ハルヒ「これより、第一回SOS団式鬼ごっこを開始します!」back

ハルヒ「これより、第一回SOS団式鬼ごっこを開始します!」


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1:
ハルヒ「――ねえ、あんた聞いてるの?」
キョン「……ああ、何だ?」
ハルヒ「だから! 暇だって言ってるの! 何か面白いことないの?」
キョン「そんな簡単に面白いことが起きてたまるか。俺は古泉との勝負で忙しいんだ」
ハルヒ「団長が暇だって言ってるのに平の団員のあんたがゲームに興じててどうすんのよ!」
キョン「そんなこと言ったって他にやることないんだから仕方ないだろうが」
ハルヒ「あたしはその退廃的な空気感が嫌なのよ! 若いパッションをボードゲームに費やしてどうするのよ」
キョン「お前その辺を走ってきたらどうだ? 少しは気が晴れるかもしれんぞ」
ハルヒ「ひとりで走って何が楽しいのよ! それならみんなで走りに行くわよ!」
キョン「おいおい、それこそみんなで走って何が楽しいんだ?」
ハルヒ「ボードゲームを眺めてるよりマシよ。たまには身体を動かさないと」
3:
古泉「そういえば子供のころは所狭しと外を走り回ったものですが、最近は運動不足ですね」
ハルヒ「ほら、古泉君は乗り気よ! あんたみたいなぐうたらとは違ってね」
キョン「何が悲しくて放課後に意味もなく走り回らなきゃならないんだ。俺たちは高校生だぞ」
ハルヒ「どうやったらあんたみたいな斜に構えた人間が出来上がるのかしらねえ。妹ちゃんはあんなに素直なのに」
キョン「妹は関係ないだろ!」
古泉「涼宮さん、提案があるのですが……」
ハルヒ「何、古泉君」
古泉「運動不足解消を狙って、童心に帰って鬼ごっこでもしませんか?」
ハルヒ「鬼ごっこ? ただの鬼ごっこじゃつまらないわよ?」
4:
古泉「もちろん、SOS団特別ルールで」
ハルヒ「内容によるけどいい響きだわ。どんなルールでやるの?」
古泉「それはですね……。その前にちょっと失礼」
 「長門さん少しあちらでお話ししたいことがあるんですが……」
長門「……」
キョン(あいつらすみっこで何を話してるんだ)
古泉(……)
長門(……)
古泉「――という感じでお願いしたいんですが」
長門「わかった」
古泉「お待たせしました。それではではルールをご説明しましょう」
5:
古泉「通常の鬼ごっこは鬼がひとりというのが常識ですが、単純に鬼を決めて追いかけても面白くありません」
 「今回は全員が鬼であり、全員が子として逃げる、ということにしたいと思います」
 「対象となる鬼と子はひとりずつで、円環に対象を追いかける構図を想像してみてください」
ハルヒ「ええと、AはBを追って、BはCを追う、CはAを追うってことかしら?」
古泉「さすがは涼宮さんですね。そういうことです」
ハルヒ「それって捕まえたら終わりなの? その時点で円が作れなくなっちゃうわ」
古泉「制限時間を設けて、その間はお休みということにしましょう。そうですね、10分間の強制休憩です」
 「その間は捕まえることは出来ませんが、捕まえられることもありません」
6:
ハルヒ「仮にAがBを捕まえたとしてもCからは逃げる義務が継続していくってことね」
キョン「でもそれじゃBが無敵状態じゃねえか。捕まった方が楽だ」
古泉「もちろんペナルティも考えていますよ。捕まるごとにジュースを奢ることにするのですよ」
みくる「もしかして全員にですか?」
古泉「いや、捕まえた鬼さんにです。そして、その負債をなくすために自分の対象となる子を捕まえるわけです」
キョン「捕まったら自分も鬼を捕まえに行かないとチャラに出来ないってことか」
古泉「そういうことです。あと他にもルールを考えていますので、少しまとめてみましょう」
7:
第一回 SOS団鬼ごっこ
 ◆ルール1 前提
・参加者は団員全員、涼宮ハルヒ、長門有希、朝比奈みくる、古泉一樹、キョン。
・参加者全員が鬼であり、全員が子とする。
・誰が誰を対象にするかはくじ引きにて決定する。
・鬼が対象の子を捕まえた場合には、飲み物の献上をもって罰とする。
・捕獲された者には10分間の強制休止時間(休止状態)を設ける。
(その間、鬼および子の捕獲・逃亡の義務は適用されない。後述の子の繰り下げ宣言中を除く)
・鬼に捕獲された子はやかに機器を用い、被捕獲および捕獲場所を宣言する。
・強制休止明けは子自身による復帰宣言をもって完了する。その際、復帰場所は宣言する必要がない。
(撹乱のため、宣言することは可能)
・10分間の休止状態の後、該当する子を捕獲した際には先の鬼への献上は取り消される。
8:
 ◆ルール2 詳細 その1
・対象の子を捕獲した鬼は、自身の対象の子が休止時間内のみ、宣言を持って『子の繰り下げ』を行うことが出来る。
(繰り下げ宣言した者は該当の子:孫を捕まえた場合、二倍の献上品を受け取ることが出来る)
・子の繰り下げ宣言をした暁には、繰り下げ対象(孫)に該当しない参加者全員から『共通子』として捕獲対象になる。
(繰り下げ宣言中、宣言者である共通子が捕獲された場合、共通子には休止時間が発生しない)
・子の繰り下げ宣言をした者が該当する子(孫)を捕まえた場合、再度繰り下げ(二次宣言)をするか、繰り下げ終了か選べる。
・子の繰り下げ宣言は二連続まで可能だが、同時には行えない。
(A→B→Cの組で二次宣言が行われた場合、同じ状況のD→E→Fは二次宣言が行えない。一次は可)
・一次宣言中において、宣言者の子は宣言者を共通子とみなして捕獲できる(親討ち)。
(親討ちの褒賞は二倍になり、子の繰り下げ宣言は強制的に終了となる。親討ちの際の休止状態は宣言者が請け負う)
・子の繰り下げ宣言中に該当の子(孫)が休止状態であった場合、その休止は解かれる。
9:
 ◆ルール2 詳細 その2
・子の繰り下げ宣言中に宣言者の該当の子(孫)が自身の対象の子を捕まえた場合、繰り下げ宣言は解かれる。
(※この場合、最後に捕まった者が休止状態になり、その他の休止状態対象者の休止は解かれる)
・二次宣言を行う場合、対象となる子(曾孫)は任意で選ぶことが出来る。
(※ただし、任意対象は連続を認めない。孫がそのまま曾孫になることは出来ない)
・二次宣言中は規定の鬼、子関係を解消し、曾孫を追う共通子、それを追う参加者のみになる(乱戦)。
(乱戦に入った時点で全休止状態は解除される。休止状態の解除は二次宣言終了後も継続する)
・二次宣言の終了は10分間が経過すること、曾孫もしくは共通子が捕まることで決着とする。
(曾孫が捕まった場合の献上品は宣言者へ一、共通子が捕まった場合は捕獲者へ二とする)
・二次宣言を行わない場合、宣言は解かれ、休止状態の子が即時復帰する(孫も含む)。
(※ただし、宣言をする契機となる最初に捕まえた子は除く。その復帰時間は捕獲された時間に依存する)
・子の繰り下げ宣言の終了は管理者の宣言によって行われる。
(併せて復帰する者は自身の復帰宣言も行うこと)
10:
 ◆ルール3 補足
・捕獲の回数に制限はない。
・撹乱のために第三者の所在を宣言することは常時可能。
・移動中の情報交換は機器によって任意に行うことが出来る。
・制限時間は60分。
・移動距離はGPSにて管理、把握。最終的な移動距離が最下位のものは一位へ飲み物の献上を行う。
(最下位の移動距離が一位の三分の二に満たない場合、全員への飲み物献上義務が発生する)
・活動域は北高敷地内に限る(室内含む)。
・献上物の配分は終了後に行う。
11:
ハルヒ「いくつか質問があるんだけど」
古泉「何でしょうか」
ハルヒ「捕まった人が捕まった宣言をするときに何で場所まで言う必要があるの?」
古泉「これは捕まえた鬼に対するささやかなペナルティですよ。捕まえた鬼もまた子なわけですから」
ハルヒ「Aが捕まったときBはもちろん傍にいるから、Bを狙うCにチャンスが来るってわけね」
古泉「その通りです。当然のことですが、Cを狙うDにもチャンスが巡ってくるというわけです」
ハルヒ「『捕獲の回数に制限はない』っていうのは?」
古泉「これはゲームの中だるみを防ぐことが出来るようにです。まあ、おそらく多くても3回ほどでしょうか」
12:
ハルヒ「あと『子の繰り下げ宣言』ってところをもうちょっとよく知りたいわ」
古泉「例えば涼宮さんの対象の子が朝比奈さんだったとします。そして朝比奈さんの子が長門さんだったとします」
 「涼宮さんが朝比奈さんを捕まえた後、宣言することで長門さんも子として捕まえることが出来るということですよ」
ハルヒ「それで捕まえればジュースを貰えるってこと?」
古泉「もちろんそうです。ただ、それにはデメリットもあります」
 「この場合、朝比奈さんが休止の間だけですから10分間のみになります」
 「仮に10分の間に長門さんも捕まえた場合、二回目の宣言が出来ます。こちらはややハードです」
 「長門さんの子が僕であった場合、涼宮さんは僕を除くすべての参加者の捕獲対象になるのです」
 「この場合、僕は逃げ切るか、涼宮さんが僕を捕まえれば乱戦状態は終了します」
 「また、その時間内で涼宮さんが捕まった場合、強制休止は適用されません」
13:
ハルヒ「そのときにあたしが捕まっても、捕まった場所の宣言をしないといけないわけ?」
古泉「その通りです。また、二次宣言、乱戦の宣言者が捕獲された場合、その人に強制休止時間は発生しませんので……」
 「宣言中に一度捕まると皆に捕獲される可能性があるというわけです」
キョン「ルール2が細かすぎる……。子の繰り下げ宣言てのは10分間の間ならいつでもできるのか?」
古泉「いつでも可能です」
みくる「混乱してきました……」
ハルヒ「みんなを敵に回す覚悟があれば多くの獲物を狙うことが出来るわけね! 素敵だわ!」
キョン(ハルヒのために考えられたようなルールだな)
14:
キョン「『移動距離が最下位のものは一位へ飲み物の献上を行う』ってのは何だよ」
古泉「お忘れかも知れませんが、このゲームの目的は運動不足解消です」
 「動かず隠れてやり過ごそうとする不遜な輩には重大なペナルティが必要でしょう?」
ハルヒ「素晴らしいルールだわ!」
みくる「……えぇ」
キョン「けっ。で、これ全体の管理は誰が行うんだ?」
古泉「皆さんにはこちらを使用していただきます」
キョン「何だこりゃ? 新型の携帯か?」
古泉「僕の知り合いが玩具メーカーで開発を行っていましてね。その試作品なんですよ」
みくる「随分しっかりした玩具ですねえ」
15:
古泉「GPSを搭載していますので、皆さんの移動距離はこれで計測します」
 「なお、精度がさほど高くはないので、動くときはなるべくしっかり動かないと計測されません」
 「もちろんお互いの位置はわからないようになっています。索敵は目視でやってくださいね」
ハルヒ「もしかして捕まえた宣言とかもこれで出来るの?」
古泉「ええ。これにはグループチャットのような機能がありますので、全員で同じものを見られます」
ハルヒ「本当に携帯みたいね。これなら簡単に使えそうだわ」
古泉「ちなみに無線のような機能もありますので、音声でも全員にコミュニケーションを取ることができます」
 「皆さん少し練習してみてください。宣言、撹乱にはすべてこれを用いてやっていただきます」
16:
ハルヒ「えーっと……、こうかしら」
■HARUHI.S > アホキョン!
みくる「あ、こういう風に表示されるんですね……。すごい」
キョン「何してんだお前は……」
みくる『……えーと、こうかな? みんな聞こえますかあ』
ハルヒ「聞こえる聞こえる! すごいわねこれ!」
古泉「喜んでいただいているようで何よりです。どうやら使いこなせそうですね」
 「ちなみに、音声もメッセージも特定のメンバーとは出来ません。言うまでもなく、謀防止のためです」
キョン「まったく、よく出来た試作品だこと」
古泉「逃げ回りながらで混乱してくるとは思いますが、ルールはこのボタンを押せばいつでも確認できます」
 「また、実際に始まったときの状況整理は長門さんがフォローしてくれることになっています」
17:
キョン「そうなのか?」
長門「そう」
古泉「本当は管理者という第三者を据えた方がいいんですが、長門さんがそれを兼ねてくれるそうです」
ハルヒ「有希の手を煩わすんじゃないわよ、キョン!」
古泉「みなさんジュースがかかってますからね。宣言をくれぐれも見落とすことのないようにお願いします」
 「では、誰を追いかけるのか、誰から逃げるのかをかけて、クジを引きましょうか」
キョン「しかし急な割に随分と用意がいいじゃねえか。いつから暖めてたんだ?」
古泉「そんな大したものではありませんよ。たまには素朴な楽しさもいいかと思っていただけです」
 「長門さんの協力があってのことですが、涼宮さんを退屈させないのも我々の仕事ですから」
18:
 ◆クジ結果
 長門 → みくる → 古泉 → キョン → ハルヒ
キョン(何が悲しくてハルヒを追わねばならんのだ……。俺は朝比奈さんを捕まえたかったぜ)
古泉「では10分後にスタートということで始めましょうか」
ハルヒ「何だかワクワクするわね! 有希、じゃんじゃん捕まえてあげるから覚悟しなさい!」
長門「……」
キョン「お前、俺に捕まる心配はしてないのか?」
ハルヒ「当たり前でしょ? あんたなんかに捕まるほど呆けてないわ!」
みくる「あたし長門さんに追われるんですか……」
19:
キョン「長門、ちょっと……」
長門「……」
キョン「何だかハルヒが張り切ってるからきちんと逃げ回ってやってくれないか?」
長門「わかった」
キョン「もちろん超常的なものはなしだ」
長門「理解した」
キョン「あとな、このルールを俺にぱっと憶えさせてくれないか? お前なら出来るだろ?」
長門「……超常的な行為は禁止されている」
キョン「言う順番を間違えたな……」
20:
古泉「では始めましょうか。では涼宮さんからスタートです」
 「そのあとは1分置きに続き、長門さんがスタートした時点から60分ということで」
 「では涼宮さん、開始宣言をどうぞ」
ハルヒ「これより、第一回SOS団式鬼ごっこを開始します!」
 「みんな死ぬ気で走り回りなさいよ! いいわね!」
キョン(よくもまあ、恥ずかしげもなくあんな大きな声が出せるもんだと感心するぜ)
古泉「ふふ、盛り上がってきましたね」
みくる「涼宮さん、何か怖いです……」
長門「……」
21:
ハルヒ「それじゃみんな待ってるわよ」
 *
キョン「やれやれ」
 *
古泉「では僕も参りましょう」
 *
みくる「古泉君を探して……、長門さんから逃げて……」
 *
長門「……」
22:
■YUKI.N > 状況開始
23:
ハルヒ(スタートが1番だったなんてラッキーだわ!)
 (ここなら誰にも見つからずに出てくるところを観察出来るわ)
 (あのアホキョンに捕まるなんてことはないでしょうけど情報収集は大事よ)
 (みんな思い思いに散っていったけど、これで大体の方向はわかるわ)
 (まずは冷静な観察。そして考察、計画、実行!)
 (問題は有希ね……。どうやって捕まえてやろうかしら)
24:
キョン(やれやれ、正直言ってめんどくせえな。だが、古泉に捕まるわけにはいかねえな)
 (得意げなあいつのにやけ面が目に浮かぶようだ)
 (しかしハルヒを追うのはフィジカル的に難しい。俺があいつに勝てるものってなんだ……)
 (……騙し討ちか。なんとも情けないな。だが卑怯とは言うまいな、ハルヒよ)
 (問題は何をどうやって騙すかだ。……とりあえず移動しながら考えないとな)
 (朝比奈さんがいるから移動距離で最下位ってことはないだろうが、警戒はしておかないと)
25:
古泉(涼宮さんはおそらくあそこに隠れていたんでしょう。不穏な空気を感じました)
 (まあ、僕の狙いではありませんから気にしないことにしましょう)
 (とりあえず向こうに向かってみましょうかね)
26:
みくる(なんで鬼ごっこなんてすることになったんだっけ……)
 (そもそも、あたしには鬼ごっこっていうのがよくわからないのに……)
 (……そうだ、上の人に訊いてみよう。えーっと……)
 「……あれ? 長門さ……」
27:
■YUKI.N > 朝比奈みくるを確保
■YUKI.N > 捕獲場所は校舎二階廊下
キョン「何!? まだ開始されてから3分と経ってないぞ」
■YUKI.N > 即時、子の繰り下げを宣言
■YUKI.N > 古泉一樹を孫として捕獲対象にする
ハルヒ『有希やるじゃない! それでこそ捕まえ甲斐があるってもんよ!』
古泉『やりますね、長門さん』
■YUKI.N > 古泉一樹以外の参加者は私を共通子とみなして捕獲することが出来る
■YUKI.N > 同時に朝比奈みくるの休止時間も解かれる
キョン『おい、長門! なんでこんなに張り切ってるんだ?』
■YUKI.N > 部室棟から捜索を始める
みくる『……長門さん、走るのすごくいです』
28:
キョン(何故自分の居場所をばらす? 罠? いや、長門はどうやら本気だ)
 (長門は嘘をつくとは思えん。狙いは何だ? もちろん古泉だよな)
 (……古泉の獲物は俺だ。そして俺の獲物はハルヒ。ハルヒはあれを見てどうするか……)
 (部室棟へ行ったに決まっている。そこを俺が狙うわけか)
 (古泉はどこまで考えるか……。あいつはなんだかんだ賢しいからな)
 (……行けば思う壺だが、俺は古泉に捕まらないようにハルヒを捕まえればいいわけだ)
 (ついでに長門を捕まえてもいいはずだ。とりあえず向かってみるか……)
 (古泉からは逃げられるだろう、多分な)
29:
ハルヒ『待ってなさい有希! 今捕まえてあげるわー!』
キョン(あいつやっぱりアホだな。わざわざ全員に伝えなくても……)
古泉(涼宮さんは読み通り。あとは追う側がどうしているかですね……)
 (あの方もそれに気付いて待ち伏せしているかもしれません……)
 (果たしてどうするのが得策でしょうか……。とりあえず僕も向かわざるを得ないのかもしれません)
 (おや? あれは……)
30:
■YUKI.N > 古泉一樹を確保
■YUKI.N > 捕獲場所は部室棟渡り廊下付近
キョン『はええよ!』
 (朝比奈さんが捕まってから約5分……。もちろん移動時間も含む。本気出しすぎだろ、長門)
古泉『いやあ、長門さんのさを侮っていましたよ。さながら獲物を狙う猛禽類のようなスピードでした』
キョン『冷静に言ってる場合か!』
ハルヒ『有希、張り切ってるじゃない! そうでなくちゃね!』
■YUKI.N > 二次宣言を行う
ハルヒ『誰? 誰にするの?』
キョン(おいまさか……)
31:
■YUKI.N > 涼宮ハルヒを曾孫に指定する
キョン(げ!)
■YUKI.N > これより10分間、私は涼宮ハルヒのみを追う
■YUKI.N > 乱戦状態に移行する
■YUKI.N > 古泉一樹を含む3名は休止状態を解除、共通子である私を追う
■YUKI.N > この休止状態の解除は二次宣言の終了後も継続される
■YUKI.N > 私を捕獲すれば褒賞は二倍
ハルヒ『立場が逆転したわね! あたしを捕まえられるものなら捕まえてみなさい!』
みくる『長門さんいました! 部室棟から出て来てます!』
キョン(やれやれ。長門を捕まえにいかにゃならんのだろうな)
32:
キョン「朝比奈さん!」
みくる「あ、キョンくん」
キョン「長門はどっちに行きましたか?」
みくる「あっちの方に走って行きました。校庭の方に行くのかな……」
キョン「……何だって長門はあんなに張り切っているんでしょうね?」
みくる「どうなんでしょう。でも心なしか長門さん嬉しそうに見えました」
キョン「え?」
みくる「笑ってたというわけじゃないんですけど……。なんと言うか嬉しそうでした」
キョン(……これは喜ぶべきことなのか)
33:
ハルヒ『こら! キョン! 古泉君! みくるちゃん! あんたたちどこにいるの?』
 『団長が囮になってるんだから、さっさと有希を捕まえに来なさいよ!』
キョン『お前こそどこにいるんだ!』
ハルヒ『言えるわけないでしょ! 有希も聞いてるんだから!』
キョン(そりゃそうだ)
キョン『長門は校庭方面へ行ったようだと朝比奈さんは言っているが……』
■YUKI.N > 私は校庭へ向かっている
ハルヒ『有希、嘘ついてるでしょ! というかどうやって打ってんのよそれ! すぎるでしょ!』
キョン(ハルヒが息切れしてるとは珍しいな)
ハルヒ『とにかく早く有希を捕まえなさい! 団長命令よ!』
キョン『勝負事に団長命令もクソもあるか!』
34:
キョン(あいつらどこ行ったんだ? いねえじゃねえか……)
 (しかし俺の体力でどうやって鉄人長門と超人ハルヒを探して追えっていうんだ)
 (体力が……、もたない……、息が……、苦しい)
■YUKI.N > 二次宣言終了まであと3分
キョン(しかし、ハルヒはよく逃げてやがるな。朝比奈さんと古泉足しても10分ももってないのに)
 (まあ、あいつなら逃げ切れるのかもしれんが……)
 (さて、どこを探せばいい? そういえば長門は部室にいる以外のところをほとんど見たことないな)
 (とりあえずこっちに行ってみるか……。当てがないのは困りもん――)
 (――いるじゃねえか! あんなとこに突っ立って何してるんだ? 何か見てる……?)
 (茂みの中に何かいるのか? くそ、ここからじゃよく見えねえぞ)
35:
キョン(何にしろこれはチャンスだ。長門は捕まえておこう。……ハルヒに恩も売れるしな)
 (猫か? 学校内に忍び込むとは神経の太いやつだな。こんなとこじゃ飯にもありつけんだろうに)
 (ゆっくり、ゆっくりだ。頼むから誰も俺のことを見ていないでくれよ)
 (長門に背後から忍び寄っているなんて谷口にでも知られたら向こう一週間はネタにされちまう)
 (よし、いけるぞ!)
古泉「長門さん、捕まえました」
長門「……」
キョン「あっ! おい! てめえ!」
古泉「あなたの後ろ姿を見つけたので、息を潜めていたんですよ。ごっつぁん捕獲とでもいうんでしょうか」
キョン「汚ねえぞ!」
36:
古泉「これは異なことをおっしゃいますね。チャンスは平等にあったはずですよ」
 「あなたがもう少し後方に注意していればこんなことにはなりませんでしたが……」
キョン「くそっ」
■YUKI.N > 私は古泉一樹に捕獲された
■YUKI.N > 場所は部室棟裏
■YUKI.N > これにより二次宣言は終了する
ハルヒ『さっすが古泉君! よくやったわ! 何か褒美を取らせないといけないわね』
古泉『ありがとうございます』
■YUKI.N > 二次宣言の終了をもって通常へと戻る
ハルヒ『ということは有希を捕まえればいいわけね!』
長門『そう』
古泉「そうすると……、僕はあなたを捕まえればいいわけですね」
キョン「……ちょっと待て! 来るな!」
37:
キョン(結局あの後、俺は10分ほど逃げ回ったが古泉に2回捕まった。……あいつの足があんなにいとはな)
 (何が「あなた相手なら本気でいきますよ」だ。気持ちわりい)
 (長門はあれ以降多少セーブしたようで、序盤ほどの猛威を奮ったりはしなかった)
 (それでも朝比奈さんは2回ほど捕まっていたが……)
 (ハルヒは捕まえられることも、捕まえることもなかったが満足そうだった)
 (後半は各々疲れが見え出し、誰もが積極的に捕まえにはこなかった)
 (移動距離で俺がまさかの最下位かつ一位の長門の三分の二以下というオチまでついた)
 (驚いたこと長門とハルヒの移動距離はほとんど同じだった)
38:
古泉「結果はこのようになりました」
 長 門:捕獲数4、被捕獲数1、獲得数+3(みくる+1、みくる+1、みくる+1、古泉+1、古泉-2、キョン+1)
 みくる:捕獲数0、被捕獲数3、獲得数-2(長門-1、長門-1、長門-1、キョン+1)
 古 泉:捕獲数2、被捕獲数1、獲得数+3(長門-1、長門+2、キョン+1、キョン+1)
 キョン:捕獲数0、被捕獲数1、獲得数-6(古泉-1、古泉-1、全員-4)
 ハルヒ:捕獲数0、被捕獲数0、獲得数+1(キョン+1)
39:
ハルヒ「よく動いたわねー。流石に疲れたわ。しかし、有希をまったく捕まえられないとはね」
みくる「もう動けません……」
キョン「長門はともかく、古泉もいい結果を出すとはな」
古泉「心外ですねえ。勝者から戦利品のお裾分けをしようとと思っていたのですが……」
 「朝比奈さんには差し上げます。こちらをお飲みください」
みくる「わあ、いいんですか? ありがとうございます」
ハルヒ「古泉君、キョンにはあげなくていいわよ。あんた、みくるちゃんに負けるなんて悔しくないの?」
キョン「古泉がいなけりゃ長門を捕まえられたんだ!」
ハルヒ「あんたそればっかじゃない! 恥を知りなさい恥を」
長門「……」
40:
キョン「なあ、長門。なんであんなに張り切ってたんだ?」
長門「……」
キョン「もちろん盛り上げ役としては最高の働きだったが、意外に思ってな」
 「もしかして結構面白かったのか? 俺にも少なからずお前が楽しそうに見えた」
長門「……興味深い体験だったと感じている」
キョン「そうか、ならまたやるようにハルヒに言ってみよう。長門が楽しかったならハルヒも狂ったように喜ぶぞ」
 「ただ、少し時間を空けてからな。俺は明日起き上がれる気がしないぜ。見ろ、膝が笑ってる」
長門「そう」
キョン(当たり前だが長門はこういう遊びはしたことないんだよな)
 (鬼ごっこに興じる宇宙人か……。スピルバーグっぽいネタだな)
41:
キョン「よう、昨日はお疲れさん」
古泉「楽しんでいただけたでしょうか?」
キョン「足がパンパンなのを除けばぼちぼちだな」
古泉「僕もですよ。無心で走るのは本当に久しぶりの体験でした」
キョン「毎度ってわけにはいかないが、たまにはいいものかもしれねえな」
 「どうやら長門も楽しんでたみたいだったしな」
古泉「おや、それは収穫でしたね。願わくば、次回は長門さんには追われたくありませんが……」
キョン「……で、何か話があるんだろ?」
古泉「ご明察の通りです。さすがですね」
42:
古泉「昨日の鬼ごっこに使用した機器ですが――」
キョン「――あれは便利だったな。通常使いで欲しいくらいだったぜ」
古泉「既存の携帯電話を元に長門さんに性能の底上げと複製をお願いしたものです」
 「もちろん電波法には触れ得ないような仕組みにしてもらいました」
キョン「そういう細かいことはどうでもいい。で?」
古泉「涼宮さんの移動した軌跡を辿ってみたところ、不思議なものが浮かび上がってきました」
 「とりあえず、これをご覧になっていただけますか?」
キョン「……酔っ払った芋虫が管巻いて徘徊したあとみたいだな」
古泉「若干太くなっている部分に注意して見てみてください」
キョン「円を描いているようなところが数箇所あるような……」
43:
古泉「これは三年前の七夕に涼宮さんとあなたが書いた校庭の落書きですよ」
キョン「何だと?」
古泉「北高の敷地をキャンバスにして、同一平面に重ねて描かれたものと見てよさそうです」
 「遮蔽物が多いので、あの時と同じ形を成しているとは言えませんが……」
キョン「……私はここにいる」
古泉「それともうひとつ、長門さんが涼宮さんを追っているとき、涼宮さんはどこかに行っていたようです」
キョン「どういうことだ?」
古泉「長門さんにとって超常的な力を使わずとも涼宮さんを発見、捕獲することは容易いことと想像します」
 「ところがそうではなかった。僕は見失っていたのではないかと思っています」
44:
キョン「長門が手加減していただけかもしれないじゃねえか」
古泉「その可能性は低いと思います。僕から見ても昨日の長門さんは楽しそうに見えました」
 「ですが、僕が捕まえたときは若干様子がおかしかったと思いませんでしたか?」
キョン「猫を見ていてぼーっとしてたんだろ」
古泉「だとしても、僕やあなたの接近に気付かないはずがありません」
キョン「まさか……」
古泉「昨日の長門さんと涼宮さんの移動距離はほぼ同じでした」
 「長門さんの方が若干長かったですが、涼宮さんの移動経路をなぞってみたのでは、と僕は考えています」
キョン「考えすぎじゃねえのか? 結果的に何かあったわけでもないだろう?」
45:
古泉「確かにおそらく何でもなかったのだと思いますが、僕は涼宮さんは5分少々消えていたと思っています」
 「鬼である長門さんから逃げたいという思いが高じてしまったんでしょう」
 「本気を出しすぎた、というだけのことでしょう」
キョン「そんなアホな」
古泉「まあ恐らく多少なりとも摩訶不思議なことが起きていたように思うという程度です」
 「ですが、これは我々にとって日常のことですから、わざわざ俎上に載せるようなことではありません」
 「一応あなたの耳には入れておこうと思いましてね……」
 「昨日、僕は宇宙人に捕まりましたし、捕まえもしたのですよ」
キョン「じゃあ俺は超能力者に捕まったのか」
古泉「素敵な世界じゃありませんか。昨日も今日も世界は平和そのものですよ」
46:
キョン「私はここにいる、ねえ……。あいつは一体誰に向かってそんなに自分自身をアピールしたいのかね」
古泉「涼宮さんを取り囲む我々に向けて、でしょうかね」
キョン「大儀なことだな。そいつが報われる日が来たら地球は大騒ぎだぜ」
古泉「それは困りますね。ただ、涼宮さんがここにいるということを我々はすでに証明しています」
キョン「何だ? 哲学的な話か?」
古泉「涼宮ハルヒという不確定な神がここにいる、ということを知っているのは我々だけということですよ」
 「涼宮さんの特異性を理解した上で涼宮さんの傍にいるのは我々SOS団員だけです」
47:
古泉「存在を知っている第三者はそれこそ星の数ほどいるかもしれません。しかし――」
 「我々が涼宮さんに選ばれた。だからここにいるのですよ」
キョン「とんだ選民思想だな。ユダヤ人に許可は取ったのか?」
古泉「ミサイルが飛んでくるようなことを言わないでください。国際問題になりかねませんよ」
 「話が逸れました。案外、涼宮さんが秋波を送っている相手は他でもないSOS団員なのかもしれませんよ」
キョン「そうであるなら十分過ぎるほど伝わってるだろうが」
古泉「おや、そうですか。どちらの意味ででしょうか?」
キョン「……お前、第ニ回の鬼ごっこがあったら絶対捕まえてやるから覚悟しとけよ」
古泉「ふふ、負けませんよ」
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