レイ「ここは……どこ?……」back

レイ「ここは……どこ?……」


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1:
エヴァSS
新劇Q再構成
2:
レイ「……」ハッ
レイ(ここは……どこ?……)
レイ(体が……)
レイ(私は……第10使徒を倒そうとして……使徒に飲み込まれて……)
レイ(碇くんが助けに来てくれて……それから……)
レイ(碇くん……)
レイ(碇くんは……どこ?)
ズズーーーン グラグラグラ
レイ(何?)
3:
レイ(外が騒がしい……)
レイ(……声が……)
ゴンゴンゴン ズズーーーン
レイ(何が起きているの?)
シーン
レイ(また……静かになった……)
レイ(……誰か来る?)
5:
プシュー
???「……すみません艦長、私がもう少し早く検査を終えていれば、あんなことには…」
レイ(誰?……声しか聞こえない……)
???「やめなさい、少尉。あなたのせいではないわ」
レイ(葛城一佐の声?……でも……艦長?)
ミサト「敵がアヤナミモデルを投入してくることを予想しておくべきだった…これは私のミスよ」
レイ(敵って何?……いま、アヤナミモデルと言ったの?)
ミサト「もっと早くレイのことを教えてあげていれば、みすみすシンジ君を奪われることはなかったかも知れない」
レイ(碇くんに何かあったの?……碇くんはどこ?)
???「……待って艦長、こっちも意識がもどったようよ」
レイ(赤木博士の声?)
6:
リツコ「すぐに検査を」
ミサト「待って。シンジ君の時の二の轍を踏むわけにはいかないわ。まずは話をしましょう」
リツコ「そうね……」
カツカツカツ…
リツコ「レイ? 私がわかる?」
レイ「あか…」ゲホ…
リツコ「……慌てなくていいわ」
レイ「赤木博士?」
リツコ「久しぶりね、レイ」
レイ「髪が……」
リツコ「……ああ、ごめんなさい。あの頃とは髪型も違うし、こんなに老けてたら驚くのも無理ないわね」
7:
ミサト「どうやら記憶の継続性はあるようね。お帰りなさい、レイ」
レイ「葛城一佐? ……私は……」
ミサト「あなたは初号機の中で14年間眠っていたの。衛星軌道に隔離されて。ついこのあいだ、私たちが強奪するま
でね」
レイ「じゅう…よねん?」
???「心拍数、血圧、脳波ともに安定しています」
リツコ「ありがとう。……レイ? こちらはあなたの担当医官、鈴原サクラ少尉よ」
サクラ「よろしく、です!」
レイ「スズハラ? ……鈴原くんの?」
サクラ「妹です」
レイ「妹? ……あの……第4使徒のときの……」
8:
サクラ「ハイ、あのときはホントにご迷惑おかけしました」テヘヘ
レイ「赤木博士?碇くんは……」
リツコ「……」チラ
ミサト「……」コクリ
リツコ「レイ……シンジくんは、あなたと一緒に初号機からサルベージされたわ。そして、つい先ほど意識を取り戻し
て……すぐに連れ去られたの。……ネルフのエヴァにね」
レイ「……連れ去られた?……ネルフの……エヴァ?」
ミサト「あなたが眠っている間に起きたことを、かいつまんで説明するわ……」
9:
 :
 :
リツコ「そしてシンジくんは連れ去られてしまった……」
レイ「そんな……」
ミサト「ネルフのエヴァを操っていたのはおそらくアヤナミモデルの一人。それが何らかの手段でシンジくんに呼びかけ、所在を探っていたに違いないわ。」
ミサト「シンジくんは、あなたがここで眠っていることを知らなかった。だから、エヴァのパイロットからの呼びかけに答えてしまったのよ。無意識のうちにね」
レイ「なぜ碇くんを……」
リツコ「碇ゲンドウは、おそらくフォースインパクトを起こそうとしている。シンジ君はそのトリガーになる可能性がある。だから狙われていたのよ」
ミサト「私たちは逆にフォースを回避するためシンジ君を保護下に置こうとしていたの」
10:
レイ「碇くんは……どうなるのですか?」
リツコ「眠っている間に行ったテストでは、シンジ君のエヴァとの深層シンクロ率は0%。だからエヴァを起動するこ
とも覚醒させることもできるとは思えない…」
レイ「それなら何故?」
リツコ「連れ去ったからには、シンジ君にエヴァを使わせる方法を考えているのかもしれない。その時は……」
レイ「赤木博士?」
ミサト「レイ、落ち着いて聞いて。万一に備えて、私たちはシンジ君にDSSチョーカーという装置を着けたの。も
しシンジ君がエヴァを覚醒させるようなことがあれば装置が起動して……シンジ君を止めるわ」
11:
レイ「とめ……る?……」
リツコ「……死をもってね」
レイ「!」
ミサト「レイ!?」
レイ「……そんな……」
ミサト「レイ……シンジ君をみすみす死なせはしないわ。私たちはこれから第三新東京市の跡地へ向かう。シンジ君を奪還し、フォースインパクトを防ぐために」
レイ「私に……何かできることは……」
リツコ「まずは体調をとりもどしなさい。起きられるようになってから……全てはそれからよ」
レイ「……はい……」
19:
==== 夕刻 AAAヴンダー艦内 医務室 ====
サクラ「綾波さん?お客さんですよ」
レイ「……お客さん?」
アスカ「なんだ、思ったより元気そうじゃない」
レイ「あ……」
アスカ「久しぶりね、レイ」
レイ「……え?」
アスカ「何よ?」
レイ「『エコヒイキ』……と呼ばないから……」
20:
アスカ「そう言うのはとっくに卒業したのよ」
レイ「……」
アスカ「だからアンタも『2号機パイロット』はやめなさい」
レイ「…アス…カ?…」
アスカ「それでいいわ」
マリ「へー!んじゃあたしもきょうからアスカって呼ぶにゃ」
アスカ「アンタに言ってんじゃないわよコネメガネ!」
マリ「え??不公平だよ姫??」
21:
レイ「……この人は?」
アスカ「ああ、こいつはマリ。真希波・マリ・イラストリアス。エヴァ8号機のパイロットよ」
マリ「ちぃーっす!」
レイ「あの……第10使徒のときの?」
マリ「さっすがレイ君!一発でわかちゃったねー!」
アスカ「そうよ、アタシの2号機をキズモノにしてくれたトンチキ」
マリ「そういう言い方は心外にゃ!」
アスカ「何よ?」
マリ「何だよー?」
レイ「フフ……」
22:
アスカ「なっ……何よ?」
レイ「仲がいいのね」フフ…
アスカ「あんたねー。大人をからかうもんじゃないわよ?こう見えてもアンタの倍は生きてるんだから」
マリ「そーだそーだ!」
アスカ「アンタ達と一緒に戦ってた頃のミサトやリツコと大差ないんですからね?」
レイ「でも……」
アスカ「そう見えないってんでしょ?」
レイ「……」
アスカ「『エヴァの呪縛』ってやつよ」
レイ「呪縛?」
23:
アスカ「……よくわからんってこと」
レイ「……」
アスカ「エヴァは子供じゃなきゃシンクロできないとされてた。逆に、エヴァと限度を超えてシンクロした者は、エヴァがシンクロするためにパイロットが子供であることを強制するんじゃないか……ってのがリツコの考え。……だから何、って感じでしょ?」
レイ「……私や……碇くんも?」
アスカ「どうかしらね。初号機を覚醒までさせたんだから、タダじゃすまないとは思うけど。まあ、アタシは見たわけじゃないしね」
マリ「残念だねー姫?そりゃあすんごかったんだから」
レイ「?」
マリ「(声マネ)『綾波を返せー!』だもんにゃあ」ニマー
レイ「……え?」
24:
マリ「そっか、レイ君も聞いてなかったはずだよねー。使徒に飲み込まれちゃってたんだから」
レイ「……」
マリ「(声マネ)『僕がどうなったっていい!世界がどうなったっていい!綾波だけはぜったい助けるー!』」
レイ「……碇くんが…そんなことを……」
マリ「ふふん。(声マネ)『碇くんがエヴァに乗らなくてもいいようにするー!』もなかなかだったけど?」
レイ「……聞いて……」
マリ「たよ?たぶん関係者全員」ニマー
レイ「……」
マリ「わんこ君もレイ君もマジだからねー、あの非常時でなきゃ、みんなひっくり返ってたと思うよ?」
レイ「……」
マリ「あり?レイ君、顔が赤いよー?」
25:
アスカ「そのへんにしときなさいよバカメガネ!」ププ…
マリ「いい話だと思うんだけどにゃー?」
アスカ「……まあ、そんときはまさかシンジもホントに世界がどうにかなるなんて思ってもいなかったでしょうけどね……」
マリ「……そうだよね……」
レイ「……アスカは……碇くんには会ったの?」
アスカ「ううん……」
レイ「そう……」
26:
アスカ「アイツの目が覚めたら一度ひっぱたいてやろうと思ってたんだけどね……」
レイ「……」
アスカ「部屋の前まで行ったときにはもう……」
レイ「……」
アスカ「……」
レイ「……ごめんなさい」
アスカ「え?」
レイ「ごめんなさい」
アスカ「……なんでアンタがあやまんのよ」
レイ「碇くんをさらったのは私の……」
アスカ「……アンタ……なにバカなこと言ってんのよ!!」
レイ「……え?」
27:
アスカ「そりゃあ、あんたと同じ顔してるかも知れないけどね。シンジをさらった奴とアンタは別人でしょうが!」
レイ「!」
アスカ「誰もアンタのせいだなんて思っちゃいないわよ」
レイ「アスカ……」
アスカ「……と言いたいところだけど……アンタを知らない奴らの中には、そう思ってないのも確かにいる。アンタをバケモノみたいに言うやつもいるわ」
レイ「……」
28:
アスカ「だから覚悟だけはしときなさい。それで不愉快な思いをするかもしれないから。シンジのことにしてもそう」
レイ「……碇くんまで……」
アスカ「まあ心配しないで。この船の中でアンタにそんなことを言うやつがいたら、アタシがぶっとばしてやるから」
レイ「……アスカ?」
アスカ「何よ?」
レイ「ありがとう……」
アスカ「いいのよ」フフ…
29:
アスカ「シンジの代わりと言っちゃあ何だけど、リツコからこれを預かってきたわ」スッ…
レイ「……これは……」
アスカ「シンジのなんでしょ?あんたがプラグに持ち込んでたっていう」
レイ「……ありがとう……」ギュ…
アスカ「それと……これも」ペラッ
レイ「!」
アスカ「……捕まる直前のコマだって」
レイ「……」
30:
アスカ「監視カメラの画像をのばしたやつだから絵は粗いし、まだ寝ぼけた顔してるけど……」
マリ「どれどれ?」
レイ「……」
アスカ「ホントに久しぶりね……」
マリ「おー、わんこ君、別に変わったトコないじゃん!」
レイ「……」ポタッ
アスカ「……」
レイ「……碇くん……」ポタポタポタ
アスカ「レイ……」
レイ「……生きてる……それなのに……」ポタポタポタ…
アスカ「大丈夫よ。ちゃんと取り返すから」ソッ…
31:
レイ「……ネルフ本部へ……行くのね」グスッ
アスカ「艦の修理とエヴァの整備が終わったらね」
レイ「……」
アスカ「だからあんたも早くよくなりなさい。サクラの言うことよく聞いてね?」
サクラ「へへへ……」
マリ「姫、あれあれ」
アスカ「ん?あっ、そうそう、忘れるとこだったわ」ガサッ
32:
アスカ「アンタ、検査着で出て歩くわけにいかないでしょ?」
レイ「……制服?……ヴィレの?」
アスカ「アタシの洗い替えだから少し大きいかもしれないけど我慢して」
レイ「……ありがとう」
アスカ「じゃあ、アタシたちは行くわ」スクッ「サクラ?頼んだわよ?」
サクラ「ハイ!」
アスカ「ちゃんとご飯食べなさいよ?」
マリ「歯磨きと宿題もにゃ!」
アスカ「バカメガネ!」ゴキ
マリ「あいた!何するにゃ!……」
プシュー
アスカ『……!!』
マリ『……!………!』
 :
 :
レイ「……」
サクラ「よかったですね、綾波さん」
レイ「ええ……」フフ…
37:
==== 夜 ====
シュオー ドクンドクンドクン……
レイ(ここは……どこ?……)
レイ(ここは……)
???「……」
レイ(あなたは……誰?)
別レイ「……」
レイ(あなたは……もう一人の私?)
別レイ「……」
レイ(返して……)
別レイ「……!」ゴボッ
レイ(碇くんを返して……)
別レイ「……」ゴボゴボ
レイ(碇くんを……返して!!)
ゴボゴボゴボゴボ……
38:
レイ「……」ハッ!
サクラ「綾波さん!」
レイ「鈴原少尉……」
サクラ「……大丈夫ですか?」
レイ(……夢?)
レイ「私は……」
サクラ「すごい汗ですよ?」
レイ「……ええ……大丈夫」
サクラ「気分が悪かったら、いつでも呼んでくださいね?」
レイ「……ありがとう」
サクラ「……」スタスタスタ……
レイ(夢……なのかしら……)
39:
==== 数日後 ヴンダー艦内 とある観測室 ====
レイ(富士山……)
レイ(本当に帰ってきたのね……)
レイ(何てひどい……)
レイ(これを……私と……碇くんが……)
レイ(私は……どうしたら)
ミドリ「あれー?珍しく出歩いてると思ったら空のお散歩気分?」
レイ「?」
ミドリ「…っとにいい気なもんね」
レイ「……」
40:
ミドリ「世界をぐっちゃぐちゃにしといてお客さん扱いだもんね」
レイ「……」
ミドリ「いったいどれだけの人が死んだと思ってんの?」
レイ「……」
ミドリ「あたしだって……」
レイ「!」
ミドリ「ねえ、なんとか言いなさいよ?」
レイ「……」
ミドリ「もっとも、アンタを人の数に入れるかどうかは…」
アスカ「やめなさい北上」
レイ「!」
ミドリ「式波大尉……」
41:
アスカ「確かにアンタは大変な思いをしてきたかもしれない」
ミドリ「……」
アスカ「でも、ニアサーはレイが望んで引き起こしたわけじゃない。レイがヒトと違うのもレイのせいじゃない」
ミドリ「……」
アスカ「コイツを責めるのは筋違いよ」
ミドリ「……」
アスカ「それにコイツはアタシと一緒に何度も死にそうな目に遭ってきた戦友よ」
ミドリ「……すみません……でも」
アスカ「わかってる。でもそれを触れて回るのはもうよしなさい。そういうのはあなた自身の心を狭めるだけだわ」
ミドリ「……」
アスカ「わかったら行きなさい」
ミドリ「はい…」チラ
レイ「……」
ミドリ「……」カツカツカツ・・・
42:
レイ「…ありがとう」
アスカ「だから言ったでしょ?ああいうヤツもいるって」
レイ「……」
アスカ「……ふん、やっぱり少し丈が長いわね……袖口と裾は少し折った方がいいかな」ゴソゴソ
アスカ「うん、これならいいわね」
レイ「……」
アスカ「さっきのは北上ミドリ。艦橋要員の一人よ。根は悪いやつじゃないんだけどね」
レイ「……」
アスカ「仕方ないのよ。それほど世界は変わってしまった。アイツも被害者だもの」
レイ「……私たちのせいなのね……」
アスカ「だから違うって言ってるでしょ。本当に悪いのはゼーレの連中。そして碇ゲンドウよ」
レイ「でも……」
43:
アスカ「……まあ、あんたにとっちゃ親みたいなものだもんね。辛いのはわかる。でも事実よ」
レイ「……第十使徒のとき……私が馬鹿なことをしなければ碇くんだって……」
アスカ「アタシも同じ……」
レイ「え?」
アスカ「松代の実験の時……アタシが3号機を乗っ取られたりしなければ、シンジがネルフを出ようなんて思わなかったでしょ?」
レイ「……」
アスカ「アンタだってシンジのことで無茶しなくて済んだはずだわ」
レイ「……」
アスカ「だから、全ての始まりはアタシ」
レイ「そんな……あの時は……アスカにはどうしようもなかった……」
44:
アスカ「そうかもしれない……でもアタシはパイロットよ?核心に一番近いところにいた」
レイ「……」
アスカ「シンクロを始めるとき、違和感があった……ほんの一瞬だけど……」
レイ「……」
アスカ「あのときアタシがとっさに起動シーケンスを止めていれば、暴走は防げたかもしれない。防げないにしても、事態はもっと軽く済んだかもしれない。アタシはそれができる場所にいた」
レイ「……」
アスカ「この14年間、そのことがずっと頭を離れないのよ」
レイ「アスカ……」
アスカ「負い目があるのはアンタだけじゃないってこと」
レイ「……」
45:
アスカ「……もうやめましょ?思い詰めたっていいことないから」
レイ「……そうね」
アスカ「食堂にでも行って何か飲む?」
レイ「いい……少し一人にさせて」
アスカ「ダメよ!ここで引きこもったら悪くなるばっかりよ?」
レイ「……わかった」
アスカ「ああ、アンタはアルコールはダメだからね?」
46:
レイ「……アスカはいいの?」
アスカ「あったりまえでしょ?アタシは28よ?」
レイ「それなら私も28のはずだわ。眠っている間は歳を数えるのをやめるなんて聞いたことがないもの」
アスカ「子供が屁理屈を言わないの!」
レイ「こういうときばっかり……」フフ…
アスカ「だいたいアンタ達は眠ってるどころか存在もしてたかどうか、わらかないでしょうが!」
レイ「そうだけど……」
47:
アスカ「いいでしょ?別に。あ、それからついでに更衣室も案内するわ」
レイ「更衣室?」
アスカ「アンタ、まだエヴァとシンクロできるんでしょ?」
レイ「そう聞いたわ」
アスカ「アタシのプラグスーツが着られるか試しときなさいってミサトが」
レイ「え?」
アスカ「アタシ達が出るときは、アンタはバックアップ要員としてブリッジで待機だそうよ」
レイ「……」
48:
アスカ「ブリッジには北上のほかにもアンタが知らないやつが何人かいるけど、北上よりは物分りがいいから大丈夫よ」
レイ「……ありがとう」
アスカ「そうねえ……アタシのだからその服と同じでアンタには少し大きいと思うけど……」
レイ「……」
アスカ「特にムネのあたりがね!」フフ…
レイ「ムネ?」
アスカ「まあキツイよりはいいでしょ。さ、行くわよ?」
レイ「ええ」
54:
==== 翌日 新第三東京市跡地上空 ヴンダー ブリッジ ====
スミレ「予定高度に到達」
ミサト「了解。このまま爆心地周辺を旋回しつつ待機」
アスカ『ヴンダーへ、こちら改2号機。メインシャフト開口部に到着。これより突入する』
ミサト「了解。ネルフのエヴァの信号は依然ロスト中。下で何かやっているわ。気を付けて」
アスカ『了解』
ヴィーーッ ヴィーーッ ヴィーーッ
マコト「地下深部より微震動を検知!急上昇中!」
ミサト「エヴァ各機!現在位置で待機」
アスカ『どうしたの?』
ミサト「敵が……上がってくるわ!」
アスカ『どういうこと!?……きゃっ!!』
ガラガラガラ バガーーーーーーン
55:
ミサト「あれは……初号機!?」
リツコ「いいえ……新型だわ」
アスカ『こいつ!…疑似シン化形態を超えている!?』
ミサト「全艦、第一種戦闘配置!」
マリ『艦長??DSSチョーカーが作動してるよ??』 
ミサト「なんですって?」
マリ『パターン青、ないはずの第13使徒……そっちでも受信できてる?』
ミドリ「DSSチョーカーの信号を感知……パターン青を確認」
アスカ『まずい!フォースインパクトが始まる!』
ミサト「やっぱり……碇ゲンドウの狙いはこれか!!」
56:
リツコ「どういうこと?まさかシンジ君が……」
レイ「…碇くん?」
リツコ「彼らはシンジ君に何をしたの!?」
ミサト「そうと決まったわけではないわ!新型エヴァを止めるのが先よ。これより新型を目標1、もう片方を目標2と識別します」
リツコ「目標2はシンジ君をさらったやつね」
ミサト「進路修正、目標1に突入!」
スミレ「了解」
57:
シゲル「目標1へ接触まで10秒!」
ミサト「衝撃に備えて!!」
ガシッ!
ミドリ「うう…目標と接触!」
ミサト「A.T.フィールド最大!このままエヴァを封じ込めて!」
ミドリ「了解!」
ミサト「主砲、斉射用意!曲射弾装填!」
シゲル「装填よし!」
ミサト「何としてもフォースの発動を食い止めるのよ!撃てぇ!」
ドオオオォン ビキイイイィン バシャッ
58:
ミサト「次!」
マコト「待ってください!目標1からの音声信号を捕捉!」
ミサト「つないで」
???『うう…』ザザ…
ミサト「これは……」
???『……サトさん……』ザザザ『……首輪が……』ザー 
ミサト「シンジくん!?」
レイ「……そんな……」
ドン! バガアアアァン
ミサト「何!?」
ミドリ「やられました!主砲に直撃!」
ミサト「アダムスの器か!」
59:
シゲル「目標2、本艦を追尾しています!」
ズズーーーン グラグラグラ
ヒデキ「中央部に被弾!第3甲板、大破!」
シゲル「目標1、離脱していきます!」
高 雄「出力低下、重力制御に問題発生!」
スミレ「舵がききません!落下します!」
ズズーーン…
ミドリ「きゃっ!」
ヒデキ「中央部にとりつかれました!」
60:
==== 地表 メインシャフト開口部 改2号機プラグ内====
マリ『あっちゃあ?…なんかシッチャカメッチャカになってきたね?……』
アスカ「コネメガネはヴンダーにくっついてるヤツを!新型は改2で抑え込む!」
マリ『らじゃ!』
アスカ(死ぬんじゃないわよ……バカシンジ!)
==== ヴンダー ブリッジ ====
ミドリ「目標2、排除できません!」
ヒデキ「主制御システムに未確認データが侵入!」
シゲル「艦のコントロールが…乗っ取られていきます!」
リツコ「アダムスの器はヴンダー本来の主…初号機から本艦の制御を奪い返すつもりだわ!」
シゲル「観測室より報告!エヴァ8号機、本艦に接触!目標2と会敵します!」
ミサト「頼むわ…マリ!」
61:
==== 8号機 プラグ内 ====
マリ「モードチェンジ!コードトリプルセヴン!」バリバリバリ「にゃあああああっ!」
8号機「……」グオッ
別レイ『誰!?』
マリ「名乗るほどのモノじゃないにゃ!」
8号機「……」グルルル
マリ「ぐうううううううっ!」
8号機「……」ブチッ!
62:
==== ヴンダー ブリッジ ====
シゲル「8号機、目標2の頭部を切断!」
==== エヴァ・マーク09 プラグ内 ====
別レイ「こんなとき……綾波レイならどうするの……」
マリ『知るか!あんたはどうしたいにゃ!』
別レイ「……」ガシュン
バシュルルルルル……
63:
==== ヴンダー ブリッジ ====
シゲル「目標2からプラグ射出!」
ミサト「やったか!?」
シゲル「はい……いえ、まだです!目標2、再生します!」
64:
==== 8号機 プラグ内 ====
マリ「こいつ全身がコアか!」
マーク09「……」メリメリメリ
マリ「時間もない……許せ8号機!」ガシュン!
バシュルルルルル……
ピ…ピ…ピ…ピ…ピ…
マーク09「…」ガウウウウ
ピピピピピ カッ!
ドゴオオオオォォォ……
65:
==== ヴンダー ブリッジ ====
シゲル「8号機、爆発!パイロットは脱出」
マコト「目標2からの信号、消滅」
ミドリ「制御システム回復!」
ミサト「全艦、緊急発進!目標1をただちに追跡!」
リツコ「艦長!主機周辺回路へのダメージが大きいわ。復元されるまでは派手な操艦はムリよ」
ミサト「くっ…シンジ君…」
マコト「艦長……目標1の様子が変です」
ミサト「何?」
レイ「……」
66:
マコト「槍を……自分で自分に刺してるようです……あっ、また!」
ミサト「あれはまるで……」
リツコ「そう……ニアサー時の初号機に槍が打ち込まれたのと似ている……」
ミサト「……」
リツコ「フォースインパクトを……自分で止めようとしているんだわ……」
ミサト「シンジ君……」
レイ「……」
ミドリ「艦長、DSSチョーカーが……」
ミサト「えっ?」
67:
[Ready for the Shutdown : 10] ピッピッピッ
リツコ「……」
[Ready for the Shutdown : 03] ピピピピピピ
ミサト「……」
[Ready for the Shutdown : 00] ピーーーーー
レイ「……」
カシャン
[Shutdown Completed]
マコト「目標1、落下します……」
ミサト「……シンジ君……」
レイ「……」ペタン
71:
リツコ「……おかしい」
ミサト「何?」
レイ「……?」
リツコ「ガフの扉が……閉じない!」
ミサト「……なぜ!?」
72:
アスカ『ブリッジ!』ザザ……『聞こえる!?』
ミサト「アスカ!」
アスカ『まだ終わってない!シンジが中にいる!』
ミサト「えっ!?だって……」
リツコ「ダブルエントリー……」
ミサト「えっ?」
リツコ「あのエヴァはダブルエントリーだったんだわ!パイロットがもう一人いたのね!?」
73:
ミサト「じゃ……じゃあさっきの……第13使徒は?」
アスカ『アイツよ!渚カヲル……そう聞こえた!』
ミサト「渚くんが!?」
リツコ「ゼーレのやりそうなことだわ」
アスカ『殲滅されたのはそっちの方。シンジは生きてる!こっちじゃまだシンジの情けない声が聞こえてるわ!』
ミサト「アスカ、時間がないわ!!パイロットを強制排除!何としてもフォースを止めるのよ!」
アスカ『了解!』
リツコ「強制排除?」
ミサト「プラグごと引っこ抜くのよ」
アスカ『どぉりゃああああああああぁっ!』
74:
==== 改2号機プラグ内 ====
ガシッ
アスカ「改2号機、目標にとりついた!」
ミサト『急いで!』
シンジ『うう…』ザザ…『カヲル君…』
アスカ「後始末は済んだ!しっかりしろ!バカシンジ」
シンジ『アスカ?…アスカなの?』
アスカ「めそめそすんな!男だろ!」
シンジ『でも…カヲル君は死んでしまった…綾波も助けられなかった…』
アスカ「レイは生きてる!あんたも生きろ!生きて自分の目でたしかめろ!」ガシュン
バシュルルルルル…
シゲル『目標1よりプラグ射出!2機とも落下します!』
ミサト『アスカ!』
 :
 :
ズズーーーン
75:
==== ヴンダー ブリッジ ====
マコト「ガフの扉が閉じていく……」
リツコ「フォースが……止まったのね……」
ミサト「アスカ!大丈夫!?アスカ!」
アスカ『……うるっさいわね……ピンピンしてるわよ……』
ミサト「よかった……自力で帰投できそう?」
アスカ『あー、それはムリね。あっちもこっちもあり得ない方に曲がってるから』
ミサト「了解。こっちで回収に行くわ」
76:
アスカ『頼んだわよ……レイはいる?』
ミサト「いるわ」
アスカ『レイ』ザザ…『できることはやったわよ』
レイ「アスカ…」
アスカ『……馬鹿ね、アンタまで情けない声出すんじゃないわよ』ザザ…
レイ「……」
アスカ『いてて……早いとこ拾いにいってやらないとね……』
レイ「……ありがとう」
77:
ミサト「進路変更、改2号機落下地点へ」
スミレ「了解。回頭しま…」グラッ「きゃあっ!」
ミサト「な……何!?」
ヒデキ「主機の制御が切れていきます!」
マコト「これは……アダムスの器です!先ほどと同種のデータが再び侵入!」
ミサト「何ですって?」
シゲル「観測室より報告!中央部に動くものあり!まだ生きてます!」
78:
ミサト「まずいわ……早く制御を取り返さないと」
グググググ……
ミサト「でも……どうすれば!?」
リツコ「初号機を…」
ミサト「えっ」
リツコ「初号機を起動して、主機の制御を内部から奪い返すのよ」
79:
ミサト「起動って……」
リツコ「ええ、そうよ」
ミサト「……レイ?」
レイ「はい」
ミサト「行けるわね?」
レイ「はい」
カチッ
ミサト「マヤ!?」
マヤ『聞こえてます』
ミサト「レイと一緒に主機制御室へ。レイを搭乗させて初号機を起動して」
マヤ『了解……くん?私と一緒に……なさい……べこべ言うなっ!早く……!……』
ミサト「レイ?」
レイ「了解」ダッ
80:
==== ヴンダー 主機格納容器・制御室 ====
マヤ「レイ、用意はいい?」
レイ「準備完了」
マヤ「了解。はじめて」
整備士A「エントリープラグ挿入」
マヤ「挿入確認。つぎ!」
整備士A「脊髄伝送システムを解放、接続準備」
マヤ「接続確認」
整備士A「探査針、打ち込み完了、インテリアを固定」
マヤ「確認、固定完了」
81:
整備士A「第1次コンタクト、エントリープラグ注水」
初号機「……」カシャン
マヤ「コンタクト良好」
整備士A「第2次コンタクト開始。インターフェースを接続」
マヤ「A10神経接続、異常なし」
整備士A「コミュニケーション回線、開きます!」
マヤ「シナプス計測、シンクロ率82.5%、ハーモニクス正常。いいわ、レイ!」
レイ「エヴァンゲリオン初号機、起動!」
初号機「……」ビイイイイィン
82:
==== ブリッジ ====
マコト「すごい……艦のコントロールを奪い返しています。現在、侵食率14%に低下!」
ミサト「行けるわ!」
マコト「侵食率、8%……5%……えっ?」
ミサト「どうしたの?」
マコト「侵食率、再び増大します! 7%……7.5……8……」
ミサト「何が起こっているの?」
マヤ『艦長!』
ミサト「どうしたの、マヤ!」
83:
マヤ『シンクログラフ反転! パルス逆流します!』
ミサト「何ですって?」
マヤ『アダムスの器が初号機に……いえ、レイに対して一次接触を試みている模様』
ミサト「何てことなの…」
リツコ「シンクロカット! レイへの接触を食い止めて!」
マヤ『ダメです! エヴァ初号機、コマンドを受け付けません』
ミサト「そんな……レイ! 聞こえる? 返事をして!」
84:
===========
レイ(ここは……どこ?……)
レイ(何も見えない……)
レイ(何も聞こえない……)
レイ(寒い……)
レイ(……?)
レイ(誰か……いるの?)
 ………
レイ(誰?)
 ダレ?
85:
レイ(あなたは誰?)
 ワタシハ アナタ アナタダッタモノ
レイ(私?)
 アナタハ ダレ?
レイ(私は……)
 アナタハ ダレ?
レイ(私は……誰?)
 アナタハ ワタシ
レイ(私は……あなた?)
 アナタハ ワタシ ワタシダッタモノ
レイ(そう……)
86:
==== ブリッジ ====
マコト「侵食率、38%! 増殖が止まりません!」
ミドリ「ちっ! ……あんなヒトモドキに任せるから……」
ミサト「やめなさい、北上」
ミドリ「……」
ミサト「レイはいま戦っているのよ」
ミドリ「……」
ミサト「あなたたちも自分の持ち場を維持しなさい。次の……状況に備えて」
87:
===========
レイ(私はあなた……あなただったもの?……)
 ソウ ダカラ
レイ(そう……だから……)
 ヒトツニ ナリマショウ
レイ(え?……)
 ワタシト ヒトツニ ナリマショウ
レイ(……ひとつに……)
 ソレハ トテモ キモチノイイコトナノヨ
レイ(……そうね……)
 テヲ……
レイ(……ええ……手を……)
 テヲ……
レイ(…………手を?)
 ……ドウシタノ
88:
レイ(……手を……)
 ソンナカナシイコト イウナヨ
レイ(手を……)
 ジャア ミソシルハ ドウ?
レイ(手を……)
 アッタマルヨ……
レイ(手を……)
 ドウシタノ?ソノテ……
レイ(手を……)
 アヤナミ!……テヲ!!
レイ(……)
 ……
89:
レイ(私は……誰)
 アナタハ ワタシ
レイ(あなたは……)
 ワタシハ アヤナミレイ
レイ(……)
 ワタシガシンデモ カワリガ イルモノ
レイ(私は……)
 アナタハ ワタシ
レイ(……違う)
 エッ?
90:
レイ(私は……あなたじゃない)
 アナタハ ワタシ
レイ(いいえ、私は私)
 アナタハ……ワタシ
レイ(……)
 ワタシガ シンデモ
レイ(いいえ、私は私しかいない)
 アナタハ……
レイ「私は、綾波レイ」
カッ……
91:
==== ブリッジ ====
マコト「侵食率、再び減少!30、26、22……」
マヤ『リンク回復!ハーモニクス、正常!』
ミサト「レイ!聞こえる!?」
レイ『感度良好』
ミサト「こっちもよく聞こえてるわ、レイ」
マコト「制御を奪還しました!」
リツコ「やったわ!」
92:
ミサト「まだよ!本体を排除しなければ同じことの繰り返しだわ」
リツコ「どうするつもり?」
ミサト「多摩くん、降りられる場所を探して」
ヒデキ「右舷前方に平坦部あり!」
ミサト「いいわ、長良、そこへ誘導して!緊急着陸よ!」
スミレ「了解」
93:
ミサト「マヤ?」
マヤ『はい』
ミサト「着陸と同時に初号機を出すわ。主機格納容器を強制排除モードにして待機」
マヤ『了解』
リツコ「艦長!ヴンダーが飛べなくなるわ!」
ミサト「壊した容器は直せばいい。でもこの船を乗っ取られたらおしまいなのよ」
リツコ「……背に腹は代えられない……か……」
マヤ『……くん……を……何ですって?……つべこべ言わない!……』
ミサト「レイ!」
レイ「はい」
94:
ミサト「大丈夫?」
レイ『問題ありません』
ミサト「ならばけっこう。格納容器解放とともに発進、目標を本艦から排除して」
レイ『了解』
ヒデキ「着陸地点に接近!高度120!」
ミサト「重力制御、出力最大!」
高 雄「もうやってますよ。出力最大!」
ミサト「硬着陸になるわ!全員、何かに捕まれ!」
ガッ……
95:
ミドリ「きゃあ!」
ヒデキ「ぐっ!」
ガッ……ガガガガガガガ
ズズーーーーン……
スミレ「て……停止……」
ミサト「くっ……マヤ!格納容器解放!」
マヤ『了解、接合ボルト、爆破します!』
バキィン
96:
マヤ『爆破を確認!』
ミサト「エヴァ初号機、発進!」
レイ『初号機、発進します』グウウウウゥン
シゲル「初号機、隔壁をクリア」
初号機「……」ズシイイイィン
シゲル「……アダムスの器と会敵します!」
97:
レイ『目標を視認、格納容器にくっついてる…』
残骸物「……」グジュルグジュル……
レイ『これより排除します』
ミサト「頼むわ、レイ!」
レイ『うっ……くううううっ!!……』
初号機「……」ググググググ……ズルズルズル
シゲル「本艦との接触部位、切れていきます!」
レイ『くっ!』
初号機「……」ブチッ……
98:
シゲル「排除を確認!」
ミサト「レイ! そいつを船から離して!」
レイ『初号機了解』
初号機「……」ズシン ズシン ズシン……
ミサト「各主砲塔、追尾を開始、目標、アダムスの残骸!」
レイ(できるだけ……遠くへ!……)
初号機「……」ズシン ズシン ズシン……
ビーーーーーーッ!
マヤ『目標、初号機左腕に侵入! 生体部品と融合していきます』
リツコ「まずいわ!」
ミサト「レイ! 早く!」
99:
残骸物「……」ブジュブジュブジュ……
レイ『うううううっ!』ビキビキビキ……
ミサト「レイ、左腕を投棄して!主砲、発射用意!」
初号機「……」ジャキイィン
マコト「初号機、プログレッシブナイフを装備!」
レイ『くっ!』
初号機「……」ザクッ!!
レイ『ぐうううううううっ!』
初号機「……」ズブズブズブ……
レイ『うっ!』
初号機「……」ゴキッ……ドサッ
マコト「初号機、左腕をパージ!離脱します!」
ミサト「撃ち方、はじめっ!」
100:
ドドドド……ズガッ……ドガッ……
ミサト「着弾で目標が跳ねるわ!確実に捉えて!」
ドガッ…ドドドド……バキッ……
カッ!!
ドオオオオオオオオオォォォ……
マコト「目標……消滅!」
ミサト「初号機は……レイは!?」
101:
ピーーーーッ
シゲル「初号機、健在!」
ミサト「レイ……」
シゲル「主モニター回復します!」
初号機「……」ズシーン…ズシーン…
ミドリ「パターン青、反応なし。警戒空域に機影を認めず」
ミサト「了解……全艦、第2種警戒態勢へ移行」
ミサト「終わった……」ドサ
102:
ミサト「回収班は改2号機とパイロットの回収に向かって」
回収斑A『了解』
ミサト「機関部は主機格納容器の復旧、初号機の再接続準備。仮接続でいい、敵地の離脱を最優先」
機関部A『了解』
ミサト「レイもお疲れ様。よくやってくれたわ。帰投して」
レイ「……」
ミサト「どうしたの?」
レイ「艦長……」
ミサト「なに?」
レイ「……」
ミサト「……そうよね」フッ
104:
ミサト「副長」
リツコ「なに?艦長」
ミサト「プラグの放出先はL結界密度が基準値を上回っている可能性があるわ」
リツコ「そうね」
ミサト「大丈夫かしら?」
リツコ「問題ないわ……調べた限りではね」
ミサト「そう……喜ぶべきか悲しむべきか……」
リツコ「でも、それが現実よ」
ミサト「わかってる……」
105:
ミサト「北上?8号機と新型エヴァのプラグ射出時の映像を解析、着陸予想地点を算出して」
ミドリ「りょうかーい」
ミサト「アスカ?」
アスカ『わかってるわよ。運転手でしょ?』
ミサト「悪いわね。……回収班、特殊救難艇をスタンバイ。式波大尉が戻り次第発進できるように」
回収班A『了解』
ミサト「……これでいいわね?レイ」
レイ『ありがとうございます』
ミサト「初号機を格納したら発進デッキへ。頼んだわよ」フッ
レイ『はい』
106:
==== エヴァ13号機 プラグ内 ====
シンジ(うう……)
シンジ(ここは……どこ?……)
「……かりくん!ねえ、返事をして碇くん!」
シンジ「……あや……なみ?」
レイ「碇くん!」
シンジ「……」
レイ「……」
シンジ「あやなみ……」
シンジ(……いや……まさかね……)
シンジ(綾波は消えてしまったんだ……僕が助けられなかったから……)
107:
シンジ(綾波がこんなに取り乱すはずがないし……)
シンジ(今度は赤いスーツ……いったい何人目の……)
シンジ「……?」
レイ「……」グスッ
シンジ「なぜ……キミは泣いているの?」
レイ「……ばか……」ポロポロ
シンジ「……」
レイ「碇くんが生きていたから……嬉しくて泣いているのよ……」ポロポロ
シンジ「……え?」
レイ「よかった……」
シンジ「……」
レイ「……」グスッ
シンジ「……!」
108:
シンジ「あの……僕は……こういうとき……」
レイ「……」
シンジ「どんな顔をしたらいいか……わからないんだ……」
シンジ「……」ジッ
レイ「……?」
シンジ「……」ジー……
レイ「……!」
シンジ「……」
レイ「……笑えばいいと思うわ」
シンジ「……!」
109:
レイ「……」
シンジ「君は……」
レイ「……おかえりなさい」ニコ
シンジ「……ただ……いま……」ニコ
シンジ「……」グシャ……
シンジ「ハハ……うまく笑えないや」ポロポロポロ
110:
レイ「碇くんがエヴァに乗らなくていいようにすると言ったのに……」
シンジ「うん……」
レイ「……また……たくさん辛い思いをさせてしまった……」ポロポロポロ
シンジ「そんな……何言ってるんだよ……」ポロポロ
レイ「無理に笑わなくてもいい……」ギュ…
シンジ「うっ……うう」ギュッ
レイ「泣きたいときは……うんと泣くといいわ……」ポロポロポロ
シンジ「うっ……うわあああああああああああぁ!!……」
レイ「……」ポロポロポロ
シンジ「あああああぁっ……うう…うああああああああ……」
レイ「……」ポロポロポロ
 :
 :
111:
==== 砂漠 13号機プラグの外 ====
アスカ「まあ無理もないわよね……」
マリ「そうだね……うん?」
別レイ「……」
マリ「心配ないよ。しばらくすれば落ち着くって」
別レイ「……」
マリ「あっ!もしかしてあっちのレイ君にヤキモチ焼いてる?」
別レイ「……」
マリ「はぁ……あんたのオリジナルはもうちょっと愛想があったよ?」
別レイ「……」
マリ「……」
別レイ「あの……」
マリ「にゃ?」
別レイ「ヤキモチって……何?」
アスカ「……そういうトコ、初めの頃のレイにそっくりね、アンタ…」ハァ……
112:
==== エヴァ13号機 プラグ内 ====
シンジ「……」ヒック……ヒック……
レイ「……」トン……トン……
シンジ「……ごめん……ありがとう」グスッ
レイ「いいの」
シンジ「……」
レイ「このあいだは碇くんが助けてくれたから」
シンジ「……」
レイ「今度は私の番」
シンジ「……もう大丈夫だよ」
113:
レイ「立てる?」
シンジ「……うん」
レイ「行きましょう」スクッ
シンジ「うん」スクッ
レイ「……あの時……碇くんは言ったわ」
シンジ「……え?」
レイ「生きてさえいれば……生きていてよかったと思う時がきっとあるって」
シンジ「……」
114:
レイ「その気持ち……今はわかる」
シンジ「……」
レイ「だから……生きていきましょう」
シンジ「綾波……」
レイ「この赤いどうしようもない世界でも……」
シンジ「……」
レイ「2人で行けば……何か見つかるかもしれないわ」
シンジ「……そうだね……」
115:
 :
 :
マリ『おーい、レイくーん、わんこくーん』
シンジ「あれは……」
レイ「真樹波さんって言うの」
マリ『そろそろいいかにゃー?』
シンジ「学校の屋上で会った人かな」
レイ「そうなの?」
シンジ「たぶん」
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