねえ人間さん!」
男「なんだい?」
イルカ「一緒に遊ぼうよ!」
男「え? えっと、うーん…、遊びたいのもやまやまだけど…」
イルカ「…だめ?」
男「さすがに水槽に入るわけにもいかないし…、あ、そういや売店にボール売ってたっけ? ちょっと買ってくるから待ってて!」タッタッタッ
イルカ「いってらっしゃーい」
35:
男「次は前ひれでボールを掴んでー」
イルカ「こう?」
男「そうそう、その状態で尾びれでボールを蹴る!」
イルカ「えいっ!」
男「おぉっ! すごいすごい!」
イルカ「やったっ、もいっかい!」
男「おー」
飼育員「おい! 何やってんだ!」
男「やべっ、あー、すみません、つい…」
飼育員「はぁ…、つい、じゃなくて。今回は見逃しますが、次回同じようなことをしたら相応の対応を取らせてもらいますからね」
男「はい、すみませんでした…。おーいボール返してー」
イルカ「はーい、それっ」
男「よっと」
飼育員(こいつ、俺が教えてない芸を、この短時間で…!?)
男「では、失礼します」
飼育員「あ、はい、お気をつけて…」
飼育員(負けるもんか!)ゴゴゴゴゴ
イルカ「?」
36:
ボス猫「ちょいと」
男「ん? おぉボス! 久しぶりー、旅にでも出てたの?」
ボス猫「ちょっと調べ事をね…」
男「ふーん…」
ボス猫「ところで、誰かから指輪をもらわなかったかい?」
男「指輪? もしかしてこのお守りかな。中身は指輪って言ってたけど…」
ボス猫「その指輪手に入れてから変わったことは?」
男「動物と会話できるようになったぐらいかな」
ボス猫「それ以外は?」
男「それ以外って…、どんな動物でも会話できるのか試したぐらいだけど、何かあった?」
ボス猫「…まだその指輪の本質に気付いてないようだね」
男「本質? 会話できる以外に何かあるってこと?」
ボス猫「強制的に動物に命令を下すことができる」
男「へ?」
37:
ボス猫「心当たりはないのかい?」
男「心当たりって、そんなこと言われても…、あ、そういえばゴミ漁ってたカラスに片付けとけよって言ったら、やけに素直に聞いたような…」
ボス猫「ふふっ、初の命令がお片付けかい。それで、この事実を知ったアンタはどうする?」
男「どうするとは?」
ボス猫「例えば金儲けとか、競馬で馬にわざと負けろと命令したり、芸を仕込ませることも可能だ」
男「へぇ…」
ボス猫「さぁ、どうする?」
39:
男「どうすると言われても、特に何もしないかな」
ボス猫「何も?」
男「そんな簡単に上手くいったら人生つまらないし、動物を利用したくはないからな」
ボス猫「…。ふっ、指輪を手にしたのがアンタみたいな人でよかったよ」
男「もし俺が金儲けを考えていたら?」
ボス猫「そりゃ周りにいる猫全員で襲いかかって、何としてでも奪ってやったさ」
男「こわっ!」
ボス猫「でもまぁ安心した。じゃあアタシらは帰るとするよ」
男「あ、うん、じゃあまた」
40:
―2年後―
男「…」
ボス猫「…逝ってしまったか」
男「うん、これで全員…ね」
ボス猫「…」
男「最初にハム太が亡くなって、次にハム美が亡くなって、最後にハム助。ハム助には寂しい思いをさせちゃったかもね」
男「でも、みんな幸せそうに逝ってくれたと思ってる、自分勝手に見てるだけかもしれないけどね」
ボス猫「彼奴らとは数回しか会ってはいないが、幸せそうではあったよ」
男「…ありがとね。さて、そろそろ戻るかな」
ボス猫「アンタ、これからどうするんだい?」
男「これから? まずは後片付けかな」
ボス猫「そうじゃなく、また新しくペットを飼うのかってことだよ」
男「ああそっち? うーん…、何も考えてないなぁ。そろそろ引っ越そうかと思ってるし、引っ越し先がペット可なのかどうかもわからないし」
ボス猫「そうかい、…最近孫が産まれてね」
男「そうなの!? おめでとう!」
ボス猫「ありがとうよ。それで、今里親を探してるんだが、1匹貰ってやってくれないか?」
男「里親? …んー、昔だったら二つ返事でOKだったんだけど…、ちょっと待ってて、今確認する」
41:
trrrrrr
男「あ、もしー、俺俺ー。いや、詐欺じゃないよ!?」
男「いやぁ、今子猫の里親にならないかって言われてさ」
男「え、OK? 早いね、あ、元から飼おうと思ってたんだ」
男「じゃあ今度一緒に、うん、うん、じゃね、はーい」
Pi
男「OKだよ、飼い主さんに都合聞きたいんだけど、電話番号わかる?」
ボス猫「首輪についてる」
男「じゃあちょっと失礼して…、えっと03の…」
42:
ピンポーン
ボス主「はいはい、えっとー…」
男「どうもはじめまして、男と申します」
女友「はじめまして、女友といいます、今日はよろしくお願いします」
ボス主「ああ、よく来ましたね、どうぞお上がり下さい」
男「あ、はい、お邪魔します」
女友「お邪魔しまーす」
ボス主「こちらの部屋です。首輪の付いてる子たちは里親が決まっていますので、首輪のないの子たちからお選び下さい」
男「はい、わかりました」
ボス主「では、ごゆっくり」
43:
ガチャ
女友「はぅわっ、か、か、かわいい…」
男「おぉ、結構な子沢山」
ボス猫「ん? あぁ今日だったかい」
男「あれ? 珍しいね、いつもなら外に出てる時間なのに」
ボス猫「そりゃ初孫だからね、変な輩には渡せないさ。まぁ、今まで来た奴らはよさそうだったがね」
男「それはよかった」
44:
女友「きゃーきゃーっ、この子かわいいっ! あっ、この子も! うわぁどうしよう! 選べないっ!」
男「…ごめん、騒がしくて…」
ボス猫「確かにうるさいが、まぁいいさ。この子たちを可愛がってくれそうだ」
男「お眼鏡に適った感じ?」
ボス猫「アンタが選んだヒトなんだろ? 実際に会わなくてもわかるさ」
男「お、おう、なんか面と向かって言われると恥ずかしいな…」
45:
ボス猫「そういえば言うの忘れてたよ」
男「なに?」
ボス猫「アンタに指輪を渡したばあさん、亡くなったそうだよ」
男「…そっ、か」
ボス猫「もう1年以上経つらしいが、知ったのが最近で伝えられなくてすまんね」
男「いや、いいよ、…家、教えてもらえる?」
ボス猫「それはいいが、住所というものがわからない」
男「んー…」
ボス猫「だから、ばあさんの家の近くにある駅から他の猫に案内させる」
男「おお、それはありがたい」
46:
女友「男もはやく来てよー! 一緒に選ぼー?」
男「おー、どの子にするか大体は絞った?」
女友「うんっ、この子とこの子がいいかなって」
男「そっか、じゃあどっちにしようかな…、ん? 今足元に…」
子猫「…」スリスリ
女友「あれ? さっき私に懐いてくれなかった子だ」
男「そうなの?」
女友「うん…、手出したら途中まで寄ってきたんだけど、スルーされちゃった…」
こんな感じ
http://i.imgur.com/H6Ss3cF.gif
47:
ボス猫「この子は今まで来た奴にも懐かなかったんだよ」
男「そうなんだ」
子猫「zzz...」
男「あらら、寝ちゃった。うん、俺はこの子がいいな」
女友「うーん、私でも懐くかなぁ…?」
男「女友でも懐く?」
ボス猫「頭の悪くない子だからね、きちんと言い聞かせれば懐くさ」
男「ちゃんと言い聞かせたら懐くって」
女友「ホント!? よかった?、じゃこの子にしよっか!」
男「え? そんな簡単に決めちゃっていいの?」
女友「だって男が決めた子だもん」
男「…あー、もう! 何でこうも恥ずかしいセリフを言えるかなぁ…」
48:
―――
――

男「えっと…、この駅、だよな?」
使い猫「男さま」
男「ん? ああ、もしかして君かい? 今日案内してくれるのは」
使い猫「はい、本日はよろしくお願い致します」
男「こちらこそよろしくお願いします」
使い猫「では、こちらです」
男「わかった」
49:
使い猫「こちらです」
男「ん、案内ありがとう」
使い猫「いえいえ、それで男さま、このあとご予定はございますか?」
男「このあと? このあとは何も予定はないけど」
使い猫「それでしたら、お婆様に来て頂いていた私達の溜まり場にご案内したいのですが、よろしいですか?」
男「うん、いいよ」
使い猫「ありがとうございます。ではお待ちしております、行ってらっしゃいませ」
男「うん、行ってきます」
ピンポーン
50:
男「…」チーン
男「…」
―――
おばさま「遠いところをわざわざありがとうございます」
男「いえいえ、とんでもないです」
おばさま「あなたのように、お線香をあげに来てくださる方も少なくないんですよ」
男「そうなんですか?」
おばさま「ええ、よく夫婦2人で旅行に行っていましたし、父が亡くなってからも1人でふらっと出かけることが多かったんですよね」
男「へぇ、結構積極的な方だったんですね」
おばさま「ええ、その旅の先々で出会った方がお世話になったからってよく線香を上げてきていただいてます。母が亡くなったというのをどこで聞いたのかはわかりませんけどね」
男「あはは…」
おばさま「でも、母を尊敬し訪ねてくださるのは、娘として嬉しい限りです」
51:
男「今日はありがとうございました」
おばさま「いえ、こちらこそありがとうございました」
男「また、お伺いしてもよろしいですか?」
おばさま「はい、ぜひ。母も喜ぶと思います」
男「ありがとうございます、では失礼致します」
おばさま「ではまたお越しください」
53:
使い猫「男さま」
男「あっ、ごめんね、待たせちゃって」
使い猫「大丈夫です、では参りましょう」
男「ここから遠いの?」
使い猫「いえ、ここです」
男「近っ! この家?」
使い猫「はい」
ピンポーン
ばあさま「はーい、どちらさま?」
男「はじめまして、男と申します。ここに猫のたまり場があると聞きまして」
ばあさま「え? そんな話どこから…、あっ、もしかしてあなたがウメちゃんの言っていた!?」
男「ウメちゃん?」
使い猫「あなたに指輪を渡したおばあさまのことでございます」
ばあさま「あなた指輪を貰ったでしょう!? ささっ、上がって上がって!」
男「は、はい、おじゃまします…」
54:
ばあさま「今、お茶を淹れて来るからこちらで待っててね」
男「おかまいなくー」
使い猫『男さま、男さま』
男「ん? こっちかな?」カラカラ
男「うぉっ! めっちゃ大量の猫!」
使い猫「この家の庭が私達のたまり場となっております」
男「ほぇー…」
使い猫「ご紹介します、この辺りを束ねている
ボス猫「へぇ、アンタがねぇ、姐さんから聞いてるよ。あぁアンタんとこのボスのことね」
男「あ、面識あるんだ」
ボス猫「面識も何も昔は姐さんの下にいたからね」
55:
ばあさま「ビックリしたでしょう?」
男「ええ、ホントに…」
ばあさま「最初は1匹とか2匹とかそれぐらいだったんだけどね、餌と屋根のある場所を提供したら瞬く間に増えていったわ」
男「…」
ばあさま「まぁ今寂しくないのはこの子達のおかげなんだけれどね」
男「…多分ですけど、餌と屋根のある場所ってだけじゃないと思いますよ」
ボス猫「…」
ばあさま「ありがと、あなたはいい人ね」
男「へ? えと、ありがとうございます?」
ばあさま「うん、ウメちゃんがあなたを選んだのもわかるわ」
男「…ずっと疑問だったのですが、なんでウメさん?が私に指輪を渡したんでしょうか? 初めて会って、たった数分、数秒話をしただけなのに」
ばあさま「ウメちゃんは昔から目がよくて、数日会って話すだけでその人がいい人なのか悪い人なのかを仕草を見て判断してたらしいのよ」
ばあさま「誰かから指輪をもらってからは、もっと早く判断できたみたいだけど」
男「そうだったんですか」
56:
ばあさま「ウメちゃんね、お医者さまから余命を宣告されて、指輪にふさわしい人を探してたのよ」
男「でもそれは娘さんでもよかったんですよね? 見たところ指輪を悪用しそうにありませんでしたが」
ばあさま「んー、まぁ、あの子も年だしねぇ。…それで、よさそうな若者を見つけたら道を聞いてその人を観察してたって」
男「え!? あれって指輪を渡す人を探すためだったんですか!?」
ばあさま「そうよぉ、死ぬギリギリまで、全国津々浦々見て回って探すって意気込んでたわ」
男「全国…」
ばあさま「お医者さまからは入院するように言われてたけど、これだけは譲れないって」
男「…」
ばあさま「あなたをみて、あなたと話をし、それでウメちゃんは判断できたんでしょうね。あなたが指輪を渡すにふさわしい人だと」
ばあさま「あなたがあの町に居てくれてよかったわ。探しだして3日ぐらいであなたに出会って、すぐ入院できたんだもの」
男「…そんな、ことがあったんですね」
57:
ばあさま「さてと、猫達があなたと話したそうにしてるわよ」
男「え?」
ばあさま「あれ。さすがにあんなにじっと見られたら、その指輪がなくても気付くわよ」
男「あははっ」
ばあさま「すまないけど話し相手になってくれないかい?」
男「いえいえ、猫と話をするという目的もありましたから」
58:
ボス猫「ん? やっと来たかい」
男「うん、ごめんね、おまたせ」
ボス猫「アタシらもさ、ばあさんが死んでから寂しかったんだよ。だから今日はたっぷり話し相手になってもらうからね」
男「よし、どんとこい!」
ばあさま「ふふっ、さてご飯の支度しなくっちゃ」
59:
ばあさま「ご飯の時間よー」
男「え? あ! もうこんな時間! 長い時間おじゃましてすみませんでした! 今おいとましますね!」
ばあさま「でも、あなたの分のご飯も作っちゃったわよ?」
男「へ?」
ばあさま「あなたが食べないなら1人分無駄になっちゃうわね、私はとても2人分なんて食べられないし、捨てるしかないかなぁ、もったいないなぁ」
男「うぐっ、…い、いただきます」
ばあさま「うん、よろしい」
60:
男「ふぅ、ごちそうさまでした。美味しかったです、ありがとうございます」
ばあさま「お粗末さま、こっちこそありがとうね、楽しかったわ。年末年始ぐらいしか子どもたちも帰ってこないし、ずっと1人での食事だったから」
使い猫「男さま、男さま」
男「ん?」
使い猫「少しの時間よろしいですか?」
男「いいけど、何かな?」
ボス猫「折り入って相談…、というかお願いがあるんだが。毎日じゃなくてもいいから定期的に来て、アタシらの話し相手になってくれないかな。今日は結構な時間話したけど、まだ話してない奴もいるんだ」
男「うん、構わないよ。でも、予定もあるから月に2回ぐらいしか来られないんだけど…」
ボス猫「いや大丈夫、ありがとね」
61:
男「さて、そろそろおいとましますね」
ばあさま「あら、泊まっていってもいいのよ?」
男「いえ、明日は朝から予定が入っていまして」
ばあさま「あぁ、それは仕方ないわねぇ」
男「それで、またお伺いしてもよろしいですか?」
ばあさま「うん、大歓迎! 万が一私が外出してても、正面から庭に行く道あるからね」
男「ありがとうございます」
ばあさま「今日は本当にありがとうね。あの子たちも嬉しそうだわ」
男「いえ、こちらこそありがとうございました。それではおやすみなさい」
ばあさま「うん、おやすみー」
62:
使い猫「男さま、お送りいたします」
男「え? 道憶えてるから、別にいいよ」
使い猫「そう言わないで下さい、私も男さまとお話がしたいのです」
男「そっか、じゃあ一緒に行こっか」
使い猫「はい」
63:
使い猫「今日は本当にありがとうございました」
男「いやいや、そんなに大したことは…」
使い猫「…おばあさまが亡くなった時、ボスは建前上、気丈に振舞っていましたが、それでも1匹になると悲しそうにしていましたから」
男「…」
使い猫「でも、男さまがこっちに来てくれるってのを聞いて、多分本人は通常通りに振る舞ってると思っていたのでしょうが、一番にはしゃいでましたよ」
男「ははっ、おっと、もう着いちゃったね」
使い猫「では、またお会いできる日を楽しみにしています」
男「うん、またね」
使い猫「はい、また」
64:
―――
――

男「よーっし、これで家具類は設置完了かな? あ、今日はありがとうございました」
業者「いえ、ではまたのご利用お待ちしております!」
男「さて、迎えに行くか」
65:
男「ただいまー」
女友「おかえりー」
シロ(子猫)「おかえりっ、おかえりっ、抱っこ、抱っこ」
男「はいはい、甘えん坊だなぁ」
女友「いーなー、私も男に抱っこされたーい」
男「そんな嫉妬しなくても」
女友「嫉妬じゃないもん、後でちゃんとかまってよね」
男「はいはい、掃除しといてくれたんだ」
女友「うん、この部屋ともお別れだしね。でももう終わったよ」
男「ありがとね、じゃあ行こうか」
女友「うん」
66:
―車中―
男「ふと、疑問に思ったんだけど」
女友「ん?」
男「友と女さんが付き合い始めたのが先なのに、なんで俺達の方が先に婚約してるんだろう」
女友「なんか、女が言うにはまだ恥ずかしいんだって」
男「え」
女友「何が恥ずかしいのかはよくわからないんだけどさ」
男「うーん…、まああいつらにはあいつらのスピードがあるか」
女友「だね」
男「よし、着いたー」
67:
男「ここから2人の人生が始まるんだな」
女友「うん」
シロ「…」ペシペシ
男「イテテ、ごめんって」
女友「どしたの?」
男「いや、2人って言ったことに不満があるんだと思う、もちろんお前も一緒だよー」
女友「もー、シロちゃん寂しがり屋なんだからっ♪」
男「さて、入ろう」
女友「うん、ゴーゴー!」
68:
シロ「ご主人…、ここ怖い、いつもの匂いしない…」
男「あーまだ慣れてないかぁ、ほら俺がいるから大丈夫」
シロ「うん…」ジョワー
女友「なんか妬けちゃうなー、って男!男!」
男「ん?…のわっ!」
シロ「ごめんね、ごめんね…」ジョワー
女友「タオルタオル…、いや、まずお風呂行って流してきて!」
男「おう!」ダダダッ
最初からトラブルがあり、前途多難な人生になりそうだけども、
まずは2人と1匹で前を向いて生きていこう
おわり
69:

良かった
7

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