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桑田「舞園ちゃんから手紙を貰った」
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1:
夜時間、桑田の部屋
桑田「あーあ……眠ぃ。脱出手段も見つからねえし、俺たちこれからどうるんだろ」
桑田「考えてても仕方ねえか。筋トレでもしてから寝て……ん? 何だ、この紙」
桑田「何々、部屋に来てください、舞園。だと」
桑田「ひゃっほう! 苗木の奴と仲良くしてたみたいだけど、やっぱり俺に惚れてたんだな!」
桑田「そうと決まれば、考えるまでもねえ。早向かうとするか」
3:
桑田「へへ、携帯電話全盛期のこの御時勢に、アイドルから手紙で呼び出しを受けるなんて、俺ぐらいのものだろうな」
桑田「それにしても、妙に廊下が長い。舞園ちゃんの部屋なんてすぐそこの筈なのに」
桑田「舞園ちゃんの部屋だけじゃない。俺の部屋以外、行けども行けども部屋が無いじゃないか」
桑田「こんなの詐欺だ! あんまりじゃないか!」
桑田「どうせ、モノクマの嫌がらせだろうな。しゃーない、部屋に戻るか」
桑田「舞園ちゃんには、食事の時に誤ればいいだろ」
4:
桑田「俺の部屋もない」
桑田「どういうことだ。帰ろうと思うまでは、振り返れば見える距離にあったのに」
桑田「扉が、影も形もなくなっているじゃあないの」
桑田「おい、モノクマ! どういうことだよ!」
桑田「」
桑田「モノクマも出てこない。全体、どうなってんだこりゃ」
6:
桑田「嫌がらせにしちゃ、大仰すぎるんじゃあないか」
桑田「こう、廊下ばかりが続くんじゃあ、気も滅入ってくる」
桑田「舞園ちゃんに会うどころか、部屋に戻ってベッドに入ることすら許されないのかよ」
桑田「そこまでの咎を負ったつもりもないんだけどな」
桑田「おい、モノクマ! いい加減にしてくれよ!」
桑田「」
桑田「よく考えたら、監視カメラも無いじゃねえか」
桑田「どうなってんだよ」
7:
桑田「いくらなんでもおかしいだろ」
桑田「このまま眠っちまうのも手だが、ルールに抵触したら俺の身が危ない」
桑田「ルール以前に、廊下で寝こけているような奴は格好の獲物じゃね」
桑田「俺なら揺り起こすけれど、あいつらが信用できるとも限らねえ」
桑田「何とかして部屋に帰り着くしかねえな」
9:
桑田「とはいうものの、やっぱりいくら歩いても廊下だ」
桑田「もう十分は歩いているのに、扉どころか監視カメラの一つも見えない」
桑田「ここが本当に希望ヶ峰学園なのかも怪しく思えてきやがる」
桑田「学園七不思議ってやつか? 夜中に廊下が伸びるなんて、ゾッとしない話だな」
桑田「誰か出てきてくれよ、モノクマでもいいからさあ」
13:
桑田「この廊下の先に、本当に俺の部屋はあるのだろうか」
桑田「そもそも。廊下の先なんてもんがあるのだろうか」
桑田「室内で地平線を見るなんて、生まれてこの方想像もしなかったな」
桑田「これがモノクマの嫌がらせだってんなら、効果覿面だ。本当に、何もかもが嫌になってくる」
桑田「」
桑田「あー、ダメだダメだ。こんなの俺らしくねえ。前向け、俺」
18:
桑田「何か叩けるようなものがありゃ、廊下をぶち壊してもみるんだが」
桑田「駄目か、防音処理がされてるような建物、大神でもなけりゃあぶち破れねえ」
桑田「歩くしか……ねえわけだよなあ」
桑田「くっそ、眠気ヤバいってのに、何で俺がこんな目に合うんだよ」
桑田「こういった訳の分からねえ現象は、十神の野郎にでも降りかかればいいのに」
桑田「走ってみるか」
20:
桑田「ふぅ」
桑田「二十分程走ってみても、依然変化無しか」
桑田「こうなってくると、いくら歩いても果てが無いとしか思えねえ」
桑田「壁、ノックしてみるか」
桑田「誰か気付いてくれるかもしれねえ」
桑田「ノックくらいで気付くなら、叫んだ時点で気付きそうなもんだが、やらないよりはマシだろ」
21:
コンコン
桑田「」
コンコン
桑田「」
コンコンコンコンコンコンコン
桑田「」
コンコンコンコンコン
桑田「返事は無し、と。まあ分かりきってたけどな」
24:
桑田「脱出手段を考えるのは一先ず諦めるか。歩きながら、とっかかりを探せばいいや」
桑田「まずもって気になるのは、俺をこの長い廊下に閉じ込めた黒幕だ」
桑田「順当に考えればモノクマなんだろうが、しかし妙だ」
桑田「殺すにしても、俺を狙う理由がまるでない」
桑田「俺は知恵が回る方でも無ければ、腕っぷしが強いわけでもない」
桑田「自分で言うのも悲しいけれどよ、モノクマにとっては脅威にもならない筈だ」
26:
桑田「俺がモノクマなら、少なくとも俺なんかは狙わない」
桑田「暴力の脅威なら大神や大和田、知力の脅威なら十神や不二咲か。オカルトの力を信じるなら、葉隠なんかも存外曲者かもしれない」
桑田「苗木は何とも言えない行動力があるし、石丸には統率力がありそうだ」
桑田「霧切は何をしでかすか分からない不気味さがあるし、セレスはギャンブラーだけに決断力に優れているだろう」
桑田「俺なら、その辺りから潰していく。俺のような駒は、能力ある駒を潰した後の手慰みにでも殺せばいい」
桑田「やっぱり、妙だ」
28:
桑田「モノクマじゃあないとするならば、ますますもって妙だ」
桑田「あいつらとは、会ってから三日ほどしか経っていない」
桑田「七十二時間程度の邂逅でもって、人を殺害せんと断じたならばそいつは気狂いもいいところだ」
桑田「よしんばDVDに騙されたとしても、手を穢してまで外の連中に会いたいものか」
桑田「俺以外の奴はそうは思わなかったのか?」
29:
桑田「誰が俺を貶めようとしているのかはさっぱり分からねえが、俺がこうして長廊下の刑に陥っている以上、犯人がいるってこった」
桑田「一人ずつ考えていくか」
桑田「人を疑うのは悪いことだろうがよ、直接疑いをぶつけるわけでもない」
桑田「まあ、許してくれるだろ」
桑田「まずは、苗木だ」
桑田「苗木が俺を殺そうとするなら、舞園ちゃんを取ったことに対する嫉妬か?」
31:
桑田「おいおい、そりゃないぜ」
桑田「確かにお前と舞園ちゃんは良い雰囲気だったよ」
桑田「でも、最後に舞園ちゃんが手紙を出したのは俺だ」
桑田「俺の方がちっとばかし顔もよく、男として魅力があり、才能があったってだけだ」
桑田「でも、俺を選んだのは舞園ちゃんだ。俺に咎があるわけじゃあない」
桑田「逆恨みを加味して、犯人確率二十パーセントってところか」
33:
桑田「次は霧切か」
桑田「やべえ、何も思いつかねえ」
桑田「つーか、そもそも喋ってねえ」
桑田「だってこええんだもん、あいつ」
桑田「不気味度を加味しても五パーセントくらいか?」
桑田「万が一あいつが犯人だったら、こりゃ無差別殺人だわな」
34:
桑田「十神は有り得そうだ」
桑田「あいつは二重三重に凝った殺人をしてきそうだからな」
桑田「廊下で衰弱死なんて犯人の分からない方法、好みだろうな」
桑田「同じく、腐川も怪しい」
桑田「こんな怪奇現象、小説の中でしか起こりえねえ。トリックが怪奇現象なんて、クイーンやカーならそっぽ向くこと請け合いだけどな」
桑田「クリスティなら笑い飛ばして新作を書き起こすだろうな」
桑田「小説で起こり得ることは漫画でも起こる。よって、山田も入ってくる」
桑田「三人とも六十パーセントくらいにしとくか」
36:
桑田「そもそも、モノクマ以外と仮定するならこりゃ怪奇現象なんだよな」
桑田「そうなると、俄然怪しくなってくるのは葉隠だ」
桑田「占いなんてもんはオカルトだ」
桑田「そんなオカルトを自由自在に操れるのなら、廊下を伸ばすくらい訳ないだろ」
桑田「俺が衰弱死した後に、『長廊下の先制攻撃だべ!』とでも言えばいい」
桑田「マジであいつ犯人じゃねえのか。つうか、もうあいつが犯人でいいや」
桑田「考えるのも面倒になってきた」
38:
桑田「俺が部屋を出てから、もう一時間以上も経っている」
桑田「どうしてこうなったんだ? 何で俺がこんな目に合うんだ?」
桑田「俺が何したってんだよ」
桑田「畜生! 部屋はどこなんだよ!」
桑田「ああああああああああああああ!!」
桑田「ふざけんなよ! 俺をこんな目に合わせやがって!」
桑田「と、苛ついてみても仕方がない。叫んでも誰かが答えてくれるわけはないんだからな」
43:
桑田「眠気も限界だ。もう寝てしまってもいいんじゃないだろうか」
桑田「罰を受けた方がまだマシかもしれない」
桑田「起きた時に、この廊下が元に戻っていればの話だけどな」
桑田「ん?」
桑田「あれは……扉?」
桑田「戻れた、のか?」
47:
桑田「ここで行き止まりか」
桑田「目の前には三つの扉」
桑田「左右に一つずつ。そして最奥に一つ」
桑田「どれかが部屋の扉だったらいいけど」
桑田「まずは、右側の扉から開いてみるか」
53:
桑田「この部屋は……」
苗木「君が舞園さんを殺したんだ」
桑田「ふざけんな、証拠はあんのか! アホアホアホアホアホアホアホ!」
苗木「君は鍵を壊す際に、自分の工具セットを使った筈なんだ」
桑田「アホアホアホアホアホアホアホアホアホアホアホォ!」
苗木「見せてもらえるかな、君の工具セット」
桑田「……アポ?」
モノクマ「それでは投票に――」
桑田「はぁ……はぁ……」
桑田「何だ、今の部屋」
桑田「俺が、舞園ちゃんを殺した?」
56:
桑田「俺が、殺されてた」
桑田「硬球を千発もぶち込まれたら、死ぬに決まってるだろ!」
桑田「何だよ、俺は何もしてねえよ!」
桑田「幻覚か? にしちゃあ、やけにリアルだった……まるで、自分が本当に体験したような……」
桑田「……いや、どうせ嘘っぱちだ。次は、左の扉だな」
61:
桑田「さっきみたいに、また殺されてる光景を見るんじゃないだろうな」
桑田「俺、この学校辞めるわ。チームメイト達に頭下げて、もう一回野球やってみようかってな」
苗木「うん、やっぱり桑田君はその方がいいと思うよ」
桑田「といっても、歌も両立させるつもりだぜ?」
苗木「そうなの?」
桑田「ああ、投げて歌えるプロ野球選手! これが俺の選んだ新しい道だ」
桑田「こうして道を見つけられたのも、話を聞いてくれたお前のおかげだ」
苗木「そんなことないよ! 桑田君がそうやって道を選べたのは、桑田君の力だよ」
桑田「だから、俺のパンツやるよ」
苗木「えっ」
桑田「えっ」
桑田「俺がもう一度野球を……?」
桑田「どういうことだ? あと、パンツってなんだよ」
62:
桑田「右が絶望で、左が希望ってとこか」
桑田「野球をやる気はねえし、パンツもやる気はねえけど」
桑田「俺が野球を選ぶ未来ってのも、あったのかもしれねえな」
桑田「その時には、隣に舞園ちゃんが居てくれれば」
桑田「多分、最高に幸せだろう」
桑田「少なくとも俺は、そう思う」
64:
桑田「残るは最奥の扉だ」
桑田「ここが出口なんだろうな」
桑田「絶望と希望の中間、どっちに転んでもおかしくない世界」
桑田「希望ヶ峰学園の非日常生活に戻る扉」
桑田「そんな気がする」
65:
桑田「結局、この廊下がなんだったのかなんて分からない」
桑田「だけど、希望があると分かっただけでも、俺は胸を張って戻れる気がする」
桑田「人殺しなんてするものか。絶望になんて染まるものか」
桑田「扉を開けるくらいの手間で、希望は見えるのだから」
桑田「さて、と」
扉を開けた先には、どこまでも続くような長い廊下があった。
完
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