QB「魔法少女の戦闘訓練」back

QB「魔法少女の戦闘訓練」


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1:
QB「……というわけさ。どうだい?」
マミ「どうだい?って言われても……」
まどか「よく分からないかなあ」
ほむら「もう少しちゃんと説明してくれないかしら?」
杏子「さやか、ポテチ取って」
さやか「あんたはもう少しちゃんと話を聞けっ!!」
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3:
QB「簡単に言うと、キミ達の戦闘データを取らせてほしい」
さやか「何?魔女と戦ってくれば良いの?」
QB「いや、もっと解析しやすい形でデータを取りたいからね。戦闘シュミレーションを使いたい」
杏子「シュミレーションだあ?」
QB「そうさ。この装置を使えば、仮想世界の中で、現実世界と同じように身体を動かしたり、魔法を使うことが出来る」
ほむら「その仮想世界の中で魔女と戦えばいいのね?」
QB「いや、魔女の再現は困難だからね。キミ達には魔法少女と戦ってもらうよ」
4:
さやか「あたし達の戦闘データを取るのに、魔法少女と戦うわけ?魔法少女の戦いを再現できるくらいのデータがあるのならわざわざそんなことしなくても良さそうだけどね」
QB「あくまでデータが必要なのは、敵に対するキミたちの対応の方だからね」
杏子「ふーん……」
ほむら「私達がシュミレーションの中で死んだらこっちでも死ぬなんてことは?」
QB「まさか。そんな騙し討ちのような真似はしないよ」
ほむら「散々してきたじゃない」
QB「それは見解の相違だね」
5:
マミ「QB。そのデータを使えば、世界中の魔法少女たちの助けになるのね?」
QB「そうさ。特にマミ、キミの戦闘におけるセンスは抜群だ。きっと役に立つだろう」
ほむら「本当に、戦闘指導にしか使わないのね?」
QB「信用無いなあ。勿論そうだよ」
さやか「そりゃああんた、いままでやってきたことがやってきたことだからね……」
QB「優秀な成績を残した場合は、グリーフシードのプレゼントもあるよ」
6:
杏子「お、それはいいな」
マミ「じゃあ、私が……」
さやか「いいえ、ここはこのさやかちゃんに任せてくださいっ!」
ほむら「ええ、実験台には丁度いいと思うわ」
ほむら(時間を停めて調べてみたけど危険なことはなさそうだし)
さやか「実験台って……」
まどか「QB、本当に危険なことはないんだよね?」
QB「だから大丈夫だって……。さ、それじゃあ詳しいルールの確認だ」
QB「対戦は勝ち抜き方式で行うよ。対戦相手に勝利した場合のみ次に進めるようになっている」
QB「それから毎回戦闘終了後に体力や魔力は全回復するから、出し惜しみなしの全力で戦うと良い」
QB「お互い、ソウルジェムを破壊するか戦闘不能にすればそこで戦闘終了だ。さやかが負けるか、最後まで勝ち抜くとこちらに戻ってこれるようになっているからね」
さやか「ん、わかった」
7:
QB「それじゃ、賞品の話だね」
1?3勝:賞品無し
4勝:グリーフシード1個
5勝:グリーフシード2個
6勝:グリーフシード3個
7勝:グリーフシード5個
マミ「最大で7戦ね」
杏子「すげえな。全部勝つと5個も貰えるのか」
QB「参加料としてグリーフシード1つを貰うけどね」
さやか「げ……!」
QB「まあ初回はさやかだし、サービスしてあげるよ」
さやか「さやかだし、ってどういうことよ」
QB「……次に対戦相手だ」
さやか「ちょっと!!」
1戦目:鹿目まどか(1周目)
2戦目:千歳ゆま
3戦目:呉キリカ
4戦目:暁美ほむら
8:
さやか「あたしの知らない魔法少女も入ってるのかあ」
マミ「1周目、って。もしかして……」
まどか「」チラ
ほむら「……」
さやか「ねえQB、5戦目以降は?」
QB「それは後のお楽しみさ。とりあえず4勝目指して頑張ってくれ」
まどか「さやかちゃん、頑張って!」
QB「さ、ソウルジェムをここに置いて。……うん、それじゃスタートだ!」
9:
vs鹿目まどか(1周目)
ステージ:芸術家の魔女の結界
※以下、さやか視点の地の文が入ります。
11:
これは期待
10:
ここは、魔女の結界……。
でも、魔女は居ないのか。
ヘンな感じ。
QB『さやか、聞こえてるかい?』
さやか「あーQB?うん、バッチリ」
QB『これから1戦目を開始するよ。結界の中に居る鹿目まどかが相手だ』
QBにそう言われて向こうの方を見ると、確かに少女が立っていた。
ただし、黒いシルエットの。
さやか「ねえQB!?なんか真っ黒いのが居るんだけど!?」
QB『ああ、言ってなかったね。相手になる魔法少女の身体は黒いシルエットになっているよ。動作が多少見づらいから注意するといい』
QB『あと、ソウルジェムだけはその魔法少女特有の色がついているから、普段よりは狙いやすいかもしれないね』
なるほどね、大体わかった。
真っ黒で分かりにくいけど、確かにあれはまどかのシルエットだ。
12:
QB「……きゅっぷい。これで、キミ達もさやかの様子が見られるようになったよ」
マミ「凄いわねえ、これ」
まどか「なんだか、真っ黒なわたしって変な感じ……」
ほむら「……」
13:
ほむらの話によると、今までの時間軸で契約したまどかの武器は弓。
早く距離を詰めたほうがいいのかもしれない。
まどか「……」
とか考えていると、真っ黒いまどかの両の手がゆっくりと弓を構えているのが見えた。
さやか「やばっ」
まどか「……!」ビュンッ
魔力のこもった弓が飛んでくる。
因みにこれも真っ黒だ。
さやか「ま、この距離なら避けるのは簡単なんだけどね」
スピードだけなら杏子やマミさんにだって負けてないからね、あたし!
15:
まどか「……!!!」ヒュンヒュンヒュンッ
まどかは手を休めることなくこちらに弓を発射してくる。
さやか「よっと」
あたしはそれを避けつつ、時には剣でいなしつつ、徐々に距離を詰めていく。
まどかも矢を撃ちながら後退してるようだけど、このスピードなら、すぐ接近戦に持ち込める!
16:
さやか「さあ、そろそろこっちからも攻めてくよ!」
相変わらずまどかは後退しながら弓を構えるだけ。
って、あれ?
まどか、どうして弓を上に向けて……。
まどか「……!!」ビシュッ
さやか「ひゃあっ!?」
まどかが宙に向かって放った矢は、空中で分裂して雨のようにあたしに襲いかかる。
さやか「ちょ、そんなの、聞いてな……痛!!」ザシュ
左腕に一発貰った。
負傷した左腕に回復魔法をかけつつ、矢の雨を掻い潜ってまどかに接近する。
再び弓を宙に向けるまどか。
間に合え……!!
17:
さやか「悪く思わないでね、親友っ!」ズバ
まどか「!!」パキンッ
急加して接近、何とかまどかが第二の矢の雨を射出する前にソウルジェムを砕くことに成功した。
18:
QB「美樹さやかの勝利だね」
杏子「へえ、やるじゃん」
まどか「さやかちゃん、最後に急に加してなかった?」
QB「回復に当てていた魔力を脚力の方に回したんだろう。あと一瞬遅れていたら危なかったね」
まどか「そうなんだ」
マミ「まあ、見たところ鹿目さんは遠距離型だったみたいだものね。あまり落ち込まないで」
まどか「べ、別に落ち込んでませんっ!」
ほむら「……」
19:
QB『それじゃあ、次は2戦目だね。準備はいいかい?』
さやか「もっちろん!」
20:
vs千歳ゆま
ステージ:公園
21:
さやか「で、次の相手は……」
千歳ゆま。
誰……!?
22:
ほむら「次の相手は千歳ゆまなのね」
杏子「知り合いか?」
ほむら「ちょっとした、ね」
ほむら(本来はあなたの方が付き合いは長いはずだけれど)
23:
ゆま「……」
目の前に立っていたのは、どうみても小学生。
いや、下手したら幼稚園生……?
さやか「いや、流石に気が引けるって言うか……」
ゆま「……!」
その幼稚園児?は武器(多分ハンマーだと思う)を構えた。
ゆま「……!」ブオン
流石に重いのか動きは多少鈍いものの、さっきまであたしの居た場所にハンマーが振り下ろされる。
地面に軽くクレーターが出来た。
あれ、ここは砂場じゃないんだけど?
24:
前言撤回。
猫耳の超ロリっ娘だからと言って油断してはいけないと言うことだね!
これでもかというほど萌え属性が詰め込まれている気がするけど、それに触れている時間は……。
ゆま「……!!」ブオン
無い!
すぐさまあたしも剣を召喚する。
さて、どうやって攻めていこうか……。
25:
さやか「とうっ!!」
とりあえず剣を手元に何本か召喚し、投擲して牽制してみた。
ハンマー幼女はそれを避け、こちらに距離を詰めてくる。
ゆま「……!」ブオン
やりづらい。
剣とハンマーなんて正面からぶち当たればどっちが勝つかなんて分かり切っている。
なんとか、背後を取りたいけど……。
26:
杏子「チビの癖にやるな」
マミ「美樹さん、やりづらそうね」
QB「どうだい、ほむら。君から見て今のさやかは」
ほむら「まあ、あれに真っ直ぐ突っ込まないだけ成長はしてるんじゃないかしら」
まどか「さやかちゃん、頑張ってー!」
27:
さやか「っし、もういっちょやりますか!」
魔力を両脚に集中させる。
パワーで敵わないのなら、スピードで!
ゆま「……!?」アセ
予想通り、あたしが高で移動し始めると、ハンマー幼女は戸惑ったような態度を見せた。
さやか「今!」
背中を見せた一瞬を狙い、突っ込んだ。
28:
反応が一瞬遅れたハンマー幼女は、あたしの特攻に構わず両手でハンマーを持ち上げる動作を見せた。
さやか「でも……これなら、間に合うっ!」
あたしの斬撃が幼女を捉える。
勝った!!
29:
ゆま「……!!!」ブオンッ
さやか「!?」
戦闘不能になったはずの幼女の両手がハンマーを振り下ろす。
ダメ、避けられ……!
さやか「が……はあっ!!」グシャ
30:
まどか「さやかちゃん!」
杏子「なんだなんだ!?どうなってやがる!?」
ほむら「千歳ゆまは強力な治癒魔法を持つ魔法少女。あれだけの傷を一瞬で回復したのでしょうね」
マミ「それにしても、あんな真正面から攻撃を受け止めるような真似しなくたって」
ほむら(痛覚遮断の魔法かしら……いくら回復が使えるからって、ひどい戦い方ね)
ほむら(まあ、でも……確かにそれくらいしなきゃ今のさやかには敵わないか)
ほむら(それにしても、やっぱり彼女の精神面での強靭さは並の魔法少女の比ではない……)
ほむら(いくらあれをやらないと勝てないって分かっていたとしても、私だってあんな戦い方はできないでしょう)
31:
さやか「ぐっ……!!」
意味わかんない……!
意味わかんないけど、何とかしなきゃ……!!
ゆま「……!!」ブオン
さやか「がっ……!!」ドシャ
痛……今度は腹に貰った!
ゆま「……」
吹っ飛ばされた分、距離は取れたかな……。
さやか「……」
今すぐ追ってこないってことは、やっぱり向こうも相当ダメージを受けてるはず……。
32:
さやか「……」
全身に回復魔法を巡らせながら、今の状況を整理する。
さっきの攻撃、あの子は受け流したわけでも防御したわけでもない。
確実に通ってたはず……ってことは、あの一瞬で回復した、ってこと……?
ゆま「……」
幼女は体勢を立て直すと、またこちらに向かってくる。
さやか「パワーだけじゃない。あたし以上の回復力を持ってるなんて……」
でも、やるしかない。
あたしは剣を持ち直して、迎撃の準備をする。
お互い、これが最後の一撃になるってことは何となく分かっていた。
33:
ゆま「……!!」ブオン
さやか「今っ!」
幼女がハンマーを振るう瞬間、あたしは魔力を脚に込めて横に跳んだ。
さやか「うそ、間に合わ……!!」グシャ
34:
美樹さやか、戦闘不能―――
戦績:1勝
35:
QB「残念、さやかの負けだね」
ほむら「そうね」
さやか「……はっ!?」
まどか「さやかちゃん、大丈夫!?」
さやか「うん……痛みは、消えてるみたい」
まどか「良かった……」
36:
さやか「あー!それにしても、悔しいなあ」
ほむら「まあ一言で言うと相手が悪かったわね。正直、あなたが一撃貰った時点であなたの勝ちは無くなっていたと思ってたわ」
さやか「ひどい!どうしてさー!」
ほむら「あれだけの攻撃を受けたら、回復魔法に魔力を割かなきゃいけない。最後に攻撃が避けられなかったのもそのせいでしょう」
さやか「うぐ……!全部お見通しですか……」
マミ「まあ仕方ないわ。美樹さんもよくやったわよ」
さやか「マミさーん……」
ほむら(以前のように戦い方が悪かったせいで負けた、という感じでは無かったしね)
ほむら(『相手が悪かった』というのも悪い意味でなく本音なのだけれど……)
ほむら(これもマミと杏子の指導の賜物ね)
37:
QB「お疲れさま美樹さやか。しかし、2戦目で敗退だから賞品は無いよ」
さやか「うー、分かってますー……」
QB「やってみて何か感想とかあるかい?」
さやか「うーん……。普段魔女と戦う時は3人と一緒じゃん?だから、ひとりで戦うのは新鮮だったし、しんどかったかな……」
マミ「確かに、私達と比べると美樹さんは極端に単独での戦闘に慣れていないのね」
QB「ボクとしては有意義なデータが取れてうれしいよ」
さやか「あーはいはいどういたしまして」
QB「次は誰がやるんだい?」
杏子「そんじゃ、あたしがやろうかね。さやかとの格の違いを見せてやるよ」
さやか「何をー!」
38:
QB「じゃあグリーフシードをひとつ貰おうか」
杏子「ほれ」ポイ
QB「確かにもらったよ。次に、杏子の対戦相手を発表しよう」
1戦目:百江なぎさ
2戦目:優木沙々・魔女×2
3戦目:飛鳥ユウリ
4戦目:若葉みらい
まどか「さやかちゃんの時とはまた違うメンバーだね」
マミ「魔女×2って何よ」
杏子「どういうことだオイ……。ユウリ以外知らない奴らばっかりじゃねえか……!」
QB「まあそういうこともあるさ。さ、杏子。ここにソウルジェムを置いて」
杏子「ちっ、しゃーねー」
QB「それじゃ、始めるよ!」
41:
一旦ここまでにします。
というわけで、さやかちゃん編終了です。
杏子編は明日書きに来ます。
あと、シミュレーションですね。
間違えてました……
42:

面白い
43:
かくげ☆マギカ
48:
杏子「再開するよ」
49:
vs百江なぎさ
ステージ:桜の並木道
※以下、杏子視点の地の文が入ります。
50:
杏子「ん……」
ここは……見滝原中の通学路に当たる場所か。
ひとっこひとり見当たらねー並木道ってのも珍しいもんだね。
なぎさ「……」
おっと、早お出ましかい。
しかしコレ、黒いシルエットって、モニターで見るよりもキモいな。
51:
相手は見たところ……小学生くらいか?
魔法少女の衣装は随分ふわふわしたのを纏ってるみたいだが……。
さて、どんな魔法を使うのかねえ。
杏子「!」
とか考えていると、なぎさとか言うのが武器を取り出した。
あれは……ラッパか?
なぎさ「……!」
ラッパを宙に向けて吹くと、無数のシャボン玉が飛び出した。
52:
相手の魔法少女が右手の人差し指をくるくるさせると、それに呼応してシャボン玉が奴の周囲をふわふわとまわりだす。
直ぐに攻撃してこないってことは、遠距離型か……あるいは、カウンター待ちか。
いずれにしろ、あたしから突っ込むっきゃなさそうだ。
杏子「そら!」
まずは離れたところから槍を伸ばして牽制。
なぎさ「!」
周囲の泡に弾かれた。
と、弾けた泡がいくつもの小さい泡になって槍の先端にまとわりつくのが見える。
53:
杏子「げっ」
なぎさ「」ニヤ
小さな泡が槍を伝ってあたしの方に高で流れてくる。
なぎさ「……!!」パチン
なぎさが指を鳴らすと、あたしの手元で泡が爆発する。
杏子「がっ!!」
54:
チクショウ!
あたしはさやかやマミと違って武器はコレひとつしか出せないから簡単に捨てられないんだよ!
なぎさ「……!」
なぎさがまたラッパを吹く。
大量の泡が飛んでくる。
杏子「ふんっ」
確かに量は多いが、所詮結界で弾き飛ばせる程度の威力だ。
55:
杏子「今度はこっちの番だよ!」
槍を多節棍に変形し、走りながら相手に攻撃を食らわす。
相手のシルエットが泡になり、弾けて消えた。
次の瞬間、背後に魔力を感知する。
なぎさ「……!」
杏子「そんなこったろうと思ったよ!!」
すぐに元の槍に戻し、背後のなぎさに突きを食らわす。
なぎさ「……!!」
今度こそ本物だったらしい。
泡使いの魔法少女は今度こそ倒れた。
杏子「はん、ザマーミロ」
56:
QB「杏子の勝ちだね」
まどか「さっすが、杏子ちゃん!」
ほむら「次が気になるわね……。魔法少女と魔女2体ってことでしょ?」
さやか「それだけ数が居たらそもそも乱戦になっちゃうんじゃ……」
QB「それじゃあ早次の対戦に移ろうか」
57:
vs優木沙々・魔女×2
ステージ:霧の魔女の結界
58:
杏子「……お」
さっき負傷した右手も痛くない。
まあ、それは置いといて。
今回の相手は……。
白馬の魔女「……」
霧の魔女「……」
沙々「……」クフフ
魔女が2体に魔法少女がひとり。
さてどうするか、だが。
59:
杏子「食らえ!」
実は、あたしの答えは既に決まっている。
ひとつの結界に魔女が2体も大人しく閉じこもっているわけがない。
つまり、あいつは……。
霧の魔女「……!」ガキン
魔女をどうにかして操っているわけだ。
なら、まともに2体の魔女を相手にするよりは直接あの魔法少女に一撃叩き込んでやったほうが早い。
60:
白馬の魔女「……!」
霧の魔女「……」
まずは適当に攻撃をいなしつつ魔女の性質を把握する。
すぐに分かったのは、あいつらがそれなりに強い力によって制御されているってことだ。
魔女にしてはやたらと上手に連携した攻撃が飛んでくる。
沙々「……」クフフ
逆に魔法少女は攻撃に参加する気配が無い。
つまりこいつは魔女の制御で精一杯ってことだ。
61:
白馬の魔女「……!」
霧の魔女「……」
次に魔女の方。
馬みたいな巨大な魔女の方は、突進する攻撃を繰り返してくるだけだ。
そこそこいし一撃食らうだけで致命傷になりそうだが、あんな単調な攻撃にそうそうやられはしない。
厄介なのはもう一方の魔女だ。
あいつは霧みたいなものを発生させつつ、自分もその中に隠れて身を護っている。
あの霧の中に飛び込むのは危険だろうから、あたしは霧と馬の両方を避けながら魔法少女を狙わなければいけないわけだ。
62:
杏子(魔女達はあの魔法少女に操られてる……なら、それを逆手に取るっきゃねえ!)
あたしは、静かに槍を構え直して。
杏子「だったら、あんたから潰してやるよ!」
馬の魔女「……!」
大声で馬の魔女に喧嘩を売ってやった。
あたしは馬の魔女の突進を横っ飛びで避けると、体勢を崩した馬の魔女に槍を向けた。
霧の魔女がそれをかばうように霧を展開する。
杏子「そこだ!」
一瞬相手の魔法少女から護衛が居なくなったのを狙って、あたしは魔法少女の方に多節棍での一撃を放った。
沙々「!?」
63:
沙々「……」バタ
たった一撃で無様に倒れた魔法少女を見て、残りの魔女2体に槍を向けた。
あとはこいつらを片すだけだな……。
QB『杏子、聞こえるかい?』
杏子「おい、こっちは戦闘中だぞ!邪魔すんじゃねー!!」
QB『違うよ、今回の勝利条件はあくまで魔法少女の撃破だからね。この戦いはキミの勝ちだ』
杏子「そういうことは先に言え!!!」
64:
QB「というわけで、杏子の勝利だね」
まどか「すごい、あっさり倒しちゃった……」
マミ「お見事ね」
さやか「ひとりで魔女2体を相手にするなんて……」
ほむら「杏子の対魔女戦のキャリアは並大抵ではないもの。私だってあんなにグリーフシードを貯めたことは一度も無いわ」
マミ「そうね……。あの子縄張りに拘る傾向があったけど、あの量のグリーフシードを蓄えていたとなると明らかに風見野以外の場所でも魔女を狩っていたとしか思えないわよね」
QB「確かに、キミ達と一緒に魔女を狩るようになるまでは、度々他の地域まで魔女を狩りに行っていたようだね」
QB「ボクに魔女が居ない地域はどこか、なんてことも聞いてきたこともあったし。もしかすると、魔女を2体同時に相手にすることも経験していたのかもしれない」
まどか「へえー……」
QB「それじゃ、次は3戦目だね」
65:
vs飛鳥ユウリ
ステージ:あすなろ市のとある裏路地
66:
杏子「やーっと、知ってる魔法少女かよ」
ユウリ「……」ザッ
杏子「久しぶりじゃんか。……つっても、仮想世界だけどな」ジャキ
67:
杏子「さ、行くぜっ!!」
ユウリ「!」ジャコッ
ユウリの武器は注射器……型のガトリング銃。
マミのと違ってひとつの銃に魔力の弾を込めるから無限に連射できる厄介な代物だ。
ユウリ「……!!」ガガガガガ
杏子「ふんっ!」キンッ
しかも、あの弾に当たると魔力や体力を『吸われる』。
ユウリ「……!」ガシャ
杏子「ちっ……」
あの時と違ってもうひとりの邪魔もいないし、今度こそあたしが勝つ!
68:
まどか「は、い……!杏子ちゃんの動きが全然見えないよ」
さやか「なんか、さっきまでの杏子と全然雰囲気が違うね」
マミ「よほど縁のある相手なのかしら?」
ほむら「あなたも知らないの?」
マミ「ええ」
さやか「ほむらもマミさんも知らないのか……。一体誰なんだろ」
69:
杏子「しゃらくさいんだよ!」
槍を多節棍に変化させての連撃。
それなりの魔法少女でも防御に転じざるを得ないほどの手数を繰り出しているつもりなんだがな……。
ユウリ「……」
ユウリの奴は想像以上に正確にこちらの攻撃を捌いてくる。
しかも、こちらの攻撃のわずかな隙を縫うようにして弾を撃ち込んでくる。
お互い、一発たりとも相手の攻撃を食らっていない。
杏子(埒が明かねえ……!)
70:
頭の中で次の策を講じつつ攻撃を続ける。
ユウリ「……」チラ
ユウリの目線が一瞬あたしから逸れたのを感じる。
いくら身体が真っ黒だろうと、その気配すら感じ取れないあたしじゃない。
杏子「その程度かい、ユウリ!」
ユウリの動きを注意深く見ながら、あえてワンパターンな攻撃を続ける。
あいつが仕掛けてきたときがチャンスだ。
71:
ユウリ「……!!」バンッ
ユウリの狙いがあたしから逸れた。
杏子「なるほど……ねっ!!」ガキン
跳弾だ。
弾に魔力を仕込んで、壁に反射した弾を使って後ろからあたしを狙うつもりだったんだろう。
確かに路地の狭さを活かした良い手だが、あたしには通じ……。
ユウリ「……」ニヤ
杏子「!?」
ユウリの影が背後に迫る。
ユウリ「……!!」ブスリ
杏子「がっ!!?」
巨大な注射針が体を貫通した。
72:
杏子「……なあんて、ね」シュッ
ユウリ「!?」
杏子「じゃあな」
あたしの一撃がユウリのソウルジェムを捉えた。
73:
QB「杏子の勝ちだね」
さやか「ち、ちょっと待ってよ!最後の方、何が起こったか全然分からなかったんですけど!!」
ほむら「あれは……まあ確かに、知らないと分からないわよね」
マミ「佐倉さんが相手の跳弾を槍で弾いたところまでは見えた?」
まどか「はい。杏子ちゃんは後ろを向いて弾を弾き返して、そこを相手の魔法少女が背後から注射器で一撃……」
さやか「でもその瞬間、杏子が相手の後ろに移動してたじゃないですか!」
マミ「実は、跳弾を処理していたほうの佐倉さんは分身なの」
まどか・さやか「「分身!?」」
マミ(厳密には幻術らしいけどね)
ほむら「杏子自身は隠してたつもりでしょうけど」
マミ「私と暁美さんは佐倉さんがずっとこそこそ練習してたの、知ってるものねえ」
まどか「でも、杏子ちゃんそんな技が使えるなんて一言も……」
ほむら「そのあたりは本人に聞くといいわ」
74:
QB『というわけで、杏子。通信を繋げさせてもらったよ』
杏子「はっ。まーバレちゃったもんは仕方ないよねえ」
さやか『あんな技が使えるなんて聞いてないぞー!!』
杏子「そりゃ言ってないしね。あれがあたしの固有魔法なんだよ」
まどか『固有魔法?あんな便利な魔法なら、もっと使えばいいのに……』
杏子「あたしの昔の話は覚えてるよな?情けねー話だけどさ、あのとき親父に魔女だって責められて、魔法を使うのが怖くなっちまったんだ」
杏子「使えないなら使えないでいいかと思ってたんだけど……。まあ、そこは心境の変化って言うか、色々あってさ。ちょっと練習してたわけ」
杏子「完成するまではなるべく秘密にしときたかったんだけどなー。まさかこんなところで使う羽目になるとはね」
杏子「まあマミはこの技を教えてくれた張本人だし知ってるだろうけど」
ほむら『私も知ってるわ』ファサ
杏子「うっせ。そりゃお前は何度もあたしと会ってるわけだし、こういう話をしたのもどうせ一度や二度じゃねーんだろ」
ほむら『まあね』
杏子「ま、そんなわけだから」
QB『それじゃ切るからね』
75:
まどか「そんな事情があったんだね」
さやか「……っていうかマミさん、杏子が『完成』って言ってたのは?」
マミ「あの魔法『ロッソ・ファンタズマ』は本来13人もの佐倉さんの幻影を相手に見せて攪乱するというもの」
さやか「13人!?」
マミ「ええ、強力な魔法だったわ。それこそ、それに頼り切っても大抵の魔女には苦戦しないほどにね」
まどか「でも、その魔法無しだって杏子ちゃん、あんなに強いのに……」
ほむら「そうよ、その魔法を使わずになお生き抜くために、佐倉杏子はあれほど強力な魔法少女になった」
ほむら(もしかして、杏子があの魔法を取り戻すきっかけになったのが……)
マミ「暁美さん、どうかした?」
ほむら「いいえ。ちょっと考え事をしていただけよ」
76:
QB『杏子、時間を使わせてしまって悪かったね』
杏子「いんや、丁度良かったよ。やっぱりあのレベルの魔法少女となると連戦はキツいしな」
QB『そろそろ次の戦闘に移るけれど、構わないかい?』
杏子「ん。……あー、その前に」
QB『どうかしたのかい?』
杏子「ユウリは……飛鳥ユウリは、元気か?」
QB『……いいや。残念だけれど、彼女はもうこの世にはいないよ』
杏子「そうかい。それだけ聞ければ満足だよ、サンキュ」
QB『それじゃ、次の戦闘だ。これに勝てばグリーフシード1個は取り戻せるよ。頑張ってね』
杏子(ユウリ、あんた……)
77:
vs若葉みらい
ステージ:レイトウコ
78:
さて、次は……。
どこだ、ここ。
随分物々しい場所だ。
通路の両脇には水で満たされた巨大な試験管が規則正しく配置されている。
まるでSF映画に出てくる研究所だ。
……オイ、まさか本当にこの試験官の中に人間を入れたりしてるわけじゃねーだろーな。
とか何とか考えていると。
みらい「……」
いよいよお出ましかい。
79:
みらい「……!!」
みらいとかいう女がステッキを一振りすると、そこから何十体ものクマの人形が現れた。
召喚魔法か。
さっきの魔女の操作といい、あたしの相手は妙な魔法を使う魔法少女が多いらしい。
みらい「……!」
クマ人形「「「「……!」」」」ダッ
クマの人形達が襲いかかってきた。
一対多の戦闘は、使い魔の相手で慣れている。
仕方ねー、適当に相手しながら本体の方を叩くか。
80:
杏子「ふっ、はっ、そりゃ!!」
クマ人形の処理は難しくない。
いくら数が多かろうが、まとめて潰せばいいだけのこと。
杏子「ほら、食らいな!」ジャキ
クマ人形の隙間を縫うようにして、魔法少女に直接攻撃を繰り出す。
みらい「……!」ガキン
受け止められた。
さっきまでステッキだったはずのものがいつの間にか大剣に変形している。
なるほど、こんな魔法も持ってやがるのか。
81:
杏子「っ!」ヒュン
相手の斬撃の威力を利用し、一度退いた。
こいつ、召喚魔法が使えるだけじゃない。
パワーもあたしと同じくらいか……チクショウ、強えな。
みらい「……!!」
みらいは武器をステッキに戻すと、それをもう一振りして見せた。
すると、さっきまで居た小さなクマ人形達が合体していく。
そしてあたしの身長の倍はあろうかというほどの巨大な1体の人形になった。
みらい「……!!」
さらにもう一振り。
そのクマ人形の脇に2体、あたしと同じくらいの大きさのクマ人形を召喚した。
みらい「……」ジャキ
そしてステッキを大剣に変化させる。
杏子「チッ……!」
やっと本気モードってとこか。
82:
まどか「わ!クマの人形が3体も!」
さやか「しかも、さっきの魔女使いと違って自分自身も戦えるみたいだし。あんな強い魔法少女が居るんだ……」
ほむら「あれだけ大掛かりな魔法を次々に使えるのは凄いわね」
83:
クマ人形(大)「……!!」ブンッ
でっかいクマ人形が襲いかかる。
たしかに強力な攻撃だが、あまりにも大振りだ。
杏子「ふん、隙だらけだよ!」ブンッ
多節棍でカウンター。
クマ人形A「……!」ガッ
クマ人形B「……!」ガッ
しかし、ご丁寧に2体のクマ人形がそれを阻止する。
そして、その後ろからは……。
みらい「……!!」
みらいの、さっきよりも更に巨大な剣が襲いかかる。
杏子「結界!」シュインッ
みらい「!?」ガッ
とりあえず結界を張ったが、これが突破されるのも時間の問題のはずだ。
みらい「……!!!」ベキベキッ!
クマ人形「「「……!!」」」バキバキッ!
杏子(どうする……)
84:
みらい「……!」ゴシャッ
杏子「!!」
くそ……突破された!
クマ人形A「……!」ブンッ
クマ人形B「……!」ブンッ
杏子「そう簡単に……やられやしねーよっ!!」ガキン
仕方ねー、ここは狙いを変えたほうがいいか。
みらい本人を狙うのはやめだ。
面倒だが、一体一体クマ人形を倒していく。
クマ人形(大)「……!!」ブオン
みらい「……!」ブオンッ
杏子「ふん、当たらないね!」
85:
杏子「ふんっ!」ジャキ
クマ人形A「……!?」ドシャ
杏子「一丁上がり、っと」
クマ人形B「!!」ブンッ
杏子「だから当たんねーっつーの」ドス
クマ人形B「!?」バタッ
とりあえず小さい方のクマは2体とも仕留めたが……。
杏子「」チラ
みらい「?????!!!」イライラ
っし、かなりキてるみたいだな。
86:
みらい「……!!」
また召喚魔法だ。
今度はあたしと同じくらいのサイズのクマ人形を十数体呼び出し、
みらい「……!!」
さっきの魔法で人形達をくっつけ、巨大クマ人形を4体召喚した。
クマ人形(大)「「「「……!!」」」」グオオ
さっきの奴と合わせると巨大クマ人形が5体プラスみらい本人か。
杏子「……」ジャキ
ここが耐え時だ。
87:
まどか「あわわわ……またクマが出てきた!杏子ちゃん、大丈夫なの!?」
QB「ふむ……まどかには、杏子が劣勢に見えるかい?」
まどか「それは……。だってあんなの、きりが無いじゃない!」
マミ「うふふ。そう見えるように演出しているのが佐倉さんの凄いところね」
ほむら「まあ、相手の戦い方にもかなり問題はある気がするけれど……」
まどか「またさっきの分身魔法ってこと?」
ほむら「さあ、どうかしら」
さやか「……なるほど。分かったかも、杏子の狙い」
88:
クマ人形(大)A「……!」ブンッ
クマ人形(大)B「……!」ブンッ
クマ人形(大)C「……!」ブンッ
杏子「チッ!」
やっぱ……かわし続けるだけでもしんどいな。
これだけの混戦でも相討ちはしない程度の連携は取ってるみてーだし。
クマ人形(大)D「……!」ブンッ
クマ人形(大)E「……!」ブンッ
みらい「……!!」ブオンッ
杏子「くっ!!」ジャキ
さっきと違って、攻撃に転じる暇もねえ……。
この数が相手なら結界は数秒も持たないだろうし……。
杏子「」チラ
みらい「……!」ブンッ
もう少しの、辛抱だ。
89:
クマ人形(大)A「……!」ブンッ
クマ人形(大)B「……!」ブンッ
クマ人形(大)C「……!」ブンッ
杏子「くっ」サッ
クマ人形(大)C「」ニヤ
クマ人形(大)D「……!!」ブンッ
杏子「が……っ!!?」ドシャ
チクショウ、さっきの動きはフェイントか……!?
みらい「……!!」ニイ
杏子「くそ、間に合え……結界!!」シュインッ
クマ人形(大)E「……!!」ドグシャ
杏子「!?」
一撃で粉砕された、だと……!?
みらい「……!!!」ブオンッ
ここまでか……。
90:
ピシ、ピシッ
パキ
パリンッ!
91:
杏子「……っと、ギリギリだったぜ」
真っ黒に濁り切った、みらいのソウルジェムの破片を見下ろす。
杏子「あたしの勝ちだな」
92:
QB「というわけで、4戦目も杏子の勝ちだね」
マミ「流石ねえ」
まどか「ち、ちょっと待ってよQB!」
QB「何だい?」
まどか「最後……みらい、さん?が攻撃する前に、ソウルジェムが割れたみたいだけど……杏子ちゃん、一体どんな魔法を」
さやか「ちっちっちっ。まどか、杏子は魔法なんて使っちゃいないのだよ」
まどか「へ?だって、現に……」
さやか「ソウルジェムの残骸を見てごらん」
まどか「……えっと、真っ黒になってるみたいだけど。……あ!もしかして!!」
93:
ほむら「そうよ。魔力が切れたせいで戦闘不能になったの」
さやか「って、ほむら!いいとこ取るな!」
マミ「普通は魔力切れを起こすような戦い方をする魔法少女なんてそうそういないと思うけどね」
ほむら「序盤からガンガン強力な魔法使いまくってたものね、あの子」
まどか「杏子ちゃん、そこに目をつけたんだ」
ほむら「そのあたりは本当に流石よね。戦略的というか、小賢しいというか」
さやか「小賢しいって……」
ほむら「でも、あの杏子が魔力切れを狙わなきゃ勝てないほどだったのだから、本当に強かったのでしょうね、あの子」
マミ「そうね……もう少し周りが見えていたら相当強いんじゃないかしら?」
94:
QB『杏子、4戦目勝利おめでとう』
杏子「おー、ありがとな。今回は本当にヤバかったよ」
QB『杏子さえ大丈夫ならすぐに5戦目に入るけど、どうする?』
杏子「とりあえず相手の魔法少女を教えてくれよ」
杏子(4戦目でこの強さなら、5戦目はマミクラスの魔法少女か、あるいはそれ以上……?)
杏子(正直、勝てる自信はあんまりねーな)
QB「了解したよ。5戦目は、これさ」
5戦目:美樹さやか(円環の理)
杏子「!??」
95:
さやか「え、え?あたし??」
まどか「あれ、どうやって読むの?『えんかんのり』……?」
ほむら「『ことわり』かしら?」
マミ「暁美さん、心当たりは?」
ほむら「いえ……初めて聞くわ」
96:
杏子「へっ……」
杏子「面白そうじゃねーか。よっしQB、すぐ始めるぞ!」
QB『キミがそう言うのならそうしようか』
97:
vs美樹さやか(円環の理)
ステージ:くるみ割りの魔女の結界
98:
杏子「……ここは」
魔女の結界?
あたしが見たことのない場所だってのはいいとしても……。
結界にしては、やけに広い。
それにこの街……見滝原か?
杏子「!」
剣「」クルクルクルクルクルクルッ
杏子「へっ……お出ましってわけか」ガキンッ
さやか「……」
99:
杏子「行くぜ!」ダッ
さやか「……!」ダッ
初めて会ったときのように槍と剣の突きがぶつかり合う。
さやか「……!」シュッ
先に剣先を引っ込め、距離を詰めてきたのはさやかだった。
気づくと両手に一本ずつ剣を握り、二刀流の構えを取っている。
杏子「くっ……!!」
急いで多節棍に切り替え、展開する。
さやか「……!」シュッ
あっさりと避けられた。
さやか「……!!」ババババババババ
2本の剣での連撃。
さやか「……!!」ババババババババ
杏子「ぐっ……!!」ザシュ
避けきれない……。
こいつ、マジであのさやかか?
100:
さやか「」ポカーン
まどか「え?……あれが、さやかちゃん?」
ほむら「杏子が、圧倒されてる……」
マミ「どうなってるの……??」
101:
杏子「くっ……!」バッ
さやかの剣戟の間を縫って後ろに跳ぶ。
向こうから間合いを詰めてくれば、こちらにも手はある。
さやか「……!」ババババババ
杏子「くうっ……!」キンッ
だが、このさやかにはそんな企みもお見通しらしい。
あくまで深い追いせず、投剣で確実にあたしの動きを封じてくる。
狙いも正確だ。
的確にあたしのいやなところを突いてくる。
杏子「くそっ、マジで強えじゃねーかよ……!」
102:
さやか「……!!!」ドシュ
杏子「!?」
今度はさやかが自らの胸に剣を突き刺す。
くそ、今度は何を考えてやがる……!
さやか「……!」
???「……!!」グオオオオ
さやかの後ろに現れたのは……。
杏子「……そんな、バカなことがあるか」
103:
ほむら「どういうことよ……!」
さやか「ねえ、何あれ!?あたしの後ろにいるのって、まさか……」
ほむら「インキュベーター、説明しなさい!!」
QB「ボク達にも解析不能だ。あれは、一体……?」
まどか「ねえ、ほむらちゃん。ほむらちゃんは、あの魔女のこと……」
ほむら「……」ギリ
104:
杏子「てめー、一体なんなんだ!」ジャキ
さやか「……!!」
人魚の魔女「……!!」ジャキ
さやかがまるで剣を指揮棒のように振っている。
それに合わせて魔女が襲い掛かってくる。
杏子「……!!」キイン
人魚の魔女「……!!」キイン
くっ、ダメだ。
押し負ける……。
105:
さやか「……!!」ニヤ
杏子「!?……しまった」
さやか「!!!」ザシュッ!
106:
佐倉杏子、戦闘不能―――
戦績:4勝
107:
QB「残念、杏子の負けだ」
まどか「そんな……。杏子ちゃんがあんなにあっさり負けちゃうなんて」
杏子「……っ」ガバ
マミ「佐倉さん、大丈夫?」
杏子「ああ。……それよりQB、あれはどういうことだ?」
QB「さっきほむらにも説明したばかりなんだけど、あいにくボクにも分からない」
杏子「はあ!?なんでだよ!」
QB「最初にさやかが戦った鹿目まどかも、今ここにいる鹿目まどかではない。別の時間軸から呼び出した存在であることは、キミ達も想像がついているだろう?」
まどか「えと、それは……」
ほむら「気を遣わないでいいのよ。……ええ、全員気づいているはずよ」
QB「この機械はね。様々なパラレルワールドからあらゆる魔法少女の情報を取り出して再現する装置なのさ」
マミ「じゃあ、あの美樹さんは魔法少女で間違いないのね?」
QB「そうさ。それ以上のことはボクにも分からないけどね」
マミ「ふうん……」
108:
QB「さあ、次は誰にする?」
マミ「私が」
ほむら「ちょっと!」
マミ「あら、危険は無いんじゃないの?暁美さん、調べたんでしょう?」
ほむら「どうしてそれを……」
マミ「何となくだけど分かるわ。あなたの考えそうなことはね」
ほむら「でも……!」
マミ「あなたが大丈夫というなら、私はそれを信じるわ。それに……さっきの、気になるじゃない?」
ほむら「……どうなっても知らないわよ」
QB「だから安全なんだってば」
ほむら「……ふんっ」
109:
本編はこれで一旦区切ります。
短編・杏子とユウリの出会いのお話
<CAUTION!>
この物語は【かずみ☆マギカの重大なネタバレ】を含みます。
110:
ミチル「んー!いい天気ぃー!!」
ユウリ「ねー、ミチル。その……巴マリさんだっけ?」
ミチル「マミさんだよ」
ユウリ「あ、そう、マミさん。見滝原にいる、ってのは分かったけど、どうやって探すつもり?」
ミチル「んー。とりあえず魔女が出るまで待つしかないよね」
ユウリ「え?あてがあって来たわけじゃないの?」
ミチル「あるわけないじゃーん。だって会ったのも1回きりだし?」
ユウリ「え、もしかしたら今日会えないかもなの?」
ミチル「そしたら明日も来よ!どうせ夏休みだし!」
ユウリ「そんな適当な……」
ミチル「そうと決まったら甘いもの食べるぞー!見滝原の名物スイーツは、っと……」
ユウリ「あ、ちょっとミチル!待ってよー!」
ユウリ(そんなわけで私達。和紗ミチルと飛鳥ユウリは、ミチルの命の恩人、巴……マチコさんだっけ?を探しに見滝原に来ています)
111:
――――――――――――
――――――――
――――
ミチル・ユウリ「んまーいっ!!」
ユウリ「うーん、すごいなーこのタルト……。どうやって作ってんだろ」
ミチル「聞いてみよ!もしかしたら教えてくれるかも!」
ユウリ「うん……。あ、でも今はダメみたい」
ミチル「だね。……それじゃ、行こっか!」
112:
―――とある魔女、結界内
杏子「ふん」ズリュ
魔女「っ!!!」グシャ
杏子「一丁上がりっと」
杏子「しっかし、この街を管轄する魔法少女はいないのか?」
杏子「グリーフシード取り放題じゃんか。ここあたしのシマにしちゃおうかな」
113:
ゆま「……」
杏子「おいガキ」
ゆま「……」
杏子「災難だったね。でも現実なんてこんなもんさ。泣いたって震えたって死んだ両親は帰ってこないよ」
杏子「生き残った幸運に感謝するんだね」
ユウリ「……ちょっと!その言い方は酷いんじゃないの!」バッ
114:
杏子「ああん?誰だテメエ……」
ユウリ「あなた、お名前は?」
ゆま「……」
ユウリ「ケガ……は無い、か」
杏子「おい、何なんだよお前」
ユウリ「アタシは飛鳥ユウリ。魔法少女よ」
杏子「そっちのは」
ミチル「あはは、バレてた?わたしは和紗ミチル。魔法少女だよ」
115:
杏子「お前らこの辺の魔法少女じゃねーだろ。縄張り外の奴は邪魔なんだよ。とっとと帰りやがれ」
ユウリ「用事が済んだらね」
杏子「用事い?」
ユウリ「巴……えっと、マキさん。そう、その人に会いに来たの」
杏子「あん?マミの知り合いか?」ギロ
ユウリ「ミチルの恩人なの。あなたも巴マユさんの知り合い?」
116:
杏子「ま、そんなとこかね。それにしても、恩人ねえ……」
ミチル「そう。魔女の結界に囚われてたわたしを助けてくれたんだよ!」
杏子「ふーん。……で」チラ
ユウリ「」パアッ
ユウリ(精神面でのショックを和らげるには、えっと……)
杏子「あんたは変身なんかしてなにやってんだよ」
ユウリ「そりゃ、治療を……ちょっと我慢してね!」ブス
ゆま「!」ビク
杏子「ちょっと待て」ギロ
117:
ユウリ「なに!いちいち睨まないでよ、もう」
杏子「その注射器……。まさか『誰かを助けたい』だなんてくだらねー願いで魔法少女になったわけじゃねーよなあ?」
ユウリ「そうだけど。……てか何?くだらないって。バカにしてんの?」
杏子「やっぱ気に入らねえ、お前ら。だいたいマミに会いたいなんて碌な奴じゃねーと思ってたんだ」
ユウリ「ふーん。やる気?」イラ
杏子「捻りつぶしてやるよ」イラ
118:
杏子「2人まとめて相手してやる。かかって来な」ジャキ
ユウリ「のぞむところよ。ほら、ミチルも!」ガキン
ミチル「もー、おバカさん2人……。まとめて、リーミティ・エステールニ(弱)!!」ズキュン
杏子「ぐはあ!?」ドシャ
ユウリ「アタシも!?」ドシャ
杏子「テメー、いきなり何しやが……!」
ミチル「はいはいそこまで。あのね、わたし達それなりに急いでるの。続きは用事が済んでからね」
杏子「……一週間後」
ユウリ「なに?」
杏子「一週間後の同じ時間、ここに来い。テメーら2人まとめて相手してやるから、逃げんなよ」
ミチル「オッケー」
ユウリ「ちょっとミチル、あんた勝手に……!」
ミチル「元はといえばユウリが挑発に乗ったからでしょ」
ユウリ「うぐ……」
ミチル「そんじゃね、えーっと」
杏子「佐倉杏子だ」
ミチル「杏子、チャオ。……って、ユウリその子は?」
ユウリ「落ち着くまで面倒見ないと不安で……」
幼女「……」
ミチル「ユウリは将来いい女の人になれるよ」
杏子(にしても、あいつらマミを探しに来たんだよな?)
杏子(ここは見滝原どころか風見野ですらねー街なんだけど……)
杏子(もしかして、マミが居るのか……?)
杏子(だったら早く出たほうが、いや、でもそれじゃ逃げてるみたいで癪だし……)
杏子「……」ブツブツ
119:
――――――――――――
――――――――
――――
ユウリ(そして、一週間後)
ミチル「結局会えなかったなー、マミさん」
ユウリ「そんなことより!今日はあいつでしょ!あ・い・つ!!」
ミチル(うわー、燃えてるなあ……)
ユウリ「絶対コテンパンにしてやるんだから!」
カオル「……」コソコソ
カオル(ユウリのやつ、『気に入らない魔法少女を倒しに行く!』とか言ってたけど、もし相手が本気で殺しにかかってくるようなやつだったらどうするんだよ……)
カオル(サッカーの自主練サボって来ちゃった……。あー、後で頑張らないと)
120:
杏子「……来たね」パキッ
ユウリ(ロッキー食べてる……)
ミチル「チャオ、杏子。さあ、さっさと終わらせようよ」
杏子「ふん、そのつもりさ」パア
ユウリ・ミチル「……」パア
カオル「……」コソコソ
海香「……」コソコソ
カオル「……って、わあ!?なんで海モゴモゴ」
海香「大声出さないの」ボソ
カオル「どうして海香が……って、あたしと同じ理由に決まってるか」
海香「ええ。ま、実益も兼ねてね」ボソ
カオル「?」
121:
杏子「そらっ!!」ジャキ
ユウリ「イニエツィオーネ・アソルビーレ!」ガガガガガ
ミチル「……」
杏子(ユウリの武器はあの注射器か。注射器の癖に銃弾とか、カンベンしてほしいけどな)
杏子(で、後ろのミチルは、様子見か……?いや、トラップを張ってる可能性もあるか……)
杏子(いずれにせよ、今は手が出せねーから注意して観察するしかねーな)
カオル「ユウリ、本気だな」ボソ
海香「ええ。対照的に、ミチルはやる気ゼロね」ボソ
海香(ただやる気ないだけなのに、勝手に色々深読みされてそうだけど)
122:
杏子「この程度かい?」ザシュ
ユウリ「そっちこそ」ガガガガガ
杏子「なんだと?」カチン
ユウリ「なによ」カチン
ミチル(はやく終わんないかなー)
123:
杏子「ほらよ、食らいな!!」ドンッ
ユウリ「がっ!?」グシャ
杏子「さあ、年貢の納め時だ、ぜっ!?」
ユウリ「イニエツィオーネ・アソルビーレ!!」ガガガガガ
杏子「ち、しつこい!」キンキンキンッ
ミチル(あ、海香とカオル。やっほー)フリフリ
カオル(あのバカ……)
124:
ユウリ「ミチル!あんたも手貨して!」
ミチル「へ?」
杏子「!」チラ
ユウリ「目、逸らしたね?チャーンス!」ガガガ
杏子「がっ……!?」ドシュ
海香「ユウリの弾が入ったわね」ヒソ
カオル「これは一気にユウリ優勢かな?」ヒソ
カオル(てかユウリ、ミチルに助けなんて期待してないくせに、注意逸らすために使ったな……あくどい)
125:
ユウリ「これは勝負あったね」
杏子「たかが一発でやられやしねーよ……ぐっ!?」ガクンッ
ユウリ「イニエツィオーネ・アソルビーレはただの銃弾を撃つ技じゃない」
ユウリ「ま、どうなるかは今のあんたがよく分かってると思うけど」
杏子(体力と魔力が……吸われてる、のか?チクショウ、そんなのアリかよ……)
ユウリ「さあ、まだやる?」
杏子「当然。後悔させてやるよ」
126:
杏子(とはいえ、あたしが使える手札はもう1枚だけ……)
ユウリ「イニエツィオーネ・アソルビーレ!!」ガガガガガ
杏子(一か八か、やってやろうじゃんか!)
杏子「ロッソ・ファンタズマ!!!」バババ
ユウリ「!?」
ユウリ(まだこんな魔法を……!)
杏子(3人か……上出来じゃんか!!)ダッ
海香「……」コソ
カオル「海香?」
127:
ミチル「リーミティ・エステールニ」ピカッ
杏子「ぐはっ!」ドサ
ユウリ「ミチル!?」
ミチル「そこまでだよ。こんなところで無茶しちゃダメ」コツン
杏子「グリーフシード……てめ、勝手に……」
ミチル「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。自分のソウルジェム、見てごらんよ」
杏子「げ……無茶しすぎたか」
ミチル「ユウリも」
ユウリ「アタシ?」
ミチル「イニエツィオーネ・アソルビーレ連射しすぎでしょ。ほら、杏子からグリーフシード受け取って」
ユウリ「う、でも……」
ミチル「早く」
ユウリ「……はい」
海香「この魔法は……そうね、やっぱりカオル向けかしら」ブツブツ
カオル「海香……?」
128:
ミチル「それじゃ、わたしはカオルと海香と帰るから。ユウリ、ちゃんと仲直りしておくんだよ」
ユウリ「ちょ、ちょっと待って!色々ツッコみどころが!!」
ミチル「つべこべ言わない。チャオー」
ユウリ「……本当に行っちゃった」
杏子「……っつ」
ユウリ「あ、立てる?」
杏子「立てるに決まってんだろ」
ユウリ「ほんっと可愛くないね、あんた」
杏子「うっせーな」
ユウリ「」クス
杏子「なんだよ」
ユウリ「あはははっ。いや、アタシ達って、意外と似た者同士かもって思って」
129:
杏子「はあ?どこがだよ」
ユウリ「まあ、いいじゃんいいじゃん。それよりアタシの話聞いてよ!」
杏子「何で?」
ユウリ「せっかくだし。あ、後であんたの話も聞かせてね」
杏子「おい、人の話聞けよ」
ユウリ「いいから。えっと、あれはいつだったかなー……」
おしまい
130:
今日の投下分終わり!
続きはいつになるか分からないけど次はマミさん編です!
131:
乙です
ただ、あいりがかずみをさらったあと、「ユウリって子知ってる?」と聞かれても、海香はなにも言わず、カオルに至っては首を横に振って「いや」と答えているからユウリの名前は知らないはずですが
133:
>>131
げっ かなり根本的なミスですね……。
まだまだそういうのあると思うので適当に目をつぶっておいてください……。
132:

円環さやかは魔力無限経験値MAX超再生魔女召喚有り他人の使い魔召喚有りだからな
流石に杏子ちゃんじゃ無茶だった
マミさんならワンチャン有り?
134:
5戦目の難易度上がりすぎだろ
6戦目以降どんなのが出てくるやら
136:
マミ「再開するわよ!」
137:
マミ「はいQB。グリーフシードはこれでいいかしら?」
QB「うん、確かに受け取ったよ。あと杏子、報酬のグリーフシードだ」
杏子「ん。……つっても、さっき渡したのがそのまま返ってきただけだけどな」
QB「それじゃ、マミの対戦相手だね」
1戦目:神名あすみ
2戦目:浅見サキ
3戦目:双樹あやせ・ルカ
4戦目:御崎海香・牧カオル
マミ「これはまた……随分ハードそうね」
杏子「3戦目からは2人が相手か」
さやか「流石のマミさんといえど、これはちょっと大変なんじゃ……」
QB「マミ、心の準備はいいかい?」
マミ「ええ、心配はいらないわ。ここにソウルジェムを置けばいいのよね?」
QB「うん。それじゃ、始めるよ!」
138:
vs神名あすみ
ステージ:夜の偽街
139:
マミ「……」
ここは……?
QB『やあマミ。聞こえているかい』
マミ「ええ、大丈夫よ」
QB『特に問題が無ければ、戦闘を始めるよ』
マミ「あ、ひとつだけ」
QB『なんだい?』
マミ「ここは、魔女の結界?」
QB『すまない、ボクもよく分からない』
マミ「そう、ならいいの。ごめんなさい」
魔女の結界にしては、やけにカラフルでおどろおどろしさが無いのが気になる……。
それに、ここって。
何度も見たことがある場所のような……?
140:
あすみ「……」ニタニタ
お出ましね。
この場所のことは気になるけれど……戦いに、集中しなくちゃ。
マミ「攻で行くわよ!」バンバンバン
自分の周囲に銃を召喚し、発砲。
あすみ「」ニタニタ
相手の女の子は、ニタニタと気持ちの悪い笑みを浮かべながらも、きちんと攻撃は避けてくる。
マミ「」シュルルルルル
リボンを併用。
あすみ「……!?」アセ
身体能力はあまり高くないのか、すぐに捕まった。
マミ「さ、それじゃ……終わりにしましょうか」
銃を構える。
少女と目があった。
瞬間、意識が闇に呑まれていく。
141:
「ねえ、聞いた?巴さんのところのマミちゃん」
「もう、手遅れだった」
「不気味な子。あの事故でひとりだけ生き残ったんですって」
「大丈夫、ボクがキミの力になってあげられる」
「やめて」
「何か話しタラどうダ。黙っテイたら何もワからナイぞ」
「えーマミちゃンのおウチ遊びニイきたーイ」
「深夜にデ歩イテいるそウジャないカ」
「ゴめん。モウ……マミさんトハ一緒にやッテいけないヨ」
「やめて!」
「オマエが居なくタッテ何とカナるんダカラサ」
「居タノカ。気ヅかなカッタヨ」
「もうワタシニ関わラナいデ」
「あタシハ……マミさんみタイニはなレナイかラ」
「やめて!!!」
142:
マミ「……っ!?」ドシャ
あすみ「」ニヤニヤニヤニヤニヤ
文字通り頭の割れるような激痛が走る。
はっとして目の前を見た。
べっとりと血のついたモーニングスター。
真っ黒な顔面に貼りついた意地の悪い笑み。
私の敵である幼い魔法少女が、立っていた。
マミ「……そう、これがあなたの魔法なのね」
自分のソウルジェムを見た。
魔法少女にとって精神へのダメージは、時に肉体へのそれよりも大きなものになり得る。
今の私のソウルジェムも、それを如実に表していた。
あすみ「」ケラケラ
魔法少女がモーニングスターを振り回す。
なるべく少女の方を見ないようにして、マスケット銃で受け止める。
やっぱり、力は強くないらしい。
143:
マミ「これで決めるわ!」ジャキ
背後に無数の銃を召喚する。
これを一斉に放てば……!
「アナタニ ワタシヲ コロシテマデ」
何を……!
「イキル カチガ アルノ???」
マミ「ぐっ……!!」ガクガク
身体が……言うことを聞いてくれない!
「カワイソウナ トモエマミ」
「セッカク ヒトリデ ミンナヲ マモッテキタノニネ」
マミ「あ……」
「シンジャエ」
144:
あすみ「……!!」バタッ
マミ「はあ、はあっ……!!」
QB『おめでとう。マミ、キミの勝ちだね』
マミ「ありがとう、QB」
間一髪で発砲が間に合った。
ダメね、私。
……未だにあの時のことがトラウマになっているだなんて。
145:
まどか「良かった!マミさんの勝ちだ!」
杏子「精神攻撃か……。1戦目から厄介なのに当たったなあ、マミの奴」
ほむら「インキュベーター、ちょっとマミに繋いで頂戴」
QB「?別にいいけど」
146:
ほむら『マミ、聞こえる?』
マミ「暁美さん?」
ほむら『いい?誰だって思い出したくないトラウマのひとつやふたつ、あるものよ。そんなのいちいち気にしていたらきりが無いわ』
マミ「な、何の話?」
ほむら『まる分かりなのよ、あなた。不安がってるのが、顔を合わせなくてもね』
マミ「うっ……」
ほむら『さっきのさやかにつながる手がかりのひとつくらい、突き止めるまでは帰ってこないでね』
マミ「わ、分かったわよ!」
ほむら『それじゃ期待してるから』
マミ「な、何なのよう、もう……」
マミ(一番つらいトラウマ抱えてる後輩にそんなこと言われたら、頑張るしかないじゃない……)
147:
ほむら「ふう」
さやか「なんだよー、ほむらー!いいとこあるじゃん!」
ほむら「聞いてなかったの?私はあのさやかに関することが何か分かればと思っただけよ」
さやか「はいはい、ツンデレツンデレ」
ほむら「違うわよ!」
QB「それじゃ、2戦目行くよ」
148:
vs浅海サキ
ステージ:あすなろタウンホール前
149:
マミ「!」パン
両手で頬を叩く。
仕切り直しだ。
マミ「さあ、かかっていらっしゃい!」
サキ「……」
150:
マミ「あなたの武器は……なるほど、鞭ね。それじゃ、攻で行くわよ!」
銃の多重召喚。
そして、連射!
サキ「……」サッ
マミ(自分自身に魔法をかけた……加?)
サキ「……!」
そして、あの子が武器を掲げると。
マミ「きゃあっ!?」バチバチッ
雷魔法。
初めて見るけど、これは……。
マミ(か、かっこいいっ!!)キラキラ
151:
マミさん、メンタル回復しとるwww
152:
切り替え早いな
153:
杏子(うわあ、あいつが考えてることが手に取るように分かる……)
ほむら(あんなこと言わない方が良かったかしら……)
さやか「さっすがマミさん!もう本調子だよ!」
まどか「うん!」
杏子(あたしにもこんな純粋な頃があったなあ)
ほむら(感慨深い)
154:
サキ「……!」バッ
今度は鞭での攻撃ね。
マミ「これでどうかしら?」
自分の周囲にリボンを巡らせる。
かかった。
リボンが鞭を持ち主の手から奪い去ろうとする。
サキ「……!」アセ
マミ「隙だらけよ?」バン
155:
サキ「……!」
避けられた。
また加……もしかして、これも電撃魔法の一種なのかしら?
マミ「逃がさないわよ」シュルルルッ
一度に何本ものリボンを伸ばし、魔法少女を追う。
マミ「そこ!」バンバン
勿論銃での追撃も忘れない。
156:
サキ「……」ダンッ
マミ「やっと当たってくれたわね。これでとどめよ、ティロ……」
サキ「……!!!」バババ
自分に電撃を浴びせた……?
マミ「っ!」
瞬間、攻撃の気配を感じて防御姿勢を取る。
サキ「……!!」ブンッ
い……予め防御姿勢を取っていなかったら危なかった。
157:
QB「雷を操る魔法少女、浅海サキ……」
QB「その極致は、生命活動をもコントロールする魔法『イル・フラース』」
QB「いよいよ、本領発揮かい?」
158:
マミ「くっ……!」ガキン
サキ「……!」ババババ
一転して劣勢。
サキ「……!」ブンッ
鞭での攻撃……間に合わない!
マミ「きゃあっ!」バシ
サキ「……!!」スッ
マミ「きゃあああああああっ!!」ビリビリビリッ!
159:
サキ「……!」ババババ
かかった!
マミ「……そこよ!」シュルルルルッ
サキ「!?」ガチッ
マミ「ティロ・フィナーレ!」バン
サキ「!」パリンッ
160:
QB「マミの勝……」
さやか「出たあーーーーーっ!!マミさんのリボン弾だあっ!くうぅ、やっぱりカッコイイ!!」
まどか「やっぱり、最初の方に撃ってた弾のうち何発かはリボンを仕込んでたんだね!」
ほむら「まあ、あれを初見で対処しろというのは無理があるわよね」
杏子「戦闘後に紅茶飲んでみたり、ふざけてるようだけど、強いのは間違いないんだよなあ」
161:
QB「おめでとう、マミ。まどかとさやかが大喜びしてるよ」
マミ「うふふ、なんだか照れちゃうわね」
QB「さあ、それじゃあ次の戦闘を始めるよ。準備はいいかい?」
マミ「ええ、大丈夫」
162:
vs双樹あやせ・ルカ
ステージ:あすなろ市遊園地 ラビーランド
163:
マミ「あら……」
いいわね、遊園地。
これが終わったら皆を誘って行ってみようかしら。
あやせ「……」ニコ
ひとりだけ……か。
もうひとりはどこに隠れているのかしらね?
165:
あやせ「……!」ドドド
ドレスを纏った魔法少女はすぐに炎の弾を繰り出してきた。
マミ「!」バンバンバン
不意打ちを警戒しつつ銃弾で対応する。
なまじもうひとり潜んでいることが分かっているだけに、厄介ね……。
あやせ「……!」ガキン
マミ「……くっ!」ガキン
サーベルでの近距離攻撃。
これは、もうひとりが出てくるのを待ってる場合じゃないかもね……。
166:
杏子「なーQB、相手は2人じゃなかったのか?ひとりしかいないように見えるんだけど」
QB「それはそうだろう。双樹あやせとルカはふたりでひとつ。二重人格の魔法少女だからね」
まどか「に、二重人格!?」
QB「そうさ。2人がそれぞれ契約をしたから、ソウルジェムもちゃんとふたつある」
さやか「マミさん、それ知ってるの?」
QB「さあね。少なくとも、ボクからは話していないよ」
杏子「だからそういうことは先に言えっつーの!」
167:
マミ「いいわ、不意討ちがしたいのなら好きになさい。今は、全力であなたの相手をしてあげる」バンッ
あやせ「……!」キンッ
マミ「!」
銃弾がサーベルで弾かれた。
次の瞬間、魔法少女の周囲を無数の炎の弾が周り始めた。
あやせ「……!!」ニコ
168:
無数の炎の弾が襲い来る。
でも。
マミ「!」バンバンバンバンバン
スピードはそうくない。
冷静に対応すれば、一弾一弾撃ち落とすことだって難しくない。
あやせ「……!」ボボボ
マミ「何度やったって同じよ」バンバンバン
悪いわね、銃の扱いには自信があるのよ。
169:
まどか「すごい……!」
さやか「どうなってるの?」
杏子「やってることは単純さ。一弾一弾狙いをつけて、炎の弾を撃ち落とすだけ」
さやか「いや、だって炎の弾だって動いてるんだよ!?それにマミさんの銃って単発式でしょ?どうやったらあんな……」
ほむら「理屈じゃない。それが出来てしまうのが、巴マミという魔法少女なのよ」
杏子「そうそう。だいたい、マミ相手に遠距離対決を挑もうだなんてのが無茶なんだ」
170:
マミ「さあ、来なさい……」シュル
私は、待っていた。
あの子がサーベルを出して近づいてくるのを。
あやせ「……」ニコ
雰囲気が、変わった……?
あやせ「……!!」ボボッ
さっきのと違う魔法!
マミ「くっ!」バン
あやせ「……」ニコ
マミ「きゃあっ!?」ドンッ
そんな、押し負けた!?
171:
マミ「なるほど……。熱と冷気、2つの魔法を組み合わせたわけね」チラ
あやせ「……」
相反する属性の2つの魔法、それにこの雰囲気の変わり様……。
あやせ「……!!」ボボッ
マミ「くっ!」
どういう理屈かは分からないけれど、ひとりの身体にふたり分の魂を憑依させている……?
172:
何より厄介なのは、あの魔法が相反する2つの魔法を組み合わせたものだというところ。
あれは、普通の攻撃じゃ破れない……。
あやせ「……」
避けるのも限界ね。
ええ、正々堂々勝負してあげる。
マミ「ティロ―――」
あやせ「……!!」
あなたと私、どちらの魔法が強力か……!
マミ「―――フィナーレ!!!」
勝負よ!
173:
あやせ「……」モクモク
ふたつの魔法が激突して出来た煙が場を覆う。
ピカッ
あやせ「!」
マミ「ティロ・フィナーレ」
パリンッ。
2つのソウルジェムが同時に割れた。
174:
QB「うん、マミの勝ちだね」
まどか・さやか「やったあ!!」パン
杏子「なあほむら、1発目のティロ・フィナーレは押し負けてなかったか?」
ほむら「ええ、そのままマミに直撃したように見えたけど……」
175:
QB『だってさ、マミ。ふたりが不思議がってるよ』
マミ「ええとね。万が一に備えて、一応リボンで結界を張っていたのよ。まさか本当に押し負けるとは思っていなかったから、びっくりしたけれど」
ほむら『その次のティロ・フィナーレは随分発動がかったみたいだけど』
マミ「結界のリボンを解いて銃に変換したから、多少時間が節約できたんじゃないかしら。あとはあの子、随分油断していたみたいだったから」
杏子『マミ、リボンってそんなに自由に使えんの?』
マミ「練習したら出来るようになったわ」ドヤ
ほむら(本当に相当練習したんでしょうから何とも言えないわね……)
176:
とりあえずここまで。
明日、またマミさん編の続きを書きます。
177:
開幕時止めでほむらの独壇場かと思ったけど、円環が出てくるならキツくなってくるな
178:
マミさんが補正なしでガチに強いSSって珍しくね?
181:
乙です
どころですず☆マギやたる☆マギの登場予定はないのでしょうか?
184:
カンナが出てきたら誰も勝てないだろ
186:
ソウルジェム破壊できれば強い相手にも勝てる、もしくは魔力切れを待てば良い
187:
>>186
どっちも円環さやかちゃんには通じなさそう
188:
>>184
かずみは勝利しているんですけど
しかも双頭の邪翼までいて、かずみは直前に魔女軍団相手に一戦(と言っても、瞬殺だったけど)やっていた
>>186
タルトの場合はティロ・フィナーレが直撃しても致命傷になりそうもないし、それ以外勝ち方ないよね
ただそれが実際に出来る気がしないけど
189:
すずねとタルトは読んでないので出せません。ごめんなさい。
てかタルトってそんなに強いんですねー……
190:
さやか「それじゃ、再開するよ!」
191:
QB『それじゃ、次はいよいよ4戦目だね』
マミ「あ、ちょっと待ってQB」
QB『どうしたんだい?』
マミ「あるんじゃない!ああいういかにも魔法っぽい魔法!」
QB『何のこと……ああ、さっきの雷や炎のことについて言っているのかい』
マミ「私含めこの辺りの魔法少女は皆現実的な魔法ばっかり使うんだもの……。銃とか槍とか剣とか」
QB『時間停止は現実的じゃないのかい?』
マミ「あれはファンタジーじゃなくてSFでしょ」
QB『そうなのかい?』
マミ「そうよ。やっぱりQBにはロマンが分からないのかしらね」
QB『さっぱりわからないよ』
192:
マミ「さあ、それじゃあそろそろ始めましょうか。4戦目」
QB『準備はいいね?』
マミ「ええ。どこからでもかかっていらっしゃい」
193:
vs御崎海香・牧カオル
ステージ:ショッピングセンターBUY-LOT
194:
マミ「まさかこんなところで戦うことになるとはね」
海香「……」
カオル「……」
マミ「今回は間違いなく2人が相手ね」
海香「……」パアア
長髪の方の魔法少女が魔法で本を取り出し。
カオル「……」グッ
短髪の方がそれに合わせてファイティングポーズを取る。
マミ「うふふ、こんなにワクワクするのって久しぶり」ジャキ
195:
恐らく長髪の子が支援担当、そして短髪の方が攻撃担当……。
マミ「だったら、あなたから潰すのが定石よね!!」バンバンバンバン
海香「……!」キン
なるほど、バリアを張れるわけね。
カオル「……!!」シュン
マミ「重いわね……!」ガキン
そしてもうひとりの蹴りを、マスケット銃で受け止める。
動きが即席のコンビのそれではない。
こちらのリズムを乱されないようにしないと……。
196:
海香「……!」フォン
本から魔力の球が……。
カオル「……!!」ドン
まずい!
マミ「くっ!」サッ
長髪の子が生み出した魔力の球を、短髪の子が蹴ることで攻撃する。
何のことは無い、サッカーのパス・シュートのような攻撃だけど……。
恐らく、私の攻撃では押し負けてしまう……。
カオル「……!」ドドドドドド
マミ「!」ドン
激しい蹴りの連続。
休む暇は与えない、ってわけね。
そして、当然……。
海香「……!」ジャキ
マミ「くううっ……!」ツー
幸い、かすり傷程度で済んだけれど……。
この子、槍も使うことが出来るなんて。
197:
さやか「苦戦してるね……」
杏子「そりゃーさっきと違って正真正銘の1対2だもんな」
まどか「杏子ちゃん、やっぱり1対2って厳しい戦いになるもの?」
杏子「まあ、そりゃそうだろ。一人目の攻撃を避けたと思ったら二人目の攻撃が。それを受け止めるとまた一人目の攻撃がやってくる……」
杏子「足りないところを補い合うことも出来る。戦術の幅も圧倒的に広がる」
杏子「対複数の戦闘では、個々の能力を足し算したのとは比較にならないくらいに、相手が強く見えるもんさ」
ほむら「それに……。あの2人の息の合い方。お互いの方を殆ど見ることなく、意識は常にマミの方へ集中させている」
ほむら「お互いを信頼し、長い時間をかけることで培ってきた連携攻撃……。あれを破るには一筋縄では行かないでしょうね」
198:
カオル「……!」ガガガ
海香「……!」フワ
マミ「っ!!」ドンドンドン
2人のリズムがだんだん掴めてきた。
やはり攻撃の主体は短髪の子の方。
長髪の子はそれを的確にアシストしたり、あるいは私の隙をついて攻撃したり。
マミ「それなら……!」シュルルルルルルッ
まずはあなたたちの連携を崩してあげなくちゃね。
カオル「!?」
リボンでの牽制。
今回は銃だけで戦っていたから、驚いたでしょう?
でもあなたの相手は、また後で。
マミ「まずは、あなた!」ドンドンドン
海香「……!」キン
マミ「まだまだっ!」ドンドンドンドンドン
海香「!?」ドンッ
一発入った!
でも……。
カオル「……!!」ガガガ
やっぱり、こっちの足止めはこれくらいが限界みたいね。
199:
海香「……!!」バッ
マミ「?」
本を広げて、一体何を……。
マミ「うっ!」ギュン
海香「……!!」バシバシバシバシ
何かが、身体から抜き取られた……?
カオル「……!」ニッ
あの魔法は、一体……。
マミ「いいわ、さっさと決着を着ければ同じこと!」シュルルルルッ
カオル「……!」サッ
海香「……!」サッ
マミ「!?」
動きが、変わった……?
カオル「……!!」ドンッ
マミ「きゃああっ!!」
200:
杏子「オイオイ何なんだアイツら……。さっきまでと違って、マミの嫌なところを的確に突いてきやがる……」
ほむら「インキュベーター、あの魔法は?」
QB「御崎海香の『イクス・フィーレ』だね。対象の情報を読み取る魔法さ。今回は、マミの動きの癖や弱点を読み取られたんじゃないかな」
まどか「そんな魔法が……!」
さやか「これ、マミさんマジでピンチなんじゃ……」
201:
マミ「はあ、はあっ……」
まずいわね。
海香「……」
カオル「……」
このまま戦いを長引かせても、どんどん私に不利になっていくだけ。
ここは、ひとつ……。
マミ「行くわよっ!」シュルルルルルルッ
海香「……!」サッ
カオル「……!」サッ
マミ「まだまだ!」ドンドンドンドンドン
海香「……!」キン
カオル「……!」サッ
一瞬でいい。
あの2人の連携が崩れる、その瞬間を狙えば……!
202:
マミ「今!」ドンドンドンッ
よし、これで……!
海香「……!!!」ピカアアッ
本が光った!
カオル「!」ニイ
そんな、まさか……!
カオル「「「……!!!」」」バババッ
この魔法は……!
マミ「きゃあああああああああっ!!!」
―――ロッソ・ファンタズマ!??
203:
マミ「……間一髪ってところね」バンバン
カオル「!??」パキンッ
海香「!??」パキンッ
ふう……。
今回は、本当に危なかった……。
204:
杏子「どういうことだオイ……!!」
QB「それは海香の魔法についてかい?それともマミがどうして生きていたかについてかい?」
杏子「マミの奴が生きてるのはどうせリボンで自分にそっくりな囮を用意したからだろ」
まどか「そんな魔法が……!」
さやか「マミさん、強すぎです……」
QB「海香の魔法のことなら、ボクにも正確なことは分からないけれど、ひとつの仮説を立てることなら可能だよ」
杏子「聞かせろ」
QB「彼女の魔法『イクス・フィーレ』を使ったのさ。いつかは知らないけれど、キミが戦っているときにこっそりとキミの魔法を抜き取ったんじゃないのかな」
杏子「あたしには、心当たりなんてねえぞ」
QB「それこそが彼女の魔法の強みなんだろう」
杏子「チッ……!」
205:
マミ「……なるほど、そういうこと」
杏子『マミ、お前も聞いてたのか!?』
マミ「ええ。でも妙ね。佐倉さんがあの魔法を使ったのって私と居たときだけよね?あんな大胆な魔法を使って、2人ともそれに気付かないなんてこと、あるかしら?」
ほむら『あるいは、周囲が見えなくなるほどに戦いに夢中になっていたのかしら』
杏子『!』
杏子(そうか……。あの時なら、マミは居なかったし、あたしも勝つことに頭がいっぱいになってた……)
マミ「佐倉さん、心当たりがあるの?」
杏子『……ねーよ。考えてみたけど、見つからなかった』
206:
マミ「さあ、それじゃ……私も5戦目の相手を教えてもらえる?」
QB『大丈夫なのかいマミ?休憩しなくても』
マミ「魔力も体力もどうせ回復するんだから平気よ」
マミ(それに、私の相手がまた『あの美樹さん』になるかもしれない)
QB『よし、それじゃ発表しよう。キミの5戦目の相手は……』
207:
今日はここで切ります。
マミさん編もうちょっとだけ続きます。
次回はまた明日か明後日に。
208:

き……気になるところで切りよる
209:
描写が良いだけにシミュレート戦闘なのが惜しいな・・・
213:
沙々「くふふふふっ、それじゃあ再開してやりますかァ!」
214:
5戦目:百江なぎさ(円環の理)
マミ「!」
来た……!
『円環の理』だわ!
QB『マミ、準備はいいかい?』
マミ「ええ!見てなさい、佐倉さんの仇、必ず取ってみせるわ!」
215:
ほむら「遂に来たわね」
杏子「百江なぎさ、っていうと、あたしが1戦目に戦ったシャボン玉の奴か」
さやか「多分、あたしのときみたいにパワーアップしてるんだろうね」
ほむら「それだけじゃない。また魔女を使役してくる可能性があるわ」
さやか「『円環の理』って、一体なんなんだろ……?」
216:
vs百江なぎさ(円環の理)
ステージ:くるみ割りの魔女の結界
217:
マミ「……」バババ
現在分かっている情報を整理する。
百江なぎさ、魔法少女。
佐倉さんとの戦いを見るに、主な攻撃方法はシャボン玉。
見たところ、あのシャボン玉は攻撃だけでなく、防御に補助と用途が広そうだった。
美樹さんのパワーアップぶりを見るに、シャボン玉というベースになる部分は守りつつ、かなり強力な魔法を使ってくるでしょうね。
そして……あの、魔女を生み出す魔法。
もしかしたら美樹さんだけが使える力なのかもしれないけれど……用心するに越したことは無いわね。
さあ!
あなたの正体、確かめさせてもらうわよ!
218:
なぎさ?「」モジュモジュ
なぎさ?「」ベベ
マミ「!!」ビクッ
え、え、え、何あれ!?
219:
杏子「何だありゃあ!?」
まどか「お人形、さん?」
さやか「いずれにしろ、最初に見た百江なぎさのシルエットとは似ても似つかないように見えるけど……」
ほむら(あのシルエットは……お菓子の魔女?)
ほむら「もしかして……。百江なぎさ、あなたは……!」
220:
いえ、こんなことで相手のペースに乗せられてはダメ!
マミ「手加減なしで行くわよ!」バンバンバン
なぎさ?「……!!」ピョンピョンピョン
すばしっこい!
マミ「くっ!」シュルルルルルルッ
なぎさ?「……!!」ダダダダダダ
リボンが追い付かないなんて!
なぎさ?「……!」ダダッ
物陰に隠れた!
分からない。
これは、罠なのかしら……。
221:
???「また繋がったみたいだね」
???「今のうちに、接続を済ませるわ。早く」
???「今やっているところさ」
???「急いで。ぐずぐずしているとすぐに決着がついてしまうから」
222:
なぎさ「……!!」バッ
マミ「!!」
今度は、佐倉さんの時と同じ……。
一体、何のつもり?
なぎさ「……!」プププププ
佐倉さんの時と同じようにラッパを上に向けると、そこから無数の泡が飛び出した。
マミ「させない!」バンバンバンバンバン
泡が分裂するのもお構いなしに、銃弾を撃ち込む。
マミ「はあっ!」バンバンバンバンバン
なぎさ「……!」
予想通り、何度か分裂を繰り返した泡にさらに衝撃を加えれば打ち消すことが出来るようだ。
マミ「これで、終わりよ!」シュルルルルッ
リボンで魔法少女を捉える。
なぎさ「……!」ニヤアアアアアアアッ
223:
???「っ!??……間に合って!!」
224:
キインッ!!
なぎさ「……!?」ガチ
マミ「っ!??」
今、この子から魔女が……!!
お菓子の魔女「」ユラユラ
この魔女って、もしかして……!!
マミ「くうっ……!」ジャキ
それに、今。
私は頭を食いちぎられるはず、だったのに……。
一瞬、あの魔女を弾いたのは……。
そして私を守ったのは、何?
225:
???「ちょっと!何をしたんだい!?」
???「干渉」
???「まだ接続が不安定なんだ……勝手なことをされたら困るよ」
???「その状態で『繋ぎ目』が切れたらもっと困るでしょう。お願いだからさっさと済ませてちょうだい」
???「今80%まで来たところだ。……もう少しだけ、待ってくれ」
226:
ほむら「やっぱりそうなのね……!」ギリ
ほむら(お菓子の魔女……。数多くの時間軸で、マミの命を奪った魔女)
まどか「ほむら、ちゃん……?」
ほむら(それに……。今、あの魔女が何かに弾かれたように見えた)
ほむら(あれはマミの魔法じゃない。だとしたら、一体……)
227:
マミ「ぐっ!」ドンドンドン
お菓子の魔女「……!」グオオ
なぎさ「……」
あのなぎさという魔法少女は魔女の背に乗って私たちの戦いを見物し始めた。
彼女自体は私でも追い詰められたくらい、そう強くは無い……。
お菓子の魔女「……!!」ガバア
マミ「!!」サッ
でも、この魔女は……!
前に戦ったときよりとは比にならないほどに強くなっている……!!
228:
マミ「これで、どうっ!?」シュルルルルッ
リボンでの拘束を試みる。
お菓子の魔女「!?」ギュウウッ
やった、捕まった!
なぎさ「……」ニヤ
お菓子の魔女「……!」ブチイイッ!
マミ「そんな、私のリボンが……」
お菓子の魔女「……!」グオオオッ
マミ「こ、来ないでっ!」バンバンバン
お菓子の魔女「……!」グオオオオオッ
そ、そんな……。
銃弾が、効いてない……!?
マミ「???!!」バンバンバンバンバン
止まれ、止まれ、止まれ!!!
お菓子の魔女「……!!」ガバアアッ
バクンッ!!
229:
???「―――接続、完了したよ」
230:
今日はここまでになります。
続きはまた明日。
次はいよいよほむら編です。
なんだか回を追うごとにどんどん進みが悪くなっている、ような……
234:
なぎさ「再開するのです!」
235:
QB「残念、マミの負」
まどか「マミさんっ!」
さやか「大丈夫ですか!!」
マミ「……あら、私」サス
マミ(首は……ちゃんとつながってるわね)ホッ
ほむら「やっぱり、あの『円環の理』の魔法少女、相当強いわね」
杏子「なあ、さっきのは何なんだよ?あんたらばっかり知ったような顔してさ」
マミ「そうね、佐倉さん達は知らないものね」
ほむら「マミを倒したのは『お菓子の魔女』。以前私とマミが共闘して倒した魔女よ」
マミ「そして、暁美さんによれば……。いくつもの時間軸で私の命を奪ってきた魔女、そうよね?」
ほむら「……」コクン
杏子「そう、か……」
まどか「だから、あの時どうしてもわたしとさやかちゃんを結界の中に入れさせてくれなかったんだね」
ほむら「ええ、そうよ」
236:
さやか「結局、『円環の理』って、何なんだろう……」
ほむら「でも、私は見過ごすわけには行かない。魔女を使役する魔法少女が居たとしたら……」
まどか「それはきっと良くないことだもんね」
さやか「うん。……それが仮に平行世界のことだったとしても、何とかして、やめさせなくちゃ」ギリ
杏子「とはいえ、『円環の理』の正体なんてまだ欠片も掴めてねーぞ」
ほむら「とりあえずは、私も挑戦してみるわ。きっと5戦目に出てくるでしょうし」
マミ「それなんだけど……」
237:
マミ「暁美さん、今日の会はこのあたりでお開きにしない?」
ほむら「突然何を言うのよ」
マミ「……何だか嫌な予感がするの。暁美さんが暁美さんでなくなってしまうような……それとも、どこか遠くに行ってしまって、二度と戻って来ないような……」
杏子「??マミにしては随分わけわかんねーこと言うじゃんか」
さやか「そうですよ、マミさん!とっとと『円環の理』の正体を暴いて、それでとっちめてやりましょう!」
さやか「QB。その機械を使えば平行世界のあたしたちを再現できるってことは、こっちのあたしたちが平行世界に跳ぶことも出来るんでしょ?」
QB「さあね。やってみないことには分からないけれど……」
さやか「でも、魔法少女には不可能はないって!ね、まどか!」
まどか「う、うん……」
マミ「そ、そうよね……」
ほむら「……」
238:
QB「マミ、賞品のグリーフシードだよ」
マミ「え、ええ。ありがとうQB」
ほむら「マミ。そんなに気になるの?」
マミ「……分からないの。自分でもどうしてこんなに不安なのか」
ほむら「大丈夫よ。さやか、杏子、マミ。3人全員無事だったわけだし、私自身この機械のチェックは済ませてる」
ほむら「インキュベーター、ほら。グリーフシードよ」ポイ
QB「きゅっぷい。やる気だね」
ほむら「当り前でしょう。さあ、対戦相手を発表しなさい」
239:
QB「ほむらの対戦相手はこんな感じだよ」
1戦目:暁美ほむら(2周目)
2戦目:宇佐木里美
3戦目:神那ニコ
4戦目:美国織莉子・呉キリカ
ほむら「美国織莉子。そして、呉キリカ……」
QB「知っているのかい?」
ほむら「……ええ、いつかの時間軸でね」
ほむら(あの時はマミ、杏子、そして千歳ゆまが味方に付いていて、それでもまどかを守りきれなかった……)
ほむら(勝てるのかしら、あの2人に。たったひとりで)
QB「準備はいいかい?ソウルジェムをここにセットしてくれ」
ほむら「ええ」
QB「それじゃ、始めようか」
240:
vs暁美ほむら(2周目)
ステージ:高架下の河川敷
241:
ほむら「……」
私の身体だ。
右手、左手、右足、左足。
大丈夫、どれも違和感なく動く。
ほむら「インキュベーター……。やはり科学力に関しては人間のそれとは桁違いね」
周りを見渡すと、ここは魔法少女になったばかりの私が巴さんと修業した場所だった。
ほむら「なるほどね……」
そして、少し離れたところには三つ編みでメガネの私が立っていた。
ただし、彼女の顔・肌・服、その他すべてが、墨汁に浸したみたいに真っ黒だった。
それは、かつての私のシルエットでしかなかった。
242:
真っ黒な私が、やはり真っ黒なゴルフクラブを掲げて走ってきた。
私はそれを見て、時間を止める。
カチリ。
所詮魔法少女になって間もない頃の私だ。
戦闘のいろはを、碌に理解していない。
ほむら「さようなら」
盾から取り出した拳銃で、彼女の唯一色がついているソウルジェムを撃ち抜いた。
243:
QB「暁美ほむらの勝利だね」
さやか「瞬殺……」
杏子「ま、そりゃそうだよなあ。対魔法少女戦なら余程の力を持った魔法少女でないと相手にすらならないね」
244:
vs宇佐木里美
ステージ:『失敗作』廃棄場
245:
ほむら「……」カチリ
里美「……!」ピタ
魔力が使い放題なら容赦する必要はどこにもない。
ステッキを掲げる予備動作の前に時間を停める。
一切の魔法は使わせない。
ほむら「悪いけれど、急いでるの」
そう言い捨てて、拳銃の引き金を引いた。
246:
QB「……暁美ほむらの勝ちだね」
さやか「ま、マジで容赦ねえ……。あたしらからすると文字通り一瞬で決着がついたようにしか見えないんだけど……」
まどか「やっぱりほむらちゃん、強い……」
247:
vs神那ニコ
ステージ:地下水道
248:
ほむら「……」カチ
時間を停めた私は、驚いた。
なぜなら相手の魔法少女―――神那ニコと思しき黒のシルエットが、目の前に3人分あったから。
戦闘が始まった一瞬、私が時間を停めるよりも先にこんな魔法を使うとは……。
ほむら「でも、全部撃ってしまえば問題無いものね」バンバンバン
3人分のソウルジェムに銃弾を突き付けて、時間停止を解除する。
ニコ「「「……!!」」」パリンッ
3つのソウルジェムが砕ける音がする。
そして、3つのシルエットがまるで煙のように綺麗に消えていく。
ほむら「しまった……!!」
時間停止があれば圧倒的に有利に立ち回れる。
その事実が、いつの間にか私を油断させていた。
ほむら「全員おとりとはね……やってくれるじゃない」
じっと周囲の魔力の気配を探るが、奇襲の気配はない。
ほむら「逃げられたか……」
この時点で、私の優位性は完全に崩れてしまった。
249:
魔力の探知を続けながらじっくり考えることにする。
相手がどのような魔法を使うのかも分からない、この地下水路がどのような構造になっているのかも分からない。
となると、時間停止が長くは使えない以上今から時間を停めて彼女の居場所を突き止める、という選択肢はあり得ない。
あのニコという魔法少女は戦闘開始時点でわざわざおとりを3体も配置し、自分はすごすごと逃げ去った……。
いえ、そうとは限らない。
もともと私と同じように戦闘開始直後に奇襲をかけるつもりで、実は私の背後に潜んでいたのかもしれない。
そして私が一瞬で3体のおとりを倒したのを見て、作戦を変更することにした。
……どちらの可能性も残るわね。
いずれにせよ、さっきの杏子やマミの戦いを見た限り、3戦目というのはそれなりの強さを持った魔法少女が出てくるはず。
しかも、彼女は3体ものおとりを配置するような頭の切れる魔法少女。
それが無策で逃げ出すと言うのは考えにくいから……。
やはり、罠を張っているのか、それとも発動に時間を要する魔法を練り上げているのかのどちらかになるわね。
私から相手を探すのは自殺行為になるけれど……そうするしか無い、か。
250:
私の魔法が『時間停止』ということが気付かれていなければ、彼女は私が相当強力な魔法少女であると思い込んでいる可能性がある。
ハッタリが通じると言う点では私に有利に働くものだけれど、彼女にとっては余計に警戒心を高める材料になる……。
おとりをつくる以外にも、厄介な魔法を使ってくるかもしれない……。
ほむら「……」
これ以上は考えても仕方ないわね。
行きましょう。
251:
地下水路はまるで迷路だった。
ほむら「!」サッ
ほむら(……ミサイル?)
予想通り、通路には罠が張ってあることもしばしばあったが、時間をかけて迷路をさまよった結果、どうにか彼女のもとに辿り着くことが出来た。
ニコ「……」
恐らくはあれも偽者……。
ニコ「……!!」
とはいえ……。
ほむら「まずはあなたを倒してから、かしらね」ジャキ
252:
ニコ「……」パキパキパキ
指からミサイル……!?
通路に張ってあったトラップはこれを利用したのね。
ほむら「……っ!」バン
私だって、マミに負けるつもりはないくらい銃の腕には自信がある。
ニコ「……」
また増えた……!!
厄介ね、時間を停めるか……。
いや、待って。
253:
ほむら「なんだ……」カチ
ほむら「あなた、本物だったんじゃない」
今度こそ間違いなく、『神那ニコ』のソウルジェムを撃ち抜いた。
254:
杏子「終わった……のか?」
まどか「ほむらちゃん、どうやって本当のニコさんを見分けたんだろう……?」
255:
QB『だって』
ほむら「杏子の時と似たような種明かしになってしまうけれど……ソウルジェムの色よ」
ほむら「分身に指ミサイル、通路に仕掛けたトラップ……。かなりの魔法を使っていたわけだから、ソウルジェムの色が明るいのはおかしいことになる」
ほむら「彼女が分身したとき、もともと私と戦っていた『神那ニコ』だけソウルジェムが濁っていたのに気付いた。そういうことね」
さやか『そっか……。でも、案外あっさり倒せちゃったよね?あんなに何重にも罠を張ったりなんかして、かなり用心深い魔法少女だと思ってたんだけど』
ほむら「彼女のソウルジェムの色、かなり濁っていたわ。私の魔法を勘違いして、要らぬ警戒の為に魔法を使いすぎてしまったんじゃないかしら」
ほむら「あなたなら経験してると思うけど、ソウルジェムが濁った時には身体能力よりも先に注意力が落ちるから。次に私が出す手も予想しきれなかったんじゃないかと思うわ」
杏子『なるほどねー』
ほむら「それより……。第4戦よ、早くして頂戴」
QB『キミがそこまで急かすなんて珍しいね。そんなに因縁深い魔法少女なのかい?』
ほむら「ええ……とってもね」
256:
ここまで!
同時にほむらちゃん無双もこの辺りでストップです。
明後日続き書きます。
出来れば明後日には終わらせたいのですが……。
257:

けどまどかだったらどこまで勝ち進むんだろうか。
散弾、誘導、大火力とかなり凶悪だけど絡め手はなさそうだしな。
258:
おつ!
ほむほむまじほむほむ!
263:
シャルロッテ>マミさん>ほむら>シャルロッテ
本編で直接殴りあった結果ではこうなるよね。
264:
マミ対シャルは
マミの油断から不意を突かれたのが敗因
マミ対ほむらは
開始前に時間停止を封じていた為
ほむら対シャルは
ほむらがシャルの手の内を知っているのに対しシャルはほむらの魔法をしらないから翻弄された
駆け引きや状況によって勝敗が変わるから不等号で表せるような力関係じゃないよ
267:
ほむら「再開するわ」
268:
vs美国織莉子・呉キリカ
ステージ:魔女MARGOTの結界
269:
ほむら「……」カチ
迷わず時間を停める。
奇襲が成功することは最初から期待していない。
織莉子「……」
キリカ「……」
私にとっての彼女達2人のことを端的に表すのなら、まさに『天敵』という言葉が相応しい。
この見滝原中で、この結界の中で、私たちは戦い、そして負けたのだ。
あの時のマミや杏子があれを『負け』と捉えたかどうかは知らないが、私にとっては間違いなく『負け』以外の何物でもなかった。
こんな形だけれど、あの時のリベンジを果たしてみせる!
270:
織莉子「……!!」
キリカ「……!」
2人にそれぞれ数発ずつ銃弾を撃ち込み、時間停止を解除した。
呉キリカの方は少々慌てているようだけれど、恐らくはすべて予想済みの美国織莉子によって全ての銃弾が無力化された。
相変わらず厄介な能力ね。
美国織莉子……。
彼女は未来を知る力を持つ魔法少女。
そして呉キリカ。
彼女の魔法は『度低下』。
度を落とす魔法と言えど使われた側としては相手の度が上がっているのとなんら変わりない。
美国織莉子の未来予知のせいでこちらの攻撃は通りにくくなる一方で、呉キリカの度低下のせいでこちらは防御すらままならなくなってしまう。
2人とも魔法少女としてのキャリアは浅いが、コンビネーションは抜群……。
ほむら「さあ、どう切り崩していこうかしらね……」
271:
キリカ「……!!」ガシャ
結局のところ、私の手札は時間停止ただ一枚のみ。
問題は、その一枚しかないカードをどれだけ効果的なタイミングで使えるか、にある。
ほむら「!」バンバンバン
織莉子「……!」キンキンキン
銃弾が水晶で弾かれた……!
キリカ「……!」ブオン
ほむら「くっ!」カチ
解除。
キリカ「……!?」スカッ
ほむら「!」バンバン
キリカ「……」サッ
やっぱり、時間停止なしでは回避すらままならないのね……。
272:
織莉子「……!!」ヒュンヒュン
キリカ「……!!」ブオン
美国織莉子の水晶玉に、呉キリカの鉤爪攻撃。
2人の猛攻が私を襲う。
じり貧だ。
お互い、かなりハイペースで魔力を消費しているが、それでも魔力が先に尽きるとしたら私の方だろう。
1対2で戦って一層分かったのだが、あの2人の魔法の組み合わせは非常に凶悪だ。
度低下で私の回避能力を下げ、未来予知で私がギリギリ避けられないところを突いてくる。
おかげで私は2人の攻撃の度に時間を停めなくてはならなくなっている。
つまり、今のところ時間停止のタイミングを完全に相手に握られている状態だ。
いくら時間停止の状態で銃弾を撃とうと、相手にとってはそれすら織り込み済み。
あの水晶玉に弾かれて、終わりだ。
ほむら「それなら……!」
273:
織莉子「……!!」ヒュンヒュン
キリカ「……!」ブオン
ほむら「今」カチ
さっきまでの『避ける』タイミングではなく、2人が攻撃を繰り出す瞬間に時間を停める。
彼女たちにとっては、今まで攻撃が終わる瞬間にカウンターが来ていたのが、今度は攻撃を始める瞬間にカウンターが来ることになるはずだ。
ほむら「解除」
織莉子「……!」キイン
キリカ「……!?」バン
呉キリカが対応し切れていない。
今が、攻め時だ。
ほむら「!」バンバンバン
キリカ「……!!」サッ
ほむら「くっ、やっぱりい……!」バン
織莉子「……!!」ス
ほむら「!?しまっ……」
274:
???「そろそろだと思うのだけれど」
???「何のことだい?」
???「見ていれば分かるわ。……私も準備しなくちゃね」
275:
ほむら「うぐっ……!?」
織莉子「……っ!??」バアンッ
美国織莉子に背後を取られた。
私はそのまま背中を貫かれる……はずが、何故か彼女の方が吹き飛ばされている。
今の感覚は、一体……?
キリカ「……!」ブオン
ほむら「!」バンバンバン
突然の出来事に動揺したのか、呉キリカの度低下の魔法の精度が狂っている。
キリカ「……!」キイン
ほむら「今のあなたなら、見える―――」バン
キリカ「……っ!??」ドシャ
そうして、天敵の片割れを撃ち抜いた。
276:
まどか「やった……の?」
杏子「みてーだな。にしても、ほむらのやつ……」
マミ「あの魔法は、一体……。暁美さん……」
277:
織莉子「――――!!!」
殺気……。
雰囲気が、変わった……!
ほむら「それでも……あなたひとりになら、負けないっ!!」バンバンバン
織莉子「……!!」キイン
見事なものね……。
あれだけのプレッシャーを発しておきながら、当の本人は至って冷静。
私の銃弾に対する対処も、さっきと同じか……あるいはそれ以上に正確だ。
水晶玉の度も、徐々に上がって……。
上がって?
278:
ほむら「しまった……!!」ガキン
織莉子「……」ニヤ
美国織莉子の狙いは、最初から私の『盾』だったのだ。
今や私の盾は彼女の攻撃で動かなくなってしまっていた。
時間が、停められない……!
織莉子「……!」ヒュンヒュンヒュン
ほむら「あああっ!!」ドンッ
思えば、あの異常なプレッシャーそのものがブラフだったのかもしれない。
彼女は思ったより冷静だった……というよりも、冷静でないのは私の方だったのかもしれない。
呉キリカを倒したことで、油断していた。
279:
さやか「!……ほむら、盾が!!」
まどか「おかしいよ……!さっきの水晶玉、そんなにくなかったのに。どうしてほむらちゃんは避けられなかったの?」
QB「キリカの魔法が残留していたようだね。美国織莉子はそれに気づいていて、なおかつそれをほむらに悟らせないようにわざと水晶玉のスピードを下げて発射していた」
QB「そして、目標である盾を撃ち抜く段になって本来のスピードで発射したのさ」
まどか「そんな……」
杏子「仲間がやられてからの一瞬でそこまでの作戦を練り上げるたあ……相当な切れ者だね、あの織莉子って奴。あの魔法を失ったほむらじゃあ、ちょっとキツいかもね」
280:
ほむら「!」バンバンバン
織莉子「……!!」ヒュンヒュンヒュン
水晶玉の度が下がってゆく。
今度こそ、呉キリカの魔法の効果が切れてきているらしい。
美国織莉子の顔にも、心なしか焦りが見て取れる。
織莉子「……!!」ヒュンヒュンヒュン
ほむら「くっ」サッ
戦闘中、ずっと未来予知を使っていたのならかなりの魔力を消費しているはずだ。
ほむら「お返しよ」バンバンバン
織莉子「……!!」サッ
勝ちを急がなければ、勝機は私にあるはずだ。
281:
逆に、美国織莉子としてはここらで決着をつけないと危ないはず。
織莉子「……!!」フワ
大量の水晶玉が召喚される。
ほむら「……」ジャキ
恐らくは、これが最後の攻撃。
織莉子「……!!!」ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン
来た……!
ほむら「!」バンバンバン
流石に未来予知が使えるだけあり、どの水晶玉も厄介な軌道で飛んでくる。
ある水晶玉は銃で撃ち落とし、ある水晶玉は避け。
ほむら「これで、最後ね」バン
最後の水晶玉が、割れた。
織莉子「……」
ほむら「私の勝ちよ。今、あなたに引導を渡してあげる」ジャキ
織莉子「……」ニヤ
282:
ほむら「……」ガキンッ
上方から急襲する水晶玉を壊れた盾で受け止める。
織莉子「……っ!??」
『あの時』と同じだ。
残りの魔力を振り絞った、最後の一撃。
私は未来予知なんて魔法を使わなくても、この一撃が来ることをずっと予想していた。
ほむら「悪いわね、あなたと戦う時だけは、何があっても絶対に油断しないようにと誓ったの」
あなたとの真剣勝負、楽しかったわ。
ほむら「さようなら」バン
283:
QB「暁美ほむらの勝ちだね、おめでとう!」
まどか「やった!すごいよほむらちゃん!」
杏子「しっかし、目がマジだったなあいつ……。ワルプルギスの夜と戦う時と同じ顔だったぞ」
さやか「何があったんだろ……」
マミ「それより、あの魔法よ!QB、教えて。お願い」
QB「少なくともボクには心当たりはないね。背後への魔力の放出。初めて見る魔法だよ」
マミ「暁美さんは……大丈夫なのよね?」
QB「さっきからマミらしくないね。マミが何を心配しているのかよく分からないよ」
284:
ほむら「……」
さあ、頭を切り替えなくちゃ。
次は『円環の理』が出てくるはず。
ほむら「インキュベーター、5戦目の相手を教えなさい」
QB「やる気満々だね。次、5戦目の相手は……」
5戦目:暁美ほむら(リボン)
ほむら「……私?」
285:
今日はこれで終わりです。
最後まで終わるとか詐欺もいいとこですね。ごめんなさい。
289:
乙です
なんで織莉子さん、オラクルレイ使わなかったんだろう?
290:
ゆま「再開するよっ!」
291:
ほむら「リボンって、どういうこと?」
QB『心当たりがないのかい』
ほむら「ええ……。やっぱり、どこかの平行世界の私のことよね」
それに……。
5戦目に出てくるということは、『円環の理』の魔法少女と同程度には強いはず。
もしかすると、リボンの私も『円環の理』に何らかの形で関わっている可能性がある……?
ほむら「いくら考えても知らないのだから仕方ないわね。インキュベーター、始めるわよ」
QB『了解』
292:
vs暁美ほむら(リボン)
ステージ:荒野
293:
ほむら「……!」
さっきまでと同じように、戦闘開始と同時に時間を停めようとして、気づく。
相手が見当たらない……?
一面見渡す限りの荒野だから、どこかに潜んでいるというのはあり得ない。
一体、どこに……?
ほむら「っ!!」
強力な魔力を察知し、宙を見上げる。
その先には……。
リボほむ「……!」
青空をも覆ってしまいそうなほどの巨大な翼を広げた『暁美ほむら』が居た。
294:
杏子「はああ!??オイ、何だよあの魔法は!あれがほむらだっつーのか!??」
QB「魔力で翼を形成したのか。……興味深い魔法だね」
まどか「あれが、ほむらちゃん?」
さやか「どうなってるのよ……!?」
295:
ほむら「あれが……私?」
それは、まさに目を疑いたくなるような光景だった。
魔法の性質が多少変質したり、あるいは現在の私よりも強力なものであったり、ということは予想していた。
でも、これはそんなレベルのものじゃない。
思わず、本当に『暁美ほむら』なのかと疑ってしまうような……。
リボほむ「……!」ギッ
ほむら「!?」
彼女の次の行動もまた予想外のものだった。
彼女がどこからか召喚した武器は、弓。
ほむら「あれは、まどかの……!」
リボほむ「……!」ヒュンッ
ほむら「まずい!」カチ
296:
強力な魔力が放出される気配を察知し、慌てて時間を停め、回避する。
解除。
ほむら「……っ!!!」
轟音と共に砂塵が舞う。
想像を上回る威力だった。
さっきさやかが戦った、1周目のまどかとは比にならない。
時間を停めるのがあと一瞬遅れていたら、私はあの一撃で戦闘不能になっていたに違いない。
297:
リボほむ「……!」ヒュンヒュン
ほむら「くっ……!!」カチ
4戦目の時と同じ。
あの矢を避けるため、攻撃の度に時間停止の魔法を使わざるを得なくなっている状態だ。
銃弾で狙おうにも相手の動きが素早過ぎて捉えきれない。
翼に当てることなら出来るけれど……。
あれは魔力で形成された代物だ。
多少の風穴を開けたところで、すぐに再生されてしまう。
298:
ほむら「く……!」バンバン
リボほむ「……」ヒュンヒュン
同じ『私』のはずなのに、攻撃パターンはまるで似ても似つかない。
リボほむ「……」ヒュンヒュン
彼女の魔法は強力だが、魔力の消費が明らかに激しい。
あの翼が維持できなくなって、地上に降りてくるとき……勝負をかける!
ほむら「……」バン
リボほむ「……!!」ビュンッ
しまった、避けきれ……。
ほむら「うぐっ!!!」ドンッ
右足がやられた。
リボほむ「……!!!」バサアッ
リボンの私が翼を更に広げる。
闇が、空を覆い尽くしていく。
リボほむ「……!!!!!」ドシュッ!!
恐らくはこれが最後の攻撃なのだろう。
私は無我夢中で時間を停めた。
299:
私の魔力も残り少ない。
早く、逃げなければ……。
ほむら「うっ!?」ドシャ
さっき痛めた右足が私の歩を止める。
ほむら「早く、立ち上がら、ないと……!!」
今になって激痛が私を襲う。
早くしないと、時間停止が――――。
解けた。
視界が黒に染まる。
300:
ほむら「―――――っ」
さっきまで意識を失っていたことに気づき、周囲を見渡す。
ほむら「どうして?」
私が倒れていたのは、さっきの荒野だった。
見れば私が倒れていたところだけ、地面が不自然な形に盛り上がっている。
一瞬遅れて、理解した。
そうじゃない。
周りの地面が削り取られたのだ。
ゾッとした。
リボンの私の最後の攻撃は、それほどまでに強力だったと言うことだ。
301:
QB『暁美ほむら、目覚めたかい?』
ほむら「インキュベーター。どういうこと?私は彼女の攻撃でやられたはずじゃ……」
マミ『あなた、リボンの暁美さんと同じ魔法を使ったのよ』
ほむら「?」
マミ『覚えていないのね。……あなたは、攻撃が当たる直前に周囲に魔力のバリアを張ったの』
ほむら「そう、なの」
当然、私にはそんな魔法を使用した記憶は無い。
ほむら「彼女、私にとどめを刺す前に魔力が尽きたのね」
QB『どうやらそのようだよ。全く、本当にキミと同一人物なのか疑ってしまうよ』
ほむら「ふふ、あなたと意見が合うなんて本当に珍しいわ。そうよ、私にはまどかを守り続ける使命がある。あんな命を捨てるような戦い方、出来ないもの」
まどか『ほむらちゃん……』
302:
杏子『……で、ほむら。結局あの魔法、何なんだ?』
ほむら「さあ。……無意識のうちに使った魔法だもの」
さやか『ずっとあたし達に秘密にしてたとか、そういうのじゃないの?』
ほむら「私は背中を預ける相手にそんな隠し事をするほど愚かではないわ」
杏子『うぐ……』
ほむら「別に杏子のことを責めているわけでは無いわ。あなたのあの魔法は未だに不完全だし、うかつに話したら却ってマミを心配させかねないものね?」
杏子『まあね……』
マミ『ねえ……。暁美さん、やっぱり様子がおかしいわ。今日はここでやめにしましょう?』
このタイミングでは、マミの心配はもっともだ。
無意識に使用した、身に覚えのない魔法。
何が起こるか分からない魔法少女にとっては、そういう小さな『きっかけ』も逃してはいけないものだ。
しかし、一方で私はもうひとつの『きっかけ』にもすぐ手が届く場所に居る。
マミ『暁美さん?』
マミは私がさっきの魔法を使う前から、ずっと私が戦うのを不安がっていた。
無意識に魔法を使ったから、なんて真っ当な理由じゃない。
今のマミはもっと、見えない何かに突き動かされて動いている。
ほむら「いいえ。……私は、続けることにするわ」
そして私もまた、その『見えない何か』に誘われて選択をしようとしていた。
ただし、マミとは反対の方向に。
マミ『暁美さん……』
予感があった。
この戦闘の先に、その『見えない何か』はある。
303:
QB『しかし、6戦目まで辿り着けるとは驚きだよ。暁美ほむら』
ほむら「ありがとう。それで、6戦目の相手は?」
QB『ええと、これだね』
6戦目:聖カンナ・魔女『ヒュアデスの暁』
ほむら「魔女……」
QB『かなり強力な魔女だと聞いている。覚悟は出来ているかい?』
ほむら「勿論よ」
304:
vs聖カンナ・魔女『ヒュアデスの暁』
ステージ:魔女『双頭の邪翼』の結界
305:
ほむら「……っ!!」
目の前にたたずむ魔女を見て、愕然とした。
ヒュアデスの暁「……!!」
見覚えがある、どころの話ではない。
偶然似ているだけ、では済まされない。
あの姿は、まるで。
私の最強最悪の宿敵。
ほむら「ワルプルギスの夜……!」
306:
さやか「なにあれ!?ワルプルギスの夜にそっくりじゃん……!?」
マミ「そんな……。聞いたことが無いわ。あんな魔女が存在するだなんて!」
QB「聖カンナの力で生み出された合成魔女、『ヒュアデスの暁』」
QB「ワルプルギスの夜には及ばないまでも、実力は折り紙つきさ。あの魔女相手にほむらがどこまでやれるか、楽しみだね」
307:
ヒュアデスの暁「……!」キャハハハハッ
使い魔A「……」アハハハハッ
使い魔B「……」アハハハハッ
使い魔C「……」アハハハハッ
ヒュアデスの暁が使い魔を召喚する。
憎らしいほどに似ている。
魔法少女の影。
あの巨大な魔女に吸収されてしまった儚い希望の欠片。
目立つ違いはといえば、彼女はワルプルギスの夜のように反転せずに浮かんでいること、そして……。
ヒュアデスの暁「……!ズッ
ほむら「!」サッ
明らかにあの魔法少女、聖カンナに操られているということだ。
恐らく杏子の時と同じで、この魔女を倒さなくてもあの魔法少女さえ倒せば私の勝ちになるのだろう。
カンナ「……」
ヒュアデス「……!」
とはいえ、魔女の頭上に陣取ったあの魔法少女に攻撃する術を私は持たない。
使い魔A「……!」ザシュ
使い魔B「……!」バンッ
使い魔C「……!」ドン
ほむら「……くっ」バンバンバン
現に、使い魔との戦闘で手一杯なのだから。
ヒュアデスの暁「……!」ヒュン
ほむら「まずい!」カチ
308:
強い。
5戦目の私も強かったが、それでもこの魔女に比べればかわいいものだ。
小細工やちょっとした未知の魔法では覆せないほどの、圧倒的な力の差。
使い魔A「……!」ザンッ
ほむら「ぐうっ……!?」ドシャ
使い魔B「……!」バンバン
ほむら「く……!」バンバン
使い魔C「……!」ドン
ほむら「あああああっ!!!」ズシャッ
ヒュアデスの暁「……」キャハハハハハハッ
懐かしくすら感じる。
この絶望的な感覚……。
私はこれをさやかや、マミや、杏子と、乗り越えて……。
乗り越えて?
309:
???「Fort!」
???「Da!」
おかしい。
???「Fort!」
???「Da!」
そんなはずは無い。
???「Fort!」
???「Da!」
現に私は、こうして……。
???「Fort!」
???「Da!」
でも、ともうひとりの私が囁く。
???「Fort!」
???「Da!」
それなら、それは一体、いつのことだった?
???「Fort!」
???「Da!」
まさか、私は……。
???「Fort!」
???「Da!」
ワルプルギスの夜に、勝利していない?
???「「「「「「「Fort!」」」」」」」
???「「「「「「「Da!」」」」」」」
310:
プツンッ。
まどか「モニターが、消えた……?」
さやか「QB、何やってんのよ!早く戻して!」
QB「そんな、そんなはずは……」
マミ「QB?」
QB「だってこれは、この星の人間たちでは読むことすらままならないコードを使って作成された……」
杏子「おい、どうしたってんだよ!?」
QB「プログラムが、書き換えられてゆく……!?」
311:
私の驚愕は終わらない。
突然現れた子供たちが、ヒュアデスの暁を攻撃し始めたのだ。
???「Fort!」
???「Da!」
ヒュアデスの暁「……!?」
カンナ「……!?」
???「Fort!」
???「Da!」
ただの子供じゃない、魔法少女でもない。
なにか、得体のしれないものが、ヒュアデスの暁を追い詰めている。
???「……」ザシュッ
ヒュアデスの暁「……!??」グシャ
???「……」ドンッ
カンナ「……!??」ガクッ
子供たちと最強の魔女の戦いは。
こうして、あっさりと終わってしまったのだった。
312:
vs#########
ステージ:######
313:
QB「修正プログラム……この部分の作動を一度止めて……これで!」
まどか「ついた!直ったよ、QB」
さやか「あれ……さっきと、場所変わってない?」
QB「やられた……!乗っ取られたんだ。ボクは許可を出していない」
杏子「おいQB。ほむらは……大丈夫なんだろうな!?」
QB「この事態はイレギュラーだ。はっきり言って、どうなるかはボクにも予想がつかない」
まどか「そんな……私たち、ここでほむらちゃんを見守ることしか出来ないって言うの!?」
314:
真っ暗な世界。
私の前には、ゆったりと椅子に深く座っている少女がひとり。
ほむら?「……いらっしゃい」
それは、私と全く同じ顔をして、私と全く違う笑い方をする女だった。
ほむら「どういうこと?あなたは誰なの!?」
ほむら?「あら、暁美ほむらよ?気づかなかった?」
にたあ、と嫌な音がしそうな意地の悪い笑みを浮かべる。
その顔は、身体は、肌は、目は、口は。
当り前のように色がついていた。
ほむら「私がそんな答えを求めていないのは分かっているでしょう。ちゃんと質問に答えなさい」
ほむら?「……そうね。今の私は魔法少女ではないの」
そう言って、また口の端を歪めた。
ほむら?「あえて言うなら、そう……」
気取ったように上を向いて、私の方を少しも見ずにこう言った。
悪魔ほむら「悪魔」
315:
今日はここまでです。
やっと悪魔さん出せた……。
317:

まどかSSで胸が熱くなる感覚は久しぶり
318:
乙です
どれくらい黒いのかと思っていたら、顔が判別できないレベルなのか
319:
おつ!
偽街の子供たちかわいい!
321:
対織莉子戦があまりにも説明不足だったので補足しておきます。
4戦目でほむらが戦った美国織莉子・呉キリカは『まどかを暗殺しようとした時間軸の彼女ら』を想定しています。
この時間軸では美国織莉子はオラクルレイのような攻撃は使わず、水晶玉の召喚のみで戦っています。
(本編の織莉子と別編の織莉子は、魔法を制御出来る・出来ないという差があったり、救世の方法についても考え方が異なるなど、かなり違いが多い存在です。そのことを考えると、このときオラクルレイは使えなかったんじゃないかと思います)
4戦目ではこの戦いの再現を一番に考えていたので、織莉子にはオラクルレイを使わせませんでした。
次に、ほむらは初手時間停止で至近距離で銃弾を何発か撃ち込んでいます。
(ソウルジェムを狙ったものも含む)
これに対してキリカは対応する手段を持ちませんが、戦闘開始の瞬間を警戒して未来予知の魔法を使っていた織莉子が、すべての銃弾に対応して水晶玉を召喚することで防御している、ということにしています。
(若干無理があるが流石にそれくらいのハンデはつけないと全員初手で瞬殺されてしまうため)
以上です。
続きは明後日になります。
323:
おつ!
328:
悪魔ほむら「それじゃ、再開するわね」
329:
ほむら「あ、悪魔……?」
驚いたような、呆れたような。
どちらともつかないような声が思わず漏れ出る。
悪魔ほむら「それにしても」
そんな私をよそに、自称悪魔の暁美ほむらは暗闇の中をぶらぶらと歩き回り始めた。
この空間に私など存在していないかのようにひとりごちながら。
悪魔ほむら「珍しい結界ね。……ふうん、現実世界側ではなく、シミュレーターの世界の方が結界の本体になっているのね」
時には納得したように。
悪魔ほむら「記憶改竄もかなり強力なものが施されている……。力を失った女神さまの方はともかく、インキュベーターまで煙に巻くなんて」
時には感心するように。
悪魔ほむら「ねえ、あなたはどう思う?」
自称悪魔が明後日の方向を向いて問いかけると、見覚えのある白い小動物が現れた。
QB「ふむ、ボクとしても興味深いよ。そもそも、平行世界の魔法少女を観測できる時点で他の魔女とは一線を画するほどの力を持っていると言ってもいい。まあ『暁美ほむら』の魔法少女としての力を鑑みればそういうことができても不思議ではないけど」ヒョコ
ほむら「インキュベーター!?」
反射的に銃を構える。
ほむら「やっぱり何か企んでいたのね」ジャキ
331:
悪魔ほむら「勘違いしないでほしいのだけれど、『これ』は私の所有物よ。あなたが考えているものとはまるっきり別物だと思うけれど」
QB「きゅっぷい」
ほむら「……さっきから、あなたが何を言っているのかまるで分からない」
悪魔ほむら「……相変わらず鈍いのね。いいわ、説明してあげる。あっち側で眠っている女神さまの方も叩き起こさなくちゃいけないしね」
例の嫌らしい笑みを浮かべながら、この女は相も変わらず意味深な発言ばかりを繰り返す。
ほむら「それなら、遠慮なく聞かせてもらうわ。……『円環の理』というのは、何?」ジャキ
改めて銃を自称悪魔の方に向け、問いを繰り出す。
悪魔ほむら「……ふふっ、あはははははっ!!」
ほむら「何が可笑しいのかしら?ちゃんと答えないと、次こそは撃つわよ」
悪魔ほむら「ごめんなさいね。あなた達の勝手な思い込みが、随分滑稽に見えていたものだから」
ほむら「この……!」
引き金を引こうとした瞬間、拳銃そのものが消えて無くなってしまった。
ほむら「っ!?」
悪魔ほむら「あなた達、何を勘違いしたのか知らないけれど、円環の理は魔女を使役する悪の集団なんかじゃないわ。それに、そんなに必死になって探さなくても今までずっとあなた達のすぐ隣にいたのに」
ほむら「どういう、ことよ……!」
悪魔ほむら「いいわ、そろそろ起きてもらわないと困るしね。……さあ、そろそろお仕事の時間よ」パン
そう言うと、自称悪魔は小さく手を叩いた。
332:
まどか「っ!?」フラ
さやか「まどか、大丈夫!?」
まどか「ぐうううっ!!!」ズキ
杏子「おい、どうした!」
まどか「頭が、痛い……き、おく……が……!!」ズキズキズキッ
さやか「わかんない、まどかが急に……」
マミ「治癒魔法をかけるわ。美樹さん、手を貸して」
さやか「はいっ!」
まどか「……いい、いらない!」ズキ
さやか「まどか!でもあんた、まだ頭を抱えて……」
まどか「平気。全部、思い出したから……やらなくちゃ、いけないこと……」
マミ「鹿目さん……?」
杏子「おい、まどか!無理すんな!」
まどか「……QB、それ借りるね」
QB「へ?」
シュンッ
マミ「っ!??」
杏子「まどかが、消えた……!?」
333:
ほむら「……何も、起こらないようだけれど」
悪魔ほむら「いいえ。たった今、このとりとめのない茶番劇がようやくクライマックスに向かって動き出した。あなたはそれを認めようとしていないだけ」
ほむら「何を、言って……。っ!?」
急に脳裏を掠める、見たことのないはずの映像。
悪魔ほむら「どんな素晴らしい物語でも、どんな夢のような時間でも、いつか覚めるときは来る。もう記憶は戻り始めているのでしょう?」
ほむら「私の、記憶……」
見たことが無いはずなのに、見たことがあるような、そんな奇妙な感覚。
悪魔ほむら「6戦目、聖カンナと戦ったとき、あなたは何を考えていたのかしら?」
ほむら「私は……。そう、私はワルプルギスの夜に……敵わなかった」
モノクロだった記憶に、徐々に色がついてゆく。
悪魔ほむら「そうよ、あなたひとりの力ではね」
ほむら「そうだ、私は……」
意識が途切れた。
334:
――――――――――――――――――
――――――――――――
―――――――
  ?
  ?
  ?
  ?
  ?
   ―――――――
  ――――――――――――
――――――――――――――――――
335:
ほむら「……っ」ズキ
激痛で目が覚めた。
マミ「暁美さん!」
さやか「ほむら、大丈夫!?」
見渡す限りの廃墟の中、ボロボロになったマミとさやかが私に話しかけている。
ほむら「……ワル……ギ……夜、は……」
言葉を発しようと思っても、喉の奥に血が溜まってしまっているのか、思うように喋ることが出来ない。
杏子「完全に倒すことは出来ないまでも、追い払うことは出来た。アンタのおかげだ。なあほむら、お前がこんなところで死ぬだなんて間違ってるよ!」
さやか「まどかも避難所で待ってる。契約はしてないって。あんたの望んだ結末が叶ったんだよ!だからみんなで帰ろう、ほむら!!」
良かった、私の目的は果たされたようだ。
ほむら「……」
なんとか体を動かして、ソウルジェムを見た。
想像通り、取り返しのつかないほど深い黒に染まっている。
私は笑った。
もう、笑うしかなかった。
336:
マミ「暁美さん!!」
マミは泣いていた。
整った顔を涙や血でぐちゃぐちゃにして、私の名前を一生懸命に呼びながら。
その声に、私はずっと励まされ、慰められ、宥められ、そして導かれてきた。
ほむら「私……もう……助か……ない、から……」
かすれた声を押し出すようにして言葉を発すると、今度はさやかが泣き出した。
さやか「どうしてよ!!あんたのおかげで、あたし……!どれだけ、感謝してると……!!」
感謝しているのは私の方だ。
私の過去を話したとき、今までの警戒しきった態度が何かの間違いに思えるくらい私への協力を惜しまなかったさやか。
口下手な私に代わってマミや杏子と共同戦線を結んでくれたのも彼女だった。
杏子「ふざけんなよ……!あんたが居なくなったら、まどかはどうすんだ!あたしはあいつに無理矢理にでも契約させるからな!『暁美ほむらを生き返らせろ』って!!」
嘘だ。
ずっと自分に自信が無かったまどかを、誰にも見つからないようにこっそりと励ましてくれていたのを私は知っている。
あの日からまどかは『魔法少女じゃなくてもみんなの力になれる』と言ってくれるようになったのだ。
私が死んだ後にまどかが契約しようとしたなら、杏子は引っぱたいてでもそれを止めようとするだろう。
揃いも揃ってお節介ばっかりだ。
結局、私は彼女たちのことを心から信用することは最後まで出来なかったというのに。
まどかがこの場にいないのが唯一心残りではあるが、散々人の命を踏みにじって来た人間の最後としては十分すぎるほど恵まれているに違いない。
ほむら「も……時間が……早く……ソウル……を……」
視界が黒一色に染まった。
337:
意識が闇に呑まれていく中、色々なことを考えた。
もっと彼女たちのことを信じたかった。
彼女たちと一緒に色んなことをやってみたかった。
戦うだけじゃない。
放課後に寄り道して遊んだり、マミの家に集まってくだらない話をしたり。
それに……。
一度は本気で正面からぶつかってみたかった。
私はいつも何かを怖がっていて、自分を出すことも、相手と深く関わることも、無意識に避けようとしてしまっていた。
もしももう一度、チャンスがあれば……。
神様、どうか―――。
338:
ほむら「―――思い出したわ、何もかも」
気づくと、また『結界』の中に戻っていた。
悪魔ほむら「……そう、おめでとう。もうすぐ円環の理があなたを導きにやって来る。そのときまで静かに待っていると良いわ」
ほむら「……いいえ、その必要はないわ」ファサ
私はいつものように長い黒髪を払った。
ほむら「確か、あなたは魔法少女じゃないって言っていたわよね?」
足元から、『黒』が徐々に上ってくるのを感じる。
悪魔ほむら「それが、どうかした?」
ほむら「それなら7戦目の対戦相手の発表が、まだ終わっていないのよね」
『黒』は膝のあたりを越えて、腰の高さまで上ってきている。
悪魔ほむら「あなた、何を……!?」
初めて見た、悪魔の心底驚いた顔。
いい気味だわ。
あなたが何者かは分からないままだけれど、せめてこの茶番劇のクライマックスには付き合ってもらおうと思って、ね。
ほむら「『最強の魔法少女』、私も知らないの。楽しみね」
『黒』が全身を覆い切った。
ほむら「7戦目の対戦相手を発表するわ」
339:
vs鹿目まどか(アルティメット)
ステージ:格闘王の魔女の結界
以下、三人称視点になります。
340:
若干半端ですが今日はここまでです。
明後日また続きを更新します。
遅くなっちゃったけど、まどっちハッピーバースデー!
344:
ゆま「再開するよっ!」
345:
結界が書き換わってゆく。
真っ暗闇だった頭上には青空が広がり、2人のほむらの周りを囲むように石造りの観客席がそびえ立つ。
そして、その観客席は人型の黒いシルエットで埋め尽くされていた。
悪魔ほむら「コロッセオ……ね。それで、あれは使い魔かしら」
まさに、文字通りの闘技場が出来上がった。
そして、悪魔ほむらと対峙するように神々しく現れたのはまさしく『最強の魔法少女』の黒いシルエット。
まど神「……!」
長い髪をなびかせ、弓を携え、突き刺さるような眼差しは真っ直ぐに悪魔を捉えている。
魔女ほむら「やっぱり、まどかなのね」
そう呟いたのは、さっきまで『暁美ほむら』だった魔女。
姿形は魔法少女の時のままでありながら、たった今現れたまどかと同じように全身が真っ黒に染まっている。
そんな彼女は、いつの間にか、まどかの背後にあたる観客席にどっかりと座っていた。
悪魔ほむら「……驚いたわ。あなた、喋れるのね」
魔女ほむら「幸いなことにね。……さあ、7戦目を始めましょう?」
まど神「……!」ギイ
弓を引き絞るのに合わせて宙に魔法陣が浮かぶ。
悪魔ほむら「インキュベーター。逃げなさい、早く」
346:
「「「Verteidigen!!!」」」
まどかの攻撃を防いだのは、あの子供たちだった。
悪魔ほむら「あなた達……!助かったわ、ありがとう」
子供たちは相も変わらずニタニタと気味の悪い笑みを浮かべているが、その顔には僅かに焦りが見て取れる。
悪魔ほむら(たった一撃防ぐのに、魔力の半分以上は持って行かれたみたいね……あの子たちひとりひとりが並みの魔法少女には負けないくらいの強さを持っているはずなんだけど)
まど神「……」
悪魔ほむら(それに……まだまだ本気じゃない。あの子の本気の一撃は、ワルプルギスの夜を一撃で葬り去るどころか、地球を覆うほどの絶望の塊をたった一撃で追い払って見せたほどのもの)
悪魔ほむら(私も世界を書き換えるほどの力を持つとはいえ、それはあくまで彼女の力のほんの一部に過ぎない。私一人じゃ勝てるはずがない)
悪魔ほむら「それなら……」
悪魔が右手の人差し指をまどかの奥に居る魔女に向ける。
悪魔ほむら「これで!」
黒い光線が真っ直ぐに飛んでゆく。
まど神「……」
何の動作も無しに、黒い光線が消滅する。
悪魔ほむら(予想はしていたけれど……ここまで圧倒的だと、笑ってしまうわね)
347:
魔女ほむら「早くも打つ手なし、かしら?」
悪魔ほむら「笑わせないで。陰に隠れて偉そうに吠えているだけのあなたに言われたくないわ」
魔女ほむら「残念だけれど、吠えているのはあなたの方よ。さあ、もっとあなたの力を見せて」
悪魔ほむら「……」
無言で弓を取り出す。
魔女ほむら「へえ、あなたも弓矢なのね」
悪魔ほむら「……」
まど神「……!」
悪魔の弓はゆらめく炎をまとい、まどかの弓は宙に魔法陣を描き始める。
悪魔ほむら(勝負になるとは思えないけど……!!)シュンッ
二本の矢が、というよりも魔力の塊が衝突する。
予想通り、押し負けたのはほむらの矢の方だった。
「「「Verteidigen!!!」」」
子供たちがすかさず防壁を張ったが、爆風を防ぎきることは出来なかった。
348:
悪魔ほむら「ありがとう、あなた達。もう下がっていて」
子供たちは笑うのをやめないまま首を横に振った。
悪魔ほむら「言うことを聞いて。私は大丈夫だから」
魔女ほむら「大した自信ね。その子たちの力を借りても防御することすらままならないの……!?」
???「お待たせ」
魔女が驚いて振り向いた先に居たのは、もう一人の『鹿目まどか』……いや、『円環の理』だった。
悪魔ほむら「遅いわよ」
円環の理「これでも結構急いだんだけ、ど……っ!?」フラ
悪魔ほむら「!」ダキ
円環の理「うぇひひ、ちょっと無理しちゃったかなあ」
悪魔ほむら「しっかりしてよ……。まだラスボス戦が控えているのよ?」
円環の理「……」クラ
悪魔ほむら「ちょ、ちょっと……大丈」
円環の理「……なーんてね。捕まえた」ガシ
悪魔ほむら「あなた、何を……」
円環の理「いっただっきまーす」シュウウ
悪魔ほむら「あ、ちょっと!やめなさい!!」バタバタ
円環の理「よし!さやかちゃん、パース!!」
349:
さやか「っ!?」クラ
杏子「おい!今度はさやかかよ!」ダキ
さやか「……そうだ、あたしは……あの悪魔……円環の……」ブツブツ
マミ「ちょっと美樹さん、大丈夫!?」
さやか「……記憶……まどか……暁美ほむら……倒さなきゃ……」ブツブツ
杏子「おい、さやか!大丈夫か!?」
350:
悪魔ほむら「……やってくれたわね」
円環の理「あなたに言われたくないなって」
悪魔ほむら「美樹さやかの記憶を奪って、どうするつもり?」
円環の理「勿論記憶を取り戻してもらうんだよ。5人揃わないと始まらないでしょ?ピュエラ・マギ・ホーリー・クインテットはさ」
魔女ほむら「……お取込み中のところ悪いけれど、失礼するわね。あなたは、鹿目まどかでは無いのね?」
円環の理「はじめまして、ほむらちゃん。そうだよ、わたしはあなたの知っている『鹿目まどか』じゃない」
悪魔ほむら「この子はあなたの世界とは違う平行世界で契約して魔法少女になった『鹿目まどか』よ」
円環の理「わたしの願いは『過去と未来、全ての魔女を消し去りたい』。その願いを叶えたわたしは『円環の理』という概念になって、ソウルジェムの濁り切った魔法少女達をわたしのところに導いているの」
魔女ほむら「なるほど……。じゃあ、私のことを迎えに来てくれたのかしら?」
円環の理「もちろん!まあ、ほむらちゃんの結界が強力過ぎてわたしもすっかり洗脳されてたんだけど……」
悪魔ほむら「学習しないわね、あなたも」
円環の理「誰のせいだと思ってるの!」
魔女ほむら「円環の理については大体分かったわ。それなら、あなたは結局何者なの?」
351:
円環の理「この悪魔さんはね、わたしの願いが気に入らなくてわたしに逆らったいけない子なの」
悪魔ほむら「自分の信念に従ったまでよ」
円環の理「そのせいでどれだけこっちが大変な目に遭ってるか……。概念としてのわたしの力が弱まって、過去の魔女については消すことが出来なくなっちゃったし、『円環の理』っていう概念が認知すらされなくなってきているし……」
悪魔ほむら「平行世界の私の因果も大変なことになってるしね」
円環の理「本当だよ!魔女化するとき毎回毎回ほむらちゃん毎に違う結界作るし、決まって皆を引き込んで洗脳しようとするし!」
悪魔ほむら「っていうかその度に悪魔の助けを借りてる女神ってどうなのよ」
円環の理「だから元はといえば完全にあなたのせいじゃん!」
悪魔ほむら「まあ落ち着きなさい。この子が置いてけぼり食らってるわ」
円環の理「だから誰のせいだと……!うう、コホン。とにかく、そういうわけだから、ほむらちゃん!わたしと一緒に行こう」
魔女ほむら「ええ、そうね」
円環の理「ほむらちゃん……!」
魔女ほむら「でもその前に、この子を倒してもらおうかしら」
まど神「……!!」ゴゴゴ
円環の理(わたしより強そうなんだけど)
352:
円環の理「じゃあ、こっちも助けを呼ぼうか!」
悪魔ほむら「ちょっと。もしかして彼女たちにも6戦分戦わせるつもりじゃないでしょうね」
円環の理「あっ……」
悪魔ほむら「あなたと違ってここまで来ようと思ったら相当な時間がかかるわよ」
円環の理「そもそもここに来れるかどうかすら怪しいよね」
悪魔ほむら「分かってるじゃない。はぁ……インキュベーター、出て来なさい」
QB「短絡回路の構築なら済んでいるよ」
悪魔ほむら「上出来ね。今すぐ繋いで」
353:
悪魔ほむら「美樹さやか、聞こえるかしら」
さやか『この悪魔!今度は何をするつもりよ!!』
悪魔ほむら「円環の理の手伝いよ」
さやか『は?』
悪魔ほむら『詳しいことはこっちで言うわ。ここまで直通で来れるルートを用意したから、巴マミと佐倉杏子も連れて一緒に来なさい。それじゃ』
さやか『あ、ちょっと!』
354:
さやか「切れた……」
マミ「美樹さん……。私、さっきから何が起こっているのかさっぱりで」
さやか「あたしもそうです。とりあえず、あいつが向こうに呼び出してくれるみたいです」
杏子「なんなんだよ……」
さやか「あ、来ます」
シュンッ
QB「まどかも、さやかも、マミも、杏子も……皆行ってしまったね」
QB「どうしてボクだけが呼ばれないのかな。わけがわからないよ」
356:
さやか「!」
杏子「!」
マミ「!」
悪魔ほむら「……来たわね」
さやか「ちょっとあんた!本当に好き放題やってくれたわね!絶対に許さないんだから!ね、まどか!」
円環の理「……えっとね、さやかちゃん」
さやか「ん?」
円環の理「一応、今はわたしが助けてもらってる立場だから、このほむらちゃんを導き終わってからでいいかな?」
さやか「こんなやつに助けてもらう必要なんてないよ!」
悪魔ほむら「あら、いいのかしら?彼女ひとりだけで『あれ』に勝てるとは思えないのだけれど」
まど神「……」ゴゴゴ
さやか「まどか……!これって、完全な時の……」
円環の理「ごめん!そういうことだから」
魔女ほむら「話は済んだかしら?」
円環の理「さやかちゃん。わたし達はこっちを何とかするから、3人でほむらちゃんをお願い」
さやか「……わかった。その代わり、これが終わったら次はあんたの番だからね!」
悪魔ほむら「勝手にするといいわ」
杏子「さやか……。どういうことなんだ?」
さやか「説明は後で。ねえ、ほむら!」
魔女ほむら「何かしら?」
さやか「あんたの相手はあたし達。文句は無いね?」
魔女ほむら「結構よ。……着いてきなさい」
マミ「美樹さん……」
さやか「マミさん、杏子。2人とも、今はあたしを信じてほしいんだ」
杏子「……しゃーねー、行くか」
さやか「!……うんっ!」
円環の理「さやかちゃん、杏子ちゃん、マミさん……。ほむらちゃんを、お願いします」ボソ
357:
魔女のほむらが先導して、闘技場の階段を下りていく。
魔女ほむら「……」コツ コツ
杏子「なあ、どこまで行くんだよ」
魔女ほむら「闘技場には地下がつきもの……。さあ、ここよ」ガチャ
ほむらが扉を開くと、そこには第二の闘技場が広がっていた。
杏子「!」
マミ「地上のコロッセオの方と比べると、少し狭いかしら……?」
さやか「シンプルでいいね。本当になにもない空間」
さやかの言うとおり、円形の部屋は極めてシンプルなつくりだった。
魔女ほむら「さて、それじゃ。最終決戦を始めましょう」バババ
影さやか「……」
影マミ「……」
影杏子「……」
さやか・マミ・杏子「!?」
魔女ほむら「もうひとりの自分との戦い……王道の展開でしょう?」
影さやか「……!」ジャキ
影マミ「……!」ジャキ
影杏子「……!」ジャキ
魔女ほむら「お手並み拝見と行こうかしら」
358:
魔女のほむらが先導して、闘技場の階段を下りていく。
魔女ほむら「……」コツ コツ
杏子「なあ、どこまで行くんだよ」
魔女ほむら「闘技場には地下がつきもの……。さあ、ここよ」ガチャ
ほむらが扉を開くと、そこには第二の闘技場が広がっていた。
杏子「!」
マミ「地上のコロッセオの方と比べると、少し狭いかしら……?」
さやか「シンプルでいいね。本当になにもない空間」
さやかの言うとおり、円形の部屋は極めてシンプルなつくりだった。
魔女ほむら「さて、それじゃ。最終決戦を始めましょう」バババ
影さやか「……」
影マミ「……」
影杏子「……」
さやか・マミ・杏子「!?」
魔女ほむら「もうひとりの自分との戦い……王道の展開でしょう?」
影さやか「……!」ジャキ
影マミ「……!」ジャキ
影杏子「……!」ジャキ
魔女ほむら「お手並み拝見と行こうかしら」
359:
ここまで!
いよいよラスボス戦です。
続きは明日になります。
365:
円環の理「再開するよー!」
366:
円環の理「……とか言って、格好つけてみたは良いものの……」
まど神「……」
悪魔ほむら「正直、私達二人がかりでも勝てるか怪しいところよね。まあ、あの3人を頼ったところで何の助けにもならないくらいのレベルだから、どっちみち私達で倒すしかないのだけれど」
円環の理「一応確認しておくけど……あれって、魔法少女の『鹿目まどか』だよね?」
悪魔ほむら「ええ。要は私に割かれる以前のあなたね」
円環の理「そんなのを呼び出せるって……」
悪魔ほむら「魔女本人はそこまで強くないのが不幸中の幸いかしらね。まあ、そのお陰で私達が一番しんどい部分を引き受けることになるわけだけれど」
円環の理「さやかちゃん達、うまくやってくれるよね」
悪魔ほむら「あっちは心配しなくていいでしょう。想像以上にあの魔女は魔法少女時代の自我を保っているようよ」
円環の理「そう、なんだ」
悪魔ほむら「どうかした?」
円環の理「ううん。後で話すよ」
悪魔ほむら「そう」
円環の理「それじゃ、そろそろ始めよっか!」
まど神「……!」
367:
魔女ほむら「さあ、やってしまいなさい」
影さやか「……!」ガキンッ
さやか「くっ!」ガキンッ
影マミ「……!」バンッ
マミ「きゃっ!?」サッ
影杏子「……!」ジャキ
杏子「おい、ちょっと待て!!」ドス
魔女ほむら「何かしら?」
杏子「その前にこれはどういうことなのか、ちゃんと説明しろ!」
マミ「あなた……暁美さんなのよね?」
魔女ほむら「そう言えば、あなた達はまだ記憶が戻っていないのね」
さやか「あたしも、記憶は無いまんまだよ。まあ、なんとなく想像はついてるけど」
魔女ほむら「それじゃあ、思い出してもらいましょうか。……これでいいのかしら?」パン
368:
さやか・マミ・杏子「っ!!」クラ
魔女ほむら「うまく行ったようね」
杏子「ああ、思い出したよ」
マミ「どういうこと……?暁美さんは、ソウルジェムが砕けて魔女になったはずじゃ……!!」
魔女ほむら「だから、私がその魔女なのよ」
杏子「っ!?……嘘だ!あんたみたいな魔女が居るわけないだろ!あんたは今、当然のようにあたし達と会話してるし、見た目だって真っ黒になっちまっている以外は、今までと全く同じじゃねーか!」
魔女ほむら「さあ、そういう魔女も居るんじゃない?」
さやか「それは、さっきの悪魔のせいなんだ」
マミ「悪魔?」
さやか「さっきの、もうひとりのほむらのことです。あいつが円環の理を引き裂いたせいで、平行世界のほむらの因果はもうめちゃくちゃ……」
杏子「ますます良くわかんねー……。円環の理って、結局何なんだよ!」
さやか「魔法少女にとっての死後の世界みたいなもの、って言えばいいかな。その主が、平行世界のまどか」
さやか(厳密には違うけど)
さやか「それでついさっき、平行世界で円環の理に居たときのあたしの記憶を返してもらったってわけ」
魔女ほむら「そういうこと。あなたがやけに事情に詳しいのにも納得だわ」
マミ「それじゃあまさか、さっきまで私達と居た鹿目さんって……」
さやか「その通りです。あのまどかはこの世界のまどかじゃない、円環の理なんだ」
杏子「なるほどね……こいつは今から円環の理に連れて行かれるのか」
さやか「そういうこと。魔法少女にとって円環の理は最後の救済、だから……わざわざ抵抗する道理はないはず、なんだけど」
魔女ほむら「魔女が魔法少女と戦うのも、覆しようがないくらいには道理よね」
マミ「暁美さん、あなたを倒すことがあなたの救済になるのなら……」
杏子「ああ、全力でぶっ倒してやるよ」
魔女ほむら「うふふ、やっとその気になってくれたようで嬉しいわ」
369:
マミ「各個撃破で行くわよ!」
杏子「おう!」
さやか「はいっ!」
マミの声を合図に、3人はそれぞれの影に向かい合う。
さやか「あんたは、さっき杏子と戦ってたよね」ジャキ
影さやか「……!」ジャキ
さやか(……やっぱり円環バージョンか。そう簡単には勝たせてくれないね)ガキンッ
マミ「あなたの相手は、私よ!」バンバン
影マミ「……!」シュルルルルルッ
杏子「この世に佐倉杏子はひとりで十分なんだよ!おらっ!」ジャキ
影杏子「……!」ジャキ
370:
悪魔ほむら「これを使うのは、いつ以来かしらね」
左手をかざすと、巨大な弓が現れた。
円環の理「3人とも弓使いって言うのはどうかとおもうけどね……」
同じく、円環の理も弓を取り出した。
まど神「……!!」ビシュンッ
悪魔ほむら「任せて」キイン
円環の理「頼んだよ!」ギイ
本来ならば相反する立場にあるはずの悪魔と女神のコンビネーションは抜群だった。
円環の理「当たって!」ビシュンッ
まど神「……!!」ビシュンッ
悪魔ほむら「押し切られるわ、防御を!」
円環の理「くうっ……!」パアア
悪魔ほむら「食らいなさい!」ビシュンッ
女神が攻めれば悪魔が守り、悪魔が攻めれば女神が守る。
しかし、魔女が召喚した『鹿目まどか』の力は圧倒的だった。
円環の理「概念クラスふたりがかりでも抑えきれないなんて……」
悪魔ほむら「まあ、言ってしまえば彼女は私達の上位概念みたいなものだしね」
円環の理「わたし、死んだらどうなっちゃうんだろ」
悪魔ほむら「ちょっと、弱気にならないでよ!」
371:
悪魔ほむら「来るわ、構えて!」ギイ
まど神「……!!」ビシュンッ
悪魔ほむら「今!」ビシュンッ
円環の理「っ!」ビシュンッ
三人の弓が衝突する。
悪魔ほむら「……っ!!!」キイン
が、またも押し切られてしまった。
円環の理「思いついた」
悪魔ほむら「何?」
円環の理「作戦。やってみる価値はあると思うの」
372:
影マミ「……!!」バンバン
マミ「くっ……!」シュルルルルルッ
マミ(単純な戦闘力だけじゃない。戦略を組み立てる能力や、細かい癖まで全てが再現されている)
マミ「っ……」チラ
さやか「はああああっ!!」
影さやか「……!!」キイン
杏子「おらあっ!」
影杏子「……」ガキン
魔女ほむら「……」
マミ(このままじゃ、暁美さんの魔女と対峙する前に魔力を使い果たしてしまう)
影マミ「……!!」バンバン
マミ(何とか、しなきゃ……!)サッ
373:
杏子(おい、マミ!)
マミ(な、何?)
影杏子「……!」
杏子(あたしを撃て!!)
マミ(ええっ!?)
影マミ「……!」
杏子(いいから、早く!……さやか、頼むぞ)
さやか(任せて!)
マミ「もうっ……。行くわよ!」バンバンバンッ
374:
杏子「!」サッ
まず、射線上にいる杏子が銃弾を回避する。
影杏子「っ!?」サッ
その先に居たのは、影の杏子。
突然の攻撃に若干慌てつつも、回避することで冷静に対処する。
さやか「それっ!!」ビシュ
しかし、真の狙いは別にあった。
さやかが投剣で影のさやかを追い詰めた先、そこには……。
影さやか「っ!??」
突然現れた銃弾が、影のさやかを襲う。
影杏子「!」
杏子「あんたの相手は、あたしだよっ!」ジャキンッ
助けに向かう影の杏子の背を、杏子が捉える。
影マミ「……っ!?」アセ
マミ「隙だらけよ」シュルルルッ
影マミ「!!」
マミ「終わりね」バン
魔女ほむら「……全員、倒したのね」
さやか「……」
杏子「……」
マミ「……」
魔女ほむら「……お見事」パチパチパチ
そう言うと、ほむらの魔女は満足げに拍手を贈った。
375:
今日はここまでです。
かなりごちゃごちゃした話になってしまっていますが、もう少しだけお付き合いください。
明日また続きを書きます。
376:
乙です
378:
キリカ「再開するよ!!」
379:
円環の理「……それじゃあ、作戦通りに!」
悪魔ほむら「了解よ」
まど神「……!!」ギイ
悪魔ほむら「こっちよ!」ビシュン
悪魔ほむら(まずは彼女の注意を円環の理から逸らす……)
まど神「……!!」ビシュンッ
悪魔ほむら「……っ!!」キイン
悪魔ほむら(ひとりで防御する分、魔力の消費は今まで以上……)
円環の理「今っ!」ビシュンッ
まど神「……」
円環の理(簡単に弾かれちゃう……。けど!)
円環の理「もう一回!」ビシュンッ
まど神「……!」ビシュンッ
悪魔ほむら「させない」キイン
円環の理「まだまだ!」ビシュンッ
まど神「……」イラ
悪魔ほむら(円環の理も消耗が激しい……でも、そろそろ)
380:
まど神「……」ギイイイイ
円環の理「来るよ!」ギイ
悪魔ほむら「ええ!」
悪魔ほむら(私が彼女の攻撃を防ぐ間)
円環の理(わたしがちまちまと攻撃。効かないけど)
悪魔ほむら(すべてはこの一瞬のため)
円環の理(相手の最大出力の攻撃に、打ち勝つ!!)
まど神「……!!!!!」ビシュンッ!!!
円環の理「いち」
悪魔ほむら「にの」
円環の理・悪魔ほむら「さんっ!!」ビシュンッ!!!
381:
――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――
―――――――――――
円環の理が提案した作戦というのは、至極単純なものだった。
円環の理「マミさんの3戦目ね、相手が二重人格の魔法少女だったの。二人の魔法は、熱と冷気。正反対の性質を持っていた」
悪魔ほむら「……」
円環の理「その二人が魔法を同時に打ち出す技を使ってて……それが凄く強力だったの。マミさんのティロ・フィナーレが押し負けるくらい」
悪魔ほむら「それは、強いわね」
円環の理「神様のわたしと、悪魔のあなた。わたし達なら、きっと同じことが出来るはず。純粋な魔力の大きさで負けていても、打ち勝てる見込みがある」
悪魔ほむら「……やってみる価値はあるわね」
円環の理「タイミングが重要だから、気を付けて。少しでもずれたら、威力は大幅に落ちちゃうはず。いちにの、さんで」
悪魔ほむら「分かったわ」
382:
円環の理「やった……!?」グッ
悪魔ほむら「それ言ったらダメな奴でしょうに」
爆風が晴れた先、そこには。
まど神「……」
相変わらず最強の魔法少女が佇んでいた。
まど神「……っ」グラ
円環の理「でも、効いてるよ!」
悪魔ほむら「ええ……。もうひと押しってところね」
まど神「……!!」ビシュンッ
悪魔ほむら(とはいえ)キインッ
円環の理(わたし達も、残りの魔力はあと僅か……)ビシュンッ
まど神「……!!」ビシュンッ
悪魔ほむら(次の一撃で仕留められなければ)パアア
円環の理(わたし達の負け、だね)ビシュンッ
383:
悪魔ほむら(さっきの攻撃……ほぼ完璧だったけれど、まだ、ほんの少しだけタイミングにズレがある)
悪魔ほむら(あのタイミングじゃきっと仕留められない。何とかしないと……)
まど神「……」ビシュンッ!
悪魔ほむら「っ!?しまった……!」
偽街の子供達「……Verteidigen!!!」
突然現れた子供たちが、最後の魔力を振り絞って矢の攻撃を防ぐ。
悪魔ほむら「あなた達……隠れてって、言ったのに!どうして……」
偽街の子供達「……Italienisch」ニヤニヤ
悪魔ほむら「それよ!!」
まど神「……」ギイイイイイ
悪魔ほむら「提案があるわ」
円環の理「今!?次の大きな攻撃が来るよ!??」
384:
円環の理「……ああもうっ!分かったよ!!」ギイッ
悪魔ほむら「さあ、行くわよ……!」ギイッ
まど神「……!!!!!」ビシュンッ!!!!!
偽街の子供達「Tiro!!!!!」
偽街の子供たちが一斉に手を挙げる。
悪魔ほむら「!」コクン
円環の理「!」コクン
悪魔ほむら・円環の理「フィナーレえええええ!!!!!」ビシュンッッッ!!!!!!!
385:
まど神「―――っ!!!???」ズシャアアアアッ!!!
悪魔ほむら(お願い……!)
円環の理(もう、倒れて……!!)
まど神「……!!!」ユラ
派手に倒れた魔法少女が、その身を起こした。
悪魔ほむら「そんなっ……!?」
円環の理「っ!!」パアア
まど神「……」フラ
悪魔ほむら「!」
まど神「……」シュウウウウ
一瞬、ぼろぼろになった身体を傾けた後、ついに最強の魔法少女が静かに消滅する。
悪魔ほむら「……はあああああ」フラ
円環の理「今度こそ、やったね……」フラ
確かに自分たちが勝利したことを確認した悪魔と女神が同時に倒れる。
悪魔ほむら「どうなることかと思った……」
円環の理「神様も悪魔もまとめて吹き飛ばされちゃうところだったね……」
悪魔ほむら「まさか最後の最後で巴マミに助けてもらうことになるとはね」
円環の理「本人居ないけどね」ウェヒヒ
386:
円環の理「今回も……ありがとう。おかげで助かったよ」
悪魔ほむら「別に……私はやりたいようにやっているだけよ」
円環の理「でも、やっぱり言わせて。もう限界だよ」
悪魔ほむら「……」
円環の理「あなた、どうやってこの結界に侵入したの?」
悪魔ほむら「まともな方法ではとても侵入できる状態では無かったわ。佐倉杏子や巴マミの相手が円環の理の使者だったでしょう。あのとき私のいる世界を参照していたから、そこから無理矢理通路をこじ開けて……」
QB「そう。この魔女は逐一他の平行世界を参照してその魔法少女のコピーを創り出す。彼女がボク達の世界を参照した時を見計らって、なんとか結界の内側に入り込んだのさ」
円環の理「インキュベーター……。そう、あなたが」
悪魔ほむら「もしこの魔女が百江なぎさや美樹さやかを呼び出してくれなかったら、本当に私が入ることは出来なかったかもね」
円環の理「平行世界の観測に、強力な洗脳、自らが招かざる者の侵入を決して許さないほどの硬い結界。そして、自分の力を遥かに上回る魔法少女の召喚。勿論、魔女自身もかなり強いけど……」
悪魔ほむら「……」
円環の理「さっきも言ったけど、いくら平行世界のほむらちゃんの因果が大きくなったからって、こんなに強い魔女は今まで居なかった。分かってるでしょ?世界のバランスが大きく崩れ始めてるって。今回は魔女が魔法少女時代の自我を強く持っていたから、何とか生き延びられたけど、次はどうなるか……」
387:
悪魔ほむら「あら、女神さまは随分弱気なのね」
円環の理「気づいてるくせに。わたしの力だけじゃなくて、あなたの力もだんだん弱まっていってること」
悪魔ほむら「!」
円環の理「あなたが引き裂いた人間の『わたし』も、本当に守り切れる?」
悪魔ほむら「黙りなさい……!」
円環の理「嫌だよ、だって」
悪魔ほむら「黙れ!!!」
円環の理「……」
悪魔ほむら「……あなたは、『鹿目まどか』なんかじゃない。あなたはただの概念に過ぎないのよ。魔法少女を導くシステム、ただそれだけよ」
円環の理「……」
悪魔ほむら「もう、帰るわ。後はあなたの仕事でしょう?さようなら、円環の理」
QB「あ、待ってよ!」
偽街の子供達「L?gner!!」ゲシッ
QB「え!?」
シュンッ
円環の理「……ほむらちゃん」
388:
QB「……まどか。いや、『円環の理』と呼んだ方がいいのかな」
円環の理「QB。あなた本当に置いてかれちゃったんだね」
QB「まあ、よくあることだよ。どうせ、向こうに代わりがいるしね」
円環の理「ふーん……」
QB「ひとつ、質問があるんだ。キミは人間の時の記憶から引きはがされた『鹿目まどか』だろう?」
円環の理「うん」
QB「それなら、どうして別人のふりをしているんだい?」
円環の理「……やだなあ、意味が分からないよ」
QB「意図的に『鹿目まどか』の時とは異質な魔力を放出しているね?喋り方も何だか無理があったように見えたし……何より」
円環の理「やめてよ」ウル
QB「悪魔の暁美ほむらに対して、たったの一度だって名前を呼ばなかったじゃないか」
円環の理「やめて……!」ポロポロ
389:
QB「暁美ほむらは、キミに対して少なからず罪悪感を抱いているはずだ。だって、本来裂くことの出来ない『鹿目まどか』という存在にわざわざ区切り目を作って、引き裂いてしまったんだからね」
円環の理「違うの。わたしは、『円環の理』じゃなきゃいけないの……」ポロポロ
QB「??わけがわからないよ。まどかはまどかだ。だいたい、人間の時の記憶だけ中途半端に奪われたって、ベースになる性格がまるごと失われるわけじゃない」
QB「キミが堂々と『鹿目まどか』であることを主張すれば、ほむらだって自分の過ちから目を背けることは出来なくなるだろうに」
円環の理「それ、は……」ポロポロ
QB「はあ。やっぱり人間の感情は理解できそうにないよ。それじゃ、ボクはマミ達のところに行くから」
円環の理「う、ううううううっ……!!」ポロポロ
円環の理(ほむらちゃんは、『わたし』のことを『鹿目まどか』じゃないって思い込むことで、何とか自分を保とうとしてる)
円環の理(ほむらちゃんが救いたかったのは人間の『鹿目まどか』だけだし、実際にほむらちゃんが救えるのも人間の『鹿目まどか』だけ……)
円環の理(でもね、わたしもちゃんと『鹿目まどか』なんだよ?ほむらちゃん、それに気づいたらきっと悲しむだろうから、ずっと言えないままだけど……)
円環の理(神様失格だなあ、わたし。……ほむらちゃんの友達としても、神様としても、どっちも中途半端にしかなれなくて、そんなわたしは)
円環の理「うええええええんっ、ほむらちゃああああああんっ……!!!」ポロポロ
円環の理(とっても悲しい気持ちになって、声をあげて泣いてしまったのでした)
390:
魔女ほむら「……コルノ・フォルテ」パア
杏子「ちっ、今度は召喚魔法かよ……!」
さやか「あんたの能力、想像以上に厄介、だねっ!!」ズバア
魔女ほむら「今なら分かるわ。4戦目や5戦目で私の知らない魔法が発動されたのは、魔女としての力が目覚め始めていたからなのね」
マミ「ティロ・フィナーレ!!」バンッ
魔女ほむら「リーミティ・エステールニ」バン
マミ「互角、だなんて……!」
魔女ほむら「うふふっ。まさか、他の魔法少女達の技が使えるようになるとはね」
さやか「とりゃあっ!」ズバ
魔女ほむら「カピターノ・ポテンザ」キイン
さやか「今度は身体硬化……!」
魔女ほむら「まだよ……。コル!」
コルノ・フォルテ「……!!」
さやか「さっきの……牛っ!?」
杏子「おらあ!」ズシャ
コルノ・フォルテ「……っ!?」ズシャ
さやか「サンキュ!」
杏子「なあ、さやか……。さっき、あんた自分が円環の理に居たって言ったよな」
さやか「え?う、うん」
杏子「お前、死んじまってたのか」
さやか「まあね。……別の世界の話だけど」
杏子「ここでは、死ぬなよ。お前ひとり死んじまうだなんて、あたしが絶対に許さない」
さやか「……うんっ」
杏子「よし。……そんじゃ、まずはこいつを倒さないとな!」
さやか「うんっ!!」
391:
魔女ほむら「プロルン・ガーレ」パキパキ
マミ「指からミサイル!?」
杏子・さやか「そりゃっ!」キインッ
魔女ほむら「うふふっ」バサアッ
杏子「あれは!」
さやか「さっきの……翼!?」
魔女ほむら「やっぱり、これが馴染むわね」ギイ
マミ「さっきの……リボンの暁美さんだわ!」
魔女ほむら「さあ、行くわよ!」ビシュンッ
杏子「結界っ!」キインッ
マミ「佐倉さんっ!」
杏子「……まずいな。あの威力の攻撃を連発されたら、かなりきついぞ」
さやか「しかも空中戦となると……あたしと杏子じゃあ」
マミ「問題ないわ」シュルルルルルッ
マミのリボンが空中に足場を創り出す。
さやか「さっすがマミさん!」
杏子「……器用だよなあ、ホント」
392:
勿論、それに対してほむらが対抗する手を持っていないはずがない。
魔女ほむら「アヴィーソ・デルスティオーネ」ボボッ
ほむらの周りに炎が現れ、ゆっくりと回転する。
マミ「あれは、私が戦ったときの……!!」
魔女ほむら「セコンダ・スタジオーネ」
炎がリボンの橋を襲う。
さやか「オクタヴィア!!」
さやかが自らの胸を突き刺し、叫んだ。
人魚の魔女「……!!」
人魚の魔女が炎の前に立ちはだかる。
杏子「ナイス、さやか!!行くぜっ!!」ジャキ
橋から飛んだ杏子が魔女のほむらに槍を突き出す。
魔女ほむら「っ!」ガキンッ
杏子「剣で受け止めたか……!」
393:
魔女ほむら「もっと、もっとよ……!!ファンタズマ・ビスビーリオ」
マミ「っ!?」バンバンバン
不意にマミが銃を召喚し、そのまま杏子とさやかに向かって発砲する。
さやか「ちょ、マミさんっ!?」
杏子「おい、何やってんだ!」
マミ「くっ……!!」シュルルルルルッ
魔女ほむら「自分の腕をリボンで抑えるとはね……。それじゃ、ティロ・フィナー」
さやか「させるかあっ!!」ズバッ
魔女ほむら「度低下」ギュンッ
さやか「!?」
魔女ほむら「これでも、食らいなさいっ!!」ブオン
さやか「が、はっ……!?」バキ
ハンマーの一撃がさやかを襲う。
杏子「てんめえっ!!」ブンッ
魔女ほむら「……」ガガガガガ
杏子の一撃をかわしたほむらが、注射器型のガトリングを発砲する。
杏子「ぐっ……!?」バンッ
394:
魔女ほむら「期待外れね」バサッ
ほむらはそう言って、空中から魔法少女達を見下ろした。
マミ「……強い」
さやか「でも、負けられない……!!」
杏子「聞き分けの悪いこいつを、まどかのところに届けてやるまではなあ!」
魔女ほむら「……ラ・ベスティア」
杏子「げえ!あのクマ人形か!」
マミ「任せて!」シュルルルルッ
さやか「いっけえ!」ザシュ
マミがクマ人形達の動きを止めたところを、さやかが一気に薙ぎ払う。
魔女ほむら「……ピエトラディ・トゥオーノ!!」
さやか「!」
ヨーヨーのような電撃がさやかを襲う。
さやか「……っ!」
さやかは強く地面を蹴って、その電撃に自ら突っ込んでゆく。
魔女ほむら「っ!?」
さやか「これでも、食らええええっ!!!」ザシュ
魔女ほむら「うっ……!??」ズシャ
395:
マミ「……今!」バン
魔女ほむら「っ!?」バン
墜落するほむらを狙ってマミがさらに一撃。
杏子「おりゃあっ!」ブンッ
魔女ほむら「っ!!」バサッ
杏子の追撃は避けられたものの、ほむらにかなりのダメージが溜まっているのは明らかだった。
さやか「形勢逆転かなー?」
魔女ほむら「さやか……さっきのは」
さやか「いやあ、千歳ゆまちゃんのを見習ってね。多用は禁物だけど便利だよね、痛覚遮断」
魔女ほむら「!」
まるで成り立ての魔法少女のような無茶な特攻だが、だからこそほむらにダメージを与えることが出来たのだ。
しかも、さやかの剣は一時的に雷を纏い、より強力な武器と化していた。
結果的にほむらの放った電撃を利用されたことになる。
魔女ほむら(それに、奇襲にさえ成功すればマミや杏子が追加でダメージを与えてくれることは計算していた……!)
魔女ほむら「だったら、私も……」パアア
ほむらがゆまの回復魔法を使用する。
マミ「!させないっ」バンバンバン
3発の銃弾は、全て突然ほむらの前に現れた水晶玉に弾かれた。
マミ「予知していたわね……!!」
魔女ほむら「当然でしょう?これでまた逆転よ」
396:
魔女ほむら「……」ギイ
杏子「また、弓かよ!」
マミ「待って、さっきと様子が違うわ」
魔女ほむら「その通り」バシュンッ!
ほむらが打ち上げた一本の矢が、無数の矢となって部屋中に降り注ぐ。
さやか「これは、まどかの……!」
マミ「守り……切れないっ!!」
杏子「マミ!」キインッ
戦況は依然、ほむらが圧倒的に優勢なまま。
魔女と化したほむらの多彩な戦術の前に、さやか達は窮地に立たされている。
さやか(それなのに……)
魔女ほむら「――!!」プププププ
今度はラッパから泡が噴き出す。
マミ「その攻撃なら、効かないわ!」バンバンバン
さやか(今、この戦いを楽しんでいるあたしがいる)
銃弾が全ての泡を弾けさせる。
その隙にほむらに近づいたのは杏子だった。
杏子「今度こそ!」ブンッ
魔女ほむら「っ!?」ザシュ
さやか(そして、それはあたしだけじゃない)
さやか「はああああっ!!!」ザシュ
魔女ほむら「!!」ガキンッ
杏子(あれは、ほむら自身の……!)
マミ(まさか、あんな小さな盾で美樹さんの攻撃を防いでしまうなんて……!)
魔女ほむら「逃がさない!」シュルルルルルルッ
マミ「今度は、私の……!」
杏子「させるかっ!」ズバッ
ほむらが繰り出したリボンを、杏子の槍が切り裂いた。
さやか(杏子も、マミさんも……それに、誰よりも)
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