ヤムチャ「プーアル! プロレス団体から俺にオファーが来たぞ!」【後半】back

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体から俺にオファーが来たぞ!」【後半】


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リュウ「ベガ、 行くぞっ!」
実況「さぁ、 リュウが構えたっ! 気合十分だぁっ!」
ベガ「フン、雑魚め……来るがよい……」
実況「一方、ベガは余裕の表情っ! 腕組みをしたまま、構える事なくリュウに対しますっ!」
リュウ「……その余裕の表情がいつまで持つかな? いくぞ、うおおおぉぉっ!」ダッ
実況「さぁ、先に仕掛けたのはリュウ! ロープに走ったぁっ!」
ベガ「……来るがよいっ!」
実況「そして、ここでようやくベガも構えたっ! ロープの反動をつけて返ってくるリュウを迎え撃つ!」
リュウ「うおおぉぉっ! ショルダータックルだああぁぁっ!」ドスッ
ベガ「……ぬぅんっ!」
521 :
実況「さぁ! ロープの反動をつけたリュウのショルダータックルっ! だが、ベガこれを耐えますっ!」
リュウ「タックル勝負だっ! ベガ、次は貴様が来いっ!」
ベガ「面白い……その勝負、受けてやろう……」
実況「さぁ、次はリュウがベガを誘いますっ! そして……ベガがロープに走ったぁっ!」
ベガ「行くぞ、リュウっ! うおおぉぉぉっ!」
リュウ「……来いっ!」
ベガ「ショルダータックルだああぁぁっ!」ドスッ
リュウ「……うるあぁっ!」
実況「さぁ、お次はベガのショルダータックルがリュウに炸裂っ! だが、リュウこれを耐えますっ!」
リュウ「そんなもんかぁっ! 全然効いてねぇぞっ!」
ベガ「……ほぅ」
リュウー! イケー!
522 :
リュウ「ベガっ! 行くぞっ!」
ベガ「面白いっ! 受けてやろうっ!」
実況「おっと、ここで、今度は両者、ロープへと走ったっ!」
リュウ「うおおぉぉぉっ!」
ベガ「……ぬおおおぉぉぉっ!」
実況「そしてそしてそして……両者がロープの反動をつけての……!」
リュウ「おらあああぁぁぁっ!」ガシーンッ
ベガ「……うおおおぉぉぉっ!」ガシーンッ
実況「ショルダータックルのぶつかり合いだぁっ! リングの中央で両者が激しくぶつかり合うっ!」
524 :
リュウ「全然効かねぇなっ! ベガっ!」
ベガ「それはこっちの台詞だ! 小童が!」
実況「さぁ、リュウが吠えるっ! ベガも吠えるっ! 両者が激しく火花を散らしているっ!」
ワー、ワーワー
リュウ「よし、ベガ……いくぞっ! 本番はこれからだっ!」
ベガ「受けてやる……来いっ……!」
実況「さぁ、ここで両者が組み合ったぁ! ここから、どういった攻防を見せるのか!?」
525 :
リュウ「おらっ!」
ベガ「ぬんっ……! 甘いっ……!」クルッ
リュウ「……何っ!?」
実況「さぁ、ベガがリュウの背後をとったぞ!?」
ベガ「……よし、このまま」
リュウ「そうはさせるかっ……! おらぁっ!」クルッ
ベガ「……何っ?」
元「……いやリュウ君、冷静です。上手く切り返して、背後を取り返しましたね?」
実況「おっと、今度はリュウが、ベガの背後を取り返したっ!」
リュウ「このまま、投げてやるっ……! 行くぞっ!」
ベガ「……フン」
リュウ「……うおおおぉぉっ!」
実況「さぁ! リュウがバックドロップを仕掛けたぁっ!」
526 :
ベガ「……ぬぅんっ!」クルッ
リュウ「……な、何だと!?」
実況「おぉ?っと、これは驚きですっ! なんと、ベガがバク宙をして、リュウのバックドロップから逃れましたぁ!」
オー! ベガ、スゲー!
元「リュウ君の投げるタイミングに合わせて、自らバク宙をして逃れたんだね……やっぱり、あの人凄いね」
リュウ「な、なんて奴だ……」
ベガ「……いつまでも、地べたに這いずっているんじゃないよ」
リュウ「……何?」
ベガ「フンっ!」
527 :
リュウ「……ぐっ!」
実況「おっと、ここで体勢が崩れているリュウに対して、スタンディングのスライディングキック!」
元「……バックドロップで体勢が崩れてたからね。あのタイミングであんな攻撃されちゃ、どうしようもないよ」
実況「さぁ、リュウにダメージを与え……次にベガは何を仕掛けるか!? んっ……?」
ブー、ブーブー
リュウ「ううっ、くそっ……んっ……?」
ベガ「……フフ」スゥー
実況「おぉ?っと、ここでベガは挑発をしていますっ! ゆっくりと、首を掻っ切るポーズをして、リュウを挑発しておりますっ!」
元「あんな事しちゃダメだよ……いっぱい、お客さんもいるのに……」
実況「場内からは大ブーイングっ! ベガは完全に舐め切っていますっ!」
529 :
リュウ「……舐めやがって」ワナワナ
ベガ「舐められるのは弱いからだ。 私が本気を出せば、お前など、ものの5秒で終わってしまうからな……」
リュウ「うおおぉぉっ! ふざけるなぁっ! ベガっ!」
ベガ「……んっ?」
実況「おっと、おっと! リュウが怒ったぁっ! ベガに仕掛けますっ!」
リュウ「空手軍団の力を見せてやるっ! はっ、たっ! でぇやぁっ!」
ベガ「ぬ……? おっと……ぐっ……!」
実況「さぁ、リュウの蹴り蹴り蹴りィ! リュウの怒りの蹴りが、ベガに襲いかかりますっ!」
元「ベガ君の挑発で、リュウ君、怒っちゃったみたいだね? 余計な事、しちゃったんじゃないかな?」
530 :
リュウ「はぁっ!」
ベガ「お、おっとっ……!」
リュウ「だぁっ!」
ベガ「ぬ……ぐおっ……!」
リュウ「……だああぁぁぁっ!」
ベガ「……ぐ、ぐがっ!」
実況「さぁさぁ! リュウの蹴りがベガに突き刺さるっ!」
リュウ「よしっ! 行くぞっ!」
ベガ「……何っ!?」
リュウ「うおおおぉぉぉっ! 昇竜拳っ!」ドゴォッ
ベガ「……ぐがっ!」
実況「さぁ、決まったぁっ! 昇竜拳だぁっ! ベガ、ダーウンっ!」
元「いいの決まったと思いますよ? このまま決めちゃいましょう」
実況「お、おっと……ここで、ベガ場外へとエスケープしますっ!」
532 :
ベガ「くそ……少し、遊びすぎたようだな……」ヨロヨロ
サガット「ベガ様、大丈夫ですかっ!?」
バルログ「あの醜い餓鬼め……私達のベガ様に……」
ベガ「いや、大丈夫だ……お前達はコーナーに待機しておいてよい……」
実況「さぁ、シャドルー軍団も慌てて、ベガの元へ駆け寄りますっ!」
リュウ「おいっ、 ベガっ! 何をしている!? とっととリングに上がって来いっ!」
ダン「……お?い、そうだぞ。勝負はリングの上でしやがれ。リングの上でよぉ?」
ベガ「そう言うな……いいのをもらったんだ……少し、休ませろ……」ウロウロ
実況「おぉ?っと、ベガ……ここで、少し長い間をとっていますねぇ?」
元「う?ん、いいの入ったと思ったのに……勿体無いねぇ?」
533 :
ベガ「……」ウロウロ
リュウ「おい、ベガっ! いつまで、休んでいる! とっととこっちに上がれっ!」
ベガ「……そういうな。もう少し、休憩だ」
リュウ「くそっ……こいつ、何やってやがる……」
ケン「おいっ! レフェリー! もう、場外カウントとっちまえよっ! あいつ、戻ってこねぇぞ!?」
ダン「おう、そうだな……よしっ! 1……! 2……!」
実況「さぁ、ここでなかなかリングに上がらないベガに対して、場外カウントが取られますっ! 20カウント以内に戻って来なければ、ベガは反則負けですっ!」
ベガ「……」ウロウロ
実況「おっと、だが、ベガ……焦る素ぶりすら見せていないっ! これはどうした事だ!?」
元「……何、考えているんでしょう?」
535 :
ダン「3……! 4……!」
ベガ「……おい、バイソン」
バイソン「ベガ様、どうしましたか?」
実況「おっと、ここでベガが場外にいるバイソンに近づいたぞ!?」
元「……うわぁ、何かやってますね」
ベガ「……」ヒソヒソ
バイソン「あっ、はい……なるほど……そういう作戦ですね……」
実況「おっと、ここで、ベガがリュウを指差し、バイソンに何か指示しているっ! 指示をしているぞ!?」
元「……何する気なんだろうね。ちょっと、怖いね」
リュウ「……」
536 :
ダン「6……! 7……!」
ベガ「……」ウロウロ
実況「さぁ、ここで、ベガはバイソンとは反対側のリングサイドに回ります!」
元「リュウ君から見たら……正面にベガ君……そして背後には、バイソン君がいる形になりますね……」
実況「これ、何か、狙っているんじゃありませんかねぇ?」
元「……そうかもねぇ?」
ケン「おい、レフェリー! 今、あいつ、バイソンに何か指示してやがったぞ! バイソンを止めろよ!?」
ダン「ちょ、ちょっと待てよ……今、場外カウントとってんだからよぉ!? 8……! 9……!」
537 :
実況「さぁ、カウントが進んできましたが……」
リュウ「……くっ」チラッ
バイソン「へへ……」ニヤニヤ
実況「リュウは仕切りにバイソンを気にしている様子! 何時も振り返り、バイソンの動きも警戒します!」
元「……まぁ、そりゃ、今も仕掛けてきそうな雰囲気だからねぇ」
ダン「10……! 11……!」
ベガ「……フフ」
実況「おっと! 一方、場外にいるベガは、腕組みをして余裕の表情だっ!」
元「20カウント以内にリングインしないと負けになっちゃうのはベガ君だけど……ベガ君が動くタイミングで、恐らくバイソン君も動いてくるからね……」
実況「えぇ、そうでしょうね。なんせ先程、指示してましたからね……」
元「逆を言えば……20カウントに達する前の何処かで……必ず仕掛けてくるって事だよ……これじゃあ、どっちが不利なのかわからないね?」
538 :
リュウ「……くっ!」チラッ
バイソン「……へへ」
リュウ「……くそっ!」チラッ
ベガ「……フフ」
実況「確かに! リュウはベガとバイソンの動きをかなり警戒しています! 交互に両者の動向を確認していますっ!」
元「……ああいうのって、結構神経使うんですよ」
ダン「12……! 13……!」
リュウ「……くっ!」チラッ
バイソン「……へへ」
リュウ「……くそっ!」チラッ
ベガ「……フフ」
実況「さぁ! ベガはまだ、戻らないっ! どのタイミングで仕掛けてくるのかっ!?」
539 :
ダン「14……! 15……!」
リュウ「……くそっ」チラッ
バイソン「……へへ」
ベガ「……今だっ!」スッ
実況「おぉ?っと、ベガが動いたっ! ベガが動いたっ! 素早い動きでリングインっ!」
元「危ないっ! リュウ君、バイソンの方、警戒してるよ!?」
ケン「おいっ、リュウ! 来たぞっ! ベガが動いたぞっ!」
リュウ「……何!?」
ベガ「フ、作戦勝ちだな……おらっ、ダブルニープレスっ!」ガスッ
リュウ「……ぐあっ!」
実況「おぉ?っと、ここでベガの奇襲攻撃っ! 一瞬の隙をついてのダブルニープレスだっ! 早い早いっ!
540 :
リュウ「……ぐっ!」
ベガ「バイソンに気を取られすぎたな……おらぁっ!」ドゴォッ
リュウ「……ぐああぁっ」
実況「さぁ、ここで、フットスタンプっ! 高い高いジャンプをしてからの踏みつけだぁ!」
ケン「くそっ……! レフェリーっ! だから、バイソン止めろって言っただろがっ!」
ダン「おいっ! そうだぞ、バイソン! おめぇ、余計な事すんなってさっき言ったよなぁ!?」
ベガ「よし……スリーパーホールドで、呼吸を止めてやろう……苦しむがいい……」ググッ
リュウ「ううっ……ぐっ……」
実況「そして、ベガのスリーパーホールド! リュウの喉元を締め付けますっ!」
542 :
バイソン「ダンさん、違うんっすよ! 俺は何もしてませんよ!?」
ダン「……あぁ!?」
バイソン「ベガ様は、俺に『会場内にトンボがいる』って教えてくれただけなんすよ!?」
ダン「おめぇ、なんか指示されてたよなぁ!? リュウに指示してたよなぁ!?」
バイソン「だから、リュウの近くにトンボがいたんですよ! 本当ですよ!」
ダン「……おめぇなぁ?」
ベガ「フン、リュウ……死ね……」ググッ
リュウ「ガッ……ガガッ……!」
実況「おっと、元さん? ベガのスリーパーホールド……ちょっとチョークの様な形じゃありませんかね?」
元「あっ! あれ、チョークだよ! 何やってんの、反則だよ!」
543 :
ダン「おめぇ、さっき何もすんなって言ったよなっ!?」
バイソン「だから、何にもしてないですって!? 勝手にあいつが勘違いしてただけですって!」
ダン「おめぇはもう、退場にして……」
ケン「おい、レフェリーっ! そんなバカと話すんな! ベガがチョークしてるぞ!? あのスリーパー、チョークだおい!」
ダン「……えっ?」
ベガ「フフ……どうだ……? 苦しいかな……?」ググッ
リュウ「ガッ……ガガッ……」
ダン「おい、 ベガっ! 何やってやがるっ! それ、反則じゃねぇかっ! やめろおい!」
実況「おっと、ここでレフェリーが気づきました! ベガを必死に制してます」
ダン「や?め?ろって! 離せよ! オイっ!」グイグイ
ベガ「まだ、大丈夫だって……後、5秒……5秒だけ……」
リュウ「ガッ……ガガッ……」
544 :
ダン「いい加減にしやがれっ!」
ベガ「……わかったよ。やめてやるよ、ホレ」
リュウ「……うっ、ううっ」
実況「さぁ、ここでようやく、ベガが技を解きます」
ダン「普通に試合をしろっ! 普通によぉ!?」
ベガ「そうだな……正々堂々と試合をしよう……ほら、リュウ君、立ちなよ……」
リュウ「……く、くそっ」ヨロッ
実況「さぁ、リュウも立ち上がりましたが……これは、少しキツそうですねぇ?」
元「そうだね……反則攻撃で随分、苦しめられたからねぇ」
552 :
ケン「……おい、新入り?」
ヤムチャ「……はい?」
ケン「そろそろ、リュウ助けに行く準備しようか?」
ヤムチャ「えっと……どうしたら、いいんですか? 俺、もうずっとここに待機してろってバルログさん達に言われてるんですけど……」
ケン「……バーカ、別に何もしなくていいよ。 この試合は後は、リュウとベガに任せるから」
ヤムチャ「……へ?」
ケン「この試合はリュウが負けるんだけどよぉ? その間、俺達が何もせずに待機してるのは、おかしいだろ?」
ヤムチャ「……はい」
ケン「だから、リュウを助けに行こうとして……失敗した……なんて、やり取りを作っておく必要があるの」
ヤムチャ「え?っと……難しそうですねぇ……?」
ケン「リングの中に入る振りだけでいいよ。後は何とかしてもらうから」
ヤムチャ「……へ?」
ケン「俺のタイミングに合わせて、ロープをまたいで……そこで止まれ。絶対に動くんじゃねぇぞ?」
ヤムチャ「あっ、はい……わかりました……」
553 :
ベガ「フンっ! フンっ! はぁっ!」ガスガス
リュウ「うっ……!」
実況「さぁ、少しベガが押しているでしょうか? リュウ、防戦一方です」
元「やっぱり、さっきのスリーパーでスタミナ奪われちゃったからねぇ……」
実況「流石、ベガと言った所でしょうか? いやぁ?、汚い手段が上手い上手いっ!」
ベガ「……ぬぅんっ!」
リュウ「……くっ!」
実況「おぉ?っと! ベガが掴んだぞ!? 何を仕掛けるのかぁ!?」
554 :
ベガ「……はぁっ!」ドーシンッ
リュウ「……ぐっ!」
実況「出たぁ?! 高ブレーンバスターっ! 素早い動きで、リュウを投げますっ!」
ベガ「フッ……よし、貴様の足を壊してやろう……」
リュウ「……くっ」
実況「さぁ、そしてベガがリュウの足を掴んだぞっ! 何を仕掛けるのかぁ!?」
元「……おそらく、足4の字固めでしょうかね?」
ケン「よし、ここだっ! 行くぞっ!」
ヤムチャ「……は、はいっ!」
実況「おっと! ここで、ケンとヤムチャが動きました! そうはさせないと、リュウを救出に向かいます!」
元「リュウ君、今ピンチだからね……早め早めの行動の方がいいよね」
556 :
バイソン「ヘイヘイっ! お前ら、何をしてんだよぉっ!」
ケン「……止まれっ!」
ヤムチャ「……んっ?」ピタッ
バイソン「おいおい! レフェリー、よく見てくれよっ! 試合権利のない奴がリングに入ろうとしてるぞオイっ!」
実況「おぉ?っと、バイソンが何やら、レフェリーに言っている模様ですっ!」
バイソン「ヘイヘイっ! これ、反則じゃねぇのか!? レフェリー、ちゃんと仕事してくれよ!」
ダン「お、おぅ……確かにそうだな……ケン、ヤムチャ! そこで、止まれ! お前達は試合権を持ってねぇだろが!」
ケン「おいおい、待てよ! これはカットだよ! 何で、止めるんだよ!?」
実況「おぉ?っと、ここでレフェリーが、ケンとヤムチャの二人を制します!」
557 :
ダン「ケン……よく見ろ。まだ、ベガは技をかけていない……」
ケン「……あぁ?」
ベガ「……」ピタッ
リュウ「……ううっ」
実況「さぁ、ベガもコーナーの二人が気になっている様子……リュウの足を捉えたまま、動けませんっ!」
ダン「カットなら、大目に見てやるが……ベガはまだ、技をかけてはいない……ここでのリングインは、認められないぞ?」
ケン「もう、技かける直前じゃねぇかっ!? よく、見てみろよ、 アレ!」
ダン「……よく見るのはお前だ。ベガはリュウの足をとっているだけだ。まだ、技はかけていない」
ベガ「レフェリー……そいつらを、しっかり抑えておいてくれよ? 私も安心して、技に入れないからな……」
実況「さぁ、これではベガも動けないかっ!? なかなか、技に入る事ができませんっ!」
558 :
ケン「ほら、自分で言っているじゃねぇか! 技、かけるってよぉ!?」
ダン「だったら、技がかかってから、入れ。 そうしたら、リングインを認めてやる」
ケン「かかってダメージ食らってからじゃ、遅ぇだろがっ! とっととリングインさせろっ!」
バイソン「ヘイヘイ! レフェリーさ?んっ! こいつ、退場にしちゃった方がいいんじゃねぇの??」
ケン「うるせぇっ! バイソンっ! お前は黙ってろっ!」
バイソン「あぁっ!? 何だ、喧嘩売ってんのか!? よし、降りてこいっ! やってやるよ!」
ダン「バイソンっ! おめぇは余計な事を言うなっ! ケン、お前もだっ! 煽るな!」
実況「さぁさぁ……コーナーにいるケンが、少しヒートアップしているようです」
元「なぁ?んか、バイソン君が煽ってるからね……」
ベガ「……フッ」スッ
リュウ「……うっ」
実況「おっと、ベガがリュウの足から、手を伸ばし素早く起こしたっ!」
元「あれ……? 4の字固めにいかなかったね?」
559 :
実況「そして、そのまま、自軍コーナーの方に振り投げたぁっ!」
リュウ「……ぐっ!」
ベガ「……行くぞっ!」
実況「リュウを自軍コーナーに貼り付け……そして、そのままベガが走ってきたぁっ!」
リュウ「!」
ベガ「うおおおっ!」ゴスッ
リュウ「……ぐあっ!」
実況「出たぁ?! セカンドロープを踏み台にしての、シャイニングウィザードっ! 強烈な膝をリュウの側頭部に叩きこむっ!」
560 :
ベガ「サガット! バルログっ!」
サガット「……了解」グイッ
バルログ「フッ……わかりました……」グイッ
リュウ「……何っ!?」
実況「おっと、ここでサガットとバルログがリュウの腕と首を掴んだっ!」
元「あら……サガット君達がいる事を計算して、自軍コーナーの方に投げたんだね……」
ベガ「これはこれは……なかなか素敵なサンドバックの完成じゃないか……なぁ、リュウ?」
リュウ「……く、くそっ」
ベガ「何発耐えれるかな……? 行くぞっ! リュウっ!」
リュウ「!」
562 :
バイソン「ケン、 降りてこいよっ! 勝負すんぞっ! おいっ!」
ダン「バイソンいい加減にしろぉ! お前は大人しくするって、さっき言っただろが!」
バイソン「こいつが喧嘩売ってきたんすよ!? 悪いのはこいつじゃないっすかっ!?」
ケン「喧嘩を売ってきたのはおめぇだろがっ! ん……?」
ダン「いいからいいから……とにかく、二人共落ち着けって……」
バイソン「いいや、収まりつかねぇっすよ! ダンさん、俺にこいつとやらせて下さいよっ!」
ケン「おい、レフェリーっ! こいつの事はもういいっ! それより、後ろだっ! 後ろを見ろっ!」
ダン「……んっ?」クルッ
564 :
ベガ「ハハハっ! 素敵なサンドバッグだな、オイっ!」ガスガス
リュウ「ぐっ……ぐっ……」
サガット「ベガ様、次は俺にやらせて下さいよ。こいつ、なかなか蹴りがいがありそうです」
バルログ「サガットの次は私にやらせて下さい。私も痛めつけてみたいです」
ダン「な、何やってやがるんだ……あいつら……」
バイソン「ヘイヘイ、ダンさん! 俺にケンとやらせて下さいよ! ねぇねぇ、許可下さいよ?」
ダン「バイソン、おめぇ、しつけぇぞっ!
ケン「おいっ! こんな奴に構ってんじゃねぇよ! とにかく、あいつらを止めやがれっ!」
ダン「お、おう……そうだな……」
実況「さぁ! コーナーで、ケンとバイソンに気を取られていたレフェリーがようやく気づいたぁ! シャドルーの反則攻撃を止めに、対角線のコーナーへと向かいますっ!」
元「も?う、チンタラチンタラ……レフェリー、もっと早く走りなさいっ!」
ダン「おいっ、お前ら何やってんだよ! 聞いてんのかっ! やめろってっ!」
565 :
ベガ「ハハハ、どうだっ! もう、お終いか、リュウ!」ガスガス
リュウ「……ぐぐっ」
ダン「いい加減にしろぉっ!」グイッ
実況「さぁ、今レフェリーが、身体を張って、ベガとリュウの間に割って入り、制止します」
元「でも、レフェリーも大変だよねぇ? あんな、怖そうな人を止めなきゃいけないんだからさぁ?」
ダン「お前ら、いい加減にしろよっ! 反則負けにしてやろうか、あぁっ!?」
ベガ「わかったわかった……やめてやるから……反則負けは勘弁してくれ……」
ダン「だったら、ちゃんと試合をしろぉ! わかったなっ!?」
ベガ「まぁ、こいつはもう、虫の息だ……反則など使わなくても、もう十分だろう……」
リュウ「うっ……ううっ……」ヨロヨロ
ベガ「よし、とどめにするか……なぁ、リュウ?」
566 :
実況「さぁ、ベガが……リュウをリングの中央運んで……ロープに振ったぁっ!」
リュウ「……ぐっ!」
ベガ「……とどめは、勿論この技だ」
実況「そして、ベガも反対側のロープへ走り……これは、来るのかぁ!?」
元「……サイコクラッシャーアタック狙ってますね」
ベガ「とどめだ、 死ねっ! サイコクラッシャーっ!」ゴオオォォォッ
実況「出たああぁぁぁっ! サイコクラッシャーアタックっ!」
リュウ「……やはり、決め技はそれでくるだろうと思ってたぞ。 読んでたぞ、ベガっ!」
元「いやっ……! リュウ君、何かしようとしてますよ!?」
567 :
ベガ「……何っ!?」
リュウ「うおおおぉぉっ! 昇竜拳っ!」ガスッ
ベガ「ぐがっ……こいつ、何処にそんな力がまだ残っていたというのだ……」
実況「おぉっと! 昇竜拳だ、昇竜拳っ! リュウがサイコクラッシャーアタックと昇竜拳で返したっ!」
元「走り込んで、勢いつけてからの昇竜拳ですよ、昇竜拳。しかも、カウンター気味に決まりましたし……これ、いいですよ!?」
実況「さぁ、ベガ、ダーウンっ! リング上で大の字ですっ!」
リュウ「……うおおおぉぉっ! 空手軍団の力を見せてやるぞ、ベガっ!」
オー! リュウー! イケー!
実況「さぁ、リュウが吠えたっ! リュウはまだまだ死んではいないっ!」
568 :
リュウ「よしっ……! 起きろ、ベガっ!」
ベガ「……ううっ」ヨロヨロ
実況「さぁ、リュウがベガを引き起こし……! どうするどうする!?」
リュウ「……うおおおぉっ」グイッ
ベガ「……ぬっ」
実況「そして、持ち上げたぁ! これはブレーンバスターだっ!」
リュウ「うおおおっ……おらああぁぁっ!」ドーンッ
ベガ「……ぐがっ!」
オー! イイゾー! リュウー!
実況「さぁ、長い長いタメ作っての……垂直落下式ブレーンバスターっ! ベガの脳天がマットへと突き刺さるっ!」
元「いいですよ、ここまま決めちゃいましょう」
569 :
リュウ「次はミサイル竜巻旋風脚だっ! 行くぞっ!」
実況「おっと、これはミサイル竜巻旋風脚を狙っているのか!? リュウはコーナーポストへと昇ります」
サガット「……野郎、やらせるかっ!」
バルログ「えぇ! ベガ様を助けましょうっ!」
ケン「ヘイヘイ、レフェリーっ! あいつら、邪魔しようとしてるぞ!? あれ、ルール違反なんじゃねぇの!?」
サガット「……ケンっ!」
バルログ「余計な事を……」
ダン「サガット、バルログっ! お前ら試合権持ってないよなぁ!? だったら、タッチがされるまでは、そこで待機だ!」
サガット「ちょっと、待てよ……じゃあ、ここで黙ってベガ様がやられるのを見てって事か!?」
バルログ「ダンさんっ! ここまま黙って見てろって言うんですか!?」
ダン「フォールが入ったら、カットに行ってもいい。もしくは、関節技を仕掛けられたらだ! それまでは、そこで大人しくしておけっ!」
570 :
実況「さぁ、シャドルー二人をレフェリーが抑えています。 そして、リュウはコーナーポストでじっと待ち……」
ベガ「うっ……ううっ……」ヨロヨロ
リュウ「……」
ベガ「くっ、少し、いいのをもらってしまったようだな……」
リュウ「……」
ベガ「くっ、それより、リュウは何処に行ったんだ……? リング上に……いないではないか……?」キョロキョロ
サガット「ベガ様、後ろですっ!」
バルログ「コーナーポストの上ですっ!」
ベガ「後ろ……コーナーポスト……? ま、まさか……!?」クルッ
リュウ「……うおおおぉぉっ!」
実況「さぁ! リュウが飛んだぁっ!」
リュウ「ミサイル竜巻旋風脚だあぁぁっ!」ズガッ
ベガ「……ぐ、ぐわあああぁぁっ!」
572 :
リュウ「よし、フォールだっ! レフェリー行くぞっ!」
ダン「よし、きた!」
実況「さぁ、リュウがフォールに行こうとしますっ!」
サガット「させるか、この野郎っ!」
バルログ「ベガ様、今行きますっ……!」
実況「だが、ここでシャドルーの二人もリングインだっ! カットに走ります」
ケン「おい、リングに入れっ! 俺の真似してるだけでいいからよぉ」
ヤムチャ「えっ……あっ、はい……わかりました……」
実況「おっと、だがここでケンとヤムチャもリングインっ! カットさせないようにと、シャドルーを妨害します!」
573 :
サガット「おい、ケンっ! そこをどけっ!」
ケン「うるせぇ、行かせるかよっ! ヤムチャ、お前はバルログを止めやがれっ!」
バルログ「くっ、ベガ様……今、行きますっ……!」
ヤムチャ「お、おっと……!」
実況「さぁ、空手軍団が、身体張ってシャドルーを止めますっ! そして、ここでカウントが入ったぁっ!」
ダン「ワンッ……!」
オー! イイゾー!カラテグンダンー!
ダン「ツー……!」
ソノママ、キメチマエー!
ダン「……スリ」
ベガ「……ぬ、ぬぅんっ!」グッ
574 :
リュウ「……何っ!?」
ベガ「うっ……くっ、危なかったな……」
ダン「カウントはツーだっ! カウントツーだぞ、おいっ!」
実況「おぉ?っと、カウントツー! 2.98でしょうかぁ!? 寸前の所で、ベガが返しましたっ!」
ザワ……ザワ……
実況「ベガの底力に、場内がザワついておりますっ!」
ベガ「よし……おい、サガット、バルログ……早く、下がれ。コーナー待機していろ……」
サガット「……しかし、ベガ様」
バルログ「大丈夫なのですか!?」
ベガ「そこに、お前達いたら交代出来んだろうが! すぐにコーナーに戻るから……交代の準備をしておけ……」ヨロヨロ
実況「しかし何とか、返したベガも、大ダメージを受けている模様! かなり、フラついております」
元「……ここを逃さず、リュウ君が仕留められるかでしょうね」
580 :
実況「さぁさぁ、両軍、コーナーに引き下がり……リング上には、リュウとベガの二人、ですがっ……!」
ベガ「くっ……ううっ……」フラフラ
リュウ「……ここがチャンスだ。交代させる隙を与えずに、ベガを仕留めるっ!」
実況「か?なり、ベガはダメージを受けている模様っ! フラついておりますっ!」
元「リュウ君の大技ラッシュをくらってしまいましたからね……これ、ベガ君も危ういんじゃないですか?」
サガット「ベガ様、こっちですっ! 俺に交代して下さいっ!」
バルログ「私も出る準備は出来ていますっ! ベガ様っ!」
ベガ「よ、よし……サガット、お前に交代するとしよう……」フラフラ
581 :
リュウ「……逃してたまるかっ! はぁっ!」
ベガ「……何っ!?」
リュウ「はぁっ! たぁっ! でぇやぁっ!」ガスガス
ベガ「ぬっ……くっ、くそっ……!」
実況「さぁさぁ、リュウの蹴りのラッシュだっ!」
元「ここで、サガット君達に交代されちゃマズいからね。一気に攻めちゃわないと」
リュウ「はぁっ! だあぁっ! うおおぉぉっ!」ガスガス
ベガ「くっ……サガット……! もう、少しだというのに……」
リュウ「……サガット達には近づけない! 吹っ飛ばしてやるっ!」
ベガ「……何っ!?」
リュウ「うおおぉぉっ! 竜巻旋風脚っ!」ズガアァァッ
ベガ「ぐ、ぐわああぁぁっ!」
実況「ここで竜巻旋風脚だぁぁっ! ベガを吹き飛ばすっ!」
583 :
ベガ「……ぐっ!」
リュウ「起きろ、ベガっ! これでとどめにしてやるっ!」
ベガ「うっ、ううっ……」フラフラ
実況「さぁ、ダウンしたベガを引き起こし、リュウが背後をとったぁっ! ここで、決めてしまうのかっ!?」
元「……ドラゴンスープレックスですかね?」
ベガ「ぐっ、くそっ……! 投げられはせんっ……! 投げられはせんぞっ……!」
リュウ「しぶとい奴め……だが、これで終わりだっ……!」
ベガ「くっ……! ぬぅおぉぉっ……!」
実況「さぁ、ベガも必死に堪えますっ! 行け、リュウ! ドラゴンスープレックスを決めてしまえっ!」
585 :
ベガ「このままでは、投げられてしまう……こうなったらっ……!」
リュウ「……うおおぉぉっ!」
ベガ「……ふんっ!」ガスッ
リュウ「!」
実況「おぉ?っと、なんという事だぁっ! ここで急所蹴りです! 背後をとっているリュウの股間を、ベガが蹴り上げましたぁっ!」
元「リュウ君が投げる為に踏ん張れば、どうしても大股を開く事になるからね……でも、よく狙えたもんだね」
ベガ「くっ、手こずらせやがって……」
リュウ「うっ、ぐぐっ……ベガ……卑怯だぞ……」ブルブル
実況「さぁ、これは苦しいっ! 男としては苦しい攻撃だぁ! リュウもかなり苦しんでいますっ!」
587 :
ダン「おい、ベガ……? お前、今リュウの股間を蹴ったよなぁ!?」
ベガ「知るかぁっ! 勝てばいいのだ、勝てばっ!」
ダン「おめぇ、開き直りかよ……あのなぁ!?」
ベガ「サガット、ここで決めるぞっ! 行けっ!」
サガット「わかりましたっ!」
ケン「……サガットが来るぞ? わかってんな?」
ヤムチャ「……了解です」
サガット「うおおおぉぉっ!」
実況「さぁ、ここで分担作戦ですっ! サガットが、コーナーにいる二人を襲い、場外へと落としますっ!」
588 :
ダン「おぉ……えらく、派手に落ちたなぁ? お?い、ケン大丈夫かぁ??」
ベガ「バイソン、お前もだっ! 私を助けてくれっ!」
バイソン「うっすっ!」
実況「おぉ?っと、おぉ?と! ここで、バイソンがコーナーポストに昇ったぁっ!」
元「やっぱり……バイソン君、動いてきたね……」
バイソン「へへ、よ?し……今から、バイソン様のダイビングヘッドバッドでリュウの野郎を……」
リュウ「バイソン……お前、卑怯だぞ……」ブルブル
ブー、ブーブー
実況「場内からは大ブーイングだぁっ! 引っ込め、この歯抜け野郎引っ込んだ! なんて、お客さんの声が聞こえるような気がしますっ!」
589 :
ダン「ブーイング……? って、おいっ! なんで、バイソンがそんな所にいるんだよぉ!」
バイソン「おらあぁぁっ! リュウ、死にやがれえぇぇっ!」ドーンッ
リュウ「……ぐっ!」
実況「なぁ?んという事だっ! 試合に参加していないバイソンが、リュウにダイビングヘッドバッドを仕掛けましたぁ!」
バイソン「ベガ様っ! 俺は場外の二人を抑えておきますっ! だから、こいつを始末して下さいっ!」
ダン「おい、バイソンっ! おめぇ、何やって……」
バイソン「うおおぉぉっ! ケンもヤムチャも、ぶち殺してやるぜぇぇっ!」
実況「さぁ、バイソンはリング外に出て、大人しく……いや、違うっ……! 違うぞっ!」
元「うわっ……場外のケン君と、ヤムチャ君を襲いに行ったみたいだね……」
590 :
ダン「おい、ベガっ! おめぇら、何やってやがる!?」
ベガ「すまない、レフェリー……間違えてしまった……」
ダン「……あぁ!?」
ベガ「私はバルログに、助けてくれと指示をするつもりだったのだが……間違えて、バイソンの名前を呼んでしまったようだ……」
ダン「……はぁ!?」
ベガ「ほら、バルログに……バイソン……お互い、頭文字が『バ』で似ている名前だとは、思わないかね?」
ダン「何でそんな間違いをしちまうんだよぉっ! おめぇはバカかっ!」
ベガ「今、バイソンは勘違いしている……申し訳ないが、バイソンを止めてきてもらいたい……」
ダン「……おめぇはなぁ!?」
ベガ「……ほら、ヤムチャが襲われているぞ? これは、大変な事態だ」
ダン「……あぁ?」
591 :
バイソン「オラオラ、ヤムチャっ! こっちに来やがれっ……!」
ヤムチャ「痛ぇ、髪、引っ張んなって……! 何処連れて行く気なんだよ……」
バイソン「お客さんに……おめぇのやられっぷりを……見てもらうんだよ……」
ヤムチャ「……えっ?」
実況「さぁ、場外ではケン対サガット! そして、ヤムチャ対バイソン! ……おっと、バイソンがヤムチャを鉄柵の外に連れ出しているぞ?」
元「ちょっと、ちょっと……何処、連れて行く気なの……? お客さん、危ないよ?」
バイソン「……場外でボディスラムするから、大袈裟に痛がってね?」ボソッ
ヤムチャ「……へ?」
ダン「お、おいっ……! バイソン、何やってやがる……お客さんが、危ねえじゃねぇか、あんな所行ったら……」
ベガ「……レフェリー、悪いが行ってもらえないか? お客さんが怪我でもしたら、大変だ」
ダン「ちくしょうっ……! 何やってんだ、あのバカは……手間取らせやがって……!」
593 :
バイソン「おら、 死ねっ! ヤムチャ!」グッ
ヤムチャ「う、うおぉぉっ!」
実況「おぉ?っと! バイソンが、場外でヤムチャを担ぎ上げたぁっ! まさか、あそこで投げるのか!?」
元「ダメだよ、あそこで投げちゃ……マットも引いてないし……ただの硬い床だよ!?」
バイソン「おらああぁぁっ!」ゴスッ
ヤムチャ「……ガッ!」
ブー、ブーブー
バイソン「ハハハ! なぁ?に、言ってやがる! お前ら、こんな目の前で、投げ技見れたんだぞ!? どうだ、迫力あっただろ!?」
ヤムチャー! ダイジョウブー?
ヤムチャ(ダ、ダメ……ここ、床が硬い……マジで、これ痛い……)
594 :
バイソン「おいおいっ! ブーイングばかりだなぁ! シャドルーファンはいねぇのかぁ? どっかにいねぇのかよ?」
ブー、ブーブー
バイソン「おっ? なんだ、なんだ? シャドルーTシャツ着てるお客さんが目の前にいるじゃねぇか!? おめぇは、センスあるなぁ、おいっ!」
男「うっす! 自分はシャドルーファンっす!」
バイソン「よ?し! じゃあ、兄ちゃんの為に……もう一発、レスラーの投げって奴を見せてやろうかな!?」
ヤムチャ(えっ……? 嘘っ……? もう一回、俺投げられるの!?)
男「うっすっ! 見たいっす! よろしくお願いします!」
バイソン「よ?し! じゃあ、兄ちゃんのリクエストに応えて、もう一発投げをプレゼントだっ!」
ブー、ブーブー
ヤムチャ(ダメだよ、バイソンさん……! ここで、もう一発は絶対ダメだって!)
595 :
ダン「おい、バイソンっ! おめぇ、何してんだよぉっ!」
オイ、ダン! ハヤク、コイツヲトメロ!
ヤムチャ(おっ……ダンさんが来たぞ……? こりゃ、天の助けかな?)
ダン「おめぇ、こんな所で暴れてんじゃねぇよ!」
バイソン「何、言ってんすか……お客さんリクエストっすよ。リクエスト」
ダン「やるなら、リングの中でやれやっ! そもそも、おめぇは今日の試合に参加してねぇだろっ!」
バイソン「いやぁ……それは、ベガ様から、指示があったから……」
ダン「あのなぁ……? どうやら、ベガは……」
オーイ! レフェリー! リングミロー!
ダン「……ん?」クルッ
596 :
バルログ「ベガ様、パイプ椅子を持って来ましたよ……さぁ、これを使って、こいつをやってしまいましょう」
ベガ「御苦労……しかし、よく二つも持って来れたな……」
バルログ「えぇ、丁度目の前にシャドルーTシャツを着たカップルがいましたのでね……お借りさせていただきましたよ……」
ベガ「どうせ、強引にぶん取ってきたのだろう……まぁ、いい。ファンサービスってヤツだ……」
実況「おぉ?っと、バルログがパイプ椅子をリング上に持ち込んでいるぞぉ!?」
元「ちょっとちょっと……あんなもの使っちゃ、危ないよ……」
バルログ「では……リュウ、覚悟はいいですか……?」
ベガ「……とどめを刺してやる」
リュウ「……くそっ
597 :
バルログ「……ヒャオっ!」ガスッ
リュウ「……うっ!」
ベガ「……フンッ!」ゴスッ
リュウ「ガッ……!」
実況「さぁさぁ! リュウ上では、リュウがパイプ椅子攻撃で滅多打ちだっ!」
元「……酷い事するねぇ」
ベガ「……バルログっ! スイングDDTを仕掛けろっ! 狙いは勿論ここだっ!」コロン
バルログ「なるほど……よし、行きますよ……ヒャオッ!」ドーンッ
リュウ「……グッ!」
実況「さぁ、リングに上にパイプ椅子を敷いてのスイングDDT! リュウの頭が、硬い硬いパイプ椅子に突き刺さりますっ!」
ダン「あいつら……リングで何やってやがる……くそっ……!」
598 :
ベガ「……フンッ!」グッ
リュウ「……ぐっ!」
実況「さぁ、そしてベガのフットスタンプ!」
元「ダウンしてるリュウ君の下にはパイプ椅子があるんでしょ? あれは痛いよ……」
実況「……おっと、ここでようやく、レフェリー戻ってきたか!?」
ダン「おいっ! 何してやがるっ! こんなもん、使うんじゃねぇよ!」
実況「今、レフェリーが、パイプ椅子をリングの外に、やってますねぇ……」
元「……あんなもの、リング上にあっちゃいけないからねぇ」
ベガ「ナイスタイミングで戻って来たな、レフェリーよ……これから、私の決め技でこいつにとどめを刺す……」
ダン「……あぁ?」
ベガ「……しっかり、カウントをとってくれよ?」
ダン「おめぇらなぁ……」
600 :
バルログ「……ヒャオッ!」
リュウ「……グッ!」
ベガ「……フンっ!」
実況「さぁ、バルログがリュウをロープに振ったぁ! そして、ベガも走ったぁっ!」
ベガ「……とどめだ」
リュウ「く、くそっ……」
ベガ「うおおぉぉっ! サイコクラッシャーっ!」ゴオオオォォォ
リュウ「……ぐわあああぁぁっ!」
実況「決まったぁ?! サイコクラッシャーアタックっ! そして、ベガがフォールに入りますっ!」
ベガ「どうした、レフェリー!? カウントだっ!」
ダン「……」
バルログ「何をしているのです!? カウントを取りなさい!」
601 :
ダン「チッ……! ワンっ……!」
実況「そして、ここでレフェリーがカウントを取りますっ!」
サガット「おらおらっ!」
ケン「……ぐっ!」
ダン「……ツーっ!」
バルログ「オラオラァっ!」
ヤムチャ(痛ぇって……まだ、背中が痛いんだよ……)
実況「ケンとヤムチャは、場外でサガットとバイソンに捕まっている! これでは助けに行けませんっ!」
ダン「……スリーっ!」
実況「そして、ここでスリーカウントっ! 試合が決まってしまったぁっ!」
606 :
ベガ「これで、私達の勝ちだ……」
ブー、ブーブー
実況「さぁ、勝利したのはシャドルー軍団のベガですが……場内からは大ブーイングでございますっ!」
元「……そりゃねぇ」
ベガ「フン、勝てばいいのだよ、勝てば……オイっ! サガット、バイソンっ!」
サガット「おっ、どうやらベガ様が勝ったみたいだな……じゃあ、ケン、そろそろ勘弁してやるよ……」
ケン「……ぐぐっ」
バイソン「おめぇも、助かったなぁ? えぇ?」
ヤムチャ(なんだよなんだよ……今日はマジで痛かったぞ、おい……)
608 :
実況「さぁ! ここで、リング上に、シャドルーが大集結っ!」
ベガ「……フッ」
サガット「これがシャドルーの力だっ! 次はザンギエフをぶち殺してやるっ!」
バルログ「フッ……美しい我々を褒め称えなさい……」
バイソン「おらっ、 男ってのはなぁ! 顔が良けりゃあ、いいってもんなんじゃねぇんだよぉっ!」
ブー、ブーブー
実況「さぁ、だがしかし、大ブーイングだ! 大ブーイングっ! シャドルーの勝利にお客さんも納得のいかない様子です!」
ベガ「いつまで経ってもわからん客達だ……まぁ、いい。そろそろ退場するとしようか……」
609 :
実況「さぁ! 今、大ブーイングの中、シャドルー軍団が退場しております!」
ブー、ブーブー
サガット「うるせぇ、おいっ! どっちが勝ったか、一目瞭然だろうが!?」
バルログ「うるさい方達ですねぇ……」
バイソン「おいっ! 何か、文句あんのか、この野郎っ! この試合は俺達の勝ちだ! 俺達のよぉ!」
ブー、ブーブー
ベガ「もうよい……行くぞ……」
リュウ「おい、待て! シャドルー!」
ベガ「……ん?」
実況「おぉ?っと! ここでリュウがマイクを握ったぞ! リング上から、シャドルーに向かって吠えたぁ!」
610 :
リュウ「……こんな物で、空手軍団が終わってと思うなよ?」
ベガ「……ふむ」
キャー!リュウー!
リュウ「汚い手段ばかり、使いやがって……」
ベガ「……騙される方が間抜けなのだ」
リュウ「お前……本当は、俺達が怖いんじゃないのか……?」
ベガ「……何?」
オー! リュウー!
リュウ「俺達と正々堂々と戦う事が怖いから……そんな、汚い手段ばかり、使っているんだろ? なぁ、ベガ?」
ベガ「……」
リュウ「正々堂々と来いよっ! まだ、俺は戦えるぞ、オイッ! ほら、もう一本勝負だ! こっちにこいよっ!」
実況「おぉ?っと! ここで、リュウが誘っていますっ!」
611 :
観客「おぉ?い、 ベガ?! 戦ってやれよ?!」
ベガ「……ふむ」
リュウ「どうしたぁっ! ベガ、かかってこいよ!」
実況「さぁ、ベガっ……! どうする……!?」
ベガ「……フッ」スーゥ
リュウ「……ぬっ?」
実況「おぉ?っと! ここで、ベガが首を掻っ切るポーズして……」
ベガ「フッ……サガット、バルログ、バイソン……退場するぞ……」
サガット「……そうですね」
バルログ「……フッ」
バイソン「負け犬の遠吠えなんかに付き合う程、こっちは暇じゃねぇんだっての!」
実況「おぉ?っと! ここで、シャドルー軍団はリュウに構わず、退場しますっ! ベガはリュウの挑発をあっさり、受け流したぁ!」
613 :
リュウ「……くそっ!」
ケン「気にするな、リュウ……次のチャンスを待てばいい……」
ヤムチャ(え?っと……俺も何か言った方がいいのかねぇ……?)
実況「さぁ、ここでリング上に、ケンとヤムチャも合流! おっと……ケンがマイクを握ったか……?」
ケン「皆、聞いてくれっ!」
オー! オー、オー!
ケン「シャドルーのボスって言ってもよぉ……? なぁ?んて事はねぇ、ただの反則野郎じゃねぇか!」
オー! ソウダソウダー!
ケン「あんな奴……次の試合では、必ずぶっ飛ばしてやるぜっ! だから、次の試合を待っててくれっ! 次は必ず、勝つ!」
オー! イイゾー!
ケン「俺達の力は皆が一番よく知ってるはずだっ! なぁ、そうだろ、皆!?」
ワー、ワーワー!
実況「さぁ、ここでケンのマイクアピール! シャドルーへのリベンジを、お客さんの前で、誓いましたっ!」
614 :
ケン「よし、そろそろ、退場するぞ……」
ヤムチャ「……あっ、はい」
リュウ「……くそっ!」
実況「さぁ、ここで空手軍団も退場します!」
元「でも、リュウ君……ちょっと納得いってないみたいだねぇ……?」
実況「……ん?」
ケン「次は必ず勝つ! 約束するぜっ!」
ケーン! ガンバレー!
ヤムチャ「あっ……自分も頑張ります……」
オメェ、アノ、ヒッサツワザツカエヨー! ナニ、ヤッテンダー!
リュウ「くそっ……ベガの奴め……」
リュウ、ドンマーイ! キニシナイデネー!
実況「おっと、そうですね……やはり、かなりベガに苛立った物を感じているんでしょうか?」
元「……まぁ、そうかもしれないね」
実況「という事は……これからの、空手軍団とシャドルーの抗争から目が離せない事になりそうですね!? さぁ、という事で、第五試合の中継はこの辺りで、お別れしたいと思います!」
615 :
ーーー
プーアル「ヤムチャ様、お疲れ様でした!」
ヤムチャ「おう……プーアル、今日は疲れたよ……」
プーアル「何、言ってるんですか? 働いたのは最初の5分だけでしょう?」
ヤムチャ「あのなぁ……? バイソンさんにやられて大変だったんだぞ? 見てなかったのかよ?」
プーアル「えぇ……? そんな所、ありましたっけ……?」
リュウ「……ったく、なんで俺が負け役なんだよ。こいつにやらせろよ、こいつに」
ケン「……まぁまぁ、いいじゃねぇか? これで、ベガとの因縁が出来ただろ。次、挑戦できるって」
リュウ「……くそっ、おいっ! 新入りっ!」
ヤムチャ「……ん?」
616 :
リュウ「おめぇ、もっと足引っ張れよ!」
ヤムチャ「……えっ?」
リュウ「おめぇが足を引っ張らねぇと、俺が弱ぇ奴に思われんだろが、バカが!」
ヤムチャ「えっ……いや、俺……今日はちゃんとしたと思うんですけど……」
リュウ「生意気な事言ってんじゃねぇよ! おめぇは俺達の踏み台って事、わかってんのか!?」
ヤムチャ「えっと……なんか、すいません……」
リュウ「……こいつ、使えねぇよ。なんだよ、こいつ。もっと、足引っ張れっての」
ケン「まぁ、今日はあの技使わなかったし……まだ、マシだったんじゃねぇの?」
リュウ「当たり前だよっ! あの技、使ったら、ぶっ殺すに決まってんだろがっ!」
ケン「まぁまぁ……とりあえず、飲みに行こうぜ? 試合は終わったんだからよぉ?」
リュウ「そうだな……ったく、次からはもっと、足引っ張れ! このバカ!」
ヤムチャ「あっ……すんません……」
617 :
プーアル「なぁ?んか、あの二人……感じ悪いですよねぇ……?」
ヤムチャ「……そうだよねぇ」
プーアル「サガットさん達とは、大違いです」
ヤムチャ「……俺も、あっちのチームに入りたかったなぁ」
プーアル「あの人達、本当に人気あるんでしょうか?」
ヤムチャ「いや、でも……リング上では、キャーキャー言われてたよ?」
プーアル「ふ?ん……おっ、ヤムチャ様? どうやら、第六試合が始まったみたいですよ?」
ヤムチャ「おっ……? そういや、豪鬼さんって人が出てるんだよな? 昨日の会話に、出てこなかった人だけど……どんな人なんだろ?」
618 :
ーーー
ザンギエフ「……ぐおおぉぉっ!」
豪鬼「……ぬぅんっ!」
ザンギエフ「……何っ!? こいつ、早いっ!」
豪鬼「……殺っ!」
ザンギエフ「しまったっ……! ぐわああぁぁっ!」
ヤムチャ「うわっ……なんだ、あの動きっ……!?」
プーアル「片足立ちのまま、あんな移動できるもんなんですね!? どうなってるんでしょう?」
ヤムチャ「あれ、恰好いいなぁ……俺も、やってみようかなぁ……?」
プーアル「……格好つけたら、またあの二人に怒られますよ?」
ヤムチャ「大丈夫だって……試合ではやらないよ……よっと、こんな感じかな……?」スゥー
プーアル「あれ、あれっ……? ヤムチャ様、大丈夫ですか?」
ヤムチャ「うおおっ……やべぇ……あいたぁっ!」ドシーンッ
プーアル「……何やってるんですか。派手にこけちゃって」
619 :
バルログ「おっと、ヤムチャ君……探しましたよ。こんな所で、ずっこけて何してるんですか?」
ヤムチャ「あいててて……あっ、バルログさん……」
プーアル「ヤムチャ様、馬鹿だから、あの豪鬼さんって人の片足移動真似しようとして、派手に転んだんですよ」
バルログ「あぁ、アレ格好いいんですよねぇ……真似しようとしたんですか?」
ヤムチャ「難しいっすね……?」
バルログ「でも、あれは豪鬼さんのオリジナルのムーブだから、真似したら怒られますよ?」
ヤムチャ「……ムーブ?」
バルログ「えぇ、あの片足移動は、豪鬼さんのオリジナルの技なんですよ。 攻撃を避ける専用の……オリジナルの技です」
ヤムチャ「……あれも、技なんですか?」
バルログ「プロレスってのは、動作を大きく見せないと盛り上がりませんからね……飲み会に誘おうとしたんですが……豪鬼さんの試合は勉強になりそうだし、ちょっと見ていきましょうか?」
ヤムチャ「……そうっすね」
620 :
居酒屋ーー
サガット「遅ぇよ、 バルログっ! 何やってたんだよ!」
バイソン「ヤムチャ君、一人連れてくるのにどれだけかかってんだよぉ! 正座しろぉ! 全裸になって正座しろぉ!」
さくら「バルログさん……バイソンさん、もうボトル一本開けちゃいましたよ? こんなので反省会できるんっすか!?」
バルログ「申し訳ありません、ヤムチャ君と豪鬼さんの試合を見ていたもので……そのついでに、ダンさんの仕事が終わるのも待ってたんですよ」
ダン「おい、ついでって何だ! ついでって! 俺はキャリア長ぇんだぞぉっ!」
ヤムチャ「う?ん……ザンギエフさんも、豪鬼さんも……凄い試合してましたねぇ……」
バルログ「……勉強になりましたか?」
ヤムチャ「あの投げ技、凄かったです! ファイナルアトミックなんとかってヤツ! あれ、俺もやってみたいっす!」
ダン「なぁ?に、言ってんだ、新入り! おめぇは、ボディスラムをなんとかしろ! ボディスラムをよぉ!」
ヤムチャ「……へ?」
621 :
サガット「……ダンさんの言う通りだ」
バイソン「その事で……なんとかしようって、さっきまで話し合ってたんだよ……」
さくら「ヤムチャさん、今日も反省会っすよ! まだまだ、プロレスの事を勉強してもらうっす!」
ヤムチャ「……俺、なんかやっちゃった臭いんですかね?」
バルログ「……試合中、何か変わった事はありませんでしたか?」
ヤムチャ「変わった事……? え?っと……あっ! そうだ、そうだ!」
バルログ「……」
ヤムチャ「バルログさん、俺に打ち上わせになかった、攻撃したでしょ!? あれ、痛かったんっすよ!」
バルログ「……そうです」
ヤムチャ「なんであんな事、したんですか!? 俺、一瞬息が出来なくなったんですからね!」
バルログ「それでは……説明をしましょうか……」
629 :
バルログ「試合には、順序というものがあります。今日の試合では、ベガさんが、リュウさんからフォールを奪いましたよね?」
ヤムチャ「そうっすね」
バルログ「しかし……いきなり、ベガさんのサイコクラッシャーアタックを出してはいけません」
ヤムチャ「……ふむ」
バルログ「ウルトラマンが、スペシウム光線を始めに使いますか? 仮面ライダーは、ライダーキックを始めに使いますか?」
ヤムチャ「……使いませんね」
バルログ「そうです。あれは、とどめの一撃に使うからこその必殺技なのです。我々がプロレスでしている技も同じです」
ヤムチャ「……同じ?」
バルログ「ベガ様ならサイコクラッシャーアタック……リュウ君だったら、真・昇竜拳……それぞれ、オリジナルの必殺技を持っています」
ヤムチャ「……ふむ」
バルログ「この技は、決まれば一撃で相手を仕留めるという意思を持って、我々は使っています。技を受ける方も、同じです。これが決まれば、もう立てないという意思を持って、攻撃を受けています」
ヤムチャ「試合前に……サガットさんが言ってましたね……」
バルログ「……ですから、この技を使う前には、この技を使う為の攻防が必要になってきます」
ヤムチャ「……ふむ」
630 :
バルログ「ベガ様の場合は、ダブルニープレス……リュウ君の場合だったら、昇竜拳や竜巻旋風脚ですね」
ヤムチャ「……なんか、皆さん、色々な技を持ってるんですねぇ」
バルログ「この技は、相手を痛めつけるという意思を持っての攻撃です。攻撃を食らう方も、また同じです」
ヤムチャ「……ふむ」
バルログ「一撃必殺技のサイコクラッシャーアタックを仕掛ける為に……ダブルニープレスなどの攻撃で、相手を体力を奪う……と、いう感じですかね?」
ヤムチャ「……ほうほう」
バルログ「しかし、この技も先程と同じように……いきなり、仕掛ける技ではありません」
ヤムチャ「……ほう」
バルログ「今日の試合だったら……リュウ君の場合は、ショルダータックルの打ち合い……ケン君の場合だったら、蹴りやチョップの打ち合い……」
ヤムチャ「……ふむ」
バルログ「そして、私とヤムチャ君の場合だったら……蹴りの避け合いという攻防がありましたよね?」
ヤムチャ「最初のヤツですね」
633 :
バルログ「蹴りやチョップの攻防を見せて……お客さんの期待を煽って……」
ヤムチャ「……ふむ」
バルログ「ダブルニープレスや、昇竜拳などの攻防を見せて、お客さんをヒートアップさせて……」
ヤムチャ「……ふむふむ」
バルログ「お客さんの盛り上がりが最高潮に達した時に……必殺技を使って、試合を決めるのです」
ヤムチャ「……ほう」
バルログ「……ここまでは、わかりましたか?」
ヤムチャ「あっ、はい……強い技を使う為には、下準備がいるって事ですね?」
バルログ「そうです。最初にサイコクラッシャーアタックや、真・昇竜拳使ったら、すぐに試合が終わってしまいますからね」
ヤムチャ「はい」
634 :
バルログ「さて、では試合の流れもわかった所で……今日の全体的な試合の流れを見て見ましょう」
ヤムチャ「……全体的?」
バルログ「最後に戦ったのは……ベガさんと、リュウ君ですよね?」
ヤムチャ「……そうっすね」
バルログ「この二人は……先程言った、流れの通りに試合をしていました」
ヤムチャ「え?っと……どういう順番だったかな……?」
バルログ「ショルダータックルの攻防から始まり……ダブルニープレスや昇竜拳のやり取りがあって……」
ヤムチャ「あ?、確かに……そうだったそうだった……」
バルログ「……ラストにサイコクラッシャーアタックで決着という訳です」
ヤムチャ「……ラストは俺、場外にいたから、あんまり覚えてないんですけどね」
バルログ「では、その前のサガットとケン君の攻防を思い出してみましょうか?」
ヤムチャ「……へ?」
635 :
バルログ「サガットとケン君の攻防は、どんな感じで始まりましたか?」
ヤムチャ「え?っと……あっ! チョップの打ち合いでした!」
バルログ「そうですね。 チョップや蹴りの打ち合いでした。では、その次は……?」
ヤムチャ「え?っと……確か、あっ、そうだっ! 確か、サガットさんがコーナーの上からケンさんをぶん投げたんだ!」
バルログ「そうですね。相手を痛めつける為の攻防です。サガットは、ケンに雪崩式ブレーンバスターをしましたね」
ヤムチャ「あれも、痛めつける為の攻防なんですね。 じゃあ、サガットさんは、他に必殺技があるんだ」
バルログ「さて……では、その次のサガットとケンの攻防はどうでしたか?」
ヤムチャ「へ……? どうって……アレの後、タッチして交代しませんでしたっけ?」
636 :
バルログ「そうです、ここがポイントです」
ヤムチャ「……ん?」
バルログ「サガット達は、必殺技の攻防をしていません」
ヤムチャ「……」
バルログ「何故、しなかったかというと、必殺技の攻防をすれば、試合が決まってしまうからです」
ヤムチャ「……ほう」
バルログ「そんな事をすれば、ベガさんとリュウ君は試合に出ないまま、試合が終わってしまいますからね」
ヤムチャ「ほ?う……なるほど……」
バルログ「次に、必殺技を使えば、決まってしまう……という、ギリギリの状態で、交代する事によって……」
ヤムチャ「……ふむ」
バルログ「試合の決着をつけずに……ベガさんとリュウ君の、攻防に繋げたというわけですね」
ヤムチャ「あ?、そういや……リュウさんが、言ってたなぁ……お客さんが高いテンションで見てくれるとか……」
637 :
バルログ「では、私とヤムチャ君の攻防を振り返ってみましょう」
ヤムチャ「……ん?」
バルログ「私達も同じ様に、試合の決着をつけないように、サガット達の攻防に繋げないといけませんよね?」
ヤムチャ「……そうですね」
バルログ「相手を痛めつける攻防で、終わらせたまま、交代しなければいけません」
ヤムチャ「ふむ」
バルログ「まず、最初のやり取りは、どうでしたか?」
ヤムチャ「これは、覚えてますよ! 蹴りの避け合いです!」
バルログ「そうです。ヤムチャが君が蹴りを仕掛け、私が避け……私が蹴りを仕掛け、ヤムチャが避けましたよね?」
ヤムチャ「ここまでは、打ち合わせ通りでしたよ!」
バルログ「次は、相手を痛めつける為の攻防です。何が、ありましたか?」
ヤムチャ「え?っと……」
638 :
ヤムチャ「先ず、バルログさんが、俺に握手を求めてきて……ビンタして……」
バルログ「……」
ヤムチャ「それで……踏みつけまくったでしょ?」
バルログ「そうです。私はヤムチャ君を痛めつけてますね」
ヤムチャ「それで……俺が、起き上がって……え?っと、バルログさんに蹴り仕掛けて……」
バルログ「……」
ヤムチャ「それで、俺が……ボディスラム仕掛けたら……」
バルログ「……そこです」
ヤムチャ「……ん?」
バルログ「そこで……問題が起きたんですよ……」
ヤムチャ「へ……? あれ、あそこボディスラムじゃなかったですっけ!?」
639 :
バルログ「打ち合わせでは、ボディスラムでしたよ。ただ……」
ヤムチャ「……ただ?」
バルログ「ヤムチャ君、あの時のお客さんの反応、覚えています?」
ヤムチャ「えっ……? いや、ちょっと覚えてないっす……」
バルログ「ヤムチャ君が、私に蹴りを仕掛けた時……大声援が起きてましたよねぇ?」
ヤムチャ「え?っと……」
バルログ「私にやられてピンチだった、ヤムチャ君が……反撃に出たんです。ヤムチャ君の蹴りが出る度、お客さんは、大きな声でヤムチャ君を応援してましたよ」
ヤムチャ「あっ、そうなんだ……そこまで、見てなかったなぁ……」
バルログ「そこで、私を痛めつける為に……ボディスラムを仕掛けるというのが、当初の予定だったんですが……」
ヤムチャ「そうですよねぇ!? やっぱり、ボディスラムで合ってますよねぇ!?」
バルログ「ヤムチャ君がボディスラムを仕掛けたら時……お客さんの声援がピタッと、止んだんですよ……」
ヤムチャ「……へ?」
640 :
バルログ「あれでは、次の痛めつける攻防には、いけません……」
ヤムチャ「えっ、えっ……? どういう事っすか!?」
サガット「少し、あの時、焦ってなかったか? 俺には、随分雑なボディスラムに見えたが……」
バイソン「もっと、グイっと、上げなきゃダメだよ!? グイッと、グイグイッとっ!」
ヤムチャ「え?っと……俺、ちゃんと投げましたよ!? 何が、いけなかったんですかね!?」
バルログ「……う?ん」
サガット「……う?ん」
バイソン「……う?ん」
ヤムチャ「いや、ちょっと……皆さん……!? 俺、間違ってないんすよねぇ? 何が悪かったんですか?」
641 :
ダン「おい、ヤムチャ?」
ヤムチャ「……ん?」
ダン「おめぇが、バルログにボディスラムを仕掛けた時……実況と解説の二人はなんて言ってたか知ってるか?」
ヤムチャ「……えっ、なんて言ってたんですか?」
ダン「ヤムチャが強引に持ち上げて……落とす……そう、言ったんだよ」
ヤムチャ「……えっ?」
ダン「おめぇは、ボディスラムを仕掛けてるつもりかも、しんねぇけど……名前すら、呼ばれてねぇんだ」
ヤムチャ「……えっ?」
ダン「ちなみに……サガットのボディスラムは、ハイアングル・ボディスラムなんて言われてたぞ?」
ヤムチャ「……」
ダン「バルログのは、高ボディスラムだ」
ヤムチャ「……」
ダン「実況や、元さんが、そう言うって事は……お客さんも、そう思ってるって事だよ」
ヤムチャ「……えっ?」
ダン「おめぇの、ボディスラムは、相手を痛めつけるレベルまで達してねぇんだよ」
642 :
ヤムチャ「だから、お客さんの声援が止まったのかな……?」
ダン「お客さんの声援が止んだって事はよぉ?」
ヤムチャ「……ん?」
ダン「お客さんは、その後にバルログを痛めつける為の技するんじゃねぇかって、待ってたんじゃねぇかな?」
ヤムチャ「……そうなのかな?」
ダン「実際、俺はおめぇ達の打ち合わせに参加してねぇけど、そう思ったしな。ダウンしてるバルログに……何か、大技仕掛けると思って、準備してたよ」
ヤムチャ「……」
ダン「プロレスってのは、大技でも60点の見栄えじゃ、意味ねぇんだよ。 簡単そうな技でも、120点の見栄えにしねぇといけねぇんだ」
ヤムチャ「……はい」
ダン「持ち上げて落とす……で、完成じゃねぇ。持ち上げて落とすを、どう格好良く見せるかだよ。バイソンだって、それわかってるから、硬い床におめぇを持ち上げて落としたんだろが」
ヤムチャ「……」
ダン「あんなチンケな投げを見るために、お客さんは集まってくれてるんじゃねぇんだぞ?」
ヤムチャ「は、はい……」
643 :
バルログ「……という訳で、相手を痛めつける攻防まで、いかないまま、ケン君とサガットに交代する事になりました」
ヤムチャ「……はい」
バルログ「知り切れ蜻蛉のような形で、二人に交代したら、お客さんも盛り上ってしまいますからね」
ヤムチャ「……だから、打ち合わせにない事をしたんですか」
バルログ「えぇ、あまり経験のないヤムチャ君を引っ張っても、ボロが出そうですし……幸い、私はルチャ系ですからね」
ヤムチャ「ボロって……まぁ、確かに出そうだけど……」
バルログ「素早く、華やかな技をして、盛り上げる事は得意です。私のコーナーポストからの攻撃で、お客さんを盛り上げた後……」
ヤムチャ「……ふむ」
バルログ「ケン君とサガットの二人に、試合を始めてもらったという事です」
ヤムチャ「……そういう、理由があったんですね」
644 :
サガット「……こういう打ち合わせの内容が変わる事は日常茶飯事だからな」
ヤムチャ「……えっ?」
サガット「自分達の中では、盛り上がるはずだったが……思ってたより、会場は盛り上がらなかった……なんて事は、よくある話だ」
ヤムチャ「……はぁ?」
サガット「そういう時は、お客さんの反応を伺いながら、アドリブを入れる事だってある」
ヤムチャ「……なるほど」
サガット「今回は、何も知らないヤムチャ君が巻き込まれる形になってしまったな……悪かった……」
ヤムチャ「い、いや……そんな事……」
サガット「……だが、こういう事も、よくあるという事は覚えておいてほしい」
ヤムチャ「……えっ?」
サガット「プロレスとはお客さんとの戦いだ。なんせ、対戦相手との試合結果は始めに決まっているんだからな」
ヤムチャ「そうっすね……」
サガット「だからこそ……俺達は、お客さんが、一番盛り上がるような試合をしなければいけないんだ……」
ヤムチャ「……」
サガット「お客さんが求めているタイミングで、大技を仕掛け……お客さんが求めているタイミングで試合を決着して……お客さんの声は試合中でも耳を傾けていなければならない」
ヤムチャ「……」
サガット「まぁ、経験を積めば、アドリブも効くようになるんだがな……まぁ、しばらくは俺達がフォローしよう」
ヤムチャ「う、うっす……!」
649 :
プーアル「そういや、僕最後の方、見てなかったんですけど、ヤムチャ様は最後の方、何をしてたんですか?」
ヤムチャ「……あのなぁ? 俺、頑張ってたんだぞ?」
プーアル「だって、リング上でベガさんとリュウさんが戦ってたんですよ? 普通、そっちを見ちゃいますよ」
ヤムチャ「プーアル謝れ! 俺と、バイソンに謝れっ! 俺達、頑張ってたんだぞ!」
バイソン「いやいや、ヤムチャ君……プーアル君の言う通りだよ。普通はリングで戦ってる人間を見ちまうもんだよ」
ヤムチャ「……えっ?」
バイソン「プーアル君、俺達は場外で戦ってたんだ。場外のお客さんの目の前でな」
プーアル「お客さん、危なくないんですか? 大丈夫なんですか?」
バイソン「まぁ、その辺は気を使ってやってるから大丈夫だよ。折角、会場に来てくれたお客さんだから、やっぱり迫力のあるもん見てもらいてぇしな」
ヤムチャ「……迫力って、どういう事ですか?」
650 :
バイソン「まぁ、プロレスってのは、リングの上で戦うもんだ。だが、会場は広い」
ヤムチャ「……ふむ」
バイソン「最前列にいるお客さんならともかく……後ろの方にいるお客さんには、豆粒のような大きさにしか、見えねぇ事だってある」
プーアル「そうですね」
バイソン「だから、俺達は派手な技をするんだ。派手な投げをしたり……コーナーから、飛んで攻撃したり……」
ヤムチャ「……ほうほう」
バイソン「それだったら、後方にいるお客さんだって、一発ですげぇ技をしてるってわかるだろ?」
プーアル「そうですね」
バイソン「派手な技ってのは、そういうもんだ。一番後ろで見てるお客さんも、凄いと思うような見栄えの技にしなければいけねぇ」
ヤムチャ「……俺のボディスラム、もっと派手にしなきゃいけねぇのか」
バイソン「だが……アプローチの方法は他にもある。 後方のお客さんが遠くてわからねぇなら……こっちから近づけばいいんだよ」
653 :
バイソン「俺はヤムチャ君を、鉄柵外に連れ出し、お客さんの目の前まで行って戦っただろ?」
ヤムチャ「はい」
バイソン「アレ、お客さんは、どう思ったかな?」
ヤムチャ「……えっ?」
バイソン「豆粒のような大きさにしか見えない、戦いだったのに……突然、目の前で俺とヤムチャ君が戦いを始めるんだ。僅か1メートルの距離でな?」
ヤムチャ「……ほうほう」
バイソン「リング上では、試合が決まりかけている……だが、目の前では、僅か1メートルの距離で大男が二人、戦っているんだ。こりゃ、パニックだよ」
ヤムチャ「……ほうほう」
バイソン「場外乱闘ってのは、そういう為に使うんだよ。お客さんにより近くで戦いを見てもらう為にな」
ヤムチャ「だから……あんな、遠くにまで連れ出したんですね」
バイソン「あぁ、戦うのはリングの上だけじゃねぇって事だ。まぁ、反則だけどね」
ダン「でも、そういう理由でやってるなら、俺は場外カウントゆ?っくり、とってやるぞ! ヤムチャ、お前も見習えよ!」
ヤムチャ「あっ……はい……」
654 :
サガット「俺達はヒール軍団で、反則技を使って、相手を苦しめる……という、設定だ」
ヤムチャ「……ほう」
サガット「勿論、ダンさんもその事はわかっている。だから、俺達の反則技が成立しやすい様に、協力してくれている」
ダン「おう、そうだぞ! 感謝しろよ、おめぇら!」
サガット「反則技で、相手を不利な状態にして、ダメージを与えて試合の流れを作ったり……場外に連れ出したりして、交代を妨害したりな……」
ヤムチャ「……ほう」
サガット「……だが、リュウ君達はどうだ?」
ヤムチャ「……えっ?」
サガット「彼らは、ベビーという縛りがある分、反則技は使えない……正義のヒーローが、反則技を使えば、それは正義のヒーローじゃないからな」
ヤムチャ「……ふむ」
サガット「クリーンなファイトでここまで人気が出たのはいいが……そのせいで、伸び悩んでいるんだと、俺は思う……」
655 :
ーーー
ザンギエフ「……ベガ、明日はお前がメインだ」
ベガ「私と豪鬼さんの試合が、メインイベントですか」
ザンギエフ「あぁ、豪鬼となら、客入りも大丈夫だろう……」
ベガ「……リュウとの、抗争はどうするんですか?」
ザンギエフ「暫くはサガット達と試合を組んでおく……結局、試合を作ってたのは、お前やサガットだろう?」
ベガ「……そうですね」
ザンギエフ「お前に負けて、声援をもらってるようじゃ、まだまだだ……ブーイングを浴びるぐらいまでにならんとな」
ベガ「……確かに」
ザンギエフ「ヤムチャを加えたのに……奴らは、何も変わってはいないではないか……」
ベガ「しかし、明後日の試合はどうするのですか……? 豪鬼さんと戦うのは……リュウですか? それとも、サガットですか……?」
ザンギエフ「う?む……サガットに組ませたいのだがなぁ……だが、やはりリュウだろうなぁ……」
656 :
ヤムチャ「サガットさんと、リュウさんって、実際の所、どっちが強いんですか?」
サガット「ん……? それはだな……」
バイソン「ガチで強いのは、リュウだな! アイツは昔、空手で結構いい所まで行ってたらしいし!」
サガット「……くっ!」
バルログ「会場人気でも、リュウ君です。彼の方が華やかな技を持ってますしね」
サガット「……痛い所を」
ダン「だけど……上手いのは、サガットだな。リュウに足りないのはそこだよ」
ヤムチャ「……上手い?」
ダン「あぁ、今日はこういう流れで試合を作りましょうとか……試合の攻防をリードしていく能力だ」
ヤムチャ「……はぁ」
ダン「サガットは、技は地味だけど……試合の流れを左右する攻防を作るのが、上手ぇからな」
ヤムチャ「何か……よくわかんなくなってきたぞ……」
657 :
サガット「まぁ、その辺は経験だな。ヤムチャ君にも、覚えてもらわなければいかん」
ヤムチャ「……また、勉強っすか?」
サガット「ヤムチャ君が今、使える技は、狼牙風風拳と、ボディスラムと、バックドロップの三つだけだろう?」
ヤムチャ「あっ、そうっすよね……三つだけって、何か寂しいですよね……何か、他にも技を教えて下さいよ!」
ダン「バーカ! 何、言ってんだ! ボディスラムもまともにできねぇ癖に!」
ヤムチャ「……えっ?」
サガット「あぁ、技のレパートリーを増やした所で、技を使いこなせなければ、意味がない」
ヤムチャ「……そうっすか」
サガット「ヤムチャ君には、この三種類の技と、パンチや蹴りだけで、試合を作る事を覚えてもらう」
ヤムチャ「……えぇ!?」
サガット「それが上手さだ。明日、道場で付き合おう。また、特訓だ」
ヤムチャ「ちょっと、待って下さいよ……俺、特訓はそんなに好きな方じゃないのに……」
プーアル「ヤムチャ様、文句を言わない!」
662 :
翌日、道場ーー
サガット「さぁ、今日も特訓だ」
ヤムチャ「……う?っす」
サガット「……バルログ、準備は出来ているな?」
バルログ「えぇ、準備オッケーですよ?」
ヤムチャ「ん……? バルログさん、何してるんですか?」
サガット「今から、ヤムチャ君には、俺と蹴りの打ち合いの攻防をしてもらう」
ヤムチャ「……ほぅ」
バルログ「それを遠くから、私がビデオカメラで撮ります」
ヤムチャ「……なんで、また?」
サガット「今、バルログがいる位置は、観客席の位置……つまり、お客さんの目線だ」
ヤムチャ「……ほう」
サガット「自分でやっている動きと、お客さんから見た時の動きの違い……それを見れば、自分の問題点がわかるんじゃないかな?」
ヤムチャ「……なるほど」
サガット「では、行くぞ……? お互い蹴りの打ち合いで、徐々にダメージが蓄積されていくという攻防だ。準備はいいな?」
ヤムチャ「う、うっす……!」
663 :
サガット「……オラァっ!」
ヤムチャ「……くっ!」
サガット「ほら、次はヤムチャ君の番だ……こいよ……」
ヤムチャ「よしっ……! おらぁっ……!」
サガット「……ぐっ!」
ヤムチャ「よ、よしっ……! 次はサガットさんの番ですよ?」
サガット「よし、俺の番だな……オラアァっ!」
ヤムチャ「ぐっ……よ、よしっ……! 次は、俺の番だな……おらぁっ!」
サガット「ぐ、ぐっ……!」
バルログ「……」ジーッ
664 :
ーーー
サガット「よし、じゃあ、今の攻防を映像で確認してみようか……」
ヤムチャ「結構、自分ではいい感じにやってたと思いますよ?」
バルログ「では、早見てみましょうか……はい、どうぞ……」
ヤムチャ「おっ、どれどれっと……んっ……?」
サガット「……」
バルログ「……」
ヤムチャ「アレ……? なんか、サガットさんに比べて……俺の動きが地味なような……」
サガット「……と、まぁこれがお客さんから見た、ヤムチャ君だ」
バルログ「……思ってたより、地味でしょう?」
ヤムチャ「あれ……? 何がいけねぇんだ、これ……?」
665 :
バイソン「もっと、オーバーにやらなきゃいけねぇよ! オーバーによぉ!?」
ヤムチャ「そ、そうっすよね……」
サガット「……ヤムチャ君は、まだプロレスやる事に抵抗があるように見えるかな?」
ヤムチャ「……えっ?」
サガット「何処か、格闘技風の蹴りに見えるな……相手の急所を素早く仕留める……そんな蹴りに見えるよ」
ヤムチャ「そうかも……しれませんね……」
バルログ「格闘技でダメージを与える技なら、それで構いませんが……これは、プロレスです。大ダメージを与えるなら、より派手で大きな動きが必要とされます」
ヤムチャ「……ふむ」
バイソン「どうせ、俺達は避けねぇんだ! 動きを溜めれば溜める程、強そうに見えるからよ!」
ヤムチャ「……溜める?」
666 :
バルログ「少し、お手本を見せましょうか……バイソン、よろしくお願いします」
バイソン「おう!」
バルログ「例えば……これはトラースキックという技ですが……」
ヤムチャ「……ふむ」
バルログ「相手を蹴る前に、少し体制を屈めて……」ググッ
ヤムチャ「……ふむふむ」
バルログ「そのまま、身体を伸ばす勢いで、相手の高い位置を蹴りますっ……!」スパーンッ
バイソン「……ぐ、ぐわっ」
ヤムチャ「……おぉ!」
バルログ「普通の蹴りより、強そうに見えるでしょう? この技は色々と応用が効きますよ?」
ヤムチャ「……応用?」
サガット「連続技の中に、仕込んだり……相手が起き上がるタイミングに合わせて、溜めを作ったりな……」
ヤムチャ「……ほうほう」
サガット「格闘技だったら、隙を与えず攻撃をする事が一番いいだろうが、これはプロレスだ。隙があったとしても、相手は待っていてくれる」
ヤムチャ「……ふむふむ」
サガット「意図的に技に入らない事で、同じ技でも見栄えが変わってくるという訳だ」
ヤムチャ「なるほどねぇ……」
668 :
ヤムチャ「よし……溜めて……」ググッ
サガット「……うむ」
ヤムチャ「……蹴るっ!」スパーンッ
バルログ「おっ、いい感じじゃないですか?」
ヤムチャ「おっ、そうっすか?」
バイソン「ヤムチャ君、ボディスラムとはえらい違いじゃねぇか!? 打撃技はセンスあるんだね!」
ヤムチャ「……それ、投げ技にはセンスないみたいじゃないですか」
サガット「暫くは、トラースキックがヤムチャ君の必殺技だな。次は、トラースキックをもっと有効に使える場所を作ってみよう
ヤムチャ「……有効って、どういう事ですか?」
669 :
バイソン「ヤムチャ君の今、使える技は、狼牙風風拳と、トラースキックと、ボディスラムとバックドロップだろ?」
ヤムチャ「はい」
バルログ「お客さんの目線から見た派手さでは、狼牙風風拳が一番……そして、二番目はトラースキックです」
ヤムチャ「……ふむふむ」
サガット「つまり、俺達に大ダメージを与えるには、狼牙風風拳か、トラースキックを使う必要がある……と、いう事だ」
ヤムチャ「……なるほど」
サガット「ヤムチャ君のトラースキックは派手だが……多用しすぎると、技に説得力がなくなるだろう」
ヤムチャ「……説得力?」
サガット「あぁ、強そうな技を使っても、相手に全くダメージがない……なんて事だったら、おかしい話だろ?」
ヤムチャ「……ふむ」
サガット「だから、その技は、相手を痛めつける攻防の、ここ一番という時に使う事にしよう」
670 :
ヤムチャ「……って、事は」
サガット「……どうした?」
ヤムチャ「俺、昨日の試合で、ボディスラムやった後、何かするんじゃないかって思われてたんですよね?」
サガット「……そうだな」
ヤムチャ「そういう所で使えばいいんですかね?」
サガット「うむ、いいな……ボディスラムで相手を投げて……起き上がりのタイミングに合わせて、相手に当てる……それなら、説得力も出そうだ」
ヤムチャ「おうおう、なんかいい感じになってきたじゃねぇか! ちょっと、やってみたいっす! バイソンさん、付き合ってもらってもいいですか?」
バイソン「おうよ! 任せておけっ!」
ヤムチャ「じゃあ、バルログさん……ビデオ回してもらってもいいですか!?」
バルログ「はいはい、わかりましたよ。では、始めて下さい……」
ヤムチャ「うっす!」
671 :
ヤムチャ「持ち上げて……」
バイソン「おっ、おおっ……」
ヤムチャ「……落とすっ!」
バイソン「……ぐっ!」
ヤムチャ(後は、起き上がるタイミングに合わせて……溜めてっ……!)ググッ
サガット「……む?」
バイソン「くっ……おっ……おおっ……」ムクッ
ヤムチャ「……おらぁっ!」スパーンッ
バイソン「……ぐわぁ」
バルログ「……」ジーッ
674 :
ーーー
ヤムチャ「よっしゃ、よっしゃ! どうですかね!? 早、チェックしてみましょうよ!」
バルログ「はいはい、巻き戻すので、待っていて下さいね……よっと、できましたよ?」
ヤムチャ「よ?し、早見てみるか! おっ、おおっ! 凄ぇ、いいじゃん! 俺、格好いいじゃん」
バイソン「お?、想像してたより、いい感じになってるじゃん! なぁ、バルログ!?」
バルログ「えぇ、ここから見てても、いい出来だったと思いますよ?」
ヤムチャ「よっしゃ! トラースキックはモノにしたんじゃねぇか!? やっぱり、俺センスあるじゃねぇか!」
サガット「……ヤムチャ君、ちょっと待ってくれ」
ヤムチャ「……ん、どうしたんですか?」
675 :
サガット「悪いが、狼牙風風拳の構えをしてもらいたい……」
ヤムチャ「えっ、どうしたんですか……?」
サガット「俺の思い過ごしかもしれない……まぁ、とりあえず、構えてくれ……」
ヤムチャ「え?っと……はい……」シュッ
サガット「よし、次はトラースキックだ……構えてくれ……」
ヤムチャ「何なんですか、いったい……も?う……」ググッ
バルログ「……あっ」
バイソン「……あっ」
サガット「やはり、そうか……」
ヤムチャ「あれ、どうしたんですか? 俺、何かやっちゃいました……?」
676 :
サガット「ヤムチャ君の、狼牙風風拳に入る時の構えと、トラースキックを溜める時のモーションが似てるんだ」
ヤムチャ「……へ?」
バイソン「サガット、よく気づいたな? 確かに、似てるから変えた方がいいわ、これ」
ヤムチャ「え?っと……似てたら、問題でもあるんですかね……?」
バルログ「そりゃ、ありますよ。トラースキックをしようとして、お客さんが狼牙風風拳すると思ったら、どうなると思います?」
ヤムチャ「え?っと……それは……」
サガット「折角のトラースキックが台無しだ。なんだ、狼牙風風拳じゃねぇのかよ……なんて、お客さんはガッカリするだろうな」
ヤムチャ「マ、マジっすか!?」
サガット「自分がこの動きをしたら、この技に入るんだ……と、いうのをしっかりしておいた方がいいな。モーションは変えた方がいい」
ヤムチャ「じゃあ、溜める時の構え……変えてみます……」
サガット「うむ、身体で覚えた方がいいと思う。デビュー戦での狼牙風風拳は強烈だったからな。お客さんはきっと構えをまだ覚えているだろう」
677 :
ーーー
ヤムチャ「よし、溜めて……」ググッ
バルログ「ダメです、ヤムチャ君! また、癖が出てますよ!」
ヤムチャ「……えっ?」
バイソン「ほら、自分の構え見てみなよ……最初のに戻ってるじゃん……」
ヤムチャ「あっ……しまった……」
バルログ「う?ん……ちょっと、試合まで時間がないのに、困りましたねぇ……」
ヤムチャ「やっぱり、いつもこの構えで戦ってましたからね……いきなり、違う構えしろって言われても……」
サガット「……だが、お客さんが狼牙風風拳だと、勘違いしてしまったら大変な事になるぞ?」
ヤムチャ「そうっすよね……リュウさんとケンさんにも怒られそうだし……なんとかしなきゃ……」
バイソン「とにかく、数こなして練習だよ! 身体で覚えよう!」
ヤムチャ「うっす!」
プーアル「皆さん! ヤムチャ様の練習に付き合って頂いてありがとうございます! ザンギエフさんから、今日の予定表もらってきましたよ!」
サガット「おっ、プーアル君、ありがとう。 早、見てみるか」
680 :
本日の予定試合
第一試合(10分決着)
×コーディ ー ソドム◯
第二試合(10分決着)
◯ブランカ ー ディージェイ×
第三試合(15分決着)
かりん ー キャミイ
×さくら 春麗◯
第四試合(15分決着)
ヤン ー ガイル ×
◯ユン ナッシュ
第五試合(20分決着)
ヤムチャ バイソン×
ケン ー バルログ
◯ リュウ サガット
第六試合(30分決着)
×ベガ ー 豪鬼 ◯
684 :
ヤムチャ「おっ、なんだなんだ。今日は俺達の勝ちじゃん!」
サガット「おっ、ソドムさんは第一試合に行ったのか」
バルログ「いいんじゃないですかね? あの人、第二試合だけじゃ勿体無いですよ」
バイソン「そうだな! あの人上手いからな!」
ヤムチャ「あの?、皆さん、いつもいつも何処見てるんですかねぇ?」
サガット「いや、ヤムチャ君、これは重要な事だぞ?」
ヤムチャ「……へ?」
バルログ「ソドムさんが第二試合から、第一試合に行くって事は……何かドラマがあったという事です」
ヤムチャ「……ふむ」
バイソン「これから、ソドムさんと試合をやる機会があったら、俺達もまた違う接し方をしないといけないだろ?」
ヤムチャ「……ほうほう」
サガット「団体の人間が、どういうドラマを作っているのかを、確認するのも大切だ。なんせ、俺達は戦ってそのドラマの一部になるんだからな」
ヤムチャ「なるほど」
685 :
プーアル「……あの??」
サガット「……ん、どうした、プーアル君?」
プーアル「以前、サガットさんは、第一試合が二軍戦……若手の紹介の為の試合で、第二試合は前座……お笑いマッチって言ってましたよねぇ?」
サガット「おう、そうだな。プーアル君、よく覚えてるじゃないか」
プーアル「このソドムさんって人は、若手の方なんですか?」
サガット「いや、ソドムさんはキャリアが長い方だ。若手ではない」
プーアル「じゃあ、どうしてそんな方が第一試合の、若手の紹介の試合に?」
サガット「ほら、第一試合が、いつもいつも若手対若手の試合じゃ面白くないだと? これは、ソドムさんを使って、違った試みをしようとしてみようという事なんだよ」
プーアル「……違った試み?」
サガット「若手のコーディやガイが……ベテランのソドムさんと戦ったら、どこまで通用するのかな? なんて、お客さんも期待してるのではないかな?」
プーアル「……なるほど」
688 :
サガット「ソドムさんは、第二試合でお笑いマッチを担当していた方だが……実際、上手い人だしな」
ヤムチャ「……ふむ」
サガット「お笑いマッチ以外でも、しっかりしたプロレスが出来ると判断されての第一試合への移動だろう」
プーアル「……ふむふむ」
サガット「実際、第一試合で若手と戦うベテランってのは、自分の格を下げずに……若手にも見せ場を作ってやるという、高い技術が要求される」
ヤムチャ「なんか、難しそうですねぇ……」
サガット「第二試合で、そういうソドムさんの上手さを感じたから……じゃあ、お笑い以外のソドムさんを見せてみよう、という事でここになったんだろう」
プーアル「へぇ?、ちょっとソドムさんの試合、よく見てみようっと」
ヤムチャ「あっ、俺も俺も!」
689 :
サガット「ソドムさんは第一試合で、今度はお笑いじゃないプロレスをする事になる」
ヤムチャ「……ふむ」
サガット「その試合で、お客さんがソドムさんをもっと見たいなんて感じたら……」
ヤムチャ「……ふむふむ」
サガット「恐らく、ソドムさんは第三試合や、第四試合に行く事になり、ナッシュやガイル達と争う事になるだろう」
ヤムチャ「タッグのベルトに挑戦出来るようになる……って、事ですか……」
サガット「そして、そこでお客さんが認めるような試合や、ドラマを作れれば、第五試合……俺達と戦う事になるだろうな」
ヤムチャ「ソドムさんが、空手軍団に入るんですか?」
サガット「そうかもしれないし、俺達シャドルーに加わるかもしれない……」
ヤムチャ「……ふむ」
サガット「はたまた、ソドムさんも軍団を作って、空手軍団対シャドルー対ソドムさんの軍団という、三つ巴の抗争が始まるかもしれない」
ヤムチャ「……ほうほう」
サガット「まぁ、ソドムさんの実力なら、すぐに第三試合や第四試合には上がれるだろう。そこで、どういうタッグチームを作って、お客さんがどういう反応をするかだな」
ヤムチャ「……なるほどねぇ」
690 :
サガット「まぁ、ソドムさんの話はこの辺りにしておこうか……俺達の試合の話をしよう」
ヤムチャ「あっ、そうっすね」
サガット「今日は、リュウの勝ちだな」
ヤムチャ「……これ、サガットさん越えって事でいいんですかね?」
サガット「いや、負け役はバイソンだろう? 俺を越えるなら、俺からフォールをとらなければいけないよ」
ヤムチャ「あっ、じゃあ、まだなんっすね……」
サガット「まだ、そこまでリュウは認められてないからな……俺を越えるには、まず俺と一対一の試合をして……」
ヤムチャ「そこで、サガットさんに勝つ、と……」
サガット「いや、その後だ……勝った後のお客さんの反応だな」
ヤムチャ「……反応?」
サガット「勝って、お客さんがリュウの事を認めないと、ベガさんには挑戦出来ないだろう……この辺がプロレスの難しい所だな。ただ、勝つだけじゃダメだ」
ヤムチャ「う?ん……まだ、俺にはよくわからないっす……」
691 :
サガット「とにかく、今日の試合の打ち合わせをしようか……こういう時にリュウ達がいればいいんだけどな……」
ヤムチャ「あの二人……いつも、何処かに行ってますからねぇ……」
サガット「……ったく、試合のケツ、どうしたんだよアイツら」
ヤムチャ「えっ……? だから、リュウさん達が勝つんでしょう?」
サガット「それは、わかってるよ……だが、どう勝つかだ……」
ヤムチャ「……へ?」
サガット「圧倒的に勝つのか……五分の勝負で勝つのか……それとも、不意打ちの様な勝ち方をするのか……」
ヤムチャ「ほうほう……」
サガット「基本的に俺達が勝つ時は、汚い手段を使って、不意打ちの様な勝ち方をするから、大目に見てやっていたが……全く、あの野郎……自分の時ぐらい打ち合わせに参加しやがれ……」
ヤムチャ「あはは、まぁまぁ……」
692 :
バイソン「でもよぉ、サガット? あの二人の事だから、やっぱり圧倒的に勝つ事がしてぇんじゃねぇか?」
バルログ「えぇ、恐らく、次に豪鬼さんと戦うのはリュウですし……そんな気がします……」
サガット「……そういう時こそ、何か違う事をしなきゃいけないだろう。 今のリュウで豪鬼さんと戦ったってある程度は見えている」
バイソン「まぁ、そうだけどよぉ……」
バルログ「まぁ……我々が引っ張って、なんとかしましょう……」
サガット「……チッ!」
ヤムチャ「え?っと、え?っと……とりあえず、俺はどうしたらいいんですかねぇ……?」
サガット「うむ。ヤムチャ君は、先発で出てくれ……こっちはバイソンが出る……ヤムチャ君はどうしたい?」
ヤムチャ「……へ?」
693 :
バイソン「最終的に負けるのは俺なんだからよぉ! そっから、逆算して攻防を決めるんだよ!」
ヤムチャ「……逆算?」
バイソン「あぁ、最初にヤムチャ君と戦って、ダメージを受けて、そのダメージを引きずるままになっちまったとか……」
ヤムチャ「……ふむ」
バイソン「それとも、ヤムチャ君は何も出来ずに俺にやられて……俺はケンやリュウから、ダメージを喰らう展開にするとかな?」
ヤムチャ「なるほど……何処かでバイソンさんを痛めつけておく必要性があるって事ですね」
バイソン「ヤムチャ君はどうしたい? ヤムチャ君は技受けてばかりだから、今日ぐらい活躍してもいいんじゃねぇの?」
ヤムチャ「う?ん……俺も、新しい技覚えたし……活躍したいのは、山々なんっすけどね……」
バイソン「じゃあ、最初に俺を痛めつける? ヤムチャ君が有利になる攻防する?」
ヤムチャ「い、いやぁ……俺、あの二人にいい格好するなって言われてるんですよ……? それに、人気を上げなきゃいけないのは、俺じゃなくてあの二人でしょ?」
バイソン「……」
ヤムチャ「だから、俺……何も出来ず、やられますよ……俺、あの二人苦手なんですよ……」
694 :
バイソン「……」
バルログ「……」
サガット「……ヤムチャ君は、それでいいのかい?」
ヤムチャ「……えっ?」
サガット「どうした? さっきまでは楽しそうに、トラースキックの練習をしてたではないか?」
ヤムチャ「いや……そうっすけど……」
サガット「リュウやケンの人気を上げなければいけないのは、こっちの団体の事情だ。ヤムチャ君の本心は違うのではないか?」
ヤムチャ「……えっ?」
サガット「新しく覚えた、トラースキックを……お客さんの前で披露して……盛り上げてみたい……それが本心ではないのかね?」
ヤムチャ「いや、それはそうっすけど……でも、俺、格好いい事するなって言われてるし……」
サガット「……なら、リュウやケン達にもっと、格好良い所を作ってやればいい」
ヤムチャ「……えっ?」
サガット「ヤムチャ君に格好良い所を作って……リュウやケン達にもっと格好良い所を見せる……そんな、展開を作ればいい」
ヤムチャ「……そんな事出来るんすか?」
サガット「ヤムチャ君、これはプロレスだ……それが出来る……俺達はそういう為なら、いくらでも技を受けてやる」
695 :
バイソン「……ヤムチャ君、どうする? 俺は、いくらでも技を受けてやるぜ?」
バルログ「私だって受けますよ……リュウがバイソンから、フォールを奪う時……私を止める人間が必要になるでしょう」
サガット「ヤムチャ君次第だ……俺達が、試合をリードしてやってもいいが……ヤムチャ君にリードされてもいい……自由に決めてもいい」
ヤムチャ「……」
バイソン「……どうする?」
バルログ「……ヤムチャ君次第です」
サガット「ヤムチャ君も三試合目だ……そろそろドラマを作り始めてもいいんじゃないかな……?」
ヤムチャ「……」
697 :
ヤムチャ「俺、やってみたいっす」
バイソン「……おっ?」
ヤムチャ「俺がバイソンさんに、ダメージを与えてみたいっす」
バルログ「……フッ」
ヤムチャ「バイソンさんが、フォールされてるのを、助けに行こうとしたバルログさんを……トラースキックで止めてみたいっす」
サガット「……よし」
ヤムチャ「今日は、場外でずっと寝ていたくないっす……寧ろ俺が、そういう事を、サガットさん達にやってみたいっす」
バイソン「そうだよ、そういう汚い手段も使っていかねぇといけねぇんだよ! プロレスはよぉ!」
バルログ「ヤムチャ君もらしくなってきましたね」
サガット「よし、じゃあ打ち合わせをしよう! ヤムチャ君が動きやすいように、俺達がサポートしてやる!」
ヤムチャ「うっす!」
699 :
そしてーー
ユン「……はあぁぁっ!」
ガイル「……ぐがっ!」
プーアル「ヤムチャ様! ユンさんがガイルさんから、3カウントをとりましたよ!」
ヤムチャ「……そうだな、次が俺の番だな」
プーアル「ヤムチャ様、頑張って下さいね!」
ヤムチャ「プーアル……今日は俺、格好いい所、見せるからさぁ……? しっかり見ててくれよ?」
プーアル「はい、期待してますよ! ……でも、程々にしとかないと、またあの二人に怒られますよ?」
ヤムチャ「大丈夫だって! 狼牙風風拳は使わないからさぁ? 俺のトラースキックを見ててくれよ!」
プーアル「期待してますよ、ヤムチャ様!」
リュウ「おっと、危ね危ね……また遅刻ギリギリだ……」
ケン「まぁ、今日は圧倒的に勝ってよぉ? 気分良く飲みに行こうぜ!」
プーアル「……おっ、二人が来ましたね」
ヤムチャ「……そうだな」
700 :
リュウ「おい、新入り……おめぇ、今日はどうするつもりなの?」
ヤムチャ「俺が先鋒で行って……バイソンさんにそこそこのダメージを与えます」
ケン「……おめぇが出来るの?」
ヤムチャ「大丈夫っす。みっちり、打ち合わせしましたから」
リュウ「まぁ、サガット達と打ち合わせしたんだったら、大丈夫だろ……」
ヤムチャ「俺がバイソンさんにダメージを与えたら……タッチされたバルログさんから、攻撃を受けてダメージを受けます」
ケン「……で、俺に交代するのね?」
ヤムチャ「そうです。後は、お二人が格好いい所を見せて下さい」
リュウ「おうおう……なんだ、おめぇもわかってきたなぁ? そうだよ、それでいいんだよ。てめぇの身の程をわきまえればなぁ!」
701 :
ーーー
ダン「さぁ、試合はいよいよ第五試合……今日こそ因縁に終止符をうてるか……空手軍団対シャドルー軍団の対決です!」
ワー、ワーワー!
ダン「女性の皆様! お待たせしましたっ! 我らがヒーロー、空手軍団……」
キャー、キャーキャー
ダン「リュウ選手! ケン選手! ヤムチャ選手の入場です!」
ワー、ワーワー
リュウ「よしっ! 行くぞケンっ!」
ケン「あぁ! 行くぞリュウっ!」
ヤムチャ「……うっしゃあ! 俺もやってやるぜオイっ!」
702 :
実況「さぁ、空手軍団の入場です! まずはリュウ! 今日こそはシャドルーを倒せっ!」
リュウ「よしっ! 行くぞっ!」
実況「次に、ケンっ! 今日も黄色い声援を浴びての入場だっ!」
ケン「見ておけっ! 今日は俺の格好いい姿を見せてやるぜ!」
実況「そして、最後にヤムチャ! いや?、今日のヤムチャ選手は、一段と気合が入っておりますっ!」
ヤムチャ「うるあぁっ! 今日こそはやってやるぞっ!」
リュウ「……どうしたんだ、こいつ?」
ケン「……余計な事する気じゃねぇだろなぁ?」
実況「さぁ、空手軍団が今、リングイ?ンっ!」
715 :
ダン「続きましては……プロレス界から世界征服を狙う……シャドルー軍団……」
ダン「サガット選手! バルログ選手! バイソン選手の入場です!」
ブー、ブーブー
バイソン「ヘイヘ?イ、リュウ君、ケン君、ヤムチャ君?! 今日もボッコボコにしてやるからよぉ!」
バルログ「貴方達の醜い姿を……お客さん達にしっかりと見ていただきましょう……」
サガット「……フッ」
ブー、ブーブー
実況「さぁ、シャドルー軍団の入場です! リングに上がってもいないのに、早挑発をしています! いやぁ、今日は酷い! 実に酷い!」
716 :
バイソン、カエレー
バイソン「うるせぇ! 俺は顔がいい奴をボコボコにするのが趣味なんだ! 黙ってろっ!」
バルログ、キモイー
バルログ「キモい……? 美しいの間違いじゃありませんかね……? 何を言っているんです、貴方達は……」
観客「サガット、おめぇはよぉ……!」
サガット「ん、どうした……? そこの君よ……この俺に、何か言いたいのか? よし、言ってみろよ……?」
観客「……えっ?」
サガット「……おい、どうしたゴラァ! 言いたい事があるなら、はっきり言えやゴラァ!」
観客「うっ……!」
サガット「どうしたゴラァ! おめぇは、俺を応援しようとしてたんじゃねぇのか! 男だったら、しっかり『シャドルー頑張れ』って言ってみろやぁ!」
観客「うっ、あの……頑張って下さい……」オドオド
サガット「よし、それでいい! じゃあ、おめぇの為に、あいつらボコボコにしてきてやるから……しっかり、俺達の活躍を目に焼き付けておけやぁ!」
実況「さぁさぁ、今日もシャドルー軍団は、お客さんに噛み付きながらの入場です! そして、シャドルー軍団……今、リングイ?ンっ!」
717 :
実況「さぁ、それでは解説の元さん、よろしくお願いします」
元「はい、よろしくお願いします」
実況「いやぁ、本日も始まってしまいましたねぇ……空手軍団とシャドルー軍団の抗争が!」
元「そうだね。でも、まぁ、今日はボスのベガ君がいないみたいだし……」
実況「そうですね。今日のシャドルー軍団は、サガット、バルログ、バイソンの三人です!」
元「空手軍団がここで、勝って……次にベガ君と戦う時の為に勢いをつけてもらいたいもんだね」
実況「そうですね! 空手軍団には、ここらで勢いをつけてもらいたいです!」
元「この前の試合で、リュウ君はベガ君に悔しそうな思いをしてたじゃない……?」
実況「あぁ、先日の試合でベガにやられて、リュウはかなり悔しがってましたねぇ!?」
元「あのベガ君に対する怒りは……今日の試合では、とりあえず、抑えておいてね……?」
実況「ベガに対する怒りは……ベガに直接ぶつけろという事ですね!?」
元「そうそう、やっぱり直接対決の時に使わないとね。こんな所で使ってたら、勿体ないよ」
実況「なるほど! では、空手軍団! そのベガを引きずり出す為にも……今日の試合は、是非勝ってくれっ!」
718 :
サガット「よ?し、バイソン、お前が先発だ!」
バイソン「よ?し、よ?し! 任せておきやがれ!」
実況「さぁ、シャドルーの先発は、バイソンです!」
リュウ「……よし、行ってこい」
ケン「……ほれ、ちゃっちゃといけ、ちゃちゃっと」
ヤムチャ「……うっしゃ! いくぞ、オイっ!」
実況「対する、空手軍団の先発はヤムチャ!」
元「……今日、ヤムチャ君、気合入ってるみたいだね」
実況「さぁ、先ずはヤムチャ対バイソン……どういった試合になるんでしょうか!?」
719 :
ヤムチャ「……よしっ!」
バイソン「……ヤムチャ君?」
ヤムチャ「……ん?」
バイソン「……オラァっ!」ガスッ
ヤムチャ「……ぐっ!」
実況「おぉ?っと、いきなりだ! いきなりバイソンの奇襲攻撃っ!」
元「……だから、ゴングが鳴ってからやりなさいよ。反則じゃないの」
ダン「おいっ! バイソン、何やってるんだ!?」
バイソン「ハハハ、早間抜け面の完成だな! よ?く、似合ってるぜ、ヤムチャ君!」
ヤムチャ「……ぐっ」ヨロヨロ
実況「おぉ?っと、バイソン高笑い! 悪びれる素ぶりすら、見せていませんっ!」
721 :
ブー、ブーブー
バイソン「ハハハ、 ブーイングが気持ちいいなぁ!」
ダン「おめぇは、毎回毎回、反則しやがって……」
バイソン「騙される方が間抜けなんですよ、騙される方が!」
ダン「あのなぁ……? ちゃんとゴングが鳴ってから……」
実況「早、バイソンがレフェリーと揉めています! 早いぞ、バイソン!」
元「まだ、試合も始まってないのにね……これは、間違いなく、反則の最短記録だね」
バイソン「そもそもゴングを鳴らすのが、遅いんっすよ! 俺のいきり立ったこの気持ちがちょっと、前に出ちゃっただけじゃないですか!」
ダン「……あのなぁ?」
ヤムチャ「いや、ダンさん……もういいっすよ……試合、始めましょうよ?」
ダン「……ん?」
実況「おっと……ここで、ヤムチャがレフェリーを制します!」
722 :
ヤムチャ「この人、バカだからさぁ……? そんな注意しても、聞くような人じゃないですよ……」
バイソン「……あぁ?」
ヤムチャ「それより、もう、ゴング鳴らして試合始めて下さいよ」
ダン「……おめぇ、大丈夫なのか?」
ヤムチャ「大丈夫っす! ゴング鳴らして下さい」
実況「おっと、ヤムチャは落ち着いているぞ!? ゴングを鳴らしてくれとレフェリーに指示しているのか!?」
元「バイソン君は、相手のペースをかき乱すのが得意だからね……そうだよ、一旦落ち着くのはいい事だよ」
バイソン「……この野郎」
ヤムチャ「……ダンさん、よろしくお願いします」
ダン「よし、じゃあ、ゴング鳴らせ! 試合開始だっ!」
実況「さぁ、ここでゴングが鳴らされました! 今、試合開始ですっ!」
723 :
ヤムチャ「よっしゃ、 行くぞっ!」パチパチ
バイソン「来やがれっ! この野郎!」
ヨーシ、イケー! ヤムチャー!
実況「さぁ、ヤムチャが二度三度手を叩き、お客さんを煽っていきます!」
元「落ち着いて、自分のペースに持ち込んで行ってますね……いいですよ」
ヤムチャ(俺は、トラースキックでバイソンさんに、ダメージを与えて交代しなければならない……)
バイソン「……」
実況「さぁ、今、ヤムチャがバイソンを中心に円を描くような動きをしながら、慎重に距離を測っております!」
ヤムチャ(トラースキックは俺の必殺技……お客さんが期待した瞬間に見せなければいけない……)
バイソン「……」
ヤムチャ(お客さんが期待した瞬間……つまり、それは今みたいに、お客さんが俺に声援を送っている瞬間だ……)
ヤムチャー! イケー!
ヤムチャ(打ち合わせで、トラースキックを打つ場所は決めたけど……上手く、そこにお客さんの声援を持ってこれるかがポイントになる……)
バイソン「……」
ヤムチャ(……って、サガットさんは言ってたよな。とにかく、今日は周りを冷静に見よう)
724 :
ヤムチャ「よしっ、行くぞ!」
バイソン「!」
ヤムチャ「うるあぁっ! 喰らえぇっ!」シュッ
実況「ここで、ヤムチャが仕掛けた! ヤムチャのハイキックだ!」
バイソン「……フンっ!」ガッ
実況「だが、これをバイソンはブロック! 上手く防御したぁ!」
元「うん、肩で上手く防御したね」
ヤムチャ「……くそっ!」
バイソン「おいっ、どうした! そんなもんかぁ!?」
ヤムチャ「……くそっ! オラァ!」シュッ
バイソン「……フンっ!」ガッ
実況「さぁ、ヤムチャがもう一度仕掛けたが……これも同じようにブロックされてしまう!」
725 :
バイソン「ヘイヘイ、どうした! ヤムチャ君よぉ!?」
ヤムチャ「……くっ!」
バイソン「なんだ、今の蹴りはよぉ!? 蚊トンボでも落としてんのか、あぁ!?」
ヤムチャ「……くそっ!」
実況「おぉ?っと、これはバイソン、余裕です! 大きく手を開き、自分には効いていないとアピールしております!」
ヤムチャ「くそっ……もう一発っ!」シュッ
バイソン「フンっ! どうしたぁ、おいっ!」ガッ
実況「さぁ、またしても、ヤムチャの蹴りがブロックされてしまったぁ! バイソン、奴はただの歯抜け野郎ではない!」
ヤムチャ「……だったら、この野郎」ダッ
実況「おっと……? ここで、ヤムチャがロープに走ったぞ!?」
726 :
ヤムチャ「よしっ、行くぞっ……ぶっ飛ばしてやる……!」
バイソン「ヘイヘイ来いよ! もやしっ子ちゃんよぉ!? 今度は何だ、タックルか!?」
ヤムチャ「その通りだよ……うおおぉぉっ……!」
実況「さぁ、ヤムチャがロープの反動をつけての……」
ヤムチャ「……うるああぁぁっ!」ドスッ
バイソン「……フンっ!」
実況「ショルダータックルっ! だが、バイソン、これも耐えるっ!」
727 :
バイソン「どうしたぁ! そんなもんかぁ!?」
ヤムチャ「……うるせぇ、舐めてんじゃねぇよ! もう一発だっ!」
バイソン「面白れぇ、来いよっ!」
ヤムチャ「……うおおぉぉっ!」
実況「さぁ、再びヤムチャがロープに走ったっ! 一度でダメならもう一度っ! 再びバイソンに仕掛けるっ!」
ヤムチャ「うるあぁっ! ショルダータックルだあぁぁっ!」ドスッ
バイソン「ぐっ……おっと……」ヨロッ
実況「おっと、おっと! 少し、バイソンがよろけたか!?」
元「いいんじゃないですか? 効いてますよ、コレ」
728 :
ヤムチャ「どうしたぁ、オイっ! 効いてんじゃねぇか、この野郎!」
バイソン「……まぐれ当たりで、嬉しそうになりやがって」
ヤムチャ「しゃあぁ! もう一発だ!」
実況「さぁ、ヤムチャが気合を入れたっ! そして、再びロープに走るっ!」
ヤムチャ「……うおおおぉぉっ!」
ヨーシ! イケー、ヤムチャー!
ヤムチャ「喰らえっ……! ショルダー……」
バイソン「そう何発も喰らってやると思うなよ!? このクソ餓鬼めっ!」
ヤムチャ「……えっ?」
729 :
バイソン「うるぁっ! アックスボンバーだっ!」ガスッ
ヤムチャ「……グガッ」
実況「おぉ?っと! ここで、バイソンのアックスボンバーだっ! ロープから返ってきたヤムチャにカウンターのアックスボンバーをくらわせたっ!」
元「……ちょっと、ヤムチャ君の攻めが単調になりすぎちゃったね。バイソン君は狙ってたよ、きっと」
実況「さぁ、カウンター気味のアックスボンバーをくらい……ヤムチャ、大きくダーウン!」
元「……そういや、今のアックスボンバーはちゃんと肘をぶつけてたね」
バイソン「余裕ぶって、調子に乗りやがって、このクソ餓鬼が……俺はおめぇみてぇな奴が、一番嫌いなんだよぉ!」
ヤムチャ「くっ……くそっ……」
実況「さぁ、ここで、ダウンしているヤムチャに、バイソンがゆっくりと近づいていきますっ!」
734 :
バイソン「……おらぁっ!」ガスッ
ヤムチャ「……ぐっ!」
実況「さぁ、バイソンがヤムチャを大きく踏みつけます!」
バイソン「……調子に乗ってんじゃねぇぞ、この野郎! えぇっ!」
ヤムチャ「!」
実況「おっと、ここでマウントポジションっ! バイソンはヤムチャの上にのしかかり、抑えつける!」
バイソン「おめぇは黙ってやられてればいいんだよっ! こうやってなぁ!? オラオラァっ!」ガスガス
ヤムチャ「ぐっ……ぐぐっ……」
実況「そして、ヤムチャにパンチの連打連打だっ! ヤムチャも懸命にガードをするっ!」
735 :
バイソン「オラっ! 死ねっ!」ゴスッ
ヤムチャ「……くっ」
バイソン「……ガードしてんじゃねぇよっ! ホラ、手ぇどけろっ!」ゴスッ
ヤムチャ「ぐぐっ……」
実況「さぁ、バイソンのラフ殺法! ヤムチャ、なんとか耐え凌げるかっ!?」
元「何発かいいの入ってるからね……ちょっとマズいね……」
バイソン「オラオラっ! 死ね、このクソ餓鬼がっ!」ガスガス
ヤムチャ「くっ……くそっ……!」
ダン「おい、バイソン! 拳はやめろっ! 拳で殴るのはよぉ!」
バイソン「……あぁ?」
736 :
ダン「拳で殴るのは反則だっ! やるんだったら、肘をを使えっ! ここでよぉ?」チョンチョン
バイソン「……あぁ?」
実況「おっと、レフェリーが自分の拳と肘を指差し、バイソンに何か言っておりますが……」
元「……バイソン君、拳で殴ってるからね。反則だよ。プロレスだったら、肘でいかなきゃ」
実況「おっと、おっと! これはラフ殺法とでも言えばいいのでしょうか!?」
ダン「わかったな、バイソン!? 肘だっ! 肘でやる分にはいいが……拳でだったら、反則だ!」
バイソン「俺に指図すんなやゴルァ! 知るかよ、そんな事はよぉっ!」ガスガス
ヤムチャ「ぐっ……ぐぐっ……」
実況「だがしかし、バイソン! レフェリーの制止も聞かずに構わず拳でヤムチャを殴り続ける!」
737 :
バイソン「オラオラ、どうだ!? おめぇはこうやって黙ってやられてればいいんだよぉ!」ガスガス
ヤムチャ「ぐっ……くそっ……」
ブー、ブーブー
実況「さぁ、ラフ殺法で攻めているバイソンに、会場からはたまらずブーイング! だがしかし、バイソン、容赦ありません!」
バイソン「オラオラ、舐めやがって、この野郎……調子に乗ってんじゃねぇぞっ!」ガスガス
ヤムチャ「うっ……くそっ……」
ダン「バイソンいい加減にしろっ! お前、反則負けにするぞ!?」
バイソン「拳で殴るのは反則なんだな……? だったら、違う攻め方したら、文句ねぇんだな!?」
ダン「あぁ、拳で殴らなければ、オッケーだ!」
738 :
バイソン「……だったら」ググッ
ヤムチャ「うっ……ぐっ、ゲホっ……」
実況「おっと、ここでバイソンがヤムチャを首を締めたっ! ラフ殺法が、どんどん過激になっております!」
バイソン「オラ、 このまま死にやがれっ……!」
ヤムチャ「ガ、ガガッ……」
実況「さぁ、首を締めたまま、ヤムチャの頭を何度もリングに叩きつける! これはヤムチャもピンチか!?」
元「……結構、スタミナ奪われてると思うよ。何とかしなきゃ」
ダン「おい、バイソン! おめぇ、何やってんだよ!?」
バイソン「拳で殴るのが反則なんだから……こうやって、首締めてんじゃねぇかっ!? 見りゃわかるだろっ!」
739 :
ダン「おめぇ、そういう事じゃねぇだろうが! とにかく、やめろっ! 本当に死んじまうぞっ!」
バイソン「こっちは殺す気でやってんだよぉ!? 邪魔すんじゃねぇ!」ググッ
ヤムチャ「ガッ……グッ……ゲホっ……」
ダン「もういいっ! とにかくやめろっ……! いいから、やめろっ……!」
バイソン「何だ、てめぇ!? 邪魔してんじゃねぇぞ!?」
実況「おっと、この攻撃には、流石にレフェリーも身体を張って、制します」
元「うん。そもそも拳で殴るのが反則だったしね」
ダン「ほら、離れろっ……! 一旦、落ち着け……バイソンっ……!」グイグイ
バイソン「何で止めんだよ、糞が! おいっ、邪魔してんじゃねぇよ!?」
ヤムチャ「うっ……ううっ……」
740 :
ダン「いいから、落ち着け、バイソンっ! あのなぁ……?」
バイソン「あぁっ!?」
ダン「拳で殴るのも……首を締めるのも、反則だ! おめぇ、知ってんだろが!」
バイソン「あいつが俺を舐めた態度を取ったから、思い知らせてやっただけだよ! なんか、文句あんのか!?」
ダン「……だからといって、反則を使っていい理由にはならない。 一旦、頭を冷やせ」
バイソン「あぁ!? 誰に向かって文句言ってんだ、ゴルァ! なんだったら、おめぇからぶっ飛ばしてやろうか!?」
ダン「お、おいおい……ちょっと待てよ……俺は関係ねぇだろが……」
実況「おっと……バイソン、かなりヒートアップしている模様です。バイソンの怒りはまだ収まらないか!?」
元「……おっ」
ヤムチャ「うっ……くそっ……」ムクッ
741 :
バイソン「おめぇは、俺の邪魔しただろ!? だったら、俺の敵なんじゃねぇのか、えぇっ!?」
ダン「ま、待てよ……俺はレフェリーだよ……中立の立場だから、落ち着けって……」
ヤムチャ「ううっ……くそっ、好き勝手にやりやがって……」ヨロヨロ
実況「おっと、ここでヤムチャが立ち上がったぞ! 足元はフラついているが……これは、大丈夫なのか!?」
元「まぁ、かなりスタミナ削られたみたいだしね……でも、これチャンスじゃないですか?」
バイソン「中立の人間がなんで、俺を止めんだよ! おめぇ、邪魔したじゃねぇか!?」
ダン「だから、おめぇが反則技を使ったのがそもそもの問題でな……」
ヤムチャ「この野郎……好き勝手にしやがって……」
実況「さぁ! ここで、ヤムチャがレフェリーと揉めて、ガラ空きになっているバイソンの背後に狙いを定めたっ!」
元「チャンスっ……! 行けっ……! 行けっ……!」
742 :
ヤムチャ「……うるああぁぁっ!」ドスッ
実況「さぁ! これはドロップキックか……? ヤムチャの飛び蹴りが、ガラ空きになったバイソンの背中を捉えたっ!」
バイソン「ガッ……! うおっ……!」
ダン「お、おいっ……! バイソン、こっちに倒れこんでくんじゃねぇよ! う、うわぁっ!」
実況「さぁ、バイソンを背後からの飛び蹴りで、ダウンさせるっ!」
元「あれ……? 今、レフェリーの人、巻き込まれなかった……?」
バイソン「いてぇ……くそぉ……なんだ、なんだ……?」
ヤムチャ「……おらあぁぁっ!」ドスッ
バイソン「……グガッ!」
実況「さぁ、そしてエルボードロップ! うつ伏せに倒れたバイソンの背中に、強烈な肘を突き立てる!」
743 :
ヤムチャ(ここからだ……ここから……)
バイソン「ううっ……くそっ……」ムクッ
実況「さぁ、ここでバイソンが起き上がったが……少し、ダメージを受けてしまったか……?」
ヤムチャ(ここから……盛り上げなければいけない……大丈夫だ……きっと出来るはず……)
バイソン「……この野郎、不意打ちか? 汚ぇ奴だな、おめぇはよぉ」
ヤムチャ「……うるああぁっ! 行くぞ、バイソンっ!」
バイソン「……あぁ?」
実況「おぉ?っと! ヤムチャが叫んだ! 吠えたっ! まだまだ、ヤムチャは死んではいないっ!」
745 :
ヤムチャ「……うるあぁぁっ!」シュッ
バイソン「くっ……!」
実況「ヤムチャのハイキックっ! だが、これはバイソン、ブロックっ!」
ヤムチャ「うるあぁっ! もう一発っ!」シュッ
バイソン「バカの一つ覚えだな……ったく……ん……?」
ヤムチャ「うるあぁっ! ミドルキックだっ!」
バイソン「しまった……! フェイントか……グッ……!」
実況「おっと、これはミドルキックだっ! バイソンの脇腹に突き刺さったっ!」
元「ハイキックから、変化しましたね」
ヤムチャ「どうだっ!?」
バイソン「うっ……くそっ……」ヨロッ
オー!イイゾー! ヤムチャー!
実況「おっと、バイソンが少し、フラついたか!?」
746 :
ヤムチャ「よしっ……! ぬんっ……!」グイッ
バイソン「くっ……うおっ……」
実況「さぁ、そしてここでヤムチャがバイソンを持ち上げて……」
ヤムチャ「……うるあぁっ!」ドシーンッ
バイソン「……ぐわっ」
実況「強引に落としていったぁ! 荒々しいボディスラムだっ!」
ヤムチャ「よしっ……!」
実況「おっと……? ここで、ヤムチャが少し体制を低くして構えたぞ? これは、何か狙っているのか!?」
元「う?ん……? そうなのかなぁ?」
747 :
ザワ……ザワ……
ヤムチャ(大丈夫……歓声ではないけど……やっぱり、反応があるって事は……大丈夫なはずっ……!)
バイソン「うっ……ううっ……」
実況「さぁ、ヤムチャが、冷静にバイソンの動きを観察しているっ! 一体、何を狙っているのか!?」
元「多分、起き上がりのタイミングに合わせて……何か仕掛けるつもりなんじゃないかな……?」
バイソン「……ううっ」ムクッ
ヤムチャ(よしっ! 今だっ……!)ググッ
バイソン「……んっ?」
実況「おっと……! ヤムチャが動いたぞっ!?」
748 :
ヤムチャ「……うおおぉぉっ!」スパーンッ
バイソン「な、なんだと……?」
実況「おぉ?っと! これはトラースキックだっ! バイソンの起き上がりのタイミングを見計らって、ぶち当てたぁ!?」
元「いいですよ! 起き上がりのカウンター気味に入ったし……いいの入りましたよ!?」
実況「バイソンも大の字ですっ! 確実に急所を捉える、ヤムチャのトラースキックだぁ!」
バイソン「ぐ、ぐはぁ……」バターンッ
ヤムチャ(ど、どうだっ……!?)
749 :
オー! ヤムチャー! イイゾー!
ヤムチャ(よ、よしっ……!)
バイソン「……ぐっ」
ヤムチャ「よしっ……次はフォールだっ!」
実況「さぁ、ここで仕留めるか!? ヤムチャがフォールに入ったぁ!」
ヤムチャ「レフェリー! カウントをお願いしますっ!」
バイソン「……」
ヤムチャ「あれ……レフェリー……? カウント……」
バイソン「……」
ヤムチャ「あれ……? レフェリーが……いねぇぞ……?」キョロキョロ
実況「おっと、これはどういう事だ!? レフェリーがリング上にいない! レフェリーがいないぞ!?」
750 :
ダン「いてて……くそっ……バイソンの野郎……」
観客「おい、何やってんだよ! カウント取りに行けよ! 何、やってんだ!?」
ダン「ちょっと待て……頭、打ったんだ……ちょっとだけ待ってくれ……」
実況「おぉ?っと、 レフェリーは場外にいました! しかし、どうしてあんな所にいるんでしょうねぇ、元さん?」
元「え?っと……さっきのヤムチャ君のドロップキックの時だね」
実況「……ドロップキックの時?」
元「バイソン君が前のめりで倒れて……レフェリーを巻き込んでしまったの。そのせいで、彼は場外に落下しちゃったんだね……」
実況「おっと、そういえば……少し、頭を抑えてますね……大丈夫なんでしょうか……?」
観客「おい、何やってんだ! 早くリングに上がれっての!」
ダン「よし、よし……おぉっ、もう大丈夫だ……! よしっ、行くぞっ!」
751 :
実況「さぁ、ここでレフェリーが、リング上に戻ります!」
ヤムチャ「何処行ってたんっすか! 早くカウントして下さいよ!」
ダン「お、おう……悪いな……よしっ! カウント取るぞっ!」
実況「さぁ、ここでようやくレフェリーがカウントを取ります!」
ダン「ワンっ……! ツーっ……!」
バイソン「……フンッ」グッ
ヤムチャ「……うおっと!」
ダン「カウントはツーだ! ツーカウントだっ!」
実況「おっと……少し、バイソンに回復の時間を与えてしまったか? カウントツーでバイソンは返していきます!」
元「レフェリーがすぐカウントいければねぇ……ちょっと、勿体なかったね」
758 :
バイソン「くっ……」ヨロヨロ
実況「さぁ、何とかバイソンが立ち上がった、が……」
元「うん。結構ダメージが残ってるみたいだね。チャンスだよ」
ヤムチャ「よしっ……! ここがチャンスだ、行くぞっ……!」
バイソン「くそっ……舐めやがって……」
ヤムチャ「……うおおおぉぉぉっ!」バシーンッ
バイソン「……ぐっ!」
実況「さぁ、ヤムチャが張った、張ったぁ?! 胸元にキツい逆水平チョップをお見舞いだぁ?!」
ヤムチャ「次は蹴りだっ! うおおおぉぉっ!」シュッ
バイソン「……ぐっ!」フラッ
実況「そして、お次はミドルキックっ! いいぞ、バイソンが苦悶の表情を浮かべているっ!」
759 :
ヤムチャ「……次は持ち上げて」ググッ
実況「そして、ヤムチャが掴みにかかったっ!」
ヤムチャ「……うおおおぉぉっ!」
バイソン「くっ、この野郎……させるかよ……」グイッ
ヤムチャ「ん……? う、うおっ……」
実況「おっと、ここでバイソンが耐えます! ヤムチャの頭を脇の下に抱え、スープレックスにいかせませんっ!」
ヤムチャ「お、おいっ……この野郎っ……」
バイソン「うおっ……くそっ……くそっ……」ヨロヨロ
実況「おぉ?っと、そして二人はもつれるようにコーナーの方へ!」
760 :
サガット「バイソン、こっちだっ!」
バルログ「早く、来なさい!」
バイソン「おうっ……!」ドスッ
ヤムチャ「……ん?」
実況「さぁ、そのままバイソンは自軍コーナーの方へとヤムチャを引き連れて戻りました」
バルログ「そのまま、抑えていなさいっ! 次は私が行きますっ!」
バイソン「おう、バルログ……頼んだぜ……」
ヤムチャ「……えっ?」
実況「おっと、ここでバルログが強引にタッチします! ここで試合権はバルログに移った! バルログがリングインっ!」
761 :
バイソン「よし、バルログ……やってくれ……」
バルログ「えぇ、しっかり、抑えつけておいて下さいよ……」
ヤムチャ「おい……ちょっと待てよ……離せよ……」
バルログ「……ヒャオっ!」ゴスッ
ヤムチャ「……痛ぇっ!」
実況「おっと、おっと! ここで、バルログがヤムチャのガラ空きになった脇腹に、エルボー攻撃を喰らわせる!」
元「バイソン君が、まだヤムチャ君を押さえつけてるからね……連携攻撃だ」
バイソン「よし……いいぞ、バルログ……やっちまえっ……!」
ヤムチャ「おいっ……ちょっと、待て……離せよ、この野郎……」
バルログ「……ヒャオっ!」ゴスッ
ヤムチャ「……痛ぇっ!」
762 :
バルログ「……ヒャオっ!」ゴスッ
ヤムチャ「……ぐっ!」ガクッ
実況「おぉ?っと! ヤムチャが片膝をついた!」
元「う?ん……バイソン君をいい具合に追い詰めたんだけどね……上手く逃げられて、捕まっちゃったね……」
バルログ「よし……そろそろ、いいでしょう。バイソン、貴方は下がって、休みなさい……」
バイソン「おう、後は任せたぜ、バルログよぉ!」
ヤムチャ「うっ……くそっ……」
バルログ「……さぁ、ヤムチャ君、こっちへ来るのですよ」
ヤムチャ「うぅ……くそ……リュウさん、ケンさん……」ヨロヨロ
実況「さぁ、そして……ここで、バルログがヤムチャを引き連れて……ロープ際へと移動するぞ……」
元「ヤムチャ君、苦しそうですねぇ……手を伸ばしてリュウ君と、ケン君に交代したそうにしていますよ」
763 :
バルログ「……ヒャオっ!」
ヤムチャ「……ん?」
実況「おぉ?っと、ここで、バルログがセカンドロープに飛び乗りっ……!」
バルログ「……ヒョオオオォォっ! ヒャオっ!」
ヤムチャ「えっ……えっ……うおおっ……おおおっ!」
実況「そのままロープの反動を利用した、スイングDDTだっ! ヤムチャの脳天がマットに突き刺さるっ!」
バルログ「……よしっ! とどめを刺してあげましょう! この私の美しい技でね?」
ヤムチャ「ううっ……くそ……もう、ダメだ……」バタッ
実況「さぁ、そして大の字にダウンしているヤムチャを尻目に……バルログがコーナーポストの方へ移動します!」
764 :
バルログ「……フッ」
実況「さぁ、バルログがコーナーポストの上で、決めているっ! 格好をつけているっ!」
元「凄いですね……あんな、不安定な場所でよくあんなポーズして、バランス取れますよねぇ……」
バルログ「さぁ、ヤムチャ君……早く起き上がりなさい……美しいショーの幕開けです……」
ヤムチャ「ううっ……くそっ……」
実況「慎重にヤムチャに狙いを定めているっ! だがしかし、そんなに格好をつけなくてもいいのではないか、バルログ!」
元「……ほら、バルログ君、ナルシストだから」
ヤムチャ「ううっ……」ムクッ
バルログ「……フッ、いいですよ。起き上がりましたね」
ヤムチャ「ううっ……くそっ……もうダメだ……ここはケンさんに交代しよう……」フラフラ
766 :
ヤムチャ「ううっ……ケンさん……」ヨロヨロ
リュウ「おいっ!」
ケン「ヤムチャぁっ!」
ヤムチャ「わかってます……今、交代しますから……」ヨロヨロ
リュウ「そうじゃねぇっ!」
ケン「後ろだ、後ろっ! バルログを見ろっ!」
ヤムチャ「……えっ?」
バルログ「フッ……ヒョオオオォォッ!」シュッ
実況「バルログが跳んだああぁぁっ! 交代しに行こうとコーナーへ戻ったヤムチャの背中を狙い撃ちだああぁぁっ!」
元「コーナーの対角線上まで、飛んでますよ!? あんな勢いついたミサイルキック喰らったら……」
バルログ「ヒャアアァァオッ!」ドスッ
ヤムチャ「うおおおぉぉっ……! ぐああぁぁっ!」
実況「鋭いミサイルキックがヤムチャの背中に命中っ! ヤムチャは、そのまま吹っ飛んだあぁっ!」
元「あっ……でも、リュウ君達の元に近づけましたね? 幸か不幸かは、わかりませんけど」
767 :
バルログ「フッ、どうでしたか……私の美しいミサイルキックは……」
ザワ……ザワ……
バルログ「おっと……今回はいつものブーイングではないのですね……だがしかし、もっと声援を送っていただきたいものです……」
ケン「……よし、ヤムチャ、次は俺が行くっ! お前は休んでろ!」
ヤムチャ「うっ……ううっ……」
実況「おっと、ここでケンが強引にヤムチャにタッチ! 試合権利はケンへと移ります!」
元「……吹っ飛んだ位置が幸運だったね」
ケン「オイっ、バルログ! 次は俺が相手だっ!」
バルログ「……ん?」
実況「さぁ、ここで交代した、ケンが今、リングインしようと……いや、おっと! これは!」
768 :
ケン「よっと……」ヒョイッ
バルログ「……何!?」
実況「ケンが一度、トップロープの上に飛び乗り……」
ケン「よっとっ……飛び技使えるのは、おめぇだけじゃねぇんだよ!」
バルログ「くっ……醜い者めが……出しゃばった真似を……」
実況「そして、ロープの反動をつけて……飛んだああぁぁっ!」
ケン「うるああぁぁっ! ミサイル竜巻旋風脚だああぁぁっ!」ズガーッ
バルログ「ぬっ……ぐ、ぐわあぁっ……!」
実況「これはスワンダイブ式のミサイル竜巻旋風脚っ! バルログの正面から、ぶち当てたぁっ!」
元「いいですね。シャドルーに傾きかけた嫌な流れを、払拭できたんじゃないですかね?」
769 :
バルログ「……ぐぐっ」
ケン「ヘイヘイヘイ! 行くぞ、オイっ!」
オー! イケー! ケーン!
実況「さぁ、ケンがお客さんを煽っていきます! この声援もケンの力へとなるかぁ!?」
ケン「よっしゃっ! バルログ、立てやコラっ!」
バルログ「……ううっ」ヨロヨロ
実況「さぁ、ダウンしているバルログを起こして……そのまま、担ぎ上げるっ……!」
ケン「……うおおぉぉっ!」グイッ
バルログ「くっ……くそっ……」
実況「さぁ、ケンはバルログ高々と持ち上げたぁっ! ここから、どうするっ!?」
770 :
ケン「うるあぁぁっ! ファルコンアローだっ!」ドスーンッ
バルログ「……ぐっ!」
実況「さぁ、そのまま前へと落としていった、ファルコンアローっ! バルログの背中がマットへ叩きつけられるっ!」
ケン「よし! レフェリー、このままフォールだ!」
ダン「よしきた、任せろっ!」
実況「さぁ、そしてそのままフォールへ! 今、カウントが取られますっ!」
ダン「……ワンっ!」
ケン「よし、このまま……ん……?」
ダン「……ツーっ!」
ケン「う、うおっ……!」バッ
実況「おっと、どうした事でしょう? ケンがバルログのフォールを、自らときました!」
771 :
ダン「おい、何かやってんだよ、ケン……今のはおめぇが勝手にフォールといたんだぞ? 俺、悪くねぇぞ……?」
ケン「おい、レフェリー……あっちのコーナー見てくれよ……?」
ダン「コーナー……? ん……?」
サガット「……」
ダン「お、おいっ……! サガット! おめぇ、なんでそんな所に昇ってんだよ!?」
実況「おっと、コーナーの上にはサガットがいました! 何か狙っているんでしょうかねぇ?」
元「……多分ね。あのままケン君が技とかなかったら、あそこから跳んできて、何か技を仕掛けてきただろうね」
ダン「おい、サガット、降りろっ! そんな所に昇るんじゃねぇっ!」
サガット「……わかった、素直に降りようか」
実況「ここで、サガットはコーナーポストから、降りますっ!」
元「シャドルーは、ピンチになるとすぐ動いてくるからね……フォールに行く時は、そういう所も気を使わないといけないよね」
772 :
ダン「よし、ケン……もう大丈夫だ……試合を続けていいぞ……」
ケン「……チッ、今ので決めれたのによぉ」
バルログ「うっ……ううっ……」ムクッ
ケン「……バルログ、起きちまったじゃねぇかよ」
実況「さぁ、ここでバルログが立ち上がったぁ!」
元「でも、ダメージは受けてるみたいだねぇ」
ケン「まぁ、いい……こんな、死に損ない……倒すのは楽勝だろ……」
バルログ「ううっ……くそっ……くそっ……」
ケン「よっしゃあ! 行くぞ、バルログ!」
実況「さぁ、ケンが仕掛けたぁ!」
777 :
ケン「オラオラオラオラァっ!」ガスッ
バルログ「くっ……ううっ……」
実況「さぁ、ケンが蹴り蹴り蹴りィ! 蹴りのラッシュだ!」
ケン「オラっ、どうしたぁっ! バルログ、そんなもんかぁ!?」ガスッ
バルログ「くっ……くそっ……」
ケン「ほれ、脇腹がお留守だぞ!? うるあぁっ!」
バルログ「何っ……ぐっ……!」
実況「さぁ、これにはバルログも防戦一方だ! ケンの激しい蹴りのラッシュ!」
元「おっ、今いいの入ったんじゃないですかね? ケン君、いい感じですよ」
ケン「オラオラァ! どうしたどうした、バルログさんよぉ!?」ガスガス
778 :
バルログ「うぅ……ケン君……もう勘弁して下さい……」
ケン「……あぁ?」
実況「おっと、これはどうした事か!?」
バルログ「もう、私の負けです……貴方達、空手軍団の力はよく、わかりました……」
ケン「お、おい……おめぇ、いきなりどうしたんだよ……」
バルログ「お願いです……もう、許して下さい……私、これ以上、もう戦えませんよぉ!」
ケン「な、なんだ……こいつ……」
実況「おっと、なんという事だ!? なんと、バルログが命乞いをしています! ケンの前で跪き、命乞いをしています! これは、どういった事なんでしょうか!?」
元「う?ん……さっきの蹴りが、いい所に入っちゃたのかな……?」
779 :
バルログ「実は、私……本当は空手軍団に入りたかったんです……」
ケン「……あぁ?」
バルログ「しかし、私には病気の妹がいましてね……シャドルーに人質にとられているのです……」
ケン「……おめぇ、妹とかいたっけ?」
バルログ「妹が人質に取られているから……私は、好きでもないシャドルーで戦うしかないのです……」
ケン「……ふ?ん」
バルログ「ケンさん! どうか、私の妹を助けて下さい! シャドルーを倒して……私と妹を助けて下さいよぉ!」
ケン「そうか……おめぇ、そういう理由でシャドルーに……」
バルログ「……フッ、隙あり」ニヤッ
ケン「……ん?」
実況「おっとおっと! バルログが動いたぞ!?」
780 :
バルログ「……えい」プスッ
ケン「……ぐわあああぁぁぁ!」
実況「おぉ?っと、これは、サミング! 目潰しだ! バルログがケンの瞳に目潰しを仕掛けたぁ!」
ケン「ぐっ、うわあぁ……目が……目が……」
バルログ「……病気の妹? なんだ、それは。アホか」
実況「ケンは瞳を抑えて、かなり苦しんでおります!」
元「そりゃそうだよ……目を突かれたんだから……も?う、変に情けをかけちゃ駄目だよ、あんな人に……」
バルログ「フッ、目をやられて……苦しんでいる貴方の姿……素敵ですよ……」
ケン「くそっ……この野郎……」
ブー、ブーブー
実況「会場からは大ブーイング! そりゃそうだ! しかし、いいのか、バルログ!? 今のお前の姿は間違いなく格好よくないぞ!?」
781 :
バルログ「フッ、大丈夫です……今から、格好いい姿を見せますから……ヒャオっ!」
ケン「ううっ……くそっ……バルログの野郎……」
実況「おっとおっと! バルログがロープに走ったぞ!?」
バルログ「……ヒャオっ!」シュッ
実況「そして、セカンドロープに飛び乗り……跳んだあぁぁ!」
バルログ「……ヒョオオオっ!」ドスッ
ケン「……ぐっ!」
実況「そして、一回転をして、ケンの上へと背中から落ちる! ローリングセントーンっ! ケンにダメージを与えますっ!」
782 :
バルログ「……まだまだっ!」
実況「おっと、バルログはその勢いのまま、起き上がり……今度は逆側のロープへと走ったっ!」
バルログ「連続でお見舞いです……いきますよ……ヒャオっ!」
実況「そして、またもセカンドロープに飛び乗って……バルログが跳んだぁ!」
バルログ「……ヒョオオオっ!」ドスッ
ケン「……ぐ、ぐわあああぁぁっ!」
実況「ローリングセントーン二連発っ! バルログが縦横無尽にリング上を駆け巡るぅ!」
元「間髪入れずに大技のラッシュを仕掛けてきたね……バルログ君、やっぱり身体能力は凄いね」
783 :
バルログ「どうでしたか、お客さん……? 私の美しい攻撃は……」
ブー、ブーブー
実況「さぁ、バルログが両手を広げて大アピールっ! だが、会場はブーイングの嵐だ!」
元「そりゃそうだよ……だって、目潰ししてんだもん、彼……」
ダン「おいおい、バルログ……お前、さっきケンに目潰ししなかったか?」
バルログ「えっ、目潰し……? してないですよ……私がそんな醜い、反則技を使う訳ないでしょう……」
ダン「……お前なぁ?」
バルログ「大丈夫ですって……ほら、今から、ちゃんと戦いますから……ダンさん、邪魔しないで下さいよ……」
ダン「……反則技は使うんじゃねぇぞ?」
実況「さぁ、レフェリーがバルログに警告をしているようですが……」
ケン「……ぐっ、ううっ」
実況「やはり、先程の攻撃で大ダメージを受けたのでしょうか!? ケンはまだ苦しんでおりますっ!」
784 :
ヤムチャ「……あの、リュウさん?」
リュウ「……ん、どうした?」
ヤムチャ「今日は、ケンさんとバルログさん……チョップの打ち合いとかしないんですかね……?」
リュウ「……はぁ?」
ヤムチャ「いや、技を出す前には、そういう攻防して……お客さんを煽るんでしょ? 今日は二人、いきなり大技から入ってません?」
リュウ「……あのなぁ? お前が最初にバイソンとそういう形式の試合作ってねぇだろが?」
ヤムチャ「……へ?」
リュウ「どのタイミングでチョップの打ち合いするんだよ? 今からするのか? それで、お客さん盛り上がるのか、えぇ?」
ヤムチャ「え?っと……どういう事ですかねぇ……?」
786 :
リュウ「……ったく、この前の試合は、お前がケンに変わるタイミングで、同時に相手も交代しただろ?」
ヤムチャ「はい」
リュウ「今日は、どうだ? 同時に交代したか?」
ヤムチャ「え?っと……いや、バイソンさんがバルログさんに変わって、俺とちょっと戦いました」
リュウ「それで、ケンに交代したよな?」
ヤムチャ「……はい」
リュウ「同時の交代ではない……スタミナを少し、消費した人間と……スタミナ万全の人間の試合になるって事だ」
ヤムチャ「……ほうほう」
リュウ「今日は、前の試合と違って、25分決着じゃなくて、20分決着なんだ……何処かで5分の時間を削らなくてはならねぇ」
ヤムチャ「……ほうほう」
リュウ「そんな中、ちんたらチョップの打ち合いしてる時間ある? 大技から始めて……相手のスタミナを奪って交代させて、最後の人間に繋がなきゃいけねぇだろ?」
ヤムチャ「……なるほど」
リュウ「今日は、間髪入れずに、大技のラッシュをする試合なんだよ……そもそも、試合作ったのおめぇじゃねぇか……」
ヤムチャ「……へ、俺が?」
787 :
リュウ「……それよりさぁ?」
ヤムチャ「何ですか?」
リュウ「おめぇ、ドロップキックの時に、バイソンに背後から攻撃しただろ?」
ヤムチャ「あっ、はい……バイソンさんに、そう言われました」
リュウ「今日は、見逃してやるけど……次からはするなよ?」
ヤムチャ「……えっ、どういう事ですか?」
リュウ「汚ぇ手段は使うなって言ってんの。やるんだったら、正面から蹴れ。正面から」
ヤムチャ「……正面から?」
リュウ「あいつらは、ヒールだから、不意打ちでも構わねぇけどよぉ……俺達はベビーなんだよ。卑怯な手段、使っちゃいけねぇだろうが!」
ヤムチャ「……あっ、はい」
リュウ「おめぇ、自分の立場考えろや! バカとつるんで、変な戦い方覚えてるんじゃねぇよ!」
ヤムチャ「え?っと……す、すんません……」
788 :
バルログ「ヒャオっ!」
ケン「……ぐっ!」
実況「さぁ、バルログの高ブレーンバスター! 少し、ケンがやられている時間が長くなってきました!」
元「う?ん……あの、サミングから流れ変わっちゃったねぇ……」
バルログ「さぁ、ケン君……起きなさい……そして、走りなさい……」
ケン「ううっ……くそっ……」ヨロヨロ
実況「バルログが、ケンを引き起こし……そしてコーナーへ振ったぁ!」
ケン「……ぐっ!」
バルログ「……ヒャオっ!」
実況「そして、バルログも突っ込んできたぁっ! 串刺しのバックサンドエルボーがケンに突き刺さるっ! コーナーと肘との強烈なサンドイッチ!」
789 :
バルログ「さぁ! ケン君……コーナーで私のサンドバッグへとおなりなさいっ! ヒャオっ!」バシーンッ
ケン「……ぐっ!」
実況「さぁ、ここでコーナーに張り付いたケンに対して、逆水平チョップっ! コーナーマットを背にしているケンには、逃げ場がありませんっ!」
バルログ「連続でいきますよっ! ヒャオっ! ヒャオっ!」バシーンッ
ケン「ううっ……! ぐっ……!」
実況「さぁさぁ、逆水平チョップを、二連発……そして、三連発! ケンに連続で打ち込んでいきますっ!」
バルログ「フッ、やられている貴方の姿……なかなか美しいですよ……」
ケン「……ちくしょう。舐めんじゃねぇぞ」
バルログ「口だけは達者ですねぇ……もう、反撃する力も貴方には、残っていないでしょう……」
ケン「へへ、そりゃ、どうかな……? 空手軍団の底力……舐めてたら、痛い目に合うぞ?」
バルログ「……何?」
ケン「うおおぉぉっ! いつまでも、やられてると思うなよ! 行くぞっ!」
790 :
ケン「うおおおっ! 疾風迅雷脚っ!」ズガッ
バルログ「何……!? ぐわあぁっ!」
実況「おっと、ここでケンがいったぁ! 回し蹴りをバルログの脳天にブチ当てたぁ!」
元「疾風迅雷脚ですね!」
ケン「うるああぁぁっ! ここで、仕留めてやるぜぇっ!」
バルログ「ぐっ……ううっ……ぐぐっ……!」
実況「さぁ、ケンの疾風迅雷脚っ! 回し蹴りの連打で、バルログを押し込んでいくっ! バルログはもうリングの中央まで、押し込まれたぁ!」
バルログ「ぐぐっ……おおっ……」ヨロヨロ
ケン「まだまだだぁ! 向こうのコーナーまで、運んでやるぜぇ! オラオラオラっ!」
実況「さぁ、ケンの疾風迅雷脚は止まらない! 止まらないっ! まだまだ、バルログを押し込んでいくっ!」
791 :
ケン「オラオラオラオラっ!」
バルログ「こ、こいつ……まだ、こんな力が残っていたのか……」ドンッ
実況「さぁ、ついにバルログがコーナーまで追い詰められたぞっ!」
バルログ「何……!? ここは、コーナーか……」
ケン「うおおぉぉっ……! フィニッシュっ……!」
バルログ「何……!? しまった、逃げ場がない……」
ケン「うるああぁぁっ!」スガァッ
バルログ「……ぐわああぁぁ!」
実況「そして、ここでフィニッシュ! 竜巻旋風脚がバルログに突き刺さったぁ!」
元「いいですよ。コーナーまで、回し蹴りの連打で押し込んで……逃げ場のない状況へ持ち込んで竜巻旋風脚でフィニッシュ。いい連続攻撃ですね」
実況「我々はケンの意地を見たっ! ケンの必殺技の疾風迅雷脚で形成逆転か!?」
796 :
バルログ「ううっ……」バターン
実況「さぁ、バルログ、ダーウンっ! リング上で大の字だ!」
元「よしっ……決めちゃいましょう!」
ケン「ううっ……くっ……」フラフラ
実況「おっとおっと! だがしかし、ケンの脚元もフラついているぞ!? これは、フォールへ行けるのか!?」
元「ケン君っ……! 頑張ってっ……!」
実況「疾風迅雷脚で最後の力を使い果たしてしまったか!? おっと……!」
ケン「くそっ……後少しだってのに……もう、スタミナが……」バターン
実況「おっとおっと! ケンもここでダウンしてしまったぁ?!」
798 :
ダン「おいっ、ケンっ! バルログっ! おめぇら大丈夫か!?」
実況「さぁ、ここでレフェリーが両者を見回しております!」
元「お互い、起き上がれない程のダメージ受けてるんだし……10カウント決着になっちゃうのかねぇ……?」
ケン「……ううっ」
バルログ「……ううっ」
ダン「よし、カウント取るぞ! 1……2……!」
実況「さぁ、ここでレフェリーが、カウントを取り始めます! ケンとバルログ……どちらが先に立ち上がるのかぁ!?」
799 :
リュウ「ケン! あと少しなんだっ! しっかりしろっ!」
ヤムチャ「ケンさんっ……! 立って下さいっ……!」
実況「さぁ、コーナーにいる、リュウとヤムチャも、必死にケンに声をかけるっ!」
ケ・ン ! ケ・ン !
実況「さらに、会場のお客さんからも大ケンコールだっ! さぁ、ケン! この声援に応えられるか!?」
ケン「わかってるよ……今、立ち上がるから……ちょっと、待ってろや……」ググッ
実況「おっと、ここでケンが、動いたぞ!? 立ち上がれっ! さぁ、立ち上がるんだ、ケンっ!」
サガット「……バルログ、 何をしている! 早く立てぇ!」
実況「おっと、ここでサガットが叫んだぞ!?」
元「……寡黙なサガット君が、あんな風に感情出すなんて珍しいね?」
800 :
バルログ「くっ、サガット……貴方の声で目が覚めました……ありがとうございます……」ムクッ
実況「おっと! 先に立ち上がったのは、バルログ!」
バルログ「うぅ……ケン……」ヨロヨロ
実況「そして、フラつきながらも、ケンの元に歩み寄り……」
バルログ「ヒョオォォ……ヒャオッ!」ドスッ
ケン「……ぐっ!」
実況「ケンにエルボードロップをお見舞いだぁ!」
バルログ「はぁはぁ……これが私に出来る精一杯です……サガット……後は任せますよ……」ヨロヨロ
実況「さぁ、そしてフラついた足取りで、サガットへと交代しに行く!」
801 :
バルログ「サガット……任せました……」
サガット「よしっ……! 後は、俺が決めるっ……!」
実況「さぁ、ここでタッチが成立っ! 試合権はバルログからサガットに! サガットが今、リングインしますっ!」
元「このタイミングで、ケン君もリュウ君に交代したいよね」
リュウ「ケン、 こっちだ! 早く来いっ!」
ケン「あぁ……わかってるぜ、リュウ……」
実況「さぁ、ケンは這いずるように移動しながら……リュウの元へと歩み寄ります!」
サガット「フン……簡単に逃がしてやると、思うなよ……?」
802 :
サガット「……フンっ!」グイッ
ケン「ぐっ……うおおぉぉっ……!?」
実況「おっと、サガットがケンの足を取った! ケンの足を捉え、自分の胸元に抱え込むように捉えたっ!」
サガット「足を壊せば……もうチンタラ逃げる事は出来んだろう……なぁ、ケンよ?」
ケン「ぐっ、くそっ……離せ……離しやがれっ……!」
サガット「うおおおっ! フンっ……!」グイッ
ケン「!」
実況「さぁ、そしてケンの足首を締め上げる! アンクルホールドだっ! これはスタンディングのアンクルホールドだっ!」
サガット「……うおおぉぉっ!」グイッ
ケン「ぐ、ぐわあああぁぁぁっ!」
803 :
サガット「オラオラァ! どうしたぁ、ケンっ!」グイグイ
ケン「ぐっ……ううっ……!」
サガット「片足取られちゃ逃げられはしないだろう! おめぇはここで終わるんだよぉ!」
ケン「ぐっ、くそっ……舐めた事、言ってんじゃねぇぞ……」
サガット「舐めた事、言ってんのはどっちだ! うおおおぉぉっ!」グイッ
ケン「ぐ、ぐわああぁぁぁっ……!」
実況「さぁ、サガットが締め付ける締め付けるっ! ケンの足に狙いを定めた関節技だ!」
元「……キツいですね。サガット君は長身だから、ケン君殆ど宙づりみたいな状況になってますね……これは逃げにくいですよ……」
サガット「……オラァ! 早くギブアップしろや!」
ケン「ふざけんじゃねぇ……そんな格好悪い真似、出来るかよ……」
サガット「だったら、自分からしたくなるように締め付けてやるよ! オラァっ!」グイッ
ケン「ぐ、ぐわああぁぁぁっ……!」
804 :
実況「さぁさぁ、ケンの足に、どんどんダメージが蓄積されていきます!」
元「なんとか、ロープまで逃げたいけど……あの体制じゃ、ロープまで行くのも難しいからね……」
サガット「オラ、ケンっ! 得意の足を潰されたら、お前はもう終わりなんだよ! もう、無駄だから早くギブアップしやがれ!」
ケン「ぐぐっ……舐めてんじゃねぇよ……それに、足は二本あるんだぜ……?」
サガット「……はぁ?」
ケン「おめぇごとき……片足残ってりゃ十分だぜ……ボケっと突っ立って……狙いもつけやすいしな……?」
サガット「……減らず口だけは、達者な男だ」
ケン「減らず口じゃねぇ……こっちの足が残ってるんだよぉ! オラァ!」シュッ
サガット「ん……? う、うおっ……! 何っ……!?」
実況「おっと、ここでケンがサガットの顔面を蹴ったぁ! 捉えられていない方の足を使って、慎重に狙いを定めて、サガットの顔面に蹴りをぶち当てたぁ!」
元「いいですよ! サガット君、たまらず、手を外しちゃいましたね!」
実況「いいのが決まったかぁ!? サガット、ダウンします! ケン、なんとかアンクルホールドから逃れました!」
805 :
サガット「……ぐっ、くそっ」バターン
ケン「ちくしょう……好き勝手やりやがって……足、痛ぇな、コレ……」
リュウ「ケン、大丈夫か!? 俺に変われっ!」
ケン「あぁ、悪いがそうさせてもらうぜ……いい所譲ってやるんだから……決めろよ、リュウっ!」
リュウ「……勿論だっ!」
実況「さぁ、ここでケンはリュウへとタッチします! 試合権利はリュウへと移ったぁ!」
リュウ「……行くぞ、サガット!」
サガット「……ううっ」
実況「さぁ、そしてリュウはダウンしているサガットに近づいたぁ!」
806 :
リュウ「……はぁっ!」ドスッ
サガット「……ぐっ!」
実況「先ずは、エルボードロップっ! ダウンしているサガットに、強烈な肘をお見舞いだぁ!」
リュウ「まだまだぁ! もう一発行くぞ……! うおおっ!」ドスッ
サガット「……う、うぐっ!」
実況「そして素早く起き上がり……今度はジャンピングしてのエルボードロップだ! 今度は勢いをつけて肘を落としていく!」
リュウ「……もう一発っ! うおおぉぉっ!」
サガット「うっ……く、くそっ……」
実況「さぁ、リュウがロープへと走ったっ!」
807 :
リュウ「……だああぁぁっ!」
サガット「……ううっ」
実況「さぁ、ロープの反動をつけて、勢いをつけてからの……」
リュウ「……でりゃああぁぁっ!」ドスッ
サガット「……う、うぐっ!」
実況「エルボードロップっ! サガットに確実にダメージを与えていきます!」
リュウ「よしっ! このまま、決めるぞっ! うおおっ!」
オー! イケー! リュウー!
実況「リュウの間髪入れない連続攻撃、エルボードロップ三連発だぁ! そして、ここでリュウが気合を入れたぁっ!」
808 :
リュウ「起きろっ! サガットっ!」
サガット「……ううっ」ヨロヨロ
実況「そして、ここで、ダウンしているサガットを引き起こし……リュウが背後を捉えましたぁ!」
リュウ「……ドラゴンスープレックスで、仕留めるっ!」
サガット「くっ、させるか……させてたまるかよ……」
元「……ドラゴンスープレックス狙ってますね」
実況「だが、サガット! これを踏ん張る! 堪えて、スープレックスにいかせませんっ!」
サガット「くそっ、離せ……離しやがれ……!」
リュウ「……うおおぉぉっ!」グイッ
サガット「……う、うおっ!」
元「……よしっ! いったっ!」
実況「さぁ、ここでサガットの身体が持ち上がったっ!」
809 :
リュウ「ドラゴンスープレックスだあぁっ!」ドスーンッ
サガット「……ぐわぁっ!」
実況「リュウが巨体をぶん投げる! サガットの脳天をマットに激しく突き刺すっ!」
リュウ「……レフェリー!」
ダン「おうよ、 任せろっ! カウントとってやるぜ!」
実況「さぁ、そして、そのまま固めたぁ! 今、レフェリーがカウントを取ります!」
ダン「……ワンっ!」
リュウ「……よしっ!」
ダン「……ツーっ!」
バイソン「……うおおおぉぉっ! させるかよっ!」
実況「おっと、ここでバイソンが走った!」
810 :
ダン「……スリ」
バイソン「……うるぁっ!」ゴスッ
リュウ「……ぐっ!」
ダン「カウントはツーだ! ツーカウントだっ!」
実況「ギリギリです! 実にギリギリです! なんとか、バイソンのカットが間に合いました!」
バイソン「おい、サガット! しっかりしてくれよ! なんだったら、俺がこいつをやってやるからよぉ!?」
サガット「……うぅっ」
ダン「おい、バイソン……カットが終わったんだったら、とっとと戻りやがれ……」
バイソン「わかってるよ、俺に指図すんなや! おい、サガット……俺はコーナーでいつでも待ってるから……しっかりしろよ!?」
サガット「ううっ……すまない……」
815 :
実況「さぁ、寸前の所でバイソンがなんとかカット! 今、バイソンが大人しく、自軍コーナーへと戻っています」
元「う?ん……ケン君と、ヤムチャ君、ちょっと出遅れちゃったね……」
実況「そうですね」
元「まぁ、でもケン君は足をやられてるし……ヤムチャ君だって、バルログ君にダメージをもらって、疲れてるからね……仕方がないって言えば仕方がないんだけどね……」
実況「確かに! コーナーにいるケンとヤムチャは随分、辛そうにしていますね!?」
元「でも、それはシャドルーのバルログ君も同じ……ほら、さっき助けに来なかったでしょ?」
実況「おっ……? そうですね。バルログも随分と辛そうな表情をしています」
元「バイソン君のスタミナがちょっと回復しちゃったかな? 一歩、遅れをとっちゃったね」
実況「なるほど! だがしかし、ここでリュウがサガットを決めてしまえば、問題はないっ!」
817 :
リュウ「……サガット! 起きろっ!」
サガット「……ううっ」フラフラ
実況「さぁ、ここでリュウがサガットを引き起こした!」
リュウ「よし、たあぁっ! うるぁっ! でやぁっ!」ガスガス
サガット「ぐっ……うっ……くそっ……」
実況「さぁ、そして、蹴り蹴り蹴りィ! 蹴りのラッシュだっ! 確実にサガットを追い詰めていくっ!」
リュウ「よし、サガット……とどめにしてやる……ロープに行ってこいっ……!」ブンッ
サガット「……う、うおおぉっ!」
実況「さぁ、そしてここでサガットをロープに振ったぁ!」
元「……昇竜拳ですかね?」
818 :
サガット「ぐっ、この帝王が……この帝王が……こんなカスに……」
リュウ「……よし、カウンターで決めてやるっ!」グッ
実況「さぁ、リュウが構えた! 昇竜拳だっ! 昇竜拳を狙っているっ!」
サガット「舐めるな……この帝王を舐めるなよ、小僧……」
リュウ「……いくぞ、サガット!」
キャー! イケー! リュウー!
リュウ「うおおおっ! 昇竜拳っ!」
サガット「……舐めるなっ! タイガーアッパーカットだっ!」
実況「おっと、おっと! リュウの昇竜拳に対して……サガットもタイガーアッパーカットでぶつかったぁ!」
820 :
サガット「ガッ……グハっ……」
リュウ「何だと……!? ぐわぁっ……!」
実況「おぉ?っと、これは相打ちだ! 両者、相打ちだっ!」
元「……サガット君、意地見せたねぇ。自爆覚悟でタイガーアッパーカットでぶつかってきたよ」
実況「両者の得意の必殺技のぶつかり合いは、相打ちに終わったぁ! 両者、ダーウンっ!」
リュウ「うっ……くそっ……」
サガット「これが……帝王の意地だ……小僧め……」
ダン「おい、 おいっ! お前ら大丈夫か!? 10カウントとろうか!?」
821 :
ケン「リュウ、立ちやがれっ!」
ヤムチャ「リュウさんっ!」
リュウ「ううっ……」
バルログ「サガット、立って下さい!」
バイソン「おい、サガット! しっかりしてくれよ!」
サガット「ううっ……わかっている……わかっている……」
実況「さぁ、リュウとサガット……先に立ち上がるはどちらだぁ!?」
リ・ュ・ウ ! リ・ュ・ウ !
実況「勿論、会場からは、リュウコール! さぁ、リュウよ! 先に立って、サガットをぶちのめしてくれぇっ!」
823 :
サガット「……くっ!」ムクッ
実況「おぉ?っと! だがしかし、先に立ち上がったのは、サガット! サガットだっ!」
サガット「くっ、くそっ……随分とダメージを受けたしまったな……」ヨロヨロ
リュウ「……くっ」
サガット「少し……スタミナの回復の時間を、取らないとな……よし、リュウ! 起きろっ!」
実況「さぁ、そして……フラついた足取りでリュウの元に近づき、引き起こしたぁ!」
サガット「……オラァっ!」グイッ
リュウ「……ぐっ!」
実況「ここで、コブラツイスト! サガットは、コブラツイストをリュウに仕掛けますっ!」
824 :
実況「さぁ、サガット、お得意の関節技! リュウの脇腹にダメージを与えていきます!」
元「サガット君は、自分の長身を利用した関節技が得意だからね」
サガット「オラっ……オラっ……!」グイグイ
リュウ「……ぐっ!」
実況「さぁ、ジワリジワリと、リュウを痛めつける! ここで、リュウを決めてしまうのかっ!?」
元「いや、多分……決める気はないと思うよ……?」
実況「おっと……それは、どういう事ですか?」
ダン「リュウ、ギブアップか!? ギブアップするのか!?」
リュウ「いや、大丈夫だ……この程度の技なら、問題はない……今、振りほどく……」
サガット「……まぁ、頑張ってくれやリュウ」
826 :
元「サガット君は多分、スタミナ回復をするのが狙いじゃないのかな?」
実況「ほう……スタミナ回復……」
元「ほら、左手のクラッチも入れてないし……決めるまでの威力のコブラツイストではないよ、アレ」
リュウ「くっ、離せ……離しやがれ……」
サガット「ふぅ……汗が目に入って、痛ぇな……」ゴシゴシ
実況「おっと、その左手で、サガットが汗を拭っているのでしょうか? 確かに、何処か余力を残しているような技に見えますねぇ?」
元「必要最低限の力で、リュウ君に技をかける事によって……自分のスタミナを回復しながら……あぁ、やってリュウ君にダメージを与えているワケだね……」
実況「なるほど!」
元「やっぱり、体格が大きい分、かけられてる相手は逃げにくいからね……僕が、ああいう事やろうとしても、多分すぐ逃げられちゃうよ。上手いね」
リュウ「くそっ……離せ……離しやがれ……」
サガット「……おう、まぁ頑張れやリュウ。その間、こっちは休ませてもらうぜ」
827 :
リ・ュ・ウ ! リ・ュ・ウ !
実況「さぁ、会場からはリュウコールだ! リュウよ、このままではサガットの思う壺だ! なんとかしてくれ!」
リュウ「……おい、サガット。いつまで、技かけてんだよ? 早く、離せよ?」ボソッ
サガット「……」
リュウ「何で試合終盤で、こんな地味な技使ってんだよ……盛り下がるじゃねぇか……」ボソッ
サガット(そろそろ、いいかな……?)
リュウ「おい、聞いてんのか……早く離せって……」
リュウー! シッカリシロー!
サガット(よし……頃合いかな……?)チラッ
ヤムチャ「!」
829 :
リュウ「くそっ……離せ……離しやがれ……」
サガット「……ふぅ」ゴシゴシ
実況「さぁ、リュウがサガットに捕まっている時間が長くなってきました! サガットはスタミナ回復を狙っている! 再び汗を拭って、余裕の表情だ!」
ヤムチャ(サガットさんが、俺を見ながら、汗を拭った……これは、サインだ……)
ケン「サガットの奴、長ぇな……なんで、あんな地味な技、長々とやってんだよ……」
ヤムチャ(……よしっ! いくぞっ!)
ケン「……ん?」
実況「おっと、おっと! ここでヤムチャがリングインっ!」
元「そうだね、助けに行っちゃいましょう!」
ケン「おい、バカっ……! おめぇ、勝手に動いてんじゃねぇよ!」
831 :
ヤムチャ「うるああぁぁっ!」ガスッ
サガット「……ぐっ!」
リュウ「……えっ!?」
実況「さぁ、ここでヤムチャが、サガットに一撃をお見舞いして、サガットから救出っ!」
元「ヤムチャ君のスタミナも回復してきたようですね。バルログ君と、バイソン君……出遅れましたね」
サガット「くっ、この野郎……邪魔しやがって……」ワナワナ
ヤムチャ「うるせぇ、この野郎! 行くぞコラっ!」
サガット「……ん?」
実況「おっとおっと! 素早い動きで、ヤムチャがサガットの背後を掴んだ!」
832 :
ヤムチャ「うるああぁぁ! バックドロップだぁ!」
サガット「……う、うおっ!」ドスッ
実況「さぁ、荒々しいバックドロップっ! 強引な体制でサガットを背中から落としていったぁ!」
元「サガット君、折角スタミナ回復の時間を作ってたのに、これでパーですよ。残念でしたね」
ヤムチャ「リュウさんっ! ここで決めて下さいっ! 俺はあいつらを止めますっ!」
リュウ「おめぇ……何、勝手な事して……」
ヨーシ! リュウー! チャンスダー!
ヤムチャ「……よしっ! いくぞ、バルログ! バイソン! うおおぉぉっ!」
実況「さぁ、ここで分担作戦っ! ヤムチャがコーナーにいる、バルログとバイソンの元へと、突っ込んだぁ!」
834 :
ヤムチャ「うおおおっ! 先ずはお前からだ、ナルシスト野郎っ!」
バルログ「……甘いっ!」
ヤムチャ「うおっ……何っ……!?」
実況「おっと……これは、分担作戦失敗か!? ヤムチャの攻撃を、バルログがかわしたぁ!」
ヤムチャ「この野郎……逃がしてたまるかよ……」
バルログ「くっ……しつこいですね……醜い者めが……」
実況「だが、まだヤムチャは行くっ! バルログに掴みかかったぁ!」
元「おぉ……危ない危ない……縺れるようにして、状況に落ちましたね……」
実況「これは、分担作戦成功と言ってもいいのか……? だがしかし、バイソンはまだ残っているぞ!?」
835 :
バイソン「あの糞野郎……こうなりゃ、俺も場外でタコにしてやる……」
サガット「……うおおおおぉぉぉっ!」ムクッ
実況「おぉっと! ここで、サガットが怒号と共に起き上がったぁ! かなり、怒っています!」
サガット「この帝王に舐めた真似をしやがって……ヤムチャとか言ったな……あいつだけは許さんぞ……」ワナワナ
実況「おっと、サガットはリング上にいるリュウではなく、場外にいるヤムチャを見ている模様です!」
サガット「バイソン、交代だ! リング上ではお前が戦えっ!」
バイソン「えっ……? お、おう……わかった……」
サガット「俺は、舐めた真似をしてくれた……あいつを……殺すっ!」
実況「おっと、ここでサガットはバイソンに交代です! リュウには目もくれず、場外のヤムチャを追いかけに行ったぁ!」
元「……相当、さっきのバックドロップを喰らったのが、屈辱的だったみたいだね」
836 :
バイソン「よし……行くぞ……」
リュウ「おい、バイソン……お前ら、あいつに何か、ふっかけたんだろ……?」
バイソン「……もう少しで、試合が終わる。その事は、後で話そう」
実況「さぁ、リング上ではリュウ対バイソン! そして、場外では、ヤムチャが戦っている!」
バルログ「いきますよ……? 貴方のような、醜い者は……場外でダウンしているのが、お似合いです!」
ヤムチャ「上等だゴラァっ! かかってこいや!」
バルログ「ヒョオオォォ……ヒャオッ!」
ヤムチャ「うおっ……早っ……ぐっ……!」
837 :
バルログ「……場外は、マットと違って痛いですよ? ヒャオッ!」ドスッ
ヤムチャ「……ぐっ!」
実況「おぉ?っと! 解説の私……一体、何処を解説していいのかわかりませんっ! 場外でバルログがヤムチャにDDTを仕掛けた!」
ヤムチャ「ぐっ……うおっ……マットと違って、凄ぇ痛ぇ……」
バルログ「出しゃばった真似をするから、そういう目に合うのです……」
ヤムチャ「……ううっ」
サガット「おいコラ、そこの兄ちゃんっ! 椅子貸せや! 暫く、立って見ておけ!」
実況「おっとおっと、ここでサガットがパイプ椅子を持って……ヤムチャに狙いを定めている……! これは、ヤムチャ……場外で不味い事に、なってしまったか!?」
838 :
サガット「この野郎……舐めた真似をしやがって……死ねぇっ!」ゴスッ
ヤムチャ「……ぐっ!」
サガット「オラァっ! もう一発っ!」
ヤムチャ「……ぐわああぁぁぁっ!」
バルログ「お嬢さん……私にも、パイプ椅子を貸して下さい……申し訳ないですが、暫く立って見ていて下さいね……」
ヤムチャ「……ううっ」
バルログ「さぁさぁ、ヤムチャ君……貴方の醜い姿を皆さんに見ていただきましょう……ヒャオッ!」ゴスッ
ヤムチャ「……ぐわああぁぁぁっ!」
実況「おぉ?っと! 場外でヤムチャがパイプ椅子で滅多打ち! ヤムチャがピンチです!」
元「まぁ、でも試合権利は持ってないからね……極端な話、ヤムチャ君がやられても……リュウ君が勝てばいいんだよ……」
844 :
リュウ「うおおおぉぉっ!」ドスーンッ
バイソン「……ぐっ!」
実況「さぁ、一方、リング上ではリュウが優勢だ! バイソンをブレーンバスターで落としていきます!」
サガット「……オラァっ!」
バルログ「……ヒャオッ!」
ヤムチャ「ぐっ……ううっ……」
ケン「おいおい……あのバカ、何やってやがる……勝手な事しやがってよぉ……」
リュウ「くそっ、サガットの野郎……バルログの野郎……試合ぶち壊してんじゃねぇよ……仕方ねぇっ……!」
845 :
リュウ「おいっ! ケンっ!」
ケン「……ん?」
実況「おっと、リュウ上のリュウがケンに声をかけたぞ!?」
リュウ「ヤムチャが捕まっている! ケンはヤムチャを助けに行ってやってくれっ!」
ケン「えっ……? あっ……そ、そうだな……」
実況「そして、場外にいるヤムチャに指を指したぁ! 助けに行ってやれとケンに指示を与えますっ!」
リュウ「ケン、こいつは俺が決める、大丈夫だ! だから、お前は……ヤムチャを助けに行けっ!」
ケン「お、おうっ……! わかったぜ!」
実況「リングの事は自分一人に任せろと言わんばかりの勢いだぁ! そして、ケン……今、ヤムチャの救出に向かったぁ!」
846 :
サガット「オラァっ! この糞がっ!」
バルログ「醜い者め……ヒャオッ!」
ヤムチャ「ぐっ……! ぐわぁっ……!」
サガット「この糞餓鬼が……帝王に舐めた真似をしやがって……ん……?」
ケン「おらあぁぁっ! 何やってんだ、てめぇっ!」ガスッ
サガット「……ぐっ!」
ケン「勝手な事してんじゃねぇぞ、この糞がっ!」
サガット「チッ、ケンも来やがったか……上等だ……バルログ、お前はその雑魚を痛めつけ続けろっ! 俺は、先ずこいつを始末する!」
実況「さぁさぁ! ここでケンがヤムチャに合流だぁっ! ピンチの弟弟子を、兄弟子は助ける事が出来るのでしょうか!?」
847 :
リュウ「ったく、どうなってんだよ……そろそろ決めねぇと……」
バイソン「……ううっ」
リュウ「うるぁっ! 昇竜拳っ!」
バイソン「……ぐわあぁぁっ!」
実況「さぁ、リング上ではリュウ対バイソン! ロープから返ってきたバイソンに、必殺技の昇竜拳をお見舞いだぁ!」
サガット「おらぁっ! ケン、行くぞっ!」
ケン「おめぇ、勝手な事してんじゃねぇぞ、この糞ボケが!」
バルログ「ヒャオッ……! ヒャオッ……!」
ヤムチャ「ぐっ……ぐぐっ……」
実況「そして場外では、ケン対サガット! ヤムチャ対バルログ! これは大乱戦! 大乱戦でございます!」
元「……あっ、リング上のリュウ君、見なよ!? ほらほら!」
実況「……ん?」
848 :
リュウ「これで、フィニッシュだっ! 行くぞっ!」ググッ
バイソン「……ううっ」ヨロヨロ
実況「おぉ?っと! あの構えは……!? 真・昇竜拳……真・昇竜拳かぁ!?」
ケン(よしっ……リュウ、決めに行ってくれたか……これで終わりだ……)
サガット「不味いっ……! バイソン、今助けに行くぞっ……!」
ケン「おっと……させるかよっ……!」ガシッ
サガット「ぐっ……! 何をする……離せ……離しやがれっ……!」
実況「ケンがサガットに、しがみついて、リングインを妨害しております! さぁ、リュウ! ここまま決めてしまえっ!」
元「……バルログの方は、どうなんだろ?」
849 :
ヤムチャ「……ううっ」
バルログ「……不味いっ! あの構えは!」
ヤムチャ「くそっ……でも、二対一じゃなくなったから……ちょっとは楽になったかな……」ムクッ
バルログ「バイソンっ! 今、行きますよ!?」
実況「おっと、バルログがバイソンの救出に走るっ!」
元「でも、ヤムチャ君も立ち上がってるし……! なんとかしてもらわないと……!」
実況「さぁ、ヤムチャ! ここで底意地を見せろっ! 弟弟子の底意地を見せるんだっ!」
ヤムチャ(よしっ……! ここで、バルログさんにトラースキックを当てて……ダウンさせるんだな……)シュッ
バルログ(ヤ、ヤムチャ君……! ちょっと……それ、狼牙風風拳の構えですよ……!? なんで、こんな大事な時に癖出しちゃうんですよ……!?)
ヤムチャ「……んっ?」
実況「おぉ?っと! ここでヤムチャが構えた! これは狼牙風風拳だっ! あの連続攻撃! 狼牙風風拳の構えだっ!」
元「行けっ……! 行けっ……! 仕掛けちゃえ!」
850 :
ヤムチャ(……やべぇ、やってしまった!)
観客「おっしゃ?、 行け?! ヤムチャ?! バルログを止めろ?!」
ヤムチャ(う、うわぁ……完全にやっちまったよ……周りの声がスローモーションのように聞こえるよ……)
観客「デビュー戦依頼、その技使ってねぇだろ!? 目の前で見れるなんて光栄だぜ! ヤムチャぁ! 行けっ! 行けっ!」
ヤムチャ(やべぇ……これ、トラースキックやってる場合じゃねぇだろ、絶対……どうしよどうしよどうしよ……)
バルログ(もういいっ……! 狼牙風風拳で来なさいっ! ホラ、ホラっ……早く、早くっ……!)
ヤムチャ(バルログさんも、戸惑ってるよなぁ……どうしよどうしよ……でもっ……)
観客「オラァっ! ヤムチャァ! 決めろぉっ!」
ヤムチャ(こんなに盛り上がってるこの人達の期待を裏切る訳にはいかねぇよな……だから……)
実況「さぁ、行けぇっ、ヤムチャァ! これが三番弟子の底意地だぁっ!」
ヤムチャ「うおおおぉぉっ! 狼牙風風拳だぁっ!」
実況「行ったぁ! ヤムチャが仕掛けたぁ!」
851 :
リュウ「うおおっ! 真・昇竜拳っ!」ズガァッ
バイソン「……ぐわああぁぁっ!」
リュウ「よしっ……レフェリー……フォールだ……」
実況「リング上ではリュウの真・昇竜拳が炸裂だぁっ! リュウはフォールに入った! これで決着か!?」
ダン「おい、リュウ、バイソン……やべぇぞ……? 場外でヤムチャが暴れてやがる……」
リュウ「……えっ?」
バイソン「……えっ?」
ダン「カウントは遅めにとってやる……だから、後はお前らがなんとかしやがれ……」
リュウ「おい、それって……どういう事……ん……?」
ヨーシ! ヤムチャー! イケー!
リュウ「……ヤムチャ?」
852 :
ヤムチャ「ハイっ! ハイっ! ハイハイハイっ!」
バルログ「ぐっ……! ううっ……! くっ……!」
リュウ「……あの、糞バカ」
ダン「よし、行くぞっ……! ワンっ……!」
実況「さぁ、レフェリーがカウントに入ったっ! そして、ヤムチャは狼牙風風拳でバルログを止めているっ!」
ダン「……ツーっ!」
サガット「くっ、ヤムチャ君……バイソンっ! ダメだ、返せっ! ここで決められるんじゃねぇ!」
ケン「あの糞バカ……あの技はやるなって言っただろう……くそっ、どうする……? 不味いぞ、これは……」
ダン「……スリ」
バイソン「リュウ君、ダメだっ……! ここは、一度、やり直そうっ!」グイッ
リュウ「あの、糞野郎っ……!」
853 :
ダン「カウントはツーだ! カウントツー!」
実況「おぉ?っと! これは驚きです! なんと、バイソンが真・昇竜拳を返しました! 実に驚きです!」
元「でも、空手軍団に有利な状況は、変わらないよ? バイソン君、ピクリとも動いてないみたいだし……」
実況「今のが、正真正銘、最後の力だったんでしょうか!? そうであれば、いいのですが!」
ヤムチャ「ハイっ! ハイっ! ハイハイハイっ!」
バルログ「ぐっ……ううっ……うおっ……」ヨロヨロ
実況「おっと……場外のヤムチャの狼牙風風拳はまだ、続いているぞ!?」
ヤムチャ「うおおおぉぉっ……! これで……フィニッシュっ!」
バルログ「……ぐわああぁぁっ!」バターンッ
実況「そして、ここで、フィニッシュっ! バルログを完膚無きまでに叩きのめしたぁ!」
ウオー! ヤムチャー! イイゾー! スゲー!
実況「秘密兵器ヤムチャ! お客さんから、大声援! 大声援でありますっ!」
854 :
ヤムチャ「……よ、よしっ!」
バルログ「……ううっ」
ヤムチャ(やべぇ……これ、後でリュウさん達に、めちゃくちゃ怒られるんだろうなぁ……)
ケン「ヘイヘイっ! ヤムチャの次は、俺だぜ! 皆、こっちに注目だ!」
ヤムチャ「……ん?」
実況「おっと……ここで、場外でケンが、大きく手を叩き、アピールしています。どうしたんでしょうか……?」
ケン「……うるぁっ! サガット、行くぞっ!」ググッ
サガット「……ぬっ?」
キャー! イケー! ケーン!
実況「おっとおっと……! ケンのあの構えは……もしかして……もしかするのかぁ!?」
855 :
ケン「行くぞっ! 神龍拳っ!」ズガアァァッ
サガット「ぐっ……ぐわああぁぁっ!」
実況「決まったぁ! ケンの神龍拳っ! 神龍拳だっ! 場外でサガットにぶち当てたぁっ!」
サガット「う、ううっ……」バターンッ
ケン「どうだっ! これが、空手軍団の実力だっ!」
キャー! ケーン! カッコイイー!
実況「これには、流石のサガットも大ダーウンっ! おぉ?っと、そして、ここでケンがリュウに指を指したぁ!」
ケン「ラストは勿論、リュウだぁっ! リュウっ! さぁ、決めちまえっ!」
リュウ「……」
オー! リュウー! イケー! キメロー!
実況「さぁ、ここでケンがリュウを指名したぁ! 次は、リュウの番だ、これは!」
856 :
リュウ「……チッ、バイソン、起きろっ! 行くぞっ!」
バイソン「……ううっ」ヨロヨロ
実況「さぁ、そして、リュウがバイソンを引き起こしっ……! 構えたっ!」
リュウ「はぁっ! 真空竜巻旋風脚っ!」ズガガガッ
バイソン「ぐっ……ぐぐっ……! うおっ!」
実況「出たぁ?! 真空竜巻旋風脚だっ! これはバイソンを完全に捉えているっ!」
リュウ「……はああぁぁぁっ!」
バイソン「ぐっ、ううっ……うおおぉっ……」
ヨーシ! キメロー! リュウー!
実況「回っております、回っておりますっ! いつもより、多めに回っております! さぁ、これで決着かぁ!?」
857 :
リュウ「……フィニッシュっ!」ズガァッ!
バイソン「……ぐわああぁぁぁっ!」
リュウ「よし、レフェリー……フォールだっ!」
実況「さぁ、完全にバイソンを捉えたリュウの真空竜巻旋風脚! そして、リュウがここでフォールに入りますっ!」
ダン「よし、カウントだっ! ワンっ……!」
キャー、キャーキャー!
ダン「ツーっ……!」
キャー、キャーキャー!
ダン「……スリーっ!」
ワー、ワーワー!
実況「決まったぁ! ここで、カウントスリー! 決着だぁ! リュウの真空竜巻旋風脚で試合は決着です!」
元「いやぁ、良かったですね。空手軍団の大技の連携で、今日はシャドルーを完膚無きまでに叩きのめしましたね」
実況「完全勝利! 完・全・勝・利でありますっ! バイソンだけではなく……場外にいる、サガットとバルログも今日は動けませんっ!」
865 :
リュウ「よっしゃっ! 俺達の勝ちだっ!」
実況「さぁ、ここでリュウがリング上でガッツポーズ! 高々と拳を突き上げガッツポーズだ!」
ワー、ワーワー!
リュウ「よし……ケン、ヤムチャ! 退場だっ!」
ケン「おうっ!」
ヤムチャ「……う、うっす!」
実況「さぁ、そしてケンとヤムチャと共に、今退場しますっ!」
リュウー! ヨカッタゾー! ツギモカテヨー!
リュウ「あぁ! 任せておけっ!」
ケーン! カッコヨカッタゾー!
ケン「おう、 これが空手軍団の力だ!」
ヤムチャー! オマエモ、ヨカッタゾー!
ヤムチャ「う、うっす……! ありがとうございます……」
866 :
実況「一方、負けたシャドルー軍団は……まだ全員、大の字……惨めだ! こりゃ、実に惨めだ!」
バルログ「……ううっ」
サガット「……くそっ」
バイソン「……ぐぐっ」
ザマーネーナ! シャドルー!
バルログ「……くっ、くそっ」
サガット「ううっ……バイソン……バルログ……大丈夫か……?」ムクッ
バイソン「……ぐぐっ」
実況「おっと、ここでようやく、サガットが起き上がったかぁ!? 今、バルログの元へ行き……そしてバイソンの元へと駆け寄ります!」
867 :
サガット「……バイソン、起きろ」
バルログ「しっかりして下さいっ!」
バイソン「……ううっ」ムクッ
実況「さぁ、ようやく、バイソンも起き上がった!」
バイソン「くっ、サガット……バルログ……すまねぇ……」
サガット「気にするな……次の試合で、必ず復讐してやる……」
バルログ「えぇ、次は……容赦しませんよ……もっともっと、反則攻撃をしてやりましょう……」
バイソン「おぉ、そうだな……次は必ず、復讐してやるからよぉ……覚えておきやがれ!」
サガット「よし、そろそろ、帰るか……次だ……この怒りは次に繋げよう……」
実況「さぁ、ここでシャドルー軍団が退場! フラついた、足取りで退場しています! いやぁ、惨めなもんですねぇ!」
元「あの人達、悪い人だけど……実況の貴方が、そういう言い方するのは、あまりよくないと思うよ?」
868 :
実況「さぁ、本日の試合は空手軍団の完全勝利! 完・全・勝・利で終幕でございます!」
元「うん」
実況「だがしかし、だがしかし、だぁ?がしかし……! 空手軍団の戦いはまだまだ終わってはいないっ!」
元「うん、そうだね」
実況「シャドルー軍団には、まだ大ボスの……ベガの存在が残っております!」
元「今日の勝利がね……次の勝利に繋げる勝利……そういう戦いになってたら、いいよね」
実況「空手軍団とシャドルーの抗争は、まだまだ続きそうだっ! 一体、どうなってしまうのでしょうか!?」
元「これからの戦いが楽しみだね」
実況「さぁ、残念ながら、ここらでお時間でございます! という事で、第五試合の中継はこの辺りで終了させていただきま?す!」
869 :
ーーー
プーアル「ヤムチャさん、お疲れ様でした!」
ヤムチャ「……」
プーアル「今日のヤムチャ様、珍しく格好良かったですよ!? あんな、戦いするの何年振りですか!?」
ヤムチャ「……」
プーアル「隠居生活送ってたヤムチャ様が、昔の様な姿に戻ってくれて……もう! 僕、感動でちょっと泣きそうになったんですよ!?」
ヤムチャ「……」
プーアル「ねぇ、ヤムチャ様、聞いてるんですか!? あの、練習したキックも格好良く決まったじゃないですか!?」
リュウ「……オイ、コラっ! この糞ボケがぁ!」ワナワナ
ヤムチャ「!」
リュウ「てめぇ、勝手な事しやがって……この野郎、歯ぁ、食いしばれっ!」
ヤムチャ(やべぇ……! やっぱり……そうなるよなぁ!?)
870 :
リュウ「……おらああぁぁっ!」
ヤムチャ(やべぇ……きた……きたっ……!)
ケン「……リュウ! 待て、落ち着け!」ガシッ
リュウ「……あぁ!? なんで、止めんだよ、ケン!」
ヤムチャ(ん……? アレ……?)
ケン「今、こいつをここで殴るのは不味い! この後には、出番も控えてだろが!」
リュウ「……」
ケン「下手に、怪我でもされちゃ……大変な事になっちまう……お前が怒るのは、わかるけど……落ち着けっ!」
リュウ「……でも、こいつがよぉ!?」
ケン「いいから、落ち着け! 殴るんだったら、後で殴れって言ってるんだ! とりあえず、今は落ち着け!」
871 :
リュウ「……チッ!」
ケン「お、おう……落ち着いたか……?」
リュウ「……メインイベントが、終わりに近づいたら、声掛けろ。俺は控え室で休んでおくからよぉ」
ケン「お、おう……わかった……お前は、休んでおいてくれや……様子は俺達が見ておくから……」
リュウ「……ったく、糞がっ!」ガチャンッ
プーアル「う、うわぁ……ビックリしたぁ……ヤムチャ様、ひょっとして、何かやらかしちゃったんですか……?」
ヤムチャ「う、うん……やらかしちゃった……」
ケン「はぁ……とりあえず、リュウは収まってくれたかな……ったく、勘弁してくれよ……」
872 :
ケン「……おい、新入り?」
ヤムチャ「は、はいっ……!」
ケン「おめぇ、リュウの事、あまり怒らせるなよ……アイツは、ガチでも強い奴なんだぞ?」
ヤムチャ「す、すいません……」
ケン「アイツがガチでキレたら……俺だって、止められねぇよ……おめぇ、死んじまう所だったんだぞ……?」
ヤムチャ「あの、本当……今日は、マジですみませんでした……!」
ケン「『マジですみません』って何だよ……マジですみませんって……だったら、おめぇの普段の『すみません』は本気で謝ってねぇのか?」
ヤムチャ「あっ、いや……」
ケン「普通にすみませんって言えよ、普通によぉ……? おめぇ、舐めてんのか……?」
ヤムチャ「あっ、あの……すみません……」
873 :
ケン「まぁ、いいや……そもそも、お前、何で怒られてるかわかる……?」
ヤムチャ「あっ、はい……俺が狼牙風風拳をしたからですよねぇ……?」
ケン「俺達、あの技は使うなって言ったよなぁ? 何で、お前、指示聞かなかったの?」
ヤムチャ「あの……それは、トラースキックと、狼牙風風拳の構えを間違えてしまって……」
ケン「……はぁ?」
ヤムチャ「あの状況で、トラースキックを出したら……サガットさん達が、お客さんがガッカリしてしまうって言ってたから……そのまま……」
ケン「ちょっと待て、ちょっと待て……話が見えねぇな……どういう事だ……?」
ヤムチャ「……えっ?」
ケン「そもそもお前……今日、結構変わった事してたよなぁ? サガット達とどういう打ち上せしたんだ?」
ヤムチャ「えっ……? あっ、それは……」
874 :
ケン「控え室では、リュウが、ブチ切れてるからよぉ……? ここで話そうぜ?」
ヤムチャ「そうですよね……今、戻ったら、火に油を注ぐ事になりそうですし……」
ケン「そうだよ。だから、ここで話そうぜ? サガット達との、打ち合わせの内容、聞かせろよ」
ヤムチャ「え?っと、何処から話せばいいんだろうなぁ……」
プーアル「……あの??」
ケン「……ん、どうした? というか、おめぇ誰だ?」
プーアル「あっ、僕、ヤムチャ様のマネージャーの、プーアルといいます! お話、長くなりそうなんだったら……僕、何か飲み物とか、買ってきましょうか?」
ケン「あっ、マジで? プーアル君、気が効くじゃん。だったら……悪いけど、小銭渡すから、スポーツドリンクか何か買ってきてくれない?」
プーアル「はい、わかりました、スポーツドリンクですね? それじゃあ、ちょっと、行ってきます!」
ケン「おう、ありがとね。 それじゃあ、よろしく頼むよ」
ヤムチャ(プーアル、何でそんなに馴染むの早いの!?)
876 :
ケン「え?っと、じゃあ、打ち合わせの話だよ……打ち合わせの話……」
ヤムチャ「あっ、はい……」
ケン「最初の、バイソンとの攻防から……バルログにやられて交代するまで……あれは、打ち合わせ通りだよな?」
ヤムチャ「あっ、はい……そうです……」
ケン「え?っと……じゃあ、次のリュウがサガットに、コブラツイストをしてる時に、カットに行ったのは……?」
ヤムチャ「あれも、打ち合わせっす」
ケン「あっ、あそこは、アドリブじゃなくて、打ち合わせなんだ?」
ヤムチャ「はい、サガットさんが、俺の方を向きながら汗を拭ったらサインだから……乱入してこいって、指示されてました」
ケン「そうなんだ……へぇ……」
877 :
ヤムチャ「そのまま、サガットさんにバックドロップをした後……バルログさん達に、攻撃をしに行けと言われました」
ケン「へぇ……あのバックドロップも、指示されてたんだ……」
ヤムチャ「それで、バルログさんと、場外にもつれるようにして、降りた後……パイプ椅子でボコボコにされろと……」
ケン「ふ?ん……あの騒動、けしかけたのは、サガット達って訳だったのか……」
ヤムチャ「しばらくボコボコにされてたら……ケンさんが、助けに来るから……それで、一対一の状況を作ろうと、言われました」
ケン「……へ?」
ヤムチャ「ケンさんは、アドリブでそういう事が出来る人だから……打ち合わせにいなくても、必ず、自分から動きにきてくれる……って、言ってましたよ?」
ケン「……」
ヤムチャ「俺も、本当にそうなるか心配だったんですけどね……でも、本番は、ケンさんが本当に来てくれてビックリしましたよ!?」
ケン「お、おう……まぁ、俺はおめぇみたいに指示待ち人間じゃねぇからな! そういうアドリブは得意だよ!」アセアセ
ヤムチャ「……ん?」
ケン「……何、見てんだよぉ!? その後は、どう指示されたてたんだ、早く言えよ!」
878 :
ヤムチャ「サガットさんとケンさん……バルログさんと俺の戦いを、場外でしていたら、リュウさんはリング上でバイソンさんを決めに行っていると、言ってました」
ケン「……あいつら、結構、計算してるんだなぁ」
ヤムチャ「そしたら、バルログさんがバイソンさんを助けに行くので……俺はそのバルログさんを、トラースキックで食い止めるってのが、当初の予定だったんですけど……」
ケン「……予定?」
ヤムチャ「……俺、そこで間違えて、狼牙風風拳の構えしてしまったんですよ」
ケン「……ほう」
ヤムチャ「お客さんも狼牙風風拳、期待してたみたいだし……俺、テンパっちゃって……」
ケン「って事は……お前のアドリブは、あの狼牙風風拳だけって訳か……後は、サガット達の指示と……」
ヤムチャ「はい……そのまま、狼牙風風拳をやっちゃいました……すいませんでした……」
ケン「ふ?ん……まぁ、流石にサガット達も、場外なんかで、大技やれだなんて、馬鹿な指示は出さねぇか……そういう事だったのね……」
ヤムチャ「本当、すいません……俺の狼牙風風拳と、トラースキックの構え方が似てるらしくて……本当に、あの技はやる気はなかったんですよ!」
879 :
ケン「う?ん……これまた、最悪なタイミングで、アドリブしちまったもんだね……」
ヤムチャ「……すいません」
ケン「まぁ、結果的には、良くなったけど……俺も、いい所見せれたし……」
ヤムチャ「?」
ケン「あ?、でも……やっぱり、リュウは、怒るだろうなぁ……そりゃ、怒るよなぁ……」
ヤムチャ「あれ……? ケンさんは、あまり、怒ってないんですかね……?」
ケン「ん……? あぁ、俺は 結果的に出す予定のなかった、神龍拳出せたし……儲けたって言えば、儲けたけどさぁ……?」
ヤムチャ「?」
ケン「やっぱり、リュウは必殺技、潰されたんだからさぁ……? そりゃ、キレて当然だと思うよ……?」
ヤムチャ「あれ……? 俺が、狼牙風風拳出した事にキレてるんじゃないんですか……?」
ケン「引き金となったのは、ソレだよ。 まぁ、おめぇ、バカみてぇだし……説明してやるよ……」
ヤムチャ「あっ、お願いします……」
880 :
ケン「リュウは、自分の必殺技の真・昇竜拳で、バイソンを仕留めにいっただろ?」
ヤムチャ「はい」
ケン「これで終わりだ。試合のシメだよ。ラストに大技を出して、試合を決める……そういうもんだろ?」
ヤムチャ「……はい」
ケン「でも、そこで終わった後に、おめぇが必殺技をしちまったんだよ。『ねぇねぇ、僕も僕も! 僕の必殺技も見てよ!』なんて、突然割り込んで来るわけだな?」
ヤムチャ「いや、俺は……そういうつもりは……」
ケン「……あのタイミングで出しちまうって事は、そういう事なの! 故意であれ、事故であれな!」
ヤムチャ「あっ、はい……すいません……」
ケン「そんなもん、試合として成立しねぇだろうが……おめぇの割り込みで、試合が終わっちまうんだからな?」
ヤムチャ「はい……すいません……」
ケン「だから、あぁいう時は、必殺技の攻防をやり直さないといけねぇ……」
ヤムチャ「……やり直す?」
ケン「あぁ、俺のおかげだぞ……? 我らながら、天才的なアドリブだったと思うよ、アレは……」
ヤムチャ「……アドリブ?」
881 :
ケン「おめぇは、それでパニくって見てなかったと思うけど……多分、バイソンが攻防をやり直す為に、カウントツーで返したんだよ」
ヤムチャ「……はぁ」
ケン「だから、再び、必殺技の攻防の繰り返しだな……バイソンに、必殺技を与える為の下準備をしなきゃいけねぇ……」
ヤムチャ「……ふむふむ」
ケン「だけど、バイソンはもう限界だ……何たって、リュウの真・昇竜拳を喰らってるんだからよぉ?」
ヤムチャ「……ほぅ」
ケン「必殺技を喰らった、人間が……また普通に立ち上がって……リュウと攻防を繰り返すって事になったら、おかしいだろ?」
ヤムチャ「……はい」
ケン「なんとか、バイソンの死にかけてる状況を維持したまま……再び必殺技をしなきゃならねぇ……こりゃ、面倒臭ぇ、攻防を作らなきゃならなねぇな?」
ヤムチャ「なんか、俺のせいで……すいません……」
ケン「だがしかし、そこはこの天才ケン様だ! 見事、その攻防を作ってやったぜ!」
ヤムチャ「……へ?」
882 :
ケン「おめぇが、狼牙風風拳をした後……俺は、お客さんの注目を仕掛けて、サガットに技仕掛けてただろ?」
ヤムチャ「あっ、なんか、派手な技してましたね」
ケン「ありゃ、俺の必殺技、神龍拳だ。俺の使える技の中で、一番の攻撃だ」
ヤムチャ「……ふむ」
ケン「リュウの真・昇竜拳から、お前の狼牙風風拳……お客さんの目が、色々な場所に移動してる中で、俺は自分に注目を集めて、必殺技をしたってわけだ」
ヤムチャ「……ふむ」
ケン「そして、最後にリュウに指を指した……『ラストは勿論、リュウだぁ!』なんて、格好良く叫びながらな?」
ヤムチャ「……ほうほう」
ケン「俺が、あの数分間の間に、たった一人で、リュウに必殺技を使う為の下準備をしたって訳だな!」
ヤムチャ「……ふむ」
ケン「お前……そして、俺と、順々に必殺技を使って……リュウに注目を集めた……順番からしたら、勿論次はリュウがやる番だ……」
ヤムチャ「……なるほど」
ケン「それで……リュウは真空竜巻旋風脚を出して……上手い事、試合をシメたってわけだな」
ヤムチャ「なんか、俺の失敗のせいで……迷惑かけてすみませんでした……」
888 :
ケン「正直、俺には儲けた展開だったよ。美味しかった」
ヤムチャ「……儲けた?」
ケン「あぁ、俺は使う予定のなかった、神龍拳を出して……お客さんに恰好いい所を見せれたんだからな?」
ヤムチャ「あっ、はい……」
ケン「しかも、相手は格上のサガットにだ。リュウは、サガットに勝つ試合が組まれる事もがあるが……俺の場合だったら、相手はバルログだ」
ヤムチャ「ケンさんはバルログさんなんですね」
ケン「俺が個人でサガットに勝つ試合なんて、なかなか組まれるもんじゃねぇ。当然……サガット相手に神龍拳を出すチャンスも滅多にこねぇ」
ヤムチャ「神龍拳出したら……勝っちゃいますもんね……」
ケン「だが、おめぇのミスのおかげで、今日はサガットに神龍拳を出すチャンスが生まれたんだ」
ヤムチャ「……なるほど」
ケン「ひょっとしたら……ケンも、サガットに勝つ事が出来るんじゃないか? って、お客さんは期待してくれるようになるわな」
ヤムチャ「……ほうほう」
889 :
ケン「……だが、リュウの場合はどうだ?」
ヤムチャ「……えっ?」
ケン「リュウの場合は……相手は格下のバイソンだ……」
ヤムチャ「……バイソンさん」
ケン「おめぇのミスで、真・昇竜拳を喰らったバイソンが……耐えてしまう事になってしまったんだよ」
ヤムチャ「……あっ?」
ケン「リュウの一撃必殺の真・昇竜拳を耐えたんだぞ? しかも、相手はザンギエフやベガではなく……格下のバイソンだ」
ヤムチャ「……それって、やばいっすよねぇ?」
ケン「やべぇなんてもんじゃねぇよ! 『リュウの真・昇竜拳を耐えるなんて……バイソン強くなったのかな?』なんて、思われたらどうするんだよ!?」
ヤムチャ「そ、そうっすよね……すいません……」
ケン「バイソンの株上げるだけだったら、まだマシだけど……『あれ? バイソンを必殺技を使っても仕留められないなんて……リュウ弱くなった?』なんて、思われたら、もっと大変だよ!」
ヤムチャ「あちゃ……そりゃ、リュウさん怒りますよね……」
ケン「当然だよ! 結果的に一番強い必殺技の真・昇竜拳で決めるんじゃなくて……二番目に強い真空竜巻旋風脚で決める事になったんだからな! リュウが怒るのも、当然だよ!」
ヤムチャ「う、うわぁ……やべぇな……どうしよう……」
890 :
ケン「まぁ、二三発は覚悟しておくんだな……後で、ぶん殴られるよ、きっと……」
ヤムチャ「いやいやいや……ケンさん、ちょっとかばって貰えないですかねぇ? 事故だったんだし、勘弁して下さいよ!?」
ケン「俺に出来る事は、いい保険屋を紹介する事ぐらいだな……おめぇ、保険入ってるか? 紹介してやってもいいぞ?」
ヤムチャ「いやいやいや……それ、殴られる前提で話が進んでるじゃないですか……殴られないようにして下さいよ……」
ケン「仕方ねぇだろ、おめぇがやらかしたんだからよぉ!? あっ、言っておくけど、歯は守れよ? おめぇもバイソンみてぇに歯抜けキャラになりたくねぇだろ?」
ヤムチャ「いやいや、ちょっと……! ちょっと……!」
プーアル「ケンさ?ん、ヤムチャ様?! 飲み物買ってきましたよ?!」
ケン「おっ……プーアル君、ありがとね。あれ……? 自分の分も買って来てよかったんだよ? なんで、二本だけなのよ?」
プーアル「自販機プーアル茶がなかったんですよねぇ……ウーロン茶ならあったんですが……」
ヤムチャ「プーアル、馴染んでるんじゃねぇ!」
891 :
プーアル「ところで、ケンさん……今日は飲みに行かれないんですか?」
ケン「あぁ、終わったら飲みに行くよ。でも、今日は用事があるからさ……ここで豪鬼さんとベガの試合が終わるのを待ってるんだよ」
プーアル「……用事?」
ケン「あぁ、ほら……今、豪鬼さんとベガが戦ってるけど……あの試合、豪鬼さんが勝つだろ?」
プーアル「そういう風に書かれてましたねぇ」
ケン「ラストの試合が……自分の団体の人間の勝利じゃなくて……ゲストの勝利で終わっちまうんだ。お客さんはどう思う?」
プーアル「そりゃ、ガッカリしてしまいますよ。理想は、ザンギエフさんやリュウさんの勝ちで終らせるのがいいんでしょうが……豪鬼さんと、ベガさんなら、まだベガさんが勝った方が気持ちがいいんじゃないですかね?」
ケン「ほ?う……プーアル君は、こいつと違って、よくわかってんだな……」
プーアル「あれ、そうですか? えへへ、なんだか照れちゃいますねぇ……」
ヤムチャ「……もう、プーアルがプロレスしたらいいじゃん。俺を養ってくれよ」
ケン「だから、お客さんをガッカリさせない為に……俺達空手軍団が、残ってんだよ」
892 :
ヤムチャ「空手軍団って事は……俺も、何かしなくちゃいけないんですか?」
ケン「おめぇは突っ立ってるだけでいいよ。実際に、やるのはリュウだから」
ヤムチャ「……リュウさん?」
ケン「あぁ、豪鬼さんがベガに勝ったら……リュウがリングに上がって、豪鬼に挑戦表明をするんだよ」
ヤムチャ「……挑戦表明?」
ケン「あぁ『そのベルトは次の試合で必ず俺が取り戻す……だから、豪鬼……勝負だぁ!』なんて、言ってな?」
ヤムチャ「……ほうほう」
ケン「そしたら、お客さんも『おっ? 今日は負けたけど、次の試合では、勝てるかな?』なんて、期待した状態で帰ってくれるだろ?」
ヤムチャ「……なるほど」
ケン「まぁ、俺達はそのリュウの付き添いだな……リュウが個人で行くより……空手軍団として行った方がインパクトはあるだろ」
ヤムチャ(あっ……だから、サガットさん達、今日は飲み会のお誘いに来ないのかな?)
ケン「おめぇは、余計な事するんじゃねぇぞ……? これ以上、リュウを怒らせたら……俺、本気で知らねぇからな!?」
ヤムチャ「大丈夫っす……! わ、わかってます……!」
893 :
ーーー
ベガ「くそっ……くそっ……このベガが……!」
豪鬼「ぬんっ……! 百鬼襲っ……!」
ベガ「何っ……! こいつ……早っ……」
豪鬼「ぬんっ……! 百鬼豪砕っ!」
ベガ「う、うおっ……ぐわああぁぁっ!」
ケン「豪鬼さんも、そろそろ大技出してきたな……そろそろ、時間だし、リュウ呼んでおくか……」
ヤムチャ「そうっすね」
ケン「よ?し、新入り……じゃあ、おめぇ控え室のリュウ、呼んでこいや」
ヤムチャ「えっ、俺がですか!?」
ケン「なんだよ……おめぇ、俺に命令する気か? あぁ?」
ヤムチャ「い、いやぁ……ほら、リュウさん俺にキレてるみたいですし……ケンさんが行った方がいいですよ……この後の挑戦表明に影響出ちゃいますって!」
ケン「俺だって嫌だよ! 今日のリュウは怖ぇもん! 怒らたのはお前なんだから、お前が責任とれよ!」
ヤムチャ「ジャンケンしません……? ジャンケンで決めません……?」
ケン「……あのなぁ?」
894 :
プーアル「……僕、行ってきましょうか?」
ケン「……えっ?」
ヤムチャ「おっ……プーアル、行ってくれるのか……?」
ケン「プーアル君、大丈夫か……? あいつ、怒らせたら止められねぇんだぞ?」
プーアル「大丈夫ですよ! ヨイショして、機嫌を損なわないそうに呼んで来たらいいんですよね? 僕、そういうの慣れてるんですよ!」
ヤムチャ「へぇ、プーアルって、そういう事に慣れてるんだ……でも、それって何処で覚えたの? 俺、知らねぇぞ」
ケン「だったら……悪いけど、プーアル君に頼んでみようかな……? お願い出来るかな……?」
プーアル「はい、任せておいて下さい! それじゃあ、僕行ってきます!」
898 :
ケン「……控え室にリュウ呼びに行ってくれたけど、大丈夫かねぇ?」
ヤムチャ「う?ん……わかんないっす……」
ケン「わかんないって……おめぇのマネージャーだろうが。そもそも、おめぇが引き起こした事なんだし、ちょっとは心配しろよ」
ヤムチャ「あっ……はい……」
リュウ「……」ガチャッ
ケン「……おっ?」
ヤムチャ「……あっ、来たっ!」
リュウ「……おい、ヤムチャ」
ヤムチャ「は、はいっ……!」
リュウ「プーアル君に免じて……今日の所は勘弁しておいてやる……だが、次やったら、本当にぶっ殺すぞ?」
ヤムチャ「……えっ?」
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