ミギー(失敗した……残念だ……) 美希「星井ミギーなの!」【2/3】back

ミギー(失敗した……残念だ……) 美希「星井ミギーなの!」【2/3】


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1:
アイドルマスター×寄生獣
_____________________________
【あらすじ】
ある日、空から多数の正体不明の生物が飛来してきた。
その生物、人間の頭に寄生して脳を奪う彼ら「パラサイト」は、
高い学習能力から急に知識や言葉を獲得しアイドル業界に紛れ込んでいった。
その日、765プロのFランクアイドルである星井美希は一匹のパラサイトの襲撃を受けた。
偶然ヘッドフォンをしていた幸運もあり、間一髪で脳の乗っ取りは免れたものの
パラサイトは美希の右腕に寄生してしまう。
「ミギー」と名乗るパラサイトと人間の奇妙な共生生活が始まった。
アイドル業界の支配を企むパラサイトと961プロ。
やがて美希は真実を知る者としての責任を感じるようになる。
しかし、美希と自らの安全の確保にしか興味の無いミギーはどちらにも与する気はなかった。
7話(愛ちゃん編)の途中から
2:
【 765プロダクション 】
美希「……」
美希(アイドルアカデミーのノミネートが決まって、二日……)
美希(嬉しいはずなの……)
美希(嬉しいはずなのに……)
ミギー『……ミキ』
美希「ミギー、どうしたの?」
ミギー『最近のキミはどうも精神的にやたら疲れているようだが』
ミギー『どうした。何か不満があるのか』
3:
ミギー『せっかく、ノミネートが決まったんだ』
ミギー『人間はこういうとき、もっと嬉しそうなそぶりを見せるものじゃないのか』
美希「……」
美希「人間なら、そうなの」
ミギー『……』
美希「ミキには……もう、よくわからなくなっちゃったの……」
美希「やる事が多すぎて……」
美希「お姉ちゃんが殺されて……ハニーが死んで」
美希「そして、もっとたくさんの人が死んでいる事がわかって……」
美希「961プロダクション……ヤツらを倒さないといけないのに……」
4:
美希「ミキ、ホントにこんなことしてていいのかな」
美希「トップアイドルになるなんて、悠長な事で良かったのかな」
美希「今も……この時も。人がたくさん、殺されてるかもしれないのに」
ミギー『それを辞めさせるためには、961プロを潰せるだけの力……』
ミギー『<妖精計画>や<天ヶ瀬冬馬>以上の影響力を持たなければならない』
ミギー『アイドルアカデミー大賞はその第一歩だ。何も間違ってはいないさ』
美希「ホントに? ホントにそんな余裕あるの?」
美希「そんな風に、のんびりしてていいものなの!?」
美希「もっと、正しいやり方があったんじゃないかな……」
美希「たとえばあのおじさんが言ってたみたいに、ミキが怪物だって名乗り出るとか……」
5:
ミギー『……ミキ、それは駄目だ』
ミギー『名乗り出れば、キミのトップアイドルへの道は永久に閉ざされるぞ』
ミギー『わたしだけではない。すでにキミの体も変化しているのだ』
ミギー『最悪、寄生生物のサンプルとして拘束される事も……』
美希「それでも……それでもいいのっ!」
美希「ミキの体で、たくさんの人が救われるなら……」
美希「お姉ちゃんみたいな犠牲は、二度と……」
ミギー『……もっと心に余裕を持て』
ミギー『人間は余裕を持つ事ができる唯一の生物だろう』
美希「……」
美希「ふふふ……人間……?」
7:
美希「そうだよね……人間なら余裕を持たなくちゃ」
美希「……でもミキはほんとうにまだ人間なのかな……」
ミギー『……自分で解らないか』
美希「……そうなの、わからなくなったの」
美希「ミキにはもう……何もかもわかんないの」
美希「……」
ミギー『……言っておくが』
ミギー『自己犠牲なんて考えは、寄生生物には存在しないものだ』
ミギー『わたしは、そんな考えは理解できないからな』
ミギー『……キミは間違い無く人間だよ。ミキ……』
8:
美希「……」
ミギー『……』
 ガチャッ!
春香「おはようございます! 天海春香でっす!」
やよい「うっうーっ! やよいです!」
美希「おはようなの……」
春香「お! 美希、今日も早いねー!」
春香「IA発表までもうすぐだもんね! ファイト、オー!」
やよい「ファイト、オー!」
美希「お、おー、なの……」
9:
春香「美希、今週の予定は!?」
ミギー『今日は、一日レッスンだ』
ミギー『新曲のハイスコアはランキングに深く関係している』
ミギー『今は基礎を上げ、発売一週前に全国オーディションを行う』
ミギー『後は地方でのフェスを繰り返し、曲のブレークを待つ』
春香「ふむふむ……よし、わかったよ!」
やよい「アイドルアカデミー大賞までもう二月くらいですから、」
やよい「この時期が一番大切ですー!」
やよい「うっうーっ! 頑張りましょうー!」
美希「……」
美希「うん、頑張ろう……なの!」
11:
【 ショッピングモール 】
 プルルルルルルルルルッ....
愛「……」
携帯「……もしもし?」ガチャッ
携帯「どこのエンジェルちゃんだい? 俺の私用の携帯番号を知っているなんて」
携帯「困った子だ……」
愛「何をふざけているんですか、ジュピター」
愛「尾崎プロデューサーの件、聞きましたよ」
携帯「ああ……殺されちゃったようだね」
携帯「美しい女性が死ぬ事は悲しい事だ。彼女にもう会えないなんて……」
12:
愛「犯人は……おそらくですが、ホシイミキです」
愛「なぜ、彼女が生きているんですか?」
携帯「なぜとは……?」
愛「貴方達は彼女を始末する役目があったはずでは?」
愛「ここまで野放しにしたのはなぜです」
携帯「……そうだったな……すまない」
携帯「どうも、女性が相手だとあまり本気になれないものでね……」
携帯「尾崎さんからの頼まれごともあったし、先延ばしにしてしまった」
愛「あなたがそうやって怠けているうちに……」
愛「ホシイミキのユニットはアイドルアカデミーにノミネートされました」
愛「……このままでは、961プロのIA奪取の大きな障害となります」
14:
携帯「アイドルアカデミーか……そうだったね」
携帯「仕方ない。早めにケリをつけるとするよ」
愛「……これが最後です。今日中にお願いします」
 ガタガタガタッ
舞「愛ー! どこにいるのーっ!」
舞「お、あんなとこに……おーい!」
愛「こちらも忙しいので、これで」ピッ
愛「もー! ママ! 大きな声で呼ばないでよー……恥ずかしいよ……」
舞「あんたが突然になくなるからでしょーが!」
舞「とりあえず、買いたいモノは買えたから。次は愛の買い物でしょ」
15:
愛「ママ、私そろそろ夏服が欲しいよ」
舞「あん? 去年のがあるでしょーが、去年のが……」
舞「たいして成長してねえくせに衣装持ちになりやがって……」
愛「ママ、あたしアイドルなんだよ! 服は欲しいよ!」
舞「はいはい……あーでも、最近の若い子の服ってわかんないわー」
舞「好きなモノ買ってきなさい。クレカあげるから」
舞「まだ二十万くらい残ってたし。とりあえず夏物ごっそり買っといで」
愛「う、うん」
舞「じゃあ二、三時間で戻って来いよ」
舞「それまでゲーセンで時間潰しておくから?」
愛「う、うん……」
16:
舞「さて……文字通りうるさいのもいなくなったところで」
舞「ゆっくりゲームでもしますか」
 ワイノ ワイルドワイバーン ヤッ!!
 ソシテ.... コレガ..... ガンマリュウ レンシャ ワザ ヤ!!
 ビー――ッッ..... シュウゥゥゥッ!!!
舞「……」
舞「うーん、最近のゲームはわかんないわね」
舞「べ、別に年をとったわけじゃないわ。最近のヤツが進みすぎなだけよ!」
舞「スプラッターハウスとか……もう無くなったのかしら」
舞「……とりあえずアイマスやるか……」
18:
< ツカマエテ スキダヨト イッテホーシイー >
舞「うっわー。この子歌へったくそねー」
舞「ウチの愛みたい。いや、愛よりはマシか……? そうね」
舞「でも、ウチの愛の方が圧倒的に可愛いわね」
舞「一度合わせてガチでケンカさせてみたらどっちが勝つかしら……」
 「……!!」
 「ああ、やっとみつけたよ、キミ……」
舞「あん? この台は今私が使ってんのよ?」
 「いや、そうじゃなくて……」
舞「……!! あら、なつかしい顔じゃん」
19:
…………。
愛「……さて、衣装を選ぶよー!」
愛(アイドルらしく、流行の最先端を担う身として、慎重に選ばねば)
愛(今年は、(Vi)重視……で行くか)
愛(……ならば、この扇情的な衣装を……)
愛(いや、待て。この衣装では日高舞に怪しまれるな)
愛(何より日高愛らしさがない)
愛(普通に子供らしい服を選んでも良いが、思春期の子供は多感……)
愛(あえて他のアイドルに影響を受けたような服を選んでみるのも……)
愛「うーん、迷っちゃう……」
20:
愛(むしろ、日高舞のイメージに合わせてみるべきか……)
愛(いや、むしろ日高愛であれば日高愛を意識した服など選ばないだろう)
愛(ならば……)
 ヴーッ! ヴーッ!
愛「……? 仕事用の携帯に、メール……」
愛(!!)
愛(四条貴音……!?)
愛「―― フェス会場の裏で待つ」
愛「……ここから20分程度か」
愛(……? なぜ……今になって?)
22:
【 フェス会場 裏口 】
貴音「……」
 ガサッ
愛「……四条貴音」
貴音「……来ていただけましたか、愛」
貴音「お久しぶりですね」
愛「今はそんな事どうでもいいでしょう……」
愛「なぜ、すぐに961本社に戻らなかったのですか?」
貴音「……」
23:
愛「尾崎プロデューサーから、あなたを探せとの命令が出ていまして
愛「私の仕事なんですよ」
貴音「……尾崎プロデューサーは、亡くなったそうですね」
愛「……!」
愛「それを知りながら、潜伏を続けていたのですか?」
愛「その理由を聞きましょう」
貴音「……」
愛「……言わない、と」
愛「まあ、かまいません。四条さんの事情を汲んでいる暇はないのです」
愛「戻りますよ、961プロダクションに」
24:
貴音「……私は、戻りません」
愛「!!」
貴音「いえ……戻りますが、今はその時ではありません」
愛「……なら、力ずくで連れ帰ります」
愛「いざとなれば、死体を引き摺ってでも連れて行きます。命令ですから」
愛「四条さんでは私に勝てない事くらいわかりますよね」
貴音「……そうでしょうか」
貴音「……いえ、それは問題ではありません」
愛「……?」
貴音「今日は、……少しお話しをしに来たのです」
28:
貴音「貴方とはよく、私達寄生生物の生きる目的について議論しましたね」
貴音「しかし、あなたと私の意見はあまり合わなかった……」
貴音「……意見が、目的が違いすぎていたからです」
愛「違い……?」
愛「……そうでしたね。しかし……」
愛「寄生生物同士で、意見の違いが生まれる事自体がおかしいのです」
貴音「私の目指す目的と、あなたの目指す目的」
貴音「その違いの本質。私には見えていましたよ」
愛「……?」
貴音「私と、貴方の違いをお教えしましょう」
29:
貴音「まず……私は、人間との共生を望んでいました」
貴音「しかし……その本質は、生きる事」
貴音「トップアイドルになる事も、社長殿に協力するのも……」
貴音「自ら……この世界での命を守るため……それだけなのです」
愛「……それは、生物として当然の事でしょう」
愛「何者であれ、生命を遵守するのは当然の事です……」
貴音「……そうでしょうか?」
貴音「ならばなぜ、我々は……互いに、同種で殺し合うのです?」
愛「……何?」
30:
貴音「私達は、一人では生きられない……かよわい寄生生物です」
貴音「……この体も、人間から奪ったモノです」
貴音「だからこそ、人間を愛さねば。隣人として歩み寄らねばならないのです」
愛『……やはり、あなたは違う……』
愛『連れ帰るのは止めだ。……やはり処分する』 マメッ
貴音「ほう……? 日高愛は、人間と共に暮らす事が、不可能だと……?」
貴音「誰よりも人間を愛している貴方が?」
愛『……? 何を言っている……?』
愛『……人間との共生など不可能だ』
愛『奴等と共に生きる事など、寄生生物にはできない』
31:
貴音「……なぜ?」
愛『知れた事……この身は、人を食らうのだ』
愛『人はそれを否定する。けして隣人とは認めようとしない』
愛『我々が表の社会に姿を現せば、たちまちのうちに滅ぼされるだろう』
貴音「……」
貴音「……たとえば、星井美希とその右手のような関係性」
貴音「私には、とても羨ましかった」
愛『……』
貴音「わたくしは……自分の生まれてきた目的を……知りたい」
貴音「隣人を食らい、同種で殺し合う寄生生物……」
貴音「それを理解し、尊重し、わかり合えるのは……やはり、隣人なのです」
32:
愛『……くだらない』
愛『貴様の妄言は聞き飽きた。死ね』
貴音「私は、生きるために人間に近付いた……」
貴音「人間そのものを知り、共生の道を探そうとした……」
愛『ッッ!!』 マメメメッ!!
 ガキィィィンッ!!
貴音『しかし、貴方は違う。貴方と私の違い……』 シジョッ......
貴音『貴方は』
貴音『人間、そのものになろうとしている……』
愛『!!』 ビクッ
33:
貴音『……日高愛という体は、とても心地良いようですね』
貴音『その理由とは?』
愛『……』マメッ!
 ガキッ! ガキッ!
貴音『ッッ!』 タタッ!
貴音『客の前での性格付け……また、趣味、知能、性癖っ』
貴音『それら全てが、生前の日高愛を意識していると及びます!!』
貴音『その理由とは!?』
貴音『たとえば、この人間ですか!!』バッ
舞「あっ……」
34:
愛『あっ……』
愛「……」シュンッ...
舞「……愛」
舞「いや……愛……じゃないのよね?」
舞「一体いつから……?」
愛「……」
貴音『……おそらく、一年前からでしょうか』
貴音『日高愛が961へ入社したのは、その時期です』
舞「そう……」
愛「ま、ママ……」
35:
愛「……ご、ごめんね……ずっと黙ってて」
愛「私、日高愛……で、961プロで、パラサイトやってます……」
舞「……」
舞「ごめんね……ちょっと、混乱しててさ」
舞「その、いきなり、こんな事……」
舞「961プロに入った事はしってたけど……」
舞「まさか、そんな……」
愛「……、ま、ママ!」
愛「私、たしかに寄生生物だけど、愛だよ! 日高愛だよ!」
愛「だから、そんな目で見ないで!」
36:
愛「元は愛なんだから! これからもずっと日高愛だよ!」
愛「お願い……信じてよ……っ!!」
舞「……」
愛「……、こ、こんな後だけど……」
愛「日高愛として……私を子供でいさせてくれる……?」
愛「まだ、愛してくれる……?」
舞「……無理よ」 
舞「あなたは愛じゃないもの……」
愛「……」
愛『そうか』
37:
舞「……」
愛『せっかく……』
愛『……』
愛『どうしてくれる……』
愛『貴様のせいで……殺すしかなくなった!!』 マメメメッ.....
貴音『!!』 シジョッ!
  ガキィッ!!
愛『これまで……これまでが……無駄に……』
愛『全てが……!!』
38:
貴音『激高するな……日高愛……』 シジョッ
貴音『わたし達が人に愛されるには、その本質を理解させるしか無いのです!』
愛『それは貴様のエゴでしかない!』 マメマメッ....
愛『なぜ私に押し付けた! ここまで……そこまで私が嫌いか!!』
 ギギギギギッギッ!!
貴音『……いいえ』 シジョッ....
貴音『むしろ……私は、あなたを好意的に見ています』
貴音『だからこそ、これから起こる出来事の前に……』
貴音『ある種の、道を用意させたのです』
愛『なに……?』
41:
貴音『生物として……時に、生き方を考えなければならない』
貴音『そして、わたし達の生き方とは、「寄生」他なりません』
貴音『その本質を理解せねば、わたし達は生きられぬのです……』
貴音「」 シュルシュル....
愛『(変形を、解いた……?)』
貴音「……」 サッ!
 ―――ビッッ!
愛『……』グラッ
愛『な……何……ごほっ』
42:
愛『(突然……傷が…………狙撃か!?)』
貴音「……」
愛『貴様……』 グラッ
 ――ビッッ!!
愛『ああっ……!!』 ガクッ
愛『(足を……くそ……これは……!?)』
舞「あ……」
水瀬薫「……狙撃班は待機。地上班は周囲を囲め」 ガシャンッ
武田「……ほう、まだ立つか」
愛『人間ども……!!』
43:
――ビッッ!!
愛『……』
愛『……う……』 ヨロッ...バタンッ
貴音「これより起こるのは、戦闘でなく一方的な駆除……」
貴音「あなたにはまだ、道が残されている……それだけです」
水瀬薫「拘束する。手負いとはいえ寄生生物だ。手強いぞ」
水瀬財閥私兵「はっ!」 バタバタバタッ
愛『人間が……くそっ……近寄るなっ……』
舞「……」
44:
【 レッスンルーム 】
ミギー『「L」、「L」、「L」、「R」、「R」、……』
美希「なのっ、なのっ、なのっ……!!」 タッタッタッ
春香「……はっ、はっ……」 タッタッターンッ
やよい「はっ……やっ……えいっ……」 クルックルッ
美希「……うう、連続でレッスンは疲労が溜まるの……」
春香「もうクタクタだよー……」
やよい「目が回りますー……」
美希(みんな、疲れてるっぽいの……)
美希「みんな、そろそろ休憩しようなの!」
45:
春香「あ、じゃあ春香さんが下の自動販売機で何か買ってきますね?」
春香「アップルティーあったかな……」
ミギー『……!』ピクッ
 ガシッ!
春香「うわっ……え? どしたの美希?」
美希「え? いや、ミギーが……」
ミギー『私が行く。二人は休んでいろ』
春香「そ、そう? じゃあお願いしよっかな……」
やよい「ありがとうございます、美希さん!」
美希「う、うん……」
46:
ガチャンッ
美希「ど、どうしたの……? ミギー」
美希「ミキ、サイフはカバンの中だから買いに行けないよ?」
ミギー『違う!』
ミギー『「仲間」だ! ここに真っ直ぐ向かっている!』
ミギー『殺意を感じる……間違い無く目的はわたし達だ!』
美希「……!!」
ミギー『……ここでは戦えないだろう。キミの仲間の前では』
ミギー『ともかく場所を変えるぞ』
47:
【 屋外 】
美希「……っ!」 ガチャッ
美希「敵はどっちなの、ミギー!」
ミギー『少し待て……これは……?』
ミギー『マズいぞ、ミキ。ここは逃げだ』
美希「……?」
ミギー『敵は三匹だ! 固まってこちらへ向かっている……』
ミギー『戦っては勝ち目がない。逃げるぞ』
美希「さ、三匹も……」
ミギー『向こうも本気でこちらを殺しに来ているのだろう』
ミギー『このままではすぐに追いつかれる……何か……』
49:
ブロロロロロッ
ミギー『車だ! 車を奪え!』
ミギー『それに乗ってここから離れれば、奴等は追ってこられない!』
美希「で、でもそれって悪い事なんじゃ……」
ミギー『そんな場合か、やれ!』
ミギー『追いつかれれば殺されるんだ!』
美希「わ、わかったの」
美希「そこの車の人――っ! 止まって――っ!!」ブンブンッ
 ブロロロロロッ! キキッ!
軽口「WowWow! カーノジョ! また合ったね!」
50:
軽口「この前のパンチはメチャ→痛かったZE! ビンビン来たZE!」
軽口「でも俺……目覚めちゃったのさ! キミのその熱いソウルに!」
美希「……」
軽口「いや……違うな。今日は真面目な話をしに来たんだ」
軽口「今回は芸能関係者とかじゃない……スカウトでもない……」
軽口「どうか、この俺と、付き合って……」
ミギー『どけっ!』 ドカッ!
軽口「ヘヴンリーッ!!」 ズシャァァァァァッ!!
美希「ちょ、ちょっと車を借りるの!」
軽口「オフコース!」
53:
ガチャガチャガチャ........
美希「み、ミキ、免許無いし……運転できないよ?」
ミギー『大丈夫だ。わたしが運転する』
ミギー『シートベルトしめろよ。マジでな……』
 ギャギャギャギャ!
 ブロオオオオオオオオオオンッッ!!
美希「ミギー……いつのまに運転なんて憶えたの……?」
ミギー『わたしは日本語を一日でマスターしたんだぞ』
ミギー『人間が運転しているのを見て憶えた。カンタンなものだ』
美希(心配なの……)
54:
ブロロロロロロ.........
美希「……まいたんじゃないの?」
ミギー『いや、索敵範囲から外れただけだな。安心は出来ない』
ミギー『このまま道を進んで逃げられるだけ逃げるぞ』
美希「ずーっと? この道を……お、大阪まで行っちゃうの!」
美希「それ以前に、ミキが運転してるトコ見られたら捕まっちゃうんじゃ……」
ミギー『その点は考える……』
ミギー『ともかく、どこか安全な……、……』
美希「ミギー?」
ミギー『……駄目だ、眠くなってきた……“すいみん不足”……』
55:
美希「ちょ、ちょっとミギー、困るの!」
ミギー『駄目だ。眠い。4時間眠る』
ミギー『ともかく、逃げられるところまで逃げろ……』
美希「ミギー! やだ、頑張ってほしいの!」
ミギー『……無理だ……』
ミギー『今のミキなら、……ヤツらからも逃げ切れるはず……、……』
右手『……』
美希「もう……! いつもカンジンな時にこれなの……」
美希「あ、でも、ミキ、運転できないの……あわわっ」
 ガガガガガッ! ガタンッ!
58:
美希「ふう、止まった……いや、ぶつかったの」
美希「……それよりも、敵が!」
美希「うう、ミギーが眠ってるから位置が分からないの……」
美希「でも、相手はミキの位置が分かるなんて……不公平なの!」
美希「とにかく、何かい乗り物で逃げれば……」
美希「電車……バス……」
美希「どれも乗るまでに追いつかれそうで怖いの……」
美希「あ、タクシー!!」 サッ
タクシー「どちらまで?」 ギッ
美希「ミキ、お金無いけど、行けるとこまで行ってほしいの!!」
60:
【 どこか 】
 ブルルルルルルルッ..............
美希(……ここはたぶん、首都圏を抜けたあたり、かな……)
美希(そろそろ4時間ぐらい経つし……)
美希「あ、このあたりでいいの!」
タクシー「あいよぉー」ガチャッ
タクシー「サインありがとうよ」
タクシー「うちの孫もミキちゃんのファンだからね。きっと喜ぶと思うよ」
美希「うん! おじさんも、ありがとうなの!」
美希「おしごとがんばってね!」
61:
美希「ここ、どこだろう……」
美希「……うーん、けっこう山手っぽいところに来たの」
美希「とりあえず、ミギーが起きるまでこのあたりをうろついておくの」
美希「見晴らしが良いから、誰かが近付いて来たらすぐに解るの!」
 ブロロロロッ
美希「あ、自動車が……まさか……」
 「えー翔太クン、こんなところでいいのー?」 ガチャッ
翔太「うん、ここでいいよ。ありがとうお姉さんたち!」
翔太「また遊ぼうねーっ」
63:
美希(こ、子供なの……)
美希(それに一人だけ……なら、違うかな……?)
翔太「……ふうっ」
翔太「やあ、おねーさん。始めて会うね」
美希「……!」
翔太「鈴木さんも絵理ちゃんも尾崎Pも、みんなキミがやったんだって?」
翔太「すごいなー。やっぱりその右手の力なの?」
翔太「今はすごく反応が弱いみたいだけど、何かあった?」
美希(に、逃げるのっ!!)ダッ!
翔太「あ、追いかけっこだね! よーし!」
66:
美希「はっ……はっ……」 タッタッタッタ
翔太「待ってよ、おねえさーん!」 タタタタッ
美希(お、おかしいの……)
美希(本気で走ってるのに、全然振り切れない……)
美希(ミキは、普通の人間より早く走れるはずなのに……)
美希(寄生生物は首から下は人間だから、体は人間と同じはず……)
美希(相手はあんなちっちゃな子なのに……)
美希「な、なんで追いついてくるの……!?」
翔太「おねーさーん! もっとく走らないと追いつくよ、おーい!」
67:
翔太「えいっ! 捕まえたっ!」 シュタッ
美希「うあっ!」 サッ
   スカッ!
翔太「あー、かわされちゃったかー」
翔太「んー、そろそろ鬼ごっこはお終いにする? 疲れちゃったし」
翔太「そろそろ、戦おうよ」
美希「ミギー! 起きて! 起きてなの!」
右手「……」
右手『ん……ああ……』
ミギー『ミキか……無事で何よりだ』
69:
美希「おはようなの。でも、それより……」
ミギー『三人……!』 ピクッ
美希「う、うん……残りの二人はどこにいるかわかんないけど」
ミギー『違う、ミキ』
ミギー『こいつ一人の体に、三人だ!』
美希「!?」
翔太「あーあー、いきなり秘密がバレちゃったね」
右手『……』 シュッ
左手『……』 シュシュッ
翔太「でもまあ……勝ったかな?」 ショタッ.....
70:
美希「……っ」
翔太「僕が思うに、きっと……おねーさんの戦い方は独特なんだよ」
翔太「だから、これまでの仲間はやられちゃった」
翔太「そうじゃないかなー?」
ミギー『ミキ、気を引き締めろ』 ミキミキッ
美希「……」
翔太「人間の脳が残ってるのに強いってのがわかんないよねー」
翔太「うーん、ちょっと戦い方を見せてくれないかな?」
左手『……!』 ショタタッ
 カキィィンッ!
71:
ミギー『ッ……!!』 ミキッ
翔太「まあ、用心に超したことはないし」
翔太「いろいろ考えながらやってみようと思うんだよね」
左手『……』 ショタタッ!
 ガキィンッ!
翔太「でも、人間の脳が生き残ってるって事は」
翔太「結局は別の生き物……敵同士なんだよね、僕たち」
右手『……』 ショタッ!
 ガキィィィンッ!!
ミギー『ッッ!!』 ミキッ!
72:
美希「な、何なの……喋りながら戦って、お行儀悪いの!」
美希「喋るか戦うか、どっちかにして欲しいの!」
ミギー『ミキ、返事をするな!』
右手『……』 ショタッ
左手『……』 ショタタッ!!
 ガッ! ズバッ!!
美希「きゃああっ!!」
翔太「なるほどね、おねーさんにはすごい身体能力と動体視力があるみたいだ」
翔太「……それは天性のモノなのかな? それとも……」
美希「うう……痛ぁ……」
74:
ミギー『ミキ、大丈夫か!』
美希「へ、平気なの……ちょっと切っただけなの」
美希「それより、あの刃の数……なんとかならないモノなの?」
翔太「そうやって相談しながら戦うんだ……」
翔太「……それって効果あるのかな?」
右手『……』 ショタタッ!
左手『……』 ショタッ!!
ミギー『……ッッ!!』 ミキミキッ!!
  ガキン! ガキン! ガキィィンッ!!
76:
美希「い、一旦引くの!」 ダダダッ!
翔太「あ、まだ逃げる?」
ミギー『新しいタイプの敵……』
ミギー『一人の体に三体か……どう戦うか』
美希「……その点は大丈夫なの! ミキだって考えてるの!」
美希「脚、脚を狙うの!」
美希「いくら寄生生物がたくさんついてたって、体は人間なの!」
美希「脚は二本、心臓は一つ!」
ミギー『うーむ……』
77:
ミギー『気になる……ヤツの寄生部分がはっきりしない』
ミギー『範囲がどうもよくわからん』
美希「寄生部分なんて、手と頭でしょ? 決まってるの!」
美希「脚を攻撃して、体勢を崩させてから心臓を狙うの!」
ミギー『しかし……どうも……』
ミギー『いや、そんな事を言っている間はないな』
翔太「うーん……」ガサガサッ
翔太「ああ、いた。おねーさん。もう逃げないでよー」
美希「き、来たの!」
ミギー『……仕方ない!』
78:
翔太「そろそろ、おねーさんと遊ぶのにも飽きちゃったなあ」
翔太「もう、本気で終わらせちゃおうかな」コキッ
右手『……』 ショタ.....
左手『……』 ショ.....
ミギー『一か八かだ。ミキ、キミの案で行こう』
ミギー『次に来る攻撃、わたしは右手をかいくぐって脚を狙う』
ミギー『左手の攻撃はキミがなんとかかわせ』
美希「かわせって……そ、そんな無茶なの!」
ミギー『やるしかない。目を使え……』
翔太「行くよっ!」 ショタタッ!
79:
左手『……』 ショタタッ!
美希「ひゃあっ!」
美希(集中……シューチューして……!!)
美希(タイミングを……!!)ギッ
左手『……!』 フラッ....
美希「やあっ!」 ブンッ!
 バシンッ!
左手『……』 フラフラッ...
美希(や、やったの! 止めたの!)
美希(ミギーは……!!)
80:
ミギー『……ッッ!!』 ミキミキッ!!
右手『……』 ショタショタッ!
 ガキィィンッ!!
ミギー『ッッ!!』 ミキミキッ!
  ザクッッ!!
右脚「……」
ミギー『……!? 刃が、通らない……!?』
ミギー『まさかっ!!』
翔太「ははは! 僕の勝ちっ!」
82:
右手『……』 ショタタッ!
左手『……』 ショタッ....
美希「きゃあああああっ!!」
 ガキィィィンッ!!
翔太「ありゃ……」
美希「えっ……」
右手『……』 クラクラ...
左手『……』 フラフラ.....
美希(自分の触手同士で、空中衝突……!?)
美希(今がチャンス!!) ダッ!
84:
翔太「もう……なんてかっこわるいんだ! 二人とも!」
翔太「早く戻って……」
美希「やああっ!!!」
ミギー『……!!』 ミキミキッ!!
翔太「あ、ちょっ……」 モタモタッ
ミギー『ッッ!!』 ミキッ!!
  バサッッッ!!
翔太『がっ……』 ズルッ ビシューッ!
翔太『……』 ゴロゴロッ
85:
美希「……はぁ、……はぁ」
美希「あ、頭……首を……?」
ミギー『……こいつは体中に寄生部分を広げているな』
ミギー『斬りつけた脚も、人間のものではなかった』
ミギー『心臓や脚を狙うよりも、寄生部分を切り離しすほうが早いと判断した』
美希「そ、そうなの……」
ミギー『斬りとばした頭がそのあたりにいるはずだ』
ミギー『元の肉体に戻られる前に、トドメを刺すぞ』
美希「わかったの!」
 『……やれやれ』
86:
ミギー『!?』
ミギー『あっ……』
美希「ミギー?」
ミギー『そんなことが、出来るのか……?』
右手『……』 ニュウウッ....
右手『……』 ジュウウ!
頭部『……!!』 ジュジュジュッ........
美希「み、右手が、頭に……」
美希「再生したのっ……」
89:
「……おい、翔太! 戻ってこい!」
 ガサガサッ!
翔太『はーい!』 ピョンピョンッ
翔太『いやー、油断したよ。あんなふうにやられるなんて……』
翔太『よっ……』 ジュジュッ
右手『……ふう。やっぱりこの位置が落ち着くなあ』
 「……選手交代だな」 ジュジュジュジュッ...........
ミギー『体型が変わる……まさか、そこまで……』
美希「……天ヶ瀬冬馬!」
冬馬「……お前とは一度、フェスで目が逢ったな……」
90:
右手『いやー、あのおねーさん想像してたよりずっと強いよ!』
右手『体がちょっとこちら側に来てるみたいだね。理屈はわからないけど』
冬馬「ふん……」
冬馬「おい北斗、お前があいつを仕留められなかったからじゃねえか」
左手『すまない……つい、あのエンジェルちゃんの視線にクラクラしてしまってね』
左手『以後、気を付けるよ……』
ミギー『こいつ……すごい……』
ミギー『三匹じゃなかったんだ……!!』
美希「えっ……」
ミギー『五匹……六匹……いや、もっと……!!』
93:
冬馬「……その通り」
冬馬「俺達は、<ジュピター>……」
冬馬「人間の部分を排除した……完全に寄生生物だけの存在だ」
ミギー『三匹だと思っていたのは……』
ミギー『その三人の意志が統一されていなかったからか……』
冬馬「そう……この体を支配できるのはこの俺と」
冬馬「右手の翔太……左手の北斗のみ」
冬馬「そして俺こそが完全なこの体の統率者。リーダーだ」
冬馬「俺達こそ……完全な寄生生物。パラサイトアイドル!!」 ジュジュッ!
美希「ッ!?」
ミギー『動きが違いすぎる!』
97:
ガサガサッ!
 バッ! ザザザザッ! バシュッ!!
美希「きゃあっ!!」ズシャッ
美希「い、痛い……痛いの……」
ミギー『ミキ、気をしっかり持て!』
美希「うう……」
冬馬「チッ……かわしやがったか……」
右手『だから、身体能力凄いって教えてあげたでしょーっ』 ニュッ
左手『おい冬馬、女性を傷付けるのは、男としてどうかと……』 ニュッ
冬馬「う、うっせえお前ら! ちょっと引っ込んでろ!」
98:
美希「ううっ……」ヒョコヒョコッ
冬馬「もう、もういいから寝てやがれ!」
右手『えーっ! そんな事言って、冬馬君一人だけ楽しむつもりでしょ』
左手『全く……冬馬、お前は……』
ミギー『今のうちに、出来る限り離れるぞ』
ミギー『……おそらくすぐに追ってくるだろう。わたしの気配を追ってな……』
美希「ど、どうすればいいの……?」
ミギー『……どうしようもない……』
ミギー『ヤツは弱点の部分が存在しないのだ』
ミギー『そこの森の中に逃げ込め。……少し、考える……』
99:
美希「……はぁ、……はぁ」 ガサガサッッ
美希(100Mくらいは逃げたかな……)
美希(でも、この距離じゃすぐばれちゃうし追いつかれちゃうの……)
美希(どうすれば……)
ミギー『……ミキ』
ミギー『わたし達二人が力を合わせても、勝ち目は無いだろう……』
ミギー『ならばいっそ、別れてやってみないか?』
美希「え? それは、どういう……」
ミギー『……これだ』 ガリガリッ
美希「え、これ……木……杭……?」
100:
ミギー『……次が本当の、一か八かだぞ』
ミギー『戦いは「兵力」よりも、「勝機」だ』
美希「……っ」 ゴクッ
ミギー『まずは、ミキはその武器を持って、木の上に登ってくれ』
ミギー『そして……』
 …………!
美希「……そ、そんなの無茶なの! 無茶すぎるの!」
ミギー『だからこそ、「天ヶ瀬冬馬」にも予想できないのさ』
ミギー『やるしかない……』
101:
ガサガサガサッ......
冬馬「チッ……森の中に逃げ込んだか」
冬馬「だがむしろ、やりやすくなったって事だぜ」
美希(来たの……!!) コソッ
 ミギー『まず、ヤツの表面は寄生細胞でプロテクトされている……』
 ミギー『こちらの攻撃は全く通用しないだろう』
冬馬(……逃げない……こちらを待ち構えている?)
冬馬(戦う気だな……。何か工夫がついたのかもしれねえな)
 ミギー『だがおそらく、攻撃の一瞬の際はそれが解除されているはずだ』
 ミギー『表面を甲羅で覆ったままでは、機敏な動きなど出来ないからな』
102:
冬馬「……来るか……!!」
 ミギー『そして、わたしの体だが……』
 ミギー『宿主から離れれば、数分しか生きられない』
 ミギー『……その数分間が勝負だ。注意をわたしに惹き付ける』
 ガサガサッ!!
冬馬「……出てきやがれ!」
 ミギー『わたしがヤツを惹き付け、戦闘を始めた瞬間』
 ミギー『キミが死角からヤツの心臓目がけて、その杭を突き刺す!!』
 ミギー『おそらく、それでは死なないだろうが……活動は止められる』
 ミギー『その隙に、ヤツの頭と両腕を切り落とす!』
美希(やるの……やれるの……!)
103:
ミギー『(位置が悪い……あれではミキが心臓を狙えない)』
ミギー『(わたしが移動して、敵の位置を……)』
ミギー『(……む……。なんてことだ、もう意識がぼんやりとしてきた……)』
ミギー『(宿主がいない寄生生物は、ここまで脆いのか……)』
冬馬「おい! お前ら!」
冬馬「そこまでこの俺が怖いのか! さっさと出てこい!」
美希「……!!」
ミギー『今だ! やれっ!!』 ミキミキッ!!
冬馬「そこかっ!!」 ジュジュジュッ!
美希(今なのっ!!) バッ!
105:
ガキィィッンッ!!
冬馬「……」
 ドシュッ!!
冬馬「がっ……ッッ!? な、がぁ……っ!?」 グラッ....
美希「やっ……!!」 ズデッ!
美希「ミギー! 戻って来てっ!」
右肩「……」サッ
冬馬『くそ……あがっ……』
ミギー『……!!』
ミギー『浅かったようだ……!!』
106:
ミギー『……やはり左手では、杭に体重を掛けきれなかったのか!!』
ミギー『ッッ!!』 ミキミキッ!
 ザンッ! ガキィィンッ!!
左手『……!』 ジュジュジュッ!
ミギー『……駄目か!』
美希「み、ミギー!!」ガサッ
ミギー『来るな ミキ! 失敗だ!』
美希「な……」
左手『冬馬、無事か!』
冬馬『……こいつは……やられたぜ……』 ジュジュジュッ
108:
ミギー『逃げろミキ! こいつら、パワーはまだ充分だ!』
美希「すぐ、そっちへ行くの!!」
ミギー『来るな! 二人とも死ぬ事はない!』
ミギー『早く行け!!』
美希「……っっ!!」
右手『冬馬! 逃げられるよ! 始末しないと!』 ショタッ
ミギー『ッッ!!』 ミギッ
  ――― ガキィィンッ!!
冬馬「俺の……俺の……」
冬馬『俺の前に立つんじゃねえええええっっ!!!』 ジュジュジュッ!
109:
冬馬『ウオォォォォォォォッッッ!!!』
ミギー『何をやっている! このまぬけ! はやく行け!』
美希「……!!」
美希「ッッ!」 ダッ!
 『……』
 『さようなら、ミキ。これでお別れだ』
 『一番始めにキミに出会って……』
 『キミの脳を奪わなくて、よかったよ……』
111:
 『おかげでトモダチとして……765プロダクションの仲間として……』
 『いろいろな……楽しい思い出を……』
 『意識が薄れてゆく……』
 『妙に眠い……』
 『それなのに……孤独感だけがくっきりと大きく……』
 『これが……死か……』
━━━━━━━━──
━━━━━━━━━━━━━━━───
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
112:
【 フェス会場 裏口 】
愛『くそ……人間ども……』
愛『やめろ……わたしに近付くな……』 マメマメッ.....
私兵「……触手を振り回されて、近付けません」
私兵「どうしますか、会長」
水瀬薫「……あの出血量なら、いずれ死ぬだろう。……人間ならな」
水瀬薫「あのパラサイト保護に関しては、キミの希望を聞いたものだ」
水瀬薫「どうする、四条貴音」
貴音「……」
舞「……ちょっと、通して」 ズイッ
113:
武田「日高君、危険だ。下がりたまえ」
舞「どけっ!」 ブンッ
  ドコォッ!
武田「ほう、いいパンチだ」 ドサッ
愛『くそ……人間……』
愛『……近寄るな……』
愛『あっ……』
舞「……おいこら」
舞「人の娘の顔いじくりまわしてんじゃないわよ。戻しなさい」
愛『……』
115:
舞「……ふぅ」
舞「前々から脳味噌の無い子だとは思ってたけど、まさかホントに無いなんてね」
舞「けっこうショックだわ、これ……」 グィィッ
愛『……!?』
愛「ま、ママ! 痛い! 髪の毛引っ張らないで!」 シュンッ
舞「あら? 戻った。便利ねこれ」 グイグイッ
愛「……私に、何か用か」
愛「……それとも、お前の娘の方か」
舞「はん? 愛は死んだんでしょ。用なんてないわ」
舞「でもアンタとは一年も暮らしてきたんだもん……思うところはあるわよ」
117:
愛「私を恨んでいるか。憎んでいるか……娘を殺した私を」
舞「……まあね。なんで今さらそんな話を……って感じね」
舞「とっとと乗り移ったときに言えば良かったのよ。“愛じゃありません”って」
愛「……」
愛「……日高舞に……拒絶されると思った」
愛「娘を奪った私を……許しはしないと思った……」
愛「だから私は……日高愛になりきった……」
舞「ばれたときにもっと怒られるとか、考えなかったの?」
愛「……日高舞の知能では、この擬態は見抜かれないはずだった」
舞「クソ生意気ね……しばき倒してやろうかしら」
118:
愛「……」
舞「……よっこらせっと」 ザッ
愛「私は、どうすればいい……」
愛「これから……」
舞「なに? アタシに振られたのがそこまでショック?」
舞「あったり前よ。娘のフリしたパラサイト? なんて知らないもの」
愛「……ならば」
愛「殺せ……この肉体も、長くはない……」
舞「病院行けばいいんじゃないの?」
舞「武田くんとあの水瀬のお坊ちゃんが用意してくれてるってさ」
119:
愛「……なぜ、私に情けをかける」
舞「アンタが、愛にそっくりだから……っつっても愛の体なら当然か」
舞「でも。自分の娘が傷付いていて、ほっとく母親なんていないわよ」
愛「……お前の娘はもういない」
舞「どうしてそんな事がわかるのさ……」
舞「……あんただって、私のメシ食って一緒に暮らしてきたんだ」
舞「……娘みたいな、もんだろ」
愛「日高舞の思考は、やはり理解できない……」
愛「本来なら娘を殺した私を……拒絶するべきなのだ……」
舞「まるで拒絶されたいみたいな雰囲気じゃない。めんどくさい子ね」
120:
舞「寄生生物って、ホントは周囲の人間を殺して身分を捨てちゃうんでしょ?」
愛「そうだ……人間の頃の生活は、枷にしかならない」
舞「だったらわかりなさいよ」
舞「私があんたを殺さない理由は、――」
舞「あんたが私の元を離れなかった理由と、同じだっつの」
愛「……」
舞「……今までずっと、……私の手で愛を育んできたんだもの」
 アイ・フォーリンラヴッ!
舞「私の愛はここにある! ……つってね」
愛「……。あまり面白くないな。オヤジ臭い」
舞「てめえ……」
122:
舞「……これからの事は、これから考えましょ」
舞「今はアンタ、病院に行くべきでしょ。ちょっと武田くん、車用意して!」
武田「……うむ」 ヨロッ
私兵「……」 ザザッ
水瀬薫「……日高愛、いやパラサイト。……拘束する」
水瀬薫「貴様は治療を受けた後、これまでの経緯について尋問する」
水瀬薫「全て話してもらうぞ、961プロについて」
愛「……好きにしろ」
愛「……少し疲れた。眠る……」
愛「そうだ……日高舞……頼みがある……」
舞「ん?」
123:
愛「……<ALIVE>」
愛「日高愛が……幼少の頃に聞いていたという曲だ……」
愛「アイドル日高舞の、歌声……」
舞「ああ、私がアイドルだった頃の」
舞「あれがどうしたの?」
愛「私は、聞いた事がない……」
愛「日高愛になってから、唯一……<ALIVE>だけは知らなかった」
愛「……これが、最後だから……」
愛「聞かせて……ママ……」
舞「ええ……」
124:
< 想い出が折り重なってく >
 < 独りで寂しかった時にも あなたはいつも微笑みをくれた >
武田「ALIVEか。……いい歌声だ。掛け値無しに」
貴音「……まことに」
 < 誰もが皆 生きた証を >
水瀬薫「これで、ヤツらを識別できる「目」、……四条貴音と」
水瀬薫「日高愛による「情報」が用意できた」
 < 心の中に紡いでく 物語にして >
水瀬薫「後は……961本社に乗り込み」
水瀬薫「パラサイト共を滅ぼすのみ」
126:
武田「……アイドル業界の大掃除だ。忙しくなる」
 < 見守っててね 素敵な私が飛び立つまで >
水瀬薫「行動を起こすのは、三日後……」
水瀬薫「961プロ記念フェス、「FIRE BALL」の前日……」
水瀬薫「全ての社員、アイドル達が961本社に出向く……その時を狙う」
貴音「……」
舞「この地球(ほし)に標(しるべ)はないけど............♪」
舞「素晴らしい.......世界がある..........」
愛「……」
舞「おやすみ、……私の愛……」
127:
【 ??? 】
 ……!
美希「……はあっ……はあっ……」タッタッタッ
美希「……はあっ……」
  ズルッ
美希「あっ!」
 ドンガラガッシャーンッッ!
美希「う、うう……」
美希「……」
128:
右肩「……」
美希「う……う……」
美希「ううっ……」ポロッ....
右肩「……」
美希「ひぐっ……ううううっ……」ポロポロ
美希「うああああ……」
美希「うあああああああああああああっ……」ポタポタポタッ........
美希「ミギー……!!」
129:
 〓 8 〓
 ━【 星井美希 十五才 】
 【 765プロダクション所属 Eランクアイドル 】
 【 同ユニット 高槻やよい 天海春香 】
 【 活動期間六ヶ月 】
 【 十五才だからケッコンできるよ 】
 【 ━━━━━ 】
 【 ━━━━━━ 】
 【 人間 】 [New]
131:
【 春香の家 】
 < ?♪ >
 < 言い訳なんか聞きたくないわ >
 < 胸が張り裂けそうで >
春香「うむむ……美希の歌う relations は凄いなあ」
春香「いつか持ち歌にしてやるぞっ!」
春香「わっほい!」
 タン..... タン.....
  ザ――――ッ
春香「ん? 雨…… 洗濯物取り込まないと!」
134:
春香「うわわわわっ、未来のトップアイドルの服が濡れちゃう!」
春香「スケスケになっちゃいますよー」 バタバタッ
春香「そういえば、今日は美希、飲み物買いに行ったまま戻ってこなかったな……」
春香「……突然いなくなるのは今に始まった事じゃないけど」
春香「でもレッスンをバックレなんて! アイドルとして自覚が足りてないよね」 ガララララッ
 ガチャッ、タンッ
春香「その点、春香さんはしっかりと……」 フニッ
春香「……ん? 何か踏ん……」
美希「……うっ……」
春香「う、うわあああああっ!! み、美希っ!!」
135:
春香「美希! しっかりして!」
美希「あ、あれ……春香……?」
美希「どうして……」
春香「ここは私の家だもん……美希こそどうしてここに……」
春香「私の家、知ってたっけ?」
美希「わかんない……ただ、なんとなく、歩いてたから……」
美希「誰かに会いたくて……」 グラッ
春香「あっ……美希……」
春香「とにかく、ここじゃ風邪引いちゃうよ」
春香「家の中に入ろ……」
136:
春香「狭いところだけど、どうぞ……」
美希「うん……」
 < 「じゃあね」なんて言わないで >
 < 「またね」って言って >
美希(……relations)
美希「……ぐすっ」
春香「……!!」
春香「み、美希……どうしたの、それ……」
春香「右手が……無いけど……なんで……!?」
137:
美希「……」
右肩「……」
春香「それに……傷だらけだし、血塗れだし……」
春香「な、何があったの……!?」
美希「……」
美希「う……うう……」ポロポロ
春香「み、美希!?」
春香(美希が泣くところなんて、初めて見たかも……)
春香「落ち着いて、美希……!!」
春香「……とにかく……傷の手当てを……」
138:
美希「……」
春香「美希……本当に、何があったの?」
春香「こんなの、普通じゃないよ……」
美希「春香には、カンケー無いの……」プイ.....
春香「関係なくないっ!!」
春香「美希、聞かせて! 私……力になってあげられないかも知れないけど」
春香「役に立たないかも知れないけど!!」
春香「それでも……美希の事、ほおっておけないよ……」
美希「……」
春香「そんな悲しそうな顔をする美希、見たくないもん……」
139:
美希「……春香」
春香「……言ったでしょ。春香さんはいつでも受信中なの!」
春香「美希の辛い事、全部受け止めてあげるから」
美希「……グスッ」
美希「春香ぁ……春香っ……」
春香「……美希」
美希「ミギーが……ミギーが死んじゃった……」
美希「また、私のせいで……私をかばって……」
美希「お姉ちゃんも……ハニーも……みんな……」
春香「みぎぃ……?」
142:
…………。
春香「……つまり、」
春香「その、右手のミギーさんが、いなくなっちゃったんだ……」
美希「……うん」
春香「あれ、腹話術とかじゃなかったんだね」
春香「……パラサイト、かあ……四条さんと同じヤツ……? だよね」
春香「……ビックリしちゃったよ」
美希「……ごめんね。ずっと黙ってて」
美希「ミキのこと、ケーベツする……? 嫌いになった……?」
143:
春香「ううん……美希」
春香「……辛かったね。苦しかったね……」
美希「……」グスッ
春香「……美希ってさ」
春香「私達の前で、あんまり弱いところ、見せないじゃない?」
春香「いつも明るくて、脳天気で、マイペースで……」
春香「でも、本当は繊細で傷付きやすくて……真っ直ぐで」
春香「……ちゃんと美希を見れたことが、私にはちょっと嬉しいかも」
美希「春香……」
春香「……うんっ!」
145:
春香「決めたよ、美希! 私は何があっても美希の味方になる!」
春香「だから美希も、もっとわたし達を頼って! 765プロのみんなを頼って!」
美希「あ……」
春香「これから、何か辛い事があるなら、すぐ相談すること!」
春香「だってわたし達……」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    <仲間だもんねっ [ Y ]>
  テテレッテレッテッテッテレッ ( 3 ) テテレッテレッテッテッテレッ
 < 先輩と後輩でしょ? [ X ]> <恋人だからね…… [ B ]>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
147:
春香「仲間だもんねっ!」
美希「……」
美希「……ふふっ」グスッ
美希「春香は……いっつも、いつも通りなの……」
春香「はい! 春香さんはいつでも春香さんです!」
美希(ミキ……)
美希(765プロダクションに入って……ユニットを組んで……)
美希(春香と出会えて……仲間と出会えて、よかった……)
美希(……ミギー……)
美希「春香……ありがとう……」
151:
【 その夜 】
春香「……よし」ガサゴソ
春香「ちょっと狭いけど、これでいいかな」
春香「寝床できました!」
春香「美希ー、パジャマのサイズ大丈夫だった?」
美希「うん……」
美希「でもちょっと……胸がきついの」
春香「うぐぐっ」 グサッ
春香「……ゆ、油断してた……こんなところに胸囲の驚異が……」
152:
春香「それじゃ、電気消すよー」 パチッ
春香「美希、おやすみなさいっ!」
美希「おやすみなの……」
 …………。
春香「……zzz」
美希「……」
美希(……真っ暗だ……)
美希(……なんだか)
美希「こわい……」
154:
美希(そうだ……これまでは、独り寝なんて、なかった……)
美希(ずっとすぐそばに、お姉ちゃんが……ミギーがいた……)
美希(みんなを、感じていられたもの……)
美希(こわいの……ひとりぼっちが、こわい……)
美希(暗闇に食べられそうになる……)
美希「……はる……春香……」
美希「春香っ」
春香「うう……ん……? 美希……?」
春香「どうしたの……春香さんはここですよ……?」
157:
美希「寝られないの……こわいの……」
美希「真っ暗で……こわくて……」
春香「ふぅん……」ポー
春香「じゃあ、美希が眠れるまで……」
春香「……春香さんが……手を握っててあげよう」 ギュッ
美希「あっ……」
美希(あったかい……)
春香「ムニャ……zzz」
美希(春香……)
美希(……)ゴソッ
158:
【 翌朝 】
春香「おはよう、美希」
美希「……おはようなの」
春香(美希、あんまり寝られなかったみたい……)
春香(無理もないかな……)
春香「……ねえ、美希。……今日は病院に行こうよ」
春香「体もところどころ怪我してるみたいだし、腕も……」
春香「一度、診てもらった方がいいんじゃない?」
美希「……ヤなの」
美希「行ったらいろいろと聞かれるの。もうミキ……何も答えたくないの」
159:
春香「なら……とりあえず、事務所に顔出して、律子さんか社長に話を……」
美希「……嫌なの。外へ出たくないの……誰にも会いたくない……」
美希「アイドルも辞める……片腕じゃ、続けられないの……」
春香「……そ、そんなの……!」
春香「……」
美希「春香は、事務所に顔を出した方がいいよ……」
美希「きっと、やよいが待ってるの」
春香「……」
春香「ううん。今日はレッスン、お休みするよ」
春香「今日は……一日、美希と一緒にいようかな……なんて」
160:
美希「春香……」
春香「あ……私、事務所に休みの連絡入れてくるね」
春香「朝ご飯も作ってくるから、ベッドでゆっくりしててね」
美希(春香は、優しいの……)
美希(ミキのことを、気遣って……)
美希(……) ゴロッ
美希(これから、どうすればいいのかな……)
美希(家には……戻りたくないの……)
美希(ミキって、ミギーがいないと何もできなかったんだね……)
 バタバタバタッ! ドンガラガッシャーンッ!
161:
美希「春香?」
 ガチャッ!
春香「……美希! 美希っ!」
春香「電話だよっ!」
美希「電話……? ミキに……?」
春香「千早ちゃんから!」
美希「えっ……千早さん……?」
携帯「……ええ、私よ。……久し振りね、美希」
携帯「春香の家にいるって聞いて、驚いたわ」
162:
美希「千早……さん、あの……」
携帯「……何も言わなくていいわ」
携帯「こちらも武田さんから事情を聞いているから」
美希「武田さん?」
携帯「あなたの事情……右手や、お姉さんについて」
携帯「こちらでも全て把握しているわ」
美希「……な、……なんで……」
携帯「美希、明日……事務所の前に来て」
携帯「……あなたの力が、必要なの」
164:
携帯「明日……全てが、終わる」
携帯「私達が勝つ! 九分九厘、問題は無いわ」
美希「……」
携帯「……あなたにも、見てもらいたいのよ」
携帯「……この結末を」
美希「……もう、駄目なの」
美希「ミキはもう……何の役に立たないの……」
美希「もうミキに出来る事は、何も無いの」
携帯「……それでも、あなたが……アイドルであるならば」
166:
美希「……やめてっ!」
美希「ミキはもう、アイドルなんかじゃないの!」
携帯「……」
美希「トップアイドルへの道って、大変なんだね」
美希「ミキ……これまで、考えたこともなかったよ」
春香「……美希……」
美希「千早さんだって、わかるでしょ……」
美希「ミキがこれまで歩いてきた道も……これからの道も……」
美希「みんな、血でべっとりしてるの!」
美希「忘れたいのに! ……なんで、逃げちゃいけないの……」
167:
携帯「……」
携帯「あなたが、……まだ、アイドルだからよ……」
携帯「アイドルに逃げ道なんて無いの」
携帯「戦って。立ち向かって。そうして、駆け上るのがアイドル」
美希「……」
携帯「あなたがそれを棄てると言うのであれば、私は引き留めはしない」
携帯「……でも、そうじゃないでしょう」
美希「……ミキは……」
携帯「全ては、あなたが決める事だから」
携帯「……明日、待ってるわ」
169:
【 その夜 】
美希「……」
春香「……zzz」
美希(明日、全てが終わるって……)
美希(何が、あるんだろう)
美希(……もう、ミキにはカンケー無いことなの……)
美希(……でも)
美希「……」
美希「……春香、寝てるよね」
170:
春香「……zzz」
美希「……ミキ、どうすればいいんだろ……」
美希「……わからないの。誰か……」
美希「こんな時……ミギーが居てくれたら……」
美希(……とにかく……いつまでも春香の家にいるわけにはいかないの)
美希(明日……千早さんに会って……)
美希(会ってどうするの……)
美希(何を話せばいいの……)
美希(ミギー、やっぱりミキ)
美希(ミギーがいないと、駄目な子のままだよ……)
171:
美希(ミギーが始めて、ミキのトコに来てから……)
美希(ずっと、助けられてきた……)
美希(お姉ちゃんが殺された時も……ハニーが死んだときも……)
美希(ミキが諦めそうになったときも、ずっと励ましててくれたの……)
 ――『自己犠牲なんて考えは、寄生生物には存在しないものだ』
 ――『わたしは、そんな考えは理解できないからな』
美希(そして、最後の時だって……)
美希(ミキのことを守るために、ジュピターに立ち向かって……)
美希(ミギーの賢さ……勇気……)
美希(どれを取っても、ミキがかなうところなんてないの……)
美希(……ミギーこそ、ホンモノのアイドルなの!!)
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