剣士「Lv46、臨時PT募集ー」勇者「レ、レベ?りんなんだって?」back

剣士「Lv46、臨時PT募集ー」勇者「レ、レベ?りんなんだって?」


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勇者「!」パチッ
勇者「なんだ、ここは……」
勇者「草原か……しかし見た事の無い景色だな」
勇者「一体どうなっているんだ……俺は確か、ボスクラスの魔物と戦っていて」
勇者「そうだ……戦闘中に突然光に飲み込まれて……」
勇者「転移魔法の類だろうか……」
2 :以下、
勇者「あれは城か……しかし、あの城でさえ見覚えが無いな」
勇者(世界中旅したと思っていたが、まだ知らない土地があったのだろうか)
勇者(もしや、人間の領土じゃない……とにかくあそこに行ってみる他ないか)
―― [戦 闘 開 始] ――
勇者「!? 空中に文字が!」
ゴブリンA「ゲッ」ザッ
ゴブリンB「ゲッゲゲ」ザザッ
3 :以下、
勇者(魔物っぽいのの頭上にまた文字が……)
勇者(ていうかゴブリンって……インプの間違いじゃないか、これ?)
ゴブリンA「ゲゲ」ブンッ
勇者「よっと」ヒラッ
勇者「たあ!」ザザン
ゴブリンAB「キュゥゥ……」ドザ
―― [戦 闘 終 了] ――
ゴブリンAB「」スゥッ
4 :以下、
勇者「何なんだ一体。まさか、俺は異世界に飛ばされたのか?」
勇者「とにかく移動するか」
宝箱「」パァ
勇者「!?」
勇者「た、宝箱が現れた? 本当にどうなっているんだここは……」
勇者「……」
勇者「とりあえず開けてみるか」カチッ
5 :以下、
勇者「……戦利品か? 全く意味が分からないな」
勇者(ここは俺のいた世界ではないのは明白)
勇者(もしかしたら物理法則や魔法も違うかもしれない……面倒な事になったな)
勇者(いや、もしかしたらそうした世界を一時的に作り上げ、俺を幽閉している可能性も絶対無いとは言えない)
勇者(戻る方法以前にこの世界の事を知らなくては……)
6 :以下、
勇者(また文字が……だが地名が分かり易いのは有難いな)
勇者(何より……)
騎士「それでよ」
盗賊「なんだそりゃ。ねえよ」
魔法使い「ねーねー、またあそこの狩場行ってみない?」
拳闘士「やだよ。あそこで盾になんのきつい」
勇者(随分と様々な者達がいるな。何より人間が暮らす領土で本当に良かった……)
勇者(これだけいれば何とか情報が集められそうだが)
勇者(彼らの頭上にも文字が……まさか俺もか? 鏡を探さないと)ゾォッ
7 :以下、
勇者(レ、レベル? りん、なんだ? 彼は何を言っているんだ?)ジー
剣士「? どうかしましたか?」
勇者「あ、いや、何でもない」
剣士「? うん? え? 何その装備、格好良い!」
剣士「うっわぁすっごい……超レア級ですか?!」
8 :以下、
剣士「え?! 生産装備?! へえぇぇ見た事無いや、レア素材のかなぁ」
勇者(そ、そうか。俺の装備はこの世界では異様なのか)
剣士「レベルいくつなんですか?」
勇者「は? え?」
剣士「ってPC情報見ればいいんですよね」
剣士「? あれ? No Dataってなんで?」
剣士「鯖重いのかなぁ……」
勇者(駄目だ、何を言っているのかさっぱりだ……)
9 :以下、
剣士「え? はあ……」
剣士(ロールプレイかな? 初めて見るなぁ)
勇者「恐らくだが俺はここではない世界の者だ。そうした異世界の者が現れる事はあるのだろうか?」
剣士「へ?」
勇者「俺の世界では魔王という存在がいたんだが……もしやこの世界にもいるのだろうか?」
剣士「はい?」
10 :以下、
勇者「ああ……名乗ってなかったな。すまない、俺は勇者という者だ」
剣士(それはPC名見えるから分かるけど……)
勇者「俺の世界では魔王という存在がいたが、遥か昔に討伐された」
勇者「昨今、新生魔王軍なるものが暗躍し、各地に被害をもたらしている」
勇者「彼らの狙いは魔王討伐時に生み出された宝玉だ」
勇者「魔王の力が封じられているとも魔王自身が封じられているとも言われている」
勇者「何れにしても彼らの手に渡る事だけは阻止しなければならない」
勇者「その為に魔王軍と戦いながら旅をしていたのだが、突如この世界に居たんだ」
剣士(うっわぁ……ここまで設定盛り込んでるRPって今時いないんじゃないかなぁ)
11 :以下、
剣士(あ、元の世界に帰る為のそれっぽい珍アイテム探しとかかな)
剣士(変わった人だけど面白いそうだし礼儀正しいし付き合うかな)
剣士(それって必然的に僕もRPする事になるなぁまあいっか)
勇者「という事なのだが……」
剣士「そういった人の話は聞いた事がありませんね……」
勇者「そうか……いや手間を取らせてすまなかった」
12 :以下、
勇者「なに? 本当か?! あ、だがしかし、俺が返せるものなど」
剣士「そんなの気にしないで下さいよ。一期一会とかなんかそんな感じだと思ってください」
勇者「いちごい……? いやまあ、そう言って貰えるなら、こちらとしても願ったり叶ったりだ」
剣士(勝手にフレ登録しとこ。あ、相互で登録するタイプのMMOじゃないからこその設定なのかな)
剣士(ついでにもっかいPC情報……あれ? またか。非公開の扱いじゃないし何なんだろ)
13 :以下、
剣士「直前にどういった所にいました?」
勇者「魔物の砦で戦っていたんだが……」
剣士「手がかりも無いですし、そういった所から見て回りましょうよ」
勇者「……それもそうか」
剣士(結局勇者さんのLv分からないなぁ一応僕でも行ける場所にしておくか)
[風の国 南第八エリア]
勇者(一瞬で……転移魔法の類だろうか。それにしても)
勇者「ここも草原か……」
剣士「この国は基本、草原MAPだらけですからね」
14 :以下、
―― [戦 闘 開 始] ――
ハイオークABCD「ゴフッ」
剣士「よっし、いっくぞ!」
勇者「あ、待ってくれ」
剣士「はい?」
勇者「この世界で俺の魔法を試してみたい」
剣士「分かりましたー」
剣士(魔法剣士かぁ。結構不遇職なのに……本当RP中心としたプレイスタイルなんだなぁ)
勇者「雷撃!!」ズガガン ズガン
オークABCD「ブゴォォ……」ドザァ
15 :以下、
剣士「……は? え?」
勇者「よし、問題なく使えるな」
剣士(え? え? 何? 今の何の魔法? 一撃? ロ、ログは?)
勇者 > 雷撃
オークA > 1965のダメージ
オークB > 1878のダメージ
オークC > 2021のダメージ
オークD > 1917のダメージ
剣士(何だ、これ……本当に雷撃って魔法? うそうそ、そんなの無いって)
剣士(でもログに技名残っているし……え? どういう事? 超隠しイベントとか公式イベントの?)
剣士(まさかGM? そんなイベント告知されてたっけ……)
勇者「どうしたんだ?」
剣士「な、なんでもないです」
16 :以下、
勇者「よっと」
勇者「たああ!!」ザンッ
剣士「……」
ログ検索[回避]ピッ
  ・
  ・
勇者 > 回避
勇者 > 回避
勇者 > 回避
勇者 > 回避
勇者 > 回避
 該当ログ 96
17 :以下、
剣士「す、すみません。任せっきりで」
剣士(ハイオークって命中それなりだったよなぁ。いくらなんでも避け過ぎ……)
剣士(っていうかこの人、本当に攻撃避けてる素振りだし……)
剣士(でもハイオークの攻撃射程ってあんな短くないし……うーん)
勇者「気にしないでくれ。君がいてくれなかったら俺は分からない事だらけだし、付き合わせてしまっているからな」
19 :以下、
剣士「あ、ありがとうございます……って、宝箱! 勇者さんがちゃんと回収して下さいよ!」
勇者「え?! いや、え……うーん、それだと意味がないんじゃ」ブツブツ
剣士(もしかして……そんなの考えたくないけどチーターなのかな)
剣士(いやいやAGI極の人かも……あるいはあの装備がそうとか)
勇者「たああああ!!」ザンッ
オークソルジャー > 5127ダメージ(クリティカル)
剣士(この与ダメ、どれだけ凄い装備ならAGI極で叩き出せるんだろう)
20 :以下、
勇者(こいつは流石に強そうだな……)
剣士「げっ! なんでボスがこいつなんだ!」
勇者「イレギュラーか……?」
勇者(ま、俺のすべき事は変わらないが)
オークキャプテン「ガアアア!!」ブォッ
勇者「ふっ!」
勇者「はぁっ!!」ザンッ
21 :以下、
勇者(流石に一撃では無理か……だが今の一撃で)バッ
勇者「隙だらけだ!」ザンッ
オーク首「」ゴッ
剣士「おわぁっ!」
勇者「よし!」
剣士(ひえぇなんだ今のグラ! 生首転がってきたぁぁ!!)
22 :以下、
オークキャプテン > アタック
勇者 > 回避
勇者 > 首落とし
オークキャプテン > 即死
剣士(即死技……調べた限りじゃ剣士系には無いはずなのに)
剣士(うーんうーん……なんだか……何なんだろうなぁ)
勇者「お、宝箱……あれ? 色が違うな」
23 :以下、
勇者「へえ」
剣士「赤が通常、銀がレアでボスやダンジョン奥にあります」
剣士「金が超レア……イベントボス等倒すと出ます」
剣士「後は紫が特殊レア、レアなんですけど魔法関係の物しか出ません」
剣士「輝く赤がウルトラレア。本当に僅かな報告例があるだけで眉唾物ですね」
勇者「ふむ」
勇者(やはりところどころ何言っているか分からないな……)
24 :以下、
剣士「あ、もうこんな時間……」
勇者「用事があったか……すまなかったな」
剣士「いえいえ、お気になさらずに。ではまた明日〜」
勇者「え? あ、ああ……え? 待ち合わ」
剣士「」シュンッ
勇者「せもなし……き、消えた?!」
勇者「……」
25 :以下、
勇者「よかった……この世界にも宿屋はあるのだな」
勇者(しかし……これほど難しいものとは)
魔法使い『あーあたしぃ、そういうプレイ? っていうの? 嫌いなんですよぉ』
斧使い『え? あー……あはは。うん、そういうのは聞かないな、じゃ』
僧侶『……』ツカツカツカ
盗賊『や、俺そういうの駄目なんだわ』
勇者「彼はよほど奇特な人なのだな……」
26 :以下、
期待してる
28 :以下、
31 :以下、
勇者(それにしても、この世界の者達はよく姿が消える。転移魔法にしては頻度が……)
勇者(どうなっているんだろう。剣士に会えたら聞いてみよう)
剣士「……」シュン
剣士「えーと勇者さんのいるMAPは……[悲鳴止まぬ処刑者の塔]ってかなり高レベのとこだ」
剣士「こりゃあ追いかけられないし町で待ってるかぁ」
剣士「どっか安全な場所に移ったら追いかければいいし」
32 :以下、
勇者「たあああああ!!」ヒンッ
ガーゴイルABC「ギョァァ」ザンッ
勇者「多少はやるがここも大した事は無いな」
勇者(やはりもっと強い魔物がいる場所でないと、それらしい物も得られないのだろうか)
勇者(にしても、彼はどうやって俺と落ち合うつもりなんだろう)
33 :以下、
勇者(この世界にも帰還アイテムがあって助かった……)
勇者(意外と何処の世界でも似たようなアイテムがあるものなんだな)
剣士「あ、いたいた。勇者さーん!」
勇者「剣士! よく分かったな」
剣士「はい、そりゃあ……」
剣士(流石にこれはRP妨害しちゃうか?)
剣士「まあ、そんな事より今日はどうします?」
勇者(結構大切な事を聞いたつもりだったんだが……)
34 :以下、
剣士「はい?」
勇者「その、なんだ? 昨晩、君が別れを告げた後、姿が消えたがあれはどうなっているんだ」
勇者「俺にはそれが出来ない。というか姿が消えた後、君は何処に居たんだ?」
勇者「宿屋を探しに町を方々としていたが、見かけなかったぞ。別の町に移ったとかか?」
剣士「えぇ? いや……ううん」
勇者「何か遠慮しているようだな……正直に話してくれ」
剣士「うっ……」
35 :以下、
勇者「ログ……なんだって?」
勇者「よく人がいきなり消えたりするんだが、それはそのログなんとかというものの所為なのか?」
剣士「は? え? あの、流石にちょっとRPについていけないんですけど」
勇者「ロール……すまない、何のことだ? 巻物に似た何かか?」
剣士「え……? 本気で言っています?」
勇者「……全て本気だ。それと昨日話した魔王の話も、俺の世界にとっては本当のことなんだ」
剣士「……」
36 :以下、
勇者「君の素振りから分かっていて当たり前の、ログなんとかというものを知らない俺はどう見えるんだ?」
剣士「……」
剣士(な、なんだこれ。どうなっているんだろう……)
剣士(ちょっと本気で考えてみよう……)
剣士(この人はどう見てもNPCには見えないし、そういうイベントの話は見つからなかった)
剣士(見聞きした事が無い技がログに残る……システムが認識する未確認の技を使う)
剣士(……)
剣士(いや全く分からない)
37 :以下、
剣士「えっと……いくつか質問します。イエスかノーで答えて下さい」
勇者「ああ」
剣士「パソコンは分かります?」
勇者「ノーだ」
剣士「ネットゲームって知っています?」
勇者「ノーだ」
剣士「……このゲームのタイトルは?」
勇者「ノー……そもそも質問の意図が分からない。何が『このゲーム』なんだ?」
38 :以下、
剣士(何これ何これどうなってんの……)
剣士「全部、本当に本気の答えなんですよね」
勇者「嘘偽り無い、というかつきようが無いのだが」
剣士「……」
剣士(全て本当の事とするなら……)
剣士(この人は本当に別の世界、ファンタジーな世界で魔王軍と戦っていた人で)
剣士(何かの拍子にこのMMOにPCとして紛れ込んだ……それなんてゲーム)
39 :以下、
プレイヤー情報
―No Data―
剣士(だもんな……)
剣士(とすると、まずこの世界が娯楽の世界である事を説明……)
剣士(うっわどうしたら伝わるんだろうこれ)
勇者「……」ジリ
剣士(あ、焦れてる)
40 :以下、
剣士「極論からいきますと、勇者さんの存在は本来ありえない異常なもの、というのが僕の見解です」
勇者「だろうな……」
剣士「勇者さんが今まで見てきた人、僕も含めて生身の人間はここにはいません」
勇者「な、なに?! そうなのか?」
剣士「何ていったらいいのか……ここは仮想世界なんですよ」
勇者「かそう……下層、仮装? どういう意味だ?」
剣士「ゲームの中って言っても伝わら……あ、そうだ。勇者さんの世界に本ありますか? 誰かが作った物語とか」
勇者「物語も本もあるぞ。というか仕方が無いとはいえ……ものすごい馬鹿にされた気分だな」ズゥゥン
剣士「す、すみません」
41 :以下、
剣士「ただ、自分は本の外から操作しているんです……みたいな。何となく分かります?」
勇者「理屈は分からないが、世界の仕組みは見えてきたな。ログなんとかというのは、本当の君が本から離れたという事なんだな」
剣士「はい。まあ、その場にキャラクターを放置する事もできますけどね」
剣士「で、そうした外から操作されている人等をPC、自動で動く人等をNPCと言います」
勇者「……」
勇者「道具屋や魔物はNPCというものなのか」
剣士「はい、その通りです」
42 :以下、
勇者「これはこの本の世界に定められたルールという訳か」
剣士「そうです、ていうか凄い飲み込み早いですね……」
勇者「空中に文字が現れたりしたからな……」
勇者「ここが異世界であるのは早い内に気づいた以上、この世界の理を理解しようと考えていたからだ」
勇者「しかし……ここが一時的な、しかも物理的に存在しない世界だとは」
勇者「俺には君が極普通に存在する人に見えるぞ」
剣士「操作の一つにエモーションと言って、表情や仕草を細かく指示できますので」
剣士「まあそれでも、普通の人には見えない動きのはずですが……"外"から見るのと"中"から見るのは違うんですかね」
43 :以下、
勇者「何がだ?」
剣士「さっきも言ったとおり、勇者さんは異常なんです。イレギュラーなんですよ」
剣士「運営に見つかったらどうなるんだろう……ああ、人気の無いところでよかった」
勇者「運営……? この本を管理するギルドみたいなものがいるのか」
剣士「はい。それ無しにはこの世界を維持する事は出来ません」
剣士「早いところ勇者さんを元の世界に戻す手段を探さないとだなぁ」
44 :以下、
勇者「え?」
剣士「勇者さんの姿はとてつもなく人目を引きます」
剣士「運営に見つかるのも時間の問題ですので、姿を消す道具を買ってきます」
勇者「なるほど……すまないな。この世界で稼いだ金だ」ジャラ
剣士「え?!」
勇者「どうした? ああ、一日で稼ぐには大金だったとかか?」
剣士「あ……はい、そんなところです」
剣士(トレード画面無しに一気に所持金増えた……勇者さんには他のPCとの接触は避けさせないと)
45 :以下、
黒騎士「さっきのなんだったんだろうな」
僧侶「逃げ切れなかったら全滅でしたね。バグだったのでしょうか」
狩人「見た事の無いグラで名前も無いし、正式実装前のMobかもな」
黒騎士「やべぇ緊急メンテきちゃうじゃん」
剣士(……げっ、メンテの事忘れてた! やばいなぁ定期メンテまであと四日かぁ)
46 :以下、
勇者「おお、すまないな」
勇者「そうだ。今日、平然と君の方から俺を探し出したが、それは本に備わる機能か何かか?」
剣士「そうです。PCもNPCも名前が分かっていて、近くにいればMAPに表示されます」
勇者「地図が見られるのか。そういったものを表示させる術が、分からないというのは歯がゆいものだな」
剣士「……」
勇者「どうした?」
剣士「……その、大事な話があるというか、気づきまして」
47 :以下、
勇者「なるほどな。一時的に本の機能が止まるとは」
剣士「……」
勇者「どうなるか分からない以上、何としてもそれまでに片をつけなくては……とは言え手がかりもなし」
勇者「……何か特殊な神殿や祠とかって無いのだろうか?」
剣士「特殊……あー……」
勇者「なんだその返答は」
剣士「えっとですね。あるアイテムを持っていると、フィールドとダンジョンが変わるんですよ」
勇者「……。全くもって言っている意味が分からないのだが」
48 :以下、
剣士「城や町、魔物が出ない安全地帯以外が、暗くなって出てくる魔物も強くなるんですよ」
勇者「それが変わる、という意味か」
剣士「はい。それで個々のダンジョンには特定の宝玉を持っていくと、宝玉そのもの効果とは別に変化する設定を持っているんです」
剣士「この間の『淘汰されゆくオークの塔』ですと、忘れがたき宝玉っていうのを所持していると特殊仕様になります」
剣士「本来は宝玉の効果は不死……アンデッドしか魔物がいなくなるんですが、最上階に超強いゴースト系オークのキングが出ます」
剣士「あ、普通のボスなんかと目じゃないほどに強いボスをキングとか言ったりしますね」
勇者「……集団でそういうのを狙うグループとかいそうだな」
剣士「なんで分かるんですか。あ、賞金首モンスターとかか」
49 :以下、
剣士「魔物が出ない、町でもない場所なんですが、ダンジョンみたく特定の宝玉を持っていくと」
剣士「ちょっとしたアイテムが手に入ったりイベントが起こったりするんです」
勇者「意味深な特別な場所か」
剣士「はい」
勇者「よし、それを虱潰しにしていくか」
剣士「……ただ」
勇者「?」
剣士「……宝玉って超高くて。僕もアンデッドが出るだけの、忘れがたき宝玉しか持ってないんです」
勇者「持っているには持っているのか」
剣士「宝玉の中で一番手に入りやすく、基本捨て値で出回るので……」
勇者「そ、そうか」
50 :以下、
剣士「いやー高価なものですから持ち去り考えると、誰も貸してくれませんよ」
剣士「担保も用意できないですし」
剣士「ただパワースポットに関しては、まだまだ分からない事だらけなんで」
剣士「試しに巡ってみてもいいのかなぁとは思っています」
勇者「ふむ……ともすればさっさと行ってみた方がいいか」
剣士「まずは宝玉無しで行ってみましょうか」
51 :以下、
勇者「うん……? あれは?」
剣士「骸骨系のMobなんてこんな所にいないはずですけども」
骸骨将軍「ぐ……ぬ、勇、者? 何故、いや、構わ……」
勇者「?! 貴様、何故この世界に! いや、お前も……なのか?」
剣士(見た事無いグラに名前も未表示……町で聞こえたバグモンスターは勇者さんの世界の魔物か)
骸骨将軍「頼、む……殺せ……殺、てくれ……私が」
勇者「な、何を言っているんだ」
52 :以下、
―― [戦 闘 開 始] ――
勇者「え……?」
剣士「名前が表示された……まさかこの世界のMob化した?」
骸骨将軍「カカ、コココ」
剣士(ボイスチャットじゃなくなった……しかもこの音)
剣士「ゆ、勇者さん! 骸骨系モンスターが出す音です!」
勇者「……」ギリ
53 :以下、
骸骨将軍「カカカ」ヒュン
勇者「くっ!」ガギィィン
勇者(強さは変わらないのか……流石に楽にはいかないな)
剣士(初めて勇者さんが剣で受け止めた……)
勇者「ふっ」ギィン
骸骨将軍「ココ、カカカ」ヨロ
勇者「たあああっ!!」ザンッ
54 :以下、
勇者「ぐっ!」ザッ
骸骨将軍 > 2732のダメージ
骸骨将軍 > アタック
勇者 > 2021のダメージ
剣士(通常攻撃でこれだけの威力!? え、援護しなきゃ)
剣士「夜落としのカード」カッ
骸骨将軍 > 無効
剣士(て、なんかめちゃ強そうだし……アイテムで状態異常できるかなぁ)
55 :以下、
勇者「落r」
骸骨将軍「カカカカコココ」ザンッ
勇者「かはっ」ヨロ
勇者(くそ、戦い辛い! 骸骨将軍なら心配する必要も無いが、今のこれは何時、剣士に矛先を変えるか……)
剣士「シールドスパイク!」
骸骨将軍「グガァッ!」
骸骨将軍 > スタン
剣士「勇者さん! 今です!!」
56 :以下、
勇者「ふう……」
剣士「お、お疲れ様です」
勇者(まさか向こうの魔物でこちらに来ているとは)
勇者(単純に自分一人帰還すればいいという問題ではなさそうだ)
勇者(なによりこの状況……もしかしたら、明確な原因があるのやもしれない)
勇者「……何が起こっているかは分からない以上、調べる方を進めなくてはな」
剣士「は、はい」
57 :以下、
勇者「……な」
剣士「どうかしましたか?」
勇者「ここは……馬鹿な」
剣士「え?」
勇者「恐らく、とされていたが……昨日話した魔王に関する宝玉がある場所とそっくりだ」
剣士「ええ?!」
勇者「……」
勇者(まさかその宝玉が……今回の一端だとでも言うのか?)
58 :以下、
勇者「昔、魔王の宝玉の在り処に関する調査が行われてな、その資料にいくつかの候補があるんだ」
勇者「ある程度宝玉の位置を掴む為の、大雑把な調査だったようだが……」
勇者「今後、調査ができなくても、再度訪れれば必ず判断できるようにと、内装のスケッチが纏められていたんだ」
剣士「無駄に……」
勇者「いやまあ、助かってはいるが正直そう思う」
剣士「因みにその後なんで調査が?」
勇者「その時は平和だから色々な派閥がいたんだ。資金の無駄という考えとかさ」
59 :以下、
勇者「思うように進んでいないんだ」
剣士「にしても、何をもってそこに宝玉があるかも、としたんですか?」
勇者「魔王自身、あるいは魔力、どちらが封じられてるにせよ、周囲の大気に含まれる魔力の量は多くなる」
勇者「まあ……実際は宝玉を出現させる術分からず、その調査もそこそこに、魔力量の測定だけしたって話だが」
剣士「あー……」
60 :以下、
剣士「はい……」ゴクリ
勇者「その資料で見た景色が、俺にとっては今現実のものとなって目の前にあるわけだ」
剣士「ここは元からこんな感じです。勇者さんの件でこうなった訳じゃありません」
勇者「ところが奇跡か……か」
剣士「スケッチが不完全で似ている、とか?」
勇者「いや……凄いリアルなスケッチなんだ。画家でも連れて行ったのかってぐらい」
61 :以下、
勇者「あまりにも同一な聖堂があるが故に、今回の異常が発生した?」
剣士(こういう時の定番って……)
勇者「どうした? 何でもいい。話してくれ」
剣士「こっちの世界は物語の娯楽がいっぱいあるんですけど、こういう時の定番って」
剣士「こういう感じで同じような場所が何かの拍子で、その宝玉がこっちに現れる……」
剣士「というか勇者さんの世界と一時的、部分的に繋がちゃったりするものなんですよ」
剣士「で、この世界の特大のボスがその宝玉を手に入れる」
剣士「……本来、意思がない筈のNPCが自立して動き出し、ほにゃららら……」
勇者「ほにゃらら……」
62 :以下、
剣士「はい」
勇者「そういう事もありえるやもしれないな……」
勇者「だがまだ宝玉が持ち出されていない。一時的に繋がっているだけの可能性もある」
勇者「座して待つ訳には行かない。一度君の言う、ここが変化する宝玉を持ってこよう」
剣士「ですね」
66 :以下、
67 :以下、
68 :以下、
勇者「名前が変わった……」
剣士「条件に一致した宝玉を持ってきていると、地名の前に宝玉の名前がつくって考えられてます」
勇者「なるほ」ズンッ
剣士「どうしました?」
勇者「何も、感じないのか?!」
剣士「え、はい……すみません」
勇者(この重苦しい威圧感のような魔力……まさか本当に魔王の宝玉が!)
69 :以下、
剣士「??」
勇者(和らい、だ……何が)
―― [戦 闘 開 始] ――
剣士「え?! ここで?!」
勇者「何が現れた!」
シャドウ「……」
剣士「シャ、シャドウ!? こ、こんな所で……」
70 :以下、
勇者「ぐ!」ザザザッ
剣士「うわ!」ザザザッ
勇者(? 剣士の驚きの割りにそれほど力は……)
剣士「ま、不味い! 勇者さんが攻撃を……」
勇者「え?」
シャドウ「」グニャリ
影剣士「……」グニャ
71 :以下、
勇者「ぐ!」ギギギ
影剣士「……」シャッヒュンッ
勇者「く、そ!」ザンッ
勇者(剣士をコピーしたのか?! 格段に強くなった……いや彼の能力は元々これだけあるという事か!?)
勇者(だがこれなら……俺に変わる前に倒せれば!)
影剣士「」グニャリ
72 :以下、
影剣士「..zZ..zZ」
勇者「!」
剣士「シャドウは攻撃を当てたPCの姿になれます! PCの持つ技、能力が超強化された状態です!」
剣士「状態異常の耐性はコピーされたPC依存、僕は睡眠・幻惑・混乱が有効です!」
勇者「了解だ!」ヒンッ
影剣士「!」ザンッ
影剣士「」グニャリ
シャドウ「……」
73 :以下、
勇者「元に戻った……?」
シャドウ「」グニャ
影大剣「……」グニャリ
勇者「な……」
影大剣「……」ブォン
勇者「がっ!」ザンッ
74 :以下、
シャドウ > 形状変化
シャドウ > 変化:影大剣
シャドウ > アタック
勇者 > 2912ダメージ
剣士(並のPCじゃ歯が立たないぞ……!)
剣士(……これが噂にすらならないなんて。勇者さんの様子を見る限り、魔王の力が本当に影響を?)
勇者「剣士!!」
シャドウ > 上段斬り
剣士「え?」
影大剣「……」ブォンッ
75 :以下、
剣士 > シールドバッシュ
剣士 > Avoid
シャドウ > スタン
勇者「おお!」
剣士「っはぁ! っはぁ!」
剣士(回避率特化の盾じゃなかったら……今のでもしかしたら)
剣士(定番だとこういう敵に倒されると……うおぉ)ブルッ
勇者「はっ!」ザザザン
76 :以下、
シャドウ > 2311ダメージ
シャドウ > 2145ダメージ
シャドウ > 4859ダメージ(クリティカル)
シャドウ > スタン回復
剣士(異常な強さだけど……これなら勝てる、はず!)
黒大剣「……」ノソ
勇者(やはり……巨体な分、一動作毎のインターバルがあるな)
77 :以下、
勇者「太陽の聖域」カッ
勇者「……」シュゥシュゥ
剣士「?」
勇者 > 621回復
勇者 > 668回復
剣士(リジェネ系……5000以上食らっているはずなのに。単発高回復の魔法は使えないのか)
勇者(さて……次の攻撃がくるはずだ)ジリ
78 :以下、
シャドウ > 独楽斬り
剣士「ひぃっ! 回転しながら突っ込んできますよ!」
勇者「え?」
影大剣「……」ヒュン ヒュン ヒュンヒュンヒュン
勇者(不味い……避けるのも耐えるのも無理だぞ、あんなの)
剣士(一撃があれなのに連続で斬りつけられたら……成功してくれ!)
剣士「爆激符!」ピッ
影大剣「……」ッドォォン
シャドウ > 行動キャンセル
79 :以下、
剣士「は、はは……しばらくレアはドロップしなさそうだなぁ」
剣士「行動中の技を止めただけです! すぐに動き出します!」
黒大剣「……」グニャリ
シャドウ「……」グニャニャ
剣士「あ……げ、まさか」
影勇者「……」
80 :以下、
影勇者「……」チャキッ
剣士(い、一騎打ち? というか勇者さんの超強化版ってもう……僕に援護の隙すらないんじゃ)
勇者「……」ダッ
影勇者「……」ドッ
勇者 > 8243ダメージ(クリティカル)
81 :以下、
剣士「あ……うあ……」ガタガタ
影勇者「……」クル
勇者「く、そ……」
影勇者「……」スゥ
勇者「が……間合いだ!!」バッ
影勇者「!」ガッ
82 :以下、
勇者「マジックドレイン!!」
影勇者「!!」
影勇者 > MP10231ダメージ
勇者 > MP10231回復
剣士(MP多っ!!)
勇者「く……」ヨロ
勇者「くれて、やる」ポィ
83 :以下、
食魔花「」キチキチ
勇者 > 食魔花
影勇者 > MP1ダメージ
影勇者 > 急性魔力欠乏症
影勇者 > 526ダメージ(スリップ)
影勇者 > 589ダメージ(スリップ)
影勇者 > 625ダメージ(スリップ)
影勇者「!」ガクガクガク
剣士「怖っ!」ビクッ
勇者「もう大丈夫……いや、姿を変えてこない限りはな」シュウシュウ
84 :以下、
剣士「ど、どうなっているんですか?」
勇者「俺の世界は基本、誰もが魔力を持っている。量の差はあるのだがな」
勇者「それが急に消費消失した場合、ショック症状を起こし処置できなければ死に至る」
勇者「まさか、再三苦しめられたこれに助けられるとはな……」
影勇者「」ピク ピク
勇者「どうやら……これで終わりそうだな」
85 :以下、
勇者「マジックポイン……魔力残量の事か? ここは全て数値化されているのか……」
勇者「ショック症状自体避けられないが、僅かでも残っていれば自身で対処できない程の症状にならないからな」
勇者「一撃で全て魔力を失わないような効果の装備を持っているんだ」
剣士「有無の差がそこまで……」
勇者「ああ、全くだ……」
影勇者「」シュン
紫宝箱「」スゥ
86 :以下、
勇者「……ふと気になったのだが銀よりいいものなんだよな」
剣士「そうですよー」
勇者「色的にそうは見えないんだが……」
剣士「あー……一応、赤は一般イメージだからでして」
剣士「銀はそのまま銀の宝箱、紫は魔法を帯びているミスリル銀、金がそのまま金、光る赤がオリハルコンってなってます」
剣士「オリハルコンってそちらの世界にはありますか?」
勇者「伝説上はな……だがしかし、ミスリル銀より金のが価値が高いのか」
剣士「そこは中身とイメージとして折り合いがつかなったそうです」
87 :以下、
勇者「なんだ、これは……分かるだろうか?」
剣士(? ああ、トレード画面出ないんだった)
剣士(宝玉の欠片……アイテム情報もNo Dataか。どう見ても勇者さん絡みだよなぁ)
剣士「全くもって。多分そちらの世界に関わるものだと思います」
勇者「だろうとは思った……。すまないが返してくれないか?」
剣士「というよりも僕が持っていても仕方が無いですしね」
88 :以下、
勇者「それもそうだな……」
剣士「ここの茂みに隠れていて下さい。透明化のアイテムも無駄には使えませんし」
剣士「それじゃ行ってきますね」
勇者「ああ、助かるよ」
剣士(あれ? おわ! レベルが2も上がってる!)
剣士(骸骨将軍と特殊シャドウ、相当な経験値だったんだなぁ……)
剣士(あ、あの装備が使えるようになる! 露店出てないかなぁ)ウキウキ
89 :以下、
勇者(普通じゃない……やはり魔王の宝玉と見るべきか)
勇者(そうなるとやはりこれは、魔王の魔力を封じたもの、か?)
槍騎士A「あっ」
槍騎士B「おっ」
勇者「!」
勇者(不味い……気づかなかった!)
90 :以下、
槍騎士B「礼ならいくらでもする。手を貸してくれ!」
勇者「え? あ、ああ、いやしかし……」
槍騎士A「頼む! 急がないとならないんだ!」
勇者「……。分かった。どうすればいい」
槍騎士B「すまない、着いてきてくれ!」
93 :以下、
槍騎士C「……」
槍騎士D「来たか」
勇者(……全員同じ格好。何かの組織か?)
勇者「それで、どうすればいいんだ」
槍騎士A「……」
槍騎士B「残念だが、頼みなどはじめからない。騙して悪いが仕事なんでな」
槍騎士D「ふざけるな。それこそ仕事中だ」
94 :以下、
槍騎士D「不正プレイヤー、貴様が何をどうやってその状況を保っているかは分からないが……」
槍騎士D「排除させてもらうぞ……」
勇者「待て、君達はこの世界を管理する者なのだろう。その君達ですら、俺の排除に姿を現さなければならないのか」
槍騎士C「何言っているんだ……こいつ」
槍騎士A「GMに対して煽っているのか?」
槍騎士B(この状況で俺以上にふざけるとかメンタルつええ……)
95 :以下、
槍騎士D「特定MAPに強制的に移動させようにもそれも無効」
槍騎士D「アカウントを調べようにも、何一つ情報が存在しないかのように読み取れず……」
槍騎士D「不正プレイヤーの度を越えた……最早ハッカーと呼ぶに値するお前が」
槍騎士D「中々面白そうなRPをしているとはな。性質が悪くて反吐が出る!」
槍騎士D「貴様の情報を解析し、二度と我が社のサーバーに繋がる事すらできなくしてやろう!!」ザッ
96 :以下、
97 :以下、
98 :以下、
勇者(彼らに倒されたら俺はどうなる……? 剣士達なら復活できるのだろうが……)
勇者(それが狙い、か?)
槍騎士A(俺達の権限ですらどうにもできなかった……)
槍騎士B(コマンド全部弾きやがるからなぁ)
槍騎士C(で、あればこのデバッグ用の槍で全て見通してやるよ、ハッカー)
槍騎士D(ダメージを与える、それはPCのHP残量のデータを書き換える事になる)
槍騎士D(その処理の隙間を潜り、貴様の情報を抜き出してくれる)
99 :以下、
勇者「!?」ギィィン
勇者(早い!)
槍騎士B「そぉら!」
槍騎士C「……」
勇者「ちぃっ!!」バッ
勇者(上手い!)ザッ
槍騎士D「……」ブォン
勇者「!?」ガギィィン
槍騎士D「……ちっ」ギィン ブァッ
勇者(強い!)ギィィン
101 :以下、
槍騎士B「しかも迫真の演技。かっけぇ……」
槍騎士C「真面目にやれ!」
槍騎士D「……」ジリッ
勇者(何とか先制を掻い潜ったと思ったが……)
勇者(完全に四方を押さえられた……なんて熟練度だ)
勇者(外部から操作してこれほどまでに緻密に動けるとは……恐れ入るな)
102 :以下、
勇者(倒しきらずに勝つ。苦しい勝利条件だが元より単身で戦ってきた身……その程度できずにどうする!)ダッ
槍騎士A「!」バッ
槍騎士C「あ、馬鹿!」
勇者「……」ズザァ
槍騎士A(!? フェインt)
勇者「たあっ!」ザンッ
103 :以下、
槍騎士A(あ、やばい……)
槍騎士B(おいおい、なんだよこのダメージ……どうなっちゃってんの)
槍騎士C(一般の目に晒される可能性を考慮して、一般PCで来たのは失敗だったか……)
勇者「たああ!」ヒンッ
勇者 > 急所返し
槍騎士A > 3961ダメージ
槍騎士A > Dead
勇者「!!」ドキッ
勇者(二発で……馬鹿な! いや、彼らにとって俺はそれだけイレギュラーなのか! しかしこれでは……)
槍騎士D(サーバーのデータに書き換えられた痕跡は無いはずだが、何故実装されていない技が……だが)
104 :以下、
槍騎士B「噛ませ犬様ご苦労様でーっす」
槍騎士A:Dead「てめぇ……」
勇者(操作している者は無事か……特別悪影響はないのだな)ホッ
槍騎士D「B、C!」
槍騎士B「へい」バッ
槍騎士C「……」ダッ
勇者「まだ戦うのか」ギィィン
槍騎士B「すまんね、お仕事なの」ビッ
勇者「なら……」クル
槍騎士C(距離を取らせは……)
勇者「雷撃刃!!」カッ
105 :以下、
槍騎士B「うっひぃ……なんだ今の」バチバチ
槍騎士C「剣で範囲攻撃……? くそ」バチィ
槍騎士B > 352ダメージ(Guard)
槍騎士C > 1436ダメージ(Guard)
槍騎士C > 麻痺
槍騎士B「対雷装備でゴメンネ」ビッ
勇者「くっ!」ギィン
槍騎士D「……」
槍騎士B(こりゃあ、A切捨ててCだけでも回復させといた方がいいかもしれんね)
106 :以下、
槍騎士D(倒す必要は無い。ダメージが入ればそれでいい……終わりだ)
勇者「!」
槍騎士D > クラッシュピアース
勇者「くぅぅ!!」ガギィィン
槍騎士D「!?」
槍騎士D(この技を受け流しただと!?)
107 :以下、
勇者「ふっ!」ヒラリ トッ
勇者「たあ!」ザンッ
槍騎士B「うは、回避高すぎ……チート乙」
槍騎士C「真面目にやらないからだ!」ビュッ
勇者「……く」バッ
勇者「たああ!」ガギィィン
槍騎士D「……」ギギギ
槍騎士D(後ろに回りこんではみたが……恐ろしい反応度だ)
108 :以下、
槍騎士D「え……?」
勇者「はっ!」ザン
槍騎士C「げっ!」
槍騎士B「そこぉ!」
勇者「……ふっ!」キンッ
槍騎士B「ですよねー……ん?」
槍騎士B > 6385ダメージ(クリティカル)
槍騎士B > 武器破損
槍騎士B(剣でウェポンブレイクとか……ハッカー、チーターじゃなけりゃ、お友達になりたいんだけどなぁ)
109 :以下、
勇者「……」ジリ
槍騎士B「これ、せこいから使いたくなかったけど」ヒョイ
勇者「なっ!」ビタッ
槍騎士B > 影縛りのカード
勇者 > 行動キャンセル
槍騎士D「終わりだ」ビッ
勇者「間に、合え!」ググ バッ
110 :以下、
槍騎士D「……」
槍騎士D > 閃光突き
勇者 > Avoid
槍騎士C > 閃光突き
勇者 > 1201ダメージ
勇者「……」
槍騎士C「ふう……」
勇者「大したものだ……俺の居た国の近衛兵ですら、十人同時に相手しても無傷だったものを」
槍騎士B「ホント面白いなぁ君。状況分かってる?」
111 :以下、
槍騎士B「……よく考えたら状況分かってたら怖いわ」ジャ
勇者「は? え?」
勇者(構えを解いた? 何故……?)
槍騎士B「あのね。君、凄いプロテクト組んでるっしょ。ダメージ与えた時の処理使って、そっちの情報頂こうとしたのよ」
勇者「そ、そうか??」
槍騎士D「……」
槍騎士B「あーもーなんだかねぇ……悪意無さそうだから俺もついつい口が滑っちゃうよ。はいはいすみませんって、始末書書きますよー」
112 :以下、
槍騎士C「」
槍騎士D「……どうした?」
槍騎士C
槍騎士B「えぇぇ?」
槍騎士A:Dead「見てきます」
槍騎士A:Dead
勇者「……」
勇者(何が起こった……まさか俺の所為で何か?)
113 :以下、
槍騎士D「……分かった。お前達はログアウトして解析しろ」
槍騎士A:Dead「」シュンッ
槍騎士C シュンッ
勇者「? 何を言って……」
槍騎士B「いや、普通にAとCと話してるだけだって。そんくらい分かるっしょ?」
勇者「いや、すまないが君達がどういう状況か俺にはさっぱり分からないんだ」
槍騎士B「……ん? え?」
槍騎士D「本当に……何者なんだ。貴様は」
槍騎士D「謎の膨大な量のデータが得られたそうだ……とんだ地雷までしかけてくるとはな」
114 :以下、
勇者「……もし可能であれば、俺の話を聞いては貰えないだろうか?」
槍騎士D「話だと……今更何を」
勇者「君達はこの世界を管理する者達なのだろう? ……出来れば、協力してほしい」
槍騎士B「ちょ、まだRPするの? でもそういうの好きよ、俺」
槍騎士D「B」
槍騎士B「サーセン」
槍騎士D「何れにせよ、現状打つ手が無くなった。話だけは聞いてやろう」
115 :以下、
槍騎士D「馬鹿な……そんな事が」
勇者「自分が会った者も初めは冗談だと思っていたようだ」
勇者「だが、俺には分からない何らかの根拠を元に、それを信じた方が辻褄が合うと気づいたようだ」
槍騎士D(確かに……いや、未知数の塊であるからこそ、今までの謎の現象が起こったと片付けては)
槍騎士D(だが……明確な部分を見ればこそ、確かに辻褄が合う)
槍騎士D「その協力者を呼べ」
勇者「すまないがこの世界の機能の殆どが、俺には利用できないんだ」
116 :以下、
槍騎士D「名前は!」
槍騎士B(うっわぁだんだんイラついてる。触らぬ神に祟りなし、大人しくしとこ)
勇者「剣士という者だ」
槍騎士D「……」
勇者(あの様子から見るに、遠方のPC同士でも連絡を取る機能があるのだろうな)
勇者(便利そうだし羨ましいものだが……彼にはまた迷惑をかけてしまうな)
117 :以下、
剣士「……と、自分では判断して行動していました」ビクビク
槍騎士D「……」
槍騎士B(やっべ、徹夜でもいいから今すぐ解析にいきてえ。二つデスク離れてるのに、なにこの威圧感)
勇者「すまないがせめて、彼だけは大目に見てもらえないだろうか」
槍騎士D「……っ、はあぁぁぁぁ」
剣士「!」ビクッ
118 :以下、
剣士「は、はい!」
槍騎士D「私と彼をフレンド登録してほしい」
槍騎士D「これから定期メンテまで、どちらかのキャラが必ずいるようにしておく」
槍騎士D「何かあったり、必要な事があれば連絡してくれ」
剣士「え……いいんですか?」
槍騎士D「今の我々に出来るのは解析と、上の性急な判断を押しとどめる事ぐらいだ」
槍騎士D「表立って助けてはやれない。善良なプレイヤーの君にはすまないが、それで勘弁してほしい」
剣士「い、いえそんな! ありがとうございます!」
119 :以下、
勇者「俺はな。それより更に君に迷惑をかけてしまいすまなかった」
剣士「気にしないで下さいよ。好きでしているんですから」
槍騎士B「先輩、珍しくやっさすぃー」
槍騎士D「昔を思い出しただけだ」
槍騎士B「なんですそれ。ネトゲで言っても格好悪いっスよ」
槍騎士D「ネットゲームという非日常の中ですら、更なる非日常を求めたりしたものだろ」
槍騎士B「……先輩も昔は厨二病だったんスね」
槍騎士D 「ツカッツカッ ツカッ カッ」
槍騎士B「カッ え? ツカッ あちょ、タンm ゴッ」
120 :以下、
槍騎士D「どうかしたのか?」
剣士「実は先ほど、[忘れがたき歴史に残らぬ聖堂]に行ってきたんですが」
剣士「そこで異常に強く、特殊攻撃を行うシャドウが出現しまして」
槍騎士D「……また、訳の分からない状況を」
剣士「……え、えと。倒した時に、恐らく勇者さんに関係するであろうアイテムを入手したんです」
槍騎士D「ほう、どんなだ」
勇者「これだ」
槍騎士D「……? っ!」
剣士(GMでもトレード画面無視してアイテム渡されたら驚くよなぁ……)
槍騎士D「……なるほど、先ほどの話とも繋がるな」
121 :以下、
勇者「え? あ、ああ……?」
剣士「それで他の場所もそうなるのではないかと考えています」
剣士「けど、その……忘れがたき宝玉しか持っていないので、もし可能でしたら宝玉をお貸し頂けないでしょうか?」
槍騎士D「……仕方が無い。いいだろう」
槍騎士B「えー……マジッスか。まだいくつかはネットでも、ドロップ報告上がってすらないっスよ」
剣士「!」
槍騎士B「あ、やべっ」
槍騎士D「……他言無用で頼めるな」
剣士「は、はい」
122 :以下、
剣士「闇・宝玉? 火・宝玉……この宝玉は一体」
槍騎士D「デバッグ用のものだ。次の定期メンテナンスでロストするように設定してある」
槍騎士D「くれぐれも他者に渡さないように」
剣士「は、はいっ!」
勇者「ふぅ……助かった」
剣士「裏方のGM見るの初めてだなぁ」
勇者「ジーエム?」
剣士「管理している人達の中で、専用キャラクターでこの世界に来て色々とする人達です」
剣士「イベントの進行役だったり……まあ今回みたく不正しているプレイヤーにお仕置きしたりですね」
124 :以下、
剣士「どうしてですか?」
勇者「あのまま畳み掛けられていたら負けていたかもしれない」
勇者「この世界で力尽きたら……きっと俺は死んでしまうのだろう事を思うと」
剣士「あ、あぁ……」
勇者「何はともあれ、一先ずは本の機能が止まる日までは、管理側からは攻撃が無くなった」
勇者「少しは安心できそうだ」
125 :以下、
勇者「駄目なのか?」
剣士「……宝玉と一緒に、大量の姿を消す道具も渡されました」
剣士(そりゃあ未確認装備で身を包んだキャラがいるとか、運営も火消しが面倒だもんなぁ)
勇者「つまり……見逃すのは、剣士が先手打って伝えた、可能な限り穏便に済ます手段を実行した上で、という事か」
剣士「……言動の裏読むの得意ですね」
勇者「卑しい貴族と向かい合わなければならない事もあったからな……」
126 :以下、
剣士「え? ああ、大丈夫です。複数持っていた場合フィールドに効果があるのはランダムです」
剣士「ダンジョンとかだと条件になっている宝玉が優先、無ければこれもランダムですね」
剣士「風の国だとあと三箇所パワースポットがありますので、ガンガン行っちゃいましょうか」
勇者「ああ、よろしく頼む」
[恵み振る変わりなき湖の畔]
剣士「……」サヤサヤ
勇者「長閑だ……」サァァ
剣士「……ですね」
127 :以下、
剣士「湖でそこの光り輝く場所から光る水と、貴重な魚が採取できます」
勇者「……? だけか?」
剣士「です。いや、結構入手手段が限られたアイテムなんで」
勇者「そんなものか……」
剣士「そんなものなんです。こういう本の世界って」
128 :以下、
剣士「……」サヤサヤ
勇者「長閑だ……」サァァ
剣士「……ですね」
勇者「……ここは?」
剣士「燃えているような花から火の花が採取できます」
勇者「そればっかだな……」
剣士「この本を遊び始めた人が集まる国なんで、初心者向けみたいな」
勇者「しかし、殆どの宝玉は早々手に入らないのだろう?」
剣士「ナンデスヨネー」
129 :以下、
剣士(吹き荒ぶ宝玉ってあるんだ……ドロップ報告無いのこれか)
勇者(人がいる……喋るとばれてしまうな)
剣士「あれ? NPCだ」
勇者「なんだ、では問題ないんだな」
行商人「……」
剣士「あ、特殊な道具売ってる」
勇者「……思わず二度ほど桁を数えてしまったぞ」
剣士「それだけ価値があるものなんですよ」
130 :以下、
勇者「あ……三箇所か」
剣士「はい……」
勇者「他の国があるそうだな」
剣士「北に森の国、更に北に雪山の氷の国、北東に山岳地帯の崖の国」
剣士「その南に海の国。えーと南南西に砂漠地帯の砂の国、その東に火山の火の国」
勇者「……ややこしいな。よく覚えていられるな」
剣士「いやぁ遊んでいれば、自然と覚えていくものなんですけどね」
131 :以下、
剣士「風、氷、砂の国の領土が広がっているだけですね」
勇者「森の国とやらは?」
剣士「西が凄い短いんです……風の国に南と西を抑えられている感じです」
勇者「……森がそこで途切れているのか」
剣士「そういう事です」
132 :以下、
剣士「森の国は三箇所です」
剣士「一箇所が風の国よりにあるので歩いていきましょう」
勇者「城下町から城下町へと瞬時に移動できるのか……」
剣士「はい、転送サービスっていうのを使ったり、転移魔法で特定の地点を登録している方にお願いしたりですね」
勇者(全部回りきれるのだろうか……)
133 :以下、
剣士「あ、槍騎士Bさんから連絡が来ました。ちょっと待って下さい」
勇者「え? あ、ああ……」
剣士<どうしました?>
槍騎士B<一応伝えておこうと思ってねぇ。今のところ、実装Mobの強化版は君達が倒したシャドウのみね>
槍騎士B<彼の世界とやらの魔物、特に名前未表示のはちらほらいるみたい>
槍騎士B<何人か瞬殺されたってさー>
剣士(GMとしてそれ、笑っていいんだろうか……)
134 :以下、
槍騎士B<ま、倒しても旨みが無いから、大抵は逃げているようだねぇ>
剣士(炎上は、ていう事はやられた人がどっかで情報吐き出しているのか……)
剣士(負けたら死亡とかは無いようだし……まあ、あの宝玉で強化されました的なのは油断できないけど)
剣士<ありがとうございました。こちらは風の国のパワースポット、聖堂以外外れでした>
槍騎士B<おー頑張れー>
剣士(超人事っ)
135 :以下、
勇者「一体どういう仕組みで連絡を取り合ったんだ?」
剣士「えーとですね。今こうして勇者さんと普通に会話している状態ですけども」
剣士「僕達にとっては道具に向かって話しかけ、道具から出る音を聞いて会話を成立させているんです」
勇者(通信魔法の道具版といったところか……)
剣士「今こうして勇者さんと話していますが、近くに誰かいれば当然会話を聞かれます」
剣士「これを特定の誰かを指名して、一対一で会話したりする事ができるんですよ」
136 :以下、
剣士「現実にも電話、ていう道具があって、これを使うと遠距離の人と連絡し合えるんですよ」
勇者「この世界の外でも似た事ができるのか!」
勇者「狼煙や伝書鳩のようなものでなくて、だよな?」
剣士「そうですよ。個々の電話ごとに10桁近くの番号が割り振られていて」
剣士「その番号をボタン式で入力すると、十数秒の内には繋がるんですよ」
勇者「へえ……! 凄いなぁ」
勇者「君の世界は。魔法というもの自体はないのか?」
剣士「ありませんよ。飽くまで想像上のものとしてしか存在していません」
137 :以下、
勇者「凄いな……もしやこの世界を維持しているのも雷の力なのか」
剣士「そうですよ。というか大抵の物は少なからず、雷の力が必要になります」
剣士「外部から引っ張ってくる必要があったり、小型の容器に封じ込めて使ったり」
勇者「小型?」
剣士「小指の第一関節から先ぐらいの大きさの物とかあります」
剣士「勿論、小さければ小さいほど小型のものしか動かしませんが」
138 :以下、
剣士「あーよくそういうネタはありますね。発達し過ぎた科学は魔法と変わらない云々……」
勇者「そうか……少し君の世界を見てみたいな。どれほどの文明の差なのだろう」
剣士(多分、相当かけ離れてる……)
勇者「……まさか君の世界ではこの世界みたく、手元に地図を表示させたりとかできるのか?」
剣士「えーと、端末……様々な情報を処理する小さい道具がありまして」
剣士「それを使えば周囲の地図を確認したりできますよ」
勇者「……文明に天と地ほどの差がありそうだな」
剣士「魔法が無い分そうした分野を発達させてきた、というところがありますからね……」
139 :以下、
剣士「! どうしたの、こんなところで」
勇者(今のうちもう一つ、消え去り草を服用しておくか……)
僧侶「薬草採取。そっちは?」
剣士「ちょっと人と待ち合わせしていて、向かっているところ」
僧侶「ふーん? そっか。じゃ、気をつけてね」ニコ
剣士「……。んん??」
僧侶「あれ、珍しい。噂知らないの?」
140 :以下、
僧侶「バグモンスターに到っては負ると昏睡するって話だよ!」
剣士(既に尾ひれついてる!!)
勇者(なんだとっ!)
剣士「それ本当?」
僧侶「んーニュース一通り調べてみたけど、そんな話は聞かないかなぁ」
剣士「デマだって分かってるんじゃん……」
141 :以下、
僧侶「まあ、現実的ではないけども、運営が何も言っていないところを見ると雲行き怪しいし」
僧侶「そして現れる主人公、同行して問題を解決してその名は長く語り継がれ……」ブツブツ
剣士「はいはい……そうだ、その謎装備のPCって?」
僧侶「なんか何人かいるらしいよ。GMのゲーム内用のキャラだとしても、未実装装備だなんて目立つだけだし」
僧侶「一体なんなんだろうね」ウーン
剣士(何人か……?)
勇者(俺以外にも誰かが来ているのか……一体誰だ)
142 :以下、
剣士「え? あ、ああうん」
僧侶「もしかしたら会えるかもね、さっきすれ違ってよ」
剣士「えっ! へ、へえ……予定変えて狩りじゃなくてその人探そうかなぁ」
僧侶「超可愛いPCだったよぉ」ニヤニヤ
剣士「あっそう」
僧侶「ちぇ、つまんないなー。まあいいか。待ち合わせだっけ? じゃねー」
剣士「うん、またー」
143 :以下、
剣士「……です」
勇者「それにしても随分と可愛らしい人だな。君も中々隅におけないな」
剣士「まあ、あれ。男ですけどね」
勇者「……」
勇者「あ、ああ……線の細い容姿の所為で、そういう趣向になってしまったのか……」
剣士「現実じゃむさい男ですけどね」
勇者「……」
144 :以下、
剣士「えーとですね、まず僕達の声は道具を通して伝えていると言いましたよね」
剣士「声の高さとか設定できるんで、野太い声から高い声まで自在なんですよ」
勇者「ほー……」
剣士「で、ここの世界は僕達にとっては現実で無いので、まあ性別合わせない人とかたくさんいます」
剣士「性別や姿とか自由に決められますので」
勇者「……ほー」
剣士「姿が可愛いから、て人もいますけど、さきほどの彼みたく、こういった世界で女性の振りをする人はネカマっていいます」
勇者「ネカマ?」
145 :以下、
勇者「オナベは聞かないな……」
剣士「男のように振舞う女性、オカマの逆だと思って下さい。で、こういった世界はネット、と呼ばれるシステムの上に成り立ってます」
勇者「そうした中にいるオカマオナベはネがつくのか」
剣士「そんな感じです。ネカマの多くは……まあぶりっ子したりして、男性に貢がせたりが多いです」
勇者「ああ……なるほどな……」
勇者「しかしネナベの必要性は?」
剣士「まあ、女性だと知られると男性に粘着……付き纏われたりしますからね」
剣士「そういう煩わしさを避けたいって女性は多いらしいですよ」
勇者「なるほどな」
146 :以下、
剣士「まあそんな訳で……何の話だったっけ……。あ、そうだ。謎の装備!」
勇者「彼女……彼が来た方角に行こう」
剣士「ですね」
勇者「人影なぞ見当たらんな……」
剣士「うーん。あ、勇者さん姿が……」
勇者「おっと……ちょっと待っててく」..ォォン
剣士「爆発音? 戦闘かな……あれ? なにあの氷」
勇者「……」サー
147 :以下、
勇者「……」タタ ズザァ
四将・氷「ん?」
四将・風「あら……」
勇者「貴様ら……」
四将・氷「はっ! やっぱりお前が絡んでいたか」
勇者「あぁ?」
剣士「え? あのー」
155 :以下、
氷「へぇぇぇ! その割には私達四将を一人も倒せていないようだけどもねぇ!」
勇者「姑息なお前達が何時挟撃してくるか分からん以上、余力を残した状態で決着しなくちゃならないからなぁ!」
氷「はぁ?! 何時私達が多対一で挑んだってのよ!」
勇者「俺一人に軍隊けし掛けてきているのはお前達だろう!」
氷「人外が寝言ほざいてんじゃないわよ! 一般兵如きに一対一を望む気?! 馬鹿じゃないの!」
剣士「えー……」
風「あの二人は会えば何時もこうなのですよ」
剣士「……えー」
157 :以下、
風「他の四将には普通なのですがねぇ……」
剣士「あの……貴女達は?」
風「彼に同行しているという事は、大まかな話を聞いているのでしょう」
風「私は新生魔王軍、四将の風、特性は風。彼女は氷と言い、特性は氷です」
剣士(あ、音読みなんだ……四天王じゃなく四将かぁ)
剣士「特性ってなんですか?」
風「我々魔族や魔物は種族ごとに苦手な属性と得意な属性があります」
風「まあ、得意な属性の対になるものが苦手というだけですが。人間には得手不得手程度で、大きな耐性の差はないようですがね」
剣士「なるほど」
158 :以下、
氷「なんならその粗末なもの切り落として、復讐の女神出産を助けてやろうか! あーそのダガー潰した方が早いわね!」
剣士「ちょ、勇者さーーーん!!」
風「氷、一般の方の前でそういう事は言わないの」
氷「喧嘩吹っかけてきたのはこいつよ!」
勇者「お前達が大々的に進軍したのが全ての始まりだ!!」
氷「あァン!」
勇者「あァッ!」
剣士「勇者さんが二重人格になった……」
159 :以下、
勇者「ぉ……」クラ
氷「ぁぅ……」カクン
剣士「え……?」
風 > 花香る風
勇者 > 睡眠
氷 > 睡眠
剣士(四将の人も……もしかして今のほぼ絶対に睡眠にする技とかかな? 凄いなぁ)
剣士(というかこれ、僕にかからないようにした、て事だとしたら……勇者さんの世界の人達)
剣士(考え一つで通常のフィールドでPKできるのか……絶対にさせないようにしないと)
160 :以下、
氷「ねえ殺っちゃいましょ、今この男殺っちゃいましょうよ」
勇者「ほー……手の平返して二対一か」ピキ
風「はーい。痴話喧嘩はそこまで」
勇氷「「何処が!」」
剣士「あの……お二人は勇者さんとは敵同士ですよね?」
風「ええ、そうですよ」
161 :以下、
勇者「どうかしたか?」
剣士「いえ、敵同士という割りにその、何と言うか恨み合っていないというか」
氷「……この世界では恨みあうものなのか」
風「そうよ。外の世界では国で戦争をしているのよね?」
剣士「ええ……え? 何で知っているんですか」
風「他の方に聞いたのですよ。こちらは異邦人ですからね。下手に出て頼んでみたところ色々話してくれましたわ」
氷「ああ……鼻の下伸ばした男達を集めていたのはそれか」
剣士(この風って人、分かっていてやったんだろうなぁ……)
162 :以下、
氷「ほぉ……お前はそこの男がいなかったらどうしていたんだ?」
勇者「……」ゴゴゴ
氷「……」ゴゴゴ
風「……はあ」
剣士「……あー。あ、さっきの質問、聞いてもいいですか?」
風「? ああ、恨み合っていない、ですね」
163 :以下、
風「それが他者を虐げる事も承知の上で、です。そして彼は彼で守るものの為に戦っています」
風「明確な敵ではありますけども、お互い無為に悪意を振りまいている訳ではありません」
剣士「お互いを好敵手として捉えていると」
風「そこまで清い関係ならいいのですが……これは戦争なので」
剣士(勇者さんの世界は割り切っているというかなんというか)
剣士(勇者さん自身の反応を見ると、四将……新生魔王軍の暴論じゃあないみたいだし)
164 :以下、
剣士「あ、はい。ありがとうございます」
勇者「――――――!!」
氷「――――――!!」
風「……とりあえず、貴方と現状確認をした方が話が進みそうね」
剣士「で、ですかね」
165 :以下、
風「……なるほど」
剣士「そんな訳なんですよ」
風「……」
剣士「……あの?」
風「あ、すみません」
風「状況だけ見れば……魔王様を封じられた宝玉は、既に何者かの手に渡り悪用されている、と見るべきなんでしょうね」
剣士「……何故そこまで魔王の宝玉が必要なんですか? 多くの血を流してまで得るほどのものとは……」
剣士「それともそれは、絶対の力であるとかですか?」
風「あまり……無関係な人に話していいものか悩むところですが」
風「……何処か遠くの御伽噺だと思って聞いて下さい」
166 :以下、
風「もう4,500年ほど前の事ですからね」
風「その当時は魔族も魔物も極々少数の集まりで生活をしており」
風「時には同族や人間と、領土の奪い合いをしていました」
風「そんな中、人間達は多くの集団が一つとなり、国というものを作り上げていきました」
風「遥か昔から因縁のある我々に対し、人間達は軍隊という形で攻め入ってきました」
剣士「その時に立ち上がったのが魔王……?」
風「その通りです」
167 :以下、
風「……結果は知ってのとおり、人間の名だたる者達に魔王様は討たれてしまいました」
風「それからというもの、百年近くは惨めな生活であったそうです」
風「人間達の追撃から逃げつつ、地に根を下ろす事もままならず……」
風「百年を過ぎた頃から、人間達も我々の根絶やしは諦めていきました」
風「しかし、見つけこそすれば剣を掲げて追い立てる……新生魔王軍が生まれるまで、それが続きました」
168 :以下、
風「それ故に、確固たる力……一度は敗れはしましたが、魔王様自身、またはそのお力を探しているのです」
風「そしてもう一度、今度は確かな国として独立し、人間側に立ち向かい勝ち残る。それが我々の考えです」
風「無論、中には人間に対して復讐心を燃やす者も数知れないのは事実。ですが無用な殺生を許した事はありません」
剣士(絶対的な力の長の下に、かな。という事は、魔王軍に賛同していない魔族魔物もいるのか)
剣士(一般兵や非武装の魔族とかの気持ちと、人間側の気持ちさえ片付けば共存できるんじゃないかなぁ)
剣士「なるほど……よく分かりました」
風「……諭しますか?」
剣士「いえ、平和な国で生まれ育った僕には、そんな事できませんよ」
169 :以下、
勇者「談笑だと!?」
氷「風! これは私達魔族の誇りの問題よ!」
風「問題解決への手がかりを得られたのですから、私達もそれに沿った行動をすべきです」
剣士(華麗にスルー)
氷「え? 手がかり!?」
剣士「話してないんですか……」
勇者「馬鹿に話したところで意味は無いだろう」
氷「アァ?」
170 :以下、
氷「へ? あ、うん……構わないけどもなんで?」
風「言質も取れた事だし……新生魔王軍、四将・風、ともに氷」
風「我々はこれより、勇者ならびに剣士の計画に協力をする」
勇者・氷「はぁ?!」
風「ついては、綿密な話合いの場を設けて頂きたい」
剣士「なるほど……分かりました」
勇者・氷「えっ!?」
171 :以下、
勇者「いや……うん? いやそうだな。どちらかという決定権は剣士にあったな……」
剣士「と言っても……場所の説明ってどうしたらいいんだろう」
風「この世界において、地名ごとに分かれた区画は正方形のマスのようなものでしたね?」
剣士「ええ、そうですよ」
風「氷、正方形の氷のパネルを作って。一辺が……2cmもあればいいかしら」
風「数は……11X11でお願い」
氷「はいはい……分かったわよ」ピキン
172 :以下、
風「風の国はこのあたりかしら?」
剣士「えーと待って……このあたり、かな? 現在地がここ」
剣士「ここからが説明難しいなぁ……」
風「場所と地名、パワースポットと呼ばれる場所がどこら辺にあるかを教えて下さい」
氷「ま、風だったら覚えられるわよね」
剣士「凄いですね……」
勇者「一つ疑問なんだが。剣士、その指差し……そんな細かい動きもできるのか。生身の人間と遜色の無い動きに見えるぞ……」
剣士「あーえーと、歩いたりとかできなくなるんですけど、その場で細かい動作を行う、という操作方法に切り替えてます」
風「この動きが外部からの道具による操作……人間の文明が剣士さんの世界の水準じゃなくて、心底安心しています」
173 :以下、
風「説明は聞いて覚えられましたけども……」
剣士「宝玉が不便すぎる……」
氷「必要な宝玉がバラバラね」
剣士「うーん……あ、そうだ。あの人なら」
槍騎士B「あのねぇ……俺、便利屋じゃないのよ」
剣士「す、すみません」
174 :以下、
槍騎士B「てか超美人。いやいや、これが実在するとか生身で見れる勇者君羨ますぃー」
氷「は? え?」
風「あら、ありがとうございますわ」ニコ
勇者「いや……二人とも殺しあった仲だが……」
槍騎士B「もーなんで戦争なんてしちゃってんの。和解しちゃった方が絶対いーじゃん」
風「……こちらの世界の方はこういうものなんですか?」コソ
剣士「……性格的には独特ですけど、国内の同性の考え方としては少数派じゃないのが苦しいところです」
175 :以下、
風「ありがとうござ……あらこれは?」
槍騎士B「ほい、こっちも」
勇者「地図? おお……道具としてあったんだな」
氷「私の分まで? ありがとう」
剣士「え?」
槍騎士B「や、地図見れないって言っていたからさ。Cβって地図見るコマンド無くて、その時の骨董品持ち出したのよ」
剣士「えぇ! 地図見れなかったんですか……このMAPの広さで。アイテム枠一つ潰さないといけなかったんですか……」
槍騎士B「Oβ後期までね。初心者ソロで旅立ち迷子続出で笑ったよ。自殺コマンドも無かったしね」
剣士(プレイヤーなのかGMなのか……相当古株の人なんだなぁ)
176 :以下、
剣士「ありがとうございました」
槍騎士B「何かあったらまたWisしてねー」
剣士「はーい」
槍騎士B「」シュンッ
氷「……時折、彼らは聞かない呪文を口にするな」
勇者「……言語においても我々と文明の水準が違うのだろうな」
風(こういった世界で使う用語らしいけども、勘違いが面白いから黙っておきましょ)
177 :以下、
勇者「南半分か」
氷「理由は?」
剣士「えっと……地図じゃ分からないんですけど、道が入り組んでるのが北の方が多いんで」
剣士(Mob的にも南の方が過酷だけど、勇者さんと対峙する二人だし問題ないんだろうし)
風「合流はどうしますか?」
剣士「僕の方でお二人の居る場所を確認し、向かうという方法で」
風「この世界の機能は本当に便利ですわね……」
178 :以下、
風「さて……二人も行った事ですし」
氷「ええ……」
風「……」ゴソ
風「……綺麗」
氷「本当に宝石の類が好きよね」
風「ちょっと!」
氷「はいはい、鳥だなんて思っていな」
風「鉱石だって好きなのよ!」
氷「え? あ、あれ……? それ本当に光物が好きなだけじゃ……」
179 :以下、
剣士「……」
勇者「どうした?」
剣士「いえ……結局のところ、あのお二人ってどういう感じなのか、よく分からなかったなぁと思いまして」
勇者「四将の内の二人、というのは分かっているか。一人が氷。特性は氷」
勇者「武器はレイピア。的確に鎧の隙間を縫って刺してくるから侮れないな」
勇者「彼女の使う魔法は巨大な氷柱や無数の小さいものを空中で生成したり、地面から隆起させたりする」
勇者「あとは極寒の猛吹雪を生み出したりして厄介なものだ」
180 :以下、
勇者「風の作用で自身の身体も軽くしているのか、風のような素早い動きで切りつけてくる」
勇者「フルアーマーでも脅威に値する近接格闘能力を持つ」
勇者「魔法は竜巻や風の刃等々。俺達の世界ではオーソドックスなものだが」
勇者「彼女自身の近接攻撃も相まって、脅威であると言える」
勇者「というか魔王軍の4トップなのだから脅威であって当然だがな」
剣士「なるほど……」
剣士「……」
剣士「体系的になんか……逆ですよね、イメージ的に。胸とか」
勇者「憎たらしい相手ではあるが、女性である事を考えると氷は中々可哀相なものだ」
182 :以下、
[恵み振る捕食者舞い寄る花畑]
勇者「……ここは何とも無いか」
剣士「……」
勇者「どうした?」
剣士「情報によりますと、ここの中央の花畑で花の採取か休息をとると」
剣士「魔物が現れて襲われるんです。それもかなり強い」
勇者「ほう……面白い」
剣士「ちょ」
183 :以下、
デドリーポイズンバタフライ「……」バッサバッサ
勇者「蝶というサイズか!? 人ほどの大きさではないか!」
剣士「だあああああ!! 普通のシャドウより強いの来ちゃったぁぁあぁ!!」
デドリーポイズンバタフライ > 猛毒鱗粉
勇者 > 猛毒
剣士 > 無効
勇者「た、耐性装備はしてあるはずなのだが……」クラ
剣士「超高確率なんですよ!」
勇者 > 2132ダメージ(毒)
剣士「うひゃああ!」
184 :以下、
勇者 > 無効
剣士「あーー!! 猛毒はこれじゃ駄目だったあああ!」
剣士「勇者さん! 毒消せませんー! あと、麻痺とか眠りとか使ってきます!」
勇者(運営の彼ら以上に危険な状態かもしれないな……)
勇者 > 2351ダメージ(毒)
猛毒蝶「」バッサバッサ
勇者(だが、今回は微塵の遠慮も要らない)
185 :以下、
勇者「……」ゴクリ
勇者 > キュアポーション
勇者 > 無効
剣士「毒消えてません!」
勇者「だろう、なっ!」バッ
猛毒蝶「」バサササ
勇者 > 回避
勇者 > 遅効性神経毒:行動不能まで40秒
勇者「……?」ピリ
剣士「あー! えーと! その蝶が近くにいると神経毒の鱗粉を吸い込みます!」
勇者「先に言ってくれ!!」
剣士「そこまで詳しく覚えてないですよ! こんなMob!」
186 :以下、
勇者「爆牙突!!」ゴァッ
猛毒蝶「キキキ」バササ
猛毒蝶 > 6754ダメージ(エレメンタルブレイク)
剣士「あ、ああそうだ! 炎系が有効です! あと、周囲に粉を巻き始めたら注意です!」
剣士「高濃度の鱗粉は吸ったら一気に毒が回ります!」
猛毒蝶「」バササッバササ
勇者(鱗粉で身を守っている? 下手な属性の魔法ならどうにかされるのだろうが……)
勇者「雷撃!!」ズガガン ズガン
猛毒蝶 > Avoid
猛毒蝶 > Avoid
猛毒蝶 > Avoid
187 :以下、
剣士「は、早く倒さないと」ワタワタ
勇者 > 遅効性神経毒:行動不能まで20秒
勇者(体が痺れてきたな……)ピリビリ
勇者「剣士! マジ、MP回復できるか!」
剣士「え? は、はい!」
勇者「よし……」グッ
188 :以下、
剣士「刀身から……凄い炎が」
勇者 > 煉獄一太刀
猛毒蝶「」バッサバッサ
勇者「はああ!!」ブォンッ
猛毒蝶「キキキ」バササ
猛毒蝶 > 9757ダメージ(エレメンタルブレイク)
剣士(やっぱり鱗粉撒いていると炎がより通るな……)
勇者「うおおおおおおお!!」
勇者 > 煉獄一太刀
猛毒蝶 > 10023ダメージ(エレメンタルブレイク)
勇者 > 煉獄一太刀
猛毒蝶 > 8956ダメージ(エレメンタルブレイク)
勇者 > 煉獄一太刀
猛毒蝶 > 9459ダメージ(エレメンタルブレイク)
勇者 > 煉獄一太刀
猛毒蝶 > 9331ダメージ(エレメンタルブレイク)
189 :以下、
勇者 > 遅効性神経毒:行動不能まで10秒
勇者「おおおおお!!」ビリビリ
勇者 > 煉獄一太刀
猛毒蝶 > 10231ダメージ(エレメンタルブレイク)
勇者 > 煉獄一太刀
猛毒蝶 > 9994ダメージ(エレメンタルブレイク)
勇者 > 煉獄一太刀
猛毒蝶 > 9869ダメージ(エレメンタルブレイク)
猛毒蝶 > Dead
剣士「! 倒した!」
勇者「っはぁ!」ピタ
勇者「う……あ」グラ
勇者「あああぁぁぁあぁ!」ガタガタガタガタ
勇者 > 急性魔力欠乏症
190 :以下、
勇者「ひっ……んぐっ! ごくっ」ガタガタガタガタ
勇者 > ハイポーション
勇者 > 3000回復
剣士 > 高純魔石
勇者 > 2353回復(MP)
剣士(三割回復なのに? そうか、あの時はシャドウの強化であれだけのMMPだったって事か)
剣士(でも三割は三割、のはずだ。これでだいぶ助けになるはず)
勇者「っはぁ……はぁっ……はぁっ……」
勇者「はぁ……ふぅ……すま、助かっ……」
191 :以下、
勇者 > 遅効性神経毒:行動不能
勇者 > 猛毒回復
勇者(体が痺れて全く動けないが……息苦しさが消えた……猛毒が消えた?)
勇者(……この世界では、ある程度の身体の異常は自然治癒で治るのか)
剣士「……」
剣士(一先ずは大丈夫そうかな……神経毒回復まで待たないと)
192 :以下、
剣士「おぉぅ……金宝箱とか初めて見た」
勇者「開……ろ」ビリビリ
剣士「いいんですか?」
勇者「……」コク
剣士「では……」ガチャ
剣士 > 太陽剣入手
勇者(おお……美しい剣だ)
剣士「ひやああああああ!!」
193 :以下、
剣士(ひぃぃぃ50Mするぅぅ!!)
剣士(っていうかこの鯖で何本目だ!? ひいいいいい!!)ガタガタガタガタ
剣士「あばばばば……」ガタガタガタ
勇者(よっぽど良い装備なのだろうな……付き合わせてしまっている謝礼になるといいなぁ)
剣士(ひやああああああ!! Lv的に絶対晒されるううぅぅ!!)
194 :以下、
勇者「……装備しないのか? さっきの」
剣士「やー……あれ装備すると色々と面倒な事が起こるんで」
勇者「そうか……巻き込んでしまっている謝礼になればと思ったんだがな」
剣士「しゃ、謝礼どころじゃないですよ……多分、明日死ぬぐらいの運を使ったぐらいな」
勇者「しかし魔物を倒したのは俺だ。その宝箱を出現させたのは俺なのだぞ」
剣士「いや、あの……開ける時にランダムで……まあいいか。おわ、また1レベ上がった」
195 :以下、
剣士「そりゃまあ……初見殺しですからね」
剣士「ある程度情報が出ているとは言え……恵み振る宝玉自体、そこまで数が出回っていないですし」
剣士(にしてもこの剣、ホントどうしようかなぁ……扱いに困るぞー)
勇者「ふう……俺はもう大丈夫だ。次のポイントに向かおう」
剣士「あ、はい」
剣士(もしかしたら、僕も戦わざるを得ない状況もあるかもしれないし持っておこう)
剣士(超レア剣とは言え、Lv49剣士に何が出来るのか甚だ謎だけども)
196 :以下、
[切り荒ぶ忘れ去られた山小屋]
勇者「宝箱……」
剣士「本来ここは何も無くて、休息取って回復できるだけなんですけど、宝玉の効果ってところでしょうか」
勇者「開けてみるか……」ガチャ
勇者 > 太陽盾入手
剣士「ぶうううぅぅ!!」
勇者「ど、どうした?」
197 :以下、
剣士(ひああああとんでもない事にぃぃぃぃ!)
勇者「剣士、これを受け取って欲しい」
剣士「嬉しいけど嬉しくない!」
勇者「え? な、何故?」
剣士「い、色々とこの世界では面倒な事が多……いや、僕の世界が、かな」
198 :以下、
勇者「というより今の装備の方が強い」
勇者「いざという時はこれを使って逃げ延びてくれ」
剣士「う……分かりました。一応受け取っておきます」
剣士(可能な限り、そうした状況にならないでほしいなぁ)
勇者「さあ、次に行くぞ」
剣士「あ、はい」
208 :以下、
209 :以下、
210 :以下、
211 :以下、
怖いな
199 :以下、
[遥か果ての閉ざされた山道]
剣士「……」ゴクリ
勇者「どうしたんだ?」
剣士「ここ、ゴーレムが出てくるんですよ……」
勇者「倒せばいいのか」
剣士「……まあ、そうなんですけど」
勇者「ゴーレムなら今ま」ゾクッ
200 :以下、
剣士「え? 嘘……まさか」
勇者「悪寒が消えた……来るぞ!」
剣士「また……超強化Mob」
―― [戦 闘 開 始] ――
勇者「情報と支援を頼むぞ!」
剣士「はい!」
201 :以下、
剣士「耐久攻撃防御が高いです! 魔法に対してもそこそこ!」
剣士「攻撃は腕や脚による近接格闘! 薙ぎ払いに気をつけて下さい!」
勇者(後はそれ以上にどう強化されているかか……)
剣士(一見すれば楽そうに見えるけども……脅威のATKが故に薙ぎ払いだけで、多くのPTが壊滅したという)
剣士(対物装備でもラストスパートの連続攻撃で、よく崩壊するっていうし……勇者さん)
202 :以下、
勇者「うおぉっ!」
勇者(これほど巨大なゴーレムは久々だ……! 腕の薙ぎ払っただけでこれほどの風圧)
勇者(直撃したらただではすまないな……)
勇者「有効な属性とかは無いのか!」
剣士「風!」
勇者「使えん!」
剣士「相手の素早さに作用する魔法!」
勇者「使えん!」
剣士「えー……」
203 :以下、
剣士「沸き立つ泥沼カード」ピ
グランドゴーレム > AGI四半減
剣士「爆風符」ピ
グランドゴーレム > 931ダメージ(エレメンタルブレイク)
グランドゴーレム > 844ダメージ(エレメンタルブレイク)
グランドゴーレム > 878ダメージ(エレメンタルブレイク)
剣士(やっぱりそこら辺の攻撃呪符じゃまともなダメージにならないか)
204 :以下、
剣士「あれこっち来てる……まさか」
コマンド > ターゲット確認
グランドゴーレム > 剣士
剣士(ヘイト稼ぎ過ぎた)サァッ
勇者「雷、神!!」カッ
グランドゴーレム > 2522ダメージ
グランドゴーレム > 2241ダメージ
グランドゴーレム > 2197ダメージ
グランドゴーレム > 2208ダメージ
グランドゴーレム > 2477ダメージ
グランドゴーレム「ゴォォ」
勇者(よし、こちらに注意が向いたな……)
205 :以下、
勇者(これは予想以上にタフなタイプだな……)
勇者「たああ!」
勇者 > 一刀両断
剣士(おお……強そう! DEF無視とかしそう!)
グランドゴーレム「ゴオオン」
グランドゴーレム > 硬化
勇者「なっ!」ガギィン
グランドゴーレム > Guard
206 :以下、
剣士(ガード技? グランドゴーレム使わな……まさかまたか)
グランドゴーレム「ゴオオン」ブォ
勇者(叩き潰される!)バッ
グランドゴーレム > グランドインパクト
剣士「あ……強化型でそれは死n」
グランドゴーレム「ゴオオオ!」ドゥッ
214 :以下、
勇者「く……」
勇者「! くそ、気をやっていたか!」バッ
グランドゴーレム「ゴオオン」ズゥン ズゥン
勇者(距離が随分……いや、俺が吹き飛ばされたのか)
勇者「! 剣士!」
剣士:Dead「すみませーん……」
勇者「大丈夫なのか?!」
剣士:Dead「えと……この世界のルールとしてはアウトですけど、僕自身は問題ないです」
勇者「そうか……よかった」
215 :以下、
勇者 > 15478ダメージ
剣士 > 19032ダメージ
剣士:Dead(グランドインパクトってここまで酷くないって)
剣士:Dead(ステータスで割り振れるポイントでMHP上限9999だってのに……)
剣士:Dead(職業のレベル毎のボーナス加算、装備・スキルの効果で三万いくらしいけども)
剣士:Dead(こんなのと戦えるPCって廃ギルドでもそうはいないぞ……)
剣士:Dead(ほんとコレ系は、ステータス上限飛び越えてるっぽい勇者さん達次第だなぁ)
勇者(不味い……急いで回復しないと一撃でも貰ったら死ぬぞ)
216 :以下、
グランドゴーレム「ゴオオ」ドゴン
グランドゴーレム > 投石
剣士:Dead「岩が飛んできます!」
勇者「うおぉ!」ドゴォン
勇者(くそ……これだけ岩場となると、また弾き飛ばしてくるな)
勇者(予想以上に戦いづらい……)
勇者(だが……)ダッ
217 :以下、
グランドゴーレム「ゴォォン」ブァ
勇者「一方的に攻撃される方が危険だ! それに!」バッ
グランドゴーレム「ゴオォ」ブァン
勇者「動きは遅い!!」ダンッ
剣士:Dead「腕に飛び乗った……!」
剣士:Dead(漫画やゲームだけの世界じゃなかったんだ……ある意味そっち側の人だけど)
218 :以下、
グランドゴーレム「ゴオオオ!」ブン
勇者「遅い! 顔まで来れば……」ザッ
勇者「たあああああ!!」キンッ
勇者 > 一刀両断
グランドゴーレム > 5784ダメージ
剣士:Dead(うーん……確かグランドゴーレムのMHPって十万ぐらいなかったかなぁ)
剣士:Dead(しかも相手は強化型。一度戻って急いでここに来た方がいいのかなぁ……)
[ホームポイントに強制帰還まで 58分35秒]
剣士:Dead(というか勇者さん一人旅だったっぽいし、蘇生アイテムとかないんだろうなぁ)
219 :以下、
勇者(くそ……一人で削りきれるのか?)
グランドゴーレム「ゴォォン!」ブン
勇者「潮時か!」バッ
グランドゴーレム「ゴッ!」ドゴォン
グランドゴーレム > アタック
勇者 > 回避
グランドゴーレム > 4039ダメージ
勇者「くそ、どれだけダメージを与えられているんだ」
220 :以下、
剣士:Dead(それにゴーレム系は最後の暴走があるし……というかあれが暴走したら僕いても何も変わらないなぁ)
剣士:Dead(囮かな? 引き寄せた方が勇者さん的には楽だよなぁ)
「どーすんのさぁ」
剣士:Dead(どうしようね……本当。うん?)
「状況から我々に組するわけでもなく、彼とも敵対している。ならば取るべき道は決まっている」
「はぁ……まさか共同戦線を張る事になるたーね」
「さて……」
剣士:Dead(誰かいる? 何処に……)パァ
剣士 > 蘇生
221 :以下、
グランドゴーレム「ゴォ」ドゴォン
勇者「! ……まさか」チラ
四将・雷「……」ニタニタ
四将・炎「……」
剣士「ゆ、勇者さーん」
四将・炎「状況が状況だ。今は共に手をt」
四将・雷「勇うぅぅ者ぁぁぁぁ!!」クワッ
勇者「」ビクッ
222 :以下、
雷「えっ、いや、だけどよぉ。やっぱり勇者と遊」ウズウズ
炎「雷」
雷「ちぇー……ちぇー……」
雷「炎はお前とお話しを希望だってさぁ」
勇者「お、おお……」
雷「仕方が無いからお前で憂さ晴らしだ……簡単にくたばってくれるなよ」ジャッ
グランドゴーレム「ゴォォン」ズゥンズゥン
223 :以下、
四将・雷 > 帯電Lv1(新陳代謝・運動神経活性化)
雷「ぶち、のめす!!」
勇者「……」ハラハラ
剣士「勇者さん?」
勇者「あれは戦闘狂だ。何時箍が外れてこっちに向かってくるか……」
炎「その時には止めるから安心してくれ……」
勇者「二人がかりで?」
炎「……ああ」
227 :以下、
勇者「……超がつくパワーファイターだ。ある意味ゴーレム系と相性良すぎて、すぐ倒してしまいそうで怖い」
勇者「ついでに言えば、あれと戦って俺が生きているのは、剣と体術の技量で何とか捌いたからに過ぎない」
炎「小細工無しで正面から戦ったら……対策無しでの戦闘だったら彼女は最強だろうな」
剣士「えーと……貴方も魔王軍の方、ですよね?」
炎「彼女は新生魔王軍、四将・雷。私は四将・炎と言う。君はこの世界の住人だな」
剣士(あ、そこからまた説明しないとなのか。面倒くさ)
228 :以下、
炎「状況を見れば矛を向け合うのは得策ではないだろう」
勇者「全くだ。あれの管理もしっかりと頼むぞ」
炎「……」
勇者「……いや真面目な話、返事してくれよ」
炎「……嫌だなぁ」
剣士「そんなに?!」
229 :以下、
勇者「気持ちは分かるが止めてもらわないと、お前の言う得策でない状況になるんだが」
炎「分かっている……。驚いていないところを見ると、二人も来ているのだな?」
炎「彼女達に押し付けてしまうか……」
剣士(この人、普通そうに見えて結構酷い事言ってる!)
勇者「いや、風と氷には素直なんだよ。多分、同性だからなのかな」
炎「あの優しさを我々にも向けてもらいたいものだ」
勇者「全くだ」
剣士(敵対者なのに凄い仲よさそう……)
230 :以下、
剣士「あ、僕また死ぬ」
炎「雷、動きを止めろ!」
雷「雷撃波!」ドッ
グランドゴーレム「ゴオオォォ」ズドォォン
グランドゴーレム > 転倒
剣士「転倒耐性MAXじゃないのか……」
剣士(むしろこの人達がそのルール打ち破っているだけっぽいか)
231 :以下、
グランドゴーレム > 7355ダメージ
グランドゴーレム > 7654ダメージ
グランドゴーレム > 6979ダメージ
グランドゴーレム > 7177ダメージ
グランドゴーレム > 7429ダメージ
グランドゴーレム > 7201ダメージ
剣士「すっご……ていうかまだ攻撃続いているし」
剣士「どうやって捌いたんですか、あれ」
勇者「放電が止むまで走って逃げた」
炎「私でも逃げる」
剣士「えっ」
232 :以下、
グランドゴーレム > 硬化
雷「つあああ!」ガギィン
雷「? 急に手ごたえが」
剣士「あ、一時的に無敵状態です」
炎「だそうだ」
雷「雷撃一貫!!」
グランドゴーレム > 6105ダメージ(貫通)
剣士(キング相手でも確実に無敵化する技を貫いたっ!!)
炎「やはり雷一人でどうにもなりそうだ。私達は離れて話でもするか」
233 :以下、
炎「なるほどな」
勇者「お前はどう考える?」
炎「もしかしたら、欠片を集めていくと宝玉の形に戻るやもしれん。協力しない訳にはいかないな」
勇者「相変わらずだな。それが無ければ、俺はお前と親友にでもなれるのだろうが」
炎「こちらも同じだ。だが立場が違う以上、手を取り合うつもりは無い」
炎「全ての欠片が出揃った時、首を洗って待っていろ」
剣士「……あのー、勇者さん。欠片を見せてもらっていいですか?」
勇者「? 構わないが」
剣士(アイテム情報は無いけど、アイテムの画像はちゃんとあるんだよなぁ……でもこの大きさって)
234 :以下、
勇者「うん? んー……両の手に収まらない、ぐらいだろうか?」
剣士「僕もそうだと思います」
剣士「で、パワースポットなんですけども……。残りの場所全てで欠片が手に入ったとしても」
剣士「大きさが足らなさ過ぎるんですよね」
炎「なに?」
剣士「勿論、丸み帯びている部分から尖っている先端まで……これが半径で無いとすれば話も違いますが」
剣士「資料とかに元の大きさとか載っていなかったんですか?」
235 :以下、
炎「しかし割れ方が均一という事も無いだろうに」
剣士「もう一つ気になっているのがそこなんですよ」
剣士「これが魔王という存在を封じたものなら、割れた時点で宝玉に力はないじゃないですか」
剣士「つまりこれは魔王の力を封じたもの……なら宝玉単体ではエネルギーの塊でしかないはず」
剣士「恐らく今戦っているのも宝玉の影響でしょう。なら何故欠片が、少なくとも前回見つかったところから離れたここに?」
勇者「元の宝玉は何者のかが持っている。そしてその破片を散りばめている」
剣士「一番考えられそうなところは……」
炎「……」
236 :以下、
勇者「良かったな。お前達も馬鹿な事を考える必要がなくなるんじゃないか」
炎「下らん。魔王様の宝玉は手段の一つに過ぎん。我々の取るべき道は変わらん」
剣士「とにかく今は、原因究明が先で考えたほうがいいですよ」
剣士「そもそも、宝玉の所有云々より皆さんが元の世界に帰れる事が、第一に優先されるべき事でしょう」
勇炎「……確かに」
剣士(本当に仲いいな、この二人……)
237 :以下、
グランドゴーレム「ゴォォォォン!」ガラガラガラ
グランドゴーレム > Dead
剣士「……?」
ログ検索[暴走]ピ
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剣士(ひぃっ! 押し切ったのあの人?!)
剣士(HP二割切ると発動だよなぁ……どんな勢いで削りきったんだ)
炎「終わったようだな」ゴクリ
勇者「……」ゴクリ
剣士(同胞まで喉鳴らして戦慄しているっ)
238 :以下、
炎「いや、お前の事だからな」
勇者「なあ」
雷「信頼低すぎない?! というか何で勇者と一緒に相槌打ってんの? 味方だよね!」
炎「味方だからこそ、相手を思えばこそ手を取り合う事も」
雷「なに、あたしが捧げられれば世界平和達成とかほざくの?」
勇者「そこまでは俺も思わんが、敵対していて尚、ある種の信頼というものが」
雷「ほざく気マンマンじゃないの」
239 :以下、
剣士「擦られた! 逃げ出した!」
雷「というかこの子、無関係でしょ」
剣士「まあ……皆さんの世界の事情に関しましては」
雷「え? 現状に加担しているの?」ギラ
剣士(うおおぉぉ! ゾクってきた! 殺気! これが本物の殺気なのか!)
炎「いや、我々への助力を惜しまない、と申し出てくれている者だ」
雷「ああなるほど」
240 :以下、
炎「お前も逃げ出すな。流石に雷に無礼だろう」
雷「ねえ、その言い方、あたしより勇者との方が信頼関係にあるように聞こえるの気のせい?」
剣士「というか本当にどうしたんですか?」
勇者「……」
剣士「……?」
剣士(あ、気づかれないように欠片を回収してきたのか!)ハッ
241 :以下、
勇者「お前達は他の二人と連絡する手段……は無いから俺達と遭遇したのか」
勇者「ふむ……」
雷「うん? ちょっと待って。氷や風も来てんの?」
炎「らしいな……しかし」
勇者「……」
炎(如何にして雷を切り離すか本気で考えているな……)
剣士(雷さんを切り離す方法考えてそう……)
勇者(一戦交えて落ち着いているとは言え邪魔だ。どうやってこのバーサーカーを、風達に引き渡すか)
242 :以下、
炎「大方、風に言いくるめられたのだろうな」
剣士(当たり)
勇者(むしろ状況的にそれ以外ないだろうに)
炎「しかし……合流する術が無いとなるとお前と行動を共にするしかないな」
剣士(Wis送ったりするとどうなるんだろ……やっぱりこっちの声は届くけど、向こうから返答は無いのかな)
剣士(それって伝わっているか分からないよなぁ)
剣士「森のパワースポットはこれで終わりですし、風さん達と落ち合うというのはどうでしょうか?」
243 :以下、
[猛り上る東の果て見る岬]
勇者「少し暑いな」
炎「そうか?」
雷「そりゃあ炎はねえ……こっちは熱や炎に耐性がある訳じゃないし、鎧着込んでんのよ」
剣士(この先は火山と砂漠とは言え、風の国よりちょっと南ってだけだし。常夏って感じじゃないけど暑いのかぁ)
勇者「確かここはウォーターゴーレムだったか?」
剣士「はい。あれ? 勇者さんに説明した事ありましたっけ……」
勇者「風に場所とそこで起こる事を説明していただろう。それぐらい俺も覚えていたさ」
244 :以下、
勇者「水の体なのだろう?」
剣士「そうですよー。なので物理攻撃通りにくいんですが……」
雷「ふーん、じゃあ炎以外は」
氷「絶対零度」カッ
ウォーターゴーレム「」ピキン
風「真空双刃!」キキンッ
ウォーターゴーレム「」ガラガララ
氷「初めから凍らせて砕けば良かったわね」
風「消耗を気にせず戦えれば、風圧で体を砕いてやれたのですがね」
245 :以下、
風「あら。あら?」
雷「風ー氷ー」ブンブン
炎「無事で何よりだ」
氷「雷? 炎まで?」
風「それにしてもよく場所が分かりましたね。剣士さん方、『プレイヤー』の機能は便利そうですね……」
剣士「勇者さんにも言われました、それ」
246 :以下、
風「……」
雷「どしたのさ?」
氷「大丈夫だったの?」
炎「一応はな」
風「問題ありませんでしたか……?」
剣士「え、ええ……」
雷「……」
勇者「時々、それでまともな信頼関係が築けているのが不思議なのだが……」
247 :以下、
炎「で、だ。今後においては知識量の関係もあって、風氷雷。こちらは私と勇者、剣士君で分けようと考えたのだが」
風「構いませんわ」
氷「ま、勇者と一緒じゃなければ何でもいいわ……」
氷(雷を厄介払いしたいだけよね……)
風(口実作って雷を押し付けたい魂胆が、見え見えなのは黙っておきましょうか)
勇者(よっし!)グッ
炎(一先ずは安心だな)ホッ
雷(炎はぶちのめす。勇者はぶっ殺す)
剣士(空気が不穏過ぎる)ゾォ
248 :以下、
勇者「次は何処だ?」
剣士「森の国の北東、崖の国です」
風「私達は次は火の国に向かいますので」
雷「勇者ぁ……くたばんじゃあないよ?」
勇者「要らん心配だな」
249 :以下、
勇者「どうかしたか?」
剣士「やっぱり……皆さんを見ているとどうしても違和感を感じるんです」
炎「どういう事だ?」
剣士「その、風さん達に勇者さんとの関係を聞いてはいるんですが、それにしては打ち解け過ぎじゃないですか?」
勇者「……そう、なのか?」
氷「あたし達が打ち解けてる……? 貴方の世界はどれだけ殺伐としているのよ」
剣士「あ、お二人は含めなくていいです」
勇氷「えっ」
250 :以下、
剣士「どういう状況ですか……それ」
風「なるほど……剣士さんの世界では、非武装の者が暮らす居住区等に対し」
風「不可侵でもって戦争を行う、というのが無いのですね?」
剣士「? そうですね。戦火に包まれる事は珍しくないですよ」
勇者「そ、そうなのか……? 何だろう……お前達が良い人の集団に聞こえる話だな」
剣士「?? それが皆さんの関係性とどう繋がるんですか?」
251 :以下、
炎「そして国としては成り立っていない状態だからな。慰安や部隊に休暇を与えるとなると」
炎「その先は大抵、人間の町等である訳だ。無論、姿が人間と変わらない者に限るが」
剣士「何ですかそのほのぼの戦争……」
勇者「二度ほど町で四将とかち合ってな」
剣士「トップの四人一斉に慰安旅行?!」
風「一度目は……確か本当に一時であるものの、休戦が結ばれた時でしたでしょうか」
氷「あったわね……大きな天災に巻き込まれて、お互い疲弊した時が。被害の少ない地域まで移動したわねぇ」
剣士(もう何を言っているんだが……勇者さんの世界、話し合いのテーブルに着かせたら和解できると思うんだけどなぁ……)
252 :以下、
剣士「あ、すみません、そろそろ」
風「あ、落ちるのですか?」
剣士「はい、すみません。……さらっとこっちの世界の用語使いましたね」
風「ええ、この世界の人達の会話を聞いていたら、何となくそういう事なのだろうと思いまして」
剣士「めちゃくちゃビビリましたよ」
氷(なにが落ちるんだろう……)
雷(おちる、落ちる、堕ちる、墜ちる……。何のこっちゃ)
炎(どういう意味だろうか。後で聞いてみるか)
勇者(ふむ、ログなんとかというのはオチルとも言うのか)
253 :以下、
剣士「はい、そうですね」
炎「風達を見つけたように、か?」
勇者「ああ、そうだ」
剣士「勇者さん。くれ、ぐれも無理と目立つ事は避けて下さいね」
勇者「心得ているさ」
剣士「それじゃあ皆さんも、おやすみなさい。また明日」シュン
254 :以下、
勇者「そんなところだ。しかし剣士がいないのなら、今日のところは休むとするか」
雷「なにぃ!」
氷「ま、これから何が起こるか分からないし、無理する必要は無いわよね」
風「雷、暴れ足りないのでしょうけども、それは明日、ね」
炎「こちらは今日、この世界に降り立ったのだがどうすればいい?」
勇者「剣士からはあまり人目につくなと言われているし、もう宿屋は使えないだろうな……」
風「野営するしかない、という事ですね」
255 :以下、
勇者「……」ノソ
炎「なんだ? 火の番ならこちらがやると言うのに」
勇者「眠れないからな。それにしても……」
氷「すー……すー……」
風「……」
雷「くかー……」
勇者「まさか、お前達と夜を過ごすとはな」
炎「昨日まで考えた事も無かったな」
256 :以下、
炎「彼の言動を見るにそうなのだろうな」
勇者「俺達は……何があれば手を取り合えるんだろうな」
炎「……驚いたな。君からそんな言葉が出るとはな」
勇者「憎悪を元に戦っているわけではない。お前達自身だって、過去の遺恨そのものは割り切っているだろう」
炎「そうだな……」
勇者「俺は……俺はお前達が和解の意思があるのなら、国王達にそれを伝え、調整させるつもりだ」
勇者「この世界での経験、というかお前達と共に行動する事」
勇者「絶対に今までとは違う、物事の見方ができるはずだ……すぐに答えは求めないが考えてくれ」
257 :以下、
勇者「ここの世界の者達にほんの少し諭されただけだ」
勇者「正直、俺自身明確な答えは持っていない」
勇者「だから振り返ってみた時、刃を向け合うだけの関係に終わる必要性は無いんじゃないかと思った」モゾモゾ
勇者「だが、正直何を言えばいいのか、どう考えたらいいのかよく分からない。こういう時は寝るに限る。おやすみ」
炎「……そう、か」
勇者「火の番、数時間後に俺を起こせ」
炎「……折角だ。そうさせてもらおう」
258 :以下、
259 :以下、
261 :以下、
眠れないから話しかけたんじゃなかったのかw
262 :>>261 あ、あれーー!? :2014/09/30(火) 21:32:30 ID:5/N2B9XYNow Loading...
剣士「……」シュンッ
剣士(後三日……今日が休みで良かった。パワースポット探しは午前中に終わるだろうなぁ)
剣士(問題はそれがゴールじゃない事、それで手掛かりが得られるか分からない事……か)
剣士(考えても仕方が無いか。行動あるのみっ)
剣士「……」
剣士(仮に勇者さん達が帰還する事に成功したとしても、その後は……)
剣士(死んで……ほしくないな)
263 :以下、
剣士(火属性が多いな……猛り上る宝玉かなぁ)
剣士(……あれ、ちょっと待てよ。宝玉効果があるように見えて、処理は別MAPの扱いだったよなぁ)
PC検索 [勇者]
[海の国 東第七エリア]
剣士(や、やばい……どの宝玉のMAPか分からないぞこれ……)
剣士(というか勇者さんどういう扱いなんだろう……)
剣士(PT勧誘したらノータイムでPT結成されたから、僕の宝玉に引っ張られていたんだろうけど)
剣士(今孤立している? どうしよう、困ったな……)
264 :以下、
剣士(うーん、勇者さん達はお互いが仲間、PTとして認識していればゲーム内のPTと同じ効果を得ているのかな)
剣士(相変わらず逸脱しているなぁ……今更か)
剣士(とすれば、多分五人共一緒に行動しているのかな……)
剣士(あ……今、PT組んでないのに消え去り草使ってたら、こっちから見えないぞ……)
剣士(んー……)
whisper接続[槍騎士B]
接続していません
剣士(うひゃあぁ!)
265 :以下、
剣士「お、おはようございます」
槍騎士D『ああ、おはよう……というのも何だか可笑しな話だな』
剣士「あ、あはは……」
槍騎士D『何か問題でも起こったか?』
剣士「はい、あの……」
槍騎士D『分かった。位置の解析なら可能だ。今すぐ調べて座標も伝える』
剣士「ありがとうございます!」
剣士(町ですぐに宝玉預けられる準備しておいたほうがいいかなぁ)
266 :以下、
槍騎士D『そこから東に。そこに彼がいるはずだ』
剣士「ありがとうございます」
剣士(仕方が無いとは言え、GMに座標監視されているとか怖い)
槍騎士D『すまないが他にも仕事がある。また何かあったら連絡をくれれば協力しよう』
剣士「は、はい。分かりました」
267 :以下、
勇者「おお、剣士か」
剣士(うわっやっぱり普通に見える。こっちのシステムにも影響与えてきているかぁ)
勇者「どうした?」
剣士「い、いえ何でもありません」
炎「さて、剣士君も来た事だし、続きをするか」
勇者「だな」
風「次は砂漠ね」
氷「剣士さんからの話どおりですと、戦闘は大量のゾンビとだけですが」
雷「ふんっ」ムン
炎「楽そうだな……」
氷「雷がいる時点でもうね」
268 :以下、
剣士「ネット……えーと、この世界の人達の予想だと、そこは戦闘になりそうとの事なんで気をつけてください」
勇者「その三人で注意すべき事があるのだろうか」
炎「正直あったら困るがな」
剣士「でも強力な攻撃を連続で繰り出すような敵だったら……」
雷「相手を吹っ飛ばしてやる」
氷「氷漬けにする」
風「避ければいいので。因みに私達三人とも、自力で回復できます」
剣士(これで勇者さんと戦う時は一対一って紳士過ぎる……)
269 :以下、
270 :以下、
[忘れがたき知られざる崖下]
剣士「さて……」
炎「ここは?」
剣士「分かり辛いんですけど、ここから更に下に降りられるんですよ」
勇者「……転落死体とかありそうだな」
剣士「……」
炎「まさか……」
271 :以下、
炎「飽くまで……剣士君の世界ではここは作り物、のようなものなのだろう?」
剣士「です」
勇者「中々エグい作り手だな」
剣士「宝玉がないとここまで降りてこれないんですけどね」
剣士「因みに色々とアイテムが手に入ります」
勇者「……死体からか」
剣士「……です」
272 :以下、
273 :以下、
勇者「ここはこれで終わりか」
炎「ならば次だな」
[崖の国 東第五エリア]
[刹那の寄る辺無きキャンプ跡]
勇者「ここは?」
剣士「不明です。未ドロップの宝玉は吹き荒ぶと刹那の宝玉かぁ」
炎「何が起こるか分からない、か」
274 :以下、
炎「なんだ……この魔力は!」ブル
剣士「……まずい、情報の無いMob強化型とかやばい」
―― [戦 闘 開 始] ――
雷獣「ガアアアアアア!!」
勇者「特性は雷か……」
炎「お前には戦い辛い相手でないか?」
勇者「さてね……だが、雷よりかはよほど弱そうだ」
炎「全くだ」
275 :以下、
勇者「ならば力と技量で」
炎「押し通すまで、だな」
雷獣「グルルル」
雷獣 > 咆哮
雷獣「ガアアア!!」
勇者「来るぞ!」
炎「言われるまでもない」
276 :以下、
四将・炎 > 4012ダメージ
剣士 > 5828ダメージ
勇者「いけるな!」ダッ
炎「ああ!」バッ
剣士「……」
剣士 HP:155/5983
剣士(死ぬ)
277 :以下、
剣士(うーん、効くかなぁ)ピラ
剣士 > 夜落としのカード
雷獣 > 暗闇
剣士「お、効いた。雷獣は今、目があまり見えていません!」
勇者「じゃあ雷撃系の攻撃注意か」
炎「だな」
剣士「え?」
雷獣 > サンダーボルト
剣士「あれー?」
278 :以下、
剣士(あれ? そういえばゴーレムも、勇者さんが頭に乗った時に自分自身に向けて攻撃したっけ)
剣士(……まさか、欠片でこの影響力って事は、宝玉そのものを持ち出したのってとんでもない事になってんじゃ)
剣士(本当に自我もってそう……ラスボス来るかなぁ?)
勇者「剣士! 逃げろ!」
剣士「え?」
雷獣 > スパークニードル
剣士 > 1721ダメージ
剣士 > 1993ダメージ
剣士 > 1708ダメージ
剣士 > 1844ダメージ
剣士 > 1970ダメージ
279 :以下、
炎「しばらく待っていてくれ!」
剣士:dead「はーい」
四将・炎 > 三太刀返し
勇者 > 三太刀返し
雷獣 > 3922ダメージ
雷獣 > 3781ダメージ
雷獣 > 4017ダメージ
雷獣 > 3852ダメージ
雷獣 > 3701ダメージ
雷獣 > 3956ダメージ
剣士:Dead「ぶふっ!」
剣士:Dead(ダメージ酷過ぎ!)
剣士(あー……二人いる時点で、宝玉の欠片の効果あっても敵が可哀相な状況なんだなぁ)
280 :以下、
勇者「たああっ!」
炎「せやあ!」
雷獣「ガアアア!!」
勇者(流石にもう一人いると他愛ないな)
炎(一人であれば少々苦戦する程度だな)
雷獣 > 発狂
剣士:Dead「! 敵が強くなります! 気をつけてください!」
281 :以下、
雷獣「グルルル」バヂヂヂ
勇者「何をするつもりだ……」
炎「来るぞ!」
雷獣「ガァッ!」バンッ
勇者「ぐ!」ヂヂ
炎「くおっ」バヂヂ
282 :以下、
炎「勇者!」
剣士:Dead「勇者さん!」
雷獣「ガアア!」ズダダダ
炎「また雷撃の針か!」タタ
炎「遅いのだよ!」ダッ
雷獣「ガゥ……」
炎「煉獄一太刀!!」
283 :以下、
剣士:Dead(ログにはまだ勇者さんは健在しているよう……PTの情報!)
剣士:Dead(HPが減ってる……けどまだ生きている! どっかに着地できたか引っかかった?)
剣士:Dead(この後どうすれば)
勇者「く、お! ったぁ!」ドッガッズザザザザ
勇者(ほぼ崖だが傾斜していてくれて助かった!)ザザザザ
勇者(使い物にならなくなったら……いや、気にしていられるか!)ザンッザガガガガガ
勇者(これでも秘宝の類の剣だ……持ちこたえてくれ!!)ガガガガガガ
284 :以下、
雷獣 > 7102ダメージ(クリティカル)
炎「はああっ!」
炎 > 急所返し
雷獣 > 3961ダメージ
炎「終わりだっ!」ゴァッ
炎 > 赤熱一閃
雷獣「ギャゥン!」
雷獣 > 14977ダメージ
雷獣 > Dead
―― [戦 闘 終 了] ――
285 :以下、
炎「はぁっ、はぁっ、少し、飛ばし過ぎたか……」
炎「剣士君」パァ
炎 > 再生の炎
剣士 > 蘇生
剣士「ありがとうございます。勇者さーーーん!!」
「勇者さーーーん!!」
勇者「剣士の声、か……?」パララ
勇者「こちらは無事だ! 待っていてくれ!」
勇者「もう少しで……底だ」ズリリ ズリリ
286 :以下、
剣士「無事なのはいいですが……ど、どうやって」
炎「何れにせよ我々は待つしかないのだろう?」
剣士「そう、ですね」
炎「ならばのんびり待つとするか」ガシャ
剣士「M……魔力の残りの量は大丈夫ですか?」
炎「ああ、あれ以上長引くとよくなかったが、指先が痺れる程度で済んでいる」
炎「直に回復するだろう」
287 :以下、
剣士「……とても親しい仲に見えます」
炎「そうか……今までそんな事を気にもとめなかったがな」
炎「君の世界からすれば……我々が殺しあっているようには見えない、か」
剣士「はい」
炎「……そこは随分と強く言うのだな」
剣士「僕は……皆さんに死んでほしくないです。勿論、皆さんの世界の事に関して、僕は部外者です」
剣士「それでも……」
炎「分かった。気にとどめておこう」
288 :以下、
炎「ああ、私に分かる事なら何でも聞いてほしい」
剣士「その……魔王軍の方は、飽くまで建国が第一目標であって」
剣士「魔王の宝玉は確固たる地位……力を得る為の手段に過ぎないんですよね?」
炎「その通りだ」
剣士「ならなんで人間と戦争しているんですか? 表立って戦う必要はないんじゃないですか」
炎「ああ……本来なら、な」
炎「新たな魔王軍を設立した時点で尚、人間は我々を見つければ攻撃してくる状態であった」
炎「勿論、初めは少数精鋭で行動していたが、多くの部隊が人間の手によって壊滅させられていった」
289 :以下、
炎「始めの方の部隊に到っては、人間側に危害を加える気が無いのとそれを探している事」
炎「それをどう使うつもりか。それらを書簡にして持たしていた」
炎「が、生還できた者達は一様に、読みこそすれど書簡ごと切り捨てた、という報告だった」
炎「故に、我々は……全面的に彼らと戦う事を決意したのだ」
剣士「そう、ですか……」
剣士(……うん?)
炎「無論、彼らだけに非がある訳ではない。だからこそ勝手な言い分ではあるが、彼らと戦わずして済むならそれがいいのだがな」
剣士「……」
290 :以下、
剣士「そういえば……勇者さんって仲間の方とかいないようですけど、何か知ってらっしゃるんですか?」
炎「彼と共に行動できるレベルの者がいないそうだ。我々とて多対一の数の暴力に晒されれば危険だが……」
炎「その多の一部が勇者と組したところで、足手まといになるのは日を見るより明らかだからな」
剣士「勇者さんって何者……」
勇者「大した事は無い……幼少の頃から剣を訓練していた田舎育ちの人間だ」
炎「ここの崖をもう登りきったか」
炎「何故、魔族に生まれてくれなかった、と悔やんでも悔やみきれないな」
勇者「そんな願い、払い下げ願うよ」
291 :以下、
勇者「正直、死んだかと思っ、たぁ」ググー
勇者「ふう……で、何の話だ」
炎「何故、勇者は一人で戦っているのか、という事だ」
勇者「言った覚えは無いが……まあ言動から悟られた、か」
勇者「剣の腕はそれなり、体力的なところもそれなり」
炎「嘘を言え……人間の壁を越えているだろう」
292 :以下、
剣士「え?! そうなんですか?」
勇者「剣に魔力をのせる分にはまだマシなのだがな。どうしても魔法として使うのは……」
勇者「それにしたって、魔力の消耗は人より大きい。おまけに魔力を流出、消失させる効果にめっぽう弱い」
勇者「魔力欠乏症を防ぐ為にも、必死になって相手から魔力を奪い魔法を学んだものだ」
剣士「勇者さんに化けたシャドウの魔力、装備の効果が無ければ全部奪ってましたもんね」
勇者(逆に言えば、自分の技を跳ね返されたら致命打になるという訳だが、黙っておこう。気づかないでくれ)
炎(魔法反射させたら物凄い地雷化するのでないか……それは)
293 :以下、
剣士「絶対に勇者さんについていけないですもんね……それで、一人で旅立たされたんですか?」
勇者「まあ、他にも色々な連中が煩い事もあって、そこから逃げ出したという部分はあるな」
炎「……どの国がどういった支援するか、とかか」
勇者「よく分かったな……」
炎「まあ……多少なりとも人間社会に入り込んだりはしているからな」
剣士「言い方がスパイですね」
炎「流石にスパイ活動する価値のあるような場所は、厳重だから実践した事はないがな」
294 :以下、
剣士「あ、そうですね」
勇者「いや、というか剣士。宝箱回収していないのか」ガチャ
剣士「あー……忘れてました」
炎「……」ピク
勇者「流石にこの距離だと気づかれるか」
炎「当たり前だろう……それが宝玉の欠片か」
勇者「回収しなかったお前が悪い。渡さんぞ」
炎「ほう……」
剣士「お二人ともー……行きますよー」
299 :以下、
剣士「……」ビュアアァァァ
炎「おお……」
勇者「さっむ……」カタカタ
勇者「け、剣士は実際にはこの場にいないからいいとして、何故お前が寒がらないんだ」
炎「微量の魔力を燃焼させて体の周囲の気温を上げている……まあそれでもそれなりに寒いぞ」
勇者「卑怯な……」ブルル
剣士「えーと……行きますよ?」
300 :以下、
勇者「……」ザッザッ
炎「雪深い土地だな」
剣士「万年氷に閉ざされた世界、だから氷の国なんですよ」
剣士「さあ……そろそろですよ」
勇者「因みに今向かっているのは?」
剣士「アイスゴーレムというのがいるところです」
勇者「物理が効くんだな」
炎「炎で融かせそうだな」
勇炎「よし」
剣士(ほんと何の心配もいらなさそう)
301 :以下、
勇者「来るぞ」ゾクッ
剣士「問題発生したらお報せします」
炎「ああ、後方にいてくれ」
―― [戦 闘 開 始] ――
アイスゴーレム「ゴオオン!」
勇者「声がグランドゴーレムと変わらないな」
剣士(SEのデータ同じですから)
302 :以下、
炎「連爆撃!」
アイスゴーレム「ゴオオン」ドドドン
勇者「雷神!!」
アイスゴーレム「ゴオオ……」ズガガガンズガガン
剣士「……」
剣士(一瞬で二人で二万超えのダメージ叩き入れた……)
303 :以下、
剣士(暇そうだし強化型グランドゴーレムのMHP計算しておくか)
剣士(……? どっか間違えたかな……)
剣士(おあ、これ本当に八十万ある! 勇者さんで二十五万ぐらい削っていたのか……)
剣士(雷さんマジ化け物……でもこれ、宝玉の大部分をこっちの魔王とか持ってると厄介だなぁ)
剣士(四、五百万ぐらいか? 攻撃力変わらなくても、PCじゃ削りきれないなぁ)
剣士(んー……アイスゴーレムで六、七十万ぐらいかなぁ……)
304 :以下、
アイスゴーレム「ゴオオン」ゴゴゴゴ
炎「はぁっ! はぁっ!」ガタガタ
勇者「任せておけ!」
炎「あ、ああ、任せ、る」ガタガタガタ
勇者「こっちだ! かかって来い!」
305 :以下、
アイスゴーレム > プリズムガード
アイスゴーレム > 14332ダメージ(貫通)(エレメンタルブレイク)
アイスゴーレム > 13997ダメージ(貫通)(エレメンタルブレイク)
 ・
 ・
炎 > 魔力欠乏症発症
剣士(鬼だ……貫通で多段HITって)
剣士(うん? 急性がついていない……ああ、一度に消費したわけじゃないからか)
剣士(一応、回復アイテム使っておこうかなぁ……むしろMP回復のBuffつけとくか)
306 :以下、
炎「彼、か……?」
剣士「……」グッ
炎「徐々に回復していく……月の聖域のようなものか」スック
勇者「もう大丈夫なのか?」
炎「派手にはいけないがな」
勇者「よし、叩き潰すぞ」
炎「ああ」
307 :以下、
アイスゴーレム > Dead
―― [戦 闘 終 了] ――
剣士(二人揃ってこれかぁ……勇者さんの世界、戦力的には戦線は世紀末状態だったりして……)
宝箱「」スゥ
勇者「……」
炎「……」
剣士「?」
炎「いや、お前が預かっていてくれ」
勇者「! そうか、分かった」
炎(わざわざ敵が置いていったものだ。どんな細工があるかも分からない)
炎(もし何か起こされても一箇所に集中させていたほうが、リスクは減らせそうだ)
308 :以下、
剣士「北側に水晶が採取できる場所、あと西側には北にある洞窟を抜けないといけないので」
剣士「水晶採取地に寄った後、洞窟を抜けて……まだ何があるか情報の無いパワースポットに行きましょう」
炎「しかし二人いればよほどの事が無い限り、そうそう苦しい戦いにはならないだろう」
剣士「正直そうなんですよね」
剣士(しかも傾向としては次も戦闘だとしても、強化型じゃないから瞬殺だろうし)
309 :以下、
[輝き散る未だ見ぬ水晶洞窟]
勇者「ほう……」
炎「美しいな……」
剣士「採取していきます?」
勇者「折角だしな」
炎「風あたりは特に喜ぶだろうな」
剣士「へえっ」
炎「まあ……光物が好きなだけなのだが」
剣士「……鳥?」
310 :以下、
勇者「どうした?」
剣士「い、いえ……珍しい水晶がとれたもので」
炎「それは良かった。我々には君に返せるものがないからな」
剣士(太陽剣、盾の時点でもう……)
剣士(にしても光の結晶と日の結晶か……とんでもない化け物アイテム来ちゃったな)
剣士(使用者の光系スキルを一時的に超強力化と、MAP内全PC全回復か……)
剣士(日の結晶だけで10Mがしたっけ……廃人、キング狩りギルドご用達)
剣士(光の結晶はどうしようかな。光系って少ないしスキルツリー面倒だし……なんか実装されて、高騰するまで保管かなぁ)
311 :以下、
勇者「たぁっ!!」キンッ
狼ABC「ガウガウ!」
炎「はぁっ!」ボボォゥ
剣士(そういえばここの洞窟……飽くまでダンジョン扱いじゃないから、宝玉効果無しだっけ)
剣士(勇者さんとか通常攻撃で確殺だし……)
勇者「弱いな……」
炎「ああ。ここの世界ではどのぐらいに位置している魔物なのだ?」
剣士「え? そうですねー……僕ですとゴーレムは一対一でアイテム使って何とか倒すぐらいです」
勇者「そんなものか」
312 :以下、
勇者「……」ガタガタガタ
剣士「あーしまった……勇者さん達の防寒具」ビュアアァァ
炎「これは流石に……」ブル
炎「私に施してくれた魔力回復、まだ使えるだろうか?」
剣士「あ、はい。余裕ありますよ」
炎「また施してくれ。勇者」パァ
勇者「お、おお……温い」ホワ
炎「少しずつ効果が薄れていくし、常時魔力を消費していく」
炎「効果が切れそうなら言ってくれ」
313 :以下、
勇者「くお……」ガタタ
炎「火力を上げよう……とんでもない場所に踏み込んでしまったものだ」ブル
剣士(でもある意味、正解だったかも……あちらの三人がこっちだとしたら、相当文句言われただろうなぁ)
[火の国 北第二エリア]
[猛り上る隔てなく呼び誘う温泉]
風「ふあ……」チャポ
氷「はぁ……いいわ」
雷「剣士の奴、いいところ回してくれたもんだぜ」
314 :以下、
―― [戦 闘 開 始] ――
氷狼「オォォン!」
勇者「こちらが受け持つパワースポットはこれが最後なんだな!」ブルブル
剣士「です!」
炎「これを倒せばこの国から出ていいのだな!」ブルブル
剣士「です!」
勇者 > 奮起(攻撃力150%増加)
炎 > 奮起(攻撃力150%増加)
315 :以下、
勇者「さあ帰るぞ!」
炎「急ぐぞ!」
剣士「や、あの、宝箱ぐらい回収しましょうよ……」ガッチャン
剣士 > 太陽兜入手
剣士「」
勇者「け、剣士?」
炎「どうしたのだ?」
316 :以下、
剣士(ここまで来るともう、槍騎士さん達が弄っている気がしてきた……というか弄ってるよねこれ)
剣士(兜……グランドゴーレムでしかドロップしない、なんて思われていたけど、ここでもドロップするのか)
剣士(……むしろ勇者さん達の影響で、ドロップがおかしくなっている可能性もあるか)
剣士(ま、それ抜きにしても作為的な何かを感じるなぁ……うーん、一先ず保管しておこう)
剣士(他PCのいない所で必要に迫られた時だけ使おう)
318 :以下、
まあ偶然じゃないよなぁ
317 :以下、
320 :以下、
319 :以下、
321 :以下、
勇者「ああ……暖かい」ヌクヌク
炎「しばらく横にでもなるか」ヌクヌク
勇者「名案だな」ゴロリ
炎「三人の様子はどうだろうか?」
PC検索[四将・風]
[熱き滾る火口広場]
剣士「んー……多分戦闘中ですね」
剣士(場所が場所だしマグマのゴーレムとか火竜かなぁ)
322 :以下、
炎「思いつく欠片の在り処はこれだけだろう?」
剣士「え、えっと……あるかもしれない、なら他にも候補はあります」
勇者「と、言うと?」
剣士「特定の宝玉を持って行ったダンジョンのボスがキングと呼ばれる、と言いましたよね」
勇者「そういえば聞いたような……」
炎「それを巡る、か? どれほどダンジョンというものがあるのだ?」
剣士「最低、エリアに一つ」
勇者「エリア……風が一辺11枚のパネルで正方形にしていたよな……」
炎「パネル……な、まさか」
剣士「そ、そこまでぎっちりじゃないですよ? ただまあ……かなり数は、あります」
323 :以下、
炎「流石にそれはなぁ……」
勇者「雷に丸投げするのはどうだろうか……スタンプラリーだ、と」
炎「名案だが、やる気はあっても効率は悪いだろうな……特にその、なんだ」
勇者「頭か」
炎「頭だ」
剣士(もう戦争止めちゃえ)
324 :以下、
炎「うーむ……」
剣士「一応、パワースポットで得られる全ての欠片が集まったら何か起こるかもしれませんし」
剣士「何より……流石にダンジョンだと誰かしらに見られるでしょうし……」
勇者「姿を消したまま戦えないのは不便だな」
剣士「できちゃうと迷惑行為が横行しちゃうんで……」
325 :以下、
勇者「透明化か? 理論すらまだないだろ」
炎「見つけ出せた者は、後世に名を残しているだろうな」
剣士「中々、思うようにいきませんね……」
勇者「そう上手くいく訳がないだろう……。元の世界で俺がどれほど歯痒い思いをしていると思っているんだ」
炎「実にそうだな。ただ一人に多大な損害を与えられているのだ」
剣士「え、あれ? 地雷?」
326 :以下、
炎「念には念を押しても、軍隊の瓦解報告を受ける理不尽さを伝え残す為に」
勇者「え? がか、え……そこまで酷い損害を一度に与えていないはずだぞ」
炎「相手が勇者とは言え、二百対一が覆されて戦意消滅して、丸々除隊してしまった隊があるんだぞ」
剣士「ぶぅっ!」
勇者「ま、待て、その規模だと殺してても五十未満のはずだが……」
炎「いや……瞬く間にそれだけ殺されれば心も折れるだろう……何処が人間なのだ、本当に」
327 :以下、
勇者「んー……どうだろうな」
炎「ふむ……いや、面白そうだ。お互いに出し合ってみるか」
勇者「そうだなぁ炎、俺、風と氷が同列ぐらいか氷が僅かに劣るか」
炎「そうなのか? 私と勇者が同列、次いで間があって風、少し間があって氷だと考えている」
剣士「……? 雷さんは?」
勇炎「扱いに困る枠」
剣士(なんでそんな言葉でハモるんだろ……)
328 :以下、
炎「捌ければ勝てる。少なくとも模擬戦では負けた事は無い」
勇者「でもその捌くのが少しでもミスると……」
炎「立て直す間もなく……」ブルル
剣士「凄い共通認識なんですね……風さん達は捌くだけの技量が無いんですか?」
炎「あの巨大なハルバードを、短剣や刺突剣で捌けると思っているのか……」
剣士「あー……そういえばそうですね」
勇者「それに魔法を物理的に掻き消してくるからなぁ……彼女達では勝ち目が無い」
剣士「へー……え?」
329 :以下、
剣士「勇者さんと炎さんは戦った事があるんですか?」
勇者「ああ」
剣士「……よく無事でしたね。上だと思っているんですよね」
炎「あれはまあ……魔力欠乏症で不利な状態に追い込まれてな」
勇者「粘って魔力奪いつつ戦ったんだよ」
剣士「あー……」
勇者「格上を相手するなら当然の戦法だ」
炎「正直、勇者の剣技の方が脅威だったからな。及び腰であったお陰で、逆に逃げるチャンスが得られたものだ」
剣士(これどっちか強気で行動したらバランス崩れそうだなぁ……嫌な事に気づいちゃったな)
330 :以下、
勇者「迎えに行くとするか」ムクリ
炎「ああ」
雷「敵よえぇ……」
炎「だろうな」
雷「サシだったのに……」
勇者「サ、サシでか……」
氷「一人で戦うって言って聞かなかったのよ」
331 :以下、
剣士「? 何かありましたか?」ヒソ
風「いえ、雷に見つかると欲しがって面倒になるので、こちらを」ゴソ
剣士 > 黄金鎧トレード
剣士「!!」
剣士「よく隠せましたね」
風「ばらして仕舞っていたので」
332 :以下、
剣士(剣盾兜鎧……太陽系列揃っちゃったよ。全鯖でいないんじゃないかな)
剣士(わー……一度に使いたくなぁい)
風「私達には何も返せませんので……できればこれでその……」
剣士「いえいえ十分すぎますよ。本当にありがとうございます」
勇者「それにしても……」
炎「ああ、特には何も起こらないな」
雷「どーすんのさ」
333 :以下、
剣士「ほわぁ!」
勇者「剣士?」
剣士「す、すみません、槍騎士Dさんから連絡が……ちょっと待って下さい」
[槍騎士B]
whisperに返答しますか?
[はい]ピッ
剣士「な、なにがでしょうか?」
槍騎士D『異様な程にサーバーに負荷がかかっている!』
剣士(濡れ衣!)
334 :以下、
剣士「え……嘘、快適ですよ」
槍騎士D『……なに? 馬鹿な』
剣士「他に重たいところありますか? 今パワースポットで得られた謎のアイテムがここに集まっているんです」
剣士(あ、濡れ衣じゃないなこれ)
槍騎士D『なるほど、待っていろ』
槍騎士D『! ラスボス、で意味は通じるな? そこの戦闘用のMAPも負荷がかかっている』
剣士(魔王とかグラの使いまわしの無い一点物のボスだよなぁ。廃ギルドの独占状態の)
335 :以下、
槍騎士D『二箇所にいたようだ。だが一斉にMAPへの接続が切れている』
槍騎士D『と、言うより切断された、と言った方がいいな』
剣士(廃人ナムー)
剣士「一人残らず同時に切断されるって異常ですね」
槍騎士D『ああ……関わっている、と見るべきか』
剣士「だと思います」
槍騎士D『……何があるか分からない。実質攻略不能なMobが現れるやもしれない』
槍騎士D『他のデバックチームに専用のPCを待機させておく。状況が変わったら、随時連絡が欲しい』
剣士「分かりました」
336 :以下、
剣士「どうしたんですか?」
槍騎士D『五箇所のMAP……どんな問題が起こるか分からないから、接続できないよう処理しようとしたのだが』
槍騎士D『こちらから操作を受け付けなくなったそうだ』
剣士「受け付けないってそれって」
槍騎士D『ああ、彼ら同様だ』
剣士(既に風さん達にも)
槍騎士D『今朝報告をくれた時に、彼女達のPC情報を見ただけだ』
337 :以下、
槍騎士D『ああ、何故かは分からないが、問題ないのは一番実装から短い……』
剣士「腐敗竜、ですか……他五体のラスボス自体、関連性が無いし偶然なんですかね」
槍騎士D『何とも言えないな……』
剣士(寧ろ腐敗竜が魔石を手に入れた結果だったり。他五体を操ってる、まさかね)
槍騎士D『少し、連絡を密に取ったほうがいいかもしれないな……』
剣士「ですね……こちらも進展がありましたら報告します」
槍騎士D『ああ、すまないがそうしてもらえると助かる』
338 :以下、
剣士(勇者さん達にはなんて言おう)
剣士「管理側からいくつか情報を貰いました。皆さんの状態が特殊で何とも言えませんが」
剣士「体調とか何か変わった事はありませんか?」
勇者「特には」
炎「同じく」
雷「すこぶる好調」
氷「で、しょうね……」
風「何があったんですか?」
339 :以下、
剣士「そうなると僕達にとっては操作が重く……こちらの指示に対して、行動が実行されるまでの間が大きくなるんです」
勇者「忘れていたが、君達は時間差を感じさせないほど、高の操作と命令処理がされていたんだったな」
氷「時々忘れるわね……魔物も動きが生々しいのに」
剣士「あとは一部のMAPが特に酷いという事でして」
炎「そこに行ってみた方がいいのではないか?」
剣士「って思うじゃないですか」
風「何か問題でも?」
剣士「僕じゃそこまで辿り着けません」
340 :以下、
風「あ……人が集まる場所なのですか?」
剣士「ダンジョンの最深部なんですけどね……道中で稼ぐ人とか多くいるんですよ」
勇者「透明化していても攻撃はされるしな……」
炎「攻撃を受けたり攻撃したら効果が切れる……」
氷「人がいる場となると……ねえ」
剣士「そーいう訳なんで……あ」
341 :以下、
剣士「す、すみません。でも調査するにはそれ以外、勇者さん達の姿を見られずに進む方法も、僕一人行く方法も無いんです」
槍騎士D『……手がかりが欲しいのはこちらも同じだ。協力しよう』
剣士「ありがとうございます」
槍騎士D『来る者帰らぬ荒野なら深部に人はいないな』
剣士「よろしくお願いします」
槍騎士D『ああ、ではやるぞ』
342 :以下、
[第六エリア]
剣士「……」シュンッ
剣士「ん?」
剣士「あ、あれ?」ポツーン
炎「剣士君一人が消えたぞ」
勇者「どうなっているんだ?」
風「さ、さあ……?」
343 :以下、
槍騎士D『? 彼らはこちらの操作を受け付けないと話さなかったか?』
剣士「あっ! え? じゃあ僕一人でどうしろと!」
槍騎士D『とりあえず最深部を見たかったのだろう』
剣士「僕欠片持っていません……」
槍騎士D『……なるほど』
剣士「と、とりあえず中入ってみます」
344 :以下、
[最深部]
剣士「……?」
剣士「あれ? ムービーが始まらない……というか普通のMAP状態だ」
槍騎士D『機能していない、のか』
剣士「はい……というかラスボスのいないMAPですね」
槍騎士D『はあ……どうなっているのやら』
剣士「お、お疲れ様です。町に戻りますね」
345 :以下、
剣士「という訳でした」
勇者「なるほど……根城っていた魔物が消えた、か」
雷「なーさ。その管理側に、あたし等が魔物から見えないような何かしてもらえないの?」
剣士「特殊な処理全て無効化されるそうですよ」
氷「……じゃあもう、あたし達で乗り込むしかないわね」
剣士「ちょ、ちょっと待って下さい。相談してみます」
槍騎士D『無茶を言うな』
剣士「ですよね」
347 :以下、
剣士「見られたらどうしましょう?」
槍騎士D『……』
剣士「……」
槍騎士D『絶対に見られるな』
剣士(ネットの向こうからこの威圧感)ブルブル
348 :以下、
[第一エリア]
剣士「という訳で第四エリアまで突っ走ります!」ダッ
勇者「良し来た」
炎「任せろ」
風「これでも戦線に立つ側なので」
氷「あたし達の事を気遣わないで」
雷「ガンガン進んじまっていーからねー」
剣士(まあ……現代基準だと人間じゃない方々だしなぁ)
349 :以下、
[第六エリア]
勇者「あっさり来れたな」
炎「意外と問題ないものだな」
剣士(移動度増加アイテム使ってみたけど、勇者さん達全員平然とついてきた……)
剣士(おまけに人がいないところに魔物集めて一網打尽ですぐまた移動……)
風「どうかされましたか?」
剣士「あ、いえ」
350 :以下、
氷「ただの広い場所ね」
雷「何もいないよーだしね」
剣士「うーん」
剣士「勇者さん達を連れてきてみても何も……」
槍騎士D『なに? となると一体……』
雷「さっきも剣士の動きが止まっていたけど、あれ何してんの?」
風「恐らくウィスパーと呼ばれる機能を使っているのだと思うわ。特定の相手と遠距離で会話できるそうよ」
勇者「その機能なら俺も話には聞いたな。今まさに使っているのか」
351 :以下、
剣士(この様子だと他四箇所も意味が無いのかなぁ)
勇者「どうする?」
剣士「一先ず各地のダンジョンでも攻略しますか……宝玉は2セットしかないのが歯痒いところですが」
剣士(今日、槍騎士Dさんに頼りまくりだから、これ以上面倒事頼むのも嫌だしなぁ)
槍騎士D「だろうと思って先手を打ちに来たぞ」
剣士「ひあぁぁ!」
槍騎士D「また呼び出されるのも面倒だ。全員分のデバッグ用の宝玉と地図だ」
剣士「す、すみません」
352 :以下、
剣士「問題は人がいるって事かぁ」
剣士「ううん……」
槍騎士D「流石に随時、各地のダンジョンの接続人数まで伝えてられんぞ」
剣士「ですよね」
槍騎士D「効率は落ちるが誰もいないダンジョンを伝える。そこを攻略していってくれ」
剣士「勇者さん達にWisって届くか試してないなぁ」
槍騎士D「接続できなかったぞ」
剣士「試したんですか……」
353 :以下、
炎「どういう事だ?」
勇者「逸脱した行動として管理側に見咎められていて、他のプレイヤー同様の処罰をしようとしたらできなかったそうだ」
勇者「恐らくその一対一の会話で呼び出す、という事も試したのだろう」
剣士「あー……」
槍騎士D「だからあの時は、わざわざ出向いて呼び出したのだ」
氷「呼び出す……?」
風「折檻部屋、とかでしょうかね」
剣士「間違ってはいないですね」
354 :以下、
剣士「? 何か状況が変わったそうです」
剣士「どうしました?」
槍騎士D「腐敗竜の所に行く方法は知っているか?」
剣士「はい。火の国のあるダンジョンの隠し通路を通って」
剣士「特定のアイテムを使うと腐敗竜のダンジョンに移動するんですよね」
槍騎士D「ああ、その時に特別なエフェクトが発生して……開通している合図になるのだが、現在常時そうなっているそうだ」
剣士「……治せないんですか?」
槍騎士D「例の如く、な」
355 :以下、
槍騎士D「そこもやはり何も現れないそうだ」
剣士「けど、負荷はない?」
槍騎士D「ああ……」
剣士「調査すべきだとは思いますが、ネットに情報出たって事は……」
槍騎士D「実装当日の半分ぐらいの人数がいるな」
剣士「あー……それじゃあ僕達なんで呼び止められたんですか?」
槍騎士D「よくよく考えたら、現地へ送る方法があると思ってな」
剣士「え? 一切、弾かれるんですよね?」
槍騎士D「ああ、だから」
356 :以下、
勇者「彼女も管理側の?」
剣士「ですね。で、方法というのは?」
魔法A「コマンドが駄目なら、テレクリを使って移動すればいいじゃない」
魔法A「って事で腐敗竜D最深部手前の座標でっす☆」
剣士「え? ダンジョン内は駄目なんじゃ」
勇者「話しているところ悪いがさっぱり話しについていけないのだが」
剣士「え、あ、はい。というか僕もツッコミたいところがいっぱいで。因みにそれ素でやっているんですか?」
魔法A「折角なのでぶりっ子やってまーす☆」
氷(ぶりっ子ってこういう事をいうものだったっけ?)
357 :以下、
剣士「特定の場所の位置を記したアイテムで、それを所持して遠くへ移動できるテレポートという魔法を使うと」
剣士「その座標に移動できるのですが、ダンジョン等ではこのクリスタルが生成できません」チラ
魔法A「えーとですね……先輩、これ、ああはい」
魔法A「ここだけの話で聞いて下さい。テレクリはテレポートとは別の魔法で生成しているのは知っていますね?」
剣士「はい」
魔法A「『生成を禁止されている場所』であって、『テレポートで直接移動する事が禁止されている場所』ではないんです」
剣士「ああ、そういう処理……GM権限でクリスタル作ってしまえば」
358 :以下、
剣士「確かに……考えてみればそうですね」
勇炎雷風氷「???」
剣士「ああ、えっと今のは僕向けの解説だったので忘れて下さい」
魔法A「では今からPTテレポートしますね。PT申請下さい」
剣士「あ、はい分かりました」
剣士(そして恐らく槍騎士Dさんとリアルで話したからなのか、魔法使いさん完全に素に戻っているという)
359 :以下、
[第七層]
剣士「僕、初めてで最後かも……こんな所に来るの」
魔法A「今現在、一番難易度高い所ですからね」
勇者「この先も空っぽだったりしてな」
剣士「それじゃあ行って来ます」
魔法A「ついでに私も見ていきます。報告すべき事があっても困るので」
剣士「他のPCを通行止めとかにしてくれないんでしょうか……後続迫っているんじゃないですか?」
魔法A「まだ五層です。よほどの事が無い限り追いつかれないでしょう」
360 :以下、
剣士「ムービー始まらない……またかぁ」
勇者「いや……」
炎「微弱だがこの感覚は」ピリ
雷「宝玉の欠片ん時に感じたものに違わないねー」
魔法A「ほ、本当ですか?」
氷「でもあまりにも弱々しいわ」
風「魔力が……何処かから漏れ流れてきた、そんな感じですね」
剣士「収穫があったような無かったような……」
361 :以下、
[切り荒ぶ忘れ去られた山小屋]
魔法A「それでは私は戻りますね」
剣士「ありがとうございました」
魔法A「」ペコ シュンッ
剣士「……ふう」
勇者(途中から口調がまともになってたな)
炎(途中から口調が素であったな)
雷(つまんねーな。とっとと戦わせて欲しいんだけどなー)
氷(素に戻っていたわね)
風(先程の方の登場時の様子、何がしたかったのかしら……)
362 :以下、
勇者「地道にキングとやらを撃破か」
剣士「それ……」
炎「?」
風「剣士さん?」
雷「おーい」
剣士
勇者「あー……もしかすると、オチルしたのかもしれん」
風「使い方が微妙に……まあいいでしょうか」
363 :以下、
PS[**********]
  [login] ピッ
[サーバーに接続できません]
「ちょ、嘘でしょ。冗談止めて、え、勇者さん達は?」サァ
「い、いや、回線が込み合っているだけだ! うおおおお!」ピピピピピ
[サーバーに接続できません]
[サーバーに接続できません]
[サーバーに接続できません]
[サーバーに接続できません]
「くそ……ログイン画面城の絵だし! これが城オンラインか……って、頼むから繋がって!」ピピピ
364 :以下、
勇者「……」スタスタ
炎「どうだった?」
勇者「誰もいなかった。いや、剣士のようなプレイヤーは、か」
風「道具屋等はどうでした?」
勇者「いるにはいるが、あれは自動で動いているのだろう?」
風「ええ、NPCというものだそうです……しかしそうなると、PC全員がこの世界から追い出された?」
風「となると私達は、私達だけはこの世界に取り残された、という事でしょうか」
炎「ふむ……剣士君なら我々の位置が分かるのだな」
氷「ならやる事は一つね」
雷「……? ! ああ」ニタァ
365 :以下、
367 :以下、
368 :以下、
371 :以下、
剣士「……」シュン
剣士「うわーどうすんだうわー……」
剣士「あと二日……二日」ブツブツ
剣士「一先ず、勇者さん達と合流s」
槍騎士B『繋がったっ!』
剣士「? どーしたんです?」
槍騎士B『ちょ、テンション低すぎ。昨日の鯖缶、俺達の所為じゃ無いよ?』
剣士「あー……まあ分かってますよー」
372 :以下、
剣士(なんか凄い慌ててるなぁ)
槍騎士B『や、もーどうしたらいいんだろうね。こっちもてんわやんわだよ。とにかく急いでお願い』
剣士「わ、分かりました」
槍騎士B『それと君は出来るだけアイテム持って来て。流石に一度にカンスト量生成するとバレる。代金払うからさー』
剣士「……」
剣士(あの槍騎士Bさんが真面目に仕事? の事考えてる。ちょっと僕も真面目にならないと)
373 :以下、
勇者「剣士! ああ、良かった。気にするな。剣士以外の者もさっぱりいなかったぞ」
雷「おう、お陰でバッチリだぜ!」
剣士「はい?」
氷「誰もいないなら気兼ねなくダンジョンとやらを攻略できるじゃない」
剣士「……はい?」
炎「少しくたびれたがまあ、な」
風「……制覇したのですよ。全MAP」
剣士「……は?」
374 :以下、
剣士「そーですか」
勇者「それと俺達の世界の魔物が大量に現れているようだ」
剣士「へっ? 本当ですか?!」
氷「……私が受け持つ部隊もいたわ」
炎「ここの世界の魔物と化していたから、殺すほか無かったがな……」
剣士(だからか……いや待てよ、それならGMの無敵キャラ投入するだけでも)
剣士(うぇ……これ以上、酷い事が起こっているのかなぁ)
375 :以下、
槍騎士B「頼むよー。多分、君らの手にかかってるわ」
剣士「説明お願いできますか?」
槍騎士A「一応、意味の無い話だが、勇者というPCの解析についてだ」
勇者「俺は実在しているのだが……」
槍騎士C「結果はファイルが破損していて、明確なデータを得られなかった、だ」
剣士「一日半近く時間があっても、ですか?」
槍騎士D「ログインしていない間、私も立ち会ってみたがどうやっても解析できなかったのだよ」
376 :以下、
槍騎士B「ま、君達の存在は色んなルールを逸脱してんのよ。ま、初めに会った時からぶっ飛んでたけどな」
剣士「構成するデータすらもそれを裏付けた訳ですか」
槍騎士A「そんなところだな」ハァ
勇者「俺の事はどうでもいい。それ以外の事態で呼び出したんじゃないのか?」
槍騎士C「ああ……既に気づいていると思うが、正体不明のMob。まあ、君らの世界の魔物、かな?」
槍騎士C「が大量に発生し、各地で大混乱が起こっている。風の国すら城下町の西側とか人いない場所が占拠されているし」
剣士「町の中で沸いてるんですか?」
槍騎士C「PCみたく出入り口から沸いたりしているようだよ」
377 :以下、
槍騎士D「いや。その点は急遽、魔物の襲撃イベントという事で、他のプレイヤーに戦ってもらっている」
剣士「上手い事利用しましたね」
槍騎士D「我々も手が足りないのだ。で、本題だ」
槍騎士D「溶け逝く地熱の底の最下層手前でシャドウナイトが出現した」
剣士「え? それって魔王の前で戦うものじゃ……」
槍騎士D「ああ、それもかなり強い。今、情報を得た複数のギルドが討伐しているところだが……」
剣士「腐敗竜の所に魔王の手下ってそれって……」
槍騎士D「どうもおかしな方向に加しているようだ」
378 :以下、
槍騎士D「実態はどうかは分からないが、可能性はあるだろう。いや、ここまでくるともう、何でもありえそうだ……」
剣士「つまり僕達は……」
槍騎士A「ああ、君達には溶け逝く地熱の底の最下層に行ってもらいたい」
槍騎士C「運営チームからはカンスト、完全耐性のPCを行かせる」
氷「どういう事?」
剣士「この世界のルールで言えば無敵、です」
雷「ま、あたしは強い相手と戦えんのなら何でもいいけどさ」
379 :以下、
槍騎士B「んもー夢物語みたいな話だけどさー。面白くなってきやがったぜ」
槍騎士C(この後のスケジュールが、完徹で組みなおされていた事は黙っておいてやろ……)
槍騎士D「昨日よりサーバーへの負荷もかかっている。これ以上、上を押し留める事はできないだろう」
剣士(もしかしてしなくて、昨日切断はこれが原因だよなぁ……)
槍騎士D「これで全てを仕舞いに出来なければ緊急メンテだ」
剣士「げっ」
勇者「確か……ここの機能が一時止まるというあれか」
槍騎士D「火消しがどうのは後だ。我々も現場に向かい対応する」
槍騎士D「ついて来て、貰えるな?」
380 :以下、
勇者「元より、こちらには選択肢など無いだろ」
炎「全くだな」
雷「ま、戦闘だったら全て片してやろうじゃないの」
風「部下達も巻き込まれている以上、長引かせる訳にもいきません」
氷「ラストバトル、というものね」
剣士「……」コクリ
剣士「よろしくお願いします」
槍騎士D「ああ、こちらこそ」
381 :以下、
[第七層]
槍騎士A「どうやらシャドウナイトは討伐されて、多くのプレイヤーが最下層にいるようです」
剣士「……」ゴクリ
勇者「……これは」ビリ
炎「間違いないな」
槍騎士D「どうした?」
雷「この先、問題が来ているわよぉ……」
氷「宝玉の欠片がある場所に来た時と同じ雰囲気なのよ」
槍騎士C「……そういう相手に殺されても平気、だよな」コソ
剣士「あ、僕何回か殺されたんで大丈夫です」コソ
382 :以下、
剣士(画面が暗転した! ムービーが始まる……どうなる)
魔王「ようやく来たか……」
魔王「愚かな人間どもよ!」バッ
「おお、新ムービー」
「いきなりイベントなのにちゃんと作ってあんだな」
「でも何で腐敗竜のところに」
魔王「なあ……今の勇者よ」
勇者(!)
炎(こちらを、見ている……!)
剣士(まさか本当に自我が……? いやいや流石に)
魔王「実験は成功だ」スイ
勇者「なっ!」
風「欠片が吸い寄せられていく……」
383 :以下、
氷「割れているはずの宝玉が……元の形に」
「? なんだっけ?」
「いや……そんな設定は無かったはずだが」
勇者「まさか、そんな……本当にか? 古の、魔王なのか」
「誰、叫んでんの」
「うへ、RP?」
魔王「……ふ、如何にも。我こそは奮起し、魔族の国を立ち上げ、人間に敗れた魔王……」
魔王「我が力を封じるられゆく最中、己の敗北を悟り、この宝玉に我が精神も入れ込んだ者だ」
「え、あれ? 答えた?」
「いやいやまさか」
384 :以下、
炎「魔王様! 貴方が討たれてから云百年の月日が流れました!」
炎「そして私どもは、今再び魔王様の悲願を掲げ、立ち上がろうと奮起している者です!」
炎「何卒、我々新生魔王軍の長として、人間達にそのお力を示し、国の繁栄と平和を」
魔王「下らん」
炎「は……?」
風「ま、魔王様? それは一体……」
魔王「貴様のその思想が下らんと言ったのだ」
魔王「繁栄? 平和? 人間達に力を示しただけでどうする」
魔王「奴らを押さえつけ、奪い、支配しなくてどうするというのだ!」
385 :以下、
魔王「良い、貴様は愚かしくも若輩者ゆえの事、これより我が元で一層の精進に励むがいい」
炎「いえ、貴方は要りません」
魔王「なに……?」
勇者「……炎」
炎「我々は飽くまで一つの国として生きる事を目指す者達」
炎「貴方のような狂人の戯れに付き合う気は毛頭無い!!」
386 :以下、
風「我々は元より、略奪者に身を落とした覚えはありませんゆえ」
氷「そうね……あたし達は外道になった訳ではないし」
雷「あたし、そういう方が分かりやすくていいわー」
氷「ら、雷……?」
魔王「話が分かる者もいたのだな。いいだろう、その者達の首を持って来るがいい、側近として向かいいれてやろう」
雷「だけどつまらないよねぇ。生かしておけば、勇者みたいなのが現れたりすんだからさ」
雷「つー事で……手前は死ね」クィ
魔王「……」
387 :以下、
「あ、もしかしてこれもムービーの一部?」
「映像魔王しか映っていないんだけど」
剣士(勇者さん達には普通に周囲が見えているんだろうなぁ)
「運営しっかりしろ」
「手抜き過ぎじゃね」
槍騎士A(とばっちり!)
槍騎士D「……ふっ」
槍騎士C(鼻で笑った! 超怒ってる! めっちゃ怒ってる)
槍騎士B(やべー、しばらくこの人のディスクに近寄らないでおこ……)
388 :以下、
魔王「貴様ら共々、消し炭になるがいい!」バリィン
勇者「宝玉が……五つに割れた!」
「五つって事は」
「魔王含んで五体? 含まないで五体?」
「ラスボス同時攻略とか無理すぎる」
「あ、一欠けら魔王のとこに留まった……じゃあ他四体か」
剣士(どっち道、流石にヤバイんじゃ)
389 :以下、
ギガンテス「ガアアアア!」ズォォン
デスナイト「……」ボゥ
千年竜「グアアアアア!!」ドドォン
魔王「……」スッ
魔王「根絶やしにせよ!!」バッ
―― [戦 闘 開 始] ――
390 :以下、
勇者「いいのか?」
風「魔王とは……人間に討たれるものだそうですよ」
炎「あんな者でも、皆敬意する気持ちはあった。せめてもの手向けだ」
勇者「分かった……他四体は任せるぞ」
氷「ふん、気負うほどの相手じゃないわ」
雷「ああ……ぶっ潰してやるぁ!!」
勇者「お、おう……」
391 :以下、
大剣使い「すみません、遅れました」
槍騎士B「チート組は適当に攻撃してりゃいーよ」
両手剣「ひでぇ」
槍騎士C「心配する必要ないしなぁ……」
剣士(さあて……僕どうしよう)
剣士(岩場に隠れてよ……)コソコソ
剣士(流石廃ギルドは全員Lv90代か……カンストも多いし)
剣士(だけど……いや、今は目の前の事に専念しよう)
392 :以下、
「被ダメおかしくねー!?」
「こいつ強くなってるぞ!」
「落ち着け、攻略法は変わらないはずだ」
炎「随分と大物だが……攻撃はし易そうだな」
エレメンタルゴーレム「ゴォォン」キラキラ
エレメンタルゴーレム > エレメンタルガード
エレメンタルゴーレム > プリズムガード
剣士「炎さん! 物理魔法に対して、大きな防御効果を発揮する技を発動させました! 時間経過で切れます」
剣士「また魔法を反射させる技もあります! 気をつけて!」
炎「情報、感謝する! さて……お前のその障壁、私の炎に耐えうるか!」ゴォァ
393 :以下、
「なんだよこれ! 初めっから発狂状態か!?」
「Buff早く!」
「盾で時間を稼げ!!」
氷「随分と戦いやすそうな事」シュンッ
剣士「氷さん! ギガンテスは攻撃力がとてつもなく高いです!」
剣士「一撃に気をつけてください! また地面を隆起させたり中距離攻撃が可能です!」
氷「ありがとうね。ま、期待して待っていて頂戴」
394 :以下、
「ええー……」バタ
「即死耐性80%なのにっ!」ドザ
「なんだよこれ、即死強すぎだろ」ドサァ
風「デスナイト……あの鎌、死神の鎌ってことかしら」ヒラリ
剣士「風さん! デスナイトは全ての物理攻撃に、相手を即死させる力があります!」
剣士「距離を取ると、強力な闇系魔法を使ってきます! 気をつけて下さい!」
風「闇系魔法というのは分かりませんが……当たらなければどうという事は無い、という事ですね」フワ
395 :以下、
「ブレス強くなってんぞ!」
「属性障壁もっと重ねろ!」
「人手足らん!」
雷「ふんっ!」ドズン
四将・雷 > 自雷針
雷「雷神!!」カッ
四将・雷 > 5843回復
四将・雷 > 6329回復
四将・雷 > 5970回復
四将・雷 > 6211回復
四将・雷 > 6025回復
四将・雷 > 帯電Lv3(全ステータス上昇)
雷「おらぁっ! 簡単にくたばんじゃねぇぞ!!」
剣士(……あの人は大丈夫そうだな……うん)
396 :以下、
「ちょ、なにその魔法」
「そもそも爆発系とか使わないんじゃねーのかよ!」
「完全にイベント用か! 無茶振り!」
勇者「魔王」ザッ
魔王「やはり私の相手は貴様か……憎々しい、その鎧も、その剣も!!」
勇者「! なるほど、何故勇者という存在がこの場にいる、と判断したのかと思ったが」
勇者「魔王を討った武具、その伝承は間違いではなかったのだな」
魔王「ほざくなっ! 所詮は道具よ! 貴様ごと叩き潰してくれる!!」
勇者「来い! 魔王!!」
397 :以下、
剣士(そういえば無敵チームはどこ行ったんだろう、あ)
デスナイト「フゥゥゥ」ヒュンヒュン
風(この度ならそこまで油断しなければ問題なさそうね)バッ
デスナイト「カァッ!」ブォン
風(あとは隙を突いてダメージを与えていけば……)ヒラリ
大剣使い「……」ブォン
剣士(無敵チーム、どんな仕様なんだろ。攻撃したら敵即死だったりしたら笑えるけども)
ザンッ
398 :以下、
大剣使い「攻撃が、当たるだなんて」
デスナイト > アタック
大剣使い > 4852ダメージ
大剣使い > 即死発動
大剣使い > Dead
剣士(物理魔法完全耐性あるいは回避だったんだろうな……)
剣士(弄ってるところにはとことん、システムに干渉してきているか)
剣士(やっぱり要は勇者さん達かなぁ……PT情報出しておいて、HP・MPだけでもアイテムで支援しよ)
風「隙有り!」ヒン
デスナイト「」スゥッ
風「!」
399 :以下、
風(後ろを、取られ)
「インパクト!」ドゥッ
デスナイト > 1439ダメージ
デスナイト > ノックバック
「スタンさせるから釘付けにして」
「撃て撃て撃て」
「伝説の突きわ、あ」ドザ
「VITが前出んな、てかなんでお前こっちいんの」
剣士(相手のステータスが高くても、戦術で相手できるのか……)
剣士(無敵チームより廃人ギルドの方がこの場じゃ心強いかもなぁ)
400 :以下、
「ブレス来る」
「やば、間に合わ」
千年竜「ガアアアア!!」バアァァァ
*** > Dead
*** > Dead
*** > Dead
*** > Dead
 ・
 ・
槍騎士D(威力が遥かに上がっているな……)
槍騎士B:Dead「サーセン」
槍騎士A:Dead「すみません……あれ無理ですって」
槍騎士D「止むを得んとは言え、もう少し事態に合わせた装備を考えないのか……」
401 :以下、
千年竜 > 8954ダメージ
千年竜 > 9322ダメージ
千年竜 > 9006ダメージ
:Dead「おお、すっげ」
:Dead「イベントNPC? あんな装備見た事ねえ」
:Dead「あれでPCだったらチート乙だな、運営仕事しろ」
槍騎士D「……っ」
槍騎士B:Dead(微かな舌打ちがこええ)
槍騎士A:Dead(怒りのボルテージが貯まっていく……)
402 :以下、
エレメンタルゴーレム「ゴオオオ!」ボボォォ
「すっげ……貫通してるぞ」
「俺達も支援攻撃をするぞ」
「Buff上書きするからBuff管理ヨロ」
エレメンタルゴーレム「ゴオオ!」ドズンドズン
炎「ぐ、う……怯まないか」ブルブル
「はい、Buff剥げ」
「おっし弱体化させるわー」
「AGIとATK優先」
「おっしゃあいくぞ」
「次Buffまで20秒」
炎「ふぅ……ふぅ……流石に、一人であったなら……。ここの世界の者達も、中々、やってくれるな」
403 :以下、
ギガンテス「ガアアアア!!」ブォン
「お、暗闇になった!」
「このギガンテス強すぎ、近接寄るなよー」
「行くだけ無駄だし近接しかできないから見てる」
「ちょ」
氷(でも、確かにあれは肉弾戦はすべきではないわね……)
氷(あたしの剣ではろくにダメージにならないようだし、魔法で攻めていった方が良さそうね)スィ
氷「凍土!」
404 :以下、
勇者 > 回避
勇者 > 3201ダメージ
勇者 > 回避
勇者 > 雷光突
魔王 > 回避
勇者 > アタック
魔王 > 3887ダメージ
魔王 > アタック
勇者 > シールドガード
勇者 > 1003ダメージ
「すっげえ……」
「巻き込まれたら一瞬で死ぬな……」
「支援に回るしかないな」
剣士(実際問題、今あれに割って入ったら叩きのめされるよなぁ)
剣士(遠距離で使える回復アイテムセットしておこ)
405 :以下、
氷「しまっ」ゴシャ
「うおっやべ」
「あの人落ちたら負けるぞ」
氷「コフッゴフ」ビチャビチャ
「盾組行って!」
「リザ頼むからな」
剣士(やっば)
剣士 > 休息のカード
四将・氷 > 3000回復
406 :以下、
四将・氷 > 氷竜の息吹
四将・氷 > 7000回復
氷「よし!」スック
ギガンテス「ガアアア!」ドドン
*** > 8566ダメージ(ガードブレイク)
*** > Dead
*** > 8298ダメージ(ガードブレイク)
*** > Dead
*** > 8014ダメージ(ガードブレイク)
*** > 8698ダメージ(ガードブレイク)
*** > Dead
剣士(うわぁ……廃人は阿鼻叫喚だなぁ)
407 :以下、
「MHP高すぎね……?」
「イベント用の設定なんだろ」
「誰かMPクレ」
炎(不味いな……魔力管理が難しく)フワ
炎「これ、は……」
四将・炎 > 278回復(MP)
四将・炎 > 265回復(MP)
剣士(ひぃぃ忙しい! 支援追いつかなぃぃ! 五箇所見るとか無理ぃぃ!)
剣士(夕飯一回奢りで僧侶扱き使えば良かったぁ!!)
408 :以下、
デスナイト「フゥゥゥ」
風「く、う……」
風(しま、次の攻撃を避けられ……)
「ディーフェンスディーフェンス」バッ
デスナイト「フゥゥ」ヒュン
「うはw死んだwww」ドザ
「捨て身代わりGJ!」
「その人守れ! 俺らだけじゃ食い止められないぞ!」
409 :以下、

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