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モバP「由愛ちゃんチェック」


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1:
P「アイドル行動チェックの時間です」
ちひろ「実況はわたくし千川ちひろ」
P「解説のモバPです。よろしくお願いします」
ちひろ「今回のチェック対象は本日が誕生日でもある成宮由愛さんということですが」
P「由愛ちゃんですね」
ちひろ「モバPさん、この子はざっくり言ってどんな子なのでしょうか」
P「水彩画が得意で気の弱い可愛い子です。私としては真剣に結婚したいと思っています」
ちひろ「そうですか」
P「はい」
『コンコンコンッ』
ちひろ「あっ、さっそく成宮さんが事務所にやってきたようです」
由愛『おはようございます』
ちひろ「髪の毛ふわふわ、手にはスケッチブック」
ちひろ「では2カメに切り替え正面から見てみましょう」
P「可愛い」
2:
ちひろ「入ってくるなりきょろきょろとしているようですが」
ちひろ「これは一体どういった心境を表した行動なんでしょう」
P「俺を探してる、絶対そうだ」
P「迎えに行ってあげたい、そしてそっと抱きしめて首筋を甘噛みしたりしたい」
ちひろ「気持ち悪いですねこの人」
P「ああ?」
ちひろ「それはさておきモバPさんを探していると、なるほど」
ちひろ「あっと、事務所に誰もいないことを認め、成宮さんがソファーに腰掛けました」
ちひろ「スケッチブックを広げています」
P「過去に描いた絵の確認ですね」
ちひろ「出来栄えを再確認しているということでしょうか」
P「というよりは私が絵を見て褒めた部分をそっと撫でてうっとりしている感じですね」
ちひろ「3カメに切り替えてみましょう」
ちひろ「あっ、本当ですね、絵に触れてニコニコしています」
P「可愛いですね」
3:
ちひろ「おっとここで成宮さん、おもむろに立ち上がりドアのほうへ」
ちひろ「何処かへ移動するのでしょうか」
P「いや、すぐに戻るでしょう、カメラを切り替えるまでもありません」
ちひろ「おおっとこれはモバPさんの言うとおり」
ちひろ「ドアを開け廊下を少し見回しただけで戻ってきました」
ちひろ「これは何がしたかったのでしょう」
P「人の気配を確かめたんだと思います」
ちひろ「ということは、これから人気があっては出来ないような何かをする、ということでしょうか」
P「そうなりますね」
ちひろ「具体的にはどういったことを?」
P「由愛ちゃんですからね、おそらくは発声練習の類でしょう」
ちひろ「なるほど、いつも小声で喋る感じが愛らしい成宮さんですが、発声の練習ですか」
ちひろ「でもそれならレッスン場へ行ったほうが良いのでは?」
P「駄目です。レッスン場はあまり私の立ち寄らないコースですからね」
P「私を待っている以上、事務所から動くことはまず無いでしょう」
ちひろ「そうですか。なぜそんなに自信がおありなのか分かりませんが」
ちひろ「とりあえず今は成宮さんの行動を見守りましょう」
P「食い入るように見守ります」
4:
由愛『んっ……あーあーあー』
ちひろ「本当に発声練習を始めましたね」
P「千川さんちょっと静かにしてて」
由愛『……あっ、あの、えっと』
ちひろ「虚空に向かって話しかけ始めましたよ」
P「静かにしろ」
由愛『あの、絵を、描いたので、あの、見て欲しい、です』
由愛『……昨日、公園に行って、それで、ええと、絵を描いたんですけど』
由愛『……Pさんは、あの、昨日は何を、してましたか。あのっ、私は』
由愛『……』
由愛『はぁ……Pさん、帰ってこないかなぁ』
P「彼女が高校を卒業したら真剣に交際を申し込むつもりです」
ちひろ「そうですか。しかし先ほど言ったとおり、本当にモバPさんを待っているようですね」
ちひろ「一連の独り言はモバPさんが帰ってきた際の会話のシミュレートでしょうか」
P「そうです、決まってます。由愛ちゃん愛してる。あっ、指輪も既に購入済です」
ちひろ「憎たらしいですねー。モバPさんが爆発四散することを切に祈るばかりです」
P「お前が爆発しろ」
ちひろ「お前がしろ。飛び散れ」
5:
ちひろ「っとここで成宮さんに動きがありました」
ちひろ「モバPさんの事務机に向かっているようです。4カメに切り替えましょう」
P「4カメは机の正面からですか。大胆なところに仕掛けますね」
ちひろ「モバPさんの机に歩み寄り成宮さん、何をするのか」
ちひろ「……背もたれを撫で、椅子に――座りましたね」
P「膝に乗せてあげたい。頭の匂いをかいだりしたい」
由愛『……はぁ』
ちひろ「デスクに手を着き何やら甘い吐息を漏らしております」
ちひろ「おっと、腕を枕にデスクに突っ伏しましたよ」
P「寝ちゃってもいいんだぞ由愛ちゃん、よだれとかを垂らすと尚よし」
由愛『……あぁー……もうやだ』
ちひろ「今のはどういうことでしょうモバPさん。何が『もうやだ』なんでしょうか」
P「私のデスクに着くことで多少の興奮を覚えてしまったのでしょう」
P「それに伴う罪悪感と、自分は変態なのかもしれないという葛藤からの『もうやだ』ですね」
6:
ちひろ「思春期真っ盛りな女の子に好きな人の机は刺激が強かったということですね」
ちひろ「おやここで、成宮さんが顔を上げました。書類の束に隠された何かに気付いたようです」
P「あっ、しまった、あとでもっとロマンチックに渡そうと思ったのに」
ちひろ「モバPさんの机には似合わないあの清楚な包装をなされた四角い箱は、まさか」
P「私から由愛ちゃんへの誕生日プレゼントです」
ちひろ「渡される前に気付いてしまった成宮さん、さあどうする」
ちひろ「……指先で、つついて、出たぁ幸せ満開の笑顔アンド甘いため息!」
由愛『はふん』
ちひろ「『はふん』とか言ってまおりす!」
P「自分へのプレゼントだと分かってしまったようですね」
P「超可愛い、少々無理をして良かった」
ちひろ「何買ったんですか? 変態的なものですか?」
P「お前には一生縁の無いものだよくたばれ」
ちひろ「お前がくたばれ」
7:
『コンコンコンッ』
ちひろ「おや? ここで闖入者のようですね、ノックの音がしました」
ちひろ「成宮さんが勢いよく立ち上がります。2カメへ切り替えましょう」
P「これは慌てるでしょうね」
P「何と言っても由愛ちゃんにとってはちょっと変態的かもしれないという行為の最中ですから」
ちひろ「成宮さん、一目散に――ソファーへとダイブ、飛び込みましたね」
ちひろ「数センチですがソファーごと床を滑る勢いです」
P「これは珍しいですよ、年に数回見れるか見れないかの機敏な由愛ちゃんです」
P「カメラが捉えたのは史上初かも分かりません」
ちひろ「さて闖入者、ドアを開けて入ってきたのは」
ちひろ「『ヘイトフィッシュ・みくキャットにゃん』こと前川みくさんです」
P「みくのようなテンション高めの子は由愛ちゃんの苦手とする相手の一人ですね」
みく『なんか凄い音がしたにゃ! 何があったんだにゃあ!』
ちひろ「どうにもダイブの音を聞かれた模様」
ちひろ「これには成宮さん、どう対処するんでしょうか」
P「3カメに切り替えて」
8:
由愛『えっ、あの……ええと、ちょっと、転んじゃいました』
みく『ええっ!! 大丈夫にゃ!? 痛くしなかった? 平気?』
由愛『あっ、大丈夫、です。ありがとうございます、みくにゃんさん』
みく『なんだかソファーが床を滑るような音がしたにゃ』
みく『……んにゃにゃっ!? ソファーずれてるにゃ! どれだけ勢いよく転ぶとこうなるにゃあ』
由愛『……すみません』
みく『あっ、違うにゃ、責めてるわけじゃないのっ。ほんとにどこも痛いところない?』
由愛『はい』
ちひろ「前川さんが成宮さんを起こしてあげています。優しいですね」
P「みくは自由だけどそれは人に優しい自由さです」
P「加えて由愛ちゃんは誰からも優しさを注がれてしかるべき愛され体質ふわふわガール」
P「この展開も妥当でしょう」
みく『そうにゃ! 今日は由愛チャンにぃ?、い?い物を持ってきたにゃあ』
由愛『……えっ?』
みく『はい、お誕生日おめでとう! みくからのプレゼントにゃ!』
由愛『わっ、わっ、そんな……ええと、ありがとうございます。あっ、髪留め、猫の。可愛いです』
みく『絵を描いてるときに前髪とか横の髪が邪魔だったらつけるといいにゃ!』
由愛『ありがとうございます。あの、本当に、嬉しいです。大事に、します』
みく『にゃあ! 大事にしてっ! それじゃあみくはちょっとレッスンだから行ってくるのにゃ!』
9:
ちひろ「前川さんが退場、成宮さんは手を振っていますね」
P「手の振り方が可愛い。指を伸ばしきらない感じが可愛い。……さて」
ちひろ「おや? モバPさんどちらへ?」
P「プレゼント渡してくる。俺もありがとうって言われたい。そして撫で回したい」
ちひろ「出たー。カメラに収められていることをお忘れなく。駄目な事したら即通報ですからね」
P「はいはい、そこで俺と由愛ちゃんのラブラブっぷりを見てるといい、指でもくわえながら」
ちひろ「死なないかなこの人、できる限り残酷な方法で」
P「誰が? お前が?」
ちひろ「お前だ。凄惨な死に様を衆目に晒せ」
P「行ってきまーす」
ちひろ「行ってらっしゃーい」
ちひろ「……」
ちひろ「ではチェックしますか。携帯は110を押した状態で待機です」
ちひろ「……」
ちひろ「由愛ちゃん可愛いなぁ。好きになっちゃうのも分かるけど、まだ中学生ですよプロデューサーさん」
10:
ちひろ「あっ、プロデューサーさん来た」
ちひろ「跳ねた、由愛ちゃんいま一瞬跳ねましたよ」
由愛『プロデューサーさん』
ちひろ「わー、笑顔の輝き方が違いますよ、みくにゃんちょっと可哀想」
P『由愛ちゃん、誕生日おめでとう。プレゼントがあるんだ』
由愛『えっ、本当ですか、そんな、あの……嬉しいです』
ちひろ「早渡すんだ。って言うかいま由愛ちゃん、プレゼントがあるなんて思ってもなかったみたいな反応したでしょ」
ちひろ「さっき見つけたのに、めっちゃ見てたのに」
ちひろ「さて、なんだろうあの箱。いや待て、本かな、いや、本にしては大きすぎる……」
由愛『ありがとうございます……あの、開けても……』
P『もちろん。開けてみて』
ちひろ「開けてる開けてる。手ふるえてますよ由愛ちゃん、可愛いなぁもう」
ちひろ「……本じゃなかった、やっぱり箱だ。なんだろう」
ちひろ「うぃん、ウィンザー? ねう、ねうとん、あっニュートンか。『Winsor&Newton』なにあれ」
11:
由愛『……あっ、あの、これ』
P『おめでとう。ぜひ貰って』
由愛『あの、でも、こんなに高級なもの』
P『また絵描いたら見せてね』
由愛『……はい。あの、ありがとうございます。絵、たくさん描いて、一番に、見せに来ます』
P『うん』
由愛『これ、ずっと、欲しかったんです。一生、大切にします』
P『えー、そんなこと言うと俺、逐一チェックするぞ、一生チェックし続けるぞ、大事にしてるか』
由愛『大丈夫、です。チェック、してほしい、です、あの、ずっと、いつまでも……』
12:
ちひろ「なんなのあれ。一生って……あぁっ撫でた! ここぞとばかりに!」
ちひろ「由愛ちゃんうっとりしてますね……あれ? プロデューサーさん?」
ちひろ「あれ? なんで頬に手を添えるの? なんで顔上げさせるの?」
ちひろ「ん? ん? なんで? 見詰め合って? 由愛ちゃん? えっ?」
ちひろ「えっ、ちょっと待って、なんで顔近づけるの? なんで目瞑るの由愛ちゃん」
ちひろ「えっ嘘、待って待って、駄目でしょ、ちょっと、ストップストップ! あっ、待って! ちょっと!」
ちひろ「……あぁー」
ちひろ「……」
ちひろ「……長っ」
ちひろ「これアウトですよ、これ110番ですよ」
ちひろ「……」
ちひろ「通報しますからね!」
ちひろ「……」
ちひろ「……」
ちひろ「あーあ! プロデューサーさんの片思いなら即通報なのになー!」
ちひろ「……」
ちひろ「あーあ……超つまんない、もう帰る」
13:
ちひろ「あっ」
みく「にゃ?」
ちひろ「みくキャットにゃん」
みく「にゃあ、それはおだて過ぎっ。『猫』を表す単語が三つも入ってるにゃ」
ちひろ「二つです」
みく「三つにゃ」
ちひろ「二つです」
みく「三つにゃ」
ちひろ「……」
みく「三つにゃ」
ちひろ「そうですね。あーあ」
みく「にゃにゃ? 悩み事かにゃ? みくに話してみると――」
ちひろ「彼氏欲しい」
みく「……」
ちひろ「格好良くて裕福で私のお願いなんでも叶えてくれて適度に筋肉付いてて体力あって優しくて面白くて浮気とかしなくて私にメロメロな彼氏が欲しい」
みく「……」
ちひろ「どうにかして下さい」
みく「無理。ごめんなさい」
ちひろ「あーあ!」
みく「ごめんなさい」
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