安部菜々「喫茶店にて」back

安部菜々「喫茶店にて」


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3:
モバP(以下P)「菜々さん今日はお疲れさまでした。本屋のサイン会は人数制限があるとはいえ大変だったでしょうから」
菜々「いえいえ、ナナはまだ若いですから大丈夫ですよ。キャハッ」
P「菜々さん。17歳が若いのは当然ですよ。」
菜々「細かいことは良いんです。それで今日の打ち上げはどこでやるんですか?」
P「神保町のとある喫茶店です。なかなかお洒落な所ですよ。ここからすぐです。」
菜々「ファンのみんなが押し掛けてきませんかね?」
P「抜かりありません。すぐに見つかるような場所ではないですし、外から見られないような奥の席を予約してありますから。」
菜々「それじゃ遠慮なくくつろげますね。」
4:
P「着きました。ここです。」
菜々「へえ、インディアン調というか、バーみたいな感じですね。昔懐かしの喫茶店ですよ。」
P「その通りお酒も出すところですよ。それより菜々さん。17歳。17歳。」
菜々「分かってますって。早く入りましょう。」
店員「いらっしゃいませ。二名様ですか?」
P「予約したPという者ですが。」
店員「はい、承っています。一番奥の席です。」
菜々「あっ、このお店って日本で一番最初にウィンナーコーヒーを出したお店なんですって。歴史があるんですね?」
P「美味しいのでオススメですよ。」
菜々「おつまみも種類がありますね。ビールもいっぱいありますよっ!」
P「菜々さん?」
菜々「今からナナはアイドルじゃなくて、夢を追いかけ続けたただの女の子に戻ります。だから無粋なことを言うのはやめてくだ
さいねっ。レリゴーっ!」
P「分かりました。ありのままの菜々さんでいてください。」
5:
菜々「注文は決まりましたか?」
P「はい。菜々さんもですか?」
菜々「モチのロンです。仕事終わりはこれですっ!」
P「すいません。注文をお願いします。」
店員「はい。」
菜々「黒ビール。それとソーセージの詰め合わせを。」
P「ウィンナーコーヒーをお願いします。」
店員「黒ビール一つ、ソーセージの詰め合わせ一つ、ウィンナーコーヒーを一つでよろしいですね。」
P「はい。」
菜々「・・・・・・そういえばプロデューサーさん全くアルコールは飲めませんでしたよね。」
P「はい、酒もタバコもやりませんので。」
菜々「そういえば去年の忘年会で少しアルコールが入ったものを飲んで泥酔しましたっけ。」
P「お恥ずかしい限りです。アルコールは匂いだけで酔えるので家計に優しいのが売りですかね。」
菜々「低燃費ですね。そういえば事務所の飲み会にはよく参加してますよね。」
P「飲み会の雰囲気は好きですので。みんなお酒を強要しないですし、楽しいですよ。」
菜々「プロデューサーさんらしいです。おっ、来ましたね。乾杯しましょう!」
P「菜々さん今日はお疲れさまでした。」
菜々「お疲れさまです。ぷはぁ?この一杯の為に生きてます。」
P「本当に美味しそうに飲みますね。菜々さん今度ビールのCMに出てみます?早苗さんと一緒に。」
菜々「ダメですよ?。そんな魅惑的な提案をしないでくださいよ?」
P「冗談です。17歳の菜々さんには早かったですね。」
菜々「また17歳って言うんですね。今の私は夢を追いかけてる女の子です。」
P「はははっ、すいませんでした。」
菜々「全くもう。覚えていてくださいね。」
6:
P「ところで夢を追いかけている菜々さんに聞きたいことがあるんですが。」
菜々「誰か問題があったんですか?」
P「ええそうです。ちょっとそらに関して相談したくて。」
菜々「わざわざ居酒屋じゃなくて喫茶店にしたのも納得です。プロデューサーさんはアルコールの匂いで酔っぱらってしまいますからね。」
P「見抜かれていましたか。」
菜々「女の勘ってやつですよ。」
P「野々村そらは明るくて元気な娘なんです。だからどんなに落ち込んでもそれを表に出そうとしないんです。だから俺はどんな風に声をかければ良いのか分からなくて。」
菜々「何があったんですか?」
P「ええ、この前、そらはオーディションに落ちてしまったんです。ダンスも歌も完璧だったのに。」
菜々「とするとそらちゃんのキャラクターのことを言われたんですか?」
P「その通りです。やはりきらりと比較されてしまいましてね。面接でそらはみんなをはっぴー☆にしたいと言ったんですが、面接官が君ではなくても同じ事務所の諸星きらりがいるじゃないか。二番煎じはよくないってね。」
菜々「ひどい話ですね。そらちゃんときらりちゃんは全然違うんですよ。」
7:
P「良く知らない人には一緒に見えるみたいです。どちらもテンションが高くて日本語が通じそうにないっていう第一印象がありますからね。」
菜々「確かにそれは否定できませんけど……そらちゃんときらりちゃんの良さはそこじゃないと思うんですっ!」
P「本当にそうですね。きらりはみんなを巻き込んでいって一緒にはぴはぴ☆になっていく。それに対してそらは自分が無視されようとも誰かがはっぴー☆になればいいという考え方です。」
菜々「大乗仏教と上座部仏教みたいですね。」
P「そうですね。どちらもみんなを幸せにすることが目的ですから。ただみんなが受け入れやすいのは・・・・・・」
菜々「きらりちゃんの方という訳ですね。それにきらりちゃんには杏ちゃんという最高の相棒がいます。あんきらは人気ですものね。」
P「そらにとってきらりは大きな壁なんです。そらの良さはきらりの陰に隠れてしまう。だからそらも悩んでいるみたいです。このままのやり方でいいのかと。」
菜々「そうですか。プロデューサーさんはそらちゃんのプロデュース方針を変えようと思うんですか?」
P「俺はそらがそららしく輝いてくれるのが一番だと思っています。」
菜々「だったら答えは一つです。私はずっとウサミン星人のナナでした。ナナはみんなに馬鹿にされてもナナでいました。どんなにオーディションを落ちてもナナでいました。私はナナ以外のことを出来るほど器用じゃありません。だから私はナナであり続けようと思ったんです。」
P「……そらにその覚悟はありますかね?」
菜々「あなたのアイドルを信用してください。そらちゃんは強い子です。きっと何度も立ち上がりますよ。」
P「菜々さんにそう言ってもらえると嬉しいです。」
菜々「そらちゃんを見ていると昔の自分を見ている気分になってしまうんですよー。年ですかねー。」
P「菜々さんのウサミン星人はそらのキャラクターと近いものがありますからね。ファンのことを一番に考えている所までそっくりです。」
菜々「必ずそらちゃんを導いてくださいね。」
P「任せてください。何年掛かってもやってみせます。
8:
菜々「さて、難しいお話はこれでおしまいです。プロデューサーさん、色々なことで悩んでいると禿げちゃいますよ。楽しみましょう!」
P「……」
菜々「どうしたんですか?」
P「……げじゃないです。少し剃り込みがあるだけです。だから決して禿げじゃないんです・・・・・・」
菜々「プ、プロデューサーさんも飲みましょう。この黒ビール美味しかったですし、私もまだ飲み足りないなあって思ってましたから。アハハハー」
P「だから禿げてません。これは本当です。」
菜々「はいはい。それじゃあ生で良いですか?」
P「いえブラックコーヒーを。禿げてないことの弁明をしなければなりませんから。」
菜々「泣いても良いんですよ。プロデューサーさん。ありのままの自分でいましょう。レリゴーっ!」


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