水銀燈は動かない『結菱家のお月見』
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蒼星石「今度、パーッとお月見しよう」
翠星石「…え？」
蒼星石「大丈夫だって。実際ホームパーティだし、身内だけだから」
翠星石「あ、はい」
蒼星石「桜田家のみんなも連れて来てね」
翠星石「はいですぅ」
翠星石「お月見パーティに参加しないですか？ 薔薇屋敷でですけど」
ジュン「嫌だよ、パーティなんか」
翠星石「断りにくいんですよ。蒼星石は目が本気でしたし。参加者は顔見知りだけらしいですから。このとおりですぅ」
ジュン「しょうがないな…」
712 ：
翠星石「んなことねーですよ。蒼星石は翠星石と二人っきりだと意外と強引に話を進めるんですぅ」
ジュン「お前もな」
雛苺「ヒナは絶対行くのー！ お月様が欠けるくらい見つめちゃうのよ！」
のり「毎度毎度、結菱さんちにお招きしてもらっちゃってばかりで悪いわよねぇ。当日はお団子作って持って行きましょう」
雛苺「ヒナはうにゅーがいいのよ！」
のり「じゃあ、苺の入ったお団子も作りましょうね、ヒナちゃん！」
雛苺「うわぁい！ やったーーーーーーー!!!」ぴょいーん
ジュン「うわっ!!? すげージャンプ！」
真紅「月までぶっ飛びかねない喜びようね」
雛苺「じゃすてぃすっ！」ビシッ
ジュン「何それ？」
翠星石「着地と同時に変なポーズ決めて？ チビ苺のギャグですか？」
雛苺「テレビで見たの。じゃすてぃすっ！」ビシッ
真紅「二回やらなくていいわよ」
ジュン「けどパーティか、憂鬱だな。いくら顔見知りばっかりとは言え、そういうワイワイしたの苦手なのに」
翠星石「ケンドーカシワバも来るはずですから、楽しみにしとけですチビ人間」
真紅「ただ、薔薇屋敷で皆で集まってお月見って以前もやってるわよね？（※）」
※桜田ジュンの追想『名月をとってくれろと泣く乙女』参照
713 ：
のり「うんうん」
翠星石「今回のお月見は中秋の名月で満月がHarvestMoonでスーパームーンなんだそうですぅ」
ジュン「は？」
翠星石「翠星石が何を言っているか分からねぇと思うですが、翠星石も蒼星石に何を説明されたのか
分からなかったです。建前や理屈じゃあない蒼星石の恐るべき蘊蓄披露の一端を味わったです」
のり「でも、何となく蒼星石ちゃんの言いたいこと伝わったわ。ただ、ハーベストなんとか…てのは？」
真紅「ハーヴェストムーン…つまり、実りある月。英語圏では中秋の名月をそう言い表すことがあるの」
雛苺「へぇ?」
ジュン「実りある月ねぇ」
真紅「穀物を豊かに実らせてくれる満月という意味よ。庭師の蒼星石が拘るのも、さもありなんってところかしらね」
翠星石「なるほどなるほど。そういうわけだったのですか」
真紅「お月見は何度やっても美しいものだし、楽しみね」
雛苺「うぃー！」
714 ：
真紅「…と意気込んだにもかかわらず、当日がザーザーの雨ってどういうことなのよ」バクバク
金糸雀「お月見なのに全然月が見えないかしら！ 詐欺かしら！」ムシャムシャ
一葉「すまない。まさか、こうなるとは」
二葉「兄さんが謝ることじゃないよ。そこの二人は文句言いながらも僕達が用意した料理食べまくってるし」
金糸雀「と言うか二葉も未だに薔薇屋敷でゴーストやってたのかしら」モギュモギュ
二葉「いいじゃん、別に?」
雪華綺晶「月が見えずとも、屋内での豪華なホームパーティには変わりありませんわ」
めぐ「そうそう！ 楽しいわよねー！ 飲んでるぅ？ 水銀燈??っ？」
水銀燈「……」ぶすっ
ジュン「うわっ。すっげー不機嫌顔…、気持ちは痛いほど分かるが」
水銀燈「あんたに何が分かるってのよ、人間」ギラッ
翠星石「嫌々ゴーストめぐに連れて来られたフリをしつつも本当は月見が楽しみだったんですよねぇ?水銀燈ぉ？」
水銀燈「翠星石ッッ…！」ざわっ
翠星石「ひゃー、鬼婆が青筋と黒羽を逆立てて怒ってるですぅ?！ 怖いです?、ボス猿助けてです！」ササッ
のり「まあ、翠星石ちゃんカワイソウに！」
水銀燈「ぬぐっ…」
雛苺「水銀燈の人はジョーダンが通じないの」
オディール「しかしスーパーセーラームーンが見れないのはザンネンムネンまた来週ですね」
薔薇水晶「セーラーは要りませんよオディール。あと、また来週というのも…」
715 ：
オディール「ウィ！」
みつ「随分と長くない？ もう9月でしょ？ オディちゃん学校大丈夫なの？」
オディール「ノー・プロブレッモ！ フランスは9月末まで夏休みデース」
巴「それは嘘です。フランスも夏休みは8月末までです」
オディール「ワオ！ トモエ=サン！ ネタばらしスピーディ！」
ジュン「それじゃあ、どうして…？」
巴「短期留学だとか、そういう扱いになっているみたい」
槐「そうなんだ。巴ちゃんも大変だねぇ」
巴「いえ、オディールさんは何だか母とも気があうようでして」
ジュン「本当に？ 全然、想像できないな…」
真紅「ちょっと結菱一葉、こっちの月見蕎麦がなくなったわよ」モグモグ
一葉「ん、そうか。すぐ新しいのを…」
蒼星石「僕が持ってきますマスター」
一葉「ありがとう蒼星石」
真紅「ゲストへの食事を切らすだなんて、なってないわね」モグモグ
ジュン「ガツガツ食べながら喋るのは、なってあるのかよ」
716 ：
槐「どうしたんです？ 草笛さん？ 窓辺でうなったりして」
みつ「いやぁ、皆でワイワイやっているうちに少しは雲が晴れて月が見えるかと思ったんですけど…」
金糸雀「むしろ雨足が強くなってきてるかしら」
めぐ「確かに、少しも見えないってのはついてないわね」
みつ「折角、デジカメもお月様が綺麗に取れるヤツに新調して持ってきたのに」
水銀燈「……」
みつ「まあいいわ！ その分、薔薇乙女のみんなを激写しちゃうんだからッ！」パシャパシャッ
真紅「ちょっと気安く写さないで。モデル料とるわよ」
みつ「もう、真紅ちゃんったら、いけずぅ?」
二葉「めぐちゃん、めぐちゃん！ 僕らも写ろう。これぞ心霊写真だって写り方教えてあげる」
めぐ「え、本当ですか？」
水銀燈「こら二葉！ めぐに変なこと吹き込まないで！」
717 ：
雪華綺晶「じゃ、じゃすてぃすっ！」ヨロッ
雛苺「違うのー！ 左足の角度はこうなのよ雪華綺晶！ じゃすてぃすっ！」ビシッ
雪華綺晶「じゃすてぃすっ！」
雛苺「今度は手が曲がっちゃってるのーっ」
718 ：
真紅「笑えない冗談ね。ゲロ吐くまで殴りつけるわよ金糸雀」
金糸雀「真紅…、返答があまりにも辛辣かしら」
ジュン「食べ物が絡むと真紅は非情だからな」
719 ：
薔薇水晶「私です」
槐「いや、薔薇水晶そこは正直に答えなくてもいいんだよ…」
水銀燈「早く出しなさい！」
薔薇水晶「嫌です」
水銀燈「ッ！」
みつ「落ち着いて銀ちゃん！ 7並べってこういうゲームだから」
蒼星石「水銀燈ってトランプ全般に弱いよね」
翠星石「クール気取ってるくせに勝負事になると、すぅぐ熱くなるお人ですから」
720 ：
巴「桜田君も？ 私もちょっと…ね、こういう雰囲気は」チョコン
ジュン「そうなのか。柏葉もパーティ苦手だなんて意外…いや僕の勝手なイメージだよな、そういうの」
巴「……」
ジュン「ええと、雛苺を呼ぼうか？」
巴「ううん。ヒナももう私にベッタリの子じゃないから。ほら、雪華綺晶に何かを教えてる」
ジュン「本当だ。お姉ちゃんってことを自覚し始めてるのかな」
巴「ええ」
ジュン「こんなことなら僕や柏葉まで参加しなくても充分だった、あいつらだけで…」
巴「私は…来て、良かったと思う」
ジュン「？」ドキッ
巴「桜田君も来てたし…」ドックンドックン
ジュン「か、柏葉…！ それってどういう…」ドックンドックン
721 ：
巴「きゃっ」サッ
ジュン「ぐはぁーーーっ！」メギャン
真紅「ちっ！ 巴には間一髪よけられたか」
ジュン「いきなり何しやがるんだ真紅！」
真紅「ピュアラブ禁止！ 少し目を離したらすぐさま乳繰りあいおってからに、この野獣が！」
ジュン「ち、ちちくり…!?」
真紅「全く、油断も隙もあったもんじゃ…」
みつ「ちょっとぉー、真紅ちゃん邪魔しちゃ駄目でしょ！ 折角デジカメを動画モードにして撮ってたのにぃ」コソッ
ジュン「ッッ!? 盗撮!?」
一葉「いい趣味をしてるな草笛くん。後で私にもダビングしてくれ」
みつ「はい、よろこんでー」
巴「ゆ、結菱さんまで…!?」
翠星石「うっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ！ しょーのねー奴らですぅ?」ケラケラ
金糸雀「翠星石がいつの間にか出来上がっているかしら!?」
二葉「ここのワインをジュースと間違えて全部飲んだらしいな」
槐「ローゼンメイデンはアルコールで酔っ払うのか…」
蒼星石「翠星石の場合、雰囲気で酔ってしまうこともありますけどね」
翠星石「なんか余興とかはねーんですかー？ ないんだったらチビ苺、ロボットダンスを踊れですぅ！」
雛苺「うにゃっ！ 無茶振りはやめてなのよ翠星石ぃ！」
翠星石「なんですとぉ?？ 姉の言うことには絶対服従ですよぉ?チビチビぃ?！ ヒック！」
雛苺「いやーん、翠星石がすごくウザったい感じになってるの?！」
水銀燈「いつもと大して変わんないじゃなぁい」
翠星石「ほれほれ、踊れですチビ苺?っ！ うりうりィ?！ うりうりぃ???!!!」
雛苺「離してぇ翠星石?！ 翠星石のお口臭いのォ??」
雪華綺晶「み、翠のお姉様っ！ 退屈なのでしたらブサ綺晶達を呼びよせてダンスさせましょうか？」
翠星石「お！ いいですねぇ。だったら思いっきりたくさん呼んで翠星石を囲んでインド映画みたいに躍らせるですぅ」
722 ：
真紅「は?い」
金糸雀「はいは?い」
のり「よく食べるわねぇ二人とも。見てるだけでこっちが満腹になりそうよ」
真紅「ただ飯ほど美味いものはなしだわ」
ジュン「ほどほどにしておけよ。真紅お前食べ過ぎるとすぐゲロするんだから」
真紅「嘔吐は古代ローマ貴族の嗜みよ」
二葉「古代ローマ貴族みんながみんな美食のために吐いてたわけじゃないからね」
金糸雀「ねぇねぇ一葉さん！ おでんにカナのリクエストちゃんと入れてくれたかしら」
一葉「勿論。だし巻き卵だろ？」
金糸雀「わぁ?い！ やったーーーーーーーっ！」ピョイーン
オディール「Oh!! ハイジャンプ！」
金糸雀「じゃすてぃすっ！」ビシッ
雛苺「じゃすてぃすっ！」シュビッ
めぐ「流行ってるの？ それ？」
真紅「と言うかオデンにだし巻き卵ぉ?？ 邪道じゃない？ 普通はゆで卵でしょ」
金糸雀「まあ、騙されたと思って食べるかしら真紅。カナもみっちゃんのおウチで初めて食べたけど、これがなかなか…」
槐「薔薇水晶は？ おでん食べる？ 取ってあげるよ」
薔薇水晶「じゃあハンペンとごぼ天とチクワをお願いします」
槐「ね、練り物好きだねえ…」
真紅「あら、美味しいじゃない！ だし巻き卵！」
金糸雀「でしょ？ でしょでしょ！」
723 ：
ブサ綺晶ダンサーズ「きっきっきき??」フリフリ
蒼星石「アルコール入ってるのに、そんなに激しく踊ると危ないよ翠星石」
翠星石「うるれぇですぅ！ いい子ぶってないれ、しょうしぇいしぇきも飲んで踊るぇですぅ?」
蒼星石「ダメだ、どんどん悪い方に向かって行ってる…」
金糸雀「うおあっちゃーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!」
みつ「ど、どうしたのカナッ!!?」
槐「大変だ！ 金糸雀がチクワをストロー代わりにしてオデンの汁を啜ってたら、舌を火傷したみたいだ！」
巴「どうして、そんな真似を…」
ジュン「馬鹿丸出しだな」
水銀燈「馬鹿だからね」
みつ「カナ！ しっかりしてカナーーーーー！」
金糸雀「ふひゃほひゃほげ…、口が…口の中がボルケーノかしら！」
翠星石「あっひゃっひゃ！ 口の中を火傷したれすか?、しょうがないれすね?。火傷には練り辛子が一番…」
金糸雀「本当!!? じゃあ早、練り辛子を食べるかしら」モギュモギュ
翠星石「悪いれすから、絶対食べちゃダメれすよぉ??！」
金糸雀「ひょんげーーーーーーーっ！ ひゅ、ひゅいへいへひーーーーッッ！」
翠星石「ぼっはははははは！ 食べる前に気付けれす！ カナチビ馬鹿すぎれすぅ?！」ケタケタケタ
みつ「お水お水！ カナ、水飲んで落ち着いてぇ??」
ジュン「脳悪金糸雀と性悪翠星石が絡んで、地獄みたいな様相を繰り広げてやがる…」
真紅「ちょっと！ 雛苺がおでんの大根を瞬殺させやがったわよ！」
雛苺「味が染みてて美味しかったの」
槐「大丈夫、新しい大根まだまだあるから」
蒼星石「うちの家庭菜園で獲れた大根だよ」
真紅「家庭菜園って、菜園のくせに坪面積が桜田家よりも広いあの菜園のこと？」
蒼星石「う、うん。そのとおりだけど…」
724 ：
一葉「にぎやかで楽しいものだ。死ぬ前にこんな日が来るとは想像もしなかった」
二葉「兄さん、縁起でもないこと言うなよな?」
めぐ「私の場合、こんな日が来る前に死んじゃったけどね」
一葉「す、すまん二人とも。そんなつもりで言ったのではないのだが」
薔薇水晶「ただ、こうなってくると満月が見れないことが…ことさらに惜しく思えます」
巴「でも、天気の事だけは誰にもどうしようもないことだから。薔薇水晶ちゃん…」
薔薇水晶「そうですね。つまらないことを…言ってしまいました」
オディール「雲の上でもなければ今日のリュンヌ（月）は見れそうにありませんネ」
水銀燈「……」
725 ：
のり「どうかしたんですか？ みっちゃんさん？」
みつ「いや、私のデジカメが…。ここに置いていたはずなんだけど」
巴「見当たらないんですか？」
みつ「カナの火傷でドタバタしてたから、私が置き場所を忘れただけだと思う」
ジュン「真紅？ みっちゃんさんのデジカメ知らないか？」
真紅「わ、私は盗ってないわよ！ 失礼ね！」
ジュン「誰も盗んだとか言ってないだろ…」
みつ「別に探さなくてもいいわよー。どうせ帰るまでには出てくるから?」
金糸雀「そう言って、みっちゃんはよく物を失くすかしら」
みつ「うっ！」
蒼星石「今日見つからなくても、後日見つけたらみっちゃんさん宅に届けますよ」
みつ「そ、そ?お？ 悪いわねぇ蒼星石くん」
雪華綺晶「ところで黒薔薇のお姉様の姿も見当たりませんが…」
二葉「おや、本当だねぇ？ さっきまで、そこでオデンをつついていたはず」
翠星石「ウンコしに行ってんのじゃねぇのれす?？」
槐「ローゼンメイデンはウンコしないだろ…」
真紅「みんなには秘密だったけど、実はローゼンメイデンは年に一回だけ、たまりにたまった宿便を…」
槐「え、本当かい!?」
真紅「嘘よ」
槐「ッ！」がくっ
薔薇水晶「真紅、適当な嘘でお父様を振り回さないでください」
726 ：
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水銀燈「……」パシャッ
メイメイ「……」ふよふよ
水銀燈「付き添いご苦労、メイメイ。お陰で何とかあの満月がこのデジカメに撮れたわ」
メイメイ「……」
水銀燈「ガラにもないことやってると思ってんでしょ？」
メイメイ「…ッ」ぶんぶん
水銀燈「いいのよ別に隠さなくても。自分でも本当、何でこんなことやってるんだろうって不思議」
メイメイ「……」
水銀燈「たかが月、たかが写真。ま、それでも…ね」
メイメイ「……」くいくい
水銀燈「そうね、いつまでも雲の上じゃ寒いったらありゃしない。早く戻って熱々のおでんを…」
727 ：
水銀燈「さて、一応はあいつらに気付かれずに戻らなくちゃぁね…」スタッ
ラプラス「水銀燈…」ヌッ
水銀燈「きゃ…っ!? ラ、ラプラスの魔!? どうして、ここに？」
ラプラス「どうしても何も、酷いじゃあありませんか。お月見と言えばウサギの私めが主役のはず！」
水銀燈「……」
ラプラス「だのに一切この私にお声がけもなさらず、このように楽しげな会ををををを…っ」グスッ
水銀燈「何も泣かなくたっていいじゃなぁい。大体、アンタに連絡なんて取りようがないし」
ラプラス「し、しかし！」
水銀燈「まあ、ともかく参加したいんなら勝手に参加したら。あ！ そうだ！
アンタが今からお月見会に顔を出せば、そのどさくさに紛れて私も目立たずに戻れるわねぇ」
ラプラス「…ですが水銀燈、私もあなたも実にタイミングが悪かったようですよ」
水銀燈「はぁ？」
ラプラス「健気に雲上の月を写真に収めたのでしょうが…」
水銀燈「み、見てたの？」
ラプラス「勿論ですとも。月は私の目ですから」
水銀燈「……」
ラプラス「耳をそばだててみてください。非常によろしくないトリビアを蒼星石が披露中です」
水銀燈「トリビア…？ 蒼星石…？」
728 ：
のり「そうねぇ、でも仕方ないわよね」
めぐ「天気ばっかりは、どうにもできないわ確かに」
雛苺「それでもヒナはお月様を見たかったのよ…」
蒼星石「だが日本では無月あるいは雨月という月見の様式美がある」
雪華綺晶「無月？」
薔薇水晶「雨月？」
蒼星石「十五夜に月が雲に隠れ見えなくとも、その見えない月の風雅さを愛でるのが無月」
みつ「へぇ?」
巴「全然、知らなかったわ」
ジュン「僕も」
蒼星石「そして雨が降っていたなら、その雨の風情を愛でるのが雨月だ」
オディール「ワオ……。……ゼン……」
真紅「この国の人の月を愛する習慣は本当に素晴らしいわ」
翠星石「屁理屈の領域に近い気もするですけどね」
一葉「月が見えなくとも月見はできるということだ」
二葉「オディールさんじゃないけど、本当に禅問答みたいだねぇ」
めぐ「そうね。見える月ばかりに固執するのもおかしな話だわ」
金糸雀「全くかしら。月が無ければ月見じゃないなんて、お月見ニュービーの戯言！
環境に文句を言う奴には一生晴れ間も訪れないかしら！」
槐「何もそこまで言わなくても…」
729 ：
ラプラス「どうです？ そのデジカメを持ってパーティ会場に戻れますか？ お月見ニュービーさん？」
水銀燈「戻れない…、戻れないわぁ…」ヨロロッ
730 ：
巴「雨足も弱ってきてますしね」
一葉「うむ、ちょうどいい頃合いだな。今日は本当に楽しかったよ。皆ありがとう」
槐「いやいや、いつもお呼ばれするばっかりで、こちらこそありがとうございます」
真紅「あ、そうだ！ 結菱一葉、余ったオデンとかタッパーに入れて持って帰ってもいい？」
一葉「か、構わんよ」
のり「やだ真紅ちゃん！ タッパーなんて持ってきてたの？」
ジュン「抜け目ないやつめ」
みつ「持ち帰りOKって本当ですか結菱さん？ いやぁ?実は私もタッパーを…」
金糸雀「みっちゃんまで!?」
雛苺「ヒナはね！ お団子！ お団子持って帰りたいの?」
翠星石「じゃあ、翠星石はこの飲みかけのワインを」
蒼星石「翠星石、それまだ開けてないボトル」
めぐ「あれ？ そう言えば水銀燈がずっといないまま…？」
薔薇水晶「飽きて先に帰っちゃったんじゃないですか？」
めぐ「うーん。水銀燈ったら確かにそういうとこあるからな?」
雪華綺晶「黒薔薇のお姉様にも困ったものですわね。薔薇乙女の長女ですのに」
水銀燈は動かない『結菱家のお月見』 【終】
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2014/09/25(木) 00:16:33コメント(8)ユーザータグ ローゼンメイデン -->
コメント
※113531 ：-：2014/09/25(木) 00:33:53空回りする銀も良いものだな。※113534 ：2：2014/09/25(木) 02:06:58銀さま、かわいい！
しかし、翠と紅はひどいな、、、
翠は、もう、、、※113535 ：-：2014/09/25(木) 02:32:26雛苺連れていけばよかったのにお姉ちゃん一人で慣れてないことするから…※113537 ：-：2014/09/25(木) 03:16:47水銀燈だけ動いてるな...
しかしホモホモしい始まりでハラハラしたよ※113541 ：-：2014/09/25(木) 05:19:53最近雨ばっかだからこの話は本当にタイムリーだった SLPY管理人ってものすごい教養人なんじゃってたまに思う
翠の酒癖の悪さはひどいけど似合ってるなー そして蒼星石のその隣にいるのの似合うこと似合うこと
銀ちゃんのこういうとこかわいいし尊敬に値するわー※113543 ：-：2014/09/25(木) 07:35:56蘊蓄を垂れるだけで 何の準備もしてなかった蒼い子はぁぁ…
もう！ 地獄のミサワか、アンタ！
くぅぅ、銀ちゃんに入れ知恵してやりてぇ?
「せめてもの慰みにと思い、天から月と兎を借りて参りました」だ！
屁理屈には屁理屈を返すんだ！ 銀ちゃーん！※113546 ：-：2014/09/25(木) 10:59:11雛がやっているポーズがどんななのかわからん…
水銀燈は堂々と写真を見せつけてやればいいんだ。お姉ちゃん株が上がるかもしれんぞ！！※113547 ：-：2014/09/25(木) 12:46:23そこはかとなく家族アリスゲームの香りがするな。
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