「君の夢が叶うのは 誰かのおかげじゃないぜ」back

「君の夢が叶うのは 誰かのおかげじゃないぜ」


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2:
冬の国 王の間
王様「貴様は何度言ったらわかるのじゃ!!」プンスカ
王様「あんなところに木を植おって!!」
道化師「だからすいませんって」
王様「なんじゃその態度は!!」
王様「今日という今日は許さーん!!」コブシフリアゲ
道化師「へーい」
3:
大広間
道化師「今回も王様の話は長かったなーっと」クチブエピュー
姫「今回は何をされたのですか?」
道化師「いつも通りですよ」
姫「いつも違うことをしてる人の言う台詞じゃありませんね」クスリ
道化師「趣向を凝らしていると言ってくださいよ」
姫「あら、この前メイクを新しくしたと言って悪魔のような顔をしていたのはどなたかしら?」
道化師「ち、ちょっと失敗しただけじゃないですか」
姫「でも子供は怖かったでしょうね」ニヤニヤ
姫「『趣向を凝らす』のもいいですけど、騒ぎを起こすのはほどほどにしてくださいね」
道化師「姫様まで王様みたいなこと言わないでくださいよ」ハァ
姫「あなたが言われないようにすればいいんです」フンス
道化師「へいへい」
道化師「ところで姫様、今日の夜はオーロラが見れるらしいですよ」ソウイエバ
姫「む、話をそらしましたね」
姫「まぁオーロラが見えても私は夜は城から出られないので関係ないです」
道化師「そうですね…」
道化師「では、夜の11時に姫様の部屋で待っていてください」
姫「どうして?」クビカシゲ
道化師「夜になってからのお楽しみです」ニッコリ
4:
夜 姫の部屋
姫「11時になりましたね…」
姫「何があるのでしょうか…」
姫「まさか城に忍び込んでくるなんてことは…」
コンコン
姫「!!!」
姫「外からですかね」
道化師「こんばんわ、姫様」ニッコリ
姫「きゃっ!!」
道化師「おっと、静かにしてください」
道化師「あまり騒ぐと人が来てしまいます」
姫「そうですね…ごめんなさい」
姫「しかし…まさか窓から入ってくるとは思いませんでした」
道化師「僕は人を驚かせるのが仕事ですから」ドヤッ
姫「ここ地上から30メートルくらいあるんですよ」ヒキッ
道化師「仕事ですから」ドヤッ
姫「………」
姫「まぁいいです、これからどうするんですか?」
道化師「オーロラを見に行くんですよ」
姫「どうやってここから降りるんですか?」
道化師「飛び降りるんです」
姫「は?」
道化師「飛び降りるんです」
姫「………」
姫「おやすみなさい」マドバタン
道化師「ちょっと姫様待って」
姫「この高さから飛び降りて無事なわけないじゃないですかぁぁ!!」イヤイヤ
道化師「ほら姫様いきますよ」ワキニカカエ
姫「え、嫌、ムリ」
姫「だめなのぉぉぉぉぉぉ!!」
このあとめちゃくちゃ飛び降りた
5:
城から少し離れた草原
姫「死ぬかと思いました」ゼエゼエ
道化師「姫様は大袈裟だなぁ」ニッコリ
姫「パラシュートがあるなら先に言ってください!!」
道化師「言ってませんでしたっけ」
姫「聞いてないd道化師「まぁいいや、オーロラが見えるのはここの少し先ですよー」アルキダシ
姫「ちょ、ちょっと待ってくださいよー!!」オイカケ
6:
星の丘
道化師「お、そろそろか」
姫「着いたんですか?」
道化師「もうすぐですね」
道化師「姫様、少しの間目をつぶっていてください」
姫「え、まぁ…わかりました」
道化師「僕が手を引くので、着いてきてください」ギュ
姫「はい…」ニギリカエシ
道化師「よし、ここまで来れば」
姫「もう目を開けていいんですか?」
道化師「まだです、僕がいいって言うまで閉じててください」
道化師「それと、少しここで動かず待っててくださいね」
姫「わ、わかりました」
姫 (足音が聞こえます、離れていったのでしょうか)
姫 (しかし、こう放置されると少し不安ですね…)
道化師「姫様ーーー!!」コエハリアゲ
姫「はーい!!」
道化師「目を開けてくださーい!!」
7:
目を開き、離れていった道化師の声の方向に顔を向ける
その時
私は今まで生きてきた中で、最高に美しい景色を見た
真っ暗な地上を照らす満天の星空
それを覆う美しい虹色のベール
その下で、両手を広げて私を待つ彼
世界がこんなにも美しい物なのだと、私ははじめて知ったのだ
8:
道化師「こっちに来てくださいよ?」
姫「えっ、あっ、はい!!」
道化師「姫様!!走ったら危ないですって!!」
姫「うぎゃ」ベターン
道化師「言わんこっちゃない…」
姫「痛い…」ウルウル
道化師「仕方ないですねー」カケヨル
道化師「立てますか?」テヲサシノベ
姫「はい、大丈夫です…」テヲトリ
姫「あっ」
カシャーン
姫「ネックレスが壊れてしまいました…」ズーン
道化師「僕は姫様が無事なら何でもいいですよ」キリッ
姫「また適当なことを言って…」
道化師「あはは…」
道化師「飾りは僕が拾っておきますから、姫様はオーロラを見てきてください」
姫「……悪いですね」
姫「では、お願いします」ペコリ
9:
道化師「姫様、大体拾いましたよ」ドウゾ
姫「ありがとうございます」ウケトリ
姫「えいっ」ナゲル
道化師「あぁっ!!」
姫「綺麗ですね…」
姫「まるで、ひとつひとつが新しい星みたいです…」ウットリ
道化師「せっかく拾ったのに…」ウルウル
姫「ごめんなさいね」
姫「でも、世界はこんなに素敵なんだって教えてくれた夜空にお礼がしたかったんです」
姫「だからあの宝石は、夜空にプレゼントです」
道化師「姫様がいいならいいんですけど…」
姫「あの……今日は連れ出してくれてありがとうございました」
姫「私、ここにこれてよかったです」
道化師「お気になさらず…」
道化師「それが私の仕事ですから」ニッコリ
姫「…………またオーロラが見える日が来たら、私と一緒に見に来てくれますか?」
道化師「……………」
道化師「姫様、そろそろ帰りましょう」
道化師「夜が明けてしまいます」
姫「……………はい…」
道化師「さようなら」ボソッ
その次の日から、姫は道化師と会うことはなかった
道化師の本当の名前も、顔も誰も知らないまま
存在していたことが嘘だったかのように、忽然と姿を消した
10:
女王「今日は…オーロラが見えるらしいですね…」
王子「母上、オーロラって何?」
女王「とってもキレイですからあなたも見てみるといいですよ」
王子「うん!!じゃあ父上と見に行く!!」ニパー
女王「そうしなさい…」ニッコリ
11:
貴方がいなくなってから、長い時間が過ぎました
今頃、どこでどうしているのでしょうか?
見ていると不思議と落ち着くような、そんな後ろ姿が目に浮かびます
もう一度だけ、会えないでしょうか…
兵士「女王様!!お手紙が届いております!!」ヘヤハイル
女王「わかりました、ありがとうございます」
兵士「ハッ!!」ヘヤデル
女王「どなたからでしょうか…」カイフウ
12:
姫様、お久しぶりです
あなたはどのように成長されているのでしょうか
私は既に老い、顔も醜くなってしまいました
そんな顔を化粧で隠し、道化師を続けております
あの日、何も言わずに去ってしまい、本当に申し訳なく思っております
しかし、私にも夢があるのです
この世界に住む全ての人に、自らの住む世界の美しさを知ってほしいのです
あの日の、あなたの表情を見て私はそう決断しました
私が今ここに立っていられるのは、あなたのお陰なのです
私は今、四季の国にいます
様々な気候の混ざった不思議な国です
姫様は『桜』をご存知ですか?
春に咲く、とても美しい花です
あの日見たオーロラにも負けず、この世界で1,2を争う美しさだと私は思います
今はこの国にしか咲かないこの花の美しさを、どうにかして他の国に持っていけないかと四苦八苦しております
いつか、いつか必ず冬の国にも桜の花を持っていきます
では、またその日まで…
道化師
13:
女王「全く………昔とおんなじです……」ブルブル
女王「あの人はいつだって勝手で、バカで、全部あとだしで…」ホロリ
女王「何が姫様のおかげですか…」ボロボロ
女王「全部あなたが自分で頑張ってきたんじゃないですか!!」ボロボロ
王「どうしたんだ!?そんなに泣いて」カケツケ
女王「うわぁぁぁぁん」ダキッ
結局私は、しばらく泣き続けた
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