義妹「お兄さん、今日のご飯は何ですか?」兄「何にしようか」【後半】back

義妹「お兄さん、今日のご飯は何ですか?」兄「何にしようか」【後半】


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3:
兄「夏だしさ、思い出作りって感じでプール行かないか?」
友「良いですね、謎男はどうしましょう?」
兄「あいつは来ないだろうなぁ……」
友2「俺の可愛い彼女をジロジロみたらお前……どうなるか分かっt」
兄「え、お前も来んの?」
友2「えっ」
兄「冗談だよ、明日行くか」
友2「おう!」
兄「ってゆー事で、明日プールに行きます」
義妹「勿論私も行きますよ?」
兄「えっ」
義妹「お兄さんがもし逆ナンとかされたら……私、心配です!!」
兄「大丈夫だよ、この前暴れてちょっと減ったし」
義妹「減った……? とにかく、私も行きますからね!!」
兄「えー」
義妹「そんなに私と行くのが嫌なんですか……」グスッ
兄「分かったよ、水着とかあるか?」ハァ
義妹「あ、この前二人と買いに行ったんで大丈夫ですよ」
兄「ああ、やっぱ来るの確定なんですね?」
義妹「ナンパ、されたらどうしましょう」フフ
兄「俺が睨み殺すから大丈夫です」
義妹「冗談に聞こえませんよ……」
友2「姉ちゃん、俺の水着ってどこだっけー」
友2姉「だから、同じ場所にしまっとけって毎年――目の前にあるでしょうが!!」
友2「おおぅ」
友2姉「だいたいあんたはいっつもいっつも大雑把で呑気で(ry」
友2(耐えろ……この小言さえ乗り切れば後輩といちゃいちゃ出来る……!!)
友「……ありましたね」ゴソゴソ
友父「明日は何か用事が?」
友「はい、友人とプールに行きます」
友父「そうか、高校生のうちは青春を楽しむといい……お前も分かっているな?」
友「……はい、もちろんですとも」
友父「なら良い、あまり遅くならないようにな」
友「ええ。では畑の世話をしますので」ペコ
友父「……」
妹友「……」ゴホッ
274:
兄「暑い……」グデー
友「すでにだらけてどうするんですか……まずは準備体操ですね、足つっても知りませんよ?」
友2「うおおぉぉぉぉ」
兄「で、あのバカは何やってんの?」
友「暇だから腕立てしているそうです」
兄「ふーん……っ!!」シュバッ
▼兄は 逃げ出した!
友2「何で!?」
友「まさか、いや、そんな……」
義妹「お待たせしましたー」パタパタ
友2「……グレィトだぜ、ブラザー……」グッ
友「一緒にしないで下さい」パシッ
友2「いや、よく見てみろ……あの天使を、背は小さいのにあの胸……」ゴクリ
友2「それに人懐っこい笑顔が、清楚な雰囲気と見事に調和してやがるぜ……守りたい、あの笑顔」
友2「いや、妹友2も良いな……あの高い身長と長い脚、全く無駄が無いスレンダーボディ」
友2「露出が控え目なあの水色の水着が、まるで……」
友「……あっ」シュバッ
友2「ん? どうし……た……」
後輩「 今 の 話 詳 し く 聞 き た い で す ね ぇ ? 」
友2「」
チョッマテ、チガウンダ!! オレハタダリソウノフロンティアヲマエニハッスルシテシマッタダケデ アァァァァ!!
兄「あばばばばばばば」
友「兄、落ち着いて下さい」
兄「恥ずかしいじゃん!!」
友「あ、さっき友2が義妹さんの事を……」
兄「おk、あいつのすね毛全部むしり取ってやる」ダッ
義妹「あっ」
妹友「……」
妹友2「……//」
兄「……」
兄「」ダッ
妹友2「どこへ行くの?」シュッ
兄(くそ、この人相手じゃ逃げ切れねぇ!!)
義妹「お兄さん、遊びましょうよー」ギュー
兄「お前マジで今の状態で密着すんなマジであっばばばばばばば」
義妹「お兄さんが壊れた!?」
友「……泳ぎましょうか」クスッ
妹友2「うん」
妹友「……」
275:
兄(すごい対照的だな、豪快な友のクロールと、静寂と言う言葉が似合う妹友2さんのバタフライ)
兄(友は大きな音を立ててぐんぐん進むが、妹友2さんは水の抵抗を避けているかのようにすいすい進んでいる)
兄(鮫とイルカみたいだな……友に至っては昔のギラギラした顔に戻ってるし)
兄(妹友さんはプールに腰掛けて、空を見ている)
義妹「お兄さー」
兄「甘いっ」ダボンッ ドババ
義妹(一瞬で後ろに泳ぎこまれた!?)
兄「悪いが泳ぎなら俺が一番上手いぜ?」
義妹「そうなんですか、教えてください♪」
兄「墓穴掘ってしまったか」チクショウ
兄「でもお前も普通に泳げたよな? さっき普通に」
義妹「(・3・)?♪」
兄「……」
義妹「あれー? どこ見てるんですかー?」ニヤニヤ
兄「べ、別にどこも見てねぇし!?」
義妹「でも今視線がー」
兄(逃げるぜ)シュババババ
義妹「あ、待て―!」バチャバチャ
妹友「……」
――
兄「あー疲れた……」グデー
義妹「ですねー」
友「久しぶりに泳げましたね」
妹友2「友くんはすごく泳ぎが上手、楽しかった」
友「でも、兄の方が上手いですよ?」
妹友2「……兄くん、勝負しよ?」ニコ
兄「義妹から逃げすぎて疲れてるんです本当……もうちょい待って、あっ」ポタン
妹友2「……雨?」
兄(――ん? 向かい側にいるのは)
妹友「ハァ……ゲホッ、……あ」グラッ
ドボンッ
兄「やべっ!!」バッ
兄(何で気付かなかった……体調が悪かったんだ!)ババババババ
兄「ぷはっ」ザバ
兄(水は飲んでないみたいだ……うわ、すげぇ熱)
義妹「大丈夫ですか!?」
兄「熱出てる。病院ってどこだっけ?」
妹友2「案内出来る、すぐ連れて行こう」
276:
ザァァァァァァー……
医者「ただの風邪だね、熱は高いけど安静にしてたら大丈夫だよ」
義妹「ありがとうございます」ホッ
医者「ただ、かなり衰弱してるから、精神的にきてるね……」
兄「分かりました」ペコッ
妹友「……ハァ、ハァ」
兄「とりあえず、家に送ろう」
友「私が傘を差しますから、肩を……いや、おぶってあげてください」
兄「えっ……くそ、この状況じゃしょーがねーか、でもお前濡れんぞ?」
友「ご心配なく、かっぱも持ってきています」
兄「さすが」
兄(……すげぇ熱い、こんな状態なのによく来たな)
兄(だから水に浸からなかったのか……くそっ)ザッ
妹友2「ここが彼女の家」ピンポーン
妹友母「はい、あっ妹友2ちゃん、どうしたの?」
妹友2「風邪を引いたみたい」
妹友母「あらあら、ありがとう。すぐ寝て休まないと」
妹友母「せっかくだし上がっていってくれる?」
兄「いや、俺は……」
妹友母「あ、あなたが兄くんね。どうぞ上がって?」
友(何故そこまで勧めて……?)
兄「……じゃ、おじゃまします」
妹友母「今お茶を入れるから、ちょっと待っててね」
義妹「あ、おかまいなく」ペコリ
妹友母(あ、兄くん)コソ
兄(……はい?)
妹友母(あの子の側にいてくれない?)
兄(ファッ!? 俺嫌われてますけど)
妹友母(違うの……あの子の殻を破ってあげて、お願いっ!)
兄(え? ちょっ)グイグイ
ガチャ
兄「……」
妹友「ハァ……ハァ……ゲホッ……」
兄(うなされてる……)ジャーッ
兄(冷えピタとか無さそうだからなぁ)ギュウゥゥ
兄(タオルで勘弁してくれ)ピタッ
妹友「……」
兄「ちょっとはマシになったか」フゥ
277:
――
兄(もう夕方か……)
妹友「……あ」
兄「あ、目覚めたか。おはようございます」
妹友「……何で……」
兄「別に変な事はしてないから。お母さんに頼まれてさ」
妹友「余計な事を……」ボソッ
兄「まぁまぁ」
妹友「……別に、あんたに言った訳じゃない」
兄「?」
妹友「……寝る。もう帰っていいよ」
兄「……」
妹友「何?」
兄「前から思ってたけどさ、妹友さんって」
兄「あんまり人の目、見ないよな?」
妹友「――!!」
兄(あ、もしかして俺地雷踏んだ?)
妹友「帰って!!」
兄「!?」
妹友「帰っ……ゲホゲホッ!!」
兄「あーもう喉治ってないのに大声だすから! 大丈夫か!?」スッ
妹友「触るな!!」バシッ
兄「いっ……!」
妹友「あ……」
兄「悪い。帰るわ」スッ
妹友「その、ご……ゲホッ!!」
妹友(待って……)ゲホッ、ゴホッ
義妹「あ、お兄さん、どうでした?」
兄「ん、大分回復したみたいだ」
兄(でもスマブラしてんのな……)
友2「ガノン様をなめるなよ?」ピコピコ
友「ミュウツーの方が好きなのですがね……」ピコピコ
妹友2「ピクミンはかわいい」ピコピコ
兄(何でスマブラ持ってんだよ)
友「……どうかしましたか?」
兄「ん、あぁ……別に」
兄「何も無かったよ」
278:
――
兄「……」
イケメン「何を考えているんだい?」スッ……
兄「ん? 別に何もねーよ、後お前の近くで警戒は解いてないからな」パシッ
イケメン「ははっ、さすがは兄だね」
天然女「兄くん、考えすぎは身体に毒だよ??」
兄「うん、ありがとうなー」フワァ
図書娘「兄ー、お菓子食べる?」スタスタ
兄(この空間での清涼剤……それが図書娘ッ……!!)
兄「うまうま」モッシュモッシュ
天然女「あ、図書娘ちゃんだ、やっほ?」ニコニコ
(男のくせに女々しくて気持ち悪いなぁ……)
図書娘「こんにちは、天然女さん」ニコニコ
(腹黒いのに天然ぶってて嫌いだなぁ……)
兄(あれ……何か火花が飛び散ってるように見えるのは気のせいか……?)
イケメン「やぁ図書娘、こっちに座りなよ」ニコッ
図書娘「あ、僕昼休みだからそろそろ行かないと。ばいばい」ゾク
兄「……」
――
兄「しかし暑いな、本当に」
友2「焼き肉食べたいなぁ」
友「この前食べ……おや」
妹友「兄、借りるから」
兄「……」
友「どうぞ」ニコ
友2「?」
兄「……何か?」
妹友「……」
妹友「……ごめんなさい」ペコ
妹友「色々してくれたのに、恩を仇で返して」
兄「……何であの時怒ったんだ?」
妹友「……」
兄「俺が言ってから、目の色変えて怒ってたよな、何かを否定するみたいに」
兄「トラウマでも抱えてんの?」
妹友「……うん」
兄「そっか。なら悪いのは不用意にそれを抉った俺だな。ごめん」
兄「今回の事はこれでおしまいにしようぜ、さ、帰って――」
妹友「待って」
妹友「……聞いてくれる?」
281:
妹友「ここなら誰にも聞かれないかな」
兄(何でこんなにしおらしいんだよ……帰りにくいだろうが!)
妹友「あんたには知る権利がある、と思う……」
幼妹友(当時6歳)「お兄ちゃーん」トテトテ
親戚「お、どうした妹友ー」ヨシヨシ
幼妹友「大好きー」ニコー
親戚「かわええのぅ、こやつめー」ワシャワシャ
幼妹友「えへへー♪」
妹友「私には、心の底から信頼している親戚が居た」
妹友「家の近くに住んでいて、私はその人が大好きだった」
兄「……」
妹友「でも」
妹友(12歳)「兄貴? どうしたの?」
親戚「うおっ!? いや、何でもない」スタスタ
妹友「……?」
妹友「時間が経つごとに、様子がおかしくなっていった」
兄「様子……か」ピク
妹友「そして、ついに私は見てしまった」
親戚「ハァッ!! ハァ……うっ」
妹友「兄貴……何、してんの……?」
親戚「っ!」ビクッ
妹友「それ、私の……下着、だよね?」
親戚「えっ、いや、違っ……」
妹友「変態ッ!!」
親戚「く、くそっ! こうなったら――」ガバッ
妹友「何するの!! 離して、はな……」チュッ
妹友父「おい、ちょっと――何やってんねん親戚!!」ガラッ
親戚「!?」
妹友父「おい、うちの娘に手ェ出すとはええ度胸してるやんけ……?」
親戚「あ、あ……う」
妹友「幸い、うちのお父さんが見つけてくれたおかげで、最後までされる事は無かった」
兄(……妹友さんと俺、似てる……?)
妹友「それでも、私のファーストキスはあの男に奪われた」ギリ
妹友「それ以来、私は男が怖くなった。目も合わせる事が出来ないくらいに」
兄「だから、あの時あんなに動揺したのか?」
妹友「そう、いつも敵意を向けて誰にも近寄らせないから、それを見抜いたあんたが怖くなった」
妹友「……あんたも、何かあるんでしょ?」
282:
――
兄「……以上で終わり、勝手に語って悪かったな」
妹友「そう……あんたも色々あるんだね」
兄「ってゆーかさ、俺達なんか似てるよな」
妹友「確かにね。境遇が似てる」
兄「……」
妹友「……」
兄「……ぷっ」
妹友「……ふふっ」
兄「何かアホらしくなってきたな」ハハ
妹友「そうだね、もやもやは消えたかな」ニコ
兄「!」
妹友「……何さ」
兄「いや、お前の笑った所、初めて見たなーと」
妹友「……」ギロッ
兄(あ、やべ)
妹友「……そうだね、これからはあんたには気を許してもいいかな」フッ
兄「え、あぅ!?」
妹友「プッ、何その声」
兄「えっと、あ、ありがとう……?」
妹友「どういたしまして」クスッ
兄「さてと、それじゃ……」
妹友「あ、かき氷の屋台あるよ。食べていかない?」
兄「……そうだな、いただきますか!」ニッ
チリーン
兄(最高だわ、この青空、柔らかいそよ風、染みわたる風鈴の音、そしてこのかき氷(メロン味))
兄(妹友の息苦しさも消えたし、リラックスできるわ)ホッコリ
妹友(イチゴ味)「……」ジー
兄「?」シャクッ
妹友「もーらいっ!」スッ
兄「!?」
妹友「うん、おいしい。ほら」スッ
兄(え、何これ!? 口付けて良いやつなのか!? おあぁ!?)
兄「あ、はい」パクッ
妹友「……」ジー
兄「はい、美味しいです、とてもメルシーっす」
妹友「ふふっ、あんたって変わってるね」ニコ
兄(変わったお前には言われたくないけどな)フッ
妹友と和解ルート 終わり
283:
兄「?♪」
友「機嫌良さそうですね」
兄「うおっ、人が鼻歌歌ってる時に近寄るなよ! 恥ずかしいだろ!」
友「それは失礼」クスクス
友2「兄ー、アイス買って帰ろうぜー」
兄「そうだな、コンビニでも行くか」
兄「うまうま。やっぱ梨味は最高だな」ガリガリッ
友2「いやソーダだろ、常識的に考えて」シャリシャリッ
友2「最近はグレープフルーツもあるのですね、なかなかいけますよ」シャクシャク
兄「炎天下の下で食べるアイスは何でこんなにうまいんだろうな」
友「冷たさが染みわたりますね」
兄「あ、そーだ」
友2「だろ、やっぱソーダ味が最強だわwww」
兄「違うからな。あのさー」
1,とある廃墟があるんだが……(探検)
2,このハゲにも教えないか?(兄の過去・友の口調変化の出来事)
3,謎男が最高の飯を食べさせてくれるってよ(日常)
次安価>>290です
290:
1
292:
兄「とある廃墟があるんだが……」
友「駄目ですよ、探索なんて法的にグレーゾーンですし、老朽化して危険です」
友2「……」ソワソワ
謎男「兄、調べて来たぞ」シュッ
兄「うおっ! で、どうだった?」
謎男「かなり‘いわくつき’な所だそうだ」ニヤァ
兄「ほほう、詳しく」
謎男「あの洋館はとある富豪の別荘だったらしいが、ある事件が起きて以来、誰も立ち入らないらしい」
謎男「取り壊しが何回か起きようとしたが、必ず不幸な事故が起きたそうだ。今は放置されている」
友2「おおぅ……」ソワソワ
友「駄目です、怪我をしたらどうするつもりですか」
謎男「俺は大抵の事では死なん、今までどれだけ探索を続けてきたと思っている」
友「それはそうですけど……」
謎男「大丈夫だ。朝から行く」
友「……」
兄(実は気になってしょうがないんだろうなぁ)
友「ま、思い出って事で、良いですよね?」
兄(墜ちた)ニヤ
兄(探索なんて小学生の頃のワクワクを思い出すなぁ、特製チリペッパー爆弾で武器とか言ってたっけ)
兄(ま、いざと言う時のために、十分な準備をしていくか)ワクワク
義妹「お兄さん、何をしてるんですか?」
兄「あー、明日ちょっとサイクリングに行くんだよ」
義妹「そうですか、気を付けて下さいね?」
兄「分かってるって。ありがと」
兄(……チリペッパーと塩胡椒を卵の殻に詰めて……あ、食べ物と喉も乾くだろうな)ワクワク
兄(手動発電出来るライトに、ロープに、アーミーナイフにー)ウキウキ
義妹(お兄さんがすごく目を輝かせてリュックサックに詰め込んでる……)
兄(うしっ、これで良いか。秘密基地とか憧れてたんだよなぁ)ズシッ
兄(誰かさんのせいで集まる奴居なかったけど)orz
謎男(……「禁忌の洋館 一家全滅事件」か……本当にただの殺人事件なのか?)カタカタッ
謎男(やはり兄とバカは連れてこない方が良いか……? だが、バカは(一応)体格があるし、何よりも)
謎男(兄の凡人離れした頭脳も必要だ。あいつのあらゆる不幸を読む力があれば、もしかすると謎が解けるかもしれない)
謎男(幽霊など信じては居ないが)
謎男(……対策くらいはしておくか)チャキッ
謎男(……まぁあくまで噂だ。無事に探索出来ればそれで満足だがな)
友「……うっ」ズキ
294:
ミーンミンミーン ジリリリリリ
謎男「友は居ないのか?」ザッ
兄「お、お前も同時刻か……あれ、時間厳守のあいつらしくないなぁ」
友2「こっちは全力で早起きしたって言うのに……」フワァァァァ
兄「俺が電話かけて連れて来たんだろうが」
友「来ましたか」スッ
兄「ん、もう中に入ってたのか!?」
友「暑いもので……まだ中を探索はしていませんよ」
兄「しっかしすげぇな、表面を葉っぱが覆ってやがる、いかにもって感じだな」ウズウズ
謎男「落ち着け、こういう時こそ冷静に動くんだ」フゥ
友2「では、行こうか!! いやー暑いなぁ、タオル持ってきて正解だわ」アセヌグイ
兄「そうだな、確かに今日は暑い……!!」
友「どうかしましたか?」
兄「いや、別に何も……」
兄(……どういう事だ?)
ギィイィィィ
兄「おお……すげぇな」
謎男(……足場は大丈夫みたいだ、オーソドックスな洋館だが、しっかりとした造りのようだな)ポンポン
友2「応接間って言うのか、こーゆーの」
兄「知らん、しかし暗いな。窓から来る日差しのおかげで多少は見えるけど……」ガサッ
謎男「俺が一番先頭を進む」
兄「一番戦闘も強いしな」
友2「おいおい、これって血痕じゃね?」
謎男「……確かに、かなり古いものだが」
謎男(マリオネット人形? こんな所に……?)
兄「!」ゾクッ
兄「警告……?」
友「どういう事ですか?」
兄「いや、分からん。何か頭に浮かんだから言ってみただけ」
友2「うえ、なんか不気味だな……」
謎男「……階段は俺が先に行く、崩れたらすぐそっちに飛ぶ」
兄「飛ぶって……」
謎男「行けそうだ」ギシ、ギシ
兄「部屋とか探索する?」ギシ、ギシ
友2「おお、いいねぇ」ギシ、ギシ
友「気を付けてくださいよ?」
友2「そりゃな。お化けとか皆信じるタイプ?」
謎男「信じない」
兄(……)
296:
兄「うわ、この絵すげぇな」
友「これは……女の人が少年の頭に手を乗せている写真ですかね」
友2「老朽化のおかげで不気味すぎるわ……では、一つ目の扉。謎男さん!」
謎男「俺か」ガチャ
兄「……個室だな、ベッドまで丁寧にある」
友2「うわあぁぁぁぁ!! 壁に血が!」
謎男「これもかなり古いものだな、いわくつきと言っただろ……」ハァ
兄(俺としては何故そんなに冷静でいられるのか不思議なんですが)ブルブル
友「何らかの事件が起きたんでしょうね……」
謎男「ああ、……どうだ、肝試しにもぴったりだろ?」
兄「ソウダネー、マダ アカルイノニ ボク フルエマクッテルヨ」
友2「同じく」ブルブル
兄「いやお前はあの時の度胸を見せろよ」
友2「後輩が居れば大丈夫なんだけどなぁ」ブルブル
兄「子供の部屋っぽいな、ここ」
謎男「ボロボロのおもちゃが……」
友2「怖すぎんだろ!」
友「ここの少年も、さぞ辛かったでしょうね……」
友2「俺が被害者なら発狂してるわ……」
兄「……?」
謎男「写真……かなり前のものみたいだが」
兄「皆笑ってんな。両親、姉と弟、それに使用人までいるのか」
友2「ちっ金持ちが……」
謎男「それだけじゃない、見ろ、姉の手首を」
兄「……すごいリストカットの数だな」
友「どんな家庭だったんでしょうね……」
謎男「! 良い物を見つけた。日記だ!」
兄「おいおい、見るの? マジで?」
【〇月〇日 今日も良い天気。お姉さまはまだ選ばれていない】ミーンミンミーン
【〇月〇日 土砂降りの一日だった。皆憂鬱そうに読書をしている】ジリリリリ
【〇月〇日 親父が新しい使用人を連れてきた。二人も雇って大丈夫なんだろうか】ミーンミンミ 
【〇月〇日 新入りの人はとても良い人だ、これなら】
兄「――嫌な予感がする」
謎男「……奇遇だな、俺もだ」
兄・謎男(あれだけうるさかった蝉が、突然鳴くのをやめた……? 辺りは木だらけなのに)
――バターン!!
兄「!」バッ
謎男「!!」シュバッ
友2「ひうぅ!?」ビク
謎男「……風でドアが勢いよく閉じただけのようだ。大丈夫」
297:
友2「本当に!?」
謎男「本当だ。ちゃんと隙間も出来てる……閉じ込められたとしても脱出できる」
兄「心臓がパンクするかと思ったぜ」フゥ
友「日記、どうしますか」
謎男「先に全て探索してからにしよう、腰を据えて読みたい」
兄「そうしようぜ……怖いわ」
謎男「次は二つ目の部屋だな」ガチャ
友2「これはお姉さんの部屋だな」
兄「割れたティーセットが雰囲気あるわぁ……」
友「ベランダがあるんですね」ガラ
兄「ここを無傷で脱出するのは難しいな……謎男ならあの木に飛び移れるかもだが」
謎男「本棚がある。何かいい物があると良いが」
友2「あ、机の中に鍵が入ってた!!」
兄「おお、何の鍵だ?」
友「サイズ的に、どこかの部屋のカギですかね?」
謎男「……ククッ」ゾワゾワ
兄「おいワクワクすんな、もうちょい落ち着け」
友2「……」バッ
兄「どうした?」
友2「と、鳥の骨……? みたいな」
兄「……サイズ的には雀のようだな。茶色い染みが出来てる……」オエッ
兄(なんか、嫌な予感がするんだよなぁ……)ゾク
謎男「これは……パワーストーンの箱のようだな」ガチャ
友「どれどれ……煌びやかですね」
兄「これ、変わってるよな、骨を削った勾玉?」
謎男「さっきの雀の骨は、これの材料だったのかもな」
友2「……もうめぼしい物は無さそうだ、はよ次行こうぜ」
兄「そうだな」
謎男「次の部屋は……随分と奥だな、廊下が潰れないと良いが」ギシシ
兄「不安になるからマジでやめて」ギシギシ
友2「音が怖いわ……」ギシ
友「しかし不気味ですね……」
ガチャ
兄「……ここは?」
謎男「……でっかいテレビと電話があるだけ?」
友2「殺風景すぎんだろ……」
ジリリリリリリリリ!! ジリリリリリリリリリリ!!
友2「ひゃんっ!」
兄「……おいおい、マジか……」
303:
兄「……どうします?」
謎男「出る」ガチャ
友2「えっ、待って! 心の準備が」
謎男「……」
「…………」
謎男「……」
「……………………」
友「……」
友2「無言電話?」
謎男「……どうだろうな」
「あはっ」
謎男「!」
「待っててね、待っててね、待っててね、待っててね、待っててね、待っててね」ケラケラ
謎男(……高いな、女の声?)
「 す ぐ 取 り 返 し に 行 く か ら 」プツッ
兄「……やばくないか?」
謎男「……」
ミーンミンミー……ミイィィイィイィ!! ミッ……
……ザアァァァァァ――
友2「嘘だろ、すげえ雨、いやむしろ雷雨が……」ピカッ
兄「こりゃ帰れねえな、雷がすごい。台風なんてニュースでやってたっけ……」
謎男「収まるのを待った方が良い。この中で動くのは危険すぎる」
友2「はぁ!? 無理してでも逃げようぜ! さっきの電話聞いてなかったのか!?」
兄「とりあえず、いつでも逃げれる場所を確保しようぜ、二階は逃げ場が……」
友「そうですね、とにかく移動しましょう、まだ下はよく探索していませんし」
兄「とりあえず口に入れてエネルギー出すぞ、鶏胸肉の燻製とカロリーメイトだ」スッ
友2「このパサパサ感が良い感じだな、塩っ気もたまらん」モグモグ
謎男「チャーシューみたいな食感だな、良い意味でパサパサだ。うまい」
兄「水とかあるのか?」ゴクゴク
謎男「ぬかりはない」
ザアァァァァァ……
兄「すげぇ雨だな、辺りがさらに薄暗くなってきた」
友2「淡々と言ってるけどさ、かなり怖いからな?」ブルブル
兄「……とりあえず外に出たけど、どうするよ?」
謎男「何かが俺達に気付いているのは明白だな……あ、日記を見てなかったな」
兄「そうだな、見てみるか」ペラ
【〇月〇日 ありえない、あの新入りが に気付いてしまった。それどころか、触ってしまったと言う】
【〇月〇日 あの子には死んでもらうとして、僕たちはどうすればいいんだ。お姉さまはふさぎ込んでいる】
【〇月〇日 まず親父が狂った。お母様を殺し、その肉を喰らった。僕は怖くて鍵をかけている】
【〇月〇日 全て使用人が選ばれてもいないのに  に触ったせいだ。許せない】
304:
【〇月〇日 血筋だけあって、お母様を喰った親父は選ばれこそしないものの、権利を得たようだ】
【〇月〇日 新入りが死んだ。四肢をもがれていた。 に触ったからだ。当然だ】
【〇月〇日 親父がついに話をしに行った。僕はお姉さまと一緒に部屋で待っている】
【〇月〇日 親父の馬鹿。余計な事をした。できそこないが思い上るからだ】
【〇月〇日 親父のせいで、完全に怒らせてしまったようだ。僕もいずれは死ぬんだろう】
【〇月〇日 親父の遺体が大広間で見つかった、人とは思えない顔をして死んでいた】
【〇月〇日 先輩の使用人がニエになると言った。あの人は何も悪くないのに】
【〇月〇日 誰かに見られているような気がする】
【〇月〇日 使用人が死んだ。ニエになったおかげで、僕たちはそう苦しまずに死ねるだろう】
【〇月〇日 お姉さまがついに選ばれた。最後のあいさつを済ませ、僕はお姉さまをあの部屋へと送る】
【〇月〇日 怒らせた の力は強すぎる。あのお姉さまが呑まれてしまった、死ぬのは怖い】
【〇月〇日 夜中になると何かが徘徊している。朝になると遺体が横たわっているので、お遊びをしているんだろう】
【〇月〇日 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い遺体遺体遺体遺体遺体遺体】
【きょうもいいてんきです】
謎男「……よく見ると、最後のページに「助けて下さい」ってかすれた文字で書いているな」
友2「もう帰ろうぜ」ウルウル
ドガーン ゴロゴロゴロ ビュウウウゥゥゥウゥ ザアアアアアァァァァァァ
兄「無理だわ」
友「無理ですね、一階を探索してみませんか?」
謎男「少し確かめたい事がある、俺は行く。……友2はここで待っていてくれ」
兄「俺も行く。嫌な予感がへばりついているんだ」
友「私も行きますよ?」
友2「……俺も行く。ここで一人とか嫌だ」
兄「部屋がいくつかあるな、えっ!?」ザッザッ
謎男「……台所、最近使われたみたいだな」
兄「冷蔵庫……うお、電気が通ってるぞ!」ガチャ
謎男「良かったな、いるとしても人間の可能性が高いぞ」
友2「さっきからお前が持ってるのは何だ?」
謎男「ああ、これはス……」
兄「――おい、後ろに何かいるぞ!」バッ
友2「……あ、あ、あ……」
謎男「しっかりしろ!」バチン
兄(何だあいつ……すげぇ色が白いけど、血が顔にこびりついてる。女? ピエロそっくりだな)
ピエロ女「……」ニタニタ
ピエロ女「あ、はっ」ダッ
友2「あ……うわあぁぁぁ!!」ダッ
謎男「チッ!」ギリリリリ バチィィン!!
ピエロ女「!」ザッ
謎男(スリングショット、持ってきてて良かった)
兄「逃げるぞ!」ダッ
306:
謎男「二手に分かれるぞ!」
兄「分かった、俺は友、ハゲは謎男とだ!」ダッ
友「了解です」
友2「何なのあいつ、人間だよな!?」
謎男「人間だ、ちゃんと攻撃が当たって怯んでいた」
謎男(ゴム弾じゃ怯ませる程度しか……パチンコ玉でいくか? もし目に当たったら……)
謎男(いや、命を狙われてるんだ。こっちも本気でいかないと殺される。幸いあれは露出が多い)
ピエロ女「けけけけけけけけけけけ」ニタニタ
謎男「よし、このまま突っ切るぞ……!?」
「……」ズン
友2「もももう一体いるぞ!? ど、どうするんだよ!?」
謎男「……仕方ない、二階に行くぞ!」ダッ
友2「逃げ場ねえじゃんかよおおぉおぉぉ」ダッ
謎男(くそ、何だあいつは……着ぐるみは厄介だな、スリングショットが無効化される)
着ぐるみ「……」ズンッズンッ
謎男(しかし動きはかなり鈍い。警戒すべきはピエロ女か)
兄「あいつらの方に行ったか」
友「そのようですね、無事だと良いのですが……」
兄「……あのピエロ女さ、どっかで見た事あるような気がしないか?」
友「どうでしょうかねぇ?」
兄「何か見覚えが……あっ」
友「?」
兄「この前テレビでやってた、家族全員を殺したっていう女じゃね!? 結構話題になってたぞ」
友「ああ、それですね。言われてみれば」
兄(……)
友「とにかく、今は探索を続けましょう」
兄「……そう、だな」
謎男「ッ……行き止まりか!!」
友2「うぅ……嘘だろぉ……」
ピエロ女「助けてえええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」ダダダダ
謎男(相手はイカれているとはいえ、丸腰の女だ……腹をくくるか)
謎男「やるぞ」
友2「え!?」
謎男「……」ギリリリリリ ガァン!
ピエロ女「あっ!?」ガクン
謎男(眉間に当たったか……裸足は好都合。まず指、その次は手の指を狙う! 折れるだろうが、許してくれ)
謎男「友2!」ガァン! ガァン!
友2「うっ……うぉおぉぉぉぉぉおぉ!!」タックル
ピエロ女「んぎっ……」ドサッ
307:
謎男「やるじゃないか」ヒュンッグルグルグル
友2「はー、はーっ……」
謎男「よし、とりあえず拘束しておくか。足の指も折ったしすぐには動けないだろ」
友2「お前淡々としてるけど、かなり怖い事してるからな?」
謎男「……気が向いた、お前に見せてやろう」バサッ
友2「えっ……これ、傷……」
謎男「昔両親から受けた傷だ」
友2(傷が体中に……どんな虐待を受けてたんだ!?)
謎男「だから俺は誰にも負けられないんだ……」
友2(それ以上に、すげぇ身体鍛えこんでるな……どれだけ努力したんだ)
謎男「あの着ぐるみはどこだ!?」
友2「あいつ不気味だったよな、あの動物……ドロドロの赤い奴まみれだったけど、熊?」
謎男「あれは厄介だが……動きは鈍い。気を付けていれば大丈夫だ」
兄「ここは親父さんの部屋みたいだな」
友「……」
兄「ん? 何だ……うおっ、すげぇ古い本だ」
【シシナシ】
兄「シシナシ……?」
【シシナシとは 〇〇家に伝わる神様である。遥か昔、四肢をもがれた未熟児が山の神様に憑りつかれた姿】
【〇〇家の血を継ぐ女が、ある儀式を繰り返す事によってシシナシに選ばれる】
【選ばれさえすればその家はシシナシの守りを受けるが、逆に怒らせてしまった場合は】
【その二頭身以内の血縁の者が全て罰を受ける】
【遥か昔、強力な霊能力者が一度封印したらしい】
【選ばれた者が亡くなった場合、その血を継ぐ者が選ばれるまでそっとしておく必要がある】
兄(俺達、想像しているよりもヤバい場所に来たんじゃ……)
兄「なあ友、やっぱ帰った方が」クルッ
兄「友……?」
兄(どこに行ったんだ!?)ダッ
着ぐるみ「……」」
兄「うっ……くそ!」ダッ
兄(相手は着ぐるみ。俺達全員でなら普通に戦える……友はどこに行った!?)
兄(……二階に行くか)ギシッ
兄「謎男!」
謎男「……友は?」
兄「それが、部屋を調べてたら突然消えたんだ!」
友2「マジか!! 早く探さないと!!」
ピエロ女「……あははははは」ケラケラ
兄「……?」
312:
兄「よし、ロープで完全に柱に固定した」グルグル
謎男「友を探さないとな、一階を探索しないと」
兄「あ、それなんだけどさ。親父さんの部屋でかなり詳しい本を見つけた。シシナシって言う神様? があるらしい」
謎男「シシナシ……日記の空白の部分か」
兄「それを見てて思ったんだけどさ、お姉さんが「選ばれた」のに、「呑まれた」って書いてるじゃん?」
友2「そうだな」
兄「あの本には、「選ばれた者が死んだ場合、次の者が選ばれるまでそっとしておく」って書いてるんだ」
謎男「それを新入りの使用人が破ってしまったんだろう?」
兄「うん。その後お姉さんが怒ったシシナシに呑まれて、家族は全滅したと」
兄「じゃあさ、もうシシナシは何もしないはずだろ? でも」チラッ
ピエロ女「けけけけけけけけけけけ」ケラケラ
兄「あいつは完全に狂ってる、それに「取り返す」って言ってた」
友2「つまり……どういう事だってばよ?」
兄「シシナシ本体に何かあったんじゃないか? それで訴えているんだと思う」
謎男「ならあの二人を使って自分を助ければいいんじゃないか?」
兄「それはそうなんだけどさー……大方、こいつらこの家の金品漁ってたんじゃね?」
ドガーン……ゴロゴロゴロ……
謎男「そろそろ行くか。着ぐるみに気を付けないとな」
兄「あいつ鈍いし、三人なら余裕じゃね?」
謎男「スリングショットが効かない。倒すのは容易だが拘束出来ない。おそらくあいつも狂っているだろうからな」
兄「引きずりだすとかは……危険だよな。うん」
友2「早く友探しに行こうぜ! 雷雨がますます強くなってきてるよ……」ブルブル
兄「本当に、あいつどこに行ったんだよ」ハァ
兄「所で、気になってたんだけどさ……」ギシギシ
友2「?」ギシギシ
兄「いや、……何でもないわ」
友2「気になるだろ!」
ギシ
謎男「! 静かに」
ギシ ギシ ギシ ギシ ズズズッ……
兄(音的に……左の角からこっちに向かってきてるな)
謎男(こちらが迂闊に歩いてもバレる……しかし、何かが這うような音が遠のいた?)
友2(……結構待ったけど、音がもうしないぞ、どうする?)
謎男(先手必勝だ、まずは飛び蹴りでバランスを崩させる)ダッ
謎男「ハッ!!」ドゴ
着ぐるみ「」ズッデーン
謎男「……空っぽ? ――しまった!」
兄「おい、後ろ!!」スカッ
友2「うぐっ……」
スキンヘッド「……」グググ
313:
謎男(くそ、友2が捕まったか……スリングショットを撃てない、狭いから回り込む事も駄目か……)ギリリ
兄「うおおぉ!」ダン
兄(びくともしねえ! すげぇガタイしてやがる……)
友2「ガ……カフッ……」
兄(あ、忘れてた!!)ブンッ
スキンヘッド「……あっ……ああああぁぁぁぁ!!」ガシャン
友2(力が無くなった!?)バッ
謎男「よし!」ガキィン!!
謎男「フッ!!」ガァン! ドドドドッ ブン ドォン! ギチチ
兄「流れるようなコンボだな……よくこんな大男投げれるぜ」シュルシュル ギチチ
謎男「よくやった兄。大丈夫か?」チラ
友2「何とか……兄の投げた奴がちょっと顔にかかって涙が止まらん」ゴホッ
兄「ただの塩胡椒とチリペッパーを混ぜた爆弾だよ。これでロープ使い切っちまった」
謎男「こいつは……確か、銀行強盗をした奴だったよな」
兄「あー、やっぱりこいつも犯罪者か。まぁいいや、早く友を探そうぜ」
友「おや……居ましたか」スタスタ
兄「えっ!?」
謎男「どこに行っていたんだ?」
友「少し調べ物を……おかげで、ようやくわかりましたよ」
友2「ん、何がだ?」
友「あの鍵の事です」
謎男「これか?」チャラ
友「はい、とにかく、電話がかかってきたあの部屋に移動しましょう」
兄「ここで鍵を使うのか?」
友「ええ、時間も無い事ですし……」
友2「って言ってもさ、どこに使うんだよ」
友「謎男、このテレビをどかしてもらえませんか?」
謎男「? ……つながってない!?」ゴゴゴ
友2(平然とそんなでっかいテレビを運べるお前が驚きだわ)
兄「……奥に続いてる!?」
友「行きましょうか」ゴソゴソ
謎男「……」ゴソゴソ
「暗いな、本当に続いているのか?」
「……」
「狭いな、俺の身体じゃギリギリだぜ」
「これ、扉か?」
「ええ……すぐ開けるよ」ガチャ
318:
兄(そこは、不思議な空間だった)
兄(外はとんでもない豪雨のはず……なのに、それを全く感じさせない静けさ)
兄(窓からの薄暗い明かりだけではない、不思議な淡い明るさを持っている)
兄(神社のような注連縄が厳かな雰囲気を醸し出し、そして、奥には一つの箱があった)
兄(洋館内に満ちていた不気味さが微塵も感じられない、神秘的な部屋だ)
謎男「……」ゴクッ
友2「……すげぇ」
兄「……行こう」ギシ
謎男「……これが、シシナシ……」
兄(箱はすでに蓋が開けられていた。中に入っていたのは、四肢が無い、小さなミイラだった)
兄(しかし、‘生きている’――生命の鼓動など全く感じられないが、それでも生きているのが理屈で無く理解できる)
兄(だが、そのシシナシに何かが結び付けられている。封筒?)
兄「これ……か」スッ
謎男「待て!!」
兄「っ」ピタ
謎男「うかつに触って良いのか? 使用人が触れたせいでシシナシが怒ったんだぞ?」
友2「そ、そうだ! 俺達には何も関係ないだろ!」
兄「……あのマリオネット人形は、警告なんかじゃなかった」
兄「シシナシが、自分が操られてるって訴えてたんだ」
兄「なんとなく……分かる、何でかは分からないけど」
兄「一人ぼっちのままは、寂しいもんな。シシナシ様」スッ
謎男「兄……?」
兄「それだけは分かるよ……これが、あなたを苦しめてたんだな」シュルル
ザアアァァ……ァァ……
……ミーン……ミン……ジリリリリリリリ……
友2「……嘘だろ? あんな雷雨が一瞬で止みやがった……」
謎男「最初から、お前が助けてくれるって……信じてたのか?」
友2「……兄?」
兄「うっ、うああ!!」ゾクッ!!
謎男「どうし……!!」ゾッ
友2「ふ、封筒に入ってんの……爪が一つと、髪の毛の束……!?」
兄(しかもかなり長い……何らかの呪いの手口のようだ)
謎男「……」
兄「こいつで呪いをかけた、もしくは悪霊みたいなのを呼んでシシナシの力を乗っ取らせたんじゃないか?」
謎男「幽霊など信じないが……確かにそうかもしれないな」
兄「俺達が入って鍵を取ったのがヤバいと思って、ピエロ女を操って「取り返しにいく」と言ったんだろうな」
友2「でも、日記にも死体が操られてるって書いてたぞ?」
319:
兄「お遊び……自分の存在を疎まれているように思って、寂しかったんだろ。子供がおもちゃで遊ぶように」
謎男「……何故俺達は狂ったり、殺されたりしなかった?」
兄「シシナシがわずかな力で守ってくれた……もしくは、「この家の敵」じゃなかったからか、条件があるのか」
友2「いやいや、それでもおかしくね? 悪霊が力のほとんどを占めてたのなら、俺達なんかすぐにひねりつぶせるだろ」
兄「それについては、ここに来た時からずっと思ってた事があるんだが……」
友2「?」
兄「出てから言うわ。他に聞きたい事は?」
友2「冷蔵庫の電気は、あいつらの仕業か?」
兄「多分な、まだ腐ってなかったし」
友2「ピエロ女が、「助けて」って言いながらこっちに襲い掛かってきたのは……」
兄「一時的に支配が緩くなったんじゃね?」
謎男「……もし悪霊が妨害をしたければ、最悪あの部屋で居座っていればいいはずだ」
兄「そのままだと俺達が無理してでも帰る可能性があったからだろ……そもそも、これを言い出したのは」
友「まぁまぁ、とりあえず戻りましょうか」ニコ
兄「――そうだな」
ピエロ女「殺される……怖い……「長い髪の女」に食い殺される……」ブルブル
兄「お、正気に戻ってやんの」
ピエロ女「た、助けて!!」
兄「おう、警察署の中で言ってろ、ゴミが」ニコ
スキンヘッド「……」アゼン
謎男「……白目剥いてるし」
兄「じゃ、警察に連絡して帰りますか」
謎男「そうだな」
友2「おう」
――ありがとう、君はやっぱり僕に似てるよ。
兄「?」(今のは……)
友2「あれ……またあいつが居ないぞ?」
友2「あ、そういえばケータイの存在忘れてたわ。呼び出せば……あれ、メール?」ピピ
【 from 友】
【to 兄 友2 謎男】
【申し訳無いです、突然風邪を引いてしまい、今日の探索には行けそうにありません(;□;)】
友2「えっ」
謎男「午前7時に来てるな……俺達が到着した辺りの時間だ」
友2「じゃ、じゃあ……」
友2「俺達とずっと一緒に居たあいつは、誰だったんだよ……?」
320:
兄(それから、俺達はあいつらを警察に連れて行った)
兄(不法侵入の事をこっぴどく怒られたが、犯罪者二名を捕えた事によってプラマイゼロにしてもらえた)
兄(今、あの洋館は誰も居ない。シシナシは今でも一人で、あの洋館を守り続けるだろう)
謎男「この前のような不気味さが少し消えたな、ここ……いつから気付いてたんだ?」
兄「最初からだよ。気になるポイントなんて山ほどあったわ」
友2「最初から? 何か怪しい所あったか?」
兄「あのクソ暑い炎天下の中、先に廃墟で涼んでいたとはいえ「全く汗をかいていない」とかありえないだろ」
友2「あー、俺が暑いなって言った時か」
兄「その次、あの廃墟はそこそこ傷んでて、動くたびに床がギシギシ音を立ててたじゃん?」
友2「うん」
兄「あいつが歩いている時だけ、何故か音がしなかったんだよ。注意深く聞かないと分からないだろうけどさ」
兄「さらに、最初の部屋を探った時。写真を見る前に、「ここの少年」って言ったんだよ」
友2「? ……あっ、確かにあのおもちゃだけじゃ性別分からないな!」ポン
謎男「……あいつが食べ物を受け取らなかったのも」
兄「まぁ実体はあるんだろう、鍵触れるくらいだし。ただ、あの中で水も食料も無しとかそこそこキツい」
兄「それに、あのスキンヘッドが着ぐるみを置いて、音を立てないように這いずりながらこっちへ回って来たじゃん?」
謎男「ああ……」
兄「あいつ、スキンヘッドが回ってた方向から来たんだよ。絶対にすれ違うはずなのにさ」
友2「そうか! 確かに絶対に見つかるな!」
謎男「あいつが何回か消えたのは……?」
兄「それが分かんないんだよなぁ……多分、守ってくれてたんじゃね?」
友2「?」
兄「あいつ、最終的に何かの文献を見たとかも言わずに、あの隠し部屋に案内した」
謎男「確か、「もう開けるよ」と言っていたな、あれは違和感があった」
兄「多分……あの友は、シシナシ様だったんじゃないか?」
謎男「!?」
兄「そもそも、日記見てから「雨が止むまで待機」じゃなくて「探索をする」って言い出したのはあいつだし」
兄「俺達に助けてほしかったんだろ、多分。それと、自分の事も知ってほしかった、とか」
友2「そっか……何か、不思議な体験だったな」
謎男「ああ……まだ胸の鼓動が熱を帯びてる」
兄「何にせよ、すげぇワクワクしたよな、誰かさんはビクビクだったけど」
友2「お、俺だって一応ピエロ女にタックルしたんだからな!」
謎男「ただ……気がかりなのは、お前が見つけた爪と、シシナシにあれを縛りつけた人間だ」
兄「」ピク
謎男「あの一家は全て死んでいる。誰があれを縛りつけたんだ……?」
兄「……それは俺にも分からない。ま、終わった事だし良いじゃねえか」
友2「そうだな、ラーメンでも食べに行こうぜ!」クルッ
兄(……夕暮れに染まる古びた廃墟、その二階の窓によりかかった誰かが)
兄(「今日の事、忘れないでね」――そんな事を言った気がした)
廃墟編 終わり
325:
友「そんな事があったんですか」ザッ
兄「おう、完璧にお前そっくりでさ、最初は違和感に気付いても半信半疑だったわ」
友2「あれが幽霊だったとか……」
謎男「幽霊、実在するんだな」
兄「とりあえず、何で今日は山なんか来たんだよ……暑いわ」ザッ
謎男「貴重な経験をさせてやろうと思ってな」
友2「足が疲れてきた」ハァ
兄「しっかりしろよバレー部」
謎男「ほら、もうひと踏ん張りだ」
兄「蝉がうるせぇ……」ミーンミンミーン
兄「着いた……」オウゥゥ
謎男「良い景色だろ……俺のお気に入りだ」
友2「疲れた……」
友「良い風が来ますね、それに空が素晴らしい」フゥ
兄「写真でも撮るか」
友2「おう」
兄「セルフタイマーっと……」
パシャ
兄「よしよし、後でお前らに送るな」
謎男「ああ。……そろそろ行こうか」
兄「えっ、どこに!?」
謎男「ここから降りて、あの畑に行くぞ」
兄「……そこそこ遠くね?」
謎男「俺の親戚がいるんだ」
友「まだ歩くんですか……」
農家「おー、よく来たのう」
謎男「久しぶり。さっそくだが」
農家「分かっとるって、ちょっと待っててな」
兄「? 何かあるのか?」
謎男「腹、減ってるだろ?」ニヤリ
友2「イエス!!」グウゥウゥ
農家「こんなもんで良かったら好きなだけどーぞ」ゴトッ
兄(麦茶と……おにぎり!!)
友「にくい事をしてくれますねぇ」グゥゥ
謎男「腹が減ってる時に喰うおにぎりは最高だ、さあ……いただこう」
兄「いただきます!!」
326:
兄「うめえぇぇ!! 農家の人のおにぎりって、何でこんなにうまいんだ!」モッシュモッシュ
友2「スカスカの腹にうれしいぜ!! もう一個もーらいっ!」
謎男「家で食べる米とは一味違うだろ?」モシュモシュ
友「米の旨みが違います……最高ですね!」モグモグ
兄「麦茶も乾いた喉に染みわたるぜ……」ゴクゴク
謎男「最高に減った腹で食べるおにぎり、これが俺の提供するうまい飯だ」
兄「まぁ提供してくれたのは農家のおばちゃんだけどな」モグモグ
友2「ブフフwwwww」
謎男「お前ら、まだ分かっていないな……」
友「?」
兄「何がだ? ごちそうさん」ポンポン
友2「いやー、うまかったぜ」ゲフゥ
農家「はいはい、スイカだよー」ゴト
兄「!!」
友「!!」
友2「!!」
謎男「ふっ」ニヤリ
兄「これがメインか……侮ってたぜ……」
謎男「この暑い中、凍る寸前まで冷やしたキンキンのスイカだ……」
友2「いただきます!」
兄「んー!! 甘い!!」シャクシャク
友2「……」ジュルルルルル
友「蝉みたいに吸わないで下さいよ……しかし甘いですね!」シャクシャク
農家「おばちゃんの作ったスイカだからね!」フンス
兄「ああ、染みわたる……身体も一気に冷えてきたぜ!」
謎男「暑い中のスイカ、これも最高だろ?」シャクシャク
兄「そうだな、もうスイカは飲み物って認識でも良いんじゃないか?」
謎男「……言い忘れてたけど、帰る時も歩きだから」
友「えっ」
友2「うそん」
兄「……マジですか」
謎男「頑張れ野郎共、エネルギーは十分チャージしただろ?」ニヤ
327:
――
兄「これから三日は、コスパの王様、パスタさんにします」
義妹「わー」パチパチ
兄「今日の夕食は、一番安く作れる、シンプルかつ難解な料理、ペペロンチーノだ」
義妹「あの唐辛子の奴ですか?」
兄「そう。材料はスパゲティ、オリーブオイル(小瓶型 132円)、にんにく、唐辛子の代わりにチリペッパーだ」
義妹「チリペッパー……確か、粉末の奴ですね?」
兄「おー、よく知ってるな、スパイスの一種だ。さて、まずはにんにくを輪切りにします」トントン
兄「オリーブオイルをフライパンに注いで、冷たいままにんにくを入れて、弱火だ。徹底的に弱火だ」
義妹「強火にすると何か悪いんですか?」
兄「にんにくはきつね色を超えると超苦くなる。それに、弱火で焼けば焼くほどにんにくの旨みが油に溶けだす」
義妹「なるほど」
兄「弱火で炒めている間に、鍋にたっぷりの水と一%ほどの塩を加えて、ぐつぐつに沸騰させる。たっぷりの水な」
義妹「たっぷりですか」
兄「たっぷりの湯で茹でないとスパゲティが入れにくいんだ」
義妹「ふむふむ」
兄「ぐつぐつしたらスパゲティを投入。これのゆで時間は七分だな」
兄「そして、にんにくがほんのりきつね色になりかけ、って所で皿に移して、オリーブオイルにチリペッパーを投入」
兄「ここからが難しい。スパゲティのゆで汁を多めに加えて煮詰める。一般的に言う「乳化」をさせるんだ」
義妹「乳化?」キョトン
兄「確か水・油が混ざった状態……みたいな。特徴としてとろみがついて白っぽくなる」
義妹「ドレッシングとかですか?」
兄「お、正解。後はこってり系のスープとかだな」
兄「煮詰めながら、箸とかでかき混ぜる。なんとなく乳化が早まる気がする」シャカシャカ
義妹「ゆで汁を加えるのは何故ですか?」
兄「まず湯に逃げた旨みを集めるのと、乳化を促進させるためだな。最悪小麦粉を加えて煮詰めたら乳化できる」
義妹「あ、ちょっと白っぽくなってきました」
兄「後はゆであがったスパゲティを投入して……ひたすらフライパンをかき混ぜてソースを麺になじませる!」ジャカジャカ
兄「馴染んだら皿に盛りつけて、さっきのにんにく、ついでに胡椒を振りかける。あったらバジルとかもいいね」
義妹「なるほど、……にんにくの香りが立って、すごくおいしそうです」ゴクリ
兄「ではいただきますか」
義妹「……おいしいです! よく絡んだソースに、にんにくの旨みとピリッとした辛さが!」モグモグ
兄「ペペロンチーノって本当にコスパ良いよな、油さえ持てば四日は食べれる」モグモグ
義妹「スパゲティも良い茹で加減ですね」
兄「うむ。ちゃんとメモしたか?」
義妹「ばっちりです」ニコ
兄「よしよし。できた妹を持って俺は幸せだぜ」ナデナデ
義妹「えへへ♪」ニコニコ
兄「明日のパスタはカルボナーラな。生クリーム使わないけど食べれるか?」
義妹「大丈夫です!」
328:
兄「今日はカルボさんです」
義妹「メモの準備は大丈夫です!」
兄「細切りにしたベーコンを、オリーブオイルでじっくりと炒める、昨日と一緒だ」
義妹「今回はベーコンの脂をオリーブオイルに馴染ませるためですか?」
兄「そう。同時に昨日と一緒でスパゲティをゆでる」グツグツ
兄「ベーコンがカリカリになったら、端に避けておく」
兄「次はソースな。今回は卵黄だけを使う」パキャッ パキャッ
義妹「片手で割れるんですか!?」
兄「慣れだよ慣れ。卵黄、粉チーズ……が無いから普通のチーズ、茹で汁、オリーブオイルを加えて湯煎する」
義妹「あ、昨日の乳化をさせるんですね!」
兄「そうそう。ここで重要なのは、オリーブオイルと茹で汁を若干多めにする事だ。チーズはレンジでも良いぞ」
義妹「? ……あ、ドロドロすぎたら絡みすぎるので、滑らかにするんですね!」
兄「大正解。ソースがどろっとするより、ちょっと滑らかなくらいがちょうどいいんだ」
兄「さて、お湯を切ったパスタをフライパンに入れて、またベーコンの脂をなじませる」ジャカジャカジャカ
兄「後はソースを入れて、全体まで行き渡らせたら完成。湯煎じゃなくても出来るけど、固まるから難しいんだ」
義妹「なるほど」メモメモ
兄「皿に盛りつけて、胡椒を振りかける。よし、いただこうか」
義妹「いただきます」ゴクリ
義妹「んー、昨日と違って全体的にまろやかな味わいですね! ベーコンの歯ごたえも良い感じです」カリッ
兄「だろ? 生クリームの代わりにチーズを少し多めにする事で、コクが出るんだ」モグモグ
義妹「ソースが滑らかな分、ペペロンチーノよりもしっかり絡みますね。確かにドロドロだと食べづらいです」モグモグ
兄「しかもベーコンの脂が溶け込んでるからな、旨みもばっちりだ」
義妹「美味しいですけど、ペペロンチーノに比べると手間がかかりますね……」
兄「まぁな。さっきも言ったけど、湯煎じゃなくても一応出来るんだ。ただ。固まるからすごい難しい」
義妹「なるほど」シュルシュル
兄「あ、それ結婚式とかの重要な場ではあんまりやらない方がいいぞ?」
義妹「え、このスプーンで受けてフォークでパスタを巻く行為がですか?」
兄「うん。上品に見えるけど、マナー違反なんだって」
義妹「そうなんですか」シュン
兄「ま、友達と食べるくらいなら全然オッケーだろ。あくまでフルコースとかの場ではやめた方が良いってだけで」
義妹「はーい」
兄「うまかった、ちなみに明日もパスタで良いか?」
義妹「勿論です、お兄さんのご飯なら何でも美味しいですよ」ニコニコ
兄「ええ子や……」ホロリ
義妹「明日はどんなパスタですか?」
兄「和風ボンゴレビアンコだ」キリッ
329:
兄「そんなわけで、今日は和風ボンゴレビアンコだよ!」
義妹「はい!」ビシッ
兄「ちなみにボンゴレ=あさり、ビアンコ=白いって意味だ」
義妹「なるほど」メモメモ
兄「まずは塩抜きしたあさりを鍋に入れて、白ワインの代わりに料理酒で蒸します」カチッ
義妹「あさりの酒蒸しにするんですね、ざるに入れて砂抜きをしたのは何故ですか?」
兄「ざるの上なら、吐いた砂を再び取り込む事が無いからだよ」
義妹「なるほど」
兄「同時進行でオリーブオイルと輪切りにんにく、チリペッパーをフライパンに。ペペロンチーノと一緒だな」カチッ
兄「殻が開いたら取り出して皿に分ける。鍋には白っぽいあさり出汁が残る」
義妹「……」ゴクリ
兄「ちょっと味見するか?」スッ
義妹「ごく……すごい、あさり出汁の旨みが、その……」
兄「おう、言いたい事は分かった、落ち着け」クス
兄「ここで醤油を少し加えて味付けをしておく、次はスパゲティを茹でる」カチッ
義妹「あ、にんにくの匂いが立ってきました」クンクン
兄「よし、にんにくを取り除いて、あさり出汁を加える。下がった方がいいぞ」ッジュアアァァァァ!!
義妹「!」ビクゥ
兄「後は料理酒を足して煮詰める」
義妹「びっくりしました……」
兄「大丈夫か?」
義妹「はい……」
兄「後は煮詰めたソースを茹で汁でのばして、再び煮詰める。今回も乳化だな」
義妹「なるほど、煮詰めたのをもう一度伸ばすのは何故ですか?」
兄「こうすることで深い味わいが生まれるんだ。インドカレーもこんな感じで煮詰める」
義妹「なるほど」メモメモ
兄「後はゆであがったパスタを同様に馴染ませる」ジャカジャカ
兄「後は皿に盛って、酒蒸ししたあさりとにんにくを乗せる。完成だ」
義妹「いただきます!」
兄「うん、いい感じだ」モグモグ
義妹「あさりの風味とにんにくの香りがよく合いますね! 全体的に和風な感じがします」モグモグ
兄「あさり出汁に醤油で味付けするのは自由だが、加えた方が味がボケずにすむ」モグモグ
義妹「ふむふむ。にんにくも口に入れたらトロッて溶けて甘みが出てきます!」モグモグ
兄「食べ終わったらガム用意したから。うがいの後でどうぞ」
義妹「さすがですね、でもおいしい」ニコ
兄「あさりは火を通しすぎると駄目になるからな、最後に盛り付けるくらいで良いんだ」
義妹「身が固くなるからですね」
兄「そーゆー事だ。ごちそうさまー」
義妹「はーい、お皿洗ってきますね」ガタ
兄「頼んだ」
331:
――
兄「俺さ、弁当に豚肉入れるのは嫌いなんだよ、豚バラとか論外」モグモグ
友2「突然どうした」モグモグ
兄「だってさ、豚バラの脂が冷えて蝋燭みたいになるじゃん?」
友「ああ、あれは確かに気持ち悪いですね」モグモグ
兄「そもそも、魚の脂と肉の脂じゃ、融点が違うじゃん?」
友2「?」
兄「つまり、口の温度で溶けるか溶けないかって事だ」ビシッ
友2「ああ、魚の脂は融点が低いから溶けるんだな」イテッ
兄「そうだ。俺は弁当の王様は魚だと思うんだよ」
友「ほう」
兄「ジューシーな鮭とか、ふっくら煮たタラとかも良いね」
友2「いいね」ゴクリ
兄「そんなわけで、義妹にはしっかりした弁当を作ってやりたいのですよ!」ダン
友「自分の弁当は……?」ジー
兄「いや、俺は別に」←焼きおにぎり
友2「すまん。俺には関係ないわ」
兄「? 何でだ?」
友2「そwwwwれwwwwwwはwwwwwねwwwwww」クルッ
友2「後輩が作ってくれるんですぅwwwwwwwww」ドッヤアァァァ
兄「」レモンジルピュー
友2「ぎゃああぁぁぁあ!!」ゴロゴロ
兄「」オイウチデサラニピュー
友2「し、死ぬうぅぅぅぅ!!」ビッタンビッタン
友「兄、その辺にしておきましょう」
兄「チッ……チリペッパー爆弾があれば……」サイゴニピュッ
友2「目が、目があぁああぁぁぁぁぁ!!」
友(今日も平和ですね)クスクス
332:
兄「それで、どうして僕はこんな所にいるのかな?」
義妹「まあまあ、スイーツを知るのも大切ですよ?」
兄「いやいや、何で女子の中に俺が混じってんの?」
妹友2「……嫌?」
兄「嫌じゃないけどさ、ほら……ハズカシイジャン」
義妹(可愛い)
妹友「ほら、何頼むの?」
兄「えっ、あぅ、苺のやつで!」
妹友「焦ったら奇声出す癖、どーにかならないの?」クス
義妹(あれ)
妹友2(これは……)
兄「だって頭の中がごちゃごちゃに……ありがとうございます」スッ
妹友「あ、あの席空いてるよ、行こ?」ギュッ
兄「!?」
妹友2(兄くんに対する刺々しさが消えてる……?)
兄(あれは!)
謎男「……」モグモグ
兄(ヘルプ!!)
謎男「……がんばれ」シュバッ
兄(謎男おぉぉぉぉぉ!!)
妹友「うん、甘くておいしい」ニコニコ
義妹「妹友2さんのはプリンが入ってるんですか」モグモグ
妹友2「少し高かったけど、その分おいしい」モグモグ
兄「お、うまい」モグ
義妹「ちょっといただきますねー」パク
兄「おあぁ!?」
義妹「ふふっ♪」クス
妹友(兄弟だからこそ出来る芸当か……やるね)
兄「美味かった」フゥ
妹友2「兄くん、口にクリームが」フキフキ
兄「あ、ありがとう」
妹友2「どういたしまして」ニコ
義妹(ぐぬぬ……)
兄「これからどうするんですか」モハヤナニモイウマイ
妹友「喫茶店とか?」
妹友2「そうしよう」
義妹「レッツゴーです!」ギュッ
兄(誰か助けて下さい)
335:
――
兄(昨日は散々だったぜ……義妹は今日は遊びに行っている)フゥ
兄(しかし、今日の俺は一味違う。スーパーの開店時間に訪れて、一番に買ってきたのだ)スッ
兄(――そう、鰹 の た た き !)
兄(あのスーパーの魚介類は天下一品だからな。全く生臭さがねぇ)フヘヘ
兄(これを薄切りにして、二枚ほど醤油につけておく)スッスッ
兄(残りを丼に綺麗に渦を巻くように盛り付けて―の)チョイチョイ
兄(卵黄を中心に割りいれてーの)パキャ
兄(ねぎを添えてっと)スッ
兄(後はすりおろした生姜を醤油に混ぜて、まんべんなく振りかけたら)
兄「鰹のたたき丼だああぁぁぁぁ!!」(材料費 220円)
兄(しかし、その前に、丼の四分の一のご飯を茶碗によそっておく)
兄「いただきます」パシッ
兄「……うめえぇ!!」
兄(たたきの魅力は、その香ばしい外側と、しっとりとした内側だ)モグモグ
兄(赤身の旨みが、生姜醤油によって全く違和感なく引き立つ)モグモグ
兄(そこにマイルドな黄身、爽快感溢れるねぎが合わさって)
兄「かきこまずにはいられねぇ!!」ガツガツ
兄(しかもこれで220円・盛り付けるだけと言うんだから良いね)
兄「さて、食べる前に分けておいた四分の一のご飯に、最初に漬けた鰹とねぎを乗せ」
兄「和風出汁を注ぎ――出汁茶漬けにする!!」トポポポ
兄「これもうめええぇぇ!!」
兄(隣のおっさんとかにご馳走したらすげぇ喜ぶだろうな)モグモグ
兄「ふぅ、ごちそうさん!」パンッ
339:
兄「まぁ散々ペペロンチーノの話をしたけどさ」
義妹「?」
兄「世の中にはこんな便利なものもあるんですよ」スッ
義妹「パスタのためのオイルソース……ですか?」
兄「そう。まずスパゲティを茹でるじゃん?」カチッ
兄「オイルソースで適当なサイズに切ったレタスを炒めるじゃん?」ジュゥウゥ
兄「んで、茹であがったスパゲティをフライパンに投入して、オイルソースを絡ませる」ジャカジャカ
兄「これで簡単ペペロンチーノの完成だ。俺の乳化()とか言ってたのが恥ずかしくなるくらい簡単だろ?」
義妹「え、これで完成なんですか?」
兄「そーゆー事。まぁ食べてみろ」
義妹「いただきます」ペコ
義妹「あ、おいしい……」モグ
兄「くやしい事に、オイルソースに唐辛子の辛さ、にんにくの風味がばっちり生きてるんだ」モグ
義妹「確かにこれはお手軽ですね……レタスもオイルソースに馴染んでます」
兄「しかもにんにく買うよりも安く済むっていうな。悔しいがコスパも良い」
義妹「なるほど」
兄「しかも醤油味とかシーフードとかもあるからなぁ」
義妹「で、でもお兄さんのペペロンチーノも好きですよ?」アセアセ
兄「ありがとー、それで救われるわぁ」ナデナデ
義妹「ふふ……」ニコニコ
兄「まぁ親父からの仕送りも来たし、もうパスタばっかりって事もないよ」
義妹「あ、来たんですか。いつ帰ってくるんだろ……」
兄「……」
義妹「やっぱり嫌、ですか?」
兄「まぁな。俺からすれば前の妻にどの面下げて生きているんだって感じで」
義妹「でも、ちゃんと私達のために働いてくれてますよ?」
兄「育ててくれたのは感謝してる。でも……割り切れないんだ」
義妹「そうですか……」
兄「……心配しなくても大丈夫だよ。うまくやるからさ」ナデナデ
義妹「私はお兄さんの味方ですからね?」ギュー
兄「おう、暑いから離れろ」ガシ
義妹「えー」
兄「……大丈夫だからさ」
義妹「……はい」ニコ
340:
――
ザアアァアァ――
兄「雨か」
図書娘「あ、兄だ。やっほー」ニコー
兄「おう、今日は邪魔してるぜー」
図書娘「あの二人と帰らなくて良いの?」
兄「今日はそーゆー気分なんだ」
図書娘「そーゆー気分なのか、なら仕方ないね」
兄「まぁ迷惑はかけないからさ」
図書娘「分かってるよ、ごゆっくりー」ニコニコ
兄(……雨の日は憂鬱だな)
兄(俺は卑怯者だ。ずっと被害者ぶって、妹友2さんの気持ちにはっきりと答えないままでいる)
兄(そもそも、好きって感情が空っぽになった俺に、その気持ちを受ける権利はあるのだろうか)
兄(義妹はよく分からないが……とりあえず懐いてくれてる、最初と比べると随分と明るくなった)
兄(妹友はこの前腹を割って話してからは、笑顔を見せてくれるようになった。素直に嬉しい)
兄(あの夏の日、俺は何かを失った)
兄(……未だに知らない女子には嫌悪感がある。昔と違って普通に会話は出来るようになったが)
兄(幼馴染に植え付けられたトラウマは、克服はしたものの、払いきってはいない)
兄(――不安、なのか?)
兄(幼馴染に会うのを恐れているのか、俺は)
兄(……逃げるな。そのまま逃げ続けていたら、また誰かを傷つける)
兄(もう、俺には大切な……)
兄(家族? 友達? いや……)
兄(「居場所」が出来たんだ)
兄「……住所、聞いておかないとな」フゥ
天然女「誰の??」
兄「うわ!」ビク
天然女「そんなに驚かないでよ、もう」プク‐
兄「す、すまん。どうしてここに?」
天然女「んー……何となく?」
兄(嘘つけよ、図書娘が嫌いって目をしてたの知ってんだぞ)
天然女「兄くんはどうしてここに??」
兄「……何となく?」
天然女「何それ?」クスクス
兄(やっぱ……あいつに‘似てる’んだよなぁ。苦手だ)
兄「さて、そろそろ帰ろうかな」ガタ
天然女「もう帰るの?」
兄「うん、じゃあなー」フリフリ
天然女「うん、ばいばーい」ニコー
天然女(ふーん……)
341:
先生「もうちょっとで夏休み、まぁ俺が言いたいのは面倒な事起こさずに、適当に楽しめよって事だ」フワァ
兄「相変わらずの適当さだな……」
先生「あ、二学期の初めに実力テストあるからしっかりしとけよー」
イケメン「兄、夏休み暇だよね? 良かったら……」
兄「お断りします」
イケメン「うちでバイトしないかい?」キラッ
兄「お断りします。大切な事なので二回言いました」
イケメン「そんな冷たい事言うなよ」スッ
兄「そして触れるのも許さん」パシッ
イケメン「相変わらず堅いなぁ」
兄「ホモはお断りです」
天然女「二人とも仲良いんだね?」
イケメン「ははっ、照れるじゃないか」
兄「いや全然違うからな?」
先生「えーっと、何だったっけな、……忘れたから後は良いわ。おし、終わろうかー」
兄「ええー……」
キリーツ レーイ オツカレー
友「後2週間ほどで夏休みですね、そして……」
謎男「……」
兄「……」
友2「え、何でこんな無言なの?」
兄「あー、お前には言っとくか。とりあえず、そこの公園で話すわ」
兄「――で、あの日はもうすぐそこって訳だ」
友2「……お、俺バカだから……こういう時、何て返せばいいのか分からないけど」
友2「兄、頑張れよ!!」
兄「はっ……何だそのシンプル」クス
兄「あ、ついでに友の事も話そうぜ」
友2「? あぁ、昔はヤンキーだったって奴か」
友「話すんですか……恥ずかしいんですが」
謎男「くくっ……良いじゃないか、男前だぞ」
友「茶化すのはやめて下さいよ? 兄に比べればすごく短いですし。では……確か、あれは」
友「兄が壊れてから、一年半ほどの日が経った頃でしたか……」
兄「壊れたって、なかなかの良い方だな」オイ
――
342:
友(未だ茶髪)「おー執事、今日も頑張ってんな」
執事「おや、おはようございます」
友「ずっと畑の世話すんのって楽しい?」
執事「ええ、植物は嘘をつきませんからね」ニコ
友「ふーん……?」
執事「坊ちゃんも野菜を育ててはみませんか?」ザクッ
友「俺はそーゆーの向いてねぇわ。パス」
執事「そうですか、残念です……」ザクザク
友「もうそこそこの歳だろ? 何でそんな弱った身体で、毎日重いクワを振り回してんだ?」
執事「……私の夢だったのですよ、この畑は」
友「?」
執事「私の祖父……ですね、昔語ってくれました」
執事「野菜を育てるのは、自分の努力がそのまま表れる。美しい実がなっているのを見ると、心が現れるようだ、と」
友「……」
執事「本当に素晴らしいですよ」ニコ
友「そっかー」
――それから数日後でしたかね、急に執事の体調が悪くなったのは。
執事「……ハァ、ゴホッ……」フラッ
友「……? おい、執事?」
執事「……」ドサッ
友「お、おい!! どうした!!」ガシッ
執事「ゲホッ!! ゴホッ!!」
友「待ってろ、今運んでやるからな!!」
医師「……残念ですが、後二日持つか、持たないか……と言った所ですか」
友「なっ……何とかならないのかよ!?」
医師「もうお歳ですし、駄目ですね……」
友「くっそ……!!」
執事「……大丈夫です、お気になさらず……」
友「んな顔色で納得出来るか!!」
次の日の……夕方頃でしたか。執事の様子が急激に悪化したのは。
執事「……」
友「執事……」
執事「……」ハァハァ
医師「……峠ですな。今日さえ乗り切れば……」
友「くそ……執事!! 死ぬな!!」
執事「……」
友「頼むから……!!」
執事「……坊ちゃん」
執事「お願いが、あるのです……」ゴホッ
343:
友「何だ?」
執事「二つほど……ですが、よろしいでしょうか……ゴホッ!!」
友「ああ、分かったから無理すんな!」
執事「……まず、一つ……は、貴方は、いずれ、父上様の後を継ぐ……いいえ、それを越えれるほどの実力があります」
友「……買い被りすぎだ、俺はただの好き勝手してるガキだよ」
執事「いいえ、貴方は素晴らしいお人です。ですから……、それに相応しい行動を、してもらいたいです……」
執事「貴方はとても、優しい人ですから……威圧でそれを隠さずに、誰とでも仲良く……ゴホッゴホッ!」
友「分かった、分かったよ……!!」
執事「もう一つは、個人的なお願いなのですが……」
執事「私が耕しているあの畑、それと小さな家ですが……それを、坊ちゃんに継いでもらいたいのです」
執事「貴方も、野菜を育てるための大切な心の持ち主……です、から……」
友「……ああ、これから毎日耕してやる!! 諦めるな、執事!!」
執事「ふふ、私は……幸せ者です……」
友「おい、気力を消すな!! 執事!!」
執事「……私の使っていたテーブルに、野菜の全てを書いたノートがあります、どうぞお使い……下さい……」
友「……」
執事「ふふ、泣かないで下さい……貴方は本当に優しい人だ」クスッ
執事「貴方に仕えていたこの14年間……私は誇りに思っています」
友「お、おい!! まさか」
執事「……今まで、お世話になりました。本当に……」ギュッ
友「執事……?」
執事「……強く、生きてください……」
友「お、おい……」
友「執事……?」
ピー
医師「……残念ですが……」
友「……」ギリッ
友「――ああああああああぁぁぁぁ!!」
友父「……そうか、執事が……」
友「……あの畑と家は、俺が受け継いでも……良い、ですか」
友父「! ……良いだろう」
友「分かっ……りました。ありがとうございます」ペコ
友「失礼、します……」ガラ
友父(あの友が……執事め、何を言ったんだ?)
――
友「……と言うわけです」
友2「お前がそんな紳士なのは、そういう事だったのか……」
友「ええ、私はあの人を尊敬しています。これからも……」
348:
兄(……)ジャッジャッ
兄(……考えるのは後にするか、今はただ飯と向き合おう。ご飯とキャベツををパスタの為のオイルソースで炒める)
兄(塩胡椒で味付けしたら完成)
兄(コンソメスープの具は、炒めたべーコンと玉ねぎ。甘みとコクの黄金コンビだ)グツグツ
兄(後はこんがりと焼いた鮭、生野菜のサラダ)コト
兄「ん、晩御飯出来たよー」
義妹「はーい」トタタタ
兄「では、いただき」
義妹「ます」パン
兄「ん、うまうま」モグモグ
義妹「美味しいです……」
兄「……こら」ハァ
義妹「?」
兄「そんなしょんぼりすんなよ、別に死ぬわけじゃないんだからさ」
兄(そう、幼馴染と会うのは明日。すでに何人かには伝えてある)
義妹「でも……」
兄「そんな葬式みたいな雰囲気で飯食ってもうまくないだろ、ほらいつもみたいに笑って」ムイー
義妹「おにいふぁん、ひっふぁららいれふらはい」ジトー
兄「はっはっは、そんだけ言えれば大丈夫だな、ほら、いただこうぜ?」
義妹「……はい」ニコ
兄「ん、うまい。オイルソースはやっぱ偉大だな」モグモグ
義妹「オイルソースの風味が、細かく刻んだキャベツと合いますね、炒飯ですか?」
兄「これは……まぁ言ってしまえば炒飯なのかね? 鮭もジューシーでうまいわ、皮うめぇ」バリバリ
義妹「コンソメスープもほっとする味ですね。ベーコンと玉ねぎがよく合います」ゴク
兄「しかし暑いな、この暑いのに熱いコンソメスープとか死ねるわ」
義妹「何で作ったんですか?」クス
兄「それは風呂上りのお楽しみだ。風呂入ってくるなー」
義妹「はーい♪」
義妹「上がりました!」パタパタ
兄「……君ね、もうちょっと露出控えない? シャツ一枚て」プイッ
義妹「こんなのお兄さんの前だけでしか、しませんからね?」
兄「そっかー」カアァアァ
義妹「そっけなく言ってますけど、顔真っ赤ですよ?」クスクス
兄「うっせーよ! 事実を突きつけるな!」ワタワタ
義妹「それで、お楽しみって何ですか?」
兄「冷蔵庫に注目」ガチャ
義妹「あっ、スイカ!!」
兄「スイカ買ってきたんだ」
351:
義妹「う……薄くないですか?」
兄「確かに一般的には厚いスイカを思い浮かべるだろう……」
兄「 だ が し か し 」
兄「薄く切る事によって、次々と食べてもまだあると言う安心感が生まれる!! それに」
兄「含まれる種が少なくなり、ついでに種がものすごく取りやすいのだ!!」キリッ
義妹「な、なるほど」
義妹「これなんか透き通ってますよ?」ピラピラ
兄「自重でぎりぎり崩れない薄さに切る技術」ドヤァ
義妹「あーんっ」スッ
兄「うまっ……おあぁ!?」
義妹「そんなびっくりしないでも」クス
兄「びっくりするわ!!」
義妹「ほら、いただきますよー?」
兄「くそ、何で主導権握られてんだ……いただきます」シャク
義妹「うん、やっぱり夏はスイカですね」シャク
兄「あ、ちゃんと厚く切った奴二枚冷やしてるから」シャク
義妹「さすが」シャク
兄「身体が冷えるわー」プププッ
義妹「のども潤いますねー」プププッ
兄「ふぅ」
義妹「はぅ」
兄「さて、おまちかねの厚いスイカ!」スッ
義妹「わー♪」シャクッ
兄「甘いっ!」
義妹「甘い!」
兄「真っ赤だな、甘いわ」ゴクゴク
義妹「ですね、冷たくて身体の芯から冷えます」ゴクゴク
兄「ふぅー」
義妹「はぅー」
兄「ごちそうさまでした」パン
義妹「おそまつさまでした」パン
兄「何でお前が言う側なんだよ」ペシ
義妹「てへ、つい」イタッ
兄「よし、そろそろ寝ますか」フワァ
義妹「あ、お兄さん」
兄「……?」
義妹「今日は、一緒に寝させて下さい」
兄「……許す」
義妹「やった!」バッ
兄「飛びつかないでよろしい」スカッ
353:
ザアァァァァァァー ゴトッ…… ビュウウゥゥ……
兄(嵐か、明日には晴れるらしいが……)
兄(やっぱ眠れないな、どっかで緊張してるわ)ドクドク
兄(……俺は幼馴染に会ってどうしたいんだ?)
兄(逃げた過去を断ち切る? トラウマを克服する?)
兄(そんな事が漠然と頭に浮かぶけど、俺は本当はどうしたいんだ?)
兄(幼馴染に会ってそういう事をするのは、どこか「目標」じみた感じがして)
兄(……こんな事を考えてる時点で、まだ縛られてるのかもな)ハァ
義妹「……」ギュ
兄「!!」
兄「……眠れないのか」
義妹「……そっちこそ」
兄「はっ……」
義妹「ふふ……」
義妹「……ねぇ、お兄さん」
兄「?」
義妹「本当は、許してあげたいんじゃないんですか?」
兄「……俺が!?」
義妹「お兄さんに深い傷を与えたのは許せない……ですけど」
義妹「それでも、お兄さんが好きだった人ですから」
兄「……」
義妹「昔は、ずっと一緒に居たんでしょ?」
兄「……意外だな、お前なら行くなって言うと思ってたけど」
義妹「確かにそう思ってますけど、お兄さんの覚悟を無下にするわけにもいきませんから……」
兄「……本当に出来た妹だよ」
義妹「……えへへ」ギュッ
兄「……大丈夫だよ。ちゃんとケリをつけてくるからさ」ナデナデ
義妹「待ってますからね?」
兄「ああ、帰ったら笑顔でただいまって言ってやんよー」
義妹「はい、楽しみにしてます♪」
兄(……ああ、瞼が重くなってきた。義妹のおかげかな)
兄「よく、眠れそうだ……」スー
義妹「……寝ましたか」
義妹「本当に、行ってほしくないんですよ?」
義妹「私は家で待ってますから」
義妹「絶対に、笑顔で帰ってきてくださいね……」
義妹「お兄ちゃん……」ナデナデ
義妹「……」スゥ
355:
兄「……綺麗な空だ」ガラ
兄(義妹は寝てるな。えーっと、リュックサックは……あった)
兄「お金持った、あれも持った、地図、タオル、etc……)
兄「よし、行きますか」
兄「……行ってくるよ」ニコッ
義妹「……」スースー
兄(時刻は6時12分)ガチャッ
兄「……」テクテク
兄(ヒトの視線……嫌な感じがする)
兄(俺は戦闘が得意じゃないからなー、ドッジボールだとひたすら避けるタイプ)
兄「……」ピタ
兄「誰?」
???「」ザッ
謎男「ッ!!」バキュン
兄「うぉ!?」
兄(ど、どうなってんだ?)
謎男「……最近兄を嗅ぎまわっていたのはお前か」
兄「謎男!」
天然女「嗅ぎまわったって? ただ調べてただけなんですけど??」
兄(天然女さん!?)
謎男「何をするつもりだ?」スッ
天然女「私の友達がね、ある噂を教えてくれたの」
天然女「確か、「女子の服を盗んだ変態がそっちの学校にいる」みたいな」
兄「!!」ギリ
天然女「それで詳しく調べたら、候補は兄君一人に絞られて」
謎男「……それで?」
天然女「? 別に何も無いよ?」
謎男「あ?」
天然女「本当かどうか確認したかっただけ」
兄「わざわざこんな朝早くに? ……お前もだよ」
謎男「俺はこっそり着いて行って、いざと言う時が来たら飛び出すつもりだった」
天然女「私はねー」
天然女「……何をするつもりだったでしょう?」エヘヘ
謎男「……兄、行け」
兄「おう、分かった」ダッ
謎男「お前……幼馴染に似てるな」ギロ
天然女「……ビンゴ♪」
謎男「?」
天然女「……ふふ」
359:
ガタンッ……ゴトゴト……
兄(バスはやはり良い。痴漢の疑いも受けにくいし)
兄(時折揺れながら、青空を眺める。素晴らしいね)
兄(あいつらが気になるが……謎男なら大丈夫だろ)
兄(幼馴染の家はそこそこ田舎の方らしい。田んぼが多くなってきた)フワァ
兄(まだまだ先だし、寝ようかな……)ウトウト
「……」ストッ
プシュー ……ゴトンッ
謎男「兄の乗ったバスは……この時刻なら、……あの辺りか」
天然女「そうだね、多分田舎の方だから……ちょっと調べてみるね?」
謎男「……ん? 何でお前まで着いてくるんだ?」
天然女「だって気になるから……あれ? 何で一緒に歩いてるんだっけ?」
謎男「?」
天然女「?」
謎男(な、何だ? この煙にまかれる感じは?)
謎男「確か、お前が兄の思考と似てるって話した所からだな」
天然女「そう、それで兄君の事が知りたくて、ちょっと前から調べてたの?」
謎男「それで、ストーキングに限りなく近い行為をしていたと」
天然女「べ、別にそんなつもりじゃ……、それで、この前友2君に昔の話をしてる所を聞いてね」
謎男(嘘だろ、俺と兄が気付けなかった……!?)
天然女「やっぱり冤罪みたいだし、何か深い事情があるのかなーって」
謎男「……出発する時刻までは分からないはずだ」
天然女「盗聴器、使わせてもらいました。あ、聴いてちゃんと捨てたから安心して?」ニコー
謎男(……何だこいつ? 異常なのか正常なのかよく分からん……)
天然女「あれ? さっき何の話してたんだっけ?」
謎男「……兄が行く場所だ」
天然女「あ、忘れてた! 早く調べないと!」アタフタ
謎男「もう良い、俺が調べる……」ハァ
謎男(何か起こしそうなら取り押さえるが……こういうのを天才肌って言うのか? 変人?)
兄「……ん、……まだ着いてないか、良かっ……!?」バッ
「――起きた?」ニコ
兄「……な、何で……此処にいるんだよ……」
兄「幼馴染……!!」
幼馴染「久しぶり」ニコ
365:
謎男「……ここだな」ピッ
天然女「そこそこかかるね、急ごうか?」フワアァ
謎男(急ぐ気ねぇだろ……)イライラ
謎男「……お前は、兄に会ってどうするつもりだ?」
天然女「「ん? 貴重なサンプルだからね。とりあえずは幼馴染さんに何て言うか気になるな?」ワクワク
謎男「……」
謎男(……何を考えてるんだ?)
兄「……」
幼馴染「……」スー スー
兄(隣に座ったと思ったら、すぐに寝やがった……)
兄(……呼吸のペース、全く乱れていない。しかもリラックスしてる時の間隔だ)ジー
兄(間違いなく寝てる。演技とかでは無い)
兄(まさかこんなに早く会うとは……まだ完全な気持ちの整理が出来てないのに)
兄(でも、不思議な気持ちだ。いざ会ってみると、思ったより冷静な自分がいる)
兄(幼馴染は何を考えてるんだ?)
兄(俺の乗るバスを見通してた……つまり、幼馴染父さんのメールを見ていたのか)
兄(とりあえず着いたら、近くにある川の近くでゆっくりするつもりだったんだが)
兄(……)
『許してあげたいんじゃないんですか?』
兄(……どうなんだかな)
兄(そんな簡単な事でも無いだろ)ハァ
幼馴染「……兄」
兄「!!」
幼馴染「……」
兄(……寝言か)
幼馴染「……ゆるして……」
兄(……)ギリッ
「〇〇町、神社前ー。○○町、神社前ー」
兄「あ、降ります!」
兄(くそ、幼馴染がいて降りれねぇ!)
兄(……)
幼馴染「……」スー スー
兄「くそ……」
兄「……」スッ
369:
兄「……まだ寝てやがる、どこまで本当なんだか」
兄「……ここ、だよな」ピンポーン
幼馴染父「やあよく来てくれ……!?」
兄「これ、どうぞ」ヒョイ
幼馴染父「え、どうしたんだい?」ガシ
兄「バスの隣に乗ってきて、そのまま寝やがった」
幼馴染父「わざわざ担いできてくれたのか、ありがとう」
兄「……俺はしばらくゆっくりしてる、夕方ごろにもう一度来ます」
幼馴染父「ああ、夕飯は食べていくかい?」
兄「……」
幼馴染父「頼むよ、彼女も少し変わったんだ」ペコリ
兄「……分かった」ザッ
幼馴染父(ふむ……)
幼馴染父(彼も変わったのかな)クルッ
兄「おー……この岩とか良さそうだな」スッ
兄(ふーん、なかなかいい川だな、まるで謎男に会った時の……)
兄「……」
兄(静かだ)
兄(幼馴染が「変わった」か……)
兄(あの人が言うんなら、きっとそうなんだろうな)
兄(幼馴染は俺にとって……)
兄「……何だ?」
兄(幼馴染は……俺にとって……)
兄「時間はまだある。ゆっくり考えるか……」スッ
謎男「よし、後三十分もすれば着くだろう」ブルル……
天然女「さすが謎男君だね、頼りになる?」パチパチ
謎男「……俺が居なかったらお前はどうしてたんだ?」
天然女「んー……迷ってた?」カナ?
謎男(兄……ちゃんと向き合えよ、自分の心と……)
天然女「どうしたの、変な顔してー」ユサユサ
謎男「人の考えている顔を変な顔……」ピキピキ
天然女「どうしたの、イライラしたらよくないよ??」
謎男「誰のせいだ。誰の」トス
謎男「何か落ちたぞ?」スッ
謎男(心理系の本、それにノート……確かに兄の勉強している分野と同じだな)
天然女「あー、女の子の持ち物見るの良く無いんだよ?」プンプン
謎男「お前が言うとわざとらしく聞こえるのは何故だ」オンナノコッテ
天然女「は? 何様のつもりで言ってんねん自分」ギロ
謎男「えっ」
370:
兄(靄がかった景色……向こうにいるイケメンな奴は、俺?)
兄(ああ、これは夢か。確か明晰夢って言うんだっけ?)ポー
兄(……あ、近づいてきた)
兄『おい、俺』
兄「なんだよ?」
兄『本当はどうしたいんだよ? 幼馴染は変わったらしい。俺もあの時とは違うだろ?』
兄「そうだな。俺には大切な家族と、友達が増えた」
兄『おう、……お前にとって、幼馴染は何だ?』
兄「……宿敵、とかでは無いと思う。家族って訳でもないし」
兄『本当は自分でも分かってんだろ? 許すのは別に難しい事じゃない』
兄「でも!」
兄『認めてしまって心が揺らぎ、また暴走してしまったら、とか思ってるんだろ?』
兄「っ!」
兄『お前は俺なんだからお見通しだよ』
兄『今日は今までの苦しみにケリをつけに来たんだろ? 別に許すも否定するも、お前の自由だけどさ』
兄『俺が言いたいのは、まぁ……今日は暴走なんて絶対させないから、ちゃんと向き合ってみろって事だ』ニカッ
兄「……俺は」
兄『……そろそろ時間だ、うまくやれよ』ジャラ
兄「その鎖は?」
兄『化け物の事なら心配すんな。今日一日だけだがちゃんと封じ込んでやるからよ』
兄『ま、あいつもお前の一部なんだが……それはまた今度で』
兄『ま、頑張ってこいや!』トンッ
兄「……あ、また寝てたのか……」
兄「!!」バッ
幼馴染「起きた?」
兄(本日二回目です。今度は膝枕されてました)
兄「幼馴染」
幼馴染「兄、聞いてくれる……?」
兄「……どうぞ」
幼馴染「私はあれから兄が居ない日々を過ごして、廃人みたいになってた」
幼馴染「今までの記憶を思い出して、私の兄に対する大好きは、自分勝手なエゴだって分かった」
幼馴染「……もう兄が嫌がるような事は絶対にしない。兄が望むなら何でもしてあげれる」
幼馴染「だから、その……すごく自分勝手だって思うけど……」
幼馴染「今までの私の言動全てを、許して欲しいです……」スッ
兄「……土下座なんかやめろ」
兄「幼馴染、俺も変わったんだ」
兄「……それで、色々と考えてみたんだけどさ」
兄「俺は――」
377:
兄「……逃げてた、本当はちゃんとお前に会って、はっきりと伝えないといけないのに」
兄「引っ越した事を良い事に、俺は今まで逃げてたんだ」
兄「正直、お前にはすごく苦しめられたよ。それは今でも変わらない……死のうと思った事もあった」
幼馴染「……」シュン
兄「でも、お前も変わったんだな」
幼馴染「えっ?」
兄「……俺はお前を許すつもりは無かった。けど、義妹――新しい家族に言われたんだ」
兄「本当は許してあげたいんじゃないか、ってさ」
兄「俺はその言葉を考えてるうちに、無意識の内に心に抑え込んでた気持ちに気付いたんだ」
兄「前はあんな事を平気でしてた、自分勝手な幼馴染だけど、それでも」
兄「――許したいんだ」
兄「それを簡単に認めたら、お前に植え付けられたトラウマや、分からなくなった好きはどうすんだって思ってたけど」
兄「全部をお前のせいにせずに……一つずつ、逃げずに向き合っていけばいいんだ」
兄「だから、さ」ギュッ
幼馴染「!!」
兄「……帰ろうぜ。お姉ちゃん」ニッ
幼馴染「……あ」
幼馴染「……ごめ、んなさい……!!」グスッ
兄「よしよし」ナデナデ
幼馴染「二度と、兄を、困らせるような事はしないから……!!」
兄「おう」
幼馴染「ごめん……ごめんね……!!」
兄「……」ニコ
謎男「……着いた」
天然女「のどかな所だね?」ニコニコ
謎男(……)ゾワ
謎男(兄じゃないが、すごく、嫌な予感がする……)
謎男(……まさかな)ピンポーン
幼馴染父「……謎男君じゃないか! 君も兄君に着いてきたのかい?」
謎男「……兄はどこですか?」
幼馴染父「少し考える、と行って出て行ったが……幼馴染も探しにいったな」
謎男「チッ!!」バッ
天然女「あ、どこ行くの?」
謎男(……あいつが兄と再会して、何をするか分かったもんじゃない!)バキュンッ
幼馴染父「君は謎男君の友達かい?」
天然女「あ、初めまして?」ペコリ
378:
兄「……いつ以来だろうな、こうして隣を歩くの」
幼馴染「そうだね、……本当に嬉しい。ずっと夢見てた」グスッ
兄「……もう十分な時間が経った、俺達も成長していかないとな」
幼馴染「そうだね、私も変わるから……」
兄(……居心地が良い)
兄(すごく、心が温かい)
兄「こっちに来て、友達とかは出来たのか?」
幼馴染「うん、そこそこの友達は出来たよ、ただ」
兄「?」
幼馴染「ううん、何でもないよ」ニコ
兄「嘘だね。笑顔なのに目線が俺の目を直視してない。声も少し低くなった」
幼馴染「……さすが。実はね……」
幼馴染「私が変われたきっかけ、みたいなものもくれたんだけど」
幼馴染「ストーキング、されてるんだ。……兄への前の私みたいに」
兄「えっ?」
幼馴染「根暗男、って言う子なんだけどね……ずっと一人だったから、話しかけたら……依存されちゃって」
兄「……」
幼馴染「ほら、一日でこんな感じだよ」
メール 321件
着信 10件
兄「うわきっも……死ねばいいのに」
幼馴染「……兄もこんな気分だったんだよね」
兄「あ、別にそんなつもりじゃ」
幼馴染「ううん、おかげで反省出来たから……でも、正直困ってる」
兄「……そいつの特徴は?」
幼馴染「目を隠すくらい長い前髪、小柄……後は、んーっと」
幼馴染「……あ、赤い十字架のアクセサリーを付けてるとか」
兄「なるほどな……」ギリ
幼馴染「何もしなくていいよ、これ以上迷惑かけるわけにはいかないし、今日は帰らないといけないんでしょ?」
兄「……」
幼馴染「あ、今日は晩御飯ご馳走させて! ずっと練習してたんだ!」ニコ
兄「……分かった。じゃあ家に帰ろうか」クルッ
謎男(……なるほど、幼馴染は「独占欲」が「忠誠心」へと変わったのか)
謎男(兄がこのまま何もしないわけないな。しかし何が出来る?)
謎男(まさか住所を調べて殴り込みなんてしてもな、全く意味が無い)ダレオマエッテナルシ
謎男(せめて夕方じゃなかったら作戦を練れたんだろうがな……)
謎男(……とにかく、合流するか)ピクッ
謎男「!」バッ
謎男(今、誰かが居たような……?)
381:
幼馴染「はい、どうぞ♪」コト
兄「おおー!」
謎男「別に俺は食べなくても……」
天然女「まあまあ、ありがたくいただこうよ」ニコニコ
謎男「いや何でお前は普通に食べるんだよ」
幼馴染母「ふふふ、遠慮しなくてもいいのよ?」
兄(サラダ、ホッケの開き、肉じゃが、味噌汁……随分と家庭的な料理だ)
兄「……うおっ、すげぇうまい!」パク
幼馴染「!」パアアァァ
天然女「ホッケはジューシーでご飯に合いますね?、肉じゃがも甘ったるい味付けじゃなくて美味しいです」ニコ
兄「むしろ粗挽き胡椒のピリッした辛さが味を引き締めてるな、うまい」モグ
謎男「……」ヒタスラホッケモグモグ
幼馴染「♪」
幼馴染母(幸せそうですね)コソコソ
幼馴染父(ずっと練習してたからなぁ。……席をはずそうか)シミジミ
兄「ごちそう様でした」フゥ
兄「……すごいうまかったよ」
幼馴染「うん……うん!」
謎男(すごい嬉しそうな顔をしている……やはり幼馴染も成長したんだな)
ピロンッ♪
幼馴染「……えっ」
兄「どうした?」
幼馴染「……これ」スッ
兄(俺の写真!? 盗撮されてたのか!?)
【こいつが今まで幼馴染さんを苦しめてた奴なんだね】
【大丈夫、僕がちゃんと処理するから。安心して(^〇^)】
謎男(スリングショットは持ってきてないな……)ゴソゴソ
幼馴染「兄……」
兄「望む所だ。年中発情期のクソ猿は俺が相手してやる……!!」ギリリッ
謎男(兄の様子が……まさか、また暴走するとかはやめてくれよ?)
謎男「落ち着け兄。そもそもお前はそんなに強くないだろ」ペシ
兄「じゃあ放っておけってか?」ギロ
謎男「誰もそんな事言っていない。冷静になれと言っている」
天然女「ほらほら、落ち着いて?」キャンディーダヨ
兄「……どうも」ボリッガリガリ
兄「相手は異様な執着心を持ってる、おそらく相当な嫉妬で頭が狂ってんだろ」
兄「おそらく俺が一通りの少ない道に出たら、すぐ襲ってくると思う」
謎男「俺が距離を取って待機しておくか」
兄「……天然女さんはどうするよ」
天然女「此処で待ってる。終わったら戻ってきてほしいな」ミチワカラナイシ
383:
幼馴染「私のせいで……」
天然女「あなたのせいじゃ無いですよ、きっとあの人なら大丈夫です?」
幼馴染「兄とどういう関係なの?」
天然女「んー……強いて言うなら」
天然女「――研究対象、ですかね?」
兄(暗いな……電燈も少ないし、夕暮れなのに真夜中みたいな暗さだ)
兄(一応最大限に警戒はしてるけど、気配がしないな)
兄(特徴は、小柄、長い前髪、それと)
兄「赤い十字架……だったっけ」ピクッ
兄「!!」バッ
根暗男「――死ねぇ!!」ガツンッ!
兄「がっ……!?」ドサッ
謎男(……強い!)ハァハァ
眼鏡男「……」ハァハァ
謎男(突然襲い掛かってきたこの眼鏡、かなり強いな……身体もそこそこ鍛えている)
謎男(兄は大丈夫なのか!?)チラ
眼鏡「 よ そ み 」ブンッ
謎男(ほんの一瞬の隙を……!)ガッ
眼鏡「お前、強いな。でも、俺には何も関係ない……関係無い……」メガネカチャッ
眼鏡「おわああぁぁああぁぁぁ!!」ブンッ
謎男「!?」ペチ
眼鏡「おらぁ!!」メキッ
謎男「うっ!」(しまった、突然の謎の行動に不意を突かれた……バランスが崩れた、まずい!)ズサァッ
眼鏡「ハァ……ハァ……!」ブン
謎男(しかし相手はかなり体力を消耗してる、ここは右手を捌いて)パシッ
謎男(――三角締めで極める!)ギチチッ!
眼鏡「く……!!」ジタバタ
謎男(よし、完璧に極まった!!)
謎男(……腹のダメージが大きいが、このまま……!)ズキズキ
バチンッ!!
謎男「……?」
眼鏡「ゲホッ、ゲホゲホッ!!」
謎男(あれ、は)
謎男「すたん、がん……」ドサ
眼鏡「ハァ……ハァ……よし、連れて……行くか……」ガシッ
389:
???「こんばんは」ガチャ
幼馴染父「君も来たのか、兄君達は出かけたようだよ?」
幼馴染「あ、実は兄が――」
???(……繋がらない?)ピッ
???(謎男が居て……? まさか)ダッ
「待ってくれ!」
――
兄「……ん」
根暗男「目を覚ましたか」
兄(……ここは……くそ、暗いな……木で出来ているし、小屋か?)
兄「謎男!」
謎男「ぐ……」
謎男(随分ときつく結んでくれたな……)
兄「……」ギロッ
眼鏡「根暗男、俺はどうすれば良いんだ?」
根暗男「お前はこのクマ野郎が暴れた時に備えておいてくれ」
謎男(誰がクマ野郎だ)
兄(チッ、思ったより冷静に動いてやがる……謎男の強さも調べているのか)
兄(後頭部がすげぇ痛い……おそらくあのバットで殴られたんだな)ズキ
兄(俺は全く縛られていない、一人で逃げ出す事も可能だが、謎男を置いていけるわけないしな)
兄(謎男は少し距離を取ったあちら側にいる。何をしたいんだ?)
根暗男「あー、あー、うん、じゃあさ、とりあえずお前」
根暗男「土下座しろ、土下座」クイッ
兄「あ?」
根暗男「そうだな、「幼馴染さんを苦しめてごめんなさい、ゴミが生きててごめんなさい」とかさ」
謎男「お前!」
根暗男「黙ってろよ!」ガン!
兄「!」ゾワッ
眼鏡「おい、何もそこまでしなくても」
根暗男「良いんだよ! 幼馴染さんを泣かせたんだぞ!?」
謎男(……待てよ、確か……もう一人……?)ズキズキ
兄(このゴミが……ぶっ殺してやる……!!)ギリリッ
兄(でも、ここで暴れたら謎男が……)
兄「……幼馴染さんを苦しめてごめんなさい、ゴミが生きててごめんなさい……」スッ
根暗男「ヒャハハハッ! 本当に言ってやんの!!」ゲシ
兄(頭に足を乗せてんじゃねーぞ、豚が……!!)ギロ
根暗男「よし、じゃあ次は服を脱いでその辺を走ってきてもらおうかな」
兄「は!? 謝っただろ!?」
根暗男「幼馴染さんをずっと苦しめてたのはどいつだよ!? あぁ!?」ガツン
兄「ぐっ!」
391:
兄『おいおい、キレすぎじゃね、俺……』ギリリリリッ
化け物『アアアアアアアアアアァァァァァ!!』ガンガン
‘ぶっ殺してやる……!!’
‘この豚が……!!’
兄『化け物の心が思考に融けこんできてるぞ……そんな怒らないでくれよ』ギリリッ
兄『‘自制心’の俺が頑張らないとなぁ』フンヌッ
兄『さて、あとどれくらい時間稼ぎが出来るか……』
兄(正直、限界が近いんですけど)ピシッ
――
兄(幼馴染を苦しめてた? 俺が?)
兄(苦しめられてたのは俺の方だ。そして、幼馴染は成長して、自分の行いを悔いる事が出来たんだ)
兄(何も知らないくせに、勝手な事を言いやがって……!!)ギロッ
謎男(……まずい、かなりお怒りの様子だ)
根暗男「どうした!? 早くしろよ! 別に俺はこいつを半殺しにしたって良いんだぜ!?」ガンッ
謎男「ッ……兄、落ち着け……」
根暗男「遅いんだよこの鈍間!! こんな奴に惚れてたのかよ幼馴染さんは!」ペッ
根暗男「どいつもこいつも、俺の魅力に気が付かない!! ふざけんなよ出来そこない共が!」
兄(俺だけじゃなくて、幼馴染まで馬鹿にした……)ビキビキ
兄(許せねぇ……こいつは、俺が、ぶっ殺さないと……!!)
兄(全部、全部全部……)
兄(俺が……!)ギラッ
兄( グ チ ャ グ チ ャ に し て や る ! ! )
謎男「兄!!」
自制心・兄『あ、これもう無理ですわサーセン^^』パリーン
兄「――ああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
根暗男「ひぃ!」ササッ
根暗男「眼鏡、出番だ!」
眼鏡「ん」ザッ
兄「フー……!!」ギロ
眼鏡「目線だけで人を殺せそうだな、お前」スッ
兄(死ね!!)ゴッ
眼鏡(格闘の心得なんて全くない……獣みたいな攻撃だな)パシッ
眼鏡(彼の方が圧倒的に強い、この程度ならスタンガンを使わなくても大丈夫だ)ベキッ!
兄「アアァァ!!」ドゴ
眼鏡「うっ!」(怯まない!?)
兄「死ね!! 死ね、死ね!!」ブンブン
眼鏡「ちっ……」ガンッ スカッ 
眼鏡(動きは出鱈目だが、全ての攻撃に殺意が込められている。本気でいくか)ドゴッ!!
兄「がっ!!」
392:
眼鏡「こういう相手は……」チラ
謎男「?」
眼鏡「こうして」グイッ
兄「!?」ガクッ
眼鏡「ハッ!」ギチチ
謎男(三角締め!? お返しのつもりか……)
兄「?!!」ジタバタ
眼鏡「無駄だよ、先ほどの彼のように綺麗に入ってるから」ギチッ
謎男(くそ……兄ではあれに対処できない!! ロープが千切れれば……!)モゾモゾ
兄「ヴヴ……!!」ズンッ
眼鏡「……え?」フワッ
根暗男「う、嘘だろ? え……?」
謎男(……強引に、力だけで眼鏡を持ち上げた? 馬鹿な、眼鏡は少なく見積もっても65キロはあるぞ!?)
兄「死ね!!」ズドン! 
眼鏡「うっ!!」(ま、まずい、マウントポジションをとられ……)
兄「あああああああああああぁぁぁぁ!!」ドゴッ ドゴッ ドゴッ ドゴッ!!
眼鏡「……!!」
兄「死ね、死ね死ね死ねっ!!」ガンッ!
兄「何で、お前らみたいな、ゴミが、生きてんのに!」ベキィ!
兄「誰よりも、謙虚に、生きてきた、母さんは、死んだんだよ!!」ガンッ!! ドゴッ!!
謎男(……!?)
兄「何、で!!」ブンッ
眼鏡(! 隙が出来た!)バシッ ドゴッ!
眼鏡「ぐ……!」(何とか脱出出来たが、随分と痛めつけてくれたな……)ズキズキ
兄「――あああああああぁぁぁぁぁぁ!!」ビリビリッ
眼鏡「すごい迫力だが……お前も体力をかなり消耗しているはずだ」スッ
兄「ああっ!」ブンッ
眼鏡「はっ!」スカッ ミシッ!!
謎男(兄の拳を避けてカウンターを決めた!)
兄「ヴヴヴ……」ガシッ
眼鏡(な、何で怯まないんだ!? もろに鳩尾に当たったはずだぞ!?)
兄「アァッ!!」バキン
眼鏡「うっ!」(頭突き……意識が……)フラッ
兄「フー、フー……!!」ゼェゼェ
謎男(まずい、眼鏡がスタンガンを!)
眼鏡「……認めよう、君は強い、だが――」スッ
兄「があぁぁあ!!」ブオッ
眼鏡「!!」(ペットボトルのお茶!?)ビチャッ
兄「死ね!!」バキィッ
眼鏡「」ドサッ
393:
兄「ああぁああ!」ドゴ ドゴッ
眼鏡「あ……が……」
兄「ハァ……ハァ……」スッ
根暗男「」ガチャッ
謎男「お、おい兄! 根暗男が逃げたぞ! 扉も鍵をかけたみたいだ!」
兄「!!」ガチャガチャ
兄「逃がさねえ……生き地獄にしてやる!!」ガンガン!! ドゴッ!! ガァン!!
謎男「……出来れば縄解いて欲しんだが」モゾモゾ
根暗男(な、何なんだよあいつは!)ダダダ
根暗男(あいつがキレたらやばいって事くらい調べてたよ、でもまさか眼鏡を倒すレベルなんて!)
根暗男(だが俺も脚のさには自信がある、逃げ切って新しい作戦を立て直すぜ!)
根暗男(眼鏡は……うん、俺の幸せの犠牲となってくれ!)キリッ
「――アアアアアアアアアアアアアアアァァァァァアァァァァ!!」ダンッ!! ダンッ!!
根暗男「は……?」
「ハァ……ハァ……!!」ダンダンダンダンッ!!
根暗男「は、すぎだろ!」シュバババババッ
根暗男(すごい度で脚を動かして、強烈な力で地面を蹴ってやがる! ま、まるで……)
根暗男(恐竜に追いかけられてるみたいだ!)ゾク
根暗男(何だよあの目……獣じゃねえか!)
兄「があぁ!」ガシッ
根暗男「うわぁ!」ドサッ
兄「ゲホッ、ゲホゲホッ……ガハッ!!」ゼェゼェ
根暗男「ま、待てよ! もう十分暴れただろ!?」
根暗男「あ、あいつなら好きなだけ殴ってくれていいからさ、み、見逃してくれよ!」
根暗男「べ、別に俺はあいつに命令されて動いただけだし! 本当はやりたくなかったし!」
根暗男「だ、だからさ――」
兄「もう良い、死ね」スゥッ
根暗男「あ……あ……」ガクガク
友「本当に合っているんですか?」
ストーカー「うん、確かにあの二人が連れ去れたのはこの森の奥!」
友「で、何もしなかったと」(義妹さんが胸騒ぎがすると言うから来てみれば……厄介な事になっていますね)
ストーカー「うっ……俺は弱いし、それに相手は謎男を倒した奴だし……」ムカシボコボコニサレタシ
友「……ま、感謝しますよ、居場所を教えてくれて」
ストーカー「あの根暗男って奴は、幼馴染様の事を考えずに自分勝手な行為を向けているんだ!」
友「ほう」
ストーカー「だ、だから、今回は俺も協力する!」
友(幼馴染さん……彼女も変わったんですね)
394:
謎男「……友? それと、お前は確か」
ストーカー「今回は何もしてないから!」
友「義妹さんに頼まれて来たのですよ……貴方がやられるほどの相手ですか」シュルシュル
謎男「スタンガンを持っていた。ほら、そこでぐってりしてる奴だ」
友「……ひどく殴られたようですが、これは」
謎男「兄だ。それも、今回は幼馴染を馬鹿にされた事によって、今までで一番の暴走だ……」
友「なるほど、では急ぎましょう」
謎男「ストーカー、こいつをこの縄できつく縛っておけ」ポイ
ストーカー「了解!」ビシッ
根暗男「」
兄「……」ハァー、ハァー、ハァー、ハァ
友「……兄!!」
謎男「……これはかなり……いや、熱い……熱中症?」
友「確かに……熱中症の症状と酷似しています! 水を持ってこないと!」ダッ ガコン
謎男(……あの時投げたお茶、もしかしたらこうなる事を想定して……?)
友「とりあえず自動販売機で買ってきました」スッ トポトポトポ
兄「……」ゴクゴクゴクゴクッ
友(一本を全て飲み干した!? 全然足りない!)
謎男「俺も買ってきた、飲め」トポトポ
兄「……」ゴクゴクゴクゴク
兄「っは、ハァ……ハァ……」
謎男「とにかく、急いで幼馴染を呼んで来よう!」
医者「えー……一体どんなに身体を酷使したらこんな風になるんですか?」
幼馴染「あ、兄は!?」
医者「熱中症で意識を失いかけていたらしいですが、それ以前に全身の筋肉……特に足がズタズタです」
謎男「!」
医者「しばらくはかなり安静にしないと駄目ですね。しばらくは自宅の近くの病院で入院です」
幼馴染父「分かりました、本日はありがとうございました」ペコリ
医者「いえいえ。お大事に……」ペコッ
――
兄「……」パチッ
幼馴染「兄!!」
兄「ここは……痛ッ!」
謎男「動くな、全身の筋肉にひどいダメージを負ったらしい」
友「義妹さんに連絡はしておきました。幸い今は夏休みですし、ゆっくり休んで下さい」
謎男「俺と友は天然女を連れて帰る。今日は此処に泊まっていいらしい」
395:
謎男「……じゃ」
幼馴染「うん……」
天然女「お邪魔しました?」
友「……私達は、貴女が兄にやった事をそう簡単には許せません」
幼馴染「そうだよね……」
友「ですが、兄が許す、と言うなら……私達も、ゆっくりと成長していくつもりです」
幼馴染「!!」パアァァ
謎男(一番変化したのはお前だろ)
友「ですから……また、こっちの方へも遊びに来てください」
幼馴染「うん……ありがとう、友君……」グスッ
謎男「兄を頼んだ」
幼馴染「任せて、明日お父さんがそっちに送ってくれるらしいから」
友「それでは……」
謎男「またな」
天然女「ふふふ」メモメモ
幼馴染「……うん、本当にありがとう!」
謎男「……兄の激昂がようやく理解出来た」
友「え?」
謎男「理性が途切れると同時に、咆哮を上げて暴走状態になる」
謎男「そして、暴走中でも何度も叫んでいた」
友「……つまり?」
謎男「まあそれは置いておいて。兄が怯まない理由も、おそらく興奮しすぎてアドレナリンが一気に分泌……つまり」
謎男「痛覚が鈍り、人としての力のリミッターが外れているんだろう」
友「なるほど、今回は特に酷使したから、全身がボロボロになったと」
謎男「ああ、本来なら腕に力を込めすぎると痛みが伴うが、兄にはそれが薄くなるから、強烈な一撃を加えれる」
謎男「それで、あの暴走だが――兄の心の化け物は、おそらく処理できなくなった感情の塊なんだろう」
友「ほう」
謎男「溜めこみすぎたストレスが、トラウマによってさらに膨れ上がり、自分では処理できなくなった」
謎男「何度も咆哮を上げるのは、溜まったストレスを少しでも発散させようとしてる……とは考えられないか?」
友「確かに……何故そう確信できるのですか?」
謎男「……「何故お前らみたいなゴミが生きてて、誰よりも謙虚に生きていた母さんが死んだんだ」と言ってた」
友「!」
謎男「無意識の内に出てきたんだろうが……兄は今でも苦しいのかもしれない」
友「兄の母上様ですか……そういえば、中学の頃からいませんでしたね」
謎男「昔調べた事がある……飲酒運転による交通事故、の被害者だったそうだ」
友「!」
謎男「しかも、目の前で吹っ飛ばされたらしい。今でも自分を責めているんだろうな……」
友「自責の念、幼馴染さんによるストレス、そしてトラウマ……」
友「それらが膨れ上がり、病的なまでに汚い人間を嫌うようになった、と」
謎男「ああ……だが、今回の暴走で、かなりストレスが「減った」。これからは暴走は起きないと思う」
398:
兄(……また夢の中か)
自制心・兄『よっ……随分と暴れたみたいだな』
兄「また暴れた……俺は……」ギリ
自制心・兄『幼馴染を許したからだろうな、成長したあいつを馬鹿にされたから怒ったんだろ?』
自制心・兄『ま、さすがにあれはやりすぎだけど、あの時怒ったお前は間違ってねーよ』オレモ トメラレナカッタシ
兄「不謹慎だけど……暴れてから、心に余裕が出来たような気がする」
自制心・兄『そうだな、ほら……あれを見てみろよ』クイッ
化け物「……」
兄「随分大人しいな」ジー
化け物‘憎くないのか。あんなに苦しい思いをして、死のうとすらした事もあったのに、簡単に許せるのか’
兄「……」
化け物‘そんなにあっさりと許していいのか? あいつは自分のために友を傷つけた女だぞ?’
化け物‘お前にもトラウマを植え付け、変わったから許して欲しいなんて言う自分勝手な人間’
化け物‘俺の嫌いな汚い人間と一緒だ’
化け物‘それなのに、お前は許せるのか? 本当は心のモヤモヤを消したいだけじゃないのか?’
兄「……やっぱお前も俺の一部なんだな」
化け物‘当然だ。そもそも、そこの自制心もお前が俺を抑えるために分裂させた心の一部だからな’
兄「ありがとうな。お前が居なかったら、俺達はどうなってたか分からないよ」ペコ
化け物‘!?’
自制心・兄(その代わり自分は重傷だけどな)
兄「お前にだけ濃い苦しみを押し付けてごめんな。本当は俺達が共有しないといけないのに」スッ
自制心・兄『おい待て、お前まさか……それで以前のような抜け殻になったら!』
兄「色々考えたんだけどさ。やっぱり、俺達も成長しないといけないよ」
化け物‘……’
兄「俺の勝手な都合で、分裂させて悪かったな。ちゃんとお前らの全部を受け止めるよ」
自制心・兄『……本当に大丈夫なのか?』
兄「ああ、……さ、戻ろうぜ」
――
兄「……」パチ
幼馴染「……」スー スー
兄(今は夜の二時……幼馴染はずっと側で見ていてくれたのか)
兄(感情が、温泉のように湧き出てくる。憎しみ、悲しみ、悔しさ、怒り……)
兄(全てが混ざり合って、頭がぐちゃぐちゃになりそうだ。これが、今まで俺が溜めこんでた心……)
兄(最後に化け物が言った、ただ心のモヤモヤを消したいだけ……確かにそうなのかもしれない)
兄(それを消すために、少し自分の心も無視して強引に許したのかもな……それでも)
兄(今なら自信を持って言える。幼馴染は、俺にとって恩人だ)
兄(確かに苦しめられたけど、小さい頃、あいつが仕組んだとはいえ、一人だった俺の側に居てくれた人だから)
兄(あいつが欲望のために動いていたとはいえ、俺が昔幼馴染に救われていた事は事実)
兄(……許そう、また、楽しかったあの頃に……みんなが笑っていたあの頃に)
兄(戻れる……なら……)スー スー
400:
兄「……お世話になった」ペコリ
幼馴染「兄、その……」
兄「ん。言わなくても分かってるよ……それじゃ」
兄「――‘またな’」ニカッ
幼馴染「うん……‘またね’!」グスッ
幼馴染父「よし、送るよ。ほら、肩を貸して」ガシ
兄「いっ!! ……迷惑かけてすいません」ズキン!!
幼馴染父「あぁっ、ごめんね、君の家の一番近い病院は……」
兄「ああ、地図ならあの病院ですね……義妹、心配してるだろうな」
幼馴染父「連絡は届いているようだし、まずは自分の事を考えなさい」ブルル……
兄「はい」クルッ
幼馴染「……!!」フリフリ
兄(まだ手を振ってやんの)クスッ
――
看護師「兄さんは、101号室ですね」
兄「はい、お世話になります」
看護師「三週間ほどで普通に動けるようになるみたいです。無理に身体を動かしちゃ駄目ですからね?」ガチャ
兄「分かってますよ」チクショウ
兄「……暇だな」
義妹「お兄さん!!」バタン
兄「うおぉ!?」
義妹「よかっ、私、しんぱ、いで……!!」エッグエッグ
義妹「お兄さ、暴走したって、聞いて、心配で、心配で……!!」
兄「……ごめんな」
義妹「ちゃんと、帰ってきてくれて、良かったです……!!」
兄「……ああ、ただいま」ニカッ
義妹「はい、桃ですよ」スッ
兄「おお、ありがとな」モグモグ
義妹「でも良かったです。幼馴染さんとも和解出来て」
兄「まぁ時間が少なすぎたし、あんまりしっかり本音を言い合えなかったけどな」
義妹「でも、自分の身体も少しは大切にしてくださいよ?」ジトー
兄「返す言葉もございません。あー、学校後少しだけど行けそうにないなぁ。抜け出すか……」ニヤ
義妹「 し っ か り 休 ん で 下 さ い ね ? 」<イエス、マム……
義妹「全く、人が死ぬほど心配したのにへらへらして」ジー
兄「ありがとうな。まぁ俺は大丈夫だよ」ニッ
義妹(? 随分晴れやかな顔をして……和解だけじゃなくて、他にも何かあったのかな)
義妹「……寝てしっかり休んで下さい。ちゃんと待ってますからねっ!」ニコッ
兄「! お、おう……」
兄(何だ……今の、胸がモゾッてする感覚……)
401:
兄「ふわぁ……今日も暑いな、蝉がうるせぇ」
友2「兄さんうぃーっす!」ガラ
兄「チッ」
友2「今明らかに舌打ちしたよね!?」
友「お疲れ様です、林檎を買ってきたのでどうぞ」シュルルル
謎男「暇だと思って持ってきた、砂時計くらいなら動かせるだろ」コト
兄「……ひたすら流れるのを見ておけと?」
謎男「そうだ」ニヤ
兄「てめー絶対嫌がらせだろ!!」
友「まあまあ、ほら、どうぞ」
兄「男にあーんされるのってなかなかあれだな……」シャクシャク
友2「うわぁ……ま、俺には関係ないけどwwwww」
友2「何故かって? それは……俺には」
兄「謎男、飛び膝蹴りだ」
謎男「了解」ドゴ
友2「ぐふぅ!!」ドサ
友「学校は特に大した事はありませんね。妹友さんや妹友2さんが心配してましたよ」
友2「え? あの妹友が!?」
兄(回復力高いなこいつ)
友「ええ、近いうちにお見舞いにくると言っていました」
友2「お前、まさか……」
兄「別に何もねーよ、お前は大人しくその頭磨いてろ」
友2「だから坊主だよ! 磨けるようなツルッツルの頭じゃねーよ!」バン
謎男「……そろそろ帰った方がいいな」
友「そうですね。ゆっくり休んで下さい」
謎男「しかしお前が大人しく病室で寝てるとはな」
友2「兄って殺しても死なないような男だもんな」
友「ふらっと現れて「よう、暇だからトマト買ってきたわ」とか言いそうですね」
友2「wwwwww」
兄「さすがにそんな事はしねーよ!」(休養しろと脅され……言われてるし)
友「では、お大事に」ガラ
謎男「早く帰ってこいよ」
友2「おう!」キリッ
兄「俺のセリフだよ馬鹿」
友2「はっはっは! じゃあな!」
バタン
兄「……嵐のような奴らだったぜ」
兄「……暇だな」スッ
サララララララ……
兄(あ、やべ。結構眺めてるの楽しいわ)
404:
兄(兄です。思うように動けない状態にも、早くも慣れてきました)
兄(砂時計にも飽きてきました。暇ってこんなに辛いって知らなかった)サララララ
ガチャ
兄(お?)
図書娘「兄ー!」タタタッ
兄「おー、図書娘!」
図書娘「大丈夫なの!? 大けがしたんだって!?」
兄「おうおう、とりあえず落ち着け。深呼吸しろ深呼吸」
図書娘「すー……はー……ふぅ」
兄「よしよし」
図書娘「ふぅ、落ち着いた……じゃなくて!」バン
図書娘「怪我したって聞いて、急いで飛んできたんだよ!」
兄「ん、ありがとーなー。まぁ学校には行けないけど夏休み中には治るよ」(彼もええ子や……)
図書娘「よかった?……」
兄「――あれ、もう一人いる?」ピク
図書娘「え?」
天然女「じゃじゃーん、私です!」ガチャ
兄「おう、帰れ」
天然女「え、兄君ひどいよ??」
兄(てゆーかさ、この状況どうすればいいの)
図書娘「あ、天然女もお見舞いに来たんだね」
天然女「うん。図書娘も来てたとは知らなかった?」
兄(さん君付けが無くなってるよ!! 前より関係悪化してるよ!!)ブルブル
天然女「もう十分話したでしょ?? 私も兄君を知りたいから帰ってくれないかなぁ??」メモスチャッ
図書娘「僕もさっき来たばかりなんだ。どうしても嫌なら天然女が少し席を外したらどうかな?」クビカシゲ
兄(ふえぇ……言い回しがストレートになってきてるよう……)ガクブル
天然女「……ふふふ♪」ゴゴゴゴゴ
図書娘「……えへへ♪」ゴゴゴゴゴ
コンコン
ガチャ
兄「!」
天然女「!」
図書娘「!」
妹友「……何この空気?」
妹友2「さあ、知らない……」
兄(救世主達よ!!)グッ
天然女「あ、私はもう帰るね?」スチャ
図書娘「僕も帰ろうかな。また遊ぼうね、兄」フリフリ
バタン
妹友「……兄」ジロ
405:
妹友「あんたの事を知ってまだ日が浅いから、私にうるさく言う権利は無いけど」
妹友「……もっと自分を大切にして。自己犠牲は良く無いよ」
兄「はい、すいません……」
妹友2「……」
兄(やべぇ、すごい怒ってる……)
妹友2「兄くん」
兄「はい」
妹友2「……心配した。とても」ギュッ
兄「!」(ちょっとだけ痛い)
妹友2「……バカ」グスッ
兄「……ごめんな」
妹友「……」
スッ
妹友「本当に馬鹿だよ、あんたは……」ナデナデ
兄「妹友……」(泣いてる?)
妹友「私達が、どれだけ心配したか……」
妹友2「……」ギュウウゥゥ
兄「いっ……ごめん、ちょっと力緩めてほしい」ズキッ
妹友2「あ、ごめん! 大丈夫!?」アタフタ
兄「うん、大丈夫だ」
妹友2「……いつ治りそうなの?」
兄「夏休み入ってちょっとしたら治るよ」
妹友「良かった。じゃあ祭も行けるね」
兄「おう?」
妹友2「近くの神社で祭がある。皆で行こうって計画してた」
兄「マジか!」
妹友「だからさ」ニコ
妹友2「早く、元気になってね」ニコ
兄「……うん、ありがとう!」ニッ
妹友「あ、これ妹友2と買ってきたんだ」イチジクッ!
兄「おお、いちじく好きなんだ!」
妹友2「剥いてあげるね。……お腹は空いてる?」
兄「うん、スカスカです!」
妹友「ちゃんと手は洗ってあるから。はい」スッ
兄「え?」
妹友2「? もしかして嫌いだった?」スッ
兄「別にそれくらいなら一人で食べれるのですが」
妹友・妹友2「却下」
兄(ですよねー)ガクッ
406:
妹友「はい」ニヤニヤ
兄「……ん、うまい、けど……」モグ
兄(何なんだよこの状況は!!)
妹友2「甘いのを選んできたつもり」スッ
兄「ん、確かに甘くておいしいけど……」モグ
兄「俺は何で餌付けされてんの? 妹友は絶対楽しんでるよね?」ゴチソウサマ
妹友「あれー? 何の事か分からないなー?」ニヤニヤ
妹友2「いちじくは柔らかで繊細な果肉と、ほのかな甘みが魅力。私も大好き」ペロ
兄「ッ!!」
妹友「? どうしたの?」
兄「い、いや。別に何もない」
兄(な、何だ? 指についた果汁をぺろってする動作が、すげぇぞわって……)
妹友(ははーん)ニヤ
妹友「ていやっと」ドン
妹友2「!?」ガバッ
兄「ん!? えぇ!?」
兄(どどどどどういう状況だってばよ……俺のすぐ目の前に妹友2さんの顔がががが)
妹友2「……//」プシュー
兄「お、おい!! お前何やってんだ!!」
妹友「あははっ、やっぱ面白いね、あんたって!」ケラケラ
兄「わ、笑ってる暇あったらどかせ! ぐったりしてんぞ!」
妹友「はいはい」スッ
妹友「ほらほら、しっかりしな」ペシペシ
妹友2「も、もう……心臓に悪い……」カァァ
妹友「そろそろ戻ろうか、行くよ?」
妹友2「うん……またね、兄くん」フリフリ
妹友「またね、兄」ニコ
兄「お、おう……またな……」グッタリ
兄(……全く、余計に疲れたわ)フゥ
兄(なんかモゾッてきたりゾワってきたりするな。初めての感覚だ)
兄(……心を開いたばっかで自分でもよく分からないな。時間はあるし整理していこう)
兄(……これが「好き」なのか? それだと俺はあいつら全員が好きになるぞ?)
兄(まだ外部からの情報に対して敏感なのかな。ゆっくり寝て落ち着かせるか……)
409:
――憎い
ゴミばかり 全て裏切る 誰も理解してくれない 悲しい 
ひとりぼっちはさみしい
好かれるのが 怖い また 別人みたいに変わってしまう
誰か この真っ暗な世界から 助けて
兄「はっ!!」ガバッ
兄(……ああ、夢か)
兄(俺が無意識に思っている事が、夢に現れたのか……)フゥ
兄(今は……昼の4時か。夕食にはまだ早いな。義妹はちゃんと食べてるかな?)
兄(やっぱり心のどこかで恐れてるな。もう大丈夫なのに……)
兄(誰も変わらない。その幼馴染でさえ改心してくれた)
兄(大丈夫、なんだけどな)
ガチャ
イケメン「やあ兄!!」
兄「」
イケメン「君が入院したって聞いてね! サッカーは今日休みだしお見舞いに来たんだ!」
兄「帰れ」
イケメン「心配しなくても何もしないさ! 動けない相手に手を出すような男じゃないよ」ハハッ
兄(動けたら手を出すのかよ)
イケメン「暇だと思って本を持ってきたよ! 一番イイのを選んできたからね」
兄「お、おう……サンキュ」スッ
兄「――ってこれBLじゃねえかこのクソ野郎!!」
イケメン「兄にもこっちの世界に入ってくれると思ったのに……」
兄「俺はノーマルだ!!」
ガチャ
イケメン「ふふふ、本当はどうしたいんだい?」ツツ
兄「がー!! 頬を撫でるな!!」
イケメン「これくらい許してくれよ」トントン
イケメン「ん?」クルッ
妹友「フッ!!」バァン!!
イケメン「うっ!?」
兄(……え? どうなってんの? 妹友が現れてハイキックを繰り出して、それをイケメンがガードして)
イケメン「ハハッ……なかなか良い蹴りを放つじゃないか」
妹友「あんたはキザったらしくて嫌い……兄に手を出すなら、本気でいくよ?」ギロ
イケメン「おお怖い怖い……じゃ、俺は失礼しようかな」ニコ
兄(あれー? 俺なんで男に襲われて女の子に守られてるの?)
妹友「ふぅ……危ない奴だね」
兄(お前もなかなか怖いよ)
410:
妹友「今日は義妹はスーパーに、妹友2はそれに付き添い。だから私が来たんだ」
兄「お忙しい中、ありがとうございます」ペコリ
妹友「あの二人から手紙を貰ってきたよ。後で読んで」パサ
兄「お、ありがとー」
妹友「……目にクマが出来てるけど、やっぱり眠れないの?」
兄「……ん」
妹友「辛くなったらいつでも言ってよ。お互い隠す事はもう何もないんだから」
兄「……」
兄「……ちょっとな、怖いんだよ」
妹友「何が?」
兄「好きって気持ちを受け止めるのがさ。また俺のせいで幼馴染みたいに変わったらって思うと……」
兄「あ、でもあいつはもう改心したよ。大丈夫って分かってるんだけどさ……」
兄「……やっぱまだ怖くてさ」
ギュッ
兄「……あ」
大丈夫だよ。
……大丈夫だから。
兄(……すごく、優しい声だ)ウトウト
妹友「……あんたは優しいね」ナデナデ
妹友「相手の事を第一に考える。自分なんて二の次」
妹友「いつもへらへらして、そのくせ妙に鋭くて、いざという時は行動力があって。相手の気持ちをよく考えてて」
妹友「そういう所が、私は……」
兄「……」スー スー
妹友「……寝ちゃったか」フッ
妹友「……ゆっくり休んでね。兄……」ナデナデ
兄「……ん」パチ
兄(いつの間にか寝てたみたいだ……なんだか、すごく良い夢を見たきがする)
兄(あ、手紙……三つ?)
【お兄さん。早く帰ってきて下さいね! 家の事は心配しないで下さい。ちゃんとやってますからね!】
【早く身体を治して、祭りに行こう♪ いつでも兄くんの事を思ってるからね? お大事に】
【ゆっくり身体を休めな。待ってるから】
兄「……俺って世界一幸せな気がする」グスッ
兄「ん? 妹友の手紙の裏に……何か書いてるぞ?」
【辛い時は、いつでも聞いてあげるからね。大切な人だから……】
兄「……」カアァァァァ
兄(すっげぇ恥ずかしい。顔が熱い)
兄「……寝るか。うん。寝よう」スッ
414:
兄(今日でようやく退院か。長かったぜ)
看護師「では最後に怪我の様子を見ますね……こっちです」カツカツ
兄(……よし。かなり普通に動けるな)
医者「……どれどれ。ふむ……うむ。問題ナッシング」b
兄「え、軽くないですか……?」
医者「これくらいのジョークを持たないと不安でしょー? 全然余裕だから安心してねー」フワァ
兄「ええー……」
看護師「」ジロッ
医者「そんな睨まないでよー、安心が一番の薬だぜ?」キラッ
兄「はは……」
看護師「とにかく、退院したからといってすぐに激しい運動をしないこと。それと……」
兄「お世話になりました!」ダッ
看護師「あー!! 言ったそばから!!」
兄(久しぶりの家だ、義妹は大丈夫かな)
ガチャ
兄「?」(真っ暗だ。いないのか?)
兄「おーい、義妹……?」
パンッ! パンパンッ!!
兄「うおおぉぉ!? 何だ? 敵襲か!!」バッ
「お帰り!!」
義妹「お帰りなさい、お兄さん」ニコ
兄「……へ?」
友「ケーキも買ってきましたよ。いつ帰ってくるかヒヤヒヤしましたが」
妹友2「待ってたよ?」
兄「え? ……えっ、もしかしてこれって」
妹友「もしかしなくても、あんたの退院祝いだよ」
友2「ちなみに俺はスイカを買ってきたぜ!! ナイスプレイ!!」
後輩「……オナカスイタ」グルルルル
兄「……」
図書娘「兄?」
兄「……何か、ありがとうな、本当に……」
友「ふふ……さ、いただきましょうか」スッ
友2「じゃ、行くぞ、みんな?……かんp」
兄「かんぱーい!!」カンッ
兄(……母さん、見てるか)
兄(俺は、今……多分人に誇れるくらい)
兄(幸せです)
オーイ!! イマノハオレノターンダッタロ! アアー! サイダーコボシテシマッタァ! オマエモウカエレヨ ケーキオイシイデス
タイインシテクレテヨカッタヨ ナガカッタデスネ アシタカラメシハオレニマカセロ ハイ オイスマブラハナイノカ? イツノマニキタンダヨオマエハ!
419:
兄「……あ、やべ、材料ほとんど無いな」
義妹「あ、ごめんなさい。昨日行くの忘れてて……」
兄「退院祝いしてくれたのに、謝ることないよ。おっ、玉ねぎとスパゲティがあるな」
兄「……んー……よし」
兄(玉ねぎを出来るだけ細かくみじん切りにし、あめ色になるまで炒める)ジュウゥ
兄(いい感じの色になったら塩胡椒・醤油で味付け)
兄(そして薄めのコンソメスープを加えて煮詰め、小麦粉(あれば水溶き片栗粉)でとろみをつけてっと)
兄「よし、玉ねぎのスパゲティだ」コトッ
義妹「わー……いただきます!」
兄「お、うまいな。うん。適当にしてはなかなかの味だ」モグモグ
義妹「コンソメスープと玉ねぎって、どうしてこんなにも合うんでしょうね。とろみがついてるからよく絡みます」モグ
兄「甘みもよく引き立ってるな。材料無い時ならこれでも十分か」コト
義妹「ごちそうさまでした」コト
兄「しかし夏休みかー……宿題マッハで終わらせないとなぁ」
義妹「そう言うと思って、少しだけやっておきましたよ」
兄「おお、サンキュ……あ、本当に少しだけだな」パララ
義妹「自分の力で頑張ってください」ニコ
兄「はーい」
兄「……」
兄(こうして思い出してみると、廃墟に行ったのが昔みたいだな)
兄(シシナシ様は今も居るんだろうか。……ま、そっとしておくか)
兄「義妹」
義妹「?」
兄「……夏休みの終わるちょっと前、親父と義母さんが帰ってくるそうだ」
義妹「!」
兄「……部屋、片づけておかないとな」
義妹「……はい」
兄「……」
義妹「……」
兄「心配すんな」
義妹「え?」
兄「前にも言ったろ。大丈夫だからさ」ニッ
義妹「……そうですね!」ニコ
兄「よしよし、それじゃ、宿題やってまいりますよーっと」
義妹「頑張って下さい♪」b
420:
兄「今日は鱈とあぶらかれいが安かった」
義妹「どうするんですか?」
兄「安定のコンソメだよ。スープにするわー」ザクザクッ
兄(鱈とあぶらかれいは、熱湯をかけたら塩胡椒をして小麦粉をまぶし、型崩れをしないようにまず表面を焼く)ジュゥウウゥ
兄(軽く焼いたら、崩れないようにそっとコンソメスープの中に入れる。ついでに炒めた玉ねぎも)トポッ
兄(後は少し煮るだけ。煮すぎると味が抜けるからそんなに長く煮込まなくて良い)グツグツ
兄「ん、どうぞー」
義妹「白身魚のスープですか! いただきまーす」
兄「……」ゴク
義妹「あ、美味しいです! 鱈のふっくらした舌触りと、あぶらかれいの風味に柔らかい玉ねぎの甘さが!」シャクシャク
兄「やっぱ玉ねぎは炒めてスープに入れたほうが美味しいな。レタス入れてもいいかも」モグモグ
義妹「ごちそう様でした。あ、お兄さん」
兄「?」
義妹「妹友2さんが、相談があるそうですよー」ニコ
兄(不思議だな。可愛い笑顔なのにすっげぇ怖い)ブルブル
妹友2『……突然で申し訳ない。実は、弟の誕生日がすぐ近くなんだけど』
兄(弟居たのか!! てっきり告白の事かと……)
妹友2『ハンバーグを作ってあげたい。それで、兄くんの力も借りたい』
兄「んっ!? ハンバーグ!! ……俺さ、ひき肉系は材料多いから作った事ないんだ。ただの偏見だけどさ」
妹友2『問題無い。兄くんの考えも聞きたい』
兄「おー……いつ手伝えばよろしいので?」
妹友2「出来れば今から来てほしい。ちょうど今からするつもり」
兄「はーい……」
兄(調べながら行くか。ハンバーグってどうも苦手意識がなぁ……)
妹友2「今日はありがとう。ちょっと待ってて」タタッ
兄「ハイ、オカマイナク……」(やべぇ緊張がやばい……やべぇよ!)
兄(何かすごい良い匂いするし、すごいきちんと整理されてるし!)
弟「……あんたが兄か?」ガチャ
兄「!!」ビクッ
弟「……」ジロー
兄「……な、何だ?」
弟「聞いたような男には見えないな。一つ言っておくけどよ」
弟「お前みたいな腰抜けに、姉ちゃんは渡さねえぞ!!」ギロ
兄「……あ?」
弟「……俺が言いたいのはそれだけだ。どうせお前も顔を目当てに来たんだろ!!」バタン
兄「……」
423:
妹友2「……弟が何か言った?」ガチャ
兄「ううん、何も言ってないよ」
妹友2「……なら良いけど。とりあえず、材料は大きく分けて」
・牛豚合挽き肉
・玉ねぎ
・パン粉(牛乳に浸したもの)
・卵
妹友2「……で行こうと思う」
兄「ほう」
妹友2「何か思った事はある?」
兄「んー、中に刻んだ牛脂入れるとか?」
妹友2「なるほど……なら出来るだけ細かく刻んだ方が良いね」
妹友2「あ、前のように、焼く前に白身でコーティングするといいかな」
兄「お、いいね! 豚バラで包んでみるって言うのは……やめとこうか。味がすごいしつこくなりそう」
妹友2「ソースはどうしよう?」
兄「牛脂を入れたらその分ジューシーになるけど、味が重くなるからな。さっぱり系でいったほうがよくね?」
妹友2「一般的なのは大根おろしソース」
兄「まあ妥当だな」
妹友2「でも、他のソースも考えてみたい」
兄「頑張り屋さんだな……」ハハ
妹友2「それほどでもない」テレテレ
兄「ブロッコリーのソースとか?」
妹友2「……?」
兄「ブロッコリーを薄いコンソメで煮て、ミキサーにかける。後はオリーブオイル・黒胡椒で味付け」
妹友2「良いかも。さっそく買いに行こう」
兄「まぁ買ったのはブロッコリーだけなんだけどな」フゥ
妹友2「それは禁句。台所はこっち」クイッ
兄(……なんか袖をつままれるのって、小動物に近い何かを感じる)
兄「うわ広いな……うちの狭すぎる台所とは違うぜ」ガクッ
妹友2「では始める。時間があるし、玉ねぎをあめ色になるまで炒める」ジュゥウゥウ
兄「俺はソースでも作ろうかな」カタッ
兄(あ、いつの間にか髪の毛縛ってエプロン着てる。水色と白の水玉模様……意外だ)ジー
妹友2「……人の姿をじろじろ見ないこと」コホン
兄(あ、ばれてたか)
妹友2「あめ色になったら、冷蔵庫にいれて冷やしておく」
兄「まぁ基本ですな」グツグツ
妹友2「冷えたら合挽き肉をボウルに、パン粉、卵、ナツメグと砕いた氷、塩を加える」サッ
兄「ナツメグ家に無い場合は胡椒でいい?」
妹友2「良いと思うよ?」
424:
妹友2「ちなみに、氷を砕いて入れるのは」
兄「練る時に温度でダレないようにするためだろ? だからひき肉は苦手なんだ」オレ タイオンタカイシ
妹友2「兄くんはパンを作るのに向いてるかも。さらに玉ねぎを入れてよく練ったら、少し冷やしておく」
兄「こっちも煮込み終わりそうだ」グツグツ
妹友2「……」ジー
兄「な、何ですか?」
妹友2「気にしなくて良い、集中してて」
兄(ずっと無表情で見つめられたら困るんですが)
兄(……よし、こんなもんで良いか。後はこいつをミキサーにかけて)ギュルルルルル
兄(オリーブオイル・黒胡椒を加えて味付けっと……あ、何か余ってるからレモンで酸味も加えるか)
兄(よし、これで完成だ)
妹友2「さて、そろそろ焼く……まず空気を抜いて」ペシペシ
妹友2「白身をまぶして、中心を凹ませて焼く」ジュウゥウゥ
兄「おお、なかなか厚いな。コンソメ少し残ってるから使う?」
妹友2「ありがとう」
妹友2「火が全体的に通ってきたら、スープを加えて蒸し焼きにする」パタン
兄「良い匂いだ」クンクン
妹友2「よし、もう火が通った」プスッ
兄(爪楊枝を刺して透明な肉汁が出てきたら、火が通った証拠だ。さすがに手慣れてるな)
妹友2「後は兄くんが用意してくれたソースをかける」ピピッ
兄(うわっ、さらっとフレンチの盛り付け方だよ……すげぇな)
妹友2「いただきます」
兄「いただきます」
妹友2「……!」モグモグ
兄「おぉ、すごいジューシーだ。表面もグズグズに崩れるような柔らかさじゃなくて、カリッと焼かれてる」
妹友2「ブロッコリーの豊かな風味が脂のしつこさを消してくれてる。もしかしてレモンも加えた?」
兄「うん、余ってたから使わせてもらった。酸味も加えてみた……勝手に使ってごめんな?」
妹友2「気にしなくて良い、すごくおいしい」ニコ
兄「!」ドキッ
妹友2「……?」
兄「な、何でも無いよ!?」
妹友2「これなら十分かも。手伝ってくれてありがとう」ニコ
兄「どういたしまして……あ、そろそろ帰るわ。夕食の準備しないと」
妹友2「うん、またね」フリフリ
兄「お邪魔しました」ガチャ
兄「ん」
弟「……姉ちゃんとコソコソやってるみたいだけど、お前なんかが手伝ったもんは食わねえからな」ギロ
兄「はー……それで? そんだけ?」
弟「――俺とタイマンだ!! 俺に勝てたら認めてやる!!」
兄「えぇー……」
429:
弟「ハァ……ハァ……おい、この程度かよ!!」
兄「」
兄(兄です。突然ですが、年下の子にボコボコにされてます。喧嘩慣れしてないからね! しょうがないよね!!)
兄(ぶっちゃけもう泣きそう)
弟「こんな奴に姉ちゃんは渡さないぞ……ハァ、どいつも、こいつも、寄ってくる男はクズばっかりで……!」
兄「!」
兄(やっぱり、こいつ俺に似てるんだ)
兄(分かった、それなら……お前の気持ち、全部俺が……)
兄(受け止めてやるよ!!)グッ
兄「フ――……!!」ムクリ
弟「!」(まさか本当に起き上がるとは思ってなかった……)
兄「ハァ……ハァ……!!」ギラ
兄「フッ!!」ドゴッ
弟「うっ……おおぉおぉぉ!!」ダッ
弟「……何で、お前は、起き上がれるんだよ……」ハァハァ
兄(どれだけ痛くても)
兄(絶対倒れない)
兄(お前は俺に似てる)
兄(お前の苦しみも、全部受け止めてやる)ギラ
兄(だから)ググッ
兄「ほら、まだまだ、だろ……?」フラフラ
弟「……くそ、くそっ!!」ゴッ
兄「ハァ……ハァ……」ガッ ガッ
兄「ああぁぁ!!」ドゴッ
弟「ぐっ……」
弟「……ハァ、ハァ」
兄「……」フラフラ
「おおおおおぉおぉぉおぉ!!」ダッ
ドサッ
兄「……」
弟「……」
兄「……」ムクッ
弟「……降参だ。俺の負けだ……」
兄「……そうか」ドサッ
弟「何であんたは……倒れないんだ? 俺よりもよっぽどダメージ受けてるだろ?」
兄「……お前が、俺に、似てるからだ」
弟「ハッ、何だそりゃ……不屈って言葉が似合うな」
弟「認めてやるよ。あんたは他のゴミ共とは違う」スッ
兄「そりゃどーも……とりあえず、口切れて痛いわ」ギュッ
432:
兄「ただいま」ガチャ
義妹「お帰りなさ……どうしたんですかその傷!!」ガバッ
兄「あー、んーっと……大丈夫だ。これは「必要な傷」みたいなもんだから」
義妹「……」ジー
兄「……」
義妹「……本当みたいですね」ハァ
義妹「全くもう、心配ばかりかけて……」
兄「マジごめりんこ」
義妹「」ブチッ
兄「嘘ですごめんなさい心の底から反省しております、本当です」orz
兄(しかしあいつの変貌ぶりには驚いたな。急に敬語使いだしたし)
兄(「兄先輩は、姉ちゃんの事どう思ってるんすか?」とか言ってきたし)
兄(どうやら、認めた者には敬意を払うタイプのようだ)
義妹「もう……傷だらけじゃないですか」ピトッ
兄「いたっ」
義妹「ああ、口も切れてる!!」
兄「ちょっと妹友2さんの弟とな」
義妹「……大体何があったか分かりました」ハァ
兄「すまんな……今日どん兵衛でいい?」
義妹「良いですよ」
兄「いただきます……いってぇ!!」
義妹「口が切れてるのに熱いものは無理ですよ……蜂蜜とかありましたっけ?」
兄「食べてから塗るわ。どん兵衛ってやっぱうまいよな」ハフハフ
義妹「やっぱり出汁の香りがたまりませんね。いくらでも飲めそうです」
兄「油揚げをこう思いっきり絞って、スープを染みこませて食べる」ジュワッ
兄「いってぇ!!」
義妹「美味しいですけど、無理しないでくださいよ」ハァ
兄「早く治らないかなぁ……」
義妹「しばらくは冷たいものですね」
義妹「あ、それと……」ゴソゴソ
義妹「はい、すごく遅れましたけど、誕生日プレゼントです」スッ
兄「あ……そういや、入院してて忘れてたな」ゴソゴソ
兄「これはパワーストーンの……確かガーネットだっけ?」ジャラ
義妹「はい。お兄さんはあまりおしゃれをしませんから。三人でお金を出して買ったんです」ニコ
兄「おぉ……ありがとう。何かすごい嬉しい」ジーン
義妹「ふふ、どういたしまして♪」
兄「……」ジー
義妹(すごく気に入ってくれたみたいです、っと)ピロン
義妹(えへへ、お兄さんが喜んでくれてよかった♪)
433:
兄「今日は台風来るのか……ネギが安いな、多分寒くなるだろうし」
兄(口の傷はまだ痛むが、治りかけている。弟へのハンバーグは大成功だったらしい)
兄(そして、面倒なのが)チラ
弟「兄先輩、ネギ買うんすか! 何本くらい買います!?」
兄「三本でいいかな」
弟「うぃっす! 他に何かやる事は無いっすか!」
兄「……」
弟「」キラキラ
兄「適当に安い奴探してこい」ハァ
弟「うぃっす!!」ダッ
兄(弟がすげぇ懐いてきた事だ。ぶっちゃけ扱いに困る)
弟「兄先輩!! 豆腐が今日は安いみたいっす!」
兄「お、でかした!」
兄「……ん?」
妹友「あ」バッタリ
兄「」ダッ
妹友「何故逃げるし」ダダッ
兄(くそ、こいつ脚いぞ!!)
弟「あ、妹友さん。こんにちは」
妹友「あんたもいるの? 接点あったっけ?」
弟「この前男の決闘した仲っす!」ドヤァ
兄(お前が勝手にふっかけてきたんだろうが)
兄(つーか、妹友には普通に話すんだな)ボソボソ
弟(この人は……勝てないっす)ブルブル
兄(何があったし)
弟(あぁ……思い出すのも恐ろしい……会った時に「うっせーよこのまな板が」って言ったら……)
兄(言ったら?)
弟(次の瞬間、股間を思いっきり蹴り飛ばされました。「ゴリュゥ!!」って音がしたっす……)ブルブル
兄(おおぅ……)ブルブル
妹友「何ぼそぼそ話してんの?」
兄・弟「何でもないっす!!」ビシッ
妹友「? ……変なの」
妹友「あ、今日家に遊びに行っていい?」
兄「うーん……今日台風来るし、やめた方が良いと思うぞ?」
妹友「それもそうか……じゃ、また今度ね」ニコ
兄「おう」
弟(あ、今さりげなく約束したなこの人)
妹友「じゃあね」フリフリ
兄「おー」フリフリ
弟(ふえぇ……女って怖いよう……)ブルブル
434:
ビュウウゥウ…… 
兄「おお、すげえ嵐だな」
義妹「少し肌寒いですね……」ブルッ
兄「そんな時にこいつだ」ネギッ!
兄「はい、土鍋に昆布を一枚敷きます」
兄「高さを切りそろえた長ネギ達、それに豆腐」
兄「これを入れて、火をつける」カチ
兄「――そう、ネギ鍋と湯豆腐を楽しもうってわけだ」ドヤ
義妹「良いですね!! 私大好きです!」
兄「そして、ついでにこいつもオーブントースターに入れる」カチッ
義妹「ホイル包み……あっ」
兄「」ニヤァ
グツグツ……
兄「よし、そろそろいただこうか。あ、柚子胡椒もあるぜ」
義妹「いただきます」
兄「……うめぇ!!」モグ
義妹「じんわりと火を通したネギの甘さがたまりませんね!!」モグ
兄「ポン酢が良い仕事してるぜ。いくらでも喰えるわ」ハフハフ
義妹「湯豆腐と柚子胡椒もぴったりです! 湯豆腐大好きです!」ハフ
兄「なかなか変わってるね」
義妹「お兄さんには言われたくありません」ジト
チーン!
兄「お、出来た出来た」
義妹「」ワクワク
兄「はい、こいつは」ビリッ
兄「――ネギにレモン醤油をたらし、じっくりと焼いたやつだあぁぁぁ!!」
義妹「うわぁ……すごく良い匂いです」ゴクリ
義妹「んー!! さっきよりも鮮烈な甘みと香ばしさ! レモン醤油が甘みをさらに引き立ててます!!」
兄「こーゆーのとか鰻や焼き鳥は、焦げ目を感じていたいよな」モグモグ
義妹「……寒かった身体がぽかぽかしてきました!」
兄「そいつはよかった。さ、まだまだ時間はあるし、ゆっくりテレビでも見ながら食べようぜ」
義妹「はい!」ニコ
ハフハフ…… 
兄(こうしてゆっくり過ごすのも悪くないな。台風も楽しめるぜ)フッ
437:
兄「暑い」シャクシャク
友「ですね」シャクッ
友2「あっちー……」バリボリ
謎男「……」シャクシャク
兄「なんかさー」
友2「んー?」
兄「良いよな、この青空とかー、風鈴の音とかー、涼しい木陰でアイスとかー」
友「ああ、確かに良いですね。入道雲がまた素晴らしいです」
謎男「夏は嫌いなくせに、風情は大好きなんだな」
兄「うんー……でも暑いのはやっぱ無理だわー」グデー
友2「あー、やっぱ夏だわ。あ、そういえばさ」
友2「明日祭りだな。俺は後輩と行くけどさ」ドヤァ
謎男「人ごみは嫌いだ」
友「綿あめにりんご飴、後は……」ボソッ
謎男「だが仕方なく行こう。せっかくだからな」キリッ
兄「絶対喰いまくる気だろ。高いからやめとけ」
友「……今年もあの屋台に行きますか」
兄「おお、いいね」ニヤ
友2「?」
兄「神社の近くにある寂れた屋台で、毎年かき氷が100円で売ってんだよ」
謎男「最近の型で作った荒い氷じゃなくて、糸のようなふわふわの仕上がりだ。水も良いのを使ってるらしいぞ」
友2「」ジュルリ
友「では、明日は何時に集まりますか?」
謎男「夕方ごろ、俺がお前の家に行く。それから兄を迎えに行こう」
友「了解です」
兄「……」
友2「よし、そろそろ俺は帰るわ。午後の部活があるんでね」
兄「おー、さっさと消えろ」
友「精々頑張って下さい」
謎男「死ねハゲ」
友2「おい!! 謎男だけドストレートじゃねえか!! 傷ついちゃうぞ!!」
兄「どうせ後輩に癒してもらえるじゃねえか」
友2「ま、まぁそうだけどね?」ニヘラ
謎男「はよ行け」ゲシッ
友2「へいへいっと」ダッ
友「……何を悩んでるんですか? まだ何か心残りがあるのですか?」
兄「いや? そういう訳では無いよ、ただ……」
兄「俺もそろそろ、誰が好きなのかはっきりさせないとな」
謎男「!?」
兄「今日中にしっかり考えるよ。中途半端のままにするのも良くないし」クルッ
440:
友「お待たせしました」
兄「ん、じゃあ行くか。近いし歩きで良いだろ」
謎男「ハゲは後輩を迎えに行ってる。どうせ後で会うだろうが」
兄「……」ザッザッ
友「決まったのですか?」
兄「……んー」
謎男「?」
兄「……多分、決まる、と思う」
謎男「まだ決まってないのか?」ハァ
兄「……いや、決まってるんだ。ただ、本人を前にして揺らがないか心配なだけでさ」
謎男「無理に答えを出さなくてもいいんだぞ?」
兄「いや、ちゃんと答えるよ。それが俺に出来る唯一の……」
謎男「……着いたな」
ヤキトリイカガッスカー ヤキソバウマイデスヨー カステラヤキタテッスー
友2「おおう、遅れてすまんなwwwwww」
後輩「どうもー!」ペコ
兄「ん、とりあえず移動するか」
友2「……薄暗いな、こんな所にあんの?」
後輩「怖い人が居たらどうしましょう……」ギュッ
友2「心配すんな、俺が守ってやるよ」キリッ
謎男「ほう、なら頑張ってもらおうか」ニヤアァァ
友2「えっ」
友「この辺りはよく不良が溜まってるんですよ」
友2「えっ」
兄「うわー友2さんかっけーなー、守ってあげちゃうんだー」
友2「……えっ?」
兄「」ニヤニヤ
友「」ニヤニヤ
謎男(不良来い不良来い不良来い)ニヤニヤ
友2「お、おう! ボコボコにしてやんぜ!!」
兄「……あ、着いたな」(無事に)
謎男「そうだな」(残念だが)
老人「……おう、今年も来たか、ヒヨッ子共」
老人「ん? 後ろの奴は見ない顔だな」ジロ
兄「ああ、こいつは去年試合があって来れなかったんだ」
友2「うっす」ペコ
謎男「かき氷はよ」
老人「はいはい、慌てなさんな……何味が良い?」
友2「チェリー味、それにキウイ味とかもあるのか!」
兄「ここは自家製のシロップを提供してるんだ、……うまいぜ?」ニヤ
443:
老人「……」トポポ
友2(あ、もうシロップかけんの? 少なくね?)
老人「……」ガガガガガ
友2(おお、シロップの上にさらに氷!! 二層のシロップか!)
老人「お待ちどうさん、左から順にキウイ味、イチゴ、パイン、ブルーハワイ、チェリーだ」
兄「おお、これだよこれ!」
友2「いつものは氷の破片って感じだけど、これは氷の糸が集まったみたいだな!」
友「ではいただきますか」
友2「!!」スッ
友2(な、何だこの食感は!! ガリッて音がしない!? 口に入れた瞬間、すっと優しく口に溶けたぞ!?)フワッ
友2(それにキウイの甘さと独特の酸味が、よけいに爽快感を増してやがる!!)
友2(何だこのかき氷、こんなうまいの今まで食べた事ねえ!!)
友2「……最高だ……」ガクッ
後輩「うわ、氷がすごいふわふわです!」
兄「やっぱこれだね」スッ
謎男「……」スッ
友「相変わらずの味ですね。すごく美味しいです」ニコ
老人「ケッ、野郎に褒められても嬉しくないわ」
老人「……所で、クソガキ。お前、悩んでるな?」
兄「クソガキて……何でそう思った?」
老人「悩んでる人間は分かるんだよ。ほれ、来てみ」
兄「?」スタスタ
謎男「!」バッ
友2「え、どうした?」
ッパアァァァァン!!
兄「いってえええぇえぇぇぇえぇえぇえぇ!!」ゴロゴロ
友2「うっわ……痛そ?……」ブルブル
謎男(背中に強烈な張り手を入れやがった……)
兄「せ、背中があぁぁぁああぁぁ!」ゴロゴロ
老人「かっかっか! そんだけ叫べりゃ十分だ!」
友「誰でも叫びますよ、あの威力は……」
老人「悩みなんて吹っ飛ぶだろ! がはははは!」
兄「くっそ、老いぼれが……」ボソッ
老人「よし、もう一発追加だな」スッ
兄「だがしかし全力で逃げるッ!!」ダッ
友「ごちそう様でした」ペコリ
謎男「また来る」クルッ
老人「おう、儂が生きてりゃな! はっはっは!」
友2(かき氷すげぇうまかったな……)
友2「ごちそうさまっした!」ペコ
444:
兄「……おっ!」
謎男(いかにもって奴が歩いてきたぞ!)ニヤ
DQN「なあ君たち、ちょっと金貸してくれね? 今金欠で困ってるんだよ」ガシ
友2「えっ」
DQN「ちょっとでいいから。な? お願いだ」ニッ
友2「いや、ちょっとモッテナイデス……」
DQN「はああぁぁ!?」
兄(出た、最初は柔らかく接して、無理だと分かったら豹変するタイプ)
DQN「お前なめてんのかその態度!? あぁ!?」
後輩「……」ブルブル
友2「う……」
兄(おっ?)
友2「うっせーよ!! お前なんかにやる金なんてどこにもねーよ!!」ギロ
DQN「お前調子乗ってんな。シバくわ」ゴッ
友2(ひぃぃ!!)
友2(……?)パチ
謎男「よく言った」パシッ
兄「友2さんカッコいいなぁ」ニヤニヤ
DQN(なんだこいつ、力が……)プルプル
謎男「さて」ギュッ グルン ガチッ!!
DQN「いっ……ああああああぁあぁぁ!! 痛い痛い痛い!! は、離せ!!」ズキッ
謎男「あんまり動くと余計にひどいぞ?」
友2「おお、関節技……」
謎男「アームロックだ。先に行ってていいぞ」ギチッ
DQN「痛い痛い痛い痛いいぃいぃいいぃ!!」
友「ええ、では後ほど」ニコ
兄「うええ、痛そう……」ブルブル
後輩「先輩」
友2「?」
後輩「かっこよかったです♪」チュッ
友2「お、おう……//」テレ
兄「……」ビキィ
友「はは……」ビキビキ
兄(うわ、友の笑顔がすげぇ固い)スタスタ
アノヒトスゴイスタイルヨクネ? ホントダ ビジンダネ ダレカコエカケテミロヨ イヤイヤ オマエイケヨ 
友「おや、……あれは!」
兄「……あ」
幼馴染ver,浴衣(兄どこに居るのかな……?)キョロキョロ
友「後輩さん、この馬鹿を連れて二人で楽しんで下さい」ニコ
後輩「え、そうですか? じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」ギュッ
446:
幼馴染「あ、居た」タタッ
兄「……よう」
幼馴染「……」チラ
兄「?」
友(全く、鈍い人だ)ツンツン クイッ
兄「! ……ああ、似合ってるよ」クス
幼馴染「ふふ、ありがとう」ニコ
友(……二人きりにしたい所ですが、一応見張っておきますか)
謎男「終わったぞ」シュンッ
兄「うおっ!」
幼馴染「あ、謎男」
謎男「……来たのか」
幼馴染「うん、夏休みだし行こうかなって」
謎男「……まぁ、楽しんでいくと良い」
幼馴染「うん!」
友(どう思います?)ボソボソ
謎男(兄は人の嫌な感じを感じ取るからな。逃げないって事は本当に改心したんだろう)ボソボソ
友(私もそう思いますが、やはりね……)
謎男(まだ会って二回目だ、ゆっくり戻っていけばいいさ)
幼馴染「そういえば、言ってた義妹ちゃんってどこ?」
兄「あいつらは三人で行ってるよ。回ってたら会うだろ」
幼馴染「じゃ、回ろっか?」ギュッ
謎男「しかし人ごみが多いな」モッフモッフ
友「いつのまにわたあめを……しかもすごい大きさですね」
謎男「腕相撲に勝ったら大きさ二倍とか言ってきたからつい……甘い」モフッ
兄「お前に腕相撲挑むとかすげぇな」ハハッ
幼馴染「……」
兄「ん、どうした?」
幼馴染「なんか、嬉しくて」
兄「?」
幼馴染「こうして、この四人で話してるのが……」ニコ
兄「……そっか」ニッ
友(……)
謎男(……な?)
友(そうですね)ニコ
兄「暑いな……ほら、うちわ」スッ
幼馴染「あ、ありがとう」パタパタ
兄「……何故礼を言って俺を扇ぐんだ」
幼馴染「え? 暑いでしょ?」アレ?
兄「自分に使えっつーの」ペシ
447:
義妹「あ、お兄さん達ですよ」コソコソ
妹友2「……//」
妹友「何恥ずかしがってんの?」ニヤニヤ
義妹「でも妹友さんも顔赤いですよー?」ニヤ
妹友「なっ……!」カァァァ
妹友2「……うう」
義妹「ふぅ」ドキドキ
妹友2「いよいよ……だね」ドキドキ
妹友「……ふん」ドキドキ
義妹「勝っても負けても、恨みっこ無しですよー?」ニコ
妹友「分かってるよ」プイッ
妹友2「……もう、行く?」
義妹「あ、待って下さい! まだ心の準備が」
妹友「はいはい、ほら行くよ?」ニヤリ
義妹「くっ、さっきの仕返しですか……」
兄「あ、居たぞ」
義妹「お兄さんー……?」
幼馴染「あ、初めまして。幼馴染です」ペコ
義妹(この人が……すごく綺麗な人だけど……)
妹友「……あんたが幼馴染?」ギロ
幼馴染「印象は最悪だよね……」シュン
兄「まぁそうだろうなぁ」
義妹「……聞きたい事があります」
妹友「来て」ギロ
幼馴染「うん、分かった……」
兄(俺はどうしよう?)ボソ
謎男(待ってる。着いていけ)
兄(分かった)
兄(ここは……神社の裏側だ。竹が生えてて、昔遊んだっけな)
義妹「幼馴染さん」
義妹「私達は……」スゥッ
義妹「――お兄さんが好きです!!」
兄(!?)
義妹「それぞれが、純粋にお兄さんの事を思っています」
義妹「教えて下さい。あなたは本当にお兄さんが好きなんですか?」
幼馴染「うん!! もうあんな事は絶対にしない! 兄が幸せならそれで良いの!」
義妹「即答ですか……それが聞ければ十分です」ハァ
兄「……なあ、四人とも。聞いてくれ。色々考えたんだけどな」
兄「俺は――」
453:
妹友2「えっ……?」
義妹「そうですか……」
妹友「ま、しょうがないか」ハァ
幼馴染「兄が決めたんだもんね……」
兄「ごめんな、本当に」
義妹「いえ、大丈夫ですよ」
妹友「恨みっこ無しだもんね」
妹友2「……え、あ……?」
幼馴染「兄、幸せになってね……!」
兄「おう、絶対に大切にする!」
妹友2「……? え!?」アタフタ
義妹「まだ事実呑み込めてないですね……お兄さん貰っちゃいますよ?」
妹友「いいね、この隙に貰っちゃおうか」ジリッ
兄「おい待て何をするつもりだ」ザザッ
妹友「大丈夫、傷つけたりしないから」ジリジリ
義妹「ふふふ……」ジリジリ
幼馴染「兄ー……」ジリジリ
兄(ふえぇ……みんな目が怖いよう……)ダラダラ
妹友2「……!」
妹友2「――ふぇっ!?」ボン
義妹「おお、見事な赤面顔です」
妹友(くっ、不覚にも可愛いと思ってしまった)
妹友2「え、えっと、つ、つまり……その……」
兄「恥ずかしいから何度も言わせないでほしいんだが……言うぞ?」
妹友2「う、うん」
兄「俺は妹友2さんの事が好きです」
妹友2「……嬉しい」
妹友2「嬉しい……嬉しい……!!」ポロッ
妹友「あーあ、泣ーかしたー」
兄「俺が悪いのかよ」
義妹「何が悲しくて二回も好きって聞かされるんでしょうね」
幼馴染(幸せそう……良かった)ホッ
妹友2「……うわぁぁぁぁん!!」ギュッ
兄「おおぅ」
兄(それからしばらく、妹友2さんは泣き続けた)
455:
兄「……落ち着いたか?」
妹友2「うん」
義妹「もうすぐ花火ですよー、二人で回ってきたらどうですかー?」
兄「あれ、もしかして拗ねてる?」
義妹「そんなことないですよーだ」プクー
兄(意外と子供っぽい所あるんだな)クス
妹友2「兄くん、行こ?」ギュッ
兄「! ……そうだな」タッ
謎男「……もう心配ないな」
妹友「いつのまに……まさか全部見てたの?」
友「申し訳ないです」ニコ
義妹(この人が一番心配ですね、わざわざ遠い所から浴衣で来て振られて)
幼馴染「……♪」
義妹(でも、本人は笑ってますし、大丈夫ですね)フフ
友「そういえば、彼らはどうなったんですか?」
幼馴染「何もしてこないよ。すごい強烈なトラウマを植え付けれたみたい」
謎男「……元々、眼鏡の方は普通な性格だった。あのゴミが腐りきってただけで」
謎男(……暴走した兄は心が爆発した状態。ドス黒い怒りに支配された状態……それも今までで一番の暴走)
謎男(……まあ、あの程度の人間の心を折るには十分だったか)
義妹「私達も回りましょうか、あの二人に近づかないように」
友「そうですね……行きますか」
兄(……やばい、心臓がすげぇバクバク音を立ててる)チラッ
妹友2「何?」ニコ
兄(……すっげぇ恥ずかしい!!)カァァ
妹友2「ぶどう飴、おいしいね」モグモグ
兄「そうだな、外の歯ごたえと中の柔らかさがいいね」カリ
兄「あ、手が汚れた……水湧いてるアレどこだっけ?」
妹友2「こっちだよ?」クス
兄「すぐ側だったか、ちくしょう」トポポ
妹友2「はい、ティッシュ」スッ
兄「あ、ありがとう」
妹友2「……そろそろ花火が見える、こっちに良い所があるよ」クル
兄「お、じゃあそこで見るか」
ヒュルルルル…… パァァン!!
兄「……綺麗だな」
妹友2「うん、すごく綺麗……今までで一番綺麗な花火に見える」ニコ
兄「そうか……俺もだよ」ニッ
妹友2「……♪」
兄「……」
兄(言葉なんていらない。最後のでかい花火が辺りを照らすまで、俺達は手を繋いで夜空を見ていた)
457:
兄「……終わったか」フゥ
妹友2「そうだね、戻ろうか……」
兄「……」
妹友2「……」
妹友2「ねえ、本当に私で良いの?」
兄「ん、何でそう思うんだ?」
妹友2「最初に告白した私に気を使っているんじゃないかって、ずっと気になってて……」
兄「……そんなことか」
兄「俺がちゃんと自分でしっかり考えて出した結果だよ、誰が何と言おうが俺は妹友2さんが好きだ」
妹友2「……」カァァ
兄「だから、何も心配しなくて良いんだよ」ニッ
妹友2「……うん!」ニコ
兄「じゃ、戻ろうぜ」ザッ
友「おや、帰ってきましたか」
謎男「……」
兄「何だよ」
謎男(「これなら分かるだろ?」みたいな感じでキスとかしてほしかった)ボソ
兄「ははっ、言ってくれるではないか」ドゴォ
謎男「だがまだ甘い」ガキン
兄「畜生、ガード取りやがった!」
友「兄」
兄「ん?」
友「……おめでとう」ニコ
兄「……おう!!」
友2「おっ、お前ら……おあああああ!! お前何で手繋いでんだよ!!」ビクゥ
後輩(まさか!)
兄(あ、こいつらの存在忘れてたわ)
友(同感です)
謎男(チッ)
妹友「で、どうだったの?」コソコソ
妹友2「……二人で手を繋ぎながら花火を見た」コソコソ
義妹「えっ、それだけですか?」コソコソ
幼馴染「兄は奥手だからねー」コソコソ
妹友(奥手同士か……でも手を繋いだだけ良しとするか)
幼馴染「あ、もう帰らないと」チラ
兄「バスで来たのか? 今からだと……」
幼馴染「ううん、お父さんに送ってもらったから。大丈夫だよ」ニコ
兄「幼馴染、その……俺」
幼馴染「気にしないで。言わなくても大丈夫だよ……それじゃ」
幼馴染「ありがとう――大好きだよ、兄」ニコ
458:
兄(あれから数週間。俺はまぁ普通の生活を過ごしていた)
兄(変化があったとすれば、たまに妹友2と遊びに行ったりする事か)
兄(たまにどちらかの家で一緒にご飯を作ったりもするようになった)
兄(あれから義妹はあまり抱き着いたりしないようになった)
兄(兄弟の間によそよそしさが出来た――と思ったのは数日で、もう元に戻っている)
兄(妹友さんと一緒に「諦めないから!」とメールを送ってきたのは驚いたが)クス
義妹「お兄さーん、帰ってくるのいつでしたっけー?」バッ
兄「ああ、後二日だな」スカッ
兄(そう、明後日に、うちの親父と義母さんが同時に帰ってくるそうだ)
義妹「せっかくの日ですけど、ご飯は何にするんですか?」
兄「……まだ作ってやった事なかったっけな」
義妹「?」ワクワク
兄「カレーだよ」ニヤ
462:
兄(カレー。もはやラーメンと並ぶ日本食と言っても過言ではない料理)
兄(メインとなるスパイスは、香りのクミン、辛さのレッドペッパー、風味のコリアンダー、色のターメリック)
兄(レッドペッパーはチリペッパーとも言ってややこしい……分かり易く言うと唐辛子だ)
兄(昔調合して作った事があるが、カレー粉自体はすげぇまずい。まじであれは香辛料だわ)オエェ
兄(それに脂のコク・スープの風味などで旨みを足す。自家製は香りが強く尖っていて、スパイスの香りを楽しめる)
兄「まぁわざわざそんなもん作らねーけどな!」
兄(面倒だ。安定のカレールーを使う)ドヤァ
兄(ぶっちゃけた話、説明通りに作るのが一番うまい。悔しいぜ)ガクッ
兄( だ が し か し 、 言わせてもらおう……)
兄(――それでは「家庭の味」が全て一緒になってしまうと言う事を!!)クワッ
兄(やはりオリジナリティを大切にしたいのだ!!)バンッ
兄(さて、それでは今日のうちに作っておこう。一日寝かせて味を馴染ませる)
兄「ククク……やってやろうじゃないか!! 俺のカレーを!!」
義妹(お兄さんが一人でブツブツ言ってる……)ジトー
兄(まずは玉ねぎ、これをアホかと言うほどみじん切りにする)ザッザッザッザ
兄(七個くらいあったら最高だが、疲れるので四つにする)
兄(こいつに塩を振り、スーパーで貰った牛脂でじっくりと気長に炒める)ジュウゥゥゥ
兄(ついでに人参も半分、じゃがいも二つを切ってぶちこむ)
兄(そして、玉ねぎが良い感じになったら……)
兄(フライパンに豚バラ・鶏ももをいっぱいぶち込む!!)ジュウゥゥゥゥ
兄(ちなみにこの時、すり下ろしたにんにくをじっくり弱火で炒め、風味を油に移しておく)
兄(豚バラは塩胡椒、鶏ももは「潰したキウイ」をもみこんでしばらく置いておいたものだ)
兄(キウイのおかげで、鶏ももが非常に柔らかくなる。後は蜂蜜とかヨーグルトとかでも柔らかくなるけどな)
兄(肉を多く入れるのがポイントだ。動かさずに高温で表面に焼き目をつけるだけで良い)ジュゥウゥ
兄(いい感じになったら玉ねぎの山に肉を移し、フライパンに残った旨みをこそげ取るため、コンソメスープを加える)
兄(ヘラで旨みをこそげ取り、スープを鍋に移す。ついでにこの時、トマトも適当に潰して加えとく)
兄(後は水を加えて文字通り水増しし、一旦煮詰めてアクを取る)グツグツ
兄(アクが取れたら、一旦火を止めて五分ほど待ってからルーを入れる)ドポン
兄(ルーをよく溶かしこんだら、弱火でじっくりと煮込んでいく)グツグツ
義妹「良い匂いです! もう出来ますか?」クンクン
兄「まだだよ、つーか今五時だぞ」
兄(最後に砂糖を加え、ゆっくりと焦げないように煮込むだけ)
兄(しばらく煮込んだら、食べる前に一旦火を消して冷ましておく)
兄(こうする事で、味が落ち着くのだ)ハラヘッタ
義妹「うわぁ、すごくお腹が空きました!」
兄「カレー作ってやった事無かったからなぁ。口に合うかは分からんけど」
義妹「いえ、絶対に美味しいです」ゴクリ
兄「ククク……お、そろそろいいかな」
464:
兄「では、いただきます」
義妹「いただきます!」
義妹「……美味しいです! 昔から食べてる味よりも濃厚で!」モグモグ
兄「肉もにんにくの香りが効いてて美味いな」モグモグ
義妹「あ、この鶏ももすごく柔らかいですね! ジューシーですごい美味しいです!」
兄「今回は肉を味の中心にしてみたんだ」ドヤ
義妹「豚バラの旨みが全体的に馴染んでますね、ご飯が進みます」モグモグ
兄「カレーはとりあえず玉ねぎが重要だよなー」
義妹「野菜の甘みが無いと単調な味になりますもんねー、あ、じゃがいもホクホクで美味しいです」
兄「だろ? スパイスの風味のおかげで全然しつこい味にならないんだ」
義妹「これならお母さんも喜びますよ!」
兄「だと良いけどな……所で」
義妹「?」
兄「半熟茹で卵、それにとろけるチーズがあるんだが」ニヤ
義妹「ぜひ頂きます」キリッ
兄「はいよっと」コト
義妹「んー! チーズのコクと卵のまろやかさがたまりませんね!」
兄「これはこれでまた違ったうまさになるよな」
義妹「ご馳走様でした、すごい美味しかったです……」
兄「喰いすぎだろ、後輩じゃないんだから」
義妹「うう」グッタリ
兄「片づけとくから横になってな」カチャ
義妹「ありがとうございます……」ゴロン
兄(……)チラ
――
兄『なあ、妹友2』
妹友2『何?』
兄『俺さ、好きってようやく感じたばっかで、あんまり理解出来てないんだけどさ』
兄『好きって色んな形があるもんなのか?』
妹友2『……うん、そうだと思う。兄くんは義妹の事が好き?』
兄『何て!?』
妹友2『隠さなくても良い……好きなんでしょ?』
兄『んー、妹友2とはまた違う、何か側に居て当たり前って言うか、何て言うか……やっぱ俺駄目な奴だな』ハァ
妹友2『ねえ、兄くん』
兄『?』
妹友2『それは、家族愛って言うんだよ?』ニコ
――
義妹「どうしました?」ニコ
兄「ん……何でも無い」
兄(やっぱ家族って暖かいもんだな)
467:
友2(神様なんて居ない、はっきりとそう言える)ゴゴゴゴゴ
友2(俺は昨日までの行動を振り返る、朝起きて、学校に行って、適当に馬鹿やって、部活に励んで――)
友2(勿論水は飲んだ、が……部活をやっているからには必要な量だ)
友2(そう、今俺は腹に魔物を宿している。それも、とんでも無くヤバい強さの)ギュルルルルルル
友2「あ……うぐっふ……!!」プルプル
友2(くそがっ……!! 今健全な腹を持つ奴全てが憎く見えるぜ……!!)
友2(いつもなら「先生、トイレ行ってきまーす」で済む話なんだが)
友2(今日に限って、バレー部の顧問の授業……そう、トイレなんて行ったら恐ろしい事になる!)
友2(おそらくは「休み時間に行けば良かっただろ?」と聞くだろう……)
友2(だがしかし俺は問いたい、「あんたは学生の頃、授業中腹を壊したらどうしたか?」と)
友2(じ……時間は、後三十分……なかなかの強敵だ……!!)チラ
兄(あいつ何であんな振動してんだ……あ、なるほど)
友(顔色を見るに、お腹を壊してしまったと……心中お察しします)
友2(くっ、また波が……た、耐えろ……俺の肛門括約筋……!!)プルプル
友2(うおお、鳥肌がすげぇ……膝がずっと震えてやがる……!!)
「はい、じゃーこの問題を……友2」
友2(なん……だと……!?)
友2(ま、まずい……これはいかんぞ……授業なんて全く頭に入ってこなかった……!!)
友2(しかし、この質問を答えないと、どっちにしろ俺は詰む……)
友2(考えろ、考えるんだ……)
友2(問題は英文、whatから始まっている……今までのプリントの流れだとit'sで答えるはずっ!!)
友2(そしておそらくここに入る単語は、この文の前後に入っている!)
友2(つまり、この答えは――)シュッ
友2(?)チラ
「どうした、分からないのか? まさかな?」
友2「い、It's steam technologyだす!」
兄(だすww!)プルプル
友(盛大に噛みましたね)クス
「お、答えやがったか……そう、発展したのは蒸気の技術だな、テスト出るから覚えとけよー」
友2(た、助かったぜ……てっきり汽車かと思ってた)
友2(あいつが紙を投げてくれて助かったぜ……)
イケメン「フッ」キラッ
友2(しかし、あくまで「壁」を乗り越えただけ……肝心の「敵」はまだ生きている!)
友2(心を無にして、耐えるんだ、そう、心を無に)ギュルルル
友2(出来るかよおおおおおおおおおぉぉおぉぉおぉぉ!!)
友2(や、やっと終わった……)プルプル
友2(だが、ここからが本番だ!! 気合を入れ直せ!!)ギロ
友2(迅かつ、尻に負担がかからないように動く!!)シュババッ
友2(ベルトを緩めつつ……間に合え、間に合えッ……!!)ガチャッバァン!
友2(……父さん、母さん、姉さん、今日も世界は平和です)スッキリ
468:
兄「……」ギロ
義妹「お兄さん、目つき悪いですよ?」
兄「あ、まじか……そうだな」ゴシゴシ
義妹「じゃ、ドア開けますね」
兄「ああ……」
「ただいま」
兄「……ってまだ帰ってねーじゃねーかよ」
義妹「あらら、本当ですね……あ、手紙が」
兄「少し散歩してきます……? あいつら……」
義妹「まあまあ、仲は良い方が……ね?」
兄「……まあ、そうだけどさ」
義妹「カレー、温めておきますね」
兄「ああ、頼む」
兄(……結婚してから会うのは二回目だな)
兄「……ふぅ」
父「……ふぅ」
兄「!?」ビクッ
父「よう、久しぶりだなマイブラザー」
兄「なっ、おま、今散歩って……つーかブラザーじゃねえよ!」
父「おう、耳元で喚くな。頭に響く」
義妹「えっ、お父さん、何でここに!?」
父「やあマイシスター、驚かせようと思ってトイレに隠れてたんだ」<シスターハチガウトオモイマス
義母「ただいま……久しぶりね、義妹!」ギュー
義妹「苦しいです、お母さん」
父「腹が減ったな、今日の飯は何だ?」
兄「……カレー」
義母「久しぶりに兄の料理が食べれるのか、嬉しいな」ニコ
兄「よそってくるから」スタ
義妹「手伝いますよー」パタパタ
父「うおっ、やっぱうめえな!! コクがある? っていうの?」モグモグ
義母「兄の料理食べたの一度だけだから、また食べたかったんだ。良い腕してるね」モグモグ
義妹(……お兄さん、やっぱり目が……)
父「肉の旨みが全体に混ざってんな。それに隠し味の醤油の味がスパイスと完全に馴染んでる。さては一日寝かせたな?」
兄「ろくに作れねえくせに、味はしっかり分かるんだな」
父「そりゃー俺だって昔は料理くらいしたさ、焼きそばだけどな!」ハッハッハ
父「うまかったけど、おかわりとかない感じ?」
義母「え、まさか……」キラキラ
兄「んなもんねーよ、一日寝かせたんだから。でも――」
兄「ちょっとしたお菓子ならあるかな」
469:
兄「出来た」
義妹(あれ、これって、確か)
父「……」
義母「わ?、良い匂い! 綺麗な黄色だね!」
兄「蜂蜜で風味を付けた、カステラに似たケーキだ」
義母「何か黒いシロップで綺麗な模様描いてるね、器用だなぁ」
義妹(コーヒーソースとカラメルソースですね、でも何で今これを?)
兄「……これを出した意味、分かるよな?」
父「……ああ」
義母「? どういう事?」
兄「これは、最後に母さんから教わったんだ」
義妹(あ、だからあの時はぐらかして……)
兄『母さん、今日は何を作るの?』
母『今日は黄色いケーキを作ります。作り方はまず……』
兄『うわぁ、すごい良い色だね!』
母『何度も濡れ布巾で底を冷ますのがコツですよ、じっくり気長に焼いてね』
兄『うん!』
義母「そうだったんだ……」
兄「親父、あんたは何で再婚したんだ? ……別に義母さんが嫌いな訳じゃない。ただ、知りたいだけだ」
父「……お前はまだ若い。だから、色々と分からないかもしれんが」
父「俺は《代わり》なんて求めてないぞ」
兄「!」
父「俺はあの人を愛していた、が、この人も本当に愛している」
義母「……//」
父「お前には呑み込み辛いかもしれんが、愛の形は色々あって、それぞれが個別のものなんだ」
兄「……」
父「お前には俺が裏切ったように見えるかもしれんが、俺は今でもあの人を大切に思っているぞ、それに」
父「――お前にも、大切な家族が出来ただろ?」
兄(突然会わせて二人暮らしさせたくせに、何を無責任な……でも)ギリ
兄(この人が言っている事も納得出来る。悔しいが、俺も認めないとな……)
兄「はぁ……そうだな。分かったよ」
義妹「そ、それじゃ、いただきましょうか!」パン
義母「うーん、優しい甘さだね! もちもちしてる!」モグモグ
父「二種類のソースが良い感じだな、ほろ苦さと甘さがベストマッチだわ」モグモグ
義妹「優しい気持ちになれますね、やっぱりおいしいです」ニコニコ
兄(ケッ、何嬉しそうにしてんだよ。全く……)
兄(一旦親父の気持ちを認めただけだし。マジで)
兄(まあ、でも)
兄(……そんなに悪い気分じゃないな)ニッ
471:
妹友2「……そう、良かった」
兄「別に完全にあれって訳じゃないけどな。一応あいつの気持ちを認めただけで」
妹友2「こういうのをツンデレって言うの?」
兄「違うからね? どこからそんな知識を……」
妹友2「……」ジー
兄(見つめるの止めてほしい。この人も綺麗な目をしてるんだよな)プイッ
妹友2「かわいい」ツンツン
兄「頬をつつくのを止めなさい。後、やりたいことがあるんだけど」
妹友2「何をするの?」
兄「日頃の感謝、みたいな感じでさ。もう夏休みも終わりじゃん?」
兄「皆にちょっとした料理を振る舞おうかな、と」
妹友2「……」ニコ
兄「ん?」
妹友2「兄くんのみんなに感謝を忘れない所、好きだよ」
兄「んなっ……からかわんでよろしい!」
妹友2「♪」
兄「で、俺が唯一自炊目的じゃなくて、「料理」として覚えたものがあるんだけど」
妹友2「初耳……どんな料理なの?」
兄「ビーフシチューです」
妹友2「!」
兄「まずは赤ワイン買わないとな。おっさんに頼むか……丁度ベーコンも完成するし」ブツブツ
妹友2「私も手伝う。……一緒に作ろ?」ニコ
兄「……おう!」
兄(妹友2と会ってる時はすごい恥ずかしいな、でも、嫌な恥ずかしさじゃない)
兄(何かこう、優しい恥ずかしさ、みたいな。……もっとあの人を知りたいと思う)
兄(これが好きって感覚なんだろうなぁ)ニヘラ
兄(そして今の俺のにやけ顔、他人から見れば超キモいんだろうなぁ)
隣人「赤ワイン? 別に良いけど」
兄「助かるわ―、俺じゃ買えなくてな」
隣人「おう任せとけ、所で、例のブツは順調か?」ボソボソ
兄「おう、きっちり熟成させて、昨日塩抜きをして乾燥させてる」ニヤ
隣人「おおう」
兄「しっかりと燻したベーコンを、一日寝かせて燻製の香りを落ち着かせて」
隣人「ほうほう」
兄「分厚く切って、弱火でじっくりと火を通して、肉汁が溢れる自家製ベーコンを……頬張るッ!!」
隣人「……たまんねぇなァ!!」ゴクリ
兄・隣人「wwwwwwwwwwwwww」
兄「じゃあ頼んだぜ」
隣人「おう」
477:
兄「はい、まずはここにノートがあります」ドン
妹友2「レシピノート……?」
兄「どんな感じにするか決めよう」
妹友2「ビーフシチュー……隠し味にはやっぱり」
兄「日本の心、味噌だよな」
兄(ビーフシチューの酸味はトマトによるものだ。味噌を隠し味に使うと、味が尖らずに和風の味になる)
妹友2「八丁味噌や白味噌が良いと思う」
兄「まあ妥当だよな。でも白味噌は甘さがちょっとクドく感じるんだよな」
妹友2「確かに……」
兄「豆乳をほんの少し加えると、良い感じになるんだ」
妹友2「珍しい……でも良いかも」
兄「肉はどこを使う?」
妹友2「バラが一般的だけど、みんなに振る舞うなら楽しさも必要と思う。色んな種類の美味しさ……」
兄「……あ、なるほど、色んな部位をぶち込むのか」
妹友2「バラ肉、すね、肩ばら、もも肉、テール……」
兄「おお、別々の部位が楽しめるのか、いいな! でも、煮込み時間が違ってくるよな?」
妹友2「出来上がったものはスープごと器に移して、保存しておいたら良いと思う」カキカキ
兄「なるほど、テールが煮込み終わったら器に移して、そのままもも肉とかを煮込むのか」
妹友2「野菜は玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、……茄子は合いそうだけど、好き嫌いがありそう」カキカキ
兄「ま、そんなもんで良いか。後はホールトマトもいるよな」
妹友2「……まず順序良く行こう。まず、肉と刻んだ玉葱を袋に入れて、ワインに漬けておく」
兄「その時は潰したキウイ、蜂蜜も加えて揉みこんでおこうか」
妹友2「了解」カキカキ
妹友2「そして、肉・玉ねぎとワインを分けて、肉を塩胡椒をして小麦粉をまぶし、バターで軽く焼き色を付ける」
兄「次に別の鍋で同時に玉ねぎ・人参・じゃがいもを炒める、だな」ニヤ
妹友2「炒め終わったら、小麦粉を加えて、さらに粉臭さが無くなるまで炒めて」クスッ
兄「肉を加え一旦煮詰めた赤ワイン、豆乳、ホールトマト、デミグラスソース、水で濃度を調節してじっくり煮込む」
妹友2「……シンクロ、だね」クスクス
兄「だな」ケラケラ
妹友2「材料は私が出すよ」
兄「ばーか、そこまで落ちぶれてねえよ」
妹友2「いやいや、兄くんに迷惑は……」
兄「俺がそもそも提案したんだっつーの」
妹友2「ぐぬぬ」
兄(無表情のぐぬぬって……)
妹友2「……割り勘。ここだけは譲らない」キリッ
兄「……分かったよ」
妹友2「みんな明後日ならいけるらしい」
兄「そっか、じゃあ今から材料買いに行くか!」
妹友2「……うん!」
478:
友「では、おじゃまします」ペコリ
友2「飯だあぁぁぁぁぁ!!」
後輩「うるさいですよ」
友2「はい、すいません……」
謎男(すっかり尻に敷かれているな)
妹友「……あの娘は?」
兄「? ああ図書娘か。あいつは遅れてくる。そしてあいつは男だ」
妹友「えっ!?」
兄(ちなみにイケメンは合宿中、天然女は誰も連絡先を知らなかった)
妹友2「腕によりをかけました」
兄(俺が野菜を切り、残りの作業は妹友2がやった。その間、俺は付け合わせを作っておいた)
兄(子玉ねぎをバターでじっくり炒めたグラッセ、アスパラガスをホイルで包んでレモンを絞ったもの、そして――)
兄(特製ベーコンが堂々たる参戦だあぁあぁぁぁぁ!!)
兄(ベーコンはバラ肉に塩・胡椒・パセリをして六日、塩抜きと乾燥に一日かけ)
兄(そして三時間サクラのチップ、それとピートで燻した一品だ!!)ドヤァ
兄(それを厚めに切り、バターでじっくりと弱火で焼いた!)
兄(つまみ食いの衝動を抑えるのが辛かったぜ!!)
兄(ちなみにおっさんにはこの四分の一、後は焼いたイカにわた・醤油・酒・すだちを煮詰めてまぶしたのをあげた)
兄(「酒のあてキター!!」と狂喜していた)
後輩「何を食べさせてくれるんですかっ!!」ワクワク
兄「まぁ待ちやがれ。んー……」
兄「えー、皆さん。こんな面倒な奴とつるんでくれて、ありがとうございます」
兄「これは、俺からの日頃の感謝を込めたものと言うか、えー」
謎男「」ニヤニヤ
友2「」ニヤニヤ
兄「?!! あーもー恥ずかしい!! 以上だ!! おいしくいただきやがれ!!」コト
友「この香りは……!!」
友2「ビ、ビーフシチュー!?」
妹友(良い匂い……)クンクン
兄「付け合せは玉ねぎ、アスパラガス、特製ベーコンだ」
図書娘「こんばんはー」
謎男(……いいタイミングで来たな)
兄「おう、もう出来てるぞ」
義妹「さて、それでは!」
「いただきます!」
479:
友「……見事な味です!!」パク
妹友「トマトの味がしっかり活きてるのに、酸っぱさが無いね。ハヤシライスみたいなまろやかさ」モグモグ
義妹「野菜の甘みが溶け込んでます! それと、この肉……すごいとろとろです」プルプル
妹友2「それはテール。ゼラチン質が豊富で、煮込むほど舌触りが良くなる」
義妹「んー!! すっごい滑らかな舌触りです!! 口に入れた瞬間優しく溶けて、口が旨みでいっぱいに!!」トロリ
友「……おお、良く煮込まれています。この赤身肉が箸で切れるとは」スッ
兄「それはもも肉だな。つーかナイフあるんだから使っていいのに」
友「……おお、これも柔らかいですね! 赤身肉の油っ気が無い、強い「本来の牛肉の旨み」が溢れてきます」モグモグ
図書娘「兄、これは何?」
兄「バラ肉だな。友のと違って脂が多い」
図書娘「うわ、噛みしめるごとに肉汁がじゅわじゅわ出てくる! それがシチューと一体になって、すごいおいしい!」ニコ
後輩「付け合わせも美味しいですね! 玉ねぎは甘くて、アスパラガスは酸味が効いててほっこりしてます。何より……」
友2「ベーコンうめええええええええええええぇぇぇぇえぇぇぇえぇ!!」
義妹「ビーフシチューの香りに混ざって、スモーキーな香りが流れてきますね!」クンクン
友「これも自家製ですね? 香りが市販の物とは比べ物にならない鋭さです」
妹友(……この匂い好き)クンクン
友2「しっとりした肉!! それに何といっても脂が甘くてうまい!! 自家製のベーコンってこんなにうまいんだな!」
図書娘「バターのコクと燻製の香りがすごく合ってるね! しっとりしてるけど、歯ごたえもしっかりあって」
図書娘「まさに「ワイルド」って感じ!!」ドヤァ
兄「お前がそれ言う?」
友2「図書娘がワイルドって……」プククッ
図書娘「ぼ、僕だっていつかムキムキになるんだ……多分……」
妹友「……空手、教えてあげようか?」
謎男「……俺も鍛えてやろう」
図書娘「お願いします」ペコリ
兄「……」
妹友2「……」チラ
妹友2(嬉しそう。すごく……嬉しくて嬉しくて仕方がない顔してる)クス
友2「はい先生!!」ビシ
兄「ん?」
友2「おかわりはあるんですか!」
兄「当たり前だ! 皿貸してみやがれ!」
友2「一生ついていきます兄貴ィ!!」
後輩「え? 私は……遊びだったんですか……」ウルウル
友2「え、いや、そんなつもりじゃ」
後輩「私達、これまでですね……」
チ、チガウ! チガウンダァー!! マズハアシノシンヲアテルヨウニダナ フムフム ナンデスカコノチャバンハ マッタクデスネ ハハハ……
兄(……ありがとうな、お前ら)
兄「おら、ビーフシチューに刻んだベーコンを混ぜてやったぜ!! より旨みに深みが出るはずだ!」ニカッ
友2「おおっ、いただきまーす!!」
484:
義妹「今日で夏休みも終わりですね」
兄「ん、そだなー」ジャッジャッ
義妹「やり残した事とか無いんですかー?」
兄「つってもなー……結構充実してたと自分では思ってるよ」
義妹「なら良いんですけどね? 今日の昼ご飯は何ですか?」
兄「バターを溶かして、ご飯と細かく切ったベーコンを混ぜて炒める」ジャッジャッ
兄「後はチーズをまぶして、黒胡椒、レモン醤油を加えれば出来上がりだ。これは無くても良いけどな」
義妹「チーズとバターのコクに、ベーコンの脂と塩っ気がぴったりですね! レモン醤油で味もくどくなりません!」
兄「醤油とチーズって抜群に合うよな。うまうま」ガツガツ
義妹「でも、すごくカロリーが高そう……」
兄「動けば大丈夫だ!!」b
義妹「そんな無責任な……あ、今日予定ありますか?」
兄「とりあえずいつも通り集まって喋る。後は妹友2と夕方頃会うつもり」
義妹「そうですか。で? その包んでるものはちゃんと渡すつもりですよね?」ニヤニヤ
兄「う、うるさいな! ちゃんと渡すよ!! いつ気付いたんだよ!」
義妹「さあー? どうでしょうねー?」
兄「くっ、俺のプライバシーが……行ってきます」ガチャ
義妹「あ、お兄さん」
兄「ん?」
義妹「――頑張って下さいね?」
兄「……おう」
マスター「……やあ、いらっしゃい。ベーコンありがとうね」
兄「むしろあれだけしか無くて申し訳ない」
謎男「来たか」ズズ
友「どうも」ニコ
友2「ふえぇ……珈琲苦いよう……」
兄「うわキッモ」
友「そもそもエスプレッソに砂糖を入れない時点で」
謎男「死ね」ジャリジャリ
友2「いやいや、残った砂糖食ってる奴に言われたくねえよ!!」
友「いえ、これが正しい作法だそうですよ? イタリアでも砂糖を入れて、残ったものはスプーンで食べるそうです」
謎男「……まぁここは日本だし、好きなように飲んでいいと思うぞ」
友2「くそう、勝者の余裕がむかつく……」
友「ああ、そう言えば……仲は進展しましたか?」
兄「くっ、どこが「そう言えば」だよ……別に、たまに遊びにいったりするくらいだ」
友2「……ま、まさか、お前、まだキスも」
兄「何か言おうとしたのはこの口かな? ん? 塩ぶちこむぞ?」ギュウゥウゥゥ
マスター「店のものだからやめてくれるかい?」<ウィッス……
友「まぁ予想通りと言うか……奥手な兄らしいと言うか……」
謎男(……面白い流れになってきたな)ニヤ
485:
友2「いやいや、付き合ってある程度経っただろ?」
兄「たった二週間だよ!! お前と一緒にすんな!」
友「まあ彼はあれですが、兄と妹友2さんは両方奥手ですからね。慎重に仲を縮めて行けば良いでしょう」
友2「あれってなんだよ!」
兄「別に仲悪い訳じゃないぜ? 水族館とかも行ったし、弟は……うん。懐いてくれるし」
謎男(絶対に「あの魚うまそうだな」とか言ってるな)
友2「俺らのアッツアツの仲には負けるけどなwwwwwwww」
兄「こいつ殴っていいかな」ビキキ
友「兄と妹友2さんには、彼らなりの居心地の良さがあるんですよ」
謎男「……だな」
兄「おお、良い事言うね」
友2「まあ俺から見れば、ろくに登校しないクマ野郎はともかく、友に彼女が出来ないのは何故なんぐはぅ!」ドコ
謎男「誰がクマ野郎だ」
友「店の中ですから、お静かに……私はそういうのは遠慮しておきますよ」ニコ
友2「ふーん……あ、もう部活の準備しねえと。帰るわ! じゃーな!」
兄「おー」
謎男「……友」
兄「あいつには教えなくていいのか? ……俺も最近知った事だけど」
友「……ええ」
兄「お前はそれでいいのかよ?」
友「私はあの人のおかげで変わる事が出来ました。もう十分ですよ」ニコ
謎男「……そうか」
兄「お前がそれで良いんなら、俺は口出し出来ないけどさ」
兄(高校を卒業したら、親の会社を継いで、親が決めた許嫁と結ばれる。そんなの……)
友「今、いつもの日常を……貴方達と楽しみたいですし。しんみりした空気は彼には似合いません」
兄「そっか」
謎男「……外に出るか」
兄「やっぱアイスうめぇ」シャクシャク
友「ですね」
謎男「……いつもの公園、ここは俺達の築いてきた思い出」
兄(お?)
謎男「卒業して、離ればなれになっても……思い出が心を繋げてくれるさ」
友「!!」
友「……はい、そうですね……いやぁ、貴方に一本取られるとは」ハハ
友「ええ、ありがとうございます」ニコ
兄「しかし、謎男がこんな恥ずかしい台詞を言うとはな。「思い出が心を繋げてくれるさ」って」クス
謎男「……うるさい。今の言葉は、最後の夏の陽炎みたいなもんだ」
兄「何だそりゃ。でも……覚えとくよ。陽炎みたいに揺らいだりしない」
友「……兄、謎男」
友「――貴方達は、私の誇れる友人ですよ」ニコ
486:
オーシーッツクツク…… オーシーッツクツク…… ツクツクウィーヨォンッ!! ツクツクウィーヨォンッ!! 
兄(ツクツクボウシが鳴いてる。もう夏も終わりだな)
兄(……良い夏だった。本当に)
「ごめん、待った……?」
兄「ん、全然待ってない」
妹友2「そう、良かった。話って何?」
兄「……座るか」
妹友2「見て、夕暮れがとても綺麗」
兄「おー、確かに。メラメラ燃えるような赤だ。なのに透き通ってて……綺麗だな」
兄「……なあ、妹友2。出会ってから、かなり俺達メールしたよな」
妹友2「? うん」
兄「……思えば、最初は不思議な人だと思ったよ。妹友の印象は最悪だったし、女は信用出来ないって思ってた」
妹友2「……」
兄「やっとトラウマを克服して、押し固めてた苦しみが解放されて」
兄「……皆と出会わなければ、俺はまだ真っ暗な世界で、独り苦しんでたかもしれない」
兄「ありがとう、それと……これ」スッ
兄「――誕生日おめでとう!」
妹友2(これ、蒼い花をあしらったブローチ……すごく綺麗)
妹友2(見てて、不思議な暖かい気持ちになれる)
兄「……あれ、もしかしてまずかった?」
妹友2「ううん、嬉しい。ありがとう……」
義妹『誕生日おめでとうございます。お兄さんと約束してますよね? ……今日くらいは、勇気を出してはどうですか?』
妹友2(もう……義妹のばか。言われたら余計意識して恥ずかしくなる)
妹友2「兄くん」
兄「?」
妹友2「ありがとう」
妹友2「私は今まで人を好きになった事が無かった」
妹友2「でも、兄くんとメールしたり、話したりしてるうちに、どんどん心の中が兄くんでいっぱいになっていった」
妹友2「兄くんが私の事を好きって言ってくれた時、夢かと思った」
妹友2「……私は、兄くんが大好き」
兄「! ――ああ、俺も妹友2が大好きだ」
妹友2「……」ニコ
妹友2「だからね、今日くらいは……私も、勇気を出してみる」
兄「? つまりどういう――」
チュッ
兄「!」
妹友2「……ずっと、一緒にいようね」ニコ
兄(妹友2の紅潮した顔は、真っ赤な夕日に照らされてより紅くなっていて、)
兄(以前、俺が見とれた笑顔――それよりも、もっと綺麗な笑顔だった)
終わり
487:
駄文失礼しましたorz
だらだらと続いてしまいましたが、これにて終わりです。
とりあえず料理の詳細(あまり詳しいものではないですが)を、三つほど書きたいと思います。
安価>>490 >>493 >>496
489:
そりゃあ本編に2回もでてきたカステラケーキでしょうに
490:

493:
豚バラ巻いた奴
496:
カレー
497:
もともと両親の都合で一人の時が多かったので、自然と自分で作るようになっていましたね……汗
フライパンだとかなり時間がかかるので、新しい簡単な方を載せる事にします。
カステラケーキ(一人分)
小麦粉 25g
卵 一つ
砂糖 20g
蜂蜜 5?10g
バター 15g
牛乳 10cc
・卵白に砂糖を混ぜ、メレンゲを立てる
・溶かしたバター・卵黄・牛乳・蜂蜜・小麦粉を加え、さっくりと混ぜる
・BBQ用のアルミ皿のような容器に入れ、トントンと叩いて空気を抜く
・アルミホイルを被せ、オーブントースターで15分ほど焼く
(自分のは860Wのトースターなので、様子を見ながら焼くと良いです)
「ぐりとぐら」のカステラを参考にした、ふわふわのおやつです。
焼きたてを食べるのが一番おいしいです!
蜂蜜の量はお好みで。バターの風味が強く出るので、できれば無塩バターを使うのが良いですね。
焼く前、容器にバターを塗っておくと、くっつかずに済みます。
500:
最初は「考えている事・行動が全く不明な謎の奴」として謎男を出したのですが、親友というポジション上どうしても謎が無くなってしまうので……
そんな訳で天然女を出しました。
カレー
カレールー 適量
玉ねぎ 出来るだけたくさん
じゃがいも 二つ
人参 半分
にんにく 二欠片
鶏もも 二パック
キウイ 一つ
豚バラ 二パック
牛脂 二つ
トマト(お好みで)
コンソメ
・刻んだ玉ねぎ・人参、大きく切ったじゃがいもをじっくり炒める
・牛脂ににんにくをすりおろし、潰したキウイに漬けておいた鶏もも、豚バラに焼き目を付ける。
・肉を野菜に移し、コンソメスープを注いで鍋に残った旨みの塊をヘラでこそげ落とす
・それを鍋に移し、トマトを加えてお好みの分量の水を足し、一旦煮詰める
・アクを取り、五分ほど待ってからルーを溶かしいれる(ダマが残らないようにするため)
・弱火でじっくりと煮込み、一旦冷ます
肉の旨みをメインにしたカレーです。豚バラは一緒に煮込まずに、煮込み終わってから入れた方がおいしいです。
二日くらいで食べきった方が良いです。何分脂が多いので……汗
501:
豚バラ巻き(一人前)
豚バラ肉 一パック
塩胡椒 適量
卵 一つ
醤油・ごま油 少量
・豚バラ肉に塩胡椒をし、一つの塊になるよう巻く
・しっかりと巻き終わったら、卵白を全体にまぶし、表面に焼き色を付ける。
・アルミホイルで表面を多い、トースターで十分ほど焼く(様子を見ながら)
・同時に卵黄にごま油・醤油を加え、湯煎しながら乳化させる。
・焼き終わったら、残った肉汁を卵黄ソースに加える。
卵黄ソースはオランデーズソースを参考にしました。ぶっちゃけ適当です。
かぶりついた瞬間、漫画のように「ジュワッ!!」と肉汁が溢れだしてきます!
ジューシーな豚バラにまろやかな卵黄ソースがぴったり合います。
502:
・後日談
兄「……ただいま」
義妹「おかえりなさい」ニヤニヤ
兄「何だよ」
義妹「いえ別に」クスクス
兄「……? あっ、お前まさか!!」
義妹「ええ、ばっちりと聞きましたとも」
兄「……」
義妹「いやー、あの子が自分から惚け話をするなんてねー」
兄「……」ブルブル
義妹「にくい演出しますねー、蒼い花をあしらったブローチなんて」
兄「……くぅ……」
義妹「そして最後は妹友2さんからの……キャー!!」
兄「うわあああぁぁぁ!! いっそ殺せええええぇぇぇ!!」
義妹「ふふふ、ごちそうさまです」
兄「死にたい……」
義妹「……ねえ、お兄さん」
兄「ん?」
義妹「私はお兄さんが好きですが……それは以前の異性としてよりも、家族愛に近くなってる気がします」
兄「……うん」
義妹「このままだと、私は「お兄さん」として、好きになっていくでしょう」
兄「おう」
義妹「だから、この気持ちが消えないうちに……」
義妹「……大好きです。お兄さん」ギュッ
兄「!! おまっ……」
兄(……泣いてる?)
義妹「……忘れたくない、この感情を……」ポロッ
義妹「このままだと、家族として好きになっちゃう……」
義妹「それも良いけど、異性として好きでいたい……」
義妹「胸が切ないよ……お兄ちゃん……!」ギュウウゥゥ
兄「……義妹」
兄「ありがとうな」ナデナデ
義妹「……え」
兄「そんなに好きでいてくれて、苦しんでくれて」
兄「でも、大丈夫だよ。人は成長するんだから」
兄「お前が俺をどんな風に思おうが、義妹は俺の大切な家族だ」
義妹「……やっぱり、私じゃ」
兄「でも」
兄「家族愛……それは駄目な事なのか?」
義妹「……?」
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