穂乃果「ねぇ、きのきー」真姫「なぁに?」back

穂乃果「ねぇ、きのきー」真姫「なぁに?」


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1:
ほのまき短編の読み切り。
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2:
――部室
凛「――穂乃果ちゃんの汗が染み込んだタオル、普通のタオルとすり替えてきたにゃー!!」バタン
にこ「凛! よくやったわ!」ガッツポーズ
花陽「はわわ……!///」プルプル
絵里「当然一番最初に使う権利は私よね!? 元生徒会長だし!」
海未「寝言は寝て言って下さい! 絵里は前回一番だったでしょう!?」
希「じゃあウチは二番!」
にこ「勝手に決めないで!」
ことり「争いはだめだよぉ、みんなで仲良くやろぉよぉ」にこにこ
花陽「では公平にじゃんけんで……」
凛「えっ!? 凛が一番にクンカクンカしていいんじゃないの!?」
真姫(……またやってる……イミワカンナイ)クルクル
3:
花陽「で、ではっ、じゃんけんしましょう!///」
希「真姫ちゃんは参加しなくていいの?」
真姫「……はぁ? バカがうつるから私を巻き込まないでくれるかしら」クルクル
海未「穂乃果タオルのよさがわからないなんて……」ドンビキ
凛「真姫ちゃん、タオルの匂い嗅いだこと一度もないんだって……」コソコソ
希「えっ!? 一度もないん!?」ビックリ
花陽「いちど嗅げば絶対大好きになるのに……」コソコソ
希「真姫ちゃんかわいいそう……人生の8割損してる」ボソッ
絵里「真姫ってちょっとおかしいところあるわよね」コソコソ
にこ「たしかに」ボソボソ
真姫(おかしいのはあんたらよ!)イラッ!
4:
ジャンケンポン!
海未「――やりました! 一番は私です!」グッ!
花陽「最後ですか……」ガクッ
海未「では私はトイレに行ってきますので……」イソイソ
にこ「持ち出し禁止よ!」キーッ!
海未「……仕方ありませんね」フゥ
海未「では…………」クンクン…
海未「……///」スーハースーハー
海未「んっ……あっ!……///」クンカクンカ
海未「脳が……しびれます……っ!///」スーハースーハー!
凛「――30秒! 30秒経ったにゃ! つぎ凛のばん!!」グイッ
海未「まだ29秒くらいでしたっ! 邪魔されたのでやり直しですっ!」グググッ
凛「これは凛がとってきたの!」グググーッ!
ことり「争いはだめだよぉ、みんなで仲良くやろぉよぉ」にこにこ
希「ウチがちゃんとストップウォッチで測ってたよー」
海未「くっ……!」
真姫(騒がしい……)イライラ
真姫(音楽室にでも行きましょう)ガタッ
6:
――音楽室
?♪ ?♪
真姫(ピアノをひいてると心が落ち着くわ……)
?♪ ?♪
真姫(まったく、穂乃果なんてどこがいいのかしら……)
?♪ ?♪
真姫(バカだし……自分勝手で、落ち着きなくて子供っぽいし……)?♪ ?♪
――ガラッ!
真姫「ん?」
穂乃果「あ、やっぱり真姫ちゃんだぁ!」
真姫「……邪魔しにきたなら出てって」トゲトゲ
穂乃果「そんなツンケンしないでよぉ……」
穂乃果「綺麗なピアノの音が聴こえてきたから、つい……」シュン
真姫「……まあいいわ。いま部室に行かないほうがいいしね」ハァ
穂乃果「え?」
真姫「しばらくここに居ていいって言ったのよ」プイッ
?♪ ?♪
穂乃果「は?、やっぱり真姫ちゃんはピアノじょうずだね!」キラキラ
真姫「うるさい。気が散るから黙って」?♪ ?♪
穂乃果「あっ、ごめんなさい……」オドオド
真姫(まったく……)?♪ ?♪
7:
――――――――
――――――――――――
真姫「――さ、そろそろ行きましょうか」カタン
穂乃果「うん! あっ、待って、穂乃果のカバン……」グイッ!
バサバサバサ…!
穂乃果「あっ///」アセアセ!
真姫「……なによこれ、たくさん落としたけど」ヒョイ
穂乃果「あの、それは……その……///」オドオド
真姫「もしかしてこれ全部ラブレター?」ジトー…
穂乃果「ちがっ……ただのファンレターだよ、多分……だいたい……///」モジモジ
真姫「……ふうん、人気があってよかったわね。スクールアイドルなんだし、いいことだわ」
穂乃果「えへへ……///」テレテレ
穂乃果(真姫ちゃんに褒められちゃった///)デレデレ
真姫(なによ、だらしない顔しちゃって……)イライラ
真姫「……さ、行きましょう」プイッ!
8:
真姫「…………」スタスタ
穂乃果「あのね、真姫ちゃん。穂乃果ね、最近ちょっと気になることが……」テクテク
真姫「なによ」スタスタスタスタ
穂乃果「悩み事ってほどじゃないんだけどね、……待って! 歩くのはやいよ!」タタタッ
真姫「相談相手なら海未でもことりでもいるじゃない。なんで私なのよ」ツーン
穂乃果「その……海未ちゃんたちは、最近なんか様子がおかしくて……」テクテク
真姫(……)スタスタ
穂乃果「ちょっと、こわいの……」トボトボ
真姫(……)
真姫「……知らないわ。私を巻き込まないで」スタスタ
9:
――――――――
――――――――――――

――真姫の部屋 机
真姫「…………」キィ…
 穂乃果『――ちがっ……ただのファンレターだよ、多分……だいたい……///』モジモジ
 穂乃果『――えへへ……///』テレテレ
真姫「……なによ、デレデレしちゃって!」イライラ!
真姫「穂乃果が調子にのってると、またいつかみたいにロクなことにならないわ!」
真姫「ちゃんと気を引き締めさせてあげなきゃ……」ゴソゴソ
真姫「…………」コツコツ…
真姫「……こんな手紙なんて、書くの初めてよ……」カキカキ
真姫「…………」カキカキ
真姫「あっ、そういえば使ってない予備のケータイがあったわね……」ゴソゴソ
10:
――――――――
――――――――――――
翌朝
――学校 下駄箱
穂乃果「今日の朝は3通だけだ……よかった」ホッ
穂乃果「ん? なにかなこれ……」カサカサ
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高坂穂乃果へ
私はあなたがキライよ。
最近危なっかしくて見てらんない。
興味ないけど、悩み事があるなら私に相談すればいいんじゃない?
kinokey@sub.……
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11:
――――――――
――教室(1年)
ブーッ、ブーッ…
真姫(あっ、穂乃果専用のケータイにメールが……)カチャ
pi!
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from:穂乃果
ファンレターありがとう!
お名前ないけど、だあれ?
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真姫「なんか勘違いされてるし……」pi.pi.pi…
12:
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from:kinokey@sub.……
あなた本当にバカね
それはファンレターじゃないわ
名前? そうね……
ドクターきのきー、よ
悩みの処方箋を出してアゲル
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from:穂乃果
ドクターきのきーさん、はじめまして
さっそくですが、消しゴムってふつう、使うと減ると思います
でも最近、使っても、穂乃果がおトイレから戻ってくると元に戻ってます
なんでだと思いますか? ちょっとこわいです
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from:ドクターきのきー
それはね、「たくさん勉強して、おバカを治しなさい」っていう
サンタさんの素敵な魔法のおかげよ
だから気にしないで勉強に集中しなさい
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from:穂乃果
そっか! すっきりした!
ありがとうドクターきのきー!
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15:
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――――――――――――
――放課後 部室
海未「――どうですかこの写真!? 幼い頃の穂乃果! ピヨピヨサンダルほのかです!」バンッ!
にこ「輝いてるわ……!」キラキラ
絵里「焼き増し! ねえ焼き増しをよこしなさいっ!!」
海未「絵里が今週まだ大事に残している『穂乃果にボディタッチ権』と取引ですね」
絵里「そんなの卑怯よ! 私は元生徒会長よ!?」ウルウル
ことり「争いはだめだよぉ、みんなで仲良くやろぉよぉ」にこにこ
にこ「まあ、最近の穂乃果は、むやみやたらとボディタッチすると怖がるからね」
海未「昔はあんなにベタベタするの大好きでしたのに」
凛「もうすこし協定の回数制限をゆるくしようよ!」
花陽「嫌われちゃったら元も子もないよぉ……」
希「そうやね」
にこ「慎重にいきましょう!」
真姫(もう際どいラインまできてると思うけど……)クルクル
16:
ガチャ……
穂乃果「……おくれてごめんなさい」ヒョコッ
海未「待ってましたよ穂乃果」ササッ!
絵里「会いたかったわ穂乃果!」ササッ!
穂乃果(いまなにを隠したのかな……?)オドオド
ことり「…………」こそこそ
穂乃果(あれ? ことりちゃんどこ行くの?)
にこ「穂乃果は今日もかわいいわね! それでこそアイドルよ!」
穂乃果「え、あ……ありがとう……?///」テレテレ
希(かわいい)
凛(かわいい)
花陽(かわいい)
真姫「――なにバカみたいにデレデレしてるのよ。突っ立ってないでさっさと練習始めるわよ」
穂乃果「あ、うん……ごめんなさい」
穂乃果(真姫ちゃん、今日も冷たいなぁ……)シュン…
17:
――――――――
――――――――――――――

――真姫の部屋
真姫「…………」
真姫(私、なんで穂乃果にツンケンしちゃうのかしら……)クルクル
ブーッ、ブーッ…
真姫「」ビクッ!
真姫「……なにかしら」pi!
真姫「えーと、「数学の宿題がわからない」……?」
真姫「なによ、簡単じゃない……仕方ないわね」pi.pi.pi…
真姫「……本当にバカなんだから」pi.pi.pi…
18:
――穂乃果の部屋
ピロリーン♪
穂乃果「返信きたっ!」ガバッ
穂乃果「……ふむふむ」
穂乃果「なるほどー」
穂乃果「……すごいや」
穂乃果「穂乃果にも分かるくらい丁寧に説明してくれてる……」
穂乃果「…………」サラサラ
穂乃果「――宿題おわりっ!」ピョン!
――ボフッ!
穂乃果「やさしい人だなあ、きのきーさん」ギシッ
穂乃果「いったいどんな人なんだろう?」ゴロゴロ
ゴロゴロ…
穂乃果「会ってみたいなあ……」モフモフ
穂乃果「……えへへ///」ギューッ
21:
――――――――
――――――――――――
1週間後
――真姫の部屋 ベッドの上
真姫(今日は日曜日……)ギシッ
真姫(……外は雨)ゴロゴロ
ザーザー
真姫(練習もお休み……)モフモフ
ザーザー
真姫「…………」ギュー…
真姫「穂乃果に会えない日は久しぶりね……」ポツリ
ザーザー
真姫「……!?///」ハッ
真姫「??っ!! 今のナシ!///」ブンブン!
――ブーッ、ブーッ
真姫「」ドッキーン!
真姫「……なによぉ!? おどかさないでよ!」ドキドキ
真姫「くだらない用事だったらユルサナイんだから!」ドキドキ
pi!
22:
-------------------------------------------------------
from:穂乃果
穂乃果、またカゼをひいてしまいました
おともだちに言うと、すごくおおごとにするから言えません
やっぱりお薬のんだほうがいいですか? 苦いのはきらいです
ドクターきのきー、教えてください
-------------------------------------------------------
バタン!
まきママ「――どうしたの真姫!? そんなあわてて」ビクッ
真姫「ちょっと出かけてくるわ!」ダダダッ!
まきママ「えっ? いま外は雨がふって……」
真姫『いってきます!』バタン!
まきママ「……傘も持たないで……そんなに緊急の用事なのかしら?」
23:
――穂乃果の部屋
穂乃果「……つらいなぁ」コンコン
穂乃果「熱はひどくないけど……弱った体でひとりだと……」コホコホ
穂乃果「……なんでこんなに、さみしい気持ちになるんだろう」ウルウル
バタン!
真姫「――穂乃果っ! 大丈夫っ!?」ハァハァ
穂乃果「真姫ちゃん?」ビクッ
真姫「ホンットにバカなんだから! どうして私に心配ばっかかけるのよっ!」ビショビショ
真姫「イミワカンナイ!」ポタポタ
穂乃果「ま、真姫ちゃん、濡れてる……」ムクッ
真姫「病人は寝てなさいっ!」
穂乃果「は、はい……でもどうして急に、穂乃果のおうちに?」
真姫「っ……」ビショビショ
真姫「……散歩してたら偶然なんとなく通りがかったのよ! 悪い!?」ポタポタ
穂乃果「そ、そう」チラッ
ザーザー
穂乃果(カサなしで?)
24:
――――――――
真姫「……症状、ひどくなくてよかったわ」
穂乃果「なんていうか、真姫ちゃんってすごいね」
真姫「医者になるために勉強してるんだから、これくらい当たり前よ」
穂乃果「ううん、そうじゃなくて、穂乃果ね……」
真姫「?」
穂乃果「……真姫ちゃんが会いに来てくれたら、すぐ元気でたの」
真姫「っ!?///」
穂乃果「きっと立派なお医者さんになれるよ」
真姫「……そのときは、あなたの主治医になってあげるわ///」プイッ
穂乃果「本当っ!?」
真姫「ええ、もちろん///」クルクル
穂乃果(なんだろう……胸の中に、あったかい気持ちがじわじわ湧いてくる……)ジワッ
穂乃果「嬉しい……」ポロポロ
真姫「ヴェエ!? なに泣いてるのよっ!」アセアセ
穂乃果「分かんない……さっきまですごくさみしかったのと……」ポロポロ
穂乃果「穂乃果、真姫ちゃんに嫌われてると思ってたから……」グスグス
真姫「べ、別にあんたのことなんてなんとも思ってないわよぉっ!」
穂乃果「だから、嬉しくて……」ポロポロ
25:
――――――――
真姫「……じゃあ、私帰るから。ちゃんと安静にしてるのよ」
穂乃果「あっ、待って……」
真姫「なによ」
穂乃果「…………」モジモジ
穂乃果「……///」ソワソワ
真姫「なにかしてあげようか?」
穂乃果「その……もう少しそばに」ゴニョゴニョ
穂乃果「いて、ほしい、です///」カァァ
真姫「……もう少しここにいればいいのね?」
穂乃果「えっと……///」モジモジ
穂乃果「その、穂乃果はですね……いま心細くて……」ソワソワ
穂乃果「だから、真姫ちゃんに、べたべたしたいなって///」ソワソワ
穂乃果(……ちょっと我慢できない)モジモジ
真姫「う……///」
真姫(主治医になるって言った手前、弱気になってる病人の頼みは断りにくいわ……)
26:
穂乃果「あと、ちょっと、おふとんが寒いなって……」モゾモゾ
真姫「わ、わかったわよぉっ!///」カーッ
ギシッ――
真姫「じゃ、ベッドの中入るわよ」ギシッ…
モゾモゾ
穂乃果「ん……」
ギュッ
真姫「っ……///」ドキドキ
穂乃果(嬉しい……あたたかい……)ジワッ
スリスリ
穂乃果(あ……あ……///)スリスリ
フワッ…
真姫「ん――?」スンスン――
穂乃果「……ごめんね、穂乃果お熱でたから、汗くさいかも……おふとんの中だし」テレテレ
真姫(――――なに、これ―――!?///)クラッ
真姫(あたま――――とける――――///)クラクラ
穂乃果「ん……っ……はぁ……っ///」ギュー
穂乃果「まき、ちゃ……っ///」スリスリ
穂乃果(……嬉しい、あたたかい、その言葉がこぼれそう……)ポカポカ
穂乃果(でも、言ったらきっと、真姫ちゃんは怒っちゃう……)ギュウウ
穂乃果(だからこうして、心の想いを、全身で……)ギュー…
穂乃果(……肌から肌に、気持ちを流し込んで、伝えるの)スリスリ
真姫「??っ!?!?///」ビクッ!
真姫(体になんか熱いのが――――流れて――――)ドキドキドキドキ
27:
――――――――
――――――――――――――
それからしばらくしたある日の夜
――真姫の部屋 ベッドの上
真姫「…………」ドキドキ
真姫(穂乃果のハグはヤバイ……)グテー
ブーッ、ブーッ…
真姫「」ビクッ
真姫「……」プルプル
pi!
-------------------------------------------------------
from:穂乃果
きのきーさんこんばんは!
穂乃果のうちはね、和菓子屋さんなんだ!
でも最近あんこに飽きちゃって、
「クッキー食べたい!」って叫んだらお母さんに怒られちゃった
だけどダイエットしなきゃいけないから、どっちにしろ食べられないんだ……
いいダイエット方法を教えてください!
-------------------------------------------------------
真姫「……」ムクッ
28:
まきママ「――あら真姫、お買い物してきたの? 珍しい」ビックリ
真姫「ママ、キッチン借りるね」ゴソゴソ
まきママ(最近様子が変ね……?)
真姫「おから100g……ベーキングパウダー小さじ1/2……」ゴソゴソ
まぜまぜ
真姫「……あ、いまのうちにオーブンを予熱しておきましょう」ピッピッ
まぜまぜ
真姫「……」グルグル
まぜまぜ
真姫「……お、おいしくなぁれ!///」カァッ
まきママ(見ちゃった……///)コソコソ
29:
――――――――
――――――――――――
翌朝
――学校 下駄箱
穂乃果「あれ? 手紙じゃないのが入ってる……」ガサゴソ
穂乃果「綺麗なラッピング……」キラキラ
穂乃果「ん? メモだ」ピラッ
穂乃果「えーと、『テキトーに作ったら偶然余ったおからクッキーよ』」
穂乃果「……それしか書いてないや」
30:
――――――――
――――――――――――
――放課後
穂乃果「?♪ ?♪」
真姫「……機嫌よさそうね」
穂乃果「穂乃果ね、今日すごくおいしいクッキーもらっちゃったの!」
真姫「あっそ……」ツンケン
真姫「……そんなことでご機嫌になれるなんて、単純ね」クルクル
穂乃果「馬鹿にしないでっ!」ガシッ!
真姫「!?」ビクッ
穂乃果「本当にすっごいおいしいクッキーだったんだから!」ズイッ
真姫「そ、そう……離してくれないかしら///」プルプル
穂乃果「あ、ごめんね」パッ
真姫(なんなのよぉ……っ!?///)ドキドキ
31:
穂乃果「穂乃果は生まれた時から和菓子屋さんの娘なんだよ!」
真姫「ふーん、それが?」
穂乃果「だからね、手作りのお菓子に込められた想いとか、食べればちゃんと分かるの!」
真姫(え……?)
穂乃果「もらったクッキーを食べたらね……」
真姫(どうせいい加減なこと言ってるだけよね)クルクル
穂乃果「んー……変なんだけど……」
真姫(ほらみなさい)クルクル
穂乃果「……真姫ちゃんにべたべたしたくなったの」
真姫「」ドキッ
33:
穂乃果「なんでかな……? 穂乃果、まだまだダメだね」
真姫「……」ドキドキ
穂乃果「穂乃果の心を込めたおまんじゅう、お返しにあげたいなあ……」
穂乃果「……でも、どうやって穂乃果のおまんじゅうを届けたらいいんだろう?」
穂乃果「――どこにいるかもわからないや」シュン…
真姫「……」
真姫「――心の想いは、相手がどんなところにいても届くはずだわ」
穂乃果「どんなところにいても?」
真姫「どんなところにいてもよ」
穂乃果「穂乃果の心は、どこまでも届く……?」
真姫「そうよ。私が保証するわ」
穂乃果「そうだよね!」パァッ!
35:
――――――――
――――――――――――――
それからしばらくしたある日の夜
――真姫の部屋 ベッドの上
真姫「…………」ドキドキ
真姫(なによあの子……)グテー
ブーッ、ブーッ…
真姫「」ドキッ
真姫「……」プルプル
pi!
-------------------------------------------------------
from:穂乃果
あの、実は……
穂乃果、好きな人ができたかもしれないの
だけどはじめてだから、どうしたらいいかわからなくて……
きのきーさん、相談してもいい?
-------------------------------------------------------
真姫「」サーッ…
真姫「――え?」ガタガタ
真姫「ヤバ……泣きそう」ジワッ
真姫「なんで……別に穂乃果のことなんて、なんとも思ってないのに……なんで」ジワワッ
36:
-------------------------------------------------------
from:ドクターきのきー
ふうんああそうよかったジャないおめでろう
ココロの広いドクターきのきーはどんだ相談だってwellcameょ!
-------------------------------------------------------
真姫「あっ、送っちゃった……」グス…
-------------------------------------------------------
from:穂乃果
ありがとう!
穂乃果、これからどうしたらいいのかな?
いつもどおりにしてたほうがいいかな?
-------------------------------------------------------
真姫「もういいわ……」グスグス
真姫「……せめて穂乃果の初恋を応援してあげよう」ポロポロ
真姫「叶うといいわね……」グスグス
-------------------------------------------------------
from:ドクターきのきー
アドバイスなら恋愛マスターであるドクターきのきーに任せなさい!
あなたならきっとうまくいくわ! 自信を持って前向いて!
恋で一番大事なのは、ズバリ、強引に行くことよ!
ヘタレなのが一番ダメなんだから! 応援してるわ!
-------------------------------------------------------
真姫「私、なんで見栄はってるのかしら……恋もしたことないのに、恋愛マスターって……」グスグス
37:
-------------------------------------------------------
from:穂乃果
うん、わかった!
やっぱりドクターきのきーはたよりになるね!
きのきーさんのことも好きだよ!
-------------------------------------------------------
――お風呂
真姫「……」チャポッ――
――ずぶずぶ
真姫「……」ブクブクブク
――ずぶずぶずぶ
真姫『……』
――ゆらゆら
真姫『(音の届かない、静かな水の中)』
――ぷくぷくぷく
真姫『(息が苦しい……)』ズキズキ
――ぶくぶくぶく
真姫『(胸が苦しい――)』ズキズキ
――ぼこぼこぼこ
38:
――ザバァッ!
真姫「プハァ……ハァ……」ハァハァ
真姫「ハァ……ハァ……」ビショビショ
真姫(やっと分かったわ――)ポタポタ
真姫(――――恋ね、これ)ポタポタ
真姫「……気づく前に、散っちゃったけど」ボソッ
ぽたり、ぽたり
まきママ『真姫ー! そろそろ上がらないとのぼせるわよー!』
ぽたり、ぽたり
真姫「――――初恋だったわ」ポタポタ
39:
-------------------------------------------------------
from:ドクターきのきー
そういう言葉は、あなたの一番大事なひとにだけ言ってあげなさい
聞かなかったことにしてあげる
-------------------------------------------------------
――きのきーさんのことも好きだよ――
真姫「このメールは消去、と」スッ…
真姫「…………」プルプル……!
ぽたり、ぽたり――――
真姫(わたしはただ、あの子にしあわせになってほしいだけ……)
真姫「――――がんばってね、穂乃果」
pi.
-------------------------------------------------------
――消去されました――
-------------------------------------------------------
40:
――――――――
――――――――――――――
――部室
凛「――穂乃果ちゃんの着てたシャツをすり替えてきたにゃー!」バタン!
希「ねこち! でかした!」ガッツポーズ
絵里「ねえ、それ本物かしら? ちょっと見せて?」
凛「え? はいどうぞ」スッ
絵里「ふむ……」ペタペタ
絵里「――当然一番は元生徒会長の私よぉおおおおっ!」クンカクンカ
凛「あーっ! ルール違反!」ガシッ!
海未「絵里っ! 離しなさいっ!」ギュー!
絵里「やばいわ……失神しそう……っ!」スーハースーハー!
にこ「殴ってでも止めるのよ!」ギャーギャー
ことり「争いはだめだよぉ、みんなで仲良くやろぉよぉ」にこにこ
花陽「あの……花陽もそう思います……///」モジモジ
真姫「…………」ソワソワ
真姫(分かってしまう自分が、すごく嫌いになりそう……)ズーン
真姫(……ここにいるのは精神衛生に悪いわ)ガタッ
41:
――音楽室
?♪ ?♪
真姫(落ち着く……ピアノの音色を聴くと……)
?♪ ?♪
真姫(心まで……綺麗な和音に洗われるみたい……)
ガラッ――
穂乃果「――真姫ちゃん?」ヒョコッ
真姫「」ジャーン♪(不協和音)
44:
真姫「……なんののよよう?」キリッ
穂乃果(?)
穂乃果「ねぇ、真姫ちゃん」
真姫「なぁに?」
穂乃果「今日、真姫ちゃんのおうちに行ってもいい?」
真姫「は?」
穂乃果「……行くから」
真姫「え?」
穂乃果「い、行くからっ! 決まりねっ!///」
穂乃果「――じゃっ!///」タタタッ!
――ピシャン!
真姫(……?)
45:
――――――――
――――――――――――――

――真姫の部屋 ベッドの上(穂乃果)
穂乃果「……」ゴロゴロ
真姫「……ほんとに来たのね」
穂乃果「……うん」モフモフ
真姫「……来るの遅かったわね」
穂乃果「だって……(心の準備が……)///」ギュー…
モフモフ ギュー…
真姫「……それ、私の枕だからやめてくれない?」
穂乃果「えっ?」
真姫「えっ?」
46:
穂乃果「……一緒に寝ないの?」
真姫「……なんで一緒に寝ることになってるの?」
穂乃果「だって、泊めてくれるって……」
真姫「もう遅いのに、帰れなんて言えないでしょ……」
穂乃果「この部屋、ベッドひとつだよね?」
真姫「うちはゲストルームくらいあるんだけど?」
穂乃果「――そっか」シュン…
真姫「……っ!」ズキッ
真姫(なんでそんな顔するのよ……)
穂乃果「勘違いして、ごめんね……」ギシッ
真姫「…………」ズキズキ
47:
真姫「……ゲストルームは、そこを出て右、突き当りの部屋よ」プイッ
穂乃果「うん……」テクテク
キイィィ――……
穂乃果「…………」
穂乃果「ねぇ、真姫ちゃん」
真姫「なぁに?」ツンケン
穂乃果「……なんでもない。おやすみ」
――……パタン
48:
真姫「――ああもう、なんなのよっ!」フラッ
ボフッ!
真姫「……」モフモフ
真姫(あ……)スンスン
モフモフ
真姫(枕に、穂乃果の……///)スンスン
グリグリ
真姫(…………///)スンスンスンスン
真姫「????っ!///」
ガバッ!
真姫「ふぁ、ファブリーズよっ! 消えなさいっ!」ガサゴソ
――シュッ!シュッ!シュッ!
真姫「ふぅ……」チラッ
真姫「……あっ」ハッ
真姫「…………」
真姫(なにかしらこの、後悔みたいな気持ちは……)ズーン
49:
真姫「何考えてるのよ……」ギシッ
真姫「好きな人できたって言ってたのに、私の家まで泊まりに来て……」ゴロゴロ
真姫「応援してあげてるのに……」モフモフ
真姫「……子供みたいに自分勝手なんだから」ギュー…
真姫「ほんと、勝手すぎよ……」
真姫「……名前、隠して……手紙かいて」
真姫「カゼの看病して……」
真姫「クッキー作って……」
真姫「恋愛相談、してあげて……」
真姫「勝手に恋して……」
真姫「勝手に失恋して……」
真姫「……ほんと、勝手すぎよ」
51:
真姫(もしも、わたしに……)ゴロゴロ
真姫(自分の、本当の名前を伝える勇気があれば)ゴソゴソ
真姫(……少しは違ったのかな)
真姫(ちゃんと罪を、つぐなわなきゃ……)
真姫(おやすみ、穂乃果……)スゥ…
真姫「すぅ……すぅ……」zzz...zzz...
59:
????????????????????????????
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にしきのまき『ここで働かせてください!』
かしこい魔女『にしきのまき……? 贅沢な名ね、認められないわぁ』
――とんとんとん
かしこい魔女『――今からおまえはきのきーだよ!』
――ぽん!
きのきー『長音はどこから……』
かしこい魔女『私の言うことに逆らう気かい? ぐずぐず言わないでさっさと調理場に行きな!』
きのきー『はーい』てくてく
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60:
――キイィィ……
穂乃果「……」
ヒタヒタ
真姫「すぅ……すぅ……」zzz...zzz...
ギシッ
穂乃果「(ごめんね、おじゃまするね)」ボソッ
モゾモゾ
穂乃果「(やっぱり我慢できなかったの)」スリスリ
真姫「すぅ……すぅ……」zzz...zzz...
穂乃果「(穂乃果、自分勝手でごめんなさい)」ボソボソ
穂乃果(強引かな、って思ったけど)スリスリ
真姫「すぅ……すぅ……」zzz...zzz...
穂乃果(穂乃果はそうしようって、決めたから)ギュー…
61:
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くろねこ『おまえのおしごとは、これをまぜることだにゃー!』
きのきー『わかったわ』
――まぜまぜ
くろねこ『ここにあるの、全部やるにゃー!』
きのきー『たくさんあるのね……』ぐるぐる
――まぜ、まぜ
くろねこ『きっちりきりきり、はたらくにゃー!』
きのきー『たいへんだわ……』ぐるぐる
――まぜ、まぜまぜ、まぜ
くろねこ『できあがったら、もらいにくるにゃー!』
きのきー『うーん、うーん』ぐるぐる
――まぜ、まぜ、まぜ
きのきー『うーん』
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62:
真姫「うーん……うーん」ムニャムニャ
穂乃果(どんな夢、見てるんだろう)
真姫「…………うーん」zzz...zzz...
穂乃果(なんか、苦しそう)
真姫「ん……ん……」zzz...zzzz...
穂乃果(真姫ちゃん、つらいのかな……)
63:
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きのきー『いっぱいまぜてつかれたわ』
きのきー『おなかすいた……』
――じわっ
きのきー『……かえりたいよぉ』
――じわわっ
きのきー『わたしは、ただ……』
――つーっ……
きのきー『太陽みたいなあの子に、しあわせになってほしくて』
――ぽろぽろ
きのきー『ただそれだけ、だったのに……』
――ぽたり
きのきー『どうしてこんなところまで来ちゃったんだろう』
――ぽたり、ぽたり
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64:
真姫「zzz……zzz」つーっ……
――ぽたり
穂乃果(真姫ちゃん、泣いてる……)
穂乃果(きっと悲しい夢、見てるんだね)
穂乃果(――穂乃果も、寝よう)
穂乃果(だって――――――)
穂乃果(おやすみ、真姫ちゃん)すぅ……
66:
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きのきー『……真っ暗な夜の、闇の中』
――ずぶ、ずぶ
きのきー『沼の底に沈んでく……』
――ずぶずぶずぶ
きのきー『……おなかがすいて死んでしまいそう』
きのきー『暗いわ……つらいわ……わたし泣いてしまうわ』ぽろぽろ
――ほー、ほー
きのきー『夜のふくろうさんも鳴いている……』
――ほー、ほー
きのきー『ねぇふくろうさん、わたしはだぁれ?』ぽろぽろ
――ほ、ほー、ほー
きのきー『なんだか、からだが消えていくみたい……』すぅ
――ほー、ほ、ほー、ほー
きのきー『そしたらわたしも、あなたとお友達になれるのね?』
――ほ、ほ、ほー、ほー
きのきー『そう、よかった』
――ほ、ほ、ほ、ほー
きのきー『(……いいわ、このまま消えてしまいましょう)』すぅぅっ――
67:
『――――やっと見つけた!』
――ぱっ!
きのきー『……あれ?』
――きら、きら
きのきー『まぶしい……ここはどこ?』
きのきー『あなたは、だぁれ?』
『――――これ食べてっ!』
きのきー『えっ……?』
『――――心を込めた、おまんじゅう!』
きのきー『…………』すっ
――きら、きらり、きら
きのきー『……ん……ん、んっ……』ぱくぱく
きのきー『おいしい……』ぽろぽろ
『――――おいしくなぁれって願いをかけてつくったんだ!』
68:
きのきー『――うわぁああああああああん!』ぽろぽろ
――きらり、きら、きら
きのきー『ぅあぁああああん!! わぁあああああん!!』ぼろぼろ
『――――つらかったんだね。さ、かえろう?』
きのきー『ひっく……かえりたいけど、ひっく……かえれないの』ぽろぽろ
『――――どうして?』
きのきー『自分が誰か、もうわからなくなっちゃったから……』ぽろぽろ
――きら、きら
『――――知ってるよ』
きのきー『え……?』
『――――教えてあげる……あなたの本当の名前はね……』
――きら、きら、きらり
『――――西木野真姫――――真姫ちゃんだよっ!』
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69:
――朝
穂乃果「ん……」ムクッ
真姫「……きのきー……」ムニャムニャ
穂乃果「……!」ドキッ
穂乃果「…………」
穂乃果「……///」カアアッ
穂乃果「……///」ドキドキ
穂乃果「ま、真姫ちゃん、起きて」ユサユサ
真姫「……んみゅ」クシクシ
真姫「ほのか……?」フラフラ――
――キュッ
穂乃果「え?///」ビク
真姫「おはよぉ……」スリスリ
穂乃果「ね、寝ぼけてるっ!?///」ドキドキ
真姫「ねむぃ……」ギュー…
穂乃果「…………///」ドキドキドキドキ
穂乃果「ねぇ、きのきー」
真姫「なぁに?」スリスリ…
穂乃果「――――!」
真姫「――あっ」
穂乃果「だいすき!」
――ちゅっ
真姫「??っ!?///」
70:
おわりデッショー!
73:

ほのまき最近増えて嬉しい
74:
乙!
ほんと短いのが惜しいわ
また書いてくれ
8

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